JP2003520623A - 内視鏡外科用器具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 外科用器具は、細長い管状部２が延在形成されたハンドル１を備え、この管状部２が、球関節１７を有する継手４により、ツール７を担持する遠位部５に連結されている。ハンドル１の前方部分に位置する制御アセンブリ８によって、その固有の軸線６の周りに、遠位部５の角度位置、ならびに遠位部５または少なくともツール７の方向を制御することが可能になる。制御アセンブリ８は、中心１０に関して調整自在、かつその軸線１１周りに回転する球形リング９を備え、この球形リング９は、ケーブル１４を介して遠位部５の角度位置を制御し、かつ、自在継手機構２５、２６を介して遠位部５に回転方向に連結された内部部材２４にその回転を伝達する。固定手段によって、遠位部５をあらゆる角度位置において一時的に固定することができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】

本発明は、主に腹腔鏡検査（腹部内視鏡外科）および胸腔鏡検査（胸部内視鏡
外科）に応用される、内視鏡外科用の器具に関する。

【０００２】

【従来の技術】

この内視鏡外科用器具は、細長い管状部が延在形成されたハンドルを備えてい
るタイプに属するもので、細長い管状部には、ツールを担持するのに適した末端
部または遠位部を有する多方向性の継手が連結され、制御手段は、ハンドルの部
分に設けられ、管状部内部を通るコードまたはケーブルを有する機械的動力伝達
部を介して末端部の角度位置を制御するように構成されている。この管状部内部
は、ツールを制御する中央ケーブルによって同様に貫かれている。

【０００３】 この種の内視鏡外科用器具は、欧州特許第０６４６３５６号公開公報によって
公知である。このような器具は、連接された遠位端部により、進入方向を選択す
ることが可能になり、そして、手術がより有効になり、外科医に手術範囲のより
大きな部分に到達させる。このようにして外科医は、内視鏡外科に結び付けられ
た拘束、および特に（腹部内の入口点のような）固定点を通過することから解放
される。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】

しかしながら、前述の公開公報に記載されかつ明示された製品は、不完全なま
まであり、かつ以下の不都合を特に備えている。

【０００５】 例えば、欧州特許第０６４６３５６号公開公報の対象となる製品において、ハ
ンドル上に位置する制御装置から、その固有の縦の軸線周りに器具の遠位部を回
転させることはできない。更に、この制御装置は、ハンドルの後方部分に位置し
ており、これは、人間工学的でなく、かつ制御の不正確さに通じ得る位置である
ように見える。

【０００６】 前述の文献の製品は、少なくとも幾つかの実施形態において、交差した伝達コ
ードを有しており、これにより、制御装置に対する器具の遠位端部の移動方向が
逆になる。更に、コードの交差は、その進路を複雑にし、かつ摩擦を招く。この
交差は、器具によって担持されるツールの制御装置、例えばかん子の開閉制御装
置に使用し得る自由空間を同様に減少させる。

【０００７】 欧州特許第０６４６３５６号公開公報による器具の伝達コードは、遠位部の継
手の球関節上に留められており、許される最大揺動範囲は、比較的制限されたま
まである。

【０００８】 他方で、前述の文献による器具では、一時的に維持する任意の位置において、
方向決定機構の位置に固定するいかなる手段も備えられていない。従って、制御
装置を一旦放すと、機構はばねの影響で出発位置（中央位置）に戻る。

【０００９】 最後に、欧州特許第０６４６３５６号公開公報に記載された器具は、球関節上
に置かれた環状パッキングを別として防水でなく、かつ洗浄することが難しい。

【００１０】 本発明は、防水性を保証して、特に人間工学的にされた制御装置においても、
使用可能性においても改良された内視鏡外科用器具を提供して、これらの不都合
を全て除去することを目的とする。

【００１１】

【課題を解決するための手段】

このために、本発明は、 − 制御手段が、ハンドルの前方部分に位置して中心および軸線を有する球形
リングを備え、このリングは、その中心に関して円錐体内部であらゆる方向に方
向転換自在とされるとともに、その軸線周りを回転し、 − 球形リングは、伝達コードまたはケーブルの近位端部が結び付けられたコ
ードまたはケーブルの制御部材に角度を有して連結され、 − 細長い管状部の軸線周りを回転可能に取り付けられた内部部材に、軸線周
りの球形リングの回転を伝達するための手段を備え、前記部材の回転が末端部ま
で前述の継手を介して伝達されて、前記末端部のその固有の縦軸線周りの方向が
決められるように構成され、かつ、 − あらゆる角度位置において、前記継手を一時的に固定するための手段が備
えられている導入部で言及された種類の内視鏡外科用器具を本質的に対象とする
。

