JP5703618B2 - 電動車両のトルク異常判定装置 - Google Patents

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本発明は、前後輪のうち少なくともどちらか一方の左右の駆動輪を独立に駆動する電動モータのトルク異常を判定する電動車両のトルク異常判定装置に関するものである。
従来、車両のヨーレートから駆動輪の前後力を求めることで、駆動輪を駆動する電動モータトルクが検出不可能になった場合であっても、この前後力から電動モータに供給されている電流値を推定する電動モータの制御装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
この電動モータの制御装置では、推定した電流値に基づいて、電動モータの異常モータトルクの発生の有無を判定することが可能である。
特開2005-239006号公報
しかしながら、従来のように、車両のヨーレートに基づいて推定した前後力から異常モータトルクの有無を判定するためには、車両に作用する横力等のパラメータが必要となる。一般的に、タイヤモデルのモデル化精度は悪く、横力等のパラメータを高精度で求めることは困難である。そのため、横力等のパラメータを用いて異常モータトルクの有無を判定すると、判定精度が低くなってしまうという問題がある。
その上、横力の発生までには大きな遅れ時間があるため判定に時間がかかり、異常モータトルクの発生に伴うトルクダウン等の挙動不良に対する対応が遅れてしまうおそれもある。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、前後輪のうち少なくとも一方の左右駆動輪を独立に駆動する電動モータの異常モータトルクの発生の有無を、高精度且つ短時間で判定することができる電動車両のトルク異常判定装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の電動車両のトルク異常判定装置は、前後輪のうち少なくともどちらか一方の左右駆動輪を独立に電動モータで駆動し、トルク指令に応じて電動モータを駆動する電動車両に適用する。この電動車両のトルク異常判定装置は、電動車両のヨー加速度であるヨージャークを検出するヨージャーク検出手段と、電動モータの異常モータトルクの発生の有無を、ヨージャークに基づいて判定するトルク異常判定手段と、を備えている。トルク異常判定手段は、異常モータトルクの発生直後からヨージャークが最大値になるまでの時間領域に、ヨージャーク検出手段が検出したヨージャークに基づいて、異常モータトルクの発生の有無を判定する。
本発明にあっては、トルク異常判定手段により、ヨージャークに基づいて異常モータトルクの発生の有無が判定される。つまり、タイヤモデルのモデル化精度が悪く、高精度で求めることが困難な横力等のパラメータを用いることなく異常モータトルクの有無を判定する。
すなわち、ヨージャークは車両に作用する前後力と横力により求められるが、ヨージャークの発生直後は前後力の影響が支配的であり、横力の影響は遅れて生じるというように、前後力と横力には応答の違いがある。したがって、この前後力の影響が支配的となるヨージャーク発生直後の時間領域に検出されるヨージャークに基づいて、異常モータトルクの有無を判定することで、横力等のパラメータの影響を抑えられる。
この結果、前後輪のうち少なくとも一方の左右駆動輪を独立に駆動する電動モータの異常モータトルクの発生の有無を、高精度且つ短時間で判定することができる。
実施例1の電動車両のトルク異常判定装置が適用された電動車両を示す全体システム図である。 実施例1の電動車両のトルク異常判定装置の異常モータトルク推定器を示す制御ブロック図である。 実施例1の電動車両のトルク異常判定装置のトルク異常輪判定器を示す制御ブロック図である。 トルク異常輪判定処理にて使用する異常輪判定表を示す図である。 実施例1の電動車両のトルク異常判定装置の異常トルク推定器を示す制御ブロック図である。 実施例1の電動車両のトルク異常判定装置の車輪スリップ補正器を示す制御ブロック図である。 異常モータトルク推定手段にて実行される異常モータトルク推定処理の流れを示すフローチャートである。 トルク異常輪判定器にて実行されるトルク異常輪判定処理の流れを示すフローチャートである。 異常トルク推定器にて実行される異常トルク推定処理の流れを示すフローチャートである。 車輪スリップ補正器にて実行される車輪スリップ補正処理の流れを示すフローチャートである。 実施例1の電動車両のトルク異常判定装置の基本原理を説明するための車両モデルを示す説明図である。 実施例1の電動車両のトルク異常判定装置の基本原理によるトルク異常判定時における、車両モーメント・ヨージャーク・異常モータトルクの各特性を示すタイムチャートである。 実施例1の異常モータトルク推定処理によるトルク異常判定時における、左右駆動輪実トルク・ヨージャーク・前後加速度・トルク異常判定フラグ・異常輪判定値・異常トルク推定値・ヨーレートの各特性を示すタイムチャートである。 実施例2の電動車両のトルク異常判定装置の異常モータトルク推定器を示す制御ブロック図である。
以下、本発明の電動車両のトルク異常判定装置を実現する最良の形態を、図面に示す実施例1に基づいて説明する。
まず、構成を説明する。
図1は、実施例1の電動車両のトルク異常判定装置が適用された電動車両を示す全体システム図である。
実施例1における電動車両1は、図1に示すように、左駆動輪2L,右駆動輪2Rと、左駆動モータ(電動モータ)3L,右駆動モータ(電動モータ)3Rと、モータコントローラ4と、トルク異常判定装置10と、を備えている。
前記左駆動輪2Lは、左後輪として車体1aに設置され、前記右駆動輪2Rは、右後輪として車体1aに設置されている。
