JP2004008977A - 窒素酸化物を接触的に除去するための方法とそのための装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明によれば、周期的なリッチ/リーン条件下に燃料を供給して燃焼させ、生成する排ガスを触媒に接触させて、その排ガス中の窒素酸化物を接触的に除去する方法において、上記排ガスを、例えば、セリアからなる触媒成分を有する表面触媒層と、例えば、セリアとロジウム又はパラジウムからなる触媒成分を有する内部触媒層とからなる上流触媒に接触させ、次いで、白金、ロジウム又はパラジウムと担体とを触媒成分として有する下流触媒に接触させることを特徴とする排ガス中の窒素酸化物を接触的に除去する方法が提供される。
【選択図】なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、窒素酸化物(主として、NOとNO2とからなる。以下、NOxという。)の触媒反応による接触的除去、即ち、触媒的分解及び/又は還元のための方法とそのための装置に関する。詳しくは、本発明は、周期的なリッチ/リーン燃料供給行程(excursion:行程)にて燃料をディーゼルエンジンやガソリンエンジンの燃焼室に供給して燃焼させ、生成した排ガスを上流触媒と下流触媒に2段階で順次に接触させることによって、排ガス中のNOxを接触的に除去する方法とそのための装置に関する。このような方法とそのための装置は、例えば、自動車のエンジンからの排ガスに含まれる有害な窒素酸化物を低減、除去して、排ガスを浄化するために適している。
【0002】
特に、本発明は、硫黄酸化物(主として、SO2とSO3とからなる。以下、SOxという。)の存在下に、周期的なリッチ/リーン燃料供給行程にて燃料を供給して燃焼させ、その燃焼によって生成する排ガス中のNOxを触媒の劣化なしに、接触的に除去するための方法とそのための触媒装置に関する。
【0003】
本発明において、上記「行程」(excursion)なる用語は、空気/燃料比率が時間軸に沿ってその平均値から両方に動くこと又はそのような作業を意味する。上記「リッチ」なる用語は、問題とする燃料の空気/燃料比率が化学量論的な空気/燃料比率よりも小さいことを意味し、上記「リーン」なる用語は、問題とする燃料の空気/燃料比率が化学量論的な空気/燃料比率よりも大きいことを意味する。通常の自動車ガソリンでは、化学量論的な空気/燃料比率は約14.5である。また、本発明において、「触媒」は、燃料のリッチ/リーン燃焼の間、NOxを除去するのために作動する触媒又はこれを含む構造体を意味する。
【0004】
従って、本発明において、「周期的なリッチ/リーン燃料供給行程にて燃料を供給する」とは、ディーゼルエンジンやガソリンエンジンの燃焼室に、燃料の燃焼を主としてリーン条件(燃焼後の排ガス中の酸素濃度は、通常、5%から10%程度である。)で行い、上記リッチ条件とリーン条件との間で交互に雰囲気を周期的に振動させるように、空気/燃料比率を調整しながら、燃料を供給、注入又は噴射することをいう。従って、リッチ/リーン行程は、リッチ/リーン条件と同義である。
【0005】
従来、排ガスに含まれるNOxは、例えば、これを酸化した後、アルカリに吸収させる方法や、還元剤としてアンモニア、水素、一酸化炭素又は炭化水素を用いて、窒素に還元する等の方法によって除去されている。しかし、これらの従来の方法には、それぞれ欠点がある。
【0006】
即ち、前者の方法によれば、環境問題を防止するために、生成するアルカリ性の廃水を処理する手段が必要である。後者の方法によれば、例えば、アンモニアを還元剤として用いる場合であれば、アンモニアが排ガス中のSOxと反応して塩類を形成し、その結果、低温で触媒活性が低減する。また、とりわけ、自動車のような移動発生源からのNOxを処理する場合、その安全性が問題となる。
【0007】
他方、還元剤として、水素、一酸化炭素又は炭化水素を用いる場合であれば、それら還元剤は、排ガスがNOxよりも酸素を高濃度で含むので、その酸素と優先的に反応することとなり、かくして、NOxを実質的に低減しようとすれば、多量の還元剤を必要とすることとなり、燃費が大きく低下する。
【0008】
そこで、還元剤を用いることなしに、NOxを接触分解することが提案されている。しかし、NOxを直接に分解するために、従来知られている触媒は、その低い分解活性の故に、未だ実用化されていない。他方、還元剤として、炭化水素や酸素含有有機化合物を用いるNOx接触還元触媒として、種々のゼオライトが提案されている。特に、銅イオン交換ZSM−5やH型(水素型又は酸型)ゼオライトZSM−5(SiO2/Al2O3モル比=30〜40)が最適であるとされている。しかし、H型ゼオライトでさえ、十分な還元活性を有しておらず、特に、排ガス中に水分が含まれるとき、ゼオライト触媒は、ゼオライト構造の脱アルミニウムのために速やかに性能が低下することが知られている。
【0009】
このような事情の下、NOx接触還元のための一層高活性な触媒の開発が求められており、例えば、EP−A1−526099やEP−A1−679427(JP−A2−5317647に相当する。)に記載されているように、最近、無機酸化物担体材料に銀又は銀酸化物を担持させてなる触媒が提案されている。この触媒は、酸化活性は高いものの、NOxに対する選択還元活性が低いので、NOxの窒素への変換速度が遅いことが知られている。しかも、この触媒は、SOxの存在下に速やかに活性が低下する問題がある。これらの触媒は、完全なリーン条件下に炭化水素を用いてNOxをある程度選択的に還元する触媒作用を有するが、しかし、三元触媒に比べて、NOx除去率が低く、作動する温度ウインドウ(温度域)が狭いために、このようなリーンNOx触媒の実用化を困難にしている。かくして、NOx接触還元のための一層高耐熱性で高活性の触媒が緊急に求められている。
【0010】
上述した問題を克服するために、「自動車技術者協会」(Society of Automotive Engineers)誌(SAE)(1995年8月9日)に記載されているように、最近、NOx貯蔵−還元システムが最も有望な方法として提案されている。この提案(トヨタ自動車(株))によれば、燃料を周期的に短時間、化学量論量を上回る量にて燃焼室に供給する。リーン燃焼エンジンを備えている自動車は、非常に小さい燃料/空気比率で駆動することができるので、従来のエンジンを備えた自動車よりも燃料消費率を低くすることができる。このようなリーン燃焼エンジンのNOx貯蔵−還元システムは、1〜2分間隔の周期的な2工程によってNOxを低減する。
【0011】
即ち、第1の工程においては、(通常の)リーン条件下、白金やロジウム触媒上でNOはNO2に酸化され、このNO2は炭酸カリウムや炭酸バリウムのようなアルカリ化合物に吸着される。次いで、第2工程のためのリッチ条件が形成され、このリッチ条件が数秒間、持続される。このリッチ条件下、上記吸着(貯蔵)されたNO2は、白金やロジウム触媒上で炭化水素、一酸化炭素又は水素を用いて効率よく窒素に還元される。このNOx貯蔵−還元システムは、SOxの不存在下であれば、長期間にわたってよく作動する。しかし、SOxが存在すれば、リーン及びリッチいずれの条件下においても、アルカリ化合物上のNO2吸着サイトにおいて、SOxが不可逆的に吸着するので、触媒システムは急激に劣化する問題がある。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、酸素、硫黄酸化物又は水の存在下においても、また、広範囲の反応温度においても、周期的なリッチ/リーン条件の下で燃料を燃焼させ、この燃焼によって生成した排ガス中のNOxを触媒の劣化なしに、接触的に除去する方法とそのための装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、周期的なリッチ/リーン条件下に燃料を供給して燃焼させ、生成する排ガスを触媒に接触させて、その排ガス中の窒素酸化物を接触的に除去する方法において、上記排ガスを
(A)(a)セリア又は
(b)酸化プラセオジム又は
(c)セリウム、ジルコニウム、プラセオジム、ネオジム、テルビウム、サマリウム、ガドリニウム及びランタンから選ばれる少なくとも2つの元素の酸化物の混合物と少なくともそれら2つの元素の複合酸化物とから選ばれる少なくとも1種
からなる表面触媒成分を有する表面触媒層と
(B)(a)セリア又は
(b)酸化プラセオジム又は
(c)セリウム、ジルコニウム、プラセオジム、ネオジム、テルビウム、サマリウム、ガドリニウム及びランタンから選ばれる少なくとも2つの元素の酸化物の混合物と少なくともそれら2つの元素の複合酸化物とから選ばれる少なくとも1種
からなる第1の触媒成分と、
(d)ロジウム、パラジウム及びそれらの酸化物から選ばれる少なくとも
1種
からなる第2の触媒成分とを内部触媒成分として有する内部触媒層とを有する上流触媒に接触させ、次いで、
(C)(a)白金、ロジウム、パラジウム及びそれらの酸化物から選ばれる少な
くとも1種と、
(b)担体と
を触媒成分として有する下流触媒に接触させることを特徴とする排ガス中の窒素酸化物を接触的に除去する方法が提供される。
