JP2003525623A - 代謝経路タンパク質をコードするコリネバクテリウム−グルタミカム遺伝子 - Google Patents

代謝経路タンパク質をコードするコリネバクテリウム−グルタミカム遺伝子

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Abstract

(57)【要約】 コリネバクテリウム−グルタミカム由来の新規なMPタンパク質をコードする、MP核酸分子と示される単離された核酸分子が開示されている。本発明は、アンチセンス核酸分子、MP核酸分子含有組み換え発現ベクター、およびこの発現ベクターが導入された宿主細胞を提供する。更に本発明は、単離されたMPタンパク質、変異型MPタンパク質、融合タンパク質、抗原性ペプチドおよびこの生物中のMP遺伝子の遺伝子工学に基づくC.グルタミカムから所望の化合物を製造する改良法を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 [関連出願] 本願は、2000年6月23日に出願された米国特許出願第09/606740号の一
部についての継続出願である。更に本願は、2000年6月23日に出願された
米国特許出願第09/603124号の一部についての継続出願である。本願は、先の出
願である1999年6月25日出願の米国仮出願第60/141031号、19
99年7月2日出願の米国仮出願第60/142101号、1999年8月12日出願の
米国仮出願第60/148613号、2000年3月9日出願の米国仮出願第60/187970号
、及び1999年7月8日出願のドイツ特許出願第19931420.9号を優先権の基礎
とするものである。上述した全ての特許出願の全内容を、参考のため本明細書に
特に取り込むものである。
【0002】 [出願の背景] 細胞内の天然の代謝工程による所定の産物および副産物は、食品、飼料、化粧
品および医薬業を含む多種産業で用いられる。集合的に「ファインケミカル」と
呼ばれるこれらの分子には、有機酸、タンパク質源及び非タンパク質源のアミノ
酸、ヌクレオチド及びヌクレオシド、脂質及び脂肪酸、ジオール、炭水化物、芳
香族化合物、ビタミン類、補助因子(コファクター)、並びに酵素が含まれる。
これらの生産は、特に所望の分子を大量に生産および分泌させるために開発され
たバクテリアの大規模な培養により最も簡便に行われる。この目的における特に
有用な生物の一種に、グラム陽性、非病原性のバクテリアであるコリネバクテリ
ウム−グルタミカム(コリネバクテリウム−グルタミカム)がある。株(菌種)
を選択することにより、多数の変異株が開発されており、これらにより一連の所
望の化合物を産生する。しかしながら、特定分子生産のための改良された株の選
択は時間のかかる困難な作業である。
【0003】 [発明の要約] 本発明によると、新規バクテリア核酸分子が提供され、種々の用途に用いられ
る。用途の例としては、ファインケミカル(例えば、リシン及びメチオニン等の
アミノ酸)を生産するために使用可能な微生物の識別、C.グルタミカムまたは
関連するバクテリアにおけるファインケミカル生産調整、C.グルタミカムまた
は関連するバクテリアの分類または識別、C.グルタミカムゲノムマップ作成の
ための参照点としての使用、および形質転換の標識としての使用が挙げられる。
これらの新規核酸分子は、本明細書で代謝経路(MP)タンパク質と呼ぶタンパ
ク質をコードするものである。
【0004】 C.グルタミカムは、グラム陽性の好気性バクテリアであり、種々のファイン
ケミカルの大量生産を行う産業分野において、および炭化水素(例えば石油中)
の分解およびテルペイドの酸化に一般的に使用されている。従って、本発明のM
P核酸分子を、ファインケミカルの生産に発酵処理によって生産可能な微生物の
識別に使用可能である。本発明のMP核酸の発現の調節、または本発明のMP核
酸分子の配列の修飾は、微生物から得られる1種類以上のファインケミカルの生
産を調節するため(例えばコリネバクテリウム(Corynebacterium)またはブレ
ビバクテリウム(Brefibacterium)種からの1種類以上のファインケミカルの収
率または生産を向上させるため)に使用可能である。好ましい実施形態において
、本発明のMP遺伝子を、同一または異なる代謝経路に含まれる1種以上の遺伝
子と組み合わせて、微生物から得られる1種以上のファインケミカルを調節する
【0005】 本発明のMP核酸を、コリネバクテリウム−グルタミカムまたはこれに密接に
関連する微生物を識別するため、または微生物の混合集団におけるC.グルタミ
カムまたはこれに密接に関連する微生物の存在を認識するために用いても良い。
本発明は、多数のC.グルタミカム遺伝子の核酸配列を提供するものであり、こ
の配列は、緊縮(ストリンジェント)条件下で、微生物の単独培養体または微生
物の混合集団培養体から抽出されたゲノムDNAを、この生物に特有であるC.
グルタミカム遺伝子領域に及ぶプローブによって検出し、この生物が存在するか
否かを評価可能となる。コリネバクテリウム−グルタミカムそれ自体は非病原性
であるが、ヒトにおける病原体種、例えばコリネバクテリウム−ジフテリア(ジ
フテリアの原因物質)に関連する。従って、かかる微生物の検出は重要な臨床関
連性を有する。
【0006】 本発明のMP核酸分子は、C.グルタミカムのゲノムまたは関連する微生物の
ゲノムの染色体地図作製の参照点として作用する場合がある。
【0007】 同様に、これらの分子、またはこれらの変異体、または一部は、遺伝子工学的
に得られたコリネバクテリウムまたはブレビバクテリウム種の標識として作用す
る場合もある。
【0008】 本発明の新規核酸分子によりコードされるMPタンパク質により、例えば、所
定のファインケミカルの代謝に含まれる酵素的な工程を実施可能となり、このフ
ァインケミカルには、アミノ酸(例えば、リシン及びメチオニン)、ビタミン類
、コファクター(補助因子)、機能性食品(ヌトラセウチカル)、ヌクレオチド
、ヌクレオシド、およびトレハロースが含まれる。コリネバクテリウム−グルタ
ミカムに用いられるクローニングベクターの所定の有効性は、例えば、Sinskey
等、米国特許第4,649,119号、およびC.グルタミカムおよび関連するブレビバ
クテリウム種(例えば、lactofermentum)の遺伝子操作に関する技術(Yoshiham
a等著、J. Bacteriol. 162: 591-597(1985); Katsumata等著、J. Bacteriol. 15
9: 306-311 (1984); and Santamaria等著、 J. Gen. Microbiol. 130: 2237-224
6 (1984))に記載されており、本発明の核酸分子を、この生物の遺伝子操作に用
いても良く、これにより1種類以上のファインケミカルの生産が改良されるか、
または更に効率的な製造が行われる。
【0009】 ファインケミカルの製造および製造効率の改善は、本発明の遺伝子操作による
直接的効果であることも、またはかかる操作の間接的効果であることもある。特
に、アミノ酸(例えば、リシン及びメチオニン)、ビタミン類、補助因子、ヌク
レオチド、及びトレハロースのC.グルタミカム代謝経路で変性したことにより
、この生物から得られる1種以上の所望の化合物の製造全体に直接的な影響を与
える場合がある。例えば、リシンまたはメチオニンの生合成(代謝)経路タンパ
ク質の活性を最適化するか、或いはリシンまたはメチオニンの分解経路タンパク
質の活性を低減することにより、かかる生物から得られるリシンまたはメチオニ
ンの収率が増大し、または製造効率が向上する。この代謝経路に含まれるタンパ
ク質の変化により、所望のファインケミカルの製造または製造効率に間接的な影
響も与える。例えば、所望の分子の製造に必要な中間体に競争する反応を無視し
ても良いし、或いは所望の雅号物の特定中間体の製造に必要な代謝経路を最適化
しても良い。更に、例えばアミノ酸(例えば、リシンまたはメチオニン)、ビタ
ミン、またはヌクレオチドの生合成における調節または分解が、微生物の能力全
体が向上して、迅速に成長及び分割するので、培養体中の微生物の数および/ま
たは製造能力を増大させ、これにより所望のファインケミカルの可能な収率が向
上する。
【0010】 本発明の核酸及びタンパク質分子は、これを単独で、或いは同一でもまたは異
なっていても良い代謝経路の核酸及びタンパク質分子1種以上と組み合わせて用
いて、コリネバクテリウム−グルタミカム(例えば、メチオニンまたはリシン)
から得られる1種以上の所望のファインケミカルの製造を直接改善するか、また
は製造効率を直接向上させる場合がある。当該技術者等に周知の組み換え遺伝し
技術を用いると、アミノ酸(例えば、リシン及びメチオニン)、ビタミン類、補
助因子、機能性食品、ヌクレオチド、ヌクレオシド、またはトレハロース用であ
る本発明による1種以上の生合成または分解酵素を、その機能が調節されるよう
に操作しても良い。例えば、生合成酵素の能率(効率)を改良しても良いし、或
いはそのアロステリック制御領域が、化合物の製造によるフィードバック阻害を
防ぐように破壊する。同様に、置換、欠失、または付加によって分解酵素を欠失
または修飾して、その分解活性を、細胞の生存力に害を与えることなく所望の化
合物用に低減させても良い。それぞれの場合で、所望のファインケミカルの収率
または製造速度全体が向上されうる。
【0011】 本発明によるタンパク質及びヌクレオチド分子のかかる変化により、アミノ酸
(例えば、リシン及びメチオニン)、ビタミン類、補助因子、機能性食品、ヌク
レオチド、ヌクレオシド、及びトレハロースに他に、他のファインケミカルの生
産を間接的な機構によって改善しても良い。いずれか1つの化合物の代謝を必然
的に他の生合成や細胞内の分解経路と絡み合い、そして1つの経路で必要な補助
因子、中間体、または基質を、別のかかる経路により供給または限定する。した
がって、本発明によるタンパク質の1種以上の活性を調節することにより、別の
ファインケミカル生合成経路または分解経路の活性の生産または効率に影響を与
える場合がある。例えば、アミノ酸は、全てのタンパク質の構造単位として機能
し、その上、タンパク質合成に関して限定しているレベルで細胞間に存在しうる
;したがって、細胞内における1種以上のアミノ酸の生産効率あるいは収率を向
上させることにより、生合成タンパク質または分解タンパク質等のタンパク質を
さらに容易に合成しうる。同様に、特定の副反応が多かれ少なかれ好適になるよ
うに代謝経路酵素における変更(変化)により、所望のファインケミカルの生産
に中間体または基質として利用される1種以上の化合物を過剰生産または低生産
する場合がある。
【0012】 本発明は、タンパク質(以下、代謝経路(“MP”)タンパク質とする)をコ
ードする新規な核酸分子を提供するものであり、これにより、アミノ酸(例えば
、リシン及びメチオニン)、ビタミン類、補助因子、ヌクレオチド及びヌクレオ
シド、またはトレハロース等の、細胞の一般的な機能に重要な分子の代謝に含ま
れる酵素工程を実施可能となる。MPタンパク質をコードする核酸分子は、以下
、MP核酸分子と称される。好ましい実施形態において、MPタンパク質は、こ
れを単独で、あるいは同一でもまたは異なっていても良い代謝経路の1種以上の
タンパク質と組み合わせて、1種以上の以下のもの:すなわち、アミノ酸(例え
ば、リシン及びメチオニン)、ビタミン類、補助因子、機能性食品、ヌクレオチ
ド、ヌクレオシド、及びトレハロースの代謝に関連する酵素工程を行うことにな
る。かかるタンパク質には、例えば表1に示された遺伝子によってコードされる
タンパク質が含まれる。
【0013】 従って、本発明は更に、MPタンパク質またはこのうちの生物学的に活性なタ
ンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む単離された核酸分子(例えば、c
DNA、DNA、RNA)、並びにMPをコードする核酸(例えば、DNAまた
はmRNA)の検出または増幅のためのプライマーまたはハイブリダイゼーショ
ンプローブとして適する核酸フラグメントに関する。特に好ましい実施形態にお
いて、単離された核酸分子は、配列表中の奇数番号のSEQ ID NO(配列
番号)の配列(例えば、SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:3、またはSEQ ID NO:5)によ
り示されるヌクレオチド配列のいずれか、あるいはこの様な配列におけるコード
領域または相補性領域を含むものである。他の特に好ましい実施形態において、
本発明による単離された核酸分子が、配列表中の奇数番号のSEQ ID NO
(例えば、SEQ ID NO:1, SEQ ID NO:3,またはSEQ ID NO:5)として示されている
ヌクレオチド配列にハイブリダイズ(交雑)するか、あるいは少なくとも約50
%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59
%、または60%、好ましくは少なくとも約61%、62%、63%、64%、
65%、66%、67%、68%、69%、または70%、更に好ましくは少な
くとも約71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、
79%、または80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、8
7%、88%、89%、または90%、または91%、92%、93%、94%
、および更に好ましくは少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%
、99.7%またはそれ以上の相同なヌクレオチド配列またはその一部を含む。
好ましい他の実施形態において、単離された核酸分子が、配列表中の偶数のSE
Q ID NO(例えば、SEQ ID NO:2, SEQ ID NO:4, またはSEQ ID NO:6)に
示されたアミノ酸配列のいずれかをコードする。本発明によるこの好ましいMP
タンパク質は、本明細書に記載のMP活性の少なくとも1種類を有することが好
ましい。
【0014】 他の実施形態において、単離された核酸分子は、タンパク質またはタンパク質
の一部をコードするが、この場合のタンパク質またはその一部には本発明のアミ
ノ酸配列(例えば、配列表中の、SEQ ID NO:2, SEQ ID NO:4,またはSEQ ID NO:6
等の偶数のSEQ ID NOの配列)に十分に相同なアミノ酸配列、例えば、
タンパク質またはその一部がMP活性を維持するに十分に相同なアミノ酸配列を
含む。核酸分子によりコードされたタンパク質またはその一部は、アミノ酸(例
えば、リシンまたはメチオニン)、ビタミン、補助因子、機能性食品、ヌクレオ
チド、ヌクレオシド、またはトレハロースの代謝経路での酵素反応を実施するた
めの能力を維持しているのが好ましい。一実施形態において、核酸分子デコード
されたタンパク質は、少なくとも約50%、51%、52%、53%、54%、
55%、56%、57%、58%、59%、または60%、好ましくは少なくと
も約61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69
%、または70%、更に好ましくは少なくとも約71%、72%、73%、74
%、75%、76%、77%、78%、79%、または80%、81%、82%
、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、または90%、
または91%、92%、93%、94%、および更に好ましくは少なくとも約9
5%、96%、97%、98%、99%、99.7%またはそれ以上の相同な本
発明によるアミノ酸配列(例えば、配列表中の、SEQ ID NO:2, SEQ ID NO:4,ま
たはSEQ ID NO:6等の偶数のSEQ ID NOを有するものから選択されるア
ミノ酸配列全体)である。他の好ましい実施形態において、タンパク質は、本発
明によるアミノ酸配列全体に実質上相同なC.グルタミカムタンパク質全体であ
る(配列表中の奇数のSEQ ID NOに対応するオープン・リーディング・
フレーム(open reading frame)によりコードされたもの(例えば、SEQ I
D NO:1、SEQ ID NO:3、またはSEQ ID NO:5)。
【0015】 他の好ましい実施形態において、単離された核酸分子はC.グルタミカム由来
のものであり、本発明によるアミノ酸配列(例えば、配列表中の、SEQ ID NO:2,
SEQ ID NO:4,またはSEQ ID NO:6等の偶数のSEQ ID NOのいずれかの配
列)のいずれかに少なくとも約50%以上相同な生物学的に活性なドメインを含
むタンパク質(例えば、MP融合タンパク質)をコードし且つアミノ酸(例えば
、リシンまたはメチオニン)、ビタミン、補助因子、機能性食品、ヌクレオチド
、ヌクレオシド、またはトレハロース、あるいは表1に示されている1種以上の
活性についての代謝経路における反応に触媒作用を及ぼすことが可能であり、そ
してこれは、更に非相同ポリペプチドまたは調節領域をコードする非相同核酸配
列も含むものである。
【0016】 他の実施形態において、単離された核酸分子の長さは、少なくとも15ヌクレ
オチドであり、そしてこの核酸分子は、本発明のヌクレオチド配列を含む核酸分
子と緊縮条件下でハイブリダイズする(例えば、配列表中の、SEQ ID NO:1, SEQ
ID NO:3,またはSEQ ID NO:5等の奇数のSEQ ID NOの配列)。単離され
た核酸分子は、天然に発生する核酸分子に対応するものであることが好ましい。
単離された核酸が、天然に発生するC.グルタミカムMPタンパク質、またはそ
の生物学的に活性な部分をコードしていると更に好ましい。
【0017】 更に本発明は、ベクター、例えば本発明による核酸分子を単独で、あるいは同
一でもまたは異なっていても良い代謝経路に含まれる1種以上の核酸分子と組み
合わせて含む組換え発現ベクター、並びにかかるベクターが組み込まれた宿主細
胞に関する。一実施形態においては、宿主細胞は、この様な宿主細胞を適当な培
地で培養することによりMPタンパク質を製造するため用いられる。このように
製造されたMPタンパク質は培地または宿主細胞から単離される。
【0018】 更に本発明は、1種以上のMP遺伝子を、単独でまたは同一または異なってい
ても良い代謝経路に含まれる1種以上の遺伝子と組み合わせて導入されているか
、または変化している遺伝的に変化した微生物に関するものである。一実施形態
において、この微生物のゲノムを、1種以上の野生型または変異型MP配列をコ
ードする本発明による核酸分子をトランス遺伝子として、単独でまたは同一また
は異なっていても良い代謝経路に含まれる1種以上の遺伝子と組み合わせて導入
することにより変化させておく。他の実施形態において、微生物のゲノム中の内
因性MP遺伝子1種以上に対して、改変された1種以上のMP遺伝子との相同組
換えにより例えば機能的に混乱させる等の変性が行なわれる。他の実施形態にお
いて、微生物中の内因性または誘導されたMP遺伝子1種以上を、単独でまたは
同一または異なっていても良い代謝経路に含まれる1種以上の遺伝子と組み合わ
せて、1カ所以上の点変異、欠失、逆位により変化しているにもかかわらず機能
性MPタンパク質をコードしている。更に他の実施形態において、微生物におけ
る1種以上のMP遺伝子の1つ以上の調節領域(例えば、プロモーター、リプレ
ッサー、インデューサー)を、単独でまたは1種以上のMP遺伝子と組み合わせ
るか、もしくは同一または異なっていても良い代謝経路の1種以上の遺伝子と組
み合わせて、1種以上のMP遺伝子の発現が調節されるように変化している(例
えば、欠失、切断、逆位、点変異による)。好ましい実施形態において、この微
生物がコリネバクテリウムまたはブレビバクテリウム属に属していると好ましく
、コリネバクテリウム−グルタミカムに属していると更に好ましい。好ましい実
施形態において、この微生物を、所望の化合物、例えばアミノ酸、特にリシン(
リジン)およびメチオニンの製造に使用することも好ましい。特に好ましい実施
形態において、MP遺伝子は、metZ遺伝子(SEQ ID NO:1)、metC遺伝子(SEQ I
D NO:3)、またはRXA00657遺伝子(SEQ ID NO:5)であり、これを単独で、ある
いは本発明による1種以上のMP遺伝子と組み合わせるかまたはメチオニンおよ
び/またはリシン代謝に含まれる1種以上の遺伝子と組み合わせる。
【0019】 更に本発明は、コリネバクテリウム−ジフテリア(Corynebacterium diphteria
e)の存在または活性を認識する方法を提供するものである。この方法は、被検体
中の本発明による1種以上の核酸またはアミノ酸分配列(例えば、表1および配
列表中にSEQ ID NO.1〜122で示された配列)の検出を含み、これ
により、被検体中のコリネバクテリウム−ジフテリアの存在または活性が検出さ
れる。
【0020】 また本発明は、単離されたMPタンパク質またはその一部、例えば生物学的に
活性な部分に関する。好ましい実施の形態においては、単離されたMPタンパク
質またはその一部は、単独であるいは本発明による1種以上のMP遺伝子と組み
合わせるかまたは同一でもまたは異なっていても良い代謝経路の1種以上のタン
パク質と組み合わせて、アミノ酸(例えば、リシンまたはメチオニン)、ビタミ
ン、補助因子、機能性食品、ヌクレオチド、ヌクレオシド、またはトレハロース
の1種以上の代謝経路に含まれる酵素反応に触媒作用を及ぼす。他の好ましい実
施の形態において、単離されたMPタンパク質またはその一部が、本発明による
アミノ酸配列(例えば、配列表中の、SEQ ID NO:2, SEQ ID NO:4またはSEQ ID N
O:6等の偶数のSEQ ID NOの配列)に対して、このタンパク質またはその一部がア
ミノ酸、ビタミン、補助因子、機能性食品、ヌクレオチド、ヌクレオシド、また
はトレハロースの1種以上の代謝経路に含まれる酵素反応に触媒作用を及ぼす能
力を維持するように十分な相同性を示す。
【0021】 更に本発明では、単離されたMPタンパク質の製造法を提供する。好ましい実
施の形態において、MPタンパク質が本発明のアミノ酸配列(例えば、配列表中
の、SEQ ID NO:2, SEQ ID NO:4またはSEQ ID NO:6等の偶数のSEQ ID N
Oの配列)を含む。他の好ましい実施の形態において、本発明は、本発明による
全アミノ酸配列(例えば、配列表中の、SEQ ID NO:2, SEQ ID NO:4またはSEQ ID
NO:6等の偶数のSEQ ID NOの配列)(これに対応する配列表中の、SEQ
ID NO:1, SEQ ID NO:3またはSEQ ID NO:5等の奇数のSEQ ID NOに示さ
れたオープン・リーディング・フレームによりコードされている)に実質的に相
同な、単離されたタンパク質全体を含む。更に他の実施の形態において、タンパ
ク質は、本発明による全アミノ酸配列(例えば、配列表中の、SEQ ID NO:2, SEQ
ID NO:4またはSEQ ID NO:6等の偶数のSEQ ID NOの配列)に対して少
なくとも約50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%
、58%、59%、または60%、好ましくは少なくとも約61%、62%、6
3%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、または70%、更に
好ましくは少なくとも約71%、72%、73%、74%、75%、76%、7
7%、78%、79%、または80%、81%、82%、83%、84%、85
%、86%、87%、88%、89%、または90%、または91%、92%、
93%、94%、および更に好ましくは少なくとも約95%、96%、97%、
98%、99%、99.7%またはそれ以上相同である。他の好ましい実施の形
態において、単離されたMPタンパク質は、本発明によるアミノ酸配列(例えば
、配列表中の、SEQ ID NO:2, SEQ ID NO:4またはSEQ ID NO:6等の偶数のSEQ
ID NOの配列)のいずれかに対して少なくとも約50%以上相同アミノ酸
配列であり、アミノ酸、ビタミン、補助因子、機能性食品、ヌクレオチド、ヌク
レオシド、またはトレハロースの代謝経路における酵素反応に、これを単独で、
あるいは本発明による1種以上のMPタンパク質または同一でもまたは異なって
いても良い代謝経路のいずれかと組み合わせて触媒作用を及ぼすことが可能とな
るか、または表1に記載の1種類以上の活性を有するものである。
【0022】 あるいは、単離されたMPタンパク質は、例えば緊縮条件下で配列表に記載さ
れた偶数のSEQ ID NOのいずれかのヌクレオチド配列にハイブリダイズ
するヌクレオチド配列によりコードされているか、または少なくとも約50%、
51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、
または60%、好ましくは少なくとも約61%、62%、63%、64%、65
%、66%、67%、68%、69%、または70%、更に好ましくは少なくと
も約71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79
%、または80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%
、88%、89%、または90%、または91%、92%、93%、94%、お
よび更に好ましくは少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%、9
9.7%またはそれ以上相同なヌクレオチド配列によりコードされたアミノ酸配
列を含んでもよい。MPタンパク質の好ましい形態は、本明細書に記載の1種類
以上のMP生物学的活性を有するものである。
【0023】 MPポリペプチド、またはこのペプチドの生物学的に活性な部分は、非MPポ
リペプチドと有効に結合して、融合タンパク質を形成する。好ましい実施の形態
において、この融合タンパク質がMPタンパク質単独の場合と異なる活性を有す
る。他の好ましい実施の形態において、この融合タンパク質をアミノ酸、ビタミ
ン、補助因子、機能性食品のC.グルタミカム代謝経路に導入する場合、この融
合タンパク質により、C.グルタミカム由来の所望のファインケミカルの収率お
よび/または製造効率が向上する。特に好ましい実施の形態において、この融合
タンパク質を宿主細胞のアミノ酸、ビタミン、補助因子、機能性食品、ヌクレオ
チド、ヌクレオシド、またはトレハロース代謝経路へ導入することにより、この
細胞からの所望の化合物の生産を調節することになる。
【0024】 更に、本発明は、タンパク質自体、基質もしくはMPタンパク質の結合対象と
の相互作用により、または本発明によるMP核酸分子の転写または翻訳を調節す
ることにより、MPタンパク質の活性を調節する分子をスクリーニングする方法
を提供する。
【0025】 更に本発明は、ファインケミカルの製造法に関する。この方法では、1種以上
のMP核酸分子を単独で、あるいは本発明による1種以上のMP核酸分子または
同一でもまたは異なっていても良い代謝経路の核酸分子のいずれかと組み合わせ
、その発現を支配する1種以上のベクターを含む細胞を培養し、これによりファ
インケミカルを製造する工程を含む。好ましい実施の形態によると、同製造法に
は更にこの様なベクターを含む細胞を得る工程が含まれ、この工程において、M
P核酸の発現を支配するベクターを細胞に移入する(トランスフェクションする
)。他の好ましい実施の形態において、更にこの方法は、培養体から得られたフ
ァインケミカルを回収する工程を含む。特に好ましい実施の形態において、細胞
がコリネバクテリウムまたはブレビバクテリウム属由来であるか、あるいは表3
に記載された株から選択されたものである。別の好ましい実施の形態において、
MP遺伝子は、metZ遺伝子(SEQ ID NO:1)、metC遺伝子(SEQ ID NO:3)、また
はRXA00657遺伝子(SEQ ID NO:5)(表1を参照)であり、これを単独で、ある
いは本発明による1種以上のMP核酸分子と組み合わせるかまたはメチオニンお
よび/またはリシン代謝に含まれる1種以上の遺伝子と組み合わせる。更に別の
好ましい実施形態において、ファインケミカルはアミノ酸、例えばL−リシンお
よびL−メチオニンである。
【0026】 更に本発明の方法は、微生物由来の分子の製造を調節する方法に関する。かか
る方法では、細胞を、MPタンパク質活性またはMP核酸発現を調節する薬剤と
接触させて、細胞に関連する活性を、この薬剤を用いない場合の活性に対して変
化させる。好ましい実施形態において、この細胞を、1種類以上のC.グルタミ
カムのアミノ酸、ビタミン、補助因子、機能性食品、ヌクレオチド、ヌクレオシ
ド、またはトレハロース代謝経路用に調節して、この微生物による所望のファイ
ンケミカルの収率または製造速度を向上させる。MPタンパク質活性を調節する
薬剤としては、MPタンパク質の活性またはMP核酸の発現を刺激する薬剤が使
用可能である。MPタンパク質の活性またはMP核酸の発現を刺激する薬剤の例
には、小さい分子、活性MPタンパク質、およびMPタンパク質をコードする細
胞中に導入された核酸が含まれる。MP活性または発現を阻害する薬剤の例には
、小さい分子およびアンチセンスMP核酸分子が含まれる。
【0027】 更に本発明は、別のプラスミドに存在するか、または宿主細胞のゲノムに組み
込まれた、野生型もしくは変異型MP遺伝子の細胞への導入を、これを単独で、
あるいは本発明による1種以上のMP核酸分子または同一でもまたは異なってい
ても良い代謝経路の核酸分子のいずれかと組み合わせて行う工程を含み、こうし
て得られた細胞からの所望の化合物の収率を調節する方法を含む。ゲノムに組み
込まれる場合の導入はランダムであることが可能であり、あるいは天然の遺伝子
が導入されたコピーにより代替されるように相同な組換えを行うことも可能であ
り、これにより調節されるべき細胞から所望の化合物が製造される。好ましい実
施の形態において、収率が上昇する。別の好ましい実施形態において、上記ケミ
カルはファインケミカルである。特に好ましい実施の形態において、得られるフ
ァインケミカルはアミノ酸である。このアミノ酸がL−リジンおよびL−メチオ
ニンであると特に好ましい。別の好ましい実施の形態において、上記遺伝子は、
metZ遺伝子(SEQ ID NO:1)、metC遺伝子(SEQ ID NO:3)、またはRXA00657遺伝
子(SEQ ID NO:5)であり、これを単独で、あるいは本発明による1種以上のM
P核酸分子と組み合わせるかまたはメチオニンおよび/またはリシン代謝に含ま
れる1種以上の遺伝子と組み合わせる。
【0028】 [発明の詳細な説明] 本発明は、アミノ酸(例えば、リシンおよびメチオニン)、ビタミン類、補助
因子、機能性食品、ヌクレオチド、ヌクレオシド、およびトレハロースを含むコ
リネバクテリウム−グルタミカムにおける所定のファインケミカルの代謝に含ま
れるMP核酸およびタンパク質分子を提供する。本発明による分子をC.グルタ
ミカム等の微生物から得られるファインケミカルの製造調節に、直接的に(例え
ば、リシンまたはメチオニン生合成タンパク質の活性の調節が微生物からのリシ
ンまたはメチオニンの製造または製造効率に対して直接的に影響を与える場合)
使用しても良く、あるいはこの分子は、所望の化合物の収率または製造効率を結
果的に向上させる間接的な影響を及ぼしても良い(例えば、ヌクレオチド生合成
タンパク質の活性の調節が、必要な補助因子、エネルギー化合物、または前駆体
分子の成長を改善するか、またはこれらの供給を増大させたことが原因で、バク
テリアより得られる有機酸又は脂肪酸の製造に影響を与える場合)。MP分子は
、これを単独で、あるいは本発明による他のMP分子と組み合わせるか、または
同一でもまたは異なっていても良い代謝経路(例えば、リシンまたはメチオニン
の代謝)に含まれる他の分子と組み合わせて用いても良い。好ましい実施形態に
おいて、MP分子は、metZ(SEQ ID NO:1)、metC(SEQ ID NO:3)、またはRXA0
0657(SEQ ID NO:5)核酸分子と、これらの核酸分子によりコードされるタンパ
ク質(それぞれSEQ ID NO:2、SEQ ID NO:4およびSEQ ID NO:6)である。本発明
について、以下に更に詳細に説明する。
【0029】 [1.ファインケミカル] 「ファインケミカル」という用語は従来の認識どおり、生物により生産され、
種々の産業、例えば医薬、農業、化粧品産業(これらに限定されるものではない
)に用いられる分子を意味する。かかる化合物には、有機酸、例えば酒石酸、イ
タコン酸、ジアミノピメリン酸、タンパク質原およびタンパク質原以外のアミノ
酸、プリンおよびピリミジン塩基、ヌクレオシド、ヌクレオチド(Kuninaka, A.
