JP5034764B2 - 電動パワーステアリング装置の制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両のステアリング機構に対し、モータにより操舵補助力を付与するようにした電動パワーステアリング装置の制御装置に関し、特に、タイヤのグリップが失われた場合であっても、車両挙動を安定させることの可能な電動パワーステアリング装置の制御装置に関する。
従来、ステアリング装置として、ドライバがステアリングホイールを操舵する操舵トルクに応じてモータを駆動することにより、ステアリング機構に操舵補助力を与える電動パワーステアリング装置が普及している。
また、このような電動パワーステアリング装置において、操舵性能の向上やコーナリング時の車両の挙動を安定させるために、車両に取り付けられた車輪を中立に戻そうとするトルクであるセルフアライニングトルクを求めて操舵制御に用いたもの、さらにタイヤのグリップ状態を考慮して操舵制御を行うようにしたもの等も提案されている。
このタイヤのグリップ状態を算出する方法としては、例えば規範ヨーレートと実ヨーレートとの偏差をタイヤのグリップ状態相当の値として用いたものも提案されており、規範ヨーレートと実ヨーレートとの偏差が大きくグリップ力が小さいと予測されるときほどドライバに作用する反力が大きくなるように、操舵補助トルクを補正することで走行安定性を向上させるようにしたものも提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2006−264392号公報
しかしながら、上述のように、規範ヨーレートと実ヨーレートとの偏差をグリップ状態相当の値として用いた場合、これらヨーレートの偏差は、グリップ状態を表すものの、実際のグリップ状態との間に誤差が生じてしまう。
このため、規範ヨーレートと実ヨーレートとの偏差からグリップ状態を推定しこれに基づき操舵補助トルクを補正するようにした場合、実際には、タイヤのグリップ力が十分であるにも関わらず、操舵補助トルクが補正される可能性があり、特に、急な切り増し操作や切り戻し操作が行われた場合、また、Uターンする場合等、低速で大きく旋回する場合等に、十分な操舵補助力が発生されずドライバに違和感を与える可能性がある。
また、規範ヨーレートと実ヨーレートとの偏差から推定されるグリップ状態に基づき操舵補助トルクを補正した場合、車両のステア状態がオーバーステア状態にあるか、アンダーステア状態にあるかに関わらず、同じように補正が行われるため、オーバーステア状態にある場合には必要な旋回状態にまで回復させることができず必要なグリップ状態を確保することができなかったり、逆にアンダーステア傾向にある場合には必要以上に旋回度合を抑制してしまい、ドライバに違和感を与えたりする可能性があるという問題がある。
そこで、この発明は上記従来の未解決の問題点に着目してなされたものであり、車両のグリップ状態に応じて、グリップを失うことなく車両挙動を安定させることの可能な電動パワーステアリング装置の制御装置を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る電動パワーステアリング装置の制御装置は、車両のステアリング機構に入力される操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段と、前記操舵トルクに基づいて操舵補助指令値を算出する操舵補助指令値演算手段と、を有し、前記操舵補助指令値に基づいて前記ステアリング機構に操舵補助力を付与するモータを駆動する電動パワーステアリング装置の制御装置において、前記操舵補助指令値演算手段は、車両のステア状態を判定するステア状態判定手段と、タイヤのグリップが失われた度合を表すグリップロス度を検出するグリップロス度検出手段と、前記操舵トルクに基づき前記モータの電流指令値を算出する電流指令値演算手段と、前記ステア状態判定手段で判定したステア状態及び前記グリップロス度検出手段で検出したグリップロス度に基づいて前記電流指令値演算手段で算出した電流指令値を補正しこれを前記操舵補助指令値とする補正手段と、を備え、前記補正手段は、前記ステア状態がオーバーステア状態であるときには、前記グリップロス度が予め設定したオーバーステア状態時のしきい値以上となったとき前記電流指令値の補正を開始し、前記アンダーステア状態であるときには、前記グリップロス度が予め設定したアンダーステア状態時のしきい値以上となったとき前記電流指令値の補正を開始し、前記オーバーステア状態時のしきい値は、前記アンダーステア状態時のしきい値よりも小さな値に設定されることを特徴としている。
また、請求項2に係る電動パワーステアリング装置の制御装置は、前記グリップロス度の変化に対する、前記電流指令値の補正度合の変化は、前記ステア状態がオーバーステア状態であるときの方が、アンダーステア状態にあるときよりも大きいことを特徴としている。
また、請求項3に係る電動パワーステアリング装置の制御装置は、車両のステアリング機構に入力される操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段と、前記操舵トルクに基づいて操舵補助指令値を算出する操舵補助指令値演算手段と、を有し、前記操舵補助指令値に基づいて前記ステアリング機構に操舵補助力を付与するモータを駆動する電動パワーステアリング装置の制御装置において、前記操舵補助指令値演算手段は、車両のステア状態を判定するステア状態判定手段と、タイヤのグリップが失われた度合を表すグリップロス度を検出するグリップロス度検出手段と、前記操舵トルクに基づき前記モータの電流指令値を算出する電流指令値演算手段と、前記ステア状態判定手段で判定したステア状態及び前記グリップロス度検出手段で検出したグリップロス度に基づいて前記電流指令値演算手段で算出した電流指令値を補正しこれを前記操舵補助指令値とする補正手段と、を備え、前記グリップロス度の変化に対する、前記電流指令値の補正度合の変化は、前記ステア状態がオーバーステア状態であるときの方が、アンダーステア状態にあるときよりも大きいことを特徴としている。
また、請求項4に係る電動パワーステアリング装置の制御装置は、前記補正手段は、前記グリップロス度が大きいときほど、前記操舵補助力がより小さくなるように前記電流指令値を補正し、且つ前記ステア状態がオーバーステア状態であるときとアンダーステア状態であるときとで、異なる特性で前記補正を行うことを特徴としている。
また、請求項5に係る電動パワーステアリング装置の制御装置は、前記補正手段は、前記グリップロス度及び前記ステア状態に応じて前記電流指令値を補正するための補正値を算出し、当該補正値を前記電流指令値から減算した値を前記操舵補助指令値とすることを特徴としている。
また、請求項6に係る電動パワーステアリング装置の制御装置は、前記補正手段は、前記グリップロス度及び前記ステア状態に応じて前記電流指令値を補正するための補正係数を算出し、当該補正係数を、前記電流指令値に乗算した値を前記操舵補助指令値とすることを特徴としている。
また、請求項7に係る電動パワーステアリング装置の制御装置は、前記補正手段は、ステアリングホイールの操舵速度を検出する操舵速度検出手段を備え、当該操舵速度検出手段で検出される操舵速度が大きいときほどより小さくなるように前記電流指令値を補正することを特徴としている。
また、請求項8に係る電動パワーステアリング装置の制御装置は、前記ステアリング機構は、転舵輪を操舵するタイロッドに接続されているラックを有し、前記グリップロス度検出手段は、前記ラック上に生じる外力をセルフアライニングトルク演算値として算出するSAT演算部と、路面から生じるセルフアライニングトルクを車両運動モデルに基づいてセルフアライニングトルク推定値として推定するSAT推定部と、前記SAT演算部で算出されたセルフアライニングトルク演算値及び前記SAT推定部で推定されたセルフアライニングトルク推定値の偏差に基づいて前記グリップロス度を算出するグリップロス度検出部と、を備えることを特徴としている。
また、請求項9に係る電動パワーステアリング装置の制御装置は、車速を検出する車速検出手段と、ステアリングホイールの操舵角を検出する操舵角検出手段と、を備え、前記SAT推定部は、前記車速検出手段で検出される車速と、前記操舵角検出手段で検出される操舵角とを前記車両運動モデルに代入して前記セルフアライニングトルク推定値を推定することを特徴としている。
さらに、請求項10に係る電動パワーステアリング装置の制御装置は、前記ステアリング機構は、転舵輪を操舵するタイロッドに接続されているラックを有し、前記グリップロス度検出手段は、前記ラック上に生じる外力をセルフアライニングトルク演算値として算出するSAT演算部と、車両に作用する横力を検出する横力検出部と、前記SAT演算部で算出されたセルフアライニングトルク演算値及び前記横力検出部で検出された横力に基づいて前記グリップロス度を算出するグリップロス度検出部と、を備えることを特徴としている。
本発明に係る電動パワーステアリング装置の制御装置は、操舵トルクに基づき算出したモータの電流指令値を、タイヤのグリップロス度と車両のステア状態とに基づいて補正し、補正して得た操舵補助指令値に基づいてモータを駆動するため、グリップロス度とステア状態とを考慮した操舵補助力を付与することができ、操舵操作によりグリップが失われる状態となることを回避し、車両挙動を安定させることができる。
特に、請求項7に係る電動パワーステアリング装置の制御装置は、操舵速度検出手段によりステアリングホイールの操舵速度を検出し、この操舵速度をも考慮して電流指令値を補正しているため、より的確に車両挙動を安定させることができる。
