JP3684197B2 - 主成分の酢酸およびギ酸からなる水性混合物を分離および精製するための方法 - Google Patents

主成分の酢酸およびギ酸からなる水性混合物を分離および精製するための方法 Download PDF

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Description

【0001】
本発明は主成分の酢酸およびギ酸からなる水性反応混合物を分離および精製するための方法に関する。
【0002】
例えばC−炭化水素の気相酸化のように飽和および/または不飽和炭化水素を触媒酸化反応させることにより酢酸を製造する場合に、主成分としての酢酸、ギ酸および水を様々な組成で含有する生成物流が生じる。
【0003】
更なる後処理のためにこれらの生成物流をその個々の成分に分離する必要がある。酢酸、ギ酸および水からなる3成分系の酸−水混合物をその純粋な成分に蒸留による分離することは例えば、かなりの難問である。それというのもこの系は、2成分系の水−ギ酸極大共沸点の他に更に3成分系の水−ギ酸−酢酸鞍型共沸点を有するためである。
【0004】
このような混合物が高い水濃度を有する場合には、全ての水を低沸点成分としてカラムの頂部を介して蒸留させなければならないので、蒸留による分離の際に莫大な付加的エネルギー需要が生じる。
【0005】
HunsmannおよびSimmrock(Chemie-Ing.-Tec., 38, 1966)は60質量%より多い酢酸含有率および5質量%のギ酸含有率を有する水性混合物を分離するために、分離を簡単にし、かつその際に必要なエネルギーを低減するために共沸蒸留を使用することを推奨している。脱水のための共沸共留剤としてエチル−n−ブチルエーテルを提案している。水および共留剤からなる共沸混合物は約91℃で沸騰し、水約10質量%を含有する。この場合に共留剤のエチル−n−ブチルエーテルはギ酸および酢酸とともに共沸混合物を形成しない。
【0006】
DE−A1204214ではギ酸を分離除去するために、共留剤として塩化n−ブチルを用いる共沸混合物精留が推奨されている。この方法の欠点は共留剤として塩化炭化水素を使用することである。
【0007】
共沸蒸留により、ギ酸および酢酸からなる2成分系混合物を分離するための方法がUS−A5633402から公知である。ギ酸のための共留剤としてこの場合には、ギ酸メチルを使用する。水を分離除去することはこの方法には記載されていない。
【0008】
DE−A4426132、EP−A0635474、DE−A19610356(US−A5662780)から、種々の共留剤との共沸混合物を用いて酢酸を精製し、かつ脱水するための様々な方法が公知である。しかしこれらの方法のいずれも、酢酸およびギ酸からなる混合物の脱水を記載していない。
【0009】
US−A5173156、US−A5006205、US−A4877490およびUS−A4935100から、抽出精留によるギ酸の脱水法が公知である。これらの場合、共留剤として例えばシクロヘキサノン、シュウ酸、デカン酸およびサリチル酸メチルが挙げられる。
【0010】
EP−A156309(CA−A1238919)およびEP−A12321(US−A4262140)は助剤としてカルボキサミドを用いての抽出精留によるギ酸の脱水を記載している。しかしこれらの方法のいずれも酢酸およびギ酸からなる混合物の脱水は記載していない。
【0011】
Stanford Research Instituteの"Process Economics Program"(Report No. 37A(1973))から、ほぼ酢酸42質量%およびギ酸2質量%からなる水性混合物を分離する方法が公知である。この水性混合物をこの場合、ジイソプロピルエーテルを用いる対向流抽出により濃縮する。脱水カラムおよび溶剤回収カラムで、水およびジイソプロピルエーテルからなる共沸混合物として水を頂部から留去させる。水約0.12質量%を有する酢酸およびギ酸からなる混合物である底部生成物を共沸精留により更に分離する。ギ酸のための共留剤としてはベンゼンを使用する。この方法の大きな欠点は分離されたギ酸の低い品質であり、これはまだなお酢酸約1質量%および水約2質量%およびベンゼン約7質量%を含有する。方法でベンゼンを使用することおよびギ酸中にベンゼンが残留含有されることはこの方法を魅力の無いものとしている。
【0012】
従来技術で公知の全ての方法は、2成分系混合物、例えば酢酸/水、ギ酸/水そして酢酸/ギ酸を十分に分離するために好適なだけであるか、または高濃度の酸(>60質量%)がそこに存在する水性酸混合物のために経済的に使用することができるだけである。更に、公知の方法のいくつかはベンゼンまたは塩化炭化水素の使用により、今日の安全性および環境的見地にもはやそぐわない。
【0013】
従って本発明の課題は、従来技術で挙げられた欠点を有しない、複数の酸からなる3成分系水性混合物をその純粋な成分に分離するための方法を提供することである。
【0014】
さて、第1の工程で溶剤を用いて循環法で抽出し、引き続き主に溶剤、酢酸、ギ酸、高沸点物質および水からなる抽出物流を一連の蒸留工程で、成分である、抽出に戻し導入される溶剤、水、ギ酸、酢酸および高沸点物質に分離し、かつ溶剤ストリッパーカラムを用いるもう1つの蒸留工程で、ラフィネート流から溶剤を除去すると、主成分の酢酸、ギ酸、水および高沸点物質からなる混合物(以下では、原料酸と記載)の分離および精製を特に良好に実施することができることを発見した。
【0015】
本発明の目的は溶剤を用いての循環法での抽出により、主成分の酢酸、ギ酸および高沸点物質からなる水性混合物を分離および精製するための方法であり、これは、水を循環から除去するために、大部分が水であるラフィネート流を溶剤ストリッパーカラム(11)に供給し、かつ抽出物流を溶剤蒸留カラム(8)に導入し、そこから第1の工程で頂部からは大部分が溶剤である混合物(A)を(管(1))、側面取り出し口からはギ酸、水および溶剤からなる混合物(B)を、そして底部からは酢酸および高沸点物質からなる混合物(C)を分離除去し、かつ更に処理するために混合物(B)はギ酸蒸留カラム(4)に(管(2))、かつ混合物(C)は酢酸蒸留カラム(5)に移し(管(3))、引き続き酢酸蒸留カラム(5)で頂部から純粋な酢酸を単離し、ギ酸蒸留カラム(4)で底部から純粋なギ酸を単離し、かつ頂部から溶剤および水からなる混合物を取り出し、これを、水分の分離除去の後に混合物(A)と共に抽出器(7)に戻し供給することを特徴とする。
【0016】
本発明の方法(図1)の第1の工程(抽出)では、変動成分の酢酸、ギ酸、水および高沸点物質からなる使用原料酸を抽出器(7)に供給し、かつ溶剤と接触させる。抽出器(7)はここでは1段階で、または有利には複数段階で構成されていてよい。溶剤流はこの方法では原料酸の流の方向に合わせるか、または有利には原料酸に対して対向流にすることができる。溶剤としてこの場合、4〜8個の炭素原子を有するエーテル、エステル、ケトン、アルコール、飽和、不飽和および環式炭化水素およびそれらの混合物、有利には4〜7個の炭素原子を有するエーテルおよびエステル、特に有利にはメチルt−ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジ−n−プロピルエーテル、エチルブチルエーテル、酢酸エチルおよび酢酸イソプロピルを原料酸に対する混合比0.5〜20倍、有利には1〜5倍、特に有利には1.5〜3.5倍(容量/容量比)で使用することができる。この抽出は、抽出溶剤および原料酸が液状で、かつ分離相として、即ちミシビリティギャップを伴って存在する温度および圧力範囲で行うことができる。温度範囲0〜60℃および圧力範囲1×10〜20×10Paが有利である。
【0017】
抽出器(7)から得られたラフィネートを管(15)を介して溶剤ストリッパーカラム(11)に供給し、そこで底部から純粋な水を取り出す(管(13))。溶剤ストリッパーカラムの頂部生成物を相分離器(9)に供給する。ここで生じる水性相を管(10)を介して溶剤ストリッパーカラム(11)の頂部に戻し供給し、有機相を管(14)を介して抽出器(7)に戻し供給する。
【0018】
抽出器(7)から取り出した、溶剤、酢酸、ギ酸、水および高沸点物質を含有する抽出物を抽出器(7)から溶剤蒸留カラム(8)に供給する。このカラムで、蒸留により抽出物を3つの分流に分ける。
【0019】
大部分の溶剤および残分の酸および水からなる分流(混合物(A))をこの場合、カラムの頂部から取り出し、かつ溶剤ストリッパーカラム(11)の相分離器(9)に供給する。もしくはこの分流を、相分離器を回避して直接、抽出器(7)に戻し供給することもできる。
【0020】
成分の水、溶剤およびギ酸からなるもう1つの分流(混合物(B))を、側面取り出し口を介して溶剤蒸留カラム(8)から蒸気状で取り出し、かつギ酸蒸留カラム(4)に供給して、その底部から管(19)を介して純粋なギ酸を分離除去する。頂部を介して、カラム(4)から溶剤および水からなる混合物を取り出し、かつ管(16)を介して相分離器(9)に供給する。そこで有機層を水から分離し、かつ管(14)を介して抽出器(7)に戻し供給する。酢酸および高沸点物質からなる残りの分流(混合物(C))を溶剤蒸留カラム(8)の底部を介して分離除去し、かつ純粋な酢酸および高沸点物質に分けるために酢酸蒸留カラム(5)に供給する。酢酸を頂部から管(17)を介して取り出し、かつ高沸点物質をカラム底部から管(18)を介して分離除去する。
【0021】
前記の実施態様では、溶剤カラム(8)の側面取り出し口により供給物を蒸気状で取り出し、かつそれを蒸気状でギ酸蒸留カラムに供給することにより、このような処置を伴わない系に比べてエネルギーの節約が生じる。
【0022】
前記の本発明の方法の特別な実施態様(図2)では、ギ酸蒸留カラム(4)は付加的な側面取り出し口を有する。ここから、分離を簡単にするために水、ギ酸および溶剤を含有する混合物の少量の分流を取り出し、かつ別に集めるか、または供給管(23)を介して原料酸入り口(6)に、または抽出器(7)の別の位置に戻し供給する。カラム(4)の底部で、純粋なギ酸を管(19)を介して取り出す。ギ酸蒸留カラム(4)の頂部に生じる、溶剤、水および酸痕跡量を含有する混合物を管(16)を介して抽出器(7)に戻し供給する。
【0023】
カラムに側面取り出し口を取り付けることにより、ギ酸蒸留の際のエネルギー需要が低減することは、この実施態様の特別な利点である。
【0024】
本発明の方法のもう1つの特別な実施態様(図3)では、溶剤カラム(8)から側面取り出し口を介してガス状で取り出された、水、溶剤およびギ酸からなる混合物からなる分流(混合物(B))をギ酸蒸留カラム(4)に供給する前に凝縮し、かつ相分離器(20)に供給する。分離された有機相を管(22)を介して、1×10〜10×10Paの高圧で処理するギ酸蒸留カラム(4)にポンプ導入する。このカラムの底部で管(19)を介して純粋なギ酸を取り出す。このカラムの頂部に生じる溶剤、水および酸痕跡量を含有する混合物を管(16)を介して溶剤ストリッパーカラム(11)の相分離器(9)に供給する。もしくはこの分流を、相分離器を回避させて直接、抽出器(7)に戻し供給することもできる。相分離器(20)からの水性相を別に集めるか、または管(21)を介して原料酸入り口(6)に、または抽出器(7)の別の位置に戻し供給する。この実施態様の特別な利点は、さらなるエネルギー節約にある。溶剤蒸留カラム(8)の側面取り出し口から取り出された分流(混合物(B))を凝縮し、引き続き相分離することにより大部分の水を、エネルギー経費のかかる蒸留を伴うことなく分離除去することができる。加えて、高い運転圧力およびギ酸蒸留カラム(4)の供給物中の低い水含有率が、純粋なギ酸の分離除去を容易にする。
【0025】
本発明の方法のもう1つの特別な実施態様(図4)では、側面取り出し口を介して溶剤カラム(8)からガス状で取り出された、水、溶剤およびギ酸からなる混合物からなる分流(混合物(B))をギ酸蒸留カラム(4)に供給する前に凝縮し(図3に同じ)、かつ相分離器(20)に供給する。生じた有機相を管(22)を介して、1×10〜10×10Paの高圧で作動させるギ酸蒸留カラム(4)にポンプ導入する。このカラムの底部で、供給管(19)を介して純粋なギ酸を取り出す。このカラムの頂部に生じる溶剤、水および酸痕跡量からなる混合物を直接、管(16)を介して抽出器(7)に戻し供給する。ギ酸蒸留カラム(4)はこの実施態様では付加的に側面取り出し口(23)を有する。ここで、分離を容易にするために水、ギ酸および溶剤を含有する混合物の少量の分流を取り出して、集めるか、または原料酸入り口(6)に、または抽出器(7)の別の位置に戻し供給する。相分離器(20)からの水性相を管(21)を介して同様に集めるか、または原料酸取入れ口(6)または抽出器(7)の別の位置に戻し供給する。この実施態様の特別な利点は、カラム(4)に側面取り出し口を取り付けることによりギ酸蒸留の際のエネルギー需要が付加的に低減することである。同時に、溶剤蒸留カラム(8)の側面取り出し口から取り出された分流(混合物(B)を凝縮し、引き続き相分離することにより、エネルギー経費のかかる蒸留を行わずに大部分の水を分離除去することができる。加えて、ギ酸蒸留カラム(4)の供給物中の低い水含有率により、純粋なギ酸の分離が簡単になる。
【0026】
次の例では、本発明の方法を図面に関連させて詳述する。
【0027】
実施例1:
図1に記載の本発明の装置では抽出器(7)(定常スチール製充填物を有する対向流抽出カラム、有機相を分散)に、管(6)を介して、酢酸12.7kg/h、ギ酸2.9kg/h、水49.7kg/hおよび高沸点物質0.2kg/hからなる原料酸流を供給する。定常状態で、抽出器(7)への管(14)を介しての溶剤の逆流を、これがメチルt−ブチルエーテル(MTBE)150kg/h、水6kg/hおよびギ酸0.02kg/hを含有するように調節する。抽出器(7)から取り出された抽出流はMTBE150kg/h、酢酸12.7kg/h、水6.0kg/h、ギ酸2.9kg/hおよび高沸点物質0.2kg/hからなる。
【0028】
溶剤蒸留カラム(8)および酢酸精製カラム(5)を圧力約1×10Paで作動させた。ギ酸精製カラム(4)は圧力約5×10Paで作動させた。
【0029】
溶剤カラム(8)の底部で温度121℃で酢酸12.7kg/hおよび高沸点物質0.2kg/hを含有する分流(混合物(C))を管(3)を介して排出させた。このカラムの側面取り出し口からMTBE18.4kg/h、酢酸0.02kg/h、ギ酸2.9kg/hおよび水3.0kg/hからなり、温度84℃を有する分留(混合物(B))を排出させた。このカラムの頂部で温度56℃で、MTBE131.6kg/h、水3.0kg/hおよびギ酸0.01kg/hを含有する分流(混合物(A))を排出させた。
【0030】
酢酸カラム(5)の底部で温度181.7℃で管(18)を介して高沸点物質0.2kg/hを取り出した。酢酸カラム(5)の頂部で温度117.6℃で管(17)を介して酢酸12.7kg/hを取り出した。
【0031】
ギ酸精製カラム(4)の頂部で温度117℃で、MTBE18.4kg/h、ギ酸0.01kg/hおよび水3.0kg/hからなる流を取り出した。ギ酸カラム(4)の底部で温度164℃で管(19)を介して酢酸0.02kg/hおよびギ酸2.9kg/hを取り出した。
【0032】
原料酸混合物を99.28質量%濃度のギ酸2.9kg/hおよび99.99質量%濃度の酢酸12.7kg/hに分離するために、蒸留カラム前で供給物予備加熱することなく次のエネルギー使用が必要であった:
溶剤蒸留カラム(8)の底部加熱:35kW
ギ酸カラム(4)の底部加熱:15kW
酢酸精製カラム(5)の底部加熱:4.5kW
合計:54.5kW(酸1kg当たり3.5kWに相当)。
【0033】
実施例2:
実施態様図3に記載の装置で、抽出器(7)(定常スチール製充填物を有する対向流抽出カラム、有機相を分散)に管(6)を介して、酢酸12.7kg/h、ギ酸2.9kg/h、水47.8kg/hおよび高沸点物質0.2kg/hを含有する原料酸流を供給した。定常状態で、抽出器(7)への管(14)を介しての溶剤逆流が、これがメチルt−ブチルエーテル(MTBE)150.0kg/h、水4.0kg/hおよびギ酸0.03kg/hを含有するように調節した。抽出器(7)から出た抽出物流はMTBE150.0kg/h、酢酸12.7kg/h、水6.0kg、ギ酸2.9kg/hおよび高沸点物質0.2kg/hからなった。
【0034】
溶剤蒸留カラム(8)および酢酸精製カラム(5)を圧力約1×10Paで作動させた。ギ酸精製カラム(4)は圧力約5×10Paで作動させた。
【0035】
溶剤カラム(8)の底部で温度121℃で酢酸12.7kg/hおよび高沸点物質0.2kg/hを含有する混合物(C)を管(3)を介して排出させた。カラム(8)の側面取り出し口から温度84℃で、MTBE18.4kg/h、酢酸0.02kg/h、ギ酸2.9kg/hおよび水3.0kg/hからなる混合物(B)を排出させた。このカラムの頂部で温度56℃でMTBE131.6kg/h、水3.0kg/hおよびギ酸0.01kg/hからなる混合物(A)を排出させた。混合物(B)を凝縮させ、かつ管(2)を介して相分離器(20)に供給した。生じた相を引き続き分離した。MTBE18.2kg/h、水1.0kg/h、酢酸0.01kg/hおよびギ酸2.5kg/hを含有する有機相を管(22)を介して排出させ、かつ供給物としてギ酸カラム(4)に供給した。水2.0kg/h、酢酸0.01kg/hおよびギ酸0.4kg/hを含有する水性相を別に集めた。
【0036】
酢酸カラム(5)の底部で温度181.7℃で管(18)を介して高沸点物質0.2kg/hを取り出した。酢酸カラム(5)の頂部で温度117.6℃で管(17)を介して酢酸12.7kg/hを取り出した。
【0037】
ギ酸精製カラム(4)の頂部で温度115℃で管(16)を介して、MTBE18.2kg/h、ギ酸0.02kg/hおよび水1.0kg/hを含有する流を取り出した。ギ酸カラム(4)の底部で温度164℃で管(19)を介して酢酸0.01kg/hおよびギ酸2.5kg/hを取り出した。
【0038】
原料酸混合物を99.65質量%濃度のギ酸2.5kg/hおよび99.99質量%濃度の酢酸12.7kg/hに分けるために、蒸留カラム前で供給物予備加熱をすることなく次のエネルギー使用が必要であった:
溶剤蒸留カラム(8)の底部加熱:35kW
ギ酸カラム(4)の底部加熱:7kW
酢酸精製カラム(5)の底部加熱:4.5kW
合計:47kW(酸1kg当たり3.1kWに相当)。
【0039】
これに対して、従来技術による原料酸混合物の分離は酸1kg当たり少なくとも4kWのエネルギー使用を必要とし、かつ不純な(水、酢酸、共留剤、例えばベンゼンまたは塩化炭化水素を伴う)ギ酸をもたらす。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明を実施するための装置の1実施態様。
【図2】 本発明を実施するための装置の1実施態様。
【図3】 本発明を実施するための装置の1実施態様。
【図4】 本発明を実施するための装置の1実施態様。
【符号の説明】
4 ギ酸蒸留カラム、 5 酢酸蒸留カラム、 7 抽出器、 8 溶剤蒸留カラム、 9 相分離器、、 11 溶剤ストリッパーカラム、 20 相分離器

Claims (12)

  1. 溶剤を用いて循環法で抽出することにより、主成分の酢酸、ギ酸および高沸点物質からなる水性混合物を分離および精製するための方法において、水を循環から除去するために、大部分が水であるラフィネート流を溶剤ストリッパーカラム(11)に供給し、かつ抽出物流を溶剤蒸留カラム(8)に導入し、そこから第1の工程で頂部からは大部分が溶剤である混合物(A)を、側面取り出し口からはギ酸、水および溶剤からなる混合物(B)を、そして底部からは酢酸および高沸点物質からなる混合物(C)を分離除去し、かつ更に処理するために混合物(B)はギ酸蒸留カラム(4)に、かつ混合物(C)は酢酸蒸留カラム(5)に移し、引き続き酢酸蒸留カラム(5)で頂部から純粋な酢酸を単離し、ギ酸蒸留カラム(4)で底部から純粋なギ酸を単離し、かつ頂部から溶剤および水からなる混合物を取り出し、これを、水分の分離除去の後に混合物(A)と共に抽出器(7)に戻し供給することを特徴とする、主成分の酢酸、ギ酸および高沸点物質からなる水性混合物を分離および精製するための方法。
  2. 抽出器を1段階または複数段階で作動させる、請求項1に記載の方法。
  3. 抽出器中での溶剤循環を原料酸に対して対向流で流れさせる、請求項1または2に記載の方法。
  4. 溶剤として、炭素原子4〜8個を有する飽和、不飽和および/または環式炭化水素を使用する、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
  5. 溶剤として、エーテル、エステル、ケトン、炭化水素およびアルコールからなる群からの1種または複数の化合物を使用する、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
  6. 溶剤として、メチルt−ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジ−n−プロピルエーテル、エチルブチルエーテル、酢酸エチルおよび酢酸イソプロピルからなる群からの1種または複数の化合物を使用する、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
  7. 温度0〜60℃および圧力1×10〜20×10Paで抽出を実施する、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
  8. 溶剤が、原料酸に対して混合比(容量/容量)0.5〜20倍で存在する、請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
  9. ギ酸カラム(4)が付加的に側面取り出し口を備えていて、そこから分流を取り出す、請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法。
  10. ギ酸カラムの側面取り出し口からの分流を抽出器に戻し供給する、請求項9に記載の方法。
  11. 側面取り出し口を介して溶剤カラム(8)からガス状で取り出された、水、溶剤およびギ酸からなる混合物からなる分流(混合物(B))をギ酸蒸留カラム(4)に供給する前に凝縮させて、相分離器(20)に供給し、生じた有機相を高圧下に作動するギ酸蒸留カラム(4)にポンプ導入し、このカラム(4)の底部で純粋なギ酸を取り出し、このカラム(4)の頂部に生じた、溶剤、水および酸痕跡量を含有する混合物を溶剤ストリッパーカラム(11)の相分離器(9)に供給する、請求項1から10までのいずれか1項に記載の方法。
  12. 相分離器(20)からの水性相を抽出器(7)に戻し供給する、請求項11に記載の方法。
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