JP2005097162A - グルタミンペプチドを含有する抗疲労用組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 肉体疲労や精神疲労のみならず、慢性疲労、疲労感、易疲労など幅広い疲労に対して予防および回復作用に優れ、且つ安全性が高く呈味性にも優れた抗疲労用組成物およびこれを含有する抗疲労用食品を提供する。
【解決手段】 L−グルタミン含量が15〜60質量%で、平均分子量が200〜100,000であるグルタミンペプチドを配合して抗疲労用組成物とする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、グルタミンペプチドを含有する抗疲労用組成物およびこれを含有する食品に関する。詳細には、L−グルタミン含量が15〜60質量%で、平均分子量が200〜100,000のグルタミンペプチドを含有することを特徴とする抗疲労用組成物および食品に関する。
疲労とは「精神的または身体的に活動した後に続く、仕事量の減少、遂行の非能率化などを特徴とする状態」あるいは「身体的または精神的活動の結果として生じる機能的な能力の低下した一時的な状態」と定義されており、一般的には精神的疲労、身体的疲労に分類されている。また疲労は、通常ならば休息・睡眠などにより回復するとされているが、精神的または身体的な活動の程度、疲労状態の遷延、ストレスや疲労感など他の要因が加わることによる疲労の慢性化や、疲れやすくなる易疲労性、更には疲労からの回復の困難性が引き起こされる。
このように疲労は、精神的、身体的な不快により生活の質を低下させるだけでなく、内分泌系、中枢・末梢神経系に影響を与えたり、免疫力の低下などを引き起こすことがある。また、社会の高齢化が進行するにつれて、疲労が老化による病態、脳神経機能、知的能力あるいは免疫機能の低下などと絡み合い、疲労の問題の重要性がさらに増すことが予想されている。
一方、疲労回復を目的として非常に多くの素材や成分、例えば種々の生薬またはそのエキス、ローヤルゼリー、ビタミン類(ビタミンC、ビタミンB群、ビタミンEなど)、ミネラル、カフェフィン、クエン酸などの有機酸またはその塩類(例えば特許文献1参照)、各種アミノ酸、タウリン、カフェインなどが食品や医薬部外品として用いられている。また、乳タンパク質加水分解物、コラーゲン加水分解物、大豆タンパク質またはその加水分解物を滋養強壮や疲労回復に用いることが提案されている(例えば特許文献2参照)。
しかし、これまでの抗疲労組成物は、単に栄養補給作用にとどまるものや、身体的疲労のうち特定の疲労、例えば筋肉疲労にしか効果が認められなかったり、慢性的な疲労やストレスなど他の要因にも起因する複合的な疲労には十分な抗疲労効果が得られないなどの問題があった。さらに、配合する成分や種々の添加剤に起因する辛みや苦みなどがあり呈味性に劣るため、日常的に摂取することが困難であるものも多い。
一方、L−グルタミンまたはこれを含むペプチドを小麦蛋白質から得る方法は知られている(例えば、特許文献3参照)。また、L−グルタミンまたはこれを含むペプチドが腸粘膜の構造および機能の維持、並びに免疫機能減損の改善等に有用であることが報告されている(例えば、特許文献4および5参照)。グルタミンペプチドを大豆ペプチドとコラーゲンペプチドとを組み合わせて体脂肪減少促進剤とすることが提案されている(特許文献6参照)。しかし、L−グルタミンに富むペプチドが、肉体疲労や精神疲労のみならず、慢性疲労、疲労感、易疲労など幅広い疲労に対して優れた抗疲労作用を有することはこれまで知られていなかった。
特開平10−175856号公報 特開2002−255846号公報 特許第2985193号公報 特開平5−236909号公報 特開平9−121809号公報 特開2002−20312号公報
本発明の課題は、肉体疲労や精神疲労のみならず、慢性疲労、疲労感、易疲労など幅広い疲労に対して予防および回復作用に優れ、且つ安全性が高く呈味性に優れた抗疲労用組成物およびこれを含有する抗疲労用食品を提供することである。
