JP2004026734A - 月経随伴症状または更年期障害の予防および/または治療のための医薬および食品 - Google Patents
月経随伴症状または更年期障害の予防および/または治療のための医薬および食品 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】月経に随伴する身体的もしくは精神的症状、または更年期障害を予防または低減し、且つ長期服用しても副作用の心配がないなど安全性が高い医薬および食品の提供。
【解決手段】本医薬および食品は、有効量のCoQ10を有効成分として含有することを特徴とする。
【選択図】 なし
【解決手段】本医薬および食品は、有効量のCoQ10を有効成分として含有することを特徴とする。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、月経随伴症状または更年期障害の予防および/または治療のためのコエンザイムQ10を有効成分とする医薬および食品に関する。詳細には、月経痛、月経前症候群、月経困難症等の月経随伴症状、および更年期障害を予防および/またはその症状を緩和・低減するための医薬および食品に関する。
【0002】
【従来の技術】
コエンザイムQ10(以下、CoQ10と略す)は、ユビデカレノンまたは補酵素Q10として知られる高等動物に存在する補酵素Qの1種である。CoQ10は、補酵素として生物活性をもつだけでなく、酸素利用効率の改善作用を有するビタミン様作用物質として知られており、鬱血組織に作用するほか、生体膜の安定化や抗酸化などの作用を有すると考えられ、臨床的には狭心症、心不全、虚血性心疾患の症状改善に薬理効果が認められている。また、軽度および中等度の鬱血精神不全症状の治療薬として、または本態性高血圧症、歯周病疾患、制癌剤や向精神薬の副作用予防などにも有効であると報告されている。さらに、皮膚外用剤としての老化防止に対する有効性も期待されている。
CoQ10は、日本において医薬品として30年近い使用実績があり、重篤な副作用は報告されておらず、また海外でも健康食品として使用されているが、副作用等の問題は報告されていない。
このようにCoQ10は高い生理活性を有し、且つ生体内に存在する安全性の高い物質と考えられている。
【0003】
一方、月経随伴症状としては、月経時における下腹痛、腰痛などの月経痛・生理痛などの他に、下腹部痛、腰痛、頭痛などの症状が酷く、場合により悪心、嘔吐、下痢、倦怠感などが発症する月経困難症、月経前から様々な身体的、精神的な症状が出現する月経前症候群(Premenstrual Syndrome:PMS)などが知られている。また、月経痛は、その症状の程度に加え、痛みの感受性の強弱に個人差があり、客観的な尺度がないのため、月経痛が正常の範囲であるか否かを明確に判定できない場合が多い。月経痛や月経困難症には鎮痛剤投与が一般的であり、他にホルモン療法、食事療法、精神身体の安静が行われている。しかし、鎮痛剤の投与やホルモン療法には副作用の心配があり、食事療法などはその改善効果が十分でない。
【0004】
月経前症候群は、女性の月経前のおよそ3日〜2週間前に始まり、月経の開始またはその数日以内に減退・消失する身体的、精神的症状である。その具体的な症状には、身体的症状として腰痛、下腹痛、下腹部充満感、乳房痛、乳房充満感、肩凝り、頭痛、むくみ、便秘、下痢、食欲増加もしくは減退、のどの渇き、肌荒れまたはニキビなど、精神的症状として憂鬱感、いらいら、不安感、孤独感、意欲低下、気分の高揚、性欲の亢進もしくは減退または攻撃的になるなどが含まれる。月経前症候群は、特に閉経前の女性に多く、症状の重さの程度の違いはあるが、閉経前の女性の半数以上が何らかの症状を有していると考えられている。これらの症状の改善には、利尿剤、抗鬱剤、精神安定剤の投与、鎮静抗炎症薬、プロゲステロン等のホルモン剤または経口避妊薬が投与されるが、いずれも副作用があるため好ましくない。
【0005】
月経は毎月の生理現象であり、これに随伴する上述の症状は程度の強弱に関わらず女性にとって精神的な苦痛となっている。こうした状況の中で、月経随伴症状を予防、緩和または軽減し、女性のQOL(Quality of Life)を向上させることが求められているが、十分な改善効果が得られ、且つ安全性の高い方法や治療薬は知られていない。
【0006】
また、更年期障害は、加齢過程により卵巣機能が低下し始め消失する過程において生じうる症状または障害であり、更年期症状と称されることもある。更年期障害は、卵巣機能の低下、環境的要因、心因的要因などに起因する症状であり、主に血管運動神経障害様症状、精神神経障害様症状、知覚障害症状、泌尿生殖系障害症状、運動器官障害症状、皮膚泌尿系障害症状、消化器系障害症状およびその他の症状に分類されている。これらの症状に対して、エストロゲンなどのホルモンを補充するホルモン補充療法が行われ、更年期症状の改善に役立っている。しかし、これら症状または障害には非エストロゲン依存性のものがあり、また、他覚的所見に乏しい不定愁訴を訴える患者も非常に多い。このため、更年期症状または障害を予防、治療または低減することにより、女性のQOLを向上させ、且つ安全性の高い方法や治療薬が求められている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の課題は、月経に随伴する身体的もしくは精神的症状、または更年期障害を予防または低減し、且つ長期服用しても副作用の心配がないなど安全性が高い薬剤、およびかかる薬剤の摂取を容易にする食品を提供することである。
【0008】
【発明を解決するための手段】
本発明者等は、上記した課題の解決のために鋭意研究した結果、CoQ10を摂取することにより、月経随伴症状または更年期症状を予防し、且つ低減しうることを見出した。
