JP2004012011A - 薄型フレキシブルヒートパイプ - Google Patents
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Abstract
【課題】蒸気流路を確保し、屈曲が容易で、設計の自由度の高い、CPU等の発熱電子部品を効率的に冷却するために使用することができる、薄型フレキシブルヒートパイプを提供する。
【解決手段】相互に異なる厚さの2枚の箔状のシートの周辺部を接合して形成された密閉されたコンテナと、コンテナ内に可動状態で収容されているウイックと、コンテナ内に封入された作動流体とを備えた薄型フレキシブルヒートパイプ。相互に調質の硬さの異なる2枚の箔状のシートの周辺部を接合して形成された密閉されたコンテナと、コンテナ内に可動状態で収容されているメッシュからなるウイックと、コンテナ内に封入された作動流体とを備えた薄型フレキシブルヒートパイプ。
【選択図】図1
【解決手段】相互に異なる厚さの2枚の箔状のシートの周辺部を接合して形成された密閉されたコンテナと、コンテナ内に可動状態で収容されているウイックと、コンテナ内に封入された作動流体とを備えた薄型フレキシブルヒートパイプ。相互に調質の硬さの異なる2枚の箔状のシートの周辺部を接合して形成された密閉されたコンテナと、コンテナ内に可動状態で収容されているメッシュからなるウイックと、コンテナ内に封入された作動流体とを備えた薄型フレキシブルヒートパイプ。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体等の高発熱部品を効率良く冷却する、特に極めて薄い筐体内に搭載された半導体等を効率良く冷却するためのシート型ヒートパイプに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、エレクトロニクス機器は、マイクロプロセッサ等の高出力、高集積の部品を内蔵している。マイクロプロセッサは、集積度が極めて高くなり、高速で情報の演算、制御等の処理を行うので、多量の熱を放出する。高出力かつ高集積の部品であるチップ等を冷却するために、各種の冷却システムが提案されてきた。その代表的な冷却システムの1つとして、ヒートパイプがある。
ヒートパイプには、その形状において、丸パイプ形状のヒートパイプ、平面形状のヒートパイプがある。CPU等の電子機器の被冷却部品の冷却用としては、被冷却部品への取り付けが容易であること、広い接触面が得られることから、平面型ヒートパイプが好んで用いられる。
【0003】
更に、ヒートパイプは、被冷却部品の取り付け位置において、被冷却部品が上部に位置するトップヒートモードと被冷却部品が下部に位置するボトムヒートモードに区分される。ボトムヒートモードの場合、重力により液が還流するが、トップヒートモードの場合、重力に逆らって液を還流させなければならず、通常はウイックによる毛管現象を利用する。
ヒートパイプの内部には作動流体の流路となる空間が設けられ、その空間に収容された作動流体が、蒸発、凝縮等の相変化や移動をすることによって、熱の移動が行われる。
【0004】
密封された空洞部を備え、その空洞部に収容された作動流体の相変態と移動により熱の移動が行われるヒートパイプの詳細は次の通りである。
ヒートパイプの吸熱側において、ヒートパイプを構成する容器の材質中を熱伝導して伝わってきた被冷却部品が発する熱を潜熱として吸収して、作動流体が蒸発し、その蒸気がヒートパイプの放熱側に移動する。放熱側においては、作動流体の蒸気は凝縮して潜熱を放出するとともに、再び液相状態に戻る。このように液相状態に戻った作動流体は再び吸熱側に移動(還流)する。このような作動流体の相変態や移動によって熱の移動が行われる。
重力式のヒートパイプにおいては、相変態によって液相状態になった作動流体は、重力によって、吸熱側に移動(還流)する。
【0005】
近年、上述したチップ等を搭載する筐体が次第に薄型化し、それに対応してヒートパイプも次第に薄型化してきている。
平板状の薄型ヒートパイプでは、主に伝熱させたい方向、例えば長手方向に沿って直線的に蒸気の流路を確保することが望ましい。しかし、容易に変形するほど薄い金属箔を使用してコンテナを形成した場合、大気圧によって外から押しつぶされるような状態になる。そのため薄い金属箔をコンテナとして用いる場合には、形状を保つための支持としてスペーサが必要になる。
【0006】
従来技術のスペーサとして、例えばスポット溶接やエンボス加工などが挙げられているが、これらの技術ではコンテナそのものの剛性が必要であるため、薄く柔らかい金属箔等で構成されるコンテナの場合には適さなかった。また、スペーサとしてある程度の剛性を有するものを別途コンテナ内に挿入した場合、コンテナを屈曲させる際に、スペーサが挫屈したり蒸気流路が閉塞する可能性があったため、薄型ヒートパイプに可撓性を求めることができなかった。
【0007】
更に、可撓性を備えたヒートパイプが望まれている。特開平8−42983号に、可撓性を備えたヒートパイプが開示されている(以下、「先行技術」という)。先行技術において、コンテナはシリコーンゴムやテフロン(登録商標)等の可撓管(フレキシブルチューブ)によって形成され、内部空間にはウイックとなるナイロンやガラス、銅等の編組線が設けられている。即ち、先行技術のフレキシブルヒートパイプは、コンテナに可撓性をもたせるため、素材に特徴をもたせてシリコーンやテフロン(登録商標)などの柔らかい物質を用いるか、あるいは形状に特徴をもたせて蛇腹状のフレキシブルチューブを採用している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、先行技術のヒートパイプには下記の問題点がある。
即ち、高分子素材のコンテナでは非凝縮性ガスが滞留する可能性があり、また、コンテナそのものの熱伝導率を比較しても金属製の方が高分子のものよりも有利である。金属製コンテナにおいて、屈曲可能なほど十分に薄く柔らかい箔をコンテナとした場合には、曲げたときに対向するコンテナの曲率差から挫屈が起こり、蒸気流路の閉塞および亀裂発生などが起こることがあった。
また、従来の薄型ヒートパイプはパイプを潰したものが一般的で、それゆえ、形状が細長い長方形かある程度の曲率を持ったL字状に限定されていたため、電子部品の配置に制約を受けるために設計の自由度が低いという問題点がある。
【0009】
従って、この発明の目的は、蒸気流路を確保し、屈曲が容易で、設計の自由度の高い、CPU等の発熱電子部品を効率的に冷却するために使用することができる、薄型フレキシブルヒートパイプを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上述した従来の問題点を解決すべく鋭意研究を重ねた。その結果、比較的薄いまたは調質の柔らかい金属箔と、比較的厚いまたは調質の硬い金属箔の2枚の箔状のシートの周辺部を接合して密閉されたコンテナを形成すると、調質の硬い金属箔とコンテナ内部のスペーサとの間に蒸気流路を確保することができ、挫屈しにくいコンテナを得ることができることが判明した。
更に、従来のパイプを潰したものとは異なりコンテナの形状を2次元平面内で自由に選択することができ、鋭角な曲げや分岐などが可能になり、設計の自由度が大幅に向上することが判明した。
【0011】
