JP2003323844A - 電子放出素子、電子源及び画像表示装置の製造方法 - Google Patents

電子放出素子、電子源及び画像表示装置の製造方法

Info

Publication number
JP2003323844A
JP2003323844A JP2003022953A JP2003022953A JP2003323844A JP 2003323844 A JP2003323844 A JP 2003323844A JP 2003022953 A JP2003022953 A JP 2003022953A JP 2003022953 A JP2003022953 A JP 2003022953A JP 2003323844 A JP2003323844 A JP 2003323844A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electron
polymer film
film
sub
manufacturing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2003022953A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3634852B2 (ja
Inventor
Sukenobu Mizuno
祐信 水野
Tomotake Suzuki
朝岳 鈴木
Tsuneki Nukanobu
恒樹 糠信
Takashi Iwaki
孝志 岩城
Toshihiko Takeda
俊彦 武田
Kazuya Miyazaki
和也 宮崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP2003022953A priority Critical patent/JP3634852B2/ja
Priority to CN2007100918032A priority patent/CN101075516B/zh
Priority to CNB031066054A priority patent/CN100356496C/zh
Priority to US10/372,853 priority patent/US6896571B2/en
Publication of JP2003323844A publication Critical patent/JP2003323844A/ja
Priority to US11/082,785 priority patent/US7077716B2/en
Application granted granted Critical
Publication of JP3634852B2 publication Critical patent/JP3634852B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01JELECTRIC DISCHARGE TUBES OR DISCHARGE LAMPS
    • H01J9/00Apparatus or processes specially adapted for the manufacture, installation, removal, maintenance of electric discharge tubes, discharge lamps, or parts thereof; Recovery of material from discharge tubes or lamps
    • H01J9/02Manufacture of electrodes or electrode systems
    • H01J9/022Manufacture of electrodes or electrode systems of cold cathodes
    • H01J9/027Manufacture of electrodes or electrode systems of cold cathodes of thin film cathodes
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01JELECTRIC DISCHARGE TUBES OR DISCHARGE LAMPS
    • H01J31/00Cathode ray tubes; Electron beam tubes
    • H01J31/08Cathode ray tubes; Electron beam tubes having a screen on or from which an image or pattern is formed, picked up, converted, or stored
    • H01J31/10Image or pattern display tubes, i.e. having electrical input and optical output; Flying-spot tubes for scanning purposes
    • H01J31/12Image or pattern display tubes, i.e. having electrical input and optical output; Flying-spot tubes for scanning purposes with luminescent screen
    • H01J31/123Flat display tubes
    • H01J31/125Flat display tubes provided with control means permitting the electron beam to reach selected parts of the screen, e.g. digital selection
    • H01J31/127Flat display tubes provided with control means permitting the electron beam to reach selected parts of the screen, e.g. digital selection using large area or array sources, i.e. essentially a source for each pixel group

