JP2005111436A - 窒素酸化物を接触的に除去するための方法とそのための装置 - Google Patents

窒素酸化物を接触的に除去するための方法とそのための装置 Download PDF

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Abstract

【課題】周期的なリッチ/リーン条件の下で燃料を燃焼させ、生成した排ガス中のNOx を、アンモニアを排出することなく、接触的に除去する。
【解決手段】排ガス中の窒素酸化物を接触的に除去する方法において、上記排ガスを(A)(a)白金、ロジウム、パラジウム及びこれらの酸化物から選ばれる少なくとも1種と(b)NOx 吸収/吸着剤とを触媒成分として有する上流触媒に接触させ、次いで、(B)(a)固体酸と(b)バナジウム、タングステン、モリブデン、銅、鉄、コバルト、ニッケル及びマンガンから選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物を担持させた固体酸とから選ばれる少なくとも1種を触媒成分として有する下流触媒に接触させる。
【選択図】なし

Description

本発明は、窒素酸化物(主として、NOとNO2 とからなる。以下、NOx という。)の触媒反応による接触的除去、即ち、触媒的分解及び/又は還元のための方法とそのための装置に関する。詳しくは、本発明は、周期的なリッチ/リーン燃料供給行程(excursion: 行程)にて燃料をディーゼルエンジンやガソリンエンジンの燃焼室に供給して燃焼させ、生成した排ガスを上流触媒と下流触媒に2段階で順次に接触させることによって、排ガス中のNOx を接触的に除去する方法とそのための装置に関する。このような方法とそのための装置は、例えば、自動車のエンジンからの排ガスに含まれる有害な窒素酸化物を低減、除去して、排ガスを浄化するために適している。
特に、本発明は、硫黄酸化物(主として、SO2 とSO3 とからなる。以下、SOx という。)の存在下に、周期的なリッチ/リーン燃料供給行程にて燃料を供給して燃焼させ、その燃焼によって生成する排ガス中のNOx を触媒の劣化なしに、接触的に除去するための方法とそのための触媒装置に関する。
本発明において、上記「行程」(excursion)なる用語は、空気/燃料比率が時間軸に沿って、その平均値から両方に動くこと又はそのような作業を意味する。上記「リッチ」なる用語は、問題とする燃料の空気/燃料比率が化学量論的な空気/燃料比率よりも小さいことを意味し、上記「リーン」なる用語は、問題とする燃料の空気/燃料比率が化学量論的な空気/燃料比率よりも大きいことを意味する。通常の自動車ガソリンでは、化学量論的な空気/燃料比率は約14.5である。また、本発明において、「触媒」は、燃料のリッチ/リーン燃焼の間、NOx を除去するために作動する触媒又はこれを含む構造体を意味する。
従って、本発明において、「周期的なリッチ/リーン燃料供給行程にて燃料を供給する」とは、ディーゼルエンジンやガソリンエンジンの燃焼室に、燃料の燃焼を主としてリーン条件(燃焼後の排ガス中の酸素濃度は、通常、5%から10%程度である。)で行い、上記リッチ条件とリーン条件との間で交互に雰囲気を周期的に振動させるように、空気/燃料比率を調整しながら、燃料を供給、注入又は噴射することをいう。従って、リッチ/リーン行程は、リッチ/リーン条件と同義である。
従来、排ガスに含まれるNOx は、例えば、これを酸化した後、アルカリに吸収させる方法や、還元剤としてアンモニア、水素、一酸化炭素又は炭化水素を用いて、窒素に還元する等の方法によって除去されている。しかし、これらの従来の方法には、それぞれ欠点がある。即ち、前者の方法によれば、環境問題を防止するために、生成するアルカリ性の廃水を処理する手段が必要である。後者の方法によれば、例えば、アンモニアを還元剤として用いる場合であれば、アンモニアが排ガス中のSOx と反応して塩類を形成し、その結果、低温で触媒活性が低減する。また、とりわけ、自動車のような移動発生源からのNOx を処理する場合、その安全性が問題となる。
他方、還元剤として、水素、一酸化炭素又は炭化水素を用いる場合であれば、それら還元剤は、排ガスがNOx よりも酸素を高濃度で含むので、その酸素と優先的に反応することとなり、かくして、NOx を実質的に低減しようとすれば、多量の還元剤を必要とすることとなり、燃費が大きく低下する。そこで、還元剤を用いることなしに、NOx を接触分解することが提案されている。しかし、NOx を直接に分解するために、従来より知られている触媒は、その低い分解活性の故に、未だ実用化されていない。他方、還元剤として、炭化水素や酸素含有有機化合物を用いるNOx 接触還元触媒として、種々のゼオライトが提案されている。特に、銅イオン交換ZSM−5やH型(水素型又は酸型)ゼオライトZSM−5(SiO2/Al23 モル比=30〜40)が最適であるとされている。しかし、H型ゼオライトでさえ、十分な還元活性を有しておらず、特に、排ガス中に水分が含まれるとき、ゼオライト触媒は、ゼオライト構造の脱アルミニウムのために速やかに性能が低下することが知られている。