【0014】
更に、本発明によれば、周期的なリッチ/リーン条件下に燃料を供給して燃焼させ、生成する排ガスを触媒に接触させて、その排ガス中の窒素酸化物を接触的に除去する装置において、
(A)(a)セリア又は
(b)酸化プラセオジム又は
(c)セリウム、ジルコニウム、プラセオジム、ネオジム、テルビウム、サマリウム、ガドリニウム及びランタンから選ばれる少なくとも2つの元素の酸化物の混合物と少なくともそれら2つの元素の複合酸化物とから選ばれる少なくとも1種
からなる表面触媒成分を有する表面触媒層と
(B)(a)セリア又は
(b)酸化プラセオジム又は
(c)セリウム、ジルコニウム、プラセオジム、ネオジム、テルビウム、サマリウム、ガドリニウム及びランタンから選ばれる少なくとも2つの元素の酸化物の混合物と少なくともそれら2つの元素の複合酸化物とから選ばれる少なくとも1種
からなる第1の触媒成分と、
(d)ロジウム、パラジウム及びそれらの酸化物から選ばれる少なくとも1種
からなる第2の触媒成分とを内部触媒成分として有する内部触媒層とを有する上流触媒装置と、
(C)(a)白金、ロジウム、パラジウム及びそれらの酸化物から選ばれる少な
くとも1種と、
(b)担体
とを触媒成分として有する下流触媒装置とからなることを特徴とする排ガス中の窒素酸化物を接触的に除去する触媒装置が提供される。
【0015】
本発明によれば、上記方法において、下流触媒は、
(C)(a)白金、ロジウム、パラジウム及びそれらの酸化物から選ばれる少なくとも1種と
(b)鉄、コバルト及びニッケルから選ばれる少なくとも1種の元素のイオン及び/又は酸化物からなる助触媒と
(c)担体と
を下流触媒成分として有するものであってもよい。
【0016】
同様に、本発明によれば、下流触媒装置は、
(C)(a)白金、ロジウム、パラジウム及びそれらの酸化物から選ばれる少なくとも1種と、
(b)鉄、コバルト及びニッケルから選ばれる少なくとも1種の元素のイオン及び/又は酸化物からなる助触媒と
(c)担体
とを下流触媒成分として有するものであってもよい。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の方法によれば、周期的なリッチ/リーン条件下に燃料を供給して燃焼させ、生成する排ガスを触媒に接触させて、その排ガス中の窒素酸化物を接触的に除去する方法において、上記排ガスを先ず、エンジンの燃焼室からの排ガスの流れからみて、上流側の触媒、即ち、上流触媒に接触させ、次いで、エンジンの燃焼室からの排ガスの流れからみて、下流側の触媒、即ち、下流触媒に接触させる。即ち、本発明の方法によれば、排ガスを上流触媒と下流触媒とに2段階にわたって順次に接触させる。
【0018】
より詳細には、図1に示すように、本発明によれば、ディーゼルエンジンやガソリンエンジンの燃焼室1に周期的なリッチ/リーン燃料供給行程にて燃料を供給して燃焼させ、その結果、生成した排ガスを排気管2に導き、この排気管の拡管部3内に設けた上流触媒装置4内の上流触媒に接触させた後、下流触媒装置5内の下流触媒に接触させ、かくして、排ガス中のNOxを接触的に分解及び/又は還元して、排ガスを浄化し、排出する。上流及び下流の各触媒装置において、各触媒は、例えば、耐熱性のパッキング6及び7によって上記拡管部に固定されている。
【0019】
後述するように、本発明の好ましい態様によれば、上記上流触媒成分と下流触媒成分はそれぞれ、これを不活性なハニカム基材に担持させて、ハニカム触媒構造体とし、これを触媒装置内に充填して、この触媒装置に導かれる排ガスと接触せしめられる。即ち、本発明の好ましい態様によれば、触媒成分は、ハニカム触媒構造体において、ハニカム基材の貫通孔の壁面の少なくとも表面に層状に担持されており、燃焼室からの排ガスは、このようなハニカム触媒構造体を充填した触媒装置に導かれて、ここで、このハニカム触媒構造体の貫通孔を通過する間にその壁面の触媒層と接触せしめられて、排ガス中のNOxが接触的に分解及び/又は還元される。
【0020】
本発明において、窒素酸化物の接触的除去とは、NOxの大部分が触媒反応によって窒素と酸素に直接分解されるのみならず、NOxの一部が還元剤との反応によって、窒素と水、一酸化炭素、二酸化炭素等に変換されることをいう。
【0021】
本発明によれば、上記上流触媒は、
(A)(a)セリア又は
(b)酸化プラセオジム又は
(c)セリウム、ジルコニウム、プラセオジム、ネオジム、テルビウム、サマリウム、ガドリニウム及びランタンから選ばれる少なくとも2つの元素の酸化物の混合物と少なくともそれら2つの元素の複合酸化物とから選ばれる少なくとも1種
からなる表面触媒成分を有する表面触媒層と
(B)(a)セリア又は
(b)酸化プラセオジム又は
(c)セリウム、ジルコニウム、プラセオジム、ネオジム、テルビウム、サマリウム、ガドリニウム及びランタンから選ばれる少なくとも2つの元素の酸化物の混合物と少なくともそれら2つの元素の複合酸化物とから選ばれる少なくとも1種
からなる第1の触媒成分と、
(d)ロジウム、パラジウム及びそれらの酸化物から選ばれる少なくとも1種
からなる第2の触媒成分とを内部触媒成分として有する内部触媒層とからなる上流触媒成分を有し、上記下流触媒は、
(C)(a)白金、ロジウム、パラジウム及びそれらの酸化物から選ばれる少なくとも1種と、
(b)担体
とを下流触媒成分として有する。
【0022】
本発明によれば、排ガスは上流触媒と下流触媒に順次に接触せしめられる。ここに、上流触媒は、上記表面触媒成分を有する表面触媒層と上記内部触媒成分を有する内部触媒層とを有し、この内部触媒成分は、第1の触媒成分と第2の触媒成分(貴金属触媒成分)とを有する。
【0023】
本発明によれば、上流触媒の表面触媒層は、表面触媒成分を少なくとも50重量%、特に好ましくは、少なくとも80重量%を含む。このような上流触媒の表面触媒成分と後述する内部触媒成分の第1の触媒成分、即ち、酸化物触媒(例えば、セリア、即ち、酸化セリウム(IV))は、リッチ条件下において、その酸素の一部を失う(即ち、還元される)一方、リーン条件下において、これらの触媒成分(例えば、酸化セリウム(III))は、気相中の酸素を貯蔵する(即ち、セリアに酸化される)。即ち、上流触媒中の表面触媒成分と内部触媒成分の第1の触媒成分は、酸素貯蔵能を有する物質(以下、OSC機能物質という。)として機能する。
【0024】
このような上流触媒における表面触媒成分は、1つの態様として、前記(c)として記載されているように、少なくとも2つの元素の酸化物の混合物と少なくともそれら2つの元素の複合酸化物とから選ばれる少なくとも1種であるが、ここに、その混合物は、均一な混合物であることが好ましい。しかし、本発明によれば、上記少なくとも2つの元素の酸化物の混合物よりは、上記少なくとも2つの元素の複合酸化物が好ましく用いられ、特に、二元系又は三元系の複合酸化物が好ましく用いられる。
【0025】
例えば、二元系複合酸化物の場合、固溶体における各元素の酸化物基準重量比は、セリア/酸化プラセオジム複合酸化物、セリア/ジルコニア複合酸化物、セリア/酸化テルビウム複合酸化物、セリア/酸化サマリウム複合酸化物等であれば、好ましくは、80/20から60/40の範囲である。また、三元系複合酸化物の場合、固溶体における酸化物基準重量比は、セリア/酸化ガドリニウム/ジルコニア複合酸化物、セリア/酸化ネオジム/ジルコニア複合酸化物、セリア/ジルコニア/酸化プラセオジム複合酸化物、セリア/ジルコニア/酸化ランタン複合酸化物、セリア/ジルコニア/酸化サマリウム複合酸化物、セリア/ジルコニア/酸化テルビウム複合酸化物等であれば、好ましくは、45/30/30から75/20/5の範囲である。但し、本発明において、これらの複合酸化物中のそれぞれ元素の酸化物基準重量比は、セリア、ジルコニア、酸化テルビウム、酸化プラセオジム、酸化ガドリニウム、酸化ネオジム、酸化サマリウム及び酸化ランタンをそれぞれCeO2、ZrO2、TbO2、Pr6O11、Ga2O3、Nd2O3、Sm2O3、及びLa2O3として計算するものとする。
【0026】
本発明によれば、上流触媒層を単層とする場合に比べて、上流触媒層を二層とし、内部触媒層の第1の触媒成分と同じく、表面触媒成分を上述したOSC機能物質とすることによって、上流触媒中のOSC機能物質の量が増えて、酸素貯蔵能が増加すると共に、反応雰囲気がリッチからリーンに変化したときのOSC機能物質の酸化の速度が遅くなって、リーン時における触媒反応雰囲気をより長く還元雰囲気に保つことができる。
【0027】
従って、上流触媒において、表面触媒層の表面触媒成分の割合が50重量%を下回るときは、得られる上流触媒、特に、表面触媒成分と後述する内部触媒成分の第1の触媒成分の酸素貯蔵能が、通常のリーン時間(1分から2分)の間、上流触媒の還元雰囲気を保持するのに不十分となり、その結果、後述するように、リーン時、上記内部触媒層の第2の触媒成分上でのNOxの接触的除去能が低下する。
【0028】
