JP5295063B2 - 車両用自動変速機の制御装置 - Google Patents

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本発明は車両用自動変速機の制御装置、特に車輪スリップ判定と登坂路判定とを実施する自動変速機の制御装置に関するものである。
一般に、自動変速機を搭載した車両の場合、自動変速機の出力軸はデファレンシャルギヤと呼ばれる差動装置を介して車輪に連結されている。デファレンシャルギヤは、カーブ走行時などに左右の駆動車輪の回転数差を吸収し、円滑な走行を実現する装置である。ところが、片側の車輪が低μの路面上にあってスリップした場合、反対側の車輪との抵抗差が大きくなり、さらにスリップが増大するという問題がある。その結果、左右の車輪の差回転が上昇し、デファレンシャルギヤや車軸の焼付きが発生するおそれがある。
このような問題を解決するため、特許文献1のように、車輪スリップが発生したと推定される条件下でアップシフトを禁止する制御を行う自動変速機の制御装置が提案されている。この制御装置は、アクセル開度と車速(出力軸回転数)とから変速段を選択する自動変速機において、アクセルペダルが踏み込まれ(アクセルON)、かつ車速の時間変化率が所定値以上であるとき、高速段への変速を禁止(アップシフト禁止)するものである。アクセルペダルから足を離すこと(アクセルOFF)又はブレーキペダルが踏み込まれたこと(ブレーキON)を検知すると、アップシフト禁止が解除され、通常の変速制御に戻る。
上述のように自動変速機はアクセル開度と車速に応じて予め設定された基本変速マップに従って変速段を決定するが、この基本変速マップは平坦路を走行する場合に適したマップである。したがって、登坂路走行時には基本変速マップにしたがって変速比を決定すると、駆動トルクが不足する懸念がある。そのため、従来では、エンジン駆動力に対応した基準加速度と車輪速度の時間変化率から求めた実加速度との差が所定のしきい値を超えたとき、登坂路と判定し、登坂判定中は自動変速機のアップシフトを禁止するよう登坂制御を行うものがある。
ところで、低μ路で車輪スリップが発生した後で高μ路に差しかかると、車輪がグリップ(スリップ解消)し、車輪速の時間変化率が低下するため、「登坂路」であると誤判定してしまうことがある。登坂路では、アップシフトを禁止(ギヤ比をホールド又はダウンシフト許可)するので、アクセルペダルを戻してもエンジンブレーキがある時間継続してしまい、不快な減速Gが発生するという問題がある。
図7は、走行中に車輪スリップが発生した場合のアクセル開度、車輪速、車輪速変化率、タイヤスリップ判定、登坂判定、エンジン回転数、変速段の各時間変化を示したものである。走行中の時刻t1でアクセル開度を所定値以上に開くと、低速段(ここでは4速から3速)へ変速される。時刻t2で低μ路にさしかかると、車輪がスリップして車輪速が急上昇する。車輪速の時間変化率が所定の正値(平坦路走行時の加速度より高い値)を超えるので、車輪スリップと判定し、アップシフトを禁止する。次に、時刻t3で高μ路に差しかかり、車輪がグリップを開始すると、車輪速が急激に低下する。この時、基準加速度と実加速度との差が所定のしきい値を超えると、登坂路と判定し、アップシフトを禁止する。時刻t4で車輪スリップ判定が解除されると、本来であれば破線で示すようにスリップ発生前の変速比に戻す(アップシフトする)べきであるが、登坂判定によってアップシフトを禁止しているため、時刻t5でアクセルをほぼ全閉にしても、変速比は高い状態が維持され、エンジン回転数も高回転状態が維持される。その結果、エンジンブレーキ状態が所定時間継続してしまい、不快な減速Gが発生する。
特許文献2では、無段変速機を搭載した車両において、低μ路走行等での車輪スリップで車輪速度が急減速したとき、登降坂誤判定による不要なダウンシフトと車輪速度の復帰遅れの問題を解消するため、アップシフト側に変速制御するものが開示されている。つまり、アップシフトすることで駆動トルクを下げ、スリップを解消するものである。しかし、例えば片輪スリップ等でデファレンシャルギヤの差回転が増大した後に、車輪グリップが開始された場合、車輪速度の急減速と共にアップシフトするので、デファレンシャルギヤの差回転が低下せず、当初の課題であるデファレンシャルギヤや車軸の焼付きを防止できない。
特開平6−58857号公報 特開平11−325206号公報
本発明の目的は、デファレンシャルギヤの焼き付きを防止すると共に、車輪スリップ解消時の不要なエンジンブレーキによる減速感を回避できる車両用自動変速機の制御装置を提供することにある。
前記目的を達成するため、本発明は、駆動源の駆動力を自動変速機及び差動装置を介して車輪に伝達する車両であって、所定の車輪スリップ条件を満足したとき車輪スリップと判定し、所定の車輪スリップ解除条件を満足したときスリップ判定を解除し、前記スリップ判定中は前記自動変速機の少なくともアップシフトを禁止するスリップ制御手段と、前記駆動力に基づく基準加速度と車輪速度の時間変化率から求めた実加速度との差が所定のしきい値を超えた時に登坂路と判定し、前記登坂判定中は前記自動変速機のアップシフトを禁止する登坂制御手段と、を備えた車両用自動変速機において、前記スリップ判定の解除から所定時間経過後まで、前記登坂制御手段による登坂判定を禁止する登坂判定禁止手段を設けたことを特徴とする車両用自動変速機の制御装置を提供する。
従来では、低μ路で車輪スリップが発生した後で高μ路に差しかかった時に、車輪グリップ開始と共に登坂路と誤判定してしまい、アップシフトができないために不要なエンジンブレーキが作用してしまう。本発明では、このようなスリップ解消直後に登坂判定される状況において、スリップ判定の解除後(車輪グリップ判定後)から所定期間は登坂判定を禁止することで、上記の課題を解決するものである。また本発明では、車輪が完全にグリップ復帰するまで、アップシフトが禁止されるので、低速段状態を保持でき、デファレンシャルギヤの焼き付き防止に有効である。
スリップ判定条件としては、例えば駆動輪のみで車輪速を検出する車両の場合には、車輪速の時間変化率である実加速度が所定値(正値)以上であるとき車輪スリップと判定すればよいし、車速を駆動輪と従動輪の車輪速の平均値で計算する車両の場合には、その平均加速度が所定値以上であるときに車輪スリップと判定すればよい。一方、スリップ解除条件としては、例えば駆動輪のみで車輪速を検出する車両では、実加速度が負値からほぼ零に戻った時、又は実加速度が所定値(負値)以上となった時とすればよいし、車速を駆動輪と従動輪の車輪速の平均値で計算する車両では、駆動輪と従動輪の差回転が所定値以下のときとしてもよい。なお、スリップ判定条件、スリップ解除(復帰)条件は上記に限るものではない。上述のようにスリップ判定の解除後(車輪グリップ判定後)の所定期間は登坂判定を禁止するが、その禁止区間内でスリップ判定前にダウンシフトした変速比を、元の変速比までアップシフトすることが望ましい。しかし、完全にグリップ状態に復帰してから速やかに元の変速比に戻してもよい。いずれにしても、スリップ判定直前の変速比よりダウン側には変速しないのがよい。
登坂判定は、従来と同様に駆動力に対応した基準加速度と車輪速度の時間変化率から求めた実加速度との差が所定のしきい値を超えたときに登坂路と判定することができる。基準加速度とは、理論駆動力/車体重量で求められ、理論駆動力とは例えばエンジントルク×ギヤ比×効率/タイヤ径で求められる。一方、実加速度とは、例えば車輪(駆動輪)に連結された出力軸の回転速度の時間変化率で求めることができる。しきい値としては、例えば走行抵抗/車体重量と所定の基準路面勾配との和で与えることができる。
スリップ判定の解除から所定時間経過後まで登坂判定を禁止するが、登坂判定禁止を開始するタイミングは、例えばスリップ判定と同時でもよいし、スリップ判定中の所定時(例えば車輪速が負に変化する時)でもよいし、さらに登坂判定と同時(基準加速度と実加速度との差が所定のしきい値を超えた時)でもよいし、スリップ判定解除と同時でもよい。スリップ判定解除後、登坂判定を禁止する所定時間とは、例えば車速及び変速比を基準にして設定できる。具体的には、1〜2sec 程度が望ましい。
以上のように、本発明によれば、スリップ判定の解除から所定時間経過後まで登坂判定を禁止するので、低μ路で車輪スリップが発生した後で高μ路に差しかかった時に、登坂路と誤判定するのを防止でき、不要なエンジンブレーキによる不快な減速感を解消できる。また、スリップ判定中はアップシフトを禁止するので、低速段状態を保持でき、デファレンシャルギヤの焼き付きを防止できる。
本発明に係る車両のシステム図である。 図1の自動変速機の変速機構のスケルトン図である。 図2に示す変速機構の摩擦係合要素の作動表である。 自動変速機の変速マップの一例の図である。 本発明に係る低μ路走行中にタイヤスリップが発生した後、グリップ復帰した場合のアクセル開度、車輪速度、車輪速変化率、タイヤスリップ判定、登坂判定禁止フラグ、エンジン回転数、変速段の各時間変化図である。 本発明にかかる制御方法のフローチャート図である。 従来の低μ路走行中にタイヤスリップが発生した後、グリップ復帰した場合のアクセル開度、車輪速度、車輪速変化率、タイヤスリップ判定、登坂路判定、エンジン回転数、変速段の各時間変化図である。
以下に、本発明の好ましい実施の形態を、実施例を参照して説明する。
図1は本発明にかかる自動変速機を搭載した車両のシステムの一例を示す。エンジン1の出力は自動変速機2のトルクコンバータ3を経て変速機構4に伝達され、さらに変速機構4はドライブ軸(車軸)5を介して車輪6に連結されている。油圧制御装置7は変速制御用ソレノイドバルブを備えており、そのソレノイドバルブをATコントローラ20で制御することにより、変速機構4に内蔵されている各種係合要素の油圧を走行状態に応じて制御している。なお、油圧制御装置7には、変速制御用ソレノイドバルブの他に、ロックアップクラッチ制御用やライン圧制御用などの別のソレノイドバルブを設けてもよい。
ATコントローラ20には、センサ21〜25からエンジン回転数、アクセル開度、P,R,N,D,Lなどのシフト位置、出力軸回転数、ブレーキ信号などの各信号が入力されている。ATコントローラ20のメモリには、変速マップ、変速制御用プログラムなどが格納され、アクセル開度と車速(出力軸回転数)とから変速マップによって最適な変速段を決定し、その変速段で締結すべき係合要素を決定し、その係合要素を締結するべく油圧制御装置7に内蔵されたソレノイドバルブに指令信号を出力している。なお、変速段の決定に際し、車速とアクセル開度だけでなく、スリップ判定、登坂判定、モード(例えばノーマルモード、スポーツモード)などの他の要素を加味して変速段を決定してもよい。
図2は変速機構4の一例を示す。この実施例の変速機構4は、変速機構4は、トルクコンバータ3を介してエンジン動力が伝達される入力軸10、摩擦係合要素である3個のクラッチC1〜C3および2個のブレーキB1,B2、ワンウエイクラッチF、ラビニヨウ型遊星歯車装置11、デファレンシャルギヤ14などを備えている。遊星歯車装置11のフォワードサンギヤ11aと入力軸10とはクラッチC1を介して連結されており、リヤサンギヤ11bと入力軸10とはクラッチC2を介して連結されている。フォワードサンギヤ11aはブレーキB1を介して変速機ケース16と連結可能である。キャリヤ11cはセンター軸15と連結され、センター軸15はクラッチC3を介して入力軸10と連結されている。また、キャリヤ11cはブレーキB2とキャリヤ11cの正転(エンジン回転方向)のみを許容するワンウェイクラッチFとを介して変速機ケース16に連結されている。キャリヤ11cは2種類のピニオンギヤ11d,11eを支持しており、フォワードサンギヤ11aは軸長の長いロングピニオン11dと噛み合い、リヤサンギヤ11bは軸長の短いショートピニオン11eを介してロングピニオン11dと噛み合っている。ロングピニオン11dのみと噛み合うリングギヤ11fはギヤ12に結合されている。ギヤ12は出力軸13の一端部に設けたギヤ13aに噛み合い、出力軸13の他端部に設けたギヤ13bはデファレンシャルギヤ14のリングギヤ14aに噛み合っている。デファレンシャルギヤ14に入力された動力は左右のドライブ軸5に伝達され、車輪6が駆動される。なお、出力軸回転数センサ24は出力軸13の回転数を検出するセンサであるが、出力軸回転数を検出すれば、デフギヤ比とタイヤ径等から駆動輪の車輪速度を算出することができる。
この実施例では、駆動輪6の車輪速度だけをセンサ24によって検出し、駆動輪の車輪速変化率(加速度)によってスリップ判定/スリップ復帰判定を実施しているが、例えば駆動輪の速度と従動輪の速度とを個別に検出できるセンサを搭載した車両(例えばABS付き車両)の場合には、駆動輪と従動輪の平均加速度が所定値を超えた時にスリップ判定を実施し、駆動輪と従動輪の車輪速の差回転が所定値以下のときにスリップ復帰判定を実施してもよい。