このような事情の下、NOx 接触還元のための一層高活性な触媒の開発が求められており、最近、無機酸化物担体材料に銀又は銀酸化物を担持させてなる触媒が提案されている(例えば、特許文献1及び2参照)。この触媒は、酸化活性は高いものの、NOx に対する選択還元活性が低いので、NOx の窒素への変換速度が遅いことが知られている。しかも、この触媒は、SOx の存在下に速やかに活性が低下する問題がある。これらの触媒は、完全なーン条件下に炭化水素を用いてNOx をある程度選択的に還元する触媒作用を有するが、しかし、三元触媒に比べて、NOx 除去率が低く、作動する温度ウインドウ(温度域)が狭いために、このようなリーンNOx 触媒の実用化を困難にしている。かくして、NOx 接触還元のための一層高耐熱性で高活性の触媒が緊急に求められている。
上述した問題を克服するために、最近、NOx 貯蔵−還元システムが有望な方法として提案されている(例えば、特許文献3及び4参照)。このシステムによれば、燃料を周期的に短時間、化学量論量を上回る量にて燃焼室に供給する。リーン燃焼エンジンを備えている自動車は、非常に小さい燃料/空気比率で駆動することができるので、従来のエンジンを備えた自動車よりも燃料消費率を低くすることができる。このようなリーン燃焼エンジンのNOx 貯蔵−還元システムは、1〜2分間隔の周期的な2工程によってNOx を低減する。
即ち、第1の工程においては、(通常の)リーン条件下、白金やロジウム触媒上でNOはNO2 に酸化され、このNO2 は炭酸カリウムや炭酸バリウムのようなアルカリ化合物からなる吸収剤に吸収される。次いで、第2工程のためのリッチ条件が形成され、このリッチ条件が数秒間、持続される。このリッチ条件下、上記吸収(貯蔵)されたNO2 は、上記吸収剤から放出されて、白金やロジウム触媒上で炭化水素、一酸化炭素又は水素によって効率よく窒素に還元される。このNOx 貯蔵−還元システムは、SOx の不存在下であれぱ、長期間にわたってよく作動する。しかし、SOx が存在すれば、リーン及びリッチいずれの条件下においても、アルカリ化合物上のNO2 吸着サイトにおけるSOx の不可逆的吸収によって、システムは急激に劣化する。
更に、本発明者によって、上記NOx 貯蔵−還元システムにおける新たな問題が見出されている。即ち、このシステムにおいては、リッチ行程において、大量のNOx がNOx 吸収/吸着剤上に濃縮されて吸収/吸着され、この大量のNOx を浄化するために、酸素/燃料の化学両論比近傍で排ガス中にのみ存在しているNOx、一酸化炭素及び炭化水素を浄化する三元触媒に比して、より高い還元性が要求され、従って、上記システムは、これまでの三元触媒に比して、NOx の窒素への還元分解の選択性が極めて低い。その結果として、上記システムにおいては、リッチ時にNOx 貯蔵−還元触媒上で多量のアンモニアが生成するが、他方、このシステムは、NOx 吸着剤としてアルカリ金属及び/又はアルカリ士類金属のようなアルカリ性材料を触媒中に有しているので、上記アンモニアがそのまま、触媒後流に排出されることとなる。
ヨーロッパ特許出願公開第526099号明細書 ヨーロッパ特許出願公開第679427号明細書 国際公開第93/7363号明細書 国際公開第93/8383号明細書
本発明は、広範囲の反応温度においても、周期的なリッチ/リーン条件の下で燃料を燃焼させ、この燃焼によって生成した排ガス中のNOx を、触媒後流において有害なアンモニアを排出することなく、接触的に除去する方法とそのための装置を提供することを目的とする。更に、本発明は、不活性な支持用の基材に触媒を担持させてなるNOx の接触的除去のための触媒構造体を提供することを目的とする。
本発明によれば、周期的なリッチ/リーン条件下に燃料を供給して燃焼させ、生成する排ガスを触媒に接触させて、その排ガス中の窒素酸化物を接触的に除去する方法において、上記排ガスを
(A)(a)白金、ロジウム、パラジウム及びこれらの酸化物から選ばれる少なくとも1 種と
(b)NOx 吸収/吸着剤と
を触媒成分として有する上流触媒に接触させ、次いで、
(B)(a)固体酸と
(b)バナジウム、タングステン、モリブデン、銅、鉄、コバルト、ニッケル及びマンガンから選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物を担持させた固体酸とから選ばれる少なくとも1種を触媒成分として有する下流触媒に接触させることを特徴とする排ガス中の窒素酸化物を接触的に除去する方法が提供される。
更に、本発明によれば、周期的なリッチ/リーン条件下に燃料を供給して燃焼させ、生成する排ガスを触媒に接触させて、その排ガス中の窒素酸化物を接触的に除去する装置において、
(A)(a)白金、ロジウム、パラジウム及びこれらの酸化物から選ばれる少なくとも1 種と
(b)NOx 吸収/吸着剤と
を触媒成分として有する上流触媒装置と
(B)(a)固体酸と
(b)バナジウム、タングステン、モリブデン、銅、鉄、コバルト、ニッケル及びマンガンから選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物を担持させた固体酸とから選ばれる少なくとも1種を触媒成分として有する下流触媒装置からなることを特徴とする排ガス中の窒素酸化物を接触的に除去する装置が提供される。
