JP3634780B2 - 電子放出素子、電子源、および画像形成装置の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子放出素子、該電子放出素子を多数配置してなる電子源、および該電子源を用いて構成した表示装置などの画像形成装置の製造方法に関する。さらに詳しくは、基体と、その基体上に形成された一対の電極、およびその電極に接続された狭い間隙を有する膜からなる電子放出素子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、電子放出素子としては大別して熱電子放出素子と冷陰極電子放出素子を用いた2種類のものが知られている。冷陰極電子放出素子には電界放出型、金属/絶縁体/金属型や表面伝導型電子放出素子等がある。
【0003】
表面伝導型電子放出素子の構成、製造方法などは、例えば特開平7−235255号公報、特登録2903295号公報に開示されている。
【0004】
以下に、上記公報に開示されている表面伝導型電子放出素子の概略を簡単に説明する。
【0005】
上記の表面伝導型電子放出素子は、図8にその断面図を模式的に示すように、基体1上に対向する一対の素子電極2,3と、該素子電極に接続されその一部に電子放出部85を有する導電性膜84とを有してなる。
【0006】
電子放出部85は、導電性膜84の一部が、破壊・変形ないし変質され、間隙が形成された部分を含み、間隙内部及びその近傍の導電性膜上には、活性化と呼ばれる工程を行うことにより、炭素及び/または炭素化合物を主成分とする堆積物86が形成されている。なお、この堆積物は上記導電性膜に形成された間隙よりもさらに狭い間隙部をもって対峙した形状となっている。
【0007】
活性化工程とは、有機物質を含む雰囲気中で、素子にパルス状の電圧を一定時間印加し続けることで行われるが、その際に図8に示した形態が形成されるに従い、素子を流れる電流(素子電流If)、および真空中に放出される電流(放出電流Ie)が大幅に増大し、より良好な電子放出特性を得ることができる。
【0008】
以上のような電子放出素子を複数個形成した電子源を用い、蛍光体などからなる画像形成部材と組み合わせることで、フラットディスプレイパネルなどの画像形成装置を構成できる。
【0009】
一方、特開平9−237571号公報には、上述の活性化工程を行う替わりに、導電性膜上に熱硬化性樹脂、電子線ネガレジスト、ポリアクリロニトリル等の有機材料を塗布する工程及び炭素化する工程からなる電子放出素子の製造方法が開示されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の素子においては、フォーミングとよばれる、導電性膜に通電することで間隙を形成する工程が必須であり、このフォーミングが好適に行われるように、導電性膜の材質、膜厚、等が設計されていた。
【0011】
具体的には、フォーミングに必要な電力を低減し、かつ良好な間隙を形成するために、酸化パラジウムの微粒子膜を導電性膜として用いることが提案されている。
【0012】
加えて、フォーミングによって形成された間隙では、十分な電子放出を得ることが難しく、上述の活性化工程や有機高分子膜を塗布して通電する工程を行うことで、フォーミングによって形成された間隙の内部にさらに狭い間隙部をもつ炭素あるいは炭素化合物を対峙して配置させ、良好な電子放出特性を得る工夫が為されている。
【0013】
従って、従来の素子においては、大きく以下の二点の課題を有している。
1)微粒子膜を導電性膜として用いる場合、膜厚、膜質を精度良く形成することは必ずしも容易ではなく、フラットディスプレイパネルのような多数の電子放出素子を形成する場合、均一性を低下させる要因となりうる。
2)良好な電子放出特性を有する狭い間隙の形成のために、有機物質を含有する雰囲気を形成する工程、高分子を導電性膜上に精度良く形成する工程など、付加的な工程が多く、工程管理も煩雑化していた。
【0014】
以上の課題を解決するために、素子製造工程を簡略化でき、かつ、電子放出特性の改善をも行うことのできる電子放出素子及びその製造方法の開発が待たれていた。
【0015】
そこで本発明は、長時間にわたり、高い効率で電子放出を行うことができる電子放出素子を提供することを目的とする。
【0016】
また本発明は、その製造工程において、従来の膜形成工程を簡略化でき、プロセスの簡易化ができるためコスト的に有利である電子放出素子の製造方法を提供することを目的とする。
【0017】
さらには、本発明の電子放出素子の製造方法を利用して、電子放出素子を複数配列した電子源、あるいは画像形成装置を製造することにより、大面積で明るく良好な画質の画像を長時間にわたり表示できる画像形成装置を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
第1の本発明は、基体上に形成された一対の電極間に、高分子膜を形成する工程と、該高分子膜の少なくとも一部分に電子ビームあるいは光を照射することにより該高分子膜を炭素を主成分とする膜として抵抗を低減せしめる工程と、該一対の電極間に電位差を与える工程と、を有することを特徴とする電子放出素子の製造方法である。
【0019】
