JP2009143369A - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】車両のステア状態がオーバーステアであるときの操舵の切り過ぎを防止すると共に、オーバーステアにおけるカウンターステア操作を容易にし、車両挙動の安定性を向上させる。
【解決手段】タイヤのグリップが失われた度合を表すグリップロス度をグリップロス度検出手段23で検出すると共に、車両のステア状態をステア状態検出部24で検出し、さらにヨーレートをヨーレート検出手段42で検出し、検出したヨーレート、ステア状態及びグリップロス度に基づいて補償値補正手段25で操舵補助電流指令値に対するステアリング特性補償値を補正する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、転舵輪を転舵するステアリング機構に対し、電動モータにより操舵補助力を付与するようにした電動パワーステアリング装置に関し、特に、タイヤのグリップ力が失われた場合であっても、車両挙動を安定させることの可能な電動パワーステアリング装置に関する。
従来、ステアリング装置として、運転者がステアリングホイールを操舵する際に発生する操舵トルクに応じて電動モータを駆動することにより、ステアリング機構に操舵補助力を与える電動パワーステアリング装置が普及している。
また、このような電動パワーステアリング装置において、操舵性能の向上やコーナリング時の車両の挙動を安定させるために、車両に取り付けられた車輪を中立に戻そうとするトルクであるセルフアライニングトルクを求めて操舵制御に用いたもの、さらにタイヤのグリップ状態を考慮して操舵制御を行うようにしたもの等も提案されている。
このタイヤのグリップ状態を算出する方法としては、例えば規範ヨーレートと実ヨーレートとの偏差をタイヤのグリップ状態相当の値として用いた反力装置の制御方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、アンダーステア時にヨーレートの変化率に応じて操舵力を重くさせる車両の操舵反力制御装置も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2006−264392号公報 特許第2894006号公報
しかしながら、上述のように、規範ヨーレートと実ヨーレートとの偏差をグリップ状態相当の値として用いた場合、これらヨーレートの偏差は、グリップ状態を表すものの、実際のグリップ状態との誤差は比較的大きく、正確なタイヤのグリップ力を検出することはできず、例えば急激な切り増し・切り戻しを行う場合やUターン等の低速で大旋回する場合に、タイヤのグリップ力が十分であるのにもかかわらず、補正制御がオン状態になってしまい、運転者に違和感を与えてしまうという未解決の課題がある。
また、オーバーステア時に操舵力を重くさせる場合、オーバーステア初期時に操舵の切り過ぎを防止してオーバーステア初期挙動を抑制することに対して効果はあるが、オーバーステア発生後にセルフアライニングトルク及び運転者によってオーバーステア挙動を安定させるために操作される所謂カウンターステア時においても、操舵力を重くして操舵反力を感じさせてしまうこととなり、カウンターステア操作を困難にさせてしまうという未解決の課題がある。
そこで、本発明は上記従来の未解決の課題に着目してなされたものであり、車両のステア状態がオーバーステアであるときの操舵の切り過ぎを防止すると共に、オーバーステアにおけるカウンターステア操作を容易にし、車両挙動の安定性を向上させることができる電動パワーステアリング装置を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る電動パワーステアリング装置は、転舵輪を転舵するステアリング機構に入力される操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段と、前記ステアリング機構に操舵補助力を付与する電動モータと、前記操舵トルクに基づいて操舵補助電流指令値を演算し、演算した操舵補助電流指令値に基づいて前記電動モータを制御する制御手段とを有する電動パワーステアリング装置であって、
車両のステア状態を検出するステア状態検出手段と、タイヤのグリップ力が失われた度合を表すグリップロス度を検出するグリップロス度検出手段と、前記操舵補助電流指令値に対してステアリング特性を補償する指令値補償手段と、前記ステア状態検出手段で検出したステア状態と前記グリップロス度検出手段で検出したグリップロス度とに基づいて前記指令値補償手段のステアリング特性補償値を補正する補償値補正手段とを備えたことを特徴としている。
また、請求項2に係る電動パワーステアリング装置は、請求項1に係る発明において、前記補償値補正手段は、前記ステア状態がオーバーステアであって且つ前記グリップロス度が所定値以上であるときに、グリップロス度に応じてステアリング特性補償値を補正するように構成されていることを特徴としている。
さらに、請求項3に係る電動パワーステアリング装置は、請求項1に係る発明において、前記指令値補償手段は、前記転舵輪側に発生するセルフアライニングトルクを検出するセルフアライニングトルク検出手段と、該セルフアライニングトルク検出手段で検出したセルフアライニングトルク検出値に基づいて前記操舵補助電流指令値に対してセルフアライニングトルク補償を行うセルフアライニングトルク補償手段とを少なくとも有し、前記補償値補正手段は、前記ステア状態がオーバーステアであって且つ前記グリップロス度が所定値以上であるときに、グリップロス度に応じて前記セルフアライニングトルク補償手段のセルフアライニングトルク補償値を補正するように構成されていることを特徴としている。
さらにまた、請求項4に係る電動パワーステアリング装置は、請求項1に係る発明において、前記指令値補償手段は、車両のヨーレートの収斂性を補償する収斂性補償手段を少なくとも有し、前記補償値補正手段は、前記ステア状態がオーバーステアであって且つ前記グリップロス度が所定値以上であるときに、グリップロス度に応じて前記収斂性補償手段の収斂性補償値を補正するように構成されていることを特徴としている。
なおさらに、請求項5に係る電動パワーステアリング装置は、請求項1に係る発明において、前記指令値補償手段は、車両のヨーレートの収斂性を補償する収斂性補償手段と、前記転舵輪側に発生するセルフアライニングトルクを検出するセルフアライニングトルク検出手段と、該セルフアライニングトルク検出手段で検出したセルフアライニングトルク検出値に基づいて前記操舵補助電流指令値に対してセルフアライニングトルク補償を行うセルフアライニングトルク補償手段とを少なくとも有し、前記補償値補正手段は、前記ステア状態がオーバーステアであって且つ前記グリップロス度が所定値以上であるときに、グリップロス度に応じて前記収斂性補償手段の収斂性補償値を補正すると共に、前記セルフアライニングトルク補償手段のセルフアライニングトルク補償値を補正するように構成されていることを特徴としている。
また、請求項6に係る電動パワーステアリング装置は、請求項1乃至5の何れか1つに係る発明において、車両のヨーレートを検出するヨーレート検出手段を備え、前記補償値補正手段は、前記ステア状態がオーバーステアであって且つ前記グリップロス度が所定値以上であるときに、前記ヨーレート検出手段で検出したヨーレートの変化率に基づいて前記ステアリング特性補償値の補正態様を変更するように構成されていることを特徴としている。
さらに、請求項7に係る電動パワーステアリング装置は、請求項1乃至6の何れか1つに係る発明において、前記転舵輪側に発生するセルフアライニングトルクを検出するセルフアライニングトルク検出手段と、車両の横力を検出する横力検出手段と、該横力検出手段で検出した横力に基づいてセルフアライニングトルクを推定するセルフアライニングトルク推定手段とを備え、前記グリップロス度検出手段は、前記セルフアライニングトルク検出手段で検出したセルフアライニングトルク検出値と、前記セルフアライニングトルク推定手段で推定したセルフアライニングトルク推定値とに基づいてグリップロス度を検出するように構成されていることを特徴としている。
本発明に係る電動パワーステアリング装置によれば、操舵トルクに基づき算出した電動モータの電流指令値に対してステアリング特性を補償する指令値補償手段のステアリング特性補償値を、車両のステア状態及びタイヤのグリップロス度に基づいて補正し、補正して得た操舵補助電流指令値に基づいて電動モータを駆動制御するので、車両のステア状態が例えばオーバーステア状態であり、且つグリップロス度が所定値以上であるときに、操舵の切り過ぎを抑制すると共に、カウンターステア操作を容易に行うことができるという効果が得られる。
