JP2003505443A - 主成分の酢酸およびギ酸からなる水性混合物を分離および精製するための方法 - Google Patents

主成分の酢酸およびギ酸からなる水性混合物を分離および精製するための方法

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Abstract

(57)【要約】 本発明は循環法で溶剤を用いる抽出により主成分の酢酸、ギ酸および高沸点物質からなる水性混合物を分離および精製するための方法に関し、これは、水を循環から除去するために大部分が水であるラフィネート流を溶剤ストリッパーカラム(11)に供給し、かつ抽出物流を溶剤蒸留カラム(8)に導入し、そこから第1の工程で頂部からは、水および溶剤からなる混合物(A)を、底部からは酢酸、ギ酸および高沸点物質からなる混合物(B)を分離除去し、混合物(B)をカラム(29)でのギ酸の分離除去の後に、引き続き酢酸蒸留カラムで純粋な酢酸と高沸点物質とに分離し、かつ混合物(A)を相分離器に供給し、その際、溶剤残分を有する水性相を溶剤ストリッパーカラム(11)に、かつ有機相を抽出器(7)に戻し供給することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本発明は主成分の酢酸およびギ酸からなる水性反応混合物を分離および精製す
るための方法に関する。
【0002】 例えばC−炭化水素の気相酸化のように飽和および/または不飽和炭化水素
を触媒酸化反応させることにより酢酸を製造する場合に、主成分としての酢酸、
ギ酸および水を様々な組成で含有する生成物流が生じる。
【0003】 更なる後処理のためにこれらの生成物流をその個々の成分に分離する必要があ
る。酢酸、ギ酸および水からなる3成分系の酸−水混合物をその純粋な成分に蒸
留による分離することは例えば、かなりの難問である。それというのもこの系は
、2成分系の水−ギ酸極大共沸点の他に更に3成分系の水−ギ酸−酢酸鞍型共沸
点を有するためである。
【0004】 このような混合物が高い水濃度を有する場合には、全ての水を低沸点成分とし
てカラムの頂部を介して蒸留させなければならないので、蒸留による分離の際に
莫大な付加的エネルギー需要が生じる。
【0005】 HunsmannおよびSimmrock(Chemie-Ing.-Tec., 38, 1966)は60質量%より多
い酢酸含有率および5質量%のギ酸含有率を有する水性混合物を分離するために
、分離を簡単にし、かつその際に必要なエネルギーを低減するために共沸蒸留を
使用することを推奨している。脱水のための共沸共留剤としてエチル−n−ブチ
ルエーテルを提案している。水および共留剤からなる共沸混合物は約91℃で沸
騰し、水約10質量%を含有する。この場合に共留剤のエチル−n−ブチルエー
テルはギ酸および酢酸とともに共沸混合物を形成しない。
【0006】 DE−A1204214ではギ酸を分離除去するために、共留剤として塩化n
−ブチルを用いる共沸混合物精留が推奨されている。この方法の欠点は共留剤と
して塩化炭化水素を使用することである。
【0007】 共沸蒸留により、ギ酸および酢酸からなる2成分系混合物を分離するための方
法がUS−A5633402から公知である。ギ酸のための共留剤としてこの場
合には、ギ酸メチルを使用する。水を分離除去することはこの方法には記載され
ていない。
【0008】 DE−A4426132、EP−A0635474、DE−A1961035
6(US−A5662780)から、種々の共留剤との共沸混合物を用いて酢酸
を精製し、かつ脱水するための様々な方法が公知である。しかしこれらの方法の
いずれも、酢酸およびギ酸からなる混合物の脱水を記載していない。
【0009】 US−A5173156、US−A5006205、US−A4877490
およびUS−A4935100から、抽出精留によるギ酸の脱水法が公知である
。これらの場合、共留剤として例えばシクロヘキサノン、シュウ酸、デカン酸お
よびサリチル酸メチルが挙げられる。
【0010】 EP−A156309(CA−A1238919)およびEP−A12321