前記左駆動モータ3Lは、左駆動輪2Lの内部に一体的に設けられたインホイールモータとなり、前記右駆動モータ3Rは、右駆動輪2Rの内部に一体的に設けられたインホイールモータとなっている。前記左右駆動モータ3L,3Rは、それぞれ図示しないモータインバータからの電流供給を受けて各駆動輪2L,2Rを独立して駆動する。なお、ここでは、左右駆動モータ3L,3Rは、左右駆動輪2L,2Rからの回転エネルギーを受けてそれぞれ発電機として機能し、図示しないバッテリーを充電することができる。
前記モータコントローラ4は、左右駆動輪2L,2Rの駆動力を独立して制御するものである。このモータコントローラ4は、例えば、左右駆動モータ3L,3Rのそれぞれの動作状態と運転者の運転操作量(アクセル操作量)を基に適切なトルク指令T,Tを[Nm]を出力する。図示しないモータインバータは、このトルク指令T,Tに基づいて左右駆動モータ3L,3Rにそれぞれ電流供給を行う。
すなわち、前記電動車両1は、トルク指令T,T[Nm]に応じて駆動する左右駆動モータ3L,3Rによって、左右後輪として設定された左右駆動輪2L,2Rを、それぞれ独立に駆動するようになっている。
前記トルク異常判定装置10は、上述の電動車両1に搭載されるものであり、ヨージャーク検出器(ヨージャーク検出手段)11と、前後加速度検出器(前後加速度検出手段)12と、左車輪速検出器13aと、右車輪速検出器13bと、異常モータトルク推定器20と、を備えている。
前記ヨージャーク検出器11は、電動車両1の重心回りのヨー加速度であるヨージャークdγ[rad/s2]を検出する。
前記前後加速度検出器12は、電動車両1の前後方向の加速度(以下、前後加速度a[G]という)を検出する。
前記左車輪速検出器13aは、左駆動輪2Lの回転速度(以下、左車輪速V[m/s]という)を検出する。また、前記右車輪速検出器13bは、右駆動輪2Rの回転速度(以下、右車輪速V[m/s]という)を検出する。
前記異常モータトルク推定器20は、左右駆動モータ3L,3Rの異常モータトルクの発生の有無を判断し、異常モータトルクが生じたときには異常モータトルク値(以下、異常トルク推定値Tfail[Nm]という)を推定する。この異常モータトルク推定器20には、ヨージャーク検出器11によって検出されたヨージャークdγ[rad/s2]、前後加速度検出器12によって検出された前後加速度a[G]、左右車輪速検出器13a,13bによって検出された左右車輪速V,V[m/s]及びモータコントローラ4から出力したトルク指令T,T[Nm]の各種情報が入力される。
図2は、実施例1の電動車両のトルク異常判定装置の異常モータトルク推定手段を示す制御ブロック図である。
この異常モータトルク推定器20は、図2に示すように、トルク異常判定器(トルク異常判定手段)21と、トルク異常輪判定器(トルク異常輪判定手段)22と、異常トルク推定器23と、車輪スリップ補正器24と、を有している。
前記トルク異常判定器21は、異常モータトルク推定器20に入力されたヨージャークdγ[rad/s2]と、予め記憶した異常判定閾値dγTh[rad/s2]に基づいて、異常モータトルクの発生の有無を判定し、下記式(1)によりトルク異常判定フラグFfailを出力する。なお、「異常モータトルク」とは、モータコントローラ4からのトルク指令T,T[Nm]に一致しない左右駆動モータ3L,3Rからの出力トルクである。
ここで、Ffail=0は正常、すなわちヨージャークdγ[rad/s2]が異常判定閾値dγTh[rad/s2]を超えていないときには、モータトルクに異常が発生していないと判断する。また、Ffail=1は異常、すなわちヨージャークdγ[rad/s2]が異常判定閾値dγTh[rad/s2]を超えているときには、左右駆動輪2L,2Rのどちらかを駆動するモータトルクに異常が発生していると判断する。ここで、異常判定閾値dγTh[rad/s2]は0.9[rad/s2]に設定する。
前記トルク異常輪判定器22は、異常モータトルク推定器20に入力されたヨージャークdγ[rad/s2]と、前後加速度a[G]と、トルク異常判定器21にて演算されたトルク異常判定フラグFfailに基づいて、モータトルクに異常が発生した駆動輪(以下、トルク異常輪という)を判定する。
前記異常トルク推定器23は、異常モータトルク推定器20に入力されたヨージャークdγ[rad/s2]と、トルク指令T,T[Nm]と、トルク異常輪判定器22にて求められたトルク異常輪判定値Wfailに基づいて、トルク異常輪における異常モータトルク値Tfailを求める。さらに、この異常モータトルク値Tfailを左右駆動輪2L,2Rの前後力発生応答遅れに応じて補正した1次補正推定値Tfail を求める。
前記車輪スリップ補正器24は、異常モータトルク推定器20に入力されたトルク指令T,T[Nm]と、左右車輪速V,V[m/s]とによって、異常トルク推定器23にて求めた1次補正推定値Tfail を、トルク異常輪のスリップ状態に応じて補正し、2次補正推定値Tfail **を出力する。
以下、トルク異常輪判定器22、異常トルク推定器23、車輪スリップ補正器24のそれぞれについて詳述する。
図3は、実施例1の電動車両のトルク異常判定装置のトルク異常輪判定器を示す制御ブロック図である。
トルク異常輪判定器22は、図3に示すように、ヨージャーク符号演算部22aと、勾配検出部22bと、車速検出部22cと、駆動力補正部22dと、走行抵抗補正部22eと、前後加速度符号演算部22fと、異常輪判定部22gと、を有している。
前記ヨージャーク符号演算部22aは、入力されたヨージャークdγ[rad/s2]の符号を判別し、下記式(2)によりヨージャーク符号フラグSdγを出力する。

