JP4554875B2 - 磁気テープの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高記録密度特性に優れた磁気テープの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
磁気テープには、オーディオテープ、ビデオテープ、コンピューターテープなど種々の用途があるが、特にデータバックアップ用テープの分野では、バックアップの対象となるハードディスクの大容量化にともない、1巻当たり数10GB〜100GBの記録容量のものが商品化されている。また、今後100GBを超える大容量バックアップテープが提案されており、その高記録密度化は不可欠である。
【0003】
このような高記録密度化に対応するため、磁気テープを製造するに際しては、微粒子化しかつ磁気特性を向上させた強磁性粉の使用、強磁性粉のさらなる充填性、分散性の向上が必要であり、また、短波長記録になればなるほど、記録・再生時の反磁場による減磁を小さくするために磁性層厚さを小さくすることが必要となってきている。
【0004】
強磁性粉の磁気特性の改善にあたっては、磁性層の残留磁化の大きい方が高出力化に望ましい。このため、磁性粉として、従来の酸化物磁性粉やCo含有酸化鉄磁性粉に代わり、強磁性鉄系合金粉を用いることが主流になりつつあり、例えば保磁力120kA/m(1500Oe)以上の強磁性鉄系合金粉も提案されている(特開平5−234064号公報、特開平6−25702号公報、特開平6−139553号公報など)。
【0005】
強磁性粉を用いた磁性層の磁気特性を改善するには、強磁性粉の高充填化や分散性の向上が効果的である。強磁性粉の高充填化を図る手段としては、磁性塗料成分を、高固形分濃度状態で高剪断力を付与しながら混練する手法や、例えば特開昭62−41274号公報に開示されているような、連続式2軸混練機を使用した手法などが提案されている。
【0006】
このような連続式2軸混練機を使用して磁性塗料を製造する方法に関しては、特開平1−79274号公報に、(1)強磁性粉、バインダ樹脂、溶剤の混合物を、低バインダ樹脂比率(磁性粉に対して16重量%)、高固形分濃度(65〜95重量%)で混練を行う工程と、(2)さらにバインダ樹脂および溶剤を加え、バインダ樹脂比率を高く(20重量%)、固形分濃度を低く(40〜65重量%)して混練・希釈を行う工程を、連続式2軸混練機にて行う方法が開示されている。また、特開平6−80910号公報には、より混練を十分行うために、混練軸長/混練軸径比が25以上、パドル端と容器壁とのクリアランスが0.25μm以下の連続式2軸混練機を用いて、固形分濃度67〜80重量%、バインダ樹脂比率5〜30重量%にて混練する方法が開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、高密度磁気記録媒体(例えば100GB以上の容量に対応)を作製するにあたり、上記のような従来公知の技術では、平均軸長90nm以下ともなる強磁性粉を高充填化させ、かつ高分散させた磁性塗料を得ることは困難で、その結果、優れた磁気特性、および優れた平滑性を有する安定な薄層の磁性層を形成することができず、出力、出力対ノイズ比(S/N比)、分解能を満足させることができなかった。
【0008】
本発明は、上記課題を解決すべくなされたものであり、100GB以上の記憶容量に対応するための出力およびS/N比を有する高記録密度特性に優れた磁気記録媒体を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の目的を達成するため、非磁性支持体の一方の面に、無機粉体を含む下塗塗料を塗布することにより形成され下塗層と、この下塗層の上に、磁性粉およびバインダ樹脂を含む磁性塗料を塗布することにより形成される磁性層とを有し、前記磁性粉が、Coおよび希土類元素を含有した平均軸長が90nm以下の強磁性合金粉からなり、この強磁性合金粉を含む磁性層の厚さが0.15μm以下である、磁気テープを製造する方法である。
【0010】
そして、前記磁性塗料として、連続式2軸混練機により固形分濃度78〜83重量%、磁性粉に対するバインダ樹脂の割合が19〜25重量%で混練される工程を経て製造される磁性塗料を用いることを特徴とする磁気テープの製造方法である。より具体的には、前記磁性塗料として、連続式2軸混練機により固形分濃度78〜83重量%、磁性粉に対するバインダ樹脂の割合が17〜30重量%で混練される工程を経た後、さらにバインダ樹脂および溶媒を加えて前記連続式2軸混練機で少なくとも2段階以上に分けて希釈される工程を経て製造される磁性塗料を用いることを特徴とする磁気テープの製造方法である。前記磁性塗料については、後述の実施例で行ったように、前記連続式2軸混練機により混練される前に、予め高速混合しておくことができる。本発明の製造方法によれば、薄層磁性層にて高充填化と超平滑化とを両立させることができ、結果として優れた電磁変換特性(出力、S/N、分解能)を有する磁気テープが得られる。
【0011】
【発明実施の形態】
本発明では、磁気記録媒体における出力特性やS/N特性を改善するために、磁性層中に含ませる磁性粉として、Coおよび希土類元素を含有する強磁性鉄系合金粉であって、かつその平均軸長が90nm以下のものを用いる。
【0012】
本発明の磁気記録媒体においては、高い分解能を得るため、磁性層の厚さを0.15μm以下とするが、磁性粉の分散が不十分な磁性塗料を用いた場合には、凝集粒子が大きいためこのような薄層を安定して形成することができない。また、磁性層の厚さを薄くすると、従来の粒子径(平均軸長)の大きな磁性粉では、磁性層中の充填量が減少して磁気特性が劣化し、高い出力が得られないおそれがある。そこで、平均軸長が90nm以下、好ましくは70nm以下、更に好ましくは50nm以下(通常10nmまで)の超微粒子の強磁性鉄系合金粉を用い、かつ後述する塗料製造方法を適用してはじめて、磁性層中の磁性粉の充填性を最大限にまで向上させることができ、高い残留磁化が得られる。また、この場合において、磁性粉中にCoを含有させると、磁性粉自体の飽和磁化量、保磁力などの磁気特性が向上し、磁性層の厚さが0.15μm以下の磁気記録媒体に対して最短記録波長が0.5μm以下の高密度記録を行った場合でも、高い出力を得ることができる。
