JP2004028557A - 薄型シート状ヒートパイプ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】箔状のシートの周辺部を対向配置して接合して形成された密閉されたコンテナと、コンテナ内に可動状態で収容されている、その内部に毛細管力を発揮し、かつ、流路を備えたスペーサを含む少なくとも1枚のスペーサと、コンテナ内に封入された作動流体とを備えた薄型シート状ヒートパイプ。上述したスペーサが、長手方向に沿って形成された流路を備えたシートからなる第1スペーサと、第1スペーサの流路と交叉する方向に沿って形成された流路を備えたシートからなる第2スペーサとからなっており、第1スペーサと第2スペーサが可動状態で配置されている。
【選択図】図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体等の高発熱部品を効率良く冷却する、特に極めて薄い筐体内に搭載された半導体等を効率良く冷却するためのシート型ヒートパイプに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、エレクトロニクス機器は、マイクロプロセッサ等の高出力、高集積の部品を内蔵している。マイクロプロセッサは、集積度が極めて高くなり、高速で情報の演算、制御等の処理を行うので、多量の熱を放出する。高出力かつ高集積の部品であるチップ等を冷却するために、各種の冷却システムが提案されてきた。その代表的な冷却システムの1つとして、ヒートパイプがある。
ヒートパイプには、その形状において、丸パイプ形状のヒートパイプ、平面形状のヒートパイプがある。CPU等の電子機器の被冷却部品の冷却用としては、被冷却部品への取り付けが容易であること、広い接触面が得られることから、平面型ヒートパイプが好んで用いられる。
【0003】
更に、ヒートパイプは、被冷却部品の取り付け位置において、被冷却部品が上部に位置するトップヒートモードと被冷却部品が下部に位置するボトムヒートモードに区分される。ボトムヒートモードの場合、重力により液が還流するが、トップヒートモードの場合、重力に逆らって液を還流させなければならず、通常はウイックによる毛管現象を利用する。
ヒートパイプの内部には作動流体の流路となる空間が設けられ、その空間に収容された作動流体が、蒸発、凝縮等の相変化や移動をすることによって、熱の移動が行われる。
【0004】
密封された空洞部を備え、その空洞部に収容された作動流体の相変態と移動により熱の移動が行われるヒートパイプの詳細は次の通りである。
ヒートパイプの吸熱側において、ヒートパイプを構成する容器の材質中を熱伝導して伝わってきた被冷却部品が発する熱を潜熱として吸収して、作動流体が蒸発し、その蒸気がヒートパイプの放熱側に移動する。放熱側においては、作動流体の蒸気は凝縮して潜熱を放出するとともに、再び液相状態に戻る。このように液相状態に戻った作動流体は再び吸熱側に移動(還流)する。このような作動流体の相変態や移動によって熱の移動が行われる。
重力式のヒートパイプにおいては、相変態によって液相状態になった作動流体は、重力によって、吸熱側に移動(還流)する。
【0005】
近年、上述したチップ等を搭載する筐体が次第に薄型化し、それに対応してヒートパイプも次第に薄型化してきている。
特開2001−165584号に、シート状ヒートパイプが開示されている(以下、「先行技術」という)。先行技術においては、コンテナに接合された複数個の柱状のスペーサが用いられている。
【0006】
【特許文献】
特開2001−165584号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、先行技術のシート状ヒートパイプには下記の問題点がある。
即ち、柱状スペーサの間隔が不均一で、性能にバラツキが生じる可能性があり、信頼性に欠ける。更に、柱状スペーサが接着剤等によってコンテナに接合されているので、コンテナ内部で非凝縮性ガスを発生させ、長期信頼性を損ねるおそれがある。更に、コンテナ本体を曲げると、接合した柱状スペーサがコンテナから剥がれ、性能が劣化するおそれがある。更に、製品ごとの個体差が大きくなる可能性がある。更に、部材数および工程数が多くなるという問題点がある。
更に、薄型化のためにコンテナを形成する箔を薄くすると、箔の持つ強度が著しく低下するので、大気圧に押されて流路に沿って凹みが生じて、蒸気流路が狭くなり、液だまりが生じて流路を閉塞するおそれがある。更に、コンテナ表面に凹凸が生じて、被冷却部品との接触面積が減少するという問題点がある。
【0008】
従って、この発明の目的は、極めて薄型の筐体内に搭載された、CPU等の発熱電子部品を効率的に冷却するために使用することができる、薄型シート状ヒートパイプを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上述した従来の問題点を解決すべく鋭意研究を重ねた。その結果、2枚の箔状のシートの周辺部を接合して形成された密閉されたコンテナの中に、その内部に毛細管力を発揮し、かつ、流路を備えたスペーサを可動状態で収容することによって、可撓性を備え、コンテナを円滑に曲げることができ、均一な蒸気流路を確保しながら、薄型化したヒートパイプを提供することができることが判明した。
【0010】
この発明は、上記研究結果に基づいてなされたものであって、この発明の薄型シート状ヒートパイプの第1の態様は、2枚の箔状のシートの周辺部を接合して形成された密閉されたコンテナと、前記コンテナ内に可動状態で収容されている、その内部に毛細管力を発揮し、かつ、流路を備えた少なくとも1枚のスペーサと、前記コンテナ内に封入された作動流体とを備えた薄型シート状ヒートパイプである。