ここで、指令値補償手段のステアリング特性補償値としては、セルフアライニングトルクを補償するセルフアライニングトルク補償値やヨーレートの収斂性を補償する収斂性補償値が挙げられ、セルフアライニングトルク補償値をグリップロス度に応じて補正することにより、オーバーステア時の操舵の切り過ぎを抑制すると共にカウンターステア操作を容易に行えるようにし、収斂性補償値をグリップロス度に応じて補正することにより、カウンターステア操作時の操作過多を抑制することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態を示す全体構成図であって、図中、SMはステアリング機構である。このステアリング機構SMは、ステアリングホイール1に運転者から作用される操舵力が伝達される入力軸2aとこの入力軸2aに図示しないトーションバーを介して連結された出力軸2bとを有するステアリングシャフト2を備えている。このステアリングシャフト2は、ステアリングコラム3に回転自在に内装され、入力軸2aの一端がステアリングホイール1に連結され、他端は図示しないトーションバーに連結されている。
そして、出力軸2bに伝達された操舵力は、2つのヨーク4a,4bとこれらを連結する十字連結部4cとで構成されるユニバーサルジョイント4を介して中間シャフト5に伝達され、さらに、2つのヨーク6a,6bとこれらを連結する十字連結部6cとで構成されるユニバーサルジョイント6を介してピニオンシャフト7に伝達される。
このピニオンシャフト7に伝達された操舵力はステアリングギヤ機構8を介して左右のタイロッド9に伝達され、これらタイロッド9によって左右の転舵輪WL,WRを転舵させる。ここで、ステアリングギヤ機構8は、ギヤハウジング8a内に、ピニオンシャフト7に連結されたピニオン8bとこのピニオン8bに噛合するラック軸8cとを有するラックアンドピニオン形式に構成され、ピニオン8bに伝達された回転運動をラック軸8cで車幅方向の直進運動に変換して、タイロッド9に伝達する。
ステアリングシャフト2の出力軸2bには、操舵補助力を出力軸2bに伝達する操舵補助機構10が連結されている。この操舵補助機構10は、出力軸2bに連結した減速ギヤ等の減速機11と、この減速機11に連結された操舵補助力を発生する例えばブラシレスモータで構成される電動モータ12とを備えている。
また、減速機11のステアリングホイール1側に連接されたハウジング13内に操舵トルクセンサ14が配設されている。この操舵トルクセンサ14は、ステアリングホイール1に付与されて入力軸2aに伝達された操舵トルクを検出するもので、例えば、操舵トルクを入力軸2a及び出力軸2b間に介挿した図示しないトーションバーの捩れ角変位に変換し、この捩れ角変位を磁気変化や抵抗変化として検出し、それを電気信号に変換するように構成されている。
そして、操舵トルクセンサ14から出力される操舵トルク検出値Tは、図2に示すように、例えばマイクロコンピュータで構成されるコントローラ15に入力される。このコントローラ15には、トルク検出値Tの他に車速センサ16で検出した車速検出値Vx、電動モータ12に流れるモータ電流Ia〜Ic及びレゾルバ、エンコーダ等で構成される回転角センサ17で検出した電動モータ12の回転角θmも入力されている。
このコントローラ15では、入力されるトルク検出値T及び車速検出値Vxに応じた操舵補助力を電動モータ12で発生させる操舵補助電流指令値Irefを算出し、算出した操舵補助電流指令値Irefに対して回転角θmに基づいて算出するモータ角速度ωm及びモータ角加速度αmに基づいて収斂性補償、慣性補償、セルフアライニングトルク補償等各種補償処理を行ってからd−q軸指令値に変換し、これらd−q軸指令値を2相/3相変換してモータ電流指令値Iaref〜Icrefを算出し、算出したモータ電流指令値Iaref〜Icrefに基づいて電動モータ12に流れる電流Ia〜Icをフィードバック制御し、電動モータ12を駆動制御する。
すなわち、コントローラ15は、操舵トルクT及び車速Vxに基づいて操舵補助電流指令値Irefを演算する操舵補助電流指令値演算部21と、この操舵補助電流指令値演算部21で算出した操舵補助電流指令値Irefを補償する指令値補償部22と、タイヤのグリップが失われた度合を表すグリップロス度を検出するグリップロス度検出手段としてのグリップロス度検出部23と、車両のステア状態を検出するステア状態検出部24と、グリップロス度検出部23で検出したグリップロス度及びステア状態検出部24で検出したステア状態に基づいて指令値補償部22の補償値を補正する補償値補正手段としての補償値補正部25と、指令値補償部22で補償した補償後操舵補助電流指令値Iref′に基づいてd−q軸電流指令値を算出するd−q軸電流指令値演算部26と、このd−q軸電流指令値演算部26から出力されるd−q軸指令値を2相/3相変換してモータ電流指令値Iaref〜Icrefを算出する2相/3相変換部27と、この2相/3相変換部27から出力されるモータ電流指令値Iaref〜Icrefに基づいてモータ電流Ia〜Icを生成するモータ電流制御部28とで構成されている。
操舵補助電流指令値演算部21は、操舵トルクT及び車速Vxをもとに図3に示す操舵補助電流指令値算出マップを参照して電流指令値でなる操舵補助電流指令値Irefを算出する。
この操舵補助電流指令値算出マップは、図3に示すように、横軸に操舵トルクTをとり、縦軸に操舵補助電流指令値Irefをとると共に、車速Vxをパラメータとした放物線状の曲線で表される特性線図で構成され、操舵トルクTが"0"からその近傍の設定値Ts1までの間は操舵補助電流指令値Irefが"0"を維持し、操舵トルクTが設定値Ts1を超えると最初は操舵補助電流指令値Irefが操舵トルクTの増加に対して比較的緩やかに増加するが、さらに操舵トルクTが増加すると、その増加に対して操舵補助電流指令値Irefが急峻に増加するように設定され、この特性曲線が車速の増加に従って傾きが小さくなるように設定されている。
指令値補償部22は、回転角センサ17で検出されるモータ回転角θmを微分してモータ角速度ωmを算出する角速度演算部31と、この角速度演算部31で算出されたモータ角速度ωmを微分してモータ角加速度αmを算出する角加速度演算部32と、角速度演算部31で算出されたモータ角速度ωmに基づいてヨーレートの収斂性を補償してステアリングホイール1が振れ回る動作に対してブレーキをかける収斂性補償部33と、角加速度演算部32で算出されたモータ角加速度αmに基づいて電動モータ12の慣性により発生するトルク相当分を補償して慣性感又は制御応答性の悪化を防止する慣性補償部34と、セルフアライニングトルク(SAT)を検出するSAT検出部35と、このSAT検出部35で検出したセルフアライニングトルクに基づいてセルフアライニングトルク補償を行うセルフアライニングトルク補償値SATcを算出するSAT補償部36とを備えている。
ここで、収斂性補償部33は、車速センサ16で検出した車速Vx及び角速度演算部31で算出されたモータ角速度ωmが入力され、車両のヨーの収斂性を改善するためにステアリングホイール1が振れ回る動作に対して、ブレーキをかけるように、モータ角速度ωmに車速Vxに応じて変更される収斂性制御ゲインKvを乗じて収斂性補償値Idを算出する。
また、SAT検出部35は、操舵トルクT、モータ角速度ωm、モータ角加速度αm及び操舵補助電流指令値演算部21で算出した操舵補助電流指令値Irefが入力され、これらに基づいてセルフアライニングトルクSATを演算する。
このセルフアライニングトルクSATを算出する原理は、路面からステアリングまでの間に発生するトルクの様子を図4に示して説明する。すなわち、ドライバがステアリングホイール1を操舵することによって操舵トルクTが発生し、その操舵トルクTに従って電動モータ12がアシストトルクTmを発生する。その結果、車輪Wが転舵され、反力としてセルフアライニングトルクSATが発生する。また、その際、電動モータ12の慣性J及び摩擦(静摩擦)Frによってステアリングホイール1の操舵の抵抗となるトルクが生じる。これらの力の釣り合いを考えると、下記(1)式のような運動方程式が得られる。
J・αm+ Fr・sign(ωm) + SAT = Tm + T …(1)
ここで、上記(1)式を初期値ゼロとしてラプラス変換し、セルフアライニングトルクSATについて解くと下記(2)式が得られる。
SAT(s) = Tm(s) + T(s) − J・αm(s) − Fr・sign(ωm(s)) …(2)
上記(2)式から分かるように、電動モータ12の慣性J及び静摩擦Frを定数として予め求めておくことで、モータ角速度ωm、モータ角加速度αm、アシストトルクTm及び操舵トルクTよりセルフアライニングトルクSATを検出することができ、このセルフアライニングトルク検出値をSATdとする。ここで、アシストトルクTmは操舵補助電流指令値Irefに比例するので、アシストトルクTmに代えて操舵補助電流指令値Irefを適用する。