本発明の方法によれば、NOx を含む排ガスを周期的なリッチ/リーン条件下において、上流触媒と下流触媒とに順次に接触させることによって、リッチ時に排出されるアンモニアを触媒に効率よく吸着すると共に、この吸着されたアンモニアをリーン時にNOx の接触還元のために有効に利用するので、従来より知られている方法に比べて、NOx 浄化率を格段に向上させることができる。
本発明の方法によれば、周期的なリッチ/リーン条件下に燃料を供給して燃焼させ、生成する排ガスを触媒に接触させて、その排ガス中の窒素酸化物を接触的に除去する方法において、上記排ガスを先ず、エンジンの燃焼室からの排ガスの流れからみて、上流側の触媒、即ち、上流触媒に接触させ、次いで、エンジンの燃焼室からの排ガスの流れからみて、下流側の触媒、即ち、下流触媒に接触させる。即ち、本発明の方法によれば、排ガスを上流触媒と下流触媒とに2段階にわたって順次に接触させる。
より詳細には、図1に示すように、本発明によれぱ、ディーゼルエンジンやガソリンエンジンの燃焼室1に周期的なリッチ/リーン燃料供給行程にて燃料を供給して燃焼させ、その結果、生成した排ガスを排気管2に導き、この排気管の拡管部3内に設けた上流触媒装置4内の上流触媒に接触させた後、下流触媒装置5内の下流触媒に接触させ、かくして、排ガス中のNOx を接触的に除去して、排ガスを浄化し、排出する。上流及び下流の各触媒装置において、各触媒は、例えば、耐熱性のパッキング6及び7によって上記拡管部に固定されている。
後述するように、本発明の好ましい態様によれば、上記上流触媒成分と下流触媒成分はそれぞれ、これを不活性なハニカム基材に担持させて、ハニカム触媒構造体とし、これを触媒装置内に充填して、この触媒装置に導かれる排ガスと接触せしめられる。即ち、本発明の好ましい態様によれば、触媒成分は、ハニカム触媒構造体において、ハニカム基材の貫通孔の壁面の少なくとも表面に層状に担持されており、燃焼室からの排ガスは、このようなハニカム触媒構造体を充填した触媒装置に導かれて、ここで、このハニカム触媒構造体の貫通孔を通過する間にその壁面の触媒層と接触せしめられて、排ガス中のNOx が接触的に除去される。
本発明によれば、上記上流触媒は、
(A)(a)白金、ロジウム、パラジウム及びこれらの酸化物から選ばれる少なくとも1 種(第1の上流触媒成分)と
(b)NOx 吸収/吸着剤(第2の上流触媒成分)と
を触媒成分として有し、上記下流触媒は、
(B)(a)固体酸と
(b)バナジウム、タングステン、モリブデン、銅、鉄、コバルト、ニッケル及びマンガンから選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物を担持させた固体酸とから選ばれる少なくとも1種を触媒成分として有する。
本発明によれば、排ガスはこのような上流触媒と下流触媒に順次に接触せしめられる。このような本発明によれば、リッチ行程、即ち、還元条件下において、リーン行程で酸化された上流触媒中の白金、ロジウム等の貴金属触媒成分が還元され、それらの貴金属触媒上でNOx が窒素、亜酸化窒素及びアンモニアに還元分解されると共に、NOx 吸収/吸着剤上に吸収/吸着されていたNOx がそれから脱離し、これが白金、ロジウム等の触媒成分上で窒素、亜酸化窒素及びアンモニアに還元分解され、このようにして生成したアンモニアは、下流触媒の構成成分である固体酸上に吸着される。リッチ行程でアンモニアを吸着している下流触媒上においては、次いで、リーン行程、即ち、酸化条件下において、上流触媒に吸収/吸着されなかったNOx がアンモニアによって選択的に還元されて窒素に還元分解され、また、下流触媒上に吸着された残余のアンモニアも無害な窒素に還元分解される。このようなアンモニアによるNOx の選択的還元反応は、酸素の共存下で促進される。このようにして、本発明によれば、NOx 貯蔵−還元システムのNOx 除去率が一層高められるのみならず、前述したNOx 貯蔵−還元システムにおける有害なアンモニア生成という問題も解決される。
以下、本発明において用いる上流触媒と下流触媒について詳細に説明する。上流触媒は、上記第1の触媒成分(貴金属触媒成分)と第2の触媒成分(NOx 吸収/吸着剤)を触媒成分として有する。このような上流触媒中の第1の触媒成分、即ち、貴金属触媒成分は、、リッチ条件下において、吸収/吸着したNOx と排ガス中に含まれているNOx を還元するための触媒として機能すると共に、リーン条件下において、排ガス中のNOをNO2 に酸化するための触媒として機能する。一方、第2の触媒成分(NOx 吸収/吸着剤)は、このNO2 を吸収/吸着するための材料として機能する。
他方、下流触媒中の触媒成分は、リッチ条件において生成した有害なアンモニアを吸着すると共に、リーン時に、排ガス中に含まれるNOx と選択的に還元反応すると共に、残余の吸着アンモニアを窒素に分解する触媒として機能する。