【0013】
連続式2軸混練機を使用する磁性塗料の製造にあたって、従来は、その強力なせん断力を生かそうとするあまり、混練時の固形分濃度をできるだけ高くすることに注意が払われ、バインダ樹脂比率にはあまり注意が払われていなかった。例えば前述の特開平01−79274号公報では、磁性粉に対するバインダ樹脂の割合を16重量%とした低バインダ樹脂比率が採用されており、固形分濃度については65〜95重量%とした高固形分濃度が採用されている。しかし、本発明者らが鋭意検討した結果、平均軸長が90nm以下の強磁性粉を高分散させて、厚さが0.15μm以下の薄層を形成することが可能な磁性塗料を得るためには、バインダ樹脂比率を従来最適と思われていた範囲よりも高くし、適度な固形分濃度で混練することが必要であることを見いだした。
【0014】
なお、バインダ樹脂比率に関しては、前述の特開平6−80910号公報に「合金磁性粉末粒子に対して5〜30重量%」と記載されているが、これを裏付けるデータとしては、その実施例、比較例において10重量%(組成上から計算される値。結果表から計算される値では12重量%)の1例の結果しか示されていない。言い換えれば、上記の下限値である「5重量%」や、上限値である「30重量%」については、これらの臨界的意義を示すべきデータが記載されていないので、その具体的根拠は不明であり、開示されている範囲が十分な根拠の下に特定されたものであるとは言いがたい。また、先に述べた1例のバインダ樹脂比率の値は、本発明で見いだした樹脂比率の範囲(19〜25重量%)とは大きくかけ離れている
【0015】
すなわち、本発明は、磁性粉がCoおよび希土類元素を含有した平均軸長が90nm以下の強磁性合金粉からなり、この強磁性合金粉を含む磁性層の厚さが0.15μm以下であり、この磁性層を形成する際に用いられた磁性塗料が、連続式2軸混練機により固形分濃度が75〜85重量%、好ましくは78〜83重量%、磁性粉に対するバインダ樹脂の割合が19〜25重量%で混練される工程を経て製造されたものであることを特徴とする。より具体的には、前記磁性層を形成する際に用いられた磁性塗料が、連続式2軸混練機により固形分濃度78〜83重量%、磁性粉に対するバインダ樹脂の割合が17〜30重量%で混練される工程を経た後、さらにバインダ樹脂および溶媒を加えて前記連続式2軸混練機で少なくとも2段階以上に分けて希釈される工程を経て製造されたものであることを特徴とする。なお、前記磁性塗料については、後述の実施例で行ったように、前記連続式2軸混練機により混練される前に、予め高速混合しておくことができる。
【0016】
なお、上記の平均軸長は、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、倍率10万倍で撮影した写真から粒子径を実測し、500個の平均値から求めたものである。また、上記と同様の理由から、本発明に用いる強磁性鉄系合金粉としては、BET比表面積が35m2 /g以上であるのが好ましく、40m2 /g以上であるのがより好ましく、50m2 /g以上であるのが最も好ましい。
【0017】
一方、前記のような磁性粉を用い、磁性層の磁気特性を単に向上させて出力を高めた媒体としても、ノイズも同時に高い場合、相対的にS/N比が減少し、十分なS/N比が得られない。そこで、本発明者らは、ノイズの低下について検討した結果、希土類元素を含有する磁性粉を用いることにより、上記問題を解決できることを見い出した。
【0018】
磁気記録媒体から発生するノイズ要因の一つとして、磁性粉に起因する粒子性ノイズがあげられる。この粒子性ノイズは粒子の大きさ、粒度の不均一さに起因すると考えられるので、各磁性粉にバラツキがあると、データが未記録状態でも、ヘッド出力に寄与する一定面積中に存在する磁性粒子から発生する磁束にバラツキが生じて、ヘッド出力が0、つまり上記磁束の合計が0になりにくい。その結果、データ記録箇所の相違による出力差が生じ、ノイズが増加する原因となる。磁性粉の大きさにバラツキがあると、これは、信号が記録された状態では出力変動に基づくノイズも重畳されるため、さらにノイズが増加し、相対的なS/N比を低減させる。
【0019】
したがつて、まず、粒子の大きさを低減することが必要であるが、磁性粉の平均軸長を90nm以下にすることで、ヘッド出力に寄与する一定面積中の磁性粒子数を増加でき、データ記録箇所の相違による一定面積中の磁化量のバラツキを防止できる。これにより、粒子の大きさに起因したノイズを低減することが可能になる。
【0020】
また、このような微粒子の磁性粉によると、粒子サイズの大きさに起因するノイズは低減できるが、粒度の不均一さに起因する粒子性ノイズは低減できない。
そこで本発明者らは、上記粒度の不均一さに起因する粒子性ノイズについて検討した結果、平均軸長90nm以下の微粒子の強磁性鉄系合金粉において、Coとともに、希土類元素を含ませるようにしたとき、上記磁性粉の粒度分布が均一となり、粒度の不均一さに起因した粒子性ノイズを低減でき、S/N比が大きく向上することを見い出した。
【0021】