本発明者等は、上記した課題の解決のために鋭意研究した結果、グルタミンに富むグルタミンペプチドが優れた抗疲労作用を有することを見出して本発明を完成させた。従って、本発明は、L−グルタミン含量が15〜60質量%で、平均分子量が200〜100,000のグルタミンペプチドを含有することを特徴とする抗疲労用組成物に関する。本発明において、グルタミンペプチドはL−グルタミン含有量が20〜40質量%で、平均分子量が500〜20,000であることが好ましく、小麦グルテンを原料として製造されたペプチドが特に好ましい。
なお、本発明において、グルタミン含量の高いペプチドを「グルタミンペプチド」と称する。また、本明細書において、用語「ペプチド」および「グルタミンペプチド」は、天然の蛋白質を構成するL−アミノ酸から構成されるペプチドを意味する。
また、本発明において、抗疲労とは、肉体疲労や精神疲労のみならず、慢性疲労、疲労感、易疲労、疲労からの回復困難など幅広い疲労に対して予防、改善および/または回復促進しうることを意味する。
本発明はまた、グルタミンペプチドを含有することを特徴とする抗疲労用食品に関する。このように飲食品の形態とすることにより、日常生活においてグルタミンペプチドをより容易に摂取できる。また、本発明において食品は、人用の飲食品のみならず、家畜、競走馬、ペットなどの飼料も含まれる。
さらに、本発明は、グルタミンペプチドを摂取することからなる疲労の予防、改善および/または回復促進方法に関する。
本発明で用いるグルタミンペプチドは、L−グルタミン含有量が少なくとも15質量%で、平均分子量が200〜100,000であるペプチドであれば特に制限されず、天然
もしくは組換え蛋白質の部分的加水分解物、化学合成もしくは遺伝子工学的に作製したペプチド、またはこれらの組合せであってもよい。
グルタミンペプチドにおけるL−グルタミン含有量が15質量%未満であると、十分な抗疲労作用が期待できなくなる。L−グルタミン含有量の上限は特に限定されないが、60質量%を超えると天然の蛋白質からの調製が困難になるため、入手や調製の容易性および経済性の面から60質量%以下であることが好ましく、20〜40質量%であることがさらに好ましい。
グルタミンペプチド中のL−グルタミン含有量は、アミド態窒素置換法[Meth. Enzymol., 11, pp.36-65 (1967)]により測定したアミド態窒素含有量から求めたアミド態窒素含有L−アミノ酸含有量に基づく算出法や、グルタミンペプチドが合成物である場合は合成時におけるL−グルタミンの使用割合などから求めることができる。
また、グルタミンペプチドの平均分子量が200未満であると、苦味を呈して味が不良になる。一方、グルタミンペプチドの平均分子量が100,000を超えると、水を加えた時に粘稠な塊を形成し、取り扱い性が劣るようになる。グルタミンペプチドの平均分子量は、500〜20,000であることが好ましく、1,000〜10,000であることがより好ましい。
本明細書でいうグルタミンペプチドの平均分子量は、ゲル濾過法によって測定したときの平均分子量である。
本発明で用いるグルタミンペプチドは、L−グルタミン含有量が少なくとも15質量%であれば、L−グルタミン以外のL−アミノ酸の種類およびその組成比などは特に制限されない。
グルタミンペプチドは、天然の蛋白質を構成するL−アミノ酸からなるために、ヒトや動物に対する安全性の点で優れているが、本発明のペプチドとしては、食品に含まれる蛋白質を加水分解して得られるグルタミンペプチド、特に小麦グルテンを加水分解して得られるグルタミンペプチドを用いるのが、安全性、入手および調製の容易性、経済性などの点から好ましい。
本発明で好ましく用いられるグルタミンペプチドは、25〜50質量%のL−グルタミンを含有する小麦グルテンをプロテアーゼ、酸、アルカリなどにより平均分子量が200〜100,000の範囲内にある加水分解物が生成するような条件下で加水分解することによって製造することができる。
小麦グルテンは通常25〜50質量%のL−グルタミンを含有しており、そのため平均分子量が200〜100,000の範囲内になるような条件下で小麦グルテンを加水分解し、必要に応じて分画などを行うことにより、L−グルタミン含有量が15〜60質量%の範囲内のグルタミンペプチドを得ることができる。
