JP2007267744A - ホスホエノールピルビン酸:糖ホスホトランスフェラーゼ系タンパク質をコードするコリネバクテリウム−グルタミカム遺伝子 - Google Patents

ホスホエノールピルビン酸:糖ホスホトランスフェラーゼ系タンパク質をコードするコリネバクテリウム−グルタミカム遺伝子 Download PDF

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Abstract

【課題】ホスホエノールピルビン酸:糖ホスホトランスフェラーゼ系タンパク質をコードするコリネバクテリウム−グルタミカム遺伝子の提供する。
【解決手段】コリネバクテリウム−グルタミカグルタミカム由来の新規PTSタンパク質をコードする核酸を単離し、更に、アンチセンス核酸分子、PTS核酸分子を含む組み換え発現ベクター、および発現ベクターが導入される宿主細胞を調製する。また、単離されたPTSタンパク質、突然変異させられたPTSタンパク質、融合タンパク質、抗原性ペプチド、およびC.グルタミカムから得られたPTS遺伝子の遺伝子操作に基づく所望の化合物の製造を改善することができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、ホスホエノールピルビン酸:糖ホスホトランスフェラーゼ系タンパク質をコードするコリネバクテリウム−グルタミカム遺伝子に関する。
[関連出願]
本願は、1999年6月1日出願米国仮出願第60/142691号明細書および1999年8月23日出願米国仮出願第60/150310号明細書を優先権の基礎とするものであり、これらの明細書の全内容は本明細書に組みこまれているものとする。更に本願は1999年9月3日出願ドイツ特許出願第19942095.5号明細書、1999年9月3日出願ドイツ特許出願第19942097.1号明細書を優先権の基礎とし、これらの出願の全内容も、参考のため本明細書に全て組み込まれているものとする。
細胞内の天然の代謝工程による産物および副産物は食品、飼料、化粧品および医薬業を含む多種産業で用いられる。集合的に「ファインケミカル」と呼ばれるこれらの分子には、有機酸、タンパク質源および非タンパク質源のアミノ酸、核酸、ヌクレオシド、脂質および脂肪酸、ジオール、炭水化物、芳香族化合物、ビタミン類、補助因子(コファクター)および酵素が含まれる。これらの生産は、所望の分子を大量に生産および分泌させるために開発されたバクテリアの大規模な培養により最も簡便に行われる。この目的における特に有用な生物の一種に、グラム陽性、非病原性のバクテリアであるコリネバクテリウム−グルタミカム(コリネバクテリウム−グルタミカム)がある。株(菌種)を選択することにより、多数の変異株が開発されており、これらにより一連の所望の化合物が産生する。しかしながら、特定分子生産のための改良された株の選択は時間のかかる困難な作業である。
本発明によると、新規バクテリア核酸分子が提供され、種々の用途に用いられる。用途の例としては、ファインケミカルを生産するために使用される微生物の識別、C.グルタミカムまたは関連するバクテリアにおけるファインケミカル生産調整、C.グルタミカムまたは関連するバクテリアの分類または識別、C.グルタミカムゲノムマップ作成のための参照点としての使用、および形質転換の標識としての使用が挙げられる。これらの新規核酸分子は、本明細書でホスホエノールピルビン酸:糖ホスホトランスフェラーゼ系(PTS)タンパク質と呼ぶタンパク質をコードするものである。
C.グルタミカムは、グラム陽性の好気性バクテリアであり、種々のファインケミカルの大量生産を行う産業分野において、および炭化水素(例えば石油中)の分解およびテルペイドの酸化に一般的に使用されている。本発明のPTS核酸分子の発現の調節または同PTS核酸分子の配列の修飾は、微生物から得られる1種類以上のファインケミカルの生産を調節するため(例えばコリネバクテリウム(Corynebacterium)またはブレビバクテリウム(Brevibacterium)種からの1種類以上のファインケミカルの終了または生産を向上させるため)に行われる。
本発明のPTS核酸はコリネバクテリウム−グルタミカムまたはこれに密接に関連する微生物を識別するため、または微生物の混合集団におけるC.グルタミカムまたはこれに密接に関連する微生物の存在を認識するために用いられる。本発明は、多数のC.グルタミカム遺伝子の核酸の配列を提供するものであり、この配列は、緊縮(ストリンジェント)条件下で、微生物の単独培養体または微生物の混合集団培養体から抽出されたゲノムDNAを、C.グルタミカムに特有のプローブ領域のスパニングにより検出し、目的の生物が存在するか否かを評価するものである。コリネバクテリウム−グルタミカム自体は非病原性であるが、ヒトにおける病原体種、例えばコリネバクテリウム−ジフテリア(ジフテリアの原因物質)に関連する。従って、このような微生物の検出は重要な臨床関連性を有する。
本発明のPTS核酸分子は、C.グルタミカムのゲノムまたは関連する微生物のゲノムの染色体地図作製の参照点としての作用も有する。同様に、これらの分子、これらの変異体または一部は、遺伝子工学的に得られたコリネバクテリウムまたはブレビバクテリウム種の標識としての作用も有する。
本発明の新規核酸分子によりコードされるPTSタンパク質は、例えばC.グルタミカムにグルコース等の高エネルギー炭素含有分子を輸送し、この微生物中の細胞内情報伝達に関与することが可能である。コリネバクテリウム−グルタミカムに用いられるクローニングベクターの有効性は、例えばSinskey等、米国特許第4,649,119号、C.グルタミカムおよび関連のブレビバクテリウム種(例えばラクトフェルメンタム(lactofermentum))の遺伝的複製技術(Yoshihama等著、J. Bacteriol. 162: 591-597(1985); Katsumata等著、J. Bacteriol. 159: 306-311 (1984); and Santamaria等著、 J. Gen. Microbiol. 130: 2237-2246 (1984))に記載されている。本発明の核酸分子は、この生物の遺伝子操作に用いられてもよく、これによりこの微生物から1種類以上のファインケミカルの生産が改良されるか、または更に効率的な製造が行われる。
本発明のPTS分子を修飾して、1種類以上のファインケミカルの収率、生産、および/または製造効率を向上させることができる。例えば、グルコースの取り込みに関わるPTSタンパク質を、活性が最適化されるように調節することにより、グルコース取り込みの量や、グルコースが細胞内に導入される速度を増大させることができる。細胞内のグルコースや他の糖類の分解により、エネルギー的に不利な生化学反応、例えばファインケミカルの生合成に関連する生化学反応の推進に使用可能なエネルギーが提供される。この分解により、所定のファインケミカル、例えばアミノ酸、ビタミンおよび補助因子の生合成に必要な中間体および前駆体も提供される。本発明のPTS分子の修飾を通して細胞内の高エネルギー炭素分子の量を増大させることにより、1種類以上のファインケミカルの製造に必要な代謝経路を稼働可能にするエネルギーと、この製造に必要な代謝産物の細胞内プールの双方が増大される。
更に、本発明のPTS分子は、C.グルタミカムからの1種類以上のファインケミカルの収率および/または製造速度に影響を与えうる細胞内情報伝達に関連する。例えば、細胞外媒体(例えばHPr、酵素I、または酵素II複合体のメンバー)から1種類以上の糖類を導入するために必要なタンパク質を、細胞内に必要な量の糖が存在する場合に、多くの場合は翻訳後に修飾し、糖の導入を不能とする。所定量の糖の輸送システムを閉鎖して、細胞の正常な機能を維持しつつ、所望のファインケミカルの過剰生産を制限することが可能である。従って、本発明のPTSタンパク質を修飾して上述のような負の調節に関与しないようにすることにより、1種類以上の糖類の細胞内濃度を高くすることが可能であり、更に、この様な変異PTSタンパク質を含む生物からの1種類以上のファインケミカル製造の効率および収率を改善することができる。
本発明は、本発明においてホスホエノールピルビン酸:糖ホスホトランスフェラーゼ系(PTS)タンパク質と呼ぶタンパク質をコードし、C.グルタミカムにグルコース等の高エネルギー炭素含有分子(例えばグルコース、フルクトースまたはスクロース)を輸送し、および/または1種類以上のC.グルタミカム細胞内情報伝達に関与する新規核酸分子が提供される。PTSタンパク質をコードする核酸分子を、本明細書ではPTS核酸分子と呼ぶ。好ましい実施の形態では、このPTSタンパク質がC.グルタミカムにグルコース等の高エネルギー炭素含有分子(例えばグルコース、フルクトースまたはスクロース)を輸送し、および/または1種類以上のC.グルタミカム細胞内情報伝達に関与する。この様なタンパク質の例は、表1に記載の遺伝子によりコードされるものである。
本発明は更に、PTSタンパク質をまたはこのうちの生物学的に活性なタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む単離された核酸分子(例えばcDNA、DNA、RNA)、およびPTSをコードする核酸(例えばDNAまたはmRNA)の検出または増幅のためのプライマーまたはハイブリダイゼーションプローブとして適する核酸フラグメントを含む。特に好ましい実施の形態において、単離された核酸分子は、配列表中の奇数のSEQ ID NOの配列(例えばSEQ ID NO:1、SEQ ID NO:3、SEQ ID NO:5、SEQ ID NO:7...)により示されるヌクレオチド配列のいずれか、またはこの様なヌクレオチド配列におけるコード領域または相補性領域を含むものである。他の特に好ましい実施の形態では、本発明の単離された核酸分子が、配列表中の奇数のSEQ ID NO(例えばSEQ ID NO:1, SEQ ID NO:3, SEQ ID NO:5, SEQ ID NO:7...)として示されているヌクレオチド配列にハイブリダイズするか、もしくは少なくとも約50%、好ましくは少なくとも約60%、更に好ましくは少なくとも約70%、80%または90%、および更に好ましくは約95%、96%、97%、98%、または99%以上相同なヌクレオチド配列またはその一部を含む。好ましい実施の形態では、単離された核酸分子が、偶数のSEQ ID NO(例えばSEQ ID NO:2, SEQ ID NO:4, SEQ ID NO:6, SEQ ID NO:8...)に示されたアミノ酸配列のいずれかをコードする。この好ましいPTSタンパク質は、本明細書に記載のPTS活性の少なくとも1種類を有することが好ましい。
他の実施の形態において、単離された核酸分子はタンパク質またはタンパク質の一部をコードするが、この場合のタンパク質またはその一部には本発明のアミノ酸配列(例えば配列表中の、偶数のSEQ ID NOの配列)に十分に相同な、例えばタンパク質またはその一部がPTS活性を維持するに十分な程度に相同なアミノ酸配列を含む。上述の核酸によりコードされたタンパク質またはその一部は、C.グルタミカムにグルコース等の高エネルギー炭素含有分子(例えばグルコース、フルクトースまたはスクロース)を輸送し、および/または1種類以上のC.グルタミカム細胞内情報伝達に関与する能力を維持していることが好ましい。好ましい実施の形態において、核酸分子にコードされたタンパク質は、本発明のアミノ酸配列(例えば配列表中の偶数のSEQ ID NOの配列から選択されるアミン酸配列全体)に対して少なくとも約50%、好ましくは少なくとも約60%、更に好ましくは少なくとも約70%、80%または90%、および更に好ましくは約95%、96%、97%、98%または99%以上相同である。他の好ましい実施の形態においては、このタンパク質は本発明のアミノ酸配全体に対して実質的に相同なC.グルタミカムタンパク質全体である(配列表中の奇数のSEQ ID NOに対応するオープンリーディングフレームによりコードされたもの(例えばSEQ ID NO:1、SEQ ID NO:3、SEQ ID NO:5、SEQ ID NO:7...)。
他の好ましい実施の形態において、単離された核酸分子はC.グルタミカム由来のものであり、本発明のアミノ酸配列(例えば配列表中の偶数のSEQ ID NOのいずれかの配列)のいずれかに少なくとも約50%以上相同な生物学的に活性なドメインを含むタンパク質(例えばPTS融合タンパク質)をコードし、かつC.グルタミカムにグルコース等の高エネルギー炭素含有分子(例えばグルコース、フルクトースまたはスクロース)を輸送し、および/または1種類以上のC.グルタミカム細胞内情報伝達に関与することが可能であるか、または表1に記載の1種類以上の活性を有するものである。この場合の核酸分子には、非相同のポリペプチドまたは調節領域をコードする非相同核酸配列も含まれる。
他の実施形態において、単離された核酸分子の長さは少なくとも15ヌクレオチドであり、この核酸分子は本発明のヌクレオチド配列を含む核酸分子と緊縮(ストリンジェント)条件下でハイブリダイズする(例えば配列表中の奇数のSEQ ID NOの配列)。単離された核酸分子は、天然に発生する核酸分子に対応するものであることが好ましい。単離された核酸が、天然に発生するC.グルタミカムPTSタンパク質またはその生物学的に活性な部分をコードしていると更に好ましい。
更に、本発明はベクター、例えば本発明の核酸分子を含む組換え発現ベクター、およびこの様なベクターが組み込まれた宿主細胞を含む。一実施の形態においては、宿主細胞は、この様な宿主細胞を適当な培地で培養することによりPTSタンパク質を製造するため用いられる。このように製造されたPTSタンパク質は培地または宿主細胞から単離される。
更に、本発明はPTS遺伝子が導入されているか、または変化している遺伝的に変化した微生物を含むものである。一実施の形態では、この微生物のゲノムを、野生型または変異型PTS配列をコードする本発明の核酸分子をトランス遺伝子として導入することにより変化させておく。他の実施の形態では微生物のゲノム中の内因性PTS遺伝子に対して、改変されたPTS遺伝子のとの相同的組換えにより例えば機能的に混乱させる等の変性が行なわれる。他の実施の形態では、微生物中の内因性または誘導されたPTS遺伝子が、1カ所以上の点変異、欠失、逆位により変化しているにもかかわらず機能性PTSタンパク質をコードしている。更に他の実施の形態では、微生物のPTS遺伝子の1種類以上の領域(例えばプロモーター、リプレッサー、インデューサー)がPTS遺伝子の発現が調節されるように変化している(例えば欠失、切断、逆位、点変異による)。この微生物がコリネバクテリウムまたはブレビバクテリウム属に属していると好ましく、コリネバクテリウム−グルタミカムに属していると更に好ましい。好ましい実施の形態では、この微生物を、所望の化合物、例えばアミノ酸、特にリジンの製造に使用することが好ましい。
更に、本発明は、コリネバクテリウム−ジフテリア(Corynebacterium diphteriae)の存在または活性を認識する方法を提供するものである。この方法は、被検体中の本発明の核酸またはアミノ酸分配列(例えば配列表中SEQ ID NO.1〜304に示された配列)の1種類以上の検出を含み、これにより、被検体中のコリネバクテリウム−ジフテリアの存在または活性が検出される。
また、本発明は単離されたPTSタンパク質またはその一部、例えば生物学的に活性な部分を含む。好ましい実施の形態においては単離されたPTSタンパク質またはその一部はC.グルタミカムにグルコース等の高エネルギー炭素含有分子(例えばグルコース、フルクトースまたはスクロース)を輸送し、および/または1種類以上のC.グルタミカム細胞内情報伝達に関与することができる。他の好ましい実施の形態では、単離されたPTSタンパク質またはその一部が、本発明のアミノ酸配列は(例えば配列表中の偶数のSEQ ID NOの配列)に対して、このタンパク質またはその一部が、C.グルタミカムにグルコース等の高エネルギー炭素含有分子(例えばグルコース、フルクトースまたはスクロース)を輸送し、および/または1種類以上のC.グルタミカム細胞内情報伝達に関与する能力を維持する程度に、十分に相同である。
更に、本発明によると単離されたPTSタンパク質の製造法が提供される。好ましい実施の形態では、PTSタンパク質が本発明のアミノ酸配列(例えば配列表中の偶数のSEQ ID NOの配列)を含む。他の好ましい実施の形態において、本発明は、本発明の全アミノ酸配列(例えば配列表中の偶数のSEQ ID NOの配列)(配列表中の奇数のSEQ ID NOに示されたオープンリーディングフレームによりコードされている)に実質的に相同な、単離されたタンパク質全体を含む。更に他の実施の形態では、タンパク質は、本発明のアミノ酸配列(例えば配列表中の偶数のSEQ ID NOの配列)に対して少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%、更に好ましくは少なくとも70%、80%または90%、および更に好ましくは少なくとも約95%、96%、97%、98%または99%以上相同である。他の好ましい実施の形態において、単離されたPTSタンパク質は、本発明のアミノ酸配列(例えば配列表中の偶数のSEQ ID NOのいずれかの配列)のいずれかに少なくとも約50%以上相同アミノ酸配列であり、C.グルタミカムにグルコース等の高エネルギー炭素含有分子(例えばグルコース、フルクトースまたはスクロース)を輸送し、および/または1種類以上のC.グルタミカム細胞内情報伝達に関与することができるか、または表1に記載の1種類以上の活性を有するものである。
更に、単離されたPTSタンパク質は、例えば緊縮条件下で配列表に記載された偶数のSEQ ID NOのいずれかのヌクレオチド配列にハイブリダイズするヌクレオチド配列によりコードされているか、または少なくとも約50%、好ましくは少なくとも約60%、更に好ましくは約70%、80%、90%、更に好ましくは少なくとも約95%、96%、97%、98%または99%以上相同なヌクレオチド配列によりコードされたアミノ酸配列を含んでもよい。PTSタンパク質は本明細書に記載の1種類以上のPTS生物学的活性を有するモノであることが好ましい。
PTSポリペプチド、またはこのペプチドの生物学的に活性な部分は、非PTSポリペプチドと協同的に結合して、融合タンパク質を形成する。好ましい実施の形態では、融合タンパク質はPTSタンパク質単独の場合と異なる活性を有する。他の好ましい実施の形態では、この融合タンパク質により、C.グルタミカム由来の所望のファインケミカルの収率、生産および/または生産効率が向上する。特に好ましい実施の形態では、この融合タンパク質を宿主細胞に導入することにより、細胞からの所望の化合物の生産が調節される。
更に、本発明は、タンパク質自体、基質もしくはPTSタンパク質の結合対象との相互作用により、または本発明のPTS核酸分子の転写または翻訳を調節することにより、PTSタンパク質の活性を調節する分子をスクリーニングする方法を提供する。
更に本発明は、ファインケミカルの製造法を含む。この方法では、本発明のPTS核酸分子の発現を支配するベクターを含む細胞を培養し、これによりファインケミカルを製造するものである。好ましい実施の形態によると、同製造法にはこの様なベクターを含む細胞を得る工程が含まれ、この工程でPTS核酸の発現を支配するベクターを細胞に移入する。他の好ましい実施の形態においては、この方法は、培養体から得られたファインケミカルを回収する工程を更に含む。好ましい実施の形態では、細胞がコリネバクテリウムまたはブレビバクテリウム種由来であるか、表3に記載された株から選択されたものである。
更に、本発明の方法は、微生物由来の分子の製造を調節する方法を含む。この方法では、細胞をPTSタンパク質活性またはPTS核酸発現を調節する薬剤と接触させて、細胞に関連する活性を、この薬剤を用いない場合の活性に対して変化させる。この場合、細胞が1種類以上の糖類の取り込みについて調節され、微生物による所望のファインケミカルの収率または製造速度が向上することが好ましい。PTSタンパク質活性を調節する薬剤としては、PTSタンパク質の活性またはPTS核酸の発現を刺激する薬剤が使用可能である。PTSタンパク質の活性またはPTS核酸の発現を刺激する薬剤の例には小さい分子、活性PTSタンパク質、およびPTSタンパク質をコードする細胞中に導入された核酸がある。PTS活性または発現を阻害する薬剤の例には、小さい分子、アンチセンスPTS核酸分子がある。
更に本発明は、別のプラスミドに存在するか、または宿主細胞のゲノムに組み込まれた、野生型もしくは変異型PTS遺伝子を導入して得られた細胞からの所望の化合物の収率を調整する方法を含む。ゲノムに組み込まれる場合の導入はランダムであってもよい。また、天然の遺伝子が導入されたコピーにより代替されるように相同な組換えを行うことも可能である。これにより、調節されるべき細胞から所望の化合物が製造される。好ましい実施の形態においては、収率が上昇する。特に好ましい実施の形態において得られるファインケミカルはアミノ酸である。アミノ酸がL−リジンであると特に好ましい。
[発明の詳細な説明]
本発明は、C.グルタミカムへのグルコース等の高エネルギー炭素含有分子(例えばグルコース、フルクトースまたはスクロース)の取り込み、およびこの微生物の細胞内情報伝達に関与するPTS核酸およびタンパク質分子を提供する。本発明の分子は、微生物からのファインケミカルの製造調節に使用可能である。このような調節は、例えばATP、GTP、および細胞内のエネルギー的に不利な生化学反応、例えばファインケミカルの生合成を推進するために用いられる他の分子を生成するために必要な高エネルギー分子の細胞内レベルが向上することにより起こる。ファインケミカル製造におけるこの様な調節は、多種の糖の分解産物が他の生合成経路の中間産物または前駆体、例えば所定のファインケミカルの中間産物または前駆体として作用することにより生ずるものである。更に、PCTタンパク質は、1種類以上のファインケミカルの代謝経路で調節活性を示す所定の細胞内情報伝達に関与することが公知である。PTSタンパク質を操作することにより、ファインケミカル生合成経路またはファインケミカル分解経路を活性化することが可能である。本発明について、以下に更に詳細に説明する。
[1.ファインケミカル]
「ファインケミカル」という用語は従来の認識どおり、生物から生産され、種々の産業、例えば医薬、農業、化粧品産業(これらに限定されるものではない)に用いられる分子を意味する。この様な化合物の例には、有機酸、例えば酒石酸、イタコン酸、ジアミノピメリン酸、タンパク質原またはタンパク質原以外のアミノ酸、プリンおよびピリミジン塩基、ヌクレオシド、ヌクレオチド(Kuninaka, A.著、(1996) Nucleotides and related compounds, p. 561-612、(Biotechnology第6巻における論考、Rehm等著、VCH編、Weinheim、および同文献中に記載された参考文献)、脂質、飽和および不飽和脂肪酸(例えばアラキドン酸)、ジオール(例えばプロパンジオールおよびブタンジオール)、炭水化物(例えばヒアルロン酸およびトレハロース)、芳香族化合物(例えば芳香族アミン、バニリンおよびインジゴ)、ビタミン類および補助因子(Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry, 第A27巻、“Vitamins”, p.443-613 (1996) VCH: Weinheimおよび同文献中に記載された参考文献、Ong, A.S., Niki, E. & Packer, L. 著、(1995) “Nutrition, Lipids, Health, and Disease ”Proceedings of the UNESCO/Confederation of Scientific and Technological Associations in Malaysia, and the Society for Free Radical Research-Asia(マレーシア、ペナンにおいて1994年9月1〜3日に開催)、(1995))、 酵素、ポリケタイド(Cane等 (1998) Science 282: 63-68)、およびGutcho (1983) Chemicals by Fermentation, Noyes Data Corporation, ISBN: 0818805086および同文献中に挙げられた参考文献中に記載されている他の全ての化学物質がある。これらのファインケミカルの代謝および所定の使用法について以下に詳細に説明する。