すなわち、本発明は、月経痛、月経困難症、月経前症候群などの月経随伴症状または更年期障害の予防および/または治療のためのCoQ10を有効成分とする医薬に関する。
【0009】
本発明はまた、月経痛、月経困難症、月経前症候群などの月経随伴症状、更年期障害における症状の予防または低減のための食品に関する。当該製剤および食品中ののCoQ10の含有量は、0.0001〜75重量%、好ましくは0.001〜35重量%の範囲である。
【0010】
CoQ10は融点の低い親油性固体であり、水に難溶性のために経口投与における吸収性が低いことが知られている。このため、医薬製剤および食品中のCoQ10の分散安定性、結晶析出防止性などの性状の安定性および生体吸収性を向上させるのが好ましい。本発明において、CoQ10に医薬または食品の製造において慣用される乳化剤、安定化剤を配合することによりCoQ10の性状を安定化してもよい。また、CoQ10を鶏卵タンパク質、乳タンパク質、肉タンパク質などの動物性タンパク質;大豆タンパク質もしくは大豆ペプチド等の植物性タンパク質またはこれらの加水分解物と配合するか、さらに糖質、脂質および/または食物繊維等と配合することによりCoQ10を安定化し、さらに生体吸収性を向上させることができる。
【0011】
CoQ10を乳化組成物として用いる場合には、例えばCoQ10を油相成分としてショ糖酢酸イソ酪酸エステルなどのショ糖エステル、中鎖脂肪酸エステルなどに溶解し、多価アルコールおよび乳化剤を用いて乳化処理するか、または有機酸などの添加剤の存在下または不存在下に、アラビアガム、寒天、水溶性コーンファイバー、デンプン、ゼラチン、キサンタンガム、カゼイン、デキストリン、カルメロースナトリウム、ポリビニルピロリドンなどの水溶性物質中にCoQ10を分散・乳化することにより、性状の安定性および生体吸収性を向上させることができる。
【0012】
本発明の医薬および食品により改善される月経随伴症状としては、月経時における正常な範囲の下腹痛、腰痛などの月経痛・生理痛、月経困難症における下腹部痛、腰痛、頭痛、悪心、嘔吐、下痢、倦怠感など、並びに月経前症候群における身体的症状、例えば腰痛、下腹痛、下腹部充満感、乳房痛、乳房充満感、肩凝り、頭痛、むくみ、便秘、下痢、食欲増加もしくは減退、のどの渇き、肌荒れまたはニキビなど、および精神的症状、例えば憂鬱感、いらいら、不安感、孤独感、意欲低下、気分の高揚、性欲の亢進もしくは減退または攻撃的になるなどが含まれる。
【0013】
また、本発明の医薬および食品により改善される更年期症状としては、血管運動神経障害様症状として、熱感、冷え性、のぼせ、心悸亢進感、頻脈、徐脈など、精神神経障害様症状として、頭痛、めまい、不眠、耳鳴、恐怖感、圧迫感、記憶力減退など、知覚障害症状として、しびれ感、知覚過敏、知覚麻痺、蟻走感など、泌尿生殖系障害症状として、頻尿、排尿痛など、運動器官障害症状として、肩こり、腰痛、関節痛、脊柱痛、筋痛、座骨痛など、皮膚泌尿系障害症状として、発汗亢進、口内乾燥感、唾液分泌増加など、消化器系障害症状として、食欲不振、悪心、嘔吐、便秘、下痢など、並びにその他の症状として、疲労感、腹痛などが含まれる。
【0014】
さらに、本発明のCoQ10を有効成分とする医薬および食品は、月経に関連する症状と同様な症状を発症する更年期障害にも有効に適用することができる。本発明の医薬の投与または食品の摂取により、更年期障害における種々の身体的・精神的症状が緩和される。
【0015】
【発明の実施の形態】
CoQ10を有効成分とする予防または治療のための医薬の剤型としては、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤、懸濁剤、坐剤、軟膏、クリーム剤、ゲル剤、貼付剤、吸入剤、注射剤等が挙げられる。これらの製剤は常法に従って調製されるが、CoQ10は水に難溶性であるため、植物性油、動物性油等の非親水性有機溶媒に溶解するか、または乳化剤、分散剤もしくは界面活性剤等を用いて水性溶液中に分散・乳化させて用いる。その他、CoQ10の吸収性を高めるために、平均粒子径を1ミクロン程度まで微粉砕し用いることも可能である。
【0016】
製剤化のために用いることができる添加剤には、例えば大豆油、サフラー油、オリーブ油、胚芽油、ヒマワリ油、牛脂、イワシ油などの動植物油、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトールなどの多価アルコール、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルなどの界面活性剤、精製水、乳糖、澱粉、結晶セルロース、D−マンニトール、レシチン、アラビアガム、ソルビトール液、糖液などの賦形剤、甘味料、着色料、pH調製剤、香料などを挙げることができる。
なお、液体製剤は、服用時に水または他の適当な媒体に溶解または懸濁する形であってもよい。また錠剤、顆粒剤は周知の方法でコーティングしてもよい。
【0017】
本発明の医薬はその剤形により異なるが、一般的にはCoQ10を0.0001〜75重量%、好ましくは0.001〜35重量%含有し、これはCoQ10の日用量、さらには分散安定性や風味等を考慮して適宜決定される。また、CoQ10の日用量は、治療すべき症状やその程度、患者または摂取者の健康状態等により異なるが、通常は5〜200mg範囲、好ましくは10〜100mgである。
【0018】
CoQ10を経口的に投与または摂取する場合、カプセル剤による摂取が簡便であるが、種々の形態の食品にCoQ10を添加して種々の形態の食品を製造し、本発明の目的のためにこれを摂取させてもよい。カプセル剤のうち、ソフトカプセルの製法には、カプセルの成型と内容薬剤の充填を同時に行う浸漬法、打ち抜き法、滴下法などが含まれる。一般的には打ち抜き法が用いられているが、この方法はゼラチン溶液を薄く展延したのち冷却、ゲル化したあとゼラチンシートとし、2枚のゼラチンシートの間に液を入れ金型で両面からこれを圧して液をカプセル内部に注入し、直ちにゼラチンシートを加熱接着させて打ち抜き、その後乾燥させソフトカプセル剤を得ることからなる。