強磁性鉄系合金粉中にCoを含有させる方法としては、(1)ゲーサイト粉末を焼成してマグネタイト粉末とし、これをコバルトイオン含有の水及び非水溶液中に投入して撹拌することにより当該水溶液中で2価の鉄イオンとコバルトイオンをイオン交換し、加熱還元する方法、(2)鉄塩とコバルト塩のアルカリの水系懸濁液から得られるコバルト含有針状ゲーサイト粉末を加熱還元する方法、(3)蓚酸水溶液中に添加した鉄塩とコバルト塩から得た共沈物を還元する方法、(4)表面にコバルトを被着させた酸化鉄粉末を加熱還元する方法、(5)鉄塩とコバルト塩とを含む溶液に還元剤を添加する方法、(6)不活性ガス中で金属を蒸発させ、ガス分子と衝突させて合金磁性粉を得る方法、(7)水素と窒素やアルゴンとの混合ガス中で鉄やコバルトの塩化物の蒸気を流しながら、金属に還元する方法などがある。中でも、高いコバルト量の固溶が可能で、耐腐食性能にも優れる前記(1)や(2)の方法を併用するのが好ましい。
【0022】
強磁性鉄系合金粉中に、Coとともに、希土類元素を含有させるには、上記の各Co含有方法において、Coと同時に希土類元素を含有させるか、Coを含有させたのちに希土類元素を含有させればよい。中でも、ゲーサイト製造時にコバルトと同時に希土類元素を共沈する方法、Coを含有する原料酸化鉄粉を加熱還元する前に希土類化合物水溶液中へ懸濁する方法などが好ましい。希土類元素には、Nd、Y、La、Ce、Pr、Sm、Gd、Yb、Tbなどがあり、これらの中でも、特にY、La、Ceが好ましい。
【0023】
Coおよびおよび希土類元素を含有する強磁性鉄系合金粉において、コバルトの量は、多いほど高飽和磁化および高保磁力を達成できるが、あまりに多過ぎると磁性鉄金属との合金化ができず、余剰分が酸化物となるため、上記特性を達成できない。したがつて、コバルトの量は、Co/Feの重量比が0.2〜0.5の範囲が好ましく、0.2〜0.4の範囲がより好ましい。
【0024】
希土類元素の量は、多いほど磁性粉の粒度分布を均一にすることができ、その結果、粒子ノイズを低減させることができて高いS/N比を達成できる。また、磁性粉とバインダとの密着力の増大にも寄与する。しかし、あまりに多過ぎるとCo含有量が低下し、磁性粉の飽和磁化量を低下させる。したがつて、希土類元素の量は、希土類元素/Feの重量比が0.01〜0.1の範囲が好ましく、0.02〜0.07の範囲がより好ましい。
【0025】
このようなCoおよび希土類元素を含有する強磁性鉄系合金粉には、他の元素として、例えば、Zn、Sn、Ni、Mn、Ti、Cr、Cuなどの遷移金属などを添加することもできる。しかしながら、アルカリ金属、とくにCaが強磁性鉄系合金粉中に存在すると、これが磁性層中の脂肪酸と反応して磁性層表面に脂肪酸塩を生成するため、磁性粉の製造時に洗浄により上記アルカリ金属の混入を避けるようにするのが好ましい。
【0026】
また、Coおよび希土類元素を含有する強磁性鉄系合金粉は、加熱還元時の焼結防止、磁性塗料中での分散性改善の目的で、粒子表面を無機酸化物で被覆するのが望ましい。粒子表面被覆用の無機酸化物としては、例えばアルミニウム酸化物やケイ素酸化物などを挙げることができるが、アルミニウム酸化物が硬さにおいてすぐれており、強磁性鉄系合金粉の耐摩耗性も向上できるのでとくに好ましい。
【0027】
上記被覆を行うに当たっては、原料酸化鉄粉に対しあらかじめアルミニウム、ケイ素などの化合物(アルコラートなど)のアルコール溶液に水を作用させて加水分解によりこれらの化合物を粒子表面に被着生成させる方法を用いることができる。被覆量は、焼結防止や分散性改善のため、Feに対する重量比で0.001以上とするのが好ましく、またあまりに多過ぎると、磁性粉の飽和磁化量が低下するため、0.07以下が好ましい。つまり、粒子表面をアルミニウム酸化物で被覆する場合、このアルミニウム酸化物をAl/Feの重量比が0.001〜0.07となる割合で含有するのがよい。
【0028】
さらに、このようなCoおよび希土類元素を含有する強磁性鉄系合金粉は、高い飽和磁化のため磁気凝集を起こしやすく、粒子表面が非常に活性となるため、磁性塗料中に含まれる溶剤の変成や、バインダとして使用される架橋剤中のイソシアネート成分の変成などを引き起こす触媒として作用する。このため、上記の強磁性鉄系合金粉は、pHが10未満、とくに8未満であるのが好ましい。pHを10未満とすると、磁性塗料中の上記のような変成物の生成を抑制でき、磁性層形成時に高速走行摺動に耐えうる塗膜とすることができる。このようなCoおよび希土類元素を含有する強磁性鉄系合金粉の保磁力は、高線記録密度における短波長記録で高出力で高分解能を得るため、155〜300kA/m、とくに160〜225kA/mであるのが好ましい。飽和磁化量は、高トラツク密度において良好な再生出力を得るため、また磁性粉の耐食性を維持するため、120〜200A・m2 /kg(120〜200emu/g)、とくに130〜160A・m2 /kg(130〜160emu/g)であるのが好ましい。角形比としては、σr/σsが0.46以上、とくに0.48以上、さらには0.49以上であるのが望ましい。
【0029】
本発明において、上記のCoおよび希土類元素を含有する強磁性鉄系合金粉を用いた磁性層の磁気特性としては、保磁力が155〜300kA/m、とくに160〜240kA/mであるのが望ましい。また、本発明においては、磁性層中の強磁性鉄系合金粉の充填性を極めて高くし、高出力の磁気記録媒体とするため、磁性層の残留磁束密度が0.18T以上、特に0.2T以上0.4T以下とすることが好ましい。このような残留磁束密度の高い磁性層は、前記強磁性鉄系合金粉を用いると共に、磁性粉の充填性を高める後述の手段により達成することができる。なお、この磁性層の磁気特性と、前記のCoを含有する強磁性鉄系合金粉の磁気特性は、いずれも試料振動形磁束計で室温中、外部磁場800kA/m(10kOe)での測定値をいい、磁性層の保磁力および残留磁化は、直径8mmで磁性層面20面を有する試料を貼りあわせたものを測定した時の更正後の値である。
【0030】