A.アミノ酸代謝および使用法
アミノ酸はあらゆるタンパク質の塩基性構造単位であるため、全生物の正常な細胞機能に重要である。「アミノ酸」の用語は従来より公知である。タンパク質源となるアミノ酸は20種類存在し、タンパク質の構造単位としての役割を有し、ペプチド結合により結合する。一方、タンパク質原以外のアミノ酸(100種類が公知である)がタンパク質内に一般的に見出される(Ulmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry, 第A2巻、p. 57-97 VCH: Weinheim (1985)参照)。
アミノ酸−は、D−またはL−光学的立体配置を有し、天然に発生するタンパク質には通常L−アミノ酸のみが存在する。20種類のタンパク質原アミノ酸の各生合成および分解経路は、原核細胞および真核細胞(例えばStryer, L. Biochemistry第3版、578-590頁、(1988)参照)の双方において顕著な特徴を有する。必須アミノ酸(ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン、トリプトファンおよびバリン)は、これらが通常、複雑な生合成における栄養的必須成分であるためにこのように呼ばれるものであり、簡単な生合成経路により残りの11種類の「非必須」アミノ酸(ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン、トリプトファンおよびバリン)に変換される。高等動物は、これらのアミノ酸の幾つかを合成する能力を保持するが、必須アミノ酸は食事から供給されなければならず、これにより、正常なタンパク質合成が起こる。
タンパク質合成における機能は別に、これらのアミノ酸は、本来重要な化学物質であり、多くは食品、飼料、化学、化粧品、農業、医薬の各業界で様々に使用されている。リジンはヒトのみならず、単胃動物、例えば飼鳥類および豚においても栄養的に重要である。グルタミン酸塩は最も一般的に使用される香味添加物であり(グルタミン酸ソーダ、MSG)、アスパラギン酸塩、フェニルアラニン、グリシンおよびシステインと同様に食品業界全体で広く使用されている。グリシン、L−メチオニンおよびトリプトファンは、化粧品業界で全て使用されている。グルタミン、バリン、ロイシン、イソロイシン、ヒスチジン、アルギニン、プロリン、セリンおよびアラニンは医薬品および化粧品業界の双方で使用されている。スレオニン、トリプトファンおよびD/Lメチオニンは一般的な飼料添加剤である(Leuchtenberger, W.著、(1996) Amino aids-technical production and use, p. 466-502 (Rehm等著 (編) Biotechnology第6巻、第14a章, VCH: Weinheim)。更に、これらのアミノ酸は合成アミノ酸およびタンパク質合成の前駆体、として使用されることがわかっている。この例にはN−アセチルシステイン、S−カルボキシメチル−L−システイン、(S)−5−ヒドロキシトリプトファンおよび(Ulmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry, 第A2巻、p. 57-97, VCH: Weinheim 1985)に記載の他の物質がある。
生物、例えばバクテリアにより製造される天然のアミノ酸は顕著な特徴を有する(bacterial amion biosynthesis and regulation thereof, Umbarger, H. E.著、(1978) Ann. Rev. Biochem. 47:533-606参照)。グルタミン酸塩は、クエン酸回路の中間体であるα−ケトグルタル酸の還元的アミン化により合成される。次いで、グルタミンからグルタミン、プロリン、アルギニンがそれぞれ製造される。セリンの生合成は、3−ホスホグリセレート(解糖の中間体)を出発物質として3工程から成り、酸化、アミノ基転移、および加水分解工程を経てこのアミノ酸が得られる。システインおよびグリセリンの双方はセリンから生産され、前者はホモシステインとセリンの縮合により、後者は側鎖β−炭素原子が、トランスヒドロキシメチラーゼにより触媒される反応において、テトラヒドロ葉酸塩に伝達されることにより製造される。
フェニルアラニンおよびチロシンは、プレフェネート合成後の最後の2工程のみが異なる9工程の生合成経路において、解糖経路およびペントースリン酸経路の前駆体、エリトロース4−リン酸およびホスホエノールピルビン酸から合成される。トリプトファンもこれらの2つの主要な分子から製造されるが、合成は11工程の経路によるものである。チロシンは、フェニルアラニンヒドロキシラーゼにより触媒される反応においてフェニルアラニンから合成可能である。アラニン、バリンおよびロイシンは、全て、解糖の最終生成物であるピルビン酸の生合成産物である。アスパラギン酸塩は、クエン酸回路の中間体であるオキサロ酢酸から製造される。イソロイシンはスレオニンから生成する。複雑な9工程の経路により、活性化された糖の5−ホスホリボシル−1−ピロリン酸からヒスチジンが製造される。
細胞のタンパク合成に必要な分を上回るアミノ酸は貯蔵されずに劣化し、細胞の主要な代謝経路における中間体を提供する(Stryer, L. Biochemistry、第3版、 21章、“Amino Acid Degradation and the Urea Cycle” p. 495-516 (1988)参照)。細胞は不必要なアミノ酸を有用な代謝中間体に変換することができるが、合成によるアミノ酸合成ではエネルギー、前駆物質分子および必要な酵素において高コストとなる。すなわち、アミノ酸生合成がフィードバック阻害により調節されていることは驚くべきことではなく、特別なアミノ酸の存在により、製造速度が低下したり、完全に停止する(アミノ酸生合成経路におけるフィードバックメカニズムについてはUllman's Encyclopedia of Industrial Chemistry, “Vitamins” 、第A27巻、p. 443-613, VCH: Weinheim, 1996を参照のこと)。従って、特定のアミノ酸の放出は、そのアミノ酸の細胞内における存在量により制御されている。
B.ビタミン、補助因子、および機能性食品の代謝および使用法
ビタミン、補助因子、および機能性食品には他の種類の分子が含まれ、バクテリア等の生物はこれらを簡単に合成することができるが、高等動物はその合成能力を失い、摂取する必要がある。これらの分子は、生物学的に活性な物質そのものであるか、または種々の代謝経路における電子の担体および中間体として作用する。これらの化合物は栄養的な価値とは別に、着色剤、酸化防止剤、触媒または他の加工助剤としての重要な工業的価値を有する(これらの化合物の構造、活性および工業的用途についは例えばUllmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry、第A27巻、“Vitamins”, p.443-613 (1996) を参照のこと)。「ビタミン」という用語は従来より認識されているとおりであり、この物質は生物が通常の機能を得るために必要であるが、生物自身は合成不能な栄養分を含む。ビタミンは補助因子および機能性食品化合物を含む。補助因子(コファクター)という用語は、通常必要な酵素活性を得るための非タンパク質原化合物を含む。このような化合物は、有機物でも、無機物でもよいが、本発明のコファクター分子は有機物であると好ましい。「機能性食品化合物」という用語には動植物、特に動物の健康に利益を与える補助食品が含まれる。この様な分子の例はビタミン、酸化防止剤、および所定の脂質(例えば多価不飽和脂肪酸)である。これらの物質を製造することが可能な生物、例えばバクテリアにおけるこれらの物質の生合成は、顕著な特徴を有する(Ullman's Encyclopedia of Industrial Chemistry, “Vitamins” 第A27巻, p. 443-613, VCH: Weinheim, 1996; Michal, G. (1999) Biochemical Pathways: An Atlas of Biochemistry and Molecular Biology, John Wiley & Sons; Ong, A.S., Niki, E. & Packer, L.著、(1995) “Nutrition, Lipids, Health, and Disease” Proceedings of the UNESCO/Confederation of Scientific and Technological Associations in Malaysia, およびthe Society for Free Radical Research Asia(マレーシア、ペナンにおいて1994年9月1〜3日に開催 )、AOCS Press: AOCS Press, Champaign, IL X, 374 S)。
チアミン(ビタミンB1)は、ピリミジンとチアゾール部分の化学的結合により製造される。リボフラビン(ビタミンB2)は、グアノシン−5’−三リン酸(GTP)およびリボース−5’−リン酸から合成される。リボフラビンはフラビンモノヌクレオチド(FMN)およびフラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)の合成に使用される。集合的に「ビタミンB6」と呼ばれる化合物のファミリー(例えばピリドキシン、ピリドキシアミン、ピリドオキサ−5’−リン酸、および慣用の塩酸ピリドキシン)の全ては、一般的な構造単位である5−ヒドロキシ−6−メチルピリジンの誘導体である。パントテネート(パントテン酸、(R)−(+)−N−(2,4−ジヒドロキシ−3,3−ジメチル−1−オキソブチル)−β−アラニン)は、化学合成または発酵のいずれかにより製造される。パントテン酸生合成の最終工程は、β−アラニンとパントイン酸のATPにより稼働する縮合である。パントイン酸またはアラニンへの変換、およびパントテン酸への縮合における生合成工程にかかわる酵素は公知である。パントテン酸の代謝活性形は補酵素Aであり、これを得るために、酵素による5工程の生合成が起こる。パントテン酸、ピリドキサル−5’−リン酸、システインおよびATPは補酵素Aの前駆体である。これらの酵素はパントタン酸の生成を触媒するのみではなく、(R)−パントン酸、(R)−パントラクトン、(R)−パンテノール(プロビタミンB5)、パンテテイン(およびその誘導体)および補酵素Aも製造する。
微生物中の前駆体物分子、ピメロイル−CoAからのビオチン生合成は、詳細に研究されており、関与する数種類の遺伝子が認識されている。対応のタンパク質の多くが、Feクラスター合成に関与することわかっており、nifSタンパク質のメンバーである。リポ酸は、オクタン酸から誘導され、エネルギー代謝の補酵素として作用し、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体およびα−ケトグルタル酸デヒドロゲナーゼ複合体の一部を構成している。葉酸塩(folate)は葉酸から誘導された全ての誘導体から構成される物質であり、葉酸はL−グルタル酸、p−アミノ安息香酸および6−メチルプテリンから誘導される。葉酸およびこの誘導体の生合成は代謝中間産物であるグアノシン−5’−酸リン酸(GTP)、L−グルタル酸およびp−アミノ安息香酸については特定の微生物において詳細に研究されている。
コリノイド(例えばコバラミンおよび特にビタミンB12)およびポルフィリンは、テトラピロール環系により特徴づけられた化学物質の種類に属する。ビタミンB12の生合成は、非常に未だ完全に特徴が把握されていない程複雑であるが、これに関連する酵素および物質が公知である。ニコチン酸(ニコチン酸塩)およびニコチンアミドは、「ナイアシン」とも呼ばれるピリジン誘導体である。ナイアシンは、重要な補酵素NAD(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)およびNADP(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸)およびその還元形態の前駆物質である。
これらの化合物の大量生産は細胞を含まない化学合成に大きく依存している。しかしながら、これらの化学物質の一部、例えばリボフラビン、ビタミンB6、パントテン酸およびビオチン等は微生物の大規模培養によっても製造される。ビタミンB12は、合成が複雑なことから発酵によってのみ製造される。In vitroの方法では、相当な材料と時間が必要であり、費用が嵩む場合も多い。
C.プリン、ピリミジン、ヌクレオシドおよびヌクレオチドの代謝および使用法
プリンおよびピリミジン代謝遺伝子およびこれに対応するタンパク質は腫瘍による疾病およびウイルス感染の治療法に用いられる重要な標的である。「プリン」または「ピリミジン」という用語には、核酸、補酵素およびヌクレオチドの構成単位である窒素含有塩基が含まれる。「ヌクレオチド」とは核酸分子の塩基性構造単位であり、窒素含有塩基、五炭糖(RNAの場合の糖はリボースであり、DNAの場合のD−デオキシリボースである)およびリン酸から構成される。「ヌクレオシド」はヌクレオチドの前駆体として作用し、ヌクレオチドが有するリン酸部分を有さない分子である。これらの分子の生合成または核酸分子の代謝を阻害することにより、RNAおよびDNAの合成を阻害することが可能である。例えばガン細胞におけるこの様な活性が阻害されれば、ガン細胞の分裂と複製の能力を阻害することが可能であると考えられている。更に、核酸分子を形成しないが、エネルギー源(例えばAMP)または補酵素(例えばFADおよびNAD)として作用するヌクレオチドが存在する。
複数の文献に、プリンおよび/またはピリミジン代謝に影響を与えることによりこれらの医薬用化学物質を使用する方法が記載されている(例えば、Christopherson, R.I.およびLyons, S.D. 著、(1990) “Potent inhibitors of de novo pyrimidine and purine biosynthesis as chemotherapeutic agents.” Med. Res. Reviews 10: 505-548)。プリンおよびピリミジン代謝に関与する酵素の研究では、例えば免疫抑制剤または抗増殖剤として使用される新しい薬剤の開発が主に取り上げられている(Smith, J.L., (1995) “Enzymes in nucleotide synthesis.” Curr. Opin. Struct. Biol. 5:752-757; (1995) Biochem Soc. Transact. 23: 877-902)。しかしながら、プリン、ピリミジン塩基、ヌクレオシドおよびヌクレオチドは、数種類のファインケミカルの生合成の中間体として(例えば、チアミン、S−アデノシルメチオニン、葉酸またはリボフラビン)、または細胞へのエネルギー担体(例えばATPまたはGTP)として、または調味料として一般に使用される薬剤そのもの(例えばIMPまたはGMP)として、または複数の医学的用途に(例えば、Kuninaka, A.著(1996) Nucleotides and Related Compounds in Biotechnology 第6巻, Rehm等編 VCH: Weinheim, p. 561-612)としての用途がある。更に、プリン、ピリミジン、ヌクレオシドおよびヌクレオチド代謝に関与する酵素も標的として、これに対する農作物保護用の化学物質、例えば殺菌剤、除草剤および殺虫剤の開発が進んでいる。
バクテリアにおけるこれらの化合物の代謝は、顕著な特徴を有する(例えば、 Zalkin, H. およびDixon, J.E.著、 (1992) “de novo purine nucleotide biosynthesis”(Progress in Nucleic Acid Research and Molecular Biology、第42巻、Academic Pressにおける論考、p. 259-287;、Michal, G.著、(1999) “Nucleotides and Nucleosides”, 第8章(Biochemical Pathways: An Atlas of Biochemistry and Molecular Biology, Wiley: New Yorkにおける論考)参照)。プリン代謝は集中的な研究対象であり、細胞の正常な機能にとって重要なものである。高等生物のプリン代謝が悪影響を受けると、痛風などの深刻な疾患が生ずる。プリンヌクレオチドはリボース−5−リン酸から、中間体化合物イノシン−5’−リン酸(IMP)から複数工程を経て、グアノシン−5’−一リン酸(GMP)またはアデノシン−5’−一リン酸(AMP)が製造され、これらからヌクレオチドとして使用される三リン酸が迅速に生成する。これらの化合物はエネルギー源としても利用される。三リン酸は分解されて細胞内の種々の生合成経路にエネルギーをもたらすものである。
ピリミジン生合成は、リボース−5−リン酸からのウリジン−5’−モノリン酸(UMP)の生成により行われる。このUMPは、次いでシチジン−5’−三リン酸(CTP)に変換される。これらの全てのヌクレオチドのデオキシ形態は、ヌクレオチドの二リン酸リボースからヌクレオチドの二リン酸デオキシリボースへの一工程の還元反応により行われる。これらの分子は加リン酸反応においてDNA合成に関与することがある。
D.トレハロースの代謝および使用法
トレハロースはα,α−1,1結合により結合する2個のグルコース分子から構成される。トレハロースは食品産業において、甘味料、乾燥または冷凍食品における添加剤、および飲料用に使用される。しかしながら、トレハロースには医薬品、化粧品およびバイオテクノロジー業界での用途もある(例えばNishimoto等、(1998) 米国特許第5,759,610号明細書、Singer, M.A. およびLindquist, S.著、 (1998) Trends Biotech. 16: 460-467、Paiva, C.L.A. およびPanek, A.D.著、(1996) Biotech. Ann. Rev. 2: 293-314、およびShiosaka, M.著、 (1997) J. Japan 172: 97-102参照)。トレハロースは多種微生物から酵素により産生し、周辺の媒体に自然に放出されるものであり、これを公知方法により回収する。
[II.ホスホエノールピルビン酸:糖ホスホトランスフェラーゼ系]
培養体における細胞の急速に成長し、分割する能力は、細胞がグルコースおよび他の糖類等の高エネルギー分子を取り込み、利用する程度に大きく依存する。種々のトランスポータータンパク質が存在し、多種炭素源を細胞内に輸送する。糖類、例えばグルコース、フルクトース、マンノース、ガラクトース、リボース、ソルボース、リブロース、ラクトース、マルトース、スクロース、ラフィノース等に関する輸送タンパク質と、デンプンまたはセルロース分解物に関する輸送タンパク質が存在する。他の輸送システムはアルコール(例えばメタノールまたはエタノール)、アルカン、脂肪酸、および酢酸または乳酸等の有機酸を導入する作用を有する。バクテリアでは、糖類は種々のメカニズムにより細胞膜を通過して輸送可能である。プロトンによる糖類のシンポート以外の、糖類取り込みの最も一般的に使用されている方法の例として、バクテリアのホスホエノールピルビン酸:糖ホスホトランスフェラーゼ系(PTS)が挙げられる。この系は糖類およびヘキシトール類の転位(リン酸化反応に随伴する)を触媒するのではなく、炭水化物の存在に応答する細胞の代謝も調節する。このようなPTS系はバクテリアに偏在するが、古細菌または真核生物には存在しない。
PTS系は、機能的に2種類の細胞質タンパク質、すなわち酵素IおよびHPr、および多数の糖特異的膜内在性および周辺膜輸送複合体(それぞれ糖を意味する上付文字を付して「酵素II」と呼ばれる。例えばグルコースと結合する酵素II複合体は「酵素IIglu」と示される)から構成される。グルコース、フルクトース、マンノース、ガラクトース、リボース、ソルボース、リブロース、ラクトース、マルトース、スクロース、ラフィノース等のモノ−、ジ−またはオリゴサッカライドに特異的な酵素II等が公知である。酵素Iはホスホリル基をホスホエノールピルビン酸(PEP)からホスホリル担体タンパク質HPrに輸送する。次いでHPrはホスホリル基を、他の酵素II輸送複合体に輸送する。酵素IとHPrのアミノ酸配列は全バクテリアでかなり類似しているが、PTSトランスポーターの配列は構造的に無関係なファミリーに分けられる。更にこれらの遺伝子の数および相同性は、バクテリアごとに異なる。E.coliゲノムは38種の異なるPTSタンパク質をコードし、このうち33種は22種の異なるトランスポーターに属するサブユニットである。M.ゲニタリウム(M.genitalium)ゲノムは酵素IとHPrに対してそれぞれ1個の遺伝子と、PTSトランスポーターに対して2個のみの遺伝子を含む。T.パラジウム(T.palladium)とC.トラコマティス(C.trachomatis)は、酵素IおよびHPr様タンパク質の遺伝子を含むが、PTSトランスポーターは含まない。
全PTSタンパク質は、機能単位IIA、IIB、およびIICから成り、これらは複合体中のタンパク質サブユニット(例えばIIAGlc、IICBGlc)として、またはポリペプチド1本鎖のドメイン(例えばIICBAGlcNAc)のいずれかとされる。この結果、IIAおよびIIBはホスホリル基をHPrから、既に輸送された糖類に輸送する。IICは糖結合部位を含み内側の膜を6回または8回貫通する。糖の転移がIIBドメインの一時的なリン酸化反応に連結する。酵素I、HPrおよびIIAはヒスチジン残基でリン酸化され、IIBサブユニットは関連するトランスポーターの種類によりシステインまたはヒスチジン残基のいずれかでリン酸化される。糖のリン酸化が起こると、糖が細胞膜を通過して細胞外媒体に戻る方向の拡散が妨害されるという利点が得られる。これは荷電リン酸基が膜の疎水性核を簡単には横切れないからである。
数種類のPTSタンパク質は、糖類の能動輸送における機能の他に、細胞内情報伝達における役割を有する。これらのサブユニットは、アロステリックに、またはリン酸化反応により標的分子を調節する。これらの調節活性はリン酸化の程度の程度(すなわち非リン酸化型からリン酸化型への割合)により異なり、更にこのリン酸化の程度は糖依存脱リン酸化およびホスホエノールピルビン酸依存再リン酸化の割合により異なる。E.coliにおけるPTSタンパク質による上述の細胞内調節には、脱リン酸化IIAGlcによりグリセロールキナーゼの阻害、およびこのタンパク質のリン酸化形態によりアデニル酸シクラーゼの活性化がある。更に、この様な微生物中のトランスポーターにおけるHPrおよびIIBドメインは抗転写ターミネーターの可逆性リン酸化反応による遺伝子の発現を調節する。例えば、セリン−46でリン酸化されたHPrは転写リプレッサーCcpAのコレプレッサーとして作用する。結論として、リン酸化されていない酵素Iはバクテリア化学走性機構のセンサーキナーゼCheAを阻害することがわかっており、バクテリアの糖結合系および輸送系を直接連結し、これらの系がバクテリアの動きを支配する(Sonenshein, A. L.等編、Bacillus subtilis and other gram-positive bateria. ASM: Washington, D.C.; Neidhardt, F. C.等、(1999)、Biology of Prokaryotes. 第2章、68-87頁、Thieme Verlag: Stuttgart)。