本発明によれば、上流触媒は、触媒成分を少なくとも50重量%、特に好ましくは、少なくとも、80重量%を含む。上流触媒における触媒成分の割合が50重量%を下回るときは、リッチ/リーン時の上流触媒上のNOx の接触的除去能が低下する。上流触媒は、白金、ロジウム、パラジウム及びこれらの酸化物から選ばれる少なくとも1種の貴金属触媒成分とNOx 吸収/吸着剤とからなり、好ましくは、更に、担体とからなる触媒成分を有し、上記貴金属触媒成分は、上流触媒成分中、金属換算にて、好ましくは、0.05〜5重量%の範囲で含まれている。上流触媒成分中の上記貴金属触媒成分の割合が金属換算にて5重量%を越えても、リッチ/リーン時のNOx 浄化効果が向上せず、他方、上流触媒成分中の上記貴金属触媒成分の割合が金属換算にて0.05重量%よりも少ないときは、リッチ時のNOx 還元性に劣ると共に、リーン時のNOのNO2 ヘの酸化性に劣ることとなって、その結果、本発明の方法によるNOx の接触的除去能が低下する。
本発明によれば、上流触媒中の上記貴金属触媒成分は、NOx 吸収/吸着剤、好ましくは、NOx 吸収/吸着剤と担体との双方に担持されている。この担体としては、従来より知られているいずれの担体でも用いられるが、好ましくは、例えば、アルミナ、シリカ、シリカ・アルミナ、ゼオライト、チタニア等が用いられる。
上流触媒中のNOx 吸収/吸着剤は、NO及び/又はNO2 をリーン雰囲気下で吸収/吸着することができるものであればよく、従って、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等の酸化物や炭酸塩等のアルカリ金属化合物、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等の酸化物や炭酸塩等のアルカリ土類金属化合物、マグネトプランバイト型構造を有する複合酸化物、一般式ABO3 で表されるペロブスカイト型構造を有する複合酸化物(式中、Aはアルカリ金属、アルカリ土類金属及び希土類金属から選ばれる少なくとも1種の金属を示し、Bはチタン、マンガン、コバルト、ジルコニウム、ニオブ及びスズから選ばれる少なくとも1種の金属を示す。)等が好ましく用いられる。上記マグネトプランバイト型構造を有する複合酸化物の好ましい具体例としては、例えば、BaO・6Al23 やK2O・12Al23 等を挙げることができる。
また、上記一般式ABO3 で表されるペロブスカイト型構造を有する複合酸化物において、アルカリ金属は、好ましくは、例えぱ、ナトリウム又はカリウムであり、アルカリ土類金属は、好ましくは、例えば、カルシウム、ストロンチウム又はバリウムである。希土類金属の具体例としては、例えば、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、イッテルビウム、ルテチウム等を挙げることができる。
従って、上記ペロブスカイト型構造を有する複合酸化物の好ましい具体例として、例えば、LaCoO3、LaMnO3、La0.3Mn0.73、LaBaO3、LaxBa1-xMO3 (xは0≦x≦1を満たす数であり、Mはチタン、マンガン、コバルト、ジルコニウム、ニオブ及びスズから選ばれる金属を示す。)、BaSnO3、KNbO3 等を挙げることができる。
これらの上流触媒中のNOx 吸収/吸着剤は、それぞれNOx 吸収/吸着性が異なるので、例えば、NOx 吸収/吸着温度に応じて使い分けることができる。例えば、400℃から550℃のような高温域でNOx を吸収/吸着させたい場合は、電気陰性度の高いアルカリ金属化合物が用いられ、300℃から450℃のような中温域では、バリウム等の酸化物や炭酸塩等のアルカリ土類金属化合物、上述したマグネトプランバイト型構造を有するBaO・6Al23 やペロブスカイト型構造を有するLaxBa1-xMO3 やBaSnO3 等のような複合酸化物が用いられ、また、150℃から300℃のような低温域では、ペロブスカイト型構造を有するLaCoO3 やLaMnO3 等が用いられる。また、NOx 吸収/吸着剤の作動温度範囲を広げるために、NOx 吸収/吸着剤の材料を種々に混合して、NOx 吸収/吸着剤を調製することもできる。
このような上流触媒中のNOx 吸収/吸着剤の割合は、NOx 吸収/吸着剤のNOx 吸収/吸着能力に依存するが、通常、重量基準で5%から30%である。この範囲を下回るときは、NOx 吸収/吸着能が低下し、上回る時は、内部触媒層中の触媒成分のNOx 還元性を阻害すると共に、内部層触媒の耐熱性を低下させる。
上流触媒成分は、1つの方法として、例えば、炭酸バリウムのようなNOx 吸収/吸着剤を、好ましくは、アルミナ等の担体と共に、触媒成分である白金等の水溶性塩の水溶液に加えてスラリーとし、混合、攪拌した後、乾燥させ、酸化性又は還元性雰囲気中、500〜900℃の温度で焼成すれば、NOx 吸収/吸着剤及び担体上に貴金属触媒成分を担持させてなる粉体として得ることができる。
特に、好ましい方法として、触媒成分である白金等のイオ┘ ン交換可能な水溶性の塩の水溶液(例えば、テトラアンミン白金(II)硝酸塩(Pt(NH3)4(NO3)2) やジニトロジアンミン白金(II)硝酸塩(Pt(NO2)2(NH3)2) 等)を用いて、イオン交換法にてアルミナ等の担体に触媒成分を担持させた後、乾燥させ、酸化性又は還元性雰囲気中、500〜900℃の温度で焼成すれば、担体上に貴金属触媒成分を高分散担持させてなる粉体として得ることができる。更に、この上に、含浸法により炭酸カリのようなNOx 吸収/吸着剤を担持させれば、NOx 吸収/吸着剤及び担体上に貴金属触媒成分を担持させてなる粉体として得ることができる。