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Manufacturing & Machinery (AREA)
  • Cold Cathode And The Manufacture (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 電子放出素子の製造工程を簡略化でき、か
つ、電子放出特性の改善をも行うことのできる電子放出
素子の製造方法、電子源の製造方法、並びに画像形成装
置の製造方法を提供すること。 【解決手段】 高分子膜を炭素化して電子放出部として
利用する表面伝導型の電子放出素子の製造工程中におけ
る高分子膜を低抵抗化する工程において、前記高分子膜
に、単位面積当たりに、単位時間当たりに付与されるエ
ネルギー強度をW[W/m2]とした際に、 W≧2×T×(ρsub・Csub・λsub/τ)1/2 (T:前記高分子膜を1×10-4Pa以上の真空度中で
1時間加熱保持した後に、該加熱した高分子膜が0.1
Ωcm以下の抵抗率を示すために必要とする加熱温度
[℃]、Csub:前記基体の比熱[J/kg・K]、ρ
sub:前記基体の比重[kg/m3]、λsub:前記基体
の熱伝導率[W/m・K]、1×10-9sec≦τ≦1
0sec)を満たすようにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子放出素子の製
造方法、該電子放出素子を多数配置してなる電子源の製
造方法、ならびに該電子源を用いて構成した画像表示装
置などの画像形成装置の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、電子放出素子として表面伝導
型電子放出素子が知られている。
【0003】表面伝導型電子放出素子の構成、製造方法
などは、例えば特許文献1などに開示されている。
【0004】上記特許文献1などに開示されている一般
的な表面伝導型電子放出素子の構成を図13に模式的に
示す。図13(A)および図13(B)はそれぞれ、上
記公報などに開示されている上記電子放出素子の平面図
および断面図である。
【0005】図13において、131は基体であり、1
32,133は対向する一対の電極、134は導電性
膜、135は第2の間隙、136は炭素被膜、137は
第1の間隙である。
【0006】図13に示した構造の電子放出素子の作成
工程の一例を図14に模式的に示す。
【0007】先ず、基板131上に一対の電極132,
133を形成する(図14(A))。
【0008】続いて、電極132、133間を接続する
導電性膜134を形成する(図14(B))。
【0009】そして、電極132,133間に電流を流
し、導電性膜134の一部に第2の間隙135を形成す
る“フォーミング工程”を行う(図14(C))。
【0010】さらに、炭素化合物雰囲気中にて、前記電
極132,133間に電圧を印加して、第2の間隙13
5内の基板131上、およびその近傍の導電性膜134
上に炭素被膜136を形成する“活性化工程”を行い、
電子放出素子が形成される(図14(D))。
【0011】一方、特許文献2には、表面伝導型電子放
出素子の別の製造方法が開示されている。
【0012】以上のような製造方法で作成された複数の
電子放出素子からなる電子源と、蛍光体などからなる画
像形成部材とを組み合わせることで、フラットディスプ
レイパネルなどの画像形成装置を構成できる。
【0013】
【特許文献1】特開平8−321254号公報
【特許文献2】特開平9−237571号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来の素子に
おいては、“フォーミング工程”に加えて、“活性化工
程”などを行うことで、“フォーミング工程”によって
形成した第2の間隙135の内部に、さらに狭い第1の
間隙137をもつ炭素あるいは炭素化合物からなる炭素
被膜136を配置させ、良好な電子放出特性を得る工夫
が為されている。
【0015】しかしながら、このような、従来の電子放
出素子を用いた画像形成装置の製造においては、以下の
課題を有している。
【0016】すなわち、“フォーミング工程”や“活性
化工程”における度重なる通電工程や、各工程における
好適な雰囲気を形成する工程など、付加的な工程が多
く、各工程管理が煩雑化していた。
【0017】また、上記電子放出素子をディスプレイな
どの画像形成装置に用いる場合には、装置としての消費
電力の低減のためにも電子放出特性の一層の向上が望ま
れている。
【0018】さらには、上記電子放出素子を用いた画像
形成装置をより安価にそしてより簡易に製造することが
望まれている。
【0019】そこで、本発明は、上記課題を解決するも
のであって、特に電子放出素子の製造工程を簡略化で
き、かつ、電子放出特性の改善をも行うことのできる電
子放出素子の製造方法、電子源の製造方法、並びに画像
形成装置の製造方法を提供するものである。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明は上述する課題を
解決するために鋭意検討を行ってなされたものであり、
下述する構成のものである。
【0021】即ち、本発明の第一は、基体上に、一対の
電極を配置する工程と、高分子膜を、前記電極間を接続
するように配置する工程と、前記高分子膜に光あるいは
粒子ビームを照射することにより、前記高分子膜を低抵
抗化する工程と、前記高分子膜を低抵抗化することによ
って得た膜に電流を流すことにより、該膜に間隙を形成
する工程とを有し、前記高分子膜を低抵抗化する工程に
おいて、前記高分子膜に、単位面積当たりに、単位時間
当たりに付与されるエネルギー強度をW[W/m2]と
した際に、 W≧2×T×(ρsub・Csub・λsub/τ)1/2 (尚、上記式において、T:前記高分子膜を1×10-4
Pa以上の真空度中で1時間加熱保持した後に、該加熱
した高分子膜が0.1Ωcm以下の抵抗率を示すために
必要とする加熱温度[℃]、Csub:前記基体の比熱
[J/kg・K]、ρsub:前記基体の比重[kg/
3]、λsub:前記基体の熱伝導率[W/m・K]、1
×10-9sec≦τ≦10sec)を満たすことを特徴
とする電子放出素子の製造方法を提供するものである。
また、前記エネルギー強度W[W/m2]が、さらに、 W≧A×T×(ρsub・Csub・λsub1/2×τ (尚、上記式において、A:定数、2.5≦A≦3.
0、γ:定数、0.5<γ≦0.6、1×10-9sec
≦τ≦1sec)を満たすことを特徴とする電子放出素
子の製造方法を提供するものである。また、前記高分子
膜の比抵抗を0.1Ωcm以下にするために必要な活性
化エネルギーが、4eV以下であることを特徴とする電
子放出素子の製造方法を提供するものである。また、前
記光あるいは粒子ビームは、複数回に分けて前記高分子
膜に照射されることを特徴とする電子放出素子の製造方
法を提供するものである。
【0022】本発明の第二は、基体上に、一対の電極を
配置する工程と、高分子膜を、前記電極間を接続するよ
うに配置する工程と、前記高分子膜を低抵抗化する工程
と、前記高分子膜を低抵抗化することによって得た膜に
電流を流すことにより、前記高分子膜が低抵抗化された
膜の、前記一対の電極のうちの一方の電極近傍に、間隙
を形成する工程とを有し、前記高分子膜を低抵抗化する
ことによって得た膜は、その電気伝導に対する活性化エ
ネルギーが0.3eV以下であることを特徴とする電子
放出素子の製造方法を提供するものである。また、前記
低抵抗化工程は、前記高分子膜に光あるいは粒子ビーム
を照射する工程を有することを特徴とする電子放出素子
の製造方法を提供するものである。
【0023】上記本発明の第一及び第二の電子放出素子
の製造方法は、好ましい形態として、「前記粒子ビーム
は、電子ビーム、もしくはイオンビームであること」、
「前記光は、レーザー光であること」、「前記光は、キ
セノン光源あるいはハロゲン光源から放出された光であ
ること」、「前記高分子が、芳香族ポリイミド、ポリフ
ェニレンオキサジアゾールまたはポリフェニレンビニレ
ンのいずれかであること」、を包含するものである。
【0024】本発明の第三は、基体上に、一対の電極を
配置する工程と、電気伝導に対する活性化エネルギーが
0.3eV以下である導電性膜を、前記電極間を接続す
るように配置する工程と、前記導電性膜に電流を流すこ
とにより、前記導電性膜の、前記一対の電極のうちの一
方の電極近傍に、間隙を形成する工程と、を有すること
を特徴とする電子放出素子の製造方法を提供するもので
ある。また、前記導電性膜が炭素を主成分とすることを
特徴とする電子放出素子の製造方法を提供するものであ
る。
【0025】また上記本発明の第一乃至第三の電子放出
素子の製造方法においては、前記間隙が形成された後
に、減圧雰囲気下において、前記電極間に電圧を印加す
ることで、前記電極間に電流を流す工程を有することが
好ましい。また、前記電極間に印加する電圧は、波高値
が一定のパルス電圧であり、該パルス電圧のパルス幅あ
るいはパルスデューティ(パルス幅/パルス周期)が実
駆動時のパルス幅あるいはパルスデューティ(パルス幅
/パルス周期)よりも大きいことが好ましい。そしてま
た、前記電極間に印加する電圧は、波高値が一定のパル
ス電圧であり、該パルス電圧のパルス間隔が実駆動時の
パルス間隔よりも短いことが好ましい。
【0026】本発明の第四は、複数の電子放出素子を有
する電子源の製造方法において、該電子放出素子が上記
本発明の第一乃至第三の電子放出素子の製造方法により
製造されることを特徴とする電子源の製造方法を提供す
るものである。
【0027】本発明の第五は、複数の電子放出素子を有
する電子源と、該電子源から放出される電子の照射によ
り発光する発光部材とを有する画像形成装置の製造方法
において、該電子源が上記本発明の第四の電子源の製造
方法により製造されることを特徴とする画像形成装置の
製造方法を提供するものである。
【0028】本発明の製造方法によれば、簡易なプロセ
スで、素子膜や電極の破壊を抑制し、十分かつ安定な電
子放出特性をもつと共に良好な耐熱性を有し、優れた電
子放出特性を長期に渡って維持することができる電子放
出素子、該電子放出素子を用いた電子源と該電子源を用
いた画像形成装置を歩留まり良く提供することができ
る。
【0029】また、本発明は上記表面伝導型電子放出素
子のカーボン膜の製造方法に限られるものではない。本
発明の製造方法は、導電性のカーボン膜を用いる、電子
放出素子、電池などの各種電子デバイスや、各種電子機
器などに用いるフィルムに用いることができる。このよ
うに、表面伝導型電子放出素子以外の電子デバイスやフ
ィルムなどに用いる場合には、基体上に高分子膜を配置
する工程と、該高分子膜に前述の条件である、W≧2×
T×(ρsub・Csub・λsub/τ)1/2を満たす、エネル
ギービームを照射する工程を有していればよい。
【0030】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態例を説明
するが、本発明はこれらの形態例に限定されるものでは
ない。
【0031】図1は、本発明の電子放出素子の一構成例
を示す模式図であり、(a)は平面図、(b)は電極
2,3間を通り、電極2,3が配置された基体1の表面
に対して実質的に垂直な平面(断面)図である。
【0032】図1において、1は基体、2と3は電極、
4’はカーボン膜、5は間隙である。6はカーボン膜と
基体との間の空隙であり、間隙5の一部を構成する。
【0033】上記カーボン膜は、「炭素を主成分とする
導電性膜」、あるいは「一部に間隙を有し、一対の電極
間を電気的に繋ぐ炭素を主成分とする導電性膜」、ある
いは「一対の炭素を主成分とする導電性膜」、あるいは
「高分子膜を低抵抗化処理することによって得た膜」と
いうこともできる。また、単に「導電性膜」ということ
もある。
【0034】上記のように構成される本発明の電子放出
素子では、間隙5に十分な電界が印加されたときに電子
が間隙5をトンネルして、電極2、3間に電流(素子電
流:If)が流れる。このトンネル電子の一部が散乱に
より放出電子(Ie)となる。
【0035】本発明の電子放出素子においては、間隙5
が一方の電極の近傍に偏って配置される。図1(a)に
示した例においては、電極2の縁に概略沿って間隙5が
配置されている。そして、図1(b)などに示す様に、
間隙5内の少なくともその一部において、電極2の表面
が露出(存在)していることが好ましい。
【0036】尚、本発明における上記「露出」とは、電
極2の表面が完全に露出している場合を含むのは当然で
あるが、電極2の表面に、不純物や雰囲気中のガスの吸
着物などが存在しているあるいは付着(吸着)している
状態を排除するものではない。また、間隙5は、後述す
る「電圧印加工程」によって形成する場合がある。この
「電圧印加工程」では、電圧印加時における、電極とカ
ーボン膜と基板との間における、熱変形や熱歪などの相
互作用によって形成されると推測されている。そのた
め、本発明においては、「電圧印加工程」を経た後の間
隙5内において、「電圧印加工程」前に電極2表面に接
触していたカーボン膜などの残渣が、電極2の表面にわ
ずかに付着した状態であっても、上記「露出」に相当す
る。また、少なくとも、断面TEM写真や、SEM写真
において、間隙5内の電極2表面に明らかな被膜の存在
が確認されなければ、この状態も本発明における「露
出」に相当する。
【0037】間隙5が、上記のような構成で形成される
と、電子放出素子の電気伝導特性(電子放出特性)が、
電極2,3間に印加する印加電圧の極性に対して著しく
非対称にすることができる。ある極性(順極性:電極2
の電位を電極3の電位よりも高くする)で電圧を印加し
た場合と、その逆の極性(逆極性)で電圧を印加した場
合で比べると、例えばそれぞれ20Vの電圧で比較した
場合、電流値に10倍以上の差が生じる。この時、本発
明の電子放出素子の電圧−電流特性は高電界下でのトン
ネル伝導型であることを示している。
【0038】また、上記本発明の電子放出素子では、非
常に高い電子放出効率が得られる。この電子放出効率の
測定に際しては、素子上にアノード電極を配置し、間隙
5に近接する側の電極2が電極3に対して高電位になる
ように駆動する。このようにすると、非常に高い電子放
出効率が得られる。電極2,3間に流れる素子電流If
と、アノード電極に捕捉される放出電流Ieの比(Ie
/If)を電子放出効率と定義すれば、この値は、従来
の「フォーミング処理」および「活性化処理」を施して
形成した表面伝導型電子放出素子の数倍の値である。本
発明者らは、このような高い電子放出効率が得られる幾
つかの理由の一つとして間隙5内に電極材料が露出して
いることがなんらかの形で寄与しているのではないかと
推測している。
【0039】間隙5は、詳しくは後述するように、一対
の電極2,3間を繋ぐように高分子膜4を配置し、該高
分子膜4を低抵抗化処理し、該低抵抗化処理を施して得
られた膜(以下「低抵抗化された高分子膜」、あるいは
「カーボン膜」、あるいは単に「導電性膜」と記す)に
電圧を印加する(電流を流す)「電圧印加工程」を行う
ことで形成することができる。
【0040】以下に、図1及び図2を用いて、本発明の
電子放出素子の製造方法の一例を説明する。
【0041】(1)ガラスなどからなる基板(基体)1
を洗剤、純水および有機溶剤等を用いて十分に洗浄し、
真空蒸着法、スパッタ法等により電極材料を堆積後、例
えばフォトリソグラフィー技術を用いて基体1上に電極
2、3を形成する(図2(aj)。電極2と電極3との
間隔は、1μm以上100μm以下に設定される。ま
た、コストの観点から、基板1に用いられる部材として
は、ソーダライムガラス、低アルカリガラス、無アルカ
リガラス等の比較的安価なガラスが用いられる。これら
のガラスの歪点は、700℃未満のものがほとんどであ
る。
【0042】ここで、電極2,3の材料としては、一般
的な導電性材料を用いることができる。好ましくは電極
2,3の材料としては、金属あるいは金属を主成分とす
る材料を用いることが好ましい。
【0043】(2)次に、電極2、3を設けた基体1上
に、電極2,3間を繋ぐように、高分子膜(有機高分子
膜)4を形成する(図2(b))。
【0044】高分子膜の膜厚としては、後述する「低抵
抗化処理」や、成膜の再現性などの観点から、1nm以
上1μm以下が選択される。
【0045】本発明における「高分子」とは、少なくと
も炭素原子同士の結合を有するものを意味する。そし
て、好ましくは、本発明の高分子の分子量は5000以
上であり、さらに好ましくは10000以上である。
【0046】炭素原子間の結合を有する高分子に熱を加
えると、炭素原子間の結合の解離、再結合が生じて導電
性が上昇する場合があり、この様に熱を加えた結果、導
電性が上昇した高分子を「熱分解高分子(Pyroly
tic Polymer)」と呼ぶ。
【0047】本発明においては、熱以外の要因、例えば
電子線による分解再結合、光子による分解再結合が、熱
による分解再結合に加味されて、炭素原子間の結合の解
離、再結合が生じて導電性を増す場合も熱分解高分子と
表記する。
【0048】ただし、本発明においては、熱、及び熱以
外の要因による高分子の構造的変化及び導電特性の変化
を総称して「改質」と表記する。
【0049】熱分解高分子では、高分子中の炭素原子間
の共役二重結合が増加することで導電性が増すと解釈す
ることができ、改質の進行の度合いにより導電性が異な
る。
【0050】炭素原子間の結合の解離・再結合によって
導電性が発現しやすい高分子、すなわち炭素原子間の二
重結合が生成しやすい高分子としては、芳香族系高分子
が挙げられる。そのため、本発明においては、芳香族系
高分子を用いることが好ましい。また、その中でも、特
に芳香族ポリイミドは、比較的低温で高い導電性を有す
る熱分解高分子が得られる高分子であるので本発明にお
いてより好ましい材料である。一般に芳香族ポリイミド
は、それ自身絶縁体であるが、ポリフェニレンオキサジ
アゾール、ポリフェニレンビニレンなど、熱分解を行う
前から導電性を有する高分子もある。これらの高分子
も、本発明において好ましく用いることができる高分子
である。
【0051】高分子膜4の形成方法は、公知の種々の方
法、すなわち、回転塗布法、印刷法、ディッピング法等
を用いることができる。特に、印刷法によれば、安価に
高分子膜4を形成できるため、好ましい手法である。中
でも、インクジェット方式の印刷法を用いれば、パター
ニング工程を不要とすることができ、また、数百μm以
下のパターンの形成も可能であるため、フラットディス
プレイパネルに適用されるような、高密度に電子放出素
子を配置した電子源の製造に対しても有効である。
【0052】高分子膜4を形成する場合、高分子材料の
溶液を基板上に付与し、乾燥させればよいが、必要に応
じて、高分子材料の前駆体溶液を基板上に付与し、加熱
等により高分子化させる手法も用いることができる。
【0053】本発明においては、上記高分子材料として
は、前述した様に、芳香族系高分子が好ましく用いられ
るが、これらの多くは溶媒に溶けにくいため、その前駆
体溶液を塗布する手法が有効である。一例を挙げれば、
芳香族ポリイミドの前駆体であるポリアミック酸溶液を
塗布し、加熱等によりポリイミド膜を形成することがで
きる。
【0054】なお、高分子の前駆体を溶かす溶媒として
は、例えば、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチル
アセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチ
ルスルホキシドなどが使用でき、また、n−ブチルセロ
ソルブ、トリエタノールアミンなどと併用することもで
きるが、本発明が適用できれば特に制限は無く、これら
の溶媒に限定されるわけではない。
【0055】尚、図1に示した様に、例えば電極2側に
間隙5を配置したい場合には、電極2と高分子膜4(或
いはカーボン膜4’)との接続長と、電極3と高分子膜
4(或いはカーボン膜4’)との接続長とを、高分子膜
4(或いはカーボン膜4’)の形状によって異なるよう
に形成すればよい。その例としては例えば、図1に示す
様に、高分子膜4(或いはカーボン膜4’)と電極2と
の接続長(≒W1)と、高分子膜4(或いはカーボン膜
4’)と電極3との接続長(≒W2)とが異なるよう
に、高分子膜4を形成する。
【0056】尚、本発明における「接続長」(あるいは
「交差長」)とは、「電極(2,3)の端部(エッジ)