また、請求項8から請求項10に係る電動パワーステアリング装置の制御装置は、グリップロス度の変化に対する応答性の高いセルフアライニングトルクに基づいてグリックロス度を算出しているため、グリップロス度を高精度に検出することができる。
以下、本発明の実施の形態を図明に基づいて説明する。
まず、第1の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態を示す全体構成図である。
図中、1は、ステアリングホイールであり、このステアリングホイール1に運転者から作用される操舵力が入力軸2aと出力軸2bとを有するステアリングシャフト2に伝達される。このステアリングシャフト2は、入力軸2aの一端がステアリングホイール1に連結され、他端は操舵トルクを検出するトルクセンサ3を介して出力軸2bの一端に連結されている。
出力軸2bに伝達された操舵力は、ユニバーサルジョイント4を介してロアシャフト5に伝達され、さらに、ユニバーサルジョイント6を介してピニオンシャフト7に伝達される。このピニオンシャフト7に伝達された操舵力はステアリングギヤ8を介してタイロッド9に伝達され、図示しない転舵輪を転舵させる。ここで、ステアリングギヤ8は、ピニオンシャフト7に連結されたピニオン8aとこのピニオン8aに噛合するラック8bとを有するラックアンドピニオン形式に構成され、ピニオン8aに伝達された回転運動をラック8bで直進運動に変換している。
ステアリングシャフト2の出力軸2bには、操舵補助力を出力軸2bに伝達する操舵補助機構10が連結されている。この操舵補助機構10は、出力軸2bに連結した減速ギヤ11と、この減速ギヤ11に連結された操舵補助力を発生するモータとしての例えばブラシレスモータで構成される電動モータ12とを備えている。
トルクセンサ3は、ステアリングホイール1に付与されて入力軸2aに伝達された操舵トルクを検出するもので、例えば、操舵トルクを入力軸2a及び出力軸2b間に介挿した図示しないトーションバーの捩れ角変位に変換し、この捩れ角変位を抵抗変化や磁気変化に変換して検出するように構成されている。
このトルクセンサ3で検出された操舵トルクTは、パワーステアリング装置を制御する例えばMCU(Micro Controller Unit)で構成されるコントロールユニット20に入力され、このコントロールユニット20には、車速センサ21で検出された車速Vも入力され、コントロールユニット20は、操舵トルクT及び車速Vに応じた操舵補助力を電動モータ12で発生させるための電流指令値Itvを算出する。また、コントロールユニット20は、ステアリングホイール1を中立位置に戻そうとする力であるセルフアライニングトルクを検出し、これに基づきタイヤのグリップロス度を検出すると共に、車両のステア状態を判断し、このグリップロス度及びステア状態に基づいて、前記電流指令値Itvを補正し操舵補助指令値Imを得る。そして、この操舵補助指令値Imに応じた電流値を電動モータ12に供給することで、グリップロス度及びステア状態を考慮した、操舵トルクT及び車速Vに応じた操舵補助力を発生させる。
また、このコントロールユニット20には、バッテリ25から電力が供給されると共に、イグニッションキー26のキー操作に応じてイグニッションキー信号が供給され、コントロールユニット20では、イグニッションキー信号をうけて、前記操舵補助指令値Imの演算を開始する。
コントロールユニット20では、前記グリップロス度を、次の手順で算出する。
セルフアライニングトルク(以下、SATともいう。)は、ステアリングホイールを中立位置に戻そうとする力であり、図2に示すように、ドライバがステアリングホイールを操舵することによって、操舵トルクTが発生し、その操舵トルクTにしたがって電動モータMがアシストトルクTmを発生する。その結果、車輪が転舵され、転舵輪が連結されたラック軸上にタイヤから生じる外力(反力)としてSATが発生する。その際、電動モータMの慣性J及び摩擦力(静摩擦力)Frによってステアリングホイールの操舵の抵抗となるトルクが生じ、これらの力の釣り合いを考えると次式(1)の運動方程式が得られる。
なお、(1)式中のωは電動モータMの角速度、ω′は電動モータMの角加速度である。
J・ω′+Fr・sign(ω)+SAT=Tm+T ……(1)
ここで、上記(1)式を初期値零としてラプラス変換し、SATについて解くと、次式(2)が得られ、これによりSATを算出することができる。なお、このラプラス変換により得られるセルフアライニングトルクをセルフアライニングトルクの演算値SATaとする。
SATa(s)
=Tm(s)+T(s)−J・ω′(s)−Fr・sign(ω(s)) ……(2)
次に、タイヤが横滑りしながら転動する車両運動の様子をモデル化したものを、図3及び図4に示す。
図3では、タイヤが接地面全体において発生する横力はトレッド部の横方向への変形面積(斜線部)となり、SATがスリップ角を減少させる方向に働く様子を示している。また、図4は、横力の着力点(接地面の中心点)がタイヤの中心線より後方にあることを示している。そして、ニューマチックトレールとキャスタトレールとの加算値がトレールとなる。
図3及び図4より、SATは横力Fyとトレールとの積(横力Fy×トレール)であることがわかる。すなわち、トレールをεnとすると、SATは次式(3)で算出することができる。なお、この(3)式で算出されるセルフアライニングトルクを、セルフアライニングトルクの推定値SATbとする。
SATb=εn・Fy ……(3)
なお、重心から後輪までの距離をL2(固定値)、車両重量をm、横加速度をGy、車両慣性モーメントをMo、ヨーレートγの微分値をdγ/dt、ホイールベースをLとして、横力Fyは次式(4)により算出することができる。
Fy=(L2・m・Gy+Mo・dγ/dt)/L ……(4)
一方、図5は横力FyとSATの特性をスリップ角に対して示す特性図であり、横力FyとSATとはスリップ角に対して非線形な特性となっている。そして、SATは横力Fy×トレールであり、キャスタトレールは固定値であることから、SATの横力Fyに対する非線形特性はニューマチックトレールの変化を直接表すことになる。また、SATの横力に対する特性は、図4における滑り域が増大し、ニューマチックトレールが減少することによって生じる。
さらに、SATは横力Fyとトレールとの積であり、線形領域では滑り域は増加せず、ニューマチックトレールは一定値であることから、線形領域でのニューマチックトレールとキャスタトレールとの和、つまりトレールεnで横力FyをSATの次元に合わせてSAT推定値SATbとして図示すると図6のようになる。
ここで、ニューマチックトレールが一定であれば、SAT演算値SATaと横力Fy(SAT推定値SATbに相当)とは同じ軌跡を辿るが、滑り域が増大してニューマチックトレールが減少するとSAT演算値SATaと横力Fyとに差が生じる。この差はグリップが失われた度合を表し、これを本発明では「グリップロス度」とする。上記(2)式で算出されたSAT演算値SATaと、上記(3)式で算出されたSAT推定値SATbとを次式(5)により比較する。
g=SATb−SATa ……(5)
この(5)式で算出されるgがグリップロス度であり、このグリップロス度gにより車両のグリップが失われた度合を推定することができる。
図6は、SAT演算値SATaとSAT推定値SATb(トレールεnが一定の場合は横力Fy)とを比較して示す特性図であり、スリップ角が大きくなるにしたがって、SATが失われる様子を示しており、上記(5)式から算出されるSAT演算値SATaとSAT推定値SATbとの差をグリップロス度g(図中網かけ部)として示している。
次に、コントロールユニット20の機能構成を説明する。図7は、コントロールユニット20の機能構成の一例を示すブロック図であって、トルクセンサ3からの操舵トルクTは、指令値演算部40及びSAT演算部46に入力され、車速センサ21からの車速Vは指令値演算部40に入力され、指令値演算部40は操舵トルクT及び車速Vに基づいて電流指令値Itvを演算する。この電流指令値Itvの演算は、公知の手順で行えばよく、例えば、制御マップに基づいて、操舵トルクTが大きいときほど大きな値となるように設定され、且つ車速に応じて制御マップが切り替えられ、車速Vが大きいときほど電流指令値Itvが小さくなるように設定される。
この指令値演算部40で演算された電流指令値ItvはSAT演算部46及び加算部60Aに入力され、加算部60Aの加算結果が操舵補助指令値Imとして減算部60Dに加算入力される。減算部60Dには、モータ電流検出器61で検出されたモータ電流値iがフィードバック入力され、減算部60Dで求められる操舵補助指令値Imとモータ電流値iとの偏差(Im−i)が電流指令値ΔIとして電流制御部41に入力され、電流制御部41でPI制御等の処理を施され、さらにPWM制御部42でPWM信号処理されてインバータ回路43により電動モータ12が駆動される。
電動モータ12には、レゾルバやホール素子等の回転センサ62が設けられており、回転センサ62で検出した電動モータ12の角度θは角速度検出部63に入力され、角速度検出部63は角度θに基づいて角速度ωを検出し、この角速度ωは、角加速度検出部64に入力されると共に、収れん性制御部44及びSAT演算部46に入力される。角加速度検出部64では、角速度ωを微分処理して角加速度ω′を算出し、算出された角加速度ω′は、SAT演算部46及び慣性補償部45に入力される。収れん性制御部44は、車速センサ21で検出した車速V及び角速度検出部63で算出された電動モータ12の角速度ωに基づき、車両のヨーの収れん性を改善するためにステアリングホイール1が振れ回る動作に対して、ブレーキをかけるように、角速度ωに車速Vに応じて変更される収れん性制御ゲインを乗じて収れん性制御信号CM2を算出する。慣性補償部45は、角加速度検出部64で検出した電動モータ12の角加速度ω′に基づいて電動モータ12の慣性により発生するトルク相当分を補償して慣性感又は制御応答性の悪化を防止する慣性補償信号CM1を算出する。
