JP4194805B2 - 窒素酸化物を接触的に除去する方法とそのための触媒 - Google Patents
窒素酸化物を接触的に除去する方法とそのための触媒 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、窒素酸化物(主として、NOとNO2 とからなる。以下、NOx という。)の触媒反応による接触的除去、即ち、触媒的分解及び/又は還元のための方法に関する。詳しくは、本発明は、周期的なリッチ/リーン燃料供給行程(excursion: 行程)にて燃料をディーゼルエンジンやガソリンエンジンの燃焼室に供給して燃焼させ、生成した排ガスを触媒に接触させることによって、排ガス中のNOx を接触的に除去する方法とそのための触媒に関する。このような方法とそのための触媒は、例えば、自動車のエンジンからの排ガスに含まれる有害な窒素酸化物を低減、除去して、排ガスを浄化するために適している。
【0002】
特に、本発明は、硫黄酸化物(主として、SO2 とSO3 とからなる。以下、SOx という。)の存在下に、周期的なリッチ/リーン燃料供給行程にて燃料を供給して燃焼させ、その燃焼によって生成する排ガス中のNOx を触媒の劣化なしに、接触的に除去するための方法とそのような触媒に関する。
【0003】
本発明において、上記「行程」(excursion) なる用語は、空気/燃料比率が時間軸に沿ってその平均値から両方に動くこと又はそのような作業を意味する。上記「リッチ」なる用語は、問題とする燃料の空気/燃料比率が化学量論的な空気/燃料比率よりも小さいことを意味し、上記「リーン」なる用語は、問題とする燃料の空気/燃料比率が化学量論的な空気/燃料比率よりも大きいことを意味する。通常の自動車ガソリンでは、化学量論的な空気/燃料比率は約14.5である。また、本発明において、「触媒」は、燃料のリッチ/リーン燃焼の間、NOx を除去するのために作動する触媒又はこれを含む構造体を意味する。
【0004】
従って、本発明において、「周期的なリッチ/リーン燃料供給行程にて燃料を供給する」とは、ディーゼルエンジンやガソリンエンジンの燃焼室に、燃料の燃焼を主としてリーン条件(燃焼後の排ガス中の酸素濃度は、通常、5%から10%程度である。)で行い、上記リッチ条件とリーン条件との間で交互に雰囲気を周期的に振動させるように、空気/燃料比率を調整しながら、燃料を供給、注入又は噴射することをいう。従って、リッチ/リーン行程は、リッチ/リーン条件と同義である。
【0005】
従来、排ガスに含まれるNOx は、例えば、これを酸化した後、アルカリに吸収させる方法や、還元剤としてアンモニア、水素、一酸化炭素又は炭化水素を用いて、窒素に還元する等の方法によって除去されている。しかし、これらの従来の方法には、それぞれ欠点がある。
【0006】
即ち、前者の方法によれば、環境問題を防止するために、生成するアルカリ性の廃水を処理する手段が必要である。後者の方法によれば、例えば、アンモニアを還元剤として用いる場合であれば、アンモニアが排ガス中のSOx と反応して塩類を形成し、その結果、低温で触媒活性が低減する。また、とりわけ、自動車のような移動発生源からのNOxを処理する場合、その安全性が問題となる。
【0007】
他方、還元剤として水素、一酸化炭素又は炭化水素を用いる場合であれば、それら還元剤は、排ガスがNOx よりも酸素を高濃度で含むので、その酸素と優先的に反応することとなり、かくして、NOx を実質的に低減しようとすれば、多量の還元剤を必要とすることとなり、燃費が大きく低下する。
【0008】
そこで、還元剤を用いることなしに、NOx を接触分解することが提案されている。しかし、NOx を直接に分解するために、従来知られている触媒は、その低い分解活性の故に、未だ実用化されていない。他方、還元剤として、炭化水素や酸素含有有機化合物を用いるNOx 接触還元触媒として、種々のゼオライトが提案されている。特に、銅イオン交換ZSM−5やH型(水素型又は酸型)ゼオライトZSM−5(SiO2 /Al2 O3 モル比=30〜40)が最適であるとされている。しかし、H型ゼオライトでさえ、十分な還元活性を有しておらず、特に、排ガス中に水分が含まれるとき、ゼオライト触媒は、ゼオライト構造の脱アルミニウムのために速やかに性能が低下することが知られている。
【0009】
このような事情の下、NOx 接触還元のための一層高活性な触媒の開発が求められており、例えば、EP−A1−526099やEP−A1−679427(JP−A2−5317647に相当する。)に記載されているように、最近、無機酸化物担体材料に銀又は銀酸化物を担持させてなる触媒が提案されている。この触媒は、酸化活性は高いものの、NOx に対する選択還元活性が低いので、NOx の窒素への変換速度が遅いことが知られている。しかも、この触媒は、SOx の存在下に速やかに活性が低下する問題がある。これらの触媒は、完全なリーン条件下に炭化水素を用いてNOx をある程度選択的に還元する触媒作用を有するが、しかし、三元触媒に比べて、NOx 除去率が低く、作動する温度ウインドウ(温度域)が狭いために、このようなリーンNOx 触媒の実用化を困難にしている。かくして、NOx 接触還元のための一層高耐熱性で高活性の触媒が緊急に求められている。
【0010】
上述した問題を克服するために、「自動車技術者協会」(Society of Automotive Engineers) 誌(SAE)(1995年8月9日)に記載されているように、最近、NOx 貯蔵−還元システムが最も有望な方法として提案されている。この提案(トヨタ自動車(株))によれば、燃料を周期的に短時間、化学量論量を上回る量にて燃焼室に供給する。リーン燃焼エンジンを備えている自動車は、非常に小さい燃料/空気比率で駆動することができるので、従来のエンジンを備えた自動車よりも燃料消費率を低くすることができる。このようなリーン燃焼エンジンのNOx 貯蔵−還元システムは、1〜2分間隔の周期的な2工程によってNOx を低減する。
【0011】
即ち、第1の工程においては、(通常の)リーン条件下、白金やロジウム触媒上でNOはNO2 に酸化され、このNO2 は炭酸カリウムや炭酸バリウムのようなアルカリ化合物に吸着される。次いで、第2工程のためのリッチ条件が形成され、このリッチ条件が数秒間、持続される。このリッチ条件下、上記吸着(貯蔵)されたNO2 は、白金やロジウム触媒上で炭化水素、一酸化炭素又は水素を用いて効率よく窒素に還元される。このNOx 貯蔵−還元システムは、SOx の不存在下であれば、長期間にわたってよく作動する。しかし、SOx が存在すれば、リーン及びリッチいずれの条件下においても、アルカリ化合物上のNO2 吸着サイトにおけるSOx の不可逆的吸着によって、触媒システムは急激に劣化する問題がある。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、酸素、硫黄酸化物又は水の存在下においても、また、広範囲の反応温度においても、周期的なリッチ/リーン条件の下で燃料を燃焼させ、この燃焼によって生成した排ガス中のNOx を触媒の劣化なしに、接触的に除去する方法とそのための触媒を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、周期的なリッチ/リーン条件下に燃料を供給して燃焼させ、生成する排ガスを触媒に接触させて、その排ガス中の窒素酸化物を接触的に除去する方法において、上記触媒が
(A)(a)セリア又は
(b)酸化プラセオジム又は
(c)セリウム、ジルコニウム、プラセオジム、ネオジム、テルビウム、サマリウム、ガドリニウム及びランタンから選ばれる少なくとも2つの元素の酸化物の混合物と少なくともそれら2つの元素の複合酸化物とから選ばれる少なくとも1種