表面触媒層の厚みは、本発明による触媒のリッチ/リーン工程におけるNOx接触分解能に大きい影響を及ぼす。表面触媒層の最適の厚みは、温度、酸素濃度、空間速度(SV)等のような反応条件にもよるが、リッチ/リーン工程の中で高いNOx接触分解能を得ることができる好ましい表面触媒層の厚みは、10μmから60μmの範囲である。しかし、通常、25μm程度が好ましい。表面触媒層の厚みを60μm以上としても、それに見合って性能が向上せず、むしろ、内部触媒層へのNOx等の反応物質の到達、拡散が阻害されるので、上流触媒の性能が低下する。また、表面触媒層の厚みが10μmより小さいときは、リーン時にNOxが直接、内部触媒層に到達するので、内部触媒層の第2の成分が酸化されやすいリーン行程の後半において、NOx接触分解能が低下する。
【0029】
ここに、本発明によれば、各触媒層の厚みは、便宜的に触媒層の見かけ密度を1.0g/cm3とし、触媒成分を含むスラリーの基材への塗布量から計算にて求めることができる。
【0030】
上述したような上流触媒の表面触媒成分は、例えば、次のような方法によって得ることができる。即ち、先ず、セリウム、ジルコニウム、プラセオジム、ネオジム、テルビウム、サマリウム、ガドリニウム及びランタン等の触媒成分を構成する元素の水溶性塩、例えば、硝酸塩の水溶液を中和し、又は加熱加水分解して、水酸化物を形成させた後、得られた生成物を酸化性又は還元性雰囲気中、300〜900℃の温度で焼成することによって、上流触媒成分中の第1の触媒成分を得ることができる。しかし、市販されているセリウム、ジルコニウム、プラセオジム、ネオジム、テルビウム、サマリウム、ガドリニウム、ランタン等の水酸化物や酸化物を上述したように焼成することによっても、上流触媒成分中の表面触媒成分を得ることができる。
【0031】
本発明によれば、上流触媒の内部触媒層も、内部触媒成分を少なくとも50重量%、特に好ましくは、少なくとも80重量%を含む。上流触媒において、内部触媒層の内部触媒成分の割合が50重量%を下回るときは、得られる上流触媒、特に、表面触媒成分と後述する内部触媒成分の第1の触媒成分の酸素貯蔵能が、通常のリーン時間(1分から2分)の間、上流触媒の還元雰囲気を保持するのに不十分となり、その結果、後述するように、リーン時、上記内部触媒の第2の触媒成分上でのNOxの接触的除去能が低下する。
【0032】
上流触媒の内部触媒層の第1の触媒成分は、上流触媒の表面触媒成分と同じであり、従って、OSC機能物質として機能する。
【0033】
本発明によれば、上流触媒において、内部触媒層の第2の触媒成分(貴金属触媒成分)は、上記第1の触媒成分上に担持されつつ、内部触媒成分中に金属換算にて0.05〜3重量%の範囲で含まれる。このような内部触媒層の第2の触媒成分は、一つの作用として、リッチ時に上流触媒中の表面触媒層の表面触媒成分と内部触媒層の第1の触媒成分(OSC機能物質)とを速やかに還元する。即ち、上流触媒の内部触媒層の第2の触媒成分である貴金属触媒成分は、反応雰囲気がリーンからリッチに、又はリッチからリーンに変化したときのOSC機能物質の酸化還元の反応応答速度を速める。内部触媒層の第2の触媒成分は、他の作用として、リッチ時にそれ自身が還元されて、NOxの接触分解を行うほか、リーン時にも、NOx分解反応の活性種として機能して、速やかにNOxを接触的に除去する役割を担っている。
【0034】
上流触媒の内部触媒成分中の第2の触媒成分(貴金属触媒成分)の割合が金属換算にて0.05重量%よりも少ないときは、リッチ時、内部触媒層の第2の触媒成分(貴金属触媒成分)は、第1の触媒成分(OSC機能物質)を十分に還元することができず、その結果、リーン時に第2の触媒成分(貴金属触媒成分)の酸化を抑制する緩衝効果に乏しくなり、NOx浄化性能が低下する。他方、上流触媒成分中の第2の触媒成分(貴金属触媒成分)の割合が金属換算にて3重量%よりも多いときは、リッチ時に第1の触媒成分をよく還元することができるものの、リーン時に第2の触媒成分(貴金属触媒成分)の酸化が急激に進行するので、同様に、NOx浄化性能が低下する。
【0035】
内部触媒層は、内部触媒成分のリッチ/リーン応答性とNOx接触分解性が表面触媒よりも高く、従って、その厚みがリッチ/リーン工程におけるNOx接触分解能に及ぼす影響は、表面触媒層の厚みよりは小さいが、しかし、通常は、10μmから50μmの範囲が適当である。内部触媒層の厚みを50μmよりも厚くしても、それに見合って性能が向上せず、他方、内部触媒層の厚みを10μmより小さくしたときは、NOx接触分解能が低下する。
【0036】
リーン条件下においては、上流触媒中の表面触媒成分、即ち、OSC機能物質は、上流触媒中の内部触媒成分の第2の触媒成分である貴金属触媒成分の酸化を抑制して、その貴金属触媒成分上でNOxの接触的除去反応が高効率で進行することを可能とする。また、上流触媒の内部触媒成分中の第1の触媒成分は、第2の触媒成分の分散性を高める役割を担っており、その結果、リーン条件下において、貴金属触媒成分の酸化を抑制して、貴金属触媒成分上でNOxの接触的除去が一定時間行われることを可能とする。
【0037】
上流触媒の内部触媒成分は、例えば、次のようにして得ることができる。前述した上流触媒の表面触媒成分は、内部触媒成分の第1の触媒成分でもある。そこで、上記上流触媒の表面触媒成分と同様にして、第1の触媒成分を調製し、この第1の触媒成分上に、従来より知られている含浸法やイオン交換法等の適宜の手段によって、第2の触媒成分を構成する元素の水溶性塩、例えば、硝酸塩の水溶液を担持させた後、酸化性又は還元性雰囲気中、500〜900℃の温度で焼成すれば、第1と第2の触媒成分からなる内部触媒成分を粉体として得ることができる。
【0038】
本発明によれば、下流触媒は、触媒成分を少なくとも50重量%、特に好ましくは、少なくとも80重量%を含む。下流触媒における触媒成分の割合が50重量%を下回るときは、リッチ時の下流触媒のNOxの接触的除去能が低下する。
【0039】
下流触媒は、白金、ロジウム、パラジウム及びそれらの酸化物から選ばれる少なくとも1種の貴金属触媒成分と担体とからなる下流触媒成分を有し、上記貴金属触媒成分は、下流触媒成分中、金属換算にて、好ましくは、0.05〜5重量%の範囲で含まれている。上記貴金属触媒成分の下流触媒成分中の割合が金属換算にて5重量%を越えても、それに見合って、リッチ時のNOxと還元剤との反応の選択性が向上するものでもない。他方、上記貴金属触媒成分の下流触媒成分中の割合が金属換算にて0.05重量%よりも少ないときは、リッチ応答性に劣ると共に、リッチ時のNOxと還元剤との反応性が低下し、その結果、本発明の方法によるNOxの接触的除去能が低下する。
【0040】
本発明によれば、下流触媒中の上記貴金属触媒成分は、担体に担持されている。この担体としては、従来より知られているいずれの担体でも用いられるが、好ましくは、例えば、アルミナ、シリカ、シリカ・アルミナ、ゼオライト、チタニア等が用いられる。
【0041】
本発明によれば、下流触媒は、上述した貴金属触媒成分と担体と共に、好ましくは、鉄、コバルト及びニッケルから選ばれる少なくとも1種の元素のイオン及び/又は酸化物からなる助触媒を下流触媒成分として有する。このように、下流触媒が上記助触媒を触媒成分として有するとき、下流触媒成分中の助触媒の割合は、通常、1〜10重量%の範囲である。助触媒の割合が下流触媒成分中の1重量%よりも少ないときは、リーン時のSOx吸着能が低く、他方、助触媒の割合が下流触媒成分中の10重量%よりも多いときは、内部触媒層中の貴金属触媒成分のNOx還元分解能を阻害する。
【0042】
下流触媒成分は、1つの方法として、例えば、アルミナ等の担体を触媒成分である白金等の水溶性塩の水溶液に加えてスラリーとし、混合、攪拌した後、乾燥させ、酸化性又は還元性雰囲気中、500〜900℃の温度で焼成すれば、担体上に貴金属触媒成分を担持させてなる粉体として得ることができる。また、下流触媒が上記助触媒を触媒成分として有するときは、同様に、例えば、触媒成分である白金等の水溶性塩と鉄、コバルト及びニッケルから選ばれる少なくとも1種の元素の水溶性塩の水溶液にアルミナ等の担体を加えてスラリーとし、混合、攪拌した後、乾燥させ、酸化性又は還元性雰囲気中、500〜900℃の温度で焼成すれば、担体上に貴金属触媒成分と助触媒上を担持させてなる粉体として得ることができる。
【0043】
特に、好ましい方法として、触媒成分である白金等のイオン交換可能な水溶性塩(例えば、テトラアンミン白金(II)硝酸塩(Pt(NH3)4(NO3)2)やジニトロジアンミン白金(II)(Pt(NO2)2(NH3)2等)(と、必要に応じて、鉄、コバルト及びニッケルから選ばれる少なくとも1種の元素の水溶性塩)の水溶液を用いて、イオン交換法にてアルミナ等の担体に貴金属触媒成分(と上記鉄、コバルト及びニッケルから選ばれる少なくとも1種の元素)を担持させた後、乾燥させ、酸化性又は還元性雰囲気中、500〜900℃の温度で焼成すれば、担体上に貴金属触媒成分(と助触媒)を担持させてなる粉体として得ることができる。
【0044】