[III.本発明の要素および方法]
本発明は新規分子(PTS核酸およびタンパク質分子という)に基づくものであり、同分子はC.グルタミカムへの高エネルギー炭素分子(例えばグルコース、スクロースおよびフルクトース)の取り込みに関与し、これらの微生物における1種類以上の細胞内情報伝達経路に関与する。一実施の形態において、PTS分子は細胞への高エネルギー炭素分子を取り込みを機能させるが、このときPTS分子の分解により生じたエネルギーがエネルギー的に不利な生化学反応に使用されることも可能であり、更にこの分解産物が他の多数の代謝経路における中間体および前駆体として機能することもある。他の実施の形態において、PTS分子が、修飾された形態のPTS分子(例えばリン酸化PTSタンパク質)の存在が1種類以上の細胞工程を調節する情報伝達カスケードに関連するような、1種類以上の細胞内情報伝達経路に関与することも可能である。好ましい実施の形態において、本発明のPTS分子の活性は、この生物により所望のファインケミカルの製造に影響を与える。特に好ましい実施の形態において、C.グルタミカムからの1種類以上のファインケミカルの収率、製造および/または製造効率が調節されるように、本発明のPTS分子の活性が調節される。
「PTSタンパク質」または「PTSポリペプチド」という表現は、細胞外媒体から、細胞内への1種類以上の高エネルギー炭素含有分子(例えば、モノ−、ジ−またはポリサッカライド、例えばフルクトース、マンノース、スクロース、グルコース、ラフィノース、ガラクトース、リボース、ラクトース、マルトースおよびスクロース)の取り込に関与するタンパク質を意味する。この様なPTSタンパク質は、1種類以上の細胞内情報伝達経路に関わる。例えば(これに限定されない)、種々の等を細胞に取り込む経路に関与する。PTSタンパク質の例には、表1に記載されているか、または奇数のSEQ ID NOにより示されているPTS遺伝子にコードされるタンパク質が含まれる。PTS系についての一般的な参考文献としては、Stryer, L. (1988) Biochemistry. 第37章、“Membrane Transport”, W. H. Freemann: Yew Yor,, P. 959-961、Darnell. J.等著、(1990) Molocular Cell Biology Scientific American Books: New York, P.552-553, およびMichal , G.編、(1999) Biochemical Pathways: An Atlas of Biochemistry and Molecular Biology, 第15章、"Special Bacterial Metabolism"がある。「PTS遺伝子」または「PTS核酸配列」とは、コード領域と対応の未翻訳5’および3’配列領域とから成る、PTSタンパク質をコードする核酸配列を含む。PTS遺伝子の例は表1に記載のものも含む。「製造(生産)」および「生産性」とは従来より理解されているとおりであり、所定時間内に所定発酵量(例えば生成物(kg)/時間/リットル)得られる発酵産物(例えば所望のファインケミカル)の濃度を含む。「製造効率」とは、所定量の生産が行われるために必要な時間を意味する(例えば細胞がファインケミカルを所定の割合で産生するに至るまでの所用時間)。「収率(収量)」または「生成物(産物)/炭素収率」とは、従来より理解されているとおりであり、炭素源が生成物(すなわちファインケミカル)に変換される効率を意味する。これは通常、例えば生成物(kg)/炭素源(kg)と表記される。化合物の収量または製造を増加させることにより、所定時間に所定量の培養体から回収される分子または回収された分子のうちの有用なものの量が増加する。「生合成」または「生合成経路」という表現は従来より理解されているとおりであり、細胞による、中間体化合物からの、多工程(等)の高度な制御(等)による、化合物、特に有機化合物の合成を意味する。「分解」および「分解経路」とは従来より理解されているとおりであり、細胞による、化合物、特に有機化合物の、多工程(等)の高度な制御(等)による、分解生成物(一般には小さくされた分子または複雑さの低下した分子)への分解を意味する。「代謝」とは、従来より理解されているとおりであり、生物中で起こる生体反応の全体を意味する。所定化合物の代謝(例えばグリシン等のアミノ酸の代謝)とは、この化合物に関連する細胞内での総合的な生合成、修飾、および分解経路を意味する。「輸送」または「取り込み」とは従来より理解されているとおりであり、通常は分子が通過できない細胞膜を通過する1種類以上の分子の促進された動きを意味する。
他の実施の形態において、本発明のPTS分子は、所望の分子、例えばファインケミカルのC.グルタミカム等の微生物における産生を調節することが可能である。遺伝子組換え技術により、本発明の1種類以上のPTSタンパク質を、機能が調節されるように操作することが可能である。例えば、グルコースのPTSに仲介された取り込みに関連するタンパク質を、活性が調節されるように変化させ、グルコースの取り込みに関するPTS系を、より多くの量のグルコースが細胞に取り込まれるように転移させることも可能である。グルコース分子はエネルギー的に不利な生化学反応、例えばファインケミカル生合成を推進するエネルギーのみに使用されるのではなく、多数の化学物質生合成経路の前駆体および中間体としても使用される(例えばセリンは3−ホスホグリセリン酸から合成される)。各場合において、製造用に利用可能なエネルギーを増大させるか、或いは製造に必要な化合物の入手可能性を増大させることにより、所望のファインケミカルの総合的収量または製造速度が向上する。
更に、多くのPTSタンパク質は炭素源を確保しつつ、細胞膜および糖取り込みを調節する細胞内情報伝達経路において重要な役割を果たすことが知られている。例えば、フルクトース1,6−ビスリン酸(解糖の間に製造される化合物)の細胞内レベルを向上させることにより、HPr上でセリン残基のリン酸化が生じ、このタンパク質がいかなるPTS糖輸送過程においてもホスホリル供与体として作用することを防ぐため、更なる糖の取り込みが閉塞される。このセリン残基がリン酸化されないようにHPrを変異させることにより、HPrを構成性として活性化させることが可能となり、細胞内への糖の輸送が増大する。これにより、1種類以上の所望のファインケミカルの生合成に用いられる細胞内エネルギー貯蔵と中間体/前駆体分子が確保される。
本発明の単離された核酸配列は、ATCC 13032として認識される、American Type Culture Collectionにより市販されているコリネバクテリウム−グルタミカムのゲノム内に含まれている。単離されたC.グルタミカムPTS DNAのヌクレオチド配列が奇数のSEQ ID NOとして、C.グルタミカムPTSタンパク質において予想された(predicted)アミノ酸配列が偶数のSEQ ID NOとしてそれぞれ示されている。
コンピュータ分析を行い、上記ヌクレオチド配列を、代謝経路に関わるタンパク質をコードする配列として分類および/または同定した。
本発明は、本発明のアミノ酸配列に実質的に相同なアミノ酸配列(例えば配列表中の偶数のSEQ ID NOによる配列)を有するタンパク質を含む。本明細書では、選択されたアミノ酸配列に対して実質的に相同なアミノ酸配列を有するタンパク質は、選択されたアミノ酸配列、例えば全体が選択されたアミノ酸配列に対して少なくとも50%相同である。選択されたアミノ酸配列に対して実質的に相同なアミノ酸配列を有するタンパク質は、選択されたアミノ酸配列に対して少なくとも約50〜60%、好ましくは少なくとも約60〜70%、更に好ましくは少なくとも約70%〜80%、80%〜90%、または90%〜95%、および更に好ましくは少なくとも約96%、97%、98%または99%以上相同である。
本発明のPTSタンパク質または生物学的に活性なタンパク質またはそのフラグメントは、C.グルタミカムへのグルコース等の高エネルギー炭素含有分子の取り込み、およびこの微生物における細胞内情報伝達に関与することが可能であるか、または表1に記載の1種類以上の活性を有する。
本発明の詳細を更に以下に説明する。
A.単離された核酸分子
本発明はPTSポリペプチドまたはその生物学的に活性な部分をコードする単離された核酸分子、PTSをコードする核酸(PTS DNA)の認識(同定)または増幅のために用いられるハイブリダイゼーションプローブまたはプライマーとして使用可能な核酸分子フラグメントを含む。本明細書では、「核酸分子」とはDNA分子(例えばcDNAまたはゲノムDNA)およびRNA分子(例えばmRNA)およびヌクレオチドの類似体を用いて生成したDNAおよびRNAの類似体を含むものとする。この用語は、遺伝子のコード領域の3’および5’末端双方に存在する未翻訳の配列、すなわち遺伝子のコード領域の5’末端から上流の少なくとも約100ヌクレオチドの配列、および遺伝子のコード領域の3’末端から下流の少なくとも約20ヌクレオチドの配列も含む。ヌクレオチド分子は1本鎖または2本鎖であるが、2本鎖のDNAであることが好ましい。「単離された」核酸分子は、核酸の天然源に存在する他の核酸分子から分離されたものである。「単離された」核酸分子は、生物のゲノムDNAに由来し、天然にはこのゲノムDNAの核酸の側方に位置する配列(すなわち5’末端および3’末端に配置された配列)を有さないことが好ましい。例えば、種々の実施の形態において、単離されたPTS核酸分子は、天然の状態では、この核酸が得られた細胞(例えばC.グルタミカム細胞)のゲノムDNAの側方に位置し、約5kb、4kb、3kb、2kb、1kb、0.5kbまたは0.1kb未満の長さのヌクレオチド配列から成る。更に、「単離された」核酸分子、例えばDNA分子は、他の細胞材料、組換え技術により製造された場合に用いられた培地を含まず、また化学的に合成された場合も化学的前駆体や他の化学物質を含まない。
本発明の核酸分子、例えば配列表の奇数のSEQ ID NOのヌクレオチド配列を有する核酸分子またはその一部は、標準的な分子生物学による技術により単離され、その情報は本明細書に記載する。例えばC.グルタミカムPTS DNAは、配列表の奇数のSEQ ID NO配列のいずれかの全体または一部と標準的なハイブリダイゼーション技術を用いてC.グルタミカムライブラリから単離可能である
(例えば、Sambrook, J., Fritsh, E.F., 、Maniatis, T. 共著、Molecular Cloning: A Laboratory Manual. 第2版., Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY, 1989)。更に、本発明の核酸配列のいずれか(例えば配列表の奇数のSEQ ID NO)の、全体または一部を含む核酸分子を、この配列に基づき設計されたオリゴヌクレオチドプライマーを用いたポリメラーゼ連鎖反応により単離する(例えば本発明の核酸配列のいずれか(例えば奇数のSEQ ID NO)の、全体または一部を含む核酸分子は、同様の配列に基づき設計されたオリゴヌクレオチドプライマーを用いたポリメラーゼ連鎖反応により単離可能である)。例えば、mRNAは、通常の内皮細胞から単離され(例えばChirgwin 等著、 (1979) Biochemistry 18: 5294-5299に記載のグアニジニウム−チオシアン酸抽出操作による)、DNAは逆転写酵素を用いて製造される(例えばGibco/BRL、Bethesda, MD製、Moloney MLV 逆転写酵素、または Seikagaku America, Inc、AMV, St. Petersburg, FL製AMV、逆転写酵素)。ポリメラーゼ連鎖反応による増幅に用いられる合成オリゴヌクレオチドは配列表に記載のいずれかのヌクレオチド配列に基づき設計される。本発明の核酸は、テンプレートとしてのcDNAまたはゲノムDNAと、標準的なPCR増幅技術において適当とされるオリゴヌクレオチドプライマーを用いて増幅される。このように増幅された核酸は、適当なベクターにクローンされ、DNA配列分析により特徴付けが行われる。更に、PTS核酸配列に対応するオリゴヌクレオチドは、標準的合成技術により、例えば自動DNA合成機器を用いて製造される。
好ましい実施の形態において、本発明の単離された核酸分子は、配列表に記載されたヌクレオチド配列のいずれかを含む。配列表に記載された本発明の核酸配列は本発明のコリネバクテリウム−グルタミカムPTS DNAに相当する。このDNAにはPTSタンパク質をコードする配列(すなわち配列表における奇数のSEQ ID NOの配列に示されている「コード領域」)、並びに配列表の奇数のSEQ ID NOの配列に示されている5’未翻訳配列および3’未翻訳配列を含む。また、この核酸分子は、配列表の核酸配列のいずれかのコード領域のみを含むものであってもよい。
本発明において、配列表に記載された全ての核酸およびアミノ酸配列には、「RXA」、「RXN」、「RXS」または「RXC」の表示と、その後の5桁の数値とを含む識別用のRXA、RXN、RXS、RXC番号が付けられている(例えば、RXA01503, RXN01299, RXS00315またはRXC00953)。各核酸配列は、3個までの部分、すなわち5’上流領域、コード領域、下流領域を含む。これらの3領域は、混乱を防ぐため、それぞれ共通のRXA、RXN、RXS、RXC表示により識別される。「配列表の奇数の配列のいずれか」という表現は、異なるRXA、RXN、RXS、RXC表示により認識可能な、配列表中の核酸配列のいずれかであることを示している。各配列のコード領域は、配列表に偶数のSEQ ID NOとして、対応する核酸配列のすぐ下に記載されている対応のアミノ酸配列に翻訳される。例えば、RXA02229のコード領域はSEQ ID NO: 1に示され、これがコードするアミノ酸配列はSEQ ID NO: 2に記載されている。本発明の核酸配列は、これらがコードするアミノ酸分子と同じRXA、RXN、RXS、RXCの表示により示されており、相関性が容易に読みとれる。例えば、RXA01503と表示したアミノ酸配列は、核酸分子RXA01503のヌクレオチド配列のコード領域を翻訳したものであり、RXN01299と表示したアミノ酸配列は、核酸分子RXN01299のヌクレオチド配列におけるコード領域を翻訳したものであり、RXS00315と表示したアミノ酸配列は、核酸分子RXS00315のヌクレオチド配列におけるコード領域を翻訳したものであり、更にRXC00953と表示したアミノ酸配列は、核酸分子RXC00953のヌクレオチド配列におけるコード領域を翻訳して得られたものである。本発明のRXA、RXN、RXSおよびRXCによるヌクレオチド配列およびアミノ酸配列、並びにこれらの割り当てられたSEQ ID NOとの対応関係は表1に示されている。例えば表1のヌクレオチド配列RXN01299はSEQ ID NO:7であり、SEQ ID NO: 8のアミノ酸配列に対応する。
本発明における数種類の遺伝子は「F表示遺伝子(F-designated genes)」である。F表示遺伝子は、RXA、RXN、RXSまたはRXCの表示の前に「F」を有し、表1に記載された遺伝子である。例えば表1に記載されているようにSEQ ID NO: 3 は、「F RXA01503」というF表示遺伝子であり、SEQ ID NO:9、11、13もF表示遺伝子である(表1にそれぞれF RXA01299、F RXA01883、F RXA01889と記載されている)。
一実施の形態において、本発明の核酸分子は、表2に記載されたC.グルタミカムのものは含まない。dapD遺伝子の配列はWehrmann, A.等著、(1998) J. Bacteriol. 180(12): 3159-3165により発表された。しかしながら、本発明者により得られた配列は、上記文献により発表されたものよりもかなり長い。また上記文献に発表された配列では、開始コドンが不正確であるために、実際のコード領域のみのフラグメントが示されているものと考えられる。
他の好ましい実施の形態では、本発明の単離された核酸分子は、本発明のヌクレオチド配列(例えば配列表の奇数のSEQ ID NOの配列またはその一部)に相補性を有する核酸分子を含む。本発明のヌクレオチド配列のいずれかに相補性な核酸分子は、配列表に示されたヌクレオチド配列のいずれか(例えば配列表中奇数のSEQ ID NOの配列)に対し十分な相補性を有し、これにハイブリダイズし、安定な二本鎖を形成する。
更に他の実施の形態では、本発明の単離された核酸分子は、少なくとも約50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、または60%、好ましくは少なくとも61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、または70%、更に好ましくは少なくとも約71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、または80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、または 90%、または91%、92%、93%、94%、 更に好ましくは少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%以上、本発明のヌクレオチド分子(配列表の奇数のSEQ ID NOの配列)またはその一部に相同である。上記各値の中間値により示される値の範囲(例えば75%〜80%同一、85〜87%同一、91〜92%同一)も本発明に含まれる。例えば、上限値および/または下限値として記載された上述の値のいずれを組み合わせて値の範囲としてもよい。更に他の好ましい実施の形態では、本発明の単離された核酸分子がハイブリダイズする、例えば緊縮条件下で、本発明の核酸分子またはその一部のいずれかとハイブリダイズする、ヌクレオチド配列を含む(例えば配列表の奇数のSEQ ID NOによる配列)。
更に、本発明の核酸分子は、配列表の奇数のSEQ ID NOのいずれかの配列におけるコード領域の一部のみ、例えばプローブもしくはプライマー用フラグメント、またはPTSタンパク質の生物学的に活性な部分をコードするフラグメントのみから成ってもよい。C.グルタミカム由来のPTS遺伝子のクローニングにより決定されたヌクレオチド配列により、他種の細胞および生物に相同なPTSおよび他のコリネバクテリアまたは関連種からのPTS類似体を認識および/またはクローニングするための、プローブまたはプライマーの生成が行われる。プローブ/プライマーは通常、実質的に精製されたオリゴヌクレオチドを含む。このオリゴヌクレオチドは、一般に、緊縮条件下で少なくとも約12、好ましくは約25、更に好ましくは40、50または75の連続した、本発明のヌクレオチド配列のいずれか(例えば配列表の奇数のSEQ ID NOのいずれかの配列)におけるセンス鎖ヌクレオチドとハイブリダイズするヌクレオチド配列部分、配列表のいずれかにおけるアンチセンス配列または天然に発生するこれらの変異体を含む。本発明のヌクレオチド配列に基づくプライマーは、PCR反応に使用可能であり、PTS相同体のクローンが行われる。PTSヌクレオチド配列に基づくプローブは、転写により得られた配列、または同配列または相同なタンパク質をコードするゲノム配列を検出する。好ましい実施の形態において、プローブは、更にラベルグループを有している。ラジオグループの例は放射性同位体、紫外線化合物、酵素、酵素補助因子である。この様なプローブは、例えば細胞サンプル中のPTSコード核酸のレベルを、例えばPTSmRNAレベルの検出またはゲノムPTS遺伝子の変異または欠失を確認して測定することにより、PTSタンパク質の誤発現を行う細胞を調べるための医療用テストキットの一部として使用される。
一実施の形態において、本発明の核酸分子は本発明のアミノ酸配列(例えば配列表の偶数のSEQ ID NOの配列)に、タンパク質またはその一部が高エネルギー炭素含有分子(例えばグルコース)の輸送および1種類以上の細胞内情報伝達に関与する能力を維持する十分な程度に相同なアミノ酸配列によるタンパク質またはタンパク質部分をコードする。本明細書における「十分に相同」という表現は、本発明のアミノ酸配列と同一または等価(例えば配列表の偶数のSEQ ID NOのいずれかの配列におけるアミノ酸残基と類似する側鎖を有するアミノ残基)な最小数のアミノ酸残基を有するタンパク質またはタンパク質部分を有し、このタンパク質またはその一部がグルコース等の高エネルギー炭素含有分子をC.グルタミカムに輸送することが可能であり、および同微生物における1種類以上の細胞内情報伝達に関与することが可能であることを意味する。このような代謝経路のタンパク質メンバーは、本明細書に記載のとおり、グルコース等の高エネルギー炭素含有分子のC.グルタミカムへの輸送を機能させ、および同微生物における1種類以上の細胞内情報伝達に関与する。「PTSタンパク質の機能」はホスホエノールピルビン酸による1種類以上の糖輸送経路の総合的な機能および/または調節に貢献し、および/または1種類以上のファインケミカルの収率、製造および/または製造効率に直接的または間接的に貢献するものである。PTSタンパク質活性の例を表1に記載する。
他の実施の形態において、タンパク質は、本発明のアミノ酸の配列全体(例えば配列表の偶数のSEQ ID NOによる配列)に対して少なくとも約50-60%、好ましくは約60-70%、更に好ましくは少なくとも約70-80%、80-90%、90-95%、および特に好ましくは少なくとも約96%、97%、98%、99%以上相同である。
本発明のPTS核酸分子によりコードされたタンパク質部分は、PTSタンパク質のいずれかにおける生物学的に活性な部分であることが好ましい。本明細書中、「PTSタンパク質の生物学的に活性な部分」という表現は、グルコース等の高エネルギー炭素含有分子をC.グルタミカムに輸送することが可能であるか、もしくは同微生物における1種類以上の細胞内情報伝達に関与することが可能であるか、または表1に記載の活性を有するPTSタンパク質の部分、例えばドメイン/モチーフを意味する。PTSタンパク質またはその生物学的に活性な部分がグルコース等の高エネルギー炭素含有分子のC.グルタミカムへの輸送に関与するかどうか、または同微生物における細胞内情報伝達に関与することができるかどうかを判断するために、酵素活性の評価を行う。この様な評価方法は、当業者に公知であり、その具体例は実施例8に詳細に記載されている。
PTSタンパク質の生物学的に活性な部分をコードしている他の核酸フラグメントは、本発明のアミノ酸配列(例えば配列表の偶数のSEQ ID NO)のいずれかの一部を単離することにより製造され、PTSタンパク質またはペプチドのコードされた部分を発現し(例えばin vitroでの組換え発現による)、PTSタンパク質またはペプチドのコードされた部分の活性を評価する。
