JP2004001590A - 操舵装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】車両挙動の安定性を向上し得る操舵装置を提供する。
【解決手段】操舵装置20によると、AFS_ECU30により演算処理されるグリップ度推定演算処理30aによって、操舵輪が接地する接地面と操舵輪との間のグリップ状態を推定し、グリップ度 vsギア比マップ30bにより、推定したグリップ状態に基づいてグリップ限界に近づくとステアリングギア比が増加するようにVGRS目標角を設定する。これにより、路面μの大きさに応じて変化するグリップ状態を推定することができるので、例えば操舵輪がそのグリップ限界に近づいた場合においては、低速走行時であってもステアリングギア比を増加させて大きく設定することができる。したがって、低μ路面走行等においては、少ない操舵角で操舵輪が大きく切れる現象の発生を防止するため、車両挙動の安定性を向上することができる。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ステアリングホイールと操舵輪とを連結する操舵伝達系の途中に電動モータの駆動により伝達比を可変する伝達比可変手段を備えた操舵装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ステアリングホイールと操舵輪とを連結する操舵伝達系の途中に電動モータの駆動により伝達比を可変する伝達比可変手段を備えた操舵装置に関するものとして、例えば図32に示すように、ステアリングホイール111、第1ステアリングシャフト112、第2ステアリングシャフト113、ステアリングギヤボックス114、操舵角センサ116、車速センサ117、出力角センサ118、VGRS_ECU120、ギヤ比可変ユニット122から構成される操舵装置100がある。なお、このような「ステアリングホイールと操舵輪とを連結する操舵伝達系の途中に電動モータの駆動により伝達比を可変する伝達比可変手段」を、VGRS(Variable Gear Ratio System)と称する場合もある。
【0003】
即ち、ステアリングホイール111に第1ステアリングシャフト112の一端が接続され、この第1ステアリングシャフト112の他端側にはギヤ比可変ユニット122の入力側が接続される。このギヤ比可変ユニット122はモータ、減速機等から構成されており、この出力側には第2ステアリングシャフト113の一端側が接続され、第2ステアリングシャフト113の他端側にはステアリングギヤボックス114の入力側が接続される。そして、ステアリングギヤボックス114は図示しないラック・ピニオンギヤ等により、第2ステアリングシャフト13によって入力された回転運動を、図略の操舵輪を備えるロッド115の軸方向運動に変換して出力し得るように構成される。また、第1ステアリングシャフト112の回転角(操舵角)は操舵角センサ116により、第2ステアリングシャフト113の回転角は出力角センサ118により、車両速度は車速センサ117により、それぞれ検出され、操舵角信号、出力角信号、車速信号としてVGRS_ECU120にそれぞれ入力され得るように構成される。
【0004】
このように構成することによって、ギヤ比可変ユニット122では、モータと減速機により、入力ギヤに対する出力ギヤの比を車速に応じてリアルタイムに変更し、第1ステアリングシャフト112の操舵角に対する第2ステアリングシャフト113の出力角の比を可変する。つまり、操舵角センサ116による操舵角信号と車速センサ117による車速信号とをVGRS_ECU120に入力することにより、車速に対応して一義的に定められるギヤ比可変ユニット122のモータの回転角を図略のモータ回転角マップら決定し、決定した回転角指令値に応じたモータ電圧を増幅手段を介してモータ駆動回路に供給する。
【0005】
これにより、車速に対応したステアリングギヤ比、例えば停車時や低速走行時にはステアリングホイールの操舵角に対してギヤ比可変ユニット122の出力角が大きくなるように設定し、また高速走行時にはステアリングホイールの操舵角に対してギヤ比可変ユニット122の出力角が小さくなるように設定することが可能となる。そのため、例えば、車両が停車や低速走行している場合には、ギヤ比可変ユニット122によるステアリングギヤ比が小さく設定されるので、ステアリングホイールによる操舵角が少なくても操舵輪は大きく切れて運転者の操舵を楽にできるし、また車両が高速走行している場合には、ギヤ比可変ユニット122によるステアリングギヤ比が大きく設定されるので、ステアリングホイールによる操舵角が大きくても操舵輪は小さく切れて車両挙動の安定を確保することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このようなVGRSを備えた操舵装置によると、上述したように、車両が低速走行している場合、ギヤ比可変ユニット122によるステアリングギヤ比が小さく設定されるので、ステアリングホイールによる操舵角が少なくても操舵輪は大きく切れる。そのため、操舵輪が接地する路面の摩擦係数μ(以下「路面μ」という。)が小さい道路、つまり低μ路面を走行している場合であっても、少ない操舵角で操舵輪が大きく切られてしまうため、車両挙動の安定性が損なわれる場合があるという問題が存在する。
【0007】
また、このようなVGRSを備えた操舵装置によると、車速に対応してステアリングギヤ比を変更している。そのため、例えば一定の操舵角で保舵し旋回している途中に、急に加速または減速すると、これに対応してステアリングギヤ比が変更されるという場合が生じ得る。即ち、ステアリングは、運転者により一定保舵されているにも関わらず、ステアリング操作に対する目標実舵角への実舵角が制御されるため、車両挙動の安定性が損なわれる場合があるという問題が存在する。
【0008】
さらに、このような車両挙動の安定性が損なわれる問題は、「ステアリングホイールの操作状態を検出して操作信号を出力する操作状態検出手段と、車両速度を検出して車速信号を出力する車速検出手段と、前記操作状態検出手段により検出した操作信号および前記車速検出手段により検出した車速信号に基づいて、操舵輪の目標実舵角を決定する操舵角決定手段と、前記操舵角決定手段により決定された前記目標実舵角に前記操舵輪を制御する操舵輪制御手段と、を備える操舵装置」、つまりステアリングホイールと操舵輪とが機械的に分離した、いわゆるステアバイワイヤによる操舵装置においても生じ得る問題である。
【0009】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、車両挙動の安定性を向上し得る操舵装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段および発明の作用・効果】
上記目的を達成するため、請求項1の操舵装置では、ステアリングホイールと操舵輪とを連結する操舵伝達系の途中に電動モータの駆動により伝達比を可変する伝達比可変手段を備えた操舵装置であって、車両のステアリングホイールからサスペンションに至る操舵系に加わる操舵トルクおよび操舵力を含む操舵指標のうちの少くとも一つの操舵力指標を検出する操舵力指標検出手段と、前記操舵力指標検出手段の検出信号に基づき、前記車両前方の車輪に生ずるセルフアライニングトルクを推定するセルフアライニングトルク推定手段と、前記車両の状態量を検出する車両状態量検出手段と、前記車両状態量検出手段の検出信号に基づき、前記車両前方の車輪に対するサイドフォースおよび前輪スリップ角を含む前輪指標のうちの少くとも一つの前輪指標を推定する前輪指標推定手段と、前記前輪指標推定手段が推定した前輪指標に対する、前記セルフアライニングトルク推定手段が推定したセルフアライニングトルクの変化に基づき、少くとも前記車両前方の車輪に対するグリップ度を推定するグリップ度推定手段と、前記グリップ度推定手段により推定したグリップ度に基づいて、前記伝達比可変手段の伝達比を設定する伝達比設定手段と、を備えることを技術的特徴とする。
【0011】
請求項1の発明では、操舵力指標検出手段により、車両のステアリングホイールからサスペンションに至る操舵系に加わる操舵トルクおよび操舵力を含む操舵指標のうちの少くとも一つの操舵力指標を検出し、この操舵力指標検出手段の検出信号に基づき、セルフアライニングトルク推定手段が車両前方の車輪に生ずるセルフアライニングトルクを推定する。さらに、車両状態量検出手段によって検出された車両の状態量を用いて、前輪指標推定手段が車両前方の車輪に対するサイドフォースおよび前輪スリップ角を含む前輪指標のうちの少くとも一つの前輪指標を推定する。そして、グリップ度推定手段が前輪指標推定手段が推定した前輪指標に対する、セルフアライニングトルク推定手段が推定したセルフアライニングトルクの変化に基づき、少くとも車両前方の車輪に対するグリップ度を推定する。このグリップ度推定手段により、推定されたグリップ度に基づき伝達比設定手段により、伝達比可変手段の伝達比を設定する。これにより、路面μの大きさに応じて変化するグリップ度を推定することができるので、例えば、低μ路面を走行している場合にはグリップ度推定手段により推定したグリップ度が減少することから、低速走行時であっても伝達比可変手段の伝達比を大きく設定することができる。したがって、低μ路面走行においては、少ない操舵角で操舵輪が大きく切れる現象の発生を防止するため、車両挙動の安定性を向上し得る効果がある。
【0012】
また、請求項2の操舵装置では、請求項1記載の操舵装置において、前記伝達比設定手段は、前記グリップ度が前記操舵輪のグリップ限界に近づくと、前記伝達比が増加するように前記伝達比を設定することを技術的特徴とする。ここで「グリップ限界」とは、グリップ度がある閾値以下になることにより、操舵輪が接地面上を滑り始める直前のグリップ状態のことをいう。
【0013】
請求項2の発明では、伝達比設定手段は、グリップ度が操舵輪のグリップ限界に近づくと、伝達比が増加するように伝達比を設定する。これにより、操舵輪がそのグリップ限界に近づいた場合においては、低速走行時であっても伝達比を増加させて大きく設定することができる。したがって、低μ路面走行等においては、少ない操舵角で操舵輪が大きく切れる現象の発生を防止するため、車両挙動の安定性を向上し得る効果がある。
【0014】
さらに、請求項3の操舵装置では、ステアリングホイールによる操舵速度を検出する操舵速度検出手段を備えた請求項1記載の操舵装置であって、前記伝達比設定手段は、前記グリップ度が前記操舵輪のグリップ限界に近づくと、前記操舵速度検出手段により検出した操舵速度に基づいて、前記伝達比が増加するように前記伝達比を設定することを技術的特徴とする。
【0015】
請求項3の発明では、伝達比設定手段は、グリップ度が操舵輪のグリップ限界に近づくと、操舵速度検出手段により検出した操舵速度に基づいて、伝達比が増加するように伝達比を設定する。これにより、例えば、操舵速度の増加に伴って伝達比がさらに増加するように伝達比を設定することができるので、急操舵の場合には、急操舵ではない場合に比べてより増加したさらに大きな伝達比に設定することができる。したがって、低μ路面走行等における急操舵時においても、操舵輪が大きく切れる現象の発生を防止するため、車両挙動の安定性を向上し得る効果がある。