本発明では、上記のCoおよび希土類元素を含有する強磁性鉄系合金粉を使用することにより、磁性層の磁気特性が向上し、最短記録波長0.5μm以下でも高い出力を得ることができるともに、磁性粉自体から生ずるノイズが低減され、高いS/N比を得ることができる。一方、最短記録波長0.5μm以下の高線記録密度において磁性層の厚さが厚い場合には、長波長出力は厚さに応じて大きくなるものの、短波長出力は厚み損失の影響によりあまり変化しない。このため、長波長出力に比べて短波長出力が相対的に低くなって分解能が低下し、高保磁力化による自己減磁損失の低減効果による改善だけでは不十分になる。
【0031】
このような分解能の問題を解決するため、検討した結果、最短記録波長1.0μm以下の高線記録密度においては、磁性層の厚さを0.15μm以下にしたときに、高分解能の磁気テープを得ることができることがわかった。すなわち、本発明では、上記のCoおよび希土類元素を含有する強磁性鉄系合金粉を用いるとともに、磁性層の厚さを0.15μm以下に設定する。これにより、磁性層の高残留磁束密度化、高保磁力化を達成でき、高トラック密度における自己減磁損失を低減することができる。また、最短記録波長0.5μm以下の高線記録密度においても厚み損失を低減できる。これらにより、良好な電磁変換特性が得られることとなる。
【0032】
磁性層の厚さは、上記の観点から、0.15μm以下とすることが必要であるが、あまりに薄くなり過ぎると、磁性層の形成時に塗膜厚さの均一性を維持することが困難になり、また磁性層中に充填しうる磁性粉が減少して、磁性層の磁気特性が低下する。このため、磁性層の厚さは、0.03μm以上、とくに0.07〜0.15μmとするのが望ましい。
【0033】
テープ長手方向の残留磁束密度(Br)と磁性層厚さ(δ)との積(Brδ)は、0.0018〜0.05μTmが好ましく、0.0036〜0.05μTmがより好ましく、0.004〜0.05μTmがさらに好ましい。この範囲が好ましいのは、0.0018μTm未満では、MRヘッド(磁気抵抗効果型素子を用いた磁気ヘッド)による再生出力が小さく、0.05μTmを越えるとMRヘッドによる再生出力が歪みやすいからである。このような磁性層からなる磁気記録媒体は、記録波長を短くできるのみならず、MRヘッドで再生した時の再生出力を大きくでき、しかも再生出力の歪を小さく、出力対ノイズ比を大きくできるので好ましい。
【0034】
先述したように高出力で高S/N比の磁気記録媒体を得るには、磁性粉として、Coおよび希土類元素を含有する平均軸長が90nm以下の強磁性鉄系合金粉を用いることが必要となるが、従来の磁性塗料製造過程ではその磁性粉の性能を十分に発揮できず、得られた媒体においては出力、S/N比が予想以上に低下した。その理由としては、(1)磁性粉の微粒子化により、磁性粉界面への濡れ性が悪化すること、および(2)磁性粉表面の化学的性質、すなわち磁性粉に被着させた希土類元素の影響で溶剤およびバインダとの相互作用が従来粉に比べて強くなることなどにより、塗料製造工程の中で特に混練工程に大きな差が生じ、充填性および分散性の両立が困難となったことが考えられる。すなわち、充填性の向上のためには通常高い固形分濃度で高剪断力をかけて混練することが必要となるが、前記理由のために低い固形分濃度でしか混練ができず高充填化ができない上に、また高剪断力をかけることが困難であるため、混練終了後(混練希釈後)のペーストには粗大な凝集物が多く残存すること、またかかる凝集物は次工程の分散工程において、ある程度微細化されるが、ミクロな意味での凝集体が残ってしまう問題があり、所望の出力、S/Nを達成できない。またこのような凝集物は分散機のディスク周速や分散時間などの条件を強化することで、少なくなる傾向にはあるが、本発明に用いられる磁性粉は微細であり強度的にも弱いため、磁性粉自体が損傷する。そのため媒体の磁気特性(Mr、SFD)が極端に悪化し、出力、ノイズが高くなる傾向があった。
【0035】
そこで、本発明者らは平均軸長90nm以下の微粒子磁性粉において磁気的なエネルギーを最大限に発揮させるために高充填化し、かつ高分散させる製法について鋭意検討を行ったところ、磁性塗料が、連続式2軸混練機により固形分濃度75〜85重量%、磁性粉に対するバインダ樹脂の割合が19〜25重量%で混練される工程を経て製造されることより、その目的を達成できることが分かった。
【0036】
前記混練工程の後工程としては従来公知の塗料製造工程を用いることができる。例えば、連続式2軸混練機をまたは他の希釈装置をもちいて、少なくとも1回以上、さらにバインダ樹脂溶液および/または溶媒を加えて混練希釈する工程、サンドミル等の微小メデイア回転型分散装置による分散工程などがある。
【0037】
前記混練工程の前工程として、磁性粉の顆粒を解砕機を用いて解砕したのち、混合機でリン酸系の有機酸等やバインダ樹脂と混合し、磁性粉の表面処理、バインダ樹脂との混合を行う工程を設けてもよい。
【0038】
ところで、上記のような磁性層の高性能化の他に、近年、短波長記録に適した磁気記録媒体の構造とするため、磁性層と非磁性支持体との間に下塗層を設け、さらに磁性層を1μm以下の薄層とすることが提案されている(特開昭62−154225号公報)。これらの磁気記録媒体は、磁性層を薄層化することで自己減磁損失や再生損失を低減させるとともに、多数回走行における走行性、耐久性の低下を改善するために、潤滑剤保持層として下塗層を設けたものである。単層で薄層の磁性層を有する磁気記録媒体では、カレンダー工程において磁性層が圧縮されず、磁性層の充填および平滑性の向上ができないため、かかる観点からも磁性層を0.15μm以下の超薄層とする場合には下塗層を設ける必要がある。
【0039】
次に、本発明の磁気記録媒体の構成要素についてさらに詳述する
【0040】
〈非磁性支持体〉
磁性支持体の厚さは、用途によって異なるが、通常、2〜6μmのものが使用される。より好ましくは2.5〜5.0μmである。この範囲の厚さの非磁性支持体が使用されるのは、2μm未満では製膜が難しく、またテープ強度が小さくなり、6μmを越えるとテープ全厚が厚くなり、テープ1巻当りの記憶容量が小さくなるためである。