(US−A4262140)は助剤としてカルボキサミドを用いての抽出精留に
よるギ酸の脱水を記載している。しかしこれらの方法のいずれも酢酸およびギ酸
からなる混合物の脱水は記載していない。
【0011】 Stanford Research Instituteの"Process Economics Program"(Report No. 37
A(1973))から、ほぼ酢酸42質量%およびギ酸2質量%からなる水性混合物を分
離する方法が公知である。この水性混合物をこの場合、ジイソプロピルエーテル
を用いる対向流抽出により濃縮する。脱水カラムおよび溶剤回収カラムで、水お
よびジイソプロピルエーテルからなる共沸混合物として水を頂部から留去させる
。水約0.12質量%を有する酢酸およびギ酸からなる混合物である底部生成物
を共沸精留により更に分離する。ギ酸のための共留剤としてはベンゼンを使用す
る。この方法の大きな欠点は分離されたギ酸の低い品質であり、これはまだなお
酢酸約1質量%および水約2質量%およびベンゼン約7質量%を含有する。方法
でベンゼンを使用することおよびギ酸中にベンゼンが残留含有されることはこの
方法を魅力の無いものとしている。
【0012】 従来技術で公知の全ての方法は、2成分系混合物、例えば酢酸/水、ギ酸/水
そして酢酸/ギ酸を十分に分離するために好適なだけであるか、または高濃度の
酸(>60質量%)がそこに存在する水性酸混合物のために経済的に使用するこ
とができるだけである。更に、公知の方法のいくつかはベンゼンまたは塩化炭化
水素の使用により、今日の安全性および環境的見地にもはやそぐわない。
【0013】 従って本発明の課題は、従来技術で挙げられた欠点を有しない、複数の酸から
なる3成分系水性混合物をその純粋な成分に分離するための方法を提供すること
である。
【0014】 さて、第1の工程で溶剤を用いて循環法で抽出し、引き続き主に溶剤、酢酸、
ギ酸、高沸点物質および水からなる抽出物流を一連の蒸留工程で、成分である、
抽出に戻し導入される溶剤、水、ギ酸、酢酸および高沸点物質に分離し、かつ溶
剤ストリッパーカラムを用いるもう1つの蒸留工程で、ラフィネート流から溶剤
を除去すると、主成分の酢酸、ギ酸、水および高沸点物質からなる混合物(以下
では、原料酸と記載)の分離および精製を特に良好に実施することができること
を発見した。
【0015】 本発明の目的は、循環法で溶剤を用いる抽出により主成分の酢酸、ギ酸および
高沸点物質からなる水性混合物を分離および精製するための方法であり、これは
、水を循環から除去するために大部分が水であるラフィネート流を溶剤ストリッ
パーカラム(11)に供給し、かつ抽出物流を溶剤蒸留カラム(8)に導入し、
そこから第1の工程で頂部からは、水および溶剤からなる混合物(A)を、底部
からは酢酸、ギ酸および高沸点物質からなる混合物(B)を分離除去し、混合物
(B)をカラム(29)でのギ酸の分離除去の後に、引き続き酢酸蒸留カラムで
純粋な酢酸と高沸点物質とに分離し、かつ混合物(A)を相分離器(25)に供
給し、そこで生じた溶剤残分を有する水性相を溶剤ストリッパーカラム(11)
に、かつ有機相を抽出器(7)に戻し供給することを特徴とする。
【0016】 本発明の方法(図1)の第1の工程(抽出)では、変動する割合の酢酸、ギ酸
、水および高沸点物質からなる使用原料酸を管(6)を介して抽出器(7)に供
給し、かつ溶剤と接触させる。その際、抽出器(7)は1段階で、または有利に
は複数段階からなっていてよい。この方法では溶剤流を原料酸の流の方向に合わ
せるか、または有利には原料酸に対して対向流にすることができる。この場合に
溶剤として炭素原子4〜8個を有するエーテル、エステル、ケトン、アルコール
、飽和、不飽和および環式炭化水素ならびにこれらの混合物、有利には炭素原子
4〜7個を有するエーテルおよびエステル、特に有利にはメチルt−ブチルエー
テル、ジイソプロピルエーテル、ジ−n−プロピルエーテル、エチルブチルエー
テル、酢酸エチルおよび酢酸イソプロピルを原料酸に対する混合比(容量/容量
