JP6726073B2 - 車両の制御装置及び車両の制御方法 - Google Patents

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Description

本発明は、車両の制御装置及び車両の制御方法に関する。
従来、例えば下記の特許文献1には、車速に対応して設定した路面勾配の変化率の制限値および路面勾配の制限値を加味することにより、前後加速度センサのセンサ値から車輪速度の時間変動分を減算することで求めた勾配推定値の加速度換算値Ggrad0が外乱要因の影響により正確でない値となる場合に制限を設けることが記載されている。
特開2009−25081号公報
しかし、前後加速度センサのセンサ値から車輪速度の時間変動分を減算することで勾配を推定する方法では、車輪にスリップが発生した場合に、車輪速と実際の車体速が乖離するため、勾配値の推定が不可能になる問題がある。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、車輪にスリップが発生した場合であっても、勾配推定を高精度に行うことが可能な、新規かつ改良された車両の制御装置及び車両の制御方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、前後加速度センサ値と車輪速の変化量から求まる加速度とに基づいて勾配を推定する勾配推定部と、車両を駆動するモータのトルクに基づいて車両の計算加速度を演算する計算加速度演算部と、前記計算加速度に基づいて、前記車輪速の前記変化量に制限をかける変化量制限部と、を備える、車両の制御装置が提供される。
前記変化量制限部は、前記計算加速度に補正値を加えて得られる単位時間当たりの変化量制限値に基づいて、前記変化量に制限をかけるものであっても良い。
また、前記変化量制限部は、前記車輪速の単位時間当たりの変化量が前記変化量制限値よりも大きい場合に、前記変化量に制限をかけるものであっても良い。
また、前記変化量制限部は、前記モータの駆動力域が低駆動力域の場合は、前記計算加速度に基づく前記変化量の制限に代えて、予め定めた単位時間当たりの変化量制限値に基づいて前記変化量に制限をかけるものであっても良い。
また、前記変化量制限部は、前記車輪速の単位時間当たりの変化量が前記変化量制限値よりも大きい場合に、前記変化量に制限をかけるものであっても良い。
また、前記変化量制限部は、車輪速が減少する場合は、所定の下限値に基づいて前記変化量に制限をかけるものであっても良い。
また、前記計算加速度演算部は、車輪のスリップに応じてトルクダウンした前記トルクに基づいて前記計算加速度を演算するものであっても良い。
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、前後加速度センサ値と車輪速の変化量から求まる加速度とに基づいて勾配を推定するステップと、車両を駆動するモータのトルクに基づいて車両の計算加速度を演算するステップと、前記計算加速度に基づいて、前記車輪速の前記変化量に制限をかけるステップと、を備える、車両の制御方法が提供される。
以上説明したように本発明によれば、車輪にスリップが発生した場合であっても、勾配推定を高精度に行うことが可能となる。
本発明の一実施形態に係る車両の構成を示す模式図である。 本実施形態に係る車両の制御装置の主要構成を示す模式図である。 勾配推定部の構成を示す模式図である。 変化量制限部が変化量制限値Glimitを算出する際に用いるマップを示す模式図である。 本実施形態の基本的な処理を示すフローチャートである。 図5のステップS16の処理を詳細に示すフローチャートである。 車両の走行時に4輪スリップが発生した場合に、速度、加速度、前後加速度センサ値Gs、推定した勾配値をそれぞれ示す特性図である。 トルクダウンが行われる様子を示す模式図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