小麦グルテンは水に不溶で且つ水に対する分散性に劣るが、小麦グルテンを加水分解して得られるグルタミンペプチドは、低分子化しているために水に対する分散性に優れている。
小麦グルテン由来のグルタミンペプチドは、例えば小麦グルテンをプロテアーゼを用いるかまたはプロテアーゼとアミラーゼを用いて加水分解する方法によって製造することができる(特許文献2を参照)。その際のプロテアーゼとしては、例えば、ペプシン、トリ
プシン、キモトリシプシン、ヒイロタケ起源の酸性プロテアーゼ、アスペルギルス起源の酸性プロテアーゼ、パパイン、ブロメラインなどのような種々のプロテアーゼを用いることができる。小麦グルテンをプロテアーゼで加水分解する際に、アミラーゼを併用すると、小麦グルテンに含まれている澱粉質や繊維質等の不純物が分解除去されて、高純度のグルタミンペプチドを高収率で得ることができる(特許文献3を参照)。
本発明のグルタミンペプチド、例えば小麦グルテン由来のグルタミンペプチドは、従来から既に市販されている(例えば日清ファルマ製の「グルタミンペプチドGP−1」、DMD製の「グルタミンペプチドGPA」など)。これらのグルタミンペプチドはそのまま用いてもよいし、また場合により加水分解、分画などの処理を施してもよい。
本発明の抗疲労用組成物および食品は、通常の場合、グルタミンペプチドの質量として成人1日当たり1〜40gの範囲、好ましくは2〜10gの範囲で摂取する。しかし、本発明において用いるペプチドは、天然物に由来する安全性の高いものであり、その摂取量をさらに増やすこともできる。グルタミンペプチドの摂取量は効果などを見ながら適宜増減することが望ましい。1日当たりの摂取量を1度に摂取することもできるが、数回に分けて摂取してもよい。
本発明の組成物および食品中のグルタミンペプチドの配合量は、前述のグルタミンペプチドの摂取量を摂取しうる量であれば特に限定されず、組成物および食品の形態に応じて適宜選択することができるが、一般的には0.1〜100質量%、好ましくは1〜90質量%の範囲で用いる。
本発明の抗疲労組成物および食品は、コエンザイムQ10、カルニチンおよび有機酸から選択される少なくとも1種類の成分を適宜配合または併用してもよい。これらの成分は、単独である程度の抗疲労作用が期待できると報告されているが、本発明の組成物や食品に配合することにより、グルタミンペプチドとの相乗作用が奏され、抗疲労作用がさらに向上する。
コエンザイムQ10(以下、CoQ10と略すことがある)は、ユビデカレノンまたは補酵素Q10として知られる高等動物に存在する補酵素Qの1種である。コエンザイムQ10は融点の低い親油性固体であり、水に難溶性のために経口投与における吸収性が低いことが知られている。このため、コエンザイムQ10を油脂などに溶解させるか、または乳化剤、分散剤もしくは界面活性剤等を用いて水性溶液中に分散・乳化させて用いる。
本発明の組成物中のコエンザイムQ10の含有量は特に限定されないが、例えば組成物全体の質量に対して0.0001〜50質量%、好ましくは0.001〜30質量%、より好ましくは0.01〜10質量%の範囲である。また、コエンザイムQ10の摂取量は、摂取者の健康状態等により異なるが、通常は5〜200mgの範囲、好ましくは10〜100mgの範囲である。
カルニチン(4−トリメチルアミノ−3−ヒドロキシ酪酸)は、リジンがメチル化され修飾されたリジン誘導体であり、ミトコンドリアの脂肪酸酸化に関与しており、脂質代謝を促進し、血中の中性脂質を減少させるだけでなく、運動機能の向上などの効果を有することが知られている。本発明において、カルニチンには、塩化カルニチン(DL−体、L−体)、L−カルニチン、L−カルニチン酒石酸塩、L−カルニチンフマル酸塩、マグネシウム塩、アセチル−L−カルニチン、プロピオニル−L−カルニチンが包含され、これらは天然抽出品、微生物発酵品、合成品のいずれでもよい。本発明の組成物中のカルニチンの含有量は特に限定されないが、例えば組成物全体の質量に対して0.0001〜50質量%、好ましくは0.001〜30質量%、より好ましくは0.01〜10質量%の範囲である。また、カルニチンの1日当たりの摂取量は、通常は0.1〜1000mgの範囲