)0.5〜20倍、有利には1〜5倍、特に有利には1.5〜3.5倍(容量/
容量比)で使用することができる。この抽出は、抽出溶剤および原料酸が液状で
、かつ分離相として、即ちミシビリティギャップを伴って存在する温度および圧
力範囲で行うことができる。温度範囲0〜60℃および圧力範囲1×10〜2
0×10Paが有利である。
【0017】 抽出器(7)から得られたラフィネートを管(15)を介して溶剤ストリッパ
ーカラム(11)に供給し、そこで底部から純粋な水を取り出す(管(13))
。溶剤ストリッパーカラムの塔頂生成物を相分離器(9)に供給する。ここで生
じた水性相を管(10)を介して溶剤ストリッパーカラム(11)の頂部に戻し
、生じた有機相を管(14)を介して抽出器(7)に戻し供給する。
【0018】 抽出器(7)から取り出した、変動成分の溶剤、酢酸、ギ酸、水および高沸点
物質を含有する抽出物を抽出器から溶剤蒸留カラム(8)に供給する。
【0019】 溶剤蒸留カラム(8)は常圧下に、有利には高圧下に作動させることができる
【0020】 この場合に溶剤蒸留カラム(8)を有利には圧力1×10〜50×10
a、有利には1×10〜25×10Pa、特に有利には1×10〜5×1
Paで作動させる。このカラムで、抽出物を蒸留により2つの分流に分ける
。溶剤および水からなる混合物からなる分留(混合物(A))をこの場合に、カ
ラムの頂部から取り出し、かつ相分離器(25)に供給する(管(24))。溶
剤残分を有する水性相を管(26)を介して分離除去し、かつ溶剤ストリッパー
カラム(11)に有利にはラフィネートの供給部分の所で供給する。有機相を管
(27)を介して取り出し、かつ抽出器(7)に戻し供給する。
【0021】 カラム(8)から得られる、成分の酢酸、ギ酸および高沸点物質からなる第2
の分流(混合物(B))を溶剤蒸留カラム(8)から底部を介して取り出し、か
つ中間接続された蒸留カラム(29)に供給する(管(28))。カラム(29
)も同様に、常圧下に、有利には1×10〜50×10Pa、有利には1×
10〜25×10Pa、特に有利には1×10〜5×10Paの高圧化
に作動させる。このカラム(29)から頂部を介して純粋なギ酸を管(19)を
介して取り出す。底部を介して、酢酸および高沸点物質からなるギ酸不含混合物
を取り出し、かつ管(31)を介して酢酸蒸留カラム(5)に供給し、ここで残
流を純粋な酢酸と高沸点物質とに分ける。酢酸を頂部から管(17)を介して取
り出し、かつ高沸点物質を塔底から管(18)を介して分離除去する。
【0022】 本発明の方法の特別な1実施態様(図2)では、底部から管(28)を介して
一部の水を一緒に取り出し、かつ酢酸、ギ酸および高沸点物質と一緒に、中間接
続された蒸留カラム(29)に移すように、溶剤蒸留カラムを作動させる。この
場合、蒸留カラム(29)から、付加的な側面取り出し口を介して水を少量の酢
酸およびギ酸と共に管(35)を介して取り出し、かつ廃棄するか、または管(
35)を介して原料酸入り口(6)に、または抽出器(7)の別の位置に戻し供
給する。
【0023】 この実施態様では、溶剤カラム(8)での分離処理が図1に示した方法よりも
、水を一緒に取り出すことによりかなり簡単になる。さらにギ酸蒸留カラム(2
9)の付加的な側面取り出し口により、純粋なギ酸と酢酸および高沸点物質を含
有する塔底生成物とへの分離も簡単になる。
【0024】 本発明の方法のもう1つの実施態様(図3)でも同様に、分離を簡単にするた
めの溶剤蒸留カラム(8)を、底部で管(28)を介して分離除去される分流(
混合物(B))がなお少量の水を含有するように作動させる。酢酸、ギ酸および
水残分からなるこの塔底生成物を中間接続された蒸留カラム(29)中で、酢酸
および高沸点物質を含有するギ酸不含塔底生成物とギ酸、水および少量の酢酸を
含有する混合塔頂生成物とに分離する。
【0025】 ギ酸、水および少量の酢酸を含有する蒸留カラム(29)の塔頂生成物を引き
続き、管(19)を介してギ酸精製蒸留カラム(33)に供給する。このカラム
(33)をこの場合、中間接続された蒸留カラム(29)よりも低い圧力で作動