【0019】
CoQ10を添加・配合し得る食品の例としては、液状食品、例えば流動食、乳飲料などの液状食品、バター、マヨネーズ、ショートニング、マーガリン、種々のサラダドレッシング、パン類、麺類、パスタ、菓子、例えばクッキー類、チョコレート、キャンディ、チューインガムなど、CoQ10を添加・配合できる全ての食品が挙げられる。
【0020】
液状食品は、最初から液状食品として調製してもよいが、粉末またはペースト状で調製し、所定量の水性液体に溶解するものでもよい。液状食品は、風味をよくするために種々の添加剤、例えば呈味成分、フレーバー等を添加するのが好ましい。さらに各種栄養素、種々のビタミン、ミネラル、食物繊維、多価不飽和脂肪酸などのその他の栄養素、分散剤および乳化剤等の安定剤、甘味料、呈味成分、フレーバー等を配合することができる。
【0021】
本発明の食品が流動食である場合、CoQ100.0005〜0.2重量部、その他の栄養素としてCoQ101重量部に対し、タンパク質25〜1500重量部、糖質50〜6000重量部および脂質0〜8重量部、場合により水性液体200〜80,000重量部を含み、且つ100mL当たりのエネルギーが60kcal以上であるのが好ましい。流動食は、予め水性液体を添加して液状に調製してもよいが、粉末またはペースト状で調製し、摂取時に所定量の水性液体に溶解または分散させて用いてもよい。
【0022】
下記の実施例により本発明を説明するが、本究明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
【0023】
【実施例】
実施例1
CoQ10(日清ファルマ(株)製)30g、結晶セルロース(旭化成(株)製)140g、乳糖(DMV社製)100g、カルメロース−カルシウム(CMC−Ca)(五徳薬品(株)製)15g、ヒドロキシプロピルセルロース(タイプL)(HPC−L)(日本曹達(株)製)10gおよび精製水30mLを練合機に添加し、通常の方法により5分間練合する。練合終了後、10メッシュで篩過し、乾燥機中にて50℃で乾燥する。乾燥後、整粒し、ステアリン酸マグネシウム(太平化学工業(株)製)を5g添加する。1分混合した後、打錠して、1錠当たり約100mg、直径6.5mmの錠剤を得た。この錠剤は、1錠中CoQ10を10mg含有する。
【0024】
実施例2
CoQ10(日清ファルマ(株)製)3g、結晶セルロース(旭化成(株)製)90g、乳糖(DMV社製)182g、CMC−Ca(五徳薬品(株)製)10g、HPC−L(日本曹達(株)製)10gおよび精製水40mLを練合機に添加し、通常の方法により5分間練合する。練合終了後、8メッシュで篩過し、乾燥機にて50℃で乾燥する。乾燥後、整粒し、ステアリン酸マグネシウム(太平化学工業(株)製)5g添加しする。1分混合した後、CoQ10を1重量%含有する顆粒剤を得た。
【0025】
実施例3
約65℃の純水750gにカゼインナトリウム(DMV社製)40g、マルトテキストリン(三和デンプン社製)160gを添加して溶解させ、次いでポリグリセリン脂肪酸エステル(日光ケミカルズ(株)製)5g、MCT20gを添加・混合した。そこにCoQ10(日清ファルマ(株)製)100mgを添加し、次いでビタミンミックス5gおよびミネラル微量の各成分混合液を添加した。混合液をホモミキサー(特殊機化工業製)に投入し、約8000rpmにて15分間粗乳化した。得られた乳化液を約20℃に冷却し、香料を添加後、最終メスアップを行った。この液をパウチへ本液230g充填後、窒素置換を行いながらパウチを密封し、121℃で15分間殺菌を行って濃厚流動食を得た。流動食中のCoQ10の含有量は、0.01%であった。
【0026】
実施例4
CoQ10(日清ファルマ(株)製)15gを70℃に加温したショ糖脂肪酸エステル(三菱化学フーズ(株)製)35gに溶解させ、これを油相とした。
これとは別に、グリセリン(日本油脂(株)製)45gに乳化剤としてモノステアリン酸デカグリセリル(デカグリン1−S:日光ケミカルズ(株)製)5gを添加し、60℃に加温して溶解させる。この溶液に先の油相を攪拌しながら徐々に添加する。混合液を乳化機(三和機械(株)製H−11型)を用いて、乳化圧力約100kgで乳化処理して、約80gの乳化組成物を得た。さらに、得られた乳化組成物10gを炭酸水90mLに添加して攪拌することにより、炭酸飲料100mLを得た。この炭酸飲料のCoQ10の含有量は、1.5%であった。
【0027】
実施例5
CoQ10(日清ファルマ(株)製)30gを食用油(小麦胚芽油;日清ファルマ(株)製)270gに添加する(濃度10重量%)。約60℃で窒素を吹きながらCoQ10を溶解し、アジホモミクサーを用い均一にする。次いで、約20℃以下に冷却し、CoQ10の結晶を析出させた後、25℃付近の室温に戻し、CoQ10含有素材を得た。
【0028】
このCoQ10含有素材をソフトカプセル、ハードカプセルに充填し、CoQ10含有ソフトカプセルとハードカプセルを打ち抜き法により製造する。
(1)ソフトカプセルの製造
ゼラチン100重量部に対しグリセリン30重量%を添加し、膨潤させ、溶解したゼラチンシートを用いた。内溶液として先に製造したCoQ10含有素材を1カプセル当たり300mgの内容量になるように充填し、その後乾燥し、ソフトカプセルを得た。このソフトカプセルは1カプセル当たりCoQ10を30mg含有していた。
【0029】
(2)ハードカプセルの製造