遺伝子コードの変化(ディジェネラシー)により本発明の核酸配列(例えば配列表の奇数のSEQ ID NOの配列)(およびその一部)とは異なる配列を有し、本発明の核酸配位列によりコードされていると同じPTSタンパク質をコードしている核酸分子を含む。他の実施の形態では、本発明の単離された核酸分子が配列表に記載のアミノ酸配列(例えば偶数のSEQ ID NO)を有するタンパク質をコードするヌクレオチド配列であると好ましい。更に他の実施の形態では、本発明の単離された核酸分子は、本発明のアミノ酸配列に実質的に相同なC.グルタミカムタンパク質の全体をコードする(例えば配列表中の奇数のSEQ ID NOに示されたオープンリーディングフレームによりコードされている)。
一実施の形態において、本発明の配列は、本発明より以前に得られた表2または4に記載のBenbank配列等は含まないことは当業者には明白である。一実施の形態において、本発明は、従来技術による配列(例えば表2または4に記載のGenbank配列(またはこの配列によりコードされるタンパク質))よりも本発明のヌクレオチドまたはアミノ酸配列に同一な部分の割合が大きいヌクレオチド配列およびアミノ酸配列を含む。例えば、本発明は、RXA01503という表示によるヌクレオチド配列(SEQ ID NO: 5)に44%以上、RXA00951という表示によるヌクレオチド配列(SEQ ID NO: 15)に41%以上、およびRXA01300という表示によるヌクレオチド配列(SEQ ID NO:21)に38%以上同一なヌクレオチド配列を含む。当業者は、本発明の所定の配列に対する同一性の割合の下限は、この所定配列についてヒットした表4に記載の上位3データからGAPにより計算された同一性スコアを検討し、GAPにより計算された最高の同一割合の値(%)を100%から差し引くことにより、計算により求めることができる。このように計算された下限値よりも同一な割合の高い核酸およびアミノ酸配列(例えば少なくとも50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、または60%、好ましくは少なくとも約61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、または70%、更に好ましくは少なくとも約71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、または80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、または 90%、または91%、92%、93%、94%、更に好ましくは少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%以上同一)が本発明に含まれることは、当業者には明白に理解される。
奇数のSEQ ID NOとして配列表に記載されているC.グルタミカムPTS核酸配列の他に、個体群(C.グルタミカム個体群)中にPTSタンパク質のアミノ酸配列の変化を起こすDNA配列多形性(polymorphism)が存在し得ることも当業者には理解される。PTS遺伝子におけるこの様な遺伝的多形性は、天然の変異により存在することもある。本明細書で用いられる「遺伝子」および「組換え遺伝子」という用語はPTSタンパク質、好ましくはC.グルタミカムPTSタンパク質をコードするオープン・リーディング・フレームを含む核酸分子を意味する。この様な天然の変異はPTS遺伝子のヌクレオチド配列において、通常は1〜5%変動する。PTSにおける、上述のような、または他の全てのヌクレオチドの変動およびこれにより得られるアミノ酸の多形性は天然の変異の結果であり、PTSタンパク質の機能的活性を変化させるものではなく、本発明に含まれるものである。
本発明のC.グルタミカムPTS DNAの天然の変異体および非−C.グルタミカム相同体に対応する核酸分子は、C.グルタミカム、またはこれらの一部に関して上述したC.グルタミカムPTS核酸に対する相同性に基づいて、緊縮ハイブリダイゼーション条件下の標準的ハイブリダイゼーション技術によりハイブリダイゼーションプローブとして単離される。従って、他の実施の形態では、本発明の単離された核酸分子は15以上のヌクレオチドから成り、配列表の奇数のSEQ ID NOのヌクレオチド配列を含む核酸分子に対し、緊縮条件下でハイブリダイズする。他の実施の形態では、核酸分子は、少なくとも30、50、100、または250以上のヌクレオチドを有する。「緊縮条件下でハイブリダイズする」とは、相互に60%以上相同なヌクレオチドが相互にハイブリッドした状態を保つ、ハイブリダイゼーションとウォッシングの条件を示している。この条件は、少なくとも約65%、更に好ましくは少なくとも約70%、および更に好ましくは少なくとも約75%以上相互に相同な配列が相互にハイブリッドした状態を保つ条件であることが好ましい。この様な緊縮条件は、当業者に公知であり、Ausubel 等著、Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, N.Y. (1989), 6.3.1-6.3.6.に記載されている。緊縮ハイブリダイゼーション条件の好ましい例(これに限定されない)は、6X塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)にて約45℃でハイブリダイズした後、0.2 X SSC、0.1% SDS で、50〜65℃にて1回以上洗浄したことによるハイブリダイゼーションである。緊縮条件下で本発明の核酸配列にハイブリダイズする本発明の単離された核酸分子は、天然に発生する核酸分子に対応していることが好ましい。本明細書で、「天然に発生する」核酸とは、天然に起こるヌクレオチド配列を有するRNAまたはDNA分子(例えば天然のタンパク質をコードしている)を意味する。一実施の形態において、本発明の核酸は天然のC.グルタミカムPTSタンパク質をコードするものである。
個体群中に存在する可能性のあるPTS配列の天然に発生する変異体の他に、本発明のヌクレオチド配列に変異による変化が生じ、これからコードされたPTSタンパク質アミノ酸配列に変化が生じ、PTSタンパク質の機能上の能力には変化が起こらないことも、当業者には理解される。例えば、「非必須」アミノ酸残基におけるアミノ酸の置換を引き起こすヌクレオチドの置換は、本発明のヌクレオチド配列中で起こり得る。「非必須」アミノ酸残基は、PTSタンパク質のいずれかの野生型の配列(例えば配列表の偶数のSEQ ID NO)から変化が生じた残基であり、PTSタンパク質の活性には変化のないものである。一方、「必須」アミノ酸残基は、PTSタンパク質活性に必要なアミノ酸残基である。しかしながら、他のアミノ酸残基(例えばPTS活性を有するドメインで保存されていないか、または半保存状態であるアミノ酸)は活性に必須でないこともあるため、PTS活性に変化のない状態で変化を受けやすい。
従って、更に本発明は、PTS活性に必須ではないアミノ酸残基中に変化を含むPTSタンパク質を含む核酸分子を含むものである。この様なPTSタンパク質のアミノ酸配列は、配列表の偶数のSEQ ID NOの配列とは異なるが、本明細書中に記載した1種類以上のPTS活性を含むものである。一実施の形態において、単離された核酸分子とは、本発明のアミノ酸配列に少なくとも50%相同なアミノ酸配列を含み、かつグルコース等の高エネルギー炭素含有分子をC.グルタミカムに輸送すること、または同微生物における1種類以上の細胞内情報伝達に関与することが可能であるか、または表1に記載の1種類以上の活性を有するタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む。核酸分子にコードされるタンパク質は、配列表の奇数のSEQ ID NOのいずれかのアミノ酸配列に少なくとも約50〜60%、好ましくは少なくとも約60〜70%、更に好ましくは約70〜80%、80〜90%、90〜95%、特に好ましくは少なくとも約96%、97%、98%または99%相同なアミノ酸配列を有することが好ましい。
2種類のアミノ酸配列(例えば、本発明のアミノ酸配列のいずれかと、この変異形)または2種類の核酸の相同な割合を測定するため、最適な比較が可能なように配列が決定される(一方のタンパク質または核酸と他方のタンパク質または核酸との最適な位置(アライメント)を得るためにギャップを設けることができる)。アミノ酸残基または核酸との、対応するアミノ酸位置または核酸位置同士を比較する。一方の配列の位置(例えば本発明のアミノ酸配列の一つ)に、他方の配列(例えばアミノ酸配列の変異形)の対応する位置と同一のアミノ酸残基またはヌクレオチドが存在する場合、この位置で分子は相同である(すなわち、本発明ではアミノ酸または核酸の「相同性」は、アミノ酸または核酸の「同一性」と等価である)。2つの配列の間の相同性の割合は、これらの配列間で同一な位置の数の関数である(すなわち相同性(%)=同一位置の数/位置の総数×100)。
本発明のタンパク質配列(例えば配列表の偶数のSEQ ID NOの配列)に相同なPTSタンパク質をコードしている単離された核酸分子は、本発明のヌクレオチド配列に1個以上のヌクレオチドの置換、付加または欠失が起こり、これによりコードされたタンパク質の1個以上のアミノ酸の置換、付加、欠失が生ずることにより生成する。標準的方法、例えば特定部位の突然変異誘発およびPCR仲介突然変異等により、本発明のいずれかのヌクレオチド配列の変異が生ずる。保存的アミノ酸置換が1種類以上の予測された非必須アミノ酸残基上で起こる。「保存的アミノ酸置換」は、アミノ酸残基が、類似の側鎖を有するアミノ酸残基により置換されることを意味する。類似する側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーはこの分野で定義されている。これらのファミリーには塩基性側鎖を有するアミノ酸(例えばリジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖を有するアミノ酸(例えばアスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖を有するアミノ酸(例えばグリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖を有するアミノ酸(例えばアラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、β−分岐側鎖を有するアミノ酸(例えばスレオニン、バリン、イソロイシン)、および芳香性側鎖を有するアミノ酸(例えばチロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)が含まれる。PTSタンパク質中の予測された非必須アミノ酸が同じ側鎖ファミリーに属する他のアミノ酸残基により代替されることが好ましい。他の好ましい実施の形態においては、PTSコード配列の全てまたは一部に対して、飽和変異生成(saturation mutagenesis)等によりランダムに変異を導入することができる。得られた変異体の上記PTS活性をスクリーニングし、変異体がPTS活性を保持していることを確認する。配列表の奇数のSEQ ID NOのいずれかのヌクレオチド配列の変異生成により、これによりコードされたタンパク質は組換えによる発現を行うため、このタンパク質の活性を、例えば本明細書に記載の(具体例として実施例8を参照)評価法により評価する。
上述のPTSタンパク質をコードする核酸分子の他に、本発明は、これに対してアンチセンスな、単離された核酸分子を含む。「アンチセンス」な核酸とは、所定のタンパク質をコードする「センス」核酸に相補性を有するヌクレオチド配列、例えば2本鎖DNA分子のコードストランドまたはmRNA配列に相補性を有するヌクレオチド配列を意味する。従って、アンチセンス核酸はセンス核酸に水素結合することができる。アンチセンス核酸は全PTSコードストランドに相補性を有することも、その一部に相補性を有することも可能である。一実施の形態において、アンチセンスヌクレオチド分子はPTSタンパク質をコードするヌクレオチド配列のコードストランドの「コード領域に」アンチセンスである。「コード領域」とはアミノ酸残基に翻訳されるコドンを含むヌクレオチド配列の領域を意味する(例えばSEQ ID NO.:5(RXA01503)のコード領域はヌクレオチド1〜249を含む)。他の実施の形態において、アンチセンス核酸分子はPTSをコードするヌクレオチド配列のコード鎖(コードストランド)の「非コード領域」にアンチセンスである。「非コード領域」とは、アミノ酸に翻訳されない、コード領域の側方に存在する5’および3’配列を意味する(5’および3’未翻訳領域ともいう)。
本発明におけるPTSをコードするコード鎖(例えば配列表の奇数のSEQ ID NOに示された配列)として、本発明のアンチセンス核酸は、ワトソンとクリックによる塩基対のルールにより設計することができる。アンチセンス核酸分子は、PTSmRNAの全コード領域に相補性を有してもよいが、PTSmRNAのコード領域または非コード領域の一部のみにアンチセンスなオリゴヌクレオチドでると好ましい。例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、PTSmRNAの翻訳開始サイトを取り巻く領域に相補性を有することもある。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、例えば約5、10、15、20、25、30、35、40、45または50ヌクレオチド長とされる。本発明のアンチセンスヌクレオチドは、この分野で公知の手法により化学合成および酵素的結紮反応により構成される。例えばアンチセンス核酸(例えばアンチセンスオリゴヌクレオチド)は、天然に発生するヌクレオチドを用いて化学的に合成することができるが、分子の生物学的安定性を向上させるため、もしくはアンチセンスとセンス核酸、例えばホスホロチオエート誘導体とアクリジン置換ヌクレオチドとの間の2本鎖の物理的安定性を向上させるために設計された種々の修飾を有するヌクレオチドを使用してもよい。アンチセンス核酸の生成に使用される修飾されたヌクレオチドの例は、5−フルオロウラシル、5−ブロモウラシル、5−クロロウラシル、5−ヨードウラシル、ヒポキサンチン、キサンチン、4−アセチルシトシン、5−(カルボキシヒドロキシメチル)ウラシル、5−カルボキシメチルアミノメチル−2−チオウリジン、5−カルボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、β−D−ガラクトシルキノシン、イノシン、N6−イソペンテニルアデニン、1−メチルグアニン、1−メチルイノシン、2,2−ジメチルグアニン、2−メチルアデニン、2−メチルグアニン、3−メチルシトシン、5−メチルシトシン、N6−アデニン、7−メチルグアニン、5−メチルアミノメチルウラシル、5−メトキシアミノメチル−2−チオウラシル、β−D−マンノシルキノシン、5´−メトキシカルボキシメチルウラシル、5−メトキシウラシル、2−メチルチオ−N6−イソペンテニルアデニン、ウラシル−5−オキシ酢酸(v)、ワイブトキソシン(wybutoxosine)、プソイドウラシル、キノシン、2−チオシトシン、5−メチル−2−チオウラシル、2−チオウラシル、4−チオウラシル、5−メチルウラシル、ウラシル−5−オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル−5−オキシ酢酸(v)、5−メチル−2−チオウラシル、3−(3−アミノ−3−N−2−カルボキシプロピル)ウラシル、(acp3)wおよび2,6−ジアミノプリンである。この他、アンチセンス核酸は、所定の核酸を発現ベクターにアンチセンス方向にサブクローニングしたものを用いて生物学的に製造することもできる(すなわち、挿入された核酸から転写されたRNAは、目的の核酸に対してアンチセンスな方向に配置される。これについては以下に更に詳細に説明する。)。
本発明のアンチセンスな核酸分子は、PTSタンパク質をコードする細胞のmRNAおよび/またはゲノムDNAとハイブリッドまたは結合するように、一般的には細胞に投入されるか、または現場で生成され、転写および/または翻訳を阻害する等によりタンパク質の発現が阻害される。このハイブリダイゼーションは、安定な2本鎖を形成する本来のヌクレオチドの相補性により行うことができるが、DNA2本鎖に結合するアンチセンス核酸分子の場合等には二重らせんに結合する主溝での特異的相互作用により行ってもよい。アンチセンス分子は、所定の細胞表面の受容体または同細胞表面で発現する抗原に特異的に結合するように、細胞表面上の受容体または抗原と結合するペプチドまたは抗体と予め結合するなどして修飾される。抗原核酸分子を、例えばベクターを用いて細胞に導入することも可能である。アンチセンス分子の十分な細胞内濃度を得るために、原核細胞、ウイルスまたは真核細胞プロモータの強力な制御下にアンチセンス核酸分子が配置されたベクター構成体が好ましく用いられる。
他の実施の形態において、本発明のアンチセンス核酸分子として、α−アノマー核酸分子が用いられる。α−アノマー核酸分子は、相補性RNAと特異的な2本鎖ハイブリッドを形成する。この場合は通常のβユニットとは異なり、核ストランドが互いに平行に伸長する(Gaultier等著、(1987) Nucleic Acids. Res. 15: 6625-6641)。アンチセンス核酸分子は、2’−o−メチルリボヌクレオチド(Inoue等著、(1987) Nucleic Acids Res. 15: 6131-6148)、またはキメラRNA-DNA類似体(Inoue等著、(1987) FEBS Lett. 215: 327-330)を含んでもよい。
他の実施の形態では、本発明のアンチセンス核酸がリボザイムであってもよい。リボザイムは触媒活性を有するRNA分子であり、相補性領域を有する1本鎖核酸、例えばmRNAを切断することが可能なリボヌクレアーゼ活性を有する。リボザイム(例えばハンマーヘッドリボザイム(HaselhoffおよびGerlach著、 (1988) Nature 334: 585-591に記載))を用いてPTSmRNAの転写体を触媒的に切断し、PTSmRNAの翻訳を阻害することができる。PTSコード核酸に対する特異性を有するリボザイムは、本明細書に記載のPTScDNA(例えばSEQ ID NO:5 (RXA01503)のヌクレオチド配列に基づき設計可能である。例えばテトラヒメナL-19 IVS RNAは、活性部分のヌクレオチド配列がPTSコードmRNAにおいて切断可能なヌクレオチド配列に対して相補性を有する構成とされる。これについては例えばCech等、米国特許第4,987,071号、およびCech等、米国特許第5,116,742号各明細書に記載されている。更に、PTSmRNAを用いて、RNA分子のプール中の特異的リボヌクレアーゼ活性を有する触媒活性RNAを選択することもできる。これについてはBartel, D.およびSzostak, J.W. 共著、(1993) Science 261: 1411-1418が参考となる。
また、PTSヌクレオチド配列の調節領域(例えばPTSプロモーターおよび/またはエンハンサー)に相補性を有するヌクレオチド配列を標的とすることによりPTS遺伝子の発現を阻害することができる。これについては、Helene, C. (1991) Anticancer Drug Des. 6(6): 569-84; Helene, C. 等著、(1992) Ann. N.Y. Acad. Sci. 660: 27-36、および Maher, L.J.等著(1992) Bioassays 14(12): 807-15を参照されたい。
B.組換え発現ベクターおよび宿主細胞
本発明は、更にPTSタンパク質(またはその一部)をコードする核酸を含むベクター、好ましくは発現ベクターを含む。ここで、「ベクター」とは、核酸分子であって、この核酸分子が結合している他の核酸を運搬する能力のある分子を意味する。ベクターの一例には「プラスミド」があるが、これは、他のDNA部分を結紮することが可能な環状の2本鎖DNAループである。ベクターの他の例はウイルスベクターであり、このウイルスゲノムに他のDNAセグメントを結紮することが可能である。所定のベクターを宿主細胞に導入すると、この宿主細胞において自律的な複製が可能とされる(例えば複製によるバクテリア由来のバクテリアベクターおよびエピソーム上の哺乳類ベクター)。他のベクター(例えばエピソーム以外の哺乳類ベクター)を、宿主細胞に導入することにより宿主細胞のゲノムに導入し、宿主ゲノムと共に複製する。更に、ある種のベクターは、これが協同的に結合している遺伝子の発現を支配することが可能である。これらのベクターを、ここでは「発現ベクター」という。一般に、DNA組換え技術において使用される発現技術はプラスミドの形態をとることが多い。本明細書においては、「プラスミド」と「ベクター」は相互変換可能に用いられ、プラスミドがベクターの最も頻繁に使用される形態とされる。しかしながら、本発明は、同様の機能を有する他の形態の発現ベクター、例えばウイルスベクター(例えば複製欠陥レトロウイルス、アデノウイルスおよびアデノ随伴ウイルス)を含む。
本発明の組換え発現ベクターは、宿主細胞中での発現に適する形態で核酸を含む。組換え発現ベクターは、発現に使用される宿主細胞を基準に選択された1種類以上の調節配列を含み、発現すべき核酸配列に協同的に結合されている。組換え発現ベクターにおいて、「協同的に結合された」とは、ヌクレオチド配列の発現が可能なように調節配列に(例えばin vitro転写/翻訳系で、または宿主細胞にベクターが導入される場合は宿主細胞中で)結合されていることを意味する。この「調節配列」とはプロモーター、エンハンサー、および他の発現調節要素(例えばポリアデニル化シグナル)を含むものである。この様な調節配列については、例えばGoeddel; Gene Expression Technology: Methods in Enzymology 185, Academic Press, San Diego, CA (1990)に記載されている。好ましい調節配列は、例えばcos-, tac-, trp-, tet-, trp-tet-, lpp-, lac-, lpp-lac-, lacIq, T7-, T5-, T3-, gal-, trc-, ara-, SP6-, arny, SPO2, λ-PR- または λ-PL等のプロモーターであり、これらはバクテリアにおいて好ましく使用される。他の調節配列の例は、ADC1、MFα、AC、P-60、CYC1、GAPDH、TEF、rp28、ADH等の酵母および菌類由来のプロモーター、CaMV/35S、SSU、OCS、lib4、usp, STLS1, B33等の植物由来のプロモーター、nosまたはユビキチン−およびファセオリン−プロモーターである。人工のプロモーターを使用することも可能である。発現ベクターの設計は、形質転換すべき宿主細胞の選択等の要因、所望のタンパク質の発現程度等により変化することは、当業者に理解されることである。本発明の発現ベクターは宿主細胞に導入可能であり、これにより、核酸によりコードされた融合タンパク質またはペプチドを含むタンパク質またはペプチド(例えばPTS タンパク質、PTSタンパク質の変異形、融合タンパク質等)が製造される。