ここで、Sdγ=0のとき、すなわちヨージャークdγ[rad/s2]の符号がマイナスのときには図1において時計回り(右回り)方向の回転を示し、Sdγ=1のとき、すなわちヨージャークdγ[rad/s2]の符号がプラスのときには図1において反時計回り(左回り)方向の回転であることを示す。
前記勾配検出部22bは、例えば傾斜センサであり、電動車両1が走行している道路の勾配である前後勾配θ[rad]を検出する。
前記車速検出部22cは、異常モータトルク推定器20に入力された左右車輪速V,V[m/s]に基づいて、電動車両1の車体速度である車速V[m/s]を演算する。この車速V[m/s]は、下記式(3)により求める。
前記駆動力補正部22dは、入力された前後加速度a[G]からトルク指令T,T[Nm]による加速度成分を除去して補正し、トルク補正前後加速度a [G]を演算する。このトルク補正前後加速度a [G]は、下記式(4)により求める。
ここで、nはモータ減速比、R[m]はタイヤ動半径、W[N]は車両重量をそれぞれ表わす。
前記走行抵抗補正部22eは、勾配検出部22bにて検出した前後勾配θ[rad]と、車速検出部22cにて求めた車速V[m/s]に基づいて、電動車両1に作用する走行抵抗D[N]を演算する。この走行抵抗D[N]は、下記式(5)により求める。
さらに、この走行抵抗補正部22eは、駆動力補正部22dにて求めたトルク補正前後加速度a [G]から走行抵抗D[N]による加速度成分を除去して補正し、抵抗補正前後加速度a **[G]を演算する。この抵抗補正前後加速度a **[G]は、下記式(6)により求める。
ここで、ρ [kg/m3]は空気密度、C[-]は空気抵抗係数、A [m2]は車両前面投影面積、
μ[-]は転がり抵抗係数をそれぞれ表わす。
前記前後加速度符号演算部22fは、駆動力補正部22dにて補正した後、さらに走行抵抗補正部22eで補正した前後加速度、すなわち抵抗補正前後加速度a **[G]の符号を判別し、下記式(7)により前後加速度符号フラグSaを出力する。
ここで、Sa=0のとき、すなわち抵抗補正前後加速度a **[G]の符号がマイナスのときには車両後方に向かう加速度を示し、Sa=1のとき、すなわち抵抗補正前後加速度a **[G]の符号がプラスのときには車両前方に向かう加速度であることを示す。
前記異常輪判定部22gは、入力されたトルク異常判定フラグFfailが1の場合に、ヨージャーク符号フラグSdγと前後加速度符号フラグSaに基づいてトルク異常輪を判定し、トルク異常輪判定値Wfailを出力する。このとき、図4に示す異常輪判定表を用いて判定する。なお、「力行」とはトルク異常輪が駆動モータによって回転駆動されている状態を示し、「回生」とはトルク異常輪が駆動モータに回転エネルギーを出力している状態を示す。
図5は、実施例1の電動車両のトルク異常判定装置の異常トルク推定器を示す制御ブロック図である。
異常トルク推定器23は、図5に示すように、正常輪トルク選択部23aと、最大値検出部23bと、異常トルク演算部23cと、タイヤ応答補正部23dと、を有している。
前記正常輪トルク選択部23aは、トルク異常輪判定器22からのトルク異常輪判定値Wfailに基づいて、左右駆動輪2L,2Rのうち正常なモータトルクで駆動している駆動輪(以下、トルク正常輪という)を駆動する正常輪トルクTnormal[Nm]を、トルク指令T,T[Nm]から選択する。この正常輪トルクTnormal[Nm]は、下記式(8)により選択する。
前記最大値検出部23bは、下記式(9)により、ヨージャーク検出器11で検出したヨージャークdγ[rad/s2]のうちの最大値(以下、ヨージャーク最大値dγMAX[rad/s2]という)を検出する。
ここで、ヨージャーク最大値dγMAX[rad/s2]は、トルク異常判定フラグFfailが1であり、フラグ出力から遡って異常発生が想定される時間から0.1s程度の間に検出したヨージャークdγ[rad/s2]のうちの最大の値の絶対値とする。
異常トルク演算部23cは、入力されたトルク異常輪判定値Wfailと、正常輪トルク選択部23aにて選択した正常輪トルクTnormal[Nm]と、最大値検出部23bにて検出したヨージャーク最大値dγMAX[rad/s2]に基づき、異常トルク推定値Tfail[Nm]を演算する。この異常トルク推定値Tfail[Nm]は、下記式(10)により求める。
ここで、nはモータ減速比、R[m]はタイヤ動半径、W[N]は車両重量をそれぞれ表わす。
前記タイヤ応答補正部23dは、異常トルク演算部23cにて演算した異常トルク推定値Tfail[Nm]を、左右駆動輪2L,2Rの前後力の発生応答遅れに応じて補正し、1次補正推定値Tfail [Nm]を演算する。
ここで、左右駆動輪2L,2Rの応答特性は、例えば下記式(11)の伝達特性で表される。
なお、w=2π×25[rad/s]程度である。そして、1次補正推定値Tfail [Nm]は、下記式(12)により求める。
ここで、P(s)は、式(12)をプロパー化するためのフィルタであり、少なくとも式(11)より次数の高いローパスフィルタである。
図6は、実施例1の電動車両のトルク異常判定装置の車輪スリップ補正器を示す制御ブロック図である。
前記車輪スリップ補正器24は、図6に示すように、異常輪速度選択部24aと、実トルク演算部24bと、を有している。
前記異常輪速度選択部24aは、トルク異常輪判定器22からのトルク異常輪判定値Wfailに基づいて、トルク異常輪の車輪速である異常輪速度Vfail[m/s]を、左右車輪速V,V[m/s]から選択する。この異常輪速度Vfail[m/s]は、下記式(13)により選択する。
前記実トルク演算部24bは、異常トルク推定器23にて求めた1次補正推定値Tfail [Nm]を、異常輪速度選択部24aにて選択した異常輪速度Vfail[m/s]から求めたトルク異常輪のスリップ状態に応じて補正し、2次補正推定値Tfail **[Nm]を演算する。この2次補正推定値Tfail **[Nm]は、下記式(14)より求める。