また、上記第1の本発明は、前記光は、キセノンランプまたはハロゲンランプを光源とする光、あるいはレーザービームであること、前記高分子膜が、芳香族系高分子膜であること、前記高分子膜は、インクジェット法を用いて形成されること、のそれぞれを好ましい形態として含むものである。
【0026】
また、第2の本発明は、複数の電子放出素子を有する電子源の製造方法において、該電子放出素子が上記第1の本発明のいずれかの製造方法により製造されることを特徴とする電子源の製造方法である。
【0027】
また、第3の本発明は、複数の電子放出素子を有する電子源と、該電子源から放出される電子の照射により画像を形成する画像形成部材とを有する画像形成装置の製造方法において、該電子源が上記第2の本発明の製造方法により製造されることを特徴とする画像形成装置の製造方法である。
【0028】
本発明における高分子とは、少なくとも炭素原子同士の結合を有するものを意味する。
【0029】
炭素原子間の結合を有する高分子に熱を加えると、炭素原子間の結合の解離、再結合が生じて導電性が発現する。そしてこのようにして導電性を持った高分子を、「熱分解高分子(Pyrolytic Polymer)」と呼ぶ。
【0030】
本発明における「熱分解高分子」とは、上記、熱を加えられて導電性を帯びた高分子を指すが、熱以外の要因、例えば電子線による分解再結合、光子による分解再結合が、熱による分解再結合に加味されて形成された場合も熱分解高分子と表記する。
【0031】
熱分解高分子では、もとの高分子中の炭素原子間の共役二重結合が増加することで導電性が増すと解釈することができ、熱分解の進行の度合により導電性が異なる。
【0032】
また、炭素原子間の結合の解離、再結合によって導電性が発現しやすい、すなわち炭素原子間の二重結合が生成しやすい高分子としては、芳香族系高分子が知られている。特に芳香族ポリイミドは、比較的低温で高い導電性を有する熱分解高分子が得られる高分子である。
【0033】
一般に芳香族ポリイミドは、それ自身絶縁体であるが、ポリフェニレンオキサジアゾール、ポリフェニレンビニレンなど、熱分解を行う前から導電性を有する高分子もある。これらの導電性高分子も、熱分解により更なる導電性が発現し電気抵抗がより低減するため、本発明において好ましく用いることができる。
【0034】
本発明によれば、上記高分子膜を形成する工程と熱分解を行う工程と通電により間隙を形成する工程によって電子放出素子を形成することができ、従来の、導電性膜を形成する工程、フォーミング工程、有機化合物を含む雰囲気を形成する工程(あるいは、導電性膜上に高分子膜を形成する工程)、通電して炭素あるいは炭素化合物の間隙を形成する工程、に比べて簡素化される。また、熱分解高分子はさらに加熱されるとより強固な炭素材料に変化するため、耐熱性も良好となる。従って、従来、導電性膜の性能によって制限されていた電子放出特性の向上も図ることができる。
【0035】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の電子放出素子の構成を示す模式図である。図1(a)は平面図、図1(b)は断面図である。
【0036】
図1において、1は基体、2と3は素子電極、4は高分子膜、5は間隙である。尚、本発明においては、上記高分子膜4は、後述する熱分解高分子を含むため「熱分解高分子膜」と呼ぶ場合もある。また、本発明においては、上記「高分子膜」および「熱分解高分子膜」と「炭素を主成分とする膜」と同じ意味で用いる。また、炭素を主成分とする膜4は、素子電極2、3間の基体1上および素子電極上に配置される。なお、図1では、炭素を主成分とする膜4は基板表面に対して横方向に対向し、間隙5を境にして完全に分離されて模式的に示されているが、一部でつながっている場合もある。つまり、一対の電極間を電気的に繋ぐ炭素を主成分とする膜の一部に間隙が形成されている形態ということもできる。また、一対の炭素を主成分とする膜ということも出来る。本発明の高分子膜4は炭素を主成分とし、窒素を含む。また、水素、ホウ素を含む場合もあり、さらには、銀などの金属を含む場合もある。上記炭素以外の成分は、前記炭素主成分とする膜において、前記電極2,3に近接する領域よりも前記間隙5に近接する領域において、その含有比率(炭素原子に対する、各々の原子の比率)を少なくすることが重要である。
【0037】
基体1としては、ガラス基板を用いることができる。対向する素子電極2、3の材料としては、一般的な導電材料、すなわち、金属材料や酸化物導電体の薄膜を用いることができる。
【0038】
高分子膜4は、前述の如く、少なくとも炭素原子同士の結合を有する高分子の膜である。
【0039】
間隙5は、高分子膜4に形成された亀裂様の間隙で、ここに十分な電界が印加されたときに電子がトンネルして電流が流れる部分であり、このトンネル電子の一部が散乱により放出電子となる。
【0040】
従って、高分子膜4の少なくとも一部には導電性が付与されているのが望ましい。高分子膜4が絶縁体であると、素子電極2,3間に電位差を与えても、間隙5に電界がかからず、電子を放出せしめることができないためである。好ましくは、少なくとも素子電極2(および素子電極3)と間隙5を結ぶように導電性の付与された領域が存在すれば、間隙5に十分な電界を与えることができる。
【0041】