【００１２】 球形リングは、細長い管状部の軸線周りを回転可能に取り付けられた内部部材
に、自在継手機構を介して連結されているのが好ましい。

【００１３】 このように、本発明は、方向決定が、あらゆる角度位置によって器具の遠位部
を連接することを可能にし、かつ（その固有の軸線周りの）回転が、この遠位部
の縦軸線周りの遠位部の回転を制御することを可能にする、唯一の制御装置を主
に特徴とする内視鏡外科用器具を提案する。ハンドル前方の、この唯一の制御装
置の位置は、人間工学的であり、かつ外科医が通常使用する、市販の堅固かつ直
線的な器具に対する現行の単純回転制御装置に似せている。

【００１４】 本発明の実施形態において、自在継手機構の出力装置は、細長い管状部外部の
回転運動をその内部に伝達するのに適した歯車装置を介して、ツールを制御する
中央のケーブルに結合されており、歯車装置は、自在継手機構の出力装置に回転
に関して拘束された状態で結合された歯車と、ツールを制御するケーブルに連結
された中央ロッドに回転に関して結合されたもう１つの歯車と、および前述の２
つの歯車に係合する中間歯車とを備えている。

【００１５】 本発明のもう１つの実施形態によれば、自在継手機構の出力装置は、非磁性固
定防水壁を介在させて、磁気手段、特に永久磁石によって、ツールを制御する中
央のケーブルに結合されている。

【００１６】 更にもう１つの実施形態によれば、自在継手機構の出力装置は、ツールを制御
するケーブルを囲み、かつツールとともに回転アセンブリを形成する、回転管状
内部部材に直接結合される。

【００１７】 単純な配置によれば、制御用の球形リングは、それ自体が使用者によって動作
可能な、操作装置を構成している。

【００１８】 しかしながら、より好適な変形例によれば、制御用の球形リングは、同一点を
中心として外部操作環に囲まれていて、この外部操作環に、ツール制御用のケー
ブルが、非磁性固定防水壁を介在させて、磁気手段、特に永久磁石によって角度
ならびに回転に関して拘束された状態で結合されている。内部制御装置のリング
に結合された、外科医が扱う外部装置を有するこの制御装置の設計は、防水製品
を可能にし、固定防水壁を通して実施された磁気結合は、機械的な複雑さを伴わ
ず、制御球形リングおよび操作環と同一な位置決めおよび移動を可能にする。

【００１９】 このような内視鏡外科用器具は、器具によって担持されるツール作動のための
別の制御装置、特に少ない振幅の並進運動によるかん子開閉制御装置を通常備え
ており、補助防水手段として、近位部および遠位部に配置された可撓性スリーブ
も備えている。遠位部に位置する防水内部スリーブは、この遠位部がその縦軸線
周りを回転する時にねじれを受けるので、スリーブを破裂させないためにこのね
じれを制限すべきである。このために、器具は、好適には、遠位部の回転制限機
械手段を更に備えている。特別な実施形態では、この手段は、ハンドル内で回転
自在に取り付けられた部材で、球形リングの回転運動を受ける内部部材に回転に
関して拘束された状態で結合される第１のツメによって回転駆動される部材から
なり、前述の部材は、それ自体が固定部上の止め具に達する第２のツメを備えて
いる。このような機構は、完全な２回転より少しだけ少ない回転を可能にする。

【００２０】 本発明のもう１つの観点によれば、器具の細長い管状部と、末端部もしくは遠
位部との間の多方向性の継手は、細長い管状部の前方端部と連動した雌型の球関
節に関してと同様、器具の末端部の後方端部と連動した他の雌型の球関節に関し
ても、それらの向きを決める運動を規定するのに適した自由な中間の球関節と、
この中間の球関節の周辺を通過する伝達コードまたはケーブルとを備え、これら
の全ての球関節は、同心とされ、伝達コードまたはケーブルの前方端部は、器具
の末端部に連結されている。

【００２１】 このように器具は、空間のあらゆる方向において遠位部が約±６０°の間で方
向決めされるように、例えば中間の球関節に対して２つの雌型の球関節の各々に
関して約±３０°の揺動による角度の開きで、二重の中間の球関節を持っている
。