下流触媒の触媒成分は、担体に担持させた貴金属触媒成分のみであるので、触媒反応の雰囲気がリーン条件からリッチ条件に変化したとき、触媒反応の雰囲気の変化に応答して、貴金属触媒成分は速やかに還元される。即ち、触媒反応の雰囲気がリーン条件からリッチ条件に変化したときの触媒成分の還元されやすさ又は還元される速さとして定義される「リッチ応答性」において、下流触媒はすぐれている。特に、下流触媒に触媒成分として白金を有せしめることによって、下流触媒のリッチ応答性は一層高まる。
【0045】
これに対して、上流触媒は、内部触媒層の第2の触媒成分(貴金属触媒成分)と共に、表面触媒層及び内部触媒層の第1の触媒成分として、酸素貯蔵能の高いOSC機能物質を触媒成分として有しているので、触媒反応の雰囲気がリーン条件からリッチ条件に変化したとき、上記貴金属触媒成分が還元されると共に、この貴金属触媒成分の高い還元力によって、OSC機能物質も還元されるものの、上流触媒単独では、その触媒成分は、上記触媒反応の雰囲気の変化に対して速やかに還元され難い。即ち、上流触媒はリッチ応答性に劣っている。
【0046】
しかしながら、本発明によれば、上述したように、このような上流触媒をリッチ応答性にすぐれる下流触媒と組み合わせることによって、リッチ条件下において、上流触媒中の表面触媒成分は、上流触媒中の内部触媒成分の第2の触媒成分(貴金属触媒成分)によって還元されるのみならず、下流触媒の助けをも受けて、速やかに還元されるので、かくして、上流触媒のリッチ応答性に劣る問題を解決して、そのリッチ応答性を高めることができる。
【0047】
このように、本発明によれば、上流触媒のリッチ応答性が改善される理由は、必ずしも明確ではなく、また、本発明は、その理由によって何ら制約を受けるものではないが、リッチ条件下において、上流触媒と下流触媒との間に排ガスの流れに乱れが生じて、下流触媒から上流触媒に排ガスが拡散したり、また リッチ条件下において、下流触媒上で酸素濃度が急激に低下して、上流触媒の反応雰囲気の還元性を急速に高めることによるものと推察される。
【0048】
更に、本発明によれば、下流触媒が鉄、コバルト及びニッケルから選ばれる少なくとも1種の元素のイオン及び/又は酸化物からなる助触媒を下流触媒成分として有するときは、排ガス中のSOxは、リーン時に下流触媒中の貴金属触媒成分によって速やかにSO3に酸化され、かくして、このSO3は上記助触媒上に速やかに吸着され、次いで、リッチ時にこのSO3をSO2として気相中に脱離して、下流に排出する。従って、本発明によれば、リーン時に上流触媒中にSOxが蓄積されることがなく、SOxによるNOx吸着能の劣化は、前述したNOx貯蔵−還元システムに比べて非常に小さいので、本発明による触媒は、SOx共存下での使用においても、劣化が殆ど起こらない。即ち、本発明によれば、下流触媒において、リーン時のSO2のSO3への酸化と、リッチ時のこのSO3の脱着が急速に進行するので、上流触媒の入口側の排ガス中のSOxが下流触媒側に拡散して、上流触媒におけるSOxが捕捉、蓄積され難いのである。
【0049】
本発明の方法によれば、リッチ行程、即ち、還元条件下において、次のようにして、窒素酸化物の接触的除去が行われる。リーン行程において酸化された上流触媒の内部触媒層の第2の触媒成分(貴金属触媒成分)が還元され、この貴金属触媒成分上でNOxが還元分解されると共に、リーン行程において酸化された下流触媒の貴金属触媒成分も還元され、この貴金属触媒成分上でもNOxが接触的に除去される。更に、このリッチ行程においては、上流触媒中の表面触媒成分と内部触媒層の第1の触媒成分(酸化物)は、前述したように、上流触媒層中の内部触媒成分の第2の触媒成分(貴金属触媒成分)のみならず、リッチ応答性にすぐれた下流触媒中の触媒成分(貴金属触媒成分)の助けをも受けて速やかに還元され、かくして、次のリーン行程に備えて再生される。
【0050】
次いで、このようなリッチ行程に続くリーン行程、即ち、酸化条件下においては、次のようにして、窒素酸化物の接触的除去が行われる。即ち、リーン行程において、上流触媒中に拡散してきた酸素は、上流触媒の表面触媒成分と内部触媒層の第1の触媒成分(OSC機能物質)によって吸蔵されるので、リーン時の大部分において、上流触媒の反応雰囲気がリッチ乃至ストイキ条件に保持されると結果、上流触媒中の内部触媒層の第2の触媒成分は、このような雰囲気下にあるので、リーン条件下において、気相酸素による酸化速度が遅く、かくして、リーン条件下において、排ガス中の大部分のNOxは、上流触媒の内部触媒層の第2の触媒成分上で接触分解される。即ち、リーン条件下において、通常、約10秒から1分程度、NOxの接触分解が持続される。
【0051】
リーン行程を長く設定したときは、リーン行程の後半において、上流触媒中の表面触媒層と内部触媒層の第1の触媒成分の酸素貯蔵能が損なわれると共に、上記第1の触媒成分上に高分散担持された第2の触媒成分(貴金属触媒成分)の酸化が進行する。即ち、上記貴金属触媒成分は、生成する酸素と排ガスに含まれる酸素によって徐々に酸化されるので、NOxの接触的除去率は低下するが、本発明によれば、リッチ/リーン幅を最適に設定することによって、排ガス中のNOx除去を高い効率で続けることができる。
【0052】
また、リーン行程の最終段階においては、排ガス中のNOxは、その一部が上流触媒成分に吸着され、このNOxは、触媒反応の雰囲気がリーン条件からリッチ条件に変化したときに上流触媒成分から脱離する。しかし、本発明によれば、上流触媒に下流触媒を組み合わせることによって、このNOxが残留する還元剤によって下流触媒上にて接触的に還元されて、NOxが除去され、かくして、排ガスの除去率を高く維持することができる。即ち、本発明によれば、ここにも、上流触媒に下流触媒を組み合わせることによる利点がある。
【0053】
更に、本発明によれば、酸素、硫黄酸化物又は水の存在下においても、とりわけ、NOx吸蔵触媒の深刻な問題点であった硫黄酸化物の共存下での劣化がなく、広い温度域において、周期的なリッチ/リーン燃焼のリーン行程において、触媒の劣化なく、耐久性よく、NOxが接触的に除去される。即ち、本発明によれば、上流触媒において、SOxのSO3への酸化が起こらず、従って、第1の触媒成分が不可逆的吸着物である硫酸塩を生成せずに、SO2が上流触媒に蓄積することがない。
【0054】
しかも、本発明によれば、下流触媒成分が助触媒を有するときは、リーン時に下流触媒中の貴金属触媒成分によって排ガス中のSOxが速やかに酸化され、かくして、生成したSO3を上記助触媒が吸着し、リッチ時にこれを脱離して、排出するので、リーン時に上流触媒中にSOxが蓄積されることがなく、従って、硫黄酸化物の共存下においても、触媒の劣化が起こらないのである。
【0055】
本発明によれば、上流触媒と下流触媒のためのそれぞれの触媒成分は、前述したように、粉末や粒状物のような種々の形態にて得ることができる。従って、従来からよく知られている任意の方法によって、このような触媒成分を用いて、上流触媒や下流触媒を、例えば、ハニカム、環状物、球状物等のような種々の形状の触媒構造体に成形することができる。このような触媒構造体の調製に際して、必要に応じて、適当な添加物、例えば、成形助剤、補強材、無機繊維、有機バインダー等を用いることができる。
【0056】
特に、本発明による触媒は、任意の形状の支持用の不活性な基材の表面に、例えば、ウォッシュ・コート法によって、(例えば、塗布して、)その表面に上流触媒の内部触媒層と表面触媒層を層状に有せしめて、触媒構造体とし、また、同様に、不活性な基材の表面に下流触媒成分を有せしめて、触媒構造体とするのが有利である。上記不活性な基材は、例えば、コージーライトのような粘土鉱物や、また、ステンレス鋼のような金属、好ましくは、Fe−Cr−Alのような耐熱性の金属からなるものであってよく、また、その形状は、ハニカム、環状、球状構造等であってよい。
【0057】
このような本発明による触媒はいずれも、熱に対する抵抗にすぐれるのみならず、硫黄酸化物に対する抵抗性にもすぐれており、ディーゼルエンジンやリーンガソリンエンジン自動車排ガス中のNOxの還元、即ち、脱硝するための触媒として用いるのに好適である。
【0058】
本発明によれば、排ガス中のNOxは、燃料の燃焼雰囲気が前述したようなリッチ条件とリーン条件の間で振動する条件下での触媒反応によって還元分解される。ここに、触媒反応の周期(即ち、リッチ雰囲気(又はリーン雰囲気)から次のリッチ雰囲気(又はリーン雰囲気)までの時間)は、好ましくは、5〜150秒、特に好ましくは、30〜90秒である。また、リッチ/リーン幅、即ち、リッチ時間(秒)/リーン時間(秒)は、通常、0.5/5〜10/150の範囲であり、好ましくは、2/30〜5/90の範囲である。
【0059】
リッチ条件は、燃料としてガソリンを用いる場合には、通常、エンジンの燃焼室に重量比で10〜14の空気/燃料比率で燃料を周期的に噴射することによって形成される。リッチ条件下の典型的な排ガスは、数百容量ppmのNOx、5〜6容量%の水、2〜3容量%のCO、2〜3容量%の水素、数千容量ppmの炭化水素及び0〜0.5容量%の酸素を含む。一方、リーン条件は、燃料としてガソリンを用いる場合には、通常、エンジンの燃焼室に重量比で20〜40の空気/燃料比率で燃料を周期的に噴射することによって形成される。リーン条件下の典型的な排ガスは、数百容量ppmのNOx、5〜6容量%の水、数千容量ppmのCO、数千容量ppmの水素、数千容量ppmの炭化水素及び5〜10容量%の酸素を含む。
