JP2004022659A - 低い抵抗値を有するチップ抵抗器とその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】前記抵抗体1のうち少なくとも下面1bを、その両端の部分1b′,1b″を除いて絶縁体3にて被覆し、前記抵抗体1における下面1bのうち前記絶縁体3で被覆されていない両端の部分1b′,1b″に金属メッキ層4,5を形成して、この金属メッキ層4,5を、前記抵抗体1の両端に対する接続端子電極にする。
【選択図】 図5
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えは、1Ω以下というように低い抵抗値を有するチップ抵抗器と、これを製造する方法とに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の低い抵抗値のチップ抵抗器は、例えば、特開2001−118701号公報等に記載されているように、その抵抗体を、例えば、銅等のように低い抵抗を有する基材の金属に対してニッケル等のように前記基材の金属よりも高い抵抗を有する金属を添加して成る合金等の金属板にて長方形のチップ体に形成し、この抵抗体における下面のうち長手方向の両端の部分に、前記抵抗体における金属よりも低い抵抗を有する金属による接続端子片を固着し、この両接続端子電極の表面に、プリント基板等に対して半田付けするための金属メッキ層を形成するという構成にしている。
【0003】
従来は、前記構成のチップ抵抗器の製造に際しては、前記公報等に記載されていように、前記抵抗体用の金属板と、前記接続端子電極用の金属板とを積層してクラッド接合し、次いで、前記接続端子用の金属板のうち、両接続端子電極の間の部分を、切削加工等にて除去するという方法を採用している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この従来におけるチップ抵抗器は、抵抗体の下面における両端に、プリント基板等に対して半田付けするため金属板製の接続端子電極を固着するという構成であることにより、前記両接続端子電極における厚さ寸法は、半田付けに際して溶融半田が両接続端子電極を越えて抵抗体の下面にまで盛り上がることで当該抵抗体における抵抗値が変化することを回避するために、可成り厚くしなければならないから、チップ抵抗器における全体の高さ寸法が高くなるばかりか、重量がアップするという問題があった。
【0005】
しかも、その製造に際しては、抵抗体用の金属板と接続端子電極用の金属板とを積層してクラッド接合する工程、及び、前記接続端子用の金属板のうち、両接続端子電極の間の部分を切削加工等にて除去する工程という可成り厄介で高度な技術を必要とする工程に加えて、両接続端子電極に対して金属メッキ層を形成する工程も必要であるから、製造コストが大幅にアップするという問題もあった。
【0006】
本発明は、これらの問題を解消することを技術的課題とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この技術的課題を達成するため本発明のチップ抵抗器は、
「金属板にて長方形に構成した抵抗体と、この抵抗体のうち少なくとも下面を、その両端の部分を除いて被覆する絶縁体とから成り、前記抵抗体における下面のうち前記絶縁体で被覆されていない両端の部分に金属メッキ層を形成し、この金属メッキ層を前記抵抗体の接続端子電極にする。」
ことを特徴としている。
【0008】
また、本発明の製造方法は、第1に、
「金属板にて長方形の抵抗体を製作する工程と、
前記抵抗体ののうち少なくとも下面を、その両端の部分を除いて絶縁体にて被覆する工程と、
前記抵抗体における下面のうち前記絶縁体で被覆されていない両端の部分に対して、前記抵抗体の接続端子電極としての金属メッキ層を形成する工程と、
から成る。」
ことを、第2に、
「金属板にて長方形の抵抗体を製作する工程と、
前記抵抗体における上面、下面及び左右両側面を、その下面における両端の部分を除いて絶縁体にて被覆する工程と、
前記抵抗体における下面のうち前記絶縁体で被覆されていない両端の部分に対して、前記抵抗体の接続端子電極としての金属メッキ層を形成する工程と、
から成る。」
ことを、第3に、
「金属板製にて抵抗体を構成するリードの多数本を一体的に設けて成るリードフレームを製作する工程と、
前記リードフレームの各リードにおける抵抗体のうち少なくとも下面を、その両端の部分を除いて絶縁体にて被覆する工程と、
前記リードフレームの各リードフレームにおける抵抗体をリードフレームから切り離したのちその下面のうち前記絶縁体で被覆されていない両端の部分に対して前記抵抗体の接続端子電極としての金属メッキ層を形成するか、或いは、前記各リードの抵抗体における下面のうち前記絶縁体で被覆されていない両端の部分に対して抵抗体の接続端子電極としての金属メッキ層を形成したのち抵抗体をリードフレームから切り離す工程と、
から成る。」
ことを特徴としている。
【0009】
【発明の作用・効果】
このように、金属板製の抵抗体における下面を、その両端の部分を除いて絶縁体にて被覆し、この下面のうち前記絶縁体にて被覆されていない両端の部分に金属メッキ層を形成することにより、前記金属メッキ層を、前記抵抗体の両端に対する接続端子電極にすることができ、換言すると、前記抵抗体の両端における接続端子電極を、厚さの薄い金属メッキ層にて形成できるから、チップ抵抗器における高さ寸法を低くすることができる。