本発明によれば、下流触媒は、触媒成分を少なくとも、50重量%、特に好ましくは、少なくとも、80重量%を含む。上流触媒における触媒成分の割合が50重量%を下回るときは、リッチ時に上流触媒から排出される有害なアンモニアの吸着率が低下すると共に、リーン時のアンモニアによるNOx の選択還元反応率が低下し、その結果、全体のNOx 浄化率が低下し、有害なアンモニアの除去率が低下する。
下流触媒は、(a)固体酸と(b)バナジウム、タングステン、モリブデン、銅、鉄、コバルト、ニッケル及びマンガンから選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物を担持させた固体酸とから選ばれる少なくとも1種を触媒成分として有し、上記触媒成分は、下流触媒成分中、重量基準にて、好ましくは、50〜95重量%の範囲で含まれている。上記触媒成分の上流触媒成分中の割合が重量基準にて95重量%を越えても、アンモニアの吸着効果及びアンモニアによるNOx の選択還元反応が向上せず、他方、上記触媒成分の下流触媒成分中の割合が重量基準にて50重量%よりも少ないときは、アンモニアの吸着効果及びアンモニアによるNOx の選択還元反応が低下する。
本発明によれば、上流触媒中の固体酸成分として、H−モルデナイト、H−Yゼオライト、H−βゼオライト、H−ZSM−5等の酸ゼオライトや、酸化チタン、酸化ジルコニウム、シリカ−アルミナ等の酸化物のように、固体酸性を示すものを用いることができる。これらの固体酸は、リッチ条件のときに、上流触媒から排出されてくるアンモニアを吸着すると共に、リーン時に、排ガス中に含まれるNOx を選択的に還元し、又は吸着されたアンモニアを分解する。しかし、反応条件によって、即ち、低温の反応条件下に、又は高SV(空間速度)条件下等に、リーン時に排ガス中に含まれるNOx を選択的に還元し、又は吸着したアンモニアの分解を促進する必要がある場合には、バナジウム、タングステン、モリブデン、銅、鉄、コバルト、ニッケル及びマンガンから選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物を上記固体酸に担持させ、これを触媒成分として用いることが好ましい。このような酸化物を担持させた固体酸を触媒成分とする場合、下流触媒成分中のそれら酸化物の割合は金属換算で0.5〜10重量%の範囲であることが好ましい。下流触媒成分中の上記酸化物の割合が金属換算にて10重量%を越えても、リーン時のアンモニアによるNOx の選択還元性とアンモニア分解率が向上せず、他方、下流触媒成分中の上記酸化物の割合が金属換算にて0.5重量%よりも少ないときは、リーン時のアンモニアによるNOx の選択還元性とアンモニア分解率が固体酸そのもののレベルと変わらない。即ち、固体酸に上記酸化物を担持させる意味がない。
本発明によれば、上流触媒と下流触媒のためのそれぞれの触媒成分は、前述したように、粉末や粒状物のような種々の形態にて得ることができる。従って、従来からよく知られている任意の方法によって、このような触媒成分を用いて、上流触媒や下流触媒を、例えぱ、ハニカム、環状物、球状物等のような種々の形状の触媒構造体に成形することができる。このような触媒構造体の調製に際して、必要に応じて、適当な添加物、例えば、成形助剤、補強材、無機繊維、有機バインダー等を用いることができる。
特に、本発明による触媒は、任意の形状の支持用の不活性な基材の表面に、例えば、ウォッシュ・コート法によって、(例えば、塗布して、)その表面に上流触媒成分や下流触媒成分を層状に有せしめて、触媒構造体とするのが有利である。
上記不活性な基材は、例えば、コージーライトのような粘土鉱物や、また、ステンレス鋼のような金属、好ましくは、Fe−Cr−Alのような耐熱性の金属からなるものであってよく、また、その形状は、ハニカム、環状、球状構造等であってよい。
このような本発明によるNOx 浄化方法は、前述したNOx 貯蔵−還元システムにおけるアンモニアの触媒交流への排出なる問題を解決するのみならず、リッチ時に排出されたアンモニアを吸着し、それをリーン時にアンモニアによるNOx の選択還元に利用することによって、NOx 貯蔵−還元システムに比べて、NOx 浄化性能を大幅に向上させことができる。
本発明によれば、排ガス中のNOx は、燃料の燃焼雰囲気が前述したようなリッチ条件とリーン条件の間で振動する条件下での触媒反応によって除去される。ここに、触媒反応の周期(即ち、リッチ雰囲気(又はリーン雰囲気)から次のリッチ雰囲気(又はリーン雰囲気)までの時問)は、好ましくは、5〜150秒、特に好ましくは、30〜90秒である。また、リッチ/リーン幅、即ち、リッチ時間(秒)/リーン時間(秒)は、通常、0.5/5〜10/150の範囲であり、好ましくは、2/30〜5/90の範囲である。
リッチ条件は、燃料としてガソリンを用いる場合には、通常、エンジンの燃焼室に重量比で10〜14の空気/燃料比率で燃料を周期的に噴射することによって形成される。リッチ条件下の典型的な排ガスは、数百容量ppmのNOx、5〜6容量%の水、2〜3容量%の一酸化炭素、2〜3容量%の水素、数千容量ppmの炭化水素及び0〜0.5容量%の酸素を含む。一方、リーン条件は、燃料としてガソリンを用いる場合には、通常、エンジンの燃焼室に重量比で20〜40の空気/燃料比率で燃料を周期的に噴射することによって形成される。リーン条件下の典型的な排ガスは、数百容量ppmのNOx、5〜6容量%の水、数千容量ppmの一酸化炭素、数千容量ppmの水素、数千容量ppmの炭化水素及び5〜10容量%の酸素を含む。