本発明の組換え発現ベクターは、原核生物または真核生物の各細胞におけるPTSタンパク質の発現を行うために設計される。例えばPTS遺伝子は、C.グルタミカム等のバクテリア細胞、昆虫細胞(バキュロウイルス発現ベクター使用による)、酵母および他の菌類の細胞(Romanos, M.A. 等著、(1992) “Foreign gene expression in yeast: a review”, Yeast 8: 423-488; van den Hondel、 C.A.M.J.J. 等著、(1991) “Heterologous gene expression in filamentous fungi” (More Gene Manipulations in Fungiにおける論考、J.W. Bennet & L.L. Lasure編、p. 396-428: Academic Press: San Diego, およびvan den Hondel, C.A.M.J.J. & Punt, P.J. (1991) “Gene transfer systems and vector development for filamentous fungi(Applied Molecular Genetics of Fungiにおける論考)Peberdy J.F. 等編、p. 1-28, Cambridge University Press: Cambridge参照)、藻類および多細胞植物(Schmidt, R. 、Willmitzer, L.共著 (1988) High efficiency Agrobacterium tumefaciens mediated transformation of Arabidopsis thaliana leaf and cotyledon explants” Plant Cell ReP.: 583-586参照)、または哺乳類細胞において発現可能である。適する宿主細胞についてはGoeddel, Gene Expression Technology: Method in Enzymology185, Academic Press, San Diego, CA (1990)に詳細な説明がある。更に、組換え発現ベクターは、例えばT7プロモータ調節配列およびT7ポリメラーゼ等を用いることにより、in vitroで転写、翻訳することもできる。
原核生物におけるタンパク質の発現は、融合タンパク質または非融合タンパク質の発現を支配する構成性または誘導性プロモーターを含むベクターにより行われるのが最も一般的である。融合ベクターは、コードされるタンパク質に対して、通常は組換えタンパク質のアミノ末端に、多数のアミノ酸数を付加する。この様な結合ベクターは3つの役割を果たす。すなわち、1)組換えタンパク質の発現を増大させる、2)組換えタンパク質の溶解性を向上させる、および3)親和精製におけるリガンドとして作用することにより組換えタンパク質の精製を補助する。融合発現ベクターにおいて、融合部分と組換えタンパク質の結合部分に蛋白分解切断部位を導入し、融合タンパク質の精製を行うことにより融合部分を組換え部分から分離することを可能とすることも頻繁に行われている。この様な酵素およびそのコグネイト認識部位の例には、Xa因子、トロンビンおよびエンテロキナーゼがある。
典型的な融合発現ベクターの例は、pGEX (Pharmacia Biotech Inc; Smith, D.B.、Johnson, K.S.共著、(1988) Gene 67: 31-40)、pMAL (New England Biolabs, Beverly, MA) およびpRIT5 (Pharmacia, Piscataway, NJ)であり、それぞれグルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)、マルトーゼE結合タンパク質、タンパク質Aを組換えタンパク質に融合させる。一実施の形態において、PTSタンパク質のコード配列はpGEX発現ベクターにクローンされ、N末端からC末端に向かって、GST−トロンビン切断部位−Xタンパク質を順に含む、融合タンパク質をコードするベクターが製造される。融合タンパク質は、グルタチオン−アガロース樹脂を用いたアフィニティー・クロマトグラフィーにより精製される。GSTとの融合から除去された組換えPTSタンパク質は、融合タンパク質の、トロンビンによる切断により回収される。
適する誘導性非融合E.coli発現ベクターの例には、pTrc (Amann 等著、(1988) Gene 69: 301-315) pLG338、 pACYC184、 pBR322、 pUC18、 pUC19、 pKC30、 pRep4、 pHS1、 pHS2、 pPLc236、 pMBL24、 pLG200、 pUR290、 pIN-III 113-B1、λgt11、 pBdC1、およびpET11d (Studier等著、Gene Expression Technology: Methods in Enzymology 185, Academic Press, San Diego, California (1990) 60-89、およびPouwels等編、 (1985) Cloning Vectors. Elsevier: New York IBSN 0 444 904018)がある。pTrcベクターによる標的遺伝子の発現は、ハイブリッドtrp-lac融合プロモーターからの宿主RNAポリメラーゼ転写により行われる。pET11dベクターによる標的の遺伝子の発現は、協同発現するウイルスRNAポリメラーゼ(T7 gnl)により仲介されたT7 gn10-lac融合プロモータによる転写により行われる。このウイルスポリメラーゼは、lacUV5プロモータの転写支配下にT7gn1遺伝子を含む定住λファージによる宿主株 BL21(DE3) またはHMS174(DE3) から供給される。他の多種のバクテリアの形質転換には、適するベクターを選択することが可能である。例えばプラスミドpIJ101、 pIJ364、 pIJ702 および pIJ361はストレプトマイセスの形質転換に有効であることが公知であり、プラスミドpUB110、 pC194またはpBD214はバキュラス種の形質転換に適している。遺伝情報をコリネバクテリウムに移送するために使用される数種類のプラスミドの例はpHM1519、 pBL1、 pSA77 またはpAJ667 (Pouwels等編、(1985) Cloning Vectors. Elsevier: New York IBSN 0 444 904018)である。
組換えタンパク質の発現を最大限に行う1つの方法は、組換えタンパク質の蛋白分解的切断を行う能力に欠陥を有する宿主バクテリア中でタンパク質を発現させることである(Gottesman, S.著、Gene Expression Technology: Methods in Enzymology 185, Academic Press, San Diego、California (1990) 119-128)。他の方法は、発現ベクターに挿入されるべき核酸の核酸配列を変化させ、各アミノ酸に対応するコドンの発現に用いられる所定のバクテリア、C.グルタミカムで優先的に使用することである(Wada等、(1992) Nucleic Acids Res. 20: 2111-2118)。この様な核酸配列の変更は、標準的なDNA合成技術により行われる。
他の実施の形態においては、PTSタンパク質発現ベクターとして酵母発現ベクターが用いられる。酵母S. cerevisiaeにおける発現を行うベクターの例としては、pYepSec1 (Baldari等、(1987) Embo J. 6: 229-234)、2μ、pAG-1、Yep6、 Yep13、pEMBLYe23、pMFa(Kurjan、Herskowitz共著、(1982) Cell 30: 933-943)、pJRY88 (Schultz等著、(1987) Gene 54: 113-123),およびpYES2 (Invitrogen Corporation, San Diego, CA)が挙げられる。繊維状細菌等の他の菌類に好ましく使用されるベクターを構成するために用いるベクターおよび方法については、van den Hondel, C.A.M.J.J. & Punt, P.J. (1991) “Gene transfer systems and vector development for filamentous fungi、(Applied Molecular Genetics of Fungi)J.F. Peberdy等編、p. 1-28, Cambridge University Press: Cambridge、およびPouwels等編、(1985) Cloning Vectors. Elsevier: New York (IBSN 0 444 904018)に詳細に記載されている。
更に、本発明のPTSタンパク質は、バキュロウイルス発現ベクターを用いて、昆虫細胞において発現する。培養された昆虫細胞(例えばSf9細胞)におけるタンパク質の発現が可能なバキュロウイルスベクターの例は、pAc系(Smith等著、(1983) Mol. Cell. Biol. 3:2156-2165)およびpVL系(Lucklow およびSummers著、(1989) Virology 170: 31-39)である。
他の実施の形態において、本発明のPTSタンパク質は、単細胞植物細胞(例えば藻類)または高等植物由来の植物細胞(例えば農作物等の種子植物)において発現可能である。植物発現ベクターの例については、Becker, D., Kemper, E., Schell, J. およびMasterson, R.著、(1992) “New plant binary vectors with selectable markers located proximal to the left border”, Plant Mol. Biol. 20: 1195-1197、Bevan, M.W.著、(1984) “Binary Agrobacterium vectors for plant transformation”, Nucl. Acid. Res. 12: 8711-8721に詳細に記載されており、更にpLGV23、pGHlac+、pBIN19、pAK2004、およびpDH51 (Pouwels等編、(1985) Cloning Vectors. Elsevier: New York IBSN 0 444 904018)が、例として挙げられる。
他の実施の形態では、本発明の核酸は、哺乳類発現ベクターを用いて哺乳類細胞において発現される。哺乳類発現ベクターの例は、pCDM8 (Seed, B. (1987) Nature 329:840) およびpMT2PC (Kaufman 等著、(EMBO J. 6: 187-195)である。哺乳動物の細胞中で使用される場合の発現ベクターの制御機能は、ウイルスの調節要素により提供されることが多い。例えば、通常使用されるプロモーターはポリオーマウイルス属、アデノウイルス2、サイトメガロウイルス、およびシミアンウイルス40由来のものである。原核細胞および真核細胞の双方における他の適する発現システムについては、Sambrook, J., Fritsh, E.F.およびManiatis, T.著、Molecular Cloning: A Laboratory Manual、第二版、第16 、17章、Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY, 1989を参照されたい。
他の実施の形態では、組換えによる哺乳類発現ベクターは、所定細胞種に選択的な核酸の発現を支配することが可能である(例えば、この様な核酸の発現には組織特異的調節要素が用いられる)。組織特異的調節要素はこの分野で公知である。組織特異的プロモータの例としては、アルブミンプロモーター(肝臓特異的: Pinkert等著、(1987) Genes Dev. 1: 268-277)、リンパ系特異的プロモーター(Calame、Eaton共著、(1988) Adv. Immunol. 43: 235-275)、特にT細胞受容体の特異的プロモーター(Winoto、Baltimore共著、(1989) EMBO J. 8: 729-733)、免疫グロブリン(Banerji等著、(1983) Cell 33: 729-740、Queen、Baltimore著、(1983) Cell 33: 741-748)、ニュウロン特異的プロモータ(例えばニュウロフィラメントプロモーター、ByrneおよびRuddle 著、(1989) PNAS 86: 5473-5477)、膵臓特異的プロモーター(Edlund 等著、(1985) Science 230: 912- 916)、乳腺特異的プロモータ(例えば乳漿プロモーター、米国特許第4,873,316号明細書およびヨーロッパ特許出願公開第264,166号公報)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。発育中に調節されるプロモーターの例としては、ネズミ(マウス)のホックスプロモーター(Kessel、Gruss著、(1990) Science 249: 374-379)およびα−フェトプロテインプロモーター(Campes、Tilghman 著、(1989) Genes Dev. 3: 537-546)が挙げられる。
本発明は、更に、発現ベクターにアンチセンス方向にクローニングされた本発明のDNAベクターを含む組換え発現ベクターを提供するものである。すなわち、DNA分子は、PTSmRNAにアンチセンスなRNA分子の(DNA分子の転写による)発現が可能なように、調節配列に協同的に結合している。例えばアンチセンス方向にクローンされた核酸に協同的に結合する調節配列が選択され、これが種々の細胞種におけるアンチセンスRNA分子の連続的な発現を支配する。調節配列の例には、ウイルスプロモーターおよび/またはエンハンサーがある。或いは、アンチセンスRNAの構成性の組織特異的または細胞種類に特異的な発現を支配する調節配列を選択してもよい。アンチセンス発現ベクターは、アンチセンス核酸を高効率の調節領域の支配下に産生する組換えプラスミド、ファージミドまたは弱毒化ウイルスの形態であってもよい。この場合の活性はベクターが導入された細胞の種類によって決定する。アンチセンス遺伝子の発現の調節に関してはWeintraub, H.等、Antisense RNA as a molecular tool for genetic analysis, Reviews Trends in Genetics, Vol. 1(1) 1986に詳述されている。
更に、本発明は、本発明の組換え発現ベクターが導入された宿主細胞を含む。「宿主細胞」および「組換え宿主細胞」の双方の表現は、本明細書では相互変換可能である。これらの表現は、特定の細胞のみならず、次世代細胞および後世代の細胞に発達する可能性のあるものに対しても用いる。変異または環境的な影響のいずれかにより後の世代に修飾が起こる可能性があるため、この様な後の世代は実際には親細胞とは同一ではないこともあるが、この場合も上述の表現に含まれるものとする。
宿主細胞はいかなる原核細胞または真核細胞であってもよい。例えばPTSタンパク質はC.グルタミカム等のバクテリア細胞、昆虫細胞、酵母または哺乳動物細胞(例えばチャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)またはCOS細胞)で発現される。他の適当な宿主細胞は、当業者に公知のものである。従来の宿主細胞として使用可能とされた、本発明の核酸およびタンパク質分子に用いられる、従来の宿主細胞として用いられていたコリネバクテリウム−グルタミカムに関連する微生物を表3に記載する。
慣用の形質転換または形質移入技術によりベクターDNAが原核細胞または真核細胞に導入可能である。本明細書で、形質転換(トランスフォーメーション)または形質移入(トランスフェクション)とは、外来核酸(例えば鎖状DNAまたはRNA(例えば直鎖化ベクターまたはベクターを有さない遺伝子構成部分のみ)またはベクター状の核酸(例えばプラスミド、ファージ、ファスミド、ファージミド、トランスポロンまたは他のDNA))を宿主細胞に導入する種々の公知技術、例えばリン酸カルシウムまたは塩化カルシウム共同沈降法、DEAE−デキストラン仲介トランスフェクション、リポフェクション、またはエレクトロポレーションを示す。宿主細胞の形質転換または形質移入についての適当な方法は、Sambrook等著、(Molecular Cloning: A Laboratory Manual、第二版、Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY, 1989)、および他の研究マニュアルに記載されている。
哺乳類細胞の安定な形質移入では、使用する発現ベクターと形質移入技術により、細胞の小部分により外来DNAがゲノム中に統合されることもあることが公知である。これらの構成要素全体を認識し選択するため、選択可能なマーカーをコードする遺伝子(例えば抗生物質に対する耐性)を所望の遺伝子と共に宿主細胞に導入する。適するマーカーの例には、薬剤に対して耐性を付与するもの、例えばG418、ハイグロマイシン、メトトレキセートがある。選択可能なマーカーをコードする核酸は、宿主細胞中の、PTSタンパク質をコードするベクターと同一のベクターに導入可能であるが、他のベクターに導入することもできる。導入された核酸により安定に形質移入された細胞は薬物の選択により認識される(例えば選択可能なマーカー遺伝子が導入された細胞は維持され、他の細胞は死滅する)。
相同な組換え微生物を得るためには、欠失、付加、置換が導入されたPTS遺伝子の少なくとも一部を含むベクターを製造し、これによりPTS遺伝子を、例えば機能的な混乱等により変化させる。このPTS遺伝子はコリネバクテリウム−グルタミカムPTS遺伝子であることが好ましいが、関連するバクテリアまたは哺乳動物、酵母または昆虫に相同なものであってもよい。好ましい実施の形態において、ベクターは相同な組換えの上、内因性PTS遺伝子が機能的に混乱するように設計されていることが好ましい(すなわち、機能的タンパク質をコードしないように設計される。これは「ノックアウト」ベクターとも呼ばれる)。あるいは、相同な組換えの後、内因性PTS遺伝子が変異または変化しているが、機能性タンパク質をコードしている状態を保つ(例えば上流の調節領域が変化し、これにより内因性PTSタンパク質の発現を変化させる)ようにベクターを設計することも可能である。相同な組換えベクターにおいて、PTS遺伝子の5’および3’末端側方に付加的な核酸が配置し、改変部分が得られる。このベクターによりもたらされた外因性PTS遺伝子と微生物における内因性PTSの間で相同的組換えが可能とされる。この付加的に側方に位置するPTS核酸は十分な長さを有し、外来遺伝子による十分に相同な組換えを可能としている。通常は、数kbの側方配置DNA(5’末端および3’末端の双方において)がベクターに含まれている(Thomas, K.R.およびCapecchi, M.R.共著、(1987) Cell 51: 503 for a description of homologous recombination vector)。ベクターが微生物に導入され(例えばエレクトロポレーション)、導入されたPTS遺伝子と内因性PTS遺伝子との組み合わせを有する細胞が公知技術により選択される。
他の実施の形態においては、導入された遺伝子の調節された発現を可能とする選択された系を有する組換え微生物が製造される。PTS遺伝子をベクター上に、lacオペロンの支配下に導入することにより、IPTGが存在する場合のみPTS遺伝子の発現を行うことが可能となる。この様な調節システムは従来技術より公知である。
他の実施の形態では、宿主細胞における内因性PTS遺伝子を、これから得られたタンパク質産物が発現しないように混乱させる(相同的組換えまたは従来技術による他の遺伝子上の手段による)。他の実施の形態では、宿主細胞中の内因性または導入されたPTS遺伝子が1カ所以上の点変異、欠失または逆位により変化しているが、機能性PTSタンパク質をコードしている。更に他の実施の形態では、微生物におけるPTS遺伝子の1カ所以上の調節領域(例えばプロモーター、リプレッサー、またはインデューサー)が、PTS遺伝子の発現が調節されるように変化させられている(例えば欠失、切断、逆位、点変異による)。当業者にいると、1種類以上の上述のPTS遺伝子とタンパク質の修飾を有する宿主細胞は、本発明の方法により簡単に製造され、これらも本発明に含まれるものであることが容易にわかる。
本発明の宿細胞、例えば培養体における原核細胞または真核細胞を用い、PTSタンパク質を製造する(すなわち発現させる)ことができる。従って、本発明は、更に本発明の宿主細胞を使用してPTSタンパク質を製造する方法を提供するものである。好ましい実施の形態において、この方法では、PTSタンパク質が得られるまで本発明の細胞(PTSタンパク質をコードしている組換え発現ベクターが導入されているか、ゲノムが導入され、野生型または改変型PTSタンパク質をコードしている細胞)を適する培地中で培養する。他の実施の形態において、本発明の方法では培地または宿主細胞からPTSタンパク質を単離する工程を含んでいる。
C.単離されたPTSタンパク質
本発明は、更に単離されたPTSタンパク質、およびその生物学的に活性な一部を含む。「単離された」または「精製された」タンパク質またはその生物学的に活性は部分は、組換えDNA技術で製造された場合に細胞質材料を実質的に含まず、化学的に合成された場合には化学的前駆体または他の化学物質を実質的に含まない。「細胞材料を実質的に含まない」とは、天然または組換え技術により製造された、細胞における細胞成分から分離したPTSタンパク質の調製を意味する。一実施の形態において、「細胞材料を実質的に含まない」とは、非PTSタンパク質(「汚染タンパク質」(contamining protein)ともいう)を約30%未満(乾重量で)、好ましくは約20%未満、更に好ましくは約10%未満、特に好ましくは5%未満含むPTSタンパク質の調製を意味する。PTSタンパク質またはこの生物学的に活性な部分が組換えにより製造可能である場合、培地を実質的に含まないことが好ましい。すなわち培地がタンパク質製造の容量の20%未満、更に好ましくは約10%未満、特に好ましくは約5%未満であることが好ましい。一実施の形態では、「化学的前駆体または他の化学物質を実質的に含まない」という表現は、「約30%(乾重量)未満、好ましくは約20%未満、更に好ましくは約10%未満、特に好ましくは約5%未満の化学的前駆体または非PTS化学物質を含むPTSタンパク質の調製を意味する。単離されたタンパク質またはこの生物学的に活性な部分は、このPTSタンパク質が誘導されたと同じ生物からの汚染(源)タンパク質を含まないことが好ましい。一般に、この様なタンパク質は、C.グルタミカム等の微生物におけるC.グルタミカムPTSタンパク質等の組換え発現により製造される。
本発明の単離されたPTSタンパク質またはその一部は、グルコース等の高エネルギー炭素含有分子のC.グルタミカムへの輸送に関与可能であり、および同微生物における1種類以上の細胞内情報伝達に関与することが可能であるか、または表1に記載の1種類以上の活性を有する。タンパク質またはその一部は、本発明の配列(例えば配列表中の偶数のSEQ ID NOによる配列)に十分に相同なアミノ酸配列を含み、このタンパク質または上述の一部が、C.グルタミカムのグルコース等の高エネルギー炭素含有分子をC.グルタミカムに輸送する能力、または同微生物における細胞内情報伝達に関与する能力を維持していることが好ましい。タンパクの一部が、上述の生物学的な活性を有する部分であると好ましい。他の好ましい実施の形態では、本発明のPTSタンパク質は、配列表中の偶数のSEQ ID NOによるアミノ酸配列を有している。他の好ましい実施の形態では、PTSタンパク質は本発明のヌクレオチド配列(例えば配列表中の奇数のSEQ ID NOによる配列)とハイブリダイズする、例えば緊縮条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列によりコードされている。更に他の好ましい実施の形態では、PTSタンパク質は、本発明の核酸配列またはその一部に対して、少なくとも約50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%または60%、好ましくは少なくとも約61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、または70%、更に好ましくは少なくとも約71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、または80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%または90%、91%、92%、93%、94%、特に好ましくは少なくとも約95%、96%、97%、 98%、99%以上相同なヌクレオチド配列によりコードされているアミノ酸配列を有する。上記各値の中間値により示される値の範囲(例えば70〜90%同一または80〜95%同一)も本発明に含まれる。例えば、上限値および/または下限値として記載された上述の値のいずれを組み合わせて値の範囲としてもよい。本発明のPTSタンパク質は、本明細書に記載された少なくとも1種類のPTS活性を有することが好ましい。例えば、本発明のPTSタンパク質は、本発明の核酸配列に、ハイブリダイズする、例えば緊縮条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列によりコードされたアミノ酸配列と実質的に相同であり、グルコース等の高エネルギー炭素含有分子のC.グルタミカムへの輸送に関与可能であり、および同微生物における1種類以上の細胞内情報伝達に関与することが可能であるか、または表1に記載の1種類以上の活性を有することが好ましい。