図2は、本発明における電子放出素子の製造方法の一例を示したものである。図1、図2を用いて、上述の電子放出素子の製造方法の一例を説明する。
【0042】
(1)基体1を洗剤、純水および有機溶剤等を用いて十分に洗浄し、真空蒸着法、スパッタ法等により素子電極材料を堆積後、例えばフォトリソグラフィー技術を用いて基体1上に素子電極2、3を形成する(図2(a))。ここで、素子電極材料としては、白金等の貴金属が好ましく用いられるが、後述のように、レーザー照射プロセスを行う場合など、必要に応じて、透明導体である酸化物導電体、すなわち、酸化スズ、酸化インジウム(ITO)等の膜を用いることができる。
【0043】
(2)素子電極2、3を設けた基板1上に、素子電極2,3間に渡って高分子膜4を形成する(図2(b))。
【0044】
高分子膜4の形成方法は、公知の種々の方法、すなわち、回転塗布法、印刷法、ディッピング法等を用いることができる。特に、印刷法によれば、所望の高分子膜4の形状をパターニング手段を用いずに形成できるため、好ましい手法である。中でも、インクジェット方式の印刷法を用いれば、直接、数百μm以下の微細形成も可能であるため、フラットディスプレイパネルに適用されるような、高密度に電子放出素子を配置した電子源の製造に対しても有効である。
【0045】
インクジェット方式によって高分子膜4を形成する場合、高分子材料の溶液を液滴付与し、乾燥させればよいが、必要に応じて、所望の高分子の前駆体溶液を液滴付与し、加熱等により高分子化させることもできる。
【0046】
本発明においては、上記高分子材料としては、芳香族系の高分子が好ましく用いられるが、これらの多くは溶媒に溶けにくいため、その前駆体溶液を塗布する手法が有効である。一例を挙げれば、インクジェット方式により芳香族ポリイミドの前駆体であるポリアミック酸溶液を塗布(液滴付与)して、加熱等によりポリイミド膜を形成することができる。
【0047】
なお、高分子の前駆体を溶かす溶媒としては、例えば、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどが使用でき、また、n−ブチルセロソルブ、トリエタノールアミンなどと併用することもできるが、本発明が適用できれば特に制限は無く、これらの溶媒に限定されるわけではない。
【0048】
(3)次に、高分子膜4に熱分解処理を行い、熱分解高分子膜とする。熱分解処理とは、熱により高分子内の炭素原子間の結合の解離、再結合を行って導電性を発現させる処理である。
【0049】
導電性の熱分解高分子を形成する方法は、不活性ガス雰囲気中や真空中といった酸化しない環境下において、特定の高分子を分解温度以上の温度で加熱することで達成することができる。
【0050】
前述のように、芳香族高分子、特に芳香族ポリイミドは、高分子として高い熱分解温度を有するが、その熱分解温度を超えた温度、典型的には、700℃から800℃以上で加熱することにより、高い導電性を有する熱分解高分子が得られる。
【0051】
しかしながら、本発明のように、電子放出素子を構成する部材として熱分解高分子を適用する場合、オーブンやホットプレートなどによって全体を加熱する方法は、他の構成部材の耐熱性の観点から、制約を受ける場合がある。特に、基体においては、石英ガラスやセラミックス基板など、特に高い耐熱性を有するものに限定され、大面積のディスプレイパネル等への適用を考えると、非常に高価なものになってしまう。
【0052】
そこで、本発明では、より好適な熱分解処理の手段として、電子ビーム照射あるいは光照射が用いられ、光照射はキセノンランプあるいはハロゲンランプを光源とするものやレーザービーム照射などである。このような電子ビーム照射あるいは光照射により、高分子膜4に局所的な加熱を行い、耐熱性の高い高価な基板を用いることなく、熱分解高分子とすることが可能である。この場合、熱以外の要因、例えば電子線による分解再結合、光子による分解再結合が、熱による分解再結合に加味されている可能性もある。
【0053】
実際に熱分解処理を行う過程を以下に説明する。
【0054】
(電子ビーム照射を行う場合)
電子ビームを照射する場合は、素子電極2,3、高分子膜4を形成した基体1を、電子銃が装着されている真空容器内にセットする。電子銃から高分子膜4に対して電子ビームを照射して熱分解処理する。この時の電子ビームの照射条件は、例えば、加速電圧Vac=0.5kV以上10kV以下、電流密度ρ=0.01mA/mm2以上1mA/mm2以下の範囲で行なうことが好ましい。またこの時、素子電極2、3間の抵抗値をモニターしておけば、所望の抵抗値が得られたところで終了することができる。
【0055】
(レーザービーム照射を行う場合)
レーザービームを照射する場合は、素子電極2,3、高分子膜4を形成した基体1を、ステージ上に配置し、高分子膜4に対してレーザービームを照射して熱分解処理する。このとき、レーザーを照射する環境は、高分子膜4の酸化(燃焼)を避けるため、不活性ガス中や真空中で行うのが無難であるが、レーザーの照射条件によっては、大気中で行うことも可能である。
【0056】
レーザービームの照射条件は適宜選択でき、例えば、パルスYAGレーザの第二高調波(波長632nm)を用いて照射し、素子電極2、3間の抵抗値をモニターしておけば、所望の抵抗値が得られたところで終了することができる。