からなる第1の触媒成分と、
(d)パラジウム及びその酸化物から選ばれる少なくとも1種
からなる第2の触媒成分と
を表面触媒成分として有する表面触媒層と、
(B)(a)セリア又は
(b)酸化プラセオジム又は
(c)セリウム、ジルコニウム、プラセオジム、ネオジム、テルビウム、サマリウム、ガドリニウム及びランタンから選ばれる少なくとも2つの元素の酸化物の混合物と少なくともそれら2つの元素の複合酸化物とから選ばれる少なくとも1種
からなる第1の触媒成分と、
(d)ロジウム及びその酸化物から選ばれる少なくとも1種
からなる第2の触媒成分と
を内部触媒成分として有する内部触媒層と
を有することを特徴とする排ガス中の窒素酸化物を接触的に除去する方法が提供される。
【0014】
また、本発明によれば、周期的なリッチ/リーン条件下に燃料を供給して燃焼させ、生成する排ガスを触媒に接触させて、その排ガス中の窒素酸化物を接触的に除去する方法において、上記触媒が
(A)(a)セリア/ジルコニア混合物、セリア/ジルコニア複合酸化物、セリア/ジルコニア/1〜10重量%の酸化プラセオジム混合物、セリア/ジルコニア/1〜10重量%の酸化プラセオジム複合酸化物、セリア/ジルコニア/酸化ネオジム混合物及びセリア/ジルコニア/酸化ネオジム複合酸化物から選ばれる少なくとも1種
からなる第1の触媒成分と、
(b)パラジウム及びその酸化物から選ばれる少なくとも1種
からなる第2の触媒成分と
を表面触媒成分として有する表面触媒層と、
(B)(a)セリア/プラセオジム混合物、セリア/プラセオジム複合酸化物、セリア/ジルコニア/10重量%を越えて、40重量%以下の酸化プラセオジム混合物及びセリア/ジルコニア/10重量%を越えて、40重量%以下の酸化プラセオジム複合酸化物から選ばれる少なくとも1種
からなる第1の触媒成分と、
(b)ロジウム、パラジウム及びそれらの酸化物から選ばれる少なくとも1種
からなる第2の触媒成分と
を内部触媒成分として有する内部触媒層と
を有することを特徴とする排ガス中の窒素酸化物を接触的に除去する方法が提供される。
【0015】
更に、本発明によれば、周期的なリッチ/リーン条件下に燃料を供給して燃焼させ、生成する排ガスを接触させて、その排ガス中の窒素酸化物を接触的に除去するための触媒であって、
(A)(a)セリア又は
(b)酸化プラセオジム又は
(c)セリウム、ジルコニウム、プラセオジム、ネオジム、テルビウム、サマリウム、ガドリニウム及びランタンから選ばれる少なくとも2つの元素の酸化物の混合物と少なくともそれら2つの元素の複合酸化物とから選ばれる少なくとも1種からなる第1の触媒成分と、
(d)パラジウム及びその酸化物から選ばれる少なくとも1種からなる第2の触媒成分とを表面触媒成分として有する表面触媒層と、
(B)(a)セリア又は
(b)酸化プラセオジム又は
(c)セリウム、ジルコニウム、プラセオジム、ネオジム、テルビウム、サマリウム、ガドリニウム及びランタンから選ばれる少なくとも2つの元素の酸化物の混合物と少なくともそれら2つの元素の複合酸化物とから選ばれる少なくとも1種からなる第1の触媒成分と、
(d)ロジウム及びその酸化物から選ばれる少なくとも1種からなる第2の触媒成分とを内部触媒成分として有する内部触媒層とを有するものであることを特徴とする排ガス中の窒素酸化物を接触的に除去するための触媒が提供される。
【0016】
また、本発明によれば、周期的なリッチ/リーン条件下に燃料を供給して燃焼させ、生成する排ガスを接触させて、その排ガス中の窒素酸化物を接触的に除去するための触媒であって、
(A)(a)セリア/ジルコニア混合物、セリア/ジルコニア複合酸化物、セリア/ジルコニア/1〜10重量%の酸化プラセオジム混合物、セリア/ジルコニア/1〜10重量%の酸化プラセオジム複合酸化物、セリア/ジルコニア/酸化ネオジム混合物及びセリア/ジルコニア/酸化ネオジム複合酸化物から選ばれる少なくとも1種
からなる第1の触媒成分と、
(d)パラジウム及びその酸化物から選ばれる少なくとも1種
からなる第2の触媒成分と
を表面触媒成分として有する表面触媒層と、
(B)(a)セリア/プラセオジム混合物、セリア/プラセオジム複合酸化物、セリア/ジルコニア/10重量%を越えて、40重量%以下の酸化プラセオジム混合物及びセリア/ジルコニア/10重量%を越えて、40重量%以下の酸化プラセオジム複合酸化物から選ばれる少なくとも1種
からなる第1の触媒成分と、
(b)ロジウム、パラジウム及びそれらの酸化物から選ばれる少なくとも1種
からなる第2の触媒成分と
を内部触媒成分として有する内部触媒層と
を有するものであることを特徴とするとする排ガス中の窒素酸化物を接触的に除去する触媒が提供される。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明による触媒は、表面触媒層と内部触媒層とを有し、上記表面触媒層は排ガスと直接に接触するように露出している。本発明によれば、好ましくは、このような触媒は、不活性な基材上に内部触媒層と表面触媒層とがこの順序で積層された触媒構造体として用いられる。
【0018】
本発明による触媒の上記表面触媒層は、
(A)(a)セリア又は
(b)酸化プラセオジム又は
(c)セリウム、ジルコニウム、プラセオジム、ネオジム、テルビウム、サマリウム、ガドリニウム及びランタンから選ばれる少なくとも2つの元素の酸化物の混合物と少なくともそれら2つの元素の複合酸化物とから選ばれる少なくとも1種
からなる第1の触媒成分と、
(d)パラジウム及びその酸化物から選ばれる少なくとも1種
からなる第2の触媒成分と
を表面触媒成分として有する。
【0019】
他方、上記内部触媒層は、
(B)(a)セリア又は
(b)酸化プラセオジム又は
(c)セリウム、ジルコニウム、プラセオジム、ネオジム、テルビウム、サマリウム、ガドリニウム及びランタンから選ばれる少なくとも2つの元素の酸化物の混合物と少なくともそれら2つの元素の複合酸化物とから選ばれる少なくとも1種
からなる第1の触媒成分と、
(d)ロジウム及びその酸化物から選ばれる少なくとも1種
からなる第2の触媒成分と
を内部触媒成分として有する。
【0020】
本発明によれば、更に、内部触媒層の第2の触媒成分として、ロジウム、パラジウム及びそれらの酸化物から選ばれる少なくとも1種を用いることができる。この場合には、表面触媒層の第1の触媒成分として、上述したなかでも、特に耐SOx 性にすぐれるセリア/ジルコニア混合物、セリア/ジルコニア複合酸化物、セリア/ジルコニア/1〜10重量%の酸化プラセオジム混合物、セリア/ジルコニア/1〜10重量%の酸化プラセオジム複合酸化物、セリア/ジルコニア/酸化ネオジム混合物及びセリア/ジルコニア/酸化ネオジム複合酸化物から選ばれる少なくとも1種を用いると共に、内部触媒層が特にNOx 浄化能にすぐれるように、内部触媒層の第1の触媒成分として、セリア/プラセオジム混合物、セリア/プラセオジム複合酸化物、セリア/ジルコニア/10重量%を越えて、40重量%以下の酸化プラセオジム混合物及びセリア/ジルコニア/10重量%を越えて、40重量%以下の酸化プラセオジム複合酸化物から選ばれる少なくとも1種を用いることが必要である。
【0021】
本発明による触媒は、このような表面触媒層と内部触媒層とを有し、それが上述した方法によって作動する限り、任意の触媒構造体とすることができる。
【0022】