収れん性制御部44で算出された収れん性制御信号CM2は加算部60Bに入力され、慣性補償部45で算出された慣性補償信号CM1は減算部60Cに加算入力される。
ここで、SAT演算部46は前記(2)式に基づいてSAT演算値SATaを算出する。すなわち、電動モータ12の慣性J及び静摩擦力Frを定数として求めておき、操舵トルクT、電動モータ12の角速度ω及び角加速度ω′、電流指令値Itvに基づいてSAT演算値SATaを算出する。SAT演算部46で算出されたSAT演算値SATaは、グリップロス度検出部50に入力される。
さらに、横力検出部65は、車両に設けられたヨーレートセンサ66からのヨーレートγ及び車両に設けられた横加速度センサ67からの横加速度Gyに基づいて前記(4)式から横力Fyを算出し、算出された横力FyはSAT推定部47に入力される。
SAT推定部47は、入力された横力Fyと予め実験等により求められたトレールεnとを用いて前記(3)式からSAT推定値SATbを推定する。
グリップロス度検出部50はSAT演算部46より求められたSAT演算値SATaとSAT推定部47より求められたSAT推定値SATbとから、前記(5)式にしたがってグリップロス度gを求める。そして、このグリップロス度gを、US用トルク補正値演算部51及びOS用トルク補正値演算部52に入力する。
このUS用トルク補正値演算部51では、グリップロス度gに基づいて、アンダーステア状態の車両においてグリップロス度g相当だけ操舵補助力を補正するためのトルク補正値ΔTUSを算出する。このトルク補正値ΔTUSは、当該トルク補正値ΔTUSを用いて、電流指令値Itvをこれが小さくなる方向に補正することにより、このグリップロス度g相当のグリップロスが生じている状態で操舵及び操舵補助が行われた場合に、アンダーステア状態の車両において、グリップが失われることを回避することの可能なトルク値相当に設定される。
例えば、図8(a)の特性図に示すように、グリップロス度gが零近傍の不感帯幅内、すなわち“−gUS1≦g≦gUS1”の範囲にあるときにはトルク補正値ΔTUSは零に設定され、グリップロス度gが“gUS1”よりも大きいときにはグリップロス度gが大きいときほどこれに比例してトルク補正値ΔTUSも大きくなり、グリップロス度gがしきい値“gUS2”を上回ると、トルク補正値ΔTUSはその最大値ΔTmaxに維持される。同様に、グリップロス度gが負値をとるとき、つまり、グリップロス度gが正値となるときと逆方向に操舵を行ったときには、グリップロス度gが“−gUS1”よりも小さいときにはグリップロス度gが小さいときほどこれに比例してトルク補正値ΔTUSも負値方向に大きくなり、グリップロス度gがしきい値“−gUS2”を下回ると、トルク補正値ΔTUSはその負値の最大値“−ΔTmax(|−ΔTmax|=|ΔTmax|)”に維持される。
同様に、OS用トルク補正値演算部52では、グリップロス度gに基づいて、オーバーステア状態の車両において、グリップロス度g相当だけ操舵補助力を補正するためのトルク補正値ΔTOSを算出する。このトルク補正値ΔTOSは、当該トルク補正値ΔTOSを用いて、電流指令値Itvをこれが小さくなる方向に補正することにより、このグリップロス度g相当のグリップロスが生じている状態で操舵及び操舵補助が行われた場合に、オーバーステア状態の車両において、グリップが失われることを回避することの可能なトルク値相当に設定される。例えば、図8(b)の特性図に示すように、グリップロス度gが零近傍の不感帯幅内、すなわち“−gOS1≦g≦gOS1”の範囲にあるときにはトルク補正値ΔTOSは零に設定され、グリップロス度gが“gOS1”よりも大きいときにはグリップロス度gが大きいときほどこれに比例してトルク補正値ΔTOSも大きくなり、グリップロス度gがしきい値“gOS2”を上回ると、トルク補正値ΔTOSはその最大値ΔTmaxに維持される。同様に、グリップロス度gが“−gOS1”よりも小さいときにはグリップロス度gが小さいときほどこれに比例してトルク補正値ΔTOSも負値方向に大きくなり、グリップロス度gがしきい値“−gOS2”を下回ると、トルク補正値ΔTOSはその負値の最大値“−ΔTmax(|−ΔTmax|=|ΔTmax|)”に維持される。
そして、図8(a)及び(b)に示すように、不感帯幅を決定するgUS1及びgOS1は、gUS1>gOS1を満足するように設定される。また、しきい値gUS2及びgOS2は、それぞれgUS2>gOS2を満足するように設定され、グリップロス度gが、gUS1からgUS2間のトルク補正値ΔTUSの変化を表す直線の傾きΔUSと、グリップロス度gが、gOS1からgOS2間のトルク補正値ΔTOSの変化を表す直線の傾きΔOSとは、ΔUS<ΔOSを満足するように設定される。つまり、グリップロス度がgOS1からgUS2の間は、同じグリップロス度gであっても、オーバーステア状態のトルク補正値ΔTOSの方が、トルク補正値ΔTUSよりも大きくなるように設定される。
グリップロス度gが負値の場合も同様であって、不感帯幅を決定する、“−gUS1”及び“−gOS1”は|−gUS1|>|−gOS1|を満足し、しきい値“−gUS2”及び“−gOS1”は、|−gUS2|>|−gOS2|を満足するように設定されると共に、グリップロス度gが、“−gUS2”から“−gUS1”間のトルク補正値ΔTUSの変化を表す直線の傾きは、グリップロス度gが正値の場合と同様にΔUSに設定され、また、グリップロス度gが、“−gOS2”から“−gOS1”間のトルク補正値ΔTOSの変化を表す直線の傾きは、グリップロス度gが正値の場合と同様にΔOSに設定され、すなわち、ΔUS<ΔOSを満足するように設定される。
なお、ここでは、トルク補正値ΔTUSの最大値及びトルク補正値ΔTOSの最大値は、共にΔTmaxとした場合について説明したが、それぞれ異なる値に設定してもよく、この場合には、トルク補正値ΔTUSの最大値<トルク補正値ΔTOSの最大値となるように設定すればよい。
このようにすることによって、オーバーステア状態の場合には、アンダーステア状態の場合に比較して、グリップロス度がより小さい段階から、グリップロス度に応じた操舵補助トルクの低減が開始され、且つ、その低減度合がより大きくなるように設定されるため、速やかに解消すべき状態であるオーバーステア状態の解消を的確に図ることができ、逆に、アンダーステア状態の場合には、グリップロス度が比較的大きくなった時点からグリップロス度に応じた操舵補助トルクの低減を開始し、且つ、その低減度合をオーバーステア状態よりも少なくすることによって、ドライバの操舵操作を十分補助しつつ、且つ操舵補助トルクを低減しすぎることによって、却ってドライバに違和感を与えることを回避することができる。
このようにして、US用トルク補正値演算部51及びOS用トルク補正値演算部52で算出されたトルク補正値ΔTUS及びトルク補正値ΔTOSは、選択部53に入力される。この選択部53は、後述のステア状態判定部54から入力されるステア状態の判定結果に基づき、アンダーステア状態と判定されたならばアンダーステア用のトルク補正値ΔTUSを選択し、オーバーステア状態と判定されたならばオーバーステア用のトルク補正値ΔTOSを選択し、これを減算部60Cに減算入力する。
ステア状態判定部54は、ヨーレートセンサ66からのヨーレートγ、車速センサ21からの車速V、舵角センサ68からの操舵角δを入力し、これらに基づいて規範ヨーレートを算出し、この規範ヨーレートと実ヨーレートとを比較することでステア状態を判断する。
具体的には、まず次式(6)で規範ヨーレートγを計算する。
γ=〔1/(1+T1・s)〕・〔1/(1+A・V)〕〔V・δ/L・n〕
……(6)
この(6)式中の、T1は時定数、sはラプラス演算子、Aはスタビリディファクタであって次式(7)で表される。また、Vは車速、δは操舵角、Lはホイールベース、nはオーバーオールステアリングギア比である。
A=(−m/2L)・〔(Lf・Kf−Lr・Kr)/(Kf・Kr)〕
……(7)
この(7)式中の、mは車両重量、Lfは車両重心点と前輪車軸間の水平距離、Lrは車両重心点と後輪車軸間の水平距離、Kfは前輪タイヤのコーナリングパワー、Krは後輪タイヤのコーナリングパワーである。
このようにして算出した規範ヨーレートγとヨーレートセンサ66で算出したヨーレートγとに基づき、ヨーレートγの絶対値|γ|と規範ヨーレートγの絶対値|γ|とが、|γ|−|γ|≧0を満足するときにはオーバーステア状態と判定し、|γ|−|γ|<0を満足するときにはアンダーステア状態と判定する。そしてこの判定結果を、選択部53に出力する。
減算部60Cでは、選択部53で選択されたトルク補正値ΔTUS又はトルク補正値ΔTOSを、慣性補償部45からの慣性補償信号CM1から減算し、その減算結果CM3は加算部60Bに入力されて収れん性制御部44からの収れん性制御信号CM2と加算され、その加算結果CM4が加算部60Aに入力されて電流指令値Itvと加算され、これが操舵補助指令値Imとなる。
次に、コントロールユニット20での動作を図9のフローチャートを参照して説明する。
まず、トルクセンサ3からの操舵トルクT、車速センサ21からの車速V、ヨーレートセンサ66からのヨーレートγ、横加速度センサ67からの横加速度Gy、回転センサ62からの角度θ、舵角センサ68からの操舵角δを入力する(ステップS1)。次いで、入力した操舵トルクT及び車速Vに基づき指令値演算部40で、操舵トルクT及び車速Vに応じた電流指令値Itvを算出し(ステップS2)、回転センサ62からの角度θに基づいて角速度検出部63において電動モータ12の角速度ωを算出し、角加速度検出部64において角加速度ω′を算出する(ステップS3)。
次いで、SAT演算部46において、操舵トルクT、電流指令値Itv、角速度ω及び角加速度ω′に基づいて前記(2)式から、SAT演算値SATaを算出する(ステップS4)。なお、前記(2)式において、アシストトルクTmは電流指令値Itvに比例するので、アシストトルクTmに代えて電流指令値Itvを適用する。続いて横力検出部65でヨーレートγ及び横加速度Gyに基づいて横力Fyを算出し、この横力Fyに基づきSAT推定部47でSAT推定値SATbを推定する(ステップS5)。
続いてグリップロス度検出部50においてSAT演算値SATa及びSAT推定値SATbの偏差からグリップロス度gを検出し(ステップS6)、このグリップロス度gに応じたトルク補正値ΔTUS及びトルク補正値ΔTOSを算出し(ステップS7)、ステア状態判定部54で現在の車両のステア状態を判定する(ステップS8)。そして、この判定したステア状態に対応するトルク補正値ΔTUS又はトルク補正値ΔTOSを選択する(ステップS9)。
次いで、慣性補償部45及び収れん性制御部44で、慣性補償信号CM1及び収れん性制御信号CM2を算出し(ステップS10)、ステップS9で選択したステア状態に対応するトルク補正値ΔTUS又はトルク補正値ΔTOSを、慣性補償信号CM1から減算し、この減算して得たCM3に、収れん性制御信号CM2を加算して加算結果CM4を獲得し、この加算結果CM4を加算部60Aに入力する。そして、指令値演算部40で算出した電流指令値Itvと加算結果CM4とを加算部60Aで加算して電流指令値Itvを補正して、この補正した電流指令値を操舵補助指令値Imとし(ステップS11)、これに基づき電動モータ12を駆動する(ステップS12)。
したがって、グリップロスが生じていないか、グリップロス度gが、現在のステア状態に応じて設定される不感帯幅“−gUS1≦g≦gUS1”又は“−gOS1≦g≦gOS1”の範囲内の値であればトルク補正値ΔTUS又はトルク補正値ΔTOSは略零となり、電流指令値Itvの補正は行われない。このため、操舵トルクT及び車速Vに応じた操舵補助力が発生されることになって、ドライバの操舵操作を的確に補助することができる。
この状態から、グリップロス度gが正方向に増加し、ステア状態判定部54でアンダーステア状態にあると判定された場合には、グリップロス度gが“gUS1”を上回った時点で、アンダーステア状態用のトルク補正値演算部51で算出されるトルク補正値ΔTUSが零より大きくなる。そして、このトルク補正値ΔTUS相当だけ電流指令値Itvが小さくなるように補正されて操舵補助指令値Imが算出され、これに基づき電動モータ12が駆動される。したがって、グリップロスが発生していないときよりも、トルク補正値ΔTUS相当だけ低減された操舵補助力が発生されることになり、操舵補助力が低減されることから、その分、ドライバは切り増し方向への操舵をしにくくなり、すなわち、ドライバがグリップ力を越えて切り増しすることが抑制され、グリップ力が失われることにより車両挙動が不安定となることを回避することができる。
このとき、グリップロス度gが不感帯幅“gUS1”を上回るときには、グリップロス度gが大きいときほどトルク補正値ΔTUSも大きくなることから、グリップロス度gが大きいとき、すなわち、グリップが失われることにより車両挙動が不安定となる可能性が高いときほど、操舵補助力の低減度合が大きくなり、ドライバは切り増し方向への操舵をより行いにくくなる。このため、グリップロス度gに応じてすなわち車両挙動が不安定となる可能性に応じて、ドライバの操舵操作を的確に誘導することができる。
一方、ステア状態が、オーバーステア状態にあると判定された場合には、グリップロス度gが“gOS1”を上回った時点で、オーバーステア状態用のトルク補正値演算部52で算出されるトルク補正値ΔTOSが零より大きくなる。このトルク補正値ΔTOS相当だけ電流指令値Itvが小さくなるように補正されて操舵補助指令値Imが算出され、これに基づき電動モータ12が駆動される。そして、グリップロス度gが“gOS1”を上回るときには、グリップロス度gが大きいときほどトルク補正値ΔTOSも大きくなることから、グリップロス度gが大きいとき、すなわち、グリップが失われることにより車両挙動が不安定となる可能性が高いときほど、操舵補助力の低減度合が大きくなり、ドライバは切り増し方向への操舵をより行いにくくなることから、グリップロス度gに応じてすなわち車両挙動が不安定となる可能性に応じて、ドライバの操舵操作を的確に誘導することができる。
さらに、オーバーステア状態にある場合には、その不感帯幅“−gOS1≦g≦gOS1”はアンダーステア状態における不感帯幅“−gUS1≦g≦gUS1”よりも狭くなるように設定され、すなわち、グリップロス度gがより小さい時点から、電流指令値Itvの抑制が開始されることになる。このため、グリップを速やかに確保することができ、好ましくない状態であるオーバーステア状態を、より速やかに解消させることができる。
また、図8(a)及び(b)に示すように、同じグリップロス度gであっても、オーバーステア状態にある場合のトルク補正値ΔTOSの方が、アンダーステア状態にある場合のトルク補正値ΔTUSよりも大きくなるように設定されている。ここで、オーバーステア状態にあるときには、内側に切れ込む傾向にあることから、現在の旋回状態からグリップを確保可能な目標の旋回状態に誘導するために必要な操舵角相当まで操舵角を戻したとしても、実際の車両の旋回状態は操舵角相当の旋回状態よりも切れ込んだ状態となる。したがって、この切れ込み分を考慮し、この切れ込み分相当だけより多く操舵補助トルクを低減し、切り増し方向への操舵をより行いにくくすることで、切れ込み分相当を含めて切り戻し方向に操舵を行うよう仕向けることができる。よって、速やかに目標の旋回状態に誘導することができ、切り戻し方向への車両の旋回状態の戻り量が不足傾向となりグリップ力が不足気味となることなく、的確なグリップ力に速やかに回復させることができる。
逆に、アンダーステア状態にあるときには、外側に膨らむ傾向にあることから、現在の旋回状態からグリップを確保可能な旋回状態に戻すために必要な操舵角相当まで操舵角を戻したとしても、実際の車両の旋回状態は操舵角相当の旋回状態よりも膨らんだ状態となる。したがって、この膨らみ分を考慮し、この膨らみ分相当だけ、操舵補助トルクの低減分を少なくし、切り増し方向への操舵を行いにくくすることで、膨らみ分相当を考慮して切り戻し方向に操舵を行うように仕向けることができる。よって、速やかに目標の旋回状態に誘導することができ、切り戻し方向への車両の旋回状態が戻し過ぎ傾向となり、ドライバに違和感を与えることなく、的確なグリップ力に速やかに回復させることができる。
また、ここでは、操舵トルクT、アシストトルクTm、電動モータ12の角速度ω及び角加速度ω′に基づいて検出したSAT演算値SATaと、車両に発生する横力Fyに基づくSAT推定値SATbとの偏差からグリップロス度gを算出している。ここで、グリップが失われた場合、これに対するセルフアライニングトルクの応答性は、グリップが失われたことに対するヨーレートの応答性に比較して速い。したがって、セルフアライニングトルクを用いてグリップロス度gを算出することによって、ヨーレートを用いてグリップロス度gを算出する場合に比較してより早い段階で、グリップロス度gの変化を検出することができる。よって、セルフアライニングトルクを用いてグリップロス度gを算出することにより、グリップ状況をより高精度に検出することができ、このようにして検出したグリップ状況にしたがって電流指令値Itvを補正し、操舵補助力を低減することによって、より的確に操舵補助力を発生させることができる。このため、グリップロス度gに応じて切り増しし過ぎることを回避し、グリップが失われることにより車両挙動が不安定となることを確実に回避することができ、車両走行安定性を向上させることができる。
なお、ここでは、グリップロス度gが正値である場合について説明したが、負値である場合も同様である。すなわち、グリップロス度gが負値、つまりグリップロス度gが正値である場合の操舵方向とは逆方向に操舵が行われたときには、電流指令値Itvは負値の値として算出されると共に、電流トルク補正値ΔTUS、ΔTOSとして負値の値が算出されることから、これらに基づき、操舵補助指令値Imを算出することで、電動モータ12は逆方向に回転され、逆方向への操舵補助力が発生されることになる。
また、上述のようにグリップロス度が不感帯幅内の値である場合には、電流指令値Itvの補正は行わず、操舵トルクT及び車速Vに応じた操舵補助力を発生させるようにしているから、グリップロスが発生していないか比較的グリップロスが小さく悪影響を及ぼすことのない状況であるにも関わらず操舵補助力が抑制され、十分な操舵補助力を発生されないことに起因してドライバに違和感を与えることを回避することができる。
ここで、トルクセンサ3が操舵トルク検出手段に対応し、図9のステップS2の処理が電流指令値演算手段に対応し、ステップS4からステップS6の処理がグリップロス度検出手段に対応し、ステップS8の処理がステア状態判定手段に対応し、ステップS7、S9及びS11の処理が補正手段に対応し、ステップS2からステップS11の処理が操舵補助指令値演算手段に対応している。
また、ステップS4の処理がSAT演算部に対応し、ステップS5の処理がSAT推定部に対応し、ステップS6の処理がグリップロス度検出部に対応している。
次に、本発明の第2の実施の形態を説明する。
この第2の実施の形態は、コントロールユニット20の構成が異なること以外は上記第1の実施の形態と同様であるので同一部には同一符号を付与し、その詳細な説明は省略する。
図10は、第2の実施の形態におけるコントロールユニット20の概略構成を示すブロック図である。
この第2の実施の形態におけるコントロールユニット20では、指令値演算部40で算出された電流指令値Itvは、乗算部56に入力され、選択部53で選択された、後述のトルク補正係数KOS又はKUSと乗算されて補正電流指令値Itv′が算出され、この補正電流指令値Itv′が加算部60Aに入力される。そして、収れん性制御部44で算出した収れん性制御信号CM2と慣性補償部45で算出した慣性補償信号CM1とが加算部60Bで加算され、この加算結果CM4が加算部60Aに入力され、この加算結果CM4と補正電流指令値Itv′とが加算されて操舵補助指令値Imが算出され、この操舵補助指令値Imに基づき電動モータ12が駆動される。
また、グリップロス度検出部50で検出したグリップロス度gは、US用トルク補正係数演算部51a及びOS用トルク補正係数演算部52aに入力される。
このUS用トルク補正係数演算部51aでは、グリップロス度gに基づいて、アンダーステア状態の車両においてグリップロス度g相当だけ操舵補助力を補正するための“1”以下の値をとる、トルク補正係数KUSを算出する。このトルク補正係数KUSは、当該トルク補正係数KUSを用いて、電流指令値Itvが小さくなる方向に補正することにより、このグリップロス度g相当のグリップロスが生じている状態で操舵及び操舵補助が行われた場合に、アンダーステア状態の車両において、グリップが失われることを回避することの可能なトルク値相当に設定される。
例えば、図11(a)の特性図に示すように、グリップロス度gが零近傍の不感帯幅内、すなわち“−gUS3≦g≦gUS3”の範囲にあるときにはトルク補正係数KUSは“1”に設定され、グリップロス度gが“gUS3”よりも大きいときにはグリップロス度gが大きいときほどこれに反比例してトルク補正係数KUSは小さくなり、グリップロス度gがしきい値“gUS4”に達したとき零となり、グリップロス度gがしきい値“gUS4”以上であるとき零を維持するように設定される。同様に、グリップロス度gが“−gUS3”よりも小さいときにはグリップロス度gが小さいときほどこれに比例してトルク補正係数KUSも小さくなり、グリップロス度gがしきい値“−gUS4”に達したとき零となり、グリップロス度gがしきい値“−gUS4”以下であるときには零を維持するように設定される。
同様に、OS用トルク補正係数演算部52aでは、グリップロス度gに基づいて、オーバーステア状態の車両において、グリップロス度g相当だけ操舵補助力を補正するための、“1”以下の値をとるトルク補正係数KOSを算出する。このトルク補正係数KOSは、当該トルク補正係数KOSを用いて、電流指令値Itvが小さくなる方向に補正することにより、このグリップロス度g相当のグリップロスが生じている状態で操舵及び操舵補助が行われた場合に、オーバーステア状態の車両において、グリップが失われることを回避することの可能なトルク値相当に設定される。
例えば、図11(b)の特性図に示すように、グリップロス度gが零近傍の不感帯幅内、すなわち“−gOS3≦g≦gOS3”の範囲にあるときにはトルク補正係数KOSは“1”に設定され、グリップロス度gが“gOS3”よりも大きいときにはグリップロス度gが大きいときほどこれに反比例してトルク補正係数KOSは小さくなり、グリップロス度gがしきい値“gOS4”に達したとき、トルク補正係数KOSは零となり、グリップロス度gがしきい値“gOS4”以上であるときには零を維持するように設定される。
同様に、グリップロス度gが“−gOS3”よりも小さいときにはグリップロス度gが小さいときほどこれに比例してトルク補正係数KOSも小さくなり、グリップロス度gがしきい値“−gOS4”に達したとき零となり、グリップロス度gがしきい値“−gOS4”以下である間は零を維持するように設定される。
そして、図11(a)及び(b)に示すように、不感帯幅を決定するgUS3及びgOS3はgUS3>gOS3を満足するように設定される。また、しきい値gUS4及びgOS4はgUS4>gOS4を満足するように設定され、グリップロス度gがgUS3からgUS4まで変化する間のトルク補正係数KUSの変化を表す直線の傾き“−ΔKUS”と、グリップロス度gがgOS3からgOS4まで変化する間のトルク補正係数ΔKOSの変化を表す直線の傾き“−ΔKOS”とは、|−ΔKUS|<|−ΔKOS|を満足するように設定される。つまり、グリップロス度がgOS3からgUS4の間は、同じグリップロス度gであっても、オーバーステア状態のトルク補正係数KOSの方が、トルク補正係数KUSよりも小さくなるように設定される。グリップロス度gが負値の場合も同様であって、不感帯幅を決定する“−gUS3”及び“−gOS3”は|−gUS3|>|−gOS3|を満足するように設定される。
また、しきい値“−gUS4”及び“−gOS4”は|−gUS4|>|−gOS4|を満足するように設定され、グリップロス度gが“−gUS4”から“−gUS3”まで変化する間のトルク補正係数KUSの変化を表す直線の傾きΔKUS(|ΔKUS|=|−ΔKUS|)と、グリップロス度gが“−gOS4”から“−gOS3”まで変化する間のトルク補正係数KOSの変化を表す直線の傾きΔKOS(|ΔKOS|=|−ΔKOS|)とは、|ΔKUS|<|ΔKOS|を満足するように設定される。
このようにすることによって、オーバーステア状態の場合には、アンダーステア状態の場合に比較して、グリップロス度gがより小さい段階から、グリップロス度gに応じた操舵補助トルクの低減が開始され、且つ、その低減度合がより大きくなるように設定されるため、速やかに解消すべき状態であるオーバーステア状態の解消を的確に図ることができ、逆に、アンダーステア状態の場合には、グリップロス度gが比較的大きくなった時点からグリップロス度gに応じた操舵補助トルクの低減を開始し、且つ、その低減度合をオーバーステア状態よりも少なくすることによって、ドライバの操舵操作を十分補助しつつ、且つ操舵補助トルクを低減しすぎることによって、却ってドライバに違和感を与えることを回避することができる。
このようにして、US用トルク補正係数演算部51a及びOS用トルク補正係数演算部52aで算出されたトルク補正係数KUS及びトルク補正係数KOSは、選択部53に入力される。この選択部53は、ステア状態判定部54から入力されるステア状態に応じて選択を行い、アンダーステア状態にあると判定されたときにはトルク補正係数KUSを選択し、オーバーステア状態にあると判定されたときにはトルク補正係数KOSを選択し、選択したトルク補正係数KUS又はトルク補正係数KOSを、乗算部56に入力する。
この乗算部56には、指令値演算部40で演算された電流指令値Itvと、選択部53で選択されたトルク補正係数KUS又はトルク補正係数KOSとが入力され、これらの乗算結果が補正電流指令値Itv′として出力される。
次に、第2の実施の形態におけるコントロールユニット20での動作を図12のフローチャートを参照して説明する。
なお、図9に示す上記第1の実施の形態における処理と同一部には同一符号を付与し、その詳細な説明は省略する。
まず、各種センサから、操舵トルクT、車速V、ヨーレートγ、横加速度Gy、電動モータ12の角度θ、操舵角δを入力し(ステップS1)、操舵トルクT及び車速Vに応じた電流指令値Itvを算出し(ステップS2)、電動モータ12の角度θから電動モータ12の角速度ω及び角加速度ω′を検出する(ステップS3)。
次いで、操舵トルクT、電流指令値Itv、角速度ω及び角加速度ω′に基づいてSAT演算値SATaを検出し(ステップS4)、ヨーレートγ及び横加速度Gyに基づいて横力Fyを検出しSAT推定値SATbを検出し(ステップS5)、SAT演算値SATa及びSAT推定値SATbからグリップロス度gを算出する(ステップS6)。
続いて、ステップS7aに移行し、US用トルク補正係数演算部51a及びOS用トルク補正係数演算部52aで、グリップロス度gに応じたトルク補正係数KUS及びKOSを算出する。続いて、ステア状態判定部54で車両の現在のステア状態を判定し(ステップS8)、ステア状態に応じたトルク補正係数KUS又はKOSを選択する(ステップS9a)。そして、慣性補償信号CM1及び収れん性制御信号CM2を算出し(ステップS10)、操舵トルクT及び車速Vに応じた電流指令値ItvにステップS9aで選択したステア状態に応じたトルク補正係数KUS又はKOSを乗算して、電流指令値Itvを補正し(ステップS11a)、この補正した補正電流指令値Itv′に、ステップS10で算出した慣性補償信号CM1及び収れん性制御信号CM2を加算して操舵補助指令値Imを算出し(ステップS11b)、この操舵補助指令値Imに応じて電動モータ12を駆動する(ステップS12)。
したがって、グリップロスが生じていないかグリップロス度gが、現在のステア状態に応じて設定される不感帯幅“−gUS3≦g≦gUS3”又は“−gOS3≦g≦gOS3”の範囲内の値であればトルク補正係数KUS又はトルク補正係数KOSは“1”を維持することから、電流指令値Itvの補正は行われない。このため、操舵トルクT及び車速Vに応じた操舵補助力が発生されることになって、ドライバの操舵操作を的確に補助することができる。
この状態から、グリップロス度gが正方向に増加し、ステア状態判定部54でアンダーステア状態にあると判定された場合には、グリップロス度gが“gUS3”を上回った時点で、アンダーステア状態用のトルク補正係数演算部51aで算出されるトルク補正係数KUSが“1”より小さくなる。そして、このトルク補正係数KUS相当だけ電流指令値Itvが小さくなるように補正されて操舵補助指令値Imが算出され、これに基づき電動モータ12が駆動される。したがって、グリップロスが発生していないときよりも、トルク補正係数KUSに応じた補正量だけ低減された操舵補助力が発生されることになり、操舵補助力が低減されることになるから、ドライバは切り増し方向への操舵をしにくくなり、すなわち、ドライバがグリップ力を越えて切り増しすることを抑制し、グリップが失われることにより車両挙動が不安定となることを回避することができる。
このとき、グリップロス度gが“gUS3”を上回るときには、グリップロス度gが大きいときほどトルク補正係数KUSは小さくなることから、グリップロス度gが大きいとき、すなわち、グリップが失われることにより車両挙動が不安定となる可能性が高いときほど、操舵補助力の低減度合が大きくなり、ドライバは切り増し方向への操舵をより行いにくくなることから、グリップロス度gに応じてつまり車両挙動が不安定となる可能性に応じて、ドライバの操舵操作を的確に誘導することができる。
一方、ステア状態が、オーバーステア状態にあると判定された場合には、グリップロス度gが“gOS3”を上回った時点で、オーバーステア状態用のトルク補正係数演算部52aで算出されるトルク補正係数KOSが“1”より小さくなる。そして、このトルク補正係数KOSに応じた補正量だけ電流指令値Itvが小さくなるように補正されて操舵補助指令値Imが算出され、これに基づき電動モータ12が駆動される。そして、グリップロス度gが“gOS3”を上回るときには、グリップロス度gが大きいときほどトルク補正係数KOSは小さくなることから、グリップロス度gが大きいとき、すなわち、グリップが失われることにより車両挙動が不安定となる可能性が高いときほど、操舵補助力の低減度合が大きくなり、ドライバは切り増し方向への操舵をより行いにくくなることから、グリップロス度gに応じてすなわち車両挙動が不安定となる可能性に応じて、ドライバの操舵操作を的確に誘導することができる。
さらに、オーバーステア状態にある場合には、その不感帯幅“−gOS3≦g≦gOS3”はアンダーステア状態における不感帯幅“−gUS3≦g≦gUS3”よりも狭くなるように設定され、すなわち、グリップロス度gがより小さい時点から、電流指令値Itvの抑制が開始されることになるから、グリップロス度gに応じてグリップを速やかに確保することができると共にオーバーステア状態をより速やかに解消させることができる。
また、図11(a)及び(b)に示すように、同じグリップロス度gであっても、オーバーステア状態にある場合のトルク補正係数KOSの方が、トルク補正係数KUSよりも小さくなるように設定され、すなわち補正量がより大きくなるように設定されている。したがって、この場合も上記第1の実施の形態と同様に、オーバーステア状態にあるときには、旋回内側への切り込み分相当を含めて切り戻し方向に操舵を行うよう仕向けることができ、速やかに目標の旋回状態に誘導することができ、切り戻し方向への車両の旋回状態の戻り量が不足傾向となりグリップ力が不足気味となることなく、的確なグリップ力に速やかに回復させることができる。
逆に、アンダーステア状態にあるときには、旋回外側への膨らみ分相当を考慮して切り戻し方向に操舵を行うように仕向けることができ、速やかに目標の旋回状態に誘導することができ、切り戻し方向への車両の旋回状態が戻し過ぎ傾向となり、ドライバに違和感を与えることなく、的確なグリップ力に速やかに回復させることができる。
なお、ここでは、グリップロス度gが正値である場合について説明したが、負値である場合も同様である。
ここで、第2の実施の形態において、図12のステップS7a、S9a及びS11aの処理が補正手段に対応し、ステップS2からステップS11bの処理が操舵補助指令値演算手段に対応している。
次に、本発明の第3の実施の形態を説明する。
この第3の実施の形態は、上記第1の実施の形態において、トルク補正値を、グリップロス度gだけでなく、ステアリングホイール1の操舵速度にも基づいて設定するようにしたものである。上記第1の実施の形態と同一部には同一符号を付与し、その詳細な説明は省略する。
この第3の実施の形態では、図13に示すように、角速度検出部63で検出された角速度ωは、収れん性制御部44、SAT検出部46及び角加速度検出部64のそれぞれに入力されると共に、さらに、乗算部58に入力される。
また、上記第1の実施の形態における、US用トルク補正値演算部51及びOS用トルク補正値演算部52に代えて、US用トルク補正値演算部51b及びOS用トルク補正値演算部52bを備える。
このUS用トルク補正値演算部51bは、第1の実施の形態におけるUS用トルク補正値演算部51と同様に、グリップロス度gに応じたトルク補正値ΔTvUSを設定するが、トルク補正値ΔTvUSはグリップロス度gが正値及び負値の場合共に、正値の値に設定される。つまり、図14(a)に示すように、グリップロス度gが零近傍の不感帯幅内、すなわち“−gUS5≦g≦gUS5”の範囲にあるときにはトルク補正値ΔTvUSは零に設定され、グリップロス度gが“gUS5”よりも大きいときにはグリップロス度gが大きいときほどこれに比例してトルク補正値ΔTvUSも大きくなり、グリップロス度gがしきい値“gUS6”を上回ると、トルク補正値ΔTvUSはその最大値ΔTvmaxに維持される。同様に、グリップロス度gが“−gUS5”よりも小さいときにはグリップロス度gが小さいときほどこれに反比例してトルク補正値ΔTvUSは正値方向に大きくなり、グリップロス度gがしきい値“−gUS6”を下回ると、トルク補正値ΔTvUSは最大値ΔTvmaxに維持される。
同様に、OS用トルク補正値演算部52bは、第1の実施の形態におけるUS用トルク補正値演算部52と同様に、グリップロス度gに応じたトルク補正値ΔTvOSを設定するが、グリップロス度gが正値及び負値に関わらずトルク補正値ΔTvOSは正値に設定され、図14(b)に示すように、グリップロス度gが零近傍の不感帯幅内、すなわち“−gOS5≦g≦gOS6”の範囲にあるときにはトルク補正値ΔTvOSは零に設定され、グリップロス度gが“gOS5”よりも大きいときにはグリップロス度gが大きいときほどこれに比例してトルク補正値ΔTvOSも大きくなり、グリップロス度gがしきい値“gOS6”を上回ると、トルク補正値ΔTvOSはその最大値ΔTvmaxに維持される。同様に、グリップロス度gが“−gOS5”よりも小さいときにはグリップロス度gが小さいときほどこれに反比例してトルク補正値ΔTvOSは正値方向に大きくなり、グリップロス度gがしきい値“−gUS6”を下回ると、トルク補正値ΔTvOSは最大値ΔTvmaxに維持される。
また、グリップロス度gが正値にあるときのトルク補正値ΔTvUSの変化の傾き“ΔUSv”と、グリップロス度gが負値にあるときのトルク補正値ΔTvUSの変化の傾き“−ΔUSv”とは同一の大きさに設定され、同様に、グリップロス度gが正値にあるときのトルク補正値ΔTvOSの変化の傾き“ΔOSv”と、グリップロス度gが負値にあるときのトルク補正値ΔTvOSの変化の傾き“−ΔOSv”とは同一の大きさに設定され、ΔUSv<ΔOSvを満足するように設定される。
なお、ここでは、トルク補正値ΔTvUS及びΔTvOSの最大値は共にΔTvmaxとした場合について説明したが、必ずしもこれに限るものではなく、それぞれ異なる値に設定してもよく、この場合には、トルク補正値ΔTvUSの最大値よりもトルク補正値ΔTvOSの最大値の方がより大きくなるように設定すればよい。
そして、これらUS用トルク補正値演算部51b及びOS用トルク補正値演算部52bで算出されたトルク補正値ΔTvUS及びトルク補正値ΔTvOSは、選択部53に入力され、ここで、ステア状態判定部54で判定されたステア状態に応じたトルク補正値ΔTvUS又はトルク補正値ΔTvOSが選択されて、これが乗算部58に入力される。
この乗算部58では、角速度検出部63からの角速度ωと、選択部53で選択されたトルク補正値ΔTvUS又はトルク補正値ΔTvOSとが乗算され、乗算結果が、トルク補正値ΔTωとして、減算部60Cに減算入力されて慣性補償部45で算出された慣性補正値CM1から減算され、この演算結果CM3として出力される。
次に、コントロールユニット20での動作を図15のフローチャートを参照して説明する。
上記第1の実施の形態と同様にまず、各種センサからの検出値を読み込み(ステップS1)、指令値演算部40で、操舵トルクT及び車速Vに応じた電流指令値Itvを算出し(ステップS2)、電動モータ12の角速度ω及び角加速度ω′を算出する(ステップS3)。
次いで、SAT演算値SATaを算出すると共に(ステップS4)及びSAT推定値SATbを推定し(ステップS5)、グリップロス度gを検出する(ステップS6)。続いてステップS7bに移行し、このグリップロス度gに応じたトルク補正値ΔTvUS及びトルク補正値ΔTvOSを、US用トルク補正値演算部51b及びOS用トルク補正値演算部52bで算出する。そして、ステップS8に移行し、ステア状態判定部54で現在の車両のステア状態を判定し、判定したステア状態に対応するトルク補正値ΔTvUS又はトルク補正値ΔTvOSを選択する(ステップS9)。続いてステップS9bに移行し、選択したトルク補正値ΔTvUS又はトルク補正値ΔTvOSと角速度ωとを、角速度検出部63で乗算してトルク補正値ΔTωを算出する(ステップS9b)。