【0057】
なお、高分子膜4と素子電極2,3の構成材料の光学的吸収波長を異なるように材料選択し、高分子膜4の吸収波長に合致した波長のレーザービームを照射することにより、実質的に高分子膜4のみの加熱が可能であり、より好ましい。
【0058】
(レーザー以外の光照射を行う場合)
レーザー以外の光照射を行う場合は、素子電極2,3、高分子膜4を形成した基体1を、ステージ上に配置し、高分子膜4、及びその近傍に対して光を照射する。このとき、光を照射する環境は、高分子膜4の酸化(燃焼)を抑制するため、不活性ガス中や真空中で行うのが好ましいが、光の照射条件によっては、大気中で行うことも可能である。
【0059】
光源として、キセノンランプ、或いはハロゲンランプを用いて、集光手段によって集光し、局所的に光照射することによって、高分子膜の熱分解温度するのに必要な800℃以上に加熱することが可能となる。
【0060】
ただし、キセノン光は、可視光から赤外光をほぼ連続的に含み、特に波長1μm付近の近赤外域の波長域に複数の急峻なピーク強度を持つのに対し、ハロゲンランプは、主に可視光からなる。従って、高分子膜、或いは、電極材料など、光吸収性に応じて、光源の種類を選択することが好ましい。
【0061】
照射された光には、高分子膜が直接吸収することによって高分子膜の温度が上昇する作用と共に、場合によっては高分子膜近傍の電極に照射された光によって電極部が暖まり、熱伝導によって高分子膜を加熱する作用がある。どちらの作用が支配的かは、電極材料、及び高分子膜の材料の性質による。
【0062】
なお、基板材料によっては、加熱によって変形等を生じる恐れがある。これに対して、光をパルス変調することによって、基板の過度の加熱を抑えことができる。パルス変調条件は、発生する熱量、及び、基板の熱伝導度、及び放熱量等によって、適宜設定される。尚、パルス変調は前述のレーザー光照射の場合おいても同様の理由で効果的である。
【0063】
さらに、照射する光に対して、高分子膜4を構成する材料の方が、素子電極2,3を構成する材料よりも光吸収性が高い材料を選択することで、実質的に高分子膜4のみを加熱することが、より好ましい。
【0064】
また、光を照射している間、素子電極2、3間の抵抗値をモニターし、所望の抵抗値が得られた時点で光照射を終了することが好ましい。
【0065】
光加熱は、集光領域を広くすることで、一度に多くの領域に光照射することが比較的容易に行えるので、パネルのように、広い面積でも、高分子膜を効果的に加熱することができる。
【0066】
以上、電子ビーム照射、あるいはキセノンランプあるいはハロゲンランプを光源とするものやレーザービームを用いる光照射によって、高分子膜4を熱分解高分子とすることが可能であるが、高分子膜4全体に渡って熱分解を行う必要は、必ずしもない。高分子膜4の一部分のみを熱分解しておくことによっても、以後の工程を行うことができる。
【0067】
(4)つぎに、熱分解処理を施した高分子膜4に、電子放出部となる間隙5の形成を行う(図2(c))。
【0068】
この間隙5の形成は、素子電極2、3間に電圧を印加する(電流を流す)ことによって行なわれる。尚、印加する電圧としてはパルス電圧であることが好ましい。この電圧印加工程(通電処理)により、高分子膜4の一部が局所的に破壊、変形もしくは変質等の構造の変化することによって、間隙5が形成される。
【0069】
なお、この通電処理は、前述の熱分解処理と同時に、すなわち、電子ビーム照射、あるいは上述の光照射を行っている最中に、素子電極2、3間に電圧パルスを連続的に印加することによっても行うことができる。いずれの場合においても、本工程は、減圧雰囲気下、好ましくは1.3×10−3Pa以下の圧力の雰囲気中で行うのが望ましい。
【0070】
さて、本工程における通電処理においては、電圧パルスを印加することによって、当然の如く高分子膜4の抵抗値に応じた電流が流れる。従って、高分子膜4の抵抗が極端に低い、すなわち、十分に熱分解が進んだ状態の膜であると、本工程での通電処理に多大な電力が必要となる。比較的小さいエネルギーで通電処理を行うためには、熱分解の進行の度合を調整することで可能であるが、熱分解処理を高分子膜4の一部にのみ施すことでも対処しうる。
【0071】
本発明の電子放出素子が真空雰囲気中で駆動されることを加味すると、絶縁体が真空雰囲気中に露出することは好ましくない。そこで、前記電子ビーム照射、または、キセノンランプ、ハロゲンランプを光源とするものやレーザビームによる光照射は、高分子膜の実質的な全表面を改質(導電性付与)することが好ましい。
【0072】
図3は、高分子膜4の表面を熱分解高分子とした場合の模式図(断面図)を示しており、図3(a)は通電処理前、図3(b)は通電処理開始直後、図3(c)は通電処理終了時である。
【0073】
まず、熱分解処理された高分子膜4の表面領域4’に、通電処理により、間隙5’が形成される(図3(b))。形成された間隙5’を電子がトンネリングし、対向する熱分解高分子の膜表面で散乱して電子放出する過程で、熱分解を起こしていなかった下層の高分子領域も、徐々に熱分解され、最終的に、高分子膜4の厚み方向全体に渡り、間隙5が形成される(図3(c))。
