JP2009090857A - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】車両のステア状態がアンダーステア及びオーバーステアの何れであっても操舵の切り過ぎを防止すると共に、オーバーステア状態におけるカウンターステア操作を容易にし、車両挙動の安定性を向上させる。
【解決手段】路面側から伝達されるセルフアライニングトルクをSAT検出手段35で検出すると共に、検出したセルフアライニングトルク検出値SATdに基づいて操舵補助電流指令値に対するセルフアライニングトルク補償値SATcを算出し、さらにタイヤのグリップが失われた度合を表すグリップロス度をグリップロス度検出手段23で検出すると共に、ヨーレートをヨーレート検出手段42で検出し、検出したヨーレート、セルフアライニングトルク検出値及びグリップロス度に基づいて補償値補正手段24でセルフアライニングトルク補償値SATcを補正する。
【選択図】図2
【解決手段】路面側から伝達されるセルフアライニングトルクをSAT検出手段35で検出すると共に、検出したセルフアライニングトルク検出値SATdに基づいて操舵補助電流指令値に対するセルフアライニングトルク補償値SATcを算出し、さらにタイヤのグリップが失われた度合を表すグリップロス度をグリップロス度検出手段23で検出すると共に、ヨーレートをヨーレート検出手段42で検出し、検出したヨーレート、セルフアライニングトルク検出値及びグリップロス度に基づいて補償値補正手段24でセルフアライニングトルク補償値SATcを補正する。
【選択図】図2
Description
本発明は、転舵輪を転舵するステアリング機構に対し、電動モータにより操舵補助力を付与するようにした電動パワーステアリング装置に関し、特に、タイヤのグリップ力が失われた場合であっても、車両挙動を安定させることの可能な電動パワーステアリング装置に関する。
従来、ステアリング装置として、運転者がステアリングホイールを操舵する際に発生する操舵トルクに応じて電動モータを駆動することにより、ステアリング機構に操舵補助力を与える電動パワーステアリング装置が普及している。
また、このような電動パワーステアリング装置において、操舵性能の向上やコーナリング時の車両の挙動を安定させるために、車両に取り付けられた車輪を中立に戻そうとするトルクであるセルフアライニングトルクを求めて操舵制御に用いたもの、さらにタイヤのグリップ状態を考慮して操舵制御を行うようにしたもの等も提案されている。
また、このような電動パワーステアリング装置において、操舵性能の向上やコーナリング時の車両の挙動を安定させるために、車両に取り付けられた車輪を中立に戻そうとするトルクであるセルフアライニングトルクを求めて操舵制御に用いたもの、さらにタイヤのグリップ状態を考慮して操舵制御を行うようにしたもの等も提案されている。
このタイヤのグリップ状態を算出する方法としては、例えば規範ヨーレートと実ヨーレートとの偏差をタイヤのグリップ状態相当の値として用いた反力装置の制御方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、アンダーステア時にヨーレートの変化率に応じて操舵力を重くさせる車両の操舵反力制御装置も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2006−264392号公報
特許第2894006号公報
しかしながら、上述のように、規範ヨーレートと実ヨーレートとの偏差をグリップ状態相当の値として用いた場合、これらヨーレートの偏差は、グリップ状態を表すものの、実際のグリップ状態との誤差は比較的大きく、正確なタイヤのグリップ力を検出することはできず、例えば急激な切り増し・切り戻しを行う場合やUターン等の低速で大旋回する場合に、タイヤのグリップ力が十分であるのにもかかわらず、補正制御がオン状態になってしまい、運転者に違和感を与えてしまうという未解決の課題がある。
また、オーバーステア時に操舵力を重くさせる場合、オーバーステア初期時に操舵の切り過ぎを防止してオーバーステア初期挙動を抑制することに対して効果はあるが、オーバーステア発生後にセルフアライニングトルク及び運転者によってオーバーステア挙動を安定させるために操作される所謂カウンターステア時においても、操舵力を重くして操舵反力を感じさせてしまうこととなり、カウンターステア操作を困難にさせてしまうという未解決の課題がある。
そこで、本発明は上記従来の未解決の課題に着目してなされたものであり、車両のステア状態がアンダーステア及びオーバーステアの何れであっても操舵の切り過ぎを防止すると共に、オーバーステア状態におけるカウンターステア操作を容易にし、車両挙動の安定性を向上させることができる電動パワーステアリング装置を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る電動パワーステアリング装置は、転舵輪を転舵するステアリング機構に入力される操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段と、前記ステアリング機構に操舵補助力を付与する電動モータと、前記操舵トルクに基づいて操舵補助電流指令値を演算し、演算した操舵補助電流指令値に基づいて前記電動モータを制御する制御手段とを有する電動パワーステアリング装置であって、車両のヨーレートを検出するヨーレート検出手段と、タイヤのグリップ力が失われた度合を表すグリップロス度を検出するグリップロス度検出手段と、前記転舵輪側から前記ステアリング機構に入力されるセルフアライニングトルクを検出するセルフアライニングトルク検出手段と、該セルフアライニングトルク検出手段で検出したセルフアライニングトルク検出値に基づいて前記操舵補助電流指令値に対してセルフアライニングトルク補償を行うセルフアライニングトルク補償手段と、前記ヨーレート検出手段で検出したヨーレートと前記セルフアライニングトルク検出手段で検出したセルフアライニングトルク検出値と前記グリップロス度検出手段で検出したグリップロス度とに基づいて前記セルフアライニングトルク補償手段のセルフアライニングトルク補償値を補正する補償値補正手段とを備えたことを特徴としている。
また、請求項2に係る電動パワーステアリング装置は、請求項1に係る発明において、前記補償値補正手段は、前記グリップロス度が所定値以上であるときに、前記ヨーレートの方向と前記セルフアライニングトルクの方向とに基づいて前記セルフアライニングトルク補償値に対する補正態様を変更するように構成されていることを特徴としている。
さらに、請求項3に係る電動パワーステアリング装置は、請求項1に係る発明において、前記補償値補正手段は、前記グリップロス度が所定値以上である場合に、前記ヨーレートの方向と前記セルフアライニングトルクの方向が不一致であるとき、グリップロス度に応じてセルフアライニングトルク補償値を増加補正するように構成されていることを特徴としている。
さらに、請求項3に係る電動パワーステアリング装置は、請求項1に係る発明において、前記補償値補正手段は、前記グリップロス度が所定値以上である場合に、前記ヨーレートの方向と前記セルフアライニングトルクの方向が不一致であるとき、グリップロス度に応じてセルフアライニングトルク補償値を増加補正するように構成されていることを特徴としている。
さらにまた、請求項4に係る電動パワーステアリング装置は、請求項1又は3に係る発明において、前記補償値補正手段は、前記グリップロス度が所定値以上である場合に、前記ヨーレートの方向と前記セルフアライニングトルクの方向が一致するとき、グリップロス度に応じてセルフアライニングトルク補償値を減少補正するように構成されていることを特徴としている。
なおさらに、請求項5に係る電動パワーステアリング装置は、請求項1乃至4の何れか1つに係る発明において、車両の横力を検出する横力検出手段と、該横力検出手段で検出した横力に基づいてセルフアライニングトルクを推定するセルフアライニングトルク推定手段とを備え、前記グリップロス度検出手段は、前記セルフアライニングトルク検出手段で検出したセルフアライニングトルク検出値と、前記セルフアライニングトルク推定手段で推定したセルフアライニングトルク推定値とに基づいてグリップロス度を検出するように構成されていることを特徴としている。