図3は、変速機構4を構成するクラッチC1,C2,C3、ブレーキB1,B2及びワンウェイクラッチFの作動状況を示し、前進4段、後退1段の変速段を実現している。C1クラッチはRレンジのみ係合され、C2クラッチはDレンジの1〜3速で係合され、C3クラッチはDレンジの3,4速で係合され、B1ブレーキはDレンジの2,4速で係合され、B2ブレーキはRレンジとLレンジ(図示せず)で係合される。
図4はATコントローラ20に設定されているDレンジの基本変速マップの一例を示す。変速マップは、自動変速機2が自動的に変速段を切り替える変速点を、横軸に車速(出力軸回転数)、縦軸にアクセル開度(スロットル開度)をとり、図式化したものである。実線はアップシフト線、破線はダウンシフト線を表す。例えば動作点A(2速段)で走行している時、片側の車輪が凍結路のような低μ路面上でスリップすると、デファレンシャルギヤ14の作用により出力軸回転数が急上昇し、動作点がB点のような高速段(例えば4速段)へ移行してしまう。そのため、デファレンシャルギヤ14が高差回転状態となり、焼き付きなどの問題が発生する可能性がある。本発明では、このような焼き付きを防止するため、アクセルON状態で出力軸回転数の時間変化率が所定値(正値)を越えた時、車輪スリップと判定し、アップシフトを禁止するスリップ制御を開始する。つまり、動作点Aにおける変速段を維持し、デファレンシャルギヤ14が高差回転状態となるのを防止する。なお、スリップ制御としては、アップシフトを禁止するだけでなく、ダウンシフトをも禁止して変速段を固定する制御を行ってもよい。一方、スリップ制御中にアクセルOFF又は出力軸回転数の時間変化率の低下を検出したとき、スリップ制御を解除し、通常の変速制御に戻す。スリップ解除条件としては、上記以外に、実加速度が負値からほぼ零に戻った時、又は実加速度が所定値(負値)以上となった時としてもよい。
図4に示す基本変速マップは平坦路を走行する場合に適したマップであるが、登坂路走行時には基本変速マップにしたがって変速段を決定すると、車輪を駆動する駆動トルクが不足する。そのため、登坂判定を行い、登坂路走行時と判定した場合には、アップシフトを禁止する(ギヤ比ホールド又はダウンシフト)。つまり、登坂判定中はスリップ判定中と同様にアップシフトを禁止し、駆動トルクを確保することができる。登坂判定は、例えば次式のように、基準加速度と実加速度との差が所定のしきい値を超えたときに登坂路と判定することができる。
基準加速度−実加速度>しきい値
ここで、基準加速度とは、理論駆動力/車体重量で求められ、理論駆動力とは例えばエンジントルク×ギヤ比×効率/タイヤ径で求められる。一方、実加速度とは、車輪速度の時間変化率で与えられるが、車輪速度と出力軸回転数とは比例しているので、出力軸回転数の時間変化率(微分値)で求めることができる。しきい値としては、例えば走行抵抗/車体重量と所定の基準路面勾配との和で与えることができる。
上述のように、基準加速度と実加速度との差が所定のしきい値を超えたときに登坂路と判定するが、下式で示す推定勾配値が実際にはあり得ない勾配値(例えば40%以上)を算出した場合には、登坂判定を禁止することができる。
推定勾配=基準加速度−実加速度−走行抵抗/車体重量
つまり、スリップ発生後に高μ路に差しかかりスリップが解消(グリップ)すると、車輪速度が急激に低下するので、恰も急勾配の登坂路を走行しているかのような現象となるが、推定勾配値が実際にはあり得ない高い勾配値となった場合には、登坂判定を禁止することで、スリップ解消時の登坂制御を禁止することができる。
図4は自動変速機としてATを用いた例であるが、無段変速機(CVT)を用いることも可能である。無段変速機の変速マップは、目標入力回転数と車速とで設定され、アクセル開度をパラメータとして変速点が設定されている。したがって、登坂判定時には、目標入力回転数を平坦路の目標入力回転数より高い回転数を設定しておくことで、アップシフトを禁止することができる。なお、登坂路の勾配に応じて複数の目標入力回転数を設定してもよい。
図5は、本発明に係る変速制御の一例のタイムチャートを示す。特に低μ路で車輪スリップが発生した後で高μ路に差しかかった時のアクセル開度、車輪速、車輪速変化率、タイヤスリップ判定、登坂判定禁止フラグ、エンジン回転数、変速段の各時間変化を示したものである。