【００２２】 中間の球関節は、好ましくは、細長い管状部と遠位部との間の全体の角度の半
分に等しい角度に相当する理想的な方向に、それ自体が中間の球関節を位置決め
する可撓性のケーブルを案内するような、器具に担持されるツールを制御する中
央の可撓性のケーブルによって貫かれる直径方向の断面形状をなす通路を備えて
いる。中央可撓性のケーブルの適切な案内は、ツール、特にかん子の時宜を得な
いあらゆる開放または閉鎖を避けるように、角度位置の間のこのケーブルの長さ
の変動を避けて、２つの雌型の球関節を中間の球関節に対して堅固に押し当てる
ことも保証する。

【００２３】 好適には、伝達コードまたはケーブルは、中間の球関節の直径よりも大きな直
径、好ましくは中間の球関節の直径の２倍に等しい直径を有する球形制御内部装
置に留められた後方端部を有する。このように、制御装置に与えられた横動遊間
の角度は、遠位部に対して２倍に増える。機械的構造および人間工学的要求と両
立できる±３０°の制御装置の揺動範囲は、遠位部の±６０°の方向設定を可能
にする。

【００２４】 本発明のもう１つの観点によれば、器具は、特に前記に定義したような球関節
を有する継手である、前述の継手固定手段、従って制御手段によって与えられた
角度位置において器具の末端部または遠位部を固定する手段を備えている。好適
には、器具の細長い管状部と遠位部の間の継手の一時的な固定手段は、伝達コー
ドまたはケーブルを挟むことによって作用する装置を備え、これらの装置は、前
記細長い管状部上の、好ましくは球関節を有する継手といった継手の比較的近く
に位置し、このことによりその効果が高められる。実際、コードまたはケーブル
は、角度位置制御を可能にするために柔軟なままであるべきであり、コードまた
はケーブルを伸ばすことは、固定を妨げるので、これらのコードまたはケーブル
を制御装置の近傍に固定することはあまり適切ではない。

【００２５】 実施形態によれば、伝達コードまたはケーブル挟持装置は、前述の継手を固定
するために、細長い管状部の周りに回転可能に取り付けられ、かつそれ自体が細
長い管状部の本体の縦溝内に位置決めされた、全てのコードまたはケーブルの同
時の停止によって作用する溝付き環を備えている。選択された方向における環の
制限された回転は、伝達コードを固定するか、逆にそれらを解放する。

【００２６】 もう１つの実施形態によれば、伝達コードまたはケーブル挟持手段は、前述の
継手を固定するために、細長い管状部の軸線方向に滑動可能に取り付けられかつ
コードまたはケーブルに作用する円錐台状部分を備えている停止環またはスリー
ブを備えている。この変形例は、固定および解除の「自動」制御を可能にする。
特に解除は、一旦制御装置に作用すると生じる。

【００２７】 特殊な実施形態では、遠位部の角度位置および回転制御アセンブリは、細長い
管状部の軸線に沿って並進移動し、かつカムを介して、以上に明確に述べたよう
な回転挟持環の場合、伝達コードまたはケーブルの停止／解放制御を可能にする
。

【００２８】 本発明の対象である器具は、ハンドル上に位置し、かつツールの位置、特にか
ん子の閉鎖を維持するように、このツールの制御ケーブルに連結された軸線方向
に移動する中央ロッドに作用する支え部による固定手段を更に備え得る。

【００２９】

【発明の実施の形態】

いずれにせよ、本発明は、この内視鏡外科用器具の幾つかの実施形態を例とし
て示す添付した略図を参照して、以下に続く記載を用いればより良く理解される
であろう。

【００３０】 図面に示した内視鏡外科用器具は、従来のように、後方から前方に向かって、
把持および制御ハンドル１と、縦軸線３の細長い管状部２と、球関節を有する継
手４と、縦軸線６の末端部または遠位部５と、および遠位部５の端部によって担
持されるツール７とを備えている。ハンドル１は、ツール７制御装置、特にかん
子に応じたこのツール７の開／閉制御装置の部分、および継手４によって細長い
管状部２に関して、遠位部５の角度位置制御アセンブリ８を備えている。アセン
ブリ８は、その固有の縦軸線６の周りに、少なくともその末端ツール７の遠位部
５の方向決定制御も保証する。本発明の重要な特性によれば、遠位部５の角度位
置および方向決定制御アセンブリ８は、ハンドル１の前方部分に位置し、かつこ
のアセンブリ８は、唯一の操作装置の取扱いから、遠位部５の角度位置も、この
部分または少なくともその末端ツール７の方向決定も制御することを可能にする
。