させる。カラム(33)とカラム(29)との圧力差はこの場合、0.1×10 Pa〜25×10Pa、有利には0.5×10〜5×10Paである。
ギ酸精製蒸留カラム(33)で生成物流を、塔頂生成物として管(34)を介す
る純粋なギ酸と酢酸、ギ酸および水を含有する混合塔底生成物とに分離する。こ
の塔底生成物を管(32)を介して、抽出物流に、または溶剤蒸留カラム(8)
の別の供給部位に戻し供給する。
【0026】 抽出器(7)からのラフィネート流(15)および相分離器(25)からの水
性相(26)を溶剤ストリッパーカラム(11)に供給する。このカラムの底部
で管(13)を介して純粋な水を取り出す。このカラムの塔頂生成物を相分離器
(9)に供給する。そこで生じる有機相を抽出器(7)に戻し供給し、水性相は
管(10)を介してストリッパーカラム(11)の頂部に供給する。
【0027】 この方法実施態様の大きな利点は、分離カラム(29)においてよりも低い圧
力での付加的なギ酸精製蒸留(33)により、分離カラム(29)の分離精度に
対する要求が明らかに低いことである。これにより、比較しうる方法に比べて著
しく改善されたギ酸純度で明らかなエネルギー節約が生じる。
【0028】 さらに蒸留カラム(29)の凝縮熱を熱接続で、ギ酸蒸留カラム(33)およ
び溶剤カラム(11)を加熱するために使用することができる。この分離処理の
前に接続された反応、例えば炭化水素の触媒気相酸化の反応熱も同様に、溶剤蒸
留カラム(8)、蒸留カラム(29)、ギ酸蒸留カラム(33)および酢酸蒸留
カラム(5)を加熱するために使用することができる。
【0029】 次の実施例で本発明の方法を図面を参照しつつ詳述する: 実施例1: 実施態様図3に示した装置で、抽出器(7)(定常スチール製充填物を有する
対向流抽出カラム、有機相を分散)に管(6)を介して酢酸12.9kg/h、
ギ酸2.6kg/h、水48.4kg/hおよび高沸点物質0.8kg/hから
なる原料酸流を供給した。管(27)および管(14)を介して抽出器(7)に
定常状態で、メチルt−ブチルエーテル(MTBE)135.4kg/h、水4
.0kg/h、酢酸0.5kg/hおよびギ酸0.2kg/hを含有する溶剤戻
し流を供給した。抽出器(7)から出た抽出物流はMTBE133.9kg/h
、酢酸13.1kg/h、水8.1kg/h、ギ酸2.6kg/hおよび高沸点
物質0.1kg/hからなった。抽出器(7)から管(15)を介して出たラフ
ィネート流は水44.7kg/h、MTBE1.5kg/h、酢酸0.4kg/
h、ギ酸0.2kg/hおよび高沸点物質0.7kg/hからなった。
【0030】 溶剤蒸留カラム(8)および蒸留カラム(29)を圧力2.75×10Pa
で作動させた。ギ酸精製カラム(33)および酢酸精製カラム(5)を圧力1×
10Paで作動させた。
【0031】 溶剤カラム(8)の底部で管(28)を介して温度147℃で、酢酸13.4
kg/h、ギ酸3.7kg/h、水0.2kg/hおよび高沸点物質0.1kg
/hからなる流を排出させた。管(24)を介してカラム(8)の頂部と接続さ
れた相分離器(25)から、MTBE133.8kg/h、酢酸0.5kg/h
、ギ酸0.2kg/hおよび水4.1kg/hを含有する有機相を管(27)を
介して、抽出器(7)の溶剤入り口に戻し供給した。管(26)を介しての水性
相の排出流は酢酸0.03kg/h、ギ酸0.01kg/h、水4.1kg/h
およびMTBE0.1kg/hからなった。
【0032】 蒸留カラム(29)の底部から温度154.1℃で、酢酸12.6kg/hお
よび高沸点物質0.1kg/hを含有する流を管(31)を介して取り出した。
酢酸精製カラム(5)の底部で、温度143.6℃で管(18)を介して、酢酸
0.06kg/hおよび高沸点物質0.1kg/hを含有する流を取り出した。
【0033】 ギ酸精製カラム(33)の頂部から管(34)を介しての排出流はギ酸2.4
kg/hであった。管(32)を介して、ギ酸精製カラム(33)の底部から温
度106.2℃で、酢酸0.8kg/h、ギ酸1.3kg/hおよび水0.2k