この発明は、上記研究結果に基づいてなされたものであって、この発明の薄型フレキシブルヒートパイプの第1の態様は、相互に異なる厚さの2枚の箔状のシートの周辺部を接合して形成された密閉されたコンテナと、前記コンテナ内に可動状態で収容されて蒸気流路を確保するウイックと、前記コンテナ内に封入された作動流体とを備えた薄型フレキシブルヒートパイプである。
【0012】
この発明の薄型フレキシブルヒートパイプの第2の態様は、相互に調質の硬さの異なる2枚の箔状のシートの周辺部を接合して形成された密閉されたコンテナと、前記コンテナ内に可動状態で収容されて蒸気流路を確保するメッシュからなるウイックと、前記コンテナ内に封入された作動流体とを備えた薄型フレキシブルヒートパイプである。
【0013】
この発明の薄型フレキシブルヒートパイプの第3の態様は、前記箔状シートの何れか一方の箔状シートの一部に波状の塑性変形が施されている、薄型フレキシブルヒートパイプである。
【0014】
この発明の薄型フレキシブルヒートパイプの第4の態様は、前記箔状シートの一部にエンボス加工を施して形成されたコンテナ内部に向かって突出した突出部を備え、前記突出部に溶接が施されて、前記突出部の表面の一部が対向する箔状シートに接合されている、薄型フレキシブルヒートパイプである。
【0015】
この発明の薄型フレキシブルヒートパイプの第5の態様は、接合した前記周辺部の端部を折り返して形成された折り返し部を備えている、薄型フレキシブルヒートパイプである。
【0016】
この発明の薄型フレキシブルヒートパイプの第6の態様は、前記折り返し部にワイヤが挿入されている、薄型フレキシブルヒートパイプである。
【0017】
この発明の薄型フレキシブルヒートパイプの第7の態様は、2次元平面内での曲げ部、および/または、分岐部を備えた形状の薄型フレキシブルヒートパイプである。
【0018】
この発明の薄型フレキシブルヒートパイプのその他の態様は、前記溶接がスポット溶接または超音波溶接によって行われている、薄型フレキシブルヒートパイプである。
【0019】
この発明の薄型フレキシブルヒートパイプのその他の態様は、前記ウイックがメッシュ、ワイヤ、または、メッシュとワイヤの組合わせからなっている薄型フレキシブルヒートパイプである。
【0020】
この発明の薄型フレキシブルヒートパイプのその他の態様は、更に、スペーサとしての金属箔を備えている、薄型フレキシブルヒートパイプである。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明の薄型フレキシブルヒートパイプの態様について図面を参照しながら詳細に説明する。
この発明の薄型フレキシブルヒートパイプは、相互に異なる厚さの2枚の箔状のシートの周辺部を接合して形成された密閉されたコンテナと、前記コンテナ内に可動状態で収容されて蒸気流路を確保するウイックと、前記コンテナ内に封入された作動流体とを備えた薄型フレキシブルヒートパイプである。
更に、この発明の薄型フレキシブルヒートパイプは、相互に調質の硬さの異なる2枚の箔状のシートの周辺部を接合して形成された密閉されたコンテナと、前記コンテナ内に可動状態で収容されて蒸気流路を確保するメッシュからなるウイックと、前記コンテナ内に封入された作動流体とを備えた薄型フレキシブルヒートパイプであってもよい。
【0022】
図1は、この発明の薄型フレキシブルヒートパイプの1つの態様を示す側面図である。この発明の薄型フレキシブルヒートパイプは、相互に異なる厚さの、または、相互に調質の異なる2枚の箔状のシート2、3の周辺部を接合して形成された密閉されたコンテナと、(図示しない)コンテナ内に可動状態で収容されて蒸気流路を確保するウイックと、(図示しない)コンテナ内に封入された作動流体とを備えた薄型フレキシブルヒートパイプである。
【0023】
図1に示すように、薄型フレキシブルヒートパイプは、段差のある発熱体23と冷却手段22との熱的接続が容易なように、所定の部位において屈曲されている。箔状シート2、3は、一方が厚く、他方が薄い金属箔、または、一方が調質の硬く、他方が調質の柔らかい金属箔からなっており、コンテナの内部には、例えば、スペーサとしての金属箔・ワイヤと、メッシュが可動状態で配置されている。これらの金属箔・ワイヤと、メッシュは、可動状態でコンテナ内に収納されているので、コンテナを屈曲しても、挫屈が生じることはない。
【0024】
更に、上述したように、箔状シートの一方が厚い金属箔、または、調質の硬い金属箔によって形成されているので、厚い金属箔、または、調質の硬い金属箔とスペーサとの間に蒸気流路を確保することができるとともに、同一の厚い金属箔、または、調質の硬い金属箔を用いた場合に起きる挫屈の発生を回避することができる。
【0025】
上述したように、この態様の薄型フレキシブルヒートパイプにおいては、段差のある発熱体と冷却手段とを、コンテナによって熱的に接続している。従来の薄型ヒートパイプは形状が固定されていたので、段差のある発熱体、冷却手段を熱的に接続するためには、予め別工程において塑性変形によって所定の形状のコンテナを作製しなければならなかった。しかし、この発明の薄型フレキシブルヒートパイプによると上述した塑性変形による別工程を必要としないので、工程の短縮が可能であり、設計変更にも容易に対応することができる。
【0026】
この態様の薄型フレキシブルヒートパイプによると、段差のある発熱体(チップ等)と冷却手段(ヒートシンク等)とを、円滑に熱的に接続することができ、設計の自由度が向上する。
【0027】
図2は、この発明の薄型フレキシブルヒートパイプの他の1つの態様を示す側面図である。この態様のこの発明の薄型フレキシブルヒートパイプは、相互に異なる厚さの、または、相互に調質の異なる2枚の箔状のシートの周辺部を接合して形成された密閉されたコンテナと、コンテナ内に可動状態で収容されて蒸気流路を確保するウイックと、コンテナ内に封入された作動流体とを備えた薄型フレキシブルヒートパイプであって、2次元平面内での曲げ部、および/または、分岐部を備えた形状からなるコンテナを有している薄型フレキシブルヒートパイプである。
【0028】
図2に示すように、薄型フレキシブルヒートパイプ1は、複数の発熱体23、24から冷却手段22に熱を移動することができるように分岐部4を備えた形状のコンテナを有している。更に、薄型フレキシブルヒートパイプ1は、段差のある発熱体23、24と冷却手段22との熱的接続が容易なように、所定の部位において屈曲されている曲げ部5を有している。箔状シート2、3は、一方が厚く、他方が薄い金属箔、または、一方が調質の硬く、他方が調質の柔らかい金属箔からなっており、コンテナの内部には、例えば、スペーサとしての金属箔・ワイヤと、メッシュが可動状態で配置されている。
【0029】
これらの金属箔・ワイヤと、メッシュは、可動状態でコンテナ内に収納されているので、コンテナを屈曲しても、挫屈が生じることはない。更に、上述したように、箔状シートの一方が厚い金属箔、または、調質の硬い金属箔によって形成されているので、厚い金属箔、または、調質の硬い金属箔とスペーサとの間に蒸気流路を確保することができるとともに、同一の厚い金属箔、または、調質の硬い金属箔を用いた場合に起きる挫屈の発生を回避することができる。
【0030】
上述したように、この態様の薄型フレキシブルヒートパイプにおいては、2次元平面内で形状を拡張し例えば2つの発熱体から発生する熱を1つに集めて冷却手段に移動して放熱することができる。このように、本発明によると、ヒートパイプは単なる直線状の管ではなく2次元平面内で自由な形状をとることができ、従来のヒートパイプと比較して、商品の熱設計の自由度を向上することができる。