【0011】
この発明の薄型シート状ヒートパイプの第2の態様は、前記スペーサは、シートからなっており、前記流路が前記シートの長手方向に沿って形成されている、薄型シート状ヒートパイプである。
【0012】
この発明の薄型シート状ヒートパイプの第3の態様は、前記スペーサが、長手方向に沿って形成された前記流路を備えたシートからなる第1スペーサと、前記第1スペーサの流路と交叉する方向に沿って形成された前記流路を備えたシートからなる第2スペーサとからなっており、前記第1スペーサと前記第2スペーサが可動状態で配置されている、薄型シート状ヒートパイプである。
【0013】
この発明の薄型シート状ヒートパイプの第4の態様は、前記スペーサが、長手方向に沿って複数本並列して形成された前記流路を備えたシートからなる第1スペーサと、前記流路を備えていないシートからなる第3スペーサとからなっており、前記第1スペーサを挟んで2枚の第3スペーサが可動状態で配置されている、薄型シート状ヒートパイプである。
【0014】
この発明の薄型シート状ヒートパイプの第5の態様は、2枚の前記第3スペーサの厚さが互いに異なっている、薄型シート状ヒートパイプである。
【0015】
この発明の薄型シート状ヒートパイプの第6の態様は、前記第1スペーサ、前記第2スペーサおよび前記第3スペーサのうち、少なくとも2種類が連続して一体的に形成され、種類の異なるスペーサ間にそれぞれ複数個の孔が形成され、前記複数個の孔が形成された部分において折り曲げて、前記第1スペーサ、前記第2スペーサまたは前記第3スペーサが重なるように配置されている、薄型シート状ヒートパイプである。
【0016】
この発明の薄型シート状ヒートパイプの第7の態様は、前記第2スペーサがメッシュからなっている、薄型シート状ヒートパイプである。
【0017】
この発明の薄型シート状ヒートパイプの第8の態様は、前記スペーサが、長手方向に沿って複数本並列して形成された前記流路を備えたシートからなる第1スペーサと、前記流路の端部に対応する位置に連通路をそれぞれ備え、中央部の所定位置に形成された複数個の孔部を備えたシートからなる第4スペーサとからなっており、前記第1スペーサを挟んで2枚の第4スペーサが配置され、前記コンテナを形成する前記2枚の箔状のシートの前記複数個の孔部に対応する位置を更にスポット溶接によって接合し、前記スペーサが可動状態で配置されている、薄型シート状ヒートパイプである。
【0018】
この発明の薄型シート状ヒートパイプの第9の態様は、前記第1スペーサがメッシュ状シートによって形成されている、薄型シート状ヒートパイプである。
【0019】
この発明の薄型シート状ヒートパイプの第10の態様は、前記第1スペーサが、長手方向に沿って複数本並列して形成された前記流路を備えたシートにメッシュを巻き付けて形成されている、薄型シート状ヒートパイプである。
【0020】
この発明の薄型シート状ヒートパイプの第11の態様は、前記第1スペーサが、畳織メッシュをくりぬいて長手方向に沿って複数本並列して形成された前記流路を備えている、薄型シート状ヒートパイプである。
【0021】
この発明の薄型シート状ヒートパイプの第12の態様は、前記コンテナが曲線部を備えた所定形状のコンテナからなっており、前記スペーサがコンテナに対応した形状を備えている、薄型シート状ヒートパイプである。
【0022】
この発明の薄型シート状ヒートパイプの第13の態様は、第1スペーサ、第2スペーサ、第3スペーサ、または、第4スペーサの表面が微細に粗化されている、薄型シート状ヒートパイプである。
【0023】
この発明の薄型シート状ヒートパイプの他の態様は、箔状のシートの周辺部を対向配置して接合して形成された密閉されたコンテナと、前記コンテナ内に可動状態で収容されている、その内部に毛管力を発揮し、かつ、流路を備えたシートからなる少なくとも1枚のスペーサと、前記コンテナ内に可動状態で収容されている、流路を備えていないシートからなる少なくとも1枚のスペーサと、前記コンテナ内に封入された作動流体とを備えた薄型シート状ヒートパイプである。
【0024】
この発明の薄型シート状ヒートパイプのその他の態様は、前記流路を備えたスペーサが少なくとも2枚以上積層され、それぞれのスペーサに備えられた流路の形状が同一である、薄型シート状ヒートパイプである。
【0025】
この発明の薄型シート状ヒートパイプのその他の態様は、前記流路を備えたスペーサが少なくとも2枚以上積層され、それぞれのスペーサに備えられた流路の形状が異なっている、薄型シート状ヒートパイプである。
【0026】
この発明の薄型シート状ヒートパイプのその他の態様は、前記流路を備えたスペーサが少なくとも2枚以上積層され、それぞれのスペーサ同士が、ワイヤによる縫合または締結具の使用によって固定されている、薄型シート状ヒートパイプである。
【0027】
この発明の薄型シート状ヒートパイプのその他の態様は、前記流路を備えていないスペーサが、箔または多孔質シートのいずれか一方または両方を積層して配置されている、薄型シート状ヒートパイプである。
【0028】
この発明の薄型シート状ヒートパイプのその他の態様は、前記流路を備えていないスペーサが、前記流路を備えているスペーサの一方の面に並列した状態、または、両面を挟んだ状態で配置され、または、前記流路を備えているスペーサを螺旋状に取り囲んだ状態で配置されている、薄型シート状ヒートパイプである。
【0029】
この発明の薄型シート状ヒートパイプのその他の態様は、前記流路を備えたスペーサが、条状の多孔質部材同士を圧接またはスポット溶接等によって互いを固定することによって形成されている、その他のシート状ヒートパイプである。
【0030】
この発明の薄型シート状ヒートパイプのその他の態様は、前記条状の多孔質部材が、メッシュを少なくとも1回折り曲げて形成されている、薄型シート状ヒートパイプである。
【0031】
この発明の薄型シート状ヒートパイプのその他の態様は、前記流路の断面が、1.5mm以上3mm以下の幅、および、0.3mm以上1.0mm以下の高さを有している、薄型シート状ヒートパイプである。
【0032】
この発明の薄型シート状ヒートパイプのその他の態様は、前記流路を備えていないスペーサが、0.05mm以上0.15mm以下の厚さを有している、薄型シート状ヒートパイプである。
【0033】
【発明の実施の形態】
本発明の薄型シート状ヒートパイプの態様について詳細に説明する。
この発明の薄型シート状ヒートパイプは、2枚の箔状のシートの周辺部を接合して形成された密閉されたコンテナと、コンテナ内に可動状態で収容されている、その内部に毛細管力を発揮し、かつ、流路を備えた少なくとも1枚のスペーサと、コンテナ内に封入された作動流体とを備えた薄型シート状ヒートパイプである。
上述した少なくとも1枚のスペーサが、長手方向に沿って形成された流路を備えたシートからなる第1スペーサと、第1スペーサの流路と交叉する方向に沿って形成された流路を備えたシートからなる第2スペーサとからなっており、第1スペーサと2枚の第2スペーサが可動状態で配置されている。流路は、任意の幅、高さおよび長さを有し、任意の方向に、任意の間隔で配置され、更に、並列、蛇行、放射状などの形状で配置されており、そして、形成される流路の数は、1本または複数本であってもよい。
【0034】
この発明の薄型シート状ヒートパイプにおいて、流路を備えていないスペーサを更に備えていてもよい。
スペーサが、長手方向に沿って形成された流路を備えたシートからなる第1スペーサ、第1スペーサの流路と交叉する方向に沿って形成された流路を備えたシートからなる第2スペーサ、その他任意形状の流路を備えたスペーサ、流路を備えていないシートからなる第3スペーサとからなっており、上述した流路を備えたスペーサのうち、少なくとも1種類以上のスペーサを挟んで2枚の第3スペーサが可動状態で配置されていてもよい。また、第1スペーサ、第2スペーサ、その他任意形状の流路を備えたスペーサ、および第3スペーサは、それぞれ任意の枚数、任意の順序で積層させてもよい。
【0035】
更に、第1スペーサ、第2スペーサおよび第3スペーサのうち、少なくとも2種類が連続して一体的に形成され、種類の異なるスペーサの間にそれぞれ複数個の孔が形成され、複数個の孔が形成された部分において折り曲げて、第1スペーサ、第2スペーサ、または、第3スペーサが重なるように配置されていてもよい。
【0036】
上述したように、可撓性を得るため、屈曲可能なほど十分に薄い金属箔等によってコンテナを形成する。金属箔同士をシーム溶接またはロウ接等の方法で接合したコンテナは、長期信頼性が高い。一般的に樹脂は、透過性、ガス発生等の点に関して、信頼性が低いと信じられてきたが、ナノコンポジットレベルでの樹脂/クレー、または、樹脂/金属等の複合材料は、従来の樹脂と比べて特性が飛躍的に向上する例があり、これら複合材料を利用することもできる。
【0037】
薄く柔らかいコンテナを使用するので、そのままの状態では大気圧によって蒸気流路が閉塞されるので、内部にスペーサが挿入される。スペーサはコンテナと同等あるいはそれ以上の厚さの金属箔を用い、これに切削加工、パンチングプレス、エッチングなどの適宜の方法によって、長条状の孔を形成し、このように孔の形成された金属箔をコンテナ内に固定しない状態で収容する。その結果、コンテナを曲げたときに、コンテナとスペーサとの間にずれが生じて、挫屈を生じることなく円滑に曲げることができる。
【0038】
スペーサとして、シート状の編組、シート状の焼結金属、不織布など、毛管力を有するシートを用いてもよい。また、上述の毛管力を有するシートを複数の所定の形状に分割した後、所定の間隔で並列、蛇行、放射状、あるいは交叉など所定の状態で配置し、これらの重なる部分の一部を圧接、スポット溶接、ワイヤによる縫合、ホチキスなどの締結具の利用など、適宜な方法で互いを固定することによって、流路を備えたシート状部材を形成してもよい。また、例えばメッシュを丸めたもの、あるいは折り曲げたものを組み合わせてシート状部材を形成してもよい。また、シート状メッシュを積層させ、上述のような方法で固定した後、パンチングプレスなどで一括して連通する孔を形成してもよい。
【0039】
この発明の薄型シート状ヒートパイプにおいては、細い蒸気流路を多数設けるよりも、太い蒸気流路を少数設けた方が蒸気の流動抵抗が少ないので、スリットの断面積が同一でも熱輸送量が一般的に大きくなる。従来のワイヤ等を等間隔に配置してスペーサとして用いる場合には、間隔が狂い易く十分な蒸気流路を均一に形成することができないという欠点があるが、金属箔にスリットを形成したスペーサを用いることによって、蒸気流路の間隔を一定に保つことができる。更に、縦方向にスリットを形成したスペーサと、横方向にスリットを形成したスペーサを重ねることによって長条状孔どうしを空間的に結合して、平面的均熱化を促進することができる。このように、スリットを形成した箔をコンテナ内に挿入することによって、部材数を少なくし、曲げても間隔が狂いにくく、均一な流路を容易に確保することができる。金属以外の物質がコンテナ内に封入されないので、非凝縮性ガスが発生することがない。
【0040】
スペーサとコンテナの間に、カバーとして、スリットの形成されていない比較的硬い箔を挟んで配置してもよい。このように配置すると、コンテナを形成する箔が大気圧によって押されてスペーサのスリット内に入り込むことを防止することができる。上述したスペーサとコンテナの間に配置する箔も、コンテナには固定されないので、コンテナ内部を滑り挫屈せずにスムーズにコンテナを曲げることが可能になる。更に、伝熱接触面の平面度がよくなるので、伝熱の効率が向上する。なお、スペーサとコンテナの間に配置される箔の片方は、比較的硬く厚い箔を用い、他方の箔は、比較的薄く柔らかい箔を用いてもよい。この態様によると、可撓性コンテナであって、少なくとも片方の箔の蒸気流路への追従を防止して平面度を向上することも可能である。
【0041】
更に、スリットを形成した箔を芯としてこれにメッシュを巻き付けてウイック一体型スペーサとしてもよい。この態様においては、作動液還流のための毛管力を得ると共にスペーサの剛性が増し形を保持しやすくなる。また、蒸気流路の断面をメッシュ分だけ高くとることができるので、蒸気流路の高さを確保することができる。他に、例えば箔に銅粉またはメッシュを焼結させたもの、スポット溶接やシーム溶接等によって箔とメッシュを部分的に接合したもの、または、畳織メッシュのようなある程度の厚さを持った密なメッシュなどに、スリットを形成してスペーサとしてもよい。これらのスペーサを用いることによって、均一な蒸気流路を確保しながら薄型化および部材数の削減が可能である。
【0042】
上述したカバーとして用いる、スペーサとコンテナの間に配置される箔の表面を粗化させてもよい。例えば、カバー表面を電解銅箔の粗面のように均一で微細な表面状態にすることによって作動液が漏れ広がり易くなるので、凝縮部において液だまりによる蒸気流路の閉塞が起こりにくくなる。更に、カバーとウイックとの間の作動液の受け渡しも良好になるので、液の還流がスムーズになる。カバーの粗化は、物理的な方法、例えば、サンドペーパーやサンドブラスト、ウエットブラスト等の方法、酸洗、高温酸化等の方法によって行ってもよい。また、カバーとして用いる耐圧用の比較的硬い箔と、濡れ性を向上させるためのシート、例えばメッシュや粉末金属焼結シートなどを積層させてもよい。
【0043】
1枚の箔を複数回折り返すことによってスペーサを形成してもよい。これにより、例えば、平面均熱のために1枚の部材を折り返して、縦方向と横方向のスリットを備えたスペーサを重ねる等によって、部材数を削減することができる。脱気加工工程において、折り返し部に非凝縮性ガスが溜まる可能性があるので、ガスが抜けやすいように折り返し部に孔を形成してもよい。カバーとして用いる箔の所定の位置に切れ込みを入れたり、分割して並べたりすることによって関節を設け、屈曲させやすくしてもよい。また、カバーとして用いる箔を、部分的または全域に渡って扁平螺旋状にし、流路を備えたスペーサに巻きつけることで、屈曲させやすくしてもよい。
【0044】
使用時、または、輸送時等において、温度が100℃以下であればスペーサによって形状は保たれるが、100℃を超える条件下では蒸気圧により膨張して大きな変形が起こる可能性がある。そこで部分的にスポット溶接等の適宜の方法によってコンテナを形成する上下の箔を接合させてもよい。コンテナとスペーサを一体にして接合させてしまうと、接合部が厚くなり曲率半径の差が大きくなるので、可撓性が損なわれる。スペーサに大きめの孔を形成し、その孔の内側で接合部がスペーサに触れないようにしてコンテナを形成する箔どうしを接合することによって、接合部の曲率半径の差が小さくなり、スペーサとコンテナとがずれることができるので、コンテナの可撓性が保たれる。
【0045】
実施例として、コンテナを形成する箔として厚さ30μm〜50μmの銅箔、スペーサとして厚さ300μm〜600μmであって、幅2mm〜3mmの流路を備えたシート状金属編組部材、および厚さ50μm〜100μmで表面をショットブラストで粗化した流路を備えていない銅箔を用いる。流路を備えたスペーサを流路を備えていないスペーサで挟んだ状態でコンテナに挿入後、一部封入口を残して周囲をシーム溶接、超音波溶接、ロウ接等の方法によって接合し、封入口から水を注入した後、真空脱気、加熱脱気など適宜の方法で脱気した後、封入口を封じ切りヒートパイプを作成した結果、良好な伝熱性能を得た。
【0046】
流路を備えたスペーサの厚さが、300μm以下になると形成された流路の幅に関係なく蒸気相の圧力損失が著しく大きくなり、熱輸送量が著しく減少することが判明したため、流路を備えたスペーサの厚さは、実用上約300μm以上の厚さであることが望ましい。また、幅2mmの蒸気流路が大気圧で押し潰されないようにするためには、例えば耐圧用のカバーとしてC1020−H材を使用する場合、約50μm以上の厚さであることが望ましい。
【0047】
上述した流路の断面は、1.5mm以上3mm以下の幅、および、0.3mm以上1.0mm以下の高さを有していることが望ましい。更に、流路を備えていないスペーサは、0.05mm以上0.15mm以下の厚さを有していることが望ましい。
【0048】
図1は、この発明の薄型シート状ヒートパイプの1つの態様を説明する図である。図1に示すように、この発明の薄型シート状ヒートパイプは、2枚の箔状のシート1、2の周辺部4を接合して形成された密閉されたコンテナと、コンテナ内に可動状態で収容されている、その内部に毛細管力を発揮する流路5を備えた1枚のスペーサ3と、コンテナ内に封入された作動流体とを備えている。上述したスペーサ3は、1枚のシート状部材からなっており、流路5がシート状部材の長手方向に沿って複数本並列して形成されている。
【0049】
図12に示すように、流路を備えたスペーサ3の流路が彎曲した(即ち、蛇行した)形状の流路5を備えていてもよい。更に、図13に示すように、流路を備えたスペーサ3の流路が中央部から端部に向かって放射状に延びた複数の流路5であってもよい。
毛管力を更に増加させるために、流路を有するスペーサ3そのものにグルーブを形成したり、その表面を粗化させたりしてもよい。また、スペーサ3を、毛管力を有するシート、例えば、メッシュ、焼結金属シート等によって形成してもよい。
【0050】
図2は、この発明の薄型シート状ヒートパイプの他の態様を説明する図である。図2に示すように、この態様の薄型シート状ヒートパイプは、2枚の箔状のシート1、2の周辺部4を接合して形成された密閉されたコンテナと、コンテナ内に可動状態で収容されている、その内部に毛細管力を発揮する流路を備えた3枚のスペーサと、コンテナ内に封入された作動流体とを備えている。上述したスペーサが、長手方向に沿って複数本並列して形成された流路5を備えたシートからなる第1スペーサ3と、第1スペーサの流路と交叉する方向に沿って複数本並列して形成された流路7、9を備えたシートからなる第2スペーサ6、8とからなっており、第1スペーサ3を挟んで2枚の第2スペーサ6、8が可動状態で配置されている。
【0051】
上述したように、この態様のスペーサは、縦方向にスリット(流路)が形成されたスペーサと、横方向にスリット(流路)が形成されたスペーサとを組み合わせたスペーサであり、コンテナ内において各スペーサが可動状態にある。このように組み合わせることによって、縦方向のスリットと横方向のスリットが空間的につながるので、平面的な均熱を促進することができる。更に、スリットの形状を適宜変形させることによって多様な形状の薄型シート状ヒートパイプが得られる。
【0052】
図3は、この発明の薄型シート状ヒートパイプの他の態様を説明する図である。図3に示すように、この態様の薄型シート状ヒートパイプは、2枚の箔状のシート1、2の周辺部4を接合して形成された密閉されたコンテナと、コンテナ内に可動状態で収容されている、その内部に毛細管力を発揮する流路を備えた1枚のスペーサと、流路を有しない2枚のスペーサと、コンテナ内に封入された作動流体とを備えている。上述したスペーサが、長手方向に沿って複数本並列して形成された流路5を備えたシートからなる第1スペーサ3と、流路を備えていないシートからなる第3スペーサ10、11とからなっており、第1スペーサ3を挟んで2枚の第3スペーサ10、11が可動状態で配置されている。
【0053】
上述したように、この態様のスペーサは、スリット(流路)が形成されたスペーサとスリット(流路)が形成されていないスペーサ(カバーともいう)とを組合わせたスペーサである。コンテナを形成する箔は、可撓性を持たせるためには薄く柔軟であることが必要であるが、スリット(流路)の幅を広く形成すると、コンテナを形成する箔が負圧変形を起こしてスリット内部に押し込まれるおそれがある。そこでカバーとしてスリット(流路)の形成されていない比較的硬い箔をスペーサとコンテナの間に挟むことによって、コンテナを形成する箔が間隙に入り込むことを抑制して、十分な蒸気流路を確保すると共に、接触面の平面度を上げて、熱伝達の効率を向上させることができる。カバーもコンテナおよび流路を有するスペーサに対して可動する状態で配置することによって、コンテナおよびスペーサに対してずれることができるので、挫屈せずに円滑に曲げることができる。
【0054】
図4は、この発明の薄型シート状ヒートパイプの他の態様を説明する図である。図4に示すように、この態様の薄型シート状ヒートパイプは、2枚の箔状のシート1、2の周辺部4を接合して形成された密閉されたコンテナと、コンテナ内に可動状態で収容されている、その内部に毛細管力を発揮する流路を備えた3つの部分を折り曲げて形成される1枚のスペーサと、コンテナ内に封入された作動流体とを備えている。
上述したスペーサが、上述した第2スペーサ、第1スペーサ、第2スペーサの順で一体的に形成されており、第2スペーサと第1スペーサとの間、および、第1スペーサと第2スペーサとの間にそれぞれ複数個の孔が形成され、複数個の孔が形成された部分において折り曲げて、第1スペーサを挟んで2枚の第2スペーサが配置されている。このように形成されたスペーサは、コンテナ内で可動状態に配置される。
【0055】
上述したように、この態様のスペーサは、縦スリット(流路)を有する部分および横スリット(流路)を有する部分がつながって一体的に形成されている。3つの部分を折り重ねることによって、図2に示した態様と同様な効果を得ながら、部材数を少なくすることができる。スペーサの折目の部分には非凝縮性ガス等が溜まる可能性があるので、予め複数個の孔を形成しておくことによって脱気が容易になる。
【0056】
図5は、この発明の薄型シート状ヒートパイプの他の態様を説明する図である。図5に示すように、この態様の薄型シート状ヒートパイプは、2枚の箔状のシート1、2の周辺部4を接合して形成された密閉されたコンテナと、コンテナ内に可動状態で収容されている、その内部に毛細管力を発揮する流路を備えた1枚のスペーサと、メッシュや焼結金属シートなど、毛管力を有する2枚のシート状スペーサと、コンテナ内に封入された作動流体とを備えている。
【0057】
上述したスペーサが、長手方向に沿って複数本並列して形成された流路5を備えたシートからなる第1スペーサ3と毛管力を有するシートからなる2枚のスペーサ13、14とからなっており、第1スペーサ3を挟んで2枚の毛管力を有するシートからなるスペーサ13、14が可動状態で配置されている。
【0058】
上述したように、この態様のスペーサは、長手方向に沿って流路5が形成されたスペーサ3の外側に2枚の毛管力を有するシート13、14を配置している。これによって、スペーサの毛管力を増加させることができる。1枚のメッシュで複数のスペーサ全体を包み込むようにすれば、スペーサどうしのばらつきを抑えることができる。また、毛管力を有するシートの外側に、カバーとして比較的硬い箔を更に積層させてもよい。
【0059】
図6は、この発明の薄型シート状ヒートパイプの他の態様を説明する図である。図6に示すように、この態様の薄型シート状ヒートパイプは、2枚の箔状のシート1、2の周辺部4を接合し、所定の位置にスポット溶接を施して形成された密閉されたコンテナと、コンテナ内に可動状態で収容されている、その内部に毛細管力を発揮する流路を備えた1枚のスペーサと、端部に連接用の流路およびスポット溶接に対応する位置に孔部が設けられた2枚のスペーサと、コンテナ内に封入された作動流体とを備えている。
【0060】
上述したスペーサが、長手方向に沿って複数本並列して形成された流路5を備えたシートからなる第1スペーサ3と、流路5の端部に対応する位置に連通路19、21をそれぞれ備え、中央部の所定位置に形成された複数個の孔部18、20を備えたシートからなる2枚の第4スペーサ15、16とからなっており、第1スペーサ3を挟んで2枚の第4スペーサ15、16が配置され、コンテナを形成する2枚の箔状のシート1、2における、複数個の孔部18、20に対応する位置を更にスポット溶接によって接合し、スペーサが可動状態で配置されている。
【0061】
上述したように、コンテナを形成する箔のいくつかの点をスポット溶接によって接合した態様である。スポット溶接によって固定されるのはコンテナを形成する箔どうしのみであって、内部に配置されるスペーサは、孔部によってスポット溶接を回避して、可動状態にある。この態様のヒートパイプでは、可撓性を損なうことなく、所望の耐圧強度を得ることができる。
【0062】
図7は、この発明の薄型シート状ヒートパイプの他の態様を説明する図である。図7に示すように、この態様の薄型シート状ヒートパイプは、2枚の箔状のシート1、2の周辺部4を接合して形成された密閉されたコンテナと、コンテナ内に可動状態で収容されている、蒸気流路を備えたシートにメッシュを巻き付けて形成された1枚のスペーサと、流路を有しない2枚のスペーサと、コンテナ内に封入された作動流体とを備えている。
上述したスペーサが、長手方向に沿って複数本並列して形成された流路25を備えたシートにメッシュを巻き付けて形成されている第1スペーサ23と、流路を備えていないシートからなる第3スペーサ26、27とからなっており、第1スペーサ23を挟んで2枚の第3スペーサ26、27が可動状態で配置されている。
【0063】
上述したように、この態様のスペーサは、メッシュとスペーサとを重ねてスポット溶接等によって部分的に接合するか、または、メッシュをスペーサに巻き付けることによって形成されたメッシュ一体型スペーサである。このような形状のスペーサを用いることによって、超薄型形状でありながら、蒸気流路を確保しつつ大きな毛細管力を得ることができる。また、単にメッシュを挿入しただけでは、メッシュどうしの間隔にバラツキが生じて、流路が閉塞されるおそれがあるが、箔によるスペーサとメッシュをスペーサに巻きつけたスペーサとを組合わせることによって、メッシュどうしの間隔を一定に保つことができる。
【0064】
また、単層のメッシュでは強度が不足して歪みが生じやすいが、例えば、所定の幅に丸めたメッシュを適宜配置し、重なった部分を圧接等によって固定することによってメッシュの強度を増し、歪みを生じにくくすることも可能である。また、重ねたメッシュをワイヤで縫合したり締結具を使用することで、メッシュの目を潰すことなくメッシュ同士がずれないように固定することも可能である。
【0065】
図16は、この発明の薄型シート状ヒートパイプの他の態様を示す図である。この態様は、図7に示す態様の薄型シート状ヒートパイプにおいて、流路を備えていないシートからなる第3スペーサ26、27に、更に所定の切り込み61を入れたものである。このように切り込みを入れることによって、曲げを吸収することができ、薄型シート状ヒートパイプを曲げ易くする。(図示しないが)状況によって、第3スペーサ26、27を所定の位置でそれぞれ2つに分割(即ち、完全切り離し)してもよい。このように2つの分割することによって、より一層曲げが容易になり、例えば、薄型シート状ヒートパイプを概ね直角に曲げることができる。従って、用途が広がる。
【0066】
図18は、この発明の薄型シート状ヒートパイプの他の態様を示す図である。この態様は、図7に示す態様の薄型シート状ヒートパイプにおいて、蒸気流路を備えたシートにメッシュを巻き付けて形成された1枚のスペーサ23と、流路を備えていないシートからなる第3スペーサ26、27との間に、メッシュシートまたは粉末金属焼結シート66、67をそれぞれ配置したものである。このようにメッシュシートまたは粉末金属焼結シート66、67を、蒸気流路を備えたシートにメッシュを巻き付けて形成された1枚のスペーサ23と、流路を備えていないシートからなる第3スペーサ26、27との間に積層させることによって、濡れ性が向上する。
【0067】
図8は、スペーサの他の態様を示す図である。図9は、図8のA−A’線における断面図である。図8に示す態様のスペーサは、メッシュ一体型スペーサである。図8に示すように、スリット(流路)35が形成されたスペーサとしての箔34を芯として、切れ込みを入れたメッシュをこれに巻き付けることによって、メッシュ一体型スペーサを形成することができる。図9に示すように、箔34を芯としてメッシュ36が巻き付けられた形状になっている。外側、中央に芯にメッシュが巻き付けられた部分が存在し、それらの間に流路35が存在している。形成方法として、箔にメッシュを重ねてスポット溶接等によって部分的に固定した後に、箔とメッシュが重なった状態で、パンチングプレスで打ち抜いて形成する方法がある。
【0068】
図14は、スペーサの他の態様を示す図である。図15は、図14のA−A’線における断面図である。図14に示す態様のスペーサは、図14(a)に示すようにメッシュを巻いて形成した3本の長条状のウイック36を並列して配置し、同様にして形成した条状のウイック33を両端部に配置し、そして、図14(b)に示すようにスポット溶接によって互いを固定して形成されている。このように配置された長条状のウイックの間に流路35が形成される。図15に示すように、長条状のウイック36は、メッシュが巻かれて両面から押圧されて形成されている。
【0069】
図19は、この発明のスペーサの他の態様を説明する図である。図20は、図19のA−A’線における断面図である。図19(a)に示すように、この態様のスペーサは、メッシュを巻いて形成した1本の長条状のウイック36を折り曲げて3つの部分が並列して配置されている。このように配置された長条状のウイックの間に流路35が形成される。図20に示すように、長条状のウイック36は、メッシュが一方向に巻かれて両面から押圧されて形成されているか(図20(a))、または、折り曲げられて上方に重ねられて両面から押圧されて形成されている(図20(b))。
【0070】
図10は、スペーサの他の態様を示す図である。図10に示すように、この態様のスペーサは、畳織メッシュにスリット(流路)を形成したスペーサである。畳織メッシュは、通常の平織メッシュと比較して、厚さが大きいのでそのままスペーサとして機能し、また、メッシュが密であるので、形が崩れにくく毛管力が大きい。このような畳織メッシュをスペーサとして用いることによって、部材数を少なくすることができる。
【0071】
図11は、この発明の薄型シート状ヒートパイプの他の態様を説明する図である。図11に示すように、この態様の薄型シート状ヒートパイプは、2枚の箔状のシート1、2の周辺部4を接合して形成された密閉された曲線部からなるコンテナと、コンテナ内に可動状態で収容されている、その内部に毛細管力を発揮する曲線の流路を備えた1枚のスペーサと、流路を有しない2枚のスペーサと、コンテナ内に封入された作動流体とを備えている。
【0072】
スペーサの形状は、コンテナの形状に対応している。上述したスペーサが、長手方向に沿って複数本並列して形成された曲線形状の流路5を備えたシートからなる第1スペーサ53と、流路を備えていないシートからなる第3スペーサ56、57とからなっており、第1スペーサ53を挟んで2枚の第3スペーサ56、57が可動状態で配置されている。
【0073】
図17は、この発明の薄型シート状ヒートパイプの他の態様を説明する図である。図17に示す態様の薄型シート状ヒートパイプは、2枚の箔状のシート1、2の周辺部4を接合して形成された密閉されたコンテナと、コンテナ内に可動状態で収容されている、その内部に毛細管力を発揮する流路5を備え、カバー58が螺旋状に巻きつけられた1枚のスペーサ3と、コンテナ内に封入された作動流体とを備えている。この態様に示すように、カバーとして用いる箔を、部分的または全域に渡って扁平かつ螺旋状に、流路を備えたスペーサに巻きつけることによって、屈曲させやすくなる。従って、ヒートパイプを曲げが必要な部分に配置するときに、その効果を発揮する。
【0074】
なお、上述したコンテナの形成の他の態様として次のものがある。即ち、1枚の箔状のシートを中央部で2つに折り曲げ重ね合わせて周辺部を接合して密閉コンテナを形成する。この態様によると、部材点数が少なく低コスト化できる効果がある。また、開口部を有する袋形の箔状シートを形成し、シートの開口部を重ね合わせて接合して密閉コンテナを形成してもよい。
上述したように、任意の形状のコンテナを形成することができる。蒸気流路の形状は、スペーサに施すパンチングプレスを適宜替えることによって、所望の形状のスペーサを容易に量産することができ、設計の自由度を大幅に上げることができる。
【0075】
【発明の効果】
上述したように、この発明によると、薄く、可撓性を有し、熱輸送量が大きく、設計自由度の大きい高性能の薄型シート状ヒートパイプを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、この発明の薄型シート状ヒートパイプの1つの態様を説明する図である。
【図2】図2は、この発明の薄型シート状ヒートパイプの他の態様を説明する図である。
【図3】図3は、この発明の薄型シート状ヒートパイプの他の態様を説明する図である。
【図4】図4は、この発明の薄型シート状ヒートパイプの他の態様を説明する図である。
【図5】図5は、この発明の薄型シート状ヒートパイプの他の態様を説明する図である。
【図6】図6は、この発明の薄型シート状ヒートパイプの他の態様を説明する図である。
【図7】図7は、この発明の薄型シート状ヒートパイプの他の態様を説明する図である。
【図8】図8は、スペーサの他の態様を示す図である。
【図9】図9は、図8のA−A’線における断面図である。
【図10】図10は、スペーサの他の態様を示す図である。
【図11】図11は、この発明の薄型シート状ヒートパイプの他の態様を説明する図である。
【図12】図12は、この発明の薄型シート状ヒートパイプの他の態様を説明する図である。
【図13】図13は、この発明の薄型シート状ヒートパイプの他の態様を説明する図である。
【図14】図14は、この発明のスペーサの他の態様を説明する図である。
【図15】図15は、図15は、図14のA−A’線における断面図である。
【図16】図16は、この発明の薄型シート状ヒートパイプの他の態様を説明する図である。
【図17】図17は、この発明の薄型シート状ヒートパイプの他の態様を説明する図である。
【図18】図18は、この発明の薄型シート状ヒートパイプの他の態様を説明する図である。
【図19】図19は、この発明のスペーサの他の態様を説明する図である。
【図20】図20は、図19のA−A’線における断面図である。
【符号の説明】
1.箔状のシート
2.箔状のシート
3.第1スペーサ
4.周辺部
5.流路(スリット)
6.第2スペーサ
7.第2スペーサの流路
8.スペーサ
9.流路
10、11.第3スペーサ
13、14.スペーサ
15、16.第4スペーサ
12.孔
17.スポット溶接
18、20.孔部
58.螺旋状に巻かれたカバー
61.切り込み
66、67.メッシュシート
Claims (20)
- 箔状のシートの周辺部を対向配置して接合して形成された密閉されたコンテナと、前記コンテナ内に可動状態で収容されている、その内部に毛細管力を発揮し、かつ、流路を備えたスペーサを含む少なくとも1枚のスペーサと、前記コンテナ内に封入された作動流体とを備えた薄型シート状ヒートパイプ。
- 前記スペーサは、シートからなっており、前記流路が前記シートの長手方向に沿って形成されている、請求項1に記載の薄型シート状ヒートパイプ。
- 前記スペーサが、長手方向に沿って形成された前記流路を備えたシートからなる第1スペーサと、前記第1スペーサの流路と交叉する方向に沿って形成された前記流路を備えたシートからなる第2スペーサとからなっており、前記第1スペーサと前記第2スペーサが可動状態で配置されている、請求項1に記載の薄型シート状ヒートパイプ。
- 流路を備えていない第3スペーサを更に備えており、前記スペーサが、長手方向に沿って複数本並列して形成された前記流路を備えたシートからなる第1スペーサと、前記流路を備えていないシートからなる第3スペーサとからなっており、前記第1スペーサを挟んで2枚の第3スペーサが可動状態で配置されている、請求項1に記載の薄型シート状ヒートパイプ。
- 2枚の前記第3スペーサの厚さが互いに異なっている、請求項4に記載の薄型シート状ヒートパイプ。
- 長手方向に沿って形成された流路を備えたシートからなる第1スペーサ、前記第1スペーサの流路と交叉する方向に沿って形成された前記流路を備えたシートからなる第2スペーサおよび流路を備えていない第3スペーサのうち、少なくとも2種類が連続して一体的に形成され、種類の異なるスペーサの間にそれぞれ複数の孔が形成され、前記複数の孔が形成された部分において折り曲げて、前記第1スペーサ、前記第2スペーサまたは前記第3スペーサが重なるように配置されている、請求項1に記載の薄型シート状ヒートパイプ。
- 前記第2スペーサがメッシュからなっている、請求項3に記載の薄型シート状ヒートパイプ。
- 前記スペーサが、長手方向に沿って複数本並列して形成された前記流路を備えたシートからなる第1スペーサと、前記流路の端部に対応する位置に連通路をそれぞれ備え、中央部の所定位置に形成された複数個の孔部を備えたシートからなる第4スペーサとからなっており、前記第1スペーサを挟んで2枚の第4スペーサが配置され、前記コンテナを形成する前記箔状のシートの前記複数個の孔部に対応する位置を更にスポット溶接によって接合し、前記スペーサが可動状態で配置されている、請求項1に記載の薄型シート状ヒートパイプ。
- 前記第1スペーサがメッシュ状シートによって形成されている、請求項4に記載の薄型シート状ヒートパイプ。
- 前記第1スペーサが、長手方向に沿って複数本並列して形成された前記流路を備えたシートにメッシュを巻き付けて形成されている、請求項4に記載の薄型シート状ヒートパイプ。
- 前記第1スペーサが、畳織メッシュの長手方向に沿って複数本並列して形成された前記流路を備えている、請求項4に記載の薄型シート状ヒートパイプ。
- 第1スペーサ、第2スペーサ、第3スペーサ、または、第4スペーサの表面が微細に粗化されている、請求項3から11の何れか1項に記載の薄型シート状ヒートパイプ。
- 箔状のシートの周辺部を対向配置して接合して形成された密閉されたコンテナと、前記コンテナ内に可動状態で収容されている、その内部に毛管力を発揮し、かつ、流路を備えたシートからなる少なくとも1枚のスペーサと、前記コンテナ内に可動状態で収容されている、流路を備えていないシートからなる少なくとも1枚のスペーサと、前記コンテナ内に封入された作動流体とを備えた薄型シート状ヒートパイプ。
- 前記流路を備えたスペーサが少なくとも2枚以上積層され、それぞれのスペーサに備えられた流路の形状が同一である、請求項13に記載の薄型シート状ヒートパイプ。
- 前記流路を備えたスペーサが少なくとも2枚以上積層され、それぞれのスペーサに備えられた流路の形状が異なっている、請求項13に記載の薄型シート状ヒートパイプ。
- 前記流路を備えたスペーサが少なくとも2枚以上積層され、それぞれのスペーサ同士が固定されている、請求項14または15に記載の薄型シート状ヒートパイプ。
- 前記流路を備えていないスペーサが、箔または多孔質シートのいずれか一方または両方を積層して配置されている、請求項13に記載の薄型シート状ヒートパイプ。
- 前記流路を備えていないスペーサが、前記流路を備えているスペーサの一方の面に並列した状態、または、両面を挟んだ状態で配置され、または、前記流路を備えているスペーサを螺旋状に取り囲んだ状態で配置されている、請求項13に記載の薄型シート状ヒートパイプ。
- 前記流路の断面が、1.5mm以上3mm以下の幅、および、0.3mm以上1.0mm以下の高さを有している、請求項13に記載の薄型シート状ヒートパイプ。
- 前記流路を備えていないスペーサが、0.05mm以上0.15mm以下の厚さを有している、請求項13に記載の薄型シート状ヒートパイプ。
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