、好ましくは1〜500mgの範囲である。
また、本発明の組成物における有機酸は、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、コハク酸、フマル酸、グルコン酸、酢酸、アスパラギン酸、マロン酸、マレイン酸またはこれらの混合物であり、好ましくはクエン酸、リンゴ酸、酒石酸、コハク酸、酢酸またはこれらの混合物である。本発明の組成物中の各有機酸の含有量は特に限定されないが、例えば組成物全体の質量に対して0.0001〜50質量%、好ましくは0.001〜30質量%、より好ましくは0.01〜10質量%の範囲である。
本発明において、カルニチンおよび有機酸は水溶性であるが、エンザイムQ10は前述のように水に難溶性であるため、コエンザイムQ10を油脂などに溶解させるか、または乳化剤、分散剤もしくは界面活性剤等を用いて水性溶液中に分散・乳化させて用いることが好ましい。具体的には、コエンザイムQ10を植物性油、動物性油等の非親水性有機溶媒に溶解するか、または乳化剤、分散剤もしくは界面活性剤等を用いて水性溶液中に分散・乳化させて用いる。
このような処理に用いられる添加剤としては、例えば動植物油、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトールなどの多価アルコール、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルなどの界面活性剤、精製水、乳糖、澱粉、結晶セルロース、D−マンニトール、レシチン、アラビアガム、ソルビトール液、糖液などが挙げられる。
コエンザイムQ10を乳化組成物として用いる場合、例えばコエンザイムQ10はグリセリン脂肪酸エステル、多価アルコール、乳化剤などを用いて乳化処理するか、または特開2003−55203号公報に記載されるように、有機酸などの添加剤の存在下または不存在下に、アラビアガム、寒天、水溶性コーンファイバー、デンプン、ゼラチン、キサンタンガム、カゼイン、デキストリン、カルメロースナトリウム、ポリビニルピロリドンなどの水溶性物質中にコエンザイムQ10を分散・乳化して水溶性組成物とするか、場合によりさらに乾燥または賦形剤に吸着・担持させて固形組成物として用いることができる。このようなコエンザイムQ10乳化組成物は市販されており、例えばCoQ10水溶化液10S、CoQ10水溶化粉末5%(ともに日清ファルマ製)などが挙げられる。
本発明の組成物および食品には、クレアチン、ビタミン類およびカフェインから選択される少なくとも1種類の成分を適宜配合または併用してもよい。
クレアチンは、主に肝臓でアルギニン、グリシン、メチオニンから合成され、クレアチンまたはクレアチンリン酸としてそのほとんどが筋肉に存在し、筋収縮のための細胞のエネルギー源として作用している。クレアチンは運動能の向上のみならず、筋ジストロフィーなどの神経筋疾患の治療や、クレアチン欠乏症、クレアチン排出異常などの内分泌障害において栄養補強剤として用いられている。
本発明において用いられるビタミン類には、ビタミンC(アスコルビン酸)、ビタミンB群、ビタミンE(トコフェロール)の他に、ビタミンA、D、K、H、酪酸リボフラビンなどが含まれる。また、ビタミンB群には、ビタミンB1誘導体、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンB13、さらにビオチン、パントテン酸、ニコチン酸、葉酸などの各種ビタミンB複合体が包含される。ビタミンB1誘導体には、チアミンまたはその塩、チアミンジスルフィド、フルスルチアミンまたはその塩、ジセチアミン、ビスブチチアミン、ビスベンチアミン、ベンフォチアミン、チアミンモノフォスフェートジスルフィド、シコチアミン、オクトチアミン、プロスルチアミンなどのビタミンB1の生理活性を有する全ての化合物が包含される。ビタミン類の配合量は、組成物および食品の形態