好ましい実施の形態では、PTSタンパク質は、上述の第I欄で詳細に記載したように、本発明のアミノ酸配列(例えば配列表中の偶数のSEQ ID NOによる配列)と実質的に相同であり、天然の変化、変異生成によるアミノ酸配列が異なるものの、タンパク質の機能的活性を保持するものである。他の実施の形態では、
PTSタンパク質は、本発明のアミノ酸配列の全体に対して、少なくとも約50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%または60%、好ましくは少なくとも約61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、または70%、更に好ましくは少なくとも約71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、または80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%または90%、91%、92%、93%、94%、特に好ましくは少なくとも約95%、96%、97%、 98%、99%以上相同なアミノ酸配列を含み、上述のPTS活性のいずれかを含むタンパク質である。上記各値の中間値により示される値の範囲(例えば70〜90%同一または80〜95%同一)も本発明に含まれる。例えば、上限値および/または下限値として記載された上述の値のいずれを組み合わせて値の範囲としてもよい。本発明は、本発明のアミノ酸配列の全体に対して実質的に相同なC.グルタミカムタンパク質の全体を含む。
PTSタンパク質の生物学的に活性な部分は、PTSタンパク質のアミノ酸配列から誘導されたアミノ酸配列(例えば配列表中の偶数のSEQ ID NOによるアミノ酸配列)、またはPTSタンパク質に相同なタンパク質のアミノ酸配列から誘導されたアミノ酸配列(PTSタンパク質に全体よりも少ないアミノ酸を含むか、PTSタンパク質に相同なタンパク質全体を含む)を含み、PTSタンパク質の少なくとも1種類の活性を示す。
一般的に、生物学的に活性な部分(ペプチド、例えば5、10、15、20、30、35、 36、37、38、39、40、50、100以上のアミノ酸長のペプチド)は、PTSタンパク質の少なくとも1種類の活性を有するドメインまたはモチーフを含む。更に、タンパク質の他の部分が欠失している、生物学的に活性な他のタンパク質を組換え技術により製造し、本明細書に記載された1種類以上の活性についての評価を行うことも可能である。PTSタンパク質の生物学的に活性な部分は、生物学的活性を有する1種類以上の選択されたドメイン/モチーフまたはその一部である。
PTSタンパク質は、組換えDNA技術により製造されることが好ましい。例えばタンパク質をコードしている核酸分子を発現ベクターにクローンし(上記参照)、この発現ベクターを宿主細胞に導入し(上記参照)、このPTSタンパク質を宿主細胞中で発現させる。PTSタンパク質は、標準的なタンパク質精製技術を用いた適当な精製方法により細胞から単離される。組換え発現以外の方法では、標準的なペプチド合成法を用い、PTSタンパク質、ポリペプチド、またはペプチドを化学的に合成する。更に、例えば本発明のPTSタンパク質またはそのフラグメントを用いて標準的な技術により製造された抗PTS抗体を使用して未変性PTSタンパク質を細胞(例えば内皮細胞)から単離することができる。
本発明は、更に、PTSキメラタンパク質または融合タンパク質を提供する。ここで、PTS「キメラタンパク質」または「融合タンパク質」とは、非PTSポリペプチドに協同的に結合するPTSポリペプチドを含む。PTS「ポリペプチド」とはPTSに対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドを意味し、「非PTSポリペプチド」とはPTSタンパク質に実質的な相同性を有さないタンパク質、例えばPTSタンパク質と異なり、同一または異なる生物から誘導されたタンパク質に対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドを意味する。融合タンパク質に関して、「協同的に結合した」とは、PTSポリペプチドと非PTSポリペプチドがインフレームで相互に融合していることを意味している。非PTSポリペプチドはPTSポリペプチドのC末端またはN末端に融合可能である。例えば、融合タンパク質の例には、PTS配列がGST配列のC末端に結合したGST−PTS融合タンパク質がある。この様な融合タンパク質は、組換えPTSタンパク質の精製に有効に用いられる。他の実施の形態では、融合タンパク質として、N末端に非相同のシグナル配列を含むPTSが用いられる。所定の宿主細胞(例えば哺乳動物宿主細胞)では、PTSタンパク質の発現および/または分泌は、非相同シグナル配列を使用することにより改善される。
本発明のPTSキメラタンパク質または融合タンパク質は標準的組換えDNA技術により製造される。例えば、異なるポリペプチド配列をコードしているDNAフラグメントは、慣用の技術により相互に結紮される。例えば、結紮に平滑末端または付着末端を用いた処理、好ましい末端を得るための制限酵素による消化、適当な粘着末端を得るための充填、不適当な結合を回避するためのアルカリホスファターゼ処理、および酵素による結紮により行われることが好ましい。他の実施の形態では、融合遺伝子は自動DNA合成機の使用等による慣用の技術により合成される。この他の場合には、2本の平行する遺伝子フラグメントの間に相補的オーバーハングを生じさせるアンカープライマーを用いて遺伝子フラグメントのPCR増幅を行う。この場合の2本の遺伝子フラグメントは、後にアニーリングし、再増幅してキメラ遺伝子配列を生成する(例えば、Molecular Biology、Ausubel等編、John Wiley & Sons: 1992)。更に、予め融合部分をコードしている多種の発現ベクターが市販されている(例えばGSTポリペプチド)。PTSをコードしている核酸は、上述のような発現ベクターに、融合部分がPTSタンパク質に対してインフレームに結合するようにクローンされる。
PTSタンパク質の相同体は変異生成、例えばPTSタンパク質の散在点変異または切断により生成する。本明細書では、「相同体」という用語は、PTSタンパク質活性のアゴニストまたはアンタゴニストとして作用するPTSタンパク質の変異形を意味する。PTSタンパク質のアゴニストは、PTSタンパク質と同等の生物学的活性またはサブセットを維持することができる。PTSタンパク質のアンタゴニストは、PTSタンパク質を含むPTSシステムの下流または上流メンバーに競争的に結合することにより、PTSタンパク質の天然に発生する形態での1種類以上の活性を阻害することができる。従って、本発明のC.グルタミカムPTSタンパク質およびその相同体は、この微生物中の、PTSタンパク質の作用による、1種類以上の糖輸送経路または細胞内情報伝達経路の活性を調節することができる。
他の実施の形態において、PTSタンパク質の相同体は、PTSタンパク質アゴニストまたはアンタゴニスト活性を得るための、PTSタンパク質の変異体、例えば切断による変異体の組合わせライブラリーをスクリーニングすることにより同定される。一実施の形態において、PTS変異体の異形ライブラリは、核酸レベルでの組合わせ変異生成により得られ、異形遺伝子ライブラリによりコードされる。PTS変異体の異形ライブラリは、例えば合成オリゴヌクレオチドの混合物を遺伝子配列中に、PTS配列を構成する可能性のある一連の変性体が個々のポリペプチドとして、或いは一連のPTS配列を含む大きな融合タンパク質(例えばファージディスプレー)として発現可能であるように、酵素的結紮により製造される。分解されたオリゴヌクレオチド配列からPTS相同体を構成する可能性のあるライブラリーを形成するためは、種々の方法が使用される。分解した遺伝子配列の化学的合成は、自動DNA合成機中で行われ、合成された遺伝子は適当な発現ベクターに結紮させられる。分解された遺伝子をセットとして使用することにより、PTS配列を構成する可能性のある所望のセットをコードする全ての配列が混合物として提供される。分解されたオリゴヌクレオチドを合成する方法は従来技術により公知である(例えばNarang, S.A. 著、(1983) Tetrahedron 39: 3、Itakura等著、(1984) Annu. Rev. Biochem. 53: 323、Itakura 等著、(1984) Science 198: 1056、Ike等著、(1983) Nucleic Acid Res. 11: 477)。
更に、PTSタンパク質コードのフラグメントライブラリを用いて、PTSタンパク質の相同体のスクリーニングと選択を行う、PTSフラグメントの異形個体群を製造することが可能である。他の実施の形態では、コード配列フラグメントのライブラリーは、以下の方法で得られる。すなわち、PTSコード配列の2本鎖PCRフラグメントを、分子ごとに約1回だけニッキングが起こる条件下で、ヌクレア―ゼで処理し、2本鎖DNAを変性させ、異なるニッキングを起こした産物からセンス/アンチセンス対を含むDNAが2本鎖DNAを形成するように復元し、再形成された2本鎖から、S1ヌクレアーゼでの処理により1本鎖タンパク質を除去し、得られたフラグメントライブラリを発現ベクターに結紮する。この方法により、発現ライブラリーは、種々の大きさPTSタンパク質のN末端、C末端および内部フラグメントをコードする発現ライブラリーが得られる。
点変異または切断により得られた組合わせライブラリの遺伝子産物をスクリーニングし、所定の性質を有する遺伝子産物のcDNAライブラリのスクリーニングを行うための複数の技術が公知である。この様な技術はPTS相同体の組合わせ変異生成により得られた遺伝子ライブラリの迅速なスクリーニングに用いられる。この最も広く用いられている方法は、大きな遺伝子ライブラリのスクリーニングを行うための高速処理分析に用いられる。この方法では、一般に、遺伝子ライブラリを複製可能な発現ベクターにクローニングし、適当な細胞を形質転換してベクターのライブラリーを得、所望の機能の検出により遺伝子をコードするベクターが単離され、遺伝子からの産物が検出される条件下で、組換え遺伝子を発現させる。ライブラリにおける帰納的変異体の発生率を向上させる新しい技術、すなわち帰納的集合変異生成(REM: recursive ensemble mutagenesis)を、PTS相同体を同定するためのスクリーニング法と組み合わせて用いることができる(Arkin、Yourvan共著 (1992) PNAS 89: 7811-7815、Delgrave等著、(1993) Protein Engineering 6(3): 327-331)。
他の実施の形態では、細胞を基準とする分析が行われ、公知方法を用いて異形PTSライブラリを分析することができる。
D.本発明の方法および使用法
本明細書に記載されている核酸分子、タンパク質、タンパク質相同体、相同タンパク質、プライマー、ベクター、および宿主細胞は、以下温1種類以上の方法により用いられる。すなわち、C.グルタミカムおよび関連する生物の同定(認識)、C.グルタミカムに関連する生物のマップ作成、所望のC.グルタミカムの同定および存在位置の確認、進化の研究、機能を得るために必要なPTSタンパク質領域の決定、PTSタンパク質活性の調節、PTS経路の活性調整、所望の化合物、例えばファインケミカルの細胞による産生の調節において用いられる。
本発明のPTS核酸分子は種々の用途を有する。まず、同分子はコリネバクテリウム−グルタミカムまたはこれに密接に関連する生物を同定するために使用される。更に、PTS核酸分子は、微生物の混合個体群におけるC.グルタミカムまたはこれに密接に関連する生物の存在を認識するために使用される。更に、本発明は、微生物の単独種類の個体群または混合個体群の培養体中の抽出されたゲノムDNAを、緊縮条件下で、C.グルタミカム遺伝子特有の領域をスパニングするプローブを用いて調べることにより、この生物の存在を確認する。
コリネバクテリウム−グルタミカム自体には病原性はないが、コリネバクテリウム−ジフテリア等の病原性種に関連を有する。コリネバクテリウム−ジフテリアはジフテリアの原因物質であり、急速に成長し、局所的および全身性病状の双方に関連する急性かつ熱性の感染を起こす。この疾病では、局所的障害が上部気道におよび壊死性損傷を内皮細胞まで到達させ、桿菌がトキシンを分泌し、障害が体の遠位の敏感な組織まで広がる。これらの組織、例えば心臓、筋肉、末梢神経、副腎、腎臓、肝臓および脾臓におけるタンパク質合成の阻害により変形性変化が生じ、この結果、疾病の全身性病状が示されるようになる。世界の多くの地域、例えばアフリカ、アジア、東ヨーロッパおよび旧ソビエト連邦から独立した国々において、ジフテリアは高発生率を示している。最後に挙げた2つの地域で続くジフテリアの流行により、1990年以来5000人の死亡者が出る結果となった。
一実施の形態において、本発明によると、被検体(被検者/患者)におけるコリネバクテリウム−ジフテリアの活性の存在を認識(同定)する方法が提供される。この方法では、本発明の核酸またはアミノ酸配列(例えば配列表の奇数または偶数のSEQ ID NOのヌクレオチド配列)の1種類以上の活性の存在を被検体より検出し、これによりコリネバクテリウム−ジフテリアの存在または活性を検出する。C.グルタミカムとC.ジフテリアとは関連するバクテリアであり、C.グルタミカムの核酸およびタンパク質分子の多くがC.ジフテリアの核酸およびタンパク質分子と相同であるため、この方法は被検体C.ジフテリアの検出にも使用可能である。
本発明の核酸およびタンパク質分子は、ゲノムの特定領域のマーカーとしての役割も果たす。これはゲノム地図作製のみならず、C.グルタミカムタンパク質の機能に関する研究にも利用される。例えば、特定のC.グルタミカムDNA−結合タンパク質が結合するゲノムの領域を同定するために、C.グルタミカムゲノムを消化することが可能であるが、フラグメントはDNA−結合タンパク質とインキュベートされる。タンパク質と結合する領域を、本発明の核酸に好ましくは検出が容易なラベルを付けたものを用いて詳細に調べることも可能であり、この様な核酸の遺伝子フラグメントに対する結合により、C.グルタミカムのゲノム地図におけるフラグメントの位置特定が可能となり、更に種々の酵素により複数回試行すれば、タンパク質が結合している核酸配列が迅速に決定される。更に、本発明の核酸分子は、関連種の配列に十分な相同性を有するため、関連するバクテリア、例えばブレビバクテリウム−ラクトフェルメンタム(Brevibacterium lactofermentum)におけるゲノムマップ構造のマーカーとして作用する。
本発明のPTSタンパク質分子は進化論的およびタンパク質構造学においても有用である。本発明の分子が関連する糖取り込みの系は、本発明の核酸分子の配列を他の生物から得られた同様の酵素をコードする分子の配列と比較し、この生物の進化上の関連性を評価することにより種々のバクテリアで使用される。同様に、この様な比較により、配列のどの部分が変換され、どの部分が変換されないかの評価が可能となり、酵素の機能に重要なタンパク質領域の特定に利用される。この様な特定方法は、タンパク質工学において重要であり、機能を失なわずに変異を行うタンパク質の変異生成では、何に対する耐性が得られるかの指標となる。
本発明のPTS核酸分子を操作することにより、野生型PTSタンパク質とは異なる機能を有するPTSタンパク質が産生される。これらのタンパク質の効率または活性を向上させることができ、細胞中に通常よりも多数のタンパク質を存在させることが可能である。或いはこれらのタンパク質の効率または活性を低下させることもできる。
本発明は、PTSタンパク質の活性を、このタンパク質自体、基質またはPTSタンパク質の結合対象との相互作用か、または本発明のPTS核酸分子の転写または翻訳の調節による分子のスクリーニング方法を提供する。この方法では、本発明の1種類以上のPTSタンパク質を発現する微生物を1種類以上の被検化合物と接触させ、各被検化合物の、PTSタンパク質の活性または発現水準についての効果を評価する。
本発明のPTS分子を修飾して、1種類以上のファインケミカルの収率、生産、および/または製造効率を向上させることができる。例えば、グルコースの取り込みに関わるPTSタンパク質を、活性が最適化されるように調節することにより、グルコース取り込みの量や、グルコースが細胞内に導入される速度を増大させることができる。細胞内のグルコースや他の糖類の分解により、エネルギー的に不利な生化学反応、例えばファインケミカルの生合成に関連する生化学反応の推進に使用可能なエネルギーが提供される。この分解により、所定のファインケミカル、例えばアミノ酸、ビタミンおよび補助因子の生合成に必要な中間体および前駆体も提供される。本発明のPTS分子の修飾を通して細胞内の高エネルギー炭素分子の量を増大させることにより、1種類以上のファインケミカルの製造に必要な代謝経路を稼働可能にするエネルギーと、この製造に必要な代謝産物の細胞内プールの双方が増大可能となる。酵素、補助因子または中間体として用いられる所望のファインケミカル製造のための経路が存在するが、これと競争的な代謝経路にのみ用いられる化合物が糖の分解産物に含まれる。この糖の導入を低下させることにより、この経路を下方調節すると、所望の生合成経路による生産が通常は向上する。
更に、本発明のPTS分子は、C.グルタミカムからの1種類以上のファインケミカルの収率および/または製造速度に影響を与えうる細胞内情報伝達に管連する。例えば、細胞外媒体(例えばHPr、酵素I、または酵素II複合体のメンバー)から1種類以上の糖類を導入するために必要なタンパク質を、細胞内に必要な量の糖が存在する場合に、多くの場合は翻訳後に修飾し、糖の導入ができないようにする。例えば、この例はE.coliに見られ、フルクトース1,6−ビスリン酸の細胞内レベルを向上させることにより、セリン−46上でHPrのリン酸化が生じ、輸送系を閉塞する糖の細胞内レベルが細胞の正常な機能を維持するために十分である場合には、所望のファインケミカルの過剰生産を制限してもよい。従って、本発明のPTSタンパク質を修飾して、この様な負の調節を行わないようにすることが望ましい。これにより1種類以上の糖の細胞内濃度が上昇し、更に、このような変異PTSタンパク質を含む生物から1種類以上のファインケミカルを更に効率的に、または更に大量に得ることが可能となる。
所望の化合物の収率を増大させるPTSタンパク質の変異生成は、上述の事項に限定されるものではなく、これらの変異生成法が変形可能であることは当業者には明白である。これらのメカニズムにより、本発明の核酸およびタンパク質分子を、変異PTS核酸およびタンパク質分子を発現するC.グルタミカムまたは関連バクテリア株を製造し、所望の化合物の収率、製造および/または製造効率を向上させてもよい。この場合の所望の化合物の例には、C.グルタミカムの天然産物であってもよく、その例には生合成経路の最終産物、天然発生代謝経路の中間産物、およびC.グルタミカムの代謝において天然には発生せず、本発明のC.グルタミカム株により製造される分子が含まれる。
以下に本発明の実施例を記載するが、本発明はこれらに限定されるものではない。本明細書に記載の参考文献、特許出願、特許、特許公報、表および配列表は、参考のため本明細書に組みこまれているものである。
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実施例1:コリネバクテリウム−グルタミカム ATCC13032の全ゲノムDNAの製造
コリネバクテリウム−グルタミカム (ATCC13032)の培養は、激しい振とう下のBHI媒体(Difco)中で、30℃で終夜行なわれた。細胞を遠心分離により回収し、上澄みを捨て、細胞を5mlの緩衝液I(最初の培養体容積の5%−全容積は培養体容積100%に対する計算値として示す)に再懸濁した。緩衝液Iの組成は、140.34g/lのショ糖、2.46g/lのMgSO4x7H2O、10ml/lのKH2PO4溶液(100g/l、KOHでpH6.7に調整)、50ml/lのM12濃縮物(10g/lの(NH42SO4、1g/lのNaCl、2g/lのMgSO4x7H2O、0.2g/lのCaCl2、0.5g/lの酵母抽出物(Difco)、10ml/lの微量元素ミックス(200mg/lのFeSO4xH2O、10mg/lのZnSO4x7H2O、3mg/lのMnCl2x4H2O、30mg/lのH3BO3、20mg/lのCoCl2x6H2O、1mg/lのNiCl2x6H2O、3mg/lのNa2MoO4x2H2O、500mg/lの錯化剤(EDTAまたはクエン酸)、100ml/lのビタミン−ミックス(0.2mg/lのビオチン、0.2mg/lの葉酸、20mg/lのp−アミノ安息香酸、20mg/lのリボフラビン、40mg/lのパントテン酸カルシウム、140mg/lのニコチン酸、40mg/lの塩酸ピリドキソール、200mg/lのミオ−イノシトール)である。リゾチームを添加して懸濁液の最終濃度を2.5mg/mlとした。約4時間、37℃での培養の後、細胞壁を劣化させて得られたプロトプラストを遠心分離によって回収した。ペレットを5mlの緩衝液Iで一度、5mlのTE緩衝液(10mMのトリスHCl、1mMのEDTA、pH8)で一度洗浄した。ペレットを4mlのTE緩衝液に再懸濁し、0.5mlのSDS溶液(10%)と0.5mlのNaCl溶液(5M)を加えた。プロティナーゼKを最終濃度200μg/mlになるまで加えた後、懸濁液を37℃で約18時間培養した。DNAを標準的な操作で、フェノール、フェノール−クロロホルム−イソアミルアルコールおよびクロロホルム−イソアミルアルコールによる抽出により精製した。次いで、DNAを1/50容量の3M酢酸ナトリウムおよび2容量のエタノールを加えて沈殿させ、次いで−20℃で30分間インキュベートし、SS34ローター(Sorvall)を使用した高速遠心分離機中、12000rpmで遠心分離を30分間行なった。DNAを20μg/mlのRNaseAを含む1mlのTE緩衝液に溶解し、4℃で、少なくとも3時間、1000mlのTE緩衝液に対して透析した。この間、緩衝液を3度交換した。透析したDNA溶液の0.4mlの部分に、0.4mlの2M LiClと0.8mlのエタノールを加えた。−20℃で30分間インキュベートした後、遠心分離(13000rpm、Biofuge Fresco,Heraeus,Hanau,ドイツ)によりDNAを回収した。DNAペレットをTE緩衝液に溶解した。この操作により製造されたDNAは、サザンブロット法またはゲノムライブラリーの構築等のすべての目的に使用することができた。