において、高分子膜4(あるいは後述する「低抵抗化処
理」を施して得られた膜4’)と、電極(2,3)とが
接している長さ(境界)」を指す。あるいは、また、
「接続長」(あるいは「交差長」)とは、「電極(2,
3)と、高分子膜4(あるいは後述する「低抵抗化処
理」を施して得られた膜4’)と、基体1とが接するこ
とで形成される部分(境界)の長さ」と言う事もでき
る。
【0057】上記接続長を異ならせるためには、高分子
膜4を、例えば図1に示した様な台形状にパターニング
を行うことによって行う方法を用いることができる。あ
るいは、また、インクジェット方式の印刷法を用いて高
分子膜を形成する場合には、一方の電極に液滴の中心位
置をずらして液滴を付与することによって行う方法を用
いることができる。あるいは、また、一方の電極の表面
エネルギーと他方の電極表面の表面エネルギーを変えた
後に、高分子材料の溶液あるいは高分子材料の前駆体溶
液を付与し、加熱することで、接続長が異なる高分子膜
4を形成することもできる。この様に、接続長を異なら
せる手法としては、様々な方法を適宜選択することがで
きる。
【0058】本発明において、上記のように間隙5の位
置を制御する場合には、上記した接続長を、電極2側と
電極3側で異なる様にする方法に限定されるわけではな
く、以下にその方法の幾つかを示す。 (a)導電性膜4’と電極2との接続抵抗またはステッ
プカバレージと、導電性膜4’と電極3との接続抵抗ま
たはステップカバレージとを非対称にする。 (b)導電性膜4’と電極2とが接続する領域の近傍
と、導電性膜4’と電極3とが接続する領域の近傍と
で、熱の拡散の度合いを異ならせる。 (c)電極2,3の形状を非対称にする。
【0059】(3)次に、高分子膜4を低抵抗化せしめ
る「低抵抗化処理」を行う。「低抵抗化処理」は、高分
子膜4に導電性を発現せしめ、高分子膜4を導電性膜
4’とする処理である。
【0060】この「低抵抗化処理」の一例としては、高
分子膜4を加熱する事により高分子膜4を低抵抗化する
ことができる。加熱により高分子膜4が低抵抗化する
(導電化する)理由としては、高分子膜4内の炭素原子
間の結合の解離、再結合を行うことで導電性を発現す
る。
【0061】加熱による「低抵抗化処理」は、前記高分
子膜4を構成する高分子を分解温度以上の温度で加熱す
ることで達成することができる。また、上記高分子膜4
の加熱は不活性ガス雰囲気中や真空中といった酸化抑制
雰囲気下において行うことが特に好ましい。
【0062】前述した芳香族高分子、特に芳香族ポリイ
ミドは、高い熱分解温度を有するが、その熱分解温度を
超えた温度、典型的には、700℃から800℃以上で
加熱することにより、高い導電性を発現せしめることが
できる。
【0063】しかしながら、本発明のように、電子放出
素子を構成する部材である高分子膜4が熱分解するまで
の加熱を行う場合、オーブンやホットプレートなどによ
って全体を加熱する方法では、電子放出素子を構成する
他の部材の耐熱性の観点から、制約を受ける場合があ
る。
【0064】そこで、本発明では、図2(c)に示す様
に、より好適な低抵抗化処理の方法として、電子ビーム
やイオンビームなどの粒子ビーム照射手段10、または
レーザービームなどの光照射手段10から粒子ビームま
たは光を高分子膜4に照射することにより、該高分子膜
4を低抵抗化することが好ましい。このようにすれば、
他の部材への熱の悪影響を抑えたまま、高分子膜4を低
抵抗化することが可能となる。
【0065】本発明の電子放出素子、電子源ならびに画
像形成装置をユーザーに安価に安定して供給するために
は、上記「低抵抗化処理」を、安定して、かつ低コスト
で行うことが、重要である。
【0066】例えば、対角40インチ程度の電子源や画
像形成装置を形成する場合には、解像度にもよるが本発
明の電子放出素子が同一基板上に百万個以上配列される
ことになる。そのため、例えば、1素子毎に上記低抵抗
化処理を行った場合を考え、1日に処理する基板の数な
どを加味するなどすると、「低抵抗化処理」に割くこと
のできる時間が短くなってしまう。
【0067】本発明者らの検討によれば、「低抵抗化処
理」における、粒子ビームや光の照射に際し、許容され
る時間が短くなると、比較的長い時間をかけて「低抵抗
化処理」を行っていた時のようには、高分子膜を十分に
改質することができず、その結果、後述する「電圧印加
工程」において、間隙5を一方の電極近傍に沿って形成
することができなかったり、あるいは、間隙5の間隔が
広くなりすぎたりすることで、前述した高い電子放出効
率が実現できない場合があることを見出した。更にひど
い場合には、「電圧印加工程」において電極が破壊され
てしまう場合さえあった。
【0068】そして、本発明者らは、十分に短い照射時
間(具体的には10秒以下)における「低抵抗化処理」
において求められる要件と、それよりも長い照射時間に
よる「低抵抗化処理」において求められる要件とが大き
く異なることを見出した。
【0069】図21には、横軸に照射時間を対数表示し
ており、縦軸には高分子膜の「低抵抗化処理」に必要な
エネルギー密度[W/m2]を対数表示している。図2
1において、破線が10秒以下の領域において良好な電
子放出特性が得られる境界であり、実線が10秒以上の
領域において良好な電子放出特性が得られる境界を示
す。
【0070】図21に示す様に、10秒を境に、照射時
間と、高分子膜の「低抵抗化処理」に必要な照射エネル
ギー密度との関係が大きく変化することがわかる。照射
時間を十分にかけて「低抵抗化処理」を行っていた領域
(>10sec)における関係式(図21中の実線:W
2)の延長領域(10sec以下の領域であり、図21
中の実線の延長領域(点線で示す))では、十分な低抵
抗化が行えず、結果、優れた電子放出特性が得ることが
できないことが分かった。すなわち、10sec以下の
照射時間の領域では、高分子膜の単位面積当たりに、単
位時間当たり吸収されるエネルギーをW[W/m2]と
した際に、Wが、下記(1)式で示されるW1の条件
(図21における破線を境界領域として含む)を満たす
ことによって初めて十分な「低抵抗化処理」が行う事が
でき、その結果、前述した良好な電子放出特性を示す、
図1(b)に示す構造の電子放出素子が得られることを
見出した。
【0071】本発明者らは、詳細な検討の結果、良好な
電子放出特性を示すためには、高分子膜の単位面積当た
りに、単位時間当たり吸収される(付与される)エネル
ギーW[W/m2]が、下記式(1)で示されるW1の
条件(図21中の破線を境界領域として含む)を満たす
ことが必要であることを見出した。
【0072】すなわち、 W1≧2T×(ρsub・Csub・λsub/τ)1/2 ・・・・(1) 尚、上記式(1)において、外部からの高分子膜へのエ
ネルギー(粒子ビームや光)の照射時間をτ[se
c]、基体の比熱をcsub[J/kg・K]、高分子膜
を1×10-4Pa以上の真空度の雰囲気中で1時間加熱
保持した後に、該加熱した後の高分子膜が室温におい
て、0.1Ωcm以下の抵抗率を示すために必要とする
加熱温度をT[℃]、基体の比重をρsub[kg/
3]、基体の熱伝導率をλsub[W/m・K]、1×1
-9sec≦τ≦10secとする。
【0073】また本発明者らは、上記式(1)で示す条
件の中で、さらに良好な電子放出特性を示す電子放出素
子をより簡易に製造するためには、高分子膜の単位面積
当たりに、単位時間当たり吸収される(付与される)エ
ネルギーW[W/m2]が、下記式(2)で示されるW
1’の条件(図21中の1点鎖線を境界領域として含
む)を満たすことが必要であることを見出した。
【0074】すなわち、 W1’≧A×T×(ρsub・Csub・λsub1/2×τ ・・・・(2) 尚、上記式(2)において、Aは定数であり、2.5≦
A≦3.0を満たしており、γは定数であり、0.5<
γ≦0.6を満たしており、1×10-9sec≦τ≦1
secを満たす。
【0075】尚、Tは、高分子膜を1×10-4Pa以上
の真空中で1時間加熱保持した後に、該加熱した後の高
分子膜が室温において、0.1Ω・cmの抵抗率を示す
ために必要な加熱温度[℃]である。上記抵抗率は、4
探針法を用いて測定したシート抵抗と、段差測定計やエ
リプソメーター等の膜厚干渉計等で測定した膜厚から求
めることができる。
【0076】また、前記低抵抗化工程において、前記高
分子膜の比抵抗を0.1Ωcm以下にするために必要な
活性化エネルギーが、4eV以下であることを特徴とす
る。この反応の活性化エネルギーは、本発明のTと密接
に関係する。
【0077】前述した芳香族ポリイミドの場合は、T
は、700[℃]程度であり、反応の活性化エネルギー
は3.2eV程度となる。
【0078】以下に、詳細な考察を加える。
【0079】単位面積当りに、高分子膜に吸収される
(付与される)エネルギーをE[J/m2]、単位面積
当りに、高分子膜に単位時間あたり吸収される(付与さ
れる)エネルギーをW[W/m2]、エネルギー照射時
間をτ[sec]としたとき、 E=W×τ=(高分子膜への吸熱)+(基体への熱拡
散) となる。
【0080】本発明の高分子膜4の膜厚は、特に限定は
ないが、前述したように1nm〜1μm程度の範囲にあ
る。従って、高分子膜の膜厚は基体の厚さに比べて十分
に薄いことから、「高分子膜の熱容量は、基体の熱容量
に比べて十分に小さい」と言える。そのため、エネルギ
ー照射時においては、高分子膜への熱拡散量を無視する
ことができ、「基体最表面の温度≒高分子膜の温度」と
言える。
【0081】また、高分子膜4は、前述したように主に
炭素原子間の結合の解離・再結合によって導電性を発現
する(低抵抗化する)。炭素原子間の結合の解離は吸熱
反応を伴うことが良く知られている。モノマーの構成に
もよるが、C−C結合(炭素原子と炭素原子との結合)
1つで300〜400kJ/molを要する。本発明の
場合、高分子膜4は前述したように1nm以上1μm以
下の膜厚である。最も厚い1μmの場合で考えても1m
2当たりの解離熱量は、高分子膜の密度にもよるが、
高々数十μJ程度である。高分子膜4の低抵抗化処理工
程においては、高分子膜を均一性高く低抵抗化するため
に、上記解離熱量よりも充分に大きいエネルギーを照射
する必要がある。本発明の式(1)において、上記解離
熱量が照射されるエネルギーに対して無視できるほど充
分に小さい条件として、少なくとも10-9[sec]≦
τが必要となる。この条件は、低抵抗化処理工程の簡便
性の上でも、充分な条件といえる。以上のことから、高
分子膜の吸熱を無視することができるため、本発明によ
るエネルギー照射によって与えられる熱量のすべてが、
高分子膜および基体の温度上昇に寄与すると近似するこ
とができる。
【0082】一方、基体への熱拡散は、照射時間が短い
時、配線材料や配線の厚みによらず、基体材料のみに依
存する実験事実(詳しくは実施例にて記載)がある。そ
のため、基体への熱拡散は、照射時間が短く、熱拡散距
離がエネルギー照射径に比べて充分に小さい場合は、基
体の深さ方向の1次元でモデル化することができると考
えられる。
【0083】基体の比熱をCsub[J/kg・K]、基
体の比重をρsub[kg/m3]、基体の熱伝導率をλ
sub[W/m・K]とした時、 (熱拡散距離)=2×((λsub×τ)/(Csub×ρ
sub))1/2 となる。
【0084】従って、τ[sec]間に与えられた熱量
の(基体への熱拡散)は、 (基体への熱拡散)=ρsub×Csub×拡散距離×(T−
室温)≒ρsub×Csub×拡散距離×T で表せる。
【0085】よって、基板へ拡散される単位面積および
単位時間あたりのエネルギーWsub[W/m2]は、 Wsub=2×T×(ρsub・Csub・λsub/τ)1/2[W
/m2] となり、本発明の(1)式と一致することがわかる。
【0086】本発明者らのさらに詳しい検討によれば、
(1)式のエネルギーを高分子膜に照射することで得た
膜は、電気伝導に対する活性化エネルギー(Ea)が
0.3eV以下となるものの、活性化エネルギーのばら
つきが生じることが判明した。(詳細は実施例記載)
【0087】そして、(1)式を満たし、1×10-9
ec≦τ≦1secの範囲において(2)式を満たすエ
ネルギーを照射することで、さらにEaを安定的に製造
することができることが判明した。
【0088】以下に(2)式の詳細な考察を述べる。
【0089】前述したように低抵抗化工程において、高
分子膜は、主に炭素原子間の結合の解離・再結合によっ
て吸熱反応を伴う。この反応の速度の温度依存性は一例
を図26に示すようなアレニウス型になる。これを式で
あらわすと以下のようになる。
【0090】 1/tr=A×exp(−Er/kTr) ・・・(3) ここで、上記(3)式において、Aは、図26のグラフ
のY軸(縦軸)切片であり、分子の振動レベルの速度で
ある1013[1/sec]を示しており、Trは、反応
温度[K]を示しており、trは反応時間[sec]を
示しており、kはボルツマン定数を示しており、Erは
高分子膜の比抵抗を0.1Ωcmにするための反応の活
性化エネルギーを示している。高分子膜を1×10-4
a(あるいは1×10-4Pa以上)の真空中度で1時間
加熱保持した時に0.1Ωcmの抵抗率になる温度をT
[K]とすると Er=38.2×k×T ・・・(4) よって、(3)式と(4)式より Tr=38.2/{In(tr)+30}×T ・・・(5) が得られる。
【0091】尚、本発明において、高分子膜の加熱雰囲
気を、1×10-4Paとしたのは、これ以上の真空度に
おいて加熱しても、雰囲気中のガス(酸素など)による
高分子膜の改質に対する影響がほとんど無視することが
できるためである。従って、本発明の請求項1において
は、高分子膜の加熱雰囲気を、1×10-4Paとしてい
るが、これ以上の真空度において高分子膜を加熱した場
合であっても、本発明の請求項1に記載した範囲と実質
同一である。
【0092】高分子膜にτ時間、W以上のパワーのエネ
ルギー照射を施して低抵抗化するためには、少なくとも
τ時間内に(5)式に示す、Tr[K]まで高分子膜の
温度が上昇している必要がある。
【0093】そこで、Tr=Tτ、tr=τ、室温=3
00Kとし、(2)式と(5)式から W∝[38.2/{In(tr)+30}×T−300]×(ρsub・Csub・λ sub /τ)1/2 ・・・(6) が得られる。
【0094】(6)式の第1項は、1×10-9sec≦
τ≦1secにおいて、 A×T×τ-γ’ (γ’≒0.03〜0.1) と近似することができる。
【0095】よって、(6)式は W∝A×T×τ-γ’×(ρsub・Csub・λsub/τ)
1/2 となり、実験結果から得られた本発明の(1)式と一致
することがわかる。
【0096】このことは、τが1よりも小さくなった場
合、高分子膜の反応速度が無視できなくなるため、
(1)式で得られるWでは、Ea≦0.3eVは得られ
るものの、安定したEaを得るためには更に(2)式の
W’を満たすことが好ましいことを意味している。
【0097】また、外部から照射するエネルギーは、基
体への熱の影響を抑えたまま、高分子膜4を「低抵抗化
処理」するためには、パルス的に、複数回照射すること
が好ましい。
【0098】また、図21の破線に示す様な上記式
(1)に示した本発明のエネルギー照射条件もしくは、
さらに発展的に限定した図21の一点鎖線に示す様な式
(2)に示した本発明のエネルギー照射条件によれば、
電子放出素子を多数配置した場合に各電子放出素子を接
続するために基体上に配置される配線の形状や材料の影
響が少ない状態で「低抵抗化処理」を行うことができ
る。そのため、多数の高分子膜4を均一性高く「低抵抗
化処理」することができる。その結果、本発明によれ
ば、均一性の高い特性を有する電子放出素子を配列する
ことができ、また、表示画像の均一性の高い画像表示装
置を形成することができる。
【0099】また(4)式より、高分子膜4の反応の活
性化エネルギーErが大きいと、Tが高くなるため、
(5)式より実際の反応温度Trが高くなる。本発明で
は、外部から基体へ部分的なエネルギー照射をすること
によって、基体の耐熱温度(歪点等)を超える低抵抗化
処理温度を高分子膜部に実現するものであるが、基体の
融点をはるかに超える反応温度Trでは許容されない。
実在する基板の融点を考慮し、Trを高すぎない現実的
な値とするためには、高分子膜の反応の活性化エネルギ
ーは4eV以下であることが好ましい。
【0100】また本発明において、照射エネルギーの上
限は特に制限されることはない。しかし、エネルギー源
の実現可能性や、「低抵抗化処理」工程での簡便性およ
び実在する基板の耐熱温度等を考えると、最大でも3×
1012W/m2が、現実的な照射エネルギーの上限とな
る。
【0101】また、高分子膜に「低抵抗化処理」を施し
て得られた膜(導電性膜)4’は、正孔キャリア伝導を
示し、抵抗率が負の温度特性を示す。このとき、温度特
性から、「低抵抗化処理」を施して得られた膜4’の電
気伝導に対する活性化エネルギー(以下Eaと記す)を
求めることができる。
【0102】高分子膜に「低抵抗化処理」を施して得た
膜4’のEaと、その抵抗率は、ほぼ相関を持つ。上述
した不十分な「低抵抗化処理」では、Eaが大きくなる
(温度特性が急勾配になる)。その結果、「電圧印加工
程」におけるジュール熱によって熱暴走が生じる。これ
は、「電圧印加工程」におけるジュール熱により、高分
子膜に「低抵抗化処理」を施して得た膜が温度上昇す
る。この温度上昇により、膜の抵抗がさらに下がる場合
がある。そして、抵抗の低下により、さらに、ジュール
熱が増加し、さらに、膜の温度が上昇する。このような
サイクルが生じた結果、所望の間隙5が得られなくなる
ためと発明者は考えている。
【0103】本発明者らが鋭意検討したところ、前述し
た「低抵抗化処理」に限らず、後述する「電圧印加工
程」を施す前の導電性膜(高分子膜に「低抵抗化処理」
を施して得た膜)の活性化エネルギーEaが0.3eV
以下であれば、前述した接続長が電極2側の接続長と電
極3側の接続長が同等であっても(つまりは、電極2と
電極3とが実質的に同じものであっても)、どちらか一
方の電極近傍に間隙5を配置することができることを見
出した。また、本発明の、高分子膜に「低抵抗化処理」
を施して得た膜4’においても、その活性化エネルギー
Eaが0.3eV以下になるように「低抵抗化処理」を
施せば、前述した接続長が電極2側の接続長と電極3側
の接続長が同等であっても、どちらか一方の電極近傍に
間隙5を配置することができる。
【0104】高分子膜に「低抵抗化処理」を施して得た
膜の、電気伝導に対するEaの測定算出方法を以下に示
す。
【0105】例えば、1×10-6Pa程度の真空下で、
電極2,3間に電圧(0.5V)を加え、高分子膜に
「低抵抗化処理」を施して得た膜に流れる電流をモニタ
ーしながら、ヒーター(不図示)を用いて基体1を常温
から300℃まで加熱する。その結果得られた、電流−
温度グラフの一例を図3に示す。得られた電流と温度の
データをアレニウスプロット(I∝EXP(−Ea/k
T),I:電流,k:ボルツマン定数,T:絶対温度)
し、その傾きからEaを算出することができる。アレニ
ウスプロットの一例を図4に示す。
【0106】以下に本発明の「低抵抗化処理」の一例を
具体的に説明する。
【0107】(電子ビーム照射を行う場合)電子ビーム
を照射する場合は、高分子膜4を形成した基体1を、電
子銃が装着されている減圧雰囲気下(真空容器内)にセ
ットする。容器内に設置された電子銃から高分子膜4に
対して電子ビームを照射する。この時の電子ビームの照
射条件としては、高分子膜4や基体1への電子ビーム侵
入深さを考慮し、加速電圧V ac=0.5kV以上40k
V以下であることが好ましい。
【0108】電流密度(jd)は、本発明である(1)
式より、選択した基体1の熱伝導率、比熱、比重およ
び、1×10-9秒以上10秒以下の範囲で任意に選定さ
れるτによって、決定される。
【0109】通常、jd=0.01mA/mm2以上10
mA/mm2以下の範囲で多く使用される。
【0110】(レーザービーム照射を行う場合)レーザ
ービームを照射する場合は、高分子膜4を形成した基体
1を、ステージ上に配置し、高分子膜4に対してレーザ
ービームを照射する。このとき、レーザーを照射する環
境は、高分子膜4の酸化(燃焼)を抑制するため、不活
性ガス中や真空中で行うのが好ましいが、レーザーの照
射条件によっては、大気中で行うことも可能である。
【0111】この時のレーザービームの照射条件として