食品用ハードカプセル(透明な2号サイズ;ワーナーランバート社製)にCoQ10含有素材を1カプセル当たり300mgの内容量になるように充填した。その後、ハードカプセルは1カプセル当たりCoQ10を30mg含有していた。
【0030】
実施例6
小麦粉(強力粉)150gとドライイースト2gを混ぜる。他に、CoQ101g、砂糖20g、食塩3g、脱脂粉乳6gを温湯70gに溶かし、鶏卵1個を添加してよく混ぜる。これを小麦粉に加え、良く手でよくこねた後、バター約40gを加えてよくこね、20個のロールパン生地を作る。次いで、発酵させた後、表面に溶き卵を塗り、オーブンにて180℃で約15分焼き、ロールパンを製造した。このロールパンは、1個当たりCoQ10を約50mg含有していた。
【0031】
実施例7
パスタ用のミートソース一人前(150g)を鍋に入れ、同時に実施例5で製造したCoQ10含有ハードカプセルを1個(CoQ1030mg相当)を加え、ミートソースを温めながらハードカプセルを溶解し、CoQ10を含有するパスタ用ミートソースを得た。このソースをパウチへ充填した後、窒素置換を行いながらパウチを密封し、121℃で15分間殺菌を行ってCoQ10パスタ用ミートソースを得た。
【0032】
実施例8
お米2合を用いて一般的な水量に対し、実施例5で製造したCoQ10含有ソフトカプセル3個(CoQ1090mg相当)を加え炊飯し、これを慣用の方法に従ってレトルト用パックに充填した後、窒素置換を行いながら密封し、121℃で15分間殺菌を行ってレトルトご飯を得た。このレトルトご飯は1食分当たりCoQ10約30mg含有しており、また外観、味、食感ともに良好であった。
【0033】
実施例9
小麦粉(中力粉)300gに対して、水150gにCoQ101g、食塩15gを分散させ、良く混ぜこねて寝かす。この後、生地を延伸し、幅約5mmで切断してうどんを製造した。これを沸騰したお湯で約10分茹でたところ、外観、味、食感ともに良好であった。このうどんは、1食分当たりCoQ10約30mg含有していた。
【0034】
評価試験
月経随伴症状に対する本発明の薬剤の効果を下記の試験により評価した。なお、本試験では、実施例5で製造したCoQ10含有ソフトカプセル(CoQ1030mg)、対照としてCoQ10を含まない外観・色調が同一のプラセボカプセルを用いた。なお、CoQ10含有カプセルとプラセボカプセルは識別できないようにした。
【0035】
(1)月経痛または月経困難症に対する効果
月経の度に強い下腹部痛、腰痛、頭痛の経験がある14名の女性(23〜53歳)に月経開始時からCoQ10含有カプセルまたはプラセボカプセルを朝夜の2回(1回1カプセル)服用させた。服用開始後2ヶ月時(服用開始時から2度目の月経時)において、下記の評価基準において症状の改善について評価した。
なお、最初の7名には実施例5のCoQ10含有ソフトカプセル(1日量=60mg)を2ヶ月間服用させてその効果を評価した後、2ヶ月間隔をあけて、プラゼボカプセルを同様に2ヶ月間服用させて同様に評価した。また、残りの7名には先にプラゼボカプセルを2ヶ月間服用させて、2ヶ月間隔をあけて、CoQ10含有ソフトカプセル(1日量=60mg)を同様に2ヶ月間服用させた。各カプセル剤について、14名の評価値の平均値を以下に示す。
・評価基準:
4:服用前と比較して月経時の痛みは顕著に低減した
3:月経時の痛みはあるが緩和されており、鎮痛剤を服用するほどではない
2:月経時の痛みはある程度緩和された
1:月経時の痛みは服用前と変わらない。
【0036】
その結果、本発明のCoQ10含有製剤を服用した場合、月経時の痛みが有意に低減されることが示された。
【0037】
(2)月経前症候群(PMS)に対する効果
月経前に、PMS症候群として腰痛、下腹痛、肩凝り、頭痛、むくみなどの身体的症状と憂鬱感、いらいら、不安感などの精神的症状がある14名の女性(23〜44歳)に上記(1)と同様にCoQ10含有ソフトカプセルとプラゼボカプセルを服用させた。14名のうち、7名(被験者A〜G)にはCoQ10含有ソフトカプセル(1日量=60mg)を、残りの7名(被験者H〜N)にはプラゼボカプセルを先に服用させ、2ヶ月間隔をあけて、他方のカプセル剤を服用させた。各被験者について、各カプセル剤服用後2ヶ月時(服用開始時から2度目の月経前後)における症状を下記の評価基準においてその効果を評価した。なお、先にCoQ10含有カプセルを服用したグループの結果は表1に、先にプラセボを服用したグループの結果は表2に示す。
評価基準
5:身体的症状および精神的症状が共に顕著に緩和された。
4:身体的症状または精神的症状のいずれか一方が顕著に緩和され、且つ他方も緩和された。
3:身体的症状および精神的症状が共にある程度緩和された
2:身体的症状または精神的症状のいずれか一方がある程度緩和された
1:身体的症状および精神的症状が共に服用前と変わらない
【0038】
【表1】
【表2】
【0039】
表1および2から、本発明のCoQ10含有製剤を服用した場合、PMS症候群の症状のうち身体的症状および精神的症状が共にプラセボと比較して有意に低減されることが示された。これらの結果から、本発明のCoQ10含有製剤は、月経前症候群の予防および症状の低減に有用であることが示された。
【0040】
【発明の効果】
本発明によれば、月経痛、月経困難症、月経前症候群などの月経随伴症状または更年期障害の予防および/または治療のための医薬および食品が提供される。本発明の医薬は、月経随伴症状、更年期障害の身体的および精神的症状を予防および/またはその症状を低減し、且つ長期服用しても副作用の心配がなく安全性が高い。また、本発明の食品は、月経随伴症状または更年期障害の予防または治療に必要な量のCoQ10を食品として日常的に摂取することができる。このため、本発明の医薬および食品は、月経から閉経までの長期間にわたり、女性のQOLを向上させるために極めて有用である。