著、(1996) Nucleotides and related compounds, p. 561-612、(Biotechnolog
y第6巻における論考、Rehm等著、VCH編、Weinheim、および同文献中に記載され
た参考文献)、脂質、飽和および不飽和脂肪酸(例えば、アラキドン酸)、ジオ
ール(例えば、プロパンジオールおよびブタンジオール)、炭水化物(例えば、
ヒアルロン酸およびトレハロース)、芳香族化合物(例えば、芳香族アミン、バ
ニリンおよびインジゴ)、ビタミン類および補助因子(Ullmann's Encyclopedia
of Industrial Chemistry, 第A27巻、“Vitamins”, p.443-613 (1996) VCH: W
einheimおよび同文献中に記載された参考文献; Ong, A.S., Niki, E. & Packer,
L. 著、(1995) “Nutrition, Lipids, Health, and Disease ”Proceedings of
the UNESCO/Confederation of Scientific and Technological Associations i
n Malaysia, and the Society for Free Radical Research-Asia(マレーシア、
ペナンにおいて1994年9月1〜3日に開催)、(1995))、酵素、ポリケタイ
ド(Cane等著 (1998) Science 282: 63-68)、およびGutcho (1983) Chemicals by
Fermentation, Noyes Data Corporation, ISBN: 0818805086および同文献中に
挙げられた参考文献中に記載されている他の全ての化学物質がある。これらのフ
ァインケミカルの代謝および所定の使用法について以下に詳細に説明する。
【0030】 A.アミノ酸代謝および使用法 アミノ酸はあらゆるタンパク質の塩基性構造単位であるため、全生物の正常な
細胞機能に重要である。「アミノ酸」の用語は、従来より公知である。タンパク
質源となるアミノ酸(タンパク質生成アミノ酸)は20種類存在し、タンパク質
の構造単位としての役割を有し、ペプチド結合により結合する。一方、タンパク
質原以外のアミノ酸(数百種類が公知である)はタンパク質内に一般に見出され
ない(Ulmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry, 第A2巻、p. 57-97 VC
H: Weinheim (1985)、参照)。アミノ酸は、D−またはL−光学的立体配置であ
っても良いが、自然に発生するタンパク質には通常L−アミノ酸のみが存在する
。20種類のタンパク質原アミノ酸の各生合成および分解経路は、原核細胞およ
び真核細胞(例えば、Stryer, L. Biochemistry第3版、578-590頁、(1988)、参
照)の双方において顕著な特徴を有する。必須アミノ酸(ヒスチジン、イソロイ
シン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン、トリプ
トファンおよびバリン)は、これらが、通常、その複雑な生合成における栄養的
必須成分であるためにこのように呼ばれるものであり、これを簡単な生合成経路
により残りの11種類の「非必須」アミノ酸(アラニン、アルギニン、アスパラ
ギン、アスパラテート、ヒスチジン、システイン、グルタメート、グルタミン、
グリシン、プロリン、セリン、およびチロシン)に変換される。高等動物は、こ
れらのアミノ酸の幾つかを合成する能力を保持するが、必須アミノ酸は食事から
供給されなければならず、これにより、正常なタンパク質合成が起こる。
【0031】 タンパク質合成における機能とは別に、これらのアミノ酸は、本来重要な化学
物質であり、多くは食品、飼料、化学、化粧品、農業、医薬の各業界で様々に使
用されている。リジンはヒトのみならず、単胃動物、例えば飼鳥類および豚にお
いても栄養的に重要なアミノ酸である。グルタミン酸塩(グルタメート)は最も
一般的に使用される香味添加物であり(グルタミン酸モノソーダ(mono-sodium
glutamate)、MSG)、アスパラギン酸塩(アスパラテート)、フェニルアラ
ニン、グリシンおよびシステインと同様に食品業界全体で広く使用されている。
グリシン、L−メチオニンおよびトリプトファンは、化粧品業界で全て使用され
ている。グルタミン、バリン、ロイシン、イソロイシン、ヒスチジン、アルギニ
ン、プロリン、セリンおよびアラニンは医薬品および化粧品業界の双方で使用さ
れている。スレオニン、トリプトファンおよびD/Lメチオニンは一般的な飼料
添加剤である(Leuchtenberger, W.著、(1996) Amino aids-technical producti
on and use, p. 466-502 (Rehm等著 (編) Biotechnology第6巻、第14a章, VCH:
Weinheim)。更に、これらのアミノ酸は合成アミノ酸およびタンパク質の合成
用前駆体として使用されることがわかっている。この例には、N−アセチルシス
テイン、S−カルボキシメチル−L−システイン、(S)−5−ヒドロキシトリ
プトファン、およびUlmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry, 第A2巻
、p. 57-97, VCH: Weinheim 1985に記載の他の物質がある。
【0032】 生物、例えばバクテリアにより製造される天然のアミノ酸は顕著な特徴を有す
る(bacterial amino acid biosynthesis and regulation thereofのレビューに
対して, Umbarger, H. E.著、(1978) Ann. Rev. Biochem. 47:533-606、参照)
。グルタミン酸塩は、クエン酸回路の中間体であるα−ケトグルタレートの還元
的アミン化により合成される。次いで、グルタメートからグルタミン、プロリン
、アルギニンがそれぞれ製造される。セリンの生合成は、3−ホスホグリセレー
ト(解糖の中間体)を出発物質として3工程から成り、酸化、アミノ基転移、お
よび加水分解工程を経てこのアミノ酸が得られる。システインおよびグリセリン
の双方はセリンから生産され、前者はホモシステインとセリンの縮合により、後
者は側鎖β−炭素原子が、セリンのトランスヒドロキシメチラーゼにより触媒さ
れる反応において、テトラヒドロ葉酸塩に伝達されることにより製造される。
【0033】 フェニルアラニンおよびチロシンは、プレフェネート合成後の最後の2工程の
みが異なる9工程の生合成経路において、解糖経路およびペントースリン酸経路
の前駆体のエリトロース4−ホスフェートおよびホスホエノールピルベートから
合成される。トリプトファンもこれらの2つの主要な分子から製造されるが、合
成は11工程の経路によるものである。チロシンは、フェニルアラニンヒドロキ
シラーゼにより触媒される反応においてフェニルアラニンから合成可能である。
アラニン、バリンおよびロイシンは、全て、解糖の最終生成物であるピルビン酸
(ピルベート)の生合成産物である。アスパラギン酸塩は、クエン酸回路の中間
体であるオキサロ酢酸(オキサロアセテート)より形成する。アスパラギン、メ
チオニン、スレオニン、およびリシンは、アスパレートの転換によってそれぞれ
形成する。イソロイシンはスレオニンから生成する。
【0034】 メチオニンを形成する生合成経路は、種々の微生物において研究されている。
第1工程はホモセリンのアシル化であり、転移されたアシル基の供給源が異なっ
ていたとしても全ての微生物に共通している。大腸菌(Escherichia coli)およ
びこれに関連する種類は、スクニシル−CoA(Michaeli, S. and Ron, E. Z. (19
81) Mol. Gen. Genet. 182, 349-354)を使用し、一方、Saccharomyces cerevis
iae(Langin, T., et al. (1986) Gene 49, 283-293)、Brevibacteriumu flavu
m(Miyajima, R. and Shiio, I. (1973) J. Biochem. 73, 1061-1068; Ozaki, H
. and Shiio, I. (1982) J. Biochem. 91, 1163-1171)、C.グルタミカム(Pa
rk, S.-D., et al. (1998) Mol. Cells 8, 286-294)、およびLeptospira meyer
i(Belfaiza, J. et al. (1998) 180, 250-255; Bourhy, P., et al. (1997) J.
Bacteriol. 179, 4396-4398)は、アシル供与体としてアセチル−CoAを使用す
る。アシルホモセリンよりホモセリンを形成するのは、2種の異なる方法で起こ
りうる。大腸菌は、シスタチオニンγ−シンターゼ(metBの産物)およびシスタ
チオニンβ−リアーゼ(metCの産物)により触媒される硫黄転移経路を使用する
。S. cerevisiae(Cherest, H. and Surdin-Kerjan, Y. (1992) Genetics 130,
51-58)、B. flavum(Ozaki, H. and Shiio, I. (1982) J. Miochem. 91, 1163-
1171)、Pseudomonas aeruginosa(Foglino, M., et al. (1995) Microbiology
141, 431-439)、およびL. meyeri(Belfaiza, J., et al. (1998) J. Bacterio
l. 180, 250-255)では、アシルホモセリンのスルフヒドリラーセ(sulfhydryla
se)により触媒される直接スルフヒドリレーション経路を利用する。直接スルフ
ヒドリレーション経路のみ使用する密接に関連したB. flavumと異なり、硫黄移
転経路の酵素活性をC.グルタミカム細胞の抽出物において検出し、そしてこの
経路を、生物のメチオニン生合成の経路とする(Hwang, B-J., et al. (1999) M
ol. Cells 9, 300-308; Kase, H. and Nakayama, K. (1974) Agr. Biol. Chem.
38, 2021-2030; Park, S.-D., et al. (1998) Mol. Cells 8, 286-294)。
【0035】 C.グルタミカムでのメチオニン生合成に関与する遺伝子の幾つかを単離した
が、C.グルタミカムのメチオニン生合成の情報は依然として極めて限定されて
いる。metAおよびmetB以外の遺伝子を生物から単離しなかった。C.グルタミカ
ムにおいてメチオニンをもたらす生合成経路を理解するために、本発明者等は、
C.グルタミカムのmetC遺伝子(SEQ ID NO:3)およびmetZ遺伝子(metYとも称
される)(SEQ ID NO:1)を単離し、そしてこれについて特徴付けた(表1を参
照)。
【0036】 細胞のタンパク合成に必要な分を上回るアミノ酸は貯蔵されずに劣化し、細胞
の主要な代謝経路における中間体を提供する(Stryer, L. Biochemistry、第3
版、 21章、“Amino Acid Degradation and the Urea Cycle” p. 495-516 (198
8)、参照)。細胞は不必要なアミノ酸を有用な代謝中間体に変換することができ
るが、合成によるアミノ酸合成では、エネルギー、前駆物質分子および必要な酵
素において高コストとなる。すなわち、アミノ酸生合成がフィードバック阻害に
より調節されていることは驚くべきことではなく、特別なアミノ酸の存在により
、製造速度が低下したり、完全に停止する(アミノ酸生合成経路におけるフィー
ドバックメカニズムについては、Stryer, L. Biochemistry, 第3版. 24章: “Bi
osynthesis of Amino Acids and Heme” 575-600頁 (1988)を参照されたい)。
従って、特定のアミノ酸の放出は、そのアミノ酸の細胞内における存在量により
制御されている。
【0037】 B.ビタミン、補助因子、および機能性食品の代謝および使用法 ビタミン、補助因子、および機能性食品には、他の種類の分子が含まれ、バク
テリア等の生物によりこれらを簡単に合成することができるが、高等動物はその
合成能力を失い、そのため摂取する必要がある。これらの分子は、生物学的に活
性な物質そのものであるか、または種々の代謝経路における電子の担体および中
間体として作用する生物学的に活性な物質の前駆体である。これらの化合物は栄
養的な価値とは別に、着色剤、酸化防止剤、触媒または他の加工助剤としての重
要な工業的価値を有する(これらの化合物の構造、活性および工業的用途につい
は、例えばUllmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry、 “Vitamins”,
第A27巻、p.443-613, VCH: Weinheim, (1996) を参照のこと)。「ビタミン」
という用語は、従来より認識されているとおりであり、この物質は、生物が通常
の機能を得るために必要であるが、生物自身は合成不可能である栄養分を含む。
ビタミン群は、補助因子および機能性食品化合物を含む場合がある。「補助因子
(コファクター)」という用語は、通常必要な酵素活性を得るための非タンパク
質原化合物を含む。かかる化合物は、有機物でも、または無機物でもよいが、本
発明のコファクター分子は有機物であると好ましい。「機能性食品」という用語
には、動植物、特にヒトの健康に利益を与える補助食品(サプリメント)が含ま
れる。かかる分子の例は、ビタミン、酸化防止剤、および所定の脂質(例えば、
ポリ不飽和脂肪酸)である。
【0038】 これらの物質を製造可能な生物、例えばバクテリアにおけるこれらの分子の生
合成は、顕著な特徴を有する(Ullman's Encyclopedia of Industrial Chemistry
, “Vitamins” 第A27巻, p. 443-613, VCH: Weinheim, 1996; Michal, G. (199
9) Biochemical Pathways: An Atlas of Biochemistry and Molecular Biology,
John Wiley & Sons; Ong, A.S., Niki, E. & Packer, L. (1995) “Nutrition,
Lipids, Health, and Disease” Proceedings of the UNESCO/Confederation o
f Scientific and Technological Associations in Malaysia, およびthe Socie
ty for Free Radical Research Asia(マレーシア、ペナンにおいて1994年
9月1〜3日に開催 )、AOCS Press: AOCS Press, Champaign, IL X, 374 S)。
【0039】 チアミン(ビタミンB)は、ピリミジンとチアゾール部分の化学的結合によ
り製造される。リボフラビン(ビタミンB)は、グアノシン−5’−三リン酸
(GTP)およびリボース−5’−リン酸から合成される。リボフラビンはフラ
ビンモノヌクレオチド(FMN)およびフラビンアデニンジヌクレオチド(FA
D)の合成に使用される。集合的に「ビタミンB」と呼ばれる化合物のファミ
リー(例えば、ピリドキシン、ピリドキシアミン、ピリドオキサ−5’−リン酸
、および慣用の塩酸ピリドキシン)の全ては、一般的な構造単位である5−ヒド
ロキシ−6−メチルピリジンの誘導体である。パントテネート(パントテン酸、
(R)−(+)−N−(2,4−ジヒドロキシ−3,3−ジメチル−1−オキソ
ブチル)−β−アラニン)は、化学合成または発酵のいずれかにより製造されう
る。パントテネート生合成の最終工程は、β−アラニンとパントイン酸のATP
により稼働する縮合である。パントイン酸またはアラニンへの変換、およびパン
トテン酸への縮合における生合成工程にかかわる酵素は公知である。パントテン
酸の代謝活性形は補酵素Aであり、これを得るために、酵素による5工程の生合
成が起こる。パントテネート、ピリドキサル−5’−リン酸、システインおよび
ATPは、補酵素Aの前駆体である。これらの酵素は、パントテネートの生成を
触媒するのみではなく、(R)−パントン酸、(R)−パントラクトン、(R)
−パンテノール(プロビタミンB)、パンテテイン(およびその誘導体)およ
び補酵素Aも製造する。
【0040】 微生物中の前駆体物分子ピメロイル−CoAからのビオチン生合成は、詳細に
研究されており、関与する数種類の遺伝子が認識されている。対応するタンパク
質の多くが、Feクラスター合成に関与することわかっており、nifSタンパク質
のメンバーである。リポ酸は、オクタン酸から誘導され、エネルギー代謝の補酵
素として作用し、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体およびα−ケトグルタル酸
デヒドロゲナーゼ複合体の一部を構成している。葉酸塩(folate)は、葉酸から
誘導された全ての誘導体から構成される物質であり、葉酸はL−グルタル酸、p
−アミノ安息香酸および6−メチルプテリンから誘導される。葉酸およびこの誘
導体の生合成は、代謝中間産物であるグアノシン−5’−酸リン酸(GTP)、
L−グルタル酸およびp−アミノ安息香酸を出発するものであり、これについて
は特定の微生物において詳細に研究されている。
【0041】 コリノイド(例えば、コバラミンおよび特にビタミンB12)およびポルフィ
リンは、テトラピロール環系により特徴づけられた化学物質の種類に属する。ビ
タミンB12の生合成は、未だ完全に特徴が把握されていない程非常に複雑であ
るが、これに関連する酵素および物質は公知である。ニコチン酸(ニコチン酸塩
)およびニコチンアミドは、「ナイアシン」とも呼ばれるピリジン誘導体である
。ナイアシンは、重要な補酵素NAD(ニコチンアミド アデニン ジヌクレオ
チド)およびNADP(ニコチンアミド アデニン ジヌクレオチド リン酸(
ホスフェート))およびその還元形態の前駆物質である。
【0042】 これらの化合物の大量生産は、細胞を含まない化学合成に大きく依存している
。しかしながら、これらの化学物質の一部、例えばリボフラビン、ビタミンB 、パントテン酸(パントテネート)およびビオチン等は微生物の大規模培養によ
っても製造される。ビタミンB12だけは、その合成自体が複雑なことから発酵
によってのみ製造される。In vitroの方法では、相当な材料と時間が必要であり
、費用が嵩む場合も多い。
【0043】 C.プリン、ピリミジン、ヌクレオシドおよびヌクレオチドの代謝および使用
法 プリンおよびピリミジン代謝遺伝子およびこれに対応するタンパク質は、腫瘍
による疾病およびウイルス感染の治療法に用いられる重要な標的である。「プリ
ン」または「ピリミジン」という用語には、核酸、補酵素およびヌクレオチドの
構成単位である窒素含有塩基が含まれる。「ヌクレオチド」なる用語には、核酸
分子の塩基性構造単位が含まれ、窒素含有塩基、五炭糖(RNAの場合の糖はリ
ボースであり、これはDNAの場合の糖はD−デオキシリボースである)および
リン酸から構成される。「ヌクレオシド」という用語は、ヌクレオチドへの前駆
体として作用するが、ヌクレオチドが有するリン酸部分を有さない分子である。
これらの分子の生合成または核酸分子を形成するための代謝を阻害することによ
り、RNAおよびDNAの合成を阻害可能となる。例えばガン細胞に対して標的
とする方法でこの様な活性を阻害すれば、腫瘍細胞の分裂と複製の能力を阻害す
る場合がある。更に、核酸分子を形成しないが、エネルギー源(例えば、AMP
)または補酵素(例えば、FADおよびNAD)として作用するヌクレオチドが
存在する。
【0044】 複数の文献に、プリンおよび/またはピリミジン代謝に影響を与えることによ
り、これらの医薬用化学物質を使用する方法が記載されている(例えば、Christ
opherson, R.I.およびLyons, S.D. 著、(1990) “Potent inhibitors of de nov
o pyrimidine and purine biosynthesis as chemotherapeutic agents.” Med.
Res. Reviews 10: 505-548)。プリンおよびピリミジンの代謝に関与する酵素の
研究では、例えば免疫抑制剤または抗増殖剤として使用される新薬の開発に焦点
が当てられている(Smith, J.L., (1995) “Enzymes in nucleotide synthesis.
” Curr. Opin. Struct. Biol. 5: 752-757; (1995) Biochem Soc. Transact. 2
3: 877-902)。しかしながら、プリンおよびピリミジン塩基、ヌクレオシドおよ
びヌクレオチドは、数種類のファインケミカルの生合成の中間体として(例えば
、チアミン、S−アデノシル−メチオニン、葉酸またはリボフラビン)、または
細胞へのエネルギー担体(例えば、ATPまたはGTP)として、そして化学調
味料として一般に使用される薬剤そのもの(例えば、IMPまたはGMP)とし
て、または複数の医学的用途に(例えば、Kuninaka, A.著(1996) Nucleotides a
nd Related Compounds in Biotechnology 第6巻, Rehm等編 VCH: Weinheim, p.
561-612を参照されたい)としての用途がある。更に、プリン、ピリミジン、ヌ
クレオシドまたはヌクレオチドの代謝に関与する酵素も標的として、これに対す
る農作物保護用の化学物質、例えば殺菌剤、除草剤および殺虫剤の開発が進んで
いる。
【0045】 バクテリアにおけるこれらの化合物の代謝は、顕著な特徴を有する(例えば、
Zalkin, H. およびDixon, J.E.著、 (1992) “de novo purine nucleotide bio
synthesis”(Progress in Nucleic Acid Research and Molecular Biology、第
42巻、Academic Pressにおける論考、p. 259-287;、Michal, G.著、(1999) “Nu
cleotides and Nucleosides”, 第8章(Biochemical Pathways: An Atlas of B
iochemistry and Molecular Biology, Wiley: New Yorkにおける論考)を参照さ
れたい)。プリン代謝は集中的な研究対象であり、細胞の正常な機能にとって重
要なものである。高等生物のプリン代謝が悪影響を受けると、痛風などの深刻な
疾患が生ずる。プリンのヌクレオチドは、リボース−5−リン酸から、中間体化
合物イノシン−5’−リン酸(IMP)から複数工程を経て、グアノシン−5’
−一リン酸(GMP)またはアデノシン−5’−一リン酸(AMP)が製造され
、これらからヌクレオチドとして使用される三リン酸が容易に生成する。これら
の化合物はエネルギー源としても利用されるので、その分解により、細胞中にお
ける多種多様な生化学プロセスのエネルギーを生成する。ピリミジン生合成は、
リボース−5−リン酸からのウリジン−5’−モノリン酸(UMP)の生成によ
り行われる。このUMPは、次いでシチジン−5’−三リン酸(CTP)に変換
される。これら全てのヌクレオチドのデオキシ形態は、ヌクレオチドの二リン酸
リボースからヌクレオチドの二リン酸デオキシリボースへの一工程の還元反応に
より行われる。これらの分子は加リン酸反応においてDNA合成に関与すること
がある。
【0046】 D.トレハロースの代謝および使用法 トレハロースは、α,α−1,1結合により結合する2個のグルコース分子か
ら構成される。トレハロースは、食品産業において、甘味料、乾燥または冷凍食
品用添加剤として、および飲料用に一般に使用される。しかしながら、トレハロ
ースには、医薬品、化粧品およびバイオテクノロジー業界での用途もある(例え
ばNishimoto等、(1998) 米国特許第5,759,610号明細書; Singer, M.A. およびLi
ndquist, S.著、 (1998) Trends Biotech. 16: 460-467; Paiva, C.L.A. および
Panek, A.D.著、(1996) Biotech. Ann. Rev. 2: 293-314、およびShiosaka, M.