【0016】
さらにまた、請求項4の操舵装置では、車両の速度を検出する車速検出手段を備えた請求項1記載の操舵装置であって、前記伝達比設定手段は、前記グリップ度が前記操舵輪のグリップ限界に近づくと、前記車速検出手段により検出した車速に基づいて、前記伝達比が増加するように前記伝達比を設定することを技術的特徴とする。
【0017】
請求項4の発明では、伝達比設定手段は、グリップ度が操舵輪のグリップ限界に近づくと、車速検出手段により検出した車速に基づいて、伝達比が増加するように伝達比を設定する。これにより、例えば、車速の増加に伴って伝達比がさらに増加するように伝達比を設定することができるので、高速走行時には、高速走行ではない場合(例えば中低速走行時、停車時)に比べてより増加したさらに大きな伝達比に設定することができる。したがって、低μ路面等を高速走行している場合にも、操舵輪が大きく切れる現象の発生を防止するため、車両挙動の安定性を向上し得る効果がある。
【0018】
また、請求項5の操舵装置では、車両状態がオーバーステア状態であることを判定するオーバーステア状態判定手段と、ステアリングホイールの回転が切戻し方向であることを検出する切戻し回転検出手段と、を備えた請求項1記載の操舵装置であって、前記伝達比設定手段は、前記グリップ度が前記操舵輪のグリップ限界に近づくと、前記伝達比が増加するように前記伝達比を設定し、前記オーバーステア状態判定手段により車両状態がオーバーステア状態であることを判定し、かつ、前記切戻し回転検出手段によりステアリングホイールの回転が切戻し方向であることを検出すると、前記伝達比設定手段は、前記伝達比が減少するように前記伝達比を設定することを技術的特徴とする。
【0019】
請求項5の発明では、伝達比設定手段は、グリップ度が操舵輪のグリップ限界に近づくと、伝達比が増加するように伝達比を設定し、オーバーステア状態判定手段により車両状態がオーバーステア状態であることを判定し、かつ、切戻し回転検出手段によりステアリングホイールの回転が切戻し方向であることを検出すると、伝達比設定手段は、伝達比が減少するように伝達比を設定する。これにより、オーバーステア状態判定手段により車両状態がオーバーステア状態であることを判定し、かつ、切戻し回転検出手段によりステアリングホイールの回転が切戻し方向であること、つまり運転者がカウンタ操舵をしている判断した場合には、伝達比が減少するように伝達比を設定するので、当該運転者によるカウンタ操舵を容易することができる。したがって、車両挙動の安定性を向上し得る効果がある。
【0020】
上記目的を達成するため、請求項6の操舵装置では、請求項1記載の操舵装置において、車両の状態量から車両がオーバステアかアンダーステアかを判定するアンダーステア/オーバステア判定手段と、前記グリップ度推定手段のグリップ度と前記アンダーステア/オーバステア判定手段の判定結果に基づいて伝達比可変手段の伝達比を決定する伝達比決定手段を備えることを技術的特徴とする。
【0021】
請求項6の発明では、アンダーステア/オーバステア判定手段により、車両がアンダーステアもしくはオーバステアかを判定し、このアンダーステア/オーバステア判定手段の判定結果とグリップ度推定手段で推定されたグリップ度に基づいて伝達比決定手段が伝達比可変手段の伝達比を決定するようにした。これにより、車両の状態とグリップ状態によってステアリングの応答性を変化できるので、車両挙動の安定性を向上し得る効果がある。
【0022】
また、上記目的を達成するため、請求項7の操舵装置では、ステアリングホイールの操作状態を検出して操作信号を出力する操作状態検出手段と、車両速度を検出して車速信号を出力する車速検出手段と、前記操作状態検出手段により検出した操作信号および前記車速検出手段により検出した車速信号に基づいて、操舵輪の目標実舵角を決定する操舵角決定手段と、前記操舵角決定手段により決定された前記目標実舵角に前記操舵輪を制御する操舵輪制御手段と、車両のステアリングホイールからサスペンションに至る操舵系に加わる操舵トルクおよび操舵力を含む操舵指標のうちの少くとも一つの操舵力指標を検出する操舵力指標検出手段と、前記操舵力指標検出手段の検出信号に基づき、前記車両前方の車輪に生ずるセルフアライニングトルクを推定するセルフアライニングトルク推定手段と、
前記車両の状態量を検出する車両状態量検出手段と、前記車両状態量検出手段の検出信号に基づき、前記車両前方の車輪に対するサイドフォースおよび前輪スリップ角を含む前輪指標のうちの少くとも一つの前輪指標を推定する前輪指標推定手段と、前記前輪指標推定手段が推定した前輪指標に対する、前記セルフアライニングトルク推定手段が推定したセルフアライニングトルクの変化に基づき、少くとも前記車両前方の車輪に対するグリップ度を推定するグリップ度推定手段と、を備え、前記操舵輪制御手段により、前記グリップ度推定手段により推定したグリップ度に基づいて前記操舵輪を制御することを技術的特徴とする。
【0023】
請求項7の発明では、操舵角決定手段により、操作状態検出手段により検出した操作信号および車速検出手段により検出した車速信号に基づいて操舵輪の目標実舵角を決定し、操舵輪制御手段により、決定された目標実舵角に操舵輪を制御する。そして、操舵輪制御手段により、グリップ度推定手段により推定したグリップ度に基づき操舵輪を制御する。これにより、いわゆるステアバイワイヤによる操舵装置においても、路面μの大きさに応じて変化するグリップ度を推定することができるので、低μ路面走行等において、グリップ度推定手段により推定したグリップ度に基づき当初の目標実舵角に補正を加え操舵輪を制御するので、グリップ限界を超えて操舵輪を制御することを防止することができる。したがって、低μ路面走行等においても、車両挙動の安定性を向上し得る効果がある。なお、この操舵輪制御手段が行なうクリップ度に基づいた操舵輪の制御としては、例えば請求項2〜請求項6の発明を適用することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の操舵装置の実施形態について図を参照して説明する。なお、以下の各実施形態では、本発明の操舵装置を自動車等の車両の電気式動力操舵装置(以下「操舵装置」という。)に適用した例を挙げて説明する。
【0025】
[第1実施形態]
まず、第1実施形態に係る操舵装置20の主な構成を図1に基づいて説明する。なお、この第1実施形態に係る操舵装置20は、特許請求の範囲の請求項1または請求項2に係る操舵装置に相当するものである。
【0026】
図1に示すように、操舵装置20は、図32に示したVGRS制御による操舵装置100とほぼ同様の構成からなる。ここで、図1に示すステアリングホイール21、第1ステアリングシャフト22、第2ステアリングシャフト23、ロッド25、操舵角センサ26、車速センサ27、出力角センサ28、ギヤ比可変ユニット32、VGRS_ECU40は、それぞれ図32に示すステアリングホイール111、第1ステアリングシャフト112、第2ステアリングシャフト113、ロッド115、操舵角センサ116、車速センサ117、出力角センサ118、ギヤ比可変ユニット122、VGRS_ECU120に相当し、前述した操舵装置100と同様であるので、これらの説明は省略する。なお、図1に示すAFSアクチュエータ24は、図32に示すステアリングギヤボックス114に相当するが、AFS_ECU30により制御されるモータ24aによって操舵状態に応じたアシスト力を発生させて操舵をアシストする操舵アクチュエータとして機能する点が異なる。なお、ロッド25には操舵輪FR、FLが装着されている。
【0027】
つまり、図1に示す操舵装置20は、VGRS_ECU40によるVGRS制御処理によってギヤ比可変ユニット32によりステアリングギヤ比を車両の速度に応じて可変制御する機能を有するとともに、AFS_ECU30による操舵制御によって操舵状態に応じたアシスト力を発生させて操舵をアシストする機能を有する。
【0028】
図1および図2に示すように、操舵装置20は、電気的には、AFS_ECU30、VGRS_ECU40、操舵角センサ26、車速センサ27、出力角センサ28、操舵トルクセンサ29、電流センサ24b、モータ24a、32a、横加速度センサYG、ヨーレートセンサYS等から構成されている。
【0029】
図1に示す操舵角センサ26は、図2に示すように、第1ステアリングシャフト22の回転角、つまりギヤ比可変ユニット32に入力される操舵角を検出し、操舵角信号をAFS_ECU30に出力する。一方、図1に示す出力角センサ28は、図2に示すように、第2ステアリングシャフト23の回転角、つまりギヤ比可変ユニット32から出力される出力角を検出し、出力角信号をAFS_ECU30に出力する。また、操舵トルクセンサ29は第1ステアリングシャフト22に作用する操舵トルクを検出し、操舵トルク信号をAFS_ECU30に出力する。さらに、図1に示す車速センサ27も、図2に示すように、検出した車両の車速信号をAFS_ECU30に出力する。なお、図1には示されていないが、モータ24aに流れるモータ電流を検出する電流センサ24bも、図2に示すように、検出したモータ電流信号をAFS_ECU30に出力する。また、車両のヨーレートを検出するヨーレートセンサYSおよび、車両の横加速度を検出する横加速度センサYGも、それぞれ検出信号をAFS_ECU30に出力する。
【0030】
これにより、AFS_ECU30には、操舵角、出力角、操舵トルク、車速、モータ電流が、それぞれ信号として入力されているため、操舵状態、車速およびモータ電流に応じたアシスト力をモータ24aに発生させ得る電流指令値をAFS_ECU30によるAFS制御処理によって演算し、さらにこの電流指令値にAFS_ECU30による位相補償やダンパ補償等の補償制御処理30cを施して、図略のモータ駆動回路に出力しモータ24aを制御している。
【0031】
また、図2に示すように、AFS_ECU30では、ヨーレート、横加速度、車速およびモータ電流に基づいて操舵輪のグリップ度を推定演算するグリップ度推定演算処理30aが行われている。
ここで、上記のグリップ度の推定について、図3〜図5を参照して説明する。先ず、自動車技術ハンドブック(第1分冊)基碇・理論編(1990年12月1日第1版発行、社団法人自動車技術会)の179頁〜180頁においては、タイヤが横すべり角αを以って横すべりしながら転動する状態が図3に示すように説明されている。
【0032】
即ち、図3において、破線で示すタイヤのトレッド面は路面と図3の点Aを含む接地面前端で接触し、点Bまで路面に粘着し、タイヤ進行方向に移動するりそして、横方向のせん断変形による変形力が摩擦力に等しくなった点ですべりだし、点Cを含む後端で路面から離れて元の状態に戻る。このとき、接地面全体で発生する力Fy(サイドフォース)はトレッド部の横方向への変形面積(図3の斜線部)と単位面積当たりのトレッド部の横方向弾性定数の積となる。図3に示すように、サイドフォースFyの着力点はタイヤ中心線直下(点O)よりもen(ニューマチックトレール)だけ後方(図3の左方向)にある。したがって、このときのモーメントFy・enがセルフアライニングトルク(Tsa)であり、横すべり角αを減少させる方向に作用することになる。