【発明が属する技術分野】
本発明は、月経随伴症状または更年期障害の予防および/または治療のためのコエンザイムQ10を有効成分とする医薬および食品に関する。詳細には、月経痛、月経前症候群、月経困難症等の月経随伴症状、および更年期障害を予防および/またはその症状を緩和・低減するための医薬および食品に関する。
【0002】
【従来の技術】
コエンザイムQ10(以下、CoQ10と略す)は、ユビデカレノンまたは補酵素Q10として知られる高等動物に存在する補酵素Qの1種である。CoQ10は、補酵素として生物活性をもつだけでなく、酸素利用効率の改善作用を有するビタミン様作用物質として知られており、鬱血組織に作用するほか、生体膜の安定化や抗酸化などの作用を有すると考えられ、臨床的には狭心症、心不全、虚血性心疾患の症状改善に薬理効果が認められている。また、軽度および中等度の鬱血精神不全症状の治療薬として、または本態性高血圧症、歯周病疾患、制癌剤や向精神薬の副作用予防などにも有効であると報告されている。さらに、皮膚外用剤としての老化防止に対する有効性も期待されている。
CoQ10は、日本において医薬品として30年近い使用実績があり、重篤な副作用は報告されておらず、また海外でも健康食品として使用されているが、副作用等の問題は報告されていない。
このようにCoQ10は高い生理活性を有し、且つ生体内に存在する安全性の高い物質と考えられている。
【0003】
一方、月経随伴症状としては、月経時における下腹痛、腰痛などの月経痛・生理痛などの他に、下腹部痛、腰痛、頭痛などの症状が酷く、場合により悪心、嘔吐、下痢、倦怠感などが発症する月経困難症、月経前から様々な身体的、精神的な症状が出現する月経前症候群(Premenstrual Syndrome:PMS)などが知られている。また、月経痛は、その症状の程度に加え、痛みの感受性の強弱に個人差があり、客観的な尺度がないのため、月経痛が正常の範囲であるか否かを明確に判定できない場合が多い。月経痛や月経困難症には鎮痛剤投与が一般的であり、他にホルモン療法、食事療法、精神身体の安静が行われている。しかし、鎮痛剤の投与やホルモン療法には副作用の心配があり、食事療法などはその改善効果が十分でない。
【0004】
月経前症候群は、女性の月経前のおよそ3日〜2週間前に始まり、月経の開始またはその数日以内に減退・消失する身体的、精神的症状である。その具体的な症状には、身体的症状として腰痛、下腹痛、下腹部充満感、乳房痛、乳房充満感、肩凝り、頭痛、むくみ、便秘、下痢、食欲増加もしくは減退、のどの渇き、肌荒れまたはニキビなど、精神的症状として憂鬱感、いらいら、不安感、孤独感、意欲低下、気分の高揚、性欲の亢進もしくは減退または攻撃的になるなどが含まれる。月経前症候群は、特に閉経前の女性に多く、症状の重さの程度の違いはあるが、閉経前の女性の半数以上が何らかの症状を有していると考えられている。これらの症状の改善には、利尿剤、抗鬱剤、精神安定剤の投与、鎮静抗炎症薬、プロゲステロン等のホルモン剤または経口避妊薬が投与されるが、いずれも副作用があるため好ましくない。
【0005】
月経は毎月の生理現象であり、これに随伴する上述の症状は程度の強弱に関わらず女性にとって精神的な苦痛となっている。こうした状況の中で、月経随伴症状を予防、緩和または軽減し、女性のQOL(Quality of Life)を向上させることが求められているが、十分な改善効果が得られ、且つ安全性の高い方法や治療薬は知られていない。
【0006】
また、更年期障害は、加齢過程により卵巣機能が低下し始め消失する過程において生じうる症状または障害であり、更年期症状と称されることもある。更年期障害は、卵巣機能の低下、環境的要因、心因的要因などに起因する症状であり、主に血管運動神経障害様症状、精神神経障害様症状、知覚障害症状、泌尿生殖系障害症状、運動器官障害症状、皮膚泌尿系障害症状、消化器系障害症状およびその他の症状に分類されている。これらの症状に対して、エストロゲンなどのホルモンを補充するホルモン補充療法が行われ、更年期症状の改善に役立っている。しかし、これら症状または障害には非エストロゲン依存性のものがあり、また、他覚的所見に乏しい不定愁訴を訴える患者も非常に多い。このため、更年期症状または障害を予防、治療または低減することにより、女性のQOLを向上させ、且つ安全性の高い方法や治療薬が求められている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の課題は、月経に随伴する身体的もしくは精神的症状、または更年期障害を予防または低減し、且つ長期服用しても副作用の心配がないなど安全性が高い薬剤、およびかかる薬剤の摂取を容易にする食品を提供することである。
【0008】
【発明を解決するための手段】
本発明者等は、上記した課題の解決のために鋭意研究した結果、CoQ10を摂取することにより、月経随伴症状または更年期症状を予防し、且つ低減しうることを見出した。
すなわち、本発明は、月経痛、月経困難症、月経前症候群などの月経随伴症状または更年期障害の予防および/または治療のためのCoQ10を有効成分とする医薬に関する。
【0009】
本発明はまた、月経痛、月経困難症、月経前症候群などの月経随伴症状、更年期障害における症状の予防または低減のための食品に関する。当該製剤および食品中ののCoQ10の含有量は、0.0001〜75重量%、好ましくは0.001〜35重量%の範囲である。
【0010】