著、 (1997) J. Japan 172: 97-102、参照)。トレハロースは、多種微生物から
酵素により産生し、周辺の媒体に自然に放出されるものであり、これを公知方法
により回収可能である。
【0047】 [II.本発明の要素および方法] 本発明は、本明細書でMP核酸およびタンパク質分子と称される(表1を参照
)新規な分子の発見に少なくとも一部分基づいているものであり、この新規な分
子は、1種以上の細胞代謝経路において役割を果す、または機能するものである
。一実施形態において、MP分子は、1種以上のアミノ酸(例えば、リシンまた
はメチオニン)、ビタミン、補助因子、機能性食品、ヌクレオチド、ヌクレオシ
ド、またはトレハロースの代謝経路を含む酵素反応を触媒する。好ましい一実施
形態において、アミノ酸、ビタミン、補助因子、機能性食品、ヌクレオチド、ヌ
クレオシド、またはトレハロースの1種以上のC.グルタミカム代謝経路におけ
る本発明による1種以上のMP分子の活性は、この分子を単独で、あるいは同一
でもまたは異なっていても良い代謝経路(例えば、メチオニンまたはリシンの代
謝)に含まれる分子と組み合わせると、この生物による所望のファインケミカル
の製造に影響を与える。特に好ましい実施形態において、本発明のMP分子によ
り活性を調節して、本発明によるMPタンパク質を含むC.グルタミカム代謝経
路を、効率および産出量の点で調節するが、これはC.グルタミカムによる所望
のファインケミカルの製造または製造効率を直接または間接的に調節することに
よって行われる。好ましい実施形態において、ファインケミカルは、アミノ酸、
例えばリシンまたはメチオニンである。別の好ましい実施形態において、MP分
子は、metZ、metYおよび/またはRXA00657である(表1を参照)。
【0048】 「MPタンパク質」または「MPポリペプチド」という用語には、1種以上の
アミノ酸、ビタミン、補助因子、機能性食品、ヌクレオチド、ヌクレオシドまた
はトレハロースの代謝経路において、例えば酵素反応を触媒する役割を果してい
るタンパク質が含まれる。MPタンパク質の例には、表1に示されているMP遺
伝子によりコードされるそうしたものと、奇数番号の配列識別番号(SEQ ID NO
)によりコードされているものが含まれる。「MP遺伝子」または「MP核酸配
列」という用語には、コード領域とこれに対応する非翻訳5’および3’配列領
域から成る、MPタンパク質をコードする核酸配列が含まれる。MP遺伝子の例
には、表1に示された遺伝子が含まれる。「製造(生産)」または「生産性」と
いう用語は当該技術者等に従来から認識されているものであり、所定時間および
所定の発酵体積(例えば、1L(リットル)、1時間当たりのkgの生成物)内
に形成される発酵生成物(例えば、所望のファインケミカル)の濃度が含まれる
。「製造効率」という用語には、達成されるべき生産の特定レベルに必要とされ
る時間が含まれる(例えば、細胞がファインケミカルの生産量の特定速度を得る
ためにどのくらいの時間がかかるのかということ)。「収率」または「産物/炭
素収率」という用語は当該技術者等に従来から認知されているものであり、生成
物(すなわち、ファインケミカル)中への炭素源を変換効率が含まれる。これは
、一般に、例えば、炭素源kg当りのkgの生成物(kg産物/kg炭素源)と
表記される。化合物の収率あるいは製造を向上させると、回収された分子の量、
または所定時間量にわたって所定量の培養においてその化合物の有効に回収され
た分子の量は増加する。「生合成」または「生合成経路」というという用語は当
該技術者等に従来から認識されているものであり、多工程で且つ高度に制御され
た方法で細胞を用いて中間体より得られる化合物、好ましくは有機化合物の合成
が含まれる。「分解」あるいは「分解経路」は当該技術者等に従来から認識され
ているものであり、多工程で且つ高度に制御された方法で細胞を用いて化合物、
好ましくは有機化合物を分解生成物に分解することが含まれる(一般的に言えば
、より小さくまたは複雑でない分子)。「代謝」という用語は当該技術者等に従
来から認識されているものであり、生物で起こる生化学反応全体が含まれる。特
定の化合物の代謝(例えば、グリシン等のアミノ酸の代謝)は、この化合物に関
連している細胞における生合成、修飾、および分解経路全体を含む。
【0049】 本発明によるMP分子を、本発明による1種以上のMP分子か、あるいは1種
以上の同一でもまたは異なっていても良い代謝経路と組み合わせて、所望のファ
インケミカルの収率を向上させても良い。好ましい実施形態において、ファイン
ケミカルはアミノ酸、例えばリシンまたはメチオニンである。あるいは、または
更に、望ましくない副生成物を、MP分子または代謝分子(例えば、リシンまた
はメチオニンの代謝に含まれる分子)の組み合わせまたは分解によって低減させ
ても良い。同一でもまたは異なっていても良い代謝経路の他の分子と組み合わせ
るMP分子は、そのヌクレオチド配列を変更しても良いし、そしてこれに対応す
るアミノ酸配列を変更して、緊縮条件下での活性を変更し、所望のファインケミ
カルの生産性および/または収率を向上させても良い。他の実施形態において、
MP分子の最初の形態または上述したMP分子の変更形態を、同一でもまたは異
なっていても良い代謝経路の他の分子(ヌクレオチド配列が変更されている)と
組み合わせて、緊縮条件下における活性を、所望のファインケミカル、例えばメ
チオニン又はリシン等のアミノ酸の生産性および/または収率が向上するように
変更する。
【0050】 別の実施形態において、本発明のMP分子は、この分子を単独で、あるいは同
一でもまたは異なっていても良い代謝経路の1種以上の分子と組み合わせると、
C.グルタミカム等の微生物中で、ファインケミカル等の所望の分子の生産を調
節することができる。組換え遺伝子技術を使用して、1種以上の、アミノ酸(リ
シンまたはメチオニン)、ビタミン、補助因子、機能性食品、ヌクレオチド、ヌ
クレオシドまたはトレハロースの本発明による生合成酵素または分解酵素を操作
して、その機能が調節されるようにしても良い。例えば、生合成酵素の効率を向
上させるか、あるいはそのアロステリック制御領域を破壊して、化合物の製造に
おけるフィードバック阻害を防いでも良い。同様に、分解酵素を置換、欠失、ま
たは付加によって欠失または修飾して、細胞の生存率に害を与えることなく、酵
素の分解活性を所望の化合物用に低減しても良い。それぞれの場合で、これら所
望のファインケミカルの1つについての全収率または全製造速度を向上させるこ
とが可能である。
【0051】 本発明によるタンパク質およびヌクレオチド分子におけるかかる変更により、
アミノ酸、ビタミン、補助因子、機能性食品、ヌクレオチド、ヌクレオシド、お
よびトレハロース以外のその他のファインケミカルの製造を改善する場合がある
。いずれか1つの化合物の代謝は、他の生合成および細胞内の分解経路と必然的
に絡み合い、そして1つの経路で必要な補助因子、中間体、または基質を、別の
かかる経路により供給または限定する。したがって、本発明によるタンパク質の
1種以上の活性を調節することにより、別のファインケミカル生合成経路または
分解経路の活性の生産または効率に影響を与える場合がある。例えば、アミノ酸
は、全てのタンパク質の構造単位として機能し、その上、タンパク質合成に関し
て限定しているレベルで細胞間に存在しうる;したがって、細胞内における1種
以上のアミノ酸の生産効率あるいは収率を向上させることにより、生合成タンパ
ク質または分解タンパク質等のタンパク質をさらに容易に合成しうる。同様に、
特定の副反応が多かれ少なかれ好適になるように代謝経路酵素における変更によ
り、所望のファインケミカルの生産に中間体または基質として利用される1種以
上の化合物を過剰生産または低生産する場合がある。
【0052】 本発明の単離された核酸配列は、ATCC 13032として認識される、American Typ
e Culture Collectionにより市販されているコリネバクテリウム−グルタミカム
株のゲノム内に含まれている。単離されたC.グルタミカムMP DNAのヌク
レオチド配列が配列表の奇数のSEQ ID NOとして、C.グルタミカムMPタンパ
ク質において予想された(predicted)アミノ酸配列が配列表の偶数のSEQ ID NO
としてそれぞれ示されている。コンピューターにより解析して、これらのヌクレ
オチド配列を、代謝経路のタンパク質、例えばメチオニンまたはリシンの代謝経
路に含まれるタンパク質をコードする配列として分類および/または同定する。
【0053】 本発明は、本発明によるアミノ酸配列に実質的に相同なアミノ酸配列(例えば
、配列表中の偶数のSEQ ID NOによる配列)を有するタンパク質に関する。本明
細書では、選択されたアミノ酸配列に対して実質的に相同なアミノ酸配列を有す
るタンパク質が、選択されたアミノ酸配列、例えば選択されたアミノ酸配列全体
に対して少なくとも約50%相同である。選択されたアミノ酸配列に対して実質
的に相同なアミノ酸配列を有するタンパク質は、選択されたアミノ酸配列に対し
て、少なくとも約50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、
57%、58%、59%、または60%、好ましくは少なくとも約61%、62
%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、または70%
、更に好ましくは少なくとも約71%、72%、73%、74%、75%、76
%、77%、78%、79%、または80%、81%、82%、83%、84%
、85%、86%、87%、88%、89%、または90%、または91%、9
2%、93%、94%、および更に好ましくは少なくとも約95%、96%、9
7%、98%、99%、99.7%またはそれ以上相同である。
【0054】 本発明によるMPタンパク質、または生物学的に活性な部分またはそのフラグ
メントは、これを単独で、あるいは1種以上の同一でもまたは異なっていても良
い代謝経路と組み合わせて、1種以上のアミノ酸、ビタミン、補助因子、機能性
食品、ヌクレオチド、ヌクレオシド、またはトレハロースの代謝経路における酵
素反応を触媒可能であり、あるいは表1に記載の1種類以上の活性を有する(例
えば、メチオニンまたはリシンの生合成における代謝)。
【0055】 本発明の実施形態の詳細について、以下に更に説明する。
【0056】 A.単離された核酸分子 本発明は、MPポリペプチドまたはその生物学的に活性な部分をコードする単
離された核酸分子、並びにMPをコードする核酸(例えば、MP DNA)の認識(同
定)または増幅のために用いられるハイブリダイゼーションプローブまたはプラ
イマーとして使用可能な核酸分子フラグメントを含む。本明細書では、「核酸分
子」なる用語を、DNA分子(例えば、cDNAまたはゲノムDNA)およびR
NA分子(例えば、mRNA)およびヌクレオチドの類似体を用いて生成したD
NAおよびRNAの類似体を含む意図で使用する。この用語は、遺伝子のコード
領域の3’および5’末端双方に存在する未翻訳の配列、すなわち遺伝子のコー
ド領域の5’末端から上流の少なくとも約100ヌクレオチドの配列、および遺
伝子のコード領域の3’末端から下流の少なくとも約20ヌクレオチドの配列も
含む。核酸分子は1本鎖または2本鎖であるが、2本鎖のDNAであることが好
ましい。「単離された」核酸分子は、核酸の天然源に存在する他の核酸分子から
分離されたものである。「単離された」核酸分子は、生物のゲノムDNAに由来
し、天然にはこのゲノムDNAの核酸の側方に位置する配列(すなわち核酸の5
’末端および3’末端に配置された配列)を有さないことが好ましい。例えば、
種々の実施の形態において、単離されたMP核酸分子は、天然の状態では、この
核酸を誘導する細胞(例えば、C.グルタミカム細胞)のゲノムDNAの側方に
位置し、約5kb、4kb、3kb、2kb、1kb、0.5kbまたは0.1
kb未満の長さのヌクレオチド配列から構成されうる。更に、「単離された」核
酸分子、例えばDNA分子は、他の細胞材料、組換え技術により製造された場合
に用いられた培地を実質上含まず、または化学的に合成された場合も化学的前駆
体や他の化学物質を実質上含まない。
【0057】 本発明の核酸分子、例えば配列表の奇数のSEQ ID NOのヌクレオチド配列を有
する核酸分子またはその一部は、標準的な分子生物学による技術により単離され
、配列情報は本明細書に記載する。例えば、C.グルタミカムMP DNAは、ハイブ
リダイゼーションプローブおよび標準的なハイブリダイゼーション技術として、
配列表の奇数のSEQ ID NO配列のいずれかの全体または一部を用い、C.グルタ
ミカムライブラリから単離可能である(例えば、Sambrook, J., Fritsh, E.F., a
nd Maniatis, T. 共著、Molecular Cloning: A Laboratory Manual. 第2版., C
old Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold
Spring Harbor, NY, 1989に開示されている)。更に、本発明の核酸配列によるい
ずれか(例えば奇数のSEQ ID NO)の、全体または一部を含む核酸分子を、この
配列に基づき設計されたオリゴヌクレオチドプライマーを用いたポリメラーゼ連
鎖反応により単離可能である(例えば、本発明による核酸配列のいずれか(例え
ば、配列表の奇数のSEQ ID NO)の、全体または一部を含む核酸分子は、同様の
配列に基づき設計されたオリゴヌクレオチドプライマーを用いたポリメラーゼ連
鎖反応により単離可能である)。例えば、mRNAは、通常の内皮細胞から単離
され(例えば、Chirgwin等著、 (1979) Biochemistry 18: 5294-5299に記載のグ
アニジニウム−チオシアン酸抽出操作による)、そしてDNAは、逆転写酵素を
用いて製造される(例えば、Gibco/BRL、Bethesda, MD製、Moloney MLV 逆転写
酵素、または Seikagaku America, Inc., St. Petersburg, FL製AMV逆転写酵
素)。ポリメラーゼ連鎖反応による増幅に用いられる合成オリゴヌクレオチドプ
ライマーは、配列表に記載のいずれかのヌクレオチド配列に基づき設計されうる
。本発明の核酸は、テンプレートとしてのcDNAまたはゲノムDNAと、標準
的なPCR増幅技術において適当とされるオリゴヌクレオチドプライマーとを用
いて増幅される。このように増幅された核酸は、適当なベクターにクローンされ
、そしてDNA配列分析により特徴付けが行われる。更に、MP核酸配列に対応
するオリゴヌクレオチドは、標準的合成技術により、例えば自動DNA合成機器
を用いて製造される。
【0058】 好ましい実施の形態において、本発明の単離された核酸分子は、配列表に記載
されたヌクレオチド配列のいずれかを含む。配列表に記載された本発明の核酸配
列は、本発明のコリネバクテリウム−グルタミカムMP DNAに相当する。こ
のDNAには、MPタンパク質をコードする配列(すなわち配列表における奇数
のSEQ ID NOの配列に示されている「コード領域」)、並びに配列表の奇数のSEQ
ID NOの配列に示されている5’未翻訳配列および3’未翻訳配列を含む。ある
いは、この核酸分子は、配列表の核酸配列のいずれかのコード領域のみを含むも
のであってもよい。
【0059】 本願の目的のために、配列表に記載されたMP核酸およびアミノ酸配列の一部
には、「RXA」、「RXN」、「RXS」または「RXC」の表示と、その後の5桁の数値
とを含む識別用のRXA、RXN、RXSまたはRXC番号が付けられている(例えば、RXA、
RXN、RXS、またはRXC)。各核酸配列は、3個までの部分、すなわち5’上流領域
、コード領域、下流領域を含む。これらの3領域は、混乱を防ぐため、それぞれ
共通の(同一の)RXA、RXN、RXS、またはRXC表示により識別される。「配列表に
おける奇数の配列のいずれか」という表現は、異なるRXA、RXN、RXS、またはRXC
表示により認識可能な、配列表中の核酸配列のいずれかであることを示している
。各配列のコード領域は、配列表に偶数のSEQ ID NOとして、すなわち対応する
核酸配列のすぐ下に記載されている対応のアミノ酸配列に翻訳される。例えば、
RXA00115のコード領域はSEQ ID NO: 69に示され、これがコードするアミノ酸配
列はSEQ ID NO: 70に記載されている。本発明による核酸分子配列は、これらが
コードするアミノ酸分子と同じRXA、RXN、RXS、またはRXCの表示により識別され
て、相関性が容易に読みとれる。例えば、RXA00115と表示したアミノ酸配列は、
核酸分子RXA00115のヌクレオチド配列のコード領域を翻訳したものであり、RXN0
0403と表示したアミノ酸配列は、RXN00403のヌクレオチド配列におけるコード領
域を翻訳したものであり、およびRXS03158と表示したアミノ酸配列は、RXS03158
のヌクレオチド配列におけるコード領域を翻訳して得られたものである。本発明
のRXA、RXN、RXS、およびRXCによるヌクレオチド配列およびアミノ酸配列と、こ
れらの割り当てられたSEQ ID NOとの対応関係は、表1に示されている。
【0060】 本発明における数種類の遺伝子は、「F表示(指示)遺伝子(F-designated g
enes)」である。F表示遺伝子は、RXA、RXN、RXS、またはRXCの表示の前に「F
」を有し、表1に記載の遺伝子を含む。例えば、表1に記載されているようにSE
Q ID NO: 77 は、「F RXA00254」というF表示遺伝子である。表1には、metZ(
またはmetY)およびmetC遺伝子(それぞれSEQ ID NO:1およびSEQ ID NO:3と示さ
れている)についても列挙されている。metZおよびmetC遺伝子によりコードされ
る対応のアミノ酸配列は、それぞれSEQ ID NO:2およびSEQ ID NO:5と示されて
いる。
【0061】 一実施の形態において、本発明の核酸分子は、表2に記載されたものは含まな
くてもよい。
【0062】 他の好ましい実施の形態において、本発明の単離された核酸分子は、本発明の
ヌクレオチド配列のいずれか(例えば、配列表の奇数のSEQ ID NOの配列)に相
補性を有する核酸分子、またはその一部を含む。本発明のヌクレオチド配列のい
ずれかに相補性のある核酸分子は、配列表に示されたヌクレオチド配列のいずれ
か(例えば、奇数のSEQ ID NOの配列)に対し十分な相補性を有し、これにハイ
ブリダイズし、安定な二本鎖を形成する。
【0063】 更に他の実施の形態において、本発明の単離された核酸分子は、少なくとも約
50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、
59%、または60%、好ましくは少なくとも約61%、62%、63%、64
%、65%、66%、67%、68%、69%、または70%、更に好ましくは
少なくとも約71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78
%、79%、または80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%
、87%、88%、89%、または90%、または91%、92%、93%、9
4%、および更に好ましくは少なくとも約95%、96%、97%、98%、9
9%、99.7%またはそれ以上、本発明のヌクレオチド配列(配列表の奇数の
SEQ ID NOの配列)またはその一部に相同である。上記各値の中間値により示さ
れる値の範囲(例えば、70%〜90%同一または80〜95%同一)も本発明
に含まれる。例えば、上限値および/または下限値として記載された上述の値の
いずれを組み合わせて値の範囲としてもよい。更に他の好ましい実施の形態にお
いて、本発明の単離された核酸分子が、ハイブリダイズする、例えば緊縮条件下
で、本発明のヌクレオチド配列またはその一部のいずれかとハイブリダイズする
、ヌクレオチド配列を含む。
【0064】 更に、本発明の核酸分子は、配列表の奇数のSEQ ID NOのいずれかの配列にお
けるコード領域の一部のみ、例えばプローブもしくはプライマーとして使用可能
なフラグメント、またはMPタンパク質の生物学的に活性な部分をコードするフ
ラグメントのみから成ってもよい。C.グルタミカム由来のMP遺伝子のクロー
ニングにより決定されたヌクレオチド配列により、他種の細胞および生物に相同
なMP並びに他のコリネバクテリアまたは関連種由来のMP類似体を認識および
/またはクローニングで使用するために設計されたプローブまたはプライマーの
生成が行われる。プローブ/プライマーは、通常、実質的に精製されたオリゴヌ
クレオチドを含む。このオリゴヌクレオチドは、一般に、緊縮条件下で少なくと
も約12、好ましくは約25、更に好ましくは40、50または75の連続した
、本発明によるヌクレオチド配列のいずれか(例えば、配列表の奇数のSEQ ID N
Oのいずれかの配列)におけるセンス鎖ヌクレオチドとハイブリダイズするヌク
レオチド配列領域、この配列のいずれかにおけるアンチセンス配列、または天然
に発生するこれらの変異体を含む。本発明のヌクレオチド配列に基づくプライマ
ーをPCR反応に使用して、MP相同体のクローンを可能となる。MPヌクレオチ
ド配列に基づくプローブを使用して、転写により得られた配列(転写物)、また
は同配列または相同なタンパク質をコードするゲノム配列を検出する。好ましい
実施の形態において、更にプローブは、これに付されたラベルグループを有して
いる。このラジオグループの例は、放射性同位体、紫外線化合物、酵素、酵素補
助因子である。かかるプローブは、例えば細胞サンプル中のMPコード核酸のレ
ベルを、例えばMPmRNAレベルの検出またはゲノムMP遺伝子の変異または
欠失を確認して測定することにより、MPタンパク質の誤発現を行う細胞を認識
するための医療(診断)用テストキットの一部として使用される。
【0065】 一実施の形態において、本発明の核酸分子は、本発明のアミノ酸配列(例えば
配列表の偶数のSEQ ID NOの配列)に、タンパク質またはその一部(タンパク質
部分)がアミノ酸、ビタミン、補助因子、機能性食品、ヌクレオチド、ヌクレオ
シド、またはトレハロースの代謝経路における酵素反応を触媒する能力を維持す
るために十分な程度に相同なアミノ酸配列を含むタンパク質またはタンパク質部
分をコードする。本明細書における「十分に相同」という表現は、本発明のアミ
ノ酸配列と同一または等価(例えば、配列表の偶数のSEQ ID NOのいずれかの配
列におけるアミノ酸残基と類似する側鎖を有するアミノ残基)である最小数のア
ミノ酸残基を含むアミノ酸配列を有するタンパク質またはその一部分を意味して
、このタンパク質またはその一部分がC.グルタミカムのアミノ酸、ビタミン、
補助因子、機能性食品、ヌクレオチド、ヌクレオシド、またはトレハロース代謝
経路における酵素反応を触媒可能となる。この様な代謝経路のタンパク質メンバ
ーは、本明細書に記載のとおり、1種類以上のアミノ酸、ビタミン、補助因子、
機能性食品、ヌクレオチド、ヌクレオシド、またはトレハロースの生合成または
分解を触媒するための機能を有する。従って、「MPタンパク質の機能」は、1
種以上の代謝経路の機能全体に関与し、そして1種以上のファインケミカルの収
率、製造および/または製造効率に直接的または間接的に関与するものである。
MPタンパク質活性の例を表1に記載する。
【0066】 他の実施の形態において、タンパク質は、本発明のアミノ酸の配列全体(例え
ば配列表の偶数のSEQ ID NOによる配列)に対して、少なくとも約50%、51
%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、また
は60%、好ましくは少なくとも約61%、62%、63%、64%、65%、
66%、67%、68%、69%、または70%、更に好ましくは少なくとも約
71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、
または80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、8
8%、89%、または90%、または91%、92%、93%、94%、および
更に好ましくは少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%、99.
7%またはそれ以上相同である。
【0067】 本発明のMP核酸分子によりコードされたタンパク質部分は、MPタンパク質
のいずれかにおける生物学的に活性な部分であることが好ましい。本明細書中、
「MPタンパク質の生物学的に活性な部分」という表現は、1種類以上のC.グ
ルタミカムのアミノ酸、ビタミン、補助因子、機能性食品、ヌクレオチド、ヌク
レオシド、またはトレハロース代謝経路における酵素反応を触媒するか、あるい
は表1に記載の活性を有する部分、例えばMPタンパク質のドメイン/モチーフ
を含むものである。MPタンパク質またはその生物学的に活性な部分がアミノ酸
、ビタミン、補助因子、機能性食品、ヌクレオチド、ヌクレオシド、またはトレ
ハロース代謝経路における酵素反応を触媒可能であるかどうかを判断するために
、酵素活性の評価を行う。この様な評価方法は当該技術者等に公知であり、その
具体例は実施例8に詳細に記載されている。
【0068】 MPタンパク質の生物学的に活性な部分をコードしている他の核酸フラグメン
トは、本発明のアミノ酸配列(例えば配列表の偶数のSEQ ID NO)のいずれかの
一部を単離することにより製造され、MPタンパク質またはペプチドのコードさ
れた部分を発現し(例えばin vitroでの組換え発現による)、MPタンパク質ま
たはペプチドのコードされた部分の活性を評価する。
【0069】 更に本発明は、遺伝子コードの縮重により本発明のヌクレオチド配列(例えば
配列表の奇数のSEQ ID NOの配列)(およびその一部)とは異なる配列を有し、
本発明のヌクレオチド配列によりコードされていると同じMPタンパク質をコー
ドしている核酸分子を含む。他の実施の形態において、本発明の単離された核酸
分子が配列表に記載のアミノ酸配列(例えば偶数のSEQ ID NO)を有するタンパ
ク質をコードするヌクレオチド配列を有していると好ましい。更に他の実施の形
態において、本発明の単離された核酸分子は、本発明のアミノ酸配列に対して実
質的に相同なC.グルタミカムタンパク質の全体をコードする(配列表中の奇数
のSEQ ID NOに示されたオープン・リーディング・フレームによりコードされて
いる)。
【0070】 一実施の形態において、本発明の配列は、本発明より以前に得られた表2に記
載のGenbank配列等の従来技術による配列を含まないことは当該技術者等には明
白である。一実施の形態において、本発明は、従来技術による配列(例えば、表
2に記載のGenbank配列(またはかかる配列によりコードされるタンパク質))
と比較して、本発明のヌクレオチドまたはアミノ酸配列に同一な部分の割合が大
きいヌクレオチド配列およびアミノ酸配列を含む。例えば、本発明は、RXA00657
という表示によるヌクレオチド配列(SEQ ID NO: 5)に45%以上同一なヌクレ
オチド配列を含む。当該技術者等により、本発明の所定の配列に対する同一性の
割合の下限は、この所定配列についてヒットした表4に記載の上位3つに関して
GAPにより計算された同一性割合のスコアを検討し、そしてGAPにより計算
された最高の同一性割合の値(%)を100%から差し引くことにより、計算可
能となった。このように計算された下限値よりも高い同一性割合を有する核酸お
よびアミノ酸配列(例えば、少なくとも約50%、51%、52%、53%、5
4%、55%、56%、57%、58%、59%、または60%、好ましくは少
なくとも約61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%
、69%、または70%、更に好ましくは少なくとも約71%、72%、73%
、74%、75%、76%、77%、78%、79%、または80%、81%、
82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、または9
0%、または91%、92%、93%、94%、および更に好ましくは少なくと
も約95%、96%、97%、98%、99%、99.7%またはそれ以上同一
)が、本発明に含まれることは、当該技術者等には明白に理解される。
【0071】 奇数のSEQ ID NOとして配列表に記載されているC.グルタミカムMP核酸配
列の他に、個体群(例えば、C.グルタミカム個体群)中にMPタンパク質のア
ミノ酸配列の変化を起こすDNA配列多形性(polymorphism)が存在し得ること
も当該技術者等には理解される。MP遺伝子におけるこの様な遺伝的多形性は、
天然の変異に起因して個体群の個体に存在することもある。本明細書で用いられ
る「遺伝子」および「組換え遺伝子」という用語は、MPタンパク質、好ましく
はC.グルタミカムMPタンパク質をコードするオープン・リーディング・フレ
ームを含む核酸分子を意味する。かかる天然の変異により、MP遺伝子のヌクレ
オチド配列において、通常は1〜5%変動する。MPにおける、上述のような、
または他の全てのヌクレオチドの変動(変異)およびこれにより得られるアミノ
酸の多形性は、天然の変異の結果であり、MPタンパク質の機能的活性を変化さ
せるものではなく、本発明に含まれるものである。
【0072】 本発明のC.グルタミカムMP DNAの天然変異体および非−C.グルタミ
カム相同体に対応する核酸分子は、C.グルタミカム、またはこれらの一部に関
して上述したC.グルタミカムMP核酸に対する相同性に基づいて、緊縮ハイブ
リダイゼーション条件下の標準的ハイブリダイゼーション技術によりハイブリダ
イゼーションプローブとして単離される。従って、他の実施の形態において、本
発明の単離された核酸分子は、15以上の長さのヌクレオチドから成り、配列表
の奇数のSEQ ID NOのヌクレオチド配列を含む核酸分子に対し、緊縮条件下でハ
イブリダイズする。他の実施の形態において、核酸分子は、少なくとも30、5
0、100、または250以上の長さのヌクレオチドを有する。本明細書で使用
される「緊縮条件下でハイブリダイズする」なる用語は、相互に60%以上相同
なヌクレオチド配列が相互にハイブリッドした状態を保つ、ハイブリダイゼーシ
ョンとウォッシングの条件を示す目的で使用する。この条件は、少なくとも約6
5%、更に好ましくは少なくとも約70%、および更に好ましくは少なくとも約
75%以上相互に相同な配列が相互にハイブリッドした状態を保つ条件であるこ
とが好ましい。かかる緊縮条件は当該技術者等に公知であり、Current Protocol
s in Molecular Biology, John Wiley & Sons, N.Y. (1989), 6.3.1-6.3.6.に記
載されている。
【0073】 緊縮ハイブリダイゼーション条件の好ましい例(これに限定されない)は、6
X塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)にて約45℃でハイブリダイ