ここで、Iwheelは駆動輪の回転慣性、d/dt(x)はxの時間微分をそれぞれ表わす。
次に、実施例1のトルク異常判定装置の異常モータトルク推定器20にて実行される異常トルク推定処理について、図7〜図10のフローチャートを用いて説明する。
図7は、異常モータトルク推定手段にて実行される異常トルク推定処理の流れを示すフローチャートである。以下、図7の各ステップについて説明する。
ステップS1では、ヨージャーク検出器11によって検出されたヨージャークdγ[rad/s2]、前後加速度検出器12によって検出された前後加速度a[G]、左右車輪速検出器13a,13bによって検出された左右車輪速V,V[m/s]、モータコントローラ4から出力したトルク指令T,T[Nm]の各情報を入力する。
ステップS2では、ステップS1での各情報の入力に続き、ヨージャークdγ[rad/s2]と、異常判定閾値dγTh[rad/s2]に基づいて、異常モータトルクの発生の有無を判定し、トルク異常判定フラグFfailを出力する。ここで、トルク異常判定フラグFfailは、上述の式(1)によって求め、ヨージャークdγ[rad/s2]が異常判定閾値dγTh[rad/s2]を超えたときに異常モータトルクが発生したと判定する。このとき、異常判定閾値dγTh[rad/s2]を0.9[rad/s2]程度にすることで、旋回等で発生する小さなヨージャークを除去することができる。
ステップS3では、ステップS2にて出力されたトルク異常判定フラグFfailが1であるか否かを判断し、YES(Ffail=1:異常)の場合にはステップS4へ移行し、NO(Ffail=0:正常)の場合にはエンドへ移行して異常トルク推定処理を終了する。
ステップS4では、ステップS3でのトルク異常ありとの判断に続き、ヨージャークdγ[rad/s2]と、前後加速度a[G]と、左右車輪速V,V[m/s]と、前後勾配θ[rad]に基づいてトルク異常輪を判定するトルク異常輪判定処理を実行し、トルク異常輪判定値Wfailを出力して、ステップS5へ移行する。
ステップS5では、ステップS4にて出力したトルク異常輪判定値Wfailと、ヨージャークdγ[rad/s2]と、トルク指令T,T[Nm]に基づいて、トルク異常輪における1次補正推定値Tfail を求める異常トルク推定処理を実行し、ステップS6へ移行する。
ステップS6では、ステップS5にて求めた1次補正推定値Tfail を、トルク異常輪のスリップ状態に応じて補正する車輪スリップ補正処理を実行し、2次補正推定値Tfail **を求め、エンドへ移行して異常トルク推定処理を終了する。
図8は、トルク異常輪判定器にて実行されるトルク異常輪判定処理の流れを示すフローチャートである。以下、図8の各ステップについて説明する。
ステップS41では、図7のステップS3に続き、ステップS1にて入力されたヨージャークdγ[rad/s2]の符号を判別してヨージャーク符号フラグSdγを出力し、ステップS42へ移行する。ここで、ヨージャーク符号フラグSdγは、上述の式(2)によって求める。
ステップS42では、勾配検出部22bによって検出された前後勾配θ[rad]の情報を入力し、ステップS43へ移行する。
ステップS43では、ステップS1にて入力された左右車輪速V,V[m/s]に基づいて車速V[m/s]を演算し、ステップS44へ移行する。ここで、車速V[m/s]は、上述の式(3)によって求める。
ステップS44では、ステップS1にて入力された前後加速度a[G]からトルク指令T,T[Nm]による加速度成分を除去して補正し、トルク補正前後加速度a [G]を演算し、ステップS45へ移行する。ここで、トルク補正前後加速度a [G]は、上述の式(4)によって求める。
ステップS45では、ステップS42にて入力された前後勾配θ[rad]と、ステップS43にて演算した車速V[m/s]に基づいて走行抵抗D[N]を求め、ステップS46へ移行する。ここで、走行抵抗D[N]は、上述の式(5)によって求める。
ステップS46では、ステップS44にて求めたトルク補正前後加速度a [G]から、ステップS45にて求めた走行抵抗D[N]による加速度成分を除去して補正し、抵抗補正前後加速度a **[G]を演算し、ステップS47へ移行する。ここで、抵抗補正前後加速度a **[G]は、上述の式(6)によって求める。
ステップS47では、ステップS46にて求めた抵抗補正前後加速度a **[G]の符号を判別して前後加速度符号フラグSaを出力し、ステップS48へ移行する。ここで、前後加速度符号フラグSaは、上述の式(7)によって求める。
ステップS48では、ステップS41にて求めたヨージャーク符号フラグSdγと、ステップS47にて求めた前後加速度符号フラグSaに基づいてトルク異常輪を判定し、ステップS49へ移行する。このトルク異常輪の判定には、図4に示す異常輪判定表を用いる。
ステップS49では、ステップS48でのトルク異常輪の判定に続き、トルク異常輪判定値Wfailを出力し、トルク異常輪判定処理を終了する。
図9は、異常トルク推定器にて実行される異常トルク推定処理の流れを示すフローチャートである。以下、図9の各ステップについて説明する。
ステップS51では、図7のステップS4に続き、ステップS49にて出力したトルク異常輪判定値Wfailに基づき、ステップS1にて入力されたトルク指令T,T[Nm]から、トルク正常輪を駆動する正常輪トルクTnormal[Nm]を選択し、ステップS52へ移行する。ここで、正常輪トルクTnormal[Nm]は、上述の式(8)によって選択する。