【0010】
しかも、プリント基板等に対する半田付けに際して、溶融半田が抵抗体の下面にてまで盛り上がることを、当該下面を被覆する絶縁体にて阻止できるから、前記両接続端子電極の厚さを薄くすることによって、抵抗体における抵抗値が変化することを確実に低減できるから、高さ寸法を低くできるとともに、軽量化を図ることができる。
【0011】
この場合において、請求項2に記載したように、前記金属メッキ層の厚さを、前記抵抗体の下面を被覆する絶縁体の厚さと略等しくするか、厚くすることにより、プリント基板等に対する半田付けに際して、前記金属メッキ層のプリント基板からの浮き上がりを小さくするか、或いは無くすることができるから、半田付けの確実性及び強度を向上できる利点がある。
【0012】
また、その製造に際しては、前記従来のように、二枚の金属板をクラッド接合する工程、及び、前記一方における金属板の一部を切削加工にて除去する工程を必要としないから、製造コストを大幅に低減できる。
【0013】
特に、請求項3及び請求項5に記載したように、前記抵抗体における上面及び左右両側面も、絶縁体にて被覆することにより、半田付けに際して溶融半田が抵抗体における上面及び/又は左右両側面に付着することによる抵抗値の変化を確実に低減でき、また、前記金属メッキ層の形成に際して、バレルメッキ方法を採用できるから、メッキ工程が簡単になり、製造コストを更に低減できる利点がある。
【0014】
特に、請求項6に記載した製造方法によるとリードフレームを使用して多量生産できるから、製造コストを更に低減できる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図1〜図7の図面について説明する。
【0016】
先ず、図1は、長さ寸法がLで、幅寸法がWで、厚さ寸法がTの長方形に形成された抵抗体1を示し、この抵抗体1は、例えば、銅・ニッケル合金、ニッケル・クロム合金又は鉄・クロム合金等のように、低い抵抗を有する基材の金属(以下、低抵抗の金属と称する)に対してこの基材の金属よりも高い抵抗を有する金属(以下、高抵抗の金属と称する)を添加して成る合金等の金属製である。
【0017】
次いで、前記抵抗体1の両端に通電用のプローブを接触して、当該抵抗体1における抵抗値を測定しながら、抵抗体1に、図2に示すように、レーザ光線の照射等にてトリミング溝2を穿設することにより、抵抗体1における抵抗値を所定の定格値になるように調整する。
【0018】
次いで、図3及び図4に示すように、耐熱性合成樹脂又はガラス等の絶縁体3にて、前記抵抗体1における上面1a、下面1b及び左右両側面1c,1dを被覆する。この絶縁体3による被覆に際しては、前記抵抗体1における下面1bのうち両端の部分1b′,1b″を除くように、換言すると、被覆しないように構成する。
【0019】
そして、その多数個をバレルメッキ容器に入れて、例えば、銅又は銀等の純金属によるメッキ処理を行うことにより、前記抵抗体1のうち前記絶縁体3にて被覆されていない部分、つまり、前記抵抗体1における下面1bのうち両端の部分1b′,1b″に、前記抵抗体2の両端に対する接続端子電極を構成する金属メッキ層4,5を形成する。
【0020】
これらの工程を経ることにより、図5〜図7に示す構造のチップ抵抗器10を得ることができる。
【0021】
すなわち、このチップ抵抗器10は、金属板にて長方形に構成した抵抗体1と、この抵抗体1における上面1a、下面1b及び左右両側面1c,1dを、その下面1bのうち両端の部分1b′,1b″を除いて被覆する絶縁体3とから成り、前記抵抗体1における下面1bのうち前記絶縁体3で被覆されていない両端の部分1b′,1b″に、前記抵抗体1における金属より低い抵抗の金属、例えば、銅又は銀等による金属メッキ層4,5を形成し、この両金属メッキ層4,5を、前記抵抗体2の両端に対する接続端子電極にするという構成である。
【0022】
この構成により、前記金属メッキ層4,5を、前記抵抗体1の両端に対する接続端子電極にすることができ、換言すると、前記抵抗体1の両端における接続端子電極を、厚さの薄い金属メッキ層4,5にて形成できるから、チップ抵抗器10における高さ寸法Hを低くすることができる。
【0023】
また、プリント基板等に対する半田付けに際して、溶融半田が抵抗体1の下面1bにてまで盛り上がることを、当該下面1bを被覆する絶縁体3にて阻止することができる。
【0024】
この場合において、前記したように、絶縁体3にて、抵抗体1における上面1b及び左右両側面1c,1dも被覆するように構成することにより、プリント基板等に対する半田付けに際して、溶融半田が抵抗体1の上面1a及び/又は左右両側面1c,1dに対して付着することも確実に阻止することができる。
【0025】
更にまた、前記両金属メッキ層4,5における厚さt1を、前記絶縁体3のうち前記抵抗体1の下面を被覆する部分における厚さt0と等しくするか、これより厚くすることにより、プリント基板等に対する半田付けに際して、前記両金属メッキ層4,5のプリント基板からの浮き上がりを小さくするか、或いは無くすることができる。
【0026】