g/hからなる流を溶剤蒸留カラム(8)の入り口に戻し供給した。
【0034】 溶剤ストリッパーカラム(11)の底部から管(13)を介する水排出流は水
48.4kg/h、酢酸0.4kg/h、ギ酸0.2kg/hおよび高沸点物質
0.7kg/hを含有した。抽出器(7)の溶剤入り口への、溶剤ストリッパー
(11)の相分離器(9)から管(14)を介する有機相の戻し流はMTBE1
.6kg/h、酢酸0.01kg/h、ギ酸0.01kg/hおよび水0.05
kg/hからなった。
【0035】 原料酸混合物を99.9質量%濃度のギ酸2.4kg/h、99.9質量%濃
度の酢酸12.5kg/hおよび97.5質量%濃度の水49.6kg/hに分
離するために、蒸留カラム前での供給物予備加熱を行うことなく、次のエネルギ
ー使用が必要であった: 溶剤蒸留カラム(8)での底部加熱20.5kW 分離カラム(29)での底部加熱:10kW ギ酸精製カラム(33)での底部加熱:5kW 酢酸精製カラム(5)での底部加熱:3.4kW 溶剤ストリッパーカラム(11)での底部加熱:4kW 合計43kW(酸1kg当たり2.87kWに相当)。
【0036】 実施例2: 実施態様図3に示した装置で、抽出器(7)に(定常スチール製充填物を有す
る対向流抽出カラム、有機相を分散)に管(6)を介して、酢酸12.9kg/
h、ギ酸2.6kg/h、水48.4kg/hおよび高沸点物質0.8kg/h
を含有する原料酸流を供給した。管(27)および管(14)を介して抽出器(
7)に、メチルt−ブチルエーテル(MTBE)135.4kg/h、水4.0
kg/h、酢酸0.5kg/hおよびギ酸0.2kg/hを含有する溶剤戻し流
を供給した。抽出器(7)から出た抽出物流はMTBE133.9kg/h、酢
酸13.1kg/h、水8.1kg/h、ギ酸2.6kg/hおよび高沸点物質
0.1kg/hからなった。管(15)を介して抽出器(7)から出たラフィネ
ート流は水44.6kg/h、MTBE1.5kg/h、酢酸0.4kg/h、
ギ酸0.2kg/hおよび高沸点物質0.7kg/hからなった。
【0037】 溶剤蒸留カラム(8)および蒸留カラム(29)を圧力1.0×10Paで
作動させた。ギ酸精製カラム(33)を圧力0.25×10Paで作動させた
。酢酸精製カラム(5)を圧力1×10Paで作動させた。
【0038】 溶剤カラム(8)の底部で温度110℃で管(28)を介して、酢酸13.4
kg/h、ギ酸3.7kg/h、水0.2kg/hおよび高沸点物質0.1kg
/hを含有する流を排出させた。管(24)を介してカラム(8)の頂部と接続
されている相分離器(25)から、管(27)を介してMTBE133.8kg
/h、酢酸0.5kg/h、ギ酸0.2kg/hおよび水4.0kg/hを含有
する有機相を抽出器(7)の溶剤入り口に戻し供給した。管(26)を介する水
性相の排出流は酢酸0.03kg/h、ギ酸0.01kg/h、水4.0kg/
hおよびMTBE0.1kg/hからなった。
【0039】 蒸留カラム(29)の底部で温度117.8℃で管(31)を介して、酢酸1
2.6kg/hおよび高沸点物質0.1kg/hからなる流を取り出した。酢酸
精製カラム(5)の底部で管(18)を介して温度143.6℃で、酢酸0.1
kg/hおよび高沸点物質0.1kg/hからなる流を取り出した。
【0040】 管(34)を介するギ酸精製カラム(33)の頂部からの排出流はギ酸2.4
kg/hであった。管(32)を介して、ギ酸精製カラム(33)の底部から温
度68.6℃で、酢酸0.8kg/h、ギ酸1.3kg/hおよび水0.2kg
/hからなる流を溶剤蒸留カラム(8)の入り口に戻し供給した。
【0041】 溶剤ストリッパーカラム(11)の底部からの管(13)を介する水排出流は
水48.4kg/h、酢酸0.4kg/h、ギ酸0.2kg/hおよび高沸点物
質0.7kg/hを含有した。抽出器(7)の溶剤入り口への、溶剤ストリッパ
ー(11)の相分離器(9)からの管(14)を介する有機相の戻し流はMTB
E1.6kg/h、酢酸0.01kg/h、ギ酸0.01kg/hおよび水0.