【００３１】 この制御装置は、探求された防水性の程度および与えられた角度位置における
遠位部５の固定のための付属機能により、種々の実施形態を生じさせる。

【００３２】 図１から図３の実施形態において、制御アセンブリ８は、その中心が１０で、
かつその回転軸線が１１で示される球形リング９を備えている。球形リング９は
、前方および内部に向かって、細長い管状部２が貫く中央球形部材１３の周りに
取り付けられた、円錐形空間を有する部材１２によって補われている。

【００３３】 中心１０の周りで（円錐体内部の）あらゆる方向に向きを変えられる部材１２
上に、６つの伝達ケーブル１４の後方端部が留められている。伝達ケーブル１４
は、この部分の本体１６内に規則的に角間隔で設けられた溝１５内の細長い管状
部２内部に長手方向に延在する（図８および９を参照）。

【００３４】 細長い管状部２と遠位部６の間の継手４は、２つの相対した雌型の球関節１８
および１９と協働する自由な中間の球関節１７を備えている。第１の雌型の球関
節１８は、細長い管状部２の前方端部と連動する。第２の雌型の球関節１９は、
遠位部５の後方端部と連動する。

【００３５】 ６つの伝達ケーブル１４は、中間の球関節１７の周辺を通過し、その前方端部
は、遠位部５に連結されている。実際、製造が容易であるという理由で、６つの
ケーブル１４は、好適には、各々に前方への半回転を描かせている３つのケーブ
ルでしかない。これらのケーブル１４の同時移動は、部材１２によって制御され
、このように移動されたケーブルは、前述の溝１５内で係合する前に、中央球形
部材１３上を滑動するようになる。球形部材１３の直径は、中間の球関節１７の
直径の２倍に等しい。このように、部材１２に与えられた角横動遊間は、連接さ
れた遠位部５に関して二重に増える。例えば制御アセンブリ８側の３０°の横動
遊間の最大角度に、細長い管状部２の軸線３に対して遠位部５の６０°の最大角
度位置の可能性が相当する。

【００３６】 中間の球関節１７は、器具の近位部分を遠位部５に連結し、かつツール７の開
／閉制御に役立つ可撓性のケーブル２１によって貫かれるように形成された直径
方向の断面形状を持つ通路２０を有している。可撓性のケーブル２１は、中間の
球関節の通路２０によって継手４の高さに案内され、かつ、このようにこの可撓
性のケーブル２１は、２つの雌型の球関節１８および１９の角度位置の間の平均
角度位置において、それ自体が中間の球関節１７の位置決めを保証する。

【００３７】 可撓性のケーブル２１の後方端部は、ハンドル１内に軸線方向に可動に取り付
けられ、かつこのハンドル１に属する止め金２３によって使用可能なロッド２２
と連動する。

【００３８】 制御アセンブリ８の球形リング９は、リング９に連接した中間環２５、および
中間環２５に連接し、かつ前述の内部部材２４と連動した半球形の出力装置２６
を備えている自在継手機構を介して軸線３の周りに回転可能に取り付けられた、
管状内部部材２４に結合されている。

【００３９】 符号２７で全体として指し示した歯車装置または摩擦車装置は、細長い管状部
２外部の運動がその内部に伝達されるように、部材２４を、回転に関して拘束し
た状態でロッド２２に結合する。制御アセンブリ８の後方のハンドル１内に位置
するケースを形成する、この歯車装置２７は、部材２４に組み込まれた第１の歯
車と、ロッド２２と角柱状の結合関係にある回転部材２９に組み込まれた第２の
歯車と、および遊星歯車のような、中央軸線３に平行な軸３２上の周辺位置に取
り付けられた中間歯車３０、３１とを有している（例えば３組の小歯車３０、３
１が備えられる）。

【００４０】 ハンドル１は、支え装置により、ロッド２２の、（すなわちツール７の制御ケ
ーブル２１の）固定／解除手動制御装置３３を更に有している。この装置は、ロ
ッド２２上に押圧可能に設けられた回転部材３４を備えており、この回転部材３
４は、小歯車３０、３１を担持する軸３２の１つの延長内に作られた特殊な外形
のカム３６に対して押圧する円筒状留金具３５を備え、この円筒状留金具３５が
バネ２８の圧力を受けて保持されている。カム３６は、支え部、すなわち固定に
相当する円錐部分およびこの装置のクラッチを切ることを可能にする真直ぐな部
分を有している。