【0033】
次に、車両にタイヤが装着された場合について、図3を簡略化した図4を用いて説明する。車両の操舵車輪においては、通常、ステアリングホイール(ハンドル)の戻りをよくするため、キヤスタ角をつけキャスタトレールecを設けることしている。したがって、車輪の接地点は点O’となりステアリングホイールを復元させようとするモーメントは、Fy・(en+ec)となる。
【0034】
タイヤの横方向のグリップ状態が低下し、すべり領域が拡大すると、トレッド部の横方向変形は図4のABCの形状からADCの形状となる。この結果、サイドフォースFyの着力点は、車両進行方面に対して前方(図4の点Hから点J)に移動することになる。つまりニューマチックトレールenが小さくなる。したがって、同一のサイドフォースFyが作用していても、粘着領域が大きく、すべり領域が小さい場合(即ち、タイヤの横グリップが高い場合)には、ニューマチックトレールenは大きく、セルフアライニングトルクTsaは大きくなる。逆に、タイヤの横方向のグリップが失われ、すべり領域が増大すると、ニューマチックトレールenは小さくなり、セルフアライニングトルクTsaは減少することになる。
【0035】
以上のように、ニューマチックトレールenの変化に着目すれば、タイヤ横方向のグリップの程度を検出することが可能である。そして、ニューマチックトレールenの変化はセルフアライニングトルクTsaに表れるため、セルフアライニングトルクTsaに基づき、車両前方の車輪に対する横方向のグリップの程度を表すグリップ度(以下「グリップ度」という)を推定することができる。また、グリップ度としては、後述するように、路面摩擦に対するサイドフォースの余裕度に基づいて推定することもできる。
【0036】
なお、特開平11−99956公報において横力使用率または横G使用率が用いられているが、上記のグリップ度は、これらとは以下のように相違している。同公報に記載の装置においては、路面において発生可能な最大横力を、路面摩擦係数μから求めている。この路面摩擦係数μはコーナリングパワーCp(定義は、スリップ角1deg時のサイドフォースの値)の路面摩擦係数μ依存性に基づいて推定される。しかし、コーナリングパワーCpは路面摩擦係数μだけでなく、タイヤ接地面の形状(接地面長さ、および幅)、トレッドゴムの弾性などに影響される。例えば、トレッド面に水が介在するような場合、あるいは、タイヤ磨耗、温度によりトレッドゴム弾性が変化した場合等において、路面摩擦係数μが同一でもコーナリングパワーCpに変化が現れる。このように、同公報に記載の技術においては車輪のゴムタイヤとしての特性には全く配慮されていない。
【0037】
前述の図3および図4から明らかなように、車両前方の車輪に対する前輪サイドフォースに対するセルフアライニングトルクの特性は、図5のTsaaに示すような特性となる。前述のように、実セルフアライニングトルクをTsaaとし前輪サイドフォースをFyrとすると、Tsaa=Fyf・(en+ec)であるので、実セルフアライニングトルクTsaaの前輪サイドフォースFyfに対する非線型特性はニューマチックトレールenの直接的変化を表している。したがって、実セルフアライニングトルクTsaaの原点0近傍(ここで、前輪はグリップ状態にある)での前輪サイドフォースFyfに対する傾きK1を同定し、つまり、完全グリップ状態でのセルフアライニングトルク特性(基準セルフアライニングトルクTsao)で示す特性を求める。なお、傾きK1は、初期値として実験的に求めた所定値を用い、グリップ度が高い通常走行中に、これを同定し補正することが望ましい。なお、実セルフアライニングトルクTsaaは、後述する演算によって求められる。
【0038】
そして、基準セルフアライニングトルクTsaoに対する実セルフアライニングトルクTsaaに基づき前輪のグリップ度とが推定される。例えば、前輪サイドフォースがFyf1の場合における、基準セルフアライニングトルクTsaoの値Tsao1(=K1・Fyf1)と、実セルフアライニングトルクTsaaの値Tsaa1に基づき、グリップ度εは、ε=Tsaa1/Tsao1として求めることができる。
【0039】
上記のように、車輪のグリップ度は、サイドフォース(前輪サイドフォースFyr)に対するセルフアライニングトルク(実セルフアライニングトルクTsaa)の変化に基づいて推定することができるが、これは図6に示すように構成することによって実現でき、その具体的構成は図2に示されている。先ず、図6においては、車両のステアリングホイール(図示せず)からサスペンション(図示せず)に至る操舵系に加わる操舵トルクおよび操舵カを含む操舵力指標のうちの少くとも一つの操舵力指標(例えば、操舵トルク)を検出する操舵力指標検出手段として、操舵トルク検出手段M11とアシストトルク検出手段M2が設けられている。これらの検出結果に基づき反カトルク検出手段M3にて反カトルクが検出される。
【0040】
本実施形態では、例えば図2に示す操舵トルクセンサ29が操舵トルク検出手段M1に相当する。また、アシストトルクはモータ24aのモータ電流から求められる(アシストトルク検出手段M2に相当)。
さらに、操舵角センサ26が図6の操舵角検出手段M4に相当し、これに基づきステアリング摩擦トルク推定手段M5によってステアリング摩擦トルクが推定される。なお、これについては後述する。
【0041】
而して、上記反カトルク検出手段M3およびステアリング摩擦トルク推定手段M5の検出結果に基づき、セルフアライニングトルク推定手段M6にて、車両前方の車輪FL,FRに生ずる実セルフアライニングトルクTsaaが推定される。
【0042】
一方、車両の状態量を検出する車両状態量検出手段として、本実施形態では、横加速度検出手段M7とヨーレート検出手段M8が設けられており、これらの検出信号に基づき、車両前方の車輪FL,FRに対するサイドフォースおよび前輪スリップ角を含む前輪指標のうちの少くとも一つの前輪指標(図6では前輪サイドフォースFyf)が、前輪指標推定手段たるサイドフォース推定手段M9にて推定される。
【0043】
前輪サイドフォースFyrは、横加速度検出手段M7とヨーレート検出手段M8の出力結果に基づき、Fyf=(Lr・m・Gy+Iz・dγ/dt)/Lにしたがって推定される。ここで、Lrは重心から後輪軸までの距離、mは車両質量、Lはホイールベース、Izはヨー慣性モーメント、Gyは横加速度、dγ/dtはヨーレートの時間微分値である。
【0044】
さらに、セルフアライニングトルク推定手段M6で推定された実セルフアライニングトルクTsaaと、サイドフォース推定手段M9で推定された前輪サイドフォースFyfに基づき、基準セルフアライニングトルク設定手段M11にて基準セルフアライニングトルクが設定される。例えば、セルフアライニングトルク原点勾配推定手段M10にてセルフアライニングトルクの原点近傍での勾配が樵定され、この勾配と前輪サイドフォースに基づき、基準セルフアライニングトルク設定手段M11にて基準セルフアライニングトルクが設定される。そして、基準セルフアライニングトルク設定手段M11にて設定された基準セルフアライニングトルクとセルフアライニングトルク推定手段M6で推定されたセルフアライニングトルクとの比較結果に基づき、グリップ度推定手段M12において前輪に対するグリップ度εが推定される。
【0045】
即ち、図6において、セルフアライニングトルク推定手段M6で推定された実セルフアライニングトルクTsaaと、サイドフォース推定手段M9で推定された前輪サイドフォースFyfに基づき、図5の原点近傍におけるセルフアライニングトルク勾配K1が求められる。この勾配K1と前輪サイドフォースFyfに基づき基準セルフアライニングトルクTsaoが、Tsao=K1・Fyfとして求められ、実セルフアライニングトルクTsaaと比較される。この比較結果に基づき、グリップ度εが、ε=Tsaa/Tsaoとして求められる。
【0046】
以上のように、本実施形態では、モータ24aの駆動電流はアシストトルクと比例関係にあるため、このアシストトルクと操舵トルク検出手段M1の検出結果に基づき、反カトルクを容易に推定することが可能である。また、ステアリング系の摩擦によるトルクを補償する必要があるが、ステアリング摩擦トルク推定手段M5において、ステアリングホイールを切り増した時の反カトルク最大値と切り戻した時の反カトルクの差が摩擦トルクとして演算され、逐次摩擦トルクが補正されるので、適切にセルフアライニングトルク(実セルフアライニングトルクTsaa)を推定することができる。もっとも、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、ステアリングシャフト(図示せず)にロードセル等を装着し、あるいは、サスペンション部材に歪み計を設け、その検知信号からセルフアライニングトルクを計測することも可能である。
【0047】
次に、図7〜図12は本発明におけるグリップ度推定の他の態様に係り、本発明の前輪指標として前輪スリップ角を用いるものである。図7は、前輪スリップ角とセルフアライニングトルクからグリップ度を推定する手段のブロック図である。ブロックM1〜M6は図6と同様であり、反カトルク、ステアリング系摩擦トルクが演算され、セルフアライニングトルクが推定される。一方、前輪スリップ角は、操舵角、ヨーレート、横加速度および車両速度から求められるので、図6と同様、操舵角検出手段M4、横加速度検出手段M7およびヨーレート検出手段M8の検出信号が、車両速度検出手段M9xの検出信号と共に前輪スリップ角推定手段M9yに入力される。
【0048】
前輪スリップ角推定手段M9yにおいては、先ず、ヨーレート、横加速度および車両速度から車体スリップ角速度dβ/dtが求められ、これが積分されて車体スリップ角βが求められる。この車体スリップ角βをもとに車両速度、操柁角および車両諸元から、車輪スリップ角、特に前輪の車輪スリップ角(以下、前輪スリップ角という)αfが演算される。なお、車体スリップ角βは、積分による方法以外に、車両モデルに基づく推定や、これと積分法を組み合わせて演算することとしてもよい。
【0049】
上記のように推定されたセルフアライニングトルクと前輪スリップ角αfに基づき、セルフアライニングトルク原点勾配推定手段M10にて、セルフアライニングトルクの原点勾配が同定され、この勾配と前輪スリップ角に基づき、基準セルフアライニングトルク設定手段M11にて基準セルフアライニングトルクが設定される。そして、基準セルフアライニングトルク設定手段M11にて設定された基準セルフアライニングトルクとセルフアライニングトルク推定手段M6で推定されたセルフアライニングトルクとの比較結果に基づき、グリップ度推定手段M12において前輪に対するグリップ度εが推定される。
【0050】
上記図7に記載の実施形態におけるグリップ度εの推定に関し、図8〜図12を参照して以下に詳述する。先ず、前輪スリップ角αfに対する前輪サイドフォースFyfおよびセルフアライニングトルクTsaの関係は、図8に示すような前輪スリップ角αfに対して非線形の特性となる。セルフアライニングトルクTsaは前輪サイドフォースFyfとトレールe(=en+ec)の積となることから、車輪(前輪)がグリップ状態にある場合、つまり、ニューマチックトレールenが完全グリップ状態にある場合のセルフアライニングトルク特性は、図9においてTsarで示すような非線形の特性となる。