【0060】
本発明によれば、NOx接触還元のために好適な温度は、個々のガス組成にもよるが、リッチ行程において、触媒が長期間にわたってNOxに対して有効な触媒反応活性を有するように、通常、150〜550℃の範囲であり、好ましくは、200〜500℃の範囲である。
【0061】
上記反応温度域においては、排ガスは、好ましくは、上流触媒と下流触媒を含む総括空間速度が10000〜200000hr−1の範囲で処理され、上流触媒における空間速度/下流触媒における空間速度比の空間速度比は、好ましくは、1/10から1/1の範囲とされる。上記空間速度比が1/10よりも小さいときは、下流触媒が有効に機能しないので、リーン時の応答性に劣るという上流触媒の欠点が改善されず、かくして、上流触媒のOSC機能が低下し、リーン時の排ガス浄化能が低下し、その結果、周期的なリッチ/リーン条件下におけるNOx浄化能が低下する。一方、上記空間速度比を1/1よりも大きくしても、リッチ時の応答性が更に改善されることはなく、むしろ総括空間速度を一定としたとき、上流触媒における排ガスの空間速度が高くなりすぎるので、周期的なリッチ/リーン条件下におけるNOx浄化能が低下する。
【0062】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、上述したように、NOxを含む排ガスを周期的なリッチ/リーン条件下において、上述したように、上流触媒と下流触媒とに順次に接触させることによって、酸素、硫黄酸化物又は水分の存在下においても、用いる触媒の劣化なしに、排ガス中のNOxを耐久性よく、効率よく接触還元することができる。
【0063】
【実施例】
以下に上流触媒成分と下流触媒成分である粉体触媒とこれらを用いる用いる上流触媒構造体と下流触媒構造体の製造例と共に、これらの上流触媒構造体と下流触媒構造体を用いる本発明による窒素酸化物の還元分解を実施例として挙げて本発明を詳細に説明する。また、比較的による触媒構造体を用いる窒素酸化物の還元分解を挙げる。しかし、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。以下において、すべての「部」及び「%」は、特に明示しない限り、重量基準である。
【0064】
(1)下流触媒成分の調製
製造例1
イオン交換水100mLにPt(NH3)4(NO3)2水溶液(白金として9.0%)8.40gを加えて、水溶液とし、これにγ−アルミナ(住友化学工業(株)製KC−501)60gを投入し、攪拌しながら、100℃で乾燥させた後、空気中、500℃にて3時間焼成して、γ−アルミナ上に白金1%を担持させてなる触媒粉体を得た。
【0065】
製造例2
イオン交換水100mLにPt(NH3)4(NO3)2水溶液(白金として9.0%)8.40gと硝酸ロジウム水溶液(ロジウムとして9.0%)4.20gとを加えて、水溶液とし、これにγ−アルミナ(住友化学工業(株)製KC−501)60gを投入し、攪拌しながら、100℃で乾燥させた後、空気中、500℃にて3時間焼成して、γ−アルミナ上に白金1%とロジウム0.5%とを担持させてなる触媒粉体を得た。
【0066】
製造例3
イオン交換水100mLにPt(NH3)4(NO3)2水溶液(白金として9.0%)8.40gを加えて、水溶液とし、これにチタニア60gを投入し、攪拌しながら、100℃で乾燥させた後、空気中、500℃にて3時間焼成して、チタニア上に白金1%を担持させてなる触媒粉体を得た。
【0067】
製造例4
イオン交換水100mLに硝酸パラジウム水溶液(パラジウムとして9.0%)4.20gとPt(NH3)4(NO3)2水溶液(白金として9.0%)8.40gを加えて、水溶液とし、これにγ−アルミナ(住友化学工業(株)製KC−501)60gを投入し、攪拌しながら、100℃で乾燥させた後、空気中、500℃にて3時間焼成して、γ−アルミナ上に白金1%とパラジウム0.5%とを担持させてなる触媒粉体を得た。
【0068】
製造例5
硝酸鉄(Fe(NO3)3・9H2O)4.28gをイオン交換50mLに溶解して、硝酸鉄水溶液を得た。これにγ−アルミナ(住友化学工業(株)製KC−501)20gを投入し、攪拌しながら、100℃で乾燥させた後、空気中で500℃にて3時間焼成して、γ−アルミナ上に鉄5%を担持させてなる粉体を得た。ここに、γ−アルミナ上に担持された鉄の形態は、大部分が酸化第二鉄であった。
【0069】
イオン交換水100mLにPt(NH3)4(NO3)2水溶液(白金として9.0%)8.40gを加えて、水溶液とし、これにγ−アルミナ(住友化学工業(株)製KC−501)40gと上記γ−アルミナ上に鉄5%を担持させてなる粉体20gを投入し、攪拌しながら、100℃で乾燥させた後、空気中、500℃にて3時間焼成して、γ−アルミナ/鉄5%を担持させたγ−アルミナ混合物(重量比2/1)上に白金1%を担持させてなる触媒粉体を得た。
【0070】
(2)上流触媒の内部触媒成分の調製
製造例6
イオン交換水100mLに硝酸セリウム(Ce(NO3)3・6H2O)151.37gを加えて、水溶液とし、これに0.1規定のアンモニア水を加えて、セリウムイオンを中和加水分解し、1時間熟成した。得られたスラリーを濾過し、120℃で24時間乾燥した後、空気中、500℃で3時間焼成して、セリア粉体(比表面積138m2/g)を得た。
【0071】
イオン交換水100mLに硝酸ロジウム水溶液(ロジウムとして9.0%)4.20gを加えて、水溶液とし、これに上記セリア粉体30gを投入し、攪拌しながら、100℃で乾燥させた後、空気中、500℃にて3時間焼成して、セリア粉体上にロジウム1%を担持させてなる触媒粉体を得た。
【0072】
製造例7
イオン交換水100mLに硝酸セリウム(Ce(NO3)3・6H2O)103.77gと硝酸プラセオジム(Pr(NO3)3・6H2O)35.77gとを溶解させて、水溶液を調製した。この水溶液に0.1規定のアンモニア水を加え、上記セリウム塩とプラセオジム塩を中和加水分解した後、1時間熟成した。得られたスラリーから生成物を濾過にて分離し、これを120℃で24時間乾燥した後、空気中、500℃で3時間焼成して、セリア/酸化プラセオジム複合酸化物粉体(酸化物基準重量比60/40、比表面積112m2/g)を得た。
【0073】
イオン交換水100mLに硝酸ロジウム水溶液(ロジウムとして9.0%)0.84gを加えて、水溶液とし、これに上記セリア/酸化プラセオジム複合酸化物粉体30gを投入し、攪拌しながら、100℃で乾燥させた後、空気中、500℃にて3時間焼成して、セリア/酸化プラセオジム複合酸化物上にロジウム0.2%を担持させてなる触媒粉体を得た。
【0074】
製造例8
イオン交換水1700mLに硝酸セリウム(Ce(NO3)3・6H2O)103.77gとオキシ硝酸ジルコニウム(ZrO(NO3)2)84.45gと硝酸ランタン(La(NO3)3・6H2O)7.97gとを溶解させて、水溶液を調製した。この水溶液に0.1規定のアンモニア水を加え、上記セリウム塩とオキシジルコニウム塩とランタン塩を中和加水分解した後、1時間熟成した。得られたスラリーから生成物を濾過にて分離し、これを120℃で24時間乾燥した後、空気中、500℃で3時間焼成して、セリア/ジルコニア/酸化ランタン複合酸化物粉体(酸化物基準重量比22/73/5、比表面積80m2/g)を得た。
【0075】
イオン交換水100mLに硝酸ロジウム水溶液(ロジウムとして9.0%)2.10gを加えて、水溶液とし、これに上記セリア/ジルコニア/酸化ランタン複合酸化物粉体30gを投入し、攪拌しながら、100℃で乾燥させた後、空気中、500℃にて3時間焼成して、セリア/ジルコニア/酸化ランタン複合酸化物上にロジウム0.5%を担持させてなる触媒粉体を得た。
【0076】
製造例9
イオン交換水1700mLに硝酸セリウム(Ce(NO3)3・6H2O)121.06gとオキシ硝酸ジルコニウム(ZrO(NO3)2)28.12gと硝酸ガドリニウム(Gd(NO3)3・6H2O)7.48gとを溶解させて、水溶液を調製した。この水溶液に0.1規定のアンモニア水を加え、上記セリウム塩とオキシジルコウム塩とガドリニウム塩を中和加水分解した後、1時間熟成した。得られたスラリーから生成物を濾過にて分離し、これを120℃で24時間乾燥した後、空気中、500℃で3時間焼成して、セリア/ジルコニア/酸化ガドリニウム複合酸化物粉体(酸化物基準重量比72/24/4、比表面積198m2/g)を得た。
【0077】
イオン交換水100mLに硝酸ロジウム水溶液(ロジウムとして9.0%)2.10gを加えて、水溶液とし、これに上記セリア/ジルコニア/酸化ガドリニウム複合酸化物粉体30gを投入し、攪拌しながら、100℃で乾燥させた後、空気中、500℃にて3時間焼成して、セリア/ジルコニア/酸化ガドリニウム複合酸化物上にロジウム0.5%を担持させてなる触媒粉体を得た。