、配合するビタミンの種類と所望すべき摂取量に応じて適宜決められるが、一般的には0.0001〜30質量%の範囲であり、好ましくは0.001〜10質量%の範囲である。
カフェインは中枢神経の興奮、利尿作用、心筋興奮、冠状血管の弛緩作用などを有し、疲労回復にも有用であるとされている。カフェインの配合量は、所望する摂取量に応じて適宜決められるが、一般的には0.001〜2質量%の範囲であり、好ましくは0.005〜1質量%の範囲である。
本発明の抗疲労組成物および食品において、さらにタウリン、グルクロン酸、グルクロノラクトン、テアニン、γ−アミノ酪酸、カプサイシン、ポリフェノール類、カテキン類、キサンチン誘導体、メチオニン、ロイシン、アルギニンなどアミノ酸、人参、鹿茸、牛黄、地黄、枸杞子、ロイアルゼリーなどの生薬、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、鉄などのミネラルを適宜配合してもよい。
さらに、本発明の抗疲労組成物には、医薬、食品、飼料の製造に用いられる種々の添加剤を配合することができる。このような添加剤としては、前述した油脂や、多価アルコール(例えば、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、糖アルコール(例えば、ソルビトール、エリスリトール、キシリトール、マルチトール、マンニトール)、界面活性剤(例えば、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルなど)、精製水、例えば乳糖、デキストリン、澱粉、結晶セルロース、サイクロデキストリンなどの賦形剤、アラビアガム、寒天、水溶性コーンファイバー、ゼラチン、キサンタンガム、カゼイン、グルテンまたはグルテン加水分解物、レシチン、デキストリン、カルメロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、その他の添加剤として安定剤、pH調製剤、酸化防止剤、甘味料、呈味成分、酸味料、着色料および香料などが挙げられる。
本発明の食品としては、疲労の予防および改善により健康増進を図る健康食品、機能性食品、特定保健用食品等の他、グルタミンペプチドを添加・配合できる全ての食品が挙げられる。具体的には、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、粉剤、シロップ、ドリンク剤、流動食、茶飲料、清涼飲料、乳飲料、バター、マヨネーズ、ショートニング、マーガリン、種々のサラダドレッシング、パン類、麺類、パスタ、菓子、例えばクッキー類、チョコレート、キャンディ、チューインガムなどが挙げられる。本発明の飲食品は、その製造に用いられる他の食品素材、各種栄養素、各種ビタミン、ミネラル、食物繊維、種々の添加剤、例えばアルコール、水、水溶性高分子、呈味成分、甘味料、酸味料、安定剤、フレーバー等を配合して、常法に従って製造することができる。
下記の実施例により本発明を説明するが、本究明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
製造例1 グルタミンペプチドの製造
(1)反応釜に、イオン交換水9,700kg、無水クエン酸38kgおよび小麦グルテン(活性グルテン,Weston Foods Limited製)1,500kgを仕込み、45℃に加温した後、プロテアーゼ(天野製薬製「プロテアーゼMアマノ」)2.2kgおよびアミラーゼ(阪急バイオインダストリー製「液化酵素T」)1.1kgを加えて、45℃で5時間加水分解反応を行った。次いで25%水酸化ナトリウム水溶液を用いて液のpHを4.4〜4.5に調整し5時間保って酵素処理を行った。
(2)次いで、液を80℃に20分間保ってプロテアーゼを失活させた後、65℃に冷却し、そこにアミラーゼ(阪急バイオインダストリー製「液化酵素T」)0.5kgを加えて小麦グルテン中に含まれていた澱粉質および繊維質を加水分解させた後、液を90℃に20分間保ってアミラーゼを失活させた。
(3)次に、液を10℃以下に冷却した後、再度55℃に加熱し、そこに活性炭(武田薬