次いで、慣性補償信号CM1及び収れん性制御信号CM2を算出し(ステップS10)、ステップS9bで算出したトルク補正値ΔTωを、慣性補償信号CM1から減算し、この減算して得たCM3に、収れん性制御信号CM2を加算して加算結果CM4を獲得し、この加算結果CM4を加算部60Aに入力する。そして、指令値演算部40で算出した電流指令値Itvと加算結果CM4とを加算部60Aで加算して電流指令値Itvを補正し、この補正した電流指令値を操舵補助指令値Imとし(ステップS11)これに基づき電動モータ12を駆動する(ステップS12)。
したがって、グリップロスが生じていないかグリップロス度gが不感帯幅内の値であればトルク補正値ΔTvUS及びトルク補正値ΔTvOSは略零に設定されることから、角速度ωの大きさに関わらずトルク補正値ΔTは略零となり、電流指令値Itvの補正は行われない。このため、操舵トルクT及び車速Vに応じた操舵補助力が発生されることになって、ドライバの操舵操作を的確に補助することができる。
この状態から、グリップロス度gが正値方向に増加し、ステア状態判定部54でアンダーステア状態であると判断されている場合には、選択部53でUS用のトルク補正値演算部51bで算出されたトルク補正値ΔTvUSが選択されることから、グリップロス度gが“gUS5”を上回った時点で、トルク補正値ΔTvUSが零よりも大きくなる。このとき、角速度検出部63で検出される角速度ωが一定であるものとすると、グリップロス度gが正値方向に大きくなるほど、トルク補正値ΔTvUSは大きな値に設定されることから、トルク補正値ΔTvUSと角速度ωとの乗算値であるトルク補正値ΔTωも増加し、電流指令値Itvの低減量が増加することから、発生される操舵補助トルクがより小さく抑制される。さらに、このとき、角速度ωが大きいとき、すなわち、ドライバの操舵速度が大きいときほど、トルク補正値ΔTωは増加し、操舵補助トルクがより小さく抑制される。このため、ドライバの操舵速度が大きく切り増し過ぎの状態となる可能性が高いときほど操舵補助力を小さくし、切り増ししにくくすることができることから、より確実にグリップが失われる状態となることを回避することができ、すなわち、車両走行安定性を向上させることができる。
そして、この場合も、オーバーステア状態であると判断された場合には、OS用のトルク補正値演算部52bで算出されたトルク補正値ΔTvOSに基づいてトルク補正値ΔTωが算出され、トルク補正値ΔTvOSは、図14(b)に示すように、アンダーステア状態にあるときよりも、グリップロス度gがより小さい時点で操舵補助トルクの抑制が開始され、且つより小さく抑制するようにしているから、上記第1の実施の形態と同等の作用効果を得ることができる。
また、グリップロス度gが負値である場合、つまり、グリップロス度gが正値である場合とは逆方向に操舵が行われた場合には、トルク補正値ΔTvUS及びΔTvOSは正値の値に設定されるが、この場合、操舵方向が逆であることから操舵角ωは負値の値となるため、トルク補正値ΔTωは負値の値となる。したがって、この場合もグリップロス度gが正値の場合と同等の作用効果を得ることができる。
また、トルク補正値ΔTωを、グリップロス度gだけでなく電動モータ12の角速度ω、すなわちドライバの操舵速度にも基づいて算出している。そして、電動モータ12の角速度ωが大きいときほど、すなわちドライバの操舵速度が大きいときほどトルク補正値ΔTωが大きな値となるように算出しているから、ドライバの操舵速度が大きく切り増し過ぎの状態となる可能性が高いときほど操舵補助力を小さくし、切り増ししにくくすることができることから、より確実にグリップが失われる状態となることを回避することができ、すなわち、車両走行安定性を向上させることができる。
ここで、第3の実施の形態において、図15のステップS3で、電動モータ12の角速度ωを算出する処理が操舵角速度検出手段に対応し、ステップS7b、S9、S9b及びS11の処理が補正手段に対応し、ステップS2からステップS11の処理が操舵補助指令値演算手段に対応している。
なお、この第3の実施の形態においては、上記第1の実施の形態において、電動モータ12の角速度ω、つまりドライバの操舵速度に応じてトルク補正値ΔTωを算出する場合について説明したが、上記第2の実施の形態に適用することも可能である。この場合には、例えば、図16に示すように、角速度検出部63で検出した電動モータ12の角速度ωを絶対値演算部91に入力し、この絶対値演算部91で絶対値化した角速度ωをもとに、ゲイン設定部92で、この角速度ωに応じたゲインKωを設定する。
例えば、ゲイン設定部92で、角速度ωの絶対値が大きいときほど小さな値となる、角速度に応じた補正ゲインKωを算出し、この補正ゲインKωと、選択部53で選択されたトルク補正係数KUS又はKOSとを乗算部で乗算し、この乗算結果と電流指令値Itvとを乗算部93で乗算し、この乗算部93で乗算した結果をトルク補正係数値Kvとし、このトルク補正係数Kvと指令値演算部40で算出した電流指令値Itvとを乗算して、補正電流指令値Itv′を算出すればよく、この場合も同等の作用効果を得ることができる。
なお、ここでは、トルク補正係数KUS、KOSを、第2の実施の形態と同様の特性図を用いて算出する場合について説明したが、これに限るものではなく、角速度ωに応じたゲインKωを設定するための特性を考慮した、グリップロス度gに応じたトルク補正係数KUS、KOSを設定するための特性図を生成し、これに基づいて算出するようにしてもよい。
また、上記第3の実施の形態においては、電動モータ12の角速度ωを、ステアリングホイール1の操舵速度相当の値として用い、角速度ωとグリップロス度gとに基づいて操舵補助力を補正する場合について説明したが、例えばステアリングシャフト2に、操舵角速度を検出するための操舵角速度センサを設け、この操舵角速度センサの検出信号を用いてもよく、また、ステアリングシャフト2に舵角センサ68の検出信号を時間微分して操舵角速度を算出し、この算出した操舵角速度を用いてもよい。
また、上記各実施の形態においては、ヨーレートγ、横加速度Gy及び車両運動モデルに基づいて横力Fyを推定し、この横力Fyに基づいて実際に車両に作用するセルフアライニングトルクを推定する場合について説明したが、ハブ等に横力センサを設け、この横力センサで直接横力を検出し、これを用いてSAT推定値SATbを算出してもよい。
また、横力Fyを用いずに、水平面における車両運動モデルと、車速V及び操舵角δとを用いてセルフアライニングトルクを推定してもよい。
つまり、ヨーレートγとスリップ角βと車速Vと操舵角δとの関係は、次式(8)及び(9)で表すことができる。
mV・(dβ/dt)
=−{mV+[(Kf・Lf−Kr・Lr)/V]}・γ−(Kf+Kr)・β+Kf・δ/n
……(8)
I・(dγ/dt)
=−[(Kf・Lf+Kr・Lr)/V]・γ+(−Kf・Lf+Kr・Lr)・β
+Kf・Lf・δ/n
……(9)
なお、(8)及び(9)式中の、mは車両重量、Iは車両重心を通るZ軸回りの慣性モーメント、Lはホイールベース(L=Lf+Lr)、Lf,Lrは、前,後車軸から重心までの水平距離、Kf,Krは、前,後タイヤのコーナリングパワー、nはオーバーオールステアリングギア比、δ/nは前輪実舵角、βは車体重心のスリップ角、Vは車速、γはヨーレートである。
セルフアライニングトルクはヨーレートγとスリップ角βの関数として表すことができることから、ヨーレートγとスリップ角βとを車速Vと操舵角δとの関数として整理すれば、SAT推定値SATbを求めることができる。車速Vと操舵角δよりSATbを求めると、図17に示すようになる。この特性は実験によって車両毎の特性値を測定してから、車両運動モデルを用いてシミュレーションによって作成してもよい。
したがって、この場合には、例えば第1の実施の形態の場合に、図18に示すように、車速センサ(車速検出手段)21で検出した車速Vと、舵角センサ68(操舵角検出手段)で検出した操舵角δとをSAT推定部47に入力し、このSAT推定部47で、図17の特性図にしたがってSAT推定値SATbを算出すればよい。
また、上記各実施形態においては、トレールεnが変化すると仮定してSAT推定値SATbとSAT演算値SATaとを比較する場合について説明したが、前述のように、トレールεnが一定の場合には、横力FyはSAT推定値SATb相当の値とみなすことができることから、SAT演算値SATaと横力検出部65で検出した横力Fyとからグリップロス度gを算出するようにしてもよい。
また、上記各実施形態においては、トルク補正値ΔTUS及びΔTOS、ΔTvUS及びΔTvOS、トルク補正係数KUS及びKOSを、グリップロス度gに応じて所定量ずつ変化させることにより、操舵補助力をグリップロス度gに応じて所定量ずつ変化させる場合について説明したが、これに限るものではなく、これらトルク補正値及びトルク補正係数を、グリップロス度gが小さいときほど急峻に増加させ、グリップロス度gが大きいときほど増加量を小さくしてもよい。このようにすることによって、グリップロス度gが比較的小さい段階でグリップロス度gのさらなる増加を確実に抑制することができ、特に、比較的滑りやすい特性を有する車両に有効である。逆に、これらトルク補正値及びトルク補正係数を、グリップロス度gが小さいときほど増加量を小さくし、グリップロス度gが大きいときほど急峻に変化させてもよく、この場合には、グリップロス度gがある程度の大きさとなった段階で、グリップロス度gのさらなる増加を確実に抑制することができ、特に、比較的滑りにくい特性を有する車両に有効である。要は、グリップロス度gが大きいときほど、発生される操舵補助力の低減量が大きくなるような特性であれば、どのような特性であってもよい。