【００４１】 軸線１１の周りの球形リング９の回転は、自在継手機構２５、２６および前記
の歯車装置２７を介して、軸線３の周りのロッド２２の対応する回転で、遠位部
５の縦軸線６の周りにツール７を向けるように、遠位部５まで可撓性のケーブル
２１によって伝達された回転を引き起こす。

【００４２】 制御アセンブリ８は、ここでは細長い管状部２の軸線３の方向に、短い行程に
対して並進移動可能に備えられている。使用者は、並進運動を回転に変えるカム
を介して、伝達ケーブル１４を解放しかつ角度位置決めを可能にするために、こ
のアセンブリ８を後方に引かねばならない。

【００４３】 最後に、制御アセンブリ８、球形リング９およびこのリングを補う部材１２は
、中心１０の周りに共通の球関節の運動を有するが、リング９のみが軸線１１の
周りを回転駆動されることは、注意すべきである。

【００４４】 図４および図５は、器具の第２の実施形態を表す。前の実施形態の部材と共通
または、対応する部材は、同一の符号で示す。

【００４５】 特に、この実施形態は、球形リング９を有する制御アセンブリ８を備えている
。この球形リング９は、中心１０の周りで方向を変えることができ、軸線１１の
周りに回転して、遠位部５の向きを決定し、さらに、この遠位部５ないしは少な
くとも末端ツール７を軸線６周りに回転することができるよう設けられている。
球形リング９は、ここでは中央球形部材１３の周りに取り付けられた円錐形空間
を有する部材１２と連動する。

【００４６】 球形リング９内には、永久磁石３７が挿入されている。球形リング９は、同心
とされた、かつ球形リングに一致してもいる外部操作環３８によって囲まれてい
る。。操作環３８内には、数および配置が球形リング９の磁石３７に対応する、
他の永久磁石３９が挿入されている。球形の、非磁性材料の固定防水壁４０は、
球形リング９と操作環３８の間を伸長する。このように、磁石３７および３９は
、磁石を支持する２つの部材が、防水壁４０の両側に同じように位置決めされ、
かつ移動されようとするように、防水壁４０を通して、操作環３８と球形リング
９の間の磁気結合を保証する。

【００４７】 球形リング９は、ここでは操作環３８から作動するが、前記の通り、ケーブル
１４を介して遠位部５の角度位置および自在継手機構２５、２６を介してこの遠
位部５またはツール７の方向設定もまた制御する。しかしながら自在継手機構の
出力装置２６は、ここではツール７を制御するケーブル２１の後方端部と連動す
るロッド２２を直接回転駆動する（すなわち、歯車を介さない）。

【００４８】 ツール７の開／閉制御は、ここでは並進を少し必要とするので、近位および遠
位部に、それぞれの可撓性スリーブ４１および４２によって、防水性も備えてい
ることが必要である。近位部に位置するスリーブ４１は、ツール７の開／閉制御
による単純な並進運動を受ける。それに反して、遠位帯に位置する可撓性スリー
ブ４２を破裂させないために、軸線６に沿った遠位部５の回転を制限することが
必要である。このために、ハンドル１の高さに軸線３の周りに回転自在に取り付
けられ、かつロッド２２と連動するツメ４４によって回転駆動される環状部材４
３が備えられている。部材４３は、固定止め具４６に反して出るもう１つのツメ
４５を担持する。ロッド２の、従って可撓性のケーブル２１の回転は、このよう
に、２回転より少しだけ少なく制限されている。

【００４９】 図６は、上述の実施形態の変形例を示し、自在継手機構の出力装置２６は、ツ
ール７を制御する可撓性のケーブル２１と同時に、細長い管状部２内部で回転す
る内部管状部材１６と直接連動するように設けられている。この製品は、前のも
のと同じく防水であり、かつ特に単純である。