【0074】
なお、熱分解高分子の領域が、基板に接している側であったり、膜厚の中間の位置であっても、最終的に、高分子膜4の厚み方向全体に渡り、間隙5が形成することができる。
【0075】
図4は、高分子膜4の基板表面に平行な方向で、その一部を熱分解高分子とした場合の模式図(平面図)を示しており、図4(a)は通電処理前、図4(b)は通電処理開始直後、図4(c)は通電処理終了時である。
【0076】
まず、熱分解処理された高分子膜4の領域4’に、通電処理により、狭い間隙5’が形成される(図4(b))。形成された狭い間隙5’を介して電子がトンネルし散乱して電子放出する過程で、熱分解を起こしていなかった領域も徐々に熱分解され、最終的に、基板表面と実質的に平行な方向における、高分子膜4の全体に渡り、間隙5が形成される(図4(c))。
【0077】
なお、上記のように、部分的に熱分解を行った高分子膜4を用いたほうが、良好な電子放出特性を示す場合が多い。この理由は明確ではないが、未分解の高分子が、熱拡散によって間隙5近傍に移動しやすいために、より電子放出に良好な間隙が形成、保持され、駆動による劣化の少ない構造になっていると思われる。
【0078】
以上のような工程を経て得られた電子放出素子は、図9に示したように、しきい値電圧Vthを持っており、この電圧より低い電圧を電極2,3間に印加しても、電子は実質的に放出されないが、この電圧より高い電圧を印加することによって、素子からの放出電流(Ie)、電極2,3間を流れる素子電流(If)が生じはじめる。
【0079】
この特性のため、同一基板上にマトリックス状に複数の本発明の電子放出素子を配した電子源を構成し、所望の素子を選択して駆動する単純マトリックス駆動が可能である。
【0080】
従って、本発明の電子放出素子を用いて電子源を形成し、画像形成部材と組み合わせて、例えば、大画面のフラットパネルディスプレイのような画像形成装置を構成することができる。
【0081】
【実施例】
以下に、本発明の実施例について説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0082】
[実施例1]
本実施例の電子放出素子として図1に示すタイプの電子放出素子を図2に示した製造方法と同様の手法を用いて作製した。図1、図2を用いて、本実施例の電子放出素子の作製方法を述べる。
【0083】
基板1として石英ガラス基板を用い、これを純水、有機溶剤により充分に洗浄後、基体1面上に、白金からなる素子電極2、3を形成した(図2(a))。この時、素子電極間隔Lは10μmとし、素子電極の幅Wを500μm、その厚さを100nmとした。
【0084】
以上のように作製した基板に、芳香族ポリイミドの前駆体であるポリアミック酸(日立化成工業(株)社製:PIX−L110)溶液を、さらに樹脂分3%までN−メチルピロリドン/トリエタノールアミン溶媒で希釈した溶液をスピンコータにより回転塗布した。次に、真空条件下に350℃まで昇温しベークして、イミド化を行った。この時の、ポリイミド膜の膜厚は30nmであった。
【0085】
このポリイミド膜をフォトリソグラフィー技術により、素子電極2,3を跨ぐ300μm角の四角形状にパターニングし、所望の形状の高分子膜4を作製した(図2(b))。
【0086】
次に、素子電極2,3、高分子膜4を形成した基体1を電子銃の装着された真空容器中にセットし、十分に排気を行った後、加速電圧Vac=10kV、電流密度ρ=0.1mA/mm2なる電子ビームを高分子膜4全面に照射した。この時、素子電極2,3間の抵抗を測定し、1kΩまで抵抗が減少したところで電子ビーム照射を止めた。
【0087】
次に、図5に示す真空装置内に、素子電極2,3、電子ビーム照射を行った高分子膜4の形成された基板1を移した。
【0088】
ここで、図5中、51は素子に電圧を印加するための電源、50は素子電流Ifを測定するための電流計、54は素子より発生する放出電流Ieを測定するためのアノード電極、53はアノード電極54に電圧を印加するための高圧電源、52は放出電流を測定するための電流計である。電子放出素子の上記素子電流If、放出電流Ieの測定にあたっては、素子電極2、3に電源51と電流計50とを接続し、該電子放出素子の上方に電源53と電流計52とを接続したアノード電極54を配置している。また、本電子放出素子及びアノード電極54は真空装置内に設置されており、その真空装置には不図示の排気ポンプ及び真空計等の真空装置に必要な機器が具備されており、所望の真空下で本素子の測定評価を行えるようになっている。なお、アノード電極と電子放出素子間の距離Hを4mmとしており、真空装置内の圧力を1×10−6Paとした。
【0089】
図5の装置系を用いて、素子電極2,3間に25V、パルス幅1msec、パルス間隔10msecの両極性矩形パルスを印加することにより高分子膜4に間隙5を形成した。
【0090】
以上の工程により、本実施例の電子放出素子を作製した。
【0091】
次に、図5に示した真空装置内で、アノード電極54に1kVを印加しながら、本実施例の電子放出素子の素子電極2、3間に22Vの駆動電圧を印加し、その時に流れる素子電流If及び放出電流Ieを測定したところ、If=0.6mA、Ie=4.2μAであり、長時間駆動しても安定に電子放出特性を維持していた。
