JP2012236602A - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡易な構成でタイヤのグリップの喪失を検出でき、グリップロス度を位相補償し、補正操舵トルク又は補正係数を演算して電流指令値を高速に補正し、車両挙動の一層の安定化が可能な電動パワーステアリング装置を提供する。
【解決手段】モータの角速度に基づいて収れん性制御信号を出力する収れん性制御部と、車両のラック軸上に生じる外力をSAT検出値として検出するSAT検出部と、路面から生じるSATを車両モデルに基づいてSAT推定値として推定するSAT推定部と、SAT検出値及びSAT推定値に基づいてタイヤのグリップが失われた度合いを表すグリップロス度を検出するグリップロス度検出部と、グリップロス度を位相補償する位相補償部と、位相補償されたグリップロス度に基づいて補正操舵トルクを演算する補正値演算部とを具備し、補正操舵トルクと収れん性制御信号とで電流指令値を補正する。
【選択図】図6

Description

本発明は、車両の操舵系にモータによる操舵補助力を付与するようにした電動パワーステアリング装置に関し、特にセルフアライニングトルク推定値及びセルフアライニングトルク検出値からタイヤのグリップが失われた度合いを表すグリップロス度を検出し、タイヤのグリップが失われた場合においても、位相補償したグリップロス度に基づいて補正操舵トルク又は補正係数を演算して電流指令値を高速に補正し、車両の挙動を一層安定させることができる電動パワーステアリング装置に関する。
車両のステアリング装置をモータの回転力で補助負荷付勢する電動パワーステアリング装置は、モータの駆動力を、減速機を介してギア又はベルト等の伝達機構により、ステアリングシャフト或いはラック軸に補助負荷付勢するようになっている。かかる従来の電動パワーステアリング装置は、アシストトルク(操舵補助トルク)を正確に発生させるため、モータ電流のフィードバック制御を行っている。フィードバック制御は、電流指令値とモータ電流値との差が小さくなるようにモータ印加電圧を調整するものであり、モータ印加電圧の調整は、一般的にPWM(パルス幅変調)制御のデュ−ティ比の調整で行っている。
ここで、電動パワーステアリング装置の一般的な構成を図18に示して説明すると、ハンドル1のコラム軸2は減速ギア3、ユニバーサルジョイント4a及び4b,ピニオンラック機構5を経て操向車輪のタイロッド6に連結されている。コラム軸2には、ハンドル1の操舵トルクを検出するトルクセンサ10が設けられており、ハンドル1の操舵力を補助するモータ20が減速ギア3を介してコラム軸2に連結されている。パワーステアリング装置を制御するコントロールユニット30には、バッテリ14から電力が供給されると共に、イグニションキー11を経てイグニションキー信号が入力され、コントロールユニット30は、トルクセンサ10で検出された操舵トルクTと車速センサ12で検出された車速Vとに基づいてアシスト指令の電流指令値Iの演算を行い、演算された電流指令値Iに基づいてモータ20に供給する電流を制御する。
コントロールユニット30は主としてCPU(MPUやMCUを含む)で構成されるが、そのCPU内部においてプログラムで実行される一般的な機能を示すと図19のようになる。
図19を参照してコントロールユニット30の機能及び動作を説明すると、トルクセンサ10で検出された操舵トルクTは電流指令値演算部32に入力される。又、車速センサ12で検出された車速Vも電流指令値演算部32に入力される。電流指令値演算部32は、入力された操舵トルクT及び車速Vに基づいて、メモリ33に記憶されているアシストマップを参照してモータ20に供給する電流の制御目標値である電流指令値Iを決定する。電流指令値Iは減算部30Aに加算入力されると共に、応答速度を高めるためのフィードフォワード系の微分補償部34に入力され、減算部30Aの偏差(I−i)は比例演算部35に入力されると共に、フィードバック系の特性を改善するための積分演算部36に入力され、その比例出力は加算部30Bに入力される。微分補償部34及び積分補償部36の出力も加算部30Bに加算入力され、加算部30Bでの加算結果である電流制御値Eが、モータ駆動信号としてモータ駆動回路37に入力される。モータ駆動回路37にはバッテリ14から電力が供給され、モータ(M)20のモータ電流値iはモータ電流検出部38で検出され、モータ電流値iは減算部30Aに減算入力されてフィードバックされる。
このような電動パワーステアリング装置において、操舵性能の向上やコーナリング時の車両の挙動を安定するために、車両に取付けられた車輪を中立に戻そうとするトルクであるセルフアライニングトルク(以下、単に「SAT」とする)を求めて操舵制御に用いている。例えば特開2002−369565号公報(特許文献1)に示されるものは、モータの慣性力と静摩擦を予め算出して、モータ回転角速度、モータ回転角加速度、操舵信号及び操舵補助力を入力してSAT値を求め、求めたSAT値に基づいて操舵補助指令値にフィードバックフィルタを通してフィードバックすることにより操舵性能及び操舵フィーリングを向上するようにしている。