前記した構成のチップ抵抗器の製造に際しては、より具体的には、以下に述べるリードフレームを使用した方法を採用できる。
【0027】
すなわち、図8に示すように、所定の厚さの金属板より打ち抜いたリードフレームAに、前記抵抗体1を形成するリードA1の多数本を、長手方向に沿って適宜ピッチの間隔で一体的に設ける。
【0028】
次いで、図9に示すように、前記各リードA1の一端をリードフレームAから切り離したのち、このリードA1における抵抗体1の両端に通電用のプローブを接触して、抵抗体1における抵抗値を測定しながら、抵抗体1にレーザ光線の照射等にてトリミング溝2を穿設することにより、抵抗体1における抵抗値が所定の定格値になるように調整する。
【0029】
次いで、図10に示すように、前記各リードA1のうち抵抗体2の部分を、前記した実施の形態と同様にして絶縁体3にて被覆する。
【0030】
次いで、前記各リードA1における抵抗体1を、リードフレームAから切り離したのち、バレルメッキ等のメッキ処理を行うことにより、前記抵抗体12の接続端子電極としての金属メッキ層4,5を形成して、チップ抵抗器の完成品するか、或いは、前記各リードA1における抵抗体1のうち絶縁体3から露出する部分に対して、前記抵抗体12の接続端子電極としての金属メッキ層4,5を形成したのち、リードフレームAから切り離して、チップ抵抗器の完成品する。
【0031】
このように、チップ抵抗器の製造にリードフレームAを使用することにより、製造コストをより低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の実施の形態における抵抗体を示す斜視図である。
【図2】
前記抵抗体をトリミング調整した状態を示す斜視図である。
【図3】
前記抵抗体を絶縁体にて被覆した状態を下面側から見たときの斜視図である。
【図4】
図3のIV−IV視断面図である。
【図5】
本発明の実施の形態によるチップ抵抗器を示す縦断正面図である。
【図6】
図5の底面図である。
【図7】
図5のVII −VII 視断面図である。
【図8】
チップ抵抗器の製造に際して使用するリードフレームを示す斜視図である。
【図9】
前記リードフレームを使用した製造工程の第1の状態を示す斜視図である。
【図10】
前記リードフレームを使用した製造工程の第2の状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 抵抗体
1a 抵抗体の上面
1b 抵抗体の下面
1c,1d 抵抗体の側面
2 トリミング溝
3 絶縁体
4,5 金属メッキ層
10 チップ抵抗器
Claims (6)
- 金属板にて長方形に構成した抵抗体と、この抵抗体のうち少なくとも下面を、その両端の部分を除いて被覆する絶縁体とから成り、前記抵抗体における下面のうち前記絶縁体で被覆されていない両端の部分に金属メッキ層を形成し、この金属メッキ層を前記抵抗体の接続端子電極にすることを特徴とする低い抵抗値を有するチップ抵抗器。
- 前記請求項1の記載において、前記金属メッキ層の厚さを、前記抵抗体の下面を被覆する絶縁体の厚さと略等しくするか、厚くすることを特徴とする低い抵抗値を有するチップ抵抗器。
- 前記請求項1又は2の記載において、前記抵抗体における上面及び左右両側面を絶縁体にて被覆することを特徴とする低い抵抗値を有するチップ抵抗器。
- 金属板にて長方形の抵抗体を製作する工程と、
前記抵抗体ののうち少なくとも下面を、その両端の部分を除いて絶縁体にて被覆する工程と、
前記抵抗体における下面のうち前記絶縁体で被覆されていない両端の部分に対して、前記抵抗体の接続端子電極としての金属メッキ層を形成する工程と、
から成ることを特徴とする低い抵抗値を有するチップ抵抗器の製造方法。 - 金属板にて長方形の抵抗体を製作する工程と、
前記抵抗体における上面、下面及び左右両側面を、その下面における両端の部分を除いて絶縁体にて被覆する工程と、
前記抵抗体における下面のうち前記絶縁体で被覆されていない両端の部分に対して、前記抵抗体の接続端子電極としての金属メッキ層を形成する工程と、
から成ることを特徴とする低い抵抗値を有するチップ抵抗器の製造方法。 - 金属板製にて抵抗体を構成するリードの多数本を一体的に設けて成るリードフレームを製作する工程と、
前記リードフレームの各リードにおける抵抗体のうち少なくとも下面を、その両端の部分を除いて絶縁体にて被覆する工程と、
前記リードフレームの各リードフレームにおける抵抗体をリードフレームから切り離したのちその下面のうち前記絶縁体で被覆されていない両端の部分に対して前記抵抗体の接続端子電極としての金属メッキ層を形成するか、或いは、前記各リードの抵抗体における下面のうち前記絶縁体で被覆されていない両端の部分に対して抵抗体の接続端子電極としての金属メッキ層を形成したのち抵抗体をリードフレームから切り離す工程と、
から成ることを特徴とする低い抵抗値を有するチップ抵抗器の製造方法。
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- 2002-06-13 JP JP2002172893A patent/JP3838560B2/ja not_active Expired - Lifetime
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