【0041】
非磁性支持体の長手方向のヤング率は9.8GPa(1000kg/mm2 )以上が好ましく、10.8GPa(1100kg/mm2 )以上がより好ましい。非磁性支持体の長手方向のヤング率が9.8GPa(1000kg/mm2 )以上がよいのは、長手方向のヤング率9.8GPa(1000kg/mm2 )未満では、テープ走行が不安定になるためである。また、ヘリキャルスキャンタイプでは、長手方向のヤング率(MD)/幅方向のヤング率(TD)は、0.60〜0.80の特異的範囲が好ましい。長手方向のヤング率/幅方向のヤング率が、0.65〜0.75の範囲がより好ましい。長手方向のヤング率/幅方向のヤング率が、0.60〜0.80の特異的範囲がよいのは、0.60未満または0.80を越えると、メカニズムは現在のところ不明であるが、磁気ヘッドのトラックの入り側から出側間の出力のばらつき(フラットネス)が大きくなるためである。このばらつきは長手方向のヤング率/幅方向のヤング率が0.70付近で最小になる。さらに、リニアレコーディングタイプでは、長手方向のヤング率/幅方向のヤング率は、理由は明らかではないが、0.70〜1.30のが好ましい。このような特性を満足する非磁性支持体には二軸延伸の芳香族ポリアミドベースフィルム、芳香族ポリイミドフィルム等がある。
【0042】
〈下塗層〉
下塗層の厚さは、0.3〜3.0μmの範囲に設定すればよい。この範囲が好ましいのは、0.3μm未満では、磁性層の厚さむら低減効果、耐久性向上効果が小さいためである。3.0μmを越えると耐久性向上効果が飽和に達するだけでなく磁気記録媒体の全厚が厚くなり過ぎてテープ1巻当りの記憶容量が小さくなるためである。
【0043】
下塗層には、導電性改良の目的でカーボンブラック、テープ剛性の制御を目的に酸化鉄を添加することができる。下塗層に、下塗層中の全無機粉体の重量を基準にして、粒径10〜100nmのカーボンブラックを15〜35重量%、平均軸長0.05〜0.20μm、短軸長5〜200nmの非磁性の酸化鉄を35〜83重量%含有させると、ウエット・オン・ウエットで、その上に形成し、遠赤外線乾燥した磁性層の厚さむらが小さくなるので好ましい。なお、非磁性酸化鉄は通常針状であるが、粒状または無定形の非磁性酸化鉄を使用する場合には粒径5〜200nmの酸化鉄が好ましい。
【0044】
下塗層には、カーボンブラックや非磁性の酸化鉄を添加するのが好ましい。下塗層に添加するカーボンブラック(CB)としては、アセチレンブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック等を使用できる。粒径が5nm〜200nmのものが使用されるが、粒径10〜100nmのものが好ましい。この範囲が好ましいのは、カーボンブラックがストラクチャーを持っているため、粒径が10nm以下になるとカーボンブラックの分散が難しく、100nm以上では平滑性が悪くなるためである。カーボンブラックの添加量は、カーボンブラックの粒径によって異なるが、当該下塗層中の全無機粉体の重量を基準にして、15〜35重量%が好ましい。この範囲が好ましいのは、15重量%未満では導電性向上効果が乏しく、35重量%を越えると効果が飽和するためである。粒径15nm〜80nmのカーボンブラックを15〜35重量%使用するのがより好ましく、粒径20nm〜50nmのカーボンブラックを20〜30重量%用いるのがさらに好ましい。このような粒径・量のカーボンブラックを添加することにより電気抵抗が低減され、静電ノイズの発生やテープ走行むらが小さくなると共に、遠赤外線乾燥した磁性層の厚さむらが小さくなる。
【0045】
また、下塗層に添加する非磁性の酸化鉄としては、針状の場合、平均長軸長50〜200nm、短軸長5〜200nmのものが好ましく、粒状または無定形のものでは、粒径5〜200nmが好ましい。なお、針状のものが磁性層の配向がよくなるのでより好ましい。添加量は、35〜83重量%が好ましい。この範囲の粒径(針状の場合は短軸長)が好ましいのは、粒径5nm未満では均一分散が難しく、200nmを越えると下塗層と磁性層の界面の凹凸が増加するためである。この範囲の添加量が好ましいのは、35重量%未満では塗膜強度向上効果が小さく、83重量%を越えると反って塗膜強度が低下するためである。また、前記下塗層と磁性層からなる塗布層のヤング率を検討した結果、塗布層のヤング率にも最適範囲があり、塗布層のヤング率が非磁性支持体の長手方向と幅方向のヤング率の平均値の40〜100%の範囲にすると、テープの耐久性が大きく、且つテープ−ヘッド間のタッチがよくなり、磁気ヘッドのトラックの入り側から出側間の出力のばらつき(フラットネス)が小さくなることを見い出した。50〜100%の範囲がより好ましく、60〜90%の範囲がさらに好ましい。この範囲が好ましいのは40%未満では塗布膜の耐久性が小さくなり、100%を越えるとテープ−ヘッド間のタッチが悪くなるためである。なお、下塗層と磁性層からなる塗布層のヤング率の制御には、カレンダ条件による制御法を用いる。
【0046】
さらに、下塗層のヤング率は、磁性層のヤング率の80〜99%が好ましい。
下塗層のヤング率が磁性層のそれより低い方がよいのは、下塗層が一種のクッションの作用をするためである。
【0047】
〈潤滑剤〉
下塗層と磁性層からなる塗布層に、役割の異なる潤滑剤を使用する。下塗層には全粉体に対して0.5〜4.0重量%の高級脂肪酸を含有させ、0.2〜3.0重量%の高級脂肪酸のエステルを含有させると、ヘッドとの摩擦係数が小さくなるので好ましい。この範囲の高級脂肪酸添加が好ましいのは、0.5重量%未満では、摩擦係数低減効果が小さく、4.0重量%を越えると下塗層が可塑化してしまい強靭性が失われるからである。また、この範囲の高級脂肪酸のエステル添加が好ましいのは、0.5重量%未満では、摩擦係数低減効果が小さく、3.0重量%を越えると磁性層への移入量が多過ぎるため、テープとヘッドが貼り付く等の副作用があるからである。