ここにおいて、SATを利用すると共に、タイヤのグリップが失われた場合においても車両の挙動を安定させる制御装置として、特開昭62−116355号公報(特許文献2)に示されるものがある。特許文献2の装置は、SATとサイドフォース(以下、「横力」とする)のスリップ角度との関係において、SATと横力とを時間で微分して、その微分値の符号を判定することによりコーナリングの限界を検出して車両の挙動を安定させている。また、特開2005−88648号公報(特許文献3)に示される装置では、操舵系に加わる操舵トルクを検出し、操舵トルクに基づいて前輪に生ずるSATを推定し、横加速度及びヨーレートに基づいて前輪に対するサイドフォースを推定し、サイドフォースに対するSATの変化に基づいて前輪に対するグリップ度を推定し、グリップ度がオーバステア開始閾値未満か否かを判定すると共に、グリップ度がオーバステア開始閾値未満のときに車両状態に応じて伝達比を制御している。
更に、特開2006−264392号公報(特許文献4)に示される反力装置の制御方法では、運転者が操作子を操作する際の反力を発生させる反力装置の制御方法において、車両の挙動が大きいほど大きな挙動反力を発生させ、規範ヨーレートと実ヨーレートとの偏差が大きいほど挙動反力が大きくなるように補正している。
その他、ESP(Electronic Stability Program)やVSC(Vehicle Stability Control)等では、ブレーキやエンジンからのタイヤの駆動をコントロールすることにより車両の挙動を制御するようにしている。
特開2002−369565号公報 特開昭62−116355号公報 特開2005−88648号公報 特開2006−264392号公報
しかしながら、特許文献2の装置では、コーナリングの限界か否かを判定するためにSAT及び横力の微分演算を行っており、一般的に微分演算はノイズなどの影響を受けやすいため判定精度が悪くなるという問題がある。
また、特許文献3の装置では、伝達比や操舵角を指令値とするためVGRS(Variable Gear Ratio System)機構を必要とする問題があり、更に、アクティブカウンタステア操舵角指令値を演算することにより不要なカウンタステアを避けるようにしており、グリップの限界に至る前から車両の挙動を安定させるようにしているため、制御要素が複雑になるといった問題がある。
更に、特許文献3のESC(Electronic Stability Control)やVSC等の車両の運動制御装置は主に制動力/駆動力制御装置であり、車両の挙動を安定させるために必要なヨーモーメントを左右輪の制動力差、駆動力差により発生させるため、グリップが大きく失われてから制御を開始しようとすると、それに伴って大きな制動力差、駆動力差が必要となるばかりでなく、必要なヨーモーメントを得られずに車両の挙動を安定することができなくなる場合もある。
更にまた、特許文献4の方法ではヨーレート偏差のみでタイヤのグリップ状況を推定しているので、正確なタイヤのグリップ状況を検出できない。そのため、例えば急激な切増しや切戻しの場合や、Uターン等の低速で大旋回する場合、タイヤのグリップが十分あるにも拘わらず、補正制御がオンになってしまい、運転者に不快感を与えてしまう問題がある。
本発明は上述のような事情によりなされたものであり、本発明の目的は、SATと横力の関係からグリップロス度を求めることにより、簡潔な構成でタイヤのグリップが失われたことを検出できると共に、位相補償されたグリップロス度に基づいて補正操舵トルク又は補正係数を演算して電流指令値を補正し、高速に車両挙動を安定させることができる電動パワーステアリング装置を提供することにある。
本発明は、少なくとも車両の操舵トルクに基づいて電流指令値を演算し、前記電流指令値によりハンドル操舵に補助力を付与するモータを制御する電動パワーステアリング装置に関し、本発明の上記目的は、前記モータの角速度を検出する角速度検出部と、前記角速度に基づいて収れん性制御信号を出力する収れん性制御部と、前記車両のラック軸上に生じる外力をSAT検出値として検出するSAT検出部と、路面から生じるSATを車両モデルに基づいてSAT推定値として推定するSAT推定部と、前記SAT検出値及び前記SAT推定値に基づいてタイヤのグリップが失われた度合いを表すグリップロス度を検出するグリップロス度検出部と、前記グリップロス度を位相補償する位相補償部と、前記位相補償されたグリップロス度に基づいて補正操舵トルクを演算する補正値演算部とを設け、前記補正操舵トルクと前記収れん性制御信号とで前記電流指令値を補正することにより達成され、前記位相補償部が位相進み補償になっていることにより、或いは前記位相補償部がローパスフィルタを具備していることにより、或いは前記補正値演算部が不感帯を有していることにより、より効果的に達成される。
また、本発明は、少なくとも車両の操舵トルクに基づいて電流指令値を演算し、前記電流指令値によりハンドル操舵に補助力を付与するモータを制御する電動パワーステアリング装置に関し、本発明の上記目的は、前記モータの角速度を検出する角速度検出部と、前記角速度に基づいて収れん性制御信号を出力する収れん性制御部と、前記車両のラック軸上に生じる外力をSAT検出値として検出するSAT検出部と、前記車両の横力を検出する横力検出部と、前記横力検出部で検出された横力に基づいてSAT推定値を推定するSAT推定部と、前記SAT検出値及び前記SAT推定値に基づいてタイヤのグリップが失われた度合いを表すグリップロス度を検出するグリップロス度検出部と、前記グリップロス度を位相補償する位相補償部と、前記位相補償されたグリップロス度に基づいて補正係数を演算する補正係数演算部とを設け、前記補正係数を用いて前記電流指令値を補正した後に前記収れん性制御信号を加算することにより達成され、前記位相補償部が位相進み補償になっていることにより、或いは前記位相補償部がローパスフィルタを具備していることにより、或いは前記横力検出部は、前記車両の車輪を支持するハブユニットで前記横力を検出することにより、或いは前記横力検出部は、前記車両のヨーレート及び横加速度に基づいて前記横力を検出するようになっていることにより、或いは前記横力検出部は、前記車両の車速及び操舵角に基づいて前記横力を検出するようになっていることにより、或いは前記補正係数が前記位相補償されたグリップロス度の正負に対して対称であり、前記グリップロス度の絶対値が小さいときに大きく、前記グリップロス度の絶対値が大きいときに小さくなっていることにより、より効果的に達成される。
更に、本発明は、少なくとも車両の操舵トルクに基づいて電流指令値を演算し、前記電流指令値によりハンドル操舵に補助力を付与するモータを制御する電動パワーステアリング装置に関し、本発明の上記目的は、前記モータの角速度を検出する角速度検出部と、前記角速度に基づいて収れん性制御信号を出力する収れん性制御部と、前記車両のラック軸上に生じる外力をSAT検出値として検出するSAT検出部と、車速及び操舵角に基づいてSAT推定値を推定するSAT推定部と、前記SAT検出値及び前記SAT推定値に基づいてタイヤのグリップが失われた度合いを表すグリップロス度を検出するグリップロス度検出部と、前記グリップロス度を位相補償する位相補償部と、前記位相補償されたグリップロス度に基づいて補正操舵トルクを演算する補正値演算部とを設け、前記補正操舵トルクと前記収れん性制御信号とで前記電流指令値を補正することにより達成され、前記位相補償部が位相進み補償になっていることにより、或いは前記位相補償部がローパスフィルタを具備していることにより、或いは前記補正値演算部が不感帯を有していることにより、より効果的に達成される。
本発明に係る電動パワーステアリング装置によれば、ステアリング系の運動方程式より検出されるSAT検出値と、横力から求まるSAT推定値(若しくは横力或いは車速と操舵角)との比較により、簡易な構成でタイヤのグリップが失われたことを検出できると共に、タイヤのグリップが失われた場合においても、位相補償されたグリップロス度によって車両状態を判定し、グリップが戻る方向に操舵を促すように補正操舵トルク又は補正係数を演算して電流指令値を補正するようにしているので、高速に車両の挙動を安定させることができる。
本発明ではグリップロス度の位相補償(進み補償)を行っており、タイヤのグリップ力が失われたときにより速く補正できるため、走行安定性が一層向上する特徴がある。
路面からステアリングまでの間に発生するトルクの様子を示す模式図である。 タイヤの進行方向とスリップ角によるSAT及び横力の関係を示す図である。 横力の着力点とトレールの関係を示す図である。 スリップ角とトルクの関係を示すグラフに、横力とSATの比較を示す図である。 スリップ角とトルクの関係を示すグラフに、SATaとSATbを比較してグリップロス度を示す図である。 本発明に係る電動パワーステアリング装置の第1実施形態の構成例を示すブロック図である。 位相補償部の構成例を示すブロック図である。 補正値演算部の特性例を示す図である。 本発明の第1実施形態の制御動作例を示すフローチャートである。 本発明に係る電動パワーステアリング装置の第2実施形態の構成例を示すブロック図である。 補正係数演算部の特性例を示す図である。 本発明の第2実施形態の制御動作例を示すフローチャートである。 本発明に係る電動パワーステアリング装置の第3実施形態の構成例を示すブロック図である。 車速と操舵角によりSATを求める場合の特性例を示す図である。 本発明に係る電動パワーステアリング装置の第4実施形態の構成例を示すブロック図である。 補正係数演算部の特性例を示す図である。 本発明の第4実施形態の制御動作例を示すフローチャートである。 一般的な電動パワーステアリング装置の構成例を示す図である。 従来の電動パワーステアリング装置におけるモータ制御系の一例を示すブロック図である。
前述より、グリップが大きく失われていない状態では、制動力/駆動力制御装置によって車両挙動を立て直すことができるので、ステアリングの役割はグリップが大きく失われた状態から制動力/駆動力装置が車両挙動を立て直せるグリップ状態まで戻すことが必要である。
このことを前提に本発明に係る電動パワーステアリング装置は、力の釣り合いを考慮した運動方程式よりSATを検出するSAT検出部と、横力及びトレールの関係或いは車速、操舵角よりSATを推定するSAT推定部とを設け、グリップロス度検出部にてSAT検出値とSAT推定値(若しくは横力)を比較してタイヤのグリップロス度を検出する。そして、グリップロス度を位相補償(進み補償)し、位相補償されたグリップロス度に基づいてタイヤのグリップが戻る方向へ操舵を促すような補正操舵トルク又は補正係数を算出する。算出された補正操舵トルク又は補正係数で電流指令値の補正を行う。