本発明によれば、表面触媒層は、第1と第2の触媒成分とからなる表面触媒成分を少なくとも50重量%、特に好ましくは、少なくとも80重量%を含む。表面触媒層における表面触媒成分の割合が50重量%を下回るときは、排ガス中のSOx がリーン時に表面触媒層の第1の触媒成分にSO2 (場合によっては、SO2 とSO3 、以下、同じ)として吸着し、排ガス中のSOx のうち、リッチ時に表面触媒層と内部触媒層に蓄積しない硫黄化合物に転換されて、気相中に脱離する割合が低下する。その結果、耐SOx 性が低下する。
【0023】
本発明によれば、表面触媒層は、上記第1の触媒成分と第2の触媒成分(貴金属触媒成分)を表面触媒成分として有する。このような表面触媒層によれば、リッチ条件下において、第2の触媒成分(貴金属触媒成分)が還元されると共に、第1の触媒成分、即ち、酸化物(例えば、酸化セリウム(IV))も還元される(即ち、その酸素の一部を失う)一方、リーン条件下においては、第2の触媒成分が酸化されると共に、第1の触媒成分(例えば、酸化セリウム(III))も酸化される(即ち、気相中の酸素を貯蔵する)。かくして、表面触媒中の第1の触媒成分は、酸素貯蔵能を有する物質(以下、OSC機能物質という。)として機能する。
【0024】
本発明によれば、表面触媒層における第1の触媒成分は、1つの態様として、第1の触媒成分(A)中の成分(c)として記載されているように、少なくとも2つの元素の酸化物の混合物と少なくともそれら2つの元素の複合酸化物とから選ばれる少なくとも1種であるが、ここに、その混合物は、均一な混合物であることが好ましい。しかし、本発明によれば、上記少なくとも2つの元素の酸化物の混合物よりは、上記少なくとも2つの元素の複合酸化物が好ましく用いられ、特に、二元系又は三元系の複合酸化物が好ましく用いられる。
【0025】
例えば、二元系複合酸化物の場合、固溶体における各元素の酸化物基準重量比は、セリア/酸化プラセオジム複合酸化物、セリア/ジルコニア複合酸化物、セリア/酸化テルビウム複合酸化物、セリア/酸化サマリウム複合酸化物等であれば、好ましくは、80/20から60/40の範囲である。また、三元系複合酸化物の場合、固溶体における酸化物基準重量比は、セリア/酸化ガドリニウム/ジルコニア複合酸化物、セリア/酸化ネオジム/ジルコニア複合酸化物、セリア/ジルコニア/酸化プラセオジム複合酸化物、セリア/ジルコニア/酸化ランタン複合酸化物、セリア/ジルコニア/酸化サマリウム複合酸化物、セリア/ジルコニア/酸化テルビウム複合酸化物等であれば、好ましくは、45/30/30から75/20/5の範囲である。但し、本発明において、これらの複合酸化物中のそれぞれ元素の酸化物基準重量比は、セリア、ジルコニア、酸化テルビウム、酸化プラセオジム、酸化ガドリニウム、酸化ネオジム、酸化サマリウム及び酸化ランタンをそれぞれCeO2、ZrO2、TbO2、Pr6O11、Ga2O3、Nd2O3、Sm2O3、及びLa2O3として計算するものとする。
【0026】
本発明によれば、表面触媒層の第2の触媒成分(貴金属触媒成分)は、上記第1の触媒成分上に担持されつつ、表面触媒成分中に金属換算にて0.1〜5重量%の範囲で含まれる。このような表面触媒層の第2の触媒成分は、リッチ時に表面触媒中の第1の触媒成分(OSC機能物質)を速やかに還元し、リーン時にこの第1の触媒成分と第2の触媒成分上に排ガス中のSOx がSO2 として吸着される。このSOx は、リッチ時に内部触媒によって捕捉されない硫黄化合物として脱着する。
【0027】
上記表面触媒成分中の第2の触媒成分(貴金属触媒成分)の割合が金属換算にて0.1重量%よりも少ないときは、リッチ時に第1の触媒成分(OSC機能物質)を十分に還元することができないので、リーン時に第2の触媒成分(貴金属触媒成分)の酸化を抑制する緩衝効果に乏しくなり、その結果、リーン時に排ガス中のSOx を第1の触媒成分上に吸着し、リッチ時に内部触媒層及び表面触媒層に蓄積しない硫黄化合物に転換して、気相中に脱離する割合が低下する。他方、表面触媒成分中の第2の触媒成分(貴金属触媒成分)の割合が金属換算にて5重量%よりも多いときは、リッチ時に第1の触媒成分をよく還元することができるものの、リーン時に第2の触媒成分(貴金属触媒成分)の酸化が急激に進行するので、同様に、排ガス中のSOx がリーン時にSO2 として吸着し、その結果、リッチ時に内部触媒成分及び表面触媒成分に蓄積しない硫黄化合物に転換し、気相中に脱離する割合が低下する。
【0028】
本発明によれば、このように、表面触媒層の第2の触媒成分はパラジウム又はその酸化物からなり、白金やロジウムやその酸化物を含まない。表面触媒層が白金やロジウムやその酸化物を第2の触媒成分として有するときは、リーン時に排ガス中のSOx がSO3 に酸化されやすく、そして、このようにして生成したSO3 が表面触媒成分上に吸着されると、このSO3 は、リッチ時に内部触媒成分上に吸着されない硫黄化合物に転換されない。かくして、リーン/リッチサイクルにおいて、排ガス中のSOx が硫黄化合物として表面触媒層と内部触媒層上に吸着され、NOx 浄化能の劣化に至る。
【0029】
表面触媒層の厚みは、本発明による触媒のリッチ/リーン工程における耐SOx 被毒性に大きい影響を及ぼす。表面触媒層の最適の厚みは、温度、酸素濃度、空間速度(SV)等のような反応条件にもよるが、リッチ/リーン工程の中で高い耐SOx 被毒性を得ることができる好ましい表面触媒層の厚みは、20μmから60μmの範囲である。しかし、通常、40μm程度が好ましい。表面触媒層の厚みを60μm以上としても、それに見合って、耐SOx 被毒性が向上せず、むしろ、NOx 浄化能が低下する。他方、表面触媒層の厚みを20μmよりも小さくするときは、SOx が内部触媒層に到達、拡散し、リーン行程の後半において、SO2 が内部触媒層上で酸化されて、SO3 として内部触媒層中に蓄積され、その結果、リッチ時にSO2 として気相中に脱離せず、NOx 浄化能の劣化が進行する。
【0030】
ここに、本発明によれば、各触媒層の厚みは、便宜的に触媒層の見かけ密度を1.0g/cm3 とし、触媒成分を含むスラリーの基材への塗布量から計算にて求めることができる。
【0031】
本発明によれば、内部触媒層は、第1と第2の触媒成分とからなる内部触媒成分を少なくとも50重量%、特に好ましくは、少なくとも80重量%を含む。内部触媒層における内部触媒成分の割合が50重量%を下回るときは、リッチ時及びリーン時のNOx 浄化能が低下する。
【0032】
本発明において、内部触媒層の第1の触媒成分は、前述した表面触媒成分の第1の触媒成分と同じであり、従って、OSC機能物質として機能する。
【0033】
本発明によれば、内部触媒層の第2の触媒成分(貴金属触媒成分)も、内部触媒層の上記第1の触媒成分上に担持されつつ、内部触媒成分中に金属換算にて0.05〜5重量%の範囲で含まれる。このような内部触媒層の第2の触媒成分は、リッチ時に第1の触媒成分(OSC機能物質)の還元速度を速めると共に、それ自身も還元されて、リーン時にNOx の接触分解反応の活性種として機能し、速やかにNOx を浄化する働きをする。内部触媒層の第2の触媒成分(貴金属触媒成分)が内部触媒成分の0.05重量%よりも少ないときは、リッチ時の第1の触媒成分(OSC機能物質)の還元速度が遅く、他方、5重量%よりも多いときは、リーン時に内部触媒層の第2の触媒成分の酸化が急速に進行し、NOx の接触分解反応の活性種として機能する時間が短くなって、このように、いずれの場合も、NOx 浄化能が低下する。
【0034】
このような内部触媒層の厚みは、リッチ/リーン行程におけるNOx浄化能に影響を及ぼす。内部触媒層の最適の厚みは、温度、酸素濃度、空間速度(SV)等のような反応条件にもよるが、リッチ/リーン工程の中で高いNOx 浄化能を得ることができる好ましい内部触媒層の厚みは、20μmから60μmの範囲である。しかし、通常、40μm程度が好ましい。表面触媒層の厚みを60μm以上としても、それに見合って、NOx 浄化能が向上しない。他方、表面触媒層の厚みを20μmよりも小さくするときは、リッチ/リーン工程において、NOx浄化に要する触媒成分量が不足して、NOx浄化能が低下する。