【0048】
磁性層には強磁性粉末に対して0.5〜3.0重量%の脂肪酸アミドを含有させ、0.2〜3.0重量%の高級脂肪酸のエステルを含有させると、テープ走行時の摩擦係数が小さくなるので好ましい。この範囲の脂肪酸アミドが好ましいのは、0.2重量%未満ではヘッド/磁性層界面での直接接触が起りやすく焼付き防止効果が小さく、3.0重量%を越えるとブリードアウトしてしまいドロップアウトなどの欠陥が発生する。脂肪酸アミドとしてはパルミチン酸、ステアリン酸等のアミドが使用可能である。また、上記範囲の高級脂肪酸のエステル添加が好ましいのは、0.2重量%未満では摩擦係数低減効果が小さく、3.0重量%を越えるとヘッドに貼り付く等の副作用があるためである。なお、磁性層の潤滑剤と下塗層の潤滑剤の相互移動を排除するものではない。
【0049】
〈磁性層〉
磁性層(下塗層の場合も同様)に用いるバインダとしては、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重体、塩化ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、塩化ビニル−水酸基含有アルキルアクリレート共重合体、ニトロセルロースなどのセルロース系樹脂の中から選ばれる少なくとも1種とポリウレタン樹脂とを組み合わせものが挙げられる。中でも、塩化ビニル−水酸基含有アルキルアクリレート共重合体とポリウレタン樹脂を併用するのが好ましい。ポリウレタン樹脂には、ポリエステルポリウレタン、ポリエーテルポリウレタン、ポリエーテルポリエステルポリウレタン、ポリカーボネートポリウレタン、ポリエステルポリカーボネートポリウレタンなどがある。
【0050】
官能基として−COOH、−SO3 M、−OSO3 M、−P=O(OM)3 、−O−P=O(OM)2 [これらの式中、Mは水素原子、アルカリ金属塩基又はアミン塩を示す]、OH、NR' R''、N+ R''' R''''R''''' [これらの式中、R' 、R''、R''' 、R''''、R''''' は水素または炭化水素基を示す]、エポキシ基を有する高分子からなるウレタン樹脂等のバインダが使用される。このようなバインダを使用するのは、上述のように磁性粉等の分散性が向上するためである。2種以上の樹脂を併用する場合には、官能基の極性を一致させるのが好ましく、中でも−SO3 M基どうしの組み合わせが好ましい。
【0051】
これらのバインダは、強磁性粉末100重量部に対して、7〜50重量部、好ましくは10〜35重量部の範囲で用いられる。特に、バインダとして、塩化ビニル系樹脂5〜30重量部と、ポリウレタン樹脂2〜20重量部とを、複合して用いるのが最も好ましい。
【0052】
これらのバインダとともに、バインダ中に含まれる官能基などと結合させて架橋する熱硬化性の架橋剤を併用するのが望ましい。この架橋剤としては、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどや、これらのイソシアネート類とトリメチロールプロパンなどの水酸基を複数個有するものとの反応生成物、上記イソシアネート類の縮合生成物などの各種のポリイソシアネートが好ましい。これらの架橋剤は、バインダ100重量部に対して、通常1〜30重量部の割合で用いられる。より好ましくは5〜20重量部である。しかし、下塗り層の上にウエット・オン・ウエットで磁性層が塗布される場合には下塗り塗料からある程度のポリイソシアネートが拡散供給されるので、ポリイソシアネートを併用しなくても磁性層はある程度架橋される。
【0053】
また、磁性層には従来公知の研磨材を添加することができるが、これらの研磨材としては、α−アルミナ、β−アルミナ、炭化ケイ素、酸化クロム、酸化セリウム、α−酸化鉄、コランダム、人造ダイアモンド、窒化珪素、炭化珪素、チタンカーバイト、酸化チタン、二酸化珪素、窒化ホウ素、など主としてモース硬度6以上のものが単独または組合せで使用されるが、これらの中でもアルミナは高硬度で少量の添加量でヘッドクリーニング効果に優れるため特に好ましい。研磨材の粒径としては、0.01〜0.1μmと薄い磁性層では、通常平均粒径で0.002〜0.15μmとすることが好ましく、粒径0.005〜0.10μmがより好ましい。添加量は強磁性粉末に対して5〜20重量%が好ましい。より好ましくは8〜18重量%である。
【0054】
さらに、本発明の磁性層には導電性向上と表面潤滑性向上を目的に従来公知のカーボンブラック(CB)を添加することができるが、これらのカーボンブラックとしては、アセチレンブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック等を使用できる。粒径が5nm〜200nmのものが使用されるが、粒径10nm〜100nmのものが好ましい。この範囲が好ましいのは、粒径が5nm以下になるとカーボンブラックの分散が難しく、200nm以上では多量のカーボンブラックを添加することが必要になり、何れの場合も表面が粗くなり、出力低下の原因になるためである。添加量は強磁性粉末に対して0.2〜5重量%が好ましい。
より好ましくは0.5〜4重量%である。
【0055】
〈バックコート層〉
磁気記録媒体を構成する非磁性支持体の他方の面(磁性層が形成されている面とは反対側の面)には、走行性の向上等を目的としてバックコート層を設けることができる。バックコート層の厚さは0.2〜0.8μmが好ましい。この範囲が良いのは、0.2μm未満では走行性向上効果が不充分であり、0.8μmを越えるとテープ全厚が厚くなってテープ1巻当たりの記憶容量が小さくなるためである。