01kg/hからなった。
【0042】 原料酸混合物を99.9質量%濃度のギ酸2.4kg/h、99.9質量%濃
度の酢酸12.5kg/hおよび97.5質量%濃度の水49.6kg/hに分
離するために、蒸留カラムの前で供給物予備加熱することなく、次のエネルギー
使用が必要であった: 溶剤蒸留カラム(8)での底部加熱30kW 分離カラム(29)での底部加熱:18kW ギ酸精製カラム(33)での底部加熱:3kW 酢酸精製カラム(5)での底部加熱:5kW 溶剤ストリッパーカラム(11)での底部加熱:4.5kW 合計60.5kW(酸1kg当たり4.05kWに相当)。
【0043】 実施例3: 実施態様図2に示した装置で抽出器(7)(定常スチール製充填物を有する対
向流抽出カラム、有機相を分散)に管(6)を介して、酢酸12.8kg/h、
ギ酸2.5kg/h、水48.6kg/hおよび高沸点物質0.8kg/hから
なる原料酸流を供給した。管(27)および管(14)を介して抽出器(7)に
、メチルt−ブチルエーテル(MTBE)179.7kg/h、水1.9kg/
h、酢酸0.4kg/hおよびギ酸0.1kg/hからなる溶剤戻し流を供給し
た。抽出器(7)から出た抽出物流はMTBE178.3kg/h、酢酸13.
1kg/h、水9.8kg/h、ギ酸2.6kg/hおよび高沸点物質0.2k
g/hからなった。抽出器(7)から管(15)を介して出たラフィネート流は
水40.7kg/h、MTBE1.3kg/h、酢酸0.2kg/h、ギ酸0.
1kg/hおよび高沸点物質0.6kg/hからなった。
【0044】 溶剤蒸留カラム(8)および蒸留カラム(29)を圧力2.75×10Pa
で作動させた。酢酸精製カラム(5)を圧力1×10Paで作動させた。
【0045】 溶剤カラム(8)の底部で管(28)を介して温度148.7℃で、酢酸12
.6kg/h、ギ酸2.4kg/h、水0.1kg/hおよび高沸点物質0.2
kg/hを含有する流を排出させた。頂部を介して管(24)により分離除去さ
れた分流を相分離器(25)に供給し、そこで分離した。MTBE177.9k
g/h、酢酸0.4kg/h、ギ酸0.1kg/hおよび水1.8kg/hから
なる得られた有機相を管(27)を介して抽出器(7)に戻し供給した。管(2
6)を介しての水性相の排出流は酢酸0.03kg/h、ギ酸0.02kg/h
、水7.8kg/hおよびMTBE0.4kg/hからなった。
【0046】 蒸留カラム(29)の底部で管(31)を介して温度154.2℃で、酢酸1
2.5kg/h、ギ酸0.01kg/hおよび高沸点物質0.1kg/hからな
る流を取り出した。酢酸精製カラム(5)の底部で管(18)を介して温度15
0℃で、酢酸0.04kg/hおよび高沸点物質0.1kg/hからなる流を取
り出した。
【0047】 管(19)を介する蒸留カラム(29)の頂部からの排出流は酢酸0.01k
g/h、ギ酸2.4kg/hおよび水0.01kg/hを含有した。管(35)
を介してカラム(29)から、酢酸0.05kg/h、ギ酸0.8kg/hおよ
び水0.1kg/hを含有する側面排出流を取り出した。
【0048】 溶剤ストリッパーカラム(11)の底部からの管(13)を介する水排出流は
水48.5kg/h、酢酸0.3kg/h、ギ酸0.08kg/hおよび高沸点
物質0.6kg/hを含有した。溶剤ストリッパー(11)の相分離器(9)か
らの管(14)を介する、抽出器への有機相の戻し流はMTBE1.7kg/h
、酢酸0.01kg/h、ギ酸0.01kg/hおよび水0.05kg/hから
なった。
【0049】 原料酸混合物を98.6質量%濃度のギ酸1.6kg/h、99.99質量%
濃度の酢酸12.5kg/hおよび98.1質量%濃度の水49.4kg/hに
分離するために、蒸留カラム前で供給物予備加熱を行うことなく、次のエネルギ