ズした後、0.2 X SSC、0.1% SDS で、50〜65℃にて1回以上洗浄したことに
よるハイブリダイゼーションである。緊縮条件下で本発明のヌクレオチド配列に
ハイブリダイズする本発明の単離された核酸分子は、天然に発生する核酸分子に
対応していることが好ましい。本明細書で、「天然に発生する」核酸分子とは、
天然に起こるヌクレオチド配列を有するRNAまたはDNA分子(例えば、天然
のタンパク質をコードしている)を意味する。一実施の形態において、核酸は、
天然のC.グルタミカムMPタンパク質をコードするものである。
【0074】 個体群中に存在する可能性のあるMP配列の天然に発生する変異体の他に、本
発明のヌクレオチド配列に変異による変化が生じ、これからコードされたMPタ
ンパク質のアミノ酸配列に変化が生じ、その際MPタンパク質の機能上の能力に
は変化が起こらないことも、当該技術者等には理解される。例えば、「非必須」
アミノ酸残基におけるアミノ酸の置換を引き起こすヌクレオチドの置換は、本発
明のヌクレオチド配列中で起こり得る。「非必須」アミノ酸残基は、MPタンパ
ク質のいずれかの野生型配列(例えば、配列表の偶数のSEQ ID NO)から変化が
生じうる残基であり、その際このMPタンパク質の活性には変化のないものであ
る。一方、「必須」アミノ酸残基は、MPタンパク質活性に必要なアミノ酸残基
である。しかしながら、他のアミノ酸残基(例えば、MP活性を有するドメイン
で保存されていないか、または半保存状態であるアミノ酸)は活性に必須でない
こともあるため、MP活性に変化のない状態で変化を受けやすい。
【0075】 従って、更に本発明は、MP活性に必須ではないアミノ酸残基中に変化を含む
MPタンパク質をコードする核酸分子に関する。かかるMPタンパク質のアミノ
酸配列は、配列表の偶数のSEQ ID NOの配列とは異なるが、本明細書中に記載し
た1種類以上のMP活性を含むものである。一実施の形態において、単離された
核酸分子は、本発明のアミノ酸配列に少なくとも約50%相同なアミノ酸配列を
含み、かつアミノ酸、ビタミン、補助因子、機能性食品、ヌクレオチド、ヌクレ
オシド、またはトレハロースの代謝経路における酵素反応を触媒可能であるか、
あるいは表1に記載の1種類以上の活性を有するアミノ酸配列を含むタンパク質
をコードするヌクレオチド配列を含む。核酸分子にコードされるタンパク質は、
本発明によるいずれかのアミノ酸配列に対して、少なくとも約50%、51%、
52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、または6
0%、好ましくは少なくとも約61%、62%、63%、64%、65%、66
%、67%、68%、69%、または70%、更に好ましくは少なくとも約71
%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、また
は80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%
、89%、または90%、または91%、92%、93%、94%、および更に
好ましくは少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%、99.7%
またはそれ以上相同であることが好ましい。
【0076】 2種類のアミノ酸配列(例えば、本発明のアミノ酸配列のいずれかと、この変
異形)または2種類の核酸の相同な割合を測定するため、最適な比較が可能なよ
うに配列が決定される(例えば、一方のタンパク質または核酸の配列と他方のタ
ンパク質または核酸との最適な位置(アライメント)を得るためにギャップを設
けることができる)。アミノ酸残基またはヌクレオチドとの、対応するアミノ酸
位置またはヌクレオチド位置同士を比較する。一方の配列の位置(例えば、本発
明のアミノ酸配列の一つ)に、他方の配列(例えば、アミノ酸配列の変異形)の
対応する位置と同一のアミノ酸残基またはヌクレオチドが存在する場合、この位
置で分子は相同である(すなわち、本発明で使用されるアミノ酸または核酸の「
相同性」は、アミノ酸または核酸の「同一性」と等価である)。2つの配列間の
相同性割合は、これらの配列間に占める同一な位置の数に対する関数である(す
なわち、相同性(%)=同一位置の数/位置の総数×100)。
【0077】 本発明のタンパク質配列(例えば、配列表の偶数のSEQ ID NOの配列)に相同
なMPタンパク質をコードしている単離された核酸分子は、本発明のヌクレオチ
ド配列へ1個以上のヌクレオチドの置換、付加または欠失によって起こり、これ
によりコードされたタンパク質に1個以上のアミノ酸の置換、付加、欠失が生ず
ることにより生成する。標準的技術、例えば特定部位の突然変異誘発およびPCR
仲介突然変異等により、本発明のいずれかのヌクレオチド配列の変異が生ずる。
保存的アミノ酸置換が、1種類以上の予測された非必須アミノ酸残基上で起こる
のが好ましい。「保存的アミノ酸置換」は、アミノ酸残基が、類似の側鎖を有す
るアミノ酸残基により置換されることを意味する。類似する側鎖を有するアミノ
酸残基のファミリーは、当該分野で定義されている。これらのファミリーには、
塩基性側鎖を有するアミノ酸(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸
性側鎖を有するアミノ酸(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極
性側鎖を有するアミノ酸(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリ
ン、スレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖を有するアミノ酸(例え
ば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン
、メチオニン、トリプトファン)、β−分岐側鎖を有するアミノ酸(例えば、ス
レオニン、バリン、イソロイシン)、および芳香性側鎖を有するアミノ酸(例え
ばチロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)が含まれる。従
って、MPタンパク質中の予測された非必須アミノ酸が、同じ側鎖ファミリーに
属する他のアミノ酸残基により代替されることが好ましい。あるいは、他の好ま
しい実施の形態において、MPコード配列の全てまたは一部に対して、飽和変異
生成(saturation mutagenesis)等によりランダムに変異が生じ、これにより得ら
れた変異体の上記MP活性をスクリーニングし、変異体がMP活性を保持してい
ることを確認する。配列表の奇数のSEQ ID NOのいずれかのヌクレオチド配列の
変異生成により、これによりコードされたタンパク質は組換えによる発現を行う
ため、このタンパク質の活性を、例えば本明細書に記載の(具体例として実施例
8を参照)評価法により評価する。
【0078】 上述のMPタンパク質をコードする核酸分子の他に、本発明は、これに対して
アンチセンスな、単離された核酸分子に関する。「アンチセンス」な核酸とは、
所定のタンパク質をコードする「センス」核酸に相補性を有するヌクレオチド配
列、例えば2本鎖DNA分子のコードストランドまたはmRNA配列に対する相
補性を有するヌクレオチド配列を意味する。従って、アンチセンス核酸はセンス
核酸に水素結合することができる。アンチセンス核酸は全MPコードストランド
に対して相補性を有することも、その一部にのみ相補性を有することも可能であ
る。一実施の形態において、アンチセンスヌクレオチド分子は、MPタンパク質
をコードするヌクレオチド配列のコードストランドの「コード領域」にアンチセ
ンスである。「コード領域」とは、アミノ酸残基に翻訳されるコドンを含むヌク
レオチド配列の領域を意味する(例えば、SEQ ID NO.: 1(metZ)のコード領域全
体は、ヌクレオチド363〜1673を含む)。他の実施の形態において、アン
チセンス核酸分子はMPをコードするヌクレオチド配列のコード鎖(コードスト
ランド)の「非コード領域」にアンチセンスである。「非コード領域」とは、ア
ミノ酸に翻訳されない、コード領域の側方に存在する5’および3’配列を意味
する(すなわち、5’および3’未翻訳領域とも称される)。
【0079】 本発明に開示されたMPをコードする所定のコード鎖配列(例えば、配列表の
奇数のSEQ ID NOに示された配列)として、本発明のアンチセンス核酸は、ワト
ソンとクリックによる塩基対のルールにより設計することができる。アンチセン
ス核酸分子は、MPmRNAの全コード領域に相補性を有してもよいが、MPm
RNAのコード領域または非コード領域の一部のみにアンチセンスなオリゴヌク
レオチドでると好ましい。例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、MPm
RNAの翻訳開始サイト(部位)を取り巻く領域に相補性を有することも可能で
ある。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、例えば、約5、10、15、20、25、30
、35、40、45または50ヌクレオチド長とされうる。本発明のアンチセンス核酸は
、当該分野で公知の手法により化学合成および酵素的結合反応により構成される
。例えば、アンチセンス核酸(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド)は、
天然に発生するヌクレオチドを用いて化学的に合成可能であり、あるいは分子の
生物学的安定性を向上させるため、もしくはアンチセンスとセンス核酸、例えば
ホスホロチオエート誘導体とアクリジン置換ヌクレオチドとの間で形成する2本
鎖の物理的安定性を向上させるために設計された種々の修飾を有するヌクレオチ
ドを使用可能である。アンチセンス核酸の生成に使用されうる修飾されたヌクレ
オチドの例は、5−フルオロウラシル、5−ブロモウラシル、5−クロロウラシ
ル、5−ヨードウラシル、ヒポキサンチン、キサンチン、4−アセチルシトシン
、5−(カルボキシヒドロキシメチル)ウラシル、5−カルボキシメチルアミノ
メチル−2−チオウリジン、5−カルボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒ
ドロウラシル、β−D−ガラクトシルキノシン、イノシン、N6−イソペンテニ
ルアデニン、1−メチルグアニン、1−メチルイノシン、2,2−ジメチルグア
ニン、2−メチルアデニン、2−メチルグアニン、3−メチルシトシン、5−メ
チルシトシン、N6−アデニン、7−メチルグアニン、5−メチルアミノメチル
ウラシル、5−メトキシアミノメチル−2−チオウラシル、β−D−マンノシル
キノシン、5’−メトキシカルボキシメチルウラシル、5−メトキシウラシル、
2−メチルチオ−N6−イソペンテニルアデニン、ウラシル−5−オキシ酢酸(
v)、ワイブトキソシン(wybutoxosine)、プソイドウラシル、キノシン、2−
チオシトシン、5−メチル−2−チオウラシル、2−チオウラシル、4−チオウ
ラシル、5−メチルウラシル、ウラシル−5−オキシ酢酸メチルエステル、ウラ
シル−5−オキシ酢酸(v)、5−メチル−2−チオウラシル、3−(3−アミ
ノ−3−N−2−カルボキシプロピル)ウラシル、(acp3)w、および2,
6−ジアミノプリンである。あるいは、アンチセンス核酸は、核酸を発現ベクタ
ーにアンチセンス方向にサブクローニングしたものを用いて生物学的に製造可能
でもある(すなわち、挿入された核酸から転写されたRNAは、目的の核酸に対
してアンチセンスな方向に配置される。これについては以下に更に詳細に説明す
る。)。
【0080】 本発明のアンチセンス核酸分子は、MPタンパク質をコードする細胞のmRN
Aおよび/またはゲノムDNAとハイブリダイズまたは結合するように、一般的
には細胞に投入されるか、または現場で生成され、転写および/または翻訳を阻
害する等によりタンパク質の発現が阻害される。このハイブリダイゼーションは
、安定な2本鎖を形成する本来のヌクレオチドの相補性により行うことができる
が、DNA2本鎖に結合するアンチセンス核酸分子の場合等には、二重らせんに
結合する主溝での特異的相互作用により行うことも可能である。アンチセンス分
子は、所定の細胞表面の受容体または同細胞表面で発現する抗原に特異的に結合
するように、例えば細胞表面上の受容体または抗原と結合するペプチドまたは抗
体にアンチセンス核酸分子を結合するなどして修飾されうる。アンチセンス核酸
分子を、本発明に開示されているベクターを用いて細胞に導入することも可能で
ある。アンチセンス分子の十分な細胞内濃度を得るために、原核細胞、ウイルス
性または真核細胞のプロモータの強力な制御下に、アンチセンス核酸分子が配置
されたベクター構成体が好ましく用いられる。
【0081】 他の実施の形態において、本発明のアンチセンス核酸分子として、α−アノマ
ー核酸分子が用いられる。α−アノマー核酸分子は、相補性RNAと特異的な2
本鎖ハイブリッドを形成し、この場合、通常のβユニットと異なり、各ストラン
ドが互いに平行に伸長する(Gaultier等著、(1987) Nucleic Acids. Res. 15: 6
625-6641)。アンチセンス核酸分子は、2’−o−メチルリボヌクレオチド(In
oue等著、(1987) Nucleic Acids Res. 15: 6131-6148)、またはキメラRNA-DNA
類似体(Inoue等著、(1987) FEBS Lett. 215: 327-330)を含んでもよい。
【0082】 他の実施の形態において、本発明のアンチセンス核酸がリボザイムであっても
よい。リボザイムは触媒活性を有するRNA分子であり、相補性領域を有する1
本鎖核酸、例えばmRNAを切断可能なリボヌクレアーゼ活性を有する。従って
、リボザイム(例えば、ハンマーヘッドリボザイム(HaselhoffおよびGerlach著
、 (1988) Nature 334: 585-591に記載))を用いて、MPmRNAの転写体を
触媒的に切断し、MPmRNAの翻訳を阻害することができる。MPコード核酸
に対する特異性を有するリボザイムは、本明細書に記載のMPDNA(例えばSE
Q ID NO: 1 (metZ))のヌクレオチド配列に基づき設計可能である。例えば、テ
トラヒメナL-19 IVS RNAの誘導体は、活性部位のヌクレオチド配列がMPコード
mRNAにおいて切断可能なヌクレオチド配列に対して相補性を有する構成とさ
れうる。これについては、例えばCech等、米国特許第4,987,071号、およびCech
等、米国特許第5,116,742号の各明細書を参照されたい。あるいは、MPmRN
Aを用いて、RNA分子のプールより特異的リボヌクレアーゼ活性を有する触媒
活性RNAを選択することもできる。これについては、Bartel, D.およびSzosta
k, J.W. 共著 (1993) Science 261: 1411-1418を参照されたい。
【0083】 あるいは、MPヌクレオチド配列の調節領域(例えば、MPプロモーターおよ
び/またはエンハンサー)に相補性を有するヌクレオチド配列を標的とすること
によりMP遺伝子の発現を阻害して、標的細胞中におけるMP遺伝子の転写を防
ぐ三重らせん構造を形成可能となる。これについては、Helene, C. (1991) Anti
cancer Drug Des. 6(6): 569-84; Helene, C. 等著、(1992) Ann. N.Y. Acad. S
ci. 660: 27-36、およびMaher, L.J.等著 (1992) Bioassays 14(12): 807-15を
参照されたい。
【0084】 更に本発明は、メチオニンおよび/またはリシンの代謝に関与する遺伝子の組
み合わせ、そして本発明の方法においてメチオニンおよび/またはリシンの代謝
に関与する遺伝子の組み合わせの使用法に関する。組み合わせとしては、metZと
、metC、metB(シスタチオニンシンターゼをコードする)、metA(ホモセリン−
O−アセチルトランスフェラーゼをコードする)、metE(メチオニンシンターゼ
をコードする)、metH(メチオニンシンターゼをコードする)、hom(ホモセリ
ンデヒドロゲナーゼをコードする)、asd(アスパラギン酸セミアルデヒドデヒ
ドロゲナーゼをコードする)、lysC/ask(アスパラトキナーゼをコードする)お
よびrxa00657(本明細書で、SEQ ID NO.:5と示されている)、dapA(ジヒドロジ
ピコリン酸シンターゼをコードする遺伝子)、dapC(2,3,4,5−テトラヒ
ドロピリジン−2−カルボン酸N−スクシニルトランスフェラーゼをコードする
遺伝子)、dapD/argD(アセチルオルニチントランスアミナーゼをコードする遺
伝子)、dapE(スクシニルジアミノピメリン酸デスクシニラーゼをコードする遺
伝子)、dapF(ジアミノピメリン酸エピメラーゼをコードする遺伝子)、lysA(
ジアミノピメリン酸デカルボキシラーゼをコードする遺伝子)、ddh(ジアミノ
ピメリン酸デヒドロゲナーゼをコードする遺伝子)、lysE(リシンエクスポータ
ー(lysine exporter)についてコードする遺伝子)、lysG(エクスポーター調
節剤についてコードする遺伝子)、hsk(ホモセリンキナーゼをコードする遺伝
子)、並びに補充反応に関与する遺伝子、例えばppc(ホスホエノンピルビン酸
カルボキシラーゼをコードする遺伝子)、ppcK(ホスホエノンピルピン酸カルボ
キシキナーゼをコードする遺伝子)、pycA(ピルビン酸カルボキシラーゼをコー
ドする遺伝子)、aacD、accA、accB、accC(アセチル−CoA−カルボキシラーゼ
のサブユニットについてコードする遺伝子)、並びにペントース−リン酸経路の
遺伝子、グルコース−6−リン酸−デヒドロゲナーゼをコードするgpdh遺伝子、
opcA、pgdh(6−ホスホグルコネート−デヒドロゲナーゼをコードする遺伝子)
、ta(トランスアルドラーゼをコードする遺伝子)、tk(トランスケトラーゼを
コードする遺伝子をコードする遺伝子)、pgl(6−ホスホグルコノラクトナー
ゼをコードする遺伝子)、rlpe(リブロースリン酸3−エピメラーゼをコードす
る遺伝子)、rpe(リブロース5−リン酸エピメラーゼをコードする遺伝子)と
の組み合わせか、またはペントースリン酸経路に関して上述した遺伝子の組み合
わせか、または本発明による他のMP遺伝子との組み合わせが好ましい。
【0085】 この遺伝子のヌクレオチド配列および対応するアミノ酸配列を変化させて(変
更して)誘導体を形成し、これにより生理学上の条件下でその活性を変化させて
、所望のファインケミカル、例えばアミノ酸(例えば、メチオニンまたはリシン
)の生産性および/または収率を向上させても良い。かかる変化または誘導体の
種類の1つとして、アスパラトキナーゼをコードするask遺伝子のヌクレオチド
配列が周知である。この変化により、アミノ酸のリシンおよびメチオニンによる
フィードバック阻害を除去し、その後のリシンの過剰生産をもたらす。好ましい
実施の形態において、metZ遺伝子またはこの変更形をコリネバクテリウム株にお
いて、ask、hom、metAおよびmetHまたはこれらの遺伝子の誘導体と組み合わせて
使用する。別の好ましい実施形態において、metZ遺伝子またはこの変更形をコリ
ネバクテリウム株において、ask、hom、metAおよびmetEまたはこれらの遺伝子の
誘導体と組み合わせて使用する。更に好ましい実施形態において、metZ組み合わ
せ遺伝子またはmetZ遺伝子の変更形を、ask、hom、metAおよびmetHまたはこれら
の遺伝子の誘導体と組み合わせるか、あるいはmetZをask、hom、metAおよびmetE
またはこれらの遺伝子の誘導体とコリネバクテリウム株において組み合わせ、そ
して硫黄源、例えばスルフェート、チオスルフェート、スルフィト、更に還元硫
黄源、例えばHSおよびスルフィド並びに誘導体を成育培地で使用する。更に
、硫黄源、例えばメチルメルカプタン、メタンスルホン酸、チオグリコレート、
チオシアネート、チオ尿素、アミノ酸(例えば、システイン)含有硫黄および他
の硫黄含有化合物を使用可能である。更に本発明は、コリネバクテリウム株にお
ける上述した遺伝子組み合わせの使用法に関し、遺伝子導入前または導入後、当
該技術者等に周知の放射線または突然変異化学によって突然変異を起こさせ、そ
して高濃度である所望のファインケミカル、例えばリシンまたはメチオニン、ま
たは所望のファインケミカルの類似物、例えばメチオニン類似エチオニン、メチ
ルメチオニン、またはその他のものに対する耐性について選択する。別の実施形
態において、上述した遺伝子組み合わせは、特定の遺伝子破壊を含むコリネバク
テリウム株において発現可能である。所望の代謝物への炭素フラックスに適当で
あるタンパク質をコードする遺伝子破壊が好ましい。メチオニンが所望のファイ
ンケミカルである場合、リシンの形成が望ましくない場合がある。かかる場合、
上述した遺伝子の組み合わせが、lysA遺伝子(ジアミノピメリン酸デカルボキシ
ラーゼをコードする)またはddh遺伝子(テトラヒドロピコリネートのメソジア
ミノピメリン酸への変換を触媒するメソ−ジアミノピメリン酸デヒドロゲナーゼ
をコードする)についての遺伝子破壊を含むコリネバクテリウム株において発生
しなければならない。好ましい実施の形態において、上述した遺伝子の好ましい
組み合わせを完全に変更して、この遺伝子生成物について、所望のファインケミ
カルの形成する生合成経路の最終生成物または代謝物によってフィードバック阻
害を起こさせないようにする。所望のファインケミカルがメチオニンである場合
、遺伝子の組み合わせを突然変異誘発性薬剤もしくは放射線で予め処理した株(
菌株)において発現させ、そして上述した耐性に関して選択する。更に、株を、
1種以上の上述した硫黄源を含む成育培地で成育する必要がある。
【0086】 本発明の別の実施形態において、遺伝子は、仮説転写調節タンパク質について
コードする遺伝子とて、コリネバクテリウム−グルタミカムのゲノム由来と同一
であった。この遺伝子はRXA00657と示されている。RXA00657のヌクレオチド配列
は、SEQ ID NO:5に対応する。RXA00657のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:6に対応す
る。RXA00657遺伝子、並びに実施例に開示されている上流および下流調節領域を
コリネバクテリウム−グルタミカムで折り曲げ可能なベクターにクローンし、そ
してATCC13286等のリシン生成株に変換および発現し、この株により、上述した
ヌクレオチドフラグメント(断片)RXA00657を有さない同一のプラスミドで変換
した株と比較して、更にリシンを製造する。リシンの滴定濃度を上述した株で増
大させた観察結果の他に、これにより製造されたリシンのモル量で測定した選択
率が、消費したスクロースのモル量と比較して、増大していた(実施例14、参
照)。lysC、dapA、dapB、dapC、dapD、dapF、ddh、lysE、lysG、およびlysR等
のリシンの特定経路に直接的または間接的に関与する、他の遺伝子の過発現(ov
erexpression)と組み合わせるRXA00657の過発現により、RXA00657単独である場
合と比較して、リシンの生産量が増大する。
【0087】 B.組換え発現ベクターおよび宿主細胞 本発明は、MPタンパク質(またはその一部)をコードする核酸、あるいは少
なくとも1種の遺伝子がMPタンパク質についてコードする遺伝子の組み合わせ
を含むベクター、好ましくは発現ベクターに関する。本明細書で用いられる「ベ
クター」という用語は核酸分子を意味し、この核酸分子が結合している他の核酸
を運搬する能力のある分子を意味する。ベクターの一例には、「プラスミド」が
あるが、これは、他のDNA部分を結紮可能な環状の2本鎖DNAループである
。ベクターの他の例はウイルスベクターであり、このウイルスゲノムに他のDN
Aセグメントを結紮可能である。所定のベクターを宿主細胞に導入すると、この
宿主細胞において自律的な複製が可能とされる(例えば、複製によるバクテリア
由来のバクテリアベクターおよびエピソーム上の哺乳類ベクター)。他のベクタ
ー(例えば、エピソーム以外の哺乳類ベクター)を、宿主細胞に導入することに
より宿主細胞のゲノムに組み込み、そして宿主ゲノムと共に複製する。更に、あ
る種のベクターは、これが協同的に結合している遺伝子の発現を支配可能である
。かかるベクターを、本明細書では「発現ベクター」という。一般に、DNA組
換え技術において使用される発現ベクターは、プラスミドの形態をとることが多
い。本明細書においては、「プラスミド」と「ベクター」は相互変換可能に用い
られるが、これは、プラスミドがベクターの最も頻繁に使用される形態だからで
ある。しかしながら、本発明は、同様の機能を有する他の形態の発現ベクター、
例えばウイルスベクター(例えば、複製欠陥レトロウイルス、アデノウイルスお
よびアデノ随伴ウイルス)を含む。
【0088】 本発明の組換え発現ベクターは、宿主細胞中での核酸の発現に適する形態で本
発明による核酸を含む。この組換え発現ベクターは、発現に使用される宿主細胞
を基準に選択された1種類以上の調節配列を含み、発現すべき核酸配列に協同的
に結合されている。組換え発現ベクターにおいて、「協同的に結合された」とは
、ヌクレオチド配列の発現が可能なように調節配列に(例えば、in vitro転写/
翻訳系で、または宿主細胞にベクターが導入される場合は宿主細胞中で)結合さ
れていることを意味する。この「調節配列」という用語は、プロモーター、理プ
レッサー結合部位、活性化因子結合部位、エンハンサー、および他の発現調節要
素(例えば、ターミネーター、ポリアデニル化シグナル、またはmRNA二次構
造のその他の要素)を含む意図で使用する。この様な調節配列については、例え
ばGoeddel; Gene Expression Technology: Methods in Enzymology 185, Academ
ic Press, San Diego, CA (1990)に記載されている。調節配列は、多くの種類の
宿主細胞中におけるヌクレオチド配列の構成発現を支配するものと、所定の宿主
細胞中においてのみのヌクレオチド配列の発現を支配するものとを含む。好まし
い調節配列は、例えばcos-, tac-, trp-, tet-, trp-tet-, lpp-, lac-, lpp-la
c-, lacIq, T7-, T5-, T3-, gal-, trc-, ara-, SP6-, arny, SPO2, λ-PR- ま
たは λ-PL等のプロモーターであり、これらはバクテリアにおいて好ましく使用
される。他の調節配列の例は、ADC1、MFα、AC、P-60、CYC1、GAPDH、TEF、rp28
、ADH等の酵母および菌類由来のプロモーター、CaMV/35S、SSU、OCS、lib4、usp
, STLS1, B33等の植物由来のプロモーター、nosまたはユビキチン−もしくはフ
ァセオリン−プロモーターである。人工のプロモーターを使用することも可能で
ある。発現ベクターの設計は、形質転換すべき宿主細胞の選択等の要因、所望の
タンパク質の発現程度等により変化することは、当該技術者等に理解されること
である。本発明の発現ベクターは宿主細胞に導入可能であり、これにより、本発
明に開示された核酸によりコードされた融合タンパク質またはペプチドを含むタ
ンパク質またはペプチド(例えば、MPタンパク質、MPタンパク質の変異形、
融合タンパク質等)が製造される。
【0089】 本発明の組換え発現ベクターは、原核生物または真核生物の各細胞におけるM
Pタンパク質の発現を行うために設計されうる。例えば、MP遺伝子は、C.グ
ルタミカム等のバクテリア細胞、昆虫細胞(バキュロウイルス発現ベクター使用
による)、酵母および他の菌類の細胞(Romanos, M.A. 等著、(1992) “Foreign
gene expression in yeast: a review”, Yeast 8: 423-488; van den Hondel
、 C.A.M.J.J. 等著、(1991) “Heterologous gene expression in filamentous
fungi” (More Gene Manipulations in Fungiにおける論考、J.W. Bennet &
L.L. Lasure編、p. 396-428: Academic Press: San Diego, およびvan den Hond
el, C.A.M.J.J. & Punt, P.J. (1991) “Gene transfer systems and vector de
velopment for filamentous fungi(Applied Molecular Genetics of Fungiにお
ける論考)Peberdy J.F. 等編、p. 1-28, Cambridge University Press: Cambri
dge、参照)、藻類および多細胞植物の細胞(Schmidt, R. 、Willmitzer, L.共
著 (1988) High efficiency Agrobacterium tumefaciens mediated transforma
tion of Arabidopsis thaliana leaf and cotyledon explants” Plant Cell Re
P.: 583-586、参照)、または哺乳類細胞において発現可能である。適当な宿主細
胞については、Goeddel, Gene Expression Technology: Method in Enzymology1
85, Academic Press, San Diego, CA (1990)に詳細な説明がある。あるいは、組
換え発現ベクターは、例えば、T7プロモータ調節配列およびT7ポリメラーゼ
等を用いることにより、in vitroで転写および翻訳することもできる。
【0090】 原核生物におけるタンパク質の発現は、融合タンパク質または非融合タンパク
質の発現を支配する構成性または誘導性プロモーターを含むベクターにより行わ
れるのが最も一般的である。融合ベクターは、ここでコードされるタンパク質に
対して、通常は組換えタンパク質のアミノ末端はかりでなくC末端に多数のアミ
ノ酸を付加するか、またはタンパク質の適当な領域内で融合する。かかる結合ベ
クターは、一般に3つの役割を果たす。すなわち、1)組換えタンパク質の発現
を増大させる、2)組換えタンパク質の溶解性を向上させる、および3)親和精
製におけるリガンドとして作用することにより組換えタンパク質の精製を補助す
る。融合発現ベクターにおいて、融合部分と組換えタンパク質の結合部分にタン
パク質分解切断部位を導入して、融合タンパク質の精製を行うことにより融合部
分を組換え部分から分離することを可能とすることも頻繁に行われている。かか
る酵素およびそのコグネイト認識配列の例には、Xa因子、トロンビンおよびエ
ンテロキナーゼがある。
【0091】 典型的な融合発現ベクターの例は、pGEX (Pharmacia Biotech Inc; Smith, D.