本発明に係る電動パワーステアリング装置によれば、操舵トルクに基づき算出した電動モータの電流指令値をセルフアライニングトルク補償するセルフアライニングトルク補償手段のセルフアライニングトルク補償値を、ヨーレート、セルフアライニングトルク検出値及びタイヤのグリップロス度に基づいて補正し、補正して得た操舵補助指令値に基づいて電動モータを駆動制御するので、操舵補助指令値を直接補正する場合に比較して、運転者にリニアな反力感を伝えることができるという効果が得られる。
また、セルフアライニングトルク検出値の方向とヨーレートの方向とを比較すると共に、グリップロス度が所定値以上であるか否かを判定することにより、通常操舵状態、アンダーステア又はオーバーステア状態、オーバーステア状態におけるカウンターステア状態を判別することができ、各操舵状態に応じて最適な補償制御を行うことができるという効果が得られる。
さらに、車両のステア状態にかかわらず、タイヤのグリップ力が限界に近づいて、グリップロス度が所定範囲以上になったときに、セルフアライニングトルク補償値を増加補正することにより、操舵反力を増加させて運転者の切増し操舵を抑制することができるという効果が得られる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態を示す全体構成図であって、図中、SMはステアリング機構である。このステアリング機構SMは、ステアリングホイール1に運転者から作用される操舵力が伝達される入力軸2aとこの入力軸2aに図示しないトーションバーを介して連結された出力軸2bとを有するステアリングシャフト2を備えている。このステアリングシャフト2は、ステアリングコラム3に回転自在に内装され、入力軸2aの一端がステアリングホイール1に連結され、他端は図示しないトーションバーに連結されている。
図1は、本発明の一実施形態を示す全体構成図であって、図中、SMはステアリング機構である。このステアリング機構SMは、ステアリングホイール1に運転者から作用される操舵力が伝達される入力軸2aとこの入力軸2aに図示しないトーションバーを介して連結された出力軸2bとを有するステアリングシャフト2を備えている。このステアリングシャフト2は、ステアリングコラム3に回転自在に内装され、入力軸2aの一端がステアリングホイール1に連結され、他端は図示しないトーションバーに連結されている。
そして、出力軸2bに伝達された操舵力は、2つのヨーク4a,4bとこれらを連結する十字連結部4cとで構成されるユニバーサルジョイント4を介して中間シャフト5に伝達され、さらに、2つのヨーク6a,6bとこれらを連結する十字連結部6cとで構成されるユニバーサルジョイント6を介してピニオンシャフト7に伝達される。
このピニオンシャフト7に伝達された操舵力はステアリングギヤ機構8を介して左右のタイロッド9に伝達され、これらタイロッド9によって左右の転舵輪WL,WRを転舵させる。ここで、ステアリングギヤ機構8は、ギヤハウジング8a内に、ピニオンシャフト7に連結されたピニオン8bとこのピニオン8bに噛合するラック軸8cとを有するラックアンドピニオン形式に構成され、ピニオン8bに伝達された回転運動をラック軸8cで車幅方向の直進運動に変換して、タイロッド9に伝達する。
このピニオンシャフト7に伝達された操舵力はステアリングギヤ機構8を介して左右のタイロッド9に伝達され、これらタイロッド9によって左右の転舵輪WL,WRを転舵させる。ここで、ステアリングギヤ機構8は、ギヤハウジング8a内に、ピニオンシャフト7に連結されたピニオン8bとこのピニオン8bに噛合するラック軸8cとを有するラックアンドピニオン形式に構成され、ピニオン8bに伝達された回転運動をラック軸8cで車幅方向の直進運動に変換して、タイロッド9に伝達する。
ステアリングシャフト2の出力軸2bには、操舵補助力を出力軸2bに伝達する操舵補助機構10が連結されている。この操舵補助機構10は、出力軸2bに連結した減速ギヤ11と、この減速ギヤ11に連結された操舵補助力を発生する例えばブラシレスモータで構成される電動モータ12とを備えている。
また、減速ギヤ11のステアリングホイール1側に連接されたハウジング13内に操舵トルクセンサ14が配設されている。この操舵トルクセンサ14は、ステアリングホイール1に付与されて入力軸2aに伝達された操舵トルクを検出するもので、例えば、操舵トルクを入力軸2a及び出力軸2b間に介挿した図示しないトーションバーの捩れ角変位に変換し、この捩れ角変位を磁気変化や抵抗変化として検出し、それを電気信号に変換するように構成されている。
また、減速ギヤ11のステアリングホイール1側に連接されたハウジング13内に操舵トルクセンサ14が配設されている。この操舵トルクセンサ14は、ステアリングホイール1に付与されて入力軸2aに伝達された操舵トルクを検出するもので、例えば、操舵トルクを入力軸2a及び出力軸2b間に介挿した図示しないトーションバーの捩れ角変位に変換し、この捩れ角変位を磁気変化や抵抗変化として検出し、それを電気信号に変換するように構成されている。
そして、操舵トルクセンサ14から出力される操舵トルク検出値Tは、図2に示すように、例えばマイクロコンピュータで構成されるコントローラ15に入力される。このコントローラ15には、トルク検出値Tの他に車速センサ16で検出した車速検出値Vx、電動モータ12に流れるモータ電流Ia〜Ic及びレゾルバ、エンコーダ等で構成される回転角センサ17で検出した電動モータ12の回転角θmも入力されている。
このコントローラ15では、入力されるトルク検出値T及び車速検出値Vxに応じた操舵補助力を電動モータ12で発生させる操舵補助電流指令値Irefを算出し、算出した操舵補助電流指令値Irefに対して回転角θmに基づいて算出するモータ角速度ωm及びモータ角加速度αmに基づいて収斂性補償、慣性補償、セルフアライニングトルク補償等各種補償処理を行ってからd−q軸指令値に変換し、これらd−q軸指令値を2相/3相変換してモータ電流指令値Iaref〜Icrefを算出し、算出したモータ電流指令値Iaref〜Icrefに基づいて電動モータ12に供給する駆動電流をフィードバック制御処理してから電動モータ12を駆動制御するモータ電流Ia〜Icを出力する。
すなわち、コントローラ15は、操舵トルクT及び車速Vxに基づいて操舵補助電流指令値Irefを演算する操舵補助電流指令値演算部21と、この操舵補助電流指令値演算部21で算出した操舵補助電流指令値Irefを補償する指令値補償部22と、タイヤのグリップが失われた度合を表すグリップロス度を検出するグリップロス度検出手段としてのグリップロス度検出部23と、このグリップロス度検出部23で検出したグリップロス度に基づいて指令値補償部22のセルフアライニングトルク補償値を補正する補償値補正手段としての補償値補正部24と、指令値補償部22で補償した補償後操舵補助電流指令値Iref′に基づいてd−q軸電流指令値を算出するd−q軸電流指令値演算部25と、このd−q軸電流指令値演算部25から出力されるd−q軸指令値を2相/3相変換してモータ電流指令値Iaref〜Icrefを算出する2相/3相変換部26と、この2相/3相変換部26から出力されるモータ電流指令値Iaref〜Icrefに基づいてモータ電流Ia〜Icを生成するモータ電流制御部27とで構成されている。
操舵補助電流指令値演算部21は、操舵トルクT及び車速Vxをもとに図3に示す操舵補助電流指令値算出マップを参照して電流指令値でなる操舵補助電流指令値Irefを算出する。
この操舵補助電流指令値算出マップは、図3に示すように、横軸に操舵トルクTをとり、縦軸に操舵補助電流指令値Irefをとると共に、車速Vxをパラメータとした放物線状の曲線で表される特性線図で構成され、操舵トルクTが"0"からその近傍の設定値Ts1までの間は操舵補助電流指令値Irefが"0"を維持し、操舵トルクTが設定値Ts1を超えると最初は操舵補助指令値Irefが操舵トルクTの増加に対して比較的緩やかに増加するが、さらに操舵トルクTが増加すると、その増加に対して操舵補助電流指令値Irefが急峻に増加するように設定され、この特性曲線が車速の増加に従って傾きが小さくなるように設定されている。