これにより、タイヤのグリップが失われた場合においても、車両挙動を立て直せるグリップ状態まで戻すことができ、位相補償の補正を行っているために車両の挙動を高速に安定させて操舵を行うことができる。なお、速く補正する手法として、開始スレッショルドを小さくすることも考えられるが、開始スレッショルドを小さくし過ぎると、タイヤのグリップが十分ある普通の運転においても補正制御が実行されてしまう可能性があり、運転者に不快感を与える問題がある。そのため、本発明では、グリップロス度の位相補償(進み補償)を行ってから電流指令値の補正を行うようにしている。
以下に本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
先ず、本発明の原理を説明する。
SATはハンドルを元の位置に戻そうとする力であり、図1に示すように運転者がハンドルを操舵することによって操舵トルクTが発生し、その操舵トルクTに従ってモータMがアシストトルクTmを発生し、アシストトルクTmが1:nの減速歯車を経て伝達される。その結果、車輪が転舵され、ラック軸上にタイヤから生じる外力(反力)としてSATが発生する。その際、モータMの慣性J及び摩擦(静摩擦)Frによってハンドル操舵の抵抗となるトルクが生じ、これらの力の釣り合いを考えると下記数1の運動方程式が得られる。なお、ωはモータ角速度、*ωはモータ角加速度である。
(数1)
J・*ω+Fr・sign(ω)+SAT=Tm+T

ここで、上記数1を初期値ゼロとしてラプラス変換し、SATについて解くと下記数2が得られ、SATを検出することができる(検出値を「SATa」とする)。なお、“s”はラプラス演算子である。
(数2)
SATa(s)
=Tm(s)+T(s)−J・*ω(s)−Fr・sign(ω(s))

更に、タイヤが横滑りしながら転動する車両運動の様子をモデル化して図2及び図3に示す。図2ではタイヤが接地面全体において発生する横力はトレッド部の横方法への変形面積(斜線部)となり、SATがスリップ角を減少させる方向に働く様子を示している。また、図3は、横力の着力点(接地面の中心点)がタイヤの中心線よりもニューマチックトレール分だけ後方にあることを示しており、ハンドルの戻りを良くするためのキャスタ角によるキャスタトレールがタイヤの中心線より前方にあることを示している。そして、ニューマチックトレールとキャスタトレールの加算値がトレールとなる。
図2及び図3より、SATは横力Fyとトレールの積(横力Fy×トレール)であることが分かる。即ち、トレールをεnとすると、SAT(推定値を「SATb」とする)は下記数3で求めることができる。
(数3)
SATb=εn・Fy

なお、重心から後輪までの距離をL2(固定値)、車両重量をm、横加速度をGy、車両慣性モーメントをMo、ヨーレートγの微分値をdγ/dt、ホイールベースをLとして、横力Fyは下記数4により求めることができる。
(数4)
Fy=(L2・m・Gy+Mo・dγ/dt)/L

一方、図4は横力FyとSATの特性をスリップ角に対して示す特性図であり、横力FyとSATはスリップ角に対して非線形な特性となっている。そして、SATは横力Fy×トレールであり、キャスタトレールは固定値であることから、SATの横力Fyに対する非線形特性はニューマチックトレールの変化を直接表すことになる。また、SATの横力に対する特性は、図3における滑り域が増大し、ニューマチックトレールが減少することによって生じる。更に、SATは横力Fyとトレールの積であり、線形領域では滑り域は増加せず、ニューマチックトレールは一定値であるから、線形領域でのニューマチックトレールとキャスタトレールとの和、つまりトレールεnで横力FyをSATの次元に合わせてSAT推定値SATbとして図示すると図5のようになる。
ここで、ニューマチックトレールが一定であれば、SAT検出値SATaと横力Fy(SAT推定値SATbに相当)は同じ軌跡を辿るが、滑り域が増大してニューマチックトレールが減少するとSAT検出値SATaと横力Fyに差が生じる。この差はグリップが失われた度合いを表し、これを本発明では「グリップロス度」とする。上記数2で算出されたSAT検出値SATaと、上記数3で算出されたSAT推定値SATbを下記数5により比較する。
(数5)
g=SATb−SATa

上記数5で算出されるグリップロス度gにより、車両のグリップが失われた度合いを推定することができる。
図5はSAT検出値SATaとSAT推定値SATb(トレールεnが一定の場合は横力Fy)とを比較して示す特性図であり、スリップ角が大きくなるに従ってSATが失われる様子を示しており、上記数5により求まるSAT検出値SATaとSAT推定値SATbとの差をグリップロス度g(図中網掛け部)として示している。