ステップS52では、ステップS1にて入力されたヨージャークdγ[rad/s2]のうちの最大値であるヨージャーク最大値dγMAX[rad/s2]を演算し、ステップS53へ移行する。ここで、ヨージャーク最大値dγMAX[rad/s2]は、上述の式(9)によって求める。
ステップS53では、ステップS49にて出力したトルク異常輪判定値Wfailと、ステップS51にて選択した正常輪トルクTnormal[Nm]と、ステップS52にて求めたヨージャーク最大値dγMAX[rad/s2]に基づき、異常トルク推定値Tfail[Nm]を算出し、ステップS54へ移行する。ここで、異常トルク推定値Tfail[Nm]は、上述の式(10)によって求める。
ステップS54では、ステップS53にて求めた異常トルク推定値Tfail[Nm]を、左右駆動輪2L,2Rの前後力発生応答遅れに応じて補正して1次補正推定値Tfail [Nm]を演算し、ステップS55へ移行する。ここで、1次補正推定値Tfail [Nm]は、上述の式(12)よって求める。
ステップS55では、ステップS54での1次補正推定値Tfail [Nm]の演算に続き、この1次補正推定値Tfail [Nm]を出力し、エンドへ移行して異常トルク推定処理を終了する。
図10は、車輪スリップ補正器にて実行される車輪スリップ補正処理の流れを示すフローチャートである。以下、図10の各ステップについて説明する。
ステップS61では、図7のステップS5に続き、ステップS49にて出力したトルク異常輪判定値Wfailに基づき、ステップS1にて入力された左右車輪速V,V[m/s]から、トルク異常輪の車輪速である異常輪速度Vfail[m/s]を選択し、ステップS62へ移行する。ここで、異常輪速度Vfail[m/s]は、上述の式(13)によって選択する。
ステップS62では、ステップS61にて選択した異常輪速度Vfail[m/s]から求めたトルク異常輪のスリップ状態に応じて、ステップS55にて出力した1次補正推定値Tfail [Nm]を補正して2次補正推定値Tfail **[Nm]を演算し、ステップS63へ移行する。ここで、2次補正推定値Tfail **[Nm]は、上述の式(14)によって求める。
ステップS63では、ステップS62での2次補正推定値Tfail **[Nm]の演算に続き、この2次補正推定値Tfail **[Nm]を出力し、エンドへ移行して車輪スリップ補正処理を終了する。
次に、作用を説明する。
まず、「実施例1の電動車両のトルク異常判定装置の基本原理」の説明を行い、続いて、実施例1の電動車両のトルク異常判定装置における「異常モータトルク推定作用」を説明する。
[実施例1の電動車両のトルク異常判定装置の基本原理]
図11は、実施例1の電動車両のトルク異常判定装置の基本原理を説明するための車両モデルを示す説明図である。図12は、実施例1の電動車両のトルク異常判定装置の基本原理によるトルク異常判定時における、車両モーメント・ヨージャーク・異常モータトルクの各特性を示すタイムチャートである。
駆動輪が左右後輪101L,101Rに設定された車両100の走行中に、例えば右後輪101Rを駆動する電動モータ(図示せず)が異常なモータトルク(以下、異常モータトルクT[Nm]という)を発生したとする。なお、この「異常モータトルクT[Nm]」とは、トルク指令に一致しない電動モータからの出力トルクである。
このとき、異常モータトルクT[Nm]によって異常輪(ここでは右後輪101R)に前後力F[N]が作用する。この前後力F[N]によって生じる車両モーメント(以下、前後力モーメントM[Nm]という)は、下記式(15)によって求めることができる。
ここで、Tb[m]はトレッドベース、nはモータ減速比[-]、R[m]はタイヤ動半径を表す。また、符号は反時計回り方向の回転をプラスとする。
またこのとき、異常モータトルクT[Nm]によって車両100が横方向に滑るため、各車輪には横力F1[N]〜F4[N]が作用する。この横力F1[N]〜F4 [N]によって生じる車両モーメント(以下、横力モーメントM[Nm]という)は、下記式(16)によって求めることができる。
ここで、Wb[m]はホイールベースを表す。
したがって、上述の式(15),(16)により、異常モータトルクT[Nm]の発生に伴って車両100に生じるヨージャークdγ[rad/s2]は、車両100に作用する前後力F[N]と横力横力F1[N]〜F4[N]によって決まり、下記式(17)により求められる。
ここで、I[kgm2]は、車両100のヨー慣性を表す。
ところで、通常、前後力の応答は25Hz程度であるのに対し、横力の応答は2Hz程度となり、前後力よりも横力の方が遅れて発生する。すなわち、異常モータトルクT[Nm]の発生によって車両100に作用する前後力モーメントM[Nm]と、横力モーメントM[Nm]と、ヨージャークdγ[rad/s2]は、図12に示すように変化する。
図12における時刻tαにおいて、異常モータトルクT[Nm]が発生すると、この異常モータトルクT[Nm]の発生とほぼ同時に前後力モーメントM[Nm]が生じる。この前後力モーメントM[Nm]の発生に伴ってヨージャークdγ[rad/s2]が生じる。
そして、時刻tβにおいて、前後力モーメントM[Nm]はピーク値となり、その後ピーク値を維持したまま推移する。このとき、ヨージャークdγ[rad/s2]は最大値になる。この間の時間は、時刻tαから約0.1[s]間である。さらに、このときから横力モーメントM[Nm]が徐々に発生する。
そして、時刻tγにおいて、横力モーメントM[Nm]はピーク値となり、その後ピーク値を維持したまま推移する。この間の時間は、時刻tαから約0.4[s]間である。
したがって、異常モータトルクT[Nm]の発生時点から約0.1[s]間では、車両100に作用する力は前後力モーメントM[Nm]が支配的になり、横力モーメントM[Nm]の影響は無視できる。そのため、ヨージャークdγ[rad/s2]の最大値は、下記式(18)に示すように、前後力モーメントM[Nm]で決まる(M≒0)。