【0092】
最後に、本実施例の電子放出素子の断面を切り出し、透過型電子顕微鏡(TEM)によって間隙5近傍を観察したところ、図1(b)、図3(c)に示した形状と同様の形状が見られた。
【0093】
[実施例2]
本実施例の電子放出素子は、基本的に実施例1の電子放出素子と同様の形状のものである。
【0094】
実施例1と同様に白金からなる素子電極2、3を形成した石英ガラス基板の基体1に、ポリフェニレンオキサジアゾール前駆体であるポリフェニレンヒドラジドの3%N−メチルピロリドン/n−ブチルセロソルブ溶液をスピンコータにより回転塗布した。次に、真空条件下に310℃まで昇温しベークして、膜厚30nmのポリフェニレンオキサジアゾール膜を得た。
【0095】
このポリフェニレンオキサジアゾール膜をフォトリソグラフィー技術により、素子電極2,3を跨ぐ300μm角の四角形状にパターニングし、所望の形状の高分子膜4を作製した。
【0096】
次に、実施例1と同様の条件で電子ビームを高分子膜4全面に照射した後、図5に示す真空装置内に移した。
【0097】
さらに、実施例1と同様、図5の装置系を用いて、素子電極2,3間に22V、パルス幅1msec、パルス間隔10msecの両極性矩形パルスを印加することにより高分子膜4に間隙5を形成し、本実施例の電子放出素子を作製した。
【0098】
次に、図5に示した真空装置内で、アノード電圧1kVを印加しながら、本実施例の電子放出素子の素子電極2、3間に20Vの駆動電圧を印加し、その時に流れる素子電流If及び放出電流Ieを測定したところ、If=0.8mA、Ie=3.5μAであり、長時間駆動しても安定に電子放出特性を維持していた。
【0099】
最後に、本実施例の電子放出素子の断面を切り出し、透過型電子顕微鏡(TEM)によって間隙5近傍を観察したところ、図1(b)、図3(c)に示した形状と同様の形状が見られた。
【0100】
[実施例3]
本実施例の電子放出素子は、基本的に実施例1および実施例2の電子放出素子と同様の形状のものである。
【0101】
実施例1と同様に、白金からなる素子電極2、3、ポリイミド膜からなる高分子膜4を形成した石英ガラス基板の基体1を電子銃の装着された真空容器中にセットし、十分に排気を行った後、加速電圧Vac=7kV、電流密度ρ=0.1mA/mm2なる電子ビームを高分子膜4全面に照射しながら、素子電極2,3間に25V、パルス幅1msec、パルス間隔10msecの両極性矩形パルスを印加した。そのとき、徐々に素子電極2,3間を流れる電流が上昇し、やがて2.5mA程度まで上昇した後、突然電流値が減少したので、電子ビーム照射を止めた。
【0102】
この素子を取り出して、断面を切り出し、透過型電子顕微鏡(TEM)によって間隙5近傍を観察したところ、図3(b)に示した形状と同様の形状が見られた。
【0103】
さらに、同様に作製した素子を、図5の装置系を用いて、再度、素子電極2,3間に25V、パルス幅1msec、パルス間隔10msecの両極性矩形パルスを印加した。
【0104】
以上の工程により、本実施例の電子放出素子を作製した。
【0105】
次に、図5に示した真空装置内で、アノード電圧1kVを印加しながら、本実施例の電子放出素子の素子電極2、3間に22Vの駆動電圧を印加し、その時に流れる素子電流If及び放出電流Ieを測定したところ、If=1.0mA、Ie=5.3μAであり、長時間駆動しても安定に電子放出特性を維持していた。
【0106】
最後に、本実施例の電子放出素子の断面を切り出し、透過型電子顕微鏡(TEM)によって間隙5近傍を観察したところ、図3(c)に示した形状と同様の形状が見られた。
【0107】
[実施例4]
本実施例の電子放出素子においても、基本的に前述の実施例の電子放出素子と同様の形状のものである。
【0108】
基体1として石英ガラス基板を用い、これを純水、有機溶剤により充分に洗浄後、基体1面上に、ITOからなる素子電極2、3を形成した。この時、素子電極間隔Lは10μmとし、素子電極の幅Wを500μm、その厚さを100nmとした。
【0109】
以上のように作製した基板に、実施例1と同様に、ポリイミド膜からなる高分子膜4を作製した。
【0110】
次に、ITOからなる素子電極2、3、ポリイミド膜からなる高分子膜4を形成した基体1をステージ上(大気中)にセットし、高分子膜4に対して、QスイッチパルスNd:YAGレーザ(パルス幅100nm、繰り返し周波数10kHz、パルスあたりのエネルギー0.5mJ、ビーム径10μm)の第二高調波(SHG:波長632nm)を照射した。この時、ステージを移動させ、素子電極2から3の方向に高分子膜4に10μmの幅で照射した。また、素子電極2,3間の抵抗を測定し、10kΩまで抵抗が減少したところで電子ビーム照射を止めた。
【0111】
ここで、基板を取り出して、光学顕微鏡(TEM)によって観察したところ、図4(a)に示した形状と同様の形状が見られた。
【0112】
次に、実施例1と同様、図5の装置系を用いて、素子電極2,3間に25V、パルス幅1msec、パルス間隔10msecの両極性矩形パルスを印加することにより高分子膜4に間隙5を形成し、本実施例の電子放出素子を作製した。
【0113】