ここで、グリップロス度gが所定値以上の場合はタイヤのグリップが大きく失われていると判定され、その後、タイヤのグリップが戻る方向に操舵を促すように電流指令値を与える必要がある。このため、検出されるグリップロス度gの大きさに応じて、通常通りの操舵補助を行う通常作動領域と、ESCやVSCにより車両の挙動安定制御を行うESC作動領域と、補正操舵トルクによる車両の挙動安定制御を行う補正ステアリング作動領域とに判別して制御するための所定値Aを設定している。ESCやVSCを用いた車両のパワーステアリング装置では、図5に示すようにESC作動領域と補正ステアリング作動領域との判別を、グリップロス度gと所定値Aの大きさで判別する。そして、グリップロス度gが所定値Aより小さい場合には、通常作動領域或いはESC作動領域として通常の操舵補助、或いはESCやVSC等の運動制御装置で制御を行う。また、グリップロス度gが所定値A以上の場合には、補正ステアリング作動領域としてタイヤのグリップが戻る方向に操舵を促す。つまり、検出されるグリップロス度gをESCやVSC作動領域まで戻すように、遅れなく高速に補正操舵トルクThを演算して電流指令値を補正する。
以上のことより、本発明ではグリップロス度gを位相補償(進み補償)し、位相補償されたグリップロス度Gに基づいて操舵のための電流指令値を高速に補正する。電流指令値の補正は、遅れなく高速に行う必要がある。
次に、本発明の第1実施形態の構成例を、図6を参照して説明する。
先ず、トルクセンサ10からの操舵トルクTは電流指令値演算部40及びSAT検出部46に入力され、車速センサ12からの車速Vは電流指令値演算部40に入力され、電流指令値演算部40は操舵トルクT及び車速Vに基づいて電流指令値Iaを演算し、演算された電流指令値IaはSAT検出部46及び加算部52Aに入力され、加算部52Aの加算結果である電流指令値Ibは減算部52Eに加算入力される。減算部52Eには、モータ電流検出部62で検出されたモータ電流値iがフィードバックされており、減算部52Eで求められる偏差(Ib−i)が電流指令値Icとして電流制御部41に入力され、電流制御部41でPI制御等の処理を施され、更にPWM制御部42でPWM信号処理されてインバータ回路43によりモータ(M)60が駆動される。
モータ(M)60にはレゾルバやホール素子等の回転センサ61が設けられており、回転センサ61からの角度θは角速度検出部63に入力され、角速度検出部63は角度θに基づいて角速度ωを検出し、角速度ωはSAT検出部46、収れん性制御部44及び角加速度検出部64に入力される。また、角加速度検出部64で検出された角加速度*ωはSAT検出部46及び慣性補償部45に入力される。収れん性制御部44からの収れん性制御信号CM2は加算部52Bに入力され、慣性補償部45からの慣性補償信号CM1は減算部52Cに入力される。
ここで、SAT検出部46は前記数2に基づいてSATを検出する。即ち、モータ(M)60の慣性J及び静摩擦Frを定数として求めておき、操舵トルクT、モータ角速度ω、モータ角加速度*ω及び電流指令値Iaに基づいてSATを検出する。SAT検出部46で検出されたSAT検出値SATaはグリップロス度検出部50に入力される。
更に、横力検出部65は、車両に設けられた横加速度センサからの横加速度Gy及びヨーレートセンサからのヨーレートγに基づいて前記数4により横力Fyを検出し、検出された横力FyはSAT推定部47に入力され、SAT推定部47は横力Fyと予め実験等により求められたトレールεnを用いて前記数3よりSAT推定値SATbを推定する。
グリップロス度検出部50は、SAT検出部46より求められたSAT検出値SATaとSAT推定部47より求められたSAT推定値SATbとを前記数5より比較してグリップロス度gを求め、グリップロス度gを位相補償部51に入力する。位相補償部51はグリップロス度gを位相補償(進み補償)し、位相補償されたグリップロス度Gを出力する。グリップロス度Gは補正値演算部53に入力され、演算された補正操舵トルクThが減算部52Cに減算入力され、電流指令値Iaの補正が実行される。
グリップロス度gが入力される位相補償部51は図7に示すように、1次式伝達関数要素の位相進み補償部511と、高中周波数成分のノイズを除去するためのローパスフィルタ512とで構成されている。位相進み補償部511の“s”はラプラス演算子であり、“T”及び“T”は目標周波数領域でグリップロス度を進めるように設定されるパラメータである。また、位相補償されたグリップロス度Gが入力される補正値演算部53では、図8に示すように+G1〜−G1の範囲を不感帯として前述の所定値Aが設定されており、不感帯値G1及び−G1を超えるとグリップロス度Gが小さいときは小さく、グリップロス度Gが大きいときは大きな補正操舵トルクThが算出され、更に上限値G2又は下限値−G2を超えると一定値の補正操舵トルクThが飽和値として出力される。補正操舵トルクThは減算部52Cに入力されて慣性補償部45からの慣性補償信号CM1から減算され、減算結果CM3は加算部52Bに入力されて収れん性制御部44からの収れん性制御信号CM2と加算され、その加算結果である補正信号CM4が加算部52Aに入力されて電流指令値Iaを補正する。
このような構成において、その動作例を図9のフローチャートを参照して説明する。
先ず、操舵トルクTを入力し(ステップS1)、車速Vを入力し(ステップS2)、電流指令値Iaを演算する(ステップS3)。更にヨーレートを入力し(ステップS4)、横加速度を入力する(ステップS5)。なお、これら情報の入力順序は適宜変更可能である。そして、回転センサ61から角度θを入力し(ステップS6)、角速度検出部63が角速度ωを検出し、角加速度検出部64が角加速度*ωを検出し、これらデータを入力する(ステップS7)。SAT検出部46は操舵トルクT、車速V、角速度ω及び角加速度*ωに基づいてSAT検出値SATaを検出し(ステップS8)、横力検出部65はヨーレート及び横加速度に基づいて横力Fyを検出し(ステップS9)、SAT推定部47はSAT推定値SATbを推定する(ステップS10)。