B.、Johnson, K.S.共著、(1988) Gene 67: 31-40)、pMAL (New England Biolabs
, Beverly, MA) およびpRIT5 (Pharmacia, Piscataway, NJ)であり、それぞれグ
ルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)、マルトースE結合タンパク質、
またはタンパク質Aを目的の組換えタンパク質に融合させる。一実施の形態にお
いて、MPタンパク質のコード配列はpGEX発現ベクターにクローンされて、
N末端からC末端に向かって、GST−トロンビン切断部位−Xタンパク質を順
に含む、融合タンパク質をコードするベクターが製造される。融合タンパク質は
、グルタチオン−アガロース樹脂を用いたアフィニティー・クロマトグラフィー
により精製されうる。GSTへの融合から除去された組換えMPタンパク質は、
融合タンパク質の、トロンビンによる切断により回収可能である。
【0092】 誘導性非融合E.coli発現ベクターの適例には、pTrc (Amann等著、(1988) Gene
69: 301-315) pLG338、 pACYC184、 pBR322、 pUC18、 pUC19、 pKC30、 pRep4
、 pHS1、 pHS2、 pPLc236、 pMBL24、 pLG200、 pUR290、 pIN-III 113-B1、λ
gt11、 pBdC1、およびpET 11d (Studier等著、Gene Expression Technology: Me
thods in Enzymology 185, Academic Press, San Diego, California (1990) 60
-89、およびPouwels等編、 (1985) Cloning Vectors. Elsevier: New York IBSN
0 444 904018)がある。pTrcベクターによる標的遺伝子の発現は、ハイブリッド
trp-lac融合プロモーターからの宿主RNAポリメラーゼ転写により行われる。P
ET 11dベクターによる標的の遺伝子の発現は、協同発現するウイルスRNAポリ
メラーゼ(T7 gnl)により仲介されたT7 gn10-lac融合プロモータによる転写によ
り行われる。このウイルスポリメラーゼは、lacUV5プロモータの転写支配下にT7
gn1遺伝子を含む定住λプロファージによる宿主株 BL21(DE3) またはHMS174(DE3
) から供給される。他の多種のバクテリアの形質転換では、適当なベクターを選
択することが可能である。例えば、プラスミドpIJ101、 pIJ364、 pIJ702 およ
び pIJ361はストレプトマイセスの形質転換に有効であることが公知であり、一
方、プラスミドpUB110、 pC194またはpBD214はバキュラス種の形質転換に適して
いる。遺伝情報をコリネバクテリウムに移送するために使用される数種類のプラ
スミドの例は、pHM1519、 pBL1、 pSA77、またはpAJ667 (Pouwels等編、(1985)
Cloning Vectors. Elsevier: New York IBSN 0 444 904018)である。
【0093】 組換えタンパク質の発現を最大限に行う1つの方法としては、組換えタンパク
質のタンパク質分解的切断を行う能力に欠陥を有する宿主バクテリア中でタンパ
ク質を発現させることである(Gottesman, S.著、Gene Expression Technology:
Methods in Enzymology 185, Academic Press, San Diego、California (1990)
119-128)。他の方法(戦略)は、発現ベクターに挿入されるべき核酸の核酸配列
を変化させて、各アミノ酸に対応する個々のコドンが、発現で選択される所定の
バクテリア、例えばC.グルタミカムで優先的に使用することである(Wada等、
(1992) Nucleic Acids Res. 20: 2111-2118)。この様な本発明による核酸配列
の変更は、標準的なDNA合成技術により行われうる。
【0094】 他の実施の形態においては、MPタンパク質発現ベクターとして酵母発現ベク
ターが用いられる。酵母S. cerevisiaeにおける発現を行うベクターの例として
は、pYepSec1 (Baldari等、(1987) Embo J. 6: 229-234)、2μ、pAG-1、Yep6、
Yep13、pEMBLYe23、pMFa(Kurjan、Herskowitz共著、(1982) Cell 30: 933-943)
、pJRY88 (Schultz等著、(1987) Gene 54: 113-123)、およびpYES2 (Invitrogen
Corporation, San Diego, CA)が挙げられる。繊維状細菌等の他の菌類に好まし
く使用されるベクターを構成するために用いるベクターおよび方法については、
van den Hondel, C.A.M.J.J. & Punt, P.J. (1991) “Gene transfer systems a
nd vector development for filamentous fungi”、(Applied Molecular Genet
ics of Fungi)J.F. Peberdy等編、p. 1-28, Cambridge University Press: Ca
mbridge、およびPouwels等編、(1985) Cloning Vectors. Elsevier: New York (
IBSN 0 444 904018)に詳細に記載されている。
【0095】 あるいは、本発明のMPタンパク質は、バキュロウイルス発現ベクターを用い
て、昆虫細胞において発現可能である。培養された昆虫細胞(例えば、Sf9細
胞)におけるタンパク質の発現が利用可能なバキュロウイルスベクターの例は、
pAc系(Smith等著、(1983) Mol. Cell. Biol. 3:2156-2165)およびpVL系(Luck
lowおよびSummers共著、(1989) Virology 170: 31-39)である。
【0096】 他の実施の形態において、本発明のMPタンパク質は、単細胞植物の細胞(例
えば藻類)または高等植物由来の植物細胞(例えば、農作物等の種子植物)にお
いて発現可能である。植物発現ベクターについては、Becker, D., Kemper, E.,
Schell, J. およびMasterson, R.著、(1992) “New plant binary vectors with
selectable markers located proximal to the left border”, Plant Mol. Bi
ol. 20: 1195-1197; およびBevan, M.W.著、(1984) “Binary Agrobacterium v
ectors for plant transformation”, Nucl. Acid. Res. 12: 8711-8721に詳細
に記載されており、更にpLGV23、pGHlac+、pBIN19、pAK2004、およびpDH51 (Pou
wels等編、(1985) Cloning Vectors. Elsevier: New York IBSN 0 444 904018)
が、例として挙げられる。
【0097】 更に別の実施形態においては、本発明の核酸は、哺乳類発現ベクターを用いて
哺乳類細胞において発現される。哺乳類発現ベクターの例は、pCDM8 (Seed, B.
(1987) Nature 329:840) およびpMT2PC (Kaufman等著、(1987) EMBO J. 6: 187-
195)である。哺乳動物の細胞中で使用される場合の発現ベクターの制御機能は、
ウイルスの調節要素により形成されることが多い。例えば、通常使用されるプロ
モーターは、ポリオーマウイルス属、アデノウイルス2、サイトメガロウイルス
、およびシミアンウイルス40由来のものである。原核細胞および真核細胞の双
方における他の適する発現システムについては、Sambrook, J., Fritsh, E.F.お
よびManiatis, T.著、Molecular Cloning: A Laboratory Manual、第二版、第16
、17章、Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor Laboratory Pr
ess, Cold Spring Harbor, NY, 1989を参照されたい。
【0098】 他の実施の形態において、組換えによる哺乳類発現ベクターは、特定の細胞種
に選択的な核酸の発現を支配可能である(例えば、この様な核酸の発現には、組
織特異的調節要素を用いる)。組織特異的調節要素は、当該分野で公知である。
組織特異的プロモータとしては、アルブミンプロモーター(肝臓特異的: Pinker
t等著、(1987) Genes Dev. 1: 268-277)、リンパ系特異的プロモーター(Calame
、Eaton共著、(1988) Adv. Immunol. 43: 235-275)、特にT細胞受容体の特定の
プロモーター(Winoto、Baltimore共著、(1989) EMBO J. 8: 729-733)、および免
疫グロブリン(Banerji等著、(1983) Cell 33: 729-740、QueenおよびBaltimore
共著、(1983) Cell 33: 741-748)、ニュウロン特異的プロモータ(例えば、ニュ
ウロフィラメントプロモーター、ByrneおよびRuddle共著、(1989) PNAS 86: 547
3-5477)、膵臓特異的プロモーター(Edlund 等著、(1985) Science 230: 912-
916)、および乳腺特異的プロモータ(例えば、乳漿プロモーター、米国特許第4
,873,316号明細書およびヨーロッパ特許出願公開第264,166号公報)が挙げられ
るが、これらに限定されるものではない。発育中に調節されるプロモーターの例
としては、ネズミ(マウス)のホックスプロモーター(KesselおよびGruss共著、
(1990) Science 249: 374-379)およびα−フェトプロテインプロモーター(Campe
sおよびTilghman共著、(1989) Genes Dev. 3: 537-546)が挙げられる。
【0099】 更に本発明は、発現ベクターにアンチセンス方向にクローンされた本発明のD
NA分子を含む組換え発現ベクターを提供するものである。すなわち、DNA分
子は、MPmRNAに対してアンチセンスなRNA分子の(DNA分子の転写に
よる)発現が可能なように、調節配列に協同的に結合している。アンチセンス方
向にクローンされた核酸に協同的に結合する調節配列を選択して、これが種々の
細胞種におけるアンチセンスRNA分子の連続的な発現を支配する。調節配列の
例には、ウイルスプロモーターおよび/またはエンハンサーがある。或いは、ア
ンチセンスRNAの構成性の組織特異的または細胞種類に特異的な発現を支配す
る調節配列を選択してもよい。アンチセンス発現ベクターは、アンチセンス核酸
を高効率の調節領域の支配下に産生する組換えプラスミド、ファージミドまたは
弱毒化ウイルスの形態であってもよい。この場合の活性はベクターが導入された
細胞の種類によって決定する。アンチセンス遺伝子を使用する遺伝子発現の調節
に関しては、Weintraub, H.等著、Antisense RNA as a molecular tool for gen
etic analysis, Reviews Trends in Genetics, Vol. 1(1) 1986を参照されたい
【0100】 更に本発明は、本発明による組換え発現ベクターが導入された宿主細胞に関す
る。「宿主細胞」および「組換え宿主細胞」の双方の表現は、本明細書では相互
変換可能に使用される。これらの表現は、特定の細胞のみならず、次世代細胞お
よび後世代の細胞に発達する可能性のあるものに対しても用いる。変異または環
境的な影響のいずれかにより後の世代に所定の修飾が起こる可能性があるため、
この様な後の世代は実際には親細胞とは同一ではないこともあるが、この場合も
本明細書で使用される上述の表現に含まれるものとする。
【0101】 宿主細胞はいかなる原核細胞または真核細胞であってもよい。例えば、MPタ
ンパク質は、C.グルタミカム等のバクテリア細胞、昆虫細胞、酵母または哺乳
動物細胞(例えば、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)またはCOS細
胞)で発現可能である。他の適当な宿主細胞は、当該技術者等に公知のものであ
る。本発明による核酸およびタンパク質分子分子に従来の宿主細胞として用いら
れていたコリネバクテリウム−グルタミカムに関連する微生物を表3に記載する
【0102】 慣用の形質転換または形質移入技術により、ベクターDNAを原核細胞または
真核細胞に導入可能である。本明細書で、「形質転換(トランスフォーメーショ
ン)」および「形質移入(トランスフェクション)」、並びに「接合」および「
形質導入」という用語は、外来核酸(例えば、鎖状DNAまたはRNA(例えば
、直鎖化ベクターまたはベクターを有さない遺伝子構成部分のみ)またはベクタ
ー状の核酸(例えば、プラスミド、ファージ、ファスミド、ファージミド、トラ
ンスポロンまたは他のDNA))を宿主細胞に導入する従来から認識されている
種々の技術を意味する意図で使用され、これには、例えば、リン酸カルシウムま
たは塩化カルシウム共同沈降法、DEAE−デキストラン仲介トランスフェクシ
ョン、リポフェクション、自然受容能(natural competence)、化学物質仲介ト
ランスフェクション、またはエレクトロポレーションが含まれる。宿主細胞の形
質転換または形質移入についての適当な方法は、Sambrook等著、(Molecular Clo
ning: A Laboratory Manual、第二版、Cold Spring Harbor Laboratory, Cold S
pring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY, 1989)、および他の
研究マニュアルに記載されている。
【0103】 哺乳類細胞の安定な形質移入では、使用する発現ベクターと形質移入技術によ
り、細胞の小部分によってのみ外来DNAがゲノム中に統合されることもあるこ
とが公知である。これらの構成要素全体を認識し選択するため、選択可能なマー
カーをコードする遺伝子(例えば、抗生物質に対する耐性)を所望の遺伝子と共
に宿主細胞に導入するのが一般的である。選択可能なマーカーとしては、薬剤に
対して耐性を付与するもの、例えばG418、ハイグロマイシンおよびメトトレ
キセートが好ましい。選択可能なマーカーをコードする核酸は、宿主細胞中に、
MPタンパク質をコードするベクターと同一のベクターに導入可能であるが、他
のベクターに導入することもできる。導入された核酸により安定に形質移入され
た細胞は、薬物の選択により認識されうる(例えば、選択可能なマーカー遺伝子
が導入された細胞は生き残るが、他の細胞は死滅する)。
【0104】 相同な組換え微生物を得るためには、欠失、付加または置換が導入されたMP
遺伝子の少なくとも一部を含むベクターを形成し、これによりMP遺伝子を、例
えば機能的な混乱等により変化させる。このMP遺伝子は、コリネバクテリウム
−グルタミカムMP遺伝子であることが好ましいが、関連するバクテリアまたは
哺乳動物、酵母または昆虫に相同なものであってもよい。好ましい実施の形態に
おいて、ベクターは、相同な組換えの上、内因性MP遺伝子が機能的に混乱する
ように設計されていることが好ましい(すなわち、機能的タンパク質をコードし
ないように設計される。これは「ノックアウト」ベクターとも呼ばれる)。ある
いは、相同な組換えの上、内因性MP遺伝子が変異またはその他の方法で変化し
ているが、機能性タンパク質をコードしている状態を保つ(例えば、上流の調節
領域を変化させて、これにより内因性MPタンパク質の発現を変化させる)よう
にベクターを設計することも可能である。相同な組換えベクターにおいて、MP
遺伝子の5’および3’末端側方に、付加的な核酸が配置し、改変部分が得られ
る。このベクターによりもたらされた外因性MP遺伝子と微生物における内因性
MPの間で相同組換えが可能とされる。この付加的に側方に位置するMP核酸は
、十分な長さを有し、外因性遺伝子による十分に相同な組換えを可能としている
。通常、数kb(キロベース)の側方配置DNA(5’末端および3’末端の双
方において)がベクターに含まれている(Thomas, K.R.およびCapecchi, M.R.共
著、(1987) Cell 51: 503 for a description of homologous recombination ve
ctorを参照されたい)。ベクターを微生物に導入し(例えば、エレクトロポレー
ションにより)、そして導入したMP遺伝子と内因性MP遺伝子との組み合わせ
を有する細胞が公知技術により選択される。
【0105】 他の実施の形態において、導入された遺伝子の調節された発現を可能とする選
択された系を有する組換え微生物が製造される。MP遺伝子をベクター上に、la
cオペロンの支配下に導入することにより、IPTGが存在する場合のみMP遺伝子
の発現を可能にする。かかる調節システムは、従来から周知である。
【0106】 他の実施の形態において、宿主細胞における内因性MP遺伝子を、これから得
られたタンパク質産物が発現しないように混乱させる(例えば、相同組換えまた
は従来技術による他の遺伝子上の手段による)。他の実施の形態において、宿主
細胞中における内因性または導入されたMP遺伝子が、1カ所以上の点変異、欠
失または逆位により変化しているが、機能性MPタンパク質を依然としてコード
している。更に他の実施の形態において、微生物におけるMP遺伝子の1カ所以
上の調節領域(例えば、プロモーター、リプレッサー、またはインデューサー)
が、MP遺伝子の発現を調節するように変化させられている(例えば、欠失、切
断、逆位、点変異による)。当該技術者等によると、2種類以上の上述したMP
遺伝子とタンパク質の修飾を含む宿主細胞は、本発明の方法により容易に製造さ
れ、これらも本発明に含まれるものであることが容易にわかる。
【0107】 本発明の宿細胞、例えば培養体における原核細胞または真核細胞を用いて、M
Pタンパク質を製造する(すなわち発現させる)ことができる。従って、更に本
発明は、本発明による宿主細胞を使用してMPタンパク質を製造する方法を提供
するものである。一実施形態において、この方法は、MPタンパク質が得られる
まで、本発明の宿主細胞(MPタンパク質をコードしている組換え発現ベクター
が導入されているか、ゲノムが導入され、野生型または改変型MPタンパク質を
コードしている細胞)を適する培地中で培養する。他の実施の形態において、本
発明の方法は、培地または宿主細胞からMPタンパク質を単離する工程を含んで
いる。
【0108】 C.単離されたMPタンパク質 更に本発明は、単離されたMPタンパク質、およびその生物学的に活性な一部
に関する。「単離された」または「精製された」タンパク質またはその生物学的
に活性な部分は、組換えDNA技術で製造された場合に細胞質材料を実質的に含
まず、あるいは化学的に合成された場合には化学的前駆体または他の化学物質を
実質的に含まない。「細胞材料を実質的に含まない」という用語は、天然または
組換え技術により製造された、細胞における細胞成分から分離したMPタンパク
質の調製を意味する。一実施の形態において、「細胞材料を実質的に含まない」
とは、非MPタンパク質(本明細書で「汚染タンパク質」(contaminating prot
ein)ともいう)を約30%未満(乾燥重量で)、好ましくは約20%未満、更
に好ましくは約10%未満、最も好ましくは5%未満含むMPタンパク質の調製
を意味する。MPタンパク質またはこの生物学的に活性な部分が組換えにより製
造される場合、培地を実質的に含まないことが好ましい。すなわち、培地が、タ
ンパク質の調製の容量に対して20%未満、更に好ましくは約10%未満、特に
好ましくは約5%未満であることが好ましい。「化学的前駆体または他の化学物
質を実質的に含まない」という用語は、タンパク質がタンパク質の合成に関与す
る化学的前駆体または他の化学物質から分離されたMPタンパク質の調製を意味
する。一実施の形態において、「化学的前駆体または他の化学物質を実質的に含
まない」という表現は、約30%(乾燥重量)未満、好ましくは約20%未満、
更に好ましくは約10%未満、最も好ましくは約5%未満の化学的前駆体または
非MP化学物質を含むMPタンパク質の調製を意味する。好ましい実施の形態に
おいて、単離されたタンパク質またはこの生物学的に活性な部分は、このMPタ
ンパク質が誘導された同じ生物からの汚染(源)タンパク質を含まない。一般に
、かかるタンパク質を、C.グルタミカム等の微生物におけるC.グルタミカム
MPタンパク質等の組換え発現により製造する。
【0109】 本発明の単離されたMPタンパク質またはその一部は、アミノ酸、ビタミン、
補助因子、機能性食品、ヌクレオチド、ヌクレオシド、またはトレハロースの代
謝経路における酵素反応を触媒可能であるか、あるいは表1に記載の1種以上の
活性を有する。好ましい実施形態において、タンパク質またはその一部は、本発
明によるアミノ酸配列(例えば、配列表中の偶数のSEQ ID NOによる配列)に対
して十分に相同なアミノ酸配列を含んで、このタンパク質またはその一部が、ア
ミノ酸、ビタミン、補助因子、機能性食品、ヌクレオチド、ヌクレオシド、また
はトレハロースの代謝経路における酵素反応を触媒する能力を維持している。タ
ンパクの一部が、本明細書で開示した生物学的に活性な部分であると好ましい。
他の好ましい実施の形態において、本発明のMPタンパク質は、配列表中の偶数
のSEQ ID NOによるアミノ酸配列を有している。他の好ましい実施の形態におい
て、MPタンパク質は、本発明によるヌクレオチド配列(例えば、配列表中の奇
数のSEQ ID NOによる配列)とハイブリダイズする、例えば緊縮条件下でハイブ
リダイズするヌクレオチド配列によりコードされているアミノ酸配列を有してい
る。更に他の好ましい実施の形態において、MPタンパク質は、本発明による核
酸配列のいずれかまたはその一部に対して、少なくとも約50%、51%、52
%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、または60%
、好ましくは少なくとも約61%、62%、63%、64%、65%、66%、
67%、68%、69%、または70%、更に好ましくは少なくとも約71%、
72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、または8
0%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、8
9%、または90%、または91%、92%、93%、94%、および更に好ま
しくは少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%、99.7%また
はそれ以上相同なヌクレオチド配列によりコードされているアミノ酸配列を有す
る。上記各値の中間値により示される値の範囲(例えば、70〜90%同一また
は80〜95%同一)も本発明に含まれる。例えば、上限値および/または下限
値として記載された上述の値のいずれを組み合わせて値の範囲としてもよい。本
発明のMPタンパク質は、本明細書に記載された少なくとも1種類のMP活性を
有することが好ましい。例えば、本発明のMPタンパク質は、本発明によるヌク
レオチド配列とハイブリダイズする、例えば緊縮条件下でハイブリダイズし、そ
してアミノ酸、ビタミン、補助因子、機能性食品、ヌクレオチド、ヌクレオシド
、またはトレハロースの代謝経路における酵素反応を触媒可能であるか、あるい
は表1に示された1種以上の活性を有しているヌクレオチド配列によりコードさ
れたアミノ酸配列を含むのが好ましい。
【0110】 他の実施の形態において、MPタンパク質は、上述した第I欄で詳細に記載し
たように、本発明によるアミノ酸配列(例えば、配列表中の偶数のSEQ ID NOに
よる配列)と実質的に相同であり、且つ天然の変化もしくは変異生成によるアミ
ノ酸配列が異なるものの、本発明によるアミノ酸配列のいずれかからなるタンパ
ク質の機能的活性を保持するものである。従って、他の実施の形態において、M
Pタンパク質は、本発明のアミノ酸配列の全体に対して、少なくとも約50%、
51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、
または60%、好ましくは少なくとも約61%、62%、63%、64%、65
%、66%、67%、68%、69%、または70%、更に好ましくは少なくと
も約71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79
%、または80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%
、88%、89%、または90%、または91%、92%、93%、94%、お
よび更に好ましくは少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%、9
9.7%またはそれ以上相同なアミノ酸配列を含み、且つ本発明に記載したMP
活性のいずれかを含むタンパク質である。上記各値の中間値により示される値の
範囲(例えば、70〜90%同一または80〜95%同一)も本発明に含まれる
。例えば、上限値および/または下限値として記載された上述の値のいずれを組
み合わせて値の範囲としてもよい。別の実施の形態において、本発明は、本発明
のアミノ酸配列全体に対して実質的に相同なC.グルタミカムタンパク質の全体
に関する。
【0111】 MPタンパク質の生物学的に活性な部分は、MPタンパク質のアミノ酸配列か
ら誘導されたアミノ酸配列(例えば、配列表中の偶数のSEQ ID NOによるアミノ
酸配列)、またはMPタンパク質に相同なタンパク質のアミノ酸配列から誘導さ
れたアミノ酸配列(MPタンパク質全体よりも少ないアミノ酸を含むか、あるい
はMPタンパク質に相同なタンパク質全体を含む)を含み、そしてMPタンパク
質の少なくとも1種類の活性を示す。一般的に、生物学的に活性な部分(ペプチ
ド、例えば5、10、15、20、30、35、 36、37、38、39、40、50、100以上のアミ
ノ酸長のペプチド)は、MPタンパク質の少なくとも1種類の活性を有するドメ
インまたはモチーフを含む。更に、タンパク質の他の領域が欠失している、生物
学的に活性な他のタンパク質を組換え技術により製造し、そして本明細書に記載
された1種類以上の活性についての評価を行うことも可能である。MPタンパク
質の生物学的に活性な部分は、生物学的活性を有する1種類以上の選択されたド
メイン/モチーフまたはその一部である。
【0112】 MPタンパク質は、組換えDNA技術により製造されることが好ましい。例え
ば、タンパク質をコードしている核酸分子を発現ベクターにクローンし(上記参
照)、この発現ベクターを宿主細胞に導入し(上記参照)、そしてこのMPタン
パク質を宿主細胞中で発現させる。その後、MPタンパク質を、標準的なタンパ
ク質精製技術を用いた適当な精製方法により細胞から単離可能である。組換え発
現以外の方法では、標準的なペプチド合成法を用い、MPタンパク質、ポリペプ
チド、またはペプチドを化学的に合成する。更に、例えば、本発明によるMPタ
ンパク質またはそのフラグメントを用いる標準的な技術により製造可能な、抗M
P抗体を使用し、未変性MPタンパク質を細胞(例えば内皮細胞)から単離する
ことができる。
【0113】 本発明は、MPキメラタンパク質または融合タンパク質も提供する。本明細書
で使用されるMP「キメラタンパク質」または「融合タンパク質」とは、非MP
ポリペプチドに協同的に結合するMPポリペプチドを含む。「MPポリペプチド
」とは、MPに対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドを意味し、一方、「
非MPポリペプチド」とは、MPタンパク質に実質的な相同性を有さないタンパ
ク質、例えばMPタンパク質と異なり且つ同一または異なっていても良い生物か
ら誘導されたタンパク質に対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドを意味す
る。融合タンパク質に関して、「協同的に結合した」という用語は、MPポリペ
プチドと非MPポリペプチドがインフレームで相互に融合していることを意味し
ている。非MPポリペプチドは、MPポリペプチドのC末端またはN末端に融合
可能である。一実施の形態において、例えば、この融合タンパク質は、MP配列
がGST配列のC末端に結合(融合)したGST−MP融合タンパク質である。
かかる融合タンパク質は、組換えMPタンパク質の精製に有効に用いられる。他
の実施の形態において、融合タンパク質として、N末端に非相同のシグナル配列
を含むMPが用いられる。所定の宿主細胞(例えば、哺乳動物宿主細胞)におい
て、MPタンパク質の発現および/または分泌は、非相同シグナル配列を使用す
ることにより改善されうる。
【0114】 本発明のMPキメラタンパク質または融合タンパク質は、標準的組換えDNA
技術により製造されるのが好ましい。例えば、異なるポリペプチド配列をコード
しているDNAフラグメントは、慣用の技術によりインフレーム(in-frame)と
共に結紮される。これは、例えば、結紮に平滑末端(ブラントエンド処理:blun
t-ended)または付着末端(stagger-ended)を用いた処理、適当な末端を形成す
るための制限酵素による消化、適当な粘着末端を得るための充填、不適当な結合
を回避するためのアルカリホスファターゼ処理、および酵素による結紮により行
われることが好ましい。他の実施の形態において、融合遺伝子は、自動DNA合
成機の使用等による慣用の技術により合成可能である。あるいは、2本の平行す
る(連続的な)遺伝子フラグメント間に相補的オーバーハングを生じさせるアン
カープライマーを用いて遺伝子フラグメントのPCR増幅を行う。この場合の2
本の遺伝子フラグメントは、後にアニーリングし、そして再増幅してキメラ遺伝
子配列を生成する(例えば、Current Protocols in Molecular Biology、Ausube
l等編、John Wiley & Sons: 1992を参照)。更に、予め融合部分をコードしてい
る多種の発現ベクターが市販されている(例えば、GSTポリペプチド)。MP
をコードしている核酸は、上述のような発現ベクターに、融合部分がMPタンパ
ク質に対してインフレームに結合するようにクローンされうる。
【0115】 MPタンパク質の相同体は、変異生成、例えばMPタンパク質の散在点変異ま
たは切断により生成する。本明細書で使用される「相同体」という用語は、MP
タンパク質活性のアゴニストまたはアンタゴニストとして作用するMPタンパク
質の変異形を意味する。MPタンパク質のアゴニストは、MPタンパク質と同等
の生物学的活性またはサブセットを実質的に維持することができる。MPタンパ
ク質のアンタゴニストは、例えばMPタンパク質を含むMPカスケードの下流ま
たは上流メンバーに競争的に結合することにより、MPタンパク質の天然に発生
する形態での1種類以上の活性を阻害することができる。従って、本発明のC.