【００５０】 最後に、図７は、自在継手機構の出力装置２６が、磁気手段によって可撓性の
ケーブル２１（またはその末端ロッド２２）に結合された、もう１つの変形例を
示す。出力装置２６は、永久磁石４８が挿入された管状延長部を備えている。非
磁性材料の固定防水壁４９は、磁石４８を有する前記管状延長部によって囲まれ
ている。防水壁４９内部には、可撓性のケーブル２１に回転に関して拘束された
状態で結合された円筒形部材５０が取り付けられており、他の永久磁石５１は、
円筒形部材５０内に挿入され、その数および配置は、出力装置２６の磁石４８に
対応する。このように、磁石４８および５１は、２つの部材が絶えず対応する角
度位置を占めるように、出力装置２６と部材５０の間の磁気結合を保証する。こ
の最後の実施形態もまた防水で、かつ二重に防水でさえある（防水壁４０および
４９）。更に、可撓性のケーブル２１の、すなわちツール７の制限された回転が
ここでは可能である。

【００５１】 他方で図８および図９は、制御アセンブリ８から遠位部５に与えられたあらゆ
る方向設定において、伝達ケーブル１４の挟持によって、この遠位部５を一時的
に固定することができる手段の実施形態を示している。これまで述べてきたよう
に、ケーブル１４は、細長い管状部２の本体１６の縦溝１５内を通る。この本体
１６の周りに、継手４に隣接する管状部２の端部に向かって、ケーブル１４と対
応する「Ｖ字」溝５３を備えてなる停止環５２が回転可能に取り付けられている
（図３も参照せよ）。その角位置により、環５２は、停止によってケーブル１４
を固定し（図８）またはこれらのケーブル１４を解放する（図９）。ケーブル１
４を挟持することにより、継手４の、すなわち遠位部５の角度位置の固定が保証
される。逆に、ケーブル１４の解放は、遠位部５の角度位置を変更するために制
御アセンブリ８によって与えられたその運動伝達機能を可能にする。

【００５２】 − 器具の種々の機械的または磁気的装置の詳細を変更しても、 − ケーブル停止回転環の代わりに、円錐台状部分によってケーブルに作用す
る滑動停止スリーブを用いても、 − 末端かん子を他のあらゆる適当なツールに代えても、 − 特に防水製品において、制御アセンブリの設計を変更することなく、ロボ
ット化した、手動ではない制御装置を備えても、添付した特許請求の範囲におい
て明確化された本発明の範囲からは逸脱するものではない。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明に係る第１の実施形態の内視鏡外科用器具の縦断面図であ
る。

【図２】 図１に示す器具のハンドルの部分を拡大して示す縦断面図である
。

【図３】 図１に示す器具の継手の部分の拡大図である。

【図４】 本発明に係る器具の第２の実施形態の縦断面図である。

【図５】 図４に示す器具の機構の拡大縦断面図である。

【図６】 図４および図５に示す器具の変形例を示す部分断面図である。

【図７】 この器具のもう１つの変形例を示す部分断面図である。

【図８】 継手の固定手段を２つの位置で示す図である。

【図９】 継手の固定手段を２つの位置で示す図である。

【符号の説明】

１・・・ハンドル ２・・・管状部 ４・・・継手 ５・・・遠位部（末端部） ７・・・ツール ８・・・制御アセンブリ（制御手段） ９・・・球形リング １０・・・中心（球形リングの中心） １２・・・円錐形空間を有する部材（制御部材） １３・・・中央球形部材（球形制御内部装置） １４・・・伝達ケーブル（ケーブル） １６・・・回転内部管状部材 １７・・・中間の球関節 １８，１９・・・雌型の球関節 ２０・・・通路 ２１・・・中央の可撓性のケーブル ２２・・・ロッド ２４・・・内部部材 ２５・・・中間環（自在継手機構） ２６・・・自在継手機構の出力装置 ２７・・・歯車装置 ３７，３９・・・永久磁石 ３８・・・外部操作環 ４０・・・非磁性固定防水壁 ４１、４２・・・可撓性スリーブ ４３〜４６・・・回転制限手段 ４９・・・非磁性固定防水壁 ４８、５１・・・永久磁石