【0051】
しかし、本実施形態では、完全グリップ状態のセルフアライニングトルク特性を線形と仮定し、図10に示すように、原点近傍における前輪スリップ角に対するセルフアライニングトルクTsaの勾配K2を求め、基準セルフアライニングトルク特性(図10にTsasで示す)を設定することとしている。例えば、前輪スリップ角がαf1である場合、基準セルフアライニングトルクはTsas1=K2・αf1で演算される。そして、グリップ度εは、ε=Tsaa1/Tsas1=Tsaa1/(K2・αf1)として求められる。
【0052】
図10における基準セルフアライニングトルクの設定方法では、基準セルフアライニングトルク特性を線形と仮定しているため、前輪スリップ角αfが大きな領域においてはグリップ度推定時の誤差が大きくなり、グリップ度の推定精度が低下することが懸念される。このため、図11に示すように、所定の前輪スリップ角以上では、セルフアライニングトルク勾配をK3に設定し、基準セルフアライニングトルク特性の非線系性を図11中の0−M−Nのように直線近似して設定することが望ましい。この場合、セルフアライニングトルク勾配K3を予め実験的に求めて設定し、走行中に勾配K3を同定し補正することが望ましい。また、点Mは実セルフアライニングトルクの変極点(点P)をもとに設定するとよい。例えば、実セルフアライニングトルクの変極点Pを求め、変極点Pの前輪スリップ角αPから所定値だけ大きい前輪スリップ角αmを点Mとして設定する。
【0053】
さらに、前輪スリップ角に対する基準セルフアライニングトルクは路面摩擦係数μの影響を受けるため、図12に示すように実セルフアライニングトルクTsaaの変極点Pにもとづき基準セルフアライニングトルクを設定することにより、高精度な基準セルフアライニングトルク特性を設定することができる。例えば、路面摩擦係数が低くなった場合、実セルフアライニングトルクTsaaの特性は図12の実線から破線のように変化する。即ち、路面摩擦係数μが低下すると実セルフアライニングトルクTsaaの変極点が点Pから点P’に変化することになる。
【0054】
したがって、基準セルフアライニングトルク特性(Tsat)を0−M−Nから0−M’−N’に変化させる必要がある。この場合において、前述のように点M’は変極点P’に基づいて設定されるため、路面摩擦係数が変化しても、その変化に追従して基準セルフアライニングトルク特性を設定することが可能となる。
【0055】
以上の実施形態においては、タイヤのニューマチックトレールの変化に着目し、セルフアライニングトルクに基づきグリップ度εを求めることとしたものであるが、以下のように、路面摩擦に対するサイドフォースの余裕度に基づき、車輪に対する横方向のグリップの程度を表すグリップ度(この場合のグリップ度をεmとする)を推定することができる。
【0056】
先ず、タイヤ発生力の理論モデル(ブラッシュモデル)によれば、前輪のサイドフォースFyfとセルフアライニングトルクTsaaの関係は、以下の式(1)〜式(4)により表される。即ち、ξ=1−{Ks/(3・μ・Fz)}・λとした場合において、ξ>0の場合は次式(1)、またξ≦0の場合は次式(2)、さらにξ>0の場合は次式(3)、ξ≦0の場合は次式(4)のようにそれぞれ表される。
【0057】
Fyr =μ・Fz・(1−ξ3)     ・・・(1)
Fyf =μ・Fz            ・・・(2)
Tsaa=(l・Ks/6)・λ・ξ3   ・・・(3)
Tsaa=0               ・・・(4)
【0058】
ここで、Fzは接地荷重、lはタイヤ接地面の接地長さ、Ksはトレッド剛性に対応する定数、λは横スリップ(λ=tan(αf))であり、αfは前輪スリップ角である。
【0059】
一般的にξ>0の領域では、前輪スリップ角αfは小さいため、λ=αfとして扱うことができる。上記の式(1)から明らかなように、サイドフォースの最大値はμ・Fzであるので、路面摩擦係数μに応じたサイドフォースの最大値に対する割合を路面摩擦利用率ηとするとη=1−ξ3と表すことができる。したがって、εm=1−ηは路面摩擦余裕度ということになり、このεmを車輪のグリップ度とするとεm=ξ3となる。したがって、上記(3)式は、次式(5)のように表すことができる。
【0060】
Tsaa=(l・Ks/6)・αf・εm  ・・・(5)
【0061】
上記式(5)は、セルフアライニングトルクTsaaが前輪スリップ角αfおよびグリップ度εmに比例することを示している。そこで、グリップ度εm=1(路面の摩擦利用率がゼロ、つまり摩擦余裕度が1)における特性を基準セルフアライニングトルク特性とすると、次式(6)のようになる。
【0062】
Tsau=(l・Ks/6)・αf     ・・・(6)
【0063】
したがって、上記(5)式および(6)式から、グリップ度εmは、次式(7)として求めることができる。
【0064】
εm=Tsaa/Tsau         ・・・(7)
【0065】
この式(7)には路面摩擦係数μがパラメータとして含まれていないことから明らかなように、グリップ度εmは路面摩擦係数μを用いることなく算出することができる。この場合において、基準セルフアライニングトルクTsauの勾配K4(=l・Ks/6)は、前述のブラッシュモデルを用いて予め設定することができる。また、実験的に求めることも可能である。さらに、まず初期値を設定し、走行中に前輪スリップ角がゼロ近傍におけるセルフアライニングトルクの傾きを同定し、補正することとすれば、検出精度を向上させることができる。
【0066】
例えば、図30において、前輪スリップ角がαr2である場合、基準セルフアライニングトルクはTsau2=K4・αf2で演算される。そして、グリップ度εmは、εm=Tsaa2/Tsau2=Tsaa2/(K4・αf2)として求められる。
【0067】
而して、前述の図3〜図11に記載のニューマチックトレールに基づくグリップ度εに代えて、上記の路面摩擦余裕度に基づくグリップ度εmを用いることができる。そして、前述のグリップ度εと上記のグリップ度εmとは、図31に示す関係となる。したがって、グリップ度とを求めてグリップ度εmに変換することができ、逆に、グリップ度εmを求めてグリップ度εに変換することもできる。
【0068】
なお、以上のように実セルフアライニングトルクと基準セルフアライニングトルクとの比較によりグリップ度を推定すれば、従来(例えば特開平11−99956号)のように車輪が発生可能な最大力、つまり、路面摩擦係数μを求めることなく、ニューマチックトレール変化に基づいて車輪のグリップ度εを推定することが可能である。したがって、従来のように路面摩擦係数を求める方法と比べて推定のロバスト性が高く、また、精度もよい。
【0069】
以上のようにグリップ度推定演算処理30aの演算結果として得られるグリップ度は、AFS制御処理に入力されているため、当該AFS制御処理では、グリップ度に対するギヤ比を求め得るグリップ度 vsギヤ比マップ30b(図13(B)参照)から、入力されたグリップ度に基づいてギヤ比可変ユニット32のステアリングギヤ比を決定している。そして、図13(A)に示すように、グリップ度vs ギヤ比マップ30bにより決定されたステアリングギヤ比と操舵角(ステアリング角)とを乗算し、その結果から操舵角(ステアリング角)を減算することによって、VGRS目標角を算出している。このVGRS目標角は、VGRS_ECU40に出力されている。
【0070】
一方、図2に示すように、VGRS_ECU40には、AFS_ECU30から出力されたVGRS目標角が入力されるので、図1に示すギヤ比可変ユニット32に内蔵されたモータ32aに対する電流指令値をVGRS制御処理によって演算し、図略のモータ駆動回路に出力して当該モータ32aを制御している。なお、このモータ32aの回転角は、回転角センサ32bにより検出されてモータ角信号としてVGRS_ECU40に出力されているので、これにより構成される閉ループによってVGRS_ECU40によるモータ32aのフィードバック制御を可能にしている。
【0071】
このように構成される操舵装置20のAFS_ECU30により、図14に示すステアリングギヤ比設定処理が行われる。なお、このステアリングギヤ比設定処理は、一定時間ごとに繰り返し行われる割り込み処理に類するものであり、一連のメインルーチンの説明は省略する。
【0072】
図14に示すように、所定の初期化処理の後、まずステップS101により、操舵輪のグリップ度取り込み処理が行われる。この処理は、前述したグリップ度推定演算処理30aにより推定されたグリップ度を取得する処理で、この処理で取得したグリップ度は、次のステップS103によるVGRSギヤ(ステアリングギヤ比)マップ演算に用いられる。
【0073】
ステップS103では、ステップS101により取り込んだグリップ度に基づいてギヤ比可変ユニット32のステアリングギヤ比を設定する演算を行う、VGRSギヤマップ演算が行われる。この処理では、図13(B)に一例が示されたグリップ度 vsギヤ比マップ30bを参照することにより、グリップ度からステアリングギヤ比を求めるものである。
【0074】
このグリップ度 vsギヤ比マップ30bからわかるように、グリップ度のほぼ中間付近では、グリップ度が小さくなるほどステアリングギヤ比が大きく、またグリップ度大きくなるほどステアリングギヤ比が小さくなるように、またグリップ度の下限域付近においてはステアリングギヤ比が最大値で一定に、さらに下限域付近においてはステアリングギヤ比が最小値で一定になるように、それぞれ両者の対応関係がマッピングされている。つまり、操舵輪のグリップ状態がそのグリップ限界(グリップ度がある閾値以下になることにより、操舵輪が接地面上を滑り始める直前のグリップ状態)に近づくと、ステアリングギヤ比が増加するようマッピングされている。
【0075】
次のステップS105では、VGRS目標値演算が行われる。この処理は、図13(A)に示した構成により、VGRS目標値(VGRS目標角)の演算処理を行うもので、ステップS103により設定したステアリングギヤ比と操舵角センサ26により検出した操舵角とを乗算し、操舵角センサ26により検出した操舵角から当該乗算結果である目標実舵角を減算することによって、VGRS目標値(VGRS目標角)を算出する。
【0076】
ステップS107によりVGRS目標値を演算すると、ステップS107によってこのVGRS目標値をVGRS_ECU40に出力する処理が行われる。これにより、VGRS_ECU40には、VGRS目標値(VGRS目標角)が入力されるので、前述したように、ギヤ比可変ユニット32のモータ32aに対する電流指令値をVGRS制御処理によって演算し、図略のモータ駆動回路に出力して当該モータ32aを制御している。
【0077】
以上説明したように、第1実施形態に係る操舵装置20によると、AFS_ECU30により演算処理されるグリップ度推定演算処理30aによって、操舵輪が接地する接地面(路面)と操舵輪との間のグリップ度を推定し、グリップ度 vsギヤ比マップ30bにより、推定したグリップ度に基づいてギヤ比可変ユニット32のステアリングギヤ比を設定、例えばグリップ度が操舵輪のグリップ限界に近づくとステアリングギヤ比が増加するようにVGRS目標角(ステアリングギヤ比)を設定する。これにより、路面μの大きさに応じて変化するグリップ度を推定することができるので、例えば操舵輪がそのグリップ限界に近づいた場合においては、低速走行時であってもステアリングギヤ比を増加させて大きく設定することができる。したがって、低μ路面走行等においては、少ない操舵角で操舵輪が大きく切れる現象の発生を防止するため、車両挙動の安定性を向上し得る効果がある。
【0078】
なお、上述した第1実施形態では、グリップ度推定演算処理30aやVGRS目標値演算をAFS_ECU30において演算処理したが、これに限られることはなく、AFS_ECU30以外のCPU、例えばVGRS_ECU40やこの他のCPUによって、グリップ度推定演算処理30aを行うように構成しても良く、そのような場合であっても、上述と同様の作用および効果を得ることができる。
【0079】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係る操舵装置を図15および図16に基づいて説明する。なお、第2実施形態に係る操舵装置は、特許請求の範囲の請求項1または請求項3に係る操舵装置に相当するものである。
【0080】
第2実施形態による操舵装置は、前述した第1実施形態の操舵装置20のAFS_ECU30により行われるAFS制御処理において、グリップ度 vsギヤ比マップ30bのほかに操舵速度 vsギヤ比マップ30dを加えている点が第1実施形態のものと相違する。したがって、他の構成部分は第1実施形態の操舵装置20と実質的に同一の構成を採るため、それらの説明を省略し、また必要に応じて図1および図2を援用して説明する。
【0081】
図15に示すように、第2実施形態に係る操舵装置では、グリップ度 vsギヤ比マップ30bにより決定されたステアリングギヤ比と操舵速度 vsギヤ比マップ30dにより決定されたステアリングギヤ比と操舵角(ステアリング角)との3者を乗算し、その結果から操舵角(ステアリング角)を減算することによって、VGRS目標角を算出している。なお、操舵速度は、操舵角センサ26により検出され出力される操舵角信号に基づいてAFS_ECU30により時間微分演算することによって算出されている。
【0082】
即ち、図16(A)に示す第1実施形態の操舵装置20で用いたグリップ度 vsギヤ比マップ30bに加えて、図16(B)に示すように、操舵速度が大きく、つまり速くなるにつれてステアリングギヤ比が大きくなるような対応関係をもつ操舵速度 vsギヤ比マップ30dを用いる。これにより、グリップ度が低下した場合においては、操舵速度信号を用いることで、急操舵があったときにはステアリングギヤ比を大きくなるように設定することができるので、単にグリップ度 vsギヤ比マップ30bのみを用いてステアリングギヤ比を設定していた第1実施形態の操舵装置20に比べて、急操舵に対する車両挙動の安定性を向上できる。
【0083】
このように第2実施形態に係る操舵装置によると、AFS_ECU30により演算処理されるグリップ度推定演算処理30aによって、グリップ度が操舵輪のグリップ限界に近づくと、操舵角センサ26により検出し時間微分して得られた操舵速度に基づいて、ステアリングギヤ比が増加するようにVGRS目標角(ステアリングギヤ比)を設定する。これにより、例えば、操舵速度の増加に伴ってステアリングギヤ比がさらに増加するようにVGRS目標角を設定することができる。したがって、低μ路面走行等における急操舵時においても、操舵輪が大きく切れる現象の発生を防止するため、車両挙動の安定性を向上し得る効果がある。
【0084】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態に係る操舵装置を図17および図18に基づいて説明する。なお、第3実施形態に係る操舵装置は、特許請求の範囲の請求項1または請求項4に係る操舵装置に相当するものである。
【0085】
第3実施形態に係る操舵装置は、前述した第1実施形態の操舵装置20のAFS_ECU30により行われるAFS制御処理において、グリップ度 vsギヤ比マップ30bのほかに車速 vsギヤ比ゲインマップ30eを加えている点が第1実施形態のものと相違する。したがって、他の構成部分は第1実施形態の操舵装置20と実質的に同一の構成を採るため、それらの説明を省略し、また必要に応じて図1および図2を援用して説明する。なお、車速は、車速センサ27により検出され出力される車速信号に基づいてAFS_ECU30により演算されている。
【0086】
図17に示すように、第3実施形態に係る操舵装置では、グリップ度 vsギヤ比マップ30bにより決定されたステアリングギヤ比と車速 vsギヤ比ゲインマップ30eにより決定されたステアリングギヤ比ゲインと操舵角(ステアリング角)との3者を乗算し、その結果から操舵角(ステアリング角)を減算することによって、VGRS目標角を算出している。
【0087】
即ち、図18(A)に示す第1実施形態の操舵装置20で用いたグリップ度 vsギヤ比マップ30bに加えて、図18(B)に示すように、車速が大きく、つまり速くなるにつれてステアリングギヤ比ゲインが大きくなるような対応関係をもつ車速 vsギヤ比ゲインマップ30eを用いる。これにより、グリップ度に応じてステアリングギヤ比を設定するときに、車速情報を用いて車速が速いほどステアリングギヤ比を大きくなるように設定することができるので、単にグリップ度 vsギヤ比マップ30bのみを用いてステアリングギヤ比を設定していた第1実施形態の操舵装置20に比べて、低μ路等の非常にグリップ度が低下し易い路面走行時において車速に応じて変化する運転者のステアリング操作に対する余裕度を与えることができる。またこれにより、運転者の緊張も和らげることができる。
【0088】
このように第3実施形態に係る操舵装置によると、AFS_ECU30により演算処理されるグリップ度推定演算処理30aによって、グリップ度が操舵輪のグリップ限界に近づくと、車速センサ27により検出した車速に基づいて、ステアリングギヤ比が増加するようにVGRS目標角(ステアリングギヤ比)を設定する。これにより、例えば、車速の増加に伴ってステアリングギヤ比がさらに増加するようにVGRS目標角を設定することができるので、高速走行時には、中低速走行時に比べてより増加したさらに大きなVGRS目標角(ステアリングギヤ比)に設定することができる。したがって、低μ路面等を高速走行している場合にも、操舵輪が大きく切れる現象の発生を防止するため、車両挙動の安定性を向上し得る効果がある。
【0089】
[第4実施形態]
次に、第4実施形態に係る操舵装置を図19〜図24に基づいて説明する。なお、第4実施形態に係る操舵装置は、特許請求の範囲の請求項1または請求項5に係る操舵装置に相当するものである。
第4実施形態に係る操舵装置は、前述した第1実施形態の操舵装置20のAFS_ECU30により行われるAFS制御処理において、グリップ度 vsギヤ比マップ30bから直ちにステアリングギヤ比を設定するのではなく、グリップ度 vsギヤ比マップ30bに加えて、車両状態を判定するアンダーステア/オーバーステア判定処理30f、ステアリングホイール21によるステアリング角速度に対するステアリングギヤ比を設定するステアリング角速度 vsギヤ比マップ30gおよびこれらにより設定されたステアリングギヤ比を選択するステアリングギヤ比選択処理30hが存在する点が第1実施形態のものと相違する。したがって、他の構成部分は第1実施形態の操舵装置20と実質的に同一の構成を採るため、それらの説明を省略し、また必要に応じて図1および図2を援用して説明する。なお、車速は、車速センサ27により検出され出力される車速信号に基づいてAFS_ECU30により演算されている。また図19に示す、ヨーレートはヨーレートセンサYSにより検出され出力されるヨーレート信号に、実舵角は出力角センサ28により検出され出力される出力角信号に、それぞれ基づいてAFS_ECU30により演算されている。
【0090】
ここで、第4実施形態に係る操舵装置のAFS_ECU30により実行されるステアリングギヤ比設定処理を図21〜図24を参照して説明する。なお、このステアリングギヤ比設定処理は、一定時間ごとに繰り返し行われる割り込み処理に類するものであり、一連のメインルーチンの説明は省略する。
【0091】
図21に示すように、所定の初期化処理の後、まずステップS201により、センサ情報等の取得処理が行われる。この処理では、前述した操舵角センサ26、車速センサ27、出力角センサ28、ヨーレートセンサYS等から出力される各センサ信号に基づく各センサ情報がAFS_ECU30に入力される。
【0092】
次のステップS203では、アンダーステア/オーバーステア判定処理が行われる。この処理はサブルーチンで、図19に示すアンダーステア/オーバーステア判定処理30fに対応する。詳しくは図22にその処理の流れが示されているので、図22を参照しアンダーステア/オーバーステア判定処理の流れ説明する。
【0093】
図22に示すように、アンダーステア/オーバーステア判定処理では、まずステップS301により、前・後輪スリップ角差算出処理が行われる。この処理は、数式(βf−βr=L・γ/V−δ)を演算処理することにより行われるもので、ここで、βfは前輪スリップ角(deg)、βrは後輪スリップ角(deg)、Lはホイールベース(mm)、γはヨーレート(deg/S)、Vは車速(m/S)、δは実舵角(deg)をそれぞれ示す。なお、この数式から、二輪モデルにより、(βf−βr)・γ>0が成立すればアンダーステア、(βf−βr)・γ<0が成立すればオーバーステアであることがわかる。したがって、続くステップS303では、(βf−βr)・γ>0が成立するか否か、またステップS307では(βf−βr)・γ<0が成立するか否かを、それぞれ判断している。
【0094】
ステップS303により、(βf−βr)・γ>0が成立すると判断できると(S303でYes)、アンダーステアであることから、ステップS305によりステアフラグ(stear_flag)にアンダーステアであることを示す値1をセットする。一方、ステップS303により、(βf−βr)・γ>0が成立すると判断できない場合には(S303でNo)、ステップS307に移行してオーバーステアであるか否かを判断する。
【0095】
ステップS307により、(βf−βr)・γ<0が成立すると判断できると(S307でYes)、オーバーステアであることから、ステップS309によりステアフラグ(stear_flag)にオーバーステアであることを示す値2をセットする。一方、ステップS307により、(βf−βr)・γ<0が成立すると判断できない場合には(S307でNo)、アンダーステアでもオーバーステアでもないニュートラルステアの状態にあるため、続くステップS311によりステアフラグ(stear_flag)にニュートラルステアであることを示す値3をセットする。
【0096】
そして、ステップS305、S309、S311によりステアフラグ(stear_flag)をセットすると、一連のアンダーステア/オーバーステア判定処理を終了して、呼び出し元のステアリングギヤ比設定処理に処理を戻す。
【0097】
図21に戻りステップS203によるアンダーステア/オーバーステア判定処理を終了すると、次にステップS205によるステアリング操作判別処理が行われる。この処理もサブルーチンで、図23にその処理の流れが示されている。ここで、図23を参照してステアリング操作判別処理の流れ説明する。
【0098】
図23に示すように、ステアリング操作判別処理では、まずステップS401により、操舵角センサ26により検出した操舵角信号に基づいて、操舵角の時間微分値である操舵速度が正であるか否か、即ちθh_dot>SVminが成立するか否かを判断する。そして、当該関係が成立するときには(S401でYes)、操舵速度が正であるから、ステップS403に処理を移行する。
【0099】
ステップS403では、操舵速度が正である場合にステアリングホイール21による操舵方向が左切りであるか否か、即ち操舵角θh>0の関係が成立するか否かを判断する。そして、当該関係が成立するときには(S403でYes)、操舵方向が左切りであるから、ステップS405に処理を移行し、切込み状態にあることを示す値1をステアオペフラグ(stear_ope)にセットする。
【0100】
また、ステップS403による判断処理により、操舵方向が左切りであると判断することができない場合には(S403でNo)、操舵方向が右切りであるから、ステップS407に処理を移行し、切戻し状態にあることを示す値2をステアオペフラグ(stear_ope)にセットする。
【0101】
一方、ステップS401による判断処理により、操舵角の時間微分値である操舵速度が正であると判断できない場合には(S401でNo)、操舵速度が負あるいは0であるから、ステップS409に処理を移して、操舵角の時間微分値である操舵速度が負であるか否か、即ちθh_dot<SVminの関係が成立するか否かを判断する。
【0102】
ステップS409によりθh_dot<SVminの関係が成立すると判断できる場合には(S409でYes)、操舵速度が負であるから、ステップS411に処理を移行し、続いてステップS411によりステアリングホイール21による操舵方向が右切りであるか否か、即ち操舵角θh<0の関係が成立するか否かを判断する。そして、当該関係が成立するときには(S411でYes)、操舵方向が右切りであるから、ステップS413に処理を移行し、切込み状態にあることを示す値1をステアオペフラグ(stear_ope)にセットする。
【0103】
また、ステップS411による判断処理により、操舵方向が右切りであると判断することができない場合には(S411でNo)、操舵方向が左切りであるから、ステップS415に処理を移行し、切戻し状態にあることを示す値2をステアオペフラグ(stear_ope)にセットする。
【0104】
そして、ステップS409により、θh_dot<SVminの関係が成立すると判断できない場合には(S409でNo)、ステップS417に移行して保舵状態であることを示す値3をステアオペフラグ(stear_ope)にセットする。
【0105】
そして、ステップS405、S407、S413、S415、S417によりステアオペフラグ(stear_ope)をセットすると、一連のステアリング操作判別処理を終了して、呼び出し元のステアリングギヤ比設定処理に処理を戻す。
【0106】
再び図21に戻りステップS205によるステアリング操作判別処理を終了すると、次にステップS207によるグリップ度に対するギヤ比マップ演算処理を行う。この処理は、図19に示すグリップ度 vsギヤ比マップ30bに対応するもので、第1実施形態と同様、グリップ度推定演算処理30aにより推定されたグリップ度に対するステアリングギヤ比を設定するものである。なお、このグリップ度 vsギヤ比マップ30bの例は図20(A)に図示されているように、図20(A)に示すグリップ度 vsギヤ比マップ30bよりも、ステアリングギヤ比が全体に小さくなるように設定されている。これは、後述するように、運転者によるカウンタ操舵を容易にするためである。
【0107】
続くステップS209では、ステアリング角速度に対するギヤ比マップ演算処理を行う。この処理は、図19に示すステアリング角速度 vsギヤ比マップ30gに対応するもので、図20(B)に示すように、ステアリング角速度が高いほどステアリングギヤ比が小さく(低く)なるような関係に両者の対応がマッピングされている。ステップS209では、このようにマッピングされたステアリング角速度 vsギヤ比マップ30gを参照することにより、ステアリング角速度に対応するステアリングギヤ比が設定される。
【0108】
ステップS211では、ステアリングギヤ比選択処理が行われる。この処理は、サブルーチンによるもので、図24にその処理の流れが示されている。ここで、図24を参照してステアリングギヤ比選択処理の流れ説明する。
【0109】
図24に示すように、ステアリングギヤ比選択処理では、まずステップS501により、グリップ度推定演算処理30aにより推定したグリップ度εが、予め設定されている所定のグリップ度ε’よりも小さいか否か(ε<ε’)のグリップ度判定処理が行われる。この処理により、所定のグリップ度ε’よりも小さいと判断できた場合には(S501でYes)、グリップ度が低いことになるので、続くステップS503により車両状態がオーバーステア状態であるか否かの判断を行う。
【0110】
このステップS503による判断処理では、ステップS203のところで説明したアンダーステア/オーバーステア判定処理によりセットされているステアフラグ(stear_flag)の状態を判断することにより行う。つまり、ステアフラグに値2がセットされている場合には(S503でYes)、オーバーステア状態にあることから、ステップS505により切戻し状態にあるか否かの判断を行う。
【0111】
ステップS505による判断処理では、ステップS205のところで説明したステアリング操作判別処理によりセットされているステアオペフラグ(stear_ope)の状態を判断することにより行う。つまり、ステアオペフラグに値2がセットされている場合には(S505でYes)、切込み状態にあるので、ステップS507により処理を移行する。
【0112】
ステップS507では、ステアリング角速度 vsギヤ比マップ30gを選択しステアリング角速度 vsギヤ比マップ30gを参照してステアリング角速度に対応するステアリングギヤ比をマップ演算する処理を行う。つまり、車両状態がオーバーステア状態であることを判定し(S503でYes)、かつ、ステアリングホイール21の回転が切戻し方向であることを検出した場合には(S505でYes)、運転者がカウンタ操舵をしている判断できるので、このような場合にはステアリング角速度 vsギヤ比マップ30g(図20(B))を用いてステアリングギヤ比が小さくなるように設定する。これにより、当該運転者によるカウンタ操舵を容易する。なお、ステップS509では、クイック(急速)ステアリングギヤ比がセットされたことを示すフラグがセットされる。
【0113】
一方、ステップS501により、所定のグリップ度ε’よりも小さいと判断できない場合には(S501でNo)、グリップ度が高いことになる。つまり、高μ路等を走行している場合に該当するので、特に、グリップ限界等を考慮する必要がないので、続くステップS511によりノーマル(通常)ステアリングギヤ比がセットされたことを示すフラグがセットされる。
【0114】
また、ステップS503により、車両状態がオーバーステア状態にあると判断できない場合には(S503でNo)、アンダーステア(ステアフラグ値1)あるいはニュートラルステア(ステアフラグ値3)の状態にあるので、運転者がカウンタ操舵をしている場合はない。したがって、ステップS513により、グリップ度 vsギヤ比マップ30bを参照してステアリング角速度に対応するステアリングギヤ比をマップ演算する処理を行う。つまり、第1実施形態に係る操舵装置20と見かけ上、同様のAFS制御処理になる。この場合は、続くステップS515によりスロー(緩慢)ステアリングギヤ比がセットされたことを示すフラグがセットされる。
【0115】
そして、ステップS509、S511、S515により各フラグをセットすると、一連のステアリングギヤ比選択処理を終了して、呼び出し元のステアリングギヤ比設定処理に処理を戻す。
【0116】
再び図21に戻りステップS211によるステアリングギヤ比選択処理を終了すると、次にステップS213による目標実舵角算出処理が行われる。この処理は、図19に示すように、車両状態やステアリングホイール21の切り回し方向によって選択されたマップに基づいてステアリングギヤ比を設定した後に行われるもので、設定されたステアリングギヤ比と操舵角センサ26による操舵角(ステアリング角)とを乗算する。これにより、目標実舵角が算出される。
【0117】
続くステップS215では、VGRS目標角算出演算処理が行われる。即ち、ステップS213により算出された目標実舵角を、操舵角センサ26により検出された操舵角から減算する演算処理を行うことによって、VGRS目標角が算出され、これにより、一連のステアリングギヤ比設定処理が終了する。なお、このVGRS目標値は、第1実施形態に係る操舵装置20と同様、VGRS_ECU40に出力され、VGRS_ECU40によるVGRS制御処理が行われ、モータ駆動回路に出力してギヤ比可変ユニット32のモータ32aが制御される。
【0118】
以上説明したように、第4実施形態に係る操舵装置によると、AFS_ECU30により演算処理されるグリップ度 vsギヤ比マップ30bによって、グリップ度が操舵輪のグリップ限界に近づくと、ステアリングギヤ比が増加するようにVGRS目標角(ステアリングギヤ比)を設定し、アンダーステア/オーバーステア判定処理30fにより車両状態がオーバーステア状態であることを判定(S503でYes)、かつ、ステアリングホイール21の回転が切戻し方向であることを検出すると(S505でYes)、ステアリング角速度 vsギヤ比マップ30gは、ステアリングギヤ比が減少するようにVGRS目標角(ステアリングギヤ比)を設定する。これにより、運転者がカウンタ操舵をしている判断した場合には、ステアリングギヤ比が減少するようにVGRS目標角を設定するので、当該運転者によるカウンタ操舵を容易することができる。したがって、車両挙動の安定性を向上し得る効果がある。
【0119】
[第5実施形態]
次に、第5実施形態に係る操舵装置を図25〜図28に基づいて説明する。なお、第5実施形態に係る操舵装置は、特許請求の範囲の請求項6に係る操舵装置に相当するものである。
【0120】
第5実施形態に係る操舵装置は、前述した第1実施形態の操舵装置20のAFS_ECU30により行われるAFS制御処理において、グリップ度 vsギヤ比マップ30bから直ちにステアリングギヤ比を設定するのではなく、アンダーステア/オーバステア判定処理30iによる車両の状態とグリップ度に基づいて伝達比決定処理30jによりグリップ度 vsギヤ比マップ30bの採否を決定する点が第1実施形態のものと相違する。したがって、他の構成部分は第1実施形態の操舵装置20と実質的に同一の構成を採るため、それらの説明を省略し、また必要に応じて図1および図2を援用して説明する。
【0121】
ここで、第5実施形態に係る操舵装置のAFS_ECU30により実行されるステアリングギヤ比設定処理を図26〜図28を参照して説明する。なお、このステアリングギヤ比設定処理は、一定時間ごとに繰り返し行われる割り込み処理に類するものであり、一連のメインルーチンの説明は省略する。
【0122】
図26に示すように、所定の初期化処理の後、まずステップS601により、センサ情報等の取得処理が行われる。この処理では、前述した操舵角センサ26から出力されるセンサ信号に基づくセンサ情報がAFS_ECU30に入力される。
【0123】
続くステップS603では、アンダーステア/オーバーステア判定処理が行われる。この処理はサブルーチンで、図25に示すアンダーステア/オーバステア判定処理30iに対応する。詳しくは図27にその処理の流れが示されているので、図27を参照しアンダーステア/オーバーステア判定処理の流れ説明する。
【0124】
図27に示すように、アンダーステア/オーバーステア判定処理では、まずステップS701により、前・後輪スリップ角差算出処理が行われる。この処理は、数式(βf−βr=L・γ/V−δ)を演算処理することにより行われるもので、ここで、βfは前輪スリップ角(deg)、βrは後輪スリップ角(deg)、Lはホイールベース(mm)、γはヨーレート(deg/S)、Vは車速(m/S)、δは実舵角(deg)をそれぞれ示す。なお、この数式から、二輪モデルにより、0≦(βf−βr)・γ<STmaxが成立すれば弱いアンダーステア、(βf−βr)・γ<STminが成立すれば強いオーバーステアであることがわかる。したがって、続くステップS703では、0≦(βf−βr)・γ<STmaxが成立するか否か、またステップS707では(βf−βr)・γ<STminが成立するか否かを、それぞれ判断している。なお、STmaxは、弱アンダーステアか否かを判断するために予め設定された所定値であり、またSTminは、強オーバーステアか否かを判断するために予め設定された所定値である。
【0125】
ステップS703により、0≦(βf−βr)・γ<STmaxが成立すると判断できると(S703でYes)、弱アンダーステアであることから、ステップS705によりステアフラグ(stear_flag)に弱アンダーステアであることを示す値1をセットする。一方、ステップS703により、0≦(βf−βr)・γ<STmaxが成立すると判断できない場合には(S703でNo)、ステップS707に移行して強いオーバーステアであるか否かを判断する。
【0126】
ステップS707により、(βf−βr)・γ<STminが成立すると判断できると(S707でYes)、強オーバーステアであることから、ステップS709によりステアフラグ(stear_flag)に強オーバーステアであることを示す値2をセットする。一方、ステップS707により、(βf−βr)・γ<STminが成立すると判断できない場合には(S707でNo)、弱アンダーステアでも強オーバーステアでもないニュートラルステアの状態にあるため、続くステップS711によりステアフラグ(stear_flag)にニュートラルステアであることを示す値3をセットする。
【0127】
そして、ステップS705、S709、S711によりステアフラグ(stear_flag)をセットすると、一連のアンダーステア/オーバーステア判定処理を終了して、呼び出し元のステアリングギヤ比設定処理に処理を戻す。
【0128】
図26に戻りステップS603によるアンダーステア/オーバーステア判定処理を終了すると、次にステップS605によるグリップ度 vsギヤ比演算マップ処理が行われる。この処理もサブルーチンで、図25に示す伝達比決定処理30jに対応する。詳しくは図28にその処理の流れが示されているので、ここで図28を参照してグリップ度 vsギヤ比演算マップ処理の流れ説明する。
【0129】
図28に示すように、グリップ度 vsギヤ比演算マップ処理では、まずステップS801により、グリップ度推定演算処理30aにより推定したグリップ度εが、予め設定されている所定のグリップ度ε’よりも小さいか否か(ε<ε’)のグリップ度判定処理が行われる。この処理により、所定のグリップ度ε’よりも小さいと判断できた場合には(S801でYes)、グリップ度が低いことになるので、続くステップS803により車両状態が弱アンダーステア状態であるか否かの判断を行う。
【0130】
このステップS803による判断処理では、ステップS603のところで説明したアンダーステア/オーバーステア判定処理によりセットされているステアフラグ(stear_flag)の状態を判断することにより行う。つまり、ステアフラグに値1がセットされている場合には(S803でYes)、弱アンダーステア状態にあることから、セルフステア現象の発生等を考慮する必要があるので、グリップ度 vsギヤ比マップ30bを参照することなく、ステップS805によりノーマル(通常)ステアリングギヤ比がセットされたことを示すフラグがセットされる。
【0131】
また、ステップS803により、車両状態が弱アンダーステア状態にあると判断できない場合には(S803でNo)、強オーバーステア(ステアフラグ値2)あるいはニュートラルステア(ステアフラグ値3)の状態にある。したがって、ステップS807により、グリップ度 vsギヤ比マップ30bを参照してステアリング角速度に対応するステアリングギヤ比をマップ演算する処理を行う。つまり、第1実施形態に係る操舵装置20と見かけ上、同様のAFS制御処理になる。この場合は、続くステップS809によりスロー(緩慢)ステアリングギヤ比がセットされたことを示すフラグがセットされる。
【0132】
一方、ステップS801により、所定のグリップ度ε’よりも小さいと判断できない場合には(S801でNo)、グリップ度が高いことになるので、続くステップS811により車両状態が強オーバーステア状態であるか否かの判断を行う。このステップS811による判断処理でも、ステップS603のところで説明したアンダーステア/オーバーステア判定処理によりセットされているステアフラグ(stear_flag)の状態を判断することにより行う。これにより、ステアフラグに値2がセットされている場合には(S811でYes)、強オーバーステア状態にあることから、セルフステア現象の発生等を考慮する必要がないので、グリップ度 vsギヤ比マップ30bを参照してステアリング角速度に対応するステアリングギヤ比をマップ演算する処理を行う。つまり、第1実施形態に係る操舵装置20と見かけ上、同様のAFS制御処理になる。この場合は、続くステップS815によりスロー(緩慢)ステアリングギヤ比がセットされたことを示すフラグがセットされる。
【0133】
また、ステップS811により、車両状態が強オーバーステア状態にあると判断できない場合には(S811でNo)、弱アンダーステア(ステアフラグ値1)あるいはニュートラルステア(ステアフラグ値3)の状態にあるので、セルフステア現象の発生等を考慮する必要がある。したがって、グリップ度 vsギヤ比マップ30bを参照することなく、ステップS817によりノーマル(通常)ステアリングギヤ比がセットされたことを示すフラグがセットされる。
【0134】
そして、ステップS805、S809、S815、S817により各フラグをセットすると、一連のグリップ度 vsギヤ比演算マップ処理を終了して、呼び出し元のステアリングギヤ比設定処理に処理を戻す。
【0135】
再び図26に戻りステップS611によるグリップ度 vsギヤ比演算マップ処理を終了すると、次にステップS613による目標実舵角算出処理が行われる。この処理は、図25に示すように、車両状態やステアリングホイール21の切り回し方向によって選択されたマップに基づいてステアリングギヤ比を設定した後に行われるもので、設定されたステアリングギヤ比と操舵角センサ26による操舵角(ステアリング角)とを乗算する。これにより、目標実舵角が算出される。
【0136】
続くステップS609では、VGRS目標角算出演算処理が行われる。即ち、ステップS607により算出された目標実舵角を、操舵角センサ26により検出された操舵角から減算する演算処理を行うことによって、VGRS目標角が算出され、これにより、一連のステアリングギヤ比設定処理が終了する。なお、このVGRS目標値は、第1実施形態に係る操舵装置20と同様、VGRS_ECU40に出力され、VGRS_ECU40によるVGRS制御処理が行われ、モータ駆動回路に出力してギヤ比可変ユニット32のモータ32aが制御される。
【0137】
以上説明したように、第5実施形態に係る操舵装置によると、車両の状態とグリップ度に基づいてステアリングの伝達比を決定するため、車両挙動の安定性を向上し得る効果がある。
【0138】
[第6実施形態]
次に、第6実施形態に係る操舵装置を図29に基づいて説明する。なお、第6実施形態に係る操舵装置70は、特許請求の範囲の請求項7に係る操舵装置に相当するものである。
【0139】
第6実施形態に係る操舵装置70は、AFS_ECU30により、操舵角センサ26により検出した操舵角信号、トルクセンサ72により検出したトルク信号および車速センサ27により検出した車速信号に基づいて操舵輪の目標実舵角を決定し、AFSアクチュエータ24により、決定された目標実舵角に操舵輪を制御する。そして、実舵角センサ74を備えるAFSアクチュエータ24により、AFS_ECU30により演算処理されるグリップ度推定演算処理により推定したグリップ度が操舵輪のグリップ限界に近づいたと判断すると、当該グリップ限界に近づいた状態における操舵輪の実舵角に固定するように操舵輪を制御する。
【0140】
これにより、いわゆるステアバイワイヤによる操舵装置においても、路面μの大きさに応じて変化するグリップ度を推定することができるので、低μ路面走行等において、グリップ度推定手段により推定したグリップ度が操舵輪のグリップ限界に近づいたと判断すると、当初の目標実舵角ではなく、当該グリップ限界に近づいた状態における操舵輪の実舵角に固定するように操舵輪を制御する。そのため、グリップ限界を超えて操舵輪を制御することを防止することができる。したがって、低μ路面走行等においても、車両挙動の安定性を向上し得る効果がある。
【0141】
また、この第6実施形態のようなステアバイワイヤによる操舵装置においても、グリップ限界に近づいた状態における操舵輪の実舵角に固定するように操舵輪を制御する他に、第1から第5実施形態のようにグリップ度に基づいて操舵輪を制御するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る操舵装置の構成概要を示す説明図である。
【図2】本第1実施形態に係る操舵装置の主な電気的構成を示すブロック図である。
【図3】一般的な車両に関し、タイヤが横すべりしながら転動する状態におけるセルフアライニングトルクとサイドフォースの関係を示す特性図である.