そして、上記式(15)及び式(18)より、発生直後の異常モータトルクT[Nm]は下記式(19)によって求めることができる。
実施例1の電動車両のトルク異常判定装置では、以上説明した原理を利用し、前後力の影響が支配的となるヨージャークdγ[rad/s2]発生直後の時間領域に検出されるヨージャークdγ[rad/s2]に基づいて、異常モータトルクT[Nm]の発生の有無を判定する。これにより、横力等のパラメータの影響を抑えて判定することが可能となり、高い判定精度とすることができる。また、横力よりも応答の速い前後力が支配的な時間領域に生じるヨージャークdγ[rad/s2]を用いて判定するために、判定時間の短縮を図ることもできる。
[トルク異常判定作用]
図13は、実施例1の異常モータトルク推定処理によるトルク異常判定時における、左右駆動輪実トルク・ヨージャーク・前後加速度・トルク異常判定フラグ・トルク異常輪判定値・異常トルク推定値・ヨーレートの各特性を示すタイムチャートである。
実施例1の電動車両のトルク異常判定装置を適用した電動車両1では、走行中、図7に示すフローチャートにおいてステップS1→ステップS2へと進み、必要な情報を入力し、異常モータトルクの発生の有無が判定される。
時刻t0において、電動車両1の右駆動輪2Rを駆動するモータトルクに異常が発生したとする。これにより、右駆動輪2Rの実トルクT realは異常値を示す。一方、モータトルクに異常が発生していない左駆動輪2Lの実トルクT realは正常値のままで推移する。またこのとき、電動車両1には、ヨージャークdγ[rad/s2]及びヨーレートγ[rad/s]が発生する。
時刻t1において、ヨージャークdγ[rad/s2]が異常判定閾値dγTh[rad/s2]を越えると、トルク異常判定フラグFfailが1になり、図7のフローチャートのステップS3にてYESと判断され、ステップ4へと進む。
ここで、時刻t0から時刻t1までの時間は、一般的にヨージャークdγ[rad/s2]の応答時間と異常判定閾値dγTh[rad/s2]により決まり、約0.1[s]程度の値にすることができる。一方、このときヨーレートγ[rad/s]は僅かに発生している程度であり、異常モータトルク発生の有無を判定できる程度ではない。
そして、ヨーレートγ[rad/s]に基づいて異常モータトルクの発生の有無の判定をする場合では、ヨーレートγ[rad/s]の出力が安定する時刻t3まで待たなければならない。この時刻t0から時刻t3までの時間は、ヨーレートγ[rad/s]の応答時間であり、約0.4[s]程度となる。
この違いは、上述したように駆動輪に作用する前後力の応答は25Hz程度であるのに対し、横力の応答は2Hz程度であり、応答の速い前後力の影響が支配的となる発生直後の時間領域(ここでは約0.1[s]程度の間)に生じるヨージャークdγ[rad/s2]であっても判定可能であるが、ヨーレートγ[rad/s]に基づいて判定する場合では、遅れて発生する横力を必要とするからである。
このように、前後力の影響が支配的となる発生直後の時間領域に検出されるヨージャークdγ[rad/s2]に基づいて、異常モータトルクの発生の有無を判定することで、横力等のパラメータの影響が抑えられ、高精度で異常の有無を判定することができる。つまり、タイヤモデルのモデル化精度が悪く、高精度で求めることが困難なパラメータを必要としないで異常の有無を判定可能なため、判定精度を高めることができる。その上、応答の遅い横力を必要とするヨーレートγ[rad/s]に基づいて異常モータトルクの発生の有無を判定する場合よりも、発生直後の前後力の影響が支配的な時間領域のヨージャークdγ[rad/s2]に基づいて判断した方が、判定時間の短縮を図ることができる。
さらに、実施例1の電動車両の異常トルク判定装置では、ヨージャークdγ[rad/s2]が異常判定閾値dγTh[rad/s2]を越えたときに、異常モータトルクが発生したと判定する。これにより、通常の旋回挙動時等の外乱によって誤判断する確率を低減し、判定精度の向上を図ることができる。
そして、実施例1の電動車両のトルク異常判定装置では、時刻t1において、前後加速度a[G]が発生すると、図8のフローチャートにおいてステップS41が実行されてヨージャークdγ[rad/s2]の符号が判定される。また、ステップS42→ステップS43→ステップS44へと進み、前後加速度a[G]がトルク指令T,T[Nm]によって補正される。そして、ステップS45→ステップS46→ステップS47へと進み、トルク指令T,T[Nm]で補正した前後加速度a[G](トルク補正前後加速度a [G])を、さらに走行抵抗D[N]によって補正した上、その符号が判定される。
このように、前後加速度a[G]を、トルク指令T,T[Nm]によって補正することで、トルク指令T,T[Nm]の影響を排除して異常輪を判定でき、判定精度を向上することができる。また、この実施例1のトルク異常判定装置では、前後勾配θ[rad] と車速V[m/s]から、電動車両1の走行抵抗D[N]を演算し、この演算結果により前後加速度a[G](ここではトルク指令T,T[Nm]で補正したトルク補正前後加速度a [G])を補正する。これにより、走行抵抗D[N]による前後加速度a[G]の変化を考慮することができ、走行抵抗D[N]に拘らずトルク異常輪の特定ができる。この結果、異常モータトルクの発生有無の判定精度をさらに高めることができる。
そして、ステップS48→ステップS49へと進み、ヨージャークdγ[rad/s2]の符号と補正された前後加速度(抵抗補正前後加速度a **[G])の符号に基づいてトルク異常輪を判定し、トルク異常輪判定値Wfailを出力する。なおここでは、力行状態の右駆動輪2Rがトルク異常輪であるため、トルク異常輪判定値Wfailは1となる。また、このとき、図9に示すフローチャートにおいてステップS51が実行されて正常輪トルクTnormal[Nm]が選択される。