そして、慣性補償部34で算出された慣性補償値IiからSAT補償部36で算出されたセルフアライニングトルク補償値SATcを後述する補償値補正部25で補正した補正セルフアライニングトルク補償値SATc′が減算器37で減算され、この減算器37の減算出力と収斂性補償部33で算出された収斂性補償値Idを後述する補償値補正部25で補正した補正収斂性補償値Id′とが加算器38で加算されて指令補償値Icomが算出され、この指令補償値Icomが操舵補助電流指令値演算部21から出力される操舵補助電流指令値Irefに加算器39で加算されて補償後操舵補助電流指令値Iref′が算出され、この補償後操舵補助電流指令値Iref′がd−q軸電流指令値演算部26に出力される。
また、グリップロス度検出部23は、前述した指令値補償部22のSAT検出部35から入力されるセルフアライニングトルク検出値SATdとセルフアライニングトルクを推定するSAT推定部41から入力されるセルフアライニングトルク推定値SATpとに基づいてタイヤのグリップが失われた度合を表すグリップロス度を算出する。
ここで、SAT推定部41でセルフアライニングトルク推定値SATpを推定する原理は、以下の通りである。
タイヤが横滑りしながら転動する車両運動の様子をモデル化したものを、図5及び図6に示す。
図5では、タイヤが接地面全体において発生する横力はトレッド部の横方向への変形面積(斜線部)となり、セルフアライニングトルクSATがスリップ角を減少させる方向に働く様子を示している。また、図6は、横力の着力点(接地面の中心点)がタイヤの中心線より後方にあることを示している。そして、ニューマチックトレールとキャスタトレールとの加算値がトレールとなる。
図5及び図6より、セルフアライニングトルクSATは横力Fyとトレールとの積(横力Fy×トレール)であることがわかる。すなわち、トレールをεnとすると、セルフアライニングトルクSATは次式(3)で算出することができる。なお、この(3)式で算出されるセルフアライニングトルクを、セルフアライニングトルクの推定値SATpとする。
SATp=εn・Fy ……(3)
なお、重心から後輪までの距離をL2(固定値)、車両重量をm、横加速度をGy、車両慣性モーメントをMo、ヨーレートγの微分値をdγ/dt、ホイールベースをLとしたとき、横力Fyは次式(4)により算出することができる。
Fy=(L2・m・Gy+Mo・dγ/dt)/L ……(4)
一方、図7は横力FyとセルフアライニングトルクSATの特性をスリップ角に対して示す特性図であり、横力FyとSATとはスリップ角に対して非線形な特性となっている。そして、SATは横力Fy×トレールεnであり、キャスタトレールは固定値であることから、セルフアライニングトルクSATの横力Fyに対する非線形特性はニューマチックトレールの変化を直接表すことになる。また、セルフアライニングトルクSATの横力に対する特性は、図6における滑り域が増大し、ニューマチックトレールが減少することによって生じる。
さらに、セルフアライニングトルクSATは横力Fyとトレールεnとの積であり、線形領域では滑り域は増加せず、ニューマチックトレールは一定値であることから、線形領域でのニューマチックトレールとキャスタトレールとの和、つまりトレールεnで横力FyをセルフアライニングトルクSATの次元に合わせてセルフアライニングトルク推定値SATpとして図示すると図8のようになる。
ここで、ニューマチックトレールが一定であれば、セルフアライニングトルク検出値SATdとセルフアライニングトルク推定値SATpとは同じ軌跡を辿るが、滑り域が増大してニューマチックトレールが減少するとセルフアライニングトルク検出値SATdとセルフアライニングトルク推定値SATpとに差が生じる。この差はグリップが失われた度合を表し、これを本発明では「グリップロス度」とする。上記(2)式で算出されたセルフアライニングトルク検出値SATdと、上記(3)式で算出されたセルフアライニングトルク推定値SATpとを次式(5)により比較する。
g=SATp−SATd ……(5)
この(5)式で算出されるgがグリップロス度であり、このグリップロス度gにより車両におけるタイヤのグリップ力が失われた度合を推定することができる。
図8は、セルフアライニングトルク検出値SATdとセルフアライニングトルク推定値SATp(トレールεn×横力Fy)とを比較して示す特性図であり、スリップ角が大きくなるにしたがって、セルフアライニングトルクSATが失われる様子を示しており、上記(5)式から算出されるセルフアライニングトルク検出値SATdとセルフアライニングトルク推定値SATpとの差をグリップロス度g(図中網かけ部)として示している。
このため、車両のヨーレートを検出するヨーレートセンサ42と車両の横加速度を検出する横加速度センサ43とを設け、これらヨーレートセンサ42で検出したヨーレートγと横加速度センサ43で検出した横加速度Gyとを横力検出部44へ入力し、この横力検出部44で前記(4)式の演算を行って横力Fyを算出し、算出した横力FyをSAT推定部41に入力して、このSAT推定部41で前記(3)式の演算を行うことにより、セルフアライニングトルク推定値SATpを算出する。
そして、SAT検出部35で検出したセルフアライニングトルク検出値SATdとSAT推定部41で推定したセルフアライニングトルク推定値SATpとをグリップロス度検出部23に入力し、このグリップロス度検出部23で前記(5)式の演算を行うことにより、タイヤのグリップが失われた度合を表すグリップロス度gを算出し、算出したグリップロス度gを補償値補正手段としての補償値補正部25に入力する。
また、ステア状態検出部24は、ステアリング機構SMの操舵角δを検出する操舵角センサ45から出力される操舵角δ、前述したヨーレートセンサ42で検出したヨーレートγ及び車速センサ16で検出した車速Vxが入力され、これらに基づいて車両のステア状態がアンダーステアであるかオーバーステアであるかを判定する。
このステア状態の判定は、以下のようにして行う。先ず、車両の規範ヨーレートγ0は下記(6)式で表すことができる。
γ0={1/(1+Ts)}{1/(1+A・Vx2)}(Vxδ/Lα) ……(6)
ここで、δは操舵角、Vxは車速、Lはホイールベース、Tは時定数、sはラプラス演算子、Aはスタビリティファクタ、αはステアリングレシオである。
また、スタビリティファクタAは、下記(7)式で表される。
A=(m/2L2){(Lf・Kf−Lr・Kr)/Kf・Kr} …………(7)
ここで、mは車両重量、Lfは車両重心点と前輪車軸との間の距離、Lrは車両重心点と後輪車軸との間の距離、Kfは前輪タイヤのコーナリングパワー、Krは後輪タイヤのコーナリングパワーである。
そして、規範ヨーレートγ0とヨーレートセンサ42で検出した実ヨーレートγとを比較することにより、下記のように車両のステア状態を判定することができる。
|γ|−|γ0|>0 :オーバーステア
|γ|−|γ0|<0 :アンダーステア
この車両のステア状態がオーバーステアであるときには論理値“1”、アンダーステアであるときには論理値“0”のステア状態信号SSを補償値補正部25に出力する。
補償値補正部25は、グリップロス度検出部23で検出したグリップロス度gとステア状態検出部24で検出したステア状態に応じたステア状態信号SSとヨーレートセンサ42で検出したヨーレートγが入力されて、これらに基づいて指令値補償部22のSAT補償部36から出力されるセルフアライニングトルク補償値SATcを補正する補償ゲインKsを演算すると共に、指令値補償部22の収斂性補償部33から出力される収斂性補償値Idを補正する補償ゲインKdを演算する補償ゲイン演算部51と、この補償ゲイン演算部51で演算された補償ゲインKsをSAT補償部36で算出されたセルフアライニングトルク補償値SATcに乗算する乗算器52と、補償ゲイン演算部51で演算された補償ゲインKdを収斂性補償部33で算出された収斂性補償値Idに乗算する乗算器53とを備えている。
ここで、補償ゲイン演算部51は、図9に示すSAT補償ゲイン演算処理及び図10に示す収斂性補償ゲイン演算処理を実行する。
SAT補償ゲイン演算処理は、図9に示すように、先ず、ステップS1で、ヨーレートγ、ステア状態信号SS及びグリップロス度gを読込み、次いでステップS2に移行して、ヨーレートγを微分してヨーレート変化率Δγを算出してからステップS3に移行する。
このステップS3では、グリップロス度gが予め設定したグリップ限界を表す所定値g1以上であるか否かを判定し、g<g1であるときにはタイヤのグリップ力がグリップ限界に達していない通常操舵状態であるものと判断してステップS4に移行してSAT補償ゲインKsを“1”に設定し、設定したSAT補償ゲインKsを乗算器52に出力してから前記ステップS1に戻る。
また、ステップS3の判定結果が、g≧g1であるときには、ステップS5に移行して、ステップS1で読込んだステア状態信号SSが論理値“1”でオーバーステアを表しているか否かを判定し、ステア状態信号SSが論理値“0”でアンダーステア又はニュートラルステアを表しオーバーステアを表さないときには前記ステップS4に移行し、論理値“1”でオーバーステアを表すときには、補償値の補正を開始するものと判断してステップS6に移行する。