ー使用が必要であった: 溶剤蒸留カラム(8)での底部加熱:22.5kW 分離カラム(29)での底部加熱:10kW 酢酸精製カラム(5)での底部加熱:4kW 溶剤ストリッパーカラム(11)での底部加熱:4.5kW 合計41kW(酸1kg当たり2.9kWに相当)。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明を実施するための装置の1実施態様。
【図2】 本発明を実施するための装置の1実施態様。
【図3】 本発明を実施するための装置の1実施態様。
【符号の説明】
5 酢酸蒸留カラム、 8 溶剤蒸留カラム、 11 溶剤ストリッパーカラ
ム、 29 中間接続された蒸留カラム、 33 ギ酸精製蒸留カラム
【手続補正書】
【提出日】平成14年1月21日(2002.1.21)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項17
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】 本発明の目的は、循環法で溶剤を用いる抽出により主成分の酢酸、ギ酸および
高沸点物質からなる水性混合物を分離および精製するための方法であり、これは
、水を循環から除去するために大部分が水であるラフィネート流を溶剤ストリッ
パーカラム(11)に供給し、かつ抽出物流を溶剤蒸留カラム(8)に導入し、
そこから第1の工程で頂部からは、水および溶剤からなる混合物(A)を、底部
からは酢酸、ギ酸および高沸点物質からなる混合物(B)を分離除去し、混合物
(B)をカラム(29)でのギ酸の分離除去の後に、引き続き酢酸蒸留カラム( 5)で 純粋な酢酸と高沸点物質とに分離し、かつ混合物(A)を相分離器(25
)に供給し、そこで生じた溶剤残分を有する水性相を溶剤ストリッパーカラム(
11)に、かつ有機相を抽出器(7)に戻し供給することを特徴とする。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ハラルト ヘルベルト フォイト ドイツ連邦共和国 ライシャッハ ゲオル ゲンシュトラーセ 7 (72)発明者 ミヒャエル ハルマン オーストリア国 ホッホブルク−アッハ ドゥッテンドルフ 103 (72)発明者 メーメット ギュナルタイ ドイツ連邦共和国 エメルティング ヘッ ケンヴェーク 12 (72)発明者 バーバラ ヴィルト ドイツ連邦共和国 エメルティング ホイ フェルダーヴェーク 23 (72)発明者 ハンス−ユルゲン エーベルレ ドイツ連邦共和国 ミュンヘン アルフレ ート−クービン−ヴェーク 44 Fターム(参考) 4H006 AA02 AD11 AD16 BB11 BB14 BB15 BB17 BC35 BC51 BC52 BD35 BD53 BD80 BS10

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 循環法で溶剤を用いる抽出により主成分の酢酸、ギ酸および
    高沸点物質からなる水性混合物を分離および精製するための方法において、水を
    循環から除去するために大部分が水であるラフィネート流を溶剤ストリッパーカ
    ラム(11)に供給し、かつ抽出物流を溶剤蒸留カラム(8)に導入し、そこか
    ら第1の工程で頂部からは、水および溶剤からなる混合物(A)を、底部からは
    酢酸、ギ酸および高沸点物質からなる混合物(B)を分離除去し、混合物(B)
    をカラム(29)でのギ酸の分離除去の後に、引き続き酢酸蒸留カラムで純粋な
    酢酸と高沸点物質とに分離し、かつ混合物(A)を相分離器に供給し、その際、
    溶剤残分を有する水性相を溶剤ストリッパーカラム(11)に、かつ有機相を抽
    出器(7)に戻し供給することを特徴とする、主成分の酢酸、ギ酸および高沸点
    物質からなる水性混合物を分離および精製するための方法。
  2. 【請求項2】 溶剤蒸留カラム(8)を常圧下に作動させる、請求項1に記
    載の方法。