【0078】
製造例10
イオン交換水1700mLに硝酸セリウム(Ce(NO3)3・6H2O)77.83gとオキシ硝酸ジルコニウム(ZrO(NO3)2)36.03gと硝酸プラセオジム(Pr(NO3)3・6H2O)35.26gとを溶解させて、水溶液を調製した。この水溶液に0.1規定のアンモニア水を加え、上記セリウム塩とオキシジルコウム塩とプラセオジム塩とを中和加水分解した後、1時間熟成した。得られたスラリーから生成物を濾過にて分離し、これを120℃で24時間乾燥した後、空気中、500℃で3時間焼成して、セリア/ジルコニア/酸化プラセオジム複合酸化物粉体(酸化物基準重量比47/33/22、比表面積205m2/g)を得た。
【0079】
イオン交換水100mLに硝酸パラジウム水溶液(パラジウムとして9.0%)4.20gを加えて、水溶液とし、これに上記セリア/ジルコニア/酸化プラセオジム複合酸化物粉体30gを投入し、攪拌しながら、100℃で乾燥させた後、空気中、500℃にて3時間焼成して、セリア/ジルコニア/酸化プラセオジム複合酸化物上にパラジウム1%を担持させてなる触媒粉体を得た。
【0080】
製造例11
イオン交換水1700mLに硝酸セリウム(Ce(NO3)3・6H2O)109.43gとオキシ硝酸ジルコニウム(ZrO(NO3)2)31.27gと硝酸ネオジム(Nd(NO3)3・6H2O)15.63gとを溶解させて、水溶液を調製した。この水溶液に0.1規定のアンモニア水を加え、上記セリウム塩とオキシジルコニウム塩とネオジム塩を中和加水分解した後、1時間熟成した。得られたスラリーから生成物を濾過にて分離し、これを120℃で24時間乾燥した後、空気中、500℃で3時間焼成して、セリア/ジルコニア/酸化ネオジム複合酸化物粉体(酸化物基準重量比70/20/10、比表面積171m2/g)を得た。
【0081】
イオン交換水100mLに硝酸ロジウム水溶液(ロジウムとして9.0%)2.10gを加えて、水溶液とし、これに上記セリア/ジルコニア/酸化ネオジム複合酸化物粉体30gを投入し、攪拌しながら、100℃で乾燥させた後、空気中、500℃にて3時間焼成して、セリア/ジルコニア/酸化ネオジム複合酸化物上にロジウム0.5%を担持させてなる触媒粉体を得た。
【0082】
製造例12
イオン交換水1700mLに硝酸セリウム(Ce(NO3)3・6H2O)121.06gとオキシ硝酸ジルコニウム(ZrO(NO3)2)28.12gと硝酸サマリウム(Sm(NO3)3・6H2O)3.40gとを溶解させて、水溶液を調製した。この水溶液に0.1規定のアンモニア水を加え、上記セリウム塩とオキシジルコニウム塩とサマリウム塩を中和加水分解した後、1時間熟成した。得られたスラリーから生成物を濾過にて分離し、これを120℃で24時間乾燥した後、空気中、500℃で3時間焼成して、セリア/ジルコニア/酸化サマリウム複合酸化物粉体(酸化物基準重量比72/24/4、比表面積187m2/g)を得た。
【0083】
イオン交換水100mLに硝酸ロジウム水溶液(ロジウムとして9.0%)2.10gを加えて、水溶液とし、これに上記セリア/ジルコニア/酸化サマリウム複合酸化物粉体30gを投入し、攪拌しながら、100℃で乾燥させた後、空気中、500℃にて3時間焼成して、セリア/ジルコニア/酸化サマリウム複合酸化物上にロジウム0.5%を担持させてなる触媒粉体を得た。
【0084】
製造例13
イオン交換水100mLに硝酸セリウム(Ce(NO3)3・6H2O)103.77gと硝酸テルビウム(Tb(NO3)3・6H2O)40.96gとを溶解させて、水溶液を調製した。この水溶液に0.1規定のアンモニア水を加え、上記セリウム塩とテルビウム塩とを中和加水分解した後、1時間熟成した。得られたスラリーから生成物を濾過にて分離し、これを120℃で24時間乾燥した後、空気中、500℃で3時間焼成して、セリア/酸化テルビウム複合酸化物粉体(酸化物基準重量比70/30、比表面積139m2/g)を得た。
【0085】
イオン交換水100mLに硝酸ロジウム水溶液(ロジウムとして9.0%)2.10gを加えて、水溶液とし、これに上記セリア/酸化テルビウム複合酸化物粉体30gを投入し、攪拌しながら、100℃で乾燥させた後、空気中、500℃にて3時間焼成して、セリア/酸化テルビウム複合酸化物上にロジウム0.5%を担持させてなる触媒粉体を得た。
(3)上流触媒の表面触媒成分の調製
【0086】
製造例14
イオン交換水100mLに硝酸セリウム(Ce(NO3)3・6H2O)151.37gを加えて、水溶液とし、これに0.1規定のアンモニア水を加えて、セリウムイオンを中和加水分解し、1時間熟成した。得られたスラリーを濾過し、120℃で24時間乾燥した後、空気中、500℃で3時間焼成して、セリア粉体(比表面積138m2/g)を得た。
【0087】
製造例15
イオン交換水100mLに硝酸セリウム(Ce(NO3)3・6H2O)103.77gと硝酸プラセオジム(Pr(NO3)3・6H2O)35.77gとを溶解させて、水溶液を調製した。この水溶液に0.1規定のアンモニア水を加え、上記セリウム塩とプラセオジム塩を中和加水分解した後、1時間熟成した。得られたスラリーから生成物を濾過にて分離し、これを120℃で24時間乾燥した後、空気中、500℃で3時間焼成して、セリア/酸化プラセオジム複合酸化物粉体(酸化物基準重量比60/40、比表面積112m2/g)を得た。
【0088】
製造例16
イオン交換水1700mLに硝酸セリウム(Ce(NO3)3・6H2O)77.83gとオキシ硝酸ジルコニウム(ZrO(NO3)2)36.03gと硝酸プラセオジム(Pr(NO3)3・6H2O)35.26gとを溶解させて、水溶液を調製した。この水溶液に0.1規定のアンモニア水を加え、上記セリウム塩とオキシジルコウム塩とプラセオジム塩とを中和加水分解した後、1時間熟成した。得られたスラリーから生成物を濾過にて分離し、これを120℃で24時間乾燥した後、空気中、500℃で3時間焼成して、セリア/ジルコニア/酸化プラセオジム複合酸化物粉体(酸化物基準重量比47/33/22、比表面積205m2/g)を得た。
【0089】
製造例17
イオン交換水100mLに硝酸セリウム(Ce(NO3)3・6H2O)151.37gとオキシ硝酸ジルコニウム(ZrO(NO3)3)32.09gと硝酸ガドリニウム(Gd(NO3)3・6H2O)21.41gとを溶解させて、水溶液を調製した。この水溶液に0.1規定のアンモニア水を加え、上記セリウム塩とオキシジルコウム塩とガドリニウム塩を中和加水分解した後、1時間熟成した。得られたスラリーから生成物を濾過にて分離し、これを120℃で24時間乾燥した後、空気中、500℃で3時間焼成して、セリア/ジルコニア/酸化ガドリニウム複合酸化物粉体(酸化物基準重量比70/20/10)比表面積182m2/g)を得た。
【0090】
製造例18
イオン交換水100mLに硝酸セリウム(Ce(NO3)3・6H2O)103.77gと硝酸テルビウム(Tb(NO3)3・6H2O)40.96gとを溶解させて、水溶液を調製した。この水溶液に0.1規定のアンモニア水を加え、上記セリウム塩とテルビウム塩とを中和加水分解した後、1時間熟成した。得られたスラリーから生成物を濾過にて分離し、これを120℃で24時間乾燥した後、空気中、500℃で3時間焼成して、セリア/酸化テルビウム複合酸化物粉体(酸化物基準重量比70/30、比表面積139m2/g)を得た。
【0091】
製造例19
イオン交換水1700mLに硝酸セリウム(Ce(NO3)3・6H2O)34.59gとオキシ硝酸ジルコニウム(ZrO(NO3)2)84.45gと硝酸ランタン(La(NO3)3・6H2O)7.97gとを溶解させて、水溶液を調製した。この水溶液に0.1規定のアンモニア水を加え、上記セリウム塩とジルコウム塩とランタン塩を中和加水分解した後、1時間熟成した。得られたスラリーから生成物を濾過にて分離し、これを120℃で24時間乾燥した後、空気中、500℃で3時間焼成して、セリア/ジルコニア/酸化ランタン複合酸化物粉体(酸化物基準重量比22/73/5、比表面積80m2/g)を得た。
【0092】
製造例20
イオン交換水1700mLに硝酸セリウム(Ce(NO3)3・6H2O)121.06gとオキシ硝酸ジルコニウム(ZrO(NO3)2)28.12gと硝酸サマリウム(Sm(NO3)3・6H2O)3.40gとを溶解させて、水溶液を調製した。この水溶液に0.1規定のアンモニア水を加え、上記セリウム塩とオキシジルコニウム塩とサマリウム塩を中和加水分解した後、1時間熟成した。得られたスラリーから生成物を濾過にて分離し、これを120℃で24時間乾燥した後、空気中、500℃で3時間焼成して、セリア/ジルコニア/酸化サマリウム複合酸化物粉体(酸化物基準重量比72/24/4、比表面積187m2/g)を得た。
【0093】
(4)ハニカム触媒構造体の製造
実施例1