この操舵補助電流指令値算出マップは、図3に示すように、横軸に操舵トルクTをとり、縦軸に操舵補助電流指令値Irefをとると共に、車速Vxをパラメータとした放物線状の曲線で表される特性線図で構成され、操舵トルクTが"0"からその近傍の設定値Ts1までの間は操舵補助電流指令値Irefが"0"を維持し、操舵トルクTが設定値Ts1を超えると最初は操舵補助指令値Irefが操舵トルクTの増加に対して比較的緩やかに増加するが、さらに操舵トルクTが増加すると、その増加に対して操舵補助電流指令値Irefが急峻に増加するように設定され、この特性曲線が車速の増加に従って傾きが小さくなるように設定されている。
指令値補償部22は、回転角センサ17で検出されるモータ回転角θmを微分してモータ角速度ωmを算出する角速度演算部31と、この角速度演算部31で算出されたモータ角速度ωmを微分してモータ角加速度αmを算出する角加速度演算部32と、角速度演算部31で算出されたモータ角速度ωmに基づいてヨーレートの収斂性を補償する収斂性補償部33と、角加速度演算部32で算出されたモータ角加速度αmに基づいて電動モータ12の慣性により発生するトルク相当分を補償して慣性感又は制御応答性の悪化を防止する慣性補償部34と、セルフアライニングトルク(SAT)を検出するSAT検出部35と、このSAT検出部35で検出したセルフアライニングトルクに基づいてセルフアライニングトルク補償を行うセルフアライニングトルク補償値SATcを算出するSAT補償部36とを備えている。
ここで、収斂性補償部33は、車速センサ16で検出した車速Vx及び角速度演算部31で算出されたモータ角速度ωmが入力され、車両のヨーの収斂性を改善するためにステアリングホイール1が振れ回る動作に対して、ブレーキをかけるように、モータ角速度ωmに車速Vxに応じて変更される収斂性制御ゲインKvを乗じて収斂性補償値Icを算出する。
また、SAT検出部35は、操舵トルクT、角速度ωm、角加速度αm及び操舵補助電流指令値演算部21で算出した操舵補助電流指令値Irefが入力され、これらに基づいてセルフアライニングトルクSATを演算する。
このセルフアライニングトルクSATを算出する原理は、路面からステアリングまでの間に発生するトルクの様子を図4に示して説明する。すなわち、ドライバがステアリングホイール1を操舵することによって操舵トルクTが発生し、その操舵トルクTに従って電動モータ12がアシストトルクTmを発生する。その結果、車輪Wが転舵され、反力としてセルフアライニングトルクSATが発生する。また、その際、電動モータ12の慣性J及び摩擦(静摩擦)Frによってステアリングホイール1の操舵の抵抗となるトルクが生じる。これらの力の釣り合いを考えると、下記(1)式のような運動方程式が得られる。
このセルフアライニングトルクSATを算出する原理は、路面からステアリングまでの間に発生するトルクの様子を図4に示して説明する。すなわち、ドライバがステアリングホイール1を操舵することによって操舵トルクTが発生し、その操舵トルクTに従って電動モータ12がアシストトルクTmを発生する。その結果、車輪Wが転舵され、反力としてセルフアライニングトルクSATが発生する。また、その際、電動モータ12の慣性J及び摩擦(静摩擦)Frによってステアリングホイール1の操舵の抵抗となるトルクが生じる。これらの力の釣り合いを考えると、下記(1)式のような運動方程式が得られる。
J・αm+ Fr・sign(ωm) + SAT = Tm + T …(1)
ここで、上記(1)式を初期値ゼロとしてラプラス変換し、セルフアライニングトルクSATについて解くと下記(2)式が得られる。
SAT(s) = Tm(s) + T(s) − J・αm(s) − Fr・sign(ωm(s)) …(2)
上記(2)式から分かるように、電動モータ12の慣性J及び静摩擦Frを定数として予め求めておくことで、モータ角速度ωm、回転角加速度αm、アシストトルクTm及び操舵トルクTよりセルフアライニングトルクSATを検出することができ、このセルフアライニングトルク検出値をSATdとする。ここで、アシストトルクTmは操舵補助電流指令値Irefに比例するので、アシストトルクTmに代えて操舵補助電流指令値Irefを適用する。
ここで、上記(1)式を初期値ゼロとしてラプラス変換し、セルフアライニングトルクSATについて解くと下記(2)式が得られる。
SAT(s) = Tm(s) + T(s) − J・αm(s) − Fr・sign(ωm(s)) …(2)
上記(2)式から分かるように、電動モータ12の慣性J及び静摩擦Frを定数として予め求めておくことで、モータ角速度ωm、回転角加速度αm、アシストトルクTm及び操舵トルクTよりセルフアライニングトルクSATを検出することができ、このセルフアライニングトルク検出値をSATdとする。ここで、アシストトルクTmは操舵補助電流指令値Irefに比例するので、アシストトルクTmに代えて操舵補助電流指令値Irefを適用する。
そして、慣性補償部34で算出された慣性補償値IiとSAT補償部36で算出されたセルフアライニングトルク補償値SATcを後述する補償値補正部24で補正した補正セルフアライニングトルク補償値SATc′とが加算器37で加算され、この加算器37の加算出力と収斂性補償部33で算出された収斂性補償値Icとが加算器38で加算されて指令補償値Icomが算出され、この指令補償値Icomが操舵補助電流指令値演算部21から出力される操舵補助電流指令値Irefに加算器39で加算されて補償後電流指令値Iref′が算出され、この補償後電流指令値Iref′がd−q軸電流指令値演算部25に出力される。
また、グリップロス度検出部23は、前述した指令値補償部22のSAT検出部35から入力されるセルフアライニングトルク検出値SATdとセルフアライニングトルクを推定するSAT推定部41から入力されるセルフアライニングトルク推定値SATpとに基づいてタイヤのグリップが失われた度合を表すグリップロス度を算出する。
ここで、SAT推定部41でセルフアライニングトルク推定値SATpを推定する原理は、以下の通りである。
ここで、SAT推定部41でセルフアライニングトルク推定値SATpを推定する原理は、以下の通りである。
タイヤが横滑りしながら転動する車両運動の様子をモデル化したものを、図5及び図6に示す。
図5では、タイヤが接地面全体において発生する横力はトレッド部の横方向への変形面積(斜線部)となり、セルフアライニングトルクSATがスリップ角を減少させる方向に働く様子を示している。また、図6は、横力の着力点(接地面の中心点)がタイヤの中心線より後方にあることを示している。そして、ニューマチックトレールとキャスタトレールとの加算値がトレールとなる。
図5では、タイヤが接地面全体において発生する横力はトレッド部の横方向への変形面積(斜線部)となり、セルフアライニングトルクSATがスリップ角を減少させる方向に働く様子を示している。また、図6は、横力の着力点(接地面の中心点)がタイヤの中心線より後方にあることを示している。そして、ニューマチックトレールとキャスタトレールとの加算値がトレールとなる。
図5及び図6より、セルフアライニングトルクSATは横力Fyとトレールとの積(横力Fy×トレール)であることがわかる。すなわち、トレールをεnとすると、セルフアライニングトルクSATは次式(3)で算出することができる。なお、この(3)式で算出されるセルフアライニングトルクを、セルフアライニングトルクの推定値SATpとする。
SATp=εn・Fy ……(3)
なお、重心から後輪までの距離をL2(固定値)、車両重量をm、横加速度をGy、車両慣性モーメントをMo、ヨーレートγの微分値をdγ/dt、ホイールベースをLとしたとき、横力Fyは次式(4)により算出することができる。
Fy=(L2・m・Gy+Mo・dγ/dt)/L ……(4)