本発明によれば、NOx 接触還元のために好適な温度は、個々のガス組成にもよるが、リッチ/リーン行程において、触媒が長期間にわたってNOx に対して有効な触媒反応活性を有するように、通常、150〜550℃の範囲であり、好ましくは、200〜500℃の範囲である。
上記反応温度域においては、排ガスは、好ましくは、上流触媒と下流触媒を含む総括空間速度が10000〜100000h-1の範囲で処理され、上流触媒における空間速度/下流触媒における空間速度比の空間速度比は、好ましくは、1/1から1/2の範囲とされる。上記空間速度比が1/1よりも大きいときは、上流触媒が有効に機能しないので、リーン時のNOx 吸収/吸着システムによるNOx 浄化能が劣る。一方、上記空間速度比を1/2よりも小さくすれば、下流触媒のリッチ時に排出されたアンモニアを吸着し、それをリーン時にアンモニアによるNOx の選択還元に利用する反応或いはアンモニア分解反応が低下する。
以下に上流触媒成分と下流触媒成分である粉体触媒とこれらを用いる上流触媒構造体と下流触媒構造体の製造例と共に、これらの上流触媒構造体と下流触媒構造体を用いる本発明による窒素酸化物の接触的除去を実施例として挙げて本発明を詳細に説明する。また、比較的による触媒構造体を用いる窒素酸化物の除去を挙げる。しかし、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。以下において、すべての「部」及び「%」は、特に明示しない限り、重量基準である。
(1)上流触媒成分の調製
製造例1
水酸化バリウム水溶液と炭酸ナトリウム水溶液から炭酸バリウムを調製した。イオン交換水100mLにPt(NH3)4(NO3)2 水溶液(白金として9.0%)25.20gを加えて、水溶液とし、これにγ−アルミナ(住友化学工業(株)製KC−501、以下、同じ。)48gと上記炭酸バリウム12gとを投入し、攪拌しながら、100℃で乾燥させた後、空気中、500℃にて3時間焼成して、γ−アルミナ(Al23)/炭酸バリウム(BaCO3) (重量比80/20)上に白金3%を担持させてなる触媒粉体を得た。
製造例2
γ−アルミナと炭酸カリウム水溶液とを混合し、乾燥させた後、空気中、1100℃にて3時間焼成して、K2O・12Al23 (比表面積18m2/g)を調製した。
イオン交換水100mLにPt(NH3)4(NO3)2 水溶液(白金として9.0%)25.20gを加えて、水溶液とし、これにγ−アルミナ54gと上記K2O・12Al23 を6g投入し、攪拌しながら、100℃で乾燥させた後、空気中、500℃にて3時間焼成して、γ−アルミナ/K2O・12Al23 (重量比90/10)上に白金3%を担持させてなる触媒粉体を得た。
製造例3
炭酸バリウムと水酸化スズを乾式混合し、空気中、1000℃にて3時間焼成して、ペロブスカイト構造を有するBaSnO3 (比表面積2.7m2/g)を調製した。
イオン交換水100mLに硝酸ロジウム水溶液(ロジウムとして9.0%)4.20gとPt(NH3)4(NO3)2 水溶液(白金として9.0%)16.80gを加えて、水溶液とし、これにγ−アルミナ48gと上記BaSnO3 を12g投入し、攪拌しながら、100℃で乾燥させた後、空気中、500℃にて3時間焼成して、γ−アルミナ/BaSnO3 (重量比80/20)上に白金2%とロジウム0.5%とを担持させてなる触媒粉体を得た。
製造例4
硝酸マンガンと硝酸ランタンの混合水溶液をアンモニアにて中和加水分解し、得られた粉体を空気中、900℃にて3時間焼成して、ペロブスカイト構造を有するLaMnO3 (比表面積20.5m2/g)を調製した。
イオン交換水100mLに硝酸パラジウム水溶液(パラジウムとして9.0%)8.40gとPt(NH3)4(NO3)2 水溶液(白金として9.0%)16.80gを加えて、水溶液とし、これにγ−アルミナ48gと上記LaMnO3 を12g投入し、攪拌しながら、100℃で乾燥させた後、空気中、500℃にて3時間焼成して、γ−アルミナ/LaMnO3 (重量比80/20)上に白金2%とパラジウム1%とを担持させてなる触媒粉体を得た。
(2)下流触媒成分の調製
製造例5
ズードケミカル社製アンモニアモルデナイト−10(シリカ/アルミナ比=10)を空気中、500℃にて3時間焼成して、H−モルデナイト粉体を得た。
製造例6
硫酸法の工程から得られたメタチタン酸(TiO(OH)2、ケミラピグメント製)を酸化チタン換算で60g計量し、これに適量の水を加えて、スラリーとした。このスラリーにメタタングステン酸アンモニウム(WO3 として50%水溶液)をWO3 換算にて6.7gとシュウ酸バナジウム(V25 として0.5%水溶液)6.7gを加え、攪拌しながら蒸発、乾固させた。これを更に空気中、500℃にて3時間焼成して、V25 1%とWO3 10%を担持させた酸化チタン粉体を得た。
製造例7
ズードケミカル社製アンモニア−βゼオライト−25(シリカ/アルミナ比=25)を60g計量し、これに適量の水を加えて、スラリーとした。このスラリーに硝酸銅をCuO換算で1.54g加え、攪拌しながら蒸発、乾固させた。これを更に空気中、500℃にて3時間焼成して、CuO2.5%担持させたβゼオライト粉体を得た。