品工業製「タケコール」)100kgを加えて55℃で30分間攪拌した。液温を45℃にし、濃過助剤(昭和化学工業製「ラヂオライト」)を加えて、加圧濾過装置を使用して濾過を行い、濾液7,000リットル(7m3)を回収した。
(4)回収した濾液をBrix値が20〜40になるまで減圧下で濃縮した後、プレートヒーターを使用して110℃で20秒間加熱して殺菌し、次いで55℃まで冷却した。次いで噴霧乾燥し、得られた粉末を60メッシュ篩(目開き0.246mm)を用いて分級し、60メッシュ飾を通過した微粉(グルタミンベプチド微粉)を回収した。このグルタミンペプチドの平均分子量およびグルタミン含有量を測定したところ、平均分子量は約8,000およびL−グルタミン含有量は32質量%であった。
製造例2〜4 グルタミンペプチドの製造
製造例1と同様な方法で、下記の表1に示す性状のグルタミンペプチドを得た。
Figure 2005097162
グルタミンべプチドGP−1(平均分子量7,000,L−グルタミン含有量32質量%;日清ファルマ製)76g、乳糖(DMV製)13.3g、結晶セルロース(旭化成製)6.7gおよびポリビニルピロリドン(BASF製)4gを混合し、これにエタノール30mlを添加して、湿式法により常法に従って顆粒を製造し、乾燥後、整粒して顆粒状食品を得た(顆粒4g当たりグルタミンペプチド 3g)。
乳糖(DMV製)3.3g、CoQ10水溶化粉末5%(日清ファルマ製)10gを用いたことを除いて実施例1と同様にして顆粒状食品を得た(顆粒4g当たりのグルタミンペプチド3g,CoQ10 20mg)。
乳糖(DMV製)10.8g、L−カルニチン酒石酸塩2.5gを用いたことを除いて実施例1と同様にして顆粒状食品を得た(顆粒4g当たりグルタミンペプチド3g,L−カルニチン酒石酸塩100mg)
乳糖(DMV製)10.8g、クエン酸2.5gを用いたことを除いて実施例1と同様にして顆粒状食品を得た(顆粒4g当たりグルタミンペプチド3g,クエン酸100mg)
乳糖(DMV製)10.8g、リンゴ酸2.5gを用いたことを除いて実施例1と同様にして顆粒状食品を得た(顆粒4g当たりグルタミンペプチド3g,リンゴ酸100mg)
製造例1で得られたグルタミンペプチド83.3g、結晶セルロース(旭化成製)10gおよびポリビニルピロリドン(BASF製)5gを混合し、これにエタノール30mlを添加して、湿式法により常法に従って類粒を製造した。それにより得られた類粒を乾燥した後、ステアリン酸マグネシウム1.2gを加えて打錠用顆粒未とし、打錠機を用いて打錠し、1錠が1gの錠剤100個を製造した(錠剤1錠当たりのグルタミンペプチド含有量0.838g)。
精製水400gを煮沸し、これにかき混ぜながら白糖750gおよび製造例2で得られたグルタミンべプチド100gを加えて溶解し、熱時に布ごしし、これに精製水を加えて
全量を1000mlとしてシロップ剤を製造した(シロップ剤100ml当たりのグルタミンペプチド含有量10g)。
約65℃の純水750gにカゼインナトリウム(DMV社製)40g、マルトテキストリン(三和デンプン社製)160gおよび製造例3で得られたグルタミンペプチド25gを添加して溶解させ、次いでビタミンミックス5gおよびミネラル微量の各成分混合液を添加した。混合液をホモミキサー(特殊機化工業製)に投入し、約8000rpmにて15分間粗乳化した。得られた乳化液を約20℃に冷却し、香料を添加後、最終メスアップを行った。この液をパウチへ本液230g充填後、窒素置換を行いながらパウチを密封し、121℃で15分間殺菌を行って濃厚流動食を得た。流動食230g当たりのグルタミンペプチド含有量は約5gであった。
小麦粉(強力粉)150gとドライイースト2gを混ぜる。他に、グルタミンペプチドGP−1(日清ファルマ製)20g、砂糖20g、食塩3g、脱脂粉乳6gを温湯70gに溶かし、鶏卵1個を添加してよく混ぜる。これを小麦粉に加え、手でよくこねた後、バター約40gを加えてよくこね、20個のロールパン生地を作る。次いで、発酵させた後、表面に溶き卵を塗り、オーブンにて180℃で約15分焼き、ロールパンを製造した。このロールパンは、1個当たりグルタミンペプチドを約1g含有していた。