一方、図7は横力FyとセルフアライニングトルクSATの特性をスリップ角に対して示す特性図であり、横力FyとSATとはスリップ角に対して非線形な特性となっている。そして、SATは横力Fy×トレールεnであり、キャスタトレールは固定値であることから、セルフアライニングトルクSATの横力Fyに対する非線形特性はニューマチックトレールの変化を直接表すことになる。また、セルフアライニングトルクSATの横力に対する特性は、図6における滑り域が増大し、ニューマチックトレールが減少することによって生じる。
なお、重心から後輪までの距離をL2(固定値)、車両重量をm、横加速度をGy、車両慣性モーメントをMo、ヨーレートγの微分値をdγ/dt、ホイールベースをLとしたとき、横力Fyは次式(4)により算出することができる。
Fy=(L2・m・Gy+Mo・dγ/dt)/L ……(4)
一方、図7は横力FyとセルフアライニングトルクSATの特性をスリップ角に対して示す特性図であり、横力FyとSATとはスリップ角に対して非線形な特性となっている。そして、SATは横力Fy×トレールεnであり、キャスタトレールは固定値であることから、セルフアライニングトルクSATの横力Fyに対する非線形特性はニューマチックトレールの変化を直接表すことになる。また、セルフアライニングトルクSATの横力に対する特性は、図6における滑り域が増大し、ニューマチックトレールが減少することによって生じる。
さらに、セルフアライニングトルクSATは横力Fyとトレールεnとの積であり、線形領域では滑り域は増加せず、ニューマチックトレールは一定値であることから、線形領域でのニューマチックトレールとキャスタトレールとの和、つまりトレールεnで横力FyをセルフアライニングトルクSATの次元に合わせてセルフアライニングトルク推定値SATpとして図示すると図8のようになる。
ここで、ニューマチックトレールが一定であれば、セルフアライニングトルク検出値SATdと横力Fy(セルフアライニングトルク推定値SATpに相当)とは同じ軌跡を辿るが、滑り域が増大してニューマチックトレールが減少するとセルフアライニングトルク検出値SATdとセルフアライニングトルク推定値SATpとに差が生じる。この差はグリップが失われた度合を表し、これを本発明では「グリップロス度」とする。上記(2)式で算出されたセルフアライニングトルク検出値SATdと、上記(3)式で算出されたセルフアライニングトルク推定値SATpとを次式(5)により比較する。
g=SATp−SATd ……(5)
この(5)式で算出されるgがグリップロス度であり、このグリップロス度gにより車両におけるタイヤのグリップ力が失われた度合を推定することができる。
図8は、セルフアライニングトルク検出値SATdとセルフアライニングトルク推定値SATp(トレールεnが一定の場合は横力Fy)とを比較して示す特性図であり、スリップ角が大きくなるにしたがって、セルフアライニングトルクSATが失われる様子を示しており、上記(5)式から算出されるセルフアライニングトルク検出値SATdとセルフアライニングトルク推定値SATpとの差をグリップロス度g(図中網かけ部)として示している。
この(5)式で算出されるgがグリップロス度であり、このグリップロス度gにより車両におけるタイヤのグリップ力が失われた度合を推定することができる。
図8は、セルフアライニングトルク検出値SATdとセルフアライニングトルク推定値SATp(トレールεnが一定の場合は横力Fy)とを比較して示す特性図であり、スリップ角が大きくなるにしたがって、セルフアライニングトルクSATが失われる様子を示しており、上記(5)式から算出されるセルフアライニングトルク検出値SATdとセルフアライニングトルク推定値SATpとの差をグリップロス度g(図中網かけ部)として示している。
このため、車両のヨーレートを検出するヨーレートセンサ42と車両の横加速度を検出する横加速度センサ43とを設け、これらヨーレートセンサ42で検出したヨーレートγと横加速度センサ43で検出した横加速度Gyとを横力検出部44へ入力し、この横力検出部44で前記(4)式の演算を行って横力Fyを算出し、算出した横力FyをSAT推定部41に入力して、このSAT推定部41で前記(3)式の演算を行うことにより、セルフアライニングトルク推定値SATpを算出する。
そして、SAT検出部35で検出したセルフアライニングトルク検出値SATdとSAT推定部41で推定したセルフアライニングトルク推定値SATpとをグリップロス度検出部23に入力し、このグリップロス度検出部23で前記(5)式の演算を行うことにより、タイヤのグリップが失われた度合を表すグリップロス度gを算出し、算出したグリップロス度gを補償値補正部24に入力する。
この補償値補正部24は、SAT検出部35で検出したセルフアライニングトルク検出値SATdと、ヨーレートセンサ42で検出したヨーレートγとグリップロス度検出部23で検出したグリップロス度gが入力されて、これらに基づいて補償ゲインKsを演算する補償ゲイン演算部51と、この補償ゲイン演算部51で算出された補償ゲインKsをSAT補償部36で算出されたセルフアライニングトルク補償値SATcに乗算する乗算器52とを備えている。
補償ゲイン演算部51は、図9に示す補償ゲイン演算処理を実行する。この補償ゲイン演算処理は、先ず、ステップS1で、セルフアライニングトルク検出値SATd、ヨーレートγ及びグリップロス度gを読込み、次いでステップS2に移行して、グリップロス度gが予め設定したグリップ限界を表す所定値g1以上であるか否かを判定し、g<g1であるときにはタイヤのグリップ力がグリップ限界に達しない通常操舵状態であるものと判断してステップS3に移行して補償ゲインKsを“1”に設定し、設定した補償ゲインKsを乗算器52に出力してから前記ステップS1に戻る。
また、ステップS2の判定結果が、g≧g1であるときには、ステップS4に移行して、ヨーレートγの方向とセルフアライニングトルク検出値SATdの方向とが一致するか否かを両者の符号が一致するか否かで判定し、両者の符号が一致しない場合には、車両のステア状態がニュートラルステアから前輪がグリップ限界を超えたアンダーステア又は後輪がグリップ限界を超えたオーバーステアに移行した初期状態であると判断してステップS5に移行する。
このステップS5では、図10に示す補償ゲイン算出マップの傾きの大きい特性線L1を選択して、グリップロス度gをもとに特性線L1に従った関数Fs1(g)で表される補償ゲインKsを算出し、算出した補償ゲインKsを乗算器52に出力してステップS6に移行する。
このステップS6では、グリップロス度gが所定値g1以上となった時点から所定時間が経過した否かを判定し、所定時間を経過していないときには前記ステップS4に戻り、所定時間を経過したときには前記ステップS3に移行する。
このステップS6では、グリップロス度gが所定値g1以上となった時点から所定時間が経過した否かを判定し、所定時間を経過していないときには前記ステップS4に戻り、所定時間を経過したときには前記ステップS3に移行する。
さらに、前記ステップS4の判定結果が、ヨーレートγの方向とセルフアライニングトルク検出値SATdの方向とが一致し、両者の符号が等しい場合には、車両のステア状態がオーバーステアにおけるカウンターステア状態に移行したものである判断してステップS7に移行し、図10に示す補償ゲイン算出マップの傾きの小さい特性線L2を選択して、グリップロス度gをもとに特性線L2に従った関数Fs2(g)で表される補償ゲインKsを算出し、算出した補償ゲインKsを乗算器52に出力してからステップS8に移行する。
このステップS8でも、前述したステップS6と同様に、グリップロス度gが所定値g1以上となった時点から所定時間が経過したか否かを判定し、所定時間を経過していないときに前記ステップS4に戻り、所定時間を経過したときには前記ステップS3に移行する。