即ち、この態様の薄型フレキシブルヒートパイプによると、2次元平面内で自由に形状を拡張することができ、複数の発熱体と冷却手段との間の熱輸送を容易にし、段差のある発熱体(チップ等)と冷却手段(ヒートシンク等)とを、円滑に熱的に接続することができ、設計の自由度が著しく向上する。
【0031】
図3は、この発明の薄型フレキシブルヒートパイプの他の1つの態様を示す斜視図である。この発明の薄型フレキシブルヒートパイプは、相互に異なる厚さの、または、相互に調質の異なる2枚の箔状のシート2、3の周辺部を接合して形成された密閉されたコンテナと、コンテナ内に可動状態で収容されて蒸気流路を確保するウイックと、コンテナ内に封入された作動流体とを備えた薄型フレキシブルヒートパイプである。
【0032】
図3に示すように、薄型フレキシブルヒートパイプは、その中央部において発熱体23と熱的に接続されている。更に、コンテナの両端部6、7は上方に屈曲され、ヒートシンクとして機能している。即ち、コンテナの両端部は広い表面積を有しており、発熱体の熱によって蒸発した作動液がコンテナの両端部に移動して、熱を放出して液相に戻りウイックの毛管力によってコンテナ中央部の吸熱部に還流する。従って、コンテナの両端部は上述したように広い表面積によってヒートシンクとして機能する。
【0033】
箔状シート2、3は、一方が厚く、他方が薄い金属箔、または、一方が調質の硬く、他方が調質の柔らかい金属箔からなっており、コンテナの内部には、例えば、スペーサとしての金属箔・ワイヤと、メッシュが可動状態で配置されている。これらの金属箔・ワイヤと、メッシュは、可動状態でコンテナ内に収納されているので、コンテナを屈曲しても、挫屈が生じることはない。
【0034】
更に、上述したように、箔状シートの一方が厚い金属箔、または、調質の硬い金属箔によって形成されているので、厚い金属箔、または、調質の硬い金属箔とスペーサとの間に蒸気流路を確保することができるとともに、同一の厚い金属箔、または、調質の硬い金属箔を用いた場合に起きる挫屈の発生を回避することができる。
【0035】
上述したように、この態様の薄型フレキシブルヒートパイプは、ヒートパイプのコンテナ自体の一部をヒートシンクとして機能させたヒートパイプである。即ち、左右に上方に突き出した部分は、空気との伝熱面積が大きいので、放熱効果を得ることができる。なお、両端部は丸めたり、複数回折り曲げてもよい。
【0036】
図4は、この発明の薄型フレキシブルヒートパイプの他の態様の部分断面図である。この態様のこの発明の薄型フレキシブルヒートパイプは、相互に異なる厚さの、または、相互に調質の異なる2枚の箔状のシートの周辺部を接合して形成された密閉されたコンテナと、コンテナ内に可動状態で収容されて蒸気流路を確保するウイックと、コンテナ内に封入された作動流体とを備えた薄型フレキシブルヒートパイプである。
【0037】
図4に示すように、箔状シート2、3は、一方が厚く、他方が薄い金属箔、または、一方が調質の硬く、他方が調質の柔らかい金属箔からなっており、コンテナの内部には、例えば、スペーサとしての金属箔・ワイヤと、メッシュが可動状態で配置されている。箔状シート2、3は同一材質の厚さの異なる金属箔をもちいてもよいし、同一材質の同一厚さの金属箔を用いて所定の熱処理を行って調質硬さの異なる箔状シートを調製してもよい。
【0038】
図4に示す態様においては、下側の箔状シート3には厚さの大きい硬い金属箔を使用し、上側の箔状シート2には、厚さの小さい柔らかい金属箔を使用してコンテナを形成し、コンテナ内には相互に平行に配置された複数のワイヤが収容されている。図4に示すように、厚さの小さい柔らかい金属箔2は大気圧によって相互に平行に配置された複数のワイヤ8に押し付けられてワイヤを固定している。他方、厚さの大きい硬い金属箔3とワイヤとの間には蒸気流路が確保され、更に、強い毛管力が発揮される鋭角部分が形成されている。
【0039】
上述したワイヤは、可動状態でコンテナ内に収納されているので、コンテナを屈曲しても、挫屈が生じることはない。
上述したように、箔状シートの一方が厚い金属箔、または、調質の硬い金属箔によって形成されているので、厚い金属箔、または、調質の硬い金属箔とスペーサとの間に蒸気流路を確保することができるとともに、同一の厚い金属箔、または、調質の硬い金属箔を用いた場合に起きる挫屈の発生を回避することができる。更に、厚さの大きい硬い金属箔によって所望の平面度が得られる。
【0040】
換言すれば、コンテナの内部にはスペーサとしてのワイヤが設置されているが、柔らかい箔では大気圧を受けることによって蒸気流路が閉塞されてしまう。一方、硬い箔ではスペーサによって蒸気流路を確保することはできるが、挫屈などの虞がある。従って、柔らかい箔と硬い箔とを組合わせることによって、蒸気流路を確保しつつ挫屈し難いコンテナを得ることができる。
【0041】
更に、この発明の薄型フレキシブルヒートパイプは、箔状シートの一部に、エンボス加工を施して形成されたコンテナ内部に向かって突出した突出部を備え、突出部に溶接が施されて、突出部の表面の一部が対向する箔状シートに接合されている。上述した溶接がスポット溶接または超音波溶接によって行われている。図5は、エンボス加工部の選択的な接合状態を説明する図である。図6は、エンボス加工部の接触部の全てを接合した従来の場合を説明する拡大断面図である。図7は、エンボス加工部の接触部の一部を選択的に接合したこの発明の場合を説明する拡大断面図である。
【0042】
図5に示すように、箔状シートにエンボス加工が施され、コンテナ内部に向かって突出した突出部9を備えている。突出部9にスポット溶接または超音波溶接によって部分的に溶接が施され、突出部9の表面の一部が対向する箔状シートに接合されている。接合部を符号番号10で示す。
従来は図6に示すように、エンボス加工が施され形成された突出部19の対向する箔状シートとの接触部100の全てを接合していた。従来の接合方法によると、上側の箔状シートと下側の箔状シートとが完全に接合され、屈曲等の力が加わると挫屈が生じる可能性が高い。これに対して、図7に示すように、この発明の接合方法によると、エンボス加工が施され形成された突出部9の対向する箔状シートとの接触部10の一部が選択的に接合されるので、屈曲等の力が加わっても、エンボスによる撓み、接合されていない部分の存在によって、吸収され、挫屈が生じ難い。
【0043】
上述したように、コンテナを形成する箔状シートにエンボス加工を施し、形成された凹部の全てを接合せずに選択的に一部のみをスポット溶接または超音波溶接によって接合することによって、上側の箔状シートの長さに余裕ができ、屈曲させたときに曲率差を緩和させ、挫屈の生じる危険性を低減させることができる。
図8は、この発明の薄型フレキシブルヒートパイプの他の1つの態様を示す図である。この発明の薄型フレキシブルヒートパイプ1は、相互に異なる厚さの、または、相互に調質の異なる2枚の箔状のシート2、3の周辺部を接合して形成された密閉されたコンテナと、コンテナ内に可動状態で収容されて蒸気流路を確保するウイックと、コンテナ内に封入された作動流体とを備えた薄型フレキシブルヒートパイプであって、接合した周辺部の端部を折り返して形成された折り返し部11を備えている、薄型フレキシブルヒートパイプである。