このステップS6では、ステップS2で算出した現在のヨーレート変化率Δγを補正開始時ヨーレート変化率Δγ1としてその符号をRAM等の所定記憶領域に記憶すると共に、ステップS1で読込んだ現在のヨーレートγを補正開始時ヨーレートγ1としてその符号をRAM等の所定記憶領域に記憶する。
次いで、ステップS7に移行して、図11に示すSAT補償ゲイン算出マップの傾きの大きい特性線L1を選択して、グリップロス度gをもとに特性線L1に従った関数Fs1(g)で表されるSAT補償ゲインKsを算出し、算出したSAT補償ゲインKsを乗算器52に出力してからステップS8に移行する。
このステップS8では、ヨーレートセンサ42で検出したヨーレートγを補正開始後ヨーレートγ2として読込み、次いでステップS9に移行して、読込んだ補正開始後ヨーレートγ2を微分して補正開始後ヨーレート変化率Δγ2を算出してからステップS10に移行する。
このステップS10では、補正開始時ヨーレート変化率Δγ1と補正開始後ヨーレート変化率Δγ2との符号を比較して両者が異符号であるか否かを判定し、両者が同符号であるときには切増し操舵中であると判断してステップS11に移行する。
このステップS11では、グリップロス度gが所定値g1以上となり、且つ車両のステア状態がオーバーステアとなった時点から所定時間が経過した否かを判定し、所定時間を経過したときに前記ステップS4に移行し、所定時間を経過していないときにはステップS12に移行して、補正開始時ヨーレートγ1と補正開始後ヨーレートγ2との符号が異符号(正と負のみならず、正と0、負と0を含む)であるか否かを判定し、両者が異符号であるときには前記ステップS4に移行し、両者が同符号であるときには前記ステップS7に戻る。
さらに、前記ステップS10の判定結果が、補正開始時ヨーレート変化率Δγ1と補正開始後ヨーレート変化率Δγ2との符号が異符号であるときには、操舵の切り過ぎを抑制するオーバーステアの抑制が開始されるか又は運転者がカウンターステア操作を行ってオーパーステア挙動が安定化に向かったものと判断して、ステップS13に移行する。
このステップS13では、図11に示すSAT補償ゲイン算出マップの傾きの小さい特性線L2を選択して、グリップロス度gをもとに特性線L2に従った関数Fs2(g)で表されるSAT補償ゲインKsを算出し、算出したSAT補償ゲインKsを乗算器52に出力してからステップS14に移行する。
このステップS14では、ヨーレートセンサ42で検出したヨーレートγを再度補正開始後ヨーレートγ3として読込み、次いでステップS15に移行して、グリップロス度gが所定値g1以上となり、且つ車両のステア状態がオーバーステアとなった時点から所定時間が経過した否かを判定し、所定時間を経過したときに前記ステップS4に移行し、所定時間を経過していないときにはステップS16に移行して、前述したステップS12と同様に補正開始時ヨーレートγ1と補正開始後ヨーレートγ3との符号が異符号(正と負のみならず、正と0、負と0を含む)であるか否かを判定し、両者が異符号であるときには前記ステップS4に移行し、両者が同符号であるときには前記ステップS13に戻る。
ここで、図11のSAT補償ゲイン算出マップは、横軸にグリップロス度gをとり、縦軸にSAT補償ゲインKsをとって、グリップロス度gが所定値g1未満であるときにはSAT補償ゲインKsが“1”に維持され、グリップロス度gが所定値g1以上となると、特性線L1では、グリップロス度gの増加に伴って大きな変化率でSAT補償ゲインKsが“1”より増加し、特性線L2ではグリップロス度gの増加に伴って小さな変化率でSAT補償ゲインKsが“1”より増加するように設定されている。
また、収斂性補償ゲイン演算処理は、図10に示すように、図9の処理がステップS1、S2及びS5を除いて下記のように変更されている。
すなわち、図9のSAT補償ゲイン演算処理におけるステップS3が、グリップロス度gが予め設定したグリップ限界を表す所定値g2以上であるか否かを判定するステップS3′に変更されている。このステップS3′の判定結果が、g≧g2であるときにはグリップ力がグリップ限界に達したものと判断して図9と同様のステップS5に移行し、g<g2であるときにはタイヤのグリップ力がグリップ限界に達していない通常操舵状態であるものと判断してステップS4′に移行する。
このステップS4′では、ステップS4がSAT補償ゲインKsを“1”に設定するのに対し、収斂性補償ゲインKdを“1”に設定し、設定した収斂性補償ゲインKdを乗算器53に出力するように変更されている。
さらに、ステップS6が補正開始時ヨーレート変化率Δγ4及び補正開始時ヨーレートγ4の符号を記憶するステップS6′に変更され、ステップS7が、図12に示す収斂性補償ゲイン算出マップの傾きの小さい特性線L11を選択して、グリップロス度gをもとに特性線L11に従った関数Fd1(g)で表される収斂性補償ゲインKdを算出し、算出した収斂性補償ゲインKdを乗算器53に出力してからステップS8に移行する処理を行うステップS7′に変更されている。
さらにまた、ステップS8がヨーレートγを補正開始後ヨーレートγ5として読込むステップS8′に変更され、ステップS9がヨーレートγ5を微分して補正開始後ヨーレート変化率Δγ5を算出するステップS9′に変更され、ステップS10が補正開始時ヨーレート変化率Δγ4と補正開始後ヨーレート変化率Δγ5との符号が異符号であるか否かを判定し、両者が同符号であるときにステップS11′に移行し、両者が異符号であるときにステップS13′に移行するステップS10′に変更されている。
なおさらに、ステップS11が、グリップロス度gが所定値g2以上となり、且つ車両のステア状態がオーバーステアとなった時点から所定時間が経過した否かを判定し、所定時間を経過したときに前記ステップS4に移行し、所定時間を経過していないときにはステップS12に移行するステップS11′に変更され、ステップS12が補正開始時ヨーレートγ4と補正開始後ヨーレートγ5との符号が異符号であるか否かを判定し、同符号であるときにステップS7′に戻り、異符号であるときにはステップS4′に移行するステップS12′に変更されている。
また、ステップS13が、図12に示す収斂性補償ゲイン算出マップの傾きの大きい特性線L12を選択して、グリップロス度gをもとに特性線L12に従った関数Fd2(g)で表される収斂性補償ゲインKdを算出し、算出した収斂性補償ゲインKdを乗算器53に出力してからステップS16′に移行する処理を行うステップS13′に変更されている。また、ステップS14がヨーレートγを補正開始後ヨーレートγ6として読込むステップS14′に変更されている。
さらに、ステップS15が、グリップロス度gが所定値g2以上となり、且つ車両のステア状態がオーバーステアとなった時点から所定時間が経過した否かを判定し、所定時間を経過したときに前記ステップS4′に移行し、所定時間を経過していないときにはステップS16′に移行する処理を行うステップS15′に変更され、ステップS16が補正開始時ヨーレートγ4と補正開始後ヨーレートγ6との符号が異符号であるか否かを判定し、同符号であるときにステップS13′に戻り、異符号であるときにステップS4′に移行するステップS16′に変更されている。
ここで、図12の収斂性補償ゲイン算出マップは、横軸にグリップロス度gをとり、縦軸に収斂性補償ゲインKdをとって、グリップロス度gが所定値g2未満であるときには収斂性補償ゲインKdが“1”に維持され、グリップロス度gが所定値g2以上となると、特性線L11では、グリップロス度gの増加に伴って小さな変化率で収斂性補償ゲインKdが“1”より増加し、特性線L12ではグリップロス度gの増加に伴って大きな変化率で収斂性補償ゲインKdが“1”より増加するように設定されている。
さらに、d−q軸電流指令値演算部26は、補償後操舵補助電流指令値Iref′とモータ角速度ωmとに基づいてd軸電流指令値Idrefを算出するd軸電流指令値算出部61と、電気角変換部30から入力される電気角θe及びモータ角速度ωmに基づいてd−q軸誘起電圧モデルEMF(Electromotive Force)のd軸EMF成分ed(θ)及びq軸EMF成分eq(θ)を算出する誘起電圧モデル算出部62と、この誘起電圧モデル算出部62から出力されるd軸EMF成分ed(θ)及びq軸EMF成分eq(θ)とd軸電流指令値算出部61から出力されるd軸電流指令値Idrefと補償後操舵補助電流指令値Iref′とモータ角速度ωmとに基づいてq軸電流指令値Iqrefを算出するq軸電流指令値算出部63とを備えている。そして、d軸電流指令値算出部61で算出されたd軸電流指令値Idref及びq軸電流指令値算出部63で算出されたq軸電流指令値Iqrefが2相/3相変換部27に供給される。