ここで、図10の補償ゲイン算出マップは、横軸にグリップロス度gをとり、縦軸に補償ゲインKsをとって、グリップロス度gが所定値g1未満であるときには補償ゲインKsが“1”に維持され、グリップロス度gが所定値g1以上となると、特性線L1では、グリップロス度gの増加に伴って大きな変化率で補償ゲインKsが“1”より増加し、特性線L2ではグリップロス度gの増加に伴って小さな変化率で補償ゲインKsが“1”より増加するように設定されている。
ここで、図10の補償ゲイン算出マップは、横軸にグリップロス度gをとり、縦軸に補償ゲインKsをとって、グリップロス度gが所定値g1未満であるときには補償ゲインKsが“1”に維持され、グリップロス度gが所定値g1以上となると、特性線L1では、グリップロス度gの増加に伴って大きな変化率で補償ゲインKsが“1”より増加し、特性線L2ではグリップロス度gの増加に伴って小さな変化率で補償ゲインKsが“1”より増加するように設定されている。
また、車両のステア状態とヨーレートγ及びセルフアライニングトルク検出値SATdとの関係は、タイヤのグリップ力がグリップ限界内である通常操舵状態では、図11に示すように、ステアリングホイール1を例えば右切りした場合に、時計方向のヨーレートγが発生し、このときのヨーレートγの符号を正とすると、セルフアライニングトルク検出値SATdは反時計方向に発生し、このときのセルフアライニングトルク検出値SATdの符号は負となる。この結果、グリップロス度gが所定値g1未満で、且つヨーレートγ及びセルフアライニングトルク検出値SATdの方向が異なる場合に通常操舵状態と判断することができる。
また、前輪のタイヤのグリップ力がグリップ限界を超えることにより、アンダーステア状態となるか、又は後輪のタイヤのグリップ力がグリップ限界を超えることにより、オーバーステア状態となると、グリップロス度gが所定値g1以上となり、このアンダーステア状態又はオーバーステア状態では、ステアリングホイール1を例えば右切りすると、ヨーレートγが時計方向となり、セルフアライニングトルク検出値SATdは反時計方向となり、通常操舵時と同様に両者の向きが一致しない状態となる。したがって、グリップロス度gが所定値g1以上で、且つヨーレートγ及びセルフアライニングトルク検出値SATdの方向が不一致となる場合に、オーバーステア状態又はアンダーステア状態であると判断することができる。
一方、後輪のタイヤのグリップ力がグリップ限界を超えて車両がオーバーステア状態となった場合に、運転者が車両の不安定な挙動を抑制するためにヨーレートγの発生方向とは逆方向にステアリングホイールを操舵する所謂カウンターステア状態となると、ステアリングホイール1をカウンターステア状態となる前の通常操舵状態に対して逆切りすることにより、操舵補助トルクTの符号が反転し、この操舵補助トルクTに基づいて算出されるセルフアライニングトルク検出値SATdが反時計方向となり、ヨーレートγの方向と一致する状態となる。したがって、グリップロス度gが所定値g1を超え、且つヨーレートγ及びセルフアライニングトルク検出値SATdの方向が一致する場合には、オーバーステア状態におけるカウンターステア状態であると判断することができる。
また、d−q軸電流指令値演算部25は、補償後操舵補助トルク指令値Iref′とモータ角速度ωmとに基づいてd軸電流指令値Idrefを算出するd軸電流指令値算出部61と、電気角変換部30から入力される電気角θe及びモータ角速度ωmに基づいてd−q軸誘起電圧モデルEMF(Electromotive Force)のd軸EMF成分ed(θ)及びq軸EMF成分eq(θ)を算出する誘起電圧モデル算出部62と、この誘起電圧モデル算出部62から出力されるd軸EMF成分ed(θ)及びq軸EMF成分eq(θ)とd軸電流指令値算出部61から出力されるd軸電流指令値Idrefと補償後操舵補助電流指令値Iref′とモータ角速度ωmとに基づいてq軸電流指令値Iqrefを算出するq軸電流指令値算出部63とを備えている。そして、d軸電流指令値算出部61で算出されたd軸電流指令値Idref及びq軸電流指令値算出部63で算出されたq軸電流指令値Iqrefが2相/3相変換部26に供給される。
この2相/3相変換部26では、入力されるd軸電流指令値Idref及びq軸電流指令値Iqrefを電気角変換部30から入力される電気角θeに基づいて2相/3相変換して3相モータ電流指令値Iaref、Ibref及びIcrefを算出し、算出したモータ電流指令値Iaref、Ibref及びIcrefをモータ電流制御部27に出力する。
モータ電流制御部27は、電動モータ12の3相コイルに供給されるモータ電流Ia、Ib及びIcを検出するモータ電流検出部70と、2相/3相変換部26から入力されるモータ電流指令値Iaref,Ibref及びIcrefからモータ電流検出部70で検出したモータ電流Ia、Ib及びIcを個別に減算して各相電流偏差ΔIa、ΔIb及びΔIcを求める減算器71a、71b及び71cと、求めた各相電流偏差ΔIa、ΔIb及びΔIcに対して比例積分制御を行って電圧指令値Va、Vb及びVcを算出する電流制御部72と、この電流制御部72から出力される電圧指令値Va、Vb及びVcに基づいてデューティ演算を行って電動モータ12の各相のデューティ比を算出してパルス幅変調(PWM)信号でなるインバータ制御信号を形成するパルス幅変調部73と、このパルス幅変調部73から出力されるインバータ制御信号に基づいて3相モータ電流Ia、Ib及びIcを形成して電動モータ5に出力するインバータ74とを備えている。
次に、コントローラ15での動作をコントローラ15で実行する図12のフローチャートを参照して説明する。
まず、操舵トルクセンサ14からの操舵トルクT、車速センサ16からの車速Vx、回転角センサ17からのモータ回転角θm、ヨーレートセンサ42からのヨーレートγ、横加速度センサ43からの横加速度Gyを読込む(ステップS11)。次いで、入力した操舵トルクT及び車速Vxに基づき図3に示す操舵補助電流指令値算出マップを参照して操舵トルクT及び車速Vxに応じた操舵補助電流指令値Irefを算出し(ステップS12)、回転角センサ17からのモータ回転角θmに基づいて角速度演算部31において電動モータ12の角速度ωmを検出し、角加速度検出部32において角加速度αmを検出する(ステップS13)。
まず、操舵トルクセンサ14からの操舵トルクT、車速センサ16からの車速Vx、回転角センサ17からのモータ回転角θm、ヨーレートセンサ42からのヨーレートγ、横加速度センサ43からの横加速度Gyを読込む(ステップS11)。次いで、入力した操舵トルクT及び車速Vxに基づき図3に示す操舵補助電流指令値算出マップを参照して操舵トルクT及び車速Vxに応じた操舵補助電流指令値Irefを算出し(ステップS12)、回転角センサ17からのモータ回転角θmに基づいて角速度演算部31において電動モータ12の角速度ωmを検出し、角加速度検出部32において角加速度αmを検出する(ステップS13)。
次いで、操舵トルクT、操舵補助電流指令値Iref、モータ角速度ωm及びモータ角加速度αmをもとに前記(2)式の演算を行ってセルフアライニングトルク検出値SATdを検出し(ステップS14)、算出したセルフアライニングトルク検出値SATdに基づいてセルフアライニングトルク補償値SATcを算出する(ステップS15)。さらに、ヨーレートγ、横加速度Gyをもとに前記(4)式の演算を行って横力Fyを算出し、算出した横力Fyとトレールεnとに基づいて前記(3)式の演算を行うことにより、セルフアライニングトルク推定値SATpを算出する(ステップS16)。
続いて、セルフアライニングトルク検出値SATd及びSAT推定値SATpの偏差からグリップロス度gを検出し(ステップS17)、このグリップロス度g、ヨーレートγ及びセルフアライニングトルク検出値SATdに基づき図9に示す補償ゲイン演算処理で算出した補償ゲインKsを読込み(ステップS18)、読込んだ補償ゲインKsをセルフアライニングトルク補償値SATcに乗算して補正セルフアライニングトルク補償値SATc′を算出する(ステップS19)。