【0035】
本発明における上記表面触媒成分と内部触媒成分は、例えば、次のような方法によって得ることができる。即ち、先ず、セリウム、ジルコニウム、プラセオジム、ネオジム、テルビウム、サマリウム、ガドリニウム及びランタン等の触媒成分を構成する元素の水溶性塩、例えば、硝酸塩の水溶液を中和し、又は加熱加水分解して、水酸化物を形成させた後、得られた生成物を酸化性又は還元性雰囲気中、300〜900℃の温度で焼成することによって、内部触媒成分及び表面触媒成分中の第1の触媒成分を得ることができる。しかし、市販されているセリウム、ジルコニウム、プラセオジム、ネオジム、テルビウム、サマリウム、ガドリニウム、ランタン等の水酸化物や酸化物を上述したように焼成することによっても、内部触媒成分及び表面触媒成分中の第1の触媒成分を得ることができる。
【0036】
次に、この第1の触媒成分上に、従来より知られている含浸法やイオン交換法等の適宜の手段によって、内部触媒成分又は表面触媒成分の第2の触媒成分を構成する元素の水溶性塩、例えば、硝酸塩の水溶液を担持させた後、酸化性又は還元性雰囲気中、500〜900℃の温度で焼成すれば、第1と第2の触媒成分からなる内部触媒成分又は表面触媒成分をそれぞれ粉体として得ることができる。
【0037】
本発明によれば、排ガス中のSOx は、リーン条件下において、前述した表面触媒成分中の第1の触媒成分(OSC機能物質)と第2の触媒成分(貴金属触媒成分)上にSO2 として吸着され、リッチ時に内部触媒によって捕捉されない何らかの硫黄化合物として脱着されるので、内部触媒のSOx による劣化が防止される。上記硫黄化合物については、未だ、明確ではないが、しかし、本発明においては、分析の結果、表面及び内部触媒に硫黄の蓄積がないことが確認されている。
【0038】
一方、本発明によれば、NOx は、次のようにして、内部触媒層と表面触媒層によって浄化される。即ち、短時間のリッチ条件下に、内部触媒層と表面触媒層の第2の触媒成分は速やかに還元されると共に、その高い還元力の助けによって、内部触媒層と表面触媒層の第1の触媒成分(例えば、セリア)は、酸化物中の酸素の一部を失い、かくして、排ガス中のNOx の大部分は、内部触媒層と表面触媒層の第2の触媒成分によって接触分解される。次に、リーン条件下においては、上述したようにして、部分還元された内部触媒層と表面触媒層の第1の触媒成分、OSC機能物質は、排ガス中の酸素を貯蔵する。かくして、リーン条件下において、内部触媒層と表面触媒層のそれぞれの第1の触媒成分が内部触媒層と表面触媒層のそれぞれの第2の触媒成分、即ち、貴金属触媒成分の酸化を抑制し、それら貴金属触媒成分上でNOx の接触分解反応が高効率で進行することを可能とする。このとき、表面触媒層中の貴金属触媒成分から酸化が起こるため、リーン条件下においては、NOx は、主として、内部触媒層において浄化される。
【0039】
本発明によれば、表面触媒層と内部触媒層のための触媒成分は、いずれも粉末や粒状物のような種々の形態にて得ることができる。従って、従来からよく知られている任意の方法によって、このような触媒成分を用いて、内部触媒層を、例えば、ハニカム、環状物、球状物等のような種々の形状に成形し、その後、この内部触媒層の表面に表面触媒層を形成することによって、種々の形状の触媒構造体とすることができる。このような触媒構造体の調製に際して、必要に応じて、適当の添加物、例えば、成形助剤、補強材、無機繊維、有機バインダー等を用いることができる。
【0040】
特に、本発明による触媒は、任意の形状の支持用の不活性な基材の表面に、例えば、ウォッシュ・コート法によって、(例えば、塗布して、)その表面に内部触媒層と表面触媒層とを有する触媒構造体とするのが有利である。上記不活性な基材は、例えば、コージーライトのような粘土鉱物や、また、ステンレス鋼のような金属、好ましくは、Fe−Cr−Alのような耐熱性の金属からなるものであってよく、また、その形状は、ハニカム、環状、球状構造等であってよい。
【0041】
このような本発明による触媒はいずれも、熱に対する抵抗にすぐれるのみならず、硫黄酸化物に対する抵抗性にもすぐれており、ディーゼルエンジンやリーンガソリンエンジン自動車排ガス中のNOx の還元、即ち、脱硝するための触媒として用いるのに好適である。
【0042】
本発明においては、排ガス中のNOx は、燃料の燃焼雰囲気が前述したようなリッチ条件とリーン条件の間で振動する条件下での触媒反応によって還元分解される。ここに、触媒反応の周期(即ち、リッチ雰囲気(又はリーン雰囲気)から次のリッチ雰囲気(又はリーン雰囲気)までの時間)は、好ましくは、5〜150秒、特に好ましくは、30〜90秒である。また、リッチ/リーン幅、即ち、リッチ時間(秒)/リーン時間(秒)は、通常、0.5/5〜10/150の範囲であり、好ましくは、2/30〜5/90の範囲である。
【0043】
リッチ条件は、燃料としてガソリンを用いる場合には、通常、エンジンの燃焼室に重量比で10〜14の空気/燃料比率で燃料を周期的に噴射することによって形成される。リッチ条件下の典型的な排ガスは、数百容量ppmのNOx 、5〜6容量%の水、2〜3容量%のCO、2〜3容量%の水素、数千容量ppmの炭化水素及び0〜0.5容量%の酸素を含む。一方、リーン条件は、燃料としてガソリンを用いる場合には、通常、エンジンの燃焼室に重量比で20〜40の空気/燃料比率で燃料を周期的に噴射することによって形成される。リーン条件下の典型的な排ガスは、数百容量ppmのNOx 、5〜6容量%の水、数千容量ppmのCO、数千容量ppmの水素、数千容量ppmの炭化水素及び5〜10容量%の酸素を含む。
【0044】
本発明による触媒を用いるNOx 接触分解のために好適な温度は、個々のガス組成にもよるが、リッチ行程において、長期間にわたってNOx に対して有効な触媒反応活性を有するように、通常、150〜550℃の範囲であり、好ましくは、200〜500℃の範囲である。上記反応温度域においては、排ガスは、好ましくは、5000〜100000hr-1の範囲の空間速度で処理される。
【0045】
【発明の効果】
本発明によれば、上述したように、NOx を含む排ガスを周期的なリッチ/リーン工程において、上述した触媒に接触させることによって、酸素、硫黄酸化物又は水分の存在下においても、排ガス中のNOx を安定に且つ効率よく接触分解することができる。
【0046】
【実施例】
以下に内部触媒層の触媒成分と表面触媒層の製造例と共に、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。以下において、すべての「部」及び「%」は、特に明示しない限り、重量基準である。
【0047】
(1)内部触媒成分の調製
製造例1
イオン交換水100mLに硝酸セリウム(Ce(NO3)3・6H2O)151.37gを加えて、水溶液とし、これに0.1規定のアンモニア水を加えて、セリウムイオンを中和加水分解し、1時間熟成した。得られたスラリーを濾過し、120℃で24時間乾燥した後、空気中、500℃で3時間焼成して、セリア粉体(比表面積138m2/g)を得た。
【0048】
イオン交換水100mLに硝酸ロジウム水溶液(ロジウムとして9.0%)4.20gを加えて、水溶液とし、これに上記セリア粉体30gを投入し、攪拌しながら、100℃で乾燥させた後、空気中、500℃にて3時間焼成して、セリア粉体上にロジウム1%を担持させてなる触媒粉体を得た。
【0049】
製造例2