この2相/3相変換部27では、入力されるd軸電流指令値Idref及びq軸電流指令値Iqrefを電気角変換部30から入力される電気角θeに基づいて2相/3相変換して3相モータ電流指令値Iaref、Ibref及びIcrefを算出し、算出したモータ電流指令値Iaref、Ibref及びIcrefをモータ電流制御部28に出力する。
モータ電流制御部28は、電動モータ12の3相コイルに供給されるモータ電流Ia、Ib及びIcを検出するモータ電流検出部70と、2相/3相変換部27から入力されるモータ電流指令値Iaref,Ibref及びIcrefからモータ電流検出部70で検出したモータ電流Ia、Ib及びIcを個別に減算して各相電流偏差ΔIa、ΔIb及びΔIcを求める減算器71a、71b及び71cと、求めた各相電流偏差ΔIa、ΔIb及びΔIcに対して比例積分制御を行って電圧指令値Va、Vb及びVcを算出する電流制御部72と、この電流制御部72から出力される電圧指令値Va、Vb及びVcに基づいてデューティ演算を行って電動モータ12の各相のデューティ比を算出してパルス幅変調(PWM)信号でなるインバータ制御信号を形成するパルス幅変調部73と、このパルス幅変調部73から出力されるインバータ制御信号に基づいて3相モータ電流Ia、Ib及びIcを形成して電動モータ12に出力するインバータ74とを備えている。
次に、コントローラ15での動作をコントローラ15で実行する図13のフローチャートを参照して説明する。
まず、操舵トルクセンサ14からの操舵トルクT、車速センサ16からの車速Vx、回転角センサ17からのモータ回転角θm、ヨーレートセンサ42からのヨーレートγ、横加速度センサ43からの横加速度Gy、操舵角センサ45からの操舵角δを読込む(ステップS21)。次いで、読込んだ操舵トルクT及び車速Vxに基づき図3に示す操舵補助電流指令値算出マップを参照して操舵トルクT及び車速Vxに応じた操舵補助電流指令値Irefを算出し(ステップS22)、回転角センサ17からのモータ回転角θmを微分して電動モータ12のモータ角速度ωmを算出し、算出したモータ角速度ωmを微分してモータ角加速度αmを算出する(ステップS23)。
次いで、操舵トルクT、操舵補助電流指令値Iref、モータ角速度ωm及びモータ角加速度αmをもとに前記(2)式の演算を行ってセルフアライニングトルク検出値SATdを検出し(ステップS24)、算出したセルフアライニングトルク検出値SATdに基づいてセルフアライニングトルク補償値SATcを算出する(ステップS25)。さらに、ヨーレートγ、横加速度Gyをもとに前記(4)式の演算を行って横力Fyを算出し、算出した横力Fyとトレールεnとに基づいて前記(3)式の演算を行うことにより、セルフアライニングトルク推定値SATpを算出する(ステップS26)。
続いて、セルフアライニングトルク検出値SATd及びセルフアライニングトルク推定値SATpの偏差からグリップロス度gを検出し(ステップS27)、次いで、車速Vx及び操舵角δに基づいて前記(6)式及び(7)式の演算を行って規範ヨーレートγ0を算出すると共に、算出した規範ヨーレートγ0と実ヨーレートγとを比較して車両のステア状態がオーバーステアであるかアンダーステアであるかを検出する(ステップS28)。
次いで、ステップS27で算出したグリップロス度g、ステップS28で検出したステア状態及びヨーレートγに基づき図9に示すSAT補償ゲイン演算処理及び図10に示す収斂性補償ゲイン演算処理で算出したSAT補償ゲインKs及び収斂性補償ゲインKdを読込み(ステップS29)、読込んだSAT補償ゲインKsをセルフアライニングトルク補償値SATcに乗算して補正セルフアライニングトルク補償値SATc′を算出する(ステップS30)。
次いで、モータ角速度ωmに基づいてヨーレートの収斂性を補償する収斂性補償値Idを算出すると共に、モータ角加速度αmに基づいて電動モータ12の慣性により発生するトルク相当分を補償して慣性感又は制御応答性の悪化を防止する慣性補償値Iiを算出し(ステップS31)、次いで、算出した収斂性補償値Idに前記ステップS29で読込んだ収斂性補償ゲインKdを乗算して補正収斂性ゲインKd′を算出する(ステップS32)。
そして、補正斂性補償値Id′及び慣性補償値Iiを加算すると共に、補正セルフアライニングトルク補償値SATc′を減算して補償値Icomを算出し(ステップS33)、算出した補償値Icomを操舵補助電流指令値Irefに加算して補償後操舵補助電流指令値Iref′を算出する(ステップS34)。
次いで、算出した補償後操舵補助電流指令値Iref′に基づいてd軸電流指令値Idrefを算出すると共に、q軸電流指令値Iqrefを算出し(ステップS35)、次いでd軸電流指令値Idref及びq軸電流指令値Iqrefを電気角θeに基づいて2相/3相変換して3相モータ電流指令値Iaref、Ibref及びIcrefを算出する(ステップS36)。
次いで、3相モータ電流指令値Iaref、Ibref及びIcrefからモータ電流検出部70で検出したモータ電流Ia、Ib及びIcを減算して電流偏差ΔIa、ΔIb及びΔIcを算出し(ステップS37)、PI電流制御部72で算出した電流偏差ΔIa、ΔIb及びΔIcに対してPI制御処理を行って電圧指令値Va、Vb及びVcを算出し(ステップS38)、算出した電圧指令値Va、Vb及びVcをパルス幅変調してパルス幅変調信号を形成し、形成したパルス幅変調信号をインバータ74に出力する(ステップS39)。
これにより、インバータ74から3相のモータ駆動電流Ia、Ib及びIcが電動モータ12に出力され、電動モータ12が駆動制御されることにより、操舵トルクT及び車速Vxに応じた最適な操舵補助力を発生し、この操舵補助力が減速機11を介してステアリングシャフト2に伝達される。
したがって、図9のSAT補償ゲイン演算処理では、図11に示すように、グリップロス度gが所定値g1未満であるときには、通常操舵状態であると判断して、ステップS3からステップS4に移行し、SAT補償ゲインKsが“1”に設定される。このため、SAT補償ゲインKsが乗算器52でSAT補償部36から出力されるセルフアライニングトルク補償値SATcに乗算されるので、セルフアライニングトルク補償値SATcがそのまま補正セルフアライニングトルク補償値SATc′として減算器37に入力される。
また、図10の収斂性補償ゲイン演算処理では、図12に示すように、グリップロス度gが所定値g2未満であるときには、通常操舵状態であると判断して、ステップS3′からステップS4′に移行し、収斂性補償ゲインKdが“1”に設定される。このため、収斂性補償ゲインKdが乗算器53で収斂性補償部33から出力される収斂性補償値Idに乗算されるので、収斂性補償値Idがそのまま補正収斂性補償値Id′として加算器38に入力される。
このため、通常操舵状態では、指令値補償部22で、通常の補正収斂性補償値Id′、慣性補償値Ii及び補正セルフアライニングトルク補償値SATc′が算出されて、補正収斂性補償値Id′及び慣性補償値Iiが加算されると共に、補正セルフアライニングトルク補償値SATc′が減算されて補償値Icomが算出され、この補償値Icomが操舵補助電流指令値演算部21で算出された操舵補助電流指令値Irefに加算されて操舵状態に最適な指令値補償が行われ、運転者のステアリングホイール1の操舵操作を的確に補助することができる。
この通常操舵状態から、前輪(又は後輪)のグリップ力がグリップ限界を超えてアンダーステア(又はオーバーステア)となって、グリップロス度検出部23で検出されるグリップロス度gが所定値g1以上となると、図9のSAT補償ゲイン演算処理で、ステップS3からステップS5に移行する。このとき、車両のステア状態がアンダーステアである場合には、ステア状態検出部24で|γ|−|γ0|<0となってアンダーステアと判定され、これに応じて論理値“0”のステア状態信号SSが補償ゲイン演算部51に出力される。
このため、図9のSAT補償ゲイン演算処理でステップS5からステップS4に移行して、通常状態と同様にSAT補償ゲインKsが“1”に設定される。
一方、図10の収斂性補償ゲイン演算処理でも、通常操舵状態から、前輪(又は後輪)のグリップ力がグリップ限界を超えてアンダーステア(又はオーバーステア)となって、グリップロス度検出部23で検出されるグリップロス度gが所定値g2以上となると、図10のSAT補償ゲイン演算処理で、ステップS3′からステップS5に移行する。このとき、車両のステア状態がアンダーステアである場合には、ステア状態検出部24で|γ|−|γ0|<0となってアンダーステアと判定され、これに応じて論理値“0”のステア状態信号SSが補償ゲイン演算部51に出力される。
このため、図10のSAT補償ゲイン演算処理で、ステップS5からステップS4′に移行して、収斂性補償ゲインKdが“1”に設定されて、通常状態と同様の操舵補助制御が行われる。
ところが、車両が後輪のグリップ力がグリップ限界を超えてオーバーステアとなると、ステア状態検出部24で|γ|−|γ0|≧0となってオーバーステアと判定され、これに応じて論理値“1”のステア状態信号SSが補償ゲイン演算部51に入力される。