グルタミカムMPタンパク質およびその相同体により、MPタンパク質がこの微
生物中で役割を果たす1種以上の代謝経路の活性を調節する場合がある。
【0116】 他の実施の形態において、MPタンパク質の相同体は、MPタンパク質アゴニ
ストまたはアンタゴニスト活性を得るための、MPタンパク質の変異体、例えば
切断型変異体の組み合わせライブラリーをスクリーニングすることにより同定さ
れうる。一実施の形態において、MP変異体の異形ライブラリは、核酸レベルで
の組み合わせ変異生成により得られ、そして異形遺伝子ライブラリによりコード
される。MP変異体の異形ライブラリは、例えば、合成オリゴヌクレオチドの混
合物を遺伝子配列中に、MP配列を構成する可能性のある一連の変性体が個々の
ポリペプチドとして、或いは一連のMP配列を含む大きな融合タンパク質(例え
ば、ファージディスプレー)として発現可能であるように、酵素的結紮により製
造されうる。変性したオリゴヌクレオチド配列からMP相同体を構成する可能性
のあるライブラリーを形成するためは、種々の方法が使用される。分解(変性)
した遺伝子配列の化学的合成は自動DNA合成機中で行われ、その後、合成され
た遺伝子は、適当な発現ベクターに結紮させられる。分解された遺伝子をセット
として使用することにより、MP配列を構成する可能性のある所望のセットをコ
ードする全ての配列が混合物として提供される。分解されたオリゴヌクレオチド
の合成方法は、当該分野において公知である(例えば、Narang, S.A.著、(1983)
Tetrahedron 39: 3、Itakura等著、(1984) Annu. Rev. Biochem. 53: 323、Ita
kura 等著、(1984) Science 198: 1056、Ike等著、(1983) Nucleic Acid Res. 1
1: 477を参照されたい)。
【0117】 更に、MPタンパク質コードのフラグメントライブラリを用いて、MPタンパ
ク質の相同体のスクリーニングと次の選択を行う、MPフラグメントの異形個体
群を製造することが可能である。一実施の形態において、コード配列フラグメン
トのライブラリーは、以下の方法で得られる。すなわち、MPコード配列の2本
鎖PCRフラグメントを、分子ごとに約1回だけニッキングが起こる条件下で、
ヌクレア―ゼで処理し、2本鎖DNAを変性させ、異なるニッキングを起こした
産物からセンス/アンチセンス対を含むDNAが2本鎖DNAを形成するように
DNAを復元し、再形成された2本鎖から、S1ヌクレアーゼでの処理により1
本鎖タンパク質を除去し、そしてこれにより得られたフラグメントライブラリを
発現ベクターに結紮する。この方法により、発現ライブラリーは、種々の大きさ
MPタンパク質のN末端、C末端および内部フラグメントをコードする発現ライ
ブラリーを誘導可能となる。
【0118】 点変異または切断により得られた組合わせライブラリーの遺伝子産物をスクリ
ーニングし、そして所定の性質を有する遺伝子産物のcDNAライブラリーのス
クリーニングを行うための複数の技術が当該分野で公知である。かかる技術は、
MP相同体の組合わせ変異生成により得られた遺伝子ライブラリーの迅速なスク
リーニングに適合可能である。この最も広く用いられている技術は、大きな遺伝
子ライブラリーのスクリーニングを行うための高速処理分析に基づくものである
。この技術では、一般に、遺伝子ライブラリーを複製可能な発現ベクターにクロ
ーンし、適当な細胞を形質転換してベクターのライブラリーを得て、所望の活性
の検出により遺伝子をコードするベクターが単離され、遺伝子からの産物が検出
される条件下で、組換え遺伝子を発現させる。ライブラリーにおける帰納的変異
体の発生率を向上させる新しい技術、すなわち帰納的集合変異生成(REM: recurs
ive ensemble mutagenesis)を、MP相同体を同定するためのスクリーニング法
と組み合わせて用いることができる(Arkin、Yourvan共著 (1992) PNAS 89: 781
1-7815、Delgrave等著、(1993) Protein Engineering 6(3): 327-331)。
【0119】 他の実施の形態において、細胞を基準とする分析が行われ、公知方法を用いて
異形MPライブラリを分析することができる。
【0120】 D.本発明の方法および使用法 本明細書に記載されている核酸分子、タンパク質、タンパク質相同体、融合タ
ンパク質、プライマー、ベクター、および宿主細胞は、以下の1種類以上の方法
により用いられる。すなわち、C.グルタミカムおよび関連する生物の同定(認
識);C.グルタミカムに関連する生物のゲノムマップ作成;所望のC.グルタ
ミカム配列の同定および存在位置の確認;進化の研究;機能を得るために必要な
MPタンパク質領域の決定;MPタンパク質活性の調節;MP経路の活性調整;
および所望の化合物、例えばファインケミカルの細胞による産生の調節において
用いられる。
【0121】 本発明のMP核酸分子は種々の用途を有する。まず、同分子はコリネバクテリ
ウム−グルタミカムまたはこれに密接に関連する生物を同定するために使用され
る。更に、MP核酸分子は、微生物の混合個体群におけるC.グルタミカムまた
はこれに密接に関連する生物の存在を認識するために使用される。更に、本発明
は、微生物の単独種類の個体群または混合個体群の培養体中の抽出されたゲノム
DNAを、緊縮条件下で、C.グルタミカム遺伝子特有の領域をスパニングする
プローブを用いて調べることにより、この生物の存在を確認する。
【0122】 コリネバクテリウム−グルタミカム自体にはヒトに対する病原性はないが、コ
リネバクテリウム−ジフテリア等のヒト病原性種に関連を有する。コリネバクテ
リウム−ジフテリアはジフテリアの原因物質であり、急速に成長し、局所的およ
び全身性病状の双方に関連する急性かつ熱性の感染を起こす。この疾病では、局
所的障害が、上部気道に発生し且つ壊死性損傷を上皮性細胞まで到達させ、桿菌
(杆菌)がトキシンを分泌して、障害が体の遠位の敏感な組織まで広がる。これ
らの組織、例えば心臓、筋肉、末梢神経、副腎、腎臓、肝臓および脾臓における
タンパク質合成の阻害により変形性変化が生じ、この結果、疾病の全身性病状が
示されるようになる。世界の多くの地域、例えばアフリカ、アジア、東ヨーロッ
パおよび旧ソビエト連邦から独立した国々において、ジフテリアは高発生率を示
している。最後に挙げた2つの地域で続くジフテリアの流行により、1990年
以来、少なくとも5000人の死亡者が出る結果となった。
【0123】 一実施の形態において、本発明によると、被検体(被検者/患者)におけるコ
リネバクテリウム−ジフテリアの活性の存在または活性を認識(同定)する方法
が提供される。この方法では、本発明による1種以上の核酸またはアミノ酸配列
(例えば、配列表の奇数または偶数のSEQ ID NOの配列)を検出して、コリネバ
クテリウム−ジフテリアの存在または活性を検出する。C.グルタミカムとC.
ジフテリアとは関連するバクテリアであり、C.グルタミカムの核酸およびタン
パク質分子の多くがC.ジフテリアの核酸およびタンパク質分子と相同であるた
め、これを用いて被検体C.ジフテリアの検出が可能である。
【0124】 本発明の核酸およびタンパク質分子は、ゲノムの特定領域のマーカーとしての
役割も果たす。これはゲノム地図作製のみならず、C.グルタミカムタンパク質
の機能に関する研究にも利用される。例えば、特定のC.グルタミカムDNA−
結合タンパク質が結合するゲノムの領域を同定するために、C.グルタミカムゲ
ノムを消化可能であるが、フラグメントはDNA−結合タンパク質とインキュベ
ートされる。タンパク質と結合する領域を、本発明の核酸に好ましくは検出が容
易なラベルを付けたものを用いて詳細に調べることも可能であり、この様な核酸
の遺伝子フラグメントに対する結合により、C.グルタミカムのゲノム地図にお
けるフラグメントの位置特定が可能となり、更に種々の酵素により複数回試行す
れば、タンパク質が結合している核酸配列が迅速に決定される。更に、本発明の
核酸分子は、関連種の配列に十分な相同性を有するため、関連するバクテリア、
例えばブレビバクテリウム−ラクトフェルメントムにおけるゲノムマップ構造の
マーカーとして作用する場合がある。
【0125】 本発明のMPタンパク質分子は進化論的およびタンパク質構造学においても有
用である。本発明の分子が関連する代謝の過程は、本発明の核酸分子の配列を他
の生物から得られた同様の酵素をコードする分子の配列と比較し、この生物の進
化上の関連性を評価することにより種々の原核生物および生物の真角細胞で使用
される。同様に、かかる比較により、配列のどの領域が変換され、どの領域が変
換されないかの評価が可能となり、酵素の機能に重要なタンパク質領域の特定に
利用される。この様な特定方法は、タンパク質工学において重要であり、且つ機
能を失わずに変異を行うタンパク質の変異生成では、何に対する耐性が得られる
かの指標となる。
【0126】 本発明によるMP核酸分子を操作することにより、野生型MPタンパク質と異
なる機能を有するMPタンパク質の製造が可能となる。このタンパク質は、この
タンパク質の効率または活性を向上可能であり、通常より多くの細胞に含ませて
も良く、あるいはこれの効率または活性を低減させても良い。
【0127】 本発により、MPタンパク質の活性を、このタンパク質それ自体もしくは基質
と相互作用させるか、またはMPタンパク質のパートナーと結合させることによ
り、あるいは本発明によるMP核酸分子の転写または翻訳を調節することによっ
て調節する分子のスクリーニング方法を提供する。かかる方法では、本発明によ
る1種以上のMPタンパク質を発現する微生物を1種以上の被験化合物と接触さ
せ、そしてMPタンパク質の活性もしくは発現レベルについての各被験化合物の
効果を評価する。
【0128】 C.グルタミカムの大規模発酵培養から単離される所望のファインケミカルが
アミノ酸、ビタミン、補助因子、機能性食品、ヌクレオチド、ヌクレオシド、ま
たはトレハロースである場合、本発明による1種以上のタンパク質の活性または
活性効率を組み換え遺伝子機構によって調節することにより、このファインケミ
カルのいずれかの製造に直接影響を与える場合がある。例えば、所望のアミン酸
の生合成経路における酵素の場合、酵素の効率または活性を向上することにより
(遺伝子の多重コピーの存在を含む)、所望のアミノ酸の製造または製造効率が
向上する。合成が所望のアミノ酸の合成と競争状態にあるアミノ酸の生合成経路
における酵素の場合、この酵素の効率または活性を低減させることにより(遺伝
子の欠失を含む)、中間化合物および/またはエネルギーの競争が低減すること
に起因して、所望のアミノ酸の製造または製造効率が向上する。所望のアミノ酸
の分解経路における酵素の場合、酵素の効率または活性の低減により、その分解
が縮小するので、所望の生成物の収率または製造効率が向上する。結論として、
所望のアミノ酸の生合成に関与する酵素の突然変異により、この酵素がもはやフ
ィードバック阻害不可能となるので、所望のアミノ酸の収率または製造効率が向
上する。同様のことが、ビタミン、補助因子、機能性食品、ヌクレオチド、ヌク
レオシド、およびトレハロースの代謝に関与する本発明による生合成および分解
酵素にも適用される。
【0129】 同様に、所望のファインケミカルが上述した化合物のいずれかでない場合、本
発明によるいずれかのタンパク質の活性を調節することにより、依然としてC.
グルタミカムの大規模培養から得られる化合物の収率および/または製造効率に
影響を与える場合がある。生物の代謝経路は相互に密接に関連している;すなわ
ち、いずれかの経路で用いられる中間体を、異なる経路で供給する場合も屡々あ
る。酵素の発現および機能は、異なる代謝処理により得られる化合物の細胞レベ
ルの基づいて調節可能であり、そしてアミノ酸およびヌクレオチド等の、基本成
長に必要な分子の細胞レベルによって、大規模培養における微生物の生存力に悪
影響を与えうる。従って、アミノ酸の生合成酵素を、例えばフィードバック阻害
にもはや応答しなくなるか、あるいはこれにより効率またはターンオーバーが改
善されるように調節して、1種以上のアミノ酸の製造レベルを改善する。そして
、アミノ酸のプールをこのように改善することにより、タンパク質合成に必要な
分子ばかりでなく、他の多くの生合成経路における中間体および前駆体として用
いられる分子の供給を改善する。特定のアミノ酸が細胞において限定する場合、
その改善された製造により、他の大多数の代謝反応を行うための細胞の能力を向
上させる必要があり、この細胞により、全ての種類のタンパク質、あるいは大規
模培養においてこの細胞の成長速度全体または生存力を向上させるタンパク質の
製造効率の十分に向上させなければならない。生存力を向上させることにより、
発酵培養において所望のファインケミカルを製造可能にする多くの細胞を改良す
ることになるので、該化合物の収率が向上する。同様の処理は、本発明による分
解酵素の活性を調節して、この酵素が、所望の化合物の生合成に重要であるか、
またはこの細胞により大規模培養において効率的に成長および再生産可能となる
であろう細胞化合物の分解に、もはや触媒作用を及ぼさなくなるか、または効率
を抑えて触媒作用を及ぼすことによって可能となる。これは、本発明による所定
の分子の分解活性を最適化するか、または生合成活性を低減させることにより、
C.グルタミカム由来の所定のファインケミカルの製造に対して、有益な効果を
与えることが明らかになる。例えば、1種以上の中間体に対して所望の化合物の
生合成経路と競合する経路において生合成酵素の活性効率を低減することにより
、更にこの中間体を、所望の生成物への転換に利用可能となる。同様の状況が、
本発明による1種以上のタンパク質の分解能力または効率を改善する場合に要求
されるであろう。
【0130】 所望の化合物の収率を結果的に向上させるMPタンパク質についての突然変異
生成戦略に関する上記リストは、限定することを意味するものでない。この突然
変異生成戦略に関する変更は、当該技術者等に容易に見出されるであろう。この
機構により、本発明の核酸およびタンパク質分子を用いて、変異MP核酸および
タンパク質分子を発現するC.グルタミカムまたは関連するバクテリア株を生成
し、所望の化合物の収率、製造、および/または製造効率を改善することが可能
となる。この所望の化合物はC.グルタミカムの天然の産物であっても良く、そ
の例には、生合成経路の最終生成物および天然に発生する代謝経路の中間体であ
り、あるいはC.グルタミカムの代謝で天然に発生しないが、本発明によるC.
グルタミカム株によって製造される分子が含まれる。コリネバクテリウム−グル
タミカム株によって製造される化合物としては、アミノ酸L−リシンおよびL−
メチオニンが好ましい。
【0131】 一実施の形態において、シスタチオニンβ−リアーゼ(β−シスタチオナーゼ
)をコードするmetC遺伝子、すなわちメチオニン生合成経路における第3の酵素
を、コリネバクテリウム−グルタミカムから単離した。この遺伝子の翻訳生成物
は、他の生物から得られたmetC遺伝子の生成物と十分な相同を示さなかった。me
tC遺伝子含有プラスミドをC.グルタミカムに導入することにより、シスタチオ
ナーゼβ−リアーゼの活性が5倍増大した。ここではMetC(SEQ ID NO:4に対応
する)と示されるタンパク質生成物は、35574ダルトンのタンパク質生成物
をコードし且つ325個のアミノ酸から構成されるものであり、これが、2種類
の異なるアミノ酸の存在を除く、事前に報告されているaedD遺伝子(Rossol, I.
およびPuhler, A.共著 (1992) J. Bacteriology 174, 2968-2977)と同一である
。AedDも同様に、遺伝子多重コピーで含まれる場合、metC遺伝子には、毒性の
リシン類似物であるS−(β−アミノエチル)システインに対する耐性が付与さ
れる。しかしながら、遺伝子による証拠と生化学的な証拠により、metC遺伝子生
成物の天然活性がC.グルタミカムにおけるメチオニン生合成に影響を与えるこ
とを示している。metCの突然変異株が形成されて、そしてこの株がメチオニンの
原栄養生を示した。突然変異株がその能力を完全に失って、S−(γ−アミノエ
チル)システインに対する耐性を示す。この結果は、別の生合成経路である硫黄
転移の他に、直接的な硫黄転移経路が、メチオニンの平行する生合成経路として
、C.グルタミカムにおいて機能的となることを示している。
【0132】 更に別の実施形態において、スルフヒドリレーション経路が更にO−アセチル
ホモセリンスルフヒドリラーゼによって触媒されることが示されている。この経
路の存在によって、対応のmeZ(またはmetY)遺伝子および酵素(それぞれ、SEQ
ID NO:1およびSEQ ID NO:2に対応する)の単離が行われる。真核生物の中で、
菌類および酵母菌種が硫黄転移および直接のスルフヒドリレーション経路の両方
を有していることが報告されている。これまで、両方の経路を有する原核生物は
見出されていなかった。リシンに関する単一の生合成経路のみ有するE.coli(大
腸菌)と異なり、C.グルタミカムは、アミノ酸に関する2種類の平行した生合
成経路を有している。C.グルタミカムにおけるメチオニンの生合成経路は、リ
シンの生合成に類似している。
【0133】 遺伝子metZを、メチオニンの生合成における第1工程を触媒する酵素をコード
する遺伝子であるmetAの上流領域に存在する(Park, S.-D., et al (1998) Mol,
Cells 8, 286-294)。metAの上流領域および下流領域を配列して、他のmet遺伝
子を同定した。MetAおよびMetZにより、対応するポリペプチドを過剰生産する。
【0134】 驚くべきことに、metZのクローンは、メチオニンの栄養要求性Escherichia co
li met B突然変異株を相補可能である。これは、metZのタンパク質生成物が、me
tBのタンパク質生成物によって触媒される工程をバイパス可能な工程を触媒する
ことを示している。更にmetZを分解し、そしてとつぜんへいがメチオニン原栄養
性を示した。コリネバクテリウム−グルタミカムのmetBおよびmetZ二重変異体を
更に形成した。この二重突然変異体は、メチオニンに対して原栄養性を示す。従
って、metZはO−アセチル−ホモセリンからホモシステインへの反応(メチオニ
ン生合成のスルフヒドリレーション経路における一工程である)を触媒するタン
パク質をコードする。コリネバクテリウム−グルタミカムは、メチオニン生合成
の硫黄転移およびスルフヒドリレーション経路の両方を含む。
【0135】 metZをC.グルタミカムに導入することにより、47000ダルトンタンパク
質が発現する。metZとmetAをC.グルタミカムに組み合わせて導入することによ
り、ゾル電気泳動によって示される、metAおよびmetZタンパク質が明らかになる
。コリネバクテリウム株がリシンの過剰生産者である場合、metZおよびmetA含有
プラスミドを導入することにより、リシンの滴定量が低減するが、ホモシステイ
ンとメチオニンの凝集が検出される。
【0136】 別の実施形態において、metZおよびmetAを、アスパレートセミアルデヒドから
ホモセリンへの転換を触媒する、コリネバクテリウム−グルタミカム株にhom遺
伝子(ホモセリンデヒドロゲナーゼをコードする)と共に導入した。異種生物と
異なるhom遺伝子を、この実施例用に選択した。コリネバクテリウム−グルタミ
カムhom遺伝子を、Escherichia coliもしくはBacillus subtilis等の他の原核生
物より得られるhom遺伝子、またはSaccharomyces cerevisiae、Shizosaccharomy
ces probe、Ashbya gossypiiもしくは藻類、遺伝子、植物あるいは動物等の真核
生物のhomと同様に使用可能である。このhom遺伝子が、アスパレート等のアスパ
レートファミリー、リシン、スレオニン、またはメチオニンのアミノ酸生合成経
路において発生する代謝物の影響を受けるフィードバック阻害に対して反応しな
い場合がある。かかる代謝物は、例えば、アスパレート、リシン、メチオニン、
スレオニン、アスパルチルホスフェート、アスパレートセミアルデヒド、ホモセ
リン、シスタチオニン、ホモシステインまたはこの生合成経路で発生する他の代
謝物である。この代謝物の他に、ホモセリンデヒドロゲナーゼは、上記代謝物全
てによる阻害に対して非感受性な場合があり、またはこの代謝に関与する他の化
合物に対してでさえ非感受性である。これは、システイン等の他のアミノ酸、ま
たはビタミンB12等の補助因子およびその全ての誘導体並びにS−アデノシル
メチオニンおよびその代謝物と誘導体および類似物が含まれるからである。これ
ら全て、これらの一部、またはこれらの化合物のいずれか1つに対するホモセリ
ンデヒドロゲナーゼの非感受性は、その天然の態度であるか、あるいは化学物質
もしくは放射線または突然変異を用いる古典的な突然変異および選択により得ら
れる1種以上の突然変異体から得られた結果である。この突然変異体を、遺伝子
技術、例えば部位特異的点突然変異体の導入を用いるか、あるいはMPまたはD
NA配列をコードするMPについての上述した方法によって、hom遺伝子に導入
可能であった。
【0137】 hom遺伝子をmetZおよびmetA遺伝子と組み合わせて、リシン過剰生産者である
コリネバクテリウム−グルタミカム株に導入する場合、リシンの凝集を低減し、
そしてホモセリンとメチオニンの凝集を向上させる。ホモセリンとメチオニンの
濃度を更に増大させることが可能となるが、これは、コリネバクテリウム−グル
タミカム株を過剰生産するリシンを使用し、ddh遺伝子またはlysA遺伝子の分解
を、hom遺伝子とmetZおよびmetAを組み合わせて含むDNAで転写する前に場合
に達成しうる。ホモシステインおよびメチオニンの過剰生産は、異なる硫黄源を
用いることによって可能となった。スルフェート、チオスルフェート、スルフィ
トおよびHS等の還元硫黄源およびスルフィド並びに誘導体を使用可能である
。更に、メチルメルカプタンなどの有機硫黄源、チオグリコレート、チオシアネ
ート、チオ尿素、システイン等のアミノ酸含有硫黄、および他の硫黄含有化合物
を使用して、ホモシステインおよびメチオニンの過剰生産を達成可能である。
【0138】 別の実施形態において、metC遺伝子を、上述した方法によってコリネバクテリ
ウム−グルタミカム株に導入した。metC遺伝子を、metB、metAなどの他の遺伝
子とmetAとを組み合わせて、この株に形質転換可能である。hom遺伝子を加える
ことも可能である。hom遺伝子、metC、metAおよびmetB遺伝子をベクターで組み
合わせ、そしてコリネバクテリウム−グルタミカム株に導入する場合、ホモシス
テインおよびメチオニンの過剰生産が達成された。ホモシステインおよびメチオ
ニンの過剰生産は、異なる硫黄源を用いることによって達成可能であった。スル
フェート、チオスルフェート、スルフィトおよびHS等の還元硫黄源およびス
ルフィド並びに誘導体を使用可能であった。更に、メチルメルカプタンなどの有
機硫黄源、チオグリコレート、チオシアネート、チオ尿素、システイン等のアミ
ノ酸含有硫黄、および他の硫黄含有化合物を使用して、ホモシステインおよびメ
チオニンの過剰生産を可能である。
【0139】 以下に本発明の実施例を記載するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。本明細書に記載の参考文献、特許出願、特許、特許公報、表および配列表は
、参考のため本明細書に組みこまれているものである。
【0140】 [実施例] 実施例1:コリネバクテリウム−グルタミカム ATCC13032の全ゲノムDNAの
製造 コリネバクテリウム−グルタミカム (ATCC13032)の培養は、激しく攪拌したB
HI媒体(Difco)中で、30℃にて終夜行なわれた。細胞は遠心分離により回
収され、上澄みを処分し、そして細胞は、5mlの緩衝液I(最初の培養容積の
5%、すべての示された容積は、100mlの培養容積に対して計算されたもの
である。)中に再懸濁された。緩衝液Iの組成は、140.34g/L(リット
ル)のショ糖、2.46g/LのMgSOx7HO、10ml/LのKH PO溶液(100g/L、KOHでpH6.7に調整)、50ml/LのM1
2濃縮物(10g/Lの(NHSO、1g/LのNaCl、2g/Lの
MgSOx7HO、0.2g/LのCaCl、0.5g/Lの酵母抽出物
(Difco)、10ml/Lのトレース−エレメンツ−ミックス(200mg/L
のFeSOxHO、10mg/LのZnSOx7HO、3mg/LのM
nClx4HO、30mg/LのHBO、20mg/LのCoCl
6HO、1mg/LのNiClx6HO、3mg/LのNaMoO
2HO、500mg/Lの錯化剤(EDTAまたはクエン酸)、100ml/
Lのビタミン−ミックス(0.2mg/Lのビオチン、0.2mg/Lの葉酸、
20mg/Lのp−アミノ安息香酸、20mg/Lのリボフラビン、40mg/
Lのパントテン酸カルシウム、140mg/Lのニコチン酸、40mg/Lの塩
酸ピリドキソール、200mg/Lのミオ−イノシトール)であった。リゾチー
ムを最終濃度が2.5mg/mlになるまで懸濁液に加えた。約4時間、37℃
での培養後、細胞壁を劣化させ、これにより得られたプロトプラストを遠心分離
によって回収した。ペレットを5mlの緩衝液Iで一度、5mlのTE緩衝液(
10mMのトリスHCl、1mMのEDTA、pH8)で一度洗浄した。ペレッ
トを4mlのTE緩衝液に再懸濁し、0.5mlのSDS溶液(10%)と0.
5mlのNaCl溶液(5M)を加えた。プロテイナーゼKを最終濃度200μ
g/mlになるまで加えた後、懸濁液を約18時間、37℃で培養した。DNA
を標準的な操作で、フェノール、フェノール−クロロホルム−イソアミルアルコ
ールおよびクロロホルム−イソアミルアルコールによる抽出により精製した。そ
れから、DNAを、1/50容積の3M酢酸ナトリウムおよび2容積のエタノー
ルを加えて析出させ、次いで30分間、−20℃でインキュベートし、SS34
ローター(Sorvall)を使用した高速遠心分離機において12000rpmで遠
心分離を30分間行なった。DNAを20μg/mlのRNアーゼAを含む1m
lのTE緩衝液に溶解し、4℃で、少なくとも3時間、1000mlのTE緩衝
液に対して透析した。この間、緩衝液を3度交換した。透析したDNA溶液の0
.4mlの部分に、0.4mlの2MLiClと0.8mlのエタノールを加え
た。30分間、−20℃でインキュベートした後、遠心分離(13000rpm
、Biofuge Fresco, Heraeus, Hanau, Germany)によりDNAを集めた。DNA
ペレットをTE緩衝液に溶解した。この操作により製造されたDNAは、すべて
の目的、サザンブロット法またはゲノムライブラリーの構築に使用することがで
きた。
【0141】 実施例2:コリネバクテリウム−グルタミカム ATCC13032のEscherichia Coli
におけるゲノムライブラリーの構築 実施例1に記載したように製造されたDNAを用いて、コスミッドおよびプラ
スミドライブラリーが、公知で、良好に確立された方法に従って構築された(例
えば、Sambrook,J等、(1989)'Molecular Cloning:A Laboratory Manual', Cold
Spring Harbor Laboratory PressまたはAusubel,F.Mら(1994) 'Current Protoco
ls in Molecular Biology', John Wiley and Sons.を参照)。
【0142】 どのようなプラスミドまたはコスミッドでも使用可能であった。特に、プラス
ミドpBR322(Sutcliffe, J.G.(1979) Proc.Natl.Acad.Sci.USA,75:3737-3741)
; pACYC177 (Change & Cohen(1978) J.Bacteriol 134:1141-1156), pBS系列の
プラスミド(pBSSK+,pBSSK-およびその他;Stratagene LaJolla,USA)、またはSup
erCos1(Stratagene, LaJolla, USA)またはLorist6(Gibson, T.J., Rosenthal A.
and Waterson, R.H.(1987) Gene 53: 283-286)のコスミッドが使用された。特
にC.グルタミカムにおいて使用するための遺伝子ライブラリーは、プラスミド
pSL109( Lee, H.S. and A.J.Sinskey(1994) J.Microbiol.Biotechnol.4:256-263
)を用いて構築することができる。
【0143】 metCクローンを単離するため、E. coli JE 6839細胞をライブラリーDNAで
形質転換し、そしてアンピシリンおよび適当なサプリメントを含むM9最少培養地
に載置した。このプレートを37℃で5日間インキュベートした。単離されたme
tC遺伝子の完全なヌクレオチド配列を、当該技術者等に周知の方法で決定した。
【0144】 実施例3:DNAシーケンスとコンピューターによる機能解析 実施例2に記載されたゲノムライブラリーを標準的な方法、特にABI377
シーケンスマシーンを用いた連鎖停止法(例えばFleischman,R.D.ら(1995)'Whol
e-genome Random Sequencing and Assembly of Haemophilus Influenzae Rd.',S
cience, 269:496-512参照)に従ったDNAシーケンスに使用した。以下のヌク
レオチド配列のシーケンスプライマーを使用した: 5'-GGAAACAGTATGACCATG-3'(SEQ ID NO.:123)もしくは5'-GTAAAACGACGGCCAGT-3
'(SEQ ID NO.:124)。
【0145】 実施例4:生体内突然変異誘発 コリネバクテリウム−グルタミカムの生体内(in vivo)突然変異誘発が、E.c
oliまたは他の微生物(例えば、Bacillus spp.またはSaccharomyces cerevisiae
などの酵母)であって、その遺伝子情報の完全性を保つための能力が減じられて
いるものを通して、プラスミド(または他のベクター)の通過により行うことが
できた。典型的な突然変異誘発株は、DNA修復システム(例えば、mutHLS, mu
tD, mutT等; Rupp, W.D. (1996) DNA repair mechanisms, Escherichia coli an
d Salmonella, p2277-2294, ASM: Washington、参照)の遺伝子に変異を持って
いた。かかる株は当該技術者等に周知であった。かかる株の使用法は、例えば、
Greener,A. and Callahan, M. (1994) Strategies 7: 32-34に記載されていた。
【0146】 実施例5:Escherichia coli および コリネバクテリウム−グルタミカムの間
のDNA転換 数種類のコリネバクテリウムとブレビバクテリウム種は、自律的に複製する(
例えば、Martin, J.F.ら(1987) Biotechnology, 5:137-146、参照)内因性プラス
ミド(例えば、pHM1519またはpBL1)を含んでいた。Escherichia coliとCoryneb
acuterium glutamicumのシャトルベクターは、E.coliの標準ベクター(Sambrook
,J.et al.(1989),'Molecular Cloning:A Laboratory Manual',Cold Spring Harb
or Laboratory PressまたはAusubel,F.M.et al.(1994)'Current Protocols in M
olecular Biology', John Wiley and Sons)を用いて、これに、開始または複製
のおよび適当なコリネバクテリウム−グルタミカム由来のマーカーを加えること
で容易に構築することができた。かかる複製の開始点は、好ましくはコリネバク
テリウムとブレビバクテリウム種から単離された内因性プラスミドからもたらさ
れた。これらの種の形質転換マーカーとして、カナマイシン耐性の遺伝子(例え
ば、Tn5またはTn903トランスポゾンから誘導されたもの)またはクロラ
ムフェニコール耐性遺伝子(Winnacker, E.L. (1987) “From Genes to Clones-
Introduction to Gene Technology, VCH, Weinheim)を特に用いた。E. coli と
C.グルタミカムの双方でおいて複製するシャトルベクターの広範囲に亘る構築
についての文献例については、数多くあり、遺伝子過剰発現を含むいくつかの目
的に使用できた(例えば、Yoshihama, M. et al. (1985) J. Bacteriol. 162: 5
91-597, Martin J.F. et al. (1987) Biotechnology, 5: 137-146 およびEikman
ns, B.J. et al. (1991) Gene, 102: 93-98、参照)。
【0147】 標準的な方法を用いて、上述のように所望の遺伝子をシャトルベクターの一つ
ヘクローンすることが可能であり、またこのようなハイブリッドベクターをコリ
ネバクテリウム−グルタミカム株に導入することが可能であった。C.グルタミ
カムの形質転換を、プロトプラスト形質転換(Kastsumata, R. et al. (1984) J
. Bacteriol. 159306-311)、エレクトロポレーション(Liebl, E. et al. (198
9) FEMS Microbiol. Letters, 53: 399-303)、そして特定のベクターを用いた
場合には、接合(例えば、Schaefer, A et al. (1990) J. Bacteriol. 172: 166
3-1666に記載)によって達成可能であった。C.グルタミカム由来のプラスミド
DNAの製造(当該分野で周知の標準的な方法を用いる)およびそのE.Coliへの
形質転換によるC.グルタミカムからE.coliへのシャトルベクターの転換も可能
であった。この形質転換段階(工程)は、標準的な方法を用いて行うことができ
るが、Mcr−不足E.coli株、例えばNM522(Gough & Murray (1983) J. Mo
l. Biol. 166: 1-19)を使用することが有効であった。
【0148】 遺伝子は、pCG1(米国特許番号4617267号)またはその断片、必要により
TN903(Grindley, N.D. and Joyce, C.M. (1980)Proc. Natl. Acad. Sci.