次に、図5に示した真空装置内で、アノード電圧1kVを印加しながら、本実施例の電子放出素子の素子電極2、3間に22Vの駆動電圧を印加し、その時に流れる素子電流If及び放出電流Ieを測定したところ、If=0.8mA、Ie=4.2μAであり、長時間駆動しても安定に電子放出特性を維持していた。
【0114】
最後に、本実施例の電子放出素子を光学顕微鏡によって観察したところ、図4(c)に示した形状と同様の形状が見られた。
【0115】
[実施例5]
本実施例は、本発明の電子放出素子をマトリックス配置させた電子源および画像形成装置を作製したものである。
【0116】
図6に、本実施例の電子源の製造過程を説明する概略図を、図7に、本実施例の画像形成装置の概略図を示す。
【0117】
図6は、本実施例の電子源の一部を拡大して示しており、図1と同様の符号のものは、同様の部材を示している。62はX方向配線、63はY方向配線、64は層間絶縁層である。尚、図6では基体1を省略している。
【0118】
図7においては、図1、図6と同様の符号のものは、同様の部材を示している。71はガラス基板上に蛍光膜とAlメタルバックが積層されたフェースプレート、72は、基板1、フェースプレート71を貼り付けるための支持枠、73は高圧端子であり、基板1、フェースプレート71、支持枠72で真空密閉容器が形成される。
【0119】
以下、図6、図7を用いて、本実施例を説明する。
【0120】
高歪点ガラス基板(旭硝子(株)製、PD200、軟化点830℃、徐冷点620℃、歪点570℃)上に、スパッタリング法により、厚さ100nmのITO膜を堆積し、フォトリソグラフィ技術を用いてITO膜からなる素子電極2,3を形成した(図6(a))。なお、素子電極2、3の電極間距離は10μmとした。
【0121】
次に、スクリーン印刷法によりAgペーストを印刷し、加熱焼成することにより、X方向配線62を形成した(図6(b))。
【0122】
続いて、X方向配線62とY方向配線63の交差部になる位置に、スクリーン印刷法により絶縁性ペーストを印刷し、加熱焼成して絶縁層64を形成した(図6(c))。
【0123】
さらに、スクリーン印刷法によりAgペーストを印刷し、加熱焼成することにより、Y方向配線63を形成し、基体1上にマトリックス配線を形成した(図6(d))。
【0124】
以上のようにしてマトリックス配線を形成した基体1の素子電極2、3間に跨る位置に、インクジェット法により、ポリイミドの前駆体であるポリアミック酸の3%N−メチルピロリドン/トリエタノールアミン溶液を素子電極間の中央を中心として塗布した。これを、真空条件下に350℃でベークし、直径約100μm、膜厚300nmの円形のポリイミド膜からなる高分子膜4を得た(図6(e))。
【0125】
次に、ITOからなる素子電極2、3、マトリックス配線62、63、ポリイミド膜からなる高分子膜4を形成した基体1をステージ上(大気中)にセットし、各々の高分子膜4に対して、QスイッチパルスNd:YAGレーザ(パルス幅100nm、繰り返し周波数10kHz、パルスあたりのエネルギー0.5mJ、ビーム径10μm)の第二高調波(SHG)を照射した。このとき、ステージを移動させ、各々の素子電極2から3の方向に高分子膜4に10μmの幅で照射し、各々の高分子膜4の一部に熱分解の進んだ導電性の領域を形成した。
【0126】
このようにして作製した基体1と、フェースプレート71を(蛍光膜とメタルバックが形成された面を対向面として)対向させて、2mmの厚みの支持枠72を介して配置し、フリットガラスを用いて400℃にて封着を行った。なお、蛍光膜にはRGB3色がストライプ形状に配置されたものを用いた。
【0127】
作製した基体1、フェースプレート71、支持枠72からなる密閉容器の内部を不図示の排気管を通じ真空ポンプにて排気し、さらに真空度を維持するために不図示の非蒸発型ゲッターを密閉容器内で加熱処理(ゲッターの活性化処理)した後、排気管をガスバーナーで溶着して容器を封止した。
【0128】
最後に、X方向配線、Y方向配線を通じて、各々の素子、すなわち素子電極2,3間に25V、パルス幅1msec、パルス間隔10msecの両極性の矩形パルスを印加することにより高分子膜4に間隙5を形成し、本実施例の電子源、および画像形成装置を作製した。
【0129】
以上のようにして完成した画像形成装置において、X方向配線、Y方向配線を通じて、所望の電子放出素子を選択して22Vの電圧を印加し、高圧端子73を通じてメタルバックに8kVの電圧を印加したところ、長時間にわたって明るい良好な画像を形成することができた。
【0130】
[実施例6]
本実施例では実施例1の電子ビームに代えてキセノン光の照射を行い、それ以外は実施例1と同様にして電子放出素子を作成した。
【0131】
本実施例におけるキセノン光の照射は以下のように行った。
【0132】
実施例1と同じ方法にて、素子電極2,3、高分子膜4を形成した基体1をステージ上(大気中)にセットし、高分子膜4に対して、キセノン光を照射し、高分子膜の一部を改質し、熱分解の進んだ導電性の領域を形成した。
【0133】
光源となるキセノンランプは定格1.5Wのものを用いた。光の波長は、可視域から赤外域に渡ってほぼ連続的に含むが、特に波長800nm〜1μm付近の近赤外域に強い発光強度を持つ。なお、本実施例で用いた高分子膜は、可視光から赤外光の広い波長域に渡って光を吸収するが、特に赤外域の方により高い吸収特性を持つ。