次に、グリップロス度検出部50はSAT検出値SATa及びSAT推定値SATbに基づいてグリップロス度gを検出し(ステップS11)、グリップロス度gを位相補償部51に入力して位相進み補償し(ステップS12)、位相補償されたグリップロス度Gを補正値演算部53に入力してグリップロス度Gが所定値A以上であるか否かを判定する(ステップS13)。そして、グリップロス度Gが所定値A以上であれば補正ステアリング作動領域であるので、図8に示すような特性式に従って補正操舵トルクThを演算して出力し(ステップS14)、更に慣性補償信号CM1及び収れん性制御信号CM2の補償値を演算し(ステップS15)、補正操舵トルクThを補償値から減算して電流指令値Iaに加算して補正し(ステップS16)、これによりモータ(M)60を駆動する(ステップS17)。
一方、上記ステップS13でグリップロス度Gが所定値Aよりも小さい場合には、補正操舵トルクThを演算して出力せず、通常操舵とする。
図10は本発明の第2実施形態の構成例を図6に対応させて示すブロック図であり、本例ではグリップロス度Gに基づいて補正係数演算部55で演算した補正係数Ctを、電流指令値Iaの経路に設けられた乗算部54に入力し、乗算部54で電流指令値Iaと補正係数Ctを乗算し、乗算され補正された電流指令値Idを加算部52Aに入力している。補正係数演算部55は図11に示されるように、グリップロス度Gに対して左右対称なテーブルマウンテン形状の特性の補正係数Ctを出力する。即ち、グリップロス度Gの正特性では、グリップロス度G3までは一定値Ct2であり、グリップロス度G3からG4まで線形に減少し、グリップロス度G4以上では一定値Ct1(<Ct2)を保持し、負特性は正特性と対称になっている。位相補償部51は図7の構成と同様である。
また、慣性補償信号CM1と収れん性制御信号CM2とが加算部52Dで加算され、加算された補正信号CM5が加算部52Aに入力されて電流指令値Idと加算され、その加算結果である電流指令値Ibに基づいてモータ(M)60を駆動する。
かかる構成によっても、位相補償されたグリップロス度Gに基づく補正係数Ctで電流指令値Iaを補正できるので、同様な効果が得られる。
上記第2実施形態の動作例を図12のフローチャートを参照して説明する。
先ず、操舵トルクTを入力し(ステップS20)、車速Vを入力し(ステップS21)、電流指令値Iaを演算する(ステップS22)。更に角度θを入力し(ステップS23)、角速度検出部63が角速度ωを検出し、角加速度検出部64が角加速度*ωを検出し、これらデータを入力する(ステップS24)。なお、これら情報の入力順序は適宜変更可能である。SAT検出部46は操舵トルクT、車速V、角速度ω及び角加速度*ωに基づいてSAT検出値SATaを検出し(ステップS25)、横力検出部65は横力Fyを検出し(ステップS26)、SAT推定部47はSAT推定値SATbを推定する(ステップS27)。
次に、グリップロス度検出部50はSAT検出値SATa及びSAT推定値SATbに基づいてグリップロス度gを検出し(ステップS28)、グリップロス度gを位相補償部51に入力して位相進み補償し(ステップS29)、位相補償されたグリップロス度Gを補正係数演算部55に入力し補正係数Ctを演算する(ステップS30)。そして、補正係数Ctを乗算部54で電流指令値Iaに乗算して補正し(ステップS31)、慣性補償信号CM1及び収れん性制御信号CM2の補償値を演算し(ステップS32)、補償値を補正された電流指令値Idに加算してモータ(M)60を駆動する(ステップS33)。
なお、前述の各実施形態では、ヨーレートγ、横加速度Gy及び車両運動モデルに基づいて横力Fyを推定し、横力Fyに基づいてSATを推定しているが、同様に水平面における車両運動モデル、車速V及び操舵角θを用いてSATを推定することができる。この場合の実施形態は図13の構成(第3実施形態)となり、SAT推定部47は車速V及び操舵角θに基づいてSAT推定値SATbを求め、SAT推定値SATbをグリップロス度検出部50に入力している。位相補償部51は図7の構成であり、補正値演算部53は図8の特性を有している。
ここにおいて、ヨーレートγとスリップ角β、車速Vと操舵角θの関係は下記数6で表される。
Figure 2012236602
そして、SATはスリップ角βの関数として表すことができ、ヨーレートγとスリップ角βを車速Vと操舵角θの関数として整理すれば、SAT推定値SATbを求めることができる。車速Vと操舵角θよりSAT推定値SATbを求めると、図14のようになる。この特性は実験によって、車両毎の特性値を測定してから、車両運動モデルを用いてシミュレーションによって作成しても良い。
前述の実施形態と同様に、車両運動モデルに基づいて推定されたSAT推定値SATbとラック軸上に作用する外力として検出されたSAT検出値SATaとの差は、車両運動モデルで仮定されたグリップ状態が失われたことを示しているため、車両のグリップが失われた度合いを得ることができる。車両のグリップが失われたことを検出した場合、グリップが戻る方向(スリップ角が減少する方向)にアシストすることで、車両挙動を安定化させることができる。