製造例8
ズードケミカル社製アンモニア−βゼオライト−25(シリカ/アルミナ比=25)を60g計量し、これに適量の水を加えて、スラリーとした。このスラリーに硝酸鉄をFe23 換算で1.54g加え、攪拌しながら蒸発、乾固させた。これを更に空気中、500℃にて3時間焼成して、Fe23 を2.5%担持させたβゼオライト粉体を得た。
製造例9
製造例6と同じメタチタン酸を酸化チタン換算で60g計量し、これに適量の水を加えて、スラリーとした。このスラリーに硝酸マンガンをMnO2 換算で3.25g加え、攪拌しながら、蒸発、乾固させた。これを更に空気中、500℃にて3時間焼成して、MnO2 を5%担持させた酸化チタン粉体を得た。
(3)ハニカム触媒構造体の製造
実施例1
製造例1で得たγ−アルミナ/炭酸バリウム (重量比80/20)上に白金3%を担持させてなる粉体触媒30gにシリカゾル(日産化学工業(株)製スノーテックスN、シリカとして20%、以下、同じ。)3gと適量の水とを混合した。ジルコニアボール50gを粉砕媒体として用い、この混合物を遊星ミルで5分問粉砕して、ウォッシュ・コート用スラリーを得た。1平方インチ当りのセル数400のコージーライト製ハニカム基体上に上記ウォッシュ・コート用スラリーを塗布して、上記触媒からなる触媒層(コーティング量50g/L)を有するハニカム触媒構造体を上流触媒として得た。
次に、製造例5で得たH−モルデナイト粉体30gにシリカゾル3gと適量の水とを混合し、上記と同様にして、スラリーを調製した。このスラリーを上記と同じコージーライト製ハニカム基体上にコーティングして、H−モルデナイト触媒からなる触媒層(コーティング量100g/L)を有するハニカム触媒構造体を上流触媒として得た。
実施例2
実施例1と同様にして、製造例1で得たγ−アルミナ/炭酸バリウム (重量比80/20)上に白金3%を担持させた触媒からなる触媒層(コーテイング量30g/L)を実施例1と同じコージーライト製ハニカム基体上に有する触媒構造体を上流触媒として得た。更に、実施例1と同様にして、製造例6で得たV25 1%とWO3 10%を担持させた酸化チタン粉体触媒からなる触媒層(コーティング量100g/L)を実施例1と同じコージーライト製ハニカム基体上に有する触媒構造体を下流触媒として得た。
実施例3
実施例1と同様にして、製造例3で得たγ−アルミナ/BaSnO3 (重量比80/20)上に白金2%とロジウム0.5%とを担持させた触媒からなる触媒層(コーテイング量50g/L)を実施例1と同じコージーライト製ハニカム基体上に有する触媒構造体を上流触媒として得た。更に、実施例1と同様にして、製造例7で得たCuOを2.5%担持させたβゼオライト触媒からなる触媒層(コーティング量100g/L)を実施例1と同じコージーライト製ハニカム基体上に有する触媒構造体を下流触媒として得た。
実施例4
実施例1と同様にして、製造例2で得たγ−アルミナ/K2O・12Al23 (重量比90/10)上に白金3%を担持させた触媒層(コーティング量50g/L)を実施例1と同じコージーライト製ハニカム基体上に有する触媒構造体を上流触媒として得た。更に、実施例1と同様にして、製造例8で得たFe23 を2.5%担持させたβゼオライト触媒からなる触媒層(コーティング量100g/L)を実施例1と同じコージーライト製ハニカム基体上に有する触媒構造体を上流触媒として得た。
実施例5
実施例1と同様にして、製造例4で得たγ−アルミナ/LaMnO3 (重量比80/20)上に白金2%とパラジウム0.5%とを担持させた触媒層(コーティング量50g/L)を実施例1と同じコージーライト製ハニカム基体上に有する触媒構造体を上流触媒として得た。更に、実施例1と同様にして、製造例8で得たFe23 を2.5%担持させたβゼオライト触媒からなる触媒層(コーティング量100g/L)を実施例1と同じコージーライト製ハニカム基体上に有する触媒構造体を下流触媒として得た。
実施例6
実施例1と同様にして、製造例2で得たγ−アルミナ/K2O・12Al23 (重量比90/10)上に白金3%を担持させた触媒層(コーティング量50g/L)を実施例1と同じコージーライト製ハニカム基体上に有する触媒構造体を下流触媒として得た。更に、実施例1と同様にして、製造例6で得たV25 1%とWO3 10%を担持させた酸化チタン粉体触媒からなる触媒層(コーティング量100g/L)を実施例1と同じコージーライト製ハニカム基体上に有する触媒構造体を上流触媒として得た。
実施例7
実施例1と同様にして、製造例1で得たγ−アルミナ/炭酸バリウム(重量比80/20)上に白金3%を担持させた触媒層(コーティング量50g/L)を実施例1と同じコージーライト製ハニカム基体上に有する触媒構造体を上流触媒として得た。更に、実施例1と同様にして、製造例9で得たMnO2 を5%担持させた酸化チタン触媒からなる触媒層(コーティング量100g/L)を実施例1と同じコージーライト製ハニカム基体上に有する触媒構造体を下流触媒として得た。
比較例1
実施例1と同様にして、製造例1で得たγ−アルミナ/炭酸バリウム(重量比80/20)上に白金1%を担持させた触媒層(コーティング量50g/L)を実施例1と同じコージーライト製ハニカム基体上に有する触媒構造体を得た。