次いで、モータ角速度ωmに基づいてヨーレートの収斂性を補償する収斂性補償値Icを算出すると共に、モータ角加速度αmに基づいて電動モータ12の慣性により発生するトルク相当分を補償して慣性感又は制御応答性の悪化を防止する慣性補償値Iiを算出し(ステップS20)、収斂性補償値Ic、慣性補償値Ii及び補正セルフアライニングトルク補償値SATc′を加算して補償値Icomを算出し(ステップS21)、算出した補償値Icomを操舵補助電流指令値Irefに加算して補償後操舵補助電流指令値Iref′を算出する(ステップS22)。
次いで、算出した補償後操舵補助電流指令値Iref′に基づいてd軸電流指令値Idrefを算出すると共に、q軸電流指令値Iqrefを算出し(ステップS23)、次いでd軸電流指令値Idref及びq軸電流指令値Iqrefを電気角θeに基づいて2相/3相変換して3相モータ電流Iaref、Ibref及びIcrefを算出する(ステップS24)。
次いで、3相モータ電流指令値Iaref、Ibref及びIcrefからモータ電流検出部70で検出したモータ電流Ia、Ib及びIcを減算して電流偏差ΔIa、ΔIb及びΔIcを算出し(ステップS25)、PI電流制御部72で算出した電流偏差ΔIa、ΔIb及びΔIcに対してPI制御処理を行って電圧指令値Va、Vb及びVcを算出し(ステップS26)、算出した電圧指令値Va、Vb及びVcをパルス幅変調してパルス幅変調信号を形成し、形成したパルス幅変調信号をインバータ74に出力する(ステップS27)。
これにより、インバータ74から3相のモータ駆動電流Ia、Ib及びIcが電動モータ12に出力され、電動モータ12が駆動制御されることにより、操舵トルクT及び車速Vxに応じた最適な操舵補助力を発生し、この操舵補助力を減速ギヤ11を介してステアリングシャフト2に伝達する。
したがって、図10に示すように、グリップロス度gが所定値g1未満であるときには、通常操舵状態であると判断して、図9の補償ゲイン演算処理で、ステップS2からステップS3に移行し、補償ゲインKsが“1”に設定され、この補償ゲインKsが乗算器52でSAT補償部36から出力されるセルフアライニングトルク補償値SATcに乗算されるので、セルフアライニングトルク補償値SATcがそのまま補正セルフアライニングトルク補償値SATc′として加算器37に入力される。
したがって、図10に示すように、グリップロス度gが所定値g1未満であるときには、通常操舵状態であると判断して、図9の補償ゲイン演算処理で、ステップS2からステップS3に移行し、補償ゲインKsが“1”に設定され、この補償ゲインKsが乗算器52でSAT補償部36から出力されるセルフアライニングトルク補償値SATcに乗算されるので、セルフアライニングトルク補償値SATcがそのまま補正セルフアライニングトルク補償値SATc′として加算器37に入力される。
このため、指令値補償部22で、通常の収斂性補償値Ic、慣性補償値Ii及びセルフアライニングトルク補償値SATc′が算出されて、これらが加算されて補償値Icomが算出され、この補償値Icomが操舵補助電流指令値演算部21で算出された操舵補助電流指令値Irefに加算されて操舵状態に最適な指令値補償が行われ、運転者のステアリングホイール1の操舵操作を的確に補助することができる。
この通常操舵状態から、前輪(又は後輪)のグリップ力がグリップ限界を超えてアンダーステア状態(又はオーバーステア状態)となると、グリップロス度検出部23で検出されるグリップロス度gが所定値g1以上となるので、図9の補償ゲイン演算処理で、ステップS2からステップS4に移行し、このときのヨーレートγの方向とSAT検出部35で検出されるセルフアライニングトルク検出値SATdの方向とが異なることになるので、ステップS5に移行して、図10に示す補償ゲイン算出マップで傾きの急な特性線L1が選択され、グリップロス度gをもとに特性線L1に従った関数Fs1(g)で表される補償ゲインKsが算出される。
このため、グリップロス度gが所定値g1を超えるとグリップロス度gの増加に応じて補償ゲインKsが大きな変化率で“1”より増加することになり、この補償ゲインKがSAT補償部36で算出されるセルフアライニングトルク補償値SATcに乗算器52で乗算される。
このため、セルフアライニングトルク補償値SATcが増加補正されて補正セルフアライニングトルク補償値SATc′となり、この補正セルフアライニングトルク補償値SATc′がセルフアライニングトルク補償値SATcより大きな値となり、操舵反力を増加させることになるので、アンダーステア状態又はオーバーステア状態となった初期状態で、運転者のステアリングホイールの切増し操舵を抑制させることができ、グリップ力が失われることにより車両挙動が不安定となることを回避することができる。その後、グリップロス度gが所定値g1を超えた時点から所定時間が経過するまで、上記処理が継続され、所定時間が経過すると、一旦、補償ゲインKsが“1”に復帰されるが、その後もグリップロス度gが所定値g1を超えている場合には、再度切増し抑制状態となる。
このため、セルフアライニングトルク補償値SATcが増加補正されて補正セルフアライニングトルク補償値SATc′となり、この補正セルフアライニングトルク補償値SATc′がセルフアライニングトルク補償値SATcより大きな値となり、操舵反力を増加させることになるので、アンダーステア状態又はオーバーステア状態となった初期状態で、運転者のステアリングホイールの切増し操舵を抑制させることができ、グリップ力が失われることにより車両挙動が不安定となることを回避することができる。その後、グリップロス度gが所定値g1を超えた時点から所定時間が経過するまで、上記処理が継続され、所定時間が経過すると、一旦、補償ゲインKsが“1”に復帰されるが、その後もグリップロス度gが所定値g1を超えている場合には、再度切増し抑制状態となる。
さらに、グリップロス度gが所定値g1以上となり、且つオーバーステア状態となって車両の挙動が不安定となることにより、この不安定挙動を抑制するために運転者がステアリングホイール1を逆切りしてカウンターステア状態とすると、図9の補償ゲイン演算処理で、ステップS2からステップS4に移行し、オーバーステア状態におけるカンターステア状態では、ヨーレートγとセルフアライニングトルク検出値SATdとが同一方向となるので、ステップS4からステップS7に移行して、図10の補償ゲイン算出マップにおいて、傾きの緩やかな特性線L2が選択されることにより、グリップロス度gの増加に対する補償ゲインKsの増加率が抑制されることになる。
このため、乗算器52から出力される補正セルフアライニングトルク補償値SATc′が上述したアンダーステア状態又はオーバーステア状態に比較して小さい値となることにより、この分操舵反力が減少されて運転者によるカウンターステア状態とするステアリングホイール1の操舵を容易に行うことができる。
このとき、特性線L2の傾きを横軸と一致させるとグリップロス度gが所定値g1以上となっても補償ゲインKsが“1”を継続することになり、操舵反力がより減少されて運転者のカウンターステア状態とするステアリングホイール1の操舵をより容易に行うことができる。
このとき、特性線L2の傾きを横軸と一致させるとグリップロス度gが所定値g1以上となっても補償ゲインKsが“1”を継続することになり、操舵反力がより減少されて運転者のカウンターステア状態とするステアリングホイール1の操舵をより容易に行うことができる。
さらには、特性線L2の傾きを図10で破線図示の特性線L3のように傾きを負とすることにより、グリップロス度gが所定値g1を超える状態となると、補償ゲインKsが“1”未満の値となり、これを乗算器52でSAT補償部36で算出されたセルフアライニングトルク補償値SATcに乗算することにより、セルフアライニングトルク補償値SATcが減少補正されることになり、さらに操舵反力が減少されて運転者のカウンターステア状態とするステアリングホイール1の操舵をさらに容易に行うことができる。
また、ここでは、操舵トルクT、アシストトルクTm、電動モータ12の角速度ωm及び角加速度αmに基づいて検出したSAT検出値SATdと、車両に発生する横力Fyに基づくSAT推定値SATpとの偏差からグリップロス度gを算出している。ここで、タイヤのグリップ力が失われた場合、これに対するセルフアライニングトルクの応答性は、グリップ力が失われたことに対するヨーレートの応答性に比較して速い。