【図4】図3のセルフアライニングトルクとサイドフォースの関係を簡略して示す特性図である。
【図5】本発明の一実施形形態における前輪サイドフォースに対するセルフアライニングトルクの特性を示す特性図である。
【図6】本発明の一実施形態に係るグリップ度推定のブロック図である。
【図7】本発明の他の実施形態に係るグリップ度推定のブロック図である。
【図8】本発明の他の実施形態における前輪スリップ角に対する前輪サイドフォースおよびセルフアライニングトルクの関係を示す特性図である。
【図9】本発明の他の実施形態における前輪スリップ角に対するセルフアライニングトルクの関係を示す特性図である。
【図10】本発明の他の実施形態における前輪スリップ角に対するセルフアライニングトルクの関係を示す特性図である。
【図11】本発明の他の実施形態における前輪スリップ角に対するセルフアライニングトルクの関係を示す特性図である。
【図12】本発明の他の実施形態における前輪スリップ角に対するセルフアライニングトルクの関係を示す特性図である。
【図13】図13(A)は、本第1実施形態に係る操舵装置のAFS_ECUによるVGRS目標角処理を表した機能ブロック図で、図13(B)は、図13(A)に示すグリップ度 vsステアリングギヤ比のマップの一例を示す説明図である。
【図14】本第1実施形態に係る操舵装置のAFS_ECUによるステアリングギヤ比設定処理の流れを示すフローチャートである。
【図15】本発明の第2実施形態に係る操舵装置の主な電気的構成を示すブロック図である。
【図16】本第2実施形態に係る操舵装置によるマップの一例を示す説明図で、図16(A)は図15に示すグリップ度 vsステアリングギヤ比のマップ例を示し、図16(B)は図15に示す操舵速度 vsステアリングギヤ比のマップ例を示すものである。
【図17】本発明の第3実施形態に係る操舵装置のAFS_ECUによるVGRS目標角処理を表した機能ブロック図である。
【図18】本第3実施形態に係る操舵装置によるマップの一例を示す説明図で、図18(A)は図17に示すグリップ度 vsステアリングギヤ比のマップ例を示し、図18(B)は図17に示す車速 vsステアリングギヤ比ゲインのマップ例を示すものである。
【図19】本発明の第4実施形態に係る操舵装置のAFS_ECUによるVGRS目標角処理を表した機能ブロック図である。
【図20】本第4実施形態に係る操舵装置によるマップの一例を示す説明図で、図20(A)は図19に示すグリップ度 vsステアリングギヤ比のマップ例を示し、図20(B)は図19に示すステアリング角速度 vsステアリングギヤ比のマップ例を示すものである。
【図21】本第4実施形態に係る操舵装置のAFS_ECUによる制御の流れを示すフローチャートである。
【図22】図11に示すアンダーステア/オーバステア判定処理の流れを示すフローチャートである。
【図23】図11に示すステアリング操作判別処理の流れを示すフローチャートである。
【図24】図11に示すステアリングギヤ比選択処理の流れを示すフローチャートである。
【図25】本発明の第5実施形態に係る操舵装置のAFS_ECUによるVGRS目標角処理を表した機能ブロック図である。
【図26】本第5実施形態に係る操舵装置のAFS_ECUによる制御の流れを示すフローチャートである。
【図27】図16に示すアンダーステア/オーバステア判定処理の流れを示すフローチャートである。
【図28】図16に示すグリップ度 vsステアリングギヤ比マップ演算処理の流れを示すフローチャートである。
【図29】本発明の第6実施形態に係る操舵装置の構成概要を示す説明図である。
【図30】本発明のさらに他の実施形態における前輪スリップ角に対するセルフアライニングトルクの関係を示す特性図である。
【図31】本発明におけるニューマチックトレールに基づくグリップ度εと路面摩擦余裕度に基づくグリップ度εmとの関係を示す特性図である。
【図32】従来のVGRS制御による操舵装置の構成概要を示す説明図である。
【符号の説明】
20、70 操舵装置
21    ステアリングホイール
22    第1ステアリングシャフト (操舵伝達系)
23    第2ステアリングシャフト (操舵伝達系)
24    AFSアクチュエータ    (操舵伝達系)
24a   モータ
25    ロッド          (操舵伝達系)
26    操舵角センサ       (操舵速度検出手段、切戻し回転検出手段、操作状態検出手段)
27    車速センサ        (車速検出手段)
28    出力角センサ
29    操舵トルクセンサ
30    AFS_ECU(グリップ度推定手段、伝達比設定手段、オーバーステア状態判定手段、切戻し回転検出手段、操舵状態判定手段、目標実舵角修正手段)
30a   グリップ度推定演算処理  (グリップ度推定手段)
30b   グリップ度 vsギヤ比マップ(伝達比設定手段)
30c   補償制御処理
30d   操舵速度 vsギヤ比マップ (伝達比設定手段)
30e   車速 vsギヤ比ゲインマップ(伝達比設定手段)
30f   アンダーステア/オーバーステア判定処理(オーバーステア状態判定手段)
30h   ステアリングギヤ比選択処理
30i   操舵状態判定処理     (操舵状態判定手段)
30j   目標実舵角修正処理    (目標実舵角修正手段)
32    ギヤ比可変ユニット    (伝達比可変手段)
32a   モータ          (電動モータ)
40    VGRS_ECU         (伝達比可変手段)
72    トルクセンサ       (操作状態検出手段)
74    実舵角センサ
FR、FL 操舵輪          (車両前方の車輪、前輪)
YG    横加速度センサ
YS    ヨーレートセンサ

Claims (7)

  1. ステアリングホイールと操舵輪とを連結する操舵伝達系の途中に電動モータの駆動により伝達比を可変する伝達比可変手段を備えた操舵装置であって、
    車両のステアリングホイールからサスペンションに至る操舵系に加わる操舵トルクおよび操舵力を含む操舵指標のうちの少くとも一つの操舵力指標を検出する操舵力指標検出手段と、
    前記操舵力指標検出手段の検出信号に基づき、前記車両前方の車輪に生ずるセルフアライニングトルクを推定するセルフアライニングトルク推定手段と、
    前記車両の状態量を検出する車両状態量検出手段と、
    前記車両状態量検出手段の検出信号に基づき、前記車両前方の車輪に対するサイドフォースおよび前輪スリップ角を含む前輪指標のうちの少くとも一つの前輪指標を推定する前輪指標推定手段と、
    前記前輪指標推定手段が推定した前輪指標に対する、前記セルフアライニングトルク推定手段が推定したセルフアライニングトルクの変化に基づき、少くとも前記車両前方の車輪に対するグリップ度を推定するグリップ度推定手段と、
    前記グリップ度推定手段により推定したグリップ度に基づいて、前記伝達比可変手段の伝達比を設定する伝達比設定手段と、
    を備えることを特徴とする操舵装置。
  2. 前記伝達比設定手段は、前記グリップ度が前記操舵輪のグリップ限界に近づくと、前記伝達比が増加するように前記伝達比を設定することを特徴とする請求項1記載の操舵装置。
  3. ステアリングホイールによる操舵速度を検出する操舵速度検出手段を備えた請求項1記載の操舵装置であって、
    前記伝達比設定手段は、前記グリップ度が前記操舵輪のグリップ限界に近づくと、前記操舵速度検出手段により検出した操舵速度に基づいて、前記伝達比が増加するように前記伝達比を設定することを特徴とする操舵装置。
  4. 車両の速度を検出する車速検出手段を備えた請求項1記載の操舵装置であって、
    前記伝達比設定手段は、前記グリップ度が前記操舵輪のグリップ限界に近づくと、前記車速検出手段により検出した車速に基づいて、前記伝達比が増加するように前記伝達比を設定することを特徴とする操舵装置。
  5. 車両状態がオーバーステア状態であることを判定するオーバーステア状態判定手段と、
    ステアリングホイールの回転が切戻し方向であることを検出する切戻し回転検出手段と、を備えた請求項1記載の操舵装置であって、
    前記伝達比設定手段は、前記グリップ度が前記操舵輪のグリップ限界に近づくと、前記伝達比が増加するように前記伝達比を設定し、
    前記オーバーステア状態判定手段により車両状態がオーバーステア状態であることを判定し、かつ、前記切戻し回転検出手段によりステアリングホイールの回転が切戻し方向であることを検出すると、前記伝達比設定手段は、前記伝達比が減少するように前記伝達比を設定することを特徴とする操舵装置。
  6. 車両の状態量から車両がオーバステアかアンダーステアかを判定するアンダーステア/オーバステア判定手段と、
    前記グリップ度推定手段のグリップ度と前記アンダーステア/オーバステア判定手段の判定結果に基づいて伝達比可変手段の伝達比を決定する伝達比決定手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の操舵装置。
  7. ステアリングホイールの操作状態を検出して操作信号を出力する操作状態検出手段と、
    車両速度を検出して車速信号を出力する車速検出手段と、
    前記操作状態検出手段により検出した操作信号および前記車速検出手段により検出した車速信号に基づいて、操舵輪の目標実舵角を決定する操舵角決定手段と、
    前記操舵角決定手段により決定された前記目標実舵角に前記操舵輪を制御する操舵輪制御手段と、
    車両のステアリングホイールからサスペンションに至る操舵系に加わる操舵トルクおよび操舵力を含む操舵指標のうちの少くとも一つの操舵力指標を検出する操舵力指標検出手段と、
    前記操舵力指標検出手段の検出信号に基づき、前記車両前方の車輪に生ずるセルフアライニングトルクを推定するセルフアライニングトルク推定手段と、
    前記車両の状態量を検出する車両状態量検出手段と、
    前記車両状態量検出手段の検出信号に基づき、前記車両前方の車輪に対するサイドフォースおよび前輪スリップ角を含む前輪指標のうちの少くとも一つの前輪指標を推定する前輪指標推定手段と、
    前記前輪指標推定手段が推定した前輪指標に対する、前記セルフアライニングトルク推定手段が推定したセルフアライニングトルクの変化に基づき、少くとも前記車両前方の車輪に対するグリップ度を推定するグリップ度推定手段と、
    を備え、
    前記操舵輪制御手段により、前記グリップ度推定手段により推定したグリップ度に基づいて前記操舵輪を制御することを特徴とする操舵装置。
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