は、例えば、半導体レーザー(790〜830nm)を
用いて照射することが好ましい。
【0112】レーザー照射エネルギーは、本発明である
(1)式より、選択した基体1の熱伝導率、比熱、比重
および、基体1の融点・歪点より選定されるτによっ
て、決定されるが、照射面積と、高分子膜4および基体
1の該波長における吸収率(=1−[透過率]−[反射
率])を考慮し、レーザー光源の出力が決定される。通
常数百mW/mm2〜数十W/mm2の範囲で多く使用さ
れる。
【0113】また、上記「低抵抗化処理」により形成さ
れる「導電性膜」4’は、「炭素を主成分とする導電性
膜」、あるいは単に「カーボン膜」とも呼ばれる。
【0114】また、Ptなどの触媒性金属を電極2,3
に用いた場合には、上記「低抵抗化処理」における加熱
により、電極上に位置する高分子膜の膜厚が、電極間の
基体上に位置する高分子膜よりも薄くなる。
【0115】(4)次に、導電性膜4’に、間隙5の形
成を行う(図2(d))。
【0116】この間隙5の形成は、例えば、電極2、3
間に電圧を印加する(電流を流す)ことによって行なわ
れる。尚、印加する電圧としてはパルス電圧が好まし
い。この電圧印加工程により、導電性膜4(低抵抗化さ
れた高分子膜4’)の一部に間隙5が形成される。電子
放出素子を低電圧で駆動する上では、上記電圧印加工程
で印加する電圧はパルス電圧を用いることが好ましい。
【0117】なお、この電圧印加工程は、前述の低抵抗
化処理と同時に、電極2、3間に電圧パルスを連続的に
印加することによっても行うことができる。また、間隙
5を再現性よく形成するためには、電極2,3に印加す
るパルス電圧を漸増させる昇圧フォーミングを行うこと
が好ましい。
【0118】また、上記電圧印加工程は、減圧雰囲気下
で行うことが好ましく、好ましくは1.3×10-2Pa
以下の圧力の雰囲気下で行うのが望ましい。
【0119】また、上記電圧印加工程は、前記した「低
抵抗化処理」と同時に行うこともできる。
【0120】尚、前述の「低抵抗化処理」を経て得られ
た膜4’の抵抗値は、上記した「電圧印加工程」におい
て更に抵抗値が下がる場合もある。「低抵抗化処理」を
行うことで得られた膜4’と、上記「電圧印加工程」を
経て間隙5が形成された後のカーボン膜4’とでは、そ
の電気的特性や、膜質などに若干の差が生じている場合
があるが、本発明では、それらを特に断りが無い限り区
別しない。さらに、詳しく述べると、「低抵抗化処理」
を終えた膜(「高分子膜に低抵抗化処理を施すことによ
って得た膜」)と、「電圧印加工程」を終えた膜(「カ
ーボン膜」)との間に、炭素の結晶性の観点において特
に優位差がない場合には、上記「カーボン膜」という表
現と「高分子膜を低抵抗化処理することによって得た
膜」という表現は、プロセス段階を区別する表現ではあ
っても、膜質として区別する表現するものではない。
【0121】次に、上記電圧印加工程を経て間隙5が形
成された後のカーボン膜4’のEaの測定算出をおこな
う方法の一例を以下に記述する。
【0122】1×10-6Pa程度の真空下で、図19に
示すように電極2,3間のカーボン膜4’にプローブa
を接触させ(接触位置は任意)、電極3上にプローブb
を接触させる。続いて両プローブ間に電圧(0.5V)
を加えカーボン膜4’に流れる電流をモニターしなが
ら、ヒーターを用いて基体1を常温から300℃まで加
熱する。
【0123】得られた電流と温度のデータをアレニウス
プロットし、その傾きからEaを算出することができ
る。
【0124】図5に示した測定装置によって、上記本発
明の製造方法により得られた電子放出素子の電圧−電流
特性を計測すると、良好に電子放出を示す素子の特性は
図15に示したようなものになる。即ち、上記電子放出
素子は、しきい値電圧Vthを持っており、この電圧よ
り低い電圧を電極2,3間に印加しても、電子は実質的
に放出されないが、この電圧より高い電圧を印加するこ
とによって、素子からの放出電流(Ie)、電極2,3
間を流れる素子電流(If)が生じはじめる。
【0125】本発明では、高分子膜を低抵抗化処理する
ことによって得た膜のEaが0.3eV以下であれば、
「電圧印加工程」時における導電性膜(高分子膜を低抵
抗化処理することによって得た膜)の破壊あるいは電極
破壊を抑制することができ、図15に示した良好な電子
放出を示す電子放出素子を得ることができる。(詳細は
実施例記載)
【0126】上記図15に示した特性のため、同一基板
上にマトリックス状に上記電子放出素子を複数配した電
子源を構成し、所望の素子を選択して駆動する単純マト
リックス駆動が可能である。尚、図5において、図1な
どで用いた符合と同じ符号を用いた部材は、同じ部材を
指す。84はアノードであり、83は高圧電源、82は
電子放出素子から放出された放出電流Ieを測定するた
めの電流計、81は電子放出素子に駆動電圧Vfを印加
するための電源、80は電極2,3間を流れる素子電流
Ifを測定するための電流計である。電子放出素子の上
記素子電流If、放出電流Ieの測定にあたっては、素
子電極2、3に電源81と電流計80とを接続し、該電
子放出素子の上方に電源83と電流計82とを接続した
アノード電極84を配置している。また、本電子放出素
子及びアノード電極84は真空装置内に設置されてお
り、その真空装置には不図示の排気ポンプ及び真空計等
の真空装置に必要な機器が具備されており、所望の真空
下で本素子の測定評価を行えるようになっている。な
お、アノード電極と電子放出素子間の距離Hを2mmと
しており、真空装置内の圧力を1×10-6Paとした。
【0127】(5)安定化駆動 次に、前記工程にて得られた電子放出素子に所望の電圧
を印加して電子放出特性の安定化を行う。本発明者らが
鋭意検討を行った結果、本発明における電子放出素子
は、前記間隙形成後に駆動を行うと駆動初期の放出電流
および素子電流減少が発生することを見出した。この様
子を図18に示す。同図に示すように駆動初期に電流減
少が発生するが、ある程度の時間、素子駆動を行うこと
でこの減少は収束し、その後はこうした変動を生ずるこ
となく安定した電子放出を持続するようになる。この放
出電流および素子電流を安定化させるための駆動をここ
では安定化駆動と呼ぶ。
【0128】この安定化駆動に必要な時間は、印加する
電圧パルスの幅や電圧パルスの波高値やパルス間隔によ
って異なるが、概ね数分から数百分の範囲であり、安定
化駆動の周期が一定ならばパルス幅が長いほど、あるい
は、駆動パルス幅が一定ならばパルス間隔が短いほど、
あるいは波高値が高いほど、必要な時間は短くなる。こ
のことは安定化駆動の駆動デューティー(パルス幅/パ
ルス周期)が高いほど短時間での安定化が可能となるこ
とを示している。
【0129】この様子を図24、図25に示す。同図に
おいて、図24はパルス幅を変えた場合の安定化の様子
を、図25はパルス間隔を変えた場合の安定化の様子を
模式的に示している。この挙動は、パルス波高値におい
ても同様であり、波高値が高いほど、安定化に要する時
間は短い。なお、説明の簡略化のために同図では放出電
流についてのみ記載しているが、素子電流についても同
様の変化を示すことが分かっており、安定化駆動中も電
子放出効率(Ieの値/Ifの値)を高い状態に保った
まま行うことができる。
【0130】尚、安定化駆動に用いるパルス電圧の波高
値が高い場合は、素子の破壊を誘発する恐れがあるため
好ましくなく、実際の駆動(実駆動)時に印加される電
圧を若干上回る程度が上限と考えられる。具体的には、
実駆動時に素子に印加される最大電圧の0.7倍以上
1.5倍以下が好ましく、1.05倍以上1.2倍以下
がより好ましい。
【0131】しかし、安定化駆動は電流を流すことが必
要であり、素子電流が観測されないような極端に低い電
圧では安定化の機能を発現できないためある程度の電圧
は必要である。具体的には、図15に示すような放出電
流Ie、素子電流Ifが流れ始めるVthの電圧以上が
必要である。
【0132】尚、本発明において、「実駆動」とは、本
発明の電子放出素子、電子源あるいは画像表示装置が、
メーカーから出荷された後の駆動を指し、例えば、VT
R画像やTV画像などのユーザーが所望する画像を表示
する最に素子に印加される、予め想定されていた範囲内
の駆動を指すものであって、何らかのトラブルによって
突発的に素子に印加されてしまう駆動条件とは異なるも
のである。
【0133】また、この安定化駆動の工程は、前述の間
隙形成工程に引き続き行うことも可能であり、電極2、
3間に電圧パルスを連続的に印加して間隙形成した後に
安定化駆動電圧を印加することによって連続的に行うこ
ともできる。いずれの場合においても、安定化駆動工程
は、減圧雰囲気下、好ましくは1.3×10-3Pa以下
の圧力の雰囲気中で行うのが望ましい。
【0134】画像形成装置としてパネル化する場合は、
後述するようにパネル作製工程を必要とするが上記安定
化駆動の工程は電子放出素子の特性を決定付ける工程で
あるためパネル化工程を経た後の減圧されたパネル内で
行うことが望ましく、さらには安定化駆動後に加熱工程
を通さないことがより望ましい。
【0135】以上述べた安定化駆動の諸条件は実際の電
子放出素子あるいは画像形成装置の特性に鑑みて設定さ
れるべきものであり、本発明は上記条件に限定されるも
のではない。
【0136】次に、上記電子放出素子を用いた本発明に
おける画像形成装置について説明する。
【0137】図16は、本発明の製造方法により製造さ
れる電子放出素子102を用いた画像形成装置の一例を
示す模式図である。尚、図16では画像形成装置(気密
容器100)内を説明するために、後述する支持枠72
およびフェースプレート71の一部を取り除いた図であ
る。また、駆動回路の図示は省略している。
【0138】図16において、1は電子放出素子102
が多数配置された基体であり、画像形成装置の説明にお
いてはリアプレートと記す。71は、画像形成部材75
が配置されたフェースプレートである。72は、フェー
スプレート71とリアプレート1間を減圧状態に保持す
るための支持枠である。101はフェースプレート71
とリアプレート1間の間隔を保持するために、配置され
たスペーサである。
【0139】画像形成装置100がディスプレイ(画像
表示装置)の場合には、画像形成部材75は蛍光体膜7
4と導電性のメタルバック73から構成される。62お
よび63はそれぞれ電子放出素子102に電圧を印加す
るために接続された配線である。Doy1〜Doynお
よびDox1〜Doxmは、画像形成装置100の外部
に配置される駆動回路などと、画像形成装置の減圧空間
(フェースプレートとリアプレートと支持枠とで囲まれ
る空間)から外部に導出された配線62および63の端
部とを接続するための取り出し配線である。
【0140】次に、本発明の画像形成装置の製造方法の
一例を図6乃至図12などを用いて以下に示す。
【0141】(A)まず、リアプレート1を用意する。
リアプレート1としては、絶縁性材料からなるものを用
い、特には、ガラスが好ましく用いられる。
【0142】(B)次に、リアプレート1上に、図1で
説明した一対の電極2,3を複数組み形成する(図
6)。電極材料は、導電性材料であれば良い。また、電
極2,3の形成方法は、スパッタ法、CVD法、印刷法
など種々の製造方法を用いることができる。なお、図6
では、説明を簡略化するために、X方向に3組、Y方向
に3組、合計9組の電極対を形成した例を用いている
が、この電極対の数は、画像形成装置の解像度に応じて
適宜設定される。
【0143】(C)次に、電極3の一部を覆うように、
下配線62を形成する(図7)。下配線62の形成方法
は、様々な手法を用いることができるが、好ましくは印
刷法を用いる。印刷法のなかでもスクリーン印刷法が大
面積の基板に安価に形成できるので好ましい。
【0144】(D)下配線62と、次工程で形成する上
配線63との交差部に絶縁層64を形成する(図8)。
絶縁層64の形成方法も様々な手法を用いることができ
るが、好ましくは印刷法を用いる。印刷法のなかでもス
クリーン印刷法が大面積の基板に安価に形成できるので
好ましい。
【0145】(E)下配線62と実質的に直交する上配
線63を形成する(図9)。上配線63の形成方法も様
々な手法を用いることができるが、下配線62と同様、
好ましくは印刷法を用いる。印刷法のなかでもスクリー
ン印刷法が大面積の基板に安価に形成できるので好まし
い。
【0146】(F)次に、各電極対2、3間を接続する
ように、高分子膜4を形成する(図10)。高分子膜4
は、前述のように様々な方法で作成することができる
が、大面積に簡易に形成するには、インクジェット法を
用いることもできるが、前述したようにパターンニング
で所望の形状の高分子膜4を形成しても良い。
【0147】(G)続いて、前述した様に、各高分子膜
4を低抵抗化する「低抵抗処理」を行う。「低抵抗化処
理」については、前記した電子ビームやイオンビームな
どの粒子ビームを照射するか、レーザビームを照射する
ことにより行われる。この「低抵抗化処理」は好ましく
は減圧雰囲気中で行われる。この工程により、高分子膜
4に導電性が付与され、導電性膜(カーボン膜)4’に
変化する(図11)。
【0148】(H)つぎに、前記工程(G)により得ら
れた膜4’に、間隙5の形成を行う。この間隙5の形成
は、各配線62および配線63に電圧を印加することに
よって行う。これにより、各電極対2、3間に電圧が印
加される。尚、印加する電圧としてはパルス電圧である
ことが好ましい。この電圧印加工程により、導電性膜
4’の一部に間隙5が形成される(図12)。間隙5
は、一方の電極近傍に配置される。
【0149】なお、この電圧印加工程は、前述の低抵抗
化処理と同時に、すなわち、電子ビームあるいはレーザ
ービームの照射を行っている最中に、電極2、3間に電
圧パルスを連続的に印加することによっても行うことが
できる。いずれの場合においても、電圧印加工程は、減
圧雰囲気下で行うのが望ましい。
【0150】(I)次に、予め用意しておいた、アルミ
ニウム膜からなるメタルバック73と蛍光体膜74とを
有するフェースプレート71と、上記工程(A)〜
(H)を経たリアプレート1とを、メタルバックと電子
放出素子が対向するように、位置合わせする(図17
(a))。支持枠72とフェースプレート71との当接
面(当接領域)には接合部材が配置される。同様に、リ
アプレート1と支持枠72との当接面(当接領域)にも
接合部材が配置される。上記接合部材には、真空を保持
する機能と接着機能とを有するものが用いられ、具体的
にはフリットガラスやインジウム、インジウム合金など
が用いられる。
【0151】図17においては、支持枠72が、予め上
記工程(A)〜(H)を経たリアプレート1上に接合部
材によって固定(接着)された例を図示しているが、必
ずしも本工程(I)時に接合されている必要はない。ま
た、同様に、図17においてはスペーサ101がリアプ
レート1上に固定された例を示しているが、スペーサ1
01も、本工程(I)時にリアプレート1に必ずしも固
定されている必要はない。
【0152】また、図17では、便宜上、リアプレート
1を下方に配置し、フェースプレート71をリアプレー
ト1の上方に配置した例を示したが、どちらが上であっ
ても構わない。
【0153】さらには、図17では、支持枠72および
スペーサ101は、予め、リアプレート1上に固定(接
着)しておいた例を示したが、次の「封着工程」時に固
定(接着)されるよう、リアプレート上またはフェース
プレート上に載置するだけでもよい。
【0154】(J)次に、封着工程を行う。上記工程
(I)で対向して配置されたフェースプレート71とリ
アプレート1とを、その対向方向に加圧しながら、少な
くとも前記接合部材を加熱する。上記加熱は、熱的な歪
を低減するために、フェースプレートおよびリアプレー
トの全面を加熱することが好ましい。
【0155】尚、本発明においては、上記「封着工程」
は、減圧(真空)雰囲気中あるいは非酸化雰囲気中にて
行うことが好ましい。具体的な減圧(真空)雰囲気とし
ては、10-5Pa以下、好ましくは10-6Pa以下の圧
力が好ましい。
【0156】この封着工程により、フェースプレート7
1と支持枠72とリアプレート1との当接部が気密に接
合され、同時に、内部が高真空に維持された、図16に
示した気密容器(画像形成装置)100が得られる。
【0157】ここでは、減圧(真空)雰囲気中あるいは
非酸化雰囲気中にて「封着工程」を行う例を示した。し
かしながら、大気中で上記「封着工程」を行っても良
い。この場合は、別途、フェースプレートとリアプレー
ト間の空間を排気するための排気管を、気密容器100
に設けておき、上記「封着工程」後に、気密容器内部を
10-5Pa以下に排気する。その後、排気管を封止する
ことで内部が高真空に維持された気密容器(画像形成装
置)100が得ることができる。
【0158】上記「封着工程」を真空中にて行う場合に
は、画像形成装置(気密容器)100内部を高真空に維
持するために、上記工程(I)と工程(J)との間に、
前記メタルバック73上(メタルバックのリアプレート
1と対向する面上)にゲッター材を被覆する工程を設け
ることが好ましい。この時、用いるゲッター材として
は、被覆を簡易にする理由から蒸発型のゲッターである
ことが好ましい。したがって、バリウムをゲッター膜と
してメタルバック73上に被覆することが好ましい。ま
た、このゲッターの被覆工程は、上記工程(J)と同様
に、減圧(真空)雰囲気中で行われる。
【0159】また、ここで説明した画像形成装置の例で
は、フェースプレート71とリアプレート1との間に
は、スペーサ101を配置した。しかしながら、画像形
成装置の大きさが小さい場合には、スペーサ101は必
ずしも必要としない。また、リアプレート1とフェース
プレート71との間隔が数百μm程度であれば支持枠7
2を用いずに、接合部材によって直接リアプレート1と
フェースプレート71とを接合することも可能である。
そのような場合には、接合部材が支持枠72の代替部材
を兼ねる。
【0160】また、本発明においては、電子放出素子1
02の間隙5を形成する工程(工程(H))の後に、位
置合わせ工程(工程(I))および封着工程(工程
(J))を行った。しかしながら、工程(H)を、封着
工程(工程J)の後に行うこともできる。
【0161】また、前述したように、前記「安定化駆
動」を行う場合は、上記「封着工程」後であって、且
つ、パネル内部の真空度が1.3×10-3Pa以上であ
る状態で行われる。
【0162】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明をより詳細に
説明する。
【0163】[実施例1]本実施例では、図2で示した
製造方法で作製した電子放出素子を用いた。以下に作製
工程の詳細を説明する。
【0164】(工程1)ガラス基板1上に、スパッタリ
ング法により、厚さ100nmのPt膜を堆積し、フォ
トリソグラフィ技術を用いてPt膜からなる電極2,3
を形成した(図2(a))。なお、電極2、3の電極間
距離は10μmとした。基板1には、旭硝子製の「PD
200」を使用した。このガラスの各物性値は以下のと
おりである。比熱:Csub=653[J/kg・K]、
比重:ρsub=2730[kg/m 3]、熱伝導率:λ
sub=0.90[W/m・K]。また、このガラスの8
00nm付近の波長の吸収係数を測定したところ、約5
%であった。また、各電極2と3にはそれぞれ、電流を
供給する不図示の配線が接続されている。配線は基板1
上に配置される。
【0165】(工程2)基体1に、芳香族ポリイミドの
前駆体であるポリアミック酸溶液を、3%のトリエタノ
ールアミンを溶かしたN−メチルピロリドン溶媒で希釈
したスピンコータによって全面に塗布し、真空条件下に
350℃まで昇温しベークして、イミド化を行った。そ
の後、フォトレジストを塗布し、露光、現像、エッチン
グの各工程を施すことによって、ポリイミド膜を素子電
極2,3を跨ぐ長方形状にパターニングし、高分子膜4
を作製した(図2(b))。この時の、ポリイミド膜4
の膜厚は30nmであった。このポリイミド膜が、1×
10-4Pa以上の真空度中で1時間加熱保持した時に
0.1Ωcmの抵抗率になる温度Tは、700℃であ
り、反応の活性化エネルギーは3.2eVであった。
【0166】(工程3)次に、Nd:YAGレーザー
(ビーム径10μm)を用いて、前述した式(1)に上
記基板の物性値を当てはめた条件(W1の関係式を満た
す条件)でのポリイミド膜4へのエネルギー照射(低抵
抗化処理)を照射時間毎に3条件ずつ行った。また、前