したがって、セルフアライニングトルクを用いてグリップロス度を算出することによって、ヨーレートを用いてグリップロス度を算出する場合に比較してより早い段階で、グリップロス度の変化を検出することができる。よって、セルフアライニングトルクを用いてグリップロス度を算出することにより、グリップ状況をより高精度に検出することができ、このようにして検出したグリップ状況にしたがって操舵補助電流指令値Irefを補正し、操舵補助力を低減することによって、より的確に操舵補助力を発生させることができ、グリップロス度に応じて切り増しし過ぎることを回避し、グリップ力が失われることにより車両挙動が不安定となることを確実に回避することができ、車両走行安定性を向上させることができる。
また、セルフアライニングトルク補償値SATcを補正することにより、操舵補助指令値を直接補正する場合に比較して、運転者にリニアな反力感を伝えることができる。
また、上述のようにグリップロス度gが所定値g1未満である場合には、補償ゲインKsが“1”に設定されてセルフアライニングトルク補償値SATcの補正は行わないので、グリップロスが発生していないか比較的グリップロスが小さく悪影響を及ぼすことのない状況であるにも関わらず操舵補助力が抑制され、十分な操舵補助力を発生されないことに起因して運転者に違和感を与えることを回避することができる。
また、上述のようにグリップロス度gが所定値g1未満である場合には、補償ゲインKsが“1”に設定されてセルフアライニングトルク補償値SATcの補正は行わないので、グリップロスが発生していないか比較的グリップロスが小さく悪影響を及ぼすことのない状況であるにも関わらず操舵補助力が抑制され、十分な操舵補助力を発生されないことに起因して運転者に違和感を与えることを回避することができる。
ここで、操舵トルクセンサ14が操舵トルク検出手段に対応し、図12の処理が制御手段に対応し、このうちステップS12の処理が電流指令値演算部に対応し、ステップS14の処理がSAT検出部35(セルフアライニングトルク検出手段)に対応し、ステップS15の処理がSAT補償部36(セルフアライニングトルク補償手段)に対応し、ステップS16の処理がSAT推定部41に対応し、ステップS17の処理がグリップロス度検出部(グリップロス度検出手段)に対応し、ステップS18及びS19の処理が補償値補正部(補償値補正手段)に対応し、ステップS14、S15、S20〜S22の処理が指令値補償部22に対応し、ステップS23の処理がd−q軸電流指令値演算部25に対応し、ステップS24の処理が2相/3相変換部26に対応し、ステップS25の処理が減算器71a〜71cに対応し、ステップS26の処理がPI電流制御部72に対応し、ステップS27の処理がパルス幅変調部73に対応している。
なお、上記実施形態においては、補償ゲイン演算部51でグリップロス度gに基づいて補償ゲインKを算出する補償ゲイン算出マップの特性線L1及びL2が線形に設定されている場合について説明したが、これに限定されるものではなく、特性線L1及びL2を非線形に設定するようにしてもよい。
また、上記実施形態においては、車両の横加速度を横加速度センサ43で検出する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、ステアリング機構SMの操舵角と車速Vxとに基づいて横加速度を推定するようにしてもよい。
また、上記実施形態においては、車両の横加速度を横加速度センサ43で検出する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、ステアリング機構SMの操舵角と車速Vxとに基づいて横加速度を推定するようにしてもよい。
さらに、上記実施形態においては、ヨーレートγ、横加速度Gy及び車両運動モデルに基づいて横力Fyを推定し、この横力Fyに基づいて実際に車両に作用するセルフアライニングトルクを推定する場合について説明したが、ハブ等に横力センサを設け、この横力センサで直接横力を検出し、これを用いてセルフアライニングトルク推定値SATpを算出してもよい。
また、横力Fyを用いずに、水平面における車両運動モデルと、車速Vx及び操舵角δとを用いてセルフアライニングトルクを推定してもよい。
つまり、ヨーレートγとスリップ角βと車速Vxと操舵角δとの関係は、次式(6)及び(7)で表すことができる。
mVx・(dβ/dt)
=−[mVx+[(Kf・Lf−Kr・Lr)/Vx]]・γ−(Kf+Kr)・β+Kf・δ/n
……(6)
I・(dγ/dt)
=−[(Kf・Lf2+Kr・Lr2)/Vx]・γ+(−Kf・Lf+Kr・Lr)・β
+Kf・Lf・δ/n
……(7)
なお、(6)及び(7)式中の、mは車両重量、Iは車両重心を通るZ軸回りの慣性モーメント、Lはホイールベース(L=Lf+Lr)、Lf,Lrは、前,後車軸から重心までの水平距離、Kf,Krは、前,後タイヤのコーナリングパワー、nはオーバーオールステアリングギア比、δ/nは前輪実舵角、βは車体重心のスリップ角、Vは車速、γはヨーレートである。
つまり、ヨーレートγとスリップ角βと車速Vxと操舵角δとの関係は、次式(6)及び(7)で表すことができる。
mVx・(dβ/dt)
=−[mVx+[(Kf・Lf−Kr・Lr)/Vx]]・γ−(Kf+Kr)・β+Kf・δ/n
……(6)
I・(dγ/dt)
=−[(Kf・Lf2+Kr・Lr2)/Vx]・γ+(−Kf・Lf+Kr・Lr)・β
+Kf・Lf・δ/n
……(7)
なお、(6)及び(7)式中の、mは車両重量、Iは車両重心を通るZ軸回りの慣性モーメント、Lはホイールベース(L=Lf+Lr)、Lf,Lrは、前,後車軸から重心までの水平距離、Kf,Krは、前,後タイヤのコーナリングパワー、nはオーバーオールステアリングギア比、δ/nは前輪実舵角、βは車体重心のスリップ角、Vは車速、γはヨーレートである。
セルフアライニングトルクはヨーレートγとスリップ角βの関数として表すことができることから、ヨーレートγとスリップ角βとを車速Vxと操舵角δとの関数として整理すれば、セルフアライニングトルク推定値SATpを求めることができる。車速Vxと操舵角δよりセルフアライニングトルク推定値SATpを求めると、図13に示すようになる。この特性は実験によって車両毎の特性値を測定してから、車両運動モデルを用いてシミュレーションによって作成してもよい。
したがって、この場合には、図14に示すように、車速センサ(車速検出手段)21で検出した車速Vxと、図示しない操舵角センサ(操舵角検出手段)で検出した操舵角δとをSAT推定部47に入力し、このSAT推定部47で、図13の特性図にしたがってSAT推定値SATpを算出すればよい。
さらに、上記実施形態においては、モータ角速度ωm、モータ角加速度αm、操舵トルクT及び操舵補助電流指令値Irefに基づいてセルフアライニングトルクSATを推定する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、操舵補助電流指令値Irefに代えて、モータ電流検出部70で検出したモータ電流Ia〜Icを3相/2相変換してq軸電流Iqを算出し、このq軸電流Iqとモータ角加速度αmとに基づいて下記(8)式の演算を行って算出したモータアシストトルクTmaを適用するようにしてもよい。
さらに、上記実施形態においては、モータ角速度ωm、モータ角加速度αm、操舵トルクT及び操舵補助電流指令値Irefに基づいてセルフアライニングトルクSATを推定する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、操舵補助電流指令値Irefに代えて、モータ電流検出部70で検出したモータ電流Ia〜Icを3相/2相変換してq軸電流Iqを算出し、このq軸電流Iqとモータ角加速度αmとに基づいて下記(8)式の演算を行って算出したモータアシストトルクTmaを適用するようにしてもよい。