比較例2
水酸化バリウム水溶液と炭酸ナトリウム水溶液から炭酸バリウムを調製し、この炭酸バリウム(BaCO3) とγ−アルミナとの混合物(重量比80/20)上に白金1%を担持させて、触媒粉体を調製した。別に、γ−アルミナを炭酸カリウム水溶液に投入、混合し、乾燥させた後、空気中、1100℃で3時間焼成して、K2O・12Al23 (比表面積18m2/g)を調製した。また、別に、γ−アルミナと上記K2O/12Al23 とを混合して、γ−アルミナ/K2O・12Al23 (重量比90/10)の混合物を調製し、これに白金1%を担持させて、触媒粉体を得た。
上記BaCO3/γ−アルミナ上に白金1%を担持させた触媒粉体48gと上記γ−アルミナ/K2O・12Al23 上に白金1%を担持させた触媒粉体12gとを乾式混合して、実施例1と同様にして、ウォッシュ・コート用スラリーを調製した。このスラリーを実施例1と同じコージーライト製ハニカム基体に実施例1と同様にコーティングして、触媒構造体を得た。
(4)性能試験
上記実施例による上流触媒としての触媒構造体(上流触媒装置)と下流触媒としての触媒構造体(下流触媒装置)を直列に接続し、これに以下の条件下に窒素酸化物を含むガスを通じて、窒素酸化物を接触的に除去した。窒素酸化物から窒素への変換率(除去率)とアンモニア転換率はFT−IR式分析計にて求めた。但し、アンモニア転換率とは、リッチ/リーンの全期間を通じて下流触媒装置から排出されるガス中の平均のアンモニアの濃度を上流触媒装置の入口におけるアンモニアの濃度で除した値である。同様に、上記比較例による触媒構造体を用いて、ガス中の窒素酸化物を接触的に還元分解して、窒素酸化物から窒素への変換率(除去率)とアンモニア転換率を求めた。
試験方法
リッチ条件下のNOx の接触的除去に用いた混合ガスの組成は次のとおりである。
NO:500ppm
SO2 :20ppm
2 :0.4%
CO:2%
36 (プロピレン):2000ppm
2 :2%
2 O:6.0%
リーン条件下のNOx の接触的除去に用いた混合ガスの組成は次のとおりである。
NO:500ppm
SO2 :20ppm
2 :9.0%
CO:0.2%
36 (プロピレン):500ppm
2 :0%
2 O:6.0%
リッチ/リーン幅を3/30(秒/秒)から12/120(秒/秒)の範囲として、触媒反応を行って、それぞれの触媒の性能を調べた。
(i)総括空間速度
75000h-1(リーン条件下)
75000h-1(リッチ条件下)
上流及び下流触媒における空間速度は表1に示す。
(ii)反応温度
200、250、300、350、400、450及び500℃
結果を表1に示す。表1から明らかなように、本発明によれば、高い除去率にて窒素酸化物を接触的に除去することができると共に、下流触媒通過後には殆ど残存アンモニアが認められなかった。
Figure 2005111436
本発明による触媒装置を示す要部断面図である。
符号の説明
1…エンジン燃焼室
2…排気管
3…排気管の拡管部
4…上流触媒装置
5…下流触媒装置
6及び7…パッキング

Claims (3)

  1. 周期的なリッチ/リーン条件下に燃料を供給して燃焼させ、生成する排ガスを触媒に接触させて、その排ガス中の窒素酸化物を接触的に除去する方法において、上記排ガスを
    (A)(a)白金、ロジウム、パラジウム及びこれらの酸化物から選ばれる少なくとも1 種と
    (b)NOx 吸収/吸着剤と
    を触媒成分として有する上流触媒に接触させ、次いで、
    (B)(a)固体酸と
    (b)バナジウム、タングステン、モリブデン、銅、鉄、コバルト、ニッケル及びマンガンから選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物を担持させた固体酸とから選ばれる少なくとも1種を触媒成分として有する下流触媒に接触させることを特徴とする排ガス中の窒素酸化物を接触的に除去する方法。
  2. 請求項1に記載の方法において、触媒反応の周期を5〜150秒の範囲とし、リッチ時間(秒)/リーン時間(秒)を0.5/5〜10/150の範囲とすると共に、上流触媒と下流触媒を含む総括空間速度を10000〜100000h-1の範囲とし、上流触媒における空間速度/下流触媒における空間速度比を1/5〜5/1の範囲とする方法。
  3. 周期的なリッチ/リーン条件下に燃料を供給して燃焼させ、生成する排ガスを触媒に接触させて、その排ガス中の窒素酸化物を接触的に除去する装置において、
    (A)(a)白金、ロジウム、パラジウム及びこれらの酸化物から選ばれる少なくとも1 種と
    (b)NOx 吸収/吸着剤と
    を触媒成分として有する上流触媒装置と
    (B)(a)固体酸と
    (b)バナジウム、タングステン、モリブデン、銅、鉄、コバルト、ニッケル及びマンガンから選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物を担持させた固体酸とから選ばれる少なくとも1種を触媒成分として有する下流触媒装置からなることを特徴とする排ガス中の窒素酸化物を接触的に除去する装置。

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