パスタ用のミートソース一人前(150g)を鍋に入れ、同時に製造例4で得られたグルタミンペプチドGP−1(日清ファルマ製)5gを加え、ミートソースを温めながらハードカプセルを溶解し、パスタ用ミートソースを作成した。このソースをパウチへ充填した後、窒素置換を行いながらパウチを密封し、121℃で15分間殺菌を行ってグルタミンペプチドを含有するパスタ用ミートソースを得た。
小麦粉(中力粉)300gに対して、水150gにグルタミンペプチドGP−1(日清ファルマ製)15g、食塩15gを分散させ、良く混ぜこねて寝かす。この後、生地を延伸し、幅約5mmで切断してうどんを製造した。これを沸騰したお湯で約10分茹でたところ、外観、味、食感ともに良好であった。このうどんは、1食分当たりグルタミンペプチドを約5g含有していた。
比較例1
カゼイン加水分解物(平均分子量1,000,L−グルタミン含有量7質量%)76g、乳糖(DMV製)13.3g、結晶セルロース(旭化成製)6.7gおよびポリビニルピロリドン(BASF製)4gを混合し、これにエタノール30mlを添加して、湿式法により常法に従って顆粒を製造し、乾燥後、整粒して顆粒状食品を得た。
試験例1
実施例1の顆粒、比較例1の顆粒について抗疲労効果を評価するために、運動負荷後の疲労感と筋肉痛を指標として下記の試験を実施した。
健康な男性成人7名(A〜G)を被験者に被検試料4gを摂取させる。準備運動を行った後、1500m走を行い、10分間の休憩の後、インターバル・トレーニング(200mを40秒、インターバル2分からなる)を10回行う。10分間の休憩を取り、さらに50mダッシュ5本を行い、クールダウンの後、再び被験試料4gを摂取させた。トレーニング翌日に疲労感について、3日後に筋肉痛について、表2を指標にしたアンケートを
行った。1週間以上の間隔をおいて、他方の被検試料についても同様に運動負荷試験を行った。結果を表3に示す。
Figure 2005097162
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得られた結果をウィルコクスン符号付順位和検定(Wilcoxon signed rank test)により解析した結果、実施例1(グルタミンペプチド)摂取群は、対照例1(カゼインペプチド)摂取群よりも統計的に有意(p<0.05)に運動翌日の疲労感、運動3日後の筋肉痛が軽いと感じていた。これらの結果から、グルタミンペプチドを含有する組成物が疲労の予防とその回復に優れた作用効果を有することが確認された。
試験例2
グルタミンペプチドに加えてコエンザイムQ10、カルニチン、有機酸を配合した組成物について、運動負荷後の疲労感と筋肉痛を指標として抗疲労効果を以下のように評価した。なお、被検試料として、実施例1(GP:グルタミンペプチド)、実施例2(GP+CoQ10)、実施例3(GP+カルニチン)、実施例4(GP+クエン酸)、実施例5(GP+リンゴ酸)、比較例1(カゼインペプチド)の顆粒を用いた。
被験者として健康な成人12名(男性7名、女性5名)(H〜S)に被験試料4gを摂取させる。次に準備運動の後、インターバル・トレーニング(400m 120秒、インターバル2分からなる)を10回行う。10分間の休憩の後、踏み台昇降(5分間×3回)を行い、クールダウンの後、再び被験試料4gを摂取させた。トレーニング翌日に疲労感について、3日後に筋肉痛について、表2を指標にしたアンケートを行った。1週間以上のインターバルをおいて、他の被検試料についても同様に運動負荷試験を行った。結果を表4および表5に示す。
Figure 2005097162
Figure 2005097162