USA 77(12): 7176-7180)からのカナマイシン耐性遺伝子を含むプラスミドを用
いたC.グルタミカム 株中に過剰発現させることができた。更に、遺伝子は、
プラスミドpSL109(Lee, H.-S. and A.J. Sinskey (1994) J. Microbiol
Biotechnol. 4: 256-263)を用いてC.グルタミカム株中に過剰発現することが
できた。
【0149】 複製プラスミドの使用法の他に、遺伝子の過剰発現は、ゲノムへの組み込みに
よって達成可能であった。C.グルタミカムまたは他のコリネバクテリウムまた
はブレビバクテリウム種における遺伝子組み込みは、周知の方法、例えばゲノム
領域での相同性組換え、制限エンドヌクレアーゼ仲介の組み込み(REMI)(
例えば、ドイツ特許第19823834号)、またはトランスポゾンの使用などによって
達成可能であった。調節領域(例えば、プロモーター、レプレッサー、および/
またはエンハンサー)を、配列の修飾、挿入、サイト−ダイレクテド法(例えば
、相同性組換え)またはランダムイベントに基づく方法(例えばトランスポゾン
突然変異誘発またはREMI)による欠失により修飾することにより、所望の遺
伝子の活性を調節することも可能であった。転写ターミネーターとして機能する
核酸配列は、本発明による1種以上の遺伝子のコード領域へ3’挿入されること
も可能であった。かかるターミネーターは、当該分野で周知であり、例えばWinn
acker, E.L. (1987) From Genes to Clones-Introduction to Gene Technology.
VCH: Weinheimに開示されていた。
【0150】 実施例6:変異タンパク質の発現の評価 形質転換された宿主細胞中の変異タンパクの活性に関する観察は、変異タンパ
クが野生型タンパクと類似した形態と類似した量で発現されるという事実に基づ
いていた。変異遺伝子(遺伝子産物に対する転写に用いられるmRNAの量のイ
ンジケーター)の転写レベルを確認するために有用な方法は、ノーザン・ブロッ
ト法(例えば、Ausubel et al.(1988) Current Protocols in Molecular Biolo
gy, Wiley: New York、参照)であり、注目遺伝子に結合するように設計された
プライマーが、検出タグ(通常、放射性または化学ルミネセンス)により、生物
の培養の総RNAを抽出し、ゲルに流し、安定マトリックスに移動させ、このプ
ローブでインキュベートする場合、プローブの結合および結合の量がこの遺伝子
のmRNAの存在と量を示すようにラベルされていた。この情報は、変異遺伝子
の転写程度の証拠であった。全細胞のRNAは、当該分野で周知の数種類の方法
、例えば、Bormann, E.R. et al. (1992) Mol. Microbiol. 6:317-326に記載さ
れた方法により、コリネバクテリウム−グルタミカムから製造可能であった。
【0151】 このmRNAから翻訳されたタンパクの存在と比較量を評価するために、SD
S−アクリルアミドゲル電気泳動等の標準的な技術を用いた。この方法を用いて
、コリネバクテリウム−グルタミカムにおいてmetCおよびmetZをmetAと組み合わ
て過剰生産した。ウェスタン・ブロッド法を用いることも可能であった(例えば
、Ausubel et al. (1988) Current Protocols in Molecular Biology, Wiley: N
ew York、参照)。この方法では、全細胞のタンパクは、抽出され、ゲル電気泳動
により分離され、ニトロセルロース等のマトリックスに移され、そして抗体等の
、所望のタンパク質に特異的に結合するプローブとともにインキュベートされた
。このプローブは、一般に、容易に検出可能な化学ルミネセンスまたは比色ラベ
ルでタグ付けされていた。観察されるラベルの存在と量は、細胞中の所望の変異
タンパク質の存在と量を示していた。
【0152】 実施例7:遺伝子的に修飾されたコリネバクテリウム−グルタミカムの成長−
媒体(培地)および培養条件 E.coli株を、それぞれMBおよびLB培養液においてごく一般的に成長させた
(Follettie, M. T., et al. (1993) J. Bacteriol. 175, 4096-4103)。E.coli
の最少培養地はM9および修飾されたMCGCであった(Yoshihama, M., et al. (1
985) J. Bacteriol. 162, 591-507)。最終濃度1%まで、グルコースを添加し
た。抗生物質を下記の量だけ添加した(μg/ml):アンピシリン、50;カ
ナマイシン、25;ナリジクス酸、25。アミノ酸、ビタミン、および他のサプ
リメントを下記の量だけ添加した:メチオニン、9.3mM;ヒスチジン、9.
3mM;チアミン、0.05mM。E.coli細胞をそれぞれ37℃でごく一般的に
成長させた。
【0153】 遺伝子的に修飾されたコリネバクテリアは、合成または天然成長媒体中で培養
された。Corynebacteria(コリネバクテリア)の異なった成長媒体の多くは、周
知であり且つ容易に入手可能であった(Lieb et al. (1989) Appl. Microbiol. B
iotechnol., 32:205-210; von der Osten et al. (1998) Biotechnology Letter
s, 11:11-16; Patent DE 4,120,867; Liebl (1992) “The Genus Corynebacteri
um, in: The Procaryotes, Volume II, Balows, A. et al., eds. Spring-Verla
g)。これらの媒体は、一種以上の炭素源、窒素源、無機塩、ビタミンおよび微量
要素から構成されていた。好ましい炭素源は、モノ−、ジ−またはポリサッカラ
イドなどの糖類であった。例えば、グルコース、フルクトース、マンノース、ガ
ラクトース、リボース、ソルボース、リブロース、ラクトース、マルトース、ス
クロース、ラフィノース、デンプンまたはセルロースが極めて良好な炭素源とし
て機能する。糖蜜または砂糖精製による他の副生成物等の複合化合物によって媒
体に糖類を供給することも可能であった。異なる炭素源の混合物を供給すること
も有効な場合があった。他の炭素源として考えうるのは、メタノール、エタノー
ル、酢酸、乳酸などのアルコールおよび有機酸であった。窒素源は、通常、有機
または無機の窒素化合物か、またはこれらの化合物を含む材料であった。窒素源
として、例えば、アンモニアガス、アンモニウム塩(例えばNHClまたは(
NHSO)、NHOH、硝酸塩、尿素、アミノ酸、あるいはコーンス
ティープリカー、大豆粉、大豆タンパク質、酵母抽出物、肉抽出物などの複合窒
素源が含まれていた。
【0154】 ホモシステインおよびメチオニン等のアミノ酸を含有する硫黄は、異なる硫黄
源を用いて過剰生産可能であった。スルフェート、チオスルフェート、スルフィ
ト、更にHSおよびスルフィド等の還元硫黄源並びに誘導体を使用可能であっ
た。更に、メチルメルカプタン等の有機硫黄源、チオグリコレート、チオシアネ
ート、チオ尿素、システイン等のアミノ酸含有硫黄、および化合物含有の他の硫
黄を用いて、ホモシステインおよびメチオニンの過剰生産を達成可能であった。
【0155】 媒体に含まれていたも良い無機塩化合物は、クロリド−、リン酸、硫酸のカル
シウム塩、マグネシウム塩、ナトリウム塩、コバルト塩、モリブデン塩、カリウ
ム塩、マグネシウム塩、亜鉛塩、銅塩、鉄塩であった。金属イオンを溶液中に保
持するために、媒体中にキレート化合物を添加可能であった。特に有用なキレー
ト化合物は、カテコールもしくはプロトカテチュエートなどのジヒドロキシフェ
ノール、またはクエン酸などの有機酸であった。培養体は、ビタミンなどの他の
成長因子または成長促進剤、例えばビオチン、リボフラビン、チアミン、葉酸、
ニコチン酸、パントテン酸塩、ピリドキシンなども含むのが一般的であった。成
長因子および塩は、酵母抽出物、糖蜜、コーンスティープリカーなどの複合培養
体成分に由来することも屡々あった。培養体化合物の正確な組成は、直接の実験
に強く依存し、各々の特定の場合に個々に決定される。培養体の最適化に関する
情報は、テキストブック”Applied Microbiol. Physiology, A Practical Appro
ach (eds. P.M. Rhodes, P.F. Stanbury, IRL Press (1997) pp.53-73, ISBN 01
9 963577 3)から入手可能であった。成長培養体を市販品、例えば標準1(Merck)
またはBHI(grain heart infusion, DIFCO)などから選定することも可能であった
【0156】 すべての培養体成分は、熱(1.5×10Pa、121℃で20分間)また
はろ過殺菌法のいずれかにより殺菌された。この成分は、一緒に、または所望に
より別々に殺菌可能であった。すべての培養体成分は、成長の初期に存在させる
か、または必要により連続的にまたは回分式に加えることが可能であった。
【0157】 培養条件を実験ごとに別個に定義した。温度は、15〜45℃の範囲であった
。温度を一定に保つか、実験中に変えることが可能であった。培養体のpHは、
5〜8.5であり、約7.0であるのが好ましく、培養体に緩衝液を添加するこ
とで一定に保つことが可能であった。この目的のために、緩衝液の例は、リン酸
カリウム緩衝液であった。MOPS、HEPES、ACESその他の合成緩衝液を代わりに使
用することも、あるいはこれらを同時に使用することも可能であった。成長の間
に、NaOHまたはNHOHを添加することより一定の培養pHを保つことも
可能であった。酵母抽出物などの複合培養体成分を使用する場合、多くの複合成
分は高い緩衝能力があるという事実によって、更に別の緩衝液の必要性がなくな
る場合があった。微生物の培養に発酵槽を使用する場合、pHはアンモニアガス
により制御可能であった。
【0158】 インキュベート時間は、通常、数時間から数日の範囲であった。この時間は、
ブロスの中に蓄積される生成物の量を最大にするように選択された。開示された
成長実験は、種々の容器、例えばミクロタイター板、ガラス管、ガラスフラスコ
、または種々のサイズのガラスもしくは金属発酵槽等の中で行うことが可能であ
った。大多数のクローンをスクリーニングするために、微生物をミクロタイター
板、ガラス管、振とうフラスコ中で、バッフル付きで、またはなしで培養すべき
であった。100mlの振とうフラスコを使用するのが好ましく、必要な成長培
養体を10容積%満たした。このフラスコを100〜300rpmの速度範囲を
用い、ロータリーシェーカー(ふり幅25mm)で振とうした。蒸発ロスは、湿
潤雰囲気中に保つことによって少なくすることが可能であった。あるいは、蒸発
ロスの数学的補正を行った。
【0159】 遺伝子的に修飾されたクローンを試験する場合、修飾されていないコントロー
ルクローンまたはいかなる挿入もなされていない基本プラスミドを含むコントロ
ールクローンを更に実験した。培養体を寒天平板上、例えばCMプレート(10
g/Lのグルコース、2.5g/LのNaCll、2g/Lの尿素、10g/L
のポリペプトン、5g/Lの酵母抽出物、5g/Lの肉抽出物、22g/Lの寒
天、2MのNaOHによりpH6.8としたもの)を30℃でインキュベートし
たもので成長させた細胞を用い、0.5−1.5のOD600まで接種した。培
養体の接種は、CMプレートからのC.グルタミカム細胞のサリーン懸濁液を導
入するか、またはこのバクテリアの前培養液を添加することにより達成された。
【0160】 実施例8:変異タンパクの機能のインビトロ解析 酵素の活性と速度論的パラメーターの測定は、当該分野で良好に確立されてい
た。所定の変化型酵素の活性を決定するための実験は、当該技術者等の能力の範
囲内で、野生種酵素の比活性に対して行なわれなければならない。一般に酵素に
ついての概要、並びに構造、速度論的、原理、方法、適用および多数の酵素活性
の測定例に関する特定の詳細は、例えば以下の参照に見出される:Dixon, M., a
nd Webb, E.C., (1979) Enzymes. Longmans: London; Fersht, (1985) Enzyme S
tructure and Mechanism. Freeman: New York; Walsh, (1979) Enzymatic Reac
tion Mechanisms. Freeman: San Francisco; Price, N.C., Stevens, L. (1982)
Fundamentals of Enzymology. Oxford Univ. Press:Oxford; Boyer, P.D., ed(
1983) The Enzymes, 3rd ed. Academic Press: New York; Bisswanger, H., (19
94) Enzymkinetic, 2nd ed. VCH: Weinheim (ISBN 3527300325), Bergmeyer, H.
U., Bergmeyer, J., Grassl, M., eds. (1983-1986) Methods of Enzymatic Ana
lysis, 3rd ed., vol. I-XII, Verlag Chemie: Weinheim; and Ullmann's Encyc
lopedia of Industrial Chemistry (1987) vol. A9, 'Enzymes'. VCH: Weinheim
, p. 352-363。
【0161】 コリネバクテリウム−グルタミカムからの細胞抽出物を、以前から開示されて
いるようにして調製した(Park, S.-D., et al. (1998) Mol. Cells 8, 286-294
)。シスタチオニンβ−リアーゼを、以下のように評価した。このアッセイ混合
物は、100mMのトリス−HCl(pH8.5)、0.1mMのNADH、1
mMのL−シスタチオニン、5単位のL−ラクテートデヒドロゲナーゼ、および
適量の粗抽出物を含んでいた。光学変化を340nmでモニターした。S−(β
−アミノエチル)システイン(AEC)耐性についての評価を、Rossol, I. and
Puehler, A. (1992) J. Bacteriol. 174, 2968-77に記載されているように行っ
た。異なるコリネバクテリウムグルタミカムの抽出物から得られるシスタチオニ
ンβ−リアーゼアッセイの結果、並びに同一の株のAEC耐性アッセイの結果を
、以下の表5にまとめる。
【0162】
【表1】
【0163】 a 1%のグルコースを含む最小培養地で定常期(静止期)へ成長によって、酵
素を誘導した。細胞を採取し、分解し、そして材料および方法に開示されている
ように、活性に関して評価した。 b MCGC最小培養地を使用した。成長をプレートでモニターした。 c 細胞を、40mMのS−(β−アミノエチル)システイン(AEC)を含む
プレートで5日間成長させた。 d 変異体をこの研究で生成した。 e 測定されなかった
【0164】 シスタチオニンβ−リアーゼを発現するためのmetCクローンの能力を、酵素ア
ッセイによって試験した。プラスミドpSL173を宿しているC.グルタミカムASO1
9E12細胞から得られた粗抽出物をアッセイした。プラスミドを宿している細胞は
、エンプティベクターpMT1(表5)を宿している細胞と比較して、約5倍増大さ
せたシスタチオニンβ−リアーゼの活性を示した。原因としては、明らかに遺伝
子効果であった。粗生成物についてのSDS-PAGE解析によって、M約41000
である推定上のシスタチオニンβ−リアーゼ帯域が明らかになった。推定上シス
タチオニンβ−リアーゼ帯域のそれぞれの強度は、相補性と酵素アッセイデータ
(表5)と一致していた。上述したように、metC領域は、以前に報告されている
aecDと殆んど同一であることが明らかとなった。aecD遺伝子を、その能力の基づ
いて単離して、S−(β−アミノエチル)システイン(AEC)、すなわち毒性
のリシン類似物に対する耐性を形成するという理由から、本発明者等は、この能
力の存在に関して、metCのタンパク質生成物を試験した。表5に示したように、
シスタチオニンβ−リアーゼを過剰発現する細胞は、AECに対する耐性が向上
していた。metC遺伝子において突然変異する菌株(以下を参照)は、その能力を
完全に失って、AECに対して耐性のある表現型を示した。
【0165】 O−アセチルホモセリンスルフヒドリラーゼに関するアッセイ(評価)は、以
下のように行った(Belfaiza, J., et al. (1998) J. Bacteriol. 180, 250-255
; Ravanel, S., M. Groux, and R. Douce (1995) Arch. Biochem. Biophys. 316
, 572-584; Foglino, M. (1995) Microbiology 141, 431-439)。0.1mlの
アッセイ混合物は、20mMのMOPS−NaOH(pH7.5)、10mMの
O−アセチルホモセリン、2mMの、50mMのNaOHにおけるNaSおよ
び適量の酵素を含んでいた。最後に添加されたNaSの添加直後、反応混合物
に50μLの鉱油をかぶせた。30℃で30分インキュベーションした後、3分
間混合物を煮沸することによって、反応を停止させた。この反応で製造されるホ
モシステインを、以前から記載されているように定量した(Yamagata, S. (1987
) Method Enzymol. 143, 478-483)。0.1mlの反応混合物を採取し、そして
0.1mlのHO、0.6mlの飽和NaCl、0.1mlの、67mMKC
N含有1.5MのNaCO、および0.1mlの2%ニトロプルシドと混合
した。室温で1分間インキュベーションした後、光密度を520nmで測定した
。更に別のmetZ遺伝子種、例えばmetZ遺伝子含有プラスミドを宿しているコリネ
バクテリウム細胞のmetZ酵素活性は、更に別のmetZ遺伝子を含まないコリネバク
テリウム細胞の同一の種類と比較して、十分に高いものであった。
【0166】 DNAと結合するタンパクの活性は、数種の極めて良好に確立された方法、例
えばDNAバンド−シフトアッセイ(ゲル遅延アッセイとも呼ばれる)により測
定可能であった。他の分子の発現におけるかかるタンパクの効果は、レポーター
遺伝子アッセイ(例えば、Kolmar, H. et al. (1995) EMBO J. 14: 3895-3904お
よび引用文献に記載されている)を用いて測定可能であった。レポーター遺伝子
試験系は周知であり、β−ガラクトシダーゼ、緑蛍光性タンパクおよびその他数
種の酵素を用いて、原核細胞および真核細胞の両方において適用が確立されてい
た。
【0167】 膜輸送タンパクの活性についての測定は、例えば、Gennis, R.B. (1989) “Po
res, Channels and Transporters”, in Biomembranes, Molecular Structure a
nd Function, Springer; Heidelberg, p. 85-137; 199-234; and 270-322に記載
されたような技術に従って行なわれた。
【0168】 実施例9:所望の生成物の製造における変異タンパクの影響についての分析 所望の化合物(例えば、アミノ酸)の製造におけるC.グルタミカムの遺伝子
修飾に関する効果は、適当な条件(例えば、上述した条件)下に変更した微生物
を成長させ、培養地および/または細胞成分を、所望の生成物(例えば、アミノ
酸)の改善した製造に関して分析することによって評価可能であった。かかる分
析技術は、当該技術者等に周知であり、例として、分光法、薄層クロマトグラフ
ィー、種々の染色法、酵素的および微生物学的方法、ならびに高速液体クロマト
グラフィー等の分析的クロマトグラフィー(例えば、Ullman, Encyclopedia of
Industrial Chemistry, vol. A2, p. 89-90 and p. 443-613, VCH: Weinheim (1
985); Fallon, A. et al., (1987) 'Applications of HPLC in Biochemistry 'i
n: Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology, vol. 17;
Rehm et al. (1993) Biotechnology, vol. 3, Chapter III: 'Product recover
y and purification', page 469-714, VCH: Weinheim; Belter, P.A. et al. (1
988) Bioseparations: downstream processing for biotechnology, John Wiley
and Sons; Kennedy, J.F. and Cabral, J.M.S. (1992) Recovery processes fo
r biological materials, John Wiley and Sons; Shaeiwitz, J.A. and Henry,
J.D.(1988) Biochemical separations, in: Ullmann's Encyclopedia of Indust
rial Chemistry, vol. B3, Chapter 11, page 1-27, VCH: Weinheim; and Decho
w, F.J. (1989) Separation and purification techniques in biotechnology,
Noyes Publicationsを参照されたい)が挙げられる。
【0169】 発酵による最終生成物の測定の他に、所望の化合物の製造に使用される代謝経
路の他の成分、例えば中間体および副生成物を分析して、化合物の全製造効率を
測定することも可能であった。解析法としては、培養地中の栄養剤(例えば砂糖
(糖類)、炭化水素、窒素源、ホスフェート、および他のイオン)レベルの測定
、バイオマス組成と成長の測定、生合成経路による一般的な代謝物の製造の解析
、および発酵の間に生成したガスの測定を例として挙げることができた。これら
の測定に関する標準的な方法は、Applied Micro Physiology, A Practical Appr
oach, P.M. Rhodes and P.F. Stanbury, eds., IRL Press, p. 103-129; 131-16
3; and 165-192 (ISBN: 0199635773) およびそこでの引用文献に概説してある。
【0170】 実施例10:C.グルタミカム培養より得られる所望の生成物の精製 C.グルタミカム細胞からまたは上述した培養物の上澄み液から得られる所望
の生成物の回収は、当該分野で周知の種々の方法により行うことができた。所望
の生成物を細胞から分泌しない場合、細胞を培養物から低速遠心分離により回収
することができ、この細胞を、機械的な力または超音波等の標準的な技術で溶解
可能であった。細胞の破片を遠心分離で取り除き、そして可溶性タンパクを含む
上澄み画分を、所望の化合物のさらなる精製用に保持した。生成物をC.グルタ
ミカム細胞から分泌する場合、この細胞を培養物から低速遠心分離により取り除
き、そして上澄み画分をさらなる精製用に保持した。
【0171】 何れの精製法から得られる上澄み画分を、適当な樹脂でクロマトグラフィー処
理するが、所望の分子がクロマトグラフィー樹脂に保持され、且つサンプル中の
多くの不純物が保持されないか、あるいは不純物が樹脂により保持され、且つサ
ンプルが保持されないように樹脂を用いたクロマトグラフィーで処理する。かか
るクロマトグラフィー工程は、必要により、同一または異なるクロマトグラフィ
ー樹脂を用いて繰り返すことが可能であった。当該技術者等は、適当なクロマト
グラフィー樹脂の選択と、精製される特定の分子への最も効率的な適用に精通し
ていたであろう。精製された生成物は、ろ過または限外ろ過により濃縮し、そし
て生成物の安定性を最大限にする温度で保存可能であった。
【0172】 広範囲に亘る精製法が当該分野で周知であり、そして上述した精製法は、限定
することを意味するものではなかった。かかる精製技術が、例えば、Bailey, J.
E. & Ollis, D.F. Biochemical Engineering Fundamentals, McGraw-Hill: New
York (1986)に記載されていた。
【0173】 単離した化合物の同定と純度が、当該分野における標準的な技術によって評価
可能であった。これらには、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、分光学
的方法、染色法、薄層クロマトグラフィー、NIRS、酵素的または微生物学的
アッセイが含まれる。かかる解析法は、Petek et al. (1994) Appl. Environ. M
icrobiol. 60: 133-140; Malakhova et al.(1996) Biotekhnologiya 11: 27-32;
and Schmidt et al. (1988) Bioprocess Engineer. 19: 67-70. Ulmann's Ency
clopedia of Industrial Chemistry, (1996) vol. A27, VCH: Weinheim, p. 89-
90, p. 521-540, p.540-547, p. 559-566, 575-581 and p. 581-587; Michal, G
. (1999) Biochemical Pathways: An Atlas of Biochemistry and Molecular Bi
ology, John Wiley and Sons; Fallon, A. et al. (1987) Applications of HPL
C in Biochemistry in: Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecula
r Biology, vol. 17に記載されていた。
【0174】 実施例11:本発明の遺伝子配列の解析 配列の比較と、2種類の配列間における相同割合の決定とは公知の技術であり
、数学的アルゴリズム、例えばKarlin and Altschul (1990) Proc. Natl. Acad.
Sci. USA. 87: 2264-68のアルゴリズムで、Karlin and Altschul (1993) Proc.