イオン交換水100mLに硝酸セリウム(Ce(NO3)3・6H2O)103.77gと硝酸プラセオジム(Pr(NO3)3・6H2O)35.77gとを溶解させて、水溶液を調製した。この水溶液に0.1規定のアンモニア水を加え、上記セリウム塩とプラセオジム塩を中和加水分解した後、1時間熟成した。得られたスラリーから生成物を濾過にて分離し、これを120℃で24時間乾燥した後、空気中、500℃で3時間焼成して、セリア/酸化プラセオジム複合酸化物粉体(酸化物基準重量比60/40、比表面積112m2/g)を得た。
【0050】
イオン交換水100mLに硝酸ロジウム水溶液(ロジウムとして9.0%)0.84gを加えて、水溶液とし、これに上記セリア/酸化プラセオジム複合酸化物粉体30gを投入し、攪拌しながら、100℃で乾燥させた後、空気中、500℃にて3時間焼成して、セリア/酸化プラセオジム複合酸化物上にロジウム0.2%を担持させてなる触媒粉体を得た。
【0051】
製造例3
イオン交換水100mLに硝酸セリウム(Ce(NO3)3・6H2O)103.77gと硝酸プラセオジム(Pr(NO3)3・6H2O)35.77gとを溶解させて、水溶液を調製した。この水溶液に0.1規定のアンモニア水を加え、上記セリウム塩とプラセオジム塩を中和加水分解した後、1時間熟成した。得られたスラリーから生成物を濾過にて分離し、これを120℃で24時間乾燥した後、空気中、500℃で3時間焼成して、セリア/酸化プラセオジム複合酸化物粉体(酸化物基準重量比60/40、比表面積112m2/g)を得た。
【0052】
イオン交換水100mLに硝酸パラジウム水溶液(パラジウムとして9.0%)2.1gを加えて、水溶液とし、これに上記セリア/酸化プラセオジム複合酸化物粉体30gを投入し、攪拌しながら、100℃で乾燥させた後、空気中、500℃にて3時間焼成して、セリア/酸化プラセオジム複合酸化物上にパラジウム0.5%を担持させてなる触媒粉体を得た。
【0053】
製造例4
イオン交換水1700mLに硝酸セリウム(Ce(NO3)3・6H2O)103.77gとオキシ硝酸ジルコニウム(ZrO(NO3)2)84.45gと硝酸ランタン(La(NO3)3・6H2O)7.97gとを溶解させて、水溶液を調製した。この水溶液に0.1規定のアンモニア水を加え、上記セリウム塩とオキシジルコニウム塩とランタン塩を中和加水分解した後、1時間熟成した。得られたスラリーから生成物を濾過にて分離し、これを120℃で24時間乾燥した後、空気中、500℃で3時間焼成して、セリア/ジルコニア/酸化ランタン複合酸化物粉体(酸化物基準重量比22/73/5、比表面積80m2/g)を得た。
【0054】
イオン交換水100mLに硝酸ロジウム水溶液(ロジウムとして9.0%)2.10gを加えて、水溶液とし、これに上記セリア/ジルコニア/酸化ランタン複合酸化物粉体30gを投入し、攪拌しながら、100℃で乾燥させた後、空気中、500℃にて3時間焼成して、セリア/ジルコニア/酸化ランタン複合酸化物上にロジウム0.5%を担持させてなる触媒粉体を得た。
【0055】
製造例5
イオン交換水1700mLに硝酸セリウム(Ce(NO3)3・6H2O)121.06gとオキシ硝酸ジルコニウム(ZrO(NO3)2)28.12gと硝酸ガドリニウム(Gd(NO3)3・6H2O)7.48gとを溶解させて、水溶液を調製した。この水溶液に0.1規定のアンモニア水を加え、上記セリウム塩とオキシジルコウム塩とガドリニウム塩を中和加水分解した後、1時間熟成した。得られたスラリーから生成物を濾過にて分離し、これを120℃で24時間乾燥した後、空気中、500℃で3時間焼成して、セリア/ジルコニア/酸化ガドリニウム複合酸化物粉体(酸化物基準重量比72/24/4、比表面積198m2/g)を得た。
【0056】
イオン交換水100mLに硝酸ロジウム水溶液(ロジウムとして9.0%)2.10gを加えて、水溶液とし、これに上記セリア/ジルコニア/酸化ガドリニウム複合酸化物粉体30gを投入し、攪拌しながら、100℃で乾燥させた後、空気中、500℃にて3時間焼成して、セリア/ジルコニア/酸化ガドリニウム複合酸化物上にロジウム0.5%を担持させてなる触媒粉体を得た。
【0057】
製造例6
イオン交換水1700mLに硝酸セリウム(Ce(NO3)3・6H2O)77.83gとオキシ硝酸ジルコニウム(ZrO(NO3)2)36.03gと硝酸プラセオジム(Pr(NO3)3・6H2O)35.26gとを溶解させて、水溶液を調製した。この水溶液に0.1規定のアンモニア水を加え、上記セリウム塩とオキシジルコウム塩とプラセオジム塩とを中和加水分解した後、1時間熟成した。得られたスラリーから生成物を濾過にて分離し、これを120℃で24時間乾燥した後、空気中、500℃で3時間焼成して、セリア/ジルコニア/酸化プラセオジム複合酸化物粉体(酸化物基準重量比47/33/22、比表面積205m2/g)を得た。
【0058】
イオン交換水100mLに硝酸パラジウム水溶液(パラジウムとして9.0%)4.20gを加えて、水溶液とし、これに上記セリア/ジルコニア/酸化プラセオジム複合酸化物粉体30gを投入し、攪拌しながら、100℃で乾燥させた後、空気中、500℃にて3時間焼成して、セリア/ジルコニア/酸化プラセオジム複合酸化物上にパラジウム1%を担持させてなる触媒粉体を得た。
【0059】
製造例7
イオン交換水1700mLに硝酸セリウム(Ce(NO3)3・6H2O)109.43gとオキシ硝酸ジルコニウム(ZrO(NO3)2)31.27gと硝酸ネオジム(Nd(NO3)3・6H2O)15.63gとを溶解させて、水溶液を調製した。この水溶液に0.1規定のアンモニア水を加え、上記セリウム塩とオキシジルコニウム塩とネオジム塩を中和加水分解した後、1時間熟成した。得られたスラリーから生成物を濾過にて分離し、これを120℃で24時間乾燥した後、空気中、500℃で3時間焼成して、セリア/ジルコニア/酸化ネオジム複合酸化物粉体(酸化物基準重量比70/20/10、比表面積171m2/g)を得た。
【0060】
イオン交換水100mLに硝酸ロジウム水溶液(ロジウムとして9.0%)2.10gを加えて、水溶液とし、これに上記セリア/ジルコニア/酸化ネオジム複合酸化物粉体30gを投入し、攪拌しながら、100℃で乾燥させた後、空気中、500℃にて3時間焼成して、セリア/ジルコニア/酸化ネオジム複合酸化物上にロジウム0.5%を担持させてなる触媒粉体を得た。
【0061】
製造例8
イオン交換水1700mLに硝酸セリウム(Ce(NO3)3・6H2O)121.06gとオキシ硝酸ジルコニウム(ZrO(NO3)2)28.12gと硝酸サマリウム(Sm(NO3)3・6H2O)3.40gとを溶解させて、水溶液を調製した。この水溶液に0.1規定のアンモニア水を加え、上記セリウム塩とオキシジルコニウム塩とサマリウム塩を中和加水分解した後、1時間熟成した。得られたスラリーから生成物を濾過にて分離し、これを120℃で24時間乾燥した後、空気中、500℃で3時間焼成して、セリア/ジルコニア/酸化サマリウム複合酸化物粉体(酸化物基準重量比72/24/4、比表面積187m2/g)を得た。
【0062】
イオン交換水100mLに硝酸ロジウム水溶液(ロジウムとして9.0%)4.20gを加えて、水溶液とし、これに上記セリア/ジルコニア/酸化サマリウム複合酸化物粉体30gを投入し、攪拌しながら、100℃で乾燥させた後、空気中、500℃にて3時間焼成して、セリア/ジルコニア/酸化サマリウム複合酸化物上にロジウム1%を担持させてなる触媒粉体を得た。
【0063】
製造例9