【0044】
図8に示すように、相互に異なる厚さの、または、相互に調質の異なる2枚の箔状のシート2、3の周辺部を接合して形成された密閉されたコンテナを備えており、更に、接合した周辺部の端部を折り返して形成された折り返し部11を備えている。コンテナの中には、コンテナの長手方向に沿って複数の平行に配置されたワイヤ12およびワイヤに巻き付けられたメッシュ13が収容されている。一方の箔状シート2は柔らかい金属箔によって形成されているので、大気圧によってワイヤ12に巻き付けられたメッシュ13に向かって押し付けられ、ワイヤ12を固定する。
【0045】
箔状シート2、3は、一方が厚く、他方が薄い金属箔、または、一方が調質の硬く、他方が調質の柔らかい金属箔からなっており、コンテナの内部には、スペーサとしてのワイヤと、メッシュが可動状態で配置されている。これらのワイヤおよびメッシュは、可動状態でコンテナ内に収納されているので、コンテナを屈曲しても、挫屈が生じることはない。
【0046】
更に、上述したように、箔状シートの一方が厚い金属箔、または、調質の硬い金属箔によって形成されているので、厚い金属箔、または、調質の硬い金属箔とワイヤとの間に蒸気流路を確保することができるとともに、同一の厚い金属箔、または、調質の硬い金属箔を用いた場合に起きる挫屈の発生を回避することができる。更に、接合部に形成された折り返し部11は、接合端の強度を高め、密閉性に関する信頼性を向上することができる。
【0047】
図9は、この発明の薄型フレキシブルヒートパイプの他の1つの態様を示す図である。この発明の薄型フレキシブルヒートパイプ1は、相互に異なる厚さの、または、相互に調質の異なる2枚の箔状のシート2、3の周辺部を接合して形成された密閉されたコンテナと、コンテナ内に可動状態で収容されて蒸気流路を確保するウイックと、コンテナ内に封入された作動流体とを備えた薄型フレキシブルヒートパイプであって、接合した周辺部の端部を折り返して形成された折り返し部11を備え、折り返し部には更にワイヤが挿入されている、薄型フレキシブルヒートパイプである。
【0048】
図9に示すように、相互に異なる厚さの、または、相互に調質の異なる2枚の箔状のシート2、3の周辺部を接合して形成された密閉されたコンテナを備えており、接合した周辺部の端部を折り返して形成された折り返し部11を備えており、折り返し部にはワイヤ14が挿入されている。コンテナの中には、コンテナの長手方向に沿って複数の平行に配置されたワイヤ12およびワイヤに巻き付けられたメッシュ13が収容されている。この態様では、折り曲げ部を水平方向にずらしながら概ね左右対称に偏平渦巻き状に折り曲げたメッシュ13の折り曲げ部のそれぞれに、ワイヤ12が挿入されて、複数本のワイヤが平行に配置・固定されている。一方の箔状シート2は柔らかい金属箔によって形成されているので、大気圧によってワイヤ12に巻き付けられたメッシュ13に向かって押し付けられ、上述したメッシュの巻き付けと共にワイヤ12を固定する。
【0049】
箔状シート2、3は、一方が厚く、他方が薄い金属箔、または、一方が調質の硬く、他方が調質の柔らかい金属箔からなっており、コンテナの内部には、スペーサとしてのワイヤと、メッシュが可動状態で配置されている。これらのワイヤおよびメッシュは、可動状態でコンテナ内に収納されているので、コンテナを屈曲しても、挫屈が生じることはない。
【0050】
更に、上述したように、箔状シートの一方が厚い金属箔、または、調質の硬い金属箔によって形成されているので、厚い金属箔、または、調質の硬い金属箔とワイヤとの間に蒸気流路を確保することができるとともに、同一の厚い金属箔、または、調質の硬い金属箔を用いた場合に起きる挫屈の発生を回避することができる。更に、接合部に形成された折り返し部11には、ワイヤが挿入されているので、接合端の強度を高め、密閉性に関する信頼性を向上すると共に応力を分散させ挫屈を防止する働きが得られる。
【0051】
図10は、この発明の薄型フレキシブルヒートパイプの他の態様を示す斜視図である。図10に示す態様は、相互に異なる厚さの、または、相互に調質の異なる2枚の箔状のシート2、3の周辺部を接合して形成された密閉されたコンテナと、コンテナ内に可動状態で収容されて蒸気流路を確保するウイックと、コンテナ内に封入された作動流体とを備えた薄型フレキシブルヒートパイプであって、接合した周辺部の端部を折り返して形成された折り返し部11を備え、折り返し部には更にワイヤ14が挿入されている、薄型フレキシブルヒートパイプである。更に、コンテナには、エンボス加工9が施され、形成された突出部の対向する箔状シートとの接触部の一部10が選択的に接合されている。
【0052】
図11は、この発明のL字状の薄型フレキシブルヒートパイプの1つの態様を示す斜視図である。この態様は、L字状の相互に異なる厚さの、または、相互に調質の異なる2枚の箔状のシート2、3の周辺部を接合して形成された密閉されたコンテナと、コンテナ内に可動状態で収容されて蒸気流路を確保するウイックと、コンテナ内に封入された作動流体とを備えた薄型フレキシブルヒートパイプであって、接合した周辺部の端部を折り返して形成された折り返し部11を備え、折り返し部には更にワイヤ14が挿入されている、薄型フレキシブルヒートパイプである。L字状のコンテナの中央角部にチップ15が熱的に接続されている。この態様の薄型フレキシブルヒートパイプにおいてもエンボスを形成し、その一部を選択的に接合してもよい。
【0053】
【発明の効果】
上述したように、この発明によると、蒸気流路を確保し、屈曲が容易で、設計の自由度の高い、CPU等の発熱電子部品を効率的に冷却するために使用することができる、薄型フレキシブルヒートパイプを提供する。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、この発明の薄型フレキシブルヒートパイプの1つの態様を示す側面図である。
【図2】図2は、この発明の薄型フレキシブルヒートパイプの他の1つの態様を示す側面図である。
【図3】図3は、この発明の薄型フレキシブルヒートパイプの他の1つの態様を示す斜視図である。
【図4】図4は、この発明の薄型フレキシブルヒートパイプの他の態様の部分断面図である。
【図5】図5は、エンボス加工部の選択的な接合状態を説明する図である。
【図6】図6は、エンボス加工部の接触部の全てを接合した従来の場合を説明する拡大断面図である。
【図7】図7は、エンボス加工部の接触部の一部を選択的に接合したこの発明の場合を説明する拡大断面図である。
【図8】図8は、この発明の薄型フレキシブルヒートパイプの他の1つの態様を示す図である。
【図9】図9は、この発明の薄型フレキシブルヒートパイプの他の1つの態様を示す図である。
【図10】図10は、この発明の薄型フレキシブルヒートパイプの他の態様を示す斜視図である。
【図11】図11は、この発明のL字状の薄型フレキシブルヒートパイプの1つの態様を示す斜視図である。
【符号の説明】
1.薄型フレキシブルヒートパイプ
2.箔状のシート
3.箔状のシート
4.分岐部
5.曲げ部
6、7.端部
8.ワイヤ
9.エンボス加工部
10.接合部
11.折り返し部
12.ワイヤ
13.メッシュ
14.ワイヤ
15.チップ
22.ヒートシンク
23、24.発熱体