このように、前後加速度a[G]とヨージャークdγ[rad/s2]に基づいて、トルク異常輪を判定することで、トルク異常輪を特定することができ、さらに異常モータトルクの発生の有無を高精度で判定することができる。
次に、効果を説明する。
実施例1の電動車両のトルク異常判定装置にあっては、下記に挙げる効果を得ることができる。
(1) 左右駆動輪2L,2Rを独立に電動モータ(左右駆動モータ)3L,3Rで駆動し、トルク指令T,T[Nm]に応じて前記電動モータ3L,3Rを駆動する電動車両1において、前記電動車両1のヨー加速度であるヨージャークdγを検出するヨージャーク検出手段(ヨージャーク検出器)11と、前記電動モータ3L,3Rの異常モータトルクの発生の有無を判定するトルク異常判定手段(トルク異常判定器)21と、を備え、前記トルク異常判定手段21は、前記ヨージャークdγに基づいて前記異常モータトルクの発生の有無を判定する構成とした。
このため、前後輪のうち少なくとも一方の左右駆動輪を独立に駆動する電動モータの異常モータトルクの発生の有無を、高精度且つ短時間で判定することができる。
(2) 前記トルク異常判定手段21は、前記ヨージャークdγが閾値(異常判定閾値)dγThを超えたときに、前記異常モータトルクが発生したと判定する構成とした。
このため、外乱によって誤判断する確率を減少し、判定精度の向上を図ることができる。
(3) 前記電動車両1の前後方向の加速度である前後加速度aを検出する前後加速度検出手段(前後加速度検出器)12と、前記異常モータトルクによって駆動されるトルク異常輪を判定するトルク異常輪判定手段(トルク異常輪判定器)22と、を備え、前記トルク異常輪判定手段22は、前記前後加速度aと前記ヨージャークdγに基づいて、前記トルク異常輪を判定する構成とした。
このため、トルク異常輪を特定することができ、さらに異常モータトルクの発生の有無を高精度で判定することができる。
(4) 前記トルク異常輪判定手段22は、前記電動車両1が走行している道路の勾配θを検出する勾配検出部22bと、前記電動車両1の車体速度Vを検出する車速検出部22cと、前記勾配θと前記車体速度Vに基づいて前記電動車両1に作用する走行抵抗Dを演算し、この走行抵抗Dによって、前記前後加速度aを補正する走行抵抗補正部22eと、を有する構成とした。
このため、走行抵抗Dによる前後加速度の変化を考慮でき、走行抵抗に拘らずトルク異常輪の判定ができて、さらに異常モータトルクの発生有無の判定精度をさらに高めることができる。
実施例2の電動車両のトルク異常判定装置は、ブレーキの異常の有無に応じてトルク異常の発生の有無を判定する例である。
まず、構成を説明する。
図14は、実施例2の電動車両のトルク異常判定装置の異常モータトルク推定器を示す制御ブロック図である。
この実施例2の異常モータトルク推定器は、図14に示すように、トルク異常判定器(トルク異常判定手段)30と、トルク異常輪判定器(トルク異常輪判定手段)32と、異常トルク推定器33と、車輪スリップ補正器34と、有している。
そして、前記トルク異常判定器30は、ブレーキ異常判定部(ブレーキ異常検出部)30aと、トルク異常判定部30bと、を有している。
前記ブレーキ異常判定部30aは、図示しないブレーキセンサからの検出信号に基づいて、電動車両1の左右前輪及び左右駆動輪2L,2Rのそれぞれに設けられたブレーキの異常を検知し、下記式(20)によりブレーキ異常判定フラグFBfailを出力する。
ここで、FBfail=0は全ての車輪のブレーキに異常がないこと(正常状態)を示し、FBfail=1は何れかの車輪のブレーキに異常があることを示す。
前記トルク異常判定部30bは、異常モータトルク推定器に入力されたヨージャークdγ[rad/s2]と、予め記憶した異常判定閾値dγTh[rad/s2]と、ブレーキ異常判定部30aにて演算されたブレーキ異常判定フラグFBfailに基づいて、異常モータトルクの発生の有無を判定し、下記式(21)によりトルク異常判定フラグFfailを出力する。
ここで、Ffail=0は正常、すなわちヨージャークdγ[rad/s2]が異常判定閾値dγTh[rad/s2]を超えていないときには、モータトルクに異常が発生していないと判断する。また、Ffail=1は異常、すなわち全ての車輪のブレーキに異常がなく、ヨージャークdγ[rad/s2]が異常判定閾値dγTh[rad/s2]を超えているときには、左右駆動輪2L,2Rのどちらかを駆動するモータトルクに異常が発生していると判断する。ここで、異常判定閾値dγTh[rad/s2]は0.9[rad/s2]に設定する。
なお、他の構成、作用、効果については、実施例1と同様であるので、図示並びに説明を省略する。
このように、実施例2のトルク異常判定器30では、ブレーキに異常がないときに異常モータトルクの発生の有無を判定するため、ブレーキの異常によらず異常モータトルク発生の有無を判定でき、判定精度の向上を図ることができる。
次に、効果を説明する。
実施例2の電動車両のトルク異常判定装置にあっては、上記(1)〜(4)の記載の効果に加え、下記に挙げる効果を得ることができる。
(5) 前記トルク異常判定手段(トルク異常判定器)30は、前記電動車両1のブレーキの異常を検出するブレーキ異常検出部(ブレーキ異常判定部)30aを有し、前記トルク異常判定手段30は、前記ブレーキの異常が検出されないときに、前記異常モータトルクの発生の有無を判定する構成とした。
このため、ブレーキの異常によらず異常モータトルク発生の有無を判定でき、判定精度の向上を図ることができる。