イオン交換水100mLに硝酸セリウム(Ce(NO3)3・6H2O)103.7gと硝酸テルビウム(Tb(NO3)3・6H2O)40.96gとを溶解させて、水溶液を調製した。この水溶液に0.1規定のアンモニア水を加え、上記セリウム塩とテルビウム塩を中和加水分解した後、1時間熟成した。得られたスラリーから生成物を濾過にて分離し、これを120℃で24時間乾燥した後、空気中、500℃で3時間焼成して、セリア/酸化テルビウム複合酸化物粉体(酸化物基準重量比70/30、比表面積139m2/g)を得た。
【0064】
イオン交換水100mLに硝酸ロジウム水溶液(ロジウムとして9.0%)2.10gを加えて、水溶液とし、これに上記セリア/酸化テルビウム複合酸化物粉体30gを投入し、攪拌しながら、100℃で乾燥させた後、空気中、500℃にて3時間焼成して、セリア/酸化テルビウム複合酸化物上にロジウム0.5%を担持させてなる触媒粉体を得た。
(2)表面触媒成分の調製
【0065】
製造例10
イオン交換水100mLに硝酸セリウム(Ce(NO3)3・6H2O)151.37gを加えて、水溶液とし、これに0.1規定のアンモニア水を加えて、セリウムイオンを中和加水分解し、1時間熟成した。得られたスラリーを濾過し、120℃で24時間乾燥した後、空気中、500℃で3時間焼成して、セリア粉体(比表面積138m2/g)を得た。
【0066】
イオン交換水100mLに硝酸パラジウム水溶液(パラジウムとして9.0%)4.20gを加えて、水溶液とし、これに上記セリア粉体30gを投入し、攪拌しながら、100℃で乾燥させた後、空気中、500℃にて3時間焼成して、セリア粉体上にパラジウム1%を担持させてなる触媒粉体を得た。
【0067】
製造例11
イオン交換水100mLに硝酸セリウム(Ce(NO3)3・6H2O)103.77gと硝酸プラセオジム(Pr(NO3)3・6H2O)35.77gとを溶解させて、水溶液を調製した。この水溶液に0.1規定のアンモニア水を加え、上記セリウム塩とプラセオジム塩を中和加水分解した後、1時間熟成した。得られたスラリーから生成物を濾過にて分離し、これを120℃で24時間乾燥した後、空気中、500℃で3時間焼成して、セリア/酸化プラセオジム複合酸化物粉体(酸化物基準重量比60/40、比表面積112m2/g)を得た。
【0068】
イオン交換水100mLに硝酸パラジウム水溶液(パラジウムとして9.0%)4.20gを加えて、水溶液とし、これに上記セリア/酸化プラセオジム複合酸化物粉体30gを投入し、攪拌しながら、100℃で乾燥させた後、空気中、500℃にて3時間焼成して、セリア/酸化プラセオジム複合酸化物上にパラジウム1%を担持させてなる触媒粉体を得た。
【0069】
製造例12
イオン交換水1700mLに硝酸セリウム(Ce(NO3)3・6H2O)62.26gとオキシ硝酸ジルコニウム(ZrO(NO3)2)13.51gと硝酸プラセオジム(Pr(NO3)3・6H2O)3.07gとを溶解させて、水溶液を調製した。この水溶液に0.1規定のアンモニア水を加え、上記セリウム塩とオキシジルコニウム塩とランタン塩を中和加水分解した後、1時間熟成した。得られたスラリーから生成物を濾過にて分離し、これを120℃で24時間乾燥した後、空気中、500℃で3時間焼成して、セリア/ジルコニア/酸化プラセオジム複合酸化物粉体(酸化物基準重量比72/24/4、比表面積137m2/g)を得た。
【0070】
イオン交換水100mLに硝酸パラジウム水溶液(パラジウムとして9.0%)4.20gを加えて、水溶液とし、これに上記セリア/ジルコニア/酸化ランタン複合酸化物粉体30gを投入し、攪拌しながら、100℃で乾燥させた後、空気中、500℃にて3時間焼成して、セリア/ジルコニア/酸化プラセオジム複合酸化物上にパラジウム1%を担持させてなる触媒粉体を得た。
【0071】
製造例13
イオン交換水1700mLに硝酸セリウム(Ce(NO3)3・6H2O)34.59gとオキシ硝酸ジルコニウム(ZrO(NO3)2)84.45gと硝酸ランタン(La(NO3)3・6H2O)7.97gとを溶解させて、水溶液を調製した。この水溶液に0.1規定のアンモニア水を加え、上記セリウム塩とオキシジルコニウム塩とランタン塩を中和加水分解した後、1時間熟成した。得られたスラリーから生成物を濾過にて分離し、これを120℃で24時間乾燥した後、空気中、500℃で3時間焼成して、セリア/ジルコニア/酸化ランタン複合酸化物粉体(酸化物基準重量比22/73/5、比表面積80m2/g)を得た。
【0072】
イオン交換水100mLに硝酸パラジウム水溶液(パラジウムとして9.0%)4.20gを加えて、水溶液とし、これに上記セリア/ジルコニア/酸化ランタン複合酸化物粉体30gを投入し、攪拌しながら、100℃で乾燥させた後、空気中、500℃にて3時間焼成して、セリア/ジルコニア/酸化ランタン複合酸化物上にパラジウム1%を担持させてなる触媒粉体を得た。
【0073】
製造例14
イオン交換水1700mLに硝酸セリウム(Ce(NO3)3・6H2O)121.06gとオキシ硝酸ジルコニウム(ZrO(NO3)2)28.12gと硝酸ガドリニウム(Gd(NO3)3・6H2O)7.48gとを溶解させて、水溶液を調製した。この水溶液に0.1規定のアンモニア水を加え、上記セリウム塩とオキシジルコウム塩とガドリニウム塩を中和加水分解した後、1時間熟成した。得られたスラリーから生成物を濾過にて分離し、これを120℃で24時間乾燥した後、空気中、500℃で3時間焼成して、セリア/ジルコニア/酸化ガドリニウム複合酸化物粉体(酸化物基準重量比72/24/4、比表面積198m2/g)を得た。
【0074】
イオン交換水100mLに硝酸パラジウム水溶液(パラジウムとして9.0%)4.20gを加えて、水溶液とし、これに上記セリア/ジルコニア/酸化ガドリニウム複合酸化物粉体30gを投入し、攪拌しながら、100℃で乾燥させた後、空気中、500℃にて3時間焼成して、セリア/ジルコニア/酸化ガドリニウム複合酸化物上にパラジウム1%を担持させてなる触媒粉体を得た。
【0075】
製造例15
イオン交換水1700mLに硝酸セリウム(Ce(NO3)3・6H2O)109.43gとオキシ硝酸ジルコニウム(ZrO(NO3)2)31.27gと硝酸ネオジム(Nd(NO3)3・6H2O)15.63gとを溶解させて、水溶液を調製した。この水溶液に0.1規定のアンモニア水を加え、上記セリウム塩とオキシジルコニウム塩とネオジム塩を中和加水分解した後、1時間熟成した。得られたスラリーから生成物を濾過にて分離し、これを120℃で24時間乾燥した後、空気中、500℃で3時間焼成して、セリア/ジルコニア/酸化ネオジム複合酸化物粉体(酸化物基準重量比70/20/10、比表面積171m2/g)を得た。
【0076】
イオン交換水100mLに硝酸パラジウム水溶液(パラジウムとして9.0%)4.20gを加えて、水溶液とし、これに上記セリア/ジルコニア/酸化ネオジム複合酸化物粉体30gを投入し、攪拌しながら、100℃で乾燥させた後、空気中、500℃にて3時間焼成して、セリア/ジルコニア/酸化ネオジム複合酸化物上にパラジウム1%を担持させてなる触媒粉体を得た。
【0077】
製造例16
イオン交換水1700mLに硝酸セリウム(Ce(NO3)3・6H2O)121.06gとオキシ硝酸ジルコニウム(ZrO(NO3)2)28.12gと硝酸ガドリニウム(Gd(NO3)3・6H2O)7.48gとを溶解させて、水溶液を調製した。この水溶液に0.1規定のアンモニア水を加え、上記セリウム塩とオキシジルコニウム塩とガドリニウム塩を中和加水分解した後、1時間熟成した。得られたスラリーから生成物を濾過にて分離し、これを120℃で24時間乾燥した後、空気中、500℃で3時間焼成して、セリア/ジルコニア/酸化ガドリニウム複合酸化物粉体(酸化物基準重量比72/24/4、比表面積198m2/g)を得た。
【0078】