カーボンブラック(CB)としては、アセチレンブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック等を使用できる。通常、小粒径カーボンブラックと大粒径カーボンブラックを使用する。小粒径カーボンブラックには、粒径が5nm〜200nmのものを使用できるが、粒径10nm〜100nmのものがより好ましい。この範囲がより好ましいのは、粒径が10nm以下になるとカーボンブラックの分散が難しく、粒径が100nm以上では多量のカーボンブラックを添加することが必要になり、何れの場合も表面が粗くなり、磁性層への裏移り(エンボス)原因になるためである。大粒径カーボンブラックとして、小粒径カーボンブラックの5〜15重量%、粒径300〜400nmの大粒径カーボンブラックを使用すると、表面も粗くならず、走行性向上効果も大きくなる。小粒径カーボンブラックと大粒径カーボンブラック合計の添加量は無機粉体重量を基準にして60〜98重量%が好ましく、70〜95重量%がより好ましい。表面粗さRaは3〜8nmが好ましく、4〜7nmがより好ましい。
【0056】
また、バックコート層には、強度向上を目的に、粒子径が0.1μm〜0.6μmの酸化鉄を添加するのが好ましく、0.2μm〜0.5μmがより好ましい。添加量は無機粉体重量を基準にして2〜40重量%が好ましく、5〜30重量%がより好ましい。
【0057】
バックコート層には、結合剤として、前述した磁性層や下塗層に用いる樹脂と同じものを使用できるが、これらの中でも摩擦係数を低減し走行性を向上させるため、セルロース系樹脂とポリウレタン系樹脂とを複合して併用することが好ましい。結合剤の含有量は、通常、前記カーボンブラックと前記無機非磁性粉末との合計量100重量部に対して40〜150重量部、好ましくは50〜120重量部、より好ましくは60〜110重量部、さらに好ましくは70〜110重量部である。前記範囲が好ましいのは、50重量部未満では、バックコート層の強度が不十分であり、120重量部を越えると摩擦係数が高くなりやすいためである。セルロース系樹脂を30〜70重量部、ポリウレタン系樹脂を20〜50重量部使用することが好ましい。また、さらに結合剤を硬化するために、ポリイソシアネート化合物などの架橋剤を用いることが好ましい。
【0058】
バックコート層には、前述した磁性層や下塗層に用いる架橋剤と同様の架橋剤を使用することができる。架橋剤の量は、結合剤100重量部に対して、通常、10〜50重量部の割合で用いられ、好ましくは10〜35重量部、より好ましくは10〜30重量部である。前記範囲が好ましいのは、10重量部未満ではバックコート層の塗膜強度が弱くなりやすく、35重量部を越えるとSUSに対する動摩擦係数が大きくなるためである。
【0059】
〈その他〉
例えば、上述の磁気記録媒体(磁気テープ)を1リールに巻装し、これをケース本体内に収めて磁気テープカートリッジを作製すれば、1巻当たりの容量が大きく、MR再生ヘッドを使用した場合の再生出力、出力対ノイズ比が高い、コンピュータあるいはハードディスクドライブ等のバックアップ用テープとして好適な磁気テープカートリッジを実現することができる。
【0060】
【実施例】
以下に実施例によって本発明を詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例、比較例の部は重量部を示す。
【0061】
実施例1:
《下塗塗料成分》
(1)
・酸化鉄粉末(平均粒径:0.11×0.02μm) 68部
・アルミナ(α化率:50%、平均粒径:0.07μm) 8部
・カーボンブラック(平均粒径:25nm) 24部
・ステアリン酸 2.0部
・塩化ビニル共重合体 8.8部
(含有−SO3 Na基:0.7×10-4当量/g)
・ポリエステルポリウレタン樹脂 4.4部
(Tg:40℃、含有−SO3 Na基:1×10-4当量/g)
・シクロヘキサノン 25部
・メチルエチルケトン 40部
・トルエン 10部
(2)
・ステアリン酸ブチル 1部
・シクロヘキサノン 70部
・メチルエチルケトン 50部
・トルエン 20部
(3)
・ポリイソシアネート 1.4部
・シクロヘキサノン 10部
・メチルエチルケトン 15部
・トルエン 10部
【0062】
《磁性塗料成分》
(1)混練工程
・強磁性鉄系金属粉(磁性粉)
(Co/Fe:30at%、
Y/(Fe+Co):3at%、
Al/(Fe+Co):5wt%、
σs:145A・m2 /kg(145emu/g)、
Hc:187kA/m(2350Oe)、
pH:9.4、平均軸長:0.08μm)
・塩化ビニル−ヒドロキシプロピルアクリレート共重合体(PVC)
(含有−SO3 Na基:0.7×10-4当量/g)
・ポリエステルポリウレタン樹脂(PU)
(含有−SO3 Na基:1.0×10-4当量/g)
・α−アルミナ(平均粒径:0.07μm)(アルミナ)
・カーボンブラック(CB)
(平均粒径:75nm、DBP吸油量:72cc/100g)
・メチルアシッドホスフェート(MAP)
・テトラヒドロフラン(THF)
・メチルエチルケトン/シクロヘキサノン(MEK/A)
(2)希釈工程
・ポリエステルポリウレタン樹脂(PU)
(含有−SO3 Na基:1.0×10-4当量/g)
・パルミチン酸アミド(PA)
・ステアリン酸n−ブチル(SB)
・メチルエチルケトン/シクロヘキサノン(MEK/A)
(3)配合工程
・ポリイソシアネート(PI)
・メチルエチルケトン/シクロヘキサノン(MEK/A)
【0063】
上記の下塗塗料成分において(1)を回分式ニーダで混練したのち、(2)を加えて攪拌の後サンドミルで滞留時間を60分として分散処理を行い、これに(3)を加え攪拌・濾過した後、下塗層用塗料とした。
【0064】
これとは別に、上記の磁性塗料成分において(1)の混練工程の成分を予め高速混合しておき、その混合粉末を連続式2軸混練機で混練し、さらに(2)の希釈工程の成分を加え連続式2軸混練機で少なくとも2段階以上に分けて希釈を行い、サンドミルで滞留時間を45分として分散し、これに(3)の配合工程の成分を加えて攪拌・濾過後、磁性塗料とした。
【0065】
表1に具体的な配合組成を示した。