  3. 【請求項3】 溶剤蒸留カラム(8)を1×10〜50×10Paの高
    圧下に作動させる、請求項1に記載の方法。
  4. 【請求項4】 抽出器を1段階または複数段階で作動させる、請求項1から
    3までのいずれか1項に記載の方法。
  5. 【請求項5】 抽出器中の溶剤循環を原料酸に対して対向流で流れさせる、
    請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
  6. 【請求項6】 溶剤として、炭素原子4〜8個を有する飽和、不飽和および
    /または環式炭化水素を使用する、請求項1から5までのいずれか1項に記載の
    方法。
  7. 【請求項7】 溶剤として、エーテル、エステル、ケトン、炭化水素および
    アルコールからなる群からの1種または複数の化合物を使用する、請求項1から
    5までのいずれか1項に記載の方法。
  8. 【請求項8】 溶剤として、メチルt−ブチルエーテル、ジイソプロピルエ
    ーテル、ジ−n−プロピルエーテル、エチルブチルエーテル、酢酸エチルおよび
    酢酸イソプロピルからなる群からの1種または複数の化合物を使用する、請求項
    1から7までのいずれか1項に記載の方法。
  9. 【請求項9】 温度0〜60℃および圧力1×10〜20×10Paで
    抽出を実施する、請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法。
  10. 【請求項10】 溶剤が、原料酸に対して混合比(容量/容量)0.5〜2
    0倍で存在する、請求項1から9までのいずれか1項に記載の方法。
  11. 【請求項11】 中間接続された蒸留カラム(29)を圧力1×10〜5
    0×10で作動させる、請求項1から10までのいずれか1項に記載の方法。
  12. 【請求項12】 なお少量の水が生成物流に残留するように、溶剤蒸留カラ
    ム(8)を作動させる、請求項1から11までのいずれか1項に記載の方法。
  13. 【請求項13】 中間接続された蒸留カラム(29)が側面取り出し口を備
    えていて、そこから分流を取り出す、請求項1から12までのいずれか1項に記
    載の方法。
  14. 【請求項14】 成分の酢酸、ギ酸、高沸点物質および水残分からなる混合
    物(B)を中間接続された蒸留カラム(29)中で、酢酸および高沸点物質を含
    有するギ酸不含塔底生成物とギ酸、水および少量の酢酸を含有する混合塔頂生成
    物とに分離し、その際、カラム(29)からの塔底生成物を後に接続された酢酸
    蒸留カラム(5)で純粋な酢酸と高沸点物質とに分離し、かつカラム(29)か
    らの塔頂生成物をギ酸精製蒸留カラム(33)に供給し、そこでこれを塔頂生成
    物としての純粋なギ酸と、酢酸、ギ酸および水を含有する混合塔底生成物とに分
    離し、後者を溶剤蒸留カラム(8)への抽出物流に戻し供給する、請求項1から
    13までのいずれか1項に記載の方法。
  15. 【請求項15】 中間接続された蒸留カラム(29)よりも0.1×10 〜25×10Pa低い圧力でギ酸精製蒸留カラム(33)を作動させる、請求
    項14に記載の方法。
  16. 【請求項16】 蒸留カラム(29)の凝縮熱を、ギ酸蒸留カラム(33)
    および/または溶剤蒸留カラム(11)を加熱するために使用する、請求項1か
    ら15までのいずれか1項に記載の方法。
  17. 【請求項17】 前に接続された反応の反応熱を、溶剤蒸留カラム(8)、
    蒸留カラム(29)、酢酸蒸留カラム(5)およびギ酸蒸留カラム(33)を含
    むカラムの1つまたは複数を加熱するために使用する、請求項1から16までの
    いずれか1項に記載の方法。
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