更に上記実施形態の他に、本発明は、車両のラック軸上に生じる外力をSAT検出値として検出するSAT検出部と、前記車両の車速及び操舵角或いは車両モデルに基づいてSAT推定値を推定するSAT推定部と、前記SAT検出値及び前記SAT推定値に基づいてタイヤのグリップが失われた度合いを表すグリップロス度を検出するグリップロス度検出部と、前記グリップロス度を位相補償する位相補償部と、前記位相補償されたグリップロス度に基づいて補正係数を演算する補正係数演算部と、前記補正係数で前記モータの角速度絶対値を補正して補正操舵トルクを出力する補正部とを設け、前記補正操舵トルクで前記電流指令値を補正する構成としても良く、前記補正部が、前記角速度の絶対値を求める絶対値演算部と、前記補正係数を前記角速度の絶対値で乗算する乗算部とで構成するか、或いは前記補正部が更に前記乗算部の出力を制限するリミッタを具備しているか、或いは前記補正係数演算部が不感帯を有しているか、或いは前記位相補償部が位相進み補償になっているか、或いは前記位相補償部がローパスフィルタを具備することとしても良い。そして、この場合を本発明の第4実施形態とした場合の構成例を、図13に対応させた図15に示して説明する。
本実施形態では、角速度ωは絶対値演算部57に入力されて角速度絶対値|ω|が演算され、角速度絶対値|ω|は乗算部58に入力される。そして、グリップロス度検出部50で検出されたグリップロス度gは位相補償部51で位相補償(進み補償)され、位相補償されたグリップロス度Gが補正係数演算部56に入力される。補正係数演算部56で演算された補正係数Ctaが乗算部58に入力され、乗算部58で角速度絶対値|ω|と補正係数Ctaが乗算され、乗算結果である補正操舵トルクThaが最大値及び上限値を制限するリミッタ59に入力される。リミッタ59で上下限値を制限された補正操舵トルクThbが減算部52Cに入力されて慣性補償信号CM1から減算され、減算結果が加算部52Bで収れん性制御信号CM2と加算され、前述のようにして電流指令値Iaを補正する。絶対値演算部57、乗算部58及びリミッタ59で補正部を構成している。
なお、補正係数演算部56は図16に示すような特性となっており、G5〜−G5の不感帯(所定値A)を持っている。また、SAT推定部47は車速V及び操舵角θでSAT推定値SATbを推定しているが、第1実施形態又は第2実施形態と同様に横力検出部からの横力Fyで推定することも可能である。
このような構成において、その動作例を図17のフローチャートを参照して説明する。
先ず、操舵トルクTを入力し(ステップS40)、車速Vを入力し(ステップS41)、電流指令値Iaを演算する(ステップS42)。そして、角度θを入力し(ステップS43)、角速度検出部63が角速度ωを検出し、角加速度検出部64が角加速度*ωを検出し、これらデータを入力する(ステップS44)。なお、これら情報の入力順序は適宜変更可能である。SAT検出部46は操舵トルクT、車速V、角速度ω及び角加速度*ωに基づいてSAT検出値SATaを検出し(ステップS45)、SAT推定部47はSAT推定値SATbを推定する(ステップS46)。
次に、グリップロス度検出部50はSAT検出値SATa及びSAT推定値SATbに基づいてグリップロス度gを検出し(ステップS47)、グリップロス度gを位相補償部51に入力して位相進み補償し(ステップS48)、位相補償されたグリップロス度Gを補正係数演算部55に入力してグリップロス度Gが所定値A以上であるか否かを判定する(ステップS50)。そして、グリップロス度Gが所定値A以上であれば補正ステアリング作動領域であるので、図16に示すような特性式に従って補正係数Ctaを演算する(ステップS51)。また、絶対値演算部57は角速度ωの絶対値|ω|を演算し(ステップS52)、乗算部58は補正係数Ctaと角速度絶対値|ω|を乗算して補正操舵トルクThaを求め(ステップS53)、リミッタ59でリミッタ処理を行う(ステップS54)。
更に、慣性補償信号CM1及び収れん性制御信号CM2の補償値を演算し(ステップS55)、補償値から補正操舵トルクThbを減算して電流指令値Iaを補正し(ステップS56)、これによりモータ(M)60を駆動する(ステップS57)。
一方、上記ステップS50でグリップロス度Gが所定値Aよりも小さい場合には、補正係数Ctaを演算して出力せず、通常操舵とする。
なお、横力検出部65はハブ等に設けられた横力センサであっても良く、計測された横力FyをSAT推定部47に入力するようにしても良い。また、上述ではトレールεnが変化すると仮定してSAT推定値SATbをSAT検出値SATaと比較しているが、トレールεnが一定の場合には、SAT検出値SATaとトレールεnによってグリップロス度gを求めることができる。
更に、前述の各実施形態では収れん性制御部44及び慣性補償部45を設けて補償系を構成しているが、本発明の実施上では必ずしも必須のものではない。また、電流指令値を補正操舵トルク又は補正係数で補正するようにしているが、操舵補助指令値の補正であっても同様である。
1 ハンドル
2 コラム軸
10 トルクセンサ
12 車速センサ