【0066】
上記の下塗塗料を、芳香族ポリアミドフイルム(厚さ3.9μm、MD=11GPa、MD/TD=0.70、商品名:ミクトロン、東レ製)からなる非磁性支持体(ベースフィルム)上に、乾燥、カレンダ後の厚さが1.1μmとなるように塗布し、その上にさらに上記の磁性塗料を磁場配向処理、乾燥、カレンダー処理後の磁性層の厚さが0.08μmとなるようにウエット・オン・ウエットで塗布し、磁場配向処理後、ドライヤおよび遠赤外線を用いて乾燥することにより、非磁性支持体の一方の面に下塗層および磁性層をこの順に形成してなる磁気シートを得た。なお、磁場配向処理は、ドライヤ前にN−N対抗磁石(5kG=0.5T)を設置し、ドライヤ内で塗膜の指蝕乾燥位置の手前側75cmからN−N対抗磁石(5kG=0.5T)を2基50cm間隔で設置して行った。塗布速度は100m/分とした。
【0067】
《バックコート層用塗料成分》
カーボンブラック(平均粒径:25nm) 80部
カーボンブラック(平均粒径:370nm) 10部
酸化鉄(平均粒径:0.4μm) 10部
ニトロセルロース 45部
ポリウレタン樹脂(−SO3 Na基含有) 30部
シクロヘキサノン 260部
トルエン 260部
メチルエチルケトン 525部
【0068】
上記バックコート層用塗料成分をサンドミルで滞留時間45分として分散した後、ポリイソシアネート15部を加えてバックコート層用塗料を調整し濾過後、上記で作製した磁気シートの磁性層が形成されている面とは反対側の面に、乾燥、カレンダ後の厚みが0.5μmとなるように塗布して乾燥することにより、磁気シートを構成している非磁性支持体の他方の面にバックコート層を形成した。
【0069】
このようにして得られた磁気シートを金属ロールからなる7段カレンダで、温度100℃、線圧200kg/cmの条件で鏡面化処理し、磁気シートをコアに巻いた状態で70℃で72時間エージングしたのち、1/2インチ幅に裁断し、これを200m/分で走行させながら磁性層表面をラッピングテープ研磨、ブレード研磨そして表面拭き取りの後処理を行い、磁気テープを作製した。この時、ラッピングテープにはK10000、ブレードには超硬刃、表面拭き取りには東レ製トレシー(商品名)を用い、走行テンション30g(0.294N)で処理を行った。上記のようにして得られた磁気テープを、カートリッジに組み込み、コンピュータ用テープを作製した。
【0070】
実施例2〜
磁性塗料製造時の各工程における組成を表1の条件に変更したことを除き、実施例1と同様にして実施例2〜のコンピュータ用テープを作製した。
【0071】
比較例1〜
磁性塗料製造時の各工程における組成を表1の条件に変更したことを除き、実施例1と同様にして比較例1〜のコンピュータ用テープを作製した。
【0072】
上記のようにして得た各コンピュータ用テープ(以下、単に「テープ」ともいう)について、以下のようにして評価を行った。
【0073】
〈磁性層の表面粗さ〉
磁性層の表面粗さ(中心線平均表面粗さRa)は、光干渉三次元表面粗さ計を用いて測定した。
【0074】
〈再生出力と出力対ノイズ〉
再生出力と出力対ノイズ(S/N)は、薄手テープ用に改造したLTOドライブを用いて記録(記録波長0.37μm)・再生することによって求めた。再生出力と出力対ノイズは、比較例1のテープを基準とし、これとの相対値(dB)で表した。
【0075】
〈分解能〉
上記LTO改造ドライブを用いて記録波長0.37μmでの再生出力をHF出力とし、記録波長1.48μmでの再生出力をLF出力とし、これらの比(HF出力/LF出力)を分解能とした。測定値は、比較例1のテープを基準とし、これらの相対値(%)で表した。
【0076】
表1に、以上の結果と、各実施例および比較例で採用した条件をまとめて示す。なお、表1中に示した含率は下式で定義される値である。
含率(%)=〔磁性粉重量/(磁性粉重量+全バインダ樹脂重量)〕×100
【0077】
【表1】
Figure 0004554875
【0078】
表1を見ると明らかなように、本発明の実施例1〜に係るコンピュータ用テープ(磁気記録媒体)は、比較例1〜に係るコンピュータ用テープに比べて、電磁変換特性に優れている。特に再生ヘッドとしてMRヘッドを使用した場合の再生出力や、出力対ノイズ(S/N)比が高いこともわかる。
【0079】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、高い再生出力およびS/N等を有する電磁変換特性に優れた磁気記録媒体が得られる。これにより、例えば100GB以上の記憶容量に対応できるコンピュータ等用のバックアップテープを実現することができる。

Claims (3)

  1. 非磁性支持体の一方の面に、無機粉体を含む下塗塗料を塗布することにより形成される下塗層と、この下塗層の上に、磁性粉およびバインダ樹脂を含む磁性塗料を塗布することにより形成される磁性層とを有し、前記磁性粉が、Coおよび希土類元素を含有した平均軸長が90nm以下の強磁性合金粉からなり、この強磁性合金粉を含む磁性層の厚さが0.15μm以下である、磁気テープを製造する方法であって、
    前記磁性塗料として、連続式2軸混練機により固形分濃度78〜83重量%、磁性粉に対するバインダ樹脂の割合が19〜25重量%で混練される工程を経て製造される磁性塗料を用いることを特徴とする磁気テープの製造方法。
  2. 前記磁性塗料は、前記連続式2軸混練機により混練される工程を経た後、さらにバインダ樹脂および溶媒を加えて前記連続式2軸混練機で少なくとも2段階以上に分けて希釈される工程を経て製造される、請求項1記載の磁気テープの製造方法。
  3. 前記磁性塗料は、前記連続式2軸混練機により混練される前に、予め高速混合しておかれる、請求項2記載の磁気テープの製造方法。
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