Claims (19)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 細長い管状部（２）が延在形成されたハンドル（１）を備え
   、前記管状部（２）は、多方向性の継手（４）によってツール（７）を担持する
   のに適した末端部または遠位部（５）に連結され、前記ハンドル（１）の部分に
   は、前記ツール（７）を制御する中央のケーブル（２１）が貫く前記管状部（２
   ）内部を通るコードまたはケーブル（１４）を備えた機械的動力伝達部を介して
   、前記末端部（５）の継手を制御するように制御手段（８）が設けられてなる内
   視鏡外科用器具において、 前記制御手段（８）は、前記ハンドル（１）の前方部分に位置し、中心（１０
   ）および軸線（１１）を有する球形リング（９）を備え、該リング（９）は、そ
   の中心（１０）に関して円錐体内部であらゆる方向に方向転換自在とされるとと
   もに、その軸線（１１）の周りを回転し、 前記球形リング（９）は、前記伝達コードまたはケーブル（１４）の近位端部
   が結び付けられた該コードまたはケーブル（１４）の制御部材（１２）に角度を
   有して連結され、 細長い前記管状部（２）の軸線（３）周りに回転可能に取り付けられた内部部
   材（２４）に、前記軸線（１１）周りの前記球形リング（９）の回転を伝達する
   ための手段（２５、２６）を備え、前記内部部材（２４）の回転が前記末端部（
   ５）まで前記継手（４）を介して伝達されて、前記末端部（５）のその固有の縦
   軸線（６）周りの方向が決められるように構成され、かつ、 あらゆる角度位置において、前記継手（４）を一時的に固定するための手段（
   ５２、５３）が備えられていることを特徴とする内視鏡外科用器具。
2. 【請求項２】 前記球形リング（９）は、細長い前記管状部（２）の前記軸
   線（３）周りに回転可能に取り付けられた前記内部部材（２４）に、自在継手機
   構（２５、２６）を介して連結されていることを特徴とする請求項１に記載の内
   視鏡外科用器具。
3. 【請求項３】 前記自在継手機構の出力装置（２６）は、細長い前記管状部
   （２）の外部の運動をその内部に伝達するための歯車装置（２７）を介して、前
   記ツール（７）を制御する中央の前記ケーブル（２１）に結合されており、前記
   歯車装置（２７）は、前記自在継手機構の前記出力装置（２６）に回転に関して
   拘束された状態で結合された歯車と、前記ツール（７）を制御する前記ケーブル
   （２１）に連結された中央ロッド（２２）に回転に関して拘束された状態で結合
   されたもう１つの歯車と、前述の２つの歯車と係合する中間歯車（３０、３１）
   とを備えていることを特徴とする請求項２に記載の内視鏡外科用器具。
4. 【請求項４】 前記自在継手機構の前記出力装置（２６）は、非磁性固定防
   水壁（４９）を介在させて、磁気手段、特に永久磁石（４８、５１）によって、
   前記ツール（７）を制御する中央の前記ケーブル（２１）に結合されていること
   を特徴とする請求項２に記載の内視鏡外科用器具。
5. 【請求項５】 前記自在継手機構の前記出力装置（２６）は、前記ツール（
   ７）を制御する前記ケーブル（２１）を囲んで前記ツールとともに回転アセンブ
   リを形成する回転内部管状部材（１６）に、直接結合されることを特徴とする請
   求項２に記載の内視鏡外科用器具。
6. 【請求項６】 制御用の前記球形リング（９）は、それ自体が使用者によっ
   て動作可能な操作装置を構成していることを特徴とする請求項１から５のいずれ
   か１項に記載の内視鏡外科用器具。
7. 【請求項７】 前記球形リング（９）は、同一点を中心として外部操作環（
   ３８）に囲まれていて、この外部操作環（３８）に、非磁性固定防水壁（４０）
   を介在させて、磁気手段、特に永久磁石（３７，３９）によって、角度ならびに
   回転に関して拘束された状態で結合されていることを特徴とする請求項１から５
   のいずれかに記載の内視鏡外科用器具。
8. 【請求項８】 防水手段として該器具の近位部および前記遠位部内に配置さ
   れた可撓性スリーブ（４１、４２）と、前記縦軸線（６）の周りの前記遠位部（
   ５）の回転制限手段（４３〜４６）とを備えていることを特徴とする請求項１か
   ら７のいずれかに記載の内視鏡外科用器具。
9. 【請求項９】 前記軸線（６）の周りで前記遠位部（５）の回転を制御する
   手段は、前記ハンドル（１）内で回転自在に取り付けられた部材（４３）からな
   り、前記部材は、前記球形リング（９）の回転運動を受ける内部部材（２２）に