以上、本発明の電動車両のトルク異常判定装置を実施例1及び実施例2に基づき説明してきたが、具体的な構成については、これらの実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
例えば、式(2)によりヨージャークdγ[rad/s2]の符号を判別する際に、事前にノイズの影響を考慮してヨージャークdγ[rad/s2]をローパスフィルタ等でフィルタリングしてもよい。この場合、カットオフ周波数を25Hz以上とすることで、左右駆動輪2L,2Rが反応しない高周波ノイズをカットでき、判定精度を向上することができる。
また、式(7)により前後加速度a[G]の符号を判別する際に、事前にノイズの影響を考慮して抵抗補正前後加速度a **[G] ローパスフィルタ等でフィルタリングしてもよい。この場合、カットオフ周波数を25Hz以上とすることで、左右駆動輪2L,2Rが反応しない高周波ノイズをカットでき、判定精度を向上することができる。
そして、実施例1では、勾配検出部22bにおいて、傾斜センサ等により前後勾配θ[rad]を検出して求めているが、前後加速度センサと上下加速度センサを電動車両1に設け、これらのセンサ検出値から前後勾配θ[rad]を算出してもよい。
さらに、実施例1では、式(3)により車速V[m/s]を演算する際に、左右車輪速V,V[m/s]により求めているが、これに限らない。例えば、駆動輪でない車輪(ここでは左右前輪)に車輪速センサを設け、この車輪速センサによって検出された駆動輪でない車輪の回転速度を用いて車速V[m/s]を演算してもよい。この場合では、異常モータトルクによる駆動輪のスリップの影響を除外でき、車速V[m/s]の演算精度を向上することができる。
そして、実施例1の電動車両のトルク異常判定装置は、左右後輪を駆動輪とする電動車両1に適用した例としたが、左右前輪を駆動輪とする電動車両や、4輪全てを駆動輪とする電動車両であってもよい。また、左右駆動モータ3L,3Rは、左右駆動輪を独立に駆動できればインホイールモータでなくてもよい。さらに、電動車両1は、主たる動力源としてエンジンと電動モータを用いるハイブリッド車両であってもよいし、燃料電池車であってもよい。要するに、本発明の電動車両のトルク異常判定装置は、トルク指令に応じて駆動する電動モータによって、前後輪のうち少なくともどちらか一方の左右駆動輪を独立に駆動する電動車両であれば適用することができる。
1 電動車両
2L,2R 左右駆動輪
3L,3R 左右駆動モータ(電動モータ)
10 トルク異常判定装置
11 ヨージャーク検出器(ヨージャーク検出手段)
12 前後加速度検出器(前後加速度検出手段)
13a,13b 左右車輪速検出器
20 異常モータトルク推定器
21 トルク異常判定器(トルク異常判定手段)
22 トルク異常輪判定器(トルク異常輪判定手段)
22a ヨージャーク符号演算部
22b 勾配検出部
22c 車速検出部
22d 駆動力補正部
22e 走行抵抗補正部
22f 前後加速度符号演算部
22g 異常輪判定部
dγ ヨージャーク
前後加速度
Th 異常判定閾値
fail トルク異常判定フラグ
fail トルク異常輪判定値

Claims (5)

  1. 前後輪のうち少なくともどちらか一方の左右駆動輪を独立に電動モータで駆動し、トルク指令に応じて前記電動モータを駆動する電動車両において、
    前記電動車両のヨー加速度であるヨージャークを検出するヨージャーク検出手段と、
    前記電動モータの異常モータトルクの発生の有無を判定するトルク異常判定手段と、を備え、
    前記トルク異常判定手段は、前記異常モータトルクの発生直後から前記ヨージャークが最大値になるまでの時間領域に、前記ヨージャーク検出手段が検出したヨージャークに基づいて、前記異常モータトルクの発生の有無を判定することを特徴とする電動車両のトルク異常判定装置。
  2. 請求項1に記載された電動車両のトルク異常判定装置において、
    前記トルク異常判定手段は、前記ヨージャークが閾値を超えたときに、前記異常モータトルクが発生したと判定することを特徴とする電動車両のトルク異常判定装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載された電動車両のトルク異常判定装置において、
    前記電動車両の前後方向の加速度である前後加速度を検出する前後加速度検出手段と、
    前記異常モータトルクによって駆動されるトルク異常輪を判定するトルク異常輪判定手段と、を備え、
    前記トルク異常輪判定手段は、前記前後加速度と前記ヨージャークに基づいて、前記トルク異常輪を判定することを特徴とする電動車両のトルク異常判定装置。
  4. 請求項に記載された電動車両のトルク異常判定装置において、
    前記トルク異常輪判定手段は、前記電動車両が走行している道路の勾配を検出する勾配検出部と、
    前記電動車両の車体速度を検出する車速検出部と、
    前記勾配と前記車体速度に基づいて前記電動車両に作用する走行抵抗を演算し、この走行抵抗によって、前記前後加速度を補正する走行抵抗補正部と、を有することを特徴とする電動車両のトルク異常判定装置。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載された電動車両のトルク異常判定装置において、
    前記トルク異常判定手段は、前記電動車両のブレーキの異常を検出するブレーキ異常検出部を有し、
    前記トルク異常判定手段は、前記ブレーキの異常が検出されないときに、前記異常モータトルクの発生の有無を判定することを特徴とする電動車両のトルク異常判定装置。
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