イオン交換水100mLに硝酸パラジウム水溶液(パラジウムとして9.0%)2.10gを加えて、水溶液とし、これに上記セリア/ジルコニア/酸化ガドリニウム複合酸化物粉体30gを投入し、攪拌しながら、100℃で乾燥させた後、空気中、500℃にて3時間焼成して、セリア/ジルコニア/酸化ガドリニウム複合酸化物上にパラジウム0.5%を担持させてなる触媒粉体を得た。
【0079】
製造例17
イオン交換水100mLに硝酸セリウム(Ce(NO3)3・6H2O)103.7gと硝酸テルビウム(Tb(NO3)3・6H2O)40.96gとを溶解させて、水溶液を調製した。この水溶液に0.1規定のアンモニア水を加え、上記セリウム塩とテルビウム塩を中和加水分解した後、1時間熟成した。得られたスラリーから生成物を濾過にて分離し、これを120℃で24時間乾燥した後、空気中、500℃で3時間焼成して、セリア/酸化テルビウム複合酸化物粉体(酸化物基準重量比70/30、比表面積139m2/g)を得た。
【0080】
イオン交換水100mLに硝酸パラジウム水溶液(パラジウムとして9.0%)4.20gを加えて、水溶液とし、これに上記セリア/酸化テルビウム複合酸化物粉体30gを投入し、攪拌しながら、100℃で乾燥させた後、空気中、500℃にて3時間焼成して、セリア/酸化テルビウム複合酸化物上にパラジウム1%を担持させてなる触媒粉体を得た。
【0081】
製造例18
イオン交換水1700mLに硝酸セリウム(Ce(NO3)3・6H2O)121.06gとオキシ硝酸ジルコニウム(ZrO(NO3)2)28.12gと硝酸サマリウム(Sm(NO3)3・6H2O)3.40gとを溶解させて、水溶液を調製した。この水溶液に0.1規定のアンモニア水を加え、上記セリウム塩とオキシジルコニウム塩とサマリウム塩を中和加水分解した後、1時間熟成した。得られたスラリーから生成物を濾過にて分離し、これを120℃で24時間乾燥した後、空気中、500℃で3時間焼成して、セリア/ジルコニア/酸化サマリウム複合酸化物粉体(酸化物基準重量比72/24/4、比表面積187m2/g)を得た。
【0082】
イオン交換水100mLに硝酸パラジウム水溶液(パラジウムとして9.0%)4.20gを加えて、水溶液とし、これに上記セリア/ジルコニア/酸化サマリウムム複合酸化物粉体30gを投入し、攪拌しながら、100℃で乾燥させた後、空気中、500℃にて3時間焼成して、セリア/ジルコニア/酸化サマリウム複合酸化物上にパラジウム1%を担持させてなる触媒粉体を得た。
【0083】
(3)ハニカム触媒構造体の調製
触媒層厚みは、触媒層の見かけ密度を1.0g/cm3 、ハニカムの機械的接触面積を2500m2 /gとして、計算によって求めた。
【0084】
実施例1
製造例1で得たロジウム1%を担持させたセリアからなる触媒30gにシリカゾル(日産化学工業(株)製スノーテックスN、シリカとして20%)3gと適量の水とを混合した。ジルコニアボール100gを粉砕媒体として用い、この混合物を遊星ミルで5分間粉砕して、ウォッシュコート用スラリーを得た。1平方インチ当りのセル数400のコージーライト製ハニカム基体に上記ウォッシュコート用スラリーを塗布して、ロジウム1%を担持させたセリアからなる厚み30μmの内部触媒層を有するハニカム構造体を得た。
【0085】
次に、製造例10で得たパラジウム1%を担持させたセリアからなる触媒粉体30gにシリカゾル(日産化学工業(株)製スノーテックスN、シリカとして20%)3gと適量の水とを混合し、上記と同様にして、スラリーを調製した。このスラリーを上記内部触媒層上にコーティングして、パラジウム1%を担持させたセリアからなる厚み40μmの表面触媒層を有するハニカム触媒構造体を得た。
【0086】
実施例2
実施例1と同様にして、製造例2で得たロジウム0.2%を担持させたセリア/酸化プラセオジム複合酸化物(酸化物基準重量比60/40)からなる厚み40μmの内部触媒層と、製造例11で得たパラジウム1%を担持させたセリア/酸化プラセオジム複合酸化物(酸化物基準重量比60/40)からなる厚み60μmの表面触媒層を有するハニカム触媒構造体を得た。
【0087】
実施例3
実施例1と同様にして、製造例3で得たパラジウム0.5%を担持させたセリア/酸化プラセオジム複合酸化物(酸化物基準重量比60/40)からなる厚み40μmの内部触媒層と、製造例12で得たパラジウム1%を担持させたセリア/ジルコニア/酸化プラセオジム複合酸化物(酸化物基準重量比72/24/4)からなる厚み60μmの表面触媒層を有するハニカム触媒構造体を得た。
【0088】
実施例4
実施例1と同様にして、製造例4で得たロジウム0.5%を担持させたセリア/ジルコニア/酸化ランタン複合酸化物(酸化物基準重量比22/73/5)からなる厚み40μmの内部触媒層と、製造例13で得たパラジウム1%を担持させたセリア/ジルコニア/酸化ランタン複合酸化物(酸化物基準重量比22/73/5)からなる厚み40μmの表面触媒層とを有するハニカム触媒構造体を調製した。
【0089】
実施例5
実施例1と同様にして、製造例5で得たロジウム0.5%を担持させたセリア/ジルコニア/酸化ガドリニウム複合酸化物(酸化物基準重量比72/24/4)からなる厚み40μmの内部触媒層と、製造例14で得たパラジウム1%を担持させてなるセリア/ジルコニア/酸化ガドリニウム複合酸化物(酸化物基準重量比72/24/4)からなる厚み40μmの表面触媒層を有するハニカム触媒構造体を得た。
【0090】
実施例6
実施例1と同様にして、製造例6で得たパラジウム1%を担持させたセリア/ジルコニア/酸化プラセオジム複合酸化物(酸化物基準重量比47/33/22)からなる厚み40μmの内部触媒層と、製造例15で得たパラジウム1%を担持させてなるセリア/ジルコニア/酸化ネオジム複合酸化物(酸化物基準重量比70/20/10)からなる厚み40μmの表面触媒層を有するハニカム触媒構造体を得た。
【0091】
実施例7
実施例1と同様にして、製造例7で得たロジウム0.5%を担持させたセリア/ジルコニア/酸化ネオジム複合酸化物(酸化物基準重量比70/20/10)からなる厚み40μmの内部触媒層と、製造例12で得たパラジウム1%を担持させたセリア/ジルコニア/酸化プラセオジム複合酸化物(酸化物基準重量比72/24/4)からなる厚み40μmの表面触媒層を有するハニカム触媒構造体を得た。
【0092】
実施例8
実施例1と同様にして、製造例8で得たロジウム1%を担持させたセリア/ジルコニア/酸化サマリウム複合酸化物(酸化物基準重量比74/24/4)からなる厚み40μmの内部触媒層と、製造例16で得たパラジウム0.5%を担持させたセリア/ジルコニア/酸化ガドリニウム複合酸化物(酸化物基準重量比72/24/4)からなる厚み40μmの表面触媒層を有するハニカム触媒構造体を得た。
【0093】
実施例9
実施例1と同様にして、製造例9で得たロジウム0.5%を担持させたセリア/酸化テルビウム複合酸化物からなる厚み40μmの内部触媒層と、製造例18で得たパラジウム1%を担持させたセリア/ジルコニア/酸化サマリウム複合酸化物(酸化物基準重量比72/24/4)からなる厚み40μmの表面触媒層を有するハニカム触媒構造体を得た。
【0094】
実施例10
実施例1と同様にして、製造例2で得たロジウム0.2%を担持させたセリア/酸化プラセオジム複合酸化物(酸化物基準重量比60/40)からなる厚み40μmの内部触媒層と、製造例17で得たパラジウム1%を担持させたセリア/酸化テルビウム複合酸化物からなる厚み40μmの表面触媒層を有するハニカム触媒構造体を得た。
【0095】
実施例11
実施例1と同様にして、製造例2で得たロジウム0.2%を担持させたセリア/酸化プラセオジムからなる厚み30μmの内部触媒層と、製造例12で得たパラジウム1%を担持させてなるセリア/ジルコニア/酸化プラセオジム複合酸化物(酸化物基準重量比72/24/4)からなる厚み50μmの表面触媒層を有するハニカム触媒構造体を得た。
【0096】
比較例1
実施例1と同様にして、製造例2で得たロジウム0.2%を担持させたセリア/酸化プラセオジム複合酸化物(酸化物基準重量比60/40)からなる厚み60μmの触媒層を有するハニカム触媒構造体を得た。
【0097】
比較例2
苛性バリウム水溶液と炭酸ナトリウム水溶液から炭酸バリウムを調製し、この炭酸バリウム(BaCO3) とγ−アルミナ(住友化学工業(株)製KC−501)との混合物(重量比8/2)上に白金1%を担持させて、触媒粉体を調製した。γ−アルミナ(住友化学工業(株)製KC−501)を炭酸カリウム水溶液に投入、混合し、乾燥させた後、空気中、1100℃で3時間焼成して、K2O・12Al2O3 (比表面積18m2/g)を調製した。別に、γ−アルミナ(住友化学工業(株)製KC−501)と上記K2O・12Al2O3 と混合して、γ−アルミナ/K2O・12Al2O3 重量比9/1の混合物を調製し、これに白金1%を担持させて、触媒粉体を得た。
【0098】
上記BaCO3/γ−アルミナ上に白金1%を担持させた触媒粉体48gと、上記γ−アルミナ/K2O・12Al2O3 上に白金1%を担持させた触媒粉体12gとを乾式混合して、実施例1と同様にして、ウォッシュコート用スラリーを調製した。このスラリーを実施例1と同じコージーライト製ハニカム基体に実施例1と同様にコーティングして、ハニカム触媒構造体を得た。
【0099】
(2)性能試験
上記実施例と比較例によるハニカム触媒構造体をそれぞれ用いて、窒素酸化物を含むガスを以下の条件下に還元した。窒素酸化物から窒素への変換率(除去率)はケミカル・ルミネッセンス法にて求めた。
【0100】
試験方法
リッチ条件下のNOx の還元実験に用いた混合ガスの組成は次のとおりである。
NO : 500ppm
SO2 : 20ppm
O2 : 0.4%
CO : 2%
C3H6(プロピレン): 2000ppm
H2 : 2%
H2O : 6.0%
【0101】
リーン条件下のガスは、リッチ条件下の混合ガスに酸素を注入して調製したものであって、その組成は次のとおりである。
NO : 500ppm
SO2 : 20ppm
O2 : 9.0%
CO : 0.2%
C3H6(プロピレン): 500ppm
H2 : 0%
H2O : 6.0%
【0102】
リッチ/リーン幅を3/30(秒/秒)から12/120(秒/秒)の範囲として、触媒反応を行って、それぞれの触媒の性能を調べた。
(i)空間速度:
70000hr−1(リーン条件下)
70000hr−1(リッチ条件下)
(ii)反応温度:
200、250、300、350、400、450及び500℃
【0103】
結果を表1に示す。表1から明らかなように、本発明による触媒は、窒素酸化物の除去率が高い。これに対して、比較例による触媒は、概して、窒素酸化物の除去率が低い。
【0104】
【表1】
【0105】
更に、実施例1〜3、6、7、10、11、比較例1及び比較例2による触媒構造体をそれぞれ用いて、上記ガス条件、リッチ/リーン幅(秒/秒)を55/5、反応温度350℃、リッチ及びリーン条件での空間速度70000hr-1として、50時間の耐久試験を行った。結果を表2に示す。表2から明らかなように、本発明による触媒は、硫黄酸化物に対しても、従来のNOx 貯蔵−還元システムに比べて、非常に高い耐性を有する。特に、実施例3、7及び11においては、いずれも、セリア/ジルコニア/酸化プラセオジム複合酸化物(酸化物重量基準比72/24/4)上にパラジウム1%を担持させてなる触媒が表面触媒層の第1の触媒成分として用いられており、耐SOx 性にすぐれることが明らかである。
【0106】
【表2】
Claims (5)
- リッチ条件とリーン条件との間で交互に雰囲気を周期的に振動させながら、エンジンの燃焼室に燃料を供給して燃焼させ、生成する排ガスを触媒に接触させて、その排ガス中の窒素酸化物を接触的に除去する方法において、上記触媒が
(A)(a)セリア又は
(b)酸化プラセオジム又は
(c)セリウム、ジルコニウム、プラセオジム、ネオジム、テルビウム、サマリウム、ガドリニウム及びランタンから選ばれる少なくとも2つの元素の酸化物の混合物と少なくともそれら2つの元素の複合酸化物とから選ばれる少なくとも1種からなる第1の触媒成分と、
(d)パラジウム及びその酸化物から選ばれる少なくとも1種からなる第2の触媒成分とを表面触媒成分として有する表面触媒層と、
(B)(a)セリア又は
(b)酸化プラセオジム又は
(c)セリウム、ジルコニウム、プラセオジム、ネオジム、テルビウム、サマリウム、ガドリニウム及びランタンから選ばれる少なくとも2つの元素の酸化物の混合物と少なくともそれら2つの元素の複合酸化物とから選ばれる少なくとも1種からなる第1の触媒成分と、
(d)ロジウム及びその酸化物から選ばれる少なくとも1種からなる第2の触媒成分とを内部触媒成分として有する内部触媒層とを有することを特徴とする排ガス中の窒素酸化物を接触的に除去する方法。 - リッチ条件とリーン条件との間で交互に雰囲気を周期的に振動させながら、エンジンの燃焼室に燃料を供給して燃焼させ、生成する排ガスを触媒構造体に接触させて、その排ガス中の窒素酸化物を接触的に除去する方法において、上記触媒構造体が不活性な基材上に
(A)(a)セリア又は
(b)酸化プラセオジム又は
(c)セリウム、ジルコニウム、プラセオジム、ネオジム、テルビウム、サマリウム、ガドリニウム及びランタンから選ばれる少なくとも2つの元素の酸化物の混合物と少なくともそれら2つの元素の複合酸化物とから選ばれる少なくとも1種からなる第1の触媒成分と、
(d)パラジウム及びその酸化物から選ばれる少なくとも1種からなる第2の触媒成分とを表面触媒成分として有する表面触媒層と、
(B)(a)セリア又は
(b)酸化プラセオジム又は
(c)セリウム、ジルコニウム、プラセオジム、ネオジム、テルビウム、サマリウム、ガドリニウム及びランタンから選ばれる少なくとも2つの元素の酸化物の混合物と少なくともそれら2つの元素の複合酸化物とから選ばれる少なくとも1種からなる第1の触媒成分と、
(d)ロジウム及びその酸化物から選ばれる少なくとも1種からなる第2の触媒成分とを内部触媒成分として有する内部触媒層とを有するものであることを特徴とする排ガス中の窒素酸化物を接触的に除去する方法。 - 表面触媒層が第1の触媒成分と第2の触媒成分とからなる表面触媒成分を少なくとも50重量%含み、表面触媒層の第2の触媒成分は上記表面触媒成分の第1の触媒成分上に担持されつつ、表面触媒成分中に金属換算にて0.1〜5重量%の範囲で含まれており、内部触媒層は第1の触媒成分と第2の触媒成分とからなる内部触媒成分を少なくとも50重量%含み、内部触媒層の第2の触媒成分は上記内部触媒成分の第1の触媒成分上に担持されつつ、内部触媒成分中に金属換算にて0.05〜5重量%の範囲で含まれている請求項 1又は2に記載の方法。
- リッチ時間(秒)/リーン時間(秒)を2/30〜5/90の範囲として、リッチ条件とリーン条件との間で交互に雰囲気を周期的に振動させる請求項1から3のいずれかに記載の方法。
- 請求項1から4のいずれかに記載の方法において、リッチ条件を空気/燃料重量比10〜14の範囲とし、リーン条件を空気/燃料重量比が20〜40の範囲とし、反応温度域150〜550℃、空間速度5000〜100000hr −1 にて排ガスを接触分解処理する方法。
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