実施例2:コリネバクテリウム−グルタミカム ATCC13032のEscherichia Coliにおけるゲノムライブラリーの構築
実施例1に記載したように製造されたDNAを用い、公知の確立された方法によりコスミッドおよびプラスミドライブラリーを構築した(例えば、Sambrook,Jら、(1989)'Molecular Cloning:A Laboratory Manual', Cold Spring Harbor Laboratory PressまたはAusubel,F.Mら(1994) 'Current Protocols in Molecular Biology', John Wiley and Sons.を参照)。
全てのプラスミドまたはコスミッドが使用可能であった。特に、プラスミドpBR322(Sutcliffe, J.G.(1979) Proc.Natl.Acad.Sci.USA,75:3737-3741);pACYC177 (Change 、Cohen共著、(1978) J.Bacteriol 134:1141-1156),pBSの系列のプラスミド(pBSSK+,pBSSK-およびその他;Stratagene LaJolla,USA),またはSuperCos1(Stratagene LaJolla,USA)、Lorist6(Gibson,T.J.,Rosenthal A.およびWaterson,R.H.(1987) Gene 53:283-286)のコスミッドが好ましく使用された。特に、C.グルタミカム用の遺伝子ジーンライブラリーは、プラスミドpSL109(Lee,H.S.およびA.J.Sinskey著、(1994) J.Microbiol.Biotechnol.4:256-263)を用いて構築することができる。
実施例3:DNAシーケンスとコンピューターによる機能解析
実施例2に記載されたゲノムライブラリーを標準的な方法、特にABI377シーケンスマシーンを用いた鎖成長停止反応法(例えばFleischman,R.D.ら(1995)'Whole-genome Random Sequencing and Assembly of Haemophilus Influenzae Rd.',Science, 269:496-512参照)によるDNAシーケンスに使用した。以下のヌクレオチド配列のシーケンスプライマーが使用された:5'-GGAAACAGTATGACCATG-3'(SEQ ID NO:1157)または5'-GTAAAACGACGGCCAGT-3'(SEQ ID NO:1158)。
実施例4:生体内突然変異誘発
コリネバクテリウム−グルタミカムの生体内突然変異誘発は、E.coliまたは他の微生物(例えばBacillus spp.またはSaccharomyces cerevisiaeなどの酵母)であってその遺伝子情報の完全性を保つための能力が減じられているものを通して、プラスミド(または他のベクター)の通過により行なうことができる。典型的なミューテーター株は、DNA修復システム(例えばmutHLS,mutD,mutTその他;Rupp,W.D.著、(1996) DNA repair mechanisms、Escherichia coli and Salmonellaにおける論考、p2277-2294, ASM: Washington参照)の遺伝子に変異を有する。このような株は当業者に公知であり、このような株の使用は、例えばGreener,A.およびCallahan,M.著、(1994) Strategies 7:32-34に記載されている。
実施例5:Escherichia coliおよびコリネバクテリウム−グルタミカムの間のDNA転移
数種類のコリネバクテリウムとブレビバクテリウム種は自律的に複製する(例えば、Martin, J.F.ら、(1987) Biotechnology, 5:137-146参照)内因性プラスミド(例えばpHM1519またはpBL1)を含む。Escherichia coliとコリネバクテウム−グルタミカムのシャトルベクターは、E.coliの標準ベクター(Sambrook,J.等著、(1989),'Molecular Cloning:A Laboratory Manual',Cold Spring Harbor Laboratory PressまたはAusubel,F.M.等著、(1994)'Current Protocols in Molecular Biology', John Wiley and Sons)を用いて、これに、コリネバクテリウム−グルタミカムの複製の開始点および適当なコリネバクテリウム−グルタミカム由来のマーカーを加えることで容易に構築することができる。このような複製の開始点は、好ましくはコリネバクテリウムとブレビバクテリウム種から単離された内因性プラスミドからもたらされる。これらの種の形質転換マーカーとして、カナマイシン耐性の遺伝子(Tn5またはTn903トランスポゾンから誘導されたもの)またはクロラムフェニコール耐性遺伝子(Winnacker, E. L.等著、(1987)'From Genes to Clones-Introduction to Gene Technology, VCH, Weinheim)が特に好ましく用いられる。E.coli とC.グルタミカムの双方において複製を行う種々のシャトルベクター構築についての文献には多くの例が示されており、これを遺伝子過剰発現を含む数種類の目的に使用することができる(例えば、Yoshihama,M.等著、(1985) J.Bacteriol.162:591-597, Martin,J.F.等著、(1987) Biotechnology, 5:137-146およびEikmanns, B. J.等著、(1991) Gene, 102:93-98参照)。
標準的な方法を用いて、上述のように対象遺伝子をシャトルベクターの一つヘクローンすることが可能であり、またこのようなハイブリッドベクターをコリネバクテリウム−グルタミカム株に導入することが可能である。C.グルタミカムの形質転換を、プロトプラスト形質転換(Kastsumata,R.等著、(1984) J. Bacteriol. 159306-311)、エレクトロポレーション(Liebl,E.等著、(1989) FEMS Microbiol.Letters, 53:399-303)により行うことが可能であり、特別のベクターが用いられた場合には、抱合(conjugation)(例えば Schaefer, A 著、(1990)J.Bacteriol.172:1663-1666に記載)によって行われる。C.グルタミカムからのプラスミドDNAを製造(公知の標準的な方法を使用)し、これをE.Coli用に形質転換することにより、C.グルタミカム用のシャトルベクターをE.coliに導入することも可能である。この形質転換工程は、標準的な方法を用いて行なうことができるが、Mcr−欠乏E.coli株、例えばNM522(Gough、Murray共著、(1983)J. Mol. Biol. 166:1-19)に対して使用することが有利である。
pCG1(米国特許第4617267号明細書)またはそのフラグメント、および場合によりTN903由来のカナマイシン耐性遺伝子(Grindley, N. D.、Joyce, C. M.共著, (1980) Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77(12):7176-7180)を含むプラスミドを用いて、遺伝子をC.グルタミカム株中に過剰発現させることが可能である。更に、プラスミドpSL109(Lee,H.S 、A.J.Sinskey共著、(1994) J. Microbiol Biotechnol. 4:256-263)を用いてC.グルタミカム株中に遺伝子を過剰発現することもできる。
複製プラスミドとは別に、ゲノムへの組み込みによって遺伝子の過剰発現を行うこともできる。C.グルタミカムまたは他のコリネバクテリウムまたはブレビバクテリウム種における遺伝子組み込みは、公知方法、例えばゲノム領域での相同的組換え、制限エンドヌクレアーゼ仲介の組み込み(REMI)(例えばドイツ特許第19823834号公報)またはトランスポゾンの使用などによって行うことができる。調節領域(例えば、プロモーター、レプレッサー、および/またはエンハンサー)を配列の修飾、挿入、部位特異的法(例えば相同的組換え)による欠失、またはランダムな転移に基づく方法(例えばトランスポゾン突然変異誘発またはREMI)により修飾し、対象(標的)遺伝子の活性を変化させることもできる。転写ターミネーターとして機能する核酸配列は、本発明の1種類遺伝子のコード領域へ3’挿入されることもできる。このようなターミネーターは、公知であり、例えばWinnacker, E.L. 著、(1987) From Genes to Clones-Introduction to Gene Technology. VCH: Weinheimに記載されている。
実施例6:変異タンパクの発現の評価
形質転換された宿主細胞中の変異タンパクの活性は、変異タンパクが、野生種のタンパクと類似した形態と類似した量で発現されるという事実に基づいて観察される。変異遺伝子(翻訳に用いられる所定量のmRNAの遺伝子産物に対する指標)の転写のレベルを確認するための有用な方法として、ノーザン・ブロット法(Ausubel等、(1988) Current Protocols in Molecular Biology, Wiley: New York参照)が使用され、標的遺伝子に結合するように設計されたプライマーが、検出タグ(通常放射性または化学ルミネセンス)により標識され、これによりこの微生物培養体の全RNAを抽出し、ゲル上で流動させ、安定なマトリックスに移動させ、このプローブでインキュベートする。プローブの結合および結合の量が、この遺伝子に対するmRNAの存在とその量を示す。得られた情報は、変異遺伝子の転写の度合いを示す証拠となる。全細胞のRNAは、数種類の公知の方法、例えば、Bormann, E.R.等著 (1992) Mol. Microbiol. 6:317-326に記載された方法により、コリネバクテリウム−グルタミカムから製造することができる。
このmRNAから翻訳されたタンパクの存在と相対量を評価するために、ウェスタン・ブロッド法などの標準的な技術が用いられる(例えばAusubel等著、(1988) Current Protocols in Molecular Biology, Wiley: New York参照)。この方法では、全部の細胞のタンパク質が抽出され、ゲル電気泳動により分離され、ニトロセルロースのようなマトリックスに移され、設計されたタンパク質に特異的に結合する抗体などのプローブとともにインキュベートした。このプローブは、一般に容易に検出可能な化学発光ラベルまたは比色分析用ラベルでタグがつけられている。観察されたラベルの存在と量により、細胞中の所望の変異タンパク質の存在と量が示される。
実施例7:遺伝子的に修飾されたコリネバクテリウム−グルタミカムの成長−培地および培養条件
遺伝子的に修飾されたコリネバクテリウムを、合成培地または天然に得られた培地される。コリネバクテリア用の多数種類の成長媒体が公知であり、市販されている(Lieb等著(1989) Appl. Microbiol. Biotechnol., 32:205-210; von der Osten等著、(1998) Biotechnology Letters, 11:11-16; ドイツ特許第4,120,867号公報、 Liebl著、 (1992) “The Genus Corynebacterium” The Procaryotesにおける論考、第II巻、Balows, A.等編、Spring-Verlag)。これらの培地は、一種以上の炭素源、窒素源、無機塩、ビタミンおよび微量元素からなる。好ましい炭素源は、モノ−、ジ−またはポリサッカライドなどの砂糖である。例えば、グルコース、フルクトース、マンノース、ガラクトース、リボース、ソルボース、リブロース、ラクトース、マルトース、スクロース、ラフィノース、デンプンまたはセルロースが非常によい炭素源として作用する。糖蜜または他の砂糖精製の副生成物のような複合化合物によって媒体に砂糖を供給することも可能である。異なった炭素源の混合物を供給することも有利である。他の可能な炭素源は、メタノール、エタノール、酢酸、乳酸などのアルコールおよび有機酸である。窒素源は通常有機または無機の窒素化合物か、またはこれらの化合物を含む材料である。窒素源として例えば、アンモニアガス、アンモニウム塩(例えばNH4Clまたは(NH42SO4)、NH4OH、硝酸塩、尿素、アミノ酸、複合窒素源、例えばトウモロコシ浸漬酒(コーンスティープリカー)、大豆粉、大豆タンパク質、酵母抽出物、肉抽出物などが含まれる。
培地に含まれる無機塩化合物は、塩化物としての、またはリン酸、硫酸のカルシウム塩、マグネシウム塩、ナトリウム塩、コバルト塩、モリブデン塩、カリウム塩、マグネシウム塩、亜鉛塩、銅塩、鉄塩を含む。金属イオンを溶液中に保持するために培地にキレート化合物を加えてもよい。特に有用なキレート化合物は、カテコールやプロトカテキュエートなどのジヒドロキシフェノール、またはクエン酸などの有機酸を含む。ビタミンなどの成長因子または成長促進剤、例えばビオチン、リボフラビン、チアミン、葉酸、ニコチン酸、パントテン酸塩、ピリドキシンなどを含む媒体が典型的である。成長因子および塩類はしばしば酵母抽出物、糖蜜、コーンスティープリカーなどの複合培地成分に由来する。培地化合物の正確な組成は、直接の実験に強く依存し、各々の特定の場合に個々に決定される。培地の最適化に関する情報は、テキストブックApplied Microbiol. Physiology, A Practical Approach (P.M. Rhodes, P.F. Stanbury編、IRL Press (1997) pp.53-73, ISBN 019 963577 3) にに記載されている。成長媒体を市販品、例えば標準1(Merck)またはBHI(grain heart infusion, DIFCO)などから選定することも可能である。
すべての培地成分は、加熱(1.5×105Pa、121℃で20分間)またはろ過殺菌法のいずれかにより殺菌される。成分は、一緒に、または所望により分割して殺菌することができる。すべての培地成分を成長開始時に存在させてもよいが、場合に応じて連続的にまたはバッチ式に加えてもよい。
培養条件は各々の実験に応じて決定される。温度は、15℃から45℃の範囲とされる。温度は一定に保っても、実験中に変更してもよい。媒体のpHは、5から8.5、好ましくは7.0前後の範囲とされ、媒体に緩衝液を添加することで一定に保つことができる。この目的のための緩衝液の例は、リン酸カリウム緩衝液である。MOPS, HEPES, ACES等の合成緩衝液等のいずれかを使用しても、これらを同時に使用してもよい。成長の間にNaOHまたはNH4OHを添加することより一定の培養pHを保つことも可能である。酵母抽出物などの複合培地成分が使用される場合には、これらの多種複合成分には高い緩衝能力があるため、更に緩衝液を用いる必要がないこともある。微生物の培養に発酵槽を使用する場合、pHはアンモニアガスにより制御することもできる。
インキュベート時間は通常数時間から数日の範囲である。この時間は、培養液中にできるだけ大量の産物が蓄積されるように選択される。この成長実験は、種々の容器、例えばミクロタイター板、ガラス管、ガラスフラスコ、または種々のサイズのガラスまたは金属発酵槽等の中で行なうことができる。多数のクローンのスクリーニングのためには、微生物をミクロタイター板、ガラス管、振とうフラスコ中、場合によりバッフル付きとして培養が行われる。好ましくは100mlの振とうフラスコを使用し、これに10容量%の所望の成長媒体を装填する。フラスコを100から300rpmの速さの範囲を使用して、ロータリーシェーカー(ふり幅25mm)で振とうする。蒸発ロスは湿潤雰囲気中に保つことによって少なくすることができる。或いは、蒸発ロスの数学的補正を行ってもよい。
遺伝子的に修飾されたクローンを試験した場合、修飾されていないコントロールのクローンまたはいかなる挿入もなされていない基本的なプラスミドを含む対照クローンの試験も行う。寒天平板上、例えば予め30℃でインキュベートしたCMプレート(10g/lのグルコース、2.5g/lのNaCl、2g/lの尿素、10g/lのポリペプトン、5g/lの酵母抽出物、5g/lの肉抽出物、22g/lの寒天、pHは2M NaOHにより6.8に調整)上で成長させた細胞を用いて、媒体を0.5−1.5のOD600まで接種する。CMプレートからのC.グルタミカム細胞の塩水性懸濁液の導入、またはこのバクテリアの前培養液の添加のいずれかにより媒体の接種が行われる。
実施例8:変異タンパク質の機能のインビトロ解析
酵素の活性と運動パラメーターの測定は、の分野において確立されたものである。改変された酵素の活性測定のための実験は、当業者の能力に応じ、野生種酵素の特異的活性にあわせて調節した上で行なわれなければならない。通常の酵素についての概要、および多くの酵素活性の測定の構成、反応形態、原理、方法、使用法および例は以下の文献に記載されている。Dixon, M., および Webb, E.C.等、(1979) Enzymes. Longmans: London; Fersht, (1985) Enzyme Structure and Mechanism. Freeman: New York; Walsh, (1979) Enzymatic Reaction Mechanisms. Freeman: San Francisco; Price, N.C., Stevens, L.著、(1982) Fundamentals of Enzymology. Oxford Univ. Press:Oxford; Boyer, P.D.編、(1983) The Enzymes, 第3版、Academic Press: New York; Bisswanger, H.著、 (1994) Enzymkinetic, 第2版、VCH: Weinheim (ISBN 3527300325), Bergmeyer, H.U., Bergmeyer, J., Grassl, M.編、(1983-1986) Methods of Enzymatic Analysis, 第3版、第I-XII巻、Verlag Chemie: Weinheim; およびUllmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry (1987) 第A9巻、'Enzymes'. VCH: Weinheim, p. 352-363。
DNAと結合するタンパク質の活性は、数種のよく確立された方法、例えばDNAバンド−シフトアッセイ(ゲル遅延アッセイとも呼ばれる)により測定することができる。他の分子の発現におけるこのようなタンパク質の効果は、レポーター遺伝子アッセイ(例えばKolmar, H.等著、(1995) EMBO J. 14: 3895-3904および引用文献に記載)を用いて測定される。レポーター遺伝子試験系は公知であり、ベータ−ガラクトシダーゼ、緑蛍光性タンパク質およびその他数種の酵素を用いて、原核および真核細胞のどちらに対する適用も確立されている。
膜輸送タンパク質の活性の測定は、例えばGennis, R.B. 著、(1989) 'Pores, Channels and Transporters'、Biomembranes, Molecular Structure and Functionにおける論考、Springer; Heidelberg, p. 85-137; 199-234; および 270-322に記載されたような技術により行なわれる。
実施例9:所望の製造物の製造における変異タンパク質の影響の解析
所望の化合物(例えばアミノ酸)の製造におけるC.グルタミカム遺伝子の修飾の効果は、修飾を受けた微生物を適当な条件(例えば上述の)下で成長させ、所望の産物(即ちアミノ酸)の産生を増大させるために用いられた培地及び/または細胞成分を解析することによって評価することができる。このような解析法は当業者に公知であり、その例には分光法、薄層クロマトグラフィー、種々の染色法、酵素的および微生物学的方法、高速液体クロマトグラフィーのような解析クロマトグラフィーがある(例えばUllman, Encyclopedia of Industrial Chemistry, 第A2巻、p. 89-90 and p. 443-613, VCH: Weinheim (1985); Fallon, A. 等、(1987) 'Applications of HPLC in Biochemistry '(Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biologyにおける論考)、第17巻、Rehm 等、 (1993) Biotechnology, 第3版、III章: 'Product recovery and purification'、469-714頁, VCH: Weinheim; Belter, P.A.等著、(1988) Bioseparations: downstream processing for biotechnology, John Wiley and Sons; Kennedy, J.F. 、Cabral, J.M.S.共著、(1992) Recovery processes for biological materials, John Wiley and Sons; Shaeiwitz, J.A. 、Henry, J.D.共著、(1988) Biochemical separations, (Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistryにおける論考)第B3巻、11章、1-27頁、VCH: Weinheim; およびDechow, F.J.著、(1989) Separation and purification techniques in biotechnology, Noyes Publications参照)。
最終発酵生成物の測定の他に、所望の化合物の生産に使用された代謝経路の他の成分、例えば中間体、副生成物を分析し、生物の総合的な生産性、収率および/または化合物の製造効率を決定することもできる。分析法の例には、媒体中の栄養分(例えば砂糖、炭化水素、窒素源、リン酸(塩)および他のイオン)のレベルの測定、バイオマス組成物と成長の測定、通常の生合成経路の代謝産物の製造の解析、発酵の間に生成したガスの測定が含まれる。これらの測定のための標準的な方法は、Applied Micro Physiology, A Practical Approach, P.M. Rhodes and P.F. Stanbury編、IRL Press, p. 103-129; 131-163; および165-192 (ISBN: 0199635773) および引用文献に概説されている。
実施例10:C.グルタミカム培養体から得られた所望の産物の精製
C.グルタミカム細胞または上述の培養物の上澄みから得られた所望の産物を公知の種々の方法により回収することができる。所望の産物が細胞から分泌さていない場合、細胞を培養物から低速遠心分離により回収し、細胞を機械的力または超音波のような標準的な方法で溶解させてもよい。細胞の破片を遠心分離で取り除き、可溶性タンパク質を含む上澄み画分を所望の化合物を保持して(取り置き)更に精製する。C.グルタミカム細胞から産物が分泌されている場合には、細胞を培養物から低速遠心分離により取り除き、上澄み画分を取り置き、更に精製する。