このため、図9のSAT補償ゲイン演算処理では、ステップS5からステップS6に移行して、オーバーステアとなった時点のステップS2で算出したヨーレート変化率Δγを補正開始時ヨーレート変化率Δγ1としてその符号をRAM等の所定記憶領域に記憶すると共に、ステップS1で読込んだヨーレートγを補正開始時ヨーレートγ1としてその符号をRAM等の所定の記憶領域に記憶する。
次いで、ステップS7に移行して、図11に示すSAT補償ゲイン算出マップで大きな傾きの特性線L1を選択してグリップロス度gの増加に応じて“1”から始まって特性線2よりは大きな傾きの増加率で増加するSAT補償ゲインKsが算出され、算出したSAT補償ゲインKsが乗算器52に出力される。
このため、乗算器52で、SAT補償部36で算出されるセルフアライニングトルク補償値SATcに“1”より大きいSAT補償ゲインKsが乗算されるので、乗算器52から出力される補正セルフアライニングトルク補償値SATc′がセルフアライニングトルク補償値SATcより大きな値となり、通常時又はアンダーステア状態よりは操舵反力を大きくするセルフアライニングトルク補償が行われる。
一方、図10の収斂性補償ゲイン演算処理では、ステップS5からステップS6′を経てステップS7′に移行する。このステップS7′では、図12に示す収斂性補償ゲイン算出マップで特性線12に対して小さな傾きの特性線L11を選択し、グリップロス度gの増加に応じて、“1”から始まって特性線12よりは小さな傾きの増加率で増加する収斂性補償ゲインKdが算出され、算出した収斂性補償ゲインKdが乗算器53に出力される。
このため、乗算器53で、収斂性補償部33で算出される収斂性補償値Idに“1”より大きい収斂性補償ゲインKdが乗算されるので、乗算器53から出力される補正収斂性補償値Id′が収斂性補償値Idより大きな値となり、ステアリングホイール1が振れ回る動作に対して、通常時又はアンダーステア状態よりはやや強めのブレーキをかける収斂性補償が行われる。
そして、グリップロス度gが所定値g1及びg2を超えている場合には、セルフアライニングトルク補償及び収斂性補償が同時に行われることになり、慣性補償値Ii及び補正収斂性補償値Id′が加算されると共に、補正セルフアライニングトルク補償値SATc′が減算されて指令補償値Icomが算出され、算出された指令補償値Icomが操舵補助電流指令値演算部21で算出された操舵補助電流指令値Irefに加算されるので、オーバーステア状態となった初期状態で、補正セルフアライニングトルク補償値SATc′による操舵反力の増加と、補正収斂性補償値Id′によるステアリングホイール1の振れ回りに対するブレーキ分の増加とにより、運転者のステアリングホイールの切増し操舵を抑制させることができ、グリップ力が失われることにより車両挙動が不安定となることを抑制することができる。
その後、図9のSAT補償ゲイン演算処理では、ステップS8に移行して、再度ヨーレートセンサ42からヨーレートγを読込んで、これを補正開始後ヨーレートγ2とし、次いでステップS9に移行して補正開始後ヨーレートγ2を微分して補正開始後ヨーレート変化率Δγ2を算出する。
次いで、ステップS10に移行して、所定記憶領域に記憶されている補正開始時ヨーレート変化率Δγ1及びステップS9で算出された補正開始後ヨーレート変化率Δγ2の符号を比較し、両者の符号が一致する場合には、車両のオーバーステアが収束方向に操舵しているものではなく、オーバーステアを強める方向に操舵されているものと判断してステップS11に移行し、オーバーステアとなった時点から所定時間が経過したか否かを判定し、所定時間が経過していないときにはステップS12に移行する。このため、オーバーステアを継続している場合には、補正開始時ヨーレートγ1及び補正開始後ヨーレートγ2の符号が同符号となるので、ステップS7に戻って上記処理を繰り返し、切増し抑制状態を継続する。
また、図10の収斂性補償ゲイン演算処理でも、ステップS8′に移行して、再度ヨーレートセンサ42からヨーレートγを読込んで、これを補正開始後ヨーレートγ5とし、次いでステップS9′に移行して補正開始後ヨーレートγ5を微分して補正開始後ヨーレート変化率Δγ5を算出する。
次いで、ステップS10′に移行して、所定記憶領域に記憶されている補正開始時ヨーレート変化率Δγ4及びステップS9′で算出された補正開始後ヨーレート変化率Δγ5の符号を比較し、両者の符号が一致する場合には、車両のオーバーステアが収束方向に操舵しているものではなく、オーバーステアを強める方向に操舵されているものと判断してステップS11′に移行し、オーバーステアとなった時点から所定時間が経過したか否かを判定し、所定時間が経過していないときにはステップS12′に移行する。このため、オーバーステアを継続している場合には、補正開始時ヨーレートγ4及び補正開始後ヨーレートγ5の符号が同符号となるので、ステップS7′に戻って上記処理を繰り返し、切増し抑制状態を継続する。
その後、グリップロス度gが所定値g1(又はg2)を超え、且つオーバーステアとなった時点から所定時間が経過するか、又は補正開始時ヨーレートγ1(又はγ4)と補正開始後ヨーレートγ2(又はγ5)との符号が異符号となるまで、上記処理が継続され、所定時間が経過するか、又は補正開始時ヨーレートγ1(又はγ4)と補正開始後ヨーレートγ2(又はγ5)との符号が異符号となると、一旦、SAT補償ゲインKs及び収斂性補償ゲインKdが“1”に復帰されるが、その後もグリップロス度gが所定値g1(又はg2)を超え、且つオーバーステアが継続する場合には、図9の処理(又は図10の処理)で再度切増し抑制状態となる。
一方、グリップロス度gが所定値g1(又はg2)を超え、且つオーバーステアとなった状態で、上記切増し抑制状態での切増し状態からヨーレートγの絶対値|γ|が減少する方向すなわちオーバーステアを解消する方向に操舵されるか、オーバーステアを抑制するカウンターステア操作を行うことにより、ヨーレートγの絶対値|γ|が減少する状態となると、ステップS7(又はS7′)で算出される補正開始後ヨーレート変化率Δγ2(又はΔγ5)の符号が反転して、補正開始時ヨーレート変化率Δγ1(又はΔγ4)の符号と異符号となる。
このため、図9のSAT補償ゲイン演算処理でH、ステップS10からステップS13に移行して、図11のSAT補償ゲイン算出マップで特性線L1より傾きの小さい特性線L2を選択し、この特性線L2に従ってグリップロス度gの増加に応じて特性線L1に対して増加率が小さくなるSAT補償ゲインKsを算出して、オーバーステア状態となった直後に対して操舵反力が小さくなるようなセルフアライニングトルク補償が行われる。
一方、図10の収斂性補償ゲイン演算処理では、ステップS13′に移行して、図12の収斂性補償ゲイン算出マップで特性線L11よりは傾きの大きい特性線L12を選択し、この特性線L12に従ってグリップロス度gの増加に応じて増加率が大きくなる収斂性補償ゲインKdが算出され、ステアリングホイール1が振れ回る動作に対して、オーバーステア状態となった直後よりはより強くブレーキをかける収斂性補償が行われる。
このため、セルフアライニングトルク補償によって操舵反力が小さくなり、カウンターステア操作を容易に行うことができると共に、収斂性補償によってステアリングホイール1が振れ回る動作に対するブレーキ分が多くなって収斂性が高くなるので、カウンターステアの操作過多を抑制することができ、安定したカウンターステア操作を行ってオーバーステアを解消させることができる。
このとき、図11のSAT補償ゲイン算出マップにおける特性線L2の傾きを横軸と一致させるとグリップロス度gが所定値g1以上となってもSAT補償ゲインKsが“1”を継続することになり、操舵反力がより減少されて運転者のカウンターステア状態とするステアリングホイール1の操舵をより容易に行うことができる。
さらには、特性線L2の傾きを図11で破線図示の特性線L3のように傾きを負とすることにより、グリップロス度gが所定値g1を超える状態となると、SAT補償ゲインKsが“1”未満の値となり、これを乗算器52によりSAT補償部36で算出されたセルフアライニングトルク補償値SATcに乗算することにより、セルフアライニングトルク補償値SATcが減少補正されることになり、さらに操舵反力が減少されて運転者のカウンターステア状態とするステアリングホイール1の操舵をさらに容易に行うことができる。
同様に、図12の収斂性補償ゲイン算出マップにおける特性線L11の傾きを横軸と一致させるとグリップロス度gが所定値g2以上となっても収斂性補償ゲインKdが“1”を継続することになり、オーバーステア状態でも通常状態と同様の収斂性を確保することができる。