【0134】
光源から発せられた光は、光源の背面にある放物面反射鏡で集光し、複数の光ファイバーが束ねられた光ガイドの先端に入射するようにした。入力端での光は約40W以下である。更に、光ガイドを通して、ステージ上部に光をガイドし、更に、光ガイド先端に取り付けた集光レンズで5mmφに集光し、リアプレートに照射した。
【0135】
このとき、光ガイドの光入射側の先端に、シャッターを設け、一定時間間隔で開閉することによって、光をパルス変調した。パルス変調条件は、開時間100ms、閉時間200msに設定した。最適な光のパワー、及びパルス条件は、高分子膜の材質、及び電極材質、及び形状等によって、調節する必要がある。
【0136】
照射された光は、高分子膜に直接吸収されて温度が上昇すると共に、高分子膜近傍の電極に照射された光によって電極部が暖まり、熱伝導によって高分子膜の温度を上昇させる作用によって、高分子膜が加熱された。
【0137】
このとき、素子電極2,3に、1Vの電圧を印加して抵抗をモニターし、抵抗変化が小さくなった時点で光照射を停止した。所要照射時間は、約2分であった。
【0138】
なお、キセノンランプの他、ハロゲンランプを光源に用いても、同様のことが行える。ただし、高分子膜、及び、電極部等の、光の吸収特性が異なるので、特性に応じたパルス印加条件を設定する必要がある。
【0139】
以上の方法にて作成された本実施例における電子放出素子もまた実施例1と同様に、長時間駆動しても安定に電子放出特性を維持していた。
【0140】
なお、今回は、一つの光ガイドを用いたが、より大出力の光源を用いて、多数の光ファイバーに光を入射させて、これらを分岐した複数の光ガイドを用いて、一度に複数の領域を同時に光照射することも可能である。
【0141】
【発明の効果】
本発明の電子放出素子によれば、長時間にわたり、高い効率で電子放出を行うことができ、また、その製造工程においては、膜形成工程が1回であり、プロセス簡易化ができるためコスト的に有利である。
【0142】
さらには、本発明の電子放出素子、及びその製造方法を利用して、電子放出素子を複数配列した電子源、あるいは画像形成装置を製造することができ、大面積で明るく良好な画質の画像を長時間にわたり表示できる画像形成装置が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法にて製造される電子放出素子を示す模式的平面図及び断面図である。
【図2】本発明の表面伝導型電子放出素子の作製方法の一例を示す模式的断面図である。
【図3】本発明の方法にて製造される電子放出素子の別の一例を示す模式的断面図である。
【図4】本発明の方法にて製造される電子放出素子のさらに別の一例を示す模式的平面図である。
【図5】測定評価機能を備えた真空装置の一例を示す模式図である。
【図6】本発明の、単純マトリクス配置の電子源の製造工程の一例を示す模式図である。
【図7】本発明の方法にて製造される単純マトリクス配置の画像形成装置の表示パネルの一例を示す模式図である。
【図8】従来の電子放出素子の断面模式図である。
【図9】本発明の方法による電子放出素子の電子放出特性を示す模式図である。
【符号の説明】
1 基体
2、3 素子電極
4 高分子膜
5 間隙
50 素子電流Ifを測定するための電流計
51 素子電圧Vfを印加するための電源
52 放出電流Ieを測定するための電流計
53 アノード電極54に電圧を印加するための高圧電源
54 アノード電極
62 X方向配線
63 Y方向配線
64 層間絶縁層
71 フェースプレート
72 支持枠
73 高圧端子
84 導電性膜
85 電子放出部
86 炭素及び/または炭素化合物を主成分とする堆積物
Claims (6)
- 基体上に形成された一対の電極間に、高分子膜を形成する工程と、該高分子膜の少なくとも一部分に電子ビームあるいは光を照射することにより該高分子膜を炭素を主成分とする膜として抵抗を低減せしめる工程と、該一対の電極間に電位差を与える工程と、を有することを特徴とする電子放出素子の製造方法。
- 前記光は、キセノンランプまたはハロゲンランプを光源とする光、あるいはレーザービームであることを特徴とする請求項1に記載の電子放出素子の製造方法。
- 前記高分子膜が、芳香族系高分子膜であることを特徴とする請求項1または2に記載の電子放出素子の製造方法。
- 前記高分子膜は、インクジェット法を用いて形成されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の電子放出素子の製造方法。
- 複数の電子放出素子を有する電子源の製造方法において、該電子放出素子が請求項1乃至4のいずれかに記載の方法により製造されることを特徴とする電子源の製造方法。
- 複数の電子放出素子を有する電子源と、該電子源から放出される電子の照射により画像を形成する画像形成部材とを有する画像形成装置の製造方法において、該電子源が請求項5に記載の方法により製造されることを特徴とする画像形成装置の製造方法。
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