Natl. Acad. Sci. USA 90: 5873-77に記載のように変形されたものなどを使用
して行うことが可能であった。かかるアルゴリズムは、Altschul, et al. (1990
) J. Mol. Biol. 215: 403-10のNBLASTおよびXBLASTプログラム(
バージョン2.0)に組み入れられていた。BLASTヌクレオチド探索を、N
BLASTプログラム、スコア=100、語長=12によって行い、本発明のM
P核酸分子に相同なヌクレオチド配列が得られた。BLASTタンパク探索を、
XBLASTプログラム、スコア=50、語長=3によって行い、本発明のMP
タンパク分子に相同なアミノ酸配列が得られた。比較の目的で、ギャップドアラ
イメント(gapped alignment)を得るために、ギャップドBLASTを、Altsch
ul et al., (1997) Nucleic Acids Res. 25(17):3389-3402に記載のように使用
可能であった。BLASTおよびギャップドBLASTプログラムの使用する場
合、当該技術者等は、解析される特定の配列に対して、プログラム(例えば、X
BLASTおよびNBLAST)のパラメーターを最適化する方法について知っ
ているであろう。
【0175】 配列の比較に使用される数学的アルゴリズムの他の例は、Meyers とMiller (
(1988) Comput. Appln. Biosci. 4: 11-17)のアルゴリズムであった。かかるア
ルゴリズムを、GCGシーケンスアライメントソフトウェアパッケージの一部で
あるALIGNプログラム(バージョン2.0)に組み入れた。ALIGNプロ
グラムをアミノ酸配列の比較に使用する場合、PAM120重量残渣表、12の
ギャップ長さペナルティー、および4のギャップペナルティーを使用可能であっ
た。配列解析に使用される更に別のアルゴリズムが当該分野で公知であり、AD
VANCEおよびADAM(Torelli and Robotti (1994) Comput. Appl. Biosc
i. 10:3-5に記載)および FASTA( Pearson and Lipman (1988) P.N.A.S. 85:24
44-8に記載)を含むものであった。
【0176】 2本のアミノ酸配列間における相同割合は、GCGソフトウェアパッケージ中
のGAPプログラム(http: //www.gcg.comで入手可能)を用い、Blosum 62マ
トリックスまたはPAM250マトリックスのいずれかと、そして12、10、
8、6または4の間隙重さ、および2、3または4の長さ質量を用いて達成可能
であった。2本の核酸配列間における相同割合は、標準的なパラメーター、例え
ばギャップ質量50および長さ質量3を用いて、GCGソフトウェアパッケージ
中のGAPプログラムにより達成可能であった。
【0177】 本発明の遺伝子配列と、遺伝子バンクに存在する配列の比較解析が当該分野で
公知の技術を用いて行なわれた(例えば、Bexevanis and Ouellette, eds. (199
8) Bioinformatics: A Practical Guide to the Analysis of Genes and Protei
ns. John Wiley and Sons: New York、参照)。本発明の遺伝子配列を、遺伝子
バンクに存在する遺伝子と、3段階の工程で比較した。第1段階(第1工程)で
、本発明の配列の各々について、遺伝子バンクに存在するヌクレオチド配列に対
してBLASTN解析(例えば、ローカルアライメント解析)を行い、最初にヒ
ットした500個についてさらに解析が続け、次にFASTA探索(例えば、ロ
ーカルアライメントとグローバルアライメントとの組み合わせ解析で、限定され
た配列領域を整列させる)を、これらの500個について行った。次いで、本発
明による各遺伝子配列を、最初にヒットした3個のFASTAにGCGソフトウ
ェアパッケージ中のGAPプログラムを用いて(標準的なパラメーターを使用し
て)包括的に整列させた。正確な結果を得るために、遺伝子バンクから抽出され
た配列の長さを、当該分野で周知の方法により当該配列の長さに調節した。この
解析の結果を表4に示した。これにより得られたデータは、遺伝子バンクの参照
の各々と比較した本発明の遺伝子の各々においてGAP(グローバル)解析を単
独で行なったときに得られるであろう結果と一致したが、このようなデータベー
スを広げて行なったGAP(グローバル)解析と比較して明らかに計算時間が短
縮された。切り捨て値を上回るアライメントが得られなかった本発明の配列を、
アライメントの情報なく表4に示した。表4に、“%相同(GAP)”の見出し
で記載されたGAPアライメント相同割合は、’,’が小数点を表すヨーロッパ
の数の形式で列挙されているということは、当該技術者等によってさらに理解さ
れたであろう。例えば、このカラム中の“40,345”の値は、40.345
%を表す。
【0178】 実施例12:DNAミクロアレイの構築と操作 本発明の配列を、DNAミクロアレイ(デザイン、方法論、およびDNAアレ
イの使用法は周知であり、例えばSchena, M. et al. (1995) Science 270: 467-
470; Wodicka, L. et al. (1997) Nature Biotechnology 15:1359-1367; DeSaiz
ieu, A. et al. (1998) Nature Biotechnology 16: 45-48;およびDeRisi, J.L.
et al. (1997) Science 278: 680-686に記載されている)の構築と適用において
更に使用可能であった。
【0179】 DNAミクロアレイは、ニトロセルロース、ナイロン、ガラス、シリコーンま
たは他の材料からなる固体(硬質)または軟質支持体である。核酸分子を、整然
とした方法で表面に付着させることが可能であった。適当なラベリング後、他の
核酸または核酸混合物を固定された核酸分子にハイブリダイズし、そしてこのラ
ベルを用いて、限定領域でハイブリダイズされた分子の個々の信号強度をモニタ
ーおよび測定可能であった。この方法論により、適用された核酸サンプルまたは
混合物中のすべてあるいは選択された核酸の相対量または絶対量を同時に定量化
可能となった。従って、DNAミクロアレイにより、並行して多数の(6800
以上)核酸の発現を解析することが可能となった(例えば、Schena, M. (1996)
BioEssays 18(5): 427-431、参照)。
【0180】 本発明の配列を用いて、ポリメラーゼ連鎖反応等の核酸増幅反応によって、1
種以上のC.グルタミカム遺伝子の限定領域を増幅することができるオリゴヌク
レオチドプライマーの設計が可能となった。5’または3’オリゴヌクレオチド
プライマーあるいは適当なリンカーを選択および設計すると、これにより得られ
たPCR産物を上述した基質培養地の表面に共有結合可能となった(例えば、Sc
hena, M. et al. (1995) Science 270: 467-470にも記載されている)。
【0181】 核酸ミクロアレイは、Wodicka,L.et al.(1997) Nature Biotechnology 15:135
9-1367に記載されたように、その場のオリゴヌクレオチド合成によっても構築可
能であった。写真平板法により、マトリックスの正確に限定された領域が露光さ
れた。光不安定性保護基は、これによって活性化され、ヌクレオチド付加が進行
し、一方、光からマスクされた領域はいかなる修飾も進行しなかった。これに続
く保護と光活性化のサイクルにより、限定された位置における異なったオリゴヌ
クレオチドの合成を可能にした。本発明による遺伝子の、小さく限定された領域
を、ミクロアレイ上で、固相オリゴヌクレオチド合成により合成することができ
る。
【0182】 ヌクレオチドのサンプルまたは混合物中に存在する本発明の核酸分子は、ミク
ロアレイとハイブリダイズ可能であった。これらの核酸分子は、標準的な方法で
ラベル可能であった。要するに、核酸分子(例えば、mRNA分子またはDNA
分子)は、例えば逆転写またはDNA合成の間、同位元素によりまたは蛍光によ
りラベルされたヌクレオチドの組み込みによりラベルされた。ラベルされた核酸
のミクロアレイへのハイブリダイゼーションは、例えば Schena, M. et al. (19
95) supra; Wodicka, L. et al. (1997), supra;およびDeSaizieu A. et al (19
98), supraに記載されている。このハイブリダイズされた分子の検出と定量化は
、特定の組み込まれたラベルにより行なわれた。放射性ラベルは、例えばSchena
, M. et al. (1995) supraに記載されたように検出可能であり、そして蛍光ラベ
ルは、例えばShalon et al. (1996) Genome Research 6: 639-645の方法により
検出可能であった。
【0183】 上述したように、本発明の配列をDNAミクロアレイ技術に適用することによ
り、C.グルタミカムまたは他のコリネバクテリアの異なった株の比較解析が可
能となった。例えば、個々の転写の特徴に基づく内部株の変種の研究、並びに特
定の株の性質および/または所望の株の性質、例えば病原性、生産性、およびス
トレス寛容に重要な遺伝子の同定は、核酸アレイ方法論により促進された。更に
、発酵反応中における本発明の遺伝子の発現に関する特徴の比較は、核酸アレイ
技術を用いることで可能となった。
【0184】 実施例13:細胞タンパク質群(ポピュレーション)の動力学的解析(プロテ
オミクス) 本発明の遺伝子、組成、および方法は、タンパク質群の相互作用および動力学
(プロテオミクスと称する)の研究に適用可能であった。所望のタンパク質群は
、C.グルタミカム(例えば、他の生物のタンパク質群と比較して)の全タンパ
ク質群を含む、すなわち、特定の環境または代謝条件下(例えば、高温または高
圧で、あるいは高いpHまたは低いpHでの発酵中)で活性なタンパク、あるい
は特定の成長および発達段階中に活性なタンパクの全タンパク質群を含むもので
あったが、これに限定さるものではない。
【0185】 タンパク質群は、種々の周知の技術、例えばゲル電気泳動により解析可能であ
った。細胞タンパクは、例えば、細胞溶解または抽出によって得られ、そして種
々の電気泳動技術を用いて相互に分離可能であった。ドデシル硫酸ナトリウムの
ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)により、タンパク質を、
その分子量に基づいて大部分分離した。等電点のポリアクリルアミドゲル電気泳
動(IEF−PAGE)により、タンパク質を、その等電点(アミノ酸配列を反
映するのみならずタンパク質の後翻訳修飾も反映する)により分離した。他の、
さらに好ましいタンパク解析方法は、2−D−ゲル電気泳動(例えば、Hermann
et al. (1998) Electrophoresis 19: 3217-3221; Fountoulakis et al. (1998)
Electrophoresis 19: 1193-1202; Langen et al. (1997) Electrophoresis 18:
1184-1192; Antelmann et al. (1997) Electrophoresis 18: 1451-1463に記載さ
れている)として知られるIEF−PAGEとSDS−PAGEを連続して組み
合わせることであった。他の分離技術、例えばキャピラリーゲル電気泳動なども
タンパク質の分離に利用可能であり、かかる技術は、当該分野で周知であった。
【0186】 これらの方法論により分離されたタンパク質は、標準的な技術、例えば染色ま
たはラベリングにより可視化可能であった。適当なステインは、当該分野で公知
であり、そしてクマシーブリリアントブルー、銀染色、または蛍光染料、例えば
Sypro Ruby(Molecular Probes)を含む。C.グルタミカムの培養地における、
放射性物質によりラベルされたアミノ酸またはその他のタンパク前駆体(例えば
35S−メチオニン、35S−システイン、14C−ラベルされたアミノ酸、 15 N−アミノ酸、15NOまたは15NH またはC13ラベルされたア
ミノ酸)の含有物により、その分離前に、これらの細胞から得られるタンパクの
ラベリングが可能となった。同様に、蛍光ラベルを使用することが可能となった
。これらのラベルされたタンパクを、抽出し、単離し、そして上述した技術によ
り分離した。
【0187】 これらの技術により可視化されたタンパクは、さらに、使用された染料または
ラベルの量を測定することにより解析可能であった。所定のタンパクの量を、例
えば光学的方法を用いて定量的に測定可能であり、そして同一のゲルまたは他の
ゲル中における他のタンパクの量と比較可能であった。ゲル上でのタンパクの比
較は、例えば光学的比較、分光学的、ゲルのイメージスキャンおよび解析、また
は写真フィルムおよびスクリーンの使用によって行なうことができた。かかる技
術は当該分野で周知である。
【0188】 所定のタンパクを同定するために、直接シーケンスまたは他の標準的な技術を
使用可能であった。例えば、N−および/またはC末端アミノ酸シーケンス(例
えば、エドマン分解)を、質量分光計(特にMALDIまたはESI技術(例え
ば、Langen et al. (1997) Electrophoresis 18: 1184-1192、参照))として使
用することができた。本明細書で提供されたタンパク配列を、これらの技術によ
りC.グルタミカムタンパクの同定に使用可能であった。
【0189】 これらの方法により得られた情報は、タンパクの存在、活性、種々の生物学的
条件(例えば、異なった生物、発酵時点、培養地条件、または異なったビオトー
プ、その他)からの異なったサンプル間における修飾の様式の比較に使用するこ
とができた。かかる実験を単独で、または他の技術との組み合わせにより得られ
たデータを、様々な適用、例えば所定の(例えば、代謝的)状況にある種々の生
物の挙動を比較する、ファインケミカルを産出する株の生産性の向上させる、ま
たはファインケミカルの製造効率を向上させることなどに使用可能であった。
【0190】 実施例14:ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いることによる遺伝子のク
ローニング コリネバクテリウム−グルタミカムの配列に相同なヌクレオチド配列または他
の菌株の配列に相同なヌクレオチド配列を含む特定のオリゴヌクレオチド、並び
に当該分野で周知の制限酵素の認識部位を用いて遺伝子を増幅可能であった(例
えば、Sambrook, J., Fritsh, E. F., and Maniatis, T. Molecular Cloning: A
Laboratory Manual. 第2版, Cold Spring Harbor Laboratory編、Cold Spring
Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY, 1989、参照)。これらの
オリゴヌクレオチドを使用して、上述した菌株の染色体の一部を含む特定のDN
Aフラグメントを増幅可能であったが、これは、T. aquaticus DNA−ポリメ
ラーゼ、P. furiosus DNA−ポリメラーゼ、もしくはP. woesei DNA−ポリ
メラーゼ等のDNA−ポリメラーゼと、製造業者によって記載されている適当な
バッファー溶液におけるdNTPsヌクレオチドとを用いることによって可能と
なった。
【0191】 上述した遺伝子のコード領域に含まれていない適当な上流および下流領域を含
むがRXA00657から得られたコード配列などの遺伝子フラグメントを、上述した技
術によって増幅可能となった。更に、これらのフラグメントを、取り込まれてい
ないオリゴヌクレオチドおよびヌクレオチドから生成可能であった。DNA制限
酵素を使用して、protruding endsを製造可能であった。このprotruding endsは
、DNAをSinskey et al., 米国特許第4,649,119号に記載されているベクター
に結紮するために使用可能な相補性酵素または相溶性酵素protruding ends、お
よびC.グルタミカムと関連するブレビバクテリウム種(例えば、lactoferment
um)の遺伝子操作に関する技術とで消化されるベクターにDNAフラグメントを
結紮するために使用可能であった。上流DNA配列の操作用プライマーとして使
用されるオリゴヌクレオチド、コード領域配列およびRXA00657の下流領域は、下
記の通りであった: TCGGGTATCCGCGCTACACTTAGA(SEQ ID NO: 121) GGAAACCGGGGCATCGAAACTTA(SEQ ID NO: 122)。
【0192】 量が200ngであるコリネバクテリウム−グルタミカムの染色体DNAを、
2.5UのPfu Turbo-PolymeraseTM (StratageneTM)、および200μMのdN
TPsヌクレオチドを含む100μLの反応体積のテンプレートとして使用した
。以下の温度/時間プロトコールによって、PCR-CyclerTM (Perkin Elmer 2400T M )でPCRを行った: 1サイクル:94℃:2分; 20サイクル:94℃:1分; 52℃:1分、72℃:1.5分; 1サイクル:72℃:5分。
【0193】 これにより得られた増幅DNAフラグメントからプライマーを除去し、そして
これにより得られたフラグメントを、pBS KS(StratageneTM)の鈍いEcoRV部位
にクローンした。制限酵素BamHI/XhoIで消化することによってこのフラグメント
を削除し、そしてBamHI SalI消化ベクターpB(SEQ ID NO.:125)に結紮した。こ
れにより得られたベクターを、pB RXA00657と称した。
【0194】 これにより得られた組み換えベクターは、例えば、Sambrook, J., Fritsh, E.
F., and Maniatis, T. 共著、Molecular Cloning: A Laboratory Manual. 第2
版., Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor Laboratory Press,
Cold Spring Harbor, NY, 1989に記載の標準的な技術によって解析可能であり
、そしてこれを、上述した技術によって、C.グルタミカムに形質転換可能であ
った。
【0195】 コリネバクテリウム株(ATCC13286)を、上述したように、形質転換するため
に処理した。C.グルタミカムの形質転換は、プロトプラスト形質転換(Kastsu
mata, R. et al. (1984) J. Bacteriol. 159306-311)、エレクトロポレーショ
ン(Liebl, E. et al. (1989) FEMS Microbiol. Letters, 53: 399-303)によっ
て達成可能であり、特定のベクターを使用する場合には、接合によっても可能で
あった(例えば、Schaefer, A. et al. (1990) J. Bacteriol. 172: 1663-1666
に記載されている)。C.グルタミカム由来のプラスミドDNAを調製し(当該
分野で周知の標準的な方法を用いる)、そしてこれをE.coliに形質転換すること
によって、C.グルタミカムのシャトルベクターをE.coliに転写することも可能
であった。この形質転換工程は標準的な方法で行っても良いが、NM522等のMcr-
欠如E.coli株を使用するのが有効であった(Gough & Murray (1983) J. Mol. Bi
ol. 166: 1-19)。
【0196】 コリネバクテリウム株(ATCC13286)等のバクテリア菌株の形質転換を、上述
したRXA00657のDNA領域(SEQ ID NO.:6)を含むプラスミドpBを用いて行い、
その他の場合は、核酸を挿入を更に有していないベクターpB(SEQ ID NO.:)を
用いて行った。
【0197】 これにより得られた菌株を培養し、そしてCM-Medium(培養地)(10g/L
のグルコース、2.5g/LのNaCl、2.0gの尿素、10g/LのBacto
Peptone(Difco/Becton Dicinson/Sparks USATM)、5g/Lの酵母菌抽出物(
酵母エキス)(Difco/Becton Dicinson/Sparks USATM)、22g/LのAgar(Di
fco/Becton Dicinson/Sparks USATM)、および15μg/mlの硫酸カナマイシ
ン(Serva, Germany)で、NaOHにてpH6.8に調節したもの)から単離し
た。
【0198】 上述したagar培養地から単離された菌株を、バッファーは含んでいない100
mlの振とうフラスコ中、100g/Lのスクロース、50g/Lの(NH SO、2.5g/LのNaCl、2.0g/Lの尿素、10g/LのBacto
Peptone(Difco/Becton Dicinson/Sparks USA)、5g/Lの酵母菌抽出物(Dif
co/Becton Dicinson/Sparks USA)、5g/Lの肉抽出物(Difco/Becton Dicins
on/Sparks USA)、および25g/LのCaCO(Riedel de Haen, Germany)
を含む液体において10mlで接種した。媒体をNaOHでpH6.8に調節し
た。
【0199】 菌株を30℃で48時間インキュベート(培養)した。インキュベーションの
上澄み液を、EppendorfTMミクロ遠心分離機において12000rpmで20分
間(20’)遠心分離することによって調製した。液体の上澄み液を希釈し、そ
してアミノ酸解析に付した(この測定に関する標準的な方法について、Appled M
icrobial Physiology, A Practical Approach, P.M. Rhodes and P.F. Stanbury
, eds., IRL Press, p. 103-129; 131-163; and 165-192 (ISBN:0199635773)お
よびそこでの引用文献に概要が示されている)。
【0200】 結果を以下の表6に示す。
【0201】
【表2】
【0202】 [同等物] 当該技術者等は、通常の実験だけで、本明細書に開示された本滅名の特定の実
施形態に対する多くの同等物(均等物)を認識するか、確認可能となるであろう
。かかる同等物は、請求の範囲に含まれる。
【0203】
【0204】
【0205】
【0206】
【配列表】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12P 21/02 C12R 1:13 //(C12N 1/21 1:15 C12R 1:13) C12N 15/00 ZNAA (C12N 1/21 C12R 1:15) (C12P 13/08 C12R 1:13) (C12P 13/08 C12R 1:15) (C12P 13/12 C12R 1:13) (C12P 13/12 C12R 1:15) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE,TR),OA(BF ,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW, ML,MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,G M,KE,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ, MD,RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM, AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,B Z,CA,CH,CN,CR,CU,CZ,DE,DK ,DM,DZ,EE,ES,FI,GB,GD,GE, GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,J P,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR ,LS,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK, MN,MW,MX,MZ,NO,NZ,PL,PT,R O,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG,UZ,VN, YU,ZA,ZW (72)発明者 シュレダー,ハルトヴィッヒ ドイツ、69226、ヌスロッホ、ゲーテシュ トラーセ、5 (72)発明者 ツェルダー,オスカル ドイツ、67346、シュパイァ、ロスマルク トシュトラーセ、27 (72)発明者 ハーバーハウエル,グレーゴル ドイツ、67117、リムブルガーホーフ、モ ーゼルシュトラーセ、42 (72)発明者 キム,ジュン−ウォン 大韓民国、ソウル、136−701、ソンブック 区、アナム−ドン、コレア大学、大学院バ イオテクノロジー科 (72)発明者 リー,ヘウン−シック 大韓民国、ソウル、163−701、ソンブック 区、アナム−ドン、コレア大学、大学院バ イオテクノロジー科 (72)発明者 ファン,ビュン−ジョーン 大韓民国、ソウル、163−701、ソンブック 区、アナム−ドン、コレア大学、大学院バ イオテクノロジー科 Fターム(参考) 4B024 AA03 BA07 BA71 BA72 BA80 CA03 DA05 DA10 EA04 FA15 GA11 GA19 HA01 4B064 AE16 AE25 AG01 CA02 CA19 CC03 CC24 4B065 AA22X AA24X AA24Y AB01 AC14 BA02 BB11 CA17 CA24 4H045 AA10 AA20 BA10 CA11 DA89 FA73 FA74

Claims (47)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配列番号1、配列番号3又は配列番号5に示されたヌクレオ
    チド配列を含む核酸分子から選択された代謝経路タンパク質をコードするコリネ
    バクテリウム−グルタミカム由来の単離された核酸分子。
  2. 【請求項2】 前記代謝経路タンパク質がアミノ酸の代謝に関与する請求項
    1に記載の単離された核酸分子。
  3. 【請求項3】 配列番号2、配列番号4又は配列番号6に示された配列から
    成るアミノ酸配列群より選択されたポリペプチドの自然に発生する対立変異体を
    コードする単離された核酸分子。
  4. 【請求項4】 配列番号6に示されたヌクレオチド配列に対して50%以上
    の相同性を示すヌクレオチド配列を含む単離された核酸分子又はその補体。
  5. 【請求項5】 配列番号1に示されたヌクレオチド配列に対して65%以上
    の相同性を示すヌクレオチド配列を含む単離された核酸分子又はその補体。
  6. 【請求項6】 配列番号1、配列番号3又は配列番号5に示された配列群よ
    り選択されたヌクレオチド配列を含み、少なくとも15個のヌクレオチドの核酸
    フラグメントを含む単離された核酸分子。
  7. 【請求項7】 緊縮条件下で請求項1〜6のいずれかに記載の核酸分子とハ
    イブリダイズする単離された核酸分子。
  8. 【請求項8】 請求項1に記載の核酸分子を含む単離された核酸分子又はそ
    の一部分、及び異種ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列。
  9. 【請求項9】 請求項1に記載の核酸分子を含むベクター。
  10. 【請求項10】 更に1種以上の代謝経路核酸分子を含む請求項9に記載の
    ベクター。
  11. 【請求項11】 発現ベクターである請求項9又は10に記載のベクター。
  12. 【請求項12】 請求項9又は10に記載の発現ベクターよりトランスフェ
    クションされた宿主細胞。
  13. 【請求項13】 第2代謝経路核酸分子が、表1に列挙されたF表示核酸分
    子を除く奇数番号が付された配列に示されたヌクレオチド配列を含む核酸分子か
    ら選択される請求項10に記載のベクター。
  14. 【請求項14】 前記細胞が微生物である請求項12に記載の宿主細胞。
  15. 【請求項15】 前記細胞が、コリネバクテリウム属又はブレビバクテリウ
    ム属に属する請求項12に記載の宿主細胞。
  16. 【請求項16】 前記核酸分子の発現により、前記細胞からのファインケミ
    カルの製造が調節される請求項12に記載の宿主細胞。
  17. 【請求項17】 前記ファインケミカルがアミノ酸である請求項16に記載
    の宿主細胞。
  18. 【請求項18】 前記アミノ酸がメチオニン又はリシンである請求項17に
    記載の宿主細胞。
  19. 【請求項19】 請求項12に記載の宿主細胞を適当な培地で培養すること
    によりポリペプチドを形成する工程を含むポリペプチドの製造方法。
  20. 【請求項20】 コリネバクテリウム−グルタミカム由来の単離された代謝
    経路ポリペプチド又はその一部。
  21. 【請求項21】 前記ポリペプチドが、アミノ酸の代謝に関連する代謝経路
    タンパク質群から選択される請求項20に記載のタンパク質。
  22. 【請求項22】 前記アミノ酸がメチオニン又はリシンである請求項21に
    記載のタンパク質。
  23. 【請求項23】 配列番号2、配列番号4又は配列番号6に示されたアミノ
    酸配列を含む代謝経路タンパク質をコードするコリネバクテリウム−グルタミカ
    ム由来の単離された核酸分子。
  24. 【請求項24】 配列番号2、配列番号4又は配列番号6に示された配列よ
    り選択されるアミノ酸配列群を含むポリペプチドの自然に発生する対立変異体を
    含む単離されたポリペプチド。
  25. 【請求項25】 更に異種アミノ酸配列を含む請求項23に記載の単離され
    たポリペプチド。
  26. 【請求項26】 配列番号5に示されたヌクレオチド配列に対して50%以
    上の相同性を示すヌクレオチド配列を含む単離されたポリペプチド又はその補体
  27. 【請求項27】 配列番号1に示されたヌクレオチド配列に対して65%以
    上の相同性を示すヌクレオチド配列を含む単離されたポリペプチド又はその補体
  28. 【請求項28】 請求項9又は10に記載のベクターを含む細胞を培養して
    、ファインケミカルを製造する工程を含むファインケミカルの製造方法。
  29. 【請求項29】 前記細胞を、硫黄源の存在下で培養する請求項28に記載
    の方法。
  30. 【請求項30】 前記方法が、更に前記培養物からファインケミカルを回収
    する工程を含む請求項28に記載の方法。
  31. 【請求項31】 前記ファインケミカルがアミノ酸である請求項28に記載
    の方法。
  32. 【請求項32】 前記アミノ酸がメチオニン又はリシンである請求項31に
    記載の方法。
  33. 【請求項33】 前記方法が、更に前記細胞を請求項9又は10に記載のベ
    クターによってトランスフェクションして、前記ベクター含有細胞を形成する工
    程を含む請求項28に記載の方法。
  34. 【請求項34】 前記細胞がコリネバクテリウム属又はブレビバクテリウム
    属に属する請求項28に記載の方法。
  35. 【請求項35】 前記細胞が、コリネバクテリウム−グルタミカム, コリネ
    バクテリウム−ヘルキュリス、コリネバクテリウム−リリウム、コリネバクテリ
    ウム−アセトアシドフィリウム、コリネバクテリウム−アセトグルタミカム、コ
    リネバクテリウム−アセトフィリウム、コリネバクテリウム−アンモニアゲン、
    コリネバクテリウム−フジオケンス、コリネバクテリウム−ニトリロフィリウ
    ス、 ブレビバクテリウム−アンモニアゲン、ブレビバクテリウム−ブタニカム
    、 ブレビバクテリウム−ジバリカツム、ブレビバクテリウム−フラビン、ブレ
    ビバクテリウム−ヘアリ、ブレビバクテリウム−ケトグルタミカム、ブレビバク
    テリウム−ケトソレダクタアム、ブレビバクテリウム−ラクトフェルメンツム、
    ブレビバクテリウム−リネンス、ブレビバクテリウム−パラフィノリツカム、お
    よび表3に記載の菌株からなる群より選択される、請求項27に記載の方法。
  36. 【請求項36】 請求項1〜6のいずれかに記載の核酸分子を含むことによ
    りゲノムDNAを変異させた細胞を培養する工程を含むファインケミカルの製造
    方法。
  37. 【請求項37】 請求項1〜6のいずれかに記載の核酸分子のみを含むか、
    或いは該核酸分子と表1に列挙されたF表示核酸分子を除く奇数番号が付された
    配列に示されたヌクレオチド配列を含む核酸分子から選択される別の代謝経路核
    酸とを組み合わせて含むことによってゲノムDNAを変異させた細胞を培養する
    工程を含むファインケミカルの製造方法。
  38. 【請求項38】 請求項1〜6のいずれかに記載の核酸分子のみを含むか、
    又は該核酸分子と1種以上の代謝経路核酸分子とを組み合わせて含むことによっ
    てゲノムDNAを変異させた細胞を培養する工程を含むファインケミカルの製造
    方法。
  39. 【請求項39】 代謝経路核酸分子が、metZ、metC、metB、metA、metE、me
    tH、hom、asd、lysC、lusC/ask、rxa00657、dapA、dapB、dapC、dapD/argD、dap
    E、dapF、lysA、ddh、lysE、lysG、lysR、hsk、ppc、pycA、accD、accA、accB、
    accC、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼをコードするgpdh遺伝子、opcA
    、pgdh、ta、tk、pgl、rlpe、rpe又は上述した遺伝子の組み合わせから選択され
    る請求項36に記載の方法。
  40. 【請求項40】 前記代謝経路がメチオニン又はリシンの代謝である請求項
    35又は36に記載の方法。
  41. 【請求項41】 1種以上の代謝経路遺伝子を細胞に導入して、ファインケ
    ミカルの収率を調節する工程を含む細胞からのファインケミカルの収率を調節す
    る方法。
  42. 【請求項42】 前記1種以上の代謝経路遺伝子を細胞の染色体に組み込む
    請求項41に記載の方法。
  43. 【請求項43】 前記代謝経路遺伝子をプラスミドで保持する請求項41に
    記載の方法。
  44. 【請求項44】 前記ファインケミカルがアミノ酸である請求項41に記載
    の方法。
  45. 【請求項45】 前記アミノ酸がメチオニン又はリシンである請求項44に
    記載の方法。
  46. 【請求項46】 前記代謝経路遺伝子が請求項1〜6のいずれかに記載の核
    酸分子から選択される請求項41に記載の方法。
  47. 【請求項47】 前記代謝経路遺伝子のヌクレオチド配列が突然変異されて
    おり、これによりファインケミカルの収率を向上させる請求項41に記載の方法
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