まず、図1を参照して、本発明の一実施形態に係る車両500の構成について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る車両500の構成を示す模式図である。図1に示すように、車両500は、前輪及び後輪の4つのタイヤ(車輪)12,14,16,18、制御装置(コントローラ)1000、後輪のタイヤ16,18のそれぞれの回転を制御する2つのモータ20,22、各モータ20,22と各タイヤ16,18を連結するドライブシャフト24,26、後輪の各タイヤ16,18の回転から車輪速Vを検出する車輪速センサ28,30、前後加速度センサ36を有して構成されている。また、車両500は、後輪と同様に、前輪のタイヤ12,14のそれぞれの回転を制御する2つのモータ(駆動部)、各モータと各タイヤ12,14を連結するドライブシャフト、前輪の各タイヤ12,14の回転から車輪速を検出する車輪速センサを有して構成されている。各輪の車輪速センサによって各輪の車輪速Vが検出される。また、車両500は、パワーステアリング機構(P/S)40、舵角センサ42、前輪の各タイヤ12,14の操舵角を操作するステアリング44を有して構成されている。このように、車両500は、4つのタイヤ(12,14,16,18)を独立して駆動する電動のAWD(All Wheel Drive)車両として構成されている。
図2は、本実施形態に係る車両の制御装置1000の主要構成を示す模式図である。制御装置1000は、勾配推定部100、推定車体速度演算部200、トラクション制御部300を有して構成されている。
勾配推定部100は、車輪速V、モータトルク値Tm、前後加速度センサ値Gsの入力を受けて、路面の勾配を推定し、勾配に相当する加速度Grを出力する。推定車体速度演算部200は、前後加速度センサ値Gsと勾配に相当する加速度Grの入力を受けて、推定車体速度を演算する。トラクション制御部300は、推定車体速度に基づいてトラクション制御を行う。
勾配推定部100は、トラクション制御のために、前後加速度センサ36から得られる前後加速度センサ値Gsと、実際の車両の前後加速度(車輪速の微分値)との差から勾配推定を行う。前後加速度センサ36が検出した前後加速度センサ値Gsには、実際の車両の前後加速度と、勾配分に相当する加速度が含まれる。従って、勾配推定部100は、以下の式(1)に基づいて、前後加速度センサ36から得られる前後加速度センサ値Gsと、実際の車両の前後加速度(車輪速Vの微分値)との差を求めることで、勾配に相当する加速度Grを求め、勾配推定を行う。なお、車両にスリップが発生している場合を想定し、車輪速Vは4輪の各車輪速のうち最も速度が低いものを用いる。
勾配分の加速度Gr=前後加速度センサ値Gs−車両の前後加速度(車輪速微分値)dV/dt ・・・(1)
勾配θは、勾配分の加速度Grに基づいて、以下の式(2)より算出することができる。式(2)において、gは重力加速度である。
勾配θ=sin−1(Gr/g) ・・・(2)
以上の手法によれば、車両にスリップが発生している場合であっても、車輪速Vとして4輪の各車輪速のうち最も速度が低いものを用いることで、4輪のうち1輪でもグリップしている車輪があれば、その車輪の車輪速Vから実際の車両の前後加速度(車輪速Vの微分値)を求めることができる。そして、実際の車両の前後加速度に基づいて、勾配を推定することが可能である。
しかし、4輪にスリップが発生している場合は、車輪速Vとして4輪の各車輪速のうち最も速度が低いものを用いたとしても、車輪速Vと実際の車体速度は乖離してしまうため、上述の手法による勾配値の推定が困難になる。具体的には、4輪にスリップが発生している場合は、4輪の各車輪速のうち最も速度が低いものであっても、スリップによる空転により実際の車体速度相当の値よりも大きな値となる。従って、式(1)における実際の車両の前後加速度(車輪速の微分値)を正確に求めることができなくなる。このため、本実施形態では、車輪速Vの変化量に制限を設けることで、式(1)、式(2)による勾配推定を高精度に行う。
図3は、勾配推定部100の構成を示す模式図である。勾配推定部100は、計算加速度演算部102、変化量制限部104、微分部106、減算部108を有して構成されている。また、勾配推定部100は、式(2)により勾配分の加速度Grを勾配θに変換する変換部110を含む。4輪スリップ中は車輪速Vが実際の車体速から乖離してしまうため、勾配推定部100は、モータトルクTmから計算された車体の計算加速度Gtに基づいて加速度の変化量制限値Glimitを設定し、変化量制限値Glimitに基づいて勾配分の加速度Grを推定する。なお、図2及び図3に示す制御装置1000の各構成要素は、回路(ハードウェア)、又はCPUなどの中央演算処理装置とこれを機能させるためのプログラム(ソフトウェア)から構成することができる。また、そのプログラムはメモリ等の記録媒体に格納されることができる。
このため、計算加速度演算部102は、モータトルク値Tmと車両重量などの車両諸元に基づいて、運動方程式から計算加速度Gtを演算する。具体的に、計算加速度演算部102は、以下の式(3)に基づいて計算加速度Gtを演算する。
Gt=(Tm×減速比/タイヤ半径)/車両重量 ・・・(3)
変化量制限部104は、計算加速度Gtを用いて車輪速の単位時間当たりの変化量制限値Glimitを算出する。図4は、変化量制限部104が変化量制限値Glimitを算出する際に用いるマップを示す模式図であって、横軸は計算加速度Gtを、縦軸は計算加速度Gtに応じて算出される変化量制限値Glimitを示している。図4に示すように、中駆動力域、高低駆動力域では計算加速度Gtに対して補正値Aを加算することで、変化量制限値Glimitが算出される(Glimit=Gt+A)。また、低駆動力域では補正値Bが変化量制限値Glimitとして設定される(Glimit=B)。つまり、低駆動力域〜高低駆動力域において、「Gt+A」と「B」のいずれか大きい方が変化量制限値Glimitとされる。
以上のように、変化量制限値Glimitを算出する際には、ロバスト性を考慮し、駆動力の全域で計算加速度Gtに補正値Aを加えて変化量制限値Glimitを算出する。計算加速度Gtを変化量制限値Glimitとしてしまうと、不要な駆動力制限が行われる可能性があるが、計算加速度Gtに補正値Aを加えた値を変化量制限値Glimitとすることで、余裕度を確保し、不要な駆動力制限が行われることを抑止できる。
また、低駆動力域では急勾配の降坂を想定した補正値Bを変化量制限値Glimitとして使用する。補正値Bは、例えば急な下り坂を低駆動力域で走行する場面を想定して使用する。このような場面では、変化量制限値Glimitを小さくすると下り坂を降りる際に減速感を与えてしまうため、補正値Bを用いることで変化量制限値Glimitを大きくしている。なお、補正値A、補正値Bは適合により決定することができる。補正値A、補正値Bを用いることにより、変化量制限値Glimitに余裕度を持たせることができ、外乱による誤作動を抑止することが可能となる。
以下の式(4)は、変化量制限部104が図4に基づいて変化量制限値Glimitを算出する際に用いる式である。そして、変化量制限部104は、以下の式(5)を用いて変化量制限後の車輪速V’を演算する。なお、車輪速V’の演算は制御周期(=Δt)毎に行われる。なお、式(4)においても、車輪速Vは4輪の各車輪速のうち最も速度が低いものを用いる。
Glimit=MAX(Gt+A,B) ・・・(4)
V’=V’(前回値)+MAX(MIN(V−V’(前回値),Glimit×△t),−Glm×Δt) ・・・(5)
式(5)によれば、車輪速V(今回値)と車輪速V’(前回値)との差が、変化量制限値Glimitと制御周期Δtの積よりも小さい場合は、車輪速V(今回値)と車輪速V’(前回値)との差を車輪速V’(前回値)に加算した値が車輪速V’の今回値とされる。この場合、車輪速V(今回値)と車輪速V’(前回値)との乖離が小さいため、変化量制限値Glimitによる制限をかけることなく、車輪速V(今回値)と車輪速V’(前回値)との差を車輪速V’(前回値)に加算した値が車輪速V’の今回値となる。
また、式(5)によれば、車輪速V(今回値)と車輪速V’(前回値)との差が、変化量制限値Glimitと制御周期Δtの積よりも大きい場合は、変化量制限値Glimitと制御周期Δtの積を車輪速V’(前回値)に加算した値が車輪速V’の今回値とされる。この場合、車輪速V(今回値)と車輪速V’(前回値)との乖離が大きいため、変化量制限値Glimitと制御周期Δtの積を車輪速V’(前回値)に加算した値が車輪速V’の今回値となる。これにより、変化量制限値Glimitによる制限がかけられた車輪速V’を算出することができる。
また、式(5)によれば、車輪速V(今回値)と車輪速V’(前回値)との差、または、変化量制限値Glimitと制御周期Δtの積のいずれかが、減速側制限値(−Glm)と制御周期Δtとの積よりも小さい場合は、−Glm×Δtを車輪速V’(前回値)に加算した値が車輪速V’の今回値となる。これにより、減速側に過度に車輪速V’が変化してしまうことを抑止できる。減少側制限値(−Glm)を適切な値に設定することで、例えばスリップ中のタイヤの急激なグリップ回復等による勾配推定値の急な変化を抑制することができる。なお、Glmの値は適合により決定することができ、0より大きな値とするが、例えばGlmを無限大に設定しても良い。
変化量制限後の車輪速V’を用いることで、式(1)は以下の式(1)’となる。変化量制限部104が算出した車輪速V’は微分部106に送られ、微分部106は車輪速V’を時間微分してdV’/dtを算出する。車輪速V’の微分値dV’/dtは減算部108に送られ、減算部108は、式(1)’により勾配分の加速度Grを算出する。
Gr=Gs−dV’/dt ・・・(1)’
これにより、4輪スリップ時に車輪速Vと実際の車体速が乖離する場合であっても、変化量制限後の車輪速V’を用いて式(1)’から勾配分の加速度Grが算出されるため、車体速と乖離した車輪速Vに基づいて勾配分の加速度Grが算出されることがなく、勾配推定を高精度に行うことが可能となる。
上述した補正値A、補正値Bは、ロバスト性確保のため比較的大きめの値を設定するが、勾配分の加速度Grの前回値Gr0を計算加速度Gtの今回値から減算した車体の計算加速度 Gt’を変化量制限値Glimitの算出に使用することで、比較的小さな補正値a、補正値bを設定することができる。この場合、変化量制限値Glimitは、以下の式(4)’から算出される。なお、補正値a、補正値bは適合により決定することができる。
Glimit=MAX(Gt’+a,b) ・・・(4)’
この場合、図3に示すように、減算部108が式(1)’から算出した勾配分の加速度Grは、変化量制限部104に送られる。変化量制限部104は、以下の式(6)に基づいて、現制御周期に算出された計算加速度Gtから、前回の制御周期で算出された勾配分の加速度Gr(前回値Gr0)を減算し、補正後の計算加速度Gt’を算出する。
Gt’=Gt−Gr ・・・(6)
ここで、補正値a、補正値bは、勾配の影響を取除いたロバスト性のみを考慮しているため、値が小さくなる。すなわち、補正値a、補正値bを用いた場合は、勾配を外乱として考えないため、補正値aは補正値Aよりも小さくなり、補正値bは補正値Bよりも小さくなる。想定される外乱には勾配、路面の凸凹、モデル化誤差等があるが、変化量制限値Glimitの算出には勾配の影響が大きく関わるため、式(4)により変化量制限値Glimitを算出する場合、余裕度として補正値A、補正値Bを比較的大きな値としておく。一方、式(6)により算出した補正後の計算加速度Gt’は、勾配分の加速度Grが除かれているため、式(4)’から変化量制限値Glimitを算出する際には勾配を外乱として考慮する必要がなく、変化量制限値Glimitの算出精度を高めることができ、補正値a、補正値bの値を小さくすることができる。これにより、変化量制限値Glimitをより精度良く求めることが可能となり、勾配推定の精度を向上することができる。なお、外乱として勾配以外にも上述したモデル化誤差等の影響を考慮するため、小さい値ではあるが補正値a、補正値bを設けている。
以上のようにして勾配分の加速度Grが算出されると、推定車体速度演算部200は、勾配分の加速度Grと前後加速度センサ値Gsとに基づいて、推定車体速度を演算する。具体的には、前後加速度センサ値Gsから勾配分の加速度Grの要因を除くことで、実際の車両の前後加速度が得られ、この前後加速度の積分値から推定車体速度を得ることができる。
トラクション制御部300は、推定車体速度に基づいてトラクション制御を行う。トラクション制御部300は、4輪スリップ中はトラクション制御により各輪を駆動するモータトルクのトルクダウンを行う。4輪スリップ中のトラクション制御のためには、車体速度を精度良く推定する必要がある。一方、前後加速度センサ値Gsには勾配分の加速度Grが含まれているため、前後加速度センサ値Gsから車体速度を精度良く推定するためには、高精度の勾配推定が重要になる。本実施形態では、上述の手法により勾配推定を高精度に行うことができるため、スリップ中の車体速度を精度良く推定することが可能となる。従って、トラクション制御部300は、推定車体速度に基づいてトラクション制御を精度良く行うことが可能となる。
車体にスリップが発生している場合のトラクション制御部300による基本的な制御は以下の通りである。トラクション制御部300は、ドライバーのアクセル開度に応じたモータトルク(要求トルク)からどれだけのトルクダウンをすれば目標車体速度(目標回転数)に対してモータ回転数が一致するかを外乱オブザーバ(フィードバック制御)を用いて演算し、得られたトルクダウン量をアクセル開度に応じたモータトルクから減算して最終的なモータトルクTmを出力する。ここで、目標回転数は、任意のスリップ率を推定車体速度に乗算し、モータ軸の回転数に換算した回転数である。また、モータ回転数は、モータ回転数センサの値または車輪速を、モータ軸の回転数に換算した回転数である。外乱オブザーバは、入力と出力を監視(オブザーブ)して、外乱や揺らぎを計測して制御系にフィードバックする仕組みである。
図8は、トルクダウンが行われる様子を示す模式図であって、横軸はスリップ率を、縦軸はモータの要求トルクを示している。横軸のスリップ率は、以下の式(7)で表すことができる。スリップ率=0の場合は車体速度と車輪速の差が小さく、スリップ率=1の場合は車体速度と車輪速の差が大きくなる。車体速度と車輪速は、いずれもモータ軸の回転数に換算した値を用いることができる。
スリップ率=(車輪速−車体速度)/車輪速 ・・・(7)
図8に示す特性は、路面摩擦係数が高い場合と低い場合のそれぞれにおいて、その路面で出力可能な最大駆動力をスリップ率に応じて示している。トルクダウン前のトルクが図8中のPに相当する場合、路面摩擦係数が低い場合は、スリップ率が大きく、最大駆動力を出力することができない。このため、図中に矢印A1で示すようなトルクダウンを行い、スリップ率を目標スリップ率まで低下させることで、最大駆動力を出力できるようにする。
スリップ時には、以上のようにしてトルクダウンされたモータトルクTmに基づいて、各輪のモータが制御される。また、トラクション制御部300が出力したトルクダウン後のモータトルクTmは、勾配分の加速度Grを推定するため、勾配推定部100(計算加速度演算部102)に入力される。
次に、図5及び図6のフローチャートに基づいて、本実施形態で行われる処理について説明する。図5は、本実施形態の基本的な処理を示すフローチャートである。以下では、補正値a、補正値bを用いて変化量制限値Glimitを算出する場合について説明する。先ず、ステップS10では、前後加速度センサ値Gs、車輪速V、実モータトルクTmを取得する。次のステップS12では、勾配分の加速度Grの前回値Gr0を取得する。
次のステップS14では、式(6)に基づいて、計算加速度Gt’を算出する。次のステップS16では、式(4)’、式(5)に基づいて、変化量を制限した後の車輪速V’を算出する。次のステップS18では、車輪速V’の微分値dV’/dtを算出する。次のステップS20では、式(1)’に基づいて、勾配分の加速度Grを算出する。次のステップS22では、式(2)に基づいて、加速度Grから勾配θを算出する。
図6は、図5のステップS16の処理を詳細に示すフローチャートである。先ず、ステップS30では、増加側の変化量制限値Glimitを算出する。次のステップS32では、減速側の変化量制限値Glmを算出する。なお、減速側制限値は予め定めた値とすることができる。次のステップS34では、変化量制限後の車輪速V’の前回値V’0を取得する。
次のステップS36では、車輪速Vの今回値から変化量制限後の車輪速V’の前回値V’0を減算した値f1を算出する。次のステップS38では、変化量制限値Glimitに制御周期Δtを乗算した値f2を算出する。
次のステップS40では、f1<f2であるか否かを判定し、f1<f2の場合はステップS42へ進む。ステップS42では、f3=f1とする。一方、ステップS40でf1≧f2の場合はステップS44へ進み、f3=f2とする。ステップS42,S44の後はステップS46へ進む。
ステップS46では、変化量制限値(−Glm)に制御周期Δtを乗算した値f4を算出する。次のステップS48では、f3>f4であるか否かを判定し、f3>f4の場合はステップS50へ進み、f5=f3とする。一方、ステップS48でf3≦f4の場合はステップS52へ進み、f5=f4とする。ステップS50,S52の後はステップS54へ進み、V’=V’0+f5とする。以上の処理により、式(5)で説明した処理が実行され、変化量制限後の車輪速V’が算出される。
図7は、車両500の走行時に4輪スリップが発生した場合に、速度、加速度、前後加速度センサ値Gs、推定した勾配値をそれぞれ示す特性図である。図7において、時刻t0まではタイヤ12,14,16,18がグリップしている状態であり、時刻t0以降に4輪のスリップが発生するものとする。図7では、路面に勾配が無い状態で4輪スリップが発生した場合に、勾配があるものと推定されてしまう場合を示している。
図7の速度の特性において、二点鎖線は車輪速Vを、一点鎖線は補正値A、補正値Bを用いて変化量制限を行った場合の推定車体速度を、破線は補正値a、補正値bを用いて変化量制限を行った場合の推定車体速度を、実線は実車体速度を、それぞれ示している。
また、図7の加速度の特性において、二点鎖線は車輪速Vの微分値dV/dtを、一点鎖線は補正値A、補正値Bを用いて変化量制限を行った場合の車輪速V’の微分値dV’/dtを、破線は補正値a、補正値bを用いて変化量制限を行った場合の車輪速V’の微分値dV’/dtを、実線は実車体加速度を、それぞれ示している。
また、図7の勾配値の特性において、二点鎖線は車輪速Vの微分値dV/dtを用いて推定した勾配値を、一点鎖線は補正値A、補正値Bを用いて変化量制限を行った場合に推定した勾配値を、破線は補正値a、補正値bを用いて変化量制限を行った場合に推定した勾配値を、実線は実勾配を、それぞれ示している。
図7の速度の特性に示すように、スリップに起因して車輪速Vは大きくなるが、補正値A,Bを用いて推定した推定車体速度は車輪速Vよりも小さくなる。また、補正値a,bを用いて推定した推定車体速度は、補正値A,Bを用いて推定した場合よりも更に小さくなり、実車体速により近い値となる。加速度の特性においても、補正値A,Bを用いた場合に得られる加速度(速度の微分値)は、車輪速Vから得られる加速度よりも小さくなる。また、補正値a,bを用いた場合に得られる加速度は、補正値A,Bを用いた場合よりも、より実加速度に近くなる。
また、勾配値の特性に示すように、4輪スリップが発生している場合、車輪速Vの微分値dV/dtを用いて勾配値を推定すると、本来は勾配が無い路面を走行している場合であっても、比較的大きな勾配値が推定されるため、勾配推定の誤差が大きくなる。一方、補正値A,Bを用いて推定した勾配値は、車輪速Vの微分値dV/dtを用いて推定した勾配値よりも小さくなる。また、補正値a,bを用いて推定した勾配値は、補正値A,Bを用いた場合よりも、より実際の勾配に近くなる。従って、本実施形態によれば、変化量制限値Glimitに基づいて車輪速V’の変化量に制限をかけることで、勾配推定の精度を大幅に向上させることが可能となる。
以上説明したように本実施形態によれば、前後加速度センサ値Gsと、車輪速の変化量(車輪速の微分値dV/dt)から求まる車両の前後加速度との差分から勾配推定を行う際に、車両の計算加速度Gtに基づいて車輪速の変化量に制限をかけるようにしたため、スリップ中に車輪速Vと実際の車体速度に乖離が生じる場合であっても、勾配を高精度に推定することが可能となる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
1000 制御装置
100 勾配推定部
104 変化量制限部
200 計算加速度演算部

Claims (8)

  1. 前後加速度センサ値と車輪速の変化量から求まる加速度とに基づいて勾配を推定する勾配推定部と、
    車両を駆動するモータのトルクに基づいて車両の計算加速度を演算する計算加速度演算部と、
    前記計算加速度に基づいて、前記車輪速の前記変化量に制限をかける変化量制限部と、
    を備えることを特徴とする、車両の制御装置。
  2. 前記変化量制限部は、前記計算加速度に補正値を加えて得られる単位時間当たりの変化量制限値に基づいて、前記変化量に制限をかけることを特徴とする、請求項1に記載の車両の制御装置。
  3. 前記変化量制限部は、前記車輪速の単位時間当たりの変化量が前記変化量制限値よりも大きい場合に、前記変化量に制限をかけることを特徴とする、請求項2に記載の車両の制御装置。
  4. 前記変化量制限部は、前記モータの駆動力域が低駆動力域の場合は、前記計算加速度に基づく前記変化量の制限に代えて、予め定めた単位時間当たりの変化量制限値に基づいて前記変化量に制限をかけることを特徴とする、請求項1に記載の車両の制御装置。
  5. 前記変化量制限部は、前記車輪速の単位時間当たりの変化量が前記変化量制限値よりも大きい場合に、前記変化量に制限をかけることを特徴とする、請求項4に記載の車両の制御装置。
  6. 前記変化量制限部は、車輪速が減少する場合は、所定の下限値に基づいて前記変化量に制限をかけることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の車両の制御装置。
  7. 前記計算加速度演算部は、車輪のスリップに応じてトルクダウンした前記トルクに基づいて前記計算加速度を演算することを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の車両の制御装置。
  8. 前後加速度センサ値と車輪速の変化量から求まる加速度とに基づいて勾配を推定するステップと、
    車両を駆動するモータのトルクに基づいて車両の計算加速度を演算するステップと、
    前記計算加速度に基づいて、前記車輪速の前記変化量に制限をかけるステップと、
    を備えることを特徴とする、車両の制御方法。
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