さらには、特性線L11の傾きを図12で破線図示の特性線L13のように傾きを負とすることにより、グリップロス度gが所定値g2を超える状態となると、収斂性補償ゲインKdが“1”未満の値となり、これを乗算器53によって収斂性補償部33で算出された収斂性補償値Idに乗算することにより、収斂性補償値Idが減少補正されることになり、この分操舵補助電流指令値演算部21で算出される操舵補助電流指令値Irefが減少されることになり、電動モータ12で発生する操舵補助力が減少してカウンターステア操作を容易に行うことができる。
そして、上記図9(又は図10)の処理が、所定時間が経過するか、又は補正開始時ヨーレートγ1とステップS14(又はS14′)で読込んだ補正開始後ヨーレートγ3(又はγ6)との符号が異符号となるまで継続され、所定時間が経過するか又は補正開始時ヨーレートγ1とステップS14(又はS14′)で読込んだ補正開始後ヨーレートγ3(又はγ6)との符号が異符号となると、図9のSAT補償ゲイン演算処理でステップS4(又は図10の収斂性補償ゲイン演算処理でステップS4′)に移行して、SAT補償ゲインKs(又は収斂性補償ゲインKd)が“1”に復帰される。
なお、上記説明では、グリップロス度gが所定値g1及びg2を共に超えてセルフアライニングトルク補償及び収斂性補償が同時に行われる場合について説明したが、グリップロス度gが所定値g1及びg2の何れか一方を超え、他方を超えていない場合には、グリップロス度gが所定値g1(又はg2)を下回っている図9(又は図10)処理でステップS4(又はS4′)に移行してSAT補償ゲインKs(又は収斂性補償ゲインKd)を“1”に設定して、通常補償状態を維持する。
また、上記実施形態では、操舵トルクT、アシストトルクTm、電動モータ12の角速度ωm及び角加速度αmに基づいて検出したセルフアライニングトルク検出値SATdと、車両に発生する横力Fyに基づくセルフアライニングトルク推定値SATpとの偏差からグリップロス度gを算出している。ここで、タイヤのグリップ力が失われた場合、これに対するセルフアライニングトルクの応答性は、グリップ力が失われたことに対するヨーレートの応答性に比較して速い。
したがって、セルフアライニングトルクを用いてグリップロス度を算出することによって、ヨーレートを用いてグリップロス度を算出する場合に比較してより早い段階で、グリップロス度の変化を検出することができる。よって、セルフアライニングトルクを用いてグリップロス度を算出することにより、グリップ状況をより高精度に検出することができ、このようにして検出したグリップ状況にしたがって操舵補助電流指令値Irefを補正し、操舵補助力を低減することによって、より的確に操舵補助力を発生させることができ、グリップロス度に応じて切り増しし過ぎることを回避し、グリップ力が失われることにより車両挙動が不安定となることを確実に回避することができ、車両走行安定性を向上させることができる。
また、セルフアライニングトルク補償値SATcを補正することにより、操舵補助電流指令値を直接補正する場合に比較して、運転者にリニアな反力感を伝えることができる。
また、上述のようにグリップロス度gが所定値g1未満である場合には、SAT補償ゲインKsが“1”に設定されてセルフアライニングトルク補償値SATcの補正は行わないと共に、グリップロス度gが所定値g2未満である場合には、収斂性補償ゲインKdが“1”に設定されて収斂性補償値Idの補正は行わないので、グリップロスが発生していないか比較的グリップロスが小さく悪影響を及ぼすことのない状況であるにも関わらず操舵補助力が抑制され、十分な操舵補助力を発生されないことに起因して運転者に違和感を与えることを抑制することができる。
ここで、操舵トルクセンサ14が操舵トルク検出手段に対応し、図12の処理が制御手段に対応し、このうちステップS22の処理が電流指令値演算部に対応し、ステップS24の処理がSAT検出部35(セルフアライニングトルク検出手段)に対応し、ステップS25の処理がSAT補償部36(セルフアライニングトルク補償手段)に対応し、ステップS26の処理がSAT推定部41に対応し、ステップS27の処理がグリップロス度検出部(グリップロス度検出手段)に対応し、ステップS28の処理がステア状態検出部24(ステア状態検出手段)に対応し、ステップS29、S30及びS32の処理が補償値補正部(補償値補正手段)に対応し、ステップS24、S25、S31、S33及びS34の処理が指令値補償部22に対応し、ステップS35の処理がd−q軸電流指令値演算部26に対応し、ステップS36の処理が2相/3相変換部27に対応し、ステップS37の処理が減算器71a〜71cに対応し、ステップS38の処理がPI電流制御部72に対応し、ステップS39の処理がパルス幅変調部73に対応している。
なお、上記実施形態においては、SAT補償ゲイン算出マップにおける所定値g1及び収斂性補償ゲイン算出マップにおける所定値g2が異なる値である場合について説明したが、これに限定されるものではなく、所定値g1及びg2を同一の値に設定しても良く、また特性線L1,L2及びL11,L12は線形に限らず非線形に設定することもできる。さらに、特性線L2及びL11はグリップロス度gが所定値g1及びg2を超えたときにSAT補償ゲインKs及び収斂性補償ゲインKdをグリップロス度gの増加に応じて増加させるのではなく、SAT補償ゲインKs及び収斂性補償ゲインKdを“1”に維持したり、図11及び図12で破線図示の特性線L3及びL13で示すように、SAT補償ゲインKs及び収斂性補償ゲインKdをグリップロス度gの増加に応じて“1”より減少させたりしてもよい。
また、上記実施形態においては、補償ゲイン演算部51で、ヨーレートγ、グリップロス度g及びステア状態信号SSに基づいてSAT補償ゲインKs及び収斂性補償ゲインKdを演算する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、SAT補償ゲインKs及び収斂性補償ゲインKdの何れか一方を省略するようにしてもよい。
さらに、上記実施形態では、補償ゲイン演算部51で算出した補償ゲインでセルフアライニングトルク補償値SATc及び収斂性補償値Idを補正する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、補償ゲイン演算部51で算出した補償ゲインで操舵補助電流指令値Irefを直接補償するようにしてもよい。
さらにまた、上記実施形態においては、車両の横加速度Gyを横加速度センサ43で検出する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、ステアリング機構SMの操舵角と車速Vxとに基づいて横加速度Gyを推定するようにしてもよい。
なおさらに、上記実施形態においては、ヨーレートγ、横加速度Gy及び車両運動モデルに基づいて横力Fyを推定し、この横力Fyに基づいて実際に車両に作用するセルフアライニングトルクを推定する場合について説明したが、ハブ等に横力センサを設け、この横力センサで直接横力を検出し、これを用いてセルフアライニングトルク推定値SATpを算出してもよい。
また、横力Fyを用いずに、水平面における車両運動モデルと、車速Vx及び操舵角δとを用いてセルフアライニングトルクを推定してもよい。
つまり、ヨーレートγとスリップ角βと車速Vxと操舵角δとの関係は、次式(8)及び(9)で表すことができる。
mVx・(dβ/dt)
=−[mVx+[(Kf・Lf−Kr・Lr)/Vx]]・γ−(Kf+Kr)・β+Kf・δ/n
……(8)
I・(dγ/dt)
=−[(Kf・Lf2+Kr・Lr2)/Vx]・γ+(−Kf・Lf+Kr・Lr)・β
+Kf・Lf・δ/n
……(9)
なお、(8)及び(9)式中の、mは車両重量、Iは車両重心を通るZ軸回りの慣性モーメント、Lはホイールベース(L=Lf+Lr)、Lf,Lrは、前,後車軸から重心までの水平距離、Kf,Krは、前,後タイヤのコーナリングパワー、nはオーバーオールステアリングギア比、δ/nは前輪実舵角、βは車体重心のスリップ角、Vxは車速、γはヨーレートである。
セルフアライニングトルクはヨーレートγとスリップ角βの関数として表すことができることから、ヨーレートγとスリップ角βとを車速Vxと操舵角δとの関数として整理すれば、セルフアライニングトルク推定値SATpを求めることができる。車速Vxと操舵角δよりセルフアライニングトルク推定値SATpを求めると、図14に示すようになる。この特性は実験によって車両毎の特性値を測定してから、車両運動モデルを用いてシミュレーションによって作成してもよい。
したがって、この場合には、図15に示すように、車速センサ(車速検出手段)21で検出した車速Vxと、図示しない操舵角センサ(操舵角検出手段)で検出した操舵角δとをSAT推定部41に入力し、このSAT推定部41で、図14の特性図にしたがってセルフアライニングトルク推定値SATpを算出すればよい。