得られた結果をフリードマン検定(Friedman test)により解析した結果、翌日の疲労感、3日後の筋肉痛について実施例1(GP:グルタミンペプチド)、実施例2(GP+CoQ10)、実施例3(GP+カルニチン)、実施例4(GP+クエン酸)、実施例5(GP+リンゴ酸)、比較例1(カゼインペプチド)の各群に差があることが確認された。次いで、実施例1摂取群と比較例1摂取群をウィルコクスン符号付順位和検定(Wilcoxon signed rank test)により解析した結果、実施例1は、比較例1よりも統計的に有意(p<0.001:片側検定)に運動3日後の筋肉痛、運動翌日の疲労感が軽いと感じていた。また、実施例2〜5と比較例の間では明らかな差が認められた。これらの結果から、本発明の抗疲労組成物にコエンザイムQ10、カルニチン、有機酸を配合・併用することにより、疲労感と身体的疲労に対する予防・改善作用が向上することが確認された。
試験例3
長時間の切迫した単純作業とそのストレスなどに起因する精神的疲労に対する抗疲労効果を評価するために、倦怠感、焦燥感及び睡眠の質を指標として下記の試験を実施した。なお、本試験例では被検試料として実施例1、比較例1の顆粒を用い、健康な成人6名(男性4名、女性2名)(T〜Y)を被験者とした。
被験者は、帳票突合、コンピューターでの数値入力からなる事務作業を9:00から22:00まで行い、作業試験中は昼食、夕食のためのそれぞれ1時間の休憩時間を設けた。この間の食事はビタミン、ミネラルは日本人の栄養所要量に定られている所要量の90%以上を充足していた。被験者は、作業終了後に倦怠感、焦燥感について表6を指標にしたアンケートに回答し、試験試料4gを摂取し睡眠を取った。翌朝、前夜の睡眠の質、倦怠感、気分(リラックス/焦燥感)について表6を指標にしたアンケートに回答した。結果を下記の表7に示す。
Figure 2005097162
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得られた結果のうち、睡眠の質に関しては評価値を、倦怠感と気分に関しては、投与前と翌朝とのスコアの差(投与前−翌朝)をウィルコクスン符号付順位和検定(Wilcoxon signed rank test)により解析した。
その結果、睡眠の質(p=0.013)、倦怠感(p=0.017)、焦燥感(p=0.013)のいずれにおいても、統計的に有意(p<0.05)に実施例の顆粒を摂取した群の方が、比較例の顆粒を摂取した群よりも良好な結果が得られた。これらの結果、本発明の抗疲労組成物は、長時間の切迫した単純作業とそのストレスなどに起因する精神的疲労からの回復について優れた作用効果を有することが確認された。
〔発明の効果〕
本発明によれば、肉体疲労や精神疲労のみならず、慢性疲労、疲労感、易疲労など幅広い疲労に対して予防および回復作用に優れ、且つ安全性が高く呈味性にも優れる抗疲労用組成物およびこれを含有する食品が提供される。
本発明の組成物はグルタミンペプチドにより、様々な疲労を予防し、また疲労の状態を改善し、疲労からの回復を促進させることができ、且つ長期服用しても副作用の心配がなく安全性が高いという、これまでにはみられなかった総合的な作用効果を有するものである。
また、本発明の飲食品は、疲労の予防および疲労からの回復を促進しうる量のグルタミンペプチドを日常的に摂取することができ、且つ呈味性にも優れていることから極めて有用なものである。

Claims (6)

  1. L−グルタミン含量が15〜60質量%で、平均分子量が200〜100,000のグルタミンペプチドを含有することを特徴とする抗疲労用組成物。
  2. グルタミンペプチドが、L−グルタミン含量20〜40質量%で、平均分子量が500〜20,000である請求項1記載の抗疲労用組成物。
  3. グルタミンペプチドを0.1〜100質量%含有する請求項1または2記載の抗疲労用組成物。
  4. グルタミンペプチドが、小麦グルテンを原料として製造されたペプチドである請求項1〜3のいずれかに記載の抗疲労用組成物。
  5. コエンザイムQ10、カルニチンおよび有機酸から選択される少なくとも1つを含有する請求項1〜4のいずれかに記載の抗疲労用組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の組成物を含有する抗疲労用食品。
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