30 コントロールユニット
40 電流指令値演算部
41 電流制御部
42 PWM制御部
43 インバータ回路
44 収れん性制御部
45 慣性補償部
46 SAT検出部
47 SAT推定部
50 グリップロス度検出部
51 位相補償部
53 補正値演算部
54、58 乗算部
55、56 補正係数演算部
57 絶対値演算部
59 リミッタ
60 モータ(M)
61 回転センサ
62 電流検出部
63 角速度検出部
64 角加速度検出部
65 横力推定部

Claims (15)

  1. 少なくとも車両の操舵トルクに基づいて電流指令値を演算し、前記電流指令値によりハンドル操舵に補助力を付与するモータを制御する電動パワーステアリング装置において、前記モータの角速度を検出する角速度検出部と、前記角速度に基づいて収れん性制御信号を出力する収れん性制御部と、前記車両のラック軸上に生じる外力をSAT検出値として検出するSAT検出部と、路面から生じるSATを車両モデルに基づいてSAT推定値として推定するSAT推定部と、前記SAT検出値及び前記SAT推定値に基づいてタイヤのグリップが失われた度合いを表すグリップロス度を検出するグリップロス度検出部と、前記グリップロス度を位相補償する位相補償部と、前記位相補償されたグリップロス度に基づいて補正操舵トルクを演算する補正値演算部とを具備し、前記補正操舵トルクと前記収れん性制御信号とで前記電流指令値を補正することを特徴とする電動パワーステアリング装置。
  2. 前記位相補償部が位相進み補償になっている請求項1に記載の電動パワーステアリング装置。
  3. 前記位相補償部がローパスフィルタを具備している請求項1又は2に記載の電動パワーステアリング装置。
  4. 前記補正値演算部が不感帯を有している請求項1乃至3のいずれかに記載の電動パワーステアリング装置。
  5. 少なくとも車両の操舵トルクに基づいて電流指令値を演算し、前記電流指令値によりハンドル操舵に補助力を付与するモータを制御する電動パワーステアリング装置において、前記モータの角速度を検出する角速度検出部と、前記角速度に基づいて収れん性制御信号を出力する収れん性制御部と、前記車両のラック軸上に生じる外力をSAT検出値として検出するSAT検出部と、前記車両の横力を検出する横力検出部と、前記横力検出部で検出された横力に基づいてSAT推定値を推定するSAT推定部と、前記SAT検出値及び前記SAT推定値に基づいてタイヤのグリップが失われた度合いを表すグリップロス度を検出するグリップロス度検出部と、前記グリップロス度を位相補償する位相補償部と、前記位相補償されたグリップロス度に基づいて補正係数を演算する補正係数演算部とを具備し、前記補正係数を用いて前記電流指令値を補正した後に前記収れん性制御信号を加算することを特徴とする電動パワーステアリング装置。
  6. 前記位相補償部が位相進み補償になっている請求項5に記載の電動パワーステアリング装置。
  7. 前記位相補償部がローパスフィルタを具備している請求項5又は6に記載の電動パワーステアリング装置。
  8. 前記横力検出部は、前記車両の車輪を支持するハブユニットで前記横力を検出する請求項5乃至7のいずれかに記載の電動パワーステアリング装置。
  9. 前記横力検出部は、前記車両のヨーレート及び横加速度に基づいて前記横力を検出するようになっている請求項5乃至7のいずれかに記載の電動パワーステアリング装置。
  10. 前記横力検出部は、前記車両の車速及び操舵角に基づいて前記横力を検出するようになっている請求項5乃至7のいずれかに記載の電動パワーステアリング装置。
  11. 前記補正係数が前記位相補償されたグリップロス度の正負に対して対称であり、前記グリップロス度の絶対値が小さいときに大きく、前記グリップロス度の絶対値が大きいときに小さくなっている請求項5乃至10のいずれかに記載の電動パワーステアリング装置。
  12. 少なくとも車両の操舵トルクに基づいて電流指令値を演算し、前記電流指令値によりハンドル操舵に補助力を付与するモータを制御する電動パワーステアリング装置において、前記モータの角速度を検出する角速度検出部と、前記角速度に基づいて収れん性制御信号を出力する収れん性制御部と、前記車両のラック軸上に生じる外力をSAT検出値として検出するSAT検出部と、車速及び操舵角に基づいてSAT推定値を推定するSAT推定部と、前記SAT検出値及び前記SAT推定値に基づいてタイヤのグリップが失われた度合いを表すグリップロス度を検出するグリップロス度検出部と、前記グリップロス度を位相補償する位相補償部と、前記位相補償されたグリップロス度に基づいて補正操舵トルクを演算する補正値演算部とを具備し、前記補正操舵トルクと前記収れん性制御信号とで前記電流指令値を補正することを特徴とする電動パワーステアリング装置。
  13. 前記位相補償部が位相進み補償になっている請求項12に記載の電動パワーステアリング装置。
  14. 前記位相補償部がローパスフィルタを具備している請求項12又は13に記載の電動パワーステアリング装置。
  15. 前記補正値演算部が不感帯を有している請求項12乃至14のいずれかに記載の電動パワーステアリング装置。
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