また、上記各実施形態においては、指令値演算部40で算出した電流指令値Itvを補正する場合について説明したが、これに限るものではない。例えば、PWM制御部42から出力されるパルス幅変調信号のデューティ比を補正するようにしてもよく、要は、電動モータ12により発生される操舵補助力を補正することができればどの段階で補正を行ってもよい。
本発明を適用した電動パワーステアリング装置の概略構成を示す図である。 路面からステアリングホイールまでの間に発生するトルクの様子を説明するための模式図である。 タイヤの進行方向とスリップ角によるセルフアライニングトルク及び横力の関係を示す図である。 横力の着力点とトレールとの関係を示す図である。 スリップ角の変化に対する、横力及びセルフアライニングトルクの変化を示すグラフである。 セルフアライニングトルクの演算値SATaと推定値SATbとの関係を表すグラフである。 第1の実施の形態におけるコントロールユニットの概略構成を示すブロック図である。 グリップロス度gとトルク補正値ΔTUSとの対応を表す特性図、及びグリップロス度gとトルク補正値ΔTOSとの対応を表す特性図である。 第1の実施の形態におけるコントロールユニットの処理手順の一例を示すフローチャートである。 第2の実施の形態におけるコントロールユニットの概略構成を示すブロック図である。 グリップロス度gとトルク補正係数KUSとの対応を表す特性図、及びグリップロス度gとトルク補正係数KOSとの対応を表す特性図である。 第2の実施の形態におけるコントロールユニットの処理手順の一例を示すフローチャートである。 第3の実施の形態におけるコントロールユニットの概略構成を示すブロック図である。 グリップロス度gとトルク補正値ΔTvUSとの対応を表す特性図、及びグリップロス度gとトルク補正値ΔTvOSとの対応を表す特性図である。 第3の実施の形態におけるコントロールユニットの処理手順の一例を示すフローチャートである。 本発明におけるコントロールユニットのその他の例を示すブロック図である。 操舵角δとセルフアライニングトルクの推定値SATとの関係を表す特性図である。 本発明におけるコントロールユニットのその他の例を示すブロック図である。
符号の説明
1 ステアリングホイール
2 ステアリングシャフト
3 トルクセンサ
12 電動モータ
20 コントロールユニット
21 車速センサ
40 指令値演算部
46 セルフアライニングトルク演算部
47 セルフアライニングトルク推定部
50 グリップロス度検出部
51、51b US用トルク補正値演算部
51a US用トルク補正係数演算部
52、52b OS用トルク補正値演算部
52a OS用トルク補正係数演算部
53 選択部
54 ステア状態判定部
65 横力検出部

Claims (10)

  1. 車両のステアリング機構に入力される操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段と、
    前記操舵トルクに基づいて操舵補助指令値を算出する操舵補助指令値演算手段と、を有し、
    前記操舵補助指令値に基づいて前記ステアリング機構に操舵補助力を付与するモータを駆動する電動パワーステアリング装置の制御装置において、
    前記操舵補助指令値演算手段は、
    車両のステア状態を判定するステア状態判定手段と、
    タイヤのグリップが失われた度合を表すグリップロス度を検出するグリップロス度検出手段と、
    前記操舵トルクに基づき前記モータの電流指令値を算出する電流指令値演算手段と、
    前記ステア状態判定手段で判定したステア状態及び前記グリップロス度検出手段で検出したグリップロス度に基づいて前記電流指令値演算手段で算出した電流指令値を補正しこれを前記操舵補助指令値とする補正手段と、を備え
    前記補正手段は、前記ステア状態がオーバーステア状態であるときには、前記グリップロス度が予め設定したオーバーステア状態時のしきい値以上となったとき前記電流指令値の補正を開始し、前記アンダーステア状態であるときには、前記グリップロス度が予め設定したアンダーステア状態時のしきい値以上となったとき前記電流指令値の補正を開始し、前記オーバーステア状態時のしきい値は、前記アンダーステア状態時のしきい値よりも小さな値に設定されることを特徴とする電動パワーステアリング装置の制御装置。
  2. 前記グリップロス度の変化に対する、前記電流指令値の補正度合の変化は、前記ステア状態がオーバーステア状態であるときの方が、アンダーステア状態にあるときよりも大きいことを特徴とする請求項記載の電動パワーステアリング装置の制御装置。
  3. 車両のステアリング機構に入力される操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段と、
    前記操舵トルクに基づいて操舵補助指令値を算出する操舵補助指令値演算手段と、を有し、
    前記操舵補助指令値に基づいて前記ステアリング機構に操舵補助力を付与するモータを駆動する電動パワーステアリング装置の制御装置において、
    前記操舵補助指令値演算手段は、
    車両のステア状態を判定するステア状態判定手段と、
    タイヤのグリップが失われた度合を表すグリップロス度を検出するグリップロス度検出手段と、
    前記操舵トルクに基づき前記モータの電流指令値を算出する電流指令値演算手段と、
    前記ステア状態判定手段で判定したステア状態及び前記グリップロス度検出手段で検出したグリップロス度に基づいて前記電流指令値演算手段で算出した電流指令値を補正しこれを前記操舵補助指令値とする補正手段と、を備え
    前記グリップロス度の変化に対する、前記電流指令値の補正度合の変化は、前記ステア状態がオーバーステア状態であるときの方が、アンダーステア状態にあるときよりも大きいことを特徴とする電動パワーステアリング装置の制御装置。
  4. 前記補正手段は、前記グリップロス度が大きいときほど、前記操舵補助力がより小さくなるように前記電流指令値を補正し、且つ前記ステア状態がオーバーステア状態であるときとアンダーステア状態であるときとで、異なる特性で前記補正を行うことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電動パワーステアリング装置の制御装置。
  5. 前記補正手段は、前記グリップロス度及び前記ステア状態に応じて前記電流指令値を補正するための補正値を算出し、当該補正値を前記電流指令値から減算した値を前記操舵補助指令値とすることを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1項に記載の電動パワーステアリング装置の制御装置。
  6. 前記補正手段は、前記グリップロス度及び前記ステア状態に応じて前記電流指令値を補正するための補正係数を算出し、当該補正係数を、前記電流指令値に乗算した値を前記操舵補助指令値とすることを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1項に記載の電動パワーステアリング装置の制御装置。
  7. 前記補正手段は、ステアリングホイールの操舵速度を検出する操舵速度検出手段を備え、
    当該操舵速度検出手段で検出される操舵速度が大きいときほどより小さくなるように前記電流指令値を補正することを特徴とする請求項1から請求項6の何れか1項に記載の電動パワーステアリング装置の制御装置。
  8. 前記ステアリング機構は、転舵輪を操舵するタイロッドに接続されているラックを有し、
    前記グリップロス度検出手段は、前記ラック上に生じる外力をセルフアライニングトルク演算値として算出するSAT演算部と、
    路面から生じるセルフアライニングトルクを車両運動モデルに基づいてセルフアライニングトルク推定値として推定するSAT推定部と、
    前記SAT演算部で算出されたセルフアライニングトルク演算値及び前記SAT推定部で推定されたセルフアライニングトルク推定値の偏差に基づいて前記グリップロス度を算出するグリップロス度検出部と、を備えることを特徴とする請求項1から請求項7の何れか1項に記載の電動パワーステアリング装置の制御装置。
  9. 車速を検出する車速検出手段と、ステアリングホイールの操舵角を検出する操舵角検出手段と、を備え、
    前記SAT推定部は、前記車速検出手段で検出される車速と、前記操舵角検出手段で検出される操舵角とを前記車両運動モデルに代入して前記セルフアライニングトルク推定値を推定することを特徴とする請求項8記載の電動パワーステアリング装置の制御装置。
  10. 前記ステアリング機構は、転舵輪を操舵するタイロッドに接続されているラックを有し、
    前記グリップロス度検出手段は、前記ラック上に生じる外力をセルフアライニングトルク演算値として算出するSAT演算部と、
    車両に作用する横力を検出する横力検出部と、
    前記SAT演算部で算出されたセルフアライニングトルク演算値及び前記横力検出部で検出された横力に基づいて前記グリップロス度を算出するグリップロス度検出部と、を備えることを特徴とする請求項1から請求項7の何れか1項に記載の電動パワーステアリング装置の制御装置。
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