述した式(2)に上記基板の物性値を当てはめた条件
(W1’の関係式を満たす条件)でのポリイミド膜4へ
のエネルギー照射(低抵抗化処理)を照射時間毎に3条
件ずつ行った。この時、式(2)のA=2.70、γ=
0.565とした。また、同じ高分子膜に対して、図2
1に実線で示した、長時間をかけて低抵抗化処理を行っ
てきた知見に基づいて得られた条件(W2の関係式を満
たす条件)でのポリイミド膜4へのエネルギー照射を照
射時間条件毎に1条件ずつ行った。各条件毎にポリイミ
ド膜4を低抵抗化処理することによって得た膜のEaを
測定した。この測定結果を表1に示す。
【0167】
【表1】
【0168】表1に示す様に、本発明の式(1)を満た
す条件で「低抵抗化処理」を行った場合には、照射時間
τが1×10-9sec≦τ≦10secの範囲内では、
Eaの値は、照射時間毎にみるとEaの値がτが小さく
なるほどばらついているものの、全て0.3eV以下で
あった。しかし、式(1)の条件下であっても、照射時
間τの範囲を外れると、Eaの値は0.3eVを超える
ものがあった。本発明の式(2)を満たす条件で「低抵
抗化処理」を行なった場合には、照射時間τが1×10
-9sec≦τ≦1secの範囲内では、Eaの値が0.
2eV以下となり、照射時間毎のEaの値のばらつき
も、式(1)を満たす条件に比べて小さくなっていた。
照射時間τを外れると、Eaの値は0.3eVを超える
ものがあった。
【0169】ポリイミド膜に上記「低抵抗化処理」を施
した後に得られた膜(「カーボン膜」あるいは「導電性
膜」と呼ぶ)をオージェ電子分光分析装置(AES)を
用いて分析したところ、カーボンを主成分とする膜に変
化していることが分かった。
【0170】(工程4)その後、冷却して各々の電極
2,3間に20V、パルス幅1msecの矩形パルスを
印加することにより低抵抗化処理を施した膜に間隙5を
形成する電圧印加工程を行った。
【0171】上記工程1〜4の各工程を経た素子の電子
放出特性、間隙5の形成位置、間隙がカーボン膜のEa
を調べた。その結果、式(1)の条件下で「低抵抗化処
理」を行った素子においては、良好な電子放出特性が得
られた。また、間隙5の位置も図23に示す様に、電極
近傍に形成されていた。但し、間隙5は電極3の近傍に
形成される場合と、電極2近傍に形成される場合とがあ
った。しかし、図19の様に、高分子膜4を台形形状に
パターニングすれば、電極と高分子膜との接続長さが短
い方に間隙を形成することができた。
【0172】一方、τ≦10secの領域においては、
式(1)以外の条件で「低抵抗処理」を行った素子にお
いては、電極2と電極3の中間あたりに間隙が形成され
たり、また、間隙が形成できなかったり、ひどい場合に
は、電極が破壊され電子放出素子としては使えない状態
になっていた。また、τが>10secの領域では、W
1以外の条件においても、良好な電子放出特性が得られ
る場合とそうではない場合とがあった。
【0173】また、良好な電子放出特性を示した素子の
導電性膜(カーボン膜)4’のEaを算出したところ、
低抵抗化処理後にEaが0.2eV以上0.3eV以下
であったものも含め、いずれの導電性膜(カーボン膜)
4’もEaが0.2eV以下であった。また、いずれの
導電性膜(カーボン膜)4’も低抵抗化処理後に比べて
Eaが小さくなっていた。
【0174】本実施例における活性化エネルギーEaの
測定は、1×10-6Pa程度の真空下で、図19に示す
ように、電極2,3間に電圧(0.5V)を加え「低抵
抗化処理」を施して得られた膜に流れる電流をモニター
しながら、ヒーターを用いて基体1を常温から300℃
まで加熱する。その結果得られた電流と温度のデータを
アレニウスプロット(I∝EXP(−Ea/kT),
I:電流,k:ボルツマン定数,T:絶対温度)し、そ
の傾きからEaを算出した。
【0175】また、本実施例では、上記電子放出素子に
接続する配線の材料を変えて基板1上に形成し、上記と
同様の測定をしたところ、図20に示す様に、τ>10
secの領域においては、良好な電子放出特性が得られ
るために必要なエネルギー密度の条件が、配線の材料に
よって異なることが分かった。しかし、τ≦10sec
の領域においては、図21に示す様に、配線の材料が異
なっても、上記式(1)の条件を満たせば、良好な電子
放出特性を得ることができることがわかる。また、配線
の膜厚や構造によっても、τ≦10secの領域におい
ては、上記式(1)の条件を満たせば、良好な電子放出
特性を得ることができる。
【0176】この結果からも、電子源や画像形成装置の
ような、多数の電子放出素子と、電子放出素子を駆動す
るための配線が配置されるものを形成する場合(即ち、
「低抵抗化処理」の際に、既に、基板上に配線が形成さ
れている場合)においては、本発明の式(1)に示す条
件下での「低抵抗化処理」を行うことが望ましいことが
わかる。
【0177】また、基板1の材料を石英基板に代えて、
石英基板の物性値を上記式(1)に当てはめた条件で、
上記工程(1)〜(4)を行ったところ、同様に電子放
出特性に優れた電子放出素子を得ることができた。この
関係は他の基板材料においても同様であった。
【0178】図22には、石英基板および高歪点ガラス
基板(旭硝子(株)製、商品名:PD200)基板の各
物性値を式(1)に当てはめた条件をグラフ化して示し
た。尚、石英基板がλ=1.38W/m・K、c=74
0J/kg・K、ρ=2190kg/m3、(λ・c・
ρ)1/2=1495であり、PD200基板がλ=
0.9/m・K、c=653J/kg・K、ρ=273
0kg/m3、(λ・c・ρ)1/2=1267であっ
た。図21、図22から、基体の種類や配線材料や配線
の膜厚等には依存せず、基体・配線を固定すれば、τ≦
10secの領域においては、照射時間と、高分子膜4
の低抵抗化処理に必要な単位面積・単位時間あたりのエ
ネルギーはLog−Logで直線の関係にあることがわ
かる。
【0179】また、基板1の材料を石英基板にし、石英
基板の物性値を上記式(2)に当てはめた条件で、上記
工程(1)〜(4)を行った。(2)式におけるA=
2.82、γ=0.553とした。PD200基板の時
と同様、低抵抗化処理後のEaばらつきが(1)式の条
件よりも小さくなり、その後の「電圧印加工程」が短時
間で処理でき、且つさらにばらつきの少ない優れた電子
放出特性を持つ電子放出素子を得ることができた。
【0180】この関係は他の基板材料においても同様で
あった。このことから、式(2)においても、配線材料
や配線の膜厚等には依存せず、基体を固定すれば、τ≦
1secの領域においては、照射時間と、高分子膜4の
低抵抗化処理に必要な単位面積・単位時間あたりのエネ
ルギーはLog−Logで直線の関係に近似できること
がわかる。
【0181】また、良好な電子放出特性を示した素子の
間隙5近傍の断面SEM像を観測したところ、図1
(b)に示した模式図と同様に、間隙5内に、電極が露
出する構成であった。
【0182】[実施例2]本実施例では図16に模式的
に示した画像表示装置100を作成した。符号102
は、本発明の電子放出素子である。図6乃至図12、図
16、図17を用いて、本実施例の画像形成装置の作製
方法を述べる。
【0183】図12は、リアプレート1と、その上に形
成された複数の本発明の電子放出素子と、各電子放出素
子に信号を印加するための配線とから構成される電子源
の一部を拡大して模式的に示している。1はリアプレー
ト、2、3は電極、5は間隙、4’はカーボン膜、62
はX方向配線、63はY方向配線、64は層間絶縁層で
ある。
【0184】リアプレート1には、旭硝子のPD200
を使用した。各物性値は以下のとおりである。
【0185】 比 熱 :csub=653[J/kg・K] 比 重 :ρsub=2730[kg/m3] 熱伝導率:λsub=0.90[W/m・K]
【0186】図16において、図12と同じ符号のもの
は、同じ部材を示している。71はガラス基板上に、蛍
光体膜74とAlからなるメタルバック73とが積層さ
れたフェースプレートである。72は支持枠であり、リ
アプレート1、フェースプレート71、支持枠72で真
空密閉容器が形成される。
【0187】以下、図6乃至図12、図16、図17を
用いて、本実施例を説明する。
【0188】(工程1)ガラス基板1上に、スパッタリ
ング法により、厚さ100nmのPt膜を堆積し、フォ
トリソグラフィ技術を用いてPt膜からなる電極2,3
を形成した(図6)。なお、電極2、3の電極間距離は
10μmとした。
【0189】(工程2)次に、スクリーン印刷法により
Agペーストを印刷し、加熱焼成することにより、X方
向配線62を形成した(図7)。
【0190】(工程3)続いて、X方向配線62とY方
向配線63の交差部になる位置に、スクリーン印刷法に
より絶縁性ペーストを印刷し、加熱焼成して絶縁層64
を形成した(図8)。
【0191】(工程4)さらに、スクリーン印刷法によ
りAgペーストを印刷し、加熱焼成することにより、Y
方向配線63を形成し、基体1上にマトリックス配線を
形成した(図9)。
【0192】(工程5)以上のようにしてマトリックス
配線を形成した基体1の電極2,3間に跨る位置に、高
分子膜4を配置した(図10)。この高分子膜4の形成
方法を図27を用いて具体的に説明する。尚、図27は
1素子分の領域のみを示している。
【0193】先ず、マトリックス配線を形成した基体1
に、芳香族ポリイミドの前駆体であるポリアミック酸
(日立化成工業(株)社製:PIX−L110)溶液
を、3%のトリエタノールアミンを溶かしたN−メチル
ピロリドン溶媒で希釈したスピンコータによって全面に
塗布し、真空条件下に350℃まで昇温しベークして、
イミド化を行った(図27(b))。その後、フォトレ
ジスト8を塗布し(図27(c))、露光(図省略)、
現像(図27(d))、エッチング(図27(e))の
各工程を施すことによって、ポリイミド膜を素子電極
2,3を跨ぐ台形形状にパターニングし、台形形状の高
分子膜4を作製した(図27(f)及び図10)。
【0194】この時の、ポリイミド膜4の膜厚は30n
mであった。このポリイミド膜が、1×10-4Pa以上
の真空度中で1時間加熱保持した時に0.1Ωcm以下
の抵抗率になる温度Tは、750℃であった。また、電
極2と高分子膜4との交差長(実質的に、「基板1表面
上における電極と高分子膜との境界線の長さ」に相当す
る)を100μmとし、電極3と高分子膜4との交差長
を150μmとした。尚、このリヤプレートの800n
m付近の波長の吸収係数を測定したところ、約5%であ
った。
【0195】(工程6)次に、Ptからなる電極2、
3、マトリックス配線62、63、ポリイミド膜からな
る高分子膜4を形成したリアプレート1をステージ上に
セットし、各々の高分子膜4に対して、実施例1で行っ
た、式(1)の条件下のエネルギーを1パルスづつ照射
した。1パルスのパルス幅(照射時間τ)を1secと
して照射した。
【0196】このとき、各素子に、エネルギー源である
半導体レーザーが照射されるよう、ステージを移動させ
て、各々の高分子膜4を低抵抗化処理した。
【0197】(工程7)以上のようにして作製したリア
プレート1上に、支持枠72とスペーサ101とをフリ
ットガラスにより接着した。そしてスペーサと支持枠が
接着されたリアプレート1と、フェースプレート71と
を対向させて(蛍光体膜74とメタルバック73が形成
された面と、配線62,63が形成された面とを対向さ
せて)、配置した(図17(a))。尚、フェースプレ
ート71上の支持枠72との当接部には、予めフリット
ガラスを塗付しておいた。
【0198】(工程8)次に、対向させたフェースプレ
ート71とリアプレート1とを10-6Paの真空雰囲気
中で、400℃に加熱および加圧して封着を行った(図
17(b))。この工程により内部が高真空に維持され
た気密容器が得られた。なお、蛍光体膜74には3原色
(RGB)の各色蛍光体がストライプ形状に配置された
ものを用いた。
【0199】最後に、X方向配線、Y方向配線を通じ
て、各々の電極2,3間に25V、の矩形パルスを印加
することにより「低抵抗化処理」を施して得られた膜
(「導電性膜」あるいは「カーボン膜」あるいは「炭素
を主成分とする導電性膜」)4’に間隙5を形成し(図
12参照)、本実施例の画像形成装置100を作製し
た。
【0200】以上のようにして完成した画像形成装置に
おいて、X方向配線、Y方向配線を通じて、所望の電子
放出素子を選択して22Vの電圧を印加し、高圧端子H
vを通じてメタルバック73に8kVの電圧を印加した
ところ、長時間にわたって明るい良好な画像を形成する
ことができた。
【0201】[実施例3]本実施例では、実施例2で作
成した画像表示装置にさらに、「安定化駆動」工程を付
与した。従って、実施例2の工程8に続く工程について
以下に記載する。
【0202】(工程9)上記工程8で得られた画像形成
装置のX方向配線、Y方向配線を通じて各電子放出素子
に繰り返し周波数60Hz、パルス幅100μ秒、電圧
22Vの駆動パルスを印加してパネルの安定化駆動を行
った。この安定化駆動時に印加したパルスの波高値は、
実駆動時に印加されるパルスの波高値と同じである。こ
の時の各々のX方向に沿った1ライン当りの放出電流及
び素子電流を計測し、初期の電流変動が一定値に収束し
たところで安定化駆動を終了した。それに要した時間は
上記条件下ではほぼ10分間であった。
【0203】以上のようにして完成した画像形成装置に
おいて、X方向配線、Y方向配線を通じて、所望の電子
放出素子を選択して印加電圧22V、パルス幅20μ
秒、繰り返し周波数60Hzの駆動電圧を印加し、高圧
端子Hvを通じてメタルバック73に8kVの電圧を印
加して画像を表示したところ、長時間にわたって明るい
良好な画像を形成することができた。また、その時の表
示画像の輝度変化を測定したところ全画像領域において
長期にわたり5%以内という、良好な結果が得られた。
【0204】[実施例4]本実施例では、実施例3同様
の図16に模式的に示した画像形成装置100を作成し
た。電子放出素子102としては、図1および図2を用
いてその製造方法を既に記した電子放出素子を用いた。
主な製造工程は実施例2と同様であるため省略するが、
前記「低抵抗化処理」において、リアプレート1をおよ
そ1×10 -6Paの減圧雰囲気中に入れ、加速電圧=1
0kV、電流密度=0.1mAの電子ビームを高分子膜
に照射することで行った。
【0205】こうして得られてリアプレート1を減圧雰
囲気中で実施例3と同様にX方向配線、Y方向配線を通
じて、各々の電極2,3間に25V、パルス幅1mse
cの矩形パルスを印加することにより間隙5を形成し
た。
【0206】以上のようにして作製したリアプレート1
上に、支持枠72とスペーサ101とをフリットガラス
により接着した。そしてスペーサと支持枠が接着された
リアプレート1と、フェースプレート71とを対向させ
て(蛍光体膜74とメタルバック73が形成された面
と、配線62,63が形成された面とを対向させて)、
配置した(図17(a))。尚、フェースプレート71
上の支持枠72との当接部には、予めフリットガラスを
塗付しておいた。
【0207】次に、対向させたフェースプレート71と
リアプレート1とを10-6Paの真空雰囲気中で、40
0℃に加熱および加圧して封着を行った(図17
(b))。この工程により内部が高真空に維持された気
密容器(パネル)が得られた。なお、蛍光体膜74には
3原色(RGB)の各色蛍光体がストライプ形状に配置
されたものを用いた。
【0208】次に、上記工程で得られた画像形成装置の
X方向配線、Y方向配線を通じて各電子放出素子に繰り
返し周波数600Hz、パルス幅100μ秒、電圧22
Vの駆動パルスを印加してパネルの安定化駆動を行っ
た。この時の各々のX方向に沿った1ライン当りの放出
電流及び素子電流を計測し、初期の電流変動が一定値に
収束したところで安定化駆動を終了した。それに要した
時間は上記条件下ではほぼ1分間であり、実施例3に比
べてさらに短時間で安定化させることが可能であった。
【0209】以上のようにして完成した画像形成装置に
おいて、X方向配線、Y方向配線を通じて、所望の電子
放出素子を選択して印加電圧22V、パルス幅20μ
秒、繰り返し周波数60Hzの駆動電圧を印加し、高圧
端子Hvを通じてメタルバック73に8kVの電圧を印
加したところ、長時間にわたって明るい良好な画像を形
成することができた。また、その時の表示画像の輝度変
化を測定したところ全画像領域において長期に渡って5
%以内という、良好な結果が得られた。
【0210】
【発明の効果】本発明によれば、電子放出素子の作成プ
ロセスを簡易化ができるとともに、長期に渡り表示品位
に優れた画像形成装置を安価に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子放出素子の一例を示す模式的平面
図及び断面図である。(a)は平面図である。(b)は
断面図である。
【図2】本発明の電子放出素子の作製方法の一例を示す
模式的断面図である。
【図3】本発明におけるカーボン膜を流れる電流と温度
の関係の一例を示す図である。
【図4】本発明におけるカーボン膜を流れる電流と温度
をアレニウスプロットした一例図である。
【図5】測定評価機能を備えた真空装置の一例を示す模
式図である。
【図6】本発明の単純マトリクス配置の電子源の製造工
程の一例を示す模式図である。
【図7】本発明の単純マトリクス配置の電子源の製造工
程の一例を示す模式図である。
【図8】本発明の単純マトリクス配置の電子源の製造工
程の一例を示す模式図である。
【図9】本発明の単純マトリクス配置の電子源の製造工
程の一例を示す模式図である。
【図10】本発明の単純マトリクス配置の電子源の製造
工程の一例を示す模式図である。
【図11】本発明の単純マトリクス配置の電子源の製造
工程の一例を示す模式図である。
【図12】本発明の単純マトリクス配置の電子源の製造
工程の一例を示す模式図である。
【図13】従来の電子放出素子の模式図である。
【図14】従来の電子放出素子の製造工程の模式図であ
る。
【図15】本発明による電子放出素子の電子放出特性を
示す模式図である。
【図16】本発明の画像形成装置の斜視模式図である。
【図17】本発明の画像形成装置の製造工程の一部を示
す模式図である。
【図18】本発明による電子放出素子の安定化駆動の一
例を示す模式図である。
【図19】本発明の電子放出素子のカーボン膜の電気伝
導の温度特性測定方法を示す模式図である。
【図20】本発明の低抵抗処理工程を説明する模式図で
ある。
【図21】本発明の低抵抗処理工程を説明する別の模式
図である。
【図22】本発明の低抵抗処理工程を説明する別の模式
図である。
【図23】本発明の電子放出素子の平面模式図である。
【図24】本発明による電子放出素子の安定化駆動の一
例を示す模式図である。
【図25】本発明による電子放出素子の安定化駆動の一
例を示す模式図である。
【図26】本発明の高分子膜の低抵抗化の反応速度の温
度依存性の一例を示す模式図である。
【図27】本発明の単純マトリクス配置の電子源の製造
工程の一例を示す模式図である。
【符号の説明】
1 基体 2,3 電極 4 高分子膜 4’ カーボン膜 5 間隙 6 空隙 8 フォトレジスト 10 照射手段 62 下配線 63 上配線 64 絶縁層 71 フェースプレート 72 支持枠 73 メタルバック 74 蛍光体膜 75 画像形成部材 80 電極2,3間を流れる素子電流を測定するための
電流計 81 電子放出素子に駆動電圧Vfを印加するための電
源 82 電子放出素子から放出された放出電流Ieを測定
するための電流計 83 高圧電源 84 アノード 100 画像形成装置 101 スペーサ 102 電子放出素子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 糠信 恒樹 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 岩城 孝志 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 武田 俊彦 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 宮崎 和也 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 Fターム(参考) 5C127 AA01 CC12 DD06 DD68 DD82 DD84 EE02 EE15