双方の精製法からの上澄み画分を適当な樹脂を用いたクロマトグラフィーに付す。すなわち、所望の分子はクロマトグラフィー樹脂に保持されるが、サンプル中の多くの不純物は保持されないか、または不純物が樹脂により保持されるが、サンプルが保持されないような樹脂を用いたクロマトグラフィーで処理する。このようなクロマトグラフィーの工程は、必要に応じて、同じまたは異なるクロマトグラフィー樹脂を用いて繰り返すことができる。当業者により、適当なクロマトグラフィー樹脂と、精製対象の特定分子に対する最も効率的な操作が選択される。精製された製造物はろ過または限外ろ過により濃縮し、製造物の安定性が最も大きくなる温度で保存することができる。
種々の精製法が公知であり、上記精製法の使用に限定されない。このような精製法が、例えば Bailey, J.E. & Ollis, D.F. 著、Biochemical Engineering Fundamentals, McGraw-Hill: New York (1986)に記載されている。
単離した化合物の同一性と純度が、当業者に一般的に用いられる方法で評価される。これらは、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、分光学的方法、染色法、薄層クロマトグラフィー、NIRS、酵素的または微生物学的アッセイを含む。このような解析方法は、Petek 等、(1994) Appl. Environ. Microbiol. 60: 133-140; Malakhova 等、(1996) Biotekhnologiya 11: 27-32; および Schmidt等、(1988) Bioprocess Engineer. 19: 67-70. Ulmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry, (1996) 第A27巻、VCH: Weinheim, p. 89-90, p. 521-540, p.540-547, p. 559-566, 575-581 およびp. 581-587; Michal, G. (1999) Biochemical Pathways: An Atlas of Biochemistry and Molecular Biology, John Wiley and Sons; Fallon, A. 等、 (1987) Applications of HPLC in Biochemistry (Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biologyにおける論考)第17巻に記載されている。
実施例11:本発明の遺伝子配列の解析
2種の配列の間の配列の比較と相同性の割合の測定は、公知の技術であり、数学的アルゴリズム、例えばKarlinとAltschulのアルゴリズム((1990) Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 87: 2264-68)をKarlin and Altschul (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90: 5873-77に記載のように変形されたものなどを使用して行なうことができる。このようなアルゴリズムは、Altschul等、(1990) J. Mol. Biol. 215: 403-10のNBLASTおよびXBLASTプログラム(バージョン2.0)に組みこまれている。BLASTヌクレオチド探索は、NBLASTプログラム、スコア=100、語長=12により行われ、これにより本発明のPTS核酸分子に対するヌクレオチド配列の相同性が得られる。BLASTタンパク質探索は、XBLASTプログラム、スコア=50、語長=3によって行われ、本発明のPTSタンパク質分子に対するアミノ酸配列の相同性が得られる。比較のためのギャップを有するアライメントを得るために、ギャップドBLASTをAltschul等、(1997) Nucleic Acids Res. 25(17):3389-3402に記載のように使用することが可能である。BLASTおよびギャップドBLASTプログラムの使用に際して、当業者に公知の方法でプログラム(例えばXBLASTおよびNBLAST)のパラメーターを最適化し、分析対象の特定の配列を分析することができる。
配列を比較するために使用される数学的アルゴリズムの他の例は、Meyers とMiller ((1988) Comput. Appln. Biosci. 4: 11-17)のアルゴリズムである。このようなアルゴリズムは、GCGシーケンスアライメントソフトウェアパッケージの一部であるALIGNプログラム(バージョン2.0)に組み入れられている。ALIGNプログラムを用いてアミノ酸配列を比較する場合、PAM120重量残渣表、12のギャップ長ペナルティー、4のギャップペナルティーを使用することができる。さらに配列解析に使用されるアルゴリズムが公知であり、ADVANCEおよびADAM(Torelli、Robotti、(1994) Comput. Appl. Biosci. 10:3-5に記載)および FASTA( Pearson、Lipman、 (1988) P.N.A.S. 85:2444-8に記載)がその例として挙げられる。
2本のアミノ酸配列の間の相同性の割合は、GCGソフトウェアパッケージ中のGAPプログラム(http://www.gcg.comで入手可能)を用い、Blosum62マトリックスまたはPAM250マトリックスのいずれか、12、10、8、6、または4のギャップ重さ、2、3または4の長さ質量を用いて行なうことができる。2本の核酸配列の間の相同性の割合は、標準的なパラメーター、例えばギャップ質量が50、および長さ質量が3などを用いて、GCGソフトウェアパッケージ中のGAPプログラムを用いて測定することができる。
本発明の遺伝子配列と、遺伝子バンクに存在する配列の比較解析を、当業者に公知の技術を用いて行った(例えばBexevanis 、Ouellette編、(1998) Bioinformatics: A Practical Guide to the Analysis of Genes and Proteins. John Wiley and Sons: New York参照)。本発明の遺伝子配列と、遺伝子バンクに存在する遺伝子との、3段階の工程による比較を行った。第一工程で、遺伝子バンクに存在するヌクレオチド配列に対する本発明の配列の各々について、BLASTN解析(例えばローカルアライメント解析)を行なった。最初にヒットした500個についてさらに解析を続けた。次いでFASTA探索(例えば、結合されたローカルおよびグローバルアライメント解析で、配列の限定された領域を整列させる)が、これらの500個について行われた。次いで、FASTAの初めの3個のヒットの各々に対して本発明の各遺伝子配列を、GCGソフトウェアパッケージ中のGAPプログラムを用いて(標準的なパラメーターを使用)全体的に配列した。正しい結果を得るために、遺伝子バンクから抽出された配列の長さを、公知の方法により所定の配列の長さに調整した。この分析結果を表4に示す。得られた結果は、遺伝子バンクの参照の各々と比較した本発明の遺伝子の各々においてGAP(グローバル)解析を単独で行なったときに得られるであろう結果と一致したが、このようなデータベース全体にわたるGAP(グローバル)解析と比較して明らかに計算時間が短縮された。切り捨て値を上回るアライメントが得られなかった本発明の配列を、アライメントの情報は記載せず、表4に示した。表4に、「%相同性(GAP)」の見出しで記載されたGAPアライメント相同性割合は、ヨーロッパ式の数値の示しかたにより記載されており、「,」は小数点を表すものである。例えば、このカラム中の「40,345」の値は、40.345%を表す。
実施例12:DNAマイクロアレイの構築と操作
本発明の配列を、更にDNAマイクロアレイ(設計、方法論、DNAアレイの使用は公知であり、例えばSchena, M.等、(1995) Science 270: 467-470; Wodicka, L.等著、(1997) Nature Biotechnology 15:1359-1367; DeSaizieu, A. 等、 (1998) Nature Biotechnology 16: 45-48; およびDeRisi, J.L. 等著、(1997) Science 278: 680-686に記載)の構築と適用に使用することができる。
DNAマイクロアレイは、ニトロセルロース、ナイロン、ガラス、シリコーンまたは他の材料からなる固体または柔軟性のある基体(支持媒体)である。核酸分子を、所望の方法で表面に取り付けることができる。適当な標識を行った後、他の核酸または核酸混合物を固定化した核酸分子にハイブリダイズしてもよく、所定領域でハイブリダイズされた分子の個々の信号強度を監視し、測定するためにこのラベルを使用することができる。この方法論により、使用した核酸サンプルまたは混合物における全てあるいは一部の選択された核酸の相対量または絶対量を同時に定量化することが可能となる。このためDNAマイクロアレイでは、並行して多数の(6800以上)核酸の発現を解析することができる(Schena, M.著、(1996) BioEssays 18(5): 427-431参照)。
本発明の配列は、ポリメラーゼ連鎖反応のような核酸増幅反応によって、1種以上のC.グルタミカム遺伝子の所定領域を増幅することができるオリゴヌクレオチドプライマーの設計に使用することができる。5’または3’オリゴヌクレオチドプライマーあるいは適当なリンカーの選択と設計により、上述の支持媒体(例えばSchena, M. et al. (1995) Science 270: 467-470にも記載されている。)の表面に対する、PCR産物の共有結合を可能とする。
核酸マイクロアレイは、Wodicka,L.等、(1997) Nature Biotechnology 15:1359-1367に記載されたようにオリゴヌクレオチドの現場(in situ)合成によっても構築することができる。写真平板法により、マトリックスの正確に劃定された領域が露光される。光不安定な保護基はこれによって活性化され、ヌクレオチド付加が進行し、一方、光からマスクされた領域ではいかなる修飾も進行しない。これに次ぐ保護と光活性化のサイクルは、特定位置における種々のオリゴヌクレオチドの合成を可能とする。小さく限定された本発明の遺伝子の領域は、マイクロアレイ上で、固相オリゴヌクレオチド合成により合成することができる。
ヌクレオチドのサンプルまたは混合物の中に存在する本発明の核酸分子は、マイクロアレイに対してハイブリダイズすることができる。これらの核酸分子は標準的な方法でラベルすることができる。要するに、核酸分子(例えば、mRNA分子またはDNA分子)は、例えば、逆転写またはDNA合成の間、放射性同位元素または蛍光標識を有するヌクレオチドの組み込みによりラベルされる。ラベルされた核酸のマイクロアレイに対するハイブリダイゼーションは、例えば Schena, M. 等、(1995) supra; Wodicka, L.等、(1997), supra; and DeSaizieu A.等、(1998), supraに記載されている。ハイブリダイズされた分子の検出と定量化は、特定の組み込まれたラベルにあわせて調節される。放射性のラベルは例えばSchena, M. 等、(1995) supraに記載されたように検出することができ、蛍光ラベルは例えばShalon等、(1996) Genome Research 6: 639-645の方法により検出することができる。
本発明の配列をDNAマイクロアレイ技術に適用すると、上述したようにC.グルタミカムまたは他のコリネバクテリアの異なった株の比較解析が可能となる。例えば、個々の転写特徴に基づく株内外の変種の研究と遺伝子の同定を行うことは、特異的および/または所望の株の特性、例えば病原性、生産性、およびストレス寛容に関して重要であり、核酸アレイ方法論により促進される。発酵反応の進行の間の、本発明の各遺伝子の発現の特徴を比較することは、核酸アレイ技術を用いることにより可能となる。
実施例13:細胞タンパク質ポピュレーションの動力学的解析(プロテオミクス)
本発明の遺伝子、組成、方法を、タンパク質のポピュレーションの相互作用および動力学(プロテオミクスと定義する)の研究に適用することができる。分析対象のタンパク質ポピュレーションの例には、C.グルタミカムの、全タンパク質ポピュレーション(例えば他の生物のタンパク質ポピュレーションと比較して)、特定の環境または代謝条件下(例えば高温または低温発酵または高pHまたは低いpHでの発酵の間の条件)で活性なタンパク質、または成長および発達の特定の工程において活性なタンパク質の総タンパク質ポピュレーションがある(これらに限定されない)。
タンパク質ポピュレーションは、種々の公知の技術、例えばゲル電気泳動などにより解析することができる。細胞タンパク質は、例えば細胞溶解または抽出により得られ、種々の電気泳動技術を用いて互いに分離することができる。ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)は、タンパク質を主に分子量に基づいて分離する。等電点のポリアクリルアミドゲル電気泳動(IEF−PAGE)は、タンパク質をその等電点(アミノ酸配列のみならずタンパク質の後翻訳修飾も示す)により分離する。他の、さらに好ましいタンパク質解析の方法は、2−D−ゲル電気泳動(例えばHermann 等、(1998) Electrophoresis 19: 3217-3221; Fountoulakis等、(1998) Electrophoresis 19: 1193-1202; Langen等、(1997) Electrophoresis 18: 1184-1192; Antelmann 等、(1997) Electrophoresis 18: 1451-1463に記載されている)として知られるIEF−PAGEとSDS−PAGEの連続する組み合わせである。他の分離技術、例えばキャピラリーゲル電気泳動などもタンパク質の分離に利用することができる。これらの技術は公知である。
これらの方法論により分離されたタンパク質は、標準的な技術、例えば染色またはラベリングにより可視化することができる。適当な染色は公知であり、クーマシーブリリアントブルー、銀染色、蛍光染料、例えばSypro Ruby(Molecular Probes)を含む。C.グルタミカムの培地中に存在する放射性物質によりラベルされたアミノ酸またはその他のタンパク質前駆体(例えば35S−メチオニン、35S−システイン、14C−ラベルされたアミノ酸、15N−アミノ酸、15NO3または15NH4 +または13C−ラベルされたアミノ酸)の含有物を用い、分離前にこれらの細胞から得られるタンパク質をラベルすることが可能となる。同様に、蛍光ラベルを使用することができる。これらのラベルされたタンパク質は、抽出され、単離され、前述した技術に従って分離される。
これらの技術により可視化されたタンパク質についてさらに、使用された染料またはラベルの量を測定することにより分析を行うことができる。得られたタンパク質の量は、定量的に、例えば光学的方法を用いて決定することができ、同様のゲルまたは他のゲル中の他のタンパク質の量と比較することができる。ゲル上のタンパク質の比較は、例えば光学的比較、分光学的、ゲルのイメージスキャンおよび解析、または写真フィルムおよびスクリーンの使用を通じて行なうことができる。このような技術は公知である。
得られたタンパク質を同定するために、直接シーケンスまたは他の標準的な技術を使用することができる。例えば、N−および/またはC末端アミノ酸シーケンス(例えばエドマン分解)を、質量分析(特にMALDIまたはESI技術(例えばLangen等、(1997) Electrophoresis 18: 1184-1192参照))として使用することができる。ここで得られたタンパク質配列は、上記技術を用いたC.グルタミカムタンパク質の同定のために使用することができる。
これらの方法により得られた情報は、種々の生物学的条件(例えば、異なる生物、発酵の時点、培地条件、または種々のビオトープ、その他)により得られた各サンプルの間のタンパク質の存在、活性または修飾のパターンの比較に使用される。このような実験から単独で、または他の技術との組み合わせにより得られたデータは、様々な適用、例えば所定の(例えば代謝的)状況にある種々の生物の挙動を比較するため、ファインケミカルを産出する株の生産性を上昇させるため、またはファインケミカルの製造の効率の上昇のためなどに使用することができる。
[同等物]
本明細書の好ましい実施の形態に対応する多くの同等物が得られることは、通常の実験により、当業者に容易に認識または確認される。このような同等物も本発明の請求の範囲に含まれるものである。

Claims (35)

  1. 配列番号(SEQ ID NO)7に示されたヌクレオチド配列を含む単離された核酸分子またはその相補物。
  2. 配列番号(SEQ ID NO)8に示されたアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする単離された核酸分子またはその相補物。
  3. 配列番号(SEQ ID NO)8に示されたアミノ酸配列を含むポリペプチドの自然に発生する対立性変異体をコードする単離された核酸分子またはその相補物。
  4. 配列番号(SEQ ID NO)7に示されたヌクレオチド配列全体に対し、少なくとも50%の相同性を持つヌクレオチド配列を含む、単離された核酸分子またはその相補物。
  5. 配列番号(SEQ ID NO)7に示されたヌクレオチド配列の少なくとも15個の連続するヌクレオチドフラグメントを含む、単離された核酸分子またはその相補物。
  6. 配列番号(SEQ ID NO)8に示されたアミノ酸配列全体に対し、少なくとも50%の相同性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする単離された核酸分子またはその相補物。
  7. 請求項1から6のいずれかに記載の核酸分子、および異種ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む単離された核酸分子。
  8. 請求項1から7のいずれかに記載の核酸分子を含むベクター。
  9. 発現ベクターである、請求項8に記載のベクター。
  10. 請求項9に記載の発現ベクターによりトランスフェクションされた宿主細胞。
  11. 前記細胞が微生物である請求項10に記載の宿主細胞。
  12. 前記細胞が、コリネバクテリウム属またはブレビバクテリウム属に属する請求項11に記載の宿主細胞。
  13. 前記核酸分子の発現により、前記細胞からのファインケミカルの製造が調節される請求項10に記載の宿主細胞。
  14. ファインケミカルが、有機酸、タンパク原アミノ酸および非タンパク原アミノ酸、プリンおよびピリミジン塩基、ヌクレオシド、ヌクレオチド、脂質、飽和および不飽和の脂肪酸、ジオール、炭水化物、芳香族化合物、ビタミン、補助因子、ポリケチド、および酵素からなる群より選択される請求項13に記載の宿主細胞。
  15. 適当な培地中で請求項10に記載の宿主細胞を培養し、これによりポリペプチドを製造するポリペプチドの製造方法。
  16. 配列番号(SEQ ID NO)8に示されたアミノ酸配列を含む、単離されたポリペプチド。
  17. 配列番号(SEQ ID NO)8に示されたアミノ酸配列を含むポリペプチドの、自然に発生する対立性変異体を含む単離されたポリペプチド。
  18. 配列番号(SEQ ID NO)7に示されたヌクレオチド配列全体に対し、少なくとも50%の相同性を持つヌクレオチド配列を含む核酸分子によりコードされた単離されたポリペプチド。
  19. 配列番号(SEQ ID NO)8に示されたアミノ酸配列全体に対し、少なくとも50%の相同性を持つアミノ酸配列を含む単離されたポリペプチド。
  20. 配列番号(SEQ ID NO)8に示されたアミノ酸配列を含むポリペプチドフラグメントを含む単離されたポリペプチドであって、ポリペプチドフラグメントが配列番号(SEQ ID NO)8のアミノ酸配列を含むポリペプチドの生物学的活性を維持している単離されたポリペプチド。
  21. 配列番号(SEQ ID NO)7に示されたヌクレオチド配列を含む核酸分子によりコードされたアミノ酸配列を含む単離されたポリペプチド。
  22. 異種アミノ酸配列を含む、請求項16から21のいずれかに記載の単離されたポリペプチド。
  23. 請求項10に記載の細胞を培養してファインケミカルを製造する、ファインケミカルの製造方法。
  24. 培養体からファインケミカルを回収する請求項23に記載の方法。
  25. 細胞がコリネバクテリウム属またはブレビバクテリウム属に属する、請求項23に記載の方法。
  26. 前記細胞が、コリネバクテリウム−グルタミカム、コリネバクテリウム−ヘルキュリス、コリネバクテリウム−リリウム、コリネバクテリウム−アセトアシドフィリウム、コリネバクテリウム−アセトグルタミカム、コリネバクテリウム−アセトフィリウム、コリネバクテリウム−アンモニアゲン、 コリネバクテリウム−フジオケンス、コリネバクテリウム−ニトリロフィリウス、 ブレビバクテリウム−アンモニアゲン、ブレビバクテリウム−ブタニカム、 ブレビバクテリウム−ジバリカツム、ブレビバクテリウム−フラビン、ブレビバクテリウム−ヘアリ、ブレビバクテリウム−ケトグルタミカム、ブレビバクテリウム−ケトソレダクタム、ブレビバクテリウム−ラクトフェルメンツム、ブレビバクテリウム−リネンス、ブレビバクテリウム−パラフィノリツカム、および表3に記載の株からなる群より選択される請求項23に記載の方法。
  27. 前記ベクターによる核酸分子の発現により、前記ファインケミカルの製造が調節される請求項23に記載の方法。
  28. 前記ファインケミカルが、有機酸、タンパク質原アミノ酸および非タンパク質原アミノ酸、プリンおよびピリミジン塩基、ヌクレオシド、ヌクレオチド、脂質、飽和および不飽和の脂肪酸、ジオール、炭水化物、芳香族化合物、ビタミン、補助因子、ポリケチド、および酵素からなる群より選択される請求項23に記載の方法。
  29. 前記ファインケミカルがアミノ酸である請求項23に記載の方法。
  30. 前記アミノ酸が、リジン、グルタミン酸、グルタミン、アラニン、アスパラギン酸、グリシン、セリン、トレオニン、メチオニン、システイン、バリン、ロイシン、イソロイシン、アルギニン、プロリン、ヒスチジン、チロシン、フェニルアラニン、およびトリプトファンから成る群より選択される請求項29に記載の方法。
  31. 請求項1から6のいずれかに記載の核酸分子の導入によってゲノムDNAが変異した細胞を培養するファインケミカルの製造方法。
  32. in vitroでのコリネバクテリウム−ジフテリアの存在または活性を検出する方法であって、請求項1〜6のいずれかに記載の核酸分子または請求項16〜21のいずれかに記載のポリペプチドのうちの1種以上の存在を検出する工程を含み、これによりコリネバクテリウム−ジフテリアの存在または活性を検出する、コリネバクテリウム−ジフテリアの存在または活性を検出する方法。
  33. 配列番号(SEQ ID NO)7に示された核酸分子を含み、核酸分子が混乱している宿主細胞。
  34. 配列番号(SEQ ID NO)7に示された核酸分子を含み、この核酸分子が配列番号(SEQ ID NO)7に示された配列に対して1個以上の核酸の修飾を含む宿主細胞。
  35. 配列番号(SEQ ID NO)7に示された核酸分子を含み、核酸分子の調節領域が、この分子の野生型の調節領域に対して修飾されている、宿主細胞。
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