CoQ10は融点の低い親油性固体であり、水に難溶性のために経口投与における吸収性が低いことが知られている。このため、医薬製剤および食品中のCoQ10の分散安定性、結晶析出防止性などの性状の安定性および生体吸収性を向上させるのが好ましい。本発明において、CoQ10に医薬または食品の製造において慣用される乳化剤、安定化剤を配合することによりCoQ10の性状を安定化してもよい。また、CoQ10を鶏卵タンパク質、乳タンパク質、肉タンパク質などの動物性タンパク質;大豆タンパク質もしくは大豆ペプチド等の植物性タンパク質またはこれらの加水分解物と配合するか、さらに糖質、脂質および/または食物繊維等と配合することによりCoQ10を安定化し、さらに生体吸収性を向上させることができる。
【0011】
CoQ10を乳化組成物として用いる場合には、例えばCoQ10を油相成分としてショ糖酢酸イソ酪酸エステルなどのショ糖エステル、中鎖脂肪酸エステルなどに溶解し、多価アルコールおよび乳化剤を用いて乳化処理するか、または有機酸などの添加剤の存在下または不存在下に、アラビアガム、寒天、水溶性コーンファイバー、デンプン、ゼラチン、キサンタンガム、カゼイン、デキストリン、カルメロースナトリウム、ポリビニルピロリドンなどの水溶性物質中にCoQ10を分散・乳化することにより、性状の安定性および生体吸収性を向上させることができる。
【0012】
本発明の医薬および食品により改善される月経随伴症状としては、月経時における正常な範囲の下腹痛、腰痛などの月経痛・生理痛、月経困難症における下腹部痛、腰痛、頭痛、悪心、嘔吐、下痢、倦怠感など、並びに月経前症候群における身体的症状、例えば腰痛、下腹痛、下腹部充満感、乳房痛、乳房充満感、肩凝り、頭痛、むくみ、便秘、下痢、食欲増加もしくは減退、のどの渇き、肌荒れまたはニキビなど、および精神的症状、例えば憂鬱感、いらいら、不安感、孤独感、意欲低下、気分の高揚、性欲の亢進もしくは減退または攻撃的になるなどが含まれる。
【0013】
また、本発明の医薬および食品により改善される更年期症状としては、血管運動神経障害様症状として、熱感、冷え性、のぼせ、心悸亢進感、頻脈、徐脈など、精神神経障害様症状として、頭痛、めまい、不眠、耳鳴、恐怖感、圧迫感、記憶力減退など、知覚障害症状として、しびれ感、知覚過敏、知覚麻痺、蟻走感など、泌尿生殖系障害症状として、頻尿、排尿痛など、運動器官障害症状として、肩こり、腰痛、関節痛、脊柱痛、筋痛、座骨痛など、皮膚泌尿系障害症状として、発汗亢進、口内乾燥感、唾液分泌増加など、消化器系障害症状として、食欲不振、悪心、嘔吐、便秘、下痢など、並びにその他の症状として、疲労感、腹痛などが含まれる。
【0014】
さらに、本発明のCoQ10を有効成分とする医薬および食品は、月経に関連する症状と同様な症状を発症する更年期障害にも有効に適用することができる。本発明の医薬の投与または食品の摂取により、更年期障害における種々の身体的・精神的症状が緩和される。
【0015】
【発明の実施の形態】
CoQ10を有効成分とする予防または治療のための医薬の剤型としては、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤、懸濁剤、坐剤、軟膏、クリーム剤、ゲル剤、貼付剤、吸入剤、注射剤等が挙げられる。これらの製剤は常法に従って調製されるが、CoQ10は水に難溶性であるため、植物性油、動物性油等の非親水性有機溶媒に溶解するか、または乳化剤、分散剤もしくは界面活性剤等を用いて水性溶液中に分散・乳化させて用いる。その他、CoQ10の吸収性を高めるために、平均粒子径を1ミクロン程度まで微粉砕し用いることも可能である。
【0016】
製剤化のために用いることができる添加剤には、例えば大豆油、サフラー油、オリーブ油、胚芽油、ヒマワリ油、牛脂、イワシ油などの動植物油、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトールなどの多価アルコール、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルなどの界面活性剤、精製水、乳糖、澱粉、結晶セルロース、D−マンニトール、レシチン、アラビアガム、ソルビトール液、糖液などの賦形剤、甘味料、着色料、pH調製剤、香料などを挙げることができる。
なお、液体製剤は、服用時に水または他の適当な媒体に溶解または懸濁する形であってもよい。また錠剤、顆粒剤は周知の方法でコーティングしてもよい。
【0017】
本発明の医薬はその剤形により異なるが、一般的にはCoQ10を0.0001〜75重量%、好ましくは0.001〜35重量%含有し、これはCoQ10の日用量、さらには分散安定性や風味等を考慮して適宜決定される。また、CoQ10の日用量は、治療すべき症状やその程度、患者または摂取者の健康状態等により異なるが、通常は5〜200mg範囲、好ましくは10〜100mgである。
【0018】
CoQ10を経口的に投与または摂取する場合、カプセル剤による摂取が簡便であるが、種々の形態の食品にCoQ10を添加して種々の形態の食品を製造し、本発明の目的のためにこれを摂取させてもよい。カプセル剤のうち、ソフトカプセルの製法には、カプセルの成型と内容薬剤の充填を同時に行う浸漬法、打ち抜き法、滴下法などが含まれる。一般的には打ち抜き法が用いられているが、この方法はゼラチン溶液を薄く展延したのち冷却、ゲル化したあとゼラチンシートとし、2枚のゼラチンシートの間に液を入れ金型で両面からこれを圧して液をカプセル内部に注入し、直ちにゼラチンシートを加熱接着させて打ち抜き、その後乾燥させソフトカプセル剤を得ることからなる。
【0019】
CoQ10を添加・配合し得る食品の例としては、液状食品、例えば流動食、乳飲料などの液状食品、バター、マヨネーズ、ショートニング、マーガリン、種々のサラダドレッシング、パン類、麺類、パスタ、菓子、例えばクッキー類、チョコレート、キャンディ、チューインガムなど、CoQ10を添加・配合できる全ての食品が挙げられる。
【0020】
液状食品は、最初から液状食品として調製してもよいが、粉末またはペースト状で調製し、所定量の水性液体に溶解するものでもよい。液状食品は、風味をよくするために種々の添加剤、例えば呈味成分、フレーバー等を添加するのが好ましい。さらに各種栄養素、種々のビタミン、ミネラル、食物繊維、多価不飽和脂肪酸などのその他の栄養素、分散剤および乳化剤等の安定剤、甘味料、呈味成分、フレーバー等を配合することができる。
【0021】
本発明の食品が流動食である場合、CoQ100.0005〜0.2重量部、その他の栄養素としてCoQ101重量部に対し、タンパク質25〜1500重量部、糖質50〜6000重量部および脂質0〜8重量部、場合により水性液体200〜80,000重量部を含み、且つ100mL当たりのエネルギーが60kcal以上であるのが好ましい。流動食は、予め水性液体を添加して液状に調製してもよいが、粉末またはペースト状で調製し、摂取時に所定量の水性液体に溶解または分散させて用いてもよい。
【0022】
下記の実施例により本発明を説明するが、本究明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
【0023】
【実施例】
実施例1
CoQ10(日清ファルマ(株)製)30g、結晶セルロース(旭化成(株)製)140g、乳糖(DMV社製)100g、カルメロース−カルシウム(CMC−Ca)(五徳薬品(株)製)15g、ヒドロキシプロピルセルロース(タイプL)(HPC−L)(日本曹達(株)製)10gおよび精製水30mLを練合機に添加し、通常の方法により5分間練合する。練合終了後、10メッシュで篩過し、乾燥機中にて50℃で乾燥する。乾燥後、整粒し、ステアリン酸マグネシウム(太平化学工業(株)製)を5g添加する。1分混合した後、打錠して、1錠当たり約100mg、直径6.5mmの錠剤を得た。この錠剤は、1錠中CoQ10を10mg含有する。
【0024】
実施例2
CoQ10(日清ファルマ(株)製)3g、結晶セルロース(旭化成(株)製)90g、乳糖(DMV社製)182g、CMC−Ca(五徳薬品(株)製)10g、HPC−L(日本曹達(株)製)10gおよび精製水40mLを練合機に添加し、通常の方法により5分間練合する。練合終了後、8メッシュで篩過し、乾燥機にて50℃で乾燥する。乾燥後、整粒し、ステアリン酸マグネシウム(太平化学工業(株)製)5g添加しする。1分混合した後、CoQ10を1重量%含有する顆粒剤を得た。
【0025】
実施例3
約65℃の純水750gにカゼインナトリウム(DMV社製)40g、マルトテキストリン(三和デンプン社製)160gを添加して溶解させ、次いでポリグリセリン脂肪酸エステル(日光ケミカルズ(株)製)5g、MCT20gを添加・混合した。そこにCoQ10(日清ファルマ(株)製)100mgを添加し、次いでビタミンミックス5gおよびミネラル微量の各成分混合液を添加した。混合液をホモミキサー(特殊機化工業製)に投入し、約8000rpmにて15分間粗乳化した。得られた乳化液を約20℃に冷却し、香料を添加後、最終メスアップを行った。この液をパウチへ本液230g充填後、窒素置換を行いながらパウチを密封し、121℃で15分間殺菌を行って濃厚流動食を得た。流動食中のCoQ10の含有量は、0.01%であった。
【0026】
実施例4
CoQ10(日清ファルマ(株)製)15gを70℃に加温したショ糖脂肪酸エステル(三菱化学フーズ(株)製)35gに溶解させ、これを油相とした。
これとは別に、グリセリン(日本油脂(株)製)45gに乳化剤としてモノステアリン酸デカグリセリル(デカグリン1−S:日光ケミカルズ(株)製)5gを添加し、60℃に加温して溶解させる。この溶液に先の油相を攪拌しながら徐々に添加する。混合液を乳化機(三和機械(株)製H−11型)を用いて、乳化圧力約100kgで乳化処理して、約80gの乳化組成物を得た。さらに、得られた乳化組成物10gを炭酸水90mLに添加して攪拌することにより、炭酸飲料100mLを得た。この炭酸飲料のCoQ10の含有量は、1.5%であった。
【0027】
実施例5
CoQ10(日清ファルマ(株)製)30gを食用油(小麦胚芽油;日清ファルマ(株)製)270gに添加する(濃度10重量%)。約60℃で窒素を吹きながらCoQ10を溶解し、アジホモミクサーを用い均一にする。次いで、約20℃以下に冷却し、CoQ10の結晶を析出させた後、25℃付近の室温に戻し、CoQ10含有素材を得た。
【0028】
このCoQ10含有素材をソフトカプセル、ハードカプセルに充填し、CoQ10含有ソフトカプセルとハードカプセルを打ち抜き法により製造する。
(1)ソフトカプセルの製造
ゼラチン100重量部に対しグリセリン30重量%を添加し、膨潤させ、溶解したゼラチンシートを用いた。内溶液として先に製造したCoQ10含有素材を1カプセル当たり300mgの内容量になるように充填し、その後乾燥し、ソフトカプセルを得た。このソフトカプセルは1カプセル当たりCoQ10を30mg含有していた。
【0029】
(2)ハードカプセルの製造
食品用ハードカプセル(透明な2号サイズ;ワーナーランバート社製)にCoQ10含有素材を1カプセル当たり300mgの内容量になるように充填した。その後、ハードカプセルは1カプセル当たりCoQ10を30mg含有していた。
【0030】
実施例6
小麦粉(強力粉)150gとドライイースト2gを混ぜる。他に、CoQ101g、砂糖20g、食塩3g、脱脂粉乳6gを温湯70gに溶かし、鶏卵1個を添加してよく混ぜる。これを小麦粉に加え、良く手でよくこねた後、バター約40gを加えてよくこね、20個のロールパン生地を作る。次いで、発酵させた後、表面に溶き卵を塗り、オーブンにて180℃で約15分焼き、ロールパンを製造した。このロールパンは、1個当たりCoQ10を約50mg含有していた。
【0031】
実施例7
パスタ用のミートソース一人前(150g)を鍋に入れ、同時に実施例5で製造したCoQ10含有ハードカプセルを1個(CoQ1030mg相当)を加え、ミートソースを温めながらハードカプセルを溶解し、CoQ10を含有するパスタ用ミートソースを得た。このソースをパウチへ充填した後、窒素置換を行いながらパウチを密封し、121℃で15分間殺菌を行ってCoQ10パスタ用ミートソースを得た。
【0032】
実施例8
お米2合を用いて一般的な水量に対し、実施例5で製造したCoQ10含有ソフトカプセル3個(CoQ1090mg相当)を加え炊飯し、これを慣用の方法に従ってレトルト用パックに充填した後、窒素置換を行いながら密封し、121℃で15分間殺菌を行ってレトルトご飯を得た。このレトルトご飯は1食分当たりCoQ10約30mg含有しており、また外観、味、食感ともに良好であった。
【0033】
実施例9
小麦粉(中力粉)300gに対して、水150gにCoQ101g、食塩15gを分散させ、良く混ぜこねて寝かす。この後、生地を延伸し、幅約5mmで切断してうどんを製造した。これを沸騰したお湯で約10分茹でたところ、外観、味、食感ともに良好であった。このうどんは、1食分当たりCoQ10約30mg含有していた。
【0034】
評価試験
月経随伴症状に対する本発明の薬剤の効果を下記の試験により評価した。なお、本試験では、実施例5で製造したCoQ10含有ソフトカプセル(CoQ1030mg)、対照としてCoQ10を含まない外観・色調が同一のプラセボカプセルを用いた。なお、CoQ10含有カプセルとプラセボカプセルは識別できないようにした。
【0035】
(1)月経痛または月経困難症に対する効果
月経の度に強い下腹部痛、腰痛、頭痛の経験がある14名の女性(23〜53歳)に月経開始時からCoQ10含有カプセルまたはプラセボカプセルを朝夜の2回(1回1カプセル)服用させた。服用開始後2ヶ月時(服用開始時から2度目の月経時)において、下記の評価基準において症状の改善について評価した。
なお、最初の7名には実施例5のCoQ10含有ソフトカプセル(1日量=60mg)を2ヶ月間服用させてその効果を評価した後、2ヶ月間隔をあけて、プラゼボカプセルを同様に2ヶ月間服用させて同様に評価した。また、残りの7名には先にプラゼボカプセルを2ヶ月間服用させて、2ヶ月間隔をあけて、CoQ10含有ソフトカプセル(1日量=60mg)を同様に2ヶ月間服用させた。各カプセル剤について、14名の評価値の平均値を以下に示す。
・評価基準:
4:服用前と比較して月経時の痛みは顕著に低減した
3:月経時の痛みはあるが緩和されており、鎮痛剤を服用するほどではない
2:月経時の痛みはある程度緩和された
1:月経時の痛みは服用前と変わらない。
【0036】
その結果、本発明のCoQ10含有製剤を服用した場合、月経時の痛みが有意に低減されることが示された。
【0037】
(2)月経前症候群(PMS)に対する効果
月経前に、PMS症候群として腰痛、下腹痛、肩凝り、頭痛、むくみなどの身体的症状と憂鬱感、いらいら、不安感などの精神的症状がある14名の女性(23〜44歳)に上記(1)と同様にCoQ10含有ソフトカプセルとプラゼボカプセルを服用させた。14名のうち、7名(被験者A〜G)にはCoQ10含有ソフトカプセル(1日量=60mg)を、残りの7名(被験者H〜N)にはプラゼボカプセルを先に服用させ、2ヶ月間隔をあけて、他方のカプセル剤を服用させた。各被験者について、各カプセル剤服用後2ヶ月時(服用開始時から2度目の月経前後)における症状を下記の評価基準においてその効果を評価した。なお、先にCoQ10含有カプセルを服用したグループの結果は表1に、先にプラセボを服用したグループの結果は表2に示す。
評価基準
5:身体的症状および精神的症状が共に顕著に緩和された。
4:身体的症状または精神的症状のいずれか一方が顕著に緩和され、且つ他方も緩和された。
3:身体的症状および精神的症状が共にある程度緩和された
2:身体的症状または精神的症状のいずれか一方がある程度緩和された
1:身体的症状および精神的症状が共に服用前と変わらない
【0038】
【表1】
【表2】
【0039】
表1および2から、本発明のCoQ10含有製剤を服用した場合、PMS症候群の症状のうち身体的症状および精神的症状が共にプラセボと比較して有意に低減されることが示された。これらの結果から、本発明のCoQ10含有製剤は、月経前症候群の予防および症状の低減に有用であることが示された。
【0040】
【発明の効果】
本発明によれば、月経痛、月経困難症、月経前症候群などの月経随伴症状または更年期障害の予防および/または治療のための医薬および食品が提供される。本発明の医薬は、月経随伴症状、更年期障害の身体的および精神的症状を予防および/またはその症状を低減し、且つ長期服用しても副作用の心配がなく安全性が高い。また、本発明の食品は、月経随伴症状または更年期障害の予防または治療に必要な量のCoQ10を食品として日常的に摂取することができる。このため、本発明の医薬および食品は、月経から閉経までの長期間にわたり、女性のQOLを向上させるために極めて有用である。
Claims (6)
- コエンザイムQ10を有効成分とする、月経随伴症状または更年期障害の予防および/または治療のための医薬。
- 0.0001〜75重量%のコエンザイムQ10を含有する請求項1記載の医薬。
- 月経随伴症状が、月経痛、月経前症候群および月経困難症から選択される症状である、請求項1または2記載の医薬。
- コエンザイムQ10を含有する、月経随伴症状または更年期障害の予防および/または緩和のための食品。
- 0.0001〜75重量%のコエンザイムQ10を含有する請求項4記載の食品。
- 月経随伴症状が、月経痛、月経前症候群および月経困難症から選択される症状である、請求項4または5記載の食品。
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