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基体上に、一対の電極を配置する工程
    と、 高分子膜を、前記電極間を接続するように配置する工程
    と、 前記高分子膜に光あるいは粒子ビームを照射することに
    より、前記高分子膜を低抵抗化する工程と、 前記高分子膜を低抵抗化することによって得た膜に電流
    を流すことにより、該膜に間隙を形成する工程とを有
    し、 前記高分子膜を低抵抗化する工程において、前記高分子
    膜に、単位面積当たりに、単位時間当たりに付与される
    エネルギー強度をW[W/m2]とした際に、 W≧2×T×(ρsub・Csub・λsub/τ)1/2 (尚、上記式において、T:前記高分子膜を1×10-4
    Pa以上の真空度中で1時間加熱保持した後に、該加熱
    した高分子膜が0.1Ωcm以下の抵抗率を示すために
    必要とする加熱温度[℃]、Csub:前記基体の比熱
    [J/kg・K]、ρsub:前記基体の比重[kg/
    3]、λsub:前記基体の熱伝導率[W/m・K]、1
    ×10-9sec≦τ≦10sec)を満たすことを特徴
    とする電子放出素子の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記高分子膜を低抵抗化する工程におい
    て、前記エネルギー強度W[W/m2]は、さらに、 W≧A×T×(ρsub・Csub・λsub1/2×τ (尚、上記式において、A:定数、2.5≦A≦3.
    0、γ:定数、0.5<γ≦0.6、1×10-9sec
    ≦τ≦1sec)を満たすことを特徴とする請求項1に
    記載の電子放出素子の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記高分子膜の比抵抗を0.1Ωcm以
    下にするために必要な活性化エネルギーが、4eV以下
    であることを特徴とする請求項1または2に記載の電子
    放出素子の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記光あるいは粒子ビームは、複数回に
    分けて照射されることを特徴とする請求項1乃至3のい
    ずれかに記載の電子放出素子の製造方法。
  5. 【請求項5】 基体上に、一対の電極を配置する工程
    と、 高分子膜を、前記電極間を接続するように配置する工程
    と、 前記高分子膜を低抵抗化する工程と、 前記高分子膜を低抵抗化することによって得た膜に電流
    を流すことにより、前記高分子膜が低抵抗化された膜
    の、前記一対の電極のうちの一方の電極近傍に、間隙を
    形成する工程とを有し、 前記高分子膜を低抵抗化することによって得た膜は、そ
    の電気伝導に対する活性化エネルギーが0.3eV以下
    であることを特徴とする電子放出素子の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記低抵抗化工程は、前記高分子膜に光
    あるいは粒子ビームを照射する工程を有することを特徴
    とする請求項5に記載の電子放出素子の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記粒子ビームは、電子ビーム、もしく
    はイオンビームであることを特徴とする請求項1乃至
    4、6のいずれかに記載の電子放出素子の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記光は、レーザー光であることを特徴
    とする請求項1乃至4、6のいずれかに記載の電子放出
    素子の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記光は、キセノン光源あるいはハロゲ
    ン光源から放出された光であることを特徴とする請求項
    1乃至4、6のいずれかに記載の電子放出素子の製造方
    法。
  10. 【請求項10】 前記高分子が、芳香族ポリイミド、ポ
    リフェニレンオキサジアゾールまたはポリフェニレンビ
    ニレンのいずれかであることを特徴とする請求項1乃至
    9のいずれかに記載の電子放出素子の製造方法。
  11. 【請求項11】 基体上に、一対の電極を配置する工程
    と、 電気伝導に対する活性化エネルギーが0.3eV以下で
    ある導電性膜を、前記電極間を接続するように配置する
    工程と、 前記導電性膜に電流を流すことにより、前記導電性膜
    の、前記一対の電極のうちの一方の電極近傍に、間隙を
    形成する工程とを有することを特徴とする電子放出素子
    の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記導電性膜が炭素を主成分とするこ
    とを特徴とする請求項11に記載の電子放出素子の製造
    方法。
  13. 【請求項13】 前記間隙が形成された後に、減圧雰囲
    気下において、前記電極間に電圧を印加することで、前
    記電極間に電流を流す工程を有することを特徴とする請
    求項1乃至12のいずれかに記載の電子放出素子の製造
    方法。
  14. 【請求項14】 前記電極間に印加する電圧は、波高値
    が一定のパルス電圧であり、該パルス電圧のパルス幅あ
    るいはパルスデューティ(パルス幅/パルス周期)が実
    駆動時のパルス幅あるいはパルスデューティ(パルス幅
    /パルス周期)よりも大きいことを特徴とする請求項1
    3に記載の電子放出素子の製造方法。
  15. 【請求項15】 前記電極間に印加する電圧は、波高値
    が一定のパルス電圧であり、該パルス電圧のパルス間隔
    が実駆動時のパルス間隔よりも短いことを特徴とする請
    求項14に記載の電子放出素子の製造方法。
  16. 【請求項16】 複数の電子放出素子を有する電子源の
    製造方法において、該電子放出素子が請求項1乃至15
    のいずれかに記載の方法により製造されることを特徴と
    する電子源の製造方法。
  17. 【請求項17】 複数の電子放出素子を有する電子源
    と、該電子源から放出される電子の照射により発光する
    発光部材とを有する画像表示装置の製造方法において、
    該電子源が請求項16に記載の方法により製造されるこ
    とを特徴とする画像表示装置の製造方法。
  18. 【請求項18】 基体上に、高分子膜を配置する工程
    と、 前記高分子膜に光あるいは粒子ビームを照射することに
    より、前記高分子膜を低抵抗化する工程と、を有し、 前記高分子膜を低抵抗化する工程において、前記高分子
    膜に、単位面積当たりに、単位時間当たりに付与される
    エネルギー強度をW[W/m2]とした際に、 W≧2×T×(ρsub・Csub・λsub/τ)1/2 (尚、上記式において、T:前記高分子膜を1×10-4
    Pa以上の真空度中で1時間加熱保持した後に、該加熱
    した高分子膜が0.1Ωcm以下の抵抗率を示すために
    必要とする加熱温度[℃]、Csub:前記基体の比熱
    [J/kg・K]、ρsub:前記基体の比重[kg/
    3]、λsub:前記基体の熱伝導率[W/m・K]、1
    ×10-9sec≦τ≦10sec)を満たすことを特徴
    とする電子放出素子の製造方法。
JP2003022953A 2002-02-28 2003-01-31 電子放出素子、電子源及び画像表示装置の製造方法 Expired - Fee Related JP3634852B2 (ja)