走行中の時刻t1でアクセル開度を所定値以上に開くと、低速段(ここでは4速から3速)へ変速される。時刻t2で低μ路にさしかかると、車輪がスリップして車輪速が急上昇する。車輪速の時間変化率が所定の正値(平坦路走行時の加速度より高い値)を超えるので、車輪スリップと判定し、車速上昇に伴うアップシフトを禁止する。ここまでは従来(図6)と同じである。なお、変速中にスリップ判定した場合には、変速段が確定してからアップシフトを禁止する。スリップ判定中、破線で示すようにアップシフトだけでなく、ダウンシフトも禁止してもよく、この場合は変速段を固定することになる。次に、時刻t3で高μ路に差しかかり、車輪がグリップを開始すると、車輪速が急激に低下する。この車輪速の変化から、登坂判定禁止フラグをたてて登坂判定を禁止する。この登坂判定禁止期間は、スリップ判定が解除された後、一定時間ΔTだけ継続される。車輪がグリップを開始すると、車輪速が低下するため、基準加速度と実加速度との差が所定のしきい値を超える可能性があり、通常であれば登坂判定(アップシフト禁止)を行うところであるが、登坂判定を禁止しているので、スリップ復帰直後にアップシフトが可能になる。時刻t4で車輪スリップ判定が解除されると、アップシフトが可能になり、実線で示すようにスリップ発生前の変速比(例えば4速)に戻すことが可能になる。時刻t5でエンジン回転数も低下し、エンジンブレーキによる不快な減速Gが発生するという問題を解消できる。
図5では、登坂判定禁止フラグの開始タイミング(t3)を、車輪速の変化(加速度)が負に変化する時としているが、タイヤスリップ判定(t2)と同時でもよいし、タイヤスリップ解除判定(t4)と同時でもよいし、さらには基準加速度と実加速度との差がしきい値を超えた時でもよい。いずれにしても、スリップ解除判定直後に登坂判定を実施しないようにすればよい。
図6は、本発明に係る自動変速機の制御の一例のフローチャートである。制御がスタートすると、まずタイヤスリップ判定を実施する(ステップS1)。タイヤスリップと判定されない場合には、通常の変速制御を実施する(ステップS8)。タイヤスリップと判定された場合には、スリップ制御を実施する(ステップS2)。このスリップ制御では、アップシフトを禁止するが、ダウンシフトも禁止して変速比を固定してもよい。次に、車輪速変化率(加速度)が負になったかどうかを判定し(ステップS3)、加速度が正又は零であれば、スリップ制御を継続する。加速度が負値になった時には、スリップが解消しようとしている状況であるため、登坂判定禁止フラグを立て(ステップS4)、続いてタイヤスリップ復帰判定を実施する(ステップS5)。タイヤスリップが解消していないと判定されれば、スリップ制御と登坂判定禁止とを継続し、タイヤスリップが解消したと判定されれば、スリップ制御を終了するが、登坂判定禁止は継続する(ステップS6)。次に、スリップ復帰判定からの経過時間を計測し、その時間が所定時間以下であれば、ステップS6を継続し、所定時間を超えた場合には通常の変速制御へ戻す(ステップS8)。つまり、登坂判定禁止も終了する。
本発明に係る自動変速機とは、多板クラッチと遊星ギヤとを用いた有段式の自動変速機のほか、ベルト式やトロイダル型などの無段変速機でもよい。また、図1のようなFF式の自動変速機に限らず、FR式などの他の形式の自動変速機にも適用できる。
1 エンジン
2 自動変速機
4 変速機構
5 ドライブ軸
7 油圧制御装置
13 出力軸
14 デファレンシャルギヤ
20 ATコントローラ
22 アクセル開度センサ
23 シフト位置センサ
24 出力軸回転数センサ

Claims (1)

  1. 駆動源の駆動力を自動変速機及び差動装置を介して車輪に伝達する車両であって、
    所定の車輪スリップ条件を満足したとき車輪スリップと判定し、所定の車輪スリップ解除条件を満足したときスリップ判定を解除し、前記スリップ判定中は前記自動変速機の少なくともアップシフトを禁止するスリップ制御手段と、
    前記駆動力に基づく基準加速度と車輪速度の時間変化率から求めた実加速度との差が所定のしきい値を超えた時に登坂路と判定し、前記登坂判定中は前記自動変速機のアップシフトを禁止する登坂制御手段と、を備えた車両用自動変速機において、
    前記スリップ判定の解除から所定時間経過後まで、前記登坂制御手段による登坂判定を禁止する登坂判定禁止手段を設けたことを特徴とする車両用自動変速機の制御装置。
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