Tma= Kt・Iq−Jm・α m ……(8)
ここで、Ktはモータのトルク定数、Jmはモータのロータ部の慣性モーメントである。
この他、電動モータ12の出力軸、減速ギヤ11の入出力軸等のトルク伝達軸に磁歪式トルクセンサなどのトルクセンサを配設し、このトルクセンサで検出したモータアシストトルクTmaを適用するようにしてもよい。
ここで、Ktはモータのトルク定数、Jmはモータのロータ部の慣性モーメントである。
この他、電動モータ12の出力軸、減速ギヤ11の入出力軸等のトルク伝達軸に磁歪式トルクセンサなどのトルクセンサを配設し、このトルクセンサで検出したモータアシストトルクTmaを適用するようにしてもよい。
さらにまた、上記実施形態においては、ステアリングシャフト12に減速ギヤ11を介して電動モータ5を連結したコラム形式の電動パワーステアリング装置に本発明を適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、ステアリングギヤ機構13に減速機構を介して電動モータを連結するピニオン形式の電動パワーステアリング装置やラック軸に減速機を介して電動モータを連結するラック形式の電動パワーステアリング装置にも本発明を適用することができる。
なおさらに、上記実施形態においては、本発明をブラシレスモータに適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、ブラシ付きモータに適用する場合には、図14に示すように、角速度演算部31でモータ電流検出部70から出力されるモータ電流検出値Im及び端子電圧検出部90から出力されるモータ端子電圧Vmに基づいて下記(9)式の演算を行ってモータ角速度ωmを算出すると共に、d−q軸電流指令値演算部25を省略して補償後トルク指令値Iref′を直接モータ電流制御部27に供給し、さらにモータ電流制御部27を夫々1つの減算部71、電流制御部72、パルス幅変調部73とインバータ74に代えたHブリッジ回路91で構成すればよい。
ωm=(Vm−Im・Rm)/K0 …………(9)
ここで、Rmはモータ巻線抵抗、K0はモータの起電力定数である。
ここで、Rmはモータ巻線抵抗、K0はモータの起電力定数である。
1 ステアリングホイール
2 ステアリングシャフト
12 電動モータ
14 操舵トルクセンサ
15 コントローラ
16 車速センサ
17 回転角センサ
21 操舵補助電流指令値演算部
22 指令値補償部
23 グリップロス検出部
24 補償値補正部
25 d−q軸電流指令値演算部
26 モータ電流制御部
35 SAT検出部
36 SAT補償部
41 SAT推定部
42 ヨーレートセンサ
43 横加速度センサ
44 横力検出部
51 補償ゲイン演算部
52 乗算器
2 ステアリングシャフト
12 電動モータ
14 操舵トルクセンサ
15 コントローラ
16 車速センサ
17 回転角センサ
21 操舵補助電流指令値演算部
22 指令値補償部
23 グリップロス検出部
24 補償値補正部
25 d−q軸電流指令値演算部
26 モータ電流制御部
35 SAT検出部
36 SAT補償部
41 SAT推定部
42 ヨーレートセンサ
43 横加速度センサ
44 横力検出部
51 補償ゲイン演算部
52 乗算器
Claims (5)
- 転舵輪を転舵するステアリング機構に入力される操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段と、前記ステアリング機構に操舵補助力を付与する電動モータと、前記操舵トルクに基づいて操舵補助電流指令値を演算し、演算した操舵補助電流指令値に基づいて前記電動モータを制御する制御手段とを有する電動パワーステアリング装置であって、
車両のヨーレートを検出するヨーレート検出手段と、タイヤのグリップ力が失われた度合を表すグリップロス度を検出するグリップロス度検出手段と、前記転舵輪側から前記ステアリング機構に入力されるセルフアライニングトルクを検出するセルフアライニングトルク検出手段と、該セルフアライニングトルク検出手段で検出したセルフアライニングトルク検出値に基づいて前記操舵補助電流指令値に対してセルフアライニングトルク補償を行うセルフアライニングトルク補償手段と、前記ヨーレート検出手段で検出したヨーレートと前記セルフアライニングトルク検出手段で検出したセルフアライニングトルク検出値と前記グリップロス度検出手段で検出したグリップロス度とに基づいて前記セルフアライニングトルク補償手段のセルフアライニングトルク補償値を補正する補償値補正手段とを備えたことを特徴とする電動パワーステアリング装置。 - 前記補償値補正手段は、前記グリップロス度が所定値以上であるときに、前記ヨーレートの方向と前記セルフアライニングトルクの方向とに基づいて前記セルフアライニングトルク補償値に対する補正態様を変更するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の電動パワーステアリング装置。
- 前記補償値補正手段は、前記グリップロス度が所定値以上である場合に、前記ヨーレートの方向と前記セルフアライニングトルクの方向が不一致であるとき、グリップロス度に応じてセルフアライニングトルク補償値を増加補正するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の電動パワーステアリング装置。
- 前記補償値補正手段は、前記グリップロス度が所定値以上である場合に、前記ヨーレートの方向と前記セルフアライニングトルクの方向が一致するとき、グリップロス度に応じてセルフアライニングトルク補償値を減少補正するように構成されていることを特徴とする請求項1又は3に記載の電動パワーステアリング装置。
- 車両の横力を検出する横力検出手段と、該横力検出手段で検出した横力に基づいてセルフアライニングトルクを推定するセルフアライニングトルク推定手段とを備え、前記グリップロス度検出手段は、前記セルフアライニングトルク検出手段で検出したセルフアライニングトルク検出値と、前記セルフアライニングトルク推定手段で推定したセルフアライニングトルク推定値とに基づいてグリップロス度を検出するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の電動パワーステアリング装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007264497A JP2009090857A (ja) | 2007-10-10 | 2007-10-10 | 電動パワーステアリング装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007264497A JP2009090857A (ja) | 2007-10-10 | 2007-10-10 | 電動パワーステアリング装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2009090857A true JP2009090857A (ja) | 2009-04-30 |
Family
ID=40663271
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2007264497A Pending JP2009090857A (ja) | 2007-10-10 | 2007-10-10 | 電動パワーステアリング装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2009090857A (ja) |
-
2007
- 2007-10-10 JP JP2007264497A patent/JP2009090857A/ja active Pending
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RD01 | Notification of change of attorney |
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