製造例1で得たγ−アルミナ上に白金1%を担持させてなる粉体触媒30gにシリカゾル(日産化学工業(株)製スノーテックスN、シリカとして20%)3gと適量の水とを混合した。ジルコニアボール50gを粉砕媒体として用い、この混合物を遊星ミルで5分間粉砕して、ウォッシュコート用スラリーを得た。1平方インチ当りのセル数400のコージーライト製ハニカム基体上に上記ウォッシュコート用スラリーを塗布して、上記触媒からなる厚み20μmの触媒層を有するハニカム触媒構造体を下流触媒として得た。
【0094】
次に、製造例6で得たセリア上にロジウム1%を担持させてなる粉体30gにシリカゾル(日産化学工業(株)製スノーテックスN、シリカとして20%)3gと適量の水とを混合し、上記と同様にして、スラリーを調製した。このスラリーを上記と同じコージーライト製ハニカム基体上にコーティングして、セリア上にロジウム1%を担持させた触媒からなる厚み40μmの内部触媒層を有する上流触媒用のハニカム触媒構造体を得た。
【0095】
更に、製造例14で得たセリア粉体30gにシリカゾル(日産化学工業(株)製スノーテックスN、シリカとして20%)3gと適量の水とを混合し、上記と同様にして、スラリーを調製した。このスラリーを上記上流触媒用のハニカム触媒構造体の内部触媒層上にコーティングして、セリア触媒からなる厚み40μmの表面触媒層を上記内部触媒層上に有するハニカム触媒構造体を上流触媒として得た。
【0096】
実施例2
実施例1と同様にして、製造例1で得たγ−アルミナ上に白金1%を担持させた触媒からなる厚み20μmの触媒層を実施例1と同じコージーライト製ハニカム基体上に有する触媒構造体を下流触媒として得た。
【0097】
更に、実施例1と同様にして、製造例7で得たセリア/酸化プラセオジム複合酸化物(酸化物基準重量比60/40)上にロジウム0.2%を担持させてなる触媒からなる厚み40μmの内部触媒層と、製造例15で得たセリア/酸化プラセオジム複合酸化物(酸化物基準重量比60/40)触媒からなる厚み40μmの表面触媒層とを有するハニカム触媒構造体を上流触媒として得た。
【0098】
実施例3
実施例1と同様にして、製造例2で得たγ−アルミナ上に白金1%とロジウム0.5%とを担持させた触媒からなる厚み20μmの触媒層を実施例1と同じコージーライト製ハニカム基体上に有する触媒構造体を下流触媒として得た。
【0099】
更に、実施例1と同様にして、製造例8で得たセリア/ジルコニア/酸化ランタン複合酸化物(酸化物基準重量比22/73/5)上にロジウム0.5%を担持させてなる触媒からなる厚み40μmの内部触媒層と、製造例15で得たセリア/酸化プラセオジム複合酸化物(酸化物基準重量比60/40)触媒からなる厚み40μmの表面触媒層とを有するハニカム触媒構造体を上流触媒として得た。
【0100】
実施例4
実施例1と同様にして、製造例3で得たチタニア上に白金1%を担持させた触媒からなる厚み20μmの触媒層を実施例1と同じコージーライト製ハニカム基体上に有する触媒構造体を下流触媒として得た。
【0101】
更に、実施例1と同様にして、製造例9で得たセリア/ジルコニア/酸化ガドリニウム複合酸化物(酸化物基準重量比72/24)/4)上にロジウム0.5%を担持させてなる触媒からなる厚み40μmの内部触媒層と、製造例17で得たセリア/ジルコニア/酸化ガドリニウム複合酸化物(酸化物基準重量比70/20/10)触媒からなる厚み40μmの表面触媒層とを有するハニカム触媒構造体を上流触媒として得た。
【0102】
実施例5
実施例1と同様にして、製造例4で得たγ−アルミナ上に白金1%とパラジウム0.5%とを担持させた触媒からなる厚み20μmの触媒層を実施例1と同じコージーライト製ハニカム基体上に有する触媒構造体を下流触媒として得た。
【0103】
更に、実施例1と同様にして、製造例10で得たセリア/ジルコニア/酸化プラセオジム複合酸化物(酸化物基準重量比47/33/22)上にパラジウム1%を担持させてなる触媒からなる厚み40μmの内部触媒層と、製造例18で得たセリア/酸化テルビウム複合酸化物(酸化物基準重量比70/30)触媒からなる厚み40μmの表面触媒層とを有するハニカム触媒構造体を上流触媒として得た。
【0104】
実施例6
実施例1と同様にして、製造例2で得たγ−アルミナ上に白金1%とロジウム0.5%とを担持させた触媒からなる厚み20μmの触媒層を実施例1と同じコージーライト製ハニカム基体上に有する触媒構造体を下流触媒として得た。
【0105】
更に、実施例1と同様にして、製造例11で得たセリア/ジルコニア/酸化ネオジム複合酸化物(酸化物基準重量比70/20/10)上にロジウム0.5%を担持させてなる触媒からなる厚み40μmの内部触媒層と、製造例19で得たセリア/ジルコニア/酸化ランタン複合酸化物(酸化物基準重量比22/73/5)触媒からなる厚み40μmの表面触媒層とを有するハニカム触媒構造体を上流触媒として得た。
【0106】
実施例7
実施例1と同様にして、製造例2で得たγ−アルミナ上に白金1%とロジウム0.5%とを担持させた触媒からなる厚み20μmの触媒層(を実施例1と同じコージーライト製ハニカム基体上に有する触媒構造体を下流触媒として得た。
【0107】
更に、実施例1と同様にして、製造例12で得たセリア/ジルコニア/酸化サマリウム複合酸化物(酸化物基準重量比72/24/4)上にロジウム0.5%を担持させてなる触媒からなる厚み40μmの内部触媒層と、製造例20で得たセリア/ジルコニア/酸化サマリウム複合酸化物(酸化物基準重量比72/24/4)触媒からなる厚み40μmの表面触媒層とを有するハニカム触媒構造体を上流触媒として得た。
【0108】
実施例8
実施例1と同様にして、製造例5で得たγ−アルミナ/鉄5%を担持させたγ−アルミナ混合物(重量比2/1)上に白金1%を担持させた触媒からなる厚み30μmの触媒層実施例1と同じコージーライト製ハニカム基体上に有する触媒構造体を下流触媒として得た。
【0109】
更に、実施例1と同様にして、製造例6で得たセリア上にロジウム1%を担持させてなる触媒からなる厚み40μmの内部触媒層と、製造例16で得たセリア/ジルコニア/酸化プラセオジム複合酸化物(酸化物基準重量比47/33/22)触媒からなる厚み40μmの表面触媒層とを有するハニカム触媒構造体を上流触媒として得た。
【0110】
実施例9
実施例1と同様にして、製造例5で得たγ−アルミナ/鉄5%を担持させたγ−アルミナ混合物(重量比2/1)上に白金1%を担持させた触媒からなる厚み30μmの触媒層実施例1と同じコージーライト製ハニカム基体上に有する触媒構造体を下流触媒として得た。
【0111】
更に、実施例1と同様にして、製造例7で得たセリア/酸化プラセオジム複合酸化物(酸化物基準重量比60/40)上にロジウム0.2%を担持させてなる触媒からなる厚み40μmの内部触媒層と、製造例16で得たセリア/ジルコニア/酸化プラセオジム複合酸化物(酸化物基準重量比47/33/22)触媒からなる厚み40μmの表面触媒層とを有するハニカム触媒構造体を上流触媒として得た。
【0112】
実施例10
実施例1と同様にして、製造例2で得たγ−アルミナ上に白金1%とロジウム0.5%とを担持させた触媒からなる厚み20μmの触媒層を実施例1と同じコージーライト製ハニカム基体上に有する触媒構造体を下流触媒として得た。
【0113】
更に、実施例1と同様にして、製造例7で得たセリア/酸化プラセオジム複合酸化物(酸化物基準重量比60/40)上にロジウム0.2%を担持させてなる触媒からなる厚み40μmの内部触媒層と、製造例16で得たセリア/ジルコニア/酸化プラセオジム複合酸化物(酸化物基準重量比47/33/22)触媒からなる厚み40μmの表面触媒層とを有するハニカム触媒構造体を上流触媒として得た。
【0114】
比較例1
製造例6で得たロジウム1%を担持させたセリア粉体触媒30gを用いた以外は、実施例1と同様にして、ウォッシュコート用スラリーを得た。実施例1と同じコージーライト製ハニカム基体上に上記ウォッシュコート用スラリーを塗布して、セリア上にロジウム1%を担持させた触媒からなる厚み60μmの触媒層を有するハニカム触媒構造体を得た。
【0115】
比較例2
製造例6で得たロジウム1%を担持させたセリア粉体30gを用いた以外は、実施例1と同様にして、ウォッシュコート用スラリーを得た。実施例1と同じコージーライト製ハニカム基体上に上記ウォッシュコート用スラリーを塗布して、セリア上にロジウム1%を担持させた触媒からなる厚み60μmの内部触媒層を有するハニカム触媒構造体を得た。
【0116】
更に、製造例14で得たセリア粉体30gを用いた以外は、実施例1と同様にして、ウォッシュコート用スラリーを得た。このスラリーを上記内部触媒層上にコーティングして、セリアからなる厚み40μmの表面触媒層とを有するハニカム触媒構造体を得た。
【0117】
比較例3
苛性バリウム水溶液と炭酸ナトリウム水溶液から炭酸バリウムを調製し、この炭酸バリウム(BaCO3)とγ−アルミナ(住友化学工業(株)製KC−501)との混合物(重量比8/2)上に白金1%を担持させて、触媒粉体を調製した。γ−アルミナ(住友化学工業(株)製KC−501)を炭酸カリウム水溶液に投入、混合し、乾燥させた後、空気中、1100℃で3時間焼成して、K2O・12Al2O3(比表面積18m2/g)を調製した。別に、γ−アルミナ(住友化学工業(株)製KC−501)と上記K2O・12Al2O3と混合して、γ−アルミナ/K2O・12Al2O3重量比9/1の混合物を調製し、これに白金1%を担持させて、触媒粉体を得た。