さらに、上記実施形態においては、モータ角速度ωm、モータ角加速度αm、操舵トルクT及び操舵補助電流指令値Irefに基づいてセルフアライニングトルクSATを推定する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、操舵補助電流指令値Irefに代えて、モータ電流検出部70で検出したモータ電流Ia〜Icを3相/2相変換してq軸電流Iqを算出し、このq軸電流Iqとモータ角加速度αmとに基づいて下記(10)式の演算を行って算出したモータアシストトルクTmaを適用するようにしてもよい。
Tma= Kt・Iq−Jm・α m ……(10)
ここで、Ktはモータのトルク定数、Jmはモータのロータ部の慣性モーメントである。
この他、電動モータ12の出力軸、減速機11の入出力軸等のトルク伝達軸に磁歪式トルクセンサなどのトルクセンサを配設し、このトルクセンサで検出したモータアシストトルクTmaを適用するようにしてもよい。
さらにまた、上記実施形態においては、ステアリングシャフト2に減速機11を介して電動モータ12を連結したコラム形式の電動パワーステアリング装置に本発明を適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、ステアリングギヤ機構8に減速機を介して電動モータを連結するピニオン形式の電動パワーステアリング装置やラック軸に減速機を介して電動モータを連結するラック形式の電動パワーステアリング装置にも本発明を適用することができる。
なおさらに、上記実施形態においては、本発明をブラシレスモータに適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、ブラシ付きモータに適用する場合には、図16に示すように、角速度演算部31でモータ電流検出部70から出力されるモータ電流検出値Im及び端子電圧検出部90から出力されるモータ端子電圧Vmに基づいて下記(11)式の演算を行ってモータ角速度ωmを算出すると共に、d−q軸電流指令値演算部26を省略して補償後操舵補助電流指令値Iref′を直接モータ電流制御部28に供給し、さらにモータ電流制御部28を夫々1つの減算部71、電流制御部72、パルス幅変調部73とインバータ74に代えたHブリッジ回路91で構成すればよい。
ωm=(Vm−Im・Rm)/K0 …………(11)
ここで、Rmはモータ巻線抵抗、K0はモータの起電力定数である。
本発明を適用した電動パワーステアリング装置の概略構成を示す図である。 コントローラの具体的構成を示すブロック図である。 コントローラの操舵補助電流指令値演算部で使用する操舵補助電流指令値算出マップを示す特性線図である。 セルフアライニングトルクの説明に供する模式図である。 タイヤの進行方向とスリップ角によるセルフアライニングトルク及び横力の関係を示す図である。 横力の着力点とトレールとの関係を示す図である。 スリップ角の変化に対する、横力及びセルフアライニングトルクの変化を示すグラフである。 セルフアライニングトルク検出値SATdとセルフアライニングトルク推定値SATpとの関係を表すグラフである。 補償ゲイン演算部で実行するSAT補償ゲイン演算処理の一例を示すフローチャートである。 補償ゲイン演算部で実行する収斂性補償ゲイン演算処理の一例を示すフローチャートである。 補償ゲイン演算部で使用するSAT補償ゲイン算出マップを示す特性線図である。 補償ゲイン演算部で使用する収斂性補償ゲイン算出マップを示す特性線図である。 コントローラの処理手順の一例を示すフローチャートである。 操舵角δとセルフアライニングトルクの推定値SATとの関係を表す特性図である。 本発明におけるコントロールユニットのその他の例を示すブロック図である。 ブラシ付きモータを適用した場合の実施形態を示すブロック図である。
符号の説明
1 ステアリングホイール
2 ステアリングシャフト
12 電動モータ
14 操舵トルクセンサ
15 コントローラ
16 車速センサ
17 回転角センサ
21 操舵補助電流指令値演算部
22 指令値補償部
23 グリップロス検出部
24 ステア状態検出部
25 補償値補正部
26 d−q軸電流指令値演算部
27 モータ電流制御部
33 収斂性補償部
34 慣性補償部
35 SAT検出部
36 SAT補償部
41 SAT推定部
42 ヨーレートセンサ
43 横加速度センサ
44 横力検出部
45 操舵角センサ
51 補償ゲイン演算部
52 乗算器
53 乗算器

Claims (7)

  1. 転舵輪を転舵するステアリング機構に入力される操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段と、前記ステアリング機構に操舵補助力を付与する電動モータと、前記操舵トルクに基づいて操舵補助電流指令値を演算し、演算した操舵補助電流指令値に基づいて前記電動モータを制御する制御手段とを有する電動パワーステアリング装置であって、
    車両のステア状態を検出するステア状態検出手段と、タイヤのグリップ力が失われた度合を表すグリップロス度を検出するグリップロス度検出手段と、前記操舵補助電流指令値に対してステアリング特性を補償する指令値補償手段と、前記ステア状態検出手段で検出したステア状態と前記グリップロス度検出手段で検出したグリップロス度とに基づいて前記指令値補償手段のステアリング特性補償値を補正する補償値補正手段とを備えたことを特徴とする電動パワーステアリング装置。
  2. 前記補償値補正手段は、前記ステア状態がオーバーステアであって且つ前記グリップロス度が所定値以上であるときに、グリップロス度に応じてステアリング特性補償値を補正するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の電動パワーステアリング装置。
  3. 前記指令値補償手段は、前記転舵輪側に発生するセルフアライニングトルクを検出するセルフアライニングトルク検出手段と、該セルフアライニングトルク検出手段で検出したセルフアライニングトルク検出値に基づいて前記操舵補助電流指令値に対してセルフアライニングトルク補償を行うセルフアライニングトルク補償手段とを少なくとも有し、前記補償値補正手段は、前記ステア状態がオーバーステアであって且つ前記グリップロス度が所定値以上であるときに、グリップロス度に応じて前記セルフアライニングトルク補償手段のセルフアライニングトルク補償値を補正するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の電動パワーステアリング装置。
  4. 前記指令値補償手段は、車両のヨーレートの収斂性を補償する収斂性補償手段を少なくとも有し、前記補償値補正手段は、前記ステア状態がオーバーステアであって且つ前記グリップロス度が所定値以上であるときに、グリップロス度に応じて前記収斂性補償手段の収斂性補償値を補正するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の電動パワーステアリング装置。
  5. 前記指令値補償手段は、車両のヨーレートの収斂性を補償する収斂性補償手段と、前記転舵輪側に発生するセルフアライニングトルクを検出するセルフアライニングトルク検出手段と、該セルフアライニングトルク検出手段で検出したセルフアライニングトルク検出値に基づいて前記操舵補助電流指令値に対してセルフアライニングトルク補償を行うセルフアライニングトルク補償手段とを少なくとも有し、前記補償値補正手段は、前記ステア状態がオーバーステアであって且つ前記グリップロス度が所定値以上であるときに、グリップロス度に応じて前記収斂性補償手段の収斂性補償値を補正すると共に、前記セルフアライニングトルク補償手段のセルフアライニングトルク補償値を補正するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の電動パワーステアリング装置。
  6. 車両のヨーレートを検出するヨーレート検出手段を備え、前記補償値補正手段は、前記ステア状態がオーバーステアであって且つ前記グリップロス度が所定値以上であるときに、前記ヨーレート検出手段で検出したヨーレートの変化率に基づいて前記ステアリング特性補償値の補正態様を変更するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の電動パワーステアリング装置。
  7. 前記転舵輪側に発生するセルフアライニングトルクを検出するセルフアライニングトルク検出手段と、車両の横力を検出する横力検出手段と、該横力検出手段で検出した横力に基づいてセルフアライニングトルクを推定するセルフアライニングトルク推定手段とを備え、前記グリップロス度検出手段は、前記セルフアライニングトルク検出手段で検出したセルフアライニングトルク検出値と、前記セルフアライニングトルク推定手段で推定したセルフアライニングトルク推定値とに基づいてグリップロス度を検出するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の電動パワーステアリング装置。
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