   回転に関して拘束された状態で結合されている第１のツメ（４４）によって回転
   駆動され、前記部材（４３）は、それ自体が固定部（４６）上の止め具に達する
   第２のツメ（４５）を備えていることを特徴とする請求項８に記載の内視鏡外科
   用器具。
10. 【請求項１０】 該器具の細長い前記管状部（２）と前記末端部または前記
    遠位部（５）との間の前記継手（４）は、細長い前記管状部（２）の前方端部と
    連動した雌型の球関節（１８）に関してと同様、器具の前記末端部（５）の後方
    端部と連動した他の雌型の球関節（１９）に関しても、それらの向きを決める運
    動を規定するのに適した自由な中間の球関節（１７）と、該中間の球関節（１７
    ）の周辺を通過する前記伝達コードまたは前記ケーブル（１４）とを備え、これ
    らの全ての球関節（１７、１８、１９）は、同心とされ、前記伝達コードまたは
    前記ケーブルの前方端部は、該器具の前記末端部（５）に連結されていることを
    特徴とする請求項１から９のいずれかに記載の内視鏡外科用器具。
11. 【請求項１１】 前記遠位部（５）が空間のあらゆる方向において約±６０
    °で方向決めされるように、それぞれの前記雌型の球関節（１８，１９）は、前
    記中間の球関節（１７）に関して約±３０°の揺動による角度の開きを有してい
    ることを特徴とする請求項１０に記載の内視鏡外科用器具。
12. 【請求項１２】 前記中間の球関節（１７）は、それ自体、中間の球関節（
    １７）を位置決めする可撓性の前記ケーブル（２１）を案内するような、該器具
    によって担持される前記ツール（７）を制御する中央の可撓性の前記ケーブル（
    ２１）によって貫かれる直径方向の断面形状をなす通路（２０）を備えているこ
    とを特徴とする請求項１０または１１に記載の内視鏡外科用器具。
13. 【請求項１３】 前記伝達コードまたは前記ケーブル（１４）は、前記中間
    の球関節（１７）の直径よりも大きな直径、好ましくは前記中間の球関節（１７
    ）の直径の２倍に等しい直径を有する球形制御内部装置（１３）上に留められた
    後方端部を有していることを特徴とする請求項１０から１２のいずれかに記載の
    内視鏡外科用器具。
14. 【請求項１４】 該器具の細長い前記管状部（２）と前記遠位部（５）との
    間の前記継手（４）の一時的な固定手段は、前記伝達コードまたは前記ケーブル
    （１４）を挟むことによって作用する装置（５２、５３）を備え、これらの装置
    （５２、５３）は、前記細長い管状部（２）上の、好ましくは、前記球関節（１
    ７）を有する継手といった前記継手（４）の比較的近くに位置していることを特
    徴とする請求項１から１３のいずれかに記載の内視鏡外科用器具。
15. 【請求項１５】 前記伝達コードまたは前記ケーブル（１４）の挟持装置は
    、前記継手（４）を固定するために、細長い前記管状部（２）の周りに回転可能
    に取り付けられ、かつそれ自体が細長い前記管状部（２）の本体（１６）の縦溝
    （１５）内に位置決めされた、全てのコードまたはケーブル（１４）の同時停止
    によって作用する溝（５３）付き環（５２）を備えていることを特徴とする請求
    項１４に記載の内視鏡外科用器具。
16. 【請求項１６】 前記伝達コードまたは前記ケーブル（１４）の挟持装置は
    、前記継手を固定するために、細長い前記管状部（２）の軸線方向に滑動可能に
    取り付けられ、かつ前記コードまたは前記ケーブル（１４）に作用する円錐台状
    部分を備えている停止環またはスリーブを備えていることを特徴とする請求項１
    ４に記載の内視鏡外科用器具。
17. 【請求項１７】 前記遠位部（５）の方向決定制御アセンブリ（８）は、細
    長い前記管状部（２）の前記軸線（３）に沿って並進移動し、かつカムを介して
    、前記伝達コードまたは前記ケーブル（１４）の停止／解放制御が可能に構成さ
    れていることを特徴とする請求項１５に記載の内視鏡外科用器具。
18. 【請求項１８】 前記ハンドル（１）上に位置し、かつ前記ツール（７）の
    位置、特にかん子を閉鎖したままにするように、このツール（７）を制御する前
    記ケーブル（２１）に連結された軸線方向に移動する前記中央ロッド（２２）に
    作用する支え部（３４、３５、３６）による固定手段を備えていることを特徴と
    する請求項１から１７のいずれかに記載の内視鏡外科用器具。
19. 【請求項１９】 ロボット化された制御装置（８）を備えていることを特徴
    とする請求項１から１８のいずれかに記載の内視鏡外科用器具。