【0118】
上記BaCO3/γ−アルミナ上に白金1%を担持させた触媒粉体48gと、上記γ−アルミナ/K2O・12Al2O3上に白金1%を担持させた触媒粉体12gとを乾式混合して、実施例1と同様にして、ウォッシュコート用スラリーを調製した。このスラリーを実施例1と同じコージーライト製ハニカム基体に実施例1と同様にコーティングして、触媒構造体を得た。
【0119】
(5)性能試験
上記実施例による上流触媒としての触媒構造体と下流触媒としての触媒構造体を直列に接続し、これに以下の条件下に窒素酸化物を含むガスを通じて、窒素酸化物を接触的に還元分解した。窒素酸化物から窒素への変換率(除去率)はケミカル・ルミネッセンス法にて求めた。同様に、上記比較例による触媒構造体を用いて、ガス中の窒素酸化物を接触的に還元分解した。
【0120】
試験方法
リッチ条件下のNOxの接触的除去に用いた混合ガスの組成は次のとおりである。
NO : 500ppm
SO2: 20ppm
O2: 0.4%
CO : 2%
C3H6(プロピレン): 2000ppm
H2: 2%
H2O : 6.0%
【0121】
リーン条件下のNOxの接触的除去に用いた混合ガスの組成は次のとおりである。
NO : 500ppm
SO2: 20ppm
O2: 9.0%
CO : 0.2%
C3H6(プロピレン): 500ppm
H2: 0%
H2O : 6.0%
【0122】
リッチ/リーン幅を3〜30(秒/秒)から12/120(秒/秒)の範囲として、触媒反応を行って、それぞれの触媒の性能を調べた。
(i)総括空間速度:
70000hr−1(リーン条件下)
70000hr−1(リッチ条件下)
上流及び下流触媒における空間速度は表1に示す。
(ii)反応温度:
200、250、300、350、400、450及び500℃
【0123】
結果を表1及び表2に示す。表1及び表2から明らかなように、本発明によれば、高い除去率にて窒素酸化物を接触的に除去することができる。これに対して、比較例によれば、概して、窒素酸化物の除去率が低い。
【0124】
【表1】
【0125】
【表2】
更に、実施例1と実施例8による上流触媒としての触媒構造体と下流触媒としての触媒構造体を用いて、上記ガス条件、リッチ/リーン幅(秒/秒)を55/5、反応温度350℃として、50時間の触媒耐久試験を行った。同様に、比較例2による触媒構造体を用いて、触媒耐久試験を行った。結果を表3に示す。表3から明らかなように、本発明によれば、用いる触媒は、硫黄酸化物に対しても、従来のNOx貯蔵−還元システムに比べて、非常に高い耐性を有する。
【0126】
【表3】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による触媒装置を示す要部断面図である。
【符号の説明】
1…エンジン燃焼室
2…排気管
3…排気管の拡管部
4…上流触媒装置
5…下流触媒装置
6及び7…パッキング
Claims (5)
- 周期的なリッチ/リーン条件下に燃料を供給して燃焼させ、生成する排ガスを触媒に接触させて、その排ガス中の窒素酸化物を接触的に除去する方法において、上記排ガスを
(A)(a)セリア又は
(b)酸化プラセオジム又は
(c)セリウム、ジルコニウム、プラセオジム、ネオジム、テルビウム、サマリウム、ガドリニウム及びランタンから選ばれる少なくとも2つの元素の酸化物の混合物と少なくともそれら2つの元素の複合酸化物とから選ばれる少なくとも1種
からなる表面触媒成分を有する表面触媒層と
(B)(a)セリア又は
(b)酸化プラセオジム又は
(c)セリウム、ジルコニウム、プラセオジム、ネオジム、テルビウム、サマリウム、ガドリニウム及びランタンから選ばれる少なくとも2つの元素の酸化物の混合物と少なくともそれら2つの元素の複合酸化物とから選ばれる少なくとも1種
からなる第1の触媒成分と、
(d)ロジウム、パラジウム及びそれらの酸化物から選ばれる少なくとも1種
からなる第2の触媒成分とを内部触媒成分として有する内部触媒層とからなる上流触媒に接触させ、次いで、
(C)(a)白金、ロジウム、パラジウム及びそれらの酸化物から選ばれる少なくとも1種と、
(b)担体
とを下流触媒成分として有する下流触媒に接触させることを特徴とする排ガス中の窒素酸化物を接触的に除去する方法。 - 周期的なリッチ/リーン条件下に燃料を供給して燃焼させ、生成する排ガスを触媒に接触させて、その排ガス中の窒素酸化物を接触的に除去する方法において、上記排ガスを
(A)(a)セリア又は
(b)酸化プラセオジム又は
(c)セリウム、ジルコニウム、プラセオジム、ネオジム、テルビウム、サマリウム、ガドリニウム及びランタンから選ばれる少なくとも2つの元素の酸化物の混合物と少なくともそれら2つの元素の複合酸化物とから選ばれる少なくとも1種
からなる表面触媒成分を有する表面触媒層と
(B)(a)セリア又は
(b)酸化プラセオジム又は
(c)セリウム、ジルコニウム、プラセオジム、ネオジム、テルビウム、サマリウム、ガドリニウム及びランタンから選ばれる少なくとも2つの元素の酸化物の混合物と少なくともそれら2つの元素の複合酸化物とから選ばれる少なくとも1種
からなる第1の触媒成分と、
(d)ロジウム、パラジウム及びそれらの酸化物から選ばれる少なくとも
1種
からなる第2の触媒成分とを内部触媒成分として有する内部触媒層とからなる上流触媒に接触させ、次いで、
(C)(a)白金、ロジウム、パラジウム及びそれらの酸化物から選ばれる少なくとも1種と
(b)鉄、コバルト及びニッケルから選ばれる少なくとも1種の元素のイオン及び/又は酸化物からなる助触媒と
(c)担体と
を下流触媒成分として有する下流触媒に接触させることを特徴とする排ガス中の窒素酸化物を接触的に除去する方法。 - 請求項1に記載の方法において、触媒反応の周期を5〜150秒の範囲とし、リッチ時間(秒)/リーン時間(秒)を0.5/5〜10〜150の範囲とすると共に、上流触媒と下流触媒を含む総括空間速度を10000〜200000hr−1の範囲とし、上流触媒における空間速度/下流触媒における空間速度比を1/10〜1/1の範囲とする方法。
- 周期的なリッチ/リーン条件下に燃料を供給して燃焼させ、生成する排ガスを触媒に接触させて、その排ガス中の窒素酸化物を接触的に除去する装置において、
(A)(a)セリア又は
(b)酸化プラセオジム又は
(c)セリウム、ジルコニウム、プラセオジム、ネオジム、テルビウム、サマリウム、ガドリニウム及びランタンから選ばれる少なくとも2つの元素の酸化物の混合物と少なくともそれら2つの元素の複合酸化物とから選ばれる少なくとも1種
からなる表面触媒成分を有する表面触媒層と
(B)(a)セリア又は
(b)酸化プラセオジム又は
(c)セリウム、ジルコニウム、プラセオジム、ネオジム、テルビウム、サマリウム、ガドリニウム及びランタンから選ばれる少なくとも2つの元素の酸化物の混合物と少なくともそれら2つの元素の複合酸化物とから選ばれる少なくとも1種
からなる第1の触媒成分と、
(d)ロジウム、パラジウム及びそれらの酸化物から選ばれる少なくとも1種
からなる第2の触媒成分とを内部触媒成分として有する内部触媒層とを有する上流触媒装置と、
(C)(a)白金、ロジウム、パラジウム及びそれらの酸化物から選ばれる少なくとも1種と、
(b)担体
とを下流触媒成分として有する下流触媒装置とからなることを特徴とする排ガス中の窒素酸化物を接触的に除去する装置。 - 周期的なリッチ/リーン条件下に燃料を供給して燃焼させ、生成する排ガスを触媒に接触させて、その排ガス中の窒素酸化物を接触的に除去する装置において、
(A)(a)セリア又は
(b)酸化プラセオジム又は
(c)セリウム、ジルコニウム、プラセオジム、ネオジム、テルビウム、サマリウム、ガドリニウム及びランタンから選ばれる少なくとも2つの元素の酸化物の混合物と少なくともそれら2つの元素の複合酸化物とから選ばれる少なくとも1種
からなる表面触媒成分を有する表面触媒層と
(B)(a)セリア又は
(b)酸化プラセオジム又は
(c)セリウム、ジルコニウム、プラセオジム、ネオジム、テルビウム、サマリウム、ガドリニウム及びランタンから選ばれる少なくとも2つの元素の酸化物の混合物と少なくともそれら2つの元素の複合酸化物とから選ばれる少なくとも1種
からなる第1の触媒成分と、(d)ロジウム、パラジウム及びそれらの酸化物から選ばれる少なくとも
1種
からなる第2の触媒成分とを内部触媒成分として有する内部触媒層とを有する上流触媒装置と、(C)(a)白金、ロジウム、パラジウム及びそれらの酸化物から選ばれる少な
くとも1種と、
(b)鉄、コバルト及びニッケルから選ばれる少なくとも1種の元素のイオン及び/又は酸化物からなる助触媒と
(c)担体
とを触媒成分として有する下流触媒装置とからなることを特徴とする排ガス中の窒素酸化物を接触的に除去する装置。
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