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体等の高発熱部品を効率良く冷却する、特に極めて薄い筐体内に搭載された半導体等を効率良く冷却するためのシート型ヒートパイプに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、エレクトロニクス機器は、マイクロプロセッサ等の高出力、高集積の部品を内蔵している。マイクロプロセッサは、集積度が極めて高くなり、高速で情報の演算、制御等の処理を行うので、多量の熱を放出する。高出力かつ高集積の部品であるチップ等を冷却するために、各種の冷却システムが提案されてきた。その代表的な冷却システムの1つとして、ヒートパイプがある。
ヒートパイプには、その形状において、丸パイプ形状のヒートパイプ、平面形状のヒートパイプがある。CPU等の電子機器の被冷却部品の冷却用としては、被冷却部品への取り付けが容易であること、広い接触面が得られることから、平面型ヒートパイプが好んで用いられる。
【0003】
更に、ヒートパイプは、被冷却部品の取り付け位置において、被冷却部品が上部に位置するトップヒートモードと被冷却部品が下部に位置するボトムヒートモードに区分される。ボトムヒートモードの場合、重力により液が還流するが、トップヒートモードの場合、重力に逆らって液を還流させなければならず、通常はウイックによる毛管現象を利用する。
ヒートパイプの内部には作動流体の流路となる空間が設けられ、その空間に収容された作動流体が、蒸発、凝縮等の相変化や移動をすることによって、熱の移動が行われる。
【0004】
密封された空洞部を備え、その空洞部に収容された作動流体の相変態と移動により熱の移動が行われるヒートパイプの詳細は次の通りである。
ヒートパイプの吸熱側において、ヒートパイプを構成する容器の材質中を熱伝導して伝わってきた被冷却部品が発する熱を潜熱として吸収して、作動流体が蒸発し、その蒸気がヒートパイプの放熱側に移動する。放熱側においては、作動流体の蒸気は凝縮して潜熱を放出するとともに、再び液相状態に戻る。このように液相状態に戻った作動流体は再び吸熱側に移動(還流)する。このような作動流体の相変態や移動によって熱の移動が行われる。
重力式のヒートパイプにおいては、相変態によって液相状態になった作動流体は、重力によって、吸熱側に移動(還流)する。
【0005】
近年、上述したチップ等を搭載する筐体が次第に薄型化し、それに対応してヒートパイプも次第に薄型化してきている。
平板状の薄型ヒートパイプでは、主に伝熱させたい方向、例えば長手方向に沿って直線的に蒸気の流路を確保することが望ましい。しかし、容易に変形するほど薄い金属箔を使用してコンテナを形成した場合、大気圧によって外から押しつぶされるような状態になる。そのため薄い金属箔をコンテナとして用いる場合には、形状を保つための支持としてスペーサが必要になる。
【0006】
従来技術のスペーサとして、例えばスポット溶接やエンボス加工などが挙げられているが、これらの技術ではコンテナそのものの剛性が必要であるため、薄く柔らかい金属箔等で構成されるコンテナの場合には適さなかった。また、スペーサとしてある程度の剛性を有するものを別途コンテナ内に挿入した場合、コンテナを屈曲させる際に、スペーサが挫屈したり蒸気流路が閉塞する可能性があったため、薄型ヒートパイプに可撓性を求めることができなかった。
【0007】
更に、可撓性を備えたヒートパイプが望まれている。特開平8−42983号に、可撓性を備えたヒートパイプが開示されている(以下、「先行技術」という)。先行技術において、コンテナはシリコーンゴムやテフロン(登録商標)等の可撓管(フレキシブルチューブ)によって形成され、内部空間にはウイックとなるナイロンやガラス、銅等の編組線が設けられている。即ち、先行技術のフレキシブルヒートパイプは、コンテナに可撓性をもたせるため、素材に特徴をもたせてシリコーンやテフロン(登録商標)などの柔らかい物質を用いるか、あるいは形状に特徴をもたせて蛇腹状のフレキシブルチューブを採用している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、先行技術のヒートパイプには下記の問題点がある。
即ち、高分子素材のコンテナでは非凝縮性ガスが滞留する可能性があり、また、コンテナそのものの熱伝導率を比較しても金属製の方が高分子のものよりも有利である。金属製コンテナにおいて、屈曲可能なほど十分に薄く柔らかい箔をコンテナとした場合には、曲げたときに対向するコンテナの曲率差から挫屈が起こり、蒸気流路の閉塞および亀裂発生などが起こることがあった。
また、従来の薄型ヒートパイプはパイプを潰したものが一般的で、それゆえ、形状が細長い長方形かある程度の曲率を持ったL字状に限定されていたため、電子部品の配置に制約を受けるために設計の自由度が低いという問題点がある。
【0009】
従って、この発明の目的は、蒸気流路を確保し、屈曲が容易で、設計の自由度の高い、CPU等の発熱電子部品を効率的に冷却するために使用することができる、薄型フレキシブルヒートパイプを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上述した従来の問題点を解決すべく鋭意研究を重ねた。その結果、比較的薄いまたは調質の柔らかい金属箔と、比較的厚いまたは調質の硬い金属箔の2枚の箔状のシートの周辺部を接合して密閉されたコンテナを形成すると、調質の硬い金属箔とコンテナ内部のスペーサとの間に蒸気流路を確保することができ、挫屈しにくいコンテナを得ることができることが判明した。
更に、従来のパイプを潰したものとは異なりコンテナの形状を2次元平面内で自由に選択することができ、鋭角な曲げや分岐などが可能になり、設計の自由度が大幅に向上することが判明した。
【0011】
この発明は、上記研究結果に基づいてなされたものであって、この発明の薄型フレキシブルヒートパイプの第1の態様は、相互に異なる厚さの2枚の箔状のシートの周辺部を接合して形成された密閉されたコンテナと、前記コンテナ内に可動状態で収容されて蒸気流路を確保するウイックと、前記コンテナ内に封入された作動流体とを備えた薄型フレキシブルヒートパイプである。
【0012】
この発明の薄型フレキシブルヒートパイプの第2の態様は、相互に調質の硬さの異なる2枚の箔状のシートの周辺部を接合して形成された密閉されたコンテナと、前記コンテナ内に可動状態で収容されて蒸気流路を確保するメッシュからなるウイックと、前記コンテナ内に封入された作動流体とを備えた薄型フレキシブルヒートパイプである。
【0013】
この発明の薄型フレキシブルヒートパイプの第3の態様は、前記箔状シートの何れか一方の箔状シートの一部に波状の塑性変形が施されている、薄型フレキシブルヒートパイプである。
【0014】
この発明の薄型フレキシブルヒートパイプの第4の態様は、前記箔状シートの一部にエンボス加工を施して形成されたコンテナ内部に向かって突出した突出部を備え、前記突出部に溶接が施されて、前記突出部の表面の一部が対向する箔状シートに接合されている、薄型フレキシブルヒートパイプである。
【0015】
この発明の薄型フレキシブルヒートパイプの第5の態様は、接合した前記周辺部の端部を折り返して形成された折り返し部を備えている、薄型フレキシブルヒートパイプである。
【0016】
この発明の薄型フレキシブルヒートパイプの第6の態様は、前記折り返し部にワイヤが挿入されている、薄型フレキシブルヒートパイプである。
【0017】
この発明の薄型フレキシブルヒートパイプの第7の態様は、2次元平面内での曲げ部、および/または、分岐部を備えた形状の薄型フレキシブルヒートパイプである。
【0018】
この発明の薄型フレキシブルヒートパイプのその他の態様は、前記溶接がスポット溶接または超音波溶接によって行われている、薄型フレキシブルヒートパイプである。
【0019】
この発明の薄型フレキシブルヒートパイプのその他の態様は、前記ウイックがメッシュ、ワイヤ、または、メッシュとワイヤの組合わせからなっている薄型フレキシブルヒートパイプである。
【0020】
この発明の薄型フレキシブルヒートパイプのその他の態様は、更に、スペーサとしての金属箔を備えている、薄型フレキシブルヒートパイプである。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明の薄型フレキシブルヒートパイプの態様について図面を参照しながら詳細に説明する。
この発明の薄型フレキシブルヒートパイプは、相互に異なる厚さの2枚の箔状のシートの周辺部を接合して形成された密閉されたコンテナと、前記コンテナ内に可動状態で収容されて蒸気流路を確保するウイックと、前記コンテナ内に封入された作動流体とを備えた薄型フレキシブルヒートパイプである。
更に、この発明の薄型フレキシブルヒートパイプは、相互に調質の硬さの異なる2枚の箔状のシートの周辺部を接合して形成された密閉されたコンテナと、前記コンテナ内に可動状態で収容されて蒸気流路を確保するメッシュからなるウイックと、前記コンテナ内に封入された作動流体とを備えた薄型フレキシブルヒートパイプであってもよい。
【0022】
図1は、この発明の薄型フレキシブルヒートパイプの1つの態様を示す側面図である。この発明の薄型フレキシブルヒートパイプは、相互に異なる厚さの、または、相互に調質の異なる2枚の箔状のシート2、3の周辺部を接合して形成された密閉されたコンテナと、(図示しない)コンテナ内に可動状態で収容されて蒸気流路を確保するウイックと、(図示しない)コンテナ内に封入された作動流体とを備えた薄型フレキシブルヒートパイプである。
【0023】
図1に示すように、薄型フレキシブルヒートパイプは、段差のある発熱体23と冷却手段22との熱的接続が容易なように、所定の部位において屈曲されている。箔状シート2、3は、一方が厚く、他方が薄い金属箔、または、一方が調質の硬く、他方が調質の柔らかい金属箔からなっており、コンテナの内部には、例えば、スペーサとしての金属箔・ワイヤと、メッシュが可動状態で配置されている。これらの金属箔・ワイヤと、メッシュは、可動状態でコンテナ内に収納されているので、コンテナを屈曲しても、挫屈が生じることはない。
【0024】
更に、上述したように、箔状シートの一方が厚い金属箔、または、調質の硬い金属箔によって形成されているので、厚い金属箔、または、調質の硬い金属箔とスペーサとの間に蒸気流路を確保することができるとともに、同一の厚い金属箔、または、調質の硬い金属箔を用いた場合に起きる挫屈の発生を回避することができる。
【0025】
上述したように、この態様の薄型フレキシブルヒートパイプにおいては、段差のある発熱体と冷却手段とを、コンテナによって熱的に接続している。従来の薄型ヒートパイプは形状が固定されていたので、段差のある発熱体、冷却手段を熱的に接続するためには、予め別工程において塑性変形によって所定の形状のコンテナを作製しなければならなかった。しかし、この発明の薄型フレキシブルヒートパイプによると上述した塑性変形による別工程を必要としないので、工程の短縮が可能であり、設計変更にも容易に対応することができる。
【0026】
この態様の薄型フレキシブルヒートパイプによると、段差のある発熱体(チップ等)と冷却手段(ヒートシンク等)とを、円滑に熱的に接続することができ、設計の自由度が向上する。
【0027】
図2は、この発明の薄型フレキシブルヒートパイプの他の1つの態様を示す側面図である。この態様のこの発明の薄型フレキシブルヒートパイプは、相互に異なる厚さの、または、相互に調質の異なる2枚の箔状のシートの周辺部を接合して形成された密閉されたコンテナと、コンテナ内に可動状態で収容されて蒸気流路を確保するウイックと、コンテナ内に封入された作動流体とを備えた薄型フレキシブルヒートパイプであって、2次元平面内での曲げ部、および/または、分岐部を備えた形状からなるコンテナを有している薄型フレキシブルヒートパイプである。
【0028】
図2に示すように、薄型フレキシブルヒートパイプ1は、複数の発熱体23、24から冷却手段22に熱を移動することができるように分岐部4を備えた形状のコンテナを有している。更に、薄型フレキシブルヒートパイプ1は、段差のある発熱体23、24と冷却手段22との熱的接続が容易なように、所定の部位において屈曲されている曲げ部5を有している。箔状シート2、3は、一方が厚く、他方が薄い金属箔、または、一方が調質の硬く、他方が調質の柔らかい金属箔からなっており、コンテナの内部には、例えば、スペーサとしての金属箔・ワイヤと、メッシュが可動状態で配置されている。
【0029】
これらの金属箔・ワイヤと、メッシュは、可動状態でコンテナ内に収納されているので、コンテナを屈曲しても、挫屈が生じることはない。更に、上述したように、箔状シートの一方が厚い金属箔、または、調質の硬い金属箔によって形成されているので、厚い金属箔、または、調質の硬い金属箔とスペーサとの間に蒸気流路を確保することができるとともに、同一の厚い金属箔、または、調質の硬い金属箔を用いた場合に起きる挫屈の発生を回避することができる。
【0030】
上述したように、この態様の薄型フレキシブルヒートパイプにおいては、2次元平面内で形状を拡張し例えば2つの発熱体から発生する熱を1つに集めて冷却手段に移動して放熱することができる。このように、本発明によると、ヒートパイプは単なる直線状の管ではなく2次元平面内で自由な形状をとることができ、従来のヒートパイプと比較して、商品の熱設計の自由度を向上することができる。
即ち、この態様の薄型フレキシブルヒートパイプによると、2次元平面内で自由に形状を拡張することができ、複数の発熱体と冷却手段との間の熱輸送を容易にし、段差のある発熱体(チップ等)と冷却手段(ヒートシンク等)とを、円滑に熱的に接続することができ、設計の自由度が著しく向上する。
【0031】
図3は、この発明の薄型フレキシブルヒートパイプの他の1つの態様を示す斜視図である。この発明の薄型フレキシブルヒートパイプは、相互に異なる厚さの、または、相互に調質の異なる2枚の箔状のシート2、3の周辺部を接合して形成された密閉されたコンテナと、コンテナ内に可動状態で収容されて蒸気流路を確保するウイックと、コンテナ内に封入された作動流体とを備えた薄型フレキシブルヒートパイプである。
【0032】
図3に示すように、薄型フレキシブルヒートパイプは、その中央部において発熱体23と熱的に接続されている。更に、コンテナの両端部6、7は上方に屈曲され、ヒートシンクとして機能している。即ち、コンテナの両端部は広い表面積を有しており、発熱体の熱によって蒸発した作動液がコンテナの両端部に移動して、熱を放出して液相に戻りウイックの毛管力によってコンテナ中央部の吸熱部に還流する。従って、コンテナの両端部は上述したように広い表面積によってヒートシンクとして機能する。
【0033】
箔状シート2、3は、一方が厚く、他方が薄い金属箔、または、一方が調質の硬く、他方が調質の柔らかい金属箔からなっており、コンテナの内部には、例えば、スペーサとしての金属箔・ワイヤと、メッシュが可動状態で配置されている。これらの金属箔・ワイヤと、メッシュは、可動状態でコンテナ内に収納されているので、コンテナを屈曲しても、挫屈が生じることはない。
【0034】
更に、上述したように、箔状シートの一方が厚い金属箔、または、調質の硬い金属箔によって形成されているので、厚い金属箔、または、調質の硬い金属箔とスペーサとの間に蒸気流路を確保することができるとともに、同一の厚い金属箔、または、調質の硬い金属箔を用いた場合に起きる挫屈の発生を回避することができる。
【0035】
上述したように、この態様の薄型フレキシブルヒートパイプは、ヒートパイプのコンテナ自体の一部をヒートシンクとして機能させたヒートパイプである。即ち、左右に上方に突き出した部分は、空気との伝熱面積が大きいので、放熱効果を得ることができる。なお、両端部は丸めたり、複数回折り曲げてもよい。
【0036】
図4は、この発明の薄型フレキシブルヒートパイプの他の態様の部分断面図である。この態様のこの発明の薄型フレキシブルヒートパイプは、相互に異なる厚さの、または、相互に調質の異なる2枚の箔状のシートの周辺部を接合して形成された密閉されたコンテナと、コンテナ内に可動状態で収容されて蒸気流路を確保するウイックと、コンテナ内に封入された作動流体とを備えた薄型フレキシブルヒートパイプである。
【0037】
図4に示すように、箔状シート2、3は、一方が厚く、他方が薄い金属箔、または、一方が調質の硬く、他方が調質の柔らかい金属箔からなっており、コンテナの内部には、例えば、スペーサとしての金属箔・ワイヤと、メッシュが可動状態で配置されている。箔状シート2、3は同一材質の厚さの異なる金属箔をもちいてもよいし、同一材質の同一厚さの金属箔を用いて所定の熱処理を行って調質硬さの異なる箔状シートを調製してもよい。
【0038】
図4に示す態様においては、下側の箔状シート3には厚さの大きい硬い金属箔を使用し、上側の箔状シート2には、厚さの小さい柔らかい金属箔を使用してコンテナを形成し、コンテナ内には相互に平行に配置された複数のワイヤが収容されている。図4に示すように、厚さの小さい柔らかい金属箔2は大気圧によって相互に平行に配置された複数のワイヤ8に押し付けられてワイヤを固定している。他方、厚さの大きい硬い金属箔3とワイヤとの間には蒸気流路が確保され、更に、強い毛管力が発揮される鋭角部分が形成されている。
【0039】
上述したワイヤは、可動状態でコンテナ内に収納されているので、コンテナを屈曲しても、挫屈が生じることはない。
上述したように、箔状シートの一方が厚い金属箔、または、調質の硬い金属箔によって形成されているので、厚い金属箔、または、調質の硬い金属箔とスペーサとの間に蒸気流路を確保することができるとともに、同一の厚い金属箔、または、調質の硬い金属箔を用いた場合に起きる挫屈の発生を回避することができる。更に、厚さの大きい硬い金属箔によって所望の平面度が得られる。
【0040】
換言すれば、コンテナの内部にはスペーサとしてのワイヤが設置されているが、柔らかい箔では大気圧を受けることによって蒸気流路が閉塞されてしまう。一方、硬い箔ではスペーサによって蒸気流路を確保することはできるが、挫屈などの虞がある。従って、柔らかい箔と硬い箔とを組合わせることによって、蒸気流路を確保しつつ挫屈し難いコンテナを得ることができる。
【0041】
更に、この発明の薄型フレキシブルヒートパイプは、箔状シートの一部に、エンボス加工を施して形成されたコンテナ内部に向かって突出した突出部を備え、突出部に溶接が施されて、突出部の表面の一部が対向する箔状シートに接合されている。上述した溶接がスポット溶接または超音波溶接によって行われている。図5は、エンボス加工部の選択的な接合状態を説明する図である。図6は、エンボス加工部の接触部の全てを接合した従来の場合を説明する拡大断面図である。図7は、エンボス加工部の接触部の一部を選択的に接合したこの発明の場合を説明する拡大断面図である。
【0042】
図5に示すように、箔状シートにエンボス加工が施され、コンテナ内部に向かって突出した突出部9を備えている。突出部9にスポット溶接または超音波溶接によって部分的に溶接が施され、突出部9の表面の一部が対向する箔状シートに接合されている。接合部を符号番号10で示す。
従来は図6に示すように、エンボス加工が施され形成された突出部19の対向する箔状シートとの接触部100の全てを接合していた。従来の接合方法によると、上側の箔状シートと下側の箔状シートとが完全に接合され、屈曲等の力が加わると挫屈が生じる可能性が高い。これに対して、図7に示すように、この発明の接合方法によると、エンボス加工が施され形成された突出部9の対向する箔状シートとの接触部10の一部が選択的に接合されるので、屈曲等の力が加わっても、エンボスによる撓み、接合されていない部分の存在によって、吸収され、挫屈が生じ難い。
【0043】
上述したように、コンテナを形成する箔状シートにエンボス加工を施し、形成された凹部の全てを接合せずに選択的に一部のみをスポット溶接または超音波溶接によって接合することによって、上側の箔状シートの長さに余裕ができ、屈曲させたときに曲率差を緩和させ、挫屈の生じる危険性を低減させることができる。
図8は、この発明の薄型フレキシブルヒートパイプの他の1つの態様を示す図である。この発明の薄型フレキシブルヒートパイプ1は、相互に異なる厚さの、または、相互に調質の異なる2枚の箔状のシート2、3の周辺部を接合して形成された密閉されたコンテナと、コンテナ内に可動状態で収容されて蒸気流路を確保するウイックと、コンテナ内に封入された作動流体とを備えた薄型フレキシブルヒートパイプであって、接合した周辺部の端部を折り返して形成された折り返し部11を備えている、薄型フレキシブルヒートパイプである。
【0044】
図8に示すように、相互に異なる厚さの、または、相互に調質の異なる2枚の箔状のシート2、3の周辺部を接合して形成された密閉されたコンテナを備えており、更に、接合した周辺部の端部を折り返して形成された折り返し部11を備えている。コンテナの中には、コンテナの長手方向に沿って複数の平行に配置されたワイヤ12およびワイヤに巻き付けられたメッシュ13が収容されている。一方の箔状シート2は柔らかい金属箔によって形成されているので、大気圧によってワイヤ12に巻き付けられたメッシュ13に向かって押し付けられ、ワイヤ12を固定する。
【0045】
箔状シート2、3は、一方が厚く、他方が薄い金属箔、または、一方が調質の硬く、他方が調質の柔らかい金属箔からなっており、コンテナの内部には、スペーサとしてのワイヤと、メッシュが可動状態で配置されている。これらのワイヤおよびメッシュは、可動状態でコンテナ内に収納されているので、コンテナを屈曲しても、挫屈が生じることはない。
【0046】
更に、上述したように、箔状シートの一方が厚い金属箔、または、調質の硬い金属箔によって形成されているので、厚い金属箔、または、調質の硬い金属箔とワイヤとの間に蒸気流路を確保することができるとともに、同一の厚い金属箔、または、調質の硬い金属箔を用いた場合に起きる挫屈の発生を回避することができる。更に、接合部に形成された折り返し部11は、接合端の強度を高め、密閉性に関する信頼性を向上することができる。
【0047】
図9は、この発明の薄型フレキシブルヒートパイプの他の1つの態様を示す図である。この発明の薄型フレキシブルヒートパイプ1は、相互に異なる厚さの、または、相互に調質の異なる2枚の箔状のシート2、3の周辺部を接合して形成された密閉されたコンテナと、コンテナ内に可動状態で収容されて蒸気流路を確保するウイックと、コンテナ内に封入された作動流体とを備えた薄型フレキシブルヒートパイプであって、接合した周辺部の端部を折り返して形成された折り返し部11を備え、折り返し部には更にワイヤが挿入されている、薄型フレキシブルヒートパイプである。
【0048】
図9に示すように、相互に異なる厚さの、または、相互に調質の異なる2枚の箔状のシート2、3の周辺部を接合して形成された密閉されたコンテナを備えており、接合した周辺部の端部を折り返して形成された折り返し部11を備えており、折り返し部にはワイヤ14が挿入されている。コンテナの中には、コンテナの長手方向に沿って複数の平行に配置されたワイヤ12およびワイヤに巻き付けられたメッシュ13が収容されている。この態様では、折り曲げ部を水平方向にずらしながら概ね左右対称に偏平渦巻き状に折り曲げたメッシュ13の折り曲げ部のそれぞれに、ワイヤ12が挿入されて、複数本のワイヤが平行に配置・固定されている。一方の箔状シート2は柔らかい金属箔によって形成されているので、大気圧によってワイヤ12に巻き付けられたメッシュ13に向かって押し付けられ、上述したメッシュの巻き付けと共にワイヤ12を固定する。
【0049】
箔状シート2、3は、一方が厚く、他方が薄い金属箔、または、一方が調質の硬く、他方が調質の柔らかい金属箔からなっており、コンテナの内部には、スペーサとしてのワイヤと、メッシュが可動状態で配置されている。これらのワイヤおよびメッシュは、可動状態でコンテナ内に収納されているので、コンテナを屈曲しても、挫屈が生じることはない。
【0050】
更に、上述したように、箔状シートの一方が厚い金属箔、または、調質の硬い金属箔によって形成されているので、厚い金属箔、または、調質の硬い金属箔とワイヤとの間に蒸気流路を確保することができるとともに、同一の厚い金属箔、または、調質の硬い金属箔を用いた場合に起きる挫屈の発生を回避することができる。更に、接合部に形成された折り返し部11には、ワイヤが挿入されているので、接合端の強度を高め、密閉性に関する信頼性を向上すると共に応力を分散させ挫屈を防止する働きが得られる。
【0051】
図10は、この発明の薄型フレキシブルヒートパイプの他の態様を示す斜視図である。図10に示す態様は、相互に異なる厚さの、または、相互に調質の異なる2枚の箔状のシート2、3の周辺部を接合して形成された密閉されたコンテナと、コンテナ内に可動状態で収容されて蒸気流路を確保するウイックと、コンテナ内に封入された作動流体とを備えた薄型フレキシブルヒートパイプであって、接合した周辺部の端部を折り返して形成された折り返し部11を備え、折り返し部には更にワイヤ14が挿入されている、薄型フレキシブルヒートパイプである。更に、コンテナには、エンボス加工9が施され、形成された突出部の対向する箔状シートとの接触部の一部10が選択的に接合されている。
【0052】
図11は、この発明のL字状の薄型フレキシブルヒートパイプの1つの態様を示す斜視図である。この態様は、L字状の相互に異なる厚さの、または、相互に調質の異なる2枚の箔状のシート2、3の周辺部を接合して形成された密閉されたコンテナと、コンテナ内に可動状態で収容されて蒸気流路を確保するウイックと、コンテナ内に封入された作動流体とを備えた薄型フレキシブルヒートパイプであって、接合した周辺部の端部を折り返して形成された折り返し部11を備え、折り返し部には更にワイヤ14が挿入されている、薄型フレキシブルヒートパイプである。L字状のコンテナの中央角部にチップ15が熱的に接続されている。この態様の薄型フレキシブルヒートパイプにおいてもエンボスを形成し、その一部を選択的に接合してもよい。
【0053】
【発明の効果】
上述したように、この発明によると、蒸気流路を確保し、屈曲が容易で、設計の自由度の高い、CPU等の発熱電子部品を効率的に冷却するために使用することができる、薄型フレキシブルヒートパイプを提供する。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、この発明の薄型フレキシブルヒートパイプの1つの態様を示す側面図である。
【図2】図2は、この発明の薄型フレキシブルヒートパイプの他の1つの態様を示す側面図である。
【図3】図3は、この発明の薄型フレキシブルヒートパイプの他の1つの態様を示す斜視図である。
【図4】図4は、この発明の薄型フレキシブルヒートパイプの他の態様の部分断面図である。
【図5】図5は、エンボス加工部の選択的な接合状態を説明する図である。
【図6】図6は、エンボス加工部の接触部の全てを接合した従来の場合を説明する拡大断面図である。
【図7】図7は、エンボス加工部の接触部の一部を選択的に接合したこの発明の場合を説明する拡大断面図である。
【図8】図8は、この発明の薄型フレキシブルヒートパイプの他の1つの態様を示す図である。
【図9】図9は、この発明の薄型フレキシブルヒートパイプの他の1つの態様を示す図である。
【図10】図10は、この発明の薄型フレキシブルヒートパイプの他の態様を示す斜視図である。
【図11】図11は、この発明のL字状の薄型フレキシブルヒートパイプの1つの態様を示す斜視図である。
【符号の説明】
1.薄型フレキシブルヒートパイプ
2.箔状のシート
3.箔状のシート
4.分岐部
5.曲げ部
6、7.端部
8.ワイヤ
9.エンボス加工部
10.接合部
11.折り返し部
12.ワイヤ
13.メッシュ
14.ワイヤ
15.チップ
22.ヒートシンク
23、24.発熱体
Claims (7)
- 相互に異なる厚さの2枚の箔状のシートの周辺部を接合して形成された密閉されたコンテナと、前記コンテナ内に可動状態で収容されているウイックと、前記コンテナ内に封入された作動流体とを備えた薄型フレキシブルヒートパイプ。
- 相互に調質の硬さの異なる2枚の箔状のシートの周辺部を接合して形成された密閉されたコンテナと、前記コンテナ内に可動状態で収容されているメッシュからなるウイックと、前記コンテナ内に封入された作動流体とを備えた薄型フレキシブルヒートパイプ。
- 前記箔状シートの何れか一方の箔状シートの一部に波状の塑性変形が施されている、請求項1または2に記載の薄型フレキシブルヒートパイプ。
- 前記箔状シートの一部に、エンボス加工を施して形成されたコンテナ内部に向かって突出した突出部を備え、前記突出部に溶接が施されて、前記突出部の表面の一部が対向する箔状シートに接合されている、請求項1または2に記載の薄型フレキシブルヒートパイプ。
- 接合した前記周辺部の端部を折り返して形成された折り返し部を備えている、請求項1から4の何れか1項に記載の薄型フレキシブルヒートパイプ。
- 前記折り返し部にワイヤが挿入されている、請求項5に記載の薄型フレキシブルヒートパイプ。
- 2次元平面内での曲げ部、および/または、分岐部を備えた形状の請求項1から6の何れか1項に記載の薄型フレキシブルヒートパイプ。
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