Priority Applications (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003022953A JP3634852B2 (ja) 2002-02-28 2003-01-31 電子放出素子、電子源及び画像表示装置の製造方法
CN2007100918032A CN101075516B (zh) 2002-02-28 2003-02-26 电子发射元件,电子源以及图像显示装置的制造方法
CNB031066054A CN100356496C (zh) 2002-02-28 2003-02-26 电子发射元件,电子源以及图像显示装置的制造方法
US10/372,853 US6896571B2 (en) 2002-02-28 2003-02-26 Methods of manufacturing electron-emitting device, electron source, and image display apparatus
US11/082,785 US7077716B2 (en) 2002-02-28 2005-03-18 Methods of manufacturing electron-emitting device, electron source, and image display apparatus

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002054342 2002-02-28
JP2002-54342 2002-02-28
JP2003022953A JP3634852B2 (ja) 2002-02-28 2003-01-31 電子放出素子、電子源及び画像表示装置の製造方法

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004346144A Division JP3740488B2 (ja) 2002-02-28 2004-11-30 電子放出素子の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2003323844A true JP2003323844A (ja) 2003-11-14
JP3634852B2 JP3634852B2 (ja) 2005-03-30

Family

ID=27759717

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003022953A Expired - Fee Related JP3634852B2 (ja) 2002-02-28 2003-01-31 電子放出素子、電子源及び画像表示装置の製造方法

Country Status (3)

Country Link
US (2) US6896571B2 (ja)
JP (1) JP3634852B2 (ja)
CN (2) CN101075516B (ja)

Families Citing this family (29)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3634805B2 (ja) * 2001-02-27 2005-03-30 キヤノン株式会社 画像形成装置の製造方法
JP3634828B2 (ja) * 2001-08-09 2005-03-30 キヤノン株式会社 電子源の製造方法及び画像表示装置の製造方法
JP3902995B2 (ja) 2001-10-11 2007-04-11 キヤノン株式会社 電子放出素子、電子源及び画像形成装置の製造方法
JP3902964B2 (ja) * 2002-02-28 2007-04-11 キヤノン株式会社 電子源の製造方法
JP3884979B2 (ja) * 2002-02-28 2007-02-21 キヤノン株式会社 電子源ならびに画像形成装置の製造方法
JP3884980B2 (ja) * 2002-02-28 2007-02-21 キヤノン株式会社 電子源及び該電子源を用いた画像形成装置の製造方法
JP3634850B2 (ja) * 2002-02-28 2005-03-30 キヤノン株式会社 電子放出素子、電子源および画像形成装置の製造方法
JP3619240B2 (ja) * 2002-09-26 2005-02-09 キヤノン株式会社 電子放出素子の製造方法及びディスプレイの製造方法
JP4086753B2 (ja) * 2003-10-03 2008-05-14 キヤノン株式会社 画像形成装置及びその駆動制御方法
US7271529B2 (en) * 2004-04-13 2007-09-18 Canon Kabushiki Kaisha Electron emitting devices having metal-based film formed over an electro-conductive film element
JP4366235B2 (ja) 2004-04-21 2009-11-18 キヤノン株式会社 電子放出素子、電子源及び画像表示装置の製造方法
JP3907667B2 (ja) * 2004-05-18 2007-04-18 キヤノン株式会社 電子放出素子、電子放出装置およびそれを用いた電子源並びに画像表示装置および情報表示再生装置
JP3935478B2 (ja) * 2004-06-17 2007-06-20 キヤノン株式会社 電子放出素子の製造方法およびそれを用いた電子源並びに画像表示装置の製造方法および該画像表示装置を用いた情報表示再生装置
JP3935479B2 (ja) * 2004-06-23 2007-06-20 キヤノン株式会社 カーボンファイバーの製造方法及びそれを使用した電子放出素子の製造方法、電子デバイスの製造方法、画像表示装置の製造方法および、該画像表示装置を用いた情報表示再生装置
JP4027386B2 (ja) * 2004-11-18 2007-12-26 キヤノン株式会社 発光スクリーン構造及び画像形成装置
JP4594077B2 (ja) * 2004-12-28 2010-12-08 キヤノン株式会社 電子放出素子及びそれを用いた電子源並びに画像表示装置および情報表示再生装置
JP4920925B2 (ja) * 2005-07-25 2012-04-18 キヤノン株式会社 電子放出素子及びそれを用いた電子源並びに画像表示装置および情報表示再生装置とそれらの製造方法
JP2008027853A (ja) * 2006-07-25 2008-02-07 Canon Inc 電子放出素子、電子源および画像表示装置、並びに、それらの製造方法
JP2009037757A (ja) * 2007-07-31 2009-02-19 Canon Inc 導電性薄膜、電子放出素子及び画像表示装置
JP2009043568A (ja) * 2007-08-09 2009-02-26 Canon Inc 電子放出素子及び画像表示装置
EP2073247B1 (en) * 2007-12-20 2011-08-31 Canon Kabushiki Kaisha Light-emitting substrate and display apparatus using the same
US7962438B2 (en) * 2008-03-26 2011-06-14 The Go Daddy Group, Inc. Suggesting concept-based domain names
JP2009277460A (ja) * 2008-05-14 2009-11-26 Canon Inc 電子放出素子及び画像表示装置
JP2009277458A (ja) * 2008-05-14 2009-11-26 Canon Inc 電子放出素子及び画像表示装置
JP2009277457A (ja) * 2008-05-14 2009-11-26 Canon Inc 電子放出素子及び画像表示装置
JP2010092843A (ja) * 2008-09-09 2010-04-22 Canon Inc 電子線装置およびそれを用いた画像表示装置
JP2010067398A (ja) * 2008-09-09 2010-03-25 Canon Inc 電子線装置
JP2010244933A (ja) * 2009-04-08 2010-10-28 Canon Inc 画像表示装置
CN114927396B (zh) * 2022-04-24 2023-05-12 电子科技大学 一种实时控制NEA GaN电子源扩散长度的方法

Family Cites Families (41)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4904895A (en) 1987-05-06 1990-02-27 Canon Kabushiki Kaisha Electron emission device
US5066883A (en) 1987-07-15 1991-11-19 Canon Kabushiki Kaisha Electron-emitting device with electron-emitting region insulated from electrodes
US5872541A (en) 1987-07-15 1999-02-16 Canon Kabushiki Kaisha Method for displaying images with electron emitting device
US6313815B1 (en) 1991-06-06 2001-11-06 Canon Kabushiki Kaisha Electron source and production thereof and image-forming apparatus and production thereof
JPH0765704A (ja) 1993-08-30 1995-03-10 Canon Inc 電子放出素子および画像形成装置
CA2137721C (en) * 1993-12-14 2000-10-17 Hidetoshi Suzuki Electron source and production thereof, and image-forming apparatus and production thereof
JPH0855571A (ja) * 1994-08-11 1996-02-27 Canon Inc 近赤外線吸収性有機金属物質を用いる電子放出素子および画像形成装置の製造方法
CA2126535C (en) 1993-12-28 2000-12-19 Ichiro Nomura Electron beam apparatus and image-forming apparatus
JP3251466B2 (ja) 1994-06-13 2002-01-28 キヤノン株式会社 複数の冷陰極素子を備えた電子線発生装置、並びにその駆動方法、並びにそれを応用した画像形成装置
JP3072825B2 (ja) * 1994-07-20 2000-08-07 キヤノン株式会社 電子放出素子、電子源、及び、画像形成装置の製造方法
JP3320215B2 (ja) * 1994-08-11 2002-09-03 キヤノン株式会社 電子放出素子、電子源及び画像形成装置
JP2903295B2 (ja) 1994-08-29 1999-06-07 キヤノン株式会社 電子放出素子、それを用いた電子源並びに画像形成装置と、それらの製造方法
US6246168B1 (en) 1994-08-29 2001-06-12 Canon Kabushiki Kaisha Electron-emitting device, electron source and image-forming apparatus as well as method of manufacturing the same
CN1110833C (zh) 1995-04-04 2003-06-04 佳能株式会社 形成发射电子器件的含金属组合物及应用
EP1124247A1 (en) 1995-04-04 2001-08-16 Canon Kabushiki Kaisha Metal-containing composition for forming electron-emitting device and methods of manufacturing electron-emitting device,electron source and image-forming apparatus
US6473063B1 (en) 1995-05-30 2002-10-29 Canon Kabushiki Kaisha Electron source, image-forming apparatus comprising the same and method of driving such an image-forming apparatus
JPH0955160A (ja) * 1995-08-14 1997-02-25 Canon Inc 電子放出素子、電子源基板および画像形成装置並びにそれらの製造方法
JP3302278B2 (ja) 1995-12-12 2002-07-15 キヤノン株式会社 電子放出素子の製造方法並びに該製造方法を用いた電子源及び画像形成装置の製造方法
JPH09161666A (ja) 1995-12-13 1997-06-20 Dainippon Printing Co Ltd 電子放出素子の製造方法
CN1115708C (zh) 1996-04-26 2003-07-23 佳能株式会社 电子发射器件、电子源和图像形成装置的制造方法
JP3199682B2 (ja) 1997-03-21 2001-08-20 キヤノン株式会社 電子放出装置及びそれを用いた画像形成装置
JPH11120901A (ja) 1997-10-14 1999-04-30 Japan Atom Energy Res Inst 放射線による電界放出型冷陰極材料の作製方法
DE69919242T2 (de) 1998-02-12 2005-08-11 Canon K.K. Verfahren zur Herstellung eines elektronenemittierenden Elementes, Elektronenquelle und Bilderzeugungsgerätes
US6534924B1 (en) 1998-03-31 2003-03-18 Canon Kabushiki Kaisha Method and apparatus for manufacturing electron source, and method manufacturing image forming apparatus
US6566794B1 (en) 1998-07-22 2003-05-20 Canon Kabushiki Kaisha Image forming apparatus having a spacer covered by heat resistant organic polymer film
JP3320387B2 (ja) 1998-09-07 2002-09-03 キヤノン株式会社 電子源の製造装置及び製造方法
JP3102787B1 (ja) 1998-09-07 2000-10-23 キヤノン株式会社 電子放出素子、電子源、及び画像形成装置の製造方法
JP2000155555A (ja) 1998-09-16 2000-06-06 Canon Inc 電子放出素子の駆動方法及び、該電子放出素子を用いた電子源の駆動方法、並びに該電子源を用いた画像形成装置の駆動方法
US6492769B1 (en) 1998-12-25 2002-12-10 Canon Kabushiki Kaisha Electron emitting device, electron source, image forming apparatus and producing methods of them
US20020090674A1 (en) * 2000-01-31 2002-07-11 Rosen Craig A. Nucleic acids, proteins, and antibodies
JP4323679B2 (ja) 2000-05-08 2009-09-02 キヤノン株式会社 電子源形成用基板及び画像表示装置
EP1184886B1 (en) 2000-09-01 2009-10-21 Canon Kabushiki Kaisha Electron-emitting device, electron source and method for manufacturing image-forming apparatus
JP3634805B2 (ja) 2001-02-27 2005-03-30 キヤノン株式会社 画像形成装置の製造方法
JP3634828B2 (ja) 2001-08-09 2005-03-30 キヤノン株式会社 電子源の製造方法及び画像表示装置の製造方法
JP3902995B2 (ja) 2001-10-11 2007-04-11 キヤノン株式会社 電子放出素子、電子源及び画像形成装置の製造方法
JP3902998B2 (ja) 2001-10-26 2007-04-11 キヤノン株式会社 電子源及び画像形成装置の製造方法
JP3647436B2 (ja) 2001-12-25 2005-05-11 キヤノン株式会社 電子放出素子、電子源、画像表示装置、及び電子放出素子の製造方法
JP3884980B2 (ja) 2002-02-28 2007-02-21 キヤノン株式会社 電子源及び該電子源を用いた画像形成装置の製造方法
JP3634850B2 (ja) 2002-02-28 2005-03-30 キヤノン株式会社 電子放出素子、電子源および画像形成装置の製造方法
JP3884979B2 (ja) 2002-02-28 2007-02-21 キヤノン株式会社 電子源ならびに画像形成装置の製造方法
JP3902964B2 (ja) 2002-02-28 2007-04-11 キヤノン株式会社 電子源の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
CN100356496C (zh) 2007-12-19
CN101075516A (zh) 2007-11-21
US20030162465A1 (en) 2003-08-28
US6896571B2 (en) 2005-05-24
US7077716B2 (en) 2006-07-18
JP3634852B2 (ja) 2005-03-30
CN101075516B (zh) 2010-05-26
US20050164591A1 (en) 2005-07-28
CN1448977A (zh) 2003-10-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3634852B2 (ja) 電子放出素子、電子源及び画像表示装置の製造方法
JP3647436B2 (ja) 電子放出素子、電子源、画像表示装置、及び電子放出素子の製造方法
US6781667B2 (en) Method of manufacturing image-forming apparatus
US7335081B2 (en) Method for manufacturing image-forming apparatus involving changing a polymer film into an electroconductive film
US20030161942A1 (en) Methods of manufacturing electron-emitting device, electron source, and image-forming apparatus
JP3884979B2 (ja) 電子源ならびに画像形成装置の製造方法
US6835110B2 (en) Method for manufacturing electron source and method for manufacturing image display apparatus
JP3902964B2 (ja) 電子源の製造方法
JP3884980B2 (ja) 電子源及び該電子源を用いた画像形成装置の製造方法
JP2946153B2 (ja) 電子放出膜及び電子放出素子の作製方法
JP3740488B2 (ja) 電子放出素子の製造方法
JP2003288837A (ja) 電子放出素子の製造方法
JP2002343232A (ja) 電子放出素子、電子源および画像形成装置並びにこれらの製造方法
JP2003257307A (ja) 電子源および画像形成装置の製造方法
JP3634780B2 (ja) 電子放出素子、電子源、および画像形成装置の製造方法
JP2005108507A (ja) 電子放出素子、電子源及び画像表示装置の製造方法
JP2003123635A (ja) 電子放出素子、電子源および画像形成装置の製造方法
JP2003007206A (ja) 画像形成装置の製造方法
JP2005268167A (ja) 電子放出素子、電子源および画像形成装置の製造方法
JP2005259551A (ja) 電子放出素子、電子源および画像形成装置の製造方法
JP2003197091A (ja) 電子放出素子、電子源及び画像形成装置の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20040908

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20041005

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20041130

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20041221

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20041224

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090107

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100107

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110107

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120107

Year of fee payment: 7

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees