JP2003301190A - グリース組成物及び転動装置 - Google Patents

グリース組成物及び転動装置

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JP2003301190A
JP2003301190A JP2002171693A JP2002171693A JP2003301190A JP 2003301190 A JP2003301190 A JP 2003301190A JP 2002171693 A JP2002171693 A JP 2002171693A JP 2002171693 A JP2002171693 A JP 2002171693A JP 2003301190 A JP2003301190 A JP 2003301190A
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acid
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Shinya Nakatani
真也 中谷
Hirotoshi Miyajima
裕俊 宮島
Michita Hokao
道太 外尾
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NSK Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐熱性,耐荷重性,耐水性,及び潤滑寿命に
優れたグリース組成物を提供する。 【解決手段】 カルシウムスルフォネートコンプレック
ス及びポリウレアからなる増ちょう剤を基油に混合して
グリース組成物を製造した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐熱性,耐荷重
性,耐水性,及び潤滑寿命に優れたグリース組成物、並
びに、耐熱性,耐荷重性,耐水性,潤滑寿命,及び生分
解性に優れたグリース組成物に係り、特に、製鉄用機
械,建設用機械,自動車等において高荷重が負荷される
回転部位,摺動部位の潤滑に好適に使用可能なグリース
組成物に関する。
【0002】また、厳しい条件下で使用されても長寿命
な転動装置、及び厳しい条件下で使用されても長寿命で
且つ自然環境に悪影響を及ぼしにくい転動装置に関す
る。
【0003】
【従来の技術】近年の機械技術の進歩に伴い、機械装置
は小型軽量化,高速回転化の傾向が著しい。そのため、
ベアリングやギヤ等の機械部分は、従来にも増して高温
化の傾向にある。一方、最近の省資源化,省力化の要望
から、機械装置はメンテナンスフリー化が進展してい
る。そのため、これら機械装置に使用されるグリース
は、従来にも増して優れた耐熱性,潤滑寿命が要求され
ている。そして、機械装置の中でも製鉄用機械(例え
ば、圧延機のワークロールなど),建設機械,自動車
(例えば、ホイールベアリングなど)等は、水と接触し
ながら使用されることが多いので、グリースには優れた
耐水性,耐荷重性,及び耐久性が要求されている。
【0004】現在、高温用グリースとしては、増ちょう
剤としてCa,Al,及びLiコンプレックス等の金属
複合石けんを用いた金属複合石けん系グリース、ポリウ
レア,テレフタルアミド酸金属塩,及びポリテトラフル
オロエチレン(PTFE)等の有機化合物を用いた有機
系グリース、並びにベントナイト,シリカゲル等の無機
化合物を用いた無機系グリースなどがある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
のグリースはそれぞれ問題点を有している。例えば、上
記のような金属複合石けん系グリースは多量の水分を含
有するとグリース構造を長期間維持することができず、
ポリウレアを用いたグリースは硬化現象を起こしやす
い。また、テレフタルアミド酸金属塩を用いたグリース
は油分離が大きく、ベントナイトやシリカゲルを用いた
グリースは潤滑性及び防錆性が不十分である。
【0006】また、優れた耐水性,防錆性,耐熱性,及
び耐荷重性を有するグリースとして、炭酸カルシウムを
含有するカルシウムスルフォネートコンプレックスを増
ちょう剤として用いたカルシウムスルフォネートコンプ
レックスグリースが知られている(特公平5−8760
号公報)。しかしながら、このカルシウムスルフォネー
トコンプレックスグリースにおいては炭酸カルシウムは
グリース中にコロイド状に分散しており、その粒径は
0.2〜0.5μmと小さい。そのため、油の保持能力
が小さいので、特に過酷な荷重が負荷されるベアリン
グ,ギヤ等のような回転部位,摺動部位の潤滑に長期間
使用した場合は、前記部位に不均一な摩耗が生じたり異
常な温度上昇が生じたりするなど耐荷重性に問題があ
り、また、耐久性も不十分であった。さらに、水分が混
入すると硬化する傾向があるので、耐久性や圧送性に問
題が生じる場合があった。
【0007】一方、前述のような各グリースは各種機械
装置に使用されるため、自然環境中に放出される場合も
多く、そうすると自然環境に悪影響を及ぼすおそれがあ
る。このような問題点を解決するため、基油としてポリ
オールエステル油や植物油を使用することにより生分解
性を付与したグリースが、特開平5−86389号公
報,特開平6−1989号公報,及び特開平8−207
89号公報に提案されている。しかし、これら公報に記
載のグリースは、潤滑寿命及び酸化安定性が不十分であ
るという問題点を有していた。
【0008】そこで、本発明は上記のような従来技術が
有する問題点を解決し、耐熱性,耐荷重性,耐水性,及
び潤滑寿命に優れたグリース組成物、並びに、耐熱性,
耐荷重性,耐水性,潤滑寿命,及び生分解性に優れたグ
リース組成物を提供することを課題とする。また、厳し
い条件下で使用されても長寿命な転動装置、及び厳しい
条件下で使用されても長寿命で且つ自然環境に悪影響を
及ぼしにくい転動装置を提供することを併せて課題とす
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するた
め、本発明は次のような構成からなる。すなわち、本発
明に係る請求項1のグリース組成物は、基油と増ちょう
剤とを含有するグリース組成物において、前記増ちょう
剤をカルシウムスルフォネートコンプレックスと第二増
ちょう剤成分とで構成したことを特徴とする。
【0010】また、本発明に係る請求項2のグリース組
成物は、請求項1のグリース組成物において、前記カル
シウムスルフォネートコンプレックスは、カルシウムス
ルフォネート及び炭酸カルシウムを必須成分とし、これ
らにカルシウムジベヘネート,カルシウムジステアレー
ト,カルシウムジヒドロキシステアレート,ホウ酸カル
シウム,及び酢酸カルシウムのうち2種以上を配合した
ものであることを特徴とする。
【0011】さらに、本発明に係る請求項3のグリース
組成物は、請求項1又は請求項2のグリース組成物にお
いて、前記第二増ちょう剤成分をポリウレアとしたこと
を特徴とする。さらに、本発明に係る請求項4のグリー
ス組成物は、請求項1又は請求項2のグリース組成物に
おいて、前記第二増ちょう剤成分を金属石けんとしたこ
とを特徴とする。
【0012】さらに、本発明に係る請求項5のグリース
組成物は、請求項1又は請求項2のグリース組成物にお
いて、前記第二増ちょう剤成分を金属複合石けんとした
ことを特徴とする。さらに、本発明に係る請求項6のグ
リース組成物は、請求項1又は請求項2のグリース組成
物において、前記第二増ちょう剤成分をN−置換テレフ
タルアミド酸金属塩としたことを特徴とする。
【0013】このようなグリース組成物は、増ちょう剤
としてカルシウムスルフォネートコンプレックスとポリ
ウレア,金属石けん,金属複合石けん,N−置換テレフ
タルアミド酸金属塩のような第二増ちょう剤成分との混
合物を用いたので、耐熱性,耐荷重性,及び耐水性が優
れており、高温下においても長寿命である。さらに、本
発明に係る請求項7のグリース組成物は、請求項1〜6
のいずれかのグリース組成物において、前記増ちょう剤
を、カルシウムスルフォネートコンプレックス5〜95
質量%と、前記第二増ちょう剤成分95〜5質量%と、
で構成したことを特徴とする。
【0014】増ちょう剤の組成が前記範囲外であると、
潤滑寿命が不十分となるおそれがある。潤滑寿命を確実
に十分なものとするためには、増ちょう剤は、カルシウ
ムスルフォネートコンプレックス10〜90質量%と、
前記第二増ちょう剤成分90〜10質量%と、で構成す
ることがより好ましい。さらに、本発明に係る請求項8
のグリース組成物は、請求項1〜7のいずれかのグリー
ス組成物において、前記増ちょう剤の含有量を組成物全
体の3〜40質量%としたことを特徴とする。
【0015】3質量%未満であるとグリース構造を維持
することが困難となり、40質量%超過であると、グリ
ース組成物が硬化しすぎて十分な潤滑性を発揮すること
が困難となる。さらに、本発明に係る請求項9のグリー
ス組成物は、請求項1〜7のいずれかのグリース組成物
において、前記増ちょう剤の含有量を組成物全体の8〜
25質量%とし、混和ちょう度を230〜290とした
ことを特徴とする。
【0016】増ちょう剤の含有量が8〜25質量%であ
れば、混和ちょう度が230〜290となり、グリース
組成物のハンドリング性が良好となるので好ましい。さ
らにまた、本発明に係る請求項10のグリース組成物
は、請求項1〜7のいずれかのグリース組成物におい
て、前記基油はネオペンチル型ポリオールエステル油を
含有しており、その含有量は基油全体の80質量%以上
であることを特徴とする。
【0017】このようなグリース組成物は、高温下にお
いても長寿命であるとともに、基油が生分解性を有する
ネオペンチル型ポリオールエステル油を含有しているの
で、優れた生分解性を有している。したがって、グリー
ス組成物が機械装置等から漏出するなどして自然環境中
に放出されたとしても、自然環境に悪影響を及ぼしにく
い。
【0018】ネオペンチル型ポリオールエステル油の含
有量が基油全体の80質量%未満であると、グリース組
成物の生分解性が低下するので好ましくない。グリース
組成物の生分解性をより十分なものとするためには、ネ
オペンチル型ポリオールエステル油の含有量を基油全体
の90質量%以上とすることがより好ましい。さらに、
本発明に係る請求項11のグリース組成物は、請求項1
0のグリース組成物において、前記基油80〜97質量
部と、前記増ちょう剤3〜20質量部と、を含有するこ
とを特徴とする。前記増ちょう剤が3質量部未満である
とグリース構造を維持することが困難となり、20質量
部超過であると、グリース組成物の生分解性が低下す
る。
【0019】さらに、本発明に係る請求項12のグリー
ス組成物は、請求項10又は請求項11のいずれかのグ
リース組成物において、欧州規格諮問委員会規格のL−
33−T−82に規定された生分解度が80%以上であ
ることを特徴とする。このような構成であれば、グリー
ス組成物が機械装置等から漏出するなどして自然環境中
に放出されたとしても、自然環境に悪影響を及ぼしにく
い。
【0020】さらに、本発明に係る請求項13の転動装
置は、外面に軌道面を有する内方部材と、該内方部材の
軌道面に対向する軌道面を有し前記内方部材の外方に配
置された外方部材と、前記両軌道面間に転動自在に配設
された複数の転動体と、を備える転動装置において、前
記内方部材と前記外方部材との間に形成され前記転動体
が配設された空隙部内に、請求項1〜12のいずれかに
記載のグリース組成物を充填したことを特徴とする。
【0021】このような構成であれば、転動装置が長寿
命であり、また、前記グリース組成物が漏出するなどし
て自然環境中に放出されたとしても、自然環境に悪影響
を及ぼしにくい。本発明は、種々の転動装置に適用する
ことができる。例えば、転がり軸受,ボールねじ,リニ
アガイド装置,直動ベアリング等である。
【0022】なお、本発明における前記内方部材とは、
転動装置が転がり軸受の場合には内輪、同じくボールね
じの場合にはねじ軸、同じくリニアガイド装置の場合に
は案内レール、同じく直動ベアリングの場合には軸をそ
れぞれ意味する。また、前記外方部材とは、転動装置が
転がり軸受の場合には外輪、同じくボールねじの場合に
はナット、同じくリニアガイド装置の場合にはスライ
ダ、同じく直動ベアリングの場合には外筒をそれぞれ意
味する。
【0023】以下に、本発明のグリース組成物を構成す
る各成分について説明する。 〔カルシウムスルフォネートコンプレックスについて〕
本発明において増ちょう剤として使用されるカルシウム
スルフォネートコンプレックスとは、カルシウムスルフ
ォネートを必須成分とし、これに(a)炭酸カルシウ
ム、(b)カルシウムジベヘネート,カルシウムジステ
アレート,カルシウムジヒドロキシステアレート等の高
級脂肪酸カルシウム塩、(c)酢酸カルシウム等の低級
脂肪酸カルシウム塩、(d)ホウ酸カルシウム、などか
ら選択されるカルシウム塩(カルシウム石けん)を組み
合わせたものである。
【0024】特に、カルシウムスルフォネート及び炭酸
カルシウムを必須成分とし、これらにカルシウムジベヘ
ネート,カルシウムジステアレート,カルシウムジヒド
ロキシステアレート,ホウ酸カルシウム,及び酢酸カル
シウムのうち2種以上を配合したものが好ましい。前記
カルシウムスルフォネートは、増ちょう効果の点から、
塩基価が50〜500mgKOH/gであることが好ま
しく、300〜500mgKOH/gの高塩基性である
ことがより好ましい。
【0025】なお、カルシウムスルフォネートコンプレ
ックスは、別途合成したものを基油に分散させてもよい
し、基油中で合成することによって基油に分散させても
よい。ただし、後者の方法の方が、基油中に増ちょう剤
を良好に分散させやすいので、工業的に製造する場合に
は有利である。また、カルシウムスルフォネートコンプ
レックスとともに増ちょう剤として使用される第二増ち
ょう剤成分(後述のポリウレアやN−置換テレフタルア
ミド酸金属塩)も、同様に、別途合成したものを基油に
分散させてもよいし、基油中で合成することによって基
油に分散させてもよい。よって、カルシウムスルフォネ
ートコンプレックスと第二増ちょう剤成分とを、それぞ
れ別途合成し、それぞれ基油に分散させてグリース組成
物を製造してもよいし、いずれか一方については別途合
成したものを基油に分散させ、他方については基油中で
合成してグリース組成物を製造してもよいし、あるい
は、両者を基油中で合成してグリース組成物を製造して
もよい。もちろん、両者を基油中で合成してグリース組
成物を製造する方が、基油中に増ちょう剤を良好に分散
させやすいので、工業的に製造する場合には有利であ
る。
【0026】〔ポリウレアについて〕本発明においてカ
ルシウムスルフォネートコンプレックスとともに増ちょ
う剤(第二増ちょう剤成分)として使用されるポリウレ
アは、ジウレア,トリウレア,テトラウレア等のポリウ
レア化合物が使用できるが、特に、下記の一般式(I)
で表されるジウレアが好ましい。
【0027】
【化1】
【0028】なお、式(I)中のR2 は、炭素数6〜1
5の芳香族炭化水素基を表す。また、R1 及びR3 は脂
肪族炭化水素基,芳香族炭化水素基,又は縮合炭化水素
基を表し、R1 とR3 は同一であってもよいし異なって
いてもよい。縮合炭化水素基の炭素数は9〜19が好ま
しく、9〜13がさらに好ましい。これらの炭化水素基
の炭素数が前記下限値より小さいと、増ちょう剤が基油
に分散しにくく、また、増ちょう剤と基油とが分離しや
すくなる。一方、炭化水素基の炭素数が前記上限値より
大きい増ちょう剤は、工業的に非現実的である。
【0029】このようなジウレアをはじめとするポリウ
レアは、前述のように、別途合成したものを基油に分散
させてもよいし、基油中で合成することによって基油に
分散させてもよい。ただし、後者の方法の方が、基油中
に増ちょう剤を良好に分散させやすいので、工業的に製
造する場合には有利である。ジウレアを基油中で合成す
る場合の合成方法は、特に限定されるものではないが、
2 の芳香族炭化水素基を有するジイソシアネート1モ
ルと、R1 ,R3 の炭化水素基を有するモノアミン2モ
ルとを、反応させる方法が最も好ましい。
【0030】ジイソシアネートとしては、例えば、ジフ
ェニルメタンジイソシアネート,トリレンジイソシアネ
ート,キシリレンジイソシアネート,ビフェニレンジイ
ソシアネート,ジメチルジフェニレンジイソシアネー
ト,又はこれらのアルキル基置換体等を好適に使用でき
る。また、R1 ,R3 が脂肪族炭化水素基又は芳香族炭
化水素基である場合のモノアミンとしては、例えば、ア
ニリン,シクロヘキシルアミン,オクチルアミン,トル
イジン,ドデシルアニリン,オクタデシルアミン,ヘキ
シルアミン,ヘプチルアミン,ノニルアミン,エチルヘ
キシルアミン,デシルアミン,ウンデシルアミン,ドデ
シルアミン,テトラデシルアミン,ペンタデシルアミ
ン,ノナデシルアミン,エイコデシルアミン,オレイル
アミン,リノレイルアミン,リノレニルアミン,メチル
シクロヘキシルアミン,エチルシクロヘキシルアミン,
ジメチルシクロヘキシルアミン,ジエチルシクロヘキシ
ルアミン,ブチルシクロヘキシルアミン,プロピルシク
ロヘキシルアミン,アミルシクロヘキシルアミン,シク
ロオクチルアミン,ベンジルアミン,ベンズヒドリルア
ミン,フェネチルアミン,メチルベンジルアミン,ビフ
ェニルアミン,フェニルイソプロピルアミン,フェニル
ヘキシルアミン等を好適に使用できる。
【0031】さらに、R1 ,R3 が縮合炭化水素基であ
る場合のモノアミンとしては、例えば、アミノインデ
ン、アミノインダン、アミノ−1−メチレンインデン等
のインデン系アミン化合物、アミノナフタレン(ナフチ
ルアミン)、アミノメチルナフタレン、アミノエチルナ
フタレン、アミノジメチルナフタレン、アミノカダレ
ン、アミノビニルナフタレン、アミノフェニルナフタレ
ン、アミノベンジルナフタレン、アミノジナフチルアミ
ン、アミノビナフチル、アミノ−1,2−ジヒドロナフ
タレン、アミノ−1,4−ジヒドロナフタレン、アミノ
テトラヒドロナフタレン、アミノオクタリン等のナフタ
レン系アミン化合物、アミノペンタレン、アミノアズレ
ン、アミノヘプタレン等の縮合二環系アミン化合物、ア
ミノフルオレン、アミノ−9−フェニルフルオレン等の
アミノフルオレン系アミン化合物、アミノアントラセ
ン、アミノメチルアントラセン、アミノジメチルアント
ラセン、アミノフェニルアントラセン、アミノ−9,1
0−ジヒドロアントラセン等のアントラセン系アミン化
合物、アミノフェナントレン、アミノ−1,7−ジメチ
ルフェナントレン、アミノレテン等のフェナントレンア
ミン化合物、アミノビフェニレン、アミノ−sym−イ
ンダセン、アミノ−as−インダセン、アミノアセナフ
チレン、アミノアセナフテン、アミノフェナレン等の縮
合三環系アミン化合物、アミノナフタセン、アミノクリ
セン、アミノピレン、アミノトリフェニレン、アミノベ
ンゾアントラセン、アミノアセアントリレン、アミノア
セアントレン、アミノアセフェナントリレン、アミノア
セフェナントレン、アミノフルオランテン、アミノプレ
イアデン等の縮合四環系アミン化合物、アミノペンタセ
ン、アミノペンタフェン、アミノピセン、アミノペリレ
ン、アミノジベンゾアントラセン、アミノベンゾピレ
ン、アミノコラントレン等の縮合五環系アミン化合物、
アミノコロネン、アミノピラントレン、アミノビオラン
トレン、アミノイソビオラントレン、アミノオバレン等
の縮合多環系(六環以上)アミン化合物などが好適に用
いられる。
【0032】〔金属石けん及び金属複合石けんについ
て〕本発明においてカルシウムスルフォネートコンプレ
ックスとともに増ちょう剤(第二増ちょう剤成分)とし
て使用される金属石けんとしては、1,2,及び13族
の金属、例えば、リチウム,ナトリウム,バリウム,ア
ルミニウム等と、炭素数10以上の高級脂肪酸又は1個
以上の水酸基を有する炭素数10以上の高級ヒドロキシ
脂肪酸と、から合成されたものがあげられる。
【0033】また、本発明においてカルシウムスルフォ
ネートコンプレックスとともに増ちょう剤(第二増ちょ
う剤成分)として使用される金属複合石けんとしては、
1,2,及び13族の金属の水酸化物、例えば、リチウ
ム,ナトリウム,バリウム,アルミニウム等の水酸化物
と、脂肪酸及び二塩基酸の混合物と、をけん化させて合
成されたものがあげられる。この中でも、耐熱性に優れ
るリチウム複合石けんが特に好ましい。このような金属
複合石けんを用いたグリース組成物は、通常の金属石け
んを用いたグリース組成物よりも滴点が高く耐熱性に優
れている。
【0034】〔N−置換テレフタルアミド酸金属塩につ
いて〕本発明においてカルシウムスルフォネートコンプ
レックスとともに増ちょう剤(第二増ちょう剤成分)と
して使用されるN−置換テレフタルアミド酸金属塩は、
下記の一般式(II)で表される。
【0035】
【化2】
【0036】なお、式(II)中の窒素原子に結合した置
換基Rは、直鎖状,分岐鎖状,又は環式で飽和又は不飽
和の1価の炭化水素基であり、Mは金属であり、nは金
属の原子価に等しい数である。置換基Rが直鎖状又は分
岐鎖状の炭化水素基である場合は、炭化水素基の炭素数
は10〜32、好ましくは12〜22であり、環式の炭
化水素基である場合は、炭化水素基の炭素数は6〜2
8、好ましくは7〜22である。炭化水素基の炭素数が
前記下限値より小さいと、増ちょう剤が基油に分散しに
くく、また、増ちょう剤と基油とが分離しやすくなる。
一方、炭化水素基の炭素数が前記上限値より大きい増ち
ょう剤は、工業的に非現実的である。
【0037】置換基Rの例としては、デシル基,テトラ
デシル基,ヘキサデシル基,オクタデシル基,シクロヘ
キシル基,ベンジル基,フェニル基,トリル基,ブチル
フェニル基等があげられる。また、金属Mとしては、
1,2,12,及び13族の金属、例えば、リチウム,
カリウム,ナトリウム,マグネシウム,カルシウム,バ
リウム,亜鉛,アルミニウム等があげられる。特に、ナ
トリウム,バリウム,リチウム,カリウムが好ましく、
ナトリウムが最も現実的である。
【0038】このようなN−置換テレフタルアミド酸金
属塩は、前述のように、別途合成したものを基油に分散
させてもよいし、基油中で合成することによって基油に
分散させてもよい。ただし、後者の方法の方が、基油中
に増ちょう剤を良好に分散させやすいので、工業的に製
造する場合には有利である。 〔基油について〕本発明のグリース組成物の基油として
は、鉱物系潤滑油や合成潤滑油を使用することができ
る。その種類は特に制限されるものではないが、鉱物系
潤滑油としては、パラフィン系鉱物油,ナフテン系鉱物
油,及びそれらの混合油を使用でき、また、合成潤滑油
としては、合成炭化水素油,エーテル油,エステル油,
及びフッ素油等を使用できる。
【0039】具体的には、合成炭化水素油としてはポリ
−α−オレフィン油等を、エーテル油としてはジアルキ
ルジフェニルエーテル油,アルキルトリフェニルエーテ
ル油,アルキルテトラフェニルエーテル油等を、エステ
ル油としてはジエステル油,ネオペンチル型ポリオール
エステル油,これらのコンプレックスエステル油,芳香
族エステル油等を、フッ素油としてはパーフルオロエー
テル油,フルオロシリコーン油,クロロトリフルオロエ
チレン油,フルオロフォスファゼン油等を使用すること
ができる。
【0040】これらの基油は、単独で用いてもよいし、
2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。高温,高速
での潤滑性能及び寿命を考慮すると、基油には合成潤滑
油が含有されていることが好ましく、特に、エステル
油,エーテル油,及びフッ素油の少なくとも1種が含有
されていることが好ましい。そして、基油の動粘度は4
0℃において10〜600mm2 /sであることが好ま
しい。10mm2 /s未満では、高温において蒸発しや
すく、グリース組成物の製造が困難となる。また、60
0mm2 /s超過では、転動装置のトルクが上昇しやす
くなるため好ましくない。このような問題点がより生じ
にくくするためには、基油の動粘度は40℃において2
0〜500mm2 /sであることがより好ましい。
【0041】一方、基油としてネオペンチル型ポリオー
ルエステル油を使用すると、グリース組成物に生分解性
が付与される。ネオペンチル型ポリオールエステルと
は、下記の式(III )で表されるようなネオペンチル構
造を有する多価アルコール(以降は、ネオペンチル型ポ
リオールと記す)と有機酸との反応によって得られるエ
ステル油である。
【0042】
【化3】
【0043】ネオペンチル型ポリオールの炭素数は5〜
12が好ましく、5〜9がより好ましい。また、有機酸
の炭素数は4〜18が好ましく、6〜12がより好まし
い。ネオペンチル型ポリオール及び有機酸の炭素数が上
記範囲から外れると、グリース組成物の酸化安定性が損
なわれるおそれがある。ネオペンチル型ポリオールとし
ては、例えば、2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジ
オール(すなわち、ネオペンチルグリコール(以降はN
PGと記す))、2−エチル−2−ブチルプロパン−
1,3−ジオール、2,2−ジエチルプロパン−1,3
−ジオール、2−メチル−2−プロピルプロパン−1,
3−ジオール、トリメチロールエタン、トリメチロール
プロパン(以降はTMPと記す)、トリメチロールブタ
ン、トリメチロールヘキサン、ペンタエリスルリトール
(以降はPEと記す)等があげられる。この中では、N
PG、2−メチル−2−プロピルプロパン−1,3−ジ
オール、TMP、PEが好ましく、NPG、TMP、P
Eが特に好ましい。これらのネオペンチル型ポリオール
は、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができ
る。
【0044】また、有機酸としては、例えば、n−ブタ
ン酸、イソ酪酸、n−ペンタン酸、イソ吉草酸、n−ヘ
キサン酸、2−エチルブタン酸、イソヘキサン酸、ヘキ
サヒドロ安息香酸、n−ヘプタン酸、イソヘプタン酸、
メチルヘキサヒドロ安息香酸、n−オクタン酸、ジメチ
ルヘキサン酸、2−エチルヘキサン酸、2,4,4−ト
リメチルペンタン酸、イソオクタン酸、3,5,5−ト
リメチルヘキサン酸、、n−ノナン酸、イソノナン酸、
イソデカン酸、イソウンデカン酸、2−ブチルオクタン
酸、トリデカン酸、テトラデカン酸、へキサデカン酸、
オクタデカン酸等があげられ、この中では、n−ヘプタ
ン酸、イソヘプタン酸、n−オクタン酸、2−エチルヘ
キサン酸が好ましい。これらの有機酸は、単独又は2種
以上を組み合わせて用いることができる。
【0045】さらに、ネオペンチル型ポリオールエステ
ルの具体例をあげると、NPGとヘプタン酸とのジエス
テル化合物、NPGと2−エチルブタン酸とのジエステ
ル化合物、NPGとヘキサン酸及びヘプタン酸の混合物
とのジエステル化合物、TMPとペンタン酸とのトリエ
ステル化合物、TMPとヘキサン酸とのトリエステル化
合物、TMPとブタン酸及びオクタデカン酸の混合物と
のトリエステル化合物、TMPとヘキサン酸,ヘプタン
酸,及びオクタン酸の混合物とのトリエステル化合物、
PEとペンタン酸とのテトラエステル化合物、PEと直
鎖状又は分岐鎖状の炭素数4〜8の有機酸のうち2種以
上の混合物とのテトラエステル化合物等がある。
【0046】また、NPG,TMP,PE以外のネオペ
ンチル型ポリオール、すなわち、2−メチル−2−プロ
ピルプロパン−1,3−ジオール、2,2−ジエチルプ
ロパン−1,3−ジオール、トリメチロールエタン、ト
リメチロールヘキサン等と、上記の有機酸(単独又は2
種以上の混合物)との反応によって得られるネオペンチ
ル型ポリオールエステルも使用可能である。
【0047】ネオペンチル型ポリオールと有機酸とから
ネオペンチル型ポリオールエステルを合成する方法とし
ては、従来から知られている慣用の方法(エステル化
法)、例えば、酸性触媒の存在下で脱水縮合反応を行う
方法等を問題なく用いることができる。 〔添加剤について〕本発明のグリース組成物には、各種
性能をさらに向上させるため、所望により種々の添加剤
を混合してもよい。例えば、酸化防止剤,防錆剤,極圧
剤,油性向上剤,金属不活性化剤など、グリース組成物
に一般的に使用される添加剤を、単独又は2種以上混合
して用いることができる。
【0048】酸化防止剤としては、例えば、アミン系,
フェノール系,硫黄系,ジチオリン酸亜鉛等があげられ
る。アミン系酸化防止剤の具体例としては、フェニル−
1−ナフチルアミン,フェニル−2−ナフチルアミン,
ジフェニルアミン,フェニレンジアミン,オレイルアミ
ドアミン,フェノチアジン等があげられる。
【0049】また、フェノール系酸化防止剤の具体例と
しては、p−t−ブチル−フェニルサリシレート、2,
6−ジ−t−ブチル−p−フェニルフェノール、2,
2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−オクチルフ
ェノール)、4,4’−ブチリデンビス−6−t−ブチ
ル−m−クレゾール、テトラキス[メチレン−3−
(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェ
ニル)プロピオネート]メタン、1,3,5−トリメチ
ル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4
−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、n−オクタデシル−
β−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチル
フェニル)プロピオネート、2−n−オクチル−チオ−
4,6−ジ(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−
ブチル)フェノキシ−1,3,5−トリアジン、4,
4’−チオビス(6−t−ブチル−m−クレゾール)、
2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メ
チルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール等のヒ
ンダードフェノールなどがあげられる。
【0050】防錆剤としては、例えば、石油スルフォン
酸,有機系スルフォン酸金属塩,エステル類等があげら
れる。有機系スルフォン酸金属塩の具体例としては、ジ
ノニルナフタレンスルホン酸や重質アルキルベンゼンス
ルホン酸の金属塩(カルシウムスルフォネート,バリウ
ムスルフォネート,ナトリウムスルフォネートなど)等
があげられる。
【0051】また、エステル類の具体例としては、多塩
基カルボン酸及び多価アルコールの部分エステルである
ソルビタンモノラウレート,ソルビタントリステアレー
ト,ソルビタンモノオレエート,ソルビタントリオレエ
ート等のソルビタンエステル類や、ポリオキシエチレン
ラウレート,ポリオキシエチレンオレエート,ポリオキ
シエチレンステアレート等のアルキルエステル類などが
あげられる。
【0052】油性向上剤としては、例えば、オレイン
酸,ステアリン酸等の脂肪酸、ラウリルアルコール,オ
レイルアルコール等のアルコール、ステアリルアミン,
セチルアミン等のアミン、リン酸トリクレジル等のリン
酸エステル、及び動植物油等があげられる。さらに、リ
ン系,ジチオリン酸亜鉛,有機モリブデン等の極圧剤
や、ベンゾトリアゾール等の金属不活性化剤などが使用
される。
【0053】なお、これら添加剤の添加量は、本発明の
目的を損なわない程度であれば特に限定されるものでは
ない。
【0054】
【発明の実施の形態】本発明に係るグリース組成物及び
転動装置の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説
明する。 A.第二増ちょう剤成分としてポリウレアを用いたグリ
ース組成物について 〔実施例A1〕まず、以下のようにして、基油中でカル
シウムスルフォネートコンプレックスを合成した。
【0055】40℃における動粘度が97.5mm2
sのジアルキルジフェニルエーテル500gに、塩基価
300mgKOH/gの高塩基性カルシウムスルフォネ
ート50gを添加し、50℃にて十分に撹拌した。そこ
に、ホウ酸1g,酢酸4g,ベヘン酸2g,ステアリン
酸2g,水0.5g,及び水酸化カルシウム35gを加
え、80〜95℃に加熱して水を揮発させて除去した。
さらに、この混合物に二酸化炭素を導入して炭酸カルシ
ウムを生成させた。そして、この混合物を赤外分光分析
機で分析し、882〜886cm-1のピークから炭酸カ
ルシウムの安定化(カルサイト化)が確認されたところ
で、二酸化炭素の導入を終了した。
【0056】次に、以下のようにして、基油中でジウレ
アを合成した。上記の操作によって得られた混合物を6
0℃に冷却し、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシ
アネート51gを加えて完全に溶解させた後、シクロへ
キシルアミン44gとジアルキルジフェニルエーテル2
91gを加え撹拌した。100℃で60分間保持した
後、150℃まで加熱してジウレアの生成反応を終了さ
せた。
【0057】その後、アミン系酸化防止剤10g及びス
ルフォネート系防錆剤10gを加え、ミル処理及び脱泡
処理を行いグリース組成物を得た。生成した増ちょう剤
であるカルシウムスルフォネートコンプレックスとジウ
レアとの質量比は、50:50であった。 〔実施例A2〕まず、以下のようにして、基油中でカル
シウムスルフォネートコンプレックスを合成した。
【0058】40℃における動粘度が97.5mm2
sのジアルキルジフェニルエーテル500gに、塩基価
400mgKOH/gの高塩基性カルシウムスルフォネ
ート73.7gとメタノール7.9gとを添加した。そ
して、80〜95℃に加熱してメタノールを揮発させて
除去し、高塩基性カルシウムスルフォネートに含有され
る炭酸カルシウムをジアルキルジフェニルエーテル中に
コロイド状に分散させた。
【0059】そこに、酢酸4g,ベヘン酸1.8g,ス
テアリン酸1.3g,ヒドロキシステアリン酸2.9
g,及び50%水酸化カルシウム水溶液6.8gを加
え、80〜95℃に加熱して水を揮発させて除去した。
この混合物に二酸化炭素を導入して炭酸カルシウムを生
成させ、混合物を赤外分光分析機で分析し、882〜8
86cm-1のピークから炭酸カルシウムの安定化(カル
サイト化)が確認されたところで、二酸化炭素の導入を
終了した。そして、150℃で30分間保持してミセル
構造の成長、すなわち結晶構造の均一化を行った。
【0060】次に、以下のようにして、基油中でジウレ
アを合成した。上記の操作によって得られた混合物を6
0℃に冷却し、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシ
アネート51gを加えて完全に溶解させた後、シクロへ
キシルアミン44gとジアルキルジフェニルエーテル3
17.9gを加え撹拌した。100℃で60分間保持し
た後、150℃まで加熱してジウレアの生成反応を終了
させた。
【0061】その後、アミン系酸化防止剤10g及びス
ルフォネート系防錆剤10gを加え、ミル処理及び脱泡
処理を行いグリース組成物を得た。生成した増ちょう剤
であるカルシウムスルフォネートコンプレックスとジウ
レアとの質量比は、50:50であった。 〔実施例A3〕まず、以下のようにして、基油中でカル
シウムスルフォネートコンプレックスを合成した。
【0062】40℃における動粘度が97.5mm2
sのジアルキルジフェニルエーテル500gに、塩基価
300mgKOH/gの高塩基性カルシウムスルフォネ
ート38.3gとメタノール3.8gとを添加した。そ
して、80〜95℃に加熱してメタノールを揮発させて
除去し、高塩基性カルシウムスルフォネートに含有され
る炭酸カルシウムをジアルキルジフェニルエーテル中に
コロイド状に分散させた。
【0063】そこに、ホウ酸0.4g,酢酸1.5g,
ベヘン酸0.9g,ステアリン酸0.7g,及び50%
水酸化カルシウム水溶液3.8gを加え、80〜95℃
に加熱して水を揮発させて除去した。この混合物に二酸
化炭素を導入して炭酸カルシウムを生成させ、混合物を
赤外分光分析機で分析し、882〜886cm-1のピー
クから炭酸カルシウムの安定化(カルサイト化)が確認
されたところで、二酸化炭素の導入を終了した。そし
て、150℃で30分間保持してミセル構造の成長、す
なわち結晶構造の均一化を行った。
【0064】次に、以下のようにして、基油中でジウレ
アを合成した。上記の操作によって得られた混合物を6
0℃に冷却し、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシ
アネート76.5gを加えて完全に溶解させた後、シク
ロへキシルアミン66gとジアルキルジフェニルエーテ
ル297.7gを加え撹拌した。100℃で60分間保
持した後、150℃まで加熱してジウレアの生成反応を
終了させた。
【0065】その後、アミン系酸化防止剤10g及びス
ルフォネート系防錆剤10gを加え、ミル処理及び脱泡
処理を行いグリース組成物を得た。生成した増ちょう剤
であるカルシウムスルフォネートコンプレックスとジウ
レアとの質量比は、25:75であった。 〔実施例A4〕まず、以下のようにして、基油中でカル
シウムスルフォネートコンプレックスを合成した。
【0066】40℃における動粘度が97.5mm2
sのジアルキルジフェニルエーテル500gに、塩基価
300mgKOH/gの高塩基性カルシウムスルフォネ
ート115.2gとメタノール11.6gとを添加し
た。そして、80〜95℃に加熱してメタノールを揮発
させて除去し、高塩基性カルシウムスルフォネートに含
有される炭酸カルシウムをジアルキルジフェニルエーテ
ル中にコロイド状に分散させた。
【0067】そこに、ホウ酸1.2g,酢酸4.5g,
ベヘン酸2.7g,ステアリン酸1.9g,及び50%
水酸化カルシウム水溶液11.4gを加え、80〜95
℃に加熱して水を揮発させて除去した。この混合物に二
酸化炭素を導入して炭酸カルシウムを生成させ、混合物
を赤外分光分析機で分析し、882〜886cm-1のピ
ークから炭酸カルシウムの安定化(カルサイト化)が確
認されたところで、二酸化炭素の導入を終了した。そし
て、150℃で30分間保持してミセル構造の成長、す
なわち結晶構造の均一化を行った。
【0068】次に、以下のようにして、基油中でジウレ
アを合成した。上記の操作によって得られた混合物を6
0℃に冷却し、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシ
アネート25gを加えて完全に溶解させた後、シクロへ
キシルアミン21.6gとジアルキルジフェニルエーテ
ル297.7gを加え撹拌した。100℃で60分間保
持した後、150℃まで加熱してジウレアの生成反応を
終了させた。
【0069】その後、アミン系酸化防止剤10g及びス
ルフォネート系防錆剤10gを加え、ミル処理及び脱泡
処理を行いグリース組成物を得た。生成した増ちょう剤
であるカルシウムスルフォネートコンプレックスとジウ
レアとの質量比は、75:25であった。 〔実施例A5〕まず、以下のようにして、基油中でカル
シウムスルフォネートコンプレックスを合成した。
【0070】ジアルキルジフェニルエーテル及びペンタ
エリスリトールテトラエステルの混合基油500gに、
塩基価300mgKOH/gの高塩基性カルシウムスル
フォネート76.6gとメタノール7.7gとを添加し
た。なお、前記混合基油におけるジアルキルジフェニル
エーテル及びペンタエリスリトールテトラエステルの混
合比率は50:50であり、該混合基油の40℃におけ
る動粘度は85.3mm2 /sである。
【0071】そして、80〜95℃に加熱してメタノー
ルを揮発させて除去し、高塩基性カルシウムスルフォネ
ートに含有される炭酸カルシウムを基油中にコロイド状
に分散させた。そこに、ホウ酸0.8g,酢酸3.0
g,ベヘン酸1.8g,ステアリン酸1.3g,及び5
0%水酸化カルシウム水溶液7.6gを加え、80〜9
5℃に加熱して水を揮発させて除去した。この混合物に
二酸化炭素を導入して炭酸カルシウムを生成させ、混合
物を赤外分光分析機で分析し、882〜886cm-1
ピークから炭酸カルシウムの安定化(カルサイト化)が
確認されたところで、二酸化炭素の導入を終了した。そ
して、150℃で30分間保持してミセル構造の成長、
すなわち結晶構造の均一化を行った。
【0072】次に、以下のようにして、基油中でジウレ
アを合成した。上記の操作によって得られた混合物を6
0℃に冷却し、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシ
アネート52.6gを加えて完全に溶解させた後、p−
トルイジン9g及びシクロへキシルアミン33.4gと
前記混合基油317.7gを加え撹拌した。100℃で
60分間保持した後、150℃まで加熱してジウレアの
生成反応を終了させた。
【0073】その後、アミン系酸化防止剤10g及びス
ルフォネート系防錆剤10gを加え、ミル処理及び脱泡
処理を行いグリース組成物を得た。生成した増ちょう剤
であるカルシウムスルフォネートコンプレックスとジウ
レアとの質量比は、50:50であった。 〔実施例A6〕ジアルキルジフェニルエーテルの代わり
にペンタエリスリトールのテトラエステル(40℃にお
ける動粘度は68.3mm2 /s)を使用した以外は、
実施例A1と全く同様にしてグリース組成物を得た。
【0074】このグリース組成物について、欧州規格諮
問委員会規格(CEC)のL−33−T−82に規定さ
れた生分解度を測定したところ90%で、優れた生分解
性を有していた。 〔実施例A7〕ジアルキルジフェニルエーテルの代わり
にペンタエリスリトールのテトラエステル(40℃にお
ける動粘度は68.3mm2 /s)を使用した以外は、
実施例A2と全く同様にしてグリース組成物を得た。
【0075】このグリース組成物について、CECのL
−33−T−82に規定された生分解度を測定したとこ
ろ91%で、優れた生分解性を有していた。 〔実施例A8〕ジアルキルジフェニルエーテルの代わり
にペンタエリスリトールのテトラエステル(40℃にお
ける動粘度は68.3mm2 /s)を使用した以外は、
実施例A3と全く同様にしてグリース組成物を得た。
【0076】このグリース組成物について、CECのL
−33−T−82に規定された生分解度を測定したとこ
ろ93%で、優れた生分解性を有していた。 〔比較例A1〕40℃における動粘度が97.5mm2
/sのジアルキルジフェニルエーテル500gに、ジフ
ェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート102gを
加えて完全に溶解させた後、シクロヘキシルアミン88
gとジアルキルジフェニルエーテル290gを加え撹拌
した。100℃で60分間保持した後、150℃まで加
熱してジウレアの生成反応を終了させた。
【0077】その後、アミン系酸化防止剤10g及びス
ルフォネート系防錆剤10gを加え、ミル処理及び脱泡
処理を行いグリース組成物を得た。 〔比較例A2〕40℃における動粘度が97.5mm2
/sのジアルキルジフェニルエーテル668gに、塩基
価300mgKOH/gの高塩基性カルシウムスルフォ
ネート300gとメタノール30gとを添加した。そし
て、80〜95℃に加熱してメタノールを揮発させて除
去し、高塩基性カルシウムスルフォネートに含有される
炭酸カルシウムをジアルキルジフェニルエーテル中にコ
ロイド状に分散させた。
【0078】そこに、ホウ酸3g,酢酸12g,ベヘン
酸7g,ステアリン酸5g,及び50%水酸化カルシウ
ム水溶液30gを加え、80〜95℃に加熱して水を揮
発させて除去した。この混合物に二酸化炭素を導入して
炭酸カルシウムを生成させ、混合物を赤外分光分析機で
分析し、882〜886cm-1のピークから炭酸カルシ
ウムの安定化(カルサイト化)が確認されたところで、
二酸化炭素の導入を終了した。そして、150℃で30
分間保持してミセル構造の成長、すなわち結晶構造の均
一化を行った。
【0079】その後、アミン系酸化防止剤10g及びス
ルフォネート系防錆剤10gを加え、ミル処理及び脱泡
処理を行いグリース組成物を得た。 〔比較例A3〜A5〕3種の市販品のグリース組成物を
用意した。比較例A3のグリース組成物は、増ちょう剤
がウレア系化合物で、基油がジアルキルジフェニルエー
テルである。また、比較例A4のグリース組成物は、増
ちょう剤がウレア系化合物で、基油がペンタエリスリト
ールのテトラエステルである。さらに、比較例A5のグ
リース組成物は、増ちょう剤がカルシウムスルフォネー
トコンプレックスで、基油が鉱油である。
【0080】これら13種のグリース組成物(実施例A
1〜A8及び比較例A1〜A5)について、混和ちょう
度,滴点,油分離率,及び水洗耐水度を測定した(JI
SK2220による)。結果を表1及び表2にまとめて
示す。
【0081】
【表1】
【0082】
【表2】
【0083】また、これらのグリース組成物の耐荷重
性,潤滑寿命,及び防錆性を併せて評価した。以下にそ
の方法を説明する。まず、耐荷重性については、AST
Mに規定される試験装置を用いた四球試験により評価し
た。すなわち、3個の試験球(玉軸受用のSUJ2製鋼
球で、直径は1/2インチである)を相互に接するよう
に正三角形状に配置して固定し、その中心に形成された
凹部に1個の試験球を載置した。そして、評価対象であ
るグリース組成物をすべての試験球に塗布した後、荷重
を負荷した状態で載置した試験球を一定の回転速度(4
000rpm)で回転させた。
【0084】前記荷重は、回転初期1分間は98Nと
し、その後は毎分392Nの割合で徐々に増加させてい
った。そして、回転トルクが急激に上昇した時点の荷重
を焼付き荷重とし、この焼付き荷重をもって耐荷重性を
評価した。次に、潤滑寿命は以下のようにして評価し
た。前記13種のグリース組成物5gをそれぞれ転がり
軸受に封入し、図1に示すようなASTM D 174
1の軸受寿命試験機に類似の試験機に装着した。そし
て、温度150℃、ラジアル荷重98N、アキシアル荷
重294Nの下で1000rpmの回転速度で回転さ
せ、モータが過負荷にて停止した時間、又は軸受の温度
が160℃を超えた時間を寿命とした。
【0085】ここで、試験に使用した転がり軸受の構成
について、図2の部分縦断面図を参照しながら説明す
る。この転がり軸受(呼び番号6306VV,内径30
mm,外径72mm,幅19mm)は、 内輪1と、外
輪2と、内輪1と外輪2との間に転動自在に配設された
複数の玉3と、内輪1と外輪2との間に複数の玉3を保
持する保持器4と、非接触形のゴムシール5,5と、で
構成されている。
【0086】ゴムシール5は外輪2のシールみぞ2aに
取り付けられていて、内輪1の外周面と外輪2の内周面
との間の開口部分をほぼ覆っている。そして、内輪1と
外輪2との間に形成され玉3が内設された空隙部内には
グリース組成物Gが充填され、シール5,5により軸受
内部に密封されている。なお、ゴムシール5は接触形で
もよい。
【0087】潤滑寿命の試験結果を表1及び表2に示
す。なお、表に示した数値は、1種の軸受につき10個
ずつ試験を行って、ワイブル分布曲線から求めたL50寿
命である。また、ここで言う潤滑寿命とは、フレーキン
グ発生による軸受の転がり疲れ寿命ではなく、グリース
組成物の劣化等が原因で軸受が回転不能等に至るグリー
スの寿命を言う。
【0088】表1及び表2から分かるように、実施例A
1〜A8のグリース組成物は比較例A1〜A5のグリー
ス組成物と比較して潤滑寿命が優れており、高温下にお
いても長寿命であった。次に、防錆性については、以下
のような防錆性試験によって評価した。転がり軸受(呼
び番号6202VV)の空隙部内に、その容積の35%
のグリース組成物を充填し、アキシアル予圧39.2N
を負荷した状態で、80℃,90%RHに調整された恒
温恒湿槽に静置した。その際には、転がり軸受に結露を
生じさせるために、転がり軸受を予熱することなく常温
の状態で恒温恒湿槽内に入れた。そして、恒温恒湿槽に
1ヶ月間静置した後、転がり軸受に生じた錆の量を評価
した。表1及び表2においては、錆が全く生じていなか
ったものについては○印、点状の錆が1〜3個生じてい
たものについては△印で、それぞれ示してある。
【0089】表1及び表2から分かるように、実施例A
1〜A8のグリース組成物を備えた転がり軸受は、錆が
全く生じておらず防錆性が優れていたが、比較例A1,
A3,及びA4のグリース組成物を備えた転がり軸受、
すなわち、増ちょう剤としてカルシウムスルフォネート
コンプレックスを含有していないグリース組成物を備え
た転がり軸受は、防錆性が不十分であった。
【0090】次に、増ちょう剤におけるカルシウムスル
フォネートコンプレックスとジウレアとの比率について
検討した。すなわち、カルシウムスルフォネートコンプ
レックスとジウレアとの比率が異なる種々のグリース組
成物について、潤滑寿命及び滴点を評価した。なお、増
ちょう剤の含有量は、グリース組成物全体の18質量%
に統一した。また、基油には、40℃における動粘度が
42mm2 /sであるジアルキルジフェニルエーテルを
用いた。
【0091】評価の結果を図3のグラフに示す。なお、
このグラフにおける潤滑寿命の数値は、カルシウムスル
フォネートコンプレックスの比率が0質量%(すなわち
ジウレアの比率が100質量%である)であるグリース
組成物の潤滑寿命を1とした場合の相対値で示してあ
る。図3のグラフから、カルシウムスルフォネートコン
プレックスの比率が5〜95質量%であると潤滑寿命が
優れており、25〜75質量%であると潤滑寿命がさら
に優れていることが分かる。
【0092】また、カルシウムスルフォネートコンプレ
ックスの比率が75質量%以下であると、グリース組成
物の滴点が260℃以上となり、グリース組成物が優れ
た耐熱性を有していることが分かる。次に、グリース組
成物中の増ちょう剤の含有量が異なる種々のグリース組
成物を用意して、混和ちょう度と水洗耐水度(JIS
K2220)を評価した。なお、増ちょう剤におけるカ
ルシウムスルフォネートコンプレックスとジウレアとの
比率は、1:1(質量比)に統一した。また、基油に
は、40℃における動粘度が42mm2 /sであるジア
ルキルジフェニルエーテルを用いた。
【0093】評価の結果を図4のグラフに示す。増ちょ
う剤の含有量を3〜40質量%とすれば、混和ちょう度
が400〜200となり、軸受の潤滑に適用可能であ
る。グリース組成物の供給などハンドリング性を考慮す
ると、混和ちょう度は230〜290が好ましいので、
増ちょう剤の含有量は8〜25質量%が好ましいことが
分かる。
【0094】また、水洗耐水度は、グリース組成物があ
る程度硬くないと劣ったものとなるが、図4から、増ち
ょう剤の含有量が10質量%以上であれば、水洗耐水度
が2質量%以下と好ましい値となることが分かる。上記
の混和ちょう度と水洗耐水度の評価結果を総合すると、
増ちょう剤の含有量はグリース組成物全体の10〜25
質量%とすることが好ましいと言える。
【0095】次に、基油中のネオペンチル型ポリオール
エステル油の比率が異なる種々のグリース組成物を用意
して、その生分解度を評価した。なお、基油は、40℃
における動粘度が30mm2 /sであるトリメチロール
プロパンエステル油と、40℃における動粘度が30m
2 /sであるジアルキルジフェニルエーテルとの混合
油である。また、増ちょう剤は、カルシウムスルフォネ
ートコンプレックスとジウレアとを1:1の質量比率で
混合したものであり、その含有量はグリース組成物全体
の15質量%である。
【0096】生分解度の評価結果を図5に示す。基油中
のネオペンチル型ポリオールエステル油の比率が80質
量%以上であると、90%以上という優れた生分解度を
示すことが分かる。 B.第二増ちょう剤成分として金属石けんを用いたグリ
ース組成物について 〔実施例B1〕まず、以下のようにして、基油中でカル
シウムスルフォネートコンプレックスを合成した。
【0097】40℃における動粘度が33.6mm2
sのペンタエリスリトールテトラエステル500gに、
塩基価300mgKOH/gの高塩基性カルシウムスル
フォネート20gを添加し、50℃にて十分に撹拌し
た。そこに、ホウ酸0.4g,酢酸1.6g,ベヘン酸
0.8g,ステアリン酸0.8g,水0.2g,及び水
酸化カルシウム14gを加え、80〜95℃に加熱して
水を揮発させて除去した。さらに、この混合物に二酸化
炭素を導入して炭酸カルシウムを生成させた。そして、
この混合物を赤外分光分析機で分析し、882〜886
cm-1のピークから炭酸カルシウムの安定化(カルサイ
ト化)が確認されたところで、二酸化炭素の導入を終了
した。
【0098】次に、以下のようにして、基油中で金属石
けんを合成した。上記の操作によって得られた混合物を
60℃に冷却し、12−ヒドロキシステアリン酸96.
5gを加えて完全に溶解させた後、50%水酸化リチウ
ム水溶液16gとペンタエリスリトールテトラエステル
338gを加え撹拌した。100℃で60分間保持した
後、200℃まで加熱して12−ヒドロキシステアリン
酸リチウムの生成反応を終了させた。
【0099】その後、アミン系酸化防止剤10g及びス
ルフォネート系防錆剤10gを加え、ミル処理及び脱泡
処理を行いグリース組成物を得た。生成した増ちょう剤
であるカルシウムスルフォネートコンプレックスとリチ
ウム石けんとの質量比は、25:75であった。また、
このグリース組成物について、欧州規格諮問委員会規格
(CEC)のL−33−T−82に規定された生分解度
を測定したところ91%で、優れた生分解性を有してい
た。
【0100】〔実施例B2〕まず、以下のようにして、
基油中でカルシウムスルフォネートコンプレックスを合
成した。40℃における動粘度が33.6mm2 /sの
ペンタエリスリトールテトラエステル500gに、塩基
価400mgKOH/gの高塩基性カルシウムスルフォ
ネート114gとメタノール11.4gとを添加した。
そして、80〜95℃に加熱してメタノールを揮発させ
て除去し、高塩基性カルシウムスルフォネートに含有さ
れる炭酸カルシウムをペンタエリスリトールテトラエス
テル中にコロイド状に分散させた。
【0101】そこに、酢酸6.2g,ベヘン酸2.8
g,ステアリン酸2.0g,ヒドロキシステアリン酸
4.5g,及び50%水酸化カルシウム水溶液10.7
gを加え、80〜95℃に加熱して水を揮発させて除去
した。この混合物に二酸化炭素を導入して炭酸カルシウ
ムを生成させ、混合物を赤外分光分析機で分析し、88
2〜886cm-1のピークから炭酸カルシウムの安定化
(カルサイト化)が確認されたところで、二酸化炭素の
導入を終了した。そして、150℃で30分間保持して
ミセル構造の成長、すなわち結晶構造の均一化を行っ
た。
【0102】上記の操作によって得られた混合物を60
℃に冷却し、12−ヒドロキシステアリン酸38.6g
を加えて完全に溶解させた後、50%水酸化リチウム水
溶液6.5gとペンタエリスリトールテトラエステル3
00gを加え撹拌した。100℃で60分間保持した
後、200℃まで加熱して12−ヒドロキシステアリン
酸リチウムの生成反応を終了させた。
【0103】その後、アミン系酸化防止剤10g及びス
ルフォネート系防錆剤10gを加え、ミル処理及び脱泡
処理を行いグリース組成物を得た。生成した増ちょう剤
であるカルシウムスルフォネートコンプレックスとリチ
ウム石けんとの質量比は、75:25であった。また、
このグリース組成物について、欧州規格諮問委員会規格
(CEC)のL−33−T−82に規定された生分解度
を測定したところ94%で、優れた生分解性を有してい
た。
【0104】〔実施例B3〕まず、以下のようにして、
基油中でカルシウムスルフォネートコンプレックスを合
成した。40℃における動粘度が33.6mm2 /sの
ペンタエリスリトールテトラエステル500gに、塩基
価300mgKOH/gの高塩基性カルシウムスルフォ
ネート70.1gとメタノール6.9gとを添加した。
そして、80〜95℃に加熱してメタノールを揮発させ
て除去し、高塩基性カルシウムスルフォネートに含有さ
れる炭酸カルシウムをペンタエリスリトールテトラエス
テル中にコロイド状に分散させた。
【0105】そこに、ホウ酸0.7g,酢酸2.7g,
ベヘン酸1.6g,ステアリン酸1.3g,及び50%
水酸化カルシウム水溶液6.9gを加え、80〜95℃
に加熱して水を揮発させて除去した。この混合物に二酸
化炭素を導入して炭酸カルシウムを生成させ、混合物を
赤外分光分析機で分析し、882〜886cm-1のピー
クから炭酸カルシウムの安定化(カルサイト化)が確認
されたところで、二酸化炭素の導入を終了した。そし
て、150℃で30分間保持してミセル構造の成長、す
なわち結晶構造の均一化を行った。
【0106】上記の操作によって得られた混合物を60
℃に冷却し、12−ヒドロキシステアリン酸68.6g
を加えて完全に溶解させた後、50%水酸化リチウム水
溶液11.4gとペンタエリスリトールテトラエステル
325gを加え撹拌した。100℃で60分間保持した
後、200℃まで加熱して12−ヒドロキシステアリン
酸リチウムの生成反応を終了させた。
【0107】その後、アミン系酸化防止剤10g及びス
ルフォネート系防錆剤10gを加え、ミル処理及び脱泡
処理を行いグリース組成物を得た。生成した増ちょう剤
であるカルシウムスルフォネートコンプレックスとリチ
ウム石けんとの質量比は、50:50であった。また、
このグリース組成物について、欧州規格諮問委員会規格
(CEC)のL−33−T−82に規定された生分解度
を測定したところ90%で、優れた生分解性を有してい
た。
【0108】〔実施例B4〕まず、以下のようにして、
基油中でカルシウムスルフォネートコンプレックスを合
成した。パラフィン系鉱油(40℃における動粘度は8
0mm2 /s)及びペンタエリスリトールテトラエステ
ル(40℃における動粘度は33.6mm2 /s)の混
合基油500gに、塩基価300mgKOH/gの高塩
基性カルシウムスルフォネート118.5gとメタノー
ル11.8gとを添加した。なお、前記混合基油におけ
るパラフィン系鉱油及びペンタエリスリトールテトラエ
ステルの混合比率は質量比で15:85である。そし
て、80〜95℃に加熱してメタノールを揮発させて除
去し、高塩基性カルシウムスルフォネートに含有される
炭酸カルシウムを混合基油中にコロイド状に分散させ
た。
【0109】そこに、ホウ酸1.3g,酢酸4.6g,
ベヘン酸2.8g,ステアリン酸2.0g,及び50%
水酸化カルシウム水溶液11.8gを加え、80〜95
℃に加熱して水を揮発させて除去した。この混合物に二
酸化炭素を導入して炭酸カルシウムを生成させ、混合物
を赤外分光分析機で分析し、882〜886cm-1のピ
ークから炭酸カルシウムの安定化(カルサイト化)が確
認されたところで、二酸化炭素の導入を終了した。そし
て、150℃で30分間保持してミセル構造の成長、す
なわち結晶構造の均一化を行った。
【0110】上記の操作によって得られた混合物を60
℃に冷却し、12−ヒドロキシステアリン酸38.6g
を加えて完全に溶解させた後、50%水酸化リチウム水
溶液6.4gと前記混合基油305gを加え撹拌した。
100℃で60分間保持した後、200℃まで加熱して
12−ヒドロキシステアリン酸リチウムの生成反応を終
了させた。
【0111】その後、アミン系酸化防止剤10g及びス
ルフォネート系防錆剤10gを加え、ミル処理及び脱泡
処理を行いグリース組成物を得た。生成した増ちょう剤
であるカルシウムスルフォネートコンプレックスとリチ
ウム石けんとの質量比は、75:25であった。また、
このグリース組成物について、欧州規格諮問委員会規格
(CEC)のL−33−T−82に規定された生分解度
を測定したところ84%で、優れた生分解性を有してい
た。
【0112】〔実施例B5〕まず、以下のようにして、
基油中でカルシウムスルフォネートコンプレックスを合
成した。40℃における動粘度が80mm2 /sのパラ
フィン系鉱油500gに、塩基価300mgKOH/g
の高塩基性カルシウムスルフォネート70.1gとメタ
ノール6.9gとを添加した。そして、80〜95℃に
加熱してメタノールを揮発させて除去し、高塩基性カル
シウムスルフォネートに含有される炭酸カルシウムをパ
ラフィン系鉱油中にコロイド状に分散させた。
【0113】そこに、ホウ酸0.7g,酢酸2.7g,
ベヘン酸1.6g,ステアリン酸1.2g,及び50%
水酸化カルシウム水溶液6.9gを加え、80〜95℃
に加熱して水を揮発させて除去した。この混合物に二酸
化炭素を導入して炭酸カルシウムを生成させ、混合物を
赤外分光分析機で分析し、882〜886cm-1のピー
クから炭酸カルシウムの安定化(カルサイト化)が確認
されたところで、二酸化炭素の導入を終了した。そし
て、150℃で30分間保持してミセル構造の成長、す
なわち結晶構造の均一化を行った。
【0114】上記の操作によって得られた混合物を60
℃に冷却し、12−ヒドロキシステアリン酸68.6g
を加えて完全に溶解させた後、50%水酸化リチウム水
溶液11.4gとパラフィン系鉱油325gを加え撹拌
した。100℃で60分間保持した後、200℃まで加
熱して12−ヒドロキシステアリン酸リチウムの生成反
応を終了させた。
【0115】その後、アミン系酸化防止剤10g及びス
ルフォネート系防錆剤10gを加え、ミル処理及び脱泡
処理を行いグリース組成物を得た。生成した増ちょう剤
であるカルシウムスルフォネートコンプレックスとリチ
ウム石けんとの質量比は、50:50であった。 〔比較例B1〕40℃における動粘度が80mm2 /s
のパラフィン系鉱油500gに、12−ヒドロキシステ
アリン酸85gを加えて完全に溶解させた後、50%水
酸化リチウム水溶液15gとパラフィン系鉱油290g
を加え撹拌した。100℃で60分間保持した後、20
0℃まで加熱して12−ヒドロキシステアリン酸リチウ
ムの生成反応を終了させた。
【0116】その後、アミン系酸化防止剤10g及びス
ルフォネート系防錆剤10gを加え、ミル処理及び脱泡
処理を行いグリース組成物を得た。 〔比較例B2〕40℃における動粘度が80mm2 /s
のパラフィン系鉱油668gに、塩基価300mgKO
H/gの高塩基性カルシウムスルフォネート300gと
メタノール30gとを添加した。そして、80〜95℃
に加熱してメタノールを揮発させて除去し、高塩基性カ
ルシウムスルフォネートに含有される炭酸カルシウムを
パラフィン系鉱油中にコロイド状に分散させた。
【0117】そこに、ホウ酸3g,酢酸12g,ベヘン
酸7g,ステアリン酸5g,及び50%水酸化カルシウ
ム水溶液30gを加え、80〜95℃に加熱して水を揮
発させて除去した。この混合物に二酸化炭素を導入して
炭酸カルシウムを生成させ、混合物を赤外分光分析機で
分析し、882〜886cm-1のピークから炭酸カルシ
ウムの安定化(カルサイト化)が確認されたところで、
二酸化炭素の導入を終了した。そして、150℃で30
分間保持してミセル構造の成長、すなわち結晶構造の均
一化を行った。
【0118】その後、アミン系酸化防止剤10g及びス
ルフォネート系防錆剤10gを加え、ミル処理及び脱泡
処理を行いグリース組成物を得た。 〔比較例B3及びB4〕2種の市販品のグリース組成物
を用意した。比較例B3のグリース組成物は、増ちょう
剤がリチウム石けん系で、基油が鉱油である。また、比
較例B4のグリース組成物は、増ちょう剤がリチウム石
けん系で、基油がポリα−オレフィン油である。
【0119】これら9種のグリース組成物(実施例B1
〜B5及び比較例B1〜B4)について、混和ちょう
度,滴点,油分離率,及び水洗耐水度を測定した(JI
S K2220による)。また、これらのグリース組成
物の耐荷重性,潤滑寿命,及び防錆性を併せて評価し
た。これらの評価方法は前述したものと同様であるが、
潤滑寿命については測定条件が以下のように若干異なっ
ている。すなわち、試験温度は80℃、ラジアル荷重は
686N、アキシアル荷重は490Nである。また、モ
ータが過負荷にて停止した時間、又は軸受の温度が90
℃を超えた時間を寿命とした。
【0120】結果を表3及び表4にまとめて示す。な
お、焼付き荷重及び潤滑寿命は、比較例B1のそれぞれ
の値を1とした場合の相対値で示してある。
【0121】
【表3】
【0122】
【表4】
【0123】表3及び表4から分かるように、実施例B
1〜B5のグリース組成物は、増ちょう剤としてカルシ
ウムスルフォネートコンプレックス及びリチウム石けん
を含有しているので、いずれか一方のみしか含有してい
ない比較例B1〜B4のグリース組成物と比較して、高
温での潤滑寿命が優れており、高温下においても長寿命
であった。
【0124】また、実施例B1〜B5のグリース組成物
を備えた転がり軸受は、錆が全く生じておらず防錆性が
優れていた。これに対して、比較例B1,B3,及びB
4のグリース組成物を備えた転がり軸受、すなわち、増
ちょう剤としてカルシウムスルフォネートコンプレック
スを含有していないグリース組成物を備えた転がり軸受
は、防錆性が不十分であった。 C.第二増ちょう剤成分として金属複合石けんを用いた
グリース組成物について 〔実施例C1〕まず、以下のようにして、基油中でカル
シウムスルフォネートコンプレックスを合成した。
【0125】40℃における動粘度が97.5mm2
sのジアルキルジフェニルエーテル500gに、塩基価
300mgKOH/gの高塩基性カルシウムスルフォネ
ート50gを添加した。そして、50℃に加熱して十分
に撹拌した。そこに、ホウ酸1g,酢酸4g,ベヘン酸
2g,ステアリン酸2g,水0.5g,及び水酸化カル
シウム35gを加え、80〜95℃に加熱して水を揮発
させて除去した。この混合物に二酸化炭素を導入して炭
酸カルシウムを生成させ、混合物を赤外分光分析機で分
析し、882〜886cm-1のピークから炭酸カルシウ
ムの安定化(カルサイト化)が確認されたところで、二
酸化炭素の導入を終了した。そして、150℃で30分
間保持してミセル構造の成長、すなわち結晶構造の均一
化を行った。
【0126】次に、以下のようにして、基油中で金属複
合石けんを合成した。上記の操作によって得られた混合
物を60℃に冷却し、12−ヒドロキシステアリン酸5
9.4gを加え、90℃に加熱して完全に溶解させた。
そこに、水酸化リチウム1水塩8.4gを水42gに加
熱溶解したものを加えて激しく撹拌し、けん化反応及び
脱水を行った。
【0127】さらに、アゼライン酸18.7gを加えて
均一になるまで撹拌した後、水酸化リチウム1水塩8.
4gを水42gに加熱溶解したものを加えて激しく撹拌
し、アゼライン酸のけん化反応及び脱水を行った。ジア
ルキルジフェニルエーテル291gを加えて撹拌し、1
00℃で60分間保持した後、150℃まで加熱して金
属複合石けんの生成反応を終了させた。
【0128】その後、アミン系酸化防止剤10g及びス
ルフォネート系防錆剤10gを加え、ミル処理及び脱泡
処理を行いグリース組成物を得た。生成した増ちょう剤
であるカルシウムスルフォネートコンプレックスとリチ
ウム複合石けんとの質量比は、50:50であった。 〔実施例C2〕まず、以下のようにして、基油中でカル
シウムスルフォネートコンプレックスを合成した。
【0129】40℃における動粘度が97.5mm2
sのジアルキルジフェニルエーテル500gに、塩基価
400mgKOH/gの高塩基性カルシウムスルフォネ
ート73.7gとメタノール7.9gとを添加した。そ
して、80〜95℃に加熱してメタノールを揮発させて
除去し、高塩基性カルシウムスルフォネートに含有され
る炭酸カルシウムをジアルキルジフェニルエーテル中に
コロイド状に分散させた。
【0130】そこに、酢酸4g,ベヘン酸1.8g,ス
テアリン酸1.3g,ヒドロキシステアリン酸2.9
g,及び50%水酸化カルシウム水溶液6.8gを加
え、80〜95℃に加熱して水を揮発させて除去した。
この混合物に二酸化炭素を導入して炭酸カルシウムを生
成させ、混合物を赤外分光分析機で分析し、882〜8
86cm-1のピークから炭酸カルシウムの安定化(カル
サイト化)が確認されたところで、二酸化炭素の導入を
終了した。そして、150℃で30分間保持してミセル
構造の成長、すなわち結晶構造の均一化を行った。
【0131】次に、以下のようにして、基油中で金属複
合石けんを合成した。上記の操作によって得られた混合
物を60℃に冷却し、12−ヒドロキシステアリン酸5
9.4gを加え、90℃に加熱して完全に溶解させた。
そこに、水酸化リチウム1水塩8.4gを水42gに加
熱溶解したものを加えて激しく撹拌し、けん化反応及び
脱水を行った。
【0132】さらに、アゼライン酸18.7gを加えて
均一になるまで撹拌した後、水酸化リチウム1水塩8.
4gを水42gに加熱溶解したものを加えて激しく撹拌
し、アゼライン酸のけん化反応及び脱水を行った。ジア
ルキルジフェニルエーテル317.9gを加えて撹拌
し、100℃で60分間保持した後、150℃まで加熱
して金属複合石けんの生成反応を終了させた。
【0133】その後、アミン系酸化防止剤10g及びス
ルフォネート系防錆剤10gを加え、ミル処理及び脱泡
処理を行いグリース組成物を得た。生成した増ちょう剤
であるカルシウムスルフォネートコンプレックスとリチ
ウム複合石けんとの質量比は、50:50であった。 〔実施例C3〕まず、以下のようにして、基油中でカル
シウムスルフォネートコンプレックスを合成した。
【0134】40℃における動粘度が97.5mm2
sのジアルキルジフェニルエーテル500gに、塩基価
300mgKOH/gの高塩基性カルシウムスルフォネ
ート38.3gとメタノール3.8gとを添加した。そ
して、80〜95℃に加熱してメタノールを揮発させて
除去し、高塩基性カルシウムスルフォネートに含有され
る炭酸カルシウムをジアルキルジフェニルエーテル中に
コロイド状に分散させた。
【0135】そこに、ホウ酸0.4g,酢酸1.5g,
ベヘン酸0.9g,ステアリン酸0.7g,及び50%
水酸化カルシウム水溶液3.8gを加え、80〜95℃
に加熱して水を揮発させて除去した。この混合物に二酸
化炭素を導入して炭酸カルシウムを生成させ、混合物を
赤外分光分析機で分析し、882〜886cm-1のピー
クから炭酸カルシウムの安定化(カルサイト化)が確認
されたところで、二酸化炭素の導入を終了した。そし
て、150℃で30分間保持してミセル構造の成長、す
なわち結晶構造の均一化を行った。
【0136】次に、以下のようにして、基油中で金属複
合石けんを合成した。上記の操作によって得られた混合
物を60℃に冷却し、12−ヒドロキシステアリン酸8
9.1gを加え、90℃に加熱して完全に溶解させた。
そこに、水酸化リチウム1水塩12.6gを水63gに
加熱溶解したものを加えて激しく撹拌し、けん化反応及
び脱水を行った。
【0137】さらに、アゼライン酸28.1gを加えて
均一になるまで撹拌した後、水酸化リチウム1水塩1
2.6gを水63gに加熱溶解したものを加えて激しく
撹拌し、アゼライン酸のけん化反応及び脱水を行った。
ジアルキルジフェニルエーテル297.7gを加えて撹
拌し、100℃で60分間保持した後、150℃まで加
熱して金属複合石けんの生成反応を終了させた。
【0138】その後、アミン系酸化防止剤10g及びス
ルフォネート系防錆剤10gを加え、ミル処理及び脱泡
処理を行いグリース組成物を得た。生成した増ちょう剤
であるカルシウムスルフォネートコンプレックスとリチ
ウム複合石けんとの質量比は、25:75であった。 〔実施例C4〕まず、以下のようにして、基油中でカル
シウムスルフォネートコンプレックスを合成した。
【0139】40℃における動粘度が97.5mm2
sのジアルキルジフェニルエーテル500gに、塩基価
300mgKOH/gの高塩基性カルシウムスルフォネ
ート115.2gとメタノール11.6gとを添加し
た。そして、80〜95℃に加熱してメタノールを揮発
させて除去し、高塩基性カルシウムスルフォネートに含
有される炭酸カルシウムをジアルキルジフェニルエーテ
ル中にコロイド状に分散させた。
【0140】そこに、ホウ酸1.2g,酢酸4.5g,
ベヘン酸2.7g,ステアリン酸1.9g,及び50%
水酸化カルシウム水溶液11.4gを加え、80〜95
℃に加熱して水を揮発させて除去した。この混合物に二
酸化炭素を導入して炭酸カルシウムを生成させ、混合物
を赤外分光分析機で分析し、882〜886cm-1のピ
ークから炭酸カルシウムの安定化(カルサイト化)が確
認されたところで、二酸化炭素の導入を終了した。そし
て、150℃で30分間保持してミセル構造の成長、す
なわち結晶構造の均一化を行った。
【0141】次に、以下のようにして、基油中で金属複
合石けんを合成した。上記の操作によって得られた混合
物を60℃に冷却し、12−ヒドロキシステアリン酸2
9.1gを加え、90℃に加熱して完全に溶解させた。
そこに、水酸化リチウム1水塩4.1gを水20.7g
に加熱溶解したものを加えて激しく撹拌し、けん化反応
及び脱水を行った。
【0142】さらに、アゼライン酸9.2gを加えて均
一になるまで撹拌した後、水酸化リチウム1水塩4.1
gを水20.7gに加熱溶解したものを加えて激しく撹
拌し、アゼライン酸のけん化反応及び脱水を行った。ジ
アルキルジフェニルエーテル297.7gを加えて撹拌
し、100℃で60分間保持した後、150℃まで加熱
して金属複合石けんの生成反応を終了させた。
【0143】その後、アミン系酸化防止剤10g及びス
ルフォネート系防錆剤10gを加え、ミル処理及び脱泡
処理を行いグリース組成物を得た。生成した増ちょう剤
であるカルシウムスルフォネートコンプレックスとリチ
ウム複合石けんとの質量比は、75:25であった。 〔実施例C5〕まず、以下のようにして、基油中でカル
シウムスルフォネートコンプレックスを合成した。
【0144】ジアルキルジフェニルエーテル及びペンタ
エリスリトールテトラエステルの混合基油500gに、
塩基価300mgKOH/gの高塩基性カルシウムスル
フォネート76.6gとメタノール7.7gとを添加し
た。なお、前記混合基油におけるジアルキルジフェニル
エーテル及びペンタエリスリトールテトラエステルの混
合比率は50:50であり、該混合基油の40℃におけ
る動粘度は85.3mm2 /sである。
【0145】そして、80〜95℃に加熱してメタノー
ルを揮発させて除去し、高塩基性カルシウムスルフォネ
ートに含有される炭酸カルシウムを基油中にコロイド状
に分散させた。そこに、ホウ酸0.8g,酢酸3.0
g,ベヘン酸1.8g,ステアリン酸1.3g,及び5
0%水酸化カルシウム水溶液7.6gを加え、80〜9
5℃に加熱して水を揮発させて除去した。この混合物に
二酸化炭素を導入して炭酸カルシウムを生成させ、混合
物を赤外分光分析機で分析し、882〜886cm-1
ピークから炭酸カルシウムの安定化(カルサイト化)が
確認されたところで、二酸化炭素の導入を終了した。そ
して、150℃で30分間保持してミセル構造の成長、
すなわち結晶構造の均一化を行った。
【0146】次に、以下のようにして、基油中で金属複
合石けんを合成した。上記の操作によって得られた混合
物を60℃に冷却し、12−ヒドロキシステアリン酸5
9.4gを加え、90℃に加熱して完全に溶解させた。
そこに、水酸化リチウム1水塩8.4gを水42gに加
熱溶解したものを加えて激しく撹拌し、けん化反応及び
脱水を行った。
【0147】さらに、アゼライン酸18.7gを加えて
均一になるまで撹拌した後、水酸化リチウム1水塩8.
4gを水42gに加熱溶解したものを加えて激しく撹拌
し、アゼライン酸のけん化反応及び脱水を行った。ジア
ルキルジフェニルエーテル317.7gを加えて撹拌
し、100℃で60分間保持した後、150℃まで加熱
して金属複合石けんの生成反応を終了させた。
【0148】その後、アミン系酸化防止剤10g及びス
ルフォネート系防錆剤10gを加え、ミル処理及び脱泡
処理を行いグリース組成物を得た。生成した増ちょう剤
であるカルシウムスルフォネートコンプレックスとリチ
ウム複合石けんとの質量比は、50:50であった。 〔実施例C6〕ジアルキルジフェニルエーテルの代わり
にペンタエリスリトールのテトラエステル(40℃にお
ける動粘度は68.3mm2 /s)を使用した以外は、
実施例C1と全く同様にしてグリース組成物を得た。
【0149】このグリース組成物について、欧州規格諮
問委員会規格(CEC)のL−33−T−82に規定さ
れた生分解度を測定したところ92%で、優れた生分解
性を有していた。 〔実施例C7〕ジアルキルジフェニルエーテルの代わり
にペンタエリスリトールのテトラエステル(40℃にお
ける動粘度は68.3mm2 /s)を使用した以外は、
実施例C2と全く同様にしてグリース組成物を得た。
【0150】このグリース組成物について、CECのL
−33−T−82に規定された生分解度を測定したとこ
ろ93%で、優れた生分解性を有していた。 〔実施例C8〕ジアルキルジフェニルエーテルの代わり
にペンタエリスリトールのテトラエステル(40℃にお
ける動粘度は68.3mm2 /s)を使用した以外は、
実施例C3と全く同様にしてグリース組成物を得た。
【0151】このグリース組成物について、CECのL
−33−T−82に規定された生分解度を測定したとこ
ろ93%で、優れた生分解性を有していた。 〔比較例C1〕40℃における動粘度が97.5mm2
/sのジアルキルジフェニルエーテル500gに、12
−ヒドロキシステアリン酸125.1gを加え、90℃
に加熱して完全に溶解させた。そこに、水酸化リチウム
1水塩17.7gを水88.7gに加熱溶解したものを
加えて激しく撹拌し、けん化反応及び脱水を行った。
【0152】さらに、アゼライン酸39.4gを加えて
均一になるまで撹拌した後、水酸化リチウム1水塩1
7.7gを水88.7gに加熱溶解したものを加えて激
しく撹拌し、アゼライン酸のけん化反応及び脱水を行っ
た。ジアルキルジフェニルエーテル290gを加えて撹
拌し、100℃で60分間保持した後、150℃まで加
熱して金属複合石けんの生成反応を終了させた。
【0153】その後、アミン系酸化防止剤10g及びス
ルフォネート系防錆剤10gを加え、ミル処理及び脱泡
処理を行いグリース組成物を得た。 〔比較例C2〕前述の比較例A2と同様のものである。 〔比較例C3〜C5〕3種の市販品のグリース組成物を
用意した。比較例C3のグリース組成物は、増ちょう剤
がリチウム複合石けんで、基油がジアルキルジフェニル
エーテルである。また、比較例C4のグリース組成物
は、増ちょう剤がリチウム複合石けんで、基油がペンタ
エリスリトールのテトラエステルである。さらに、比較
例C5のグリース組成物は、増ちょう剤が高塩基性のカ
ルシウムスルフォネートコンプレックスで、基油が鉱油
である。
【0154】これら13種のグリース組成物(実施例C
1〜C8及び比較例C1〜C5)について、混和ちょう
度,滴点,油分離率,及び水洗耐水度を測定した(JI
SK2220による)。また、これらのグリース組成物
の耐荷重性,潤滑寿命,及び防錆性を併せて評価した。
これらの評価方法は、「A.第二増ちょう剤成分として
ポリウレアを用いたグリース組成物について」の項で前
述したものとまったく同様であるので、説明は省略す
る。評価結果を表5及び表6にまとめて示す。
【0155】
【表5】
【0156】
【表6】
【0157】表5及び表6から分かるように、実施例C
1〜C8のグリース組成物は、増ちょう剤としてカルシ
ウムスルフォネートコンプレックス及びリチウム複合石
けんを含有しているので、いずれか一方のみしか含有し
ていない比較例C1〜C5のグリース組成物と比較し
て、高温での潤滑寿命が優れており、高温下においても
長寿命であった。
【0158】また、実施例C1〜C8のグリース組成物
を備えた転がり軸受は、錆が全く生じておらず防錆性が
優れていた。これに対して、比較例C1,C3,及びC
4のグリース組成物を備えた転がり軸受、すなわち、増
ちょう剤としてカルシウムスルフォネートコンプレック
スを含有していないグリース組成物を備えた転がり軸受
は、防錆性が不十分であった。D.第二増ちょう剤成分
としてN−置換テレフタルアミド酸金属塩を用いたグリ
ース組成物について 〔実施例D1〕まず、以下のようにして、基油中でカル
シウムスルフォネートコンプレックスを合成した。
【0159】40℃における動粘度が97.7mm2
sの鉱油396gに、塩基価300mgKOH/gの高
塩基性カルシウムスルフォネート50gを添加し、50
℃にて十分に撹拌した。そこに、ホウ酸1g,酢酸4
g,ベヘン酸2g,ステアリン酸2g,水0.5g,及
び水酸化カルシウム35gを加え、80〜95℃に加熱
して水を揮発させて除去した。さらに、この混合物に二
酸化炭素を導入して炭酸カルシウムを生成させた。そし
て、この混合物を赤外分光分析機で分析し、882〜8
86cm-1のピークから炭酸カルシウムの安定化(カル
サイト化)が確認されたところで、二酸化炭素の導入を
終了した。
【0160】次に、以下のようにして、基油中でN−オ
クタデシルテレフタルアミド酸金属塩を合成した。上記
の操作によって得られた混合物を60℃に冷却し、N−
オクタデシルテレフタルアミド酸のメチルエステル8
5.7gと鉱油250gとを加え、130℃に加熱して
溶解した。その後、100℃以下に冷却し、50%水酸
化ナトリウム水溶液18.6gを加えた。そして、十分
撹拌しながら徐々に加熱し、けん化を行った。けん化終
了後、150℃においてさらに鉱油145gを加え、2
00℃まで加熱した。
【0161】その後、アミン系酸化防止剤10g及びス
ルフォネート系防錆剤10gを加え、ミル処理及び脱泡
処理を行いグリース組成物を得た。生成した増ちょう剤
であるカルシウムスルフォネートコンプレックスとN−
オクタデシルテレフタルアミド酸ナトリウムとの質量比
は、50:50であった。 〔実施例D2〕まず、以下のようにして、基油中でカル
シウムスルフォネートコンプレックスを合成した。
【0162】40℃における動粘度が97.7mm2
sの鉱油396gに、塩基価300mgKOH/gの高
塩基性カルシウムスルフォネート50gを添加し、50
℃にて十分に撹拌した。そこに、ホウ酸1g,酢酸4
g,ベヘン酸2g,ステアリン酸2g,水0.5g,及
び水酸化カルシウム35gを加え、80〜95℃に加熱
して水を揮発させて除去した。さらに、この混合物に二
酸化炭素を導入して炭酸カルシウムを生成させた。そし
て、この混合物を赤外分光分析機で分析し、882〜8
86cm-1のピークから炭酸カルシウムの安定化(カル
サイト化)が確認されたところで、二酸化炭素の導入を
終了した。
【0163】次に、以下のようにして、基油中でN−オ
クタデシルテレフタルアミド酸金属塩を合成した。上記
の操作によって得られた混合物を60℃に冷却し、N−
オクタデシルテレフタルアミド酸のメチルエステル5
7.8gと鉱油300gとを加え、130℃に加熱して
溶解した。その後、100℃以下に冷却し、30%水酸
化バリウム水溶液42gを加えた。そして、十分撹拌し
ながら徐々に加熱し、けん化を行った。けん化終了後、
150℃においてさらに鉱油102.8gを加え、20
0℃まで加熱した。
【0164】その後、アミン系酸化防止剤10g及びス
ルフォネート系防錆剤10gを加え、ミル処理及び脱泡
処理を行いグリース組成物を得た。生成した増ちょう剤
であるカルシウムスルフォネートコンプレックスとN−
オクタデシルテレフタルアミド酸バリウムとの質量比
は、50:50であった。 〔実施例D3〕まず、以下のようにして、基油中でカル
シウムスルフォネートコンプレックスを合成した。
【0165】40℃における動粘度が97.7mm2
sの鉱油362gに、塩基価300mgKOH/gの高
塩基性カルシウムスルフォネート68.1gを添加し、
50℃にて十分に撹拌した。そこに、ホウ酸1.4g,
酢酸5.4g,ベヘン酸2.7g,ステアリン酸2.7
g,水0.5g,及び水酸化カルシウム47.7gを加
え、80〜95℃に加熱して水を揮発させて除去した。
さらに、この混合物に二酸化炭素を導入して炭酸カルシ
ウムを生成させた。そして、この混合物を赤外分光分析
機で分析し、882〜886cm-1のピークから炭酸カ
ルシウムの安定化(カルサイト化)が確認されたところ
で、二酸化炭素の導入を終了した。
【0166】次に、以下のようにして、基油中でN−オ
クタデシルテレフタルアミド酸金属塩を合成した。上記
の操作によって得られた混合物を60℃に冷却し、N−
オクタデシルテレフタルアミド酸のメチルエステル11
5.5gと鉱油250gとを加え、130℃に加熱して
溶解した。その後、100℃以下に冷却し、50%水酸
化ナトリウム水溶液25.0gを加えた。そして、十分
撹拌しながら徐々に加熱し、けん化を行った。けん化終
了後、150℃においてさらに鉱油62gを加え、20
0℃まで加熱した。
【0167】その後、アミン系酸化防止剤10g及びス
ルフォネート系防錆剤10gを加え、ミル処理及び脱泡
処理を行いグリース組成物を得た。生成した増ちょう剤
であるカルシウムスルフォネートコンプレックスとN−
オクタデシルテレフタルアミド酸ナトリウムとの質量比
は、50:50であった。 〔実施例D4〕まず、以下のようにして、基油中でカル
シウムスルフォネートコンプレックスを合成した。
【0168】40℃における動粘度が97.7mm2
sの鉱油435gに、塩基価300mgKOH/gの高
塩基性カルシウムスルフォネート29.4gを添加し、
50℃にて十分に撹拌した。そこに、ホウ酸0.6g,
酢酸2.3g,ベヘン酸1.1g,ステアリン酸1.1
g,水0.5g,及び水酸化カルシウム20.5gを加
え、80〜95℃に加熱して水を揮発させて除去した。
さらに、この混合物に二酸化炭素を導入して炭酸カルシ
ウムを生成させた。そして、この混合物を赤外分光分析
機で分析し、882〜886cm-1のピークから炭酸カ
ルシウムの安定化(カルサイト化)が確認されたところ
で、二酸化炭素の導入を終了した。
【0169】次に、以下のようにして、基油中でN−オ
クタデシルテレフタルアミド酸金属塩を合成した。上記
の操作によって得られた混合物を60℃に冷却し、N−
オクタデシルテレフタルアミド酸のメチルエステル3
6.4gと鉱油300gとを加え、130℃に加熱して
溶解した。その後、100℃以下に冷却し、30%水酸
化バリウム水溶液26.4gを加えた。そして、十分撹
拌しながら徐々に加熱し、けん化を行った。けん化終了
後、150℃においてさらに鉱油135.1gを加え、
200℃まで加熱した。
【0170】その後、アミン系酸化防止剤10g及びス
ルフォネート系防錆剤10gを加え、ミル処理及び脱泡
処理を行いグリース組成物を得た。生成した増ちょう剤
であるカルシウムスルフォネートコンプレックスとN−
オクタデシルテレフタルアミド酸バリウムとの質量比
は、50:50であった。 〔実施例D5〕まず、以下のようにして、基油中でカル
シウムスルフォネートコンプレックスを合成した。
【0171】40℃における動粘度が97.7mm2
sの鉱油379.7gに、塩基価300mgKOH/g
の高塩基性カルシウムスルフォネート58.7gを添加
し、50℃にて十分に撹拌した。そこに、ホウ酸1.2
g,酢酸4.7g,ベヘン酸2.3g,ステアリン酸
2.3g,水0.5g,及び水酸化カルシウム41.1
gを加え、80〜95℃に加熱して水を揮発させて除去
した。さらに、この混合物に二酸化炭素を導入して炭酸
カルシウムを生成させた。そして、この混合物を赤外分
光分析機で分析し、882〜886cm-1のピークから
炭酸カルシウムの安定化(カルサイト化)が確認された
ところで二酸化炭素の導入を終了した。
【0172】次に、以下のようにして、基油中でN−オ
クタデシルテレフタルアミド酸金属塩を合成した。上記
の操作によって得られた混合物を60℃に冷却し、N−
オクタデシルテレフタルアミド酸のメチルエステル3
3.1gと鉱油250gとを加え、130℃に加熱して
溶解した。その後、100℃以下に冷却し、50%水酸
化ナトリウム水溶液7.2gを加えた。そして、十分撹
拌しながら徐々に加熱し、けん化を行った。けん化終了
後、150℃においてさらに鉱油203.3gを加え、
200℃まで加熱した。
【0173】その後、アミン系酸化防止剤10g及びス
ルフォネート系防錆剤10gを加え、ミル処理及び脱泡
処理を行いグリース組成物を得た。生成した増ちょう剤
であるカルシウムスルフォネートコンプレックスとN−
オクタデシルテレフタルアミド酸ナトリウムとの質量比
は、75:25であった。 〔実施例D6〕まず、以下のようにして、基油中でカル
シウムスルフォネートコンプレックスを合成した。
【0174】40℃における動粘度が97.7mm2
sの鉱油421.9gに、塩基価300mgKOH/g
の高塩基性カルシウムスルフォネート36.4gを添加
し、50℃にて十分に撹拌した。そこに、ホウ酸0.7
g,酢酸2.9g,ベヘン酸1.4g,ステアリン酸
1.4g,水0.5g,及び水酸化カルシウム25.3
gを加え、80〜95℃に加熱して水を揮発させて除去
した。さらに、この混合物に二酸化炭素を導入して炭酸
カルシウムを生成させた。そして、この混合物を赤外分
光分析機で分析し、882〜886cm-1のピークから
炭酸カルシウムの安定化(カルサイト化)が確認された
ところで二酸化炭素の導入を終了した。
【0175】次に、以下のようにして、基油中でN−オ
クタデシルテレフタルアミド酸金属塩を合成した。上記
の操作によって得られた混合物を60℃に冷却し、N−
オクタデシルテレフタルアミド酸のメチルエステル18
3.9gと鉱油250gとを加え、130℃に加熱して
溶解した。その後、100℃以下に冷却し、50%水酸
化ナトリウム水溶液40.0gを加えた。そして、十分
撹拌しながら徐々に加熱し、けん化を行った。けん化終
了後、150℃においてさらに鉱油36.1gを加え、
200℃まで加熱した。
【0176】その後、アミン系酸化防止剤10g及びス
ルフォネート系防錆剤10gを加え、ミル処理及び脱泡
処理を行いグリース組成物を得た。生成した増ちょう剤
であるカルシウムスルフォネートコンプレックスとN−
オクタデシルテレフタルアミド酸ナトリウムとの質量比
は、25:75であった。 〔実施例D7〕まず、以下のようにして、基油中でカル
シウムスルフォネートコンプレックスを合成した。
【0177】40℃における動粘度が67.5mm2
sのポリα−オレフィン油389gに、塩基価400m
gKOH/gの高塩基性カルシウムスルフォネート5
3.8gを添加し、50℃にて十分に撹拌した。そこ
に、ホウ酸1.1g,酢酸4.3g,ベヘン酸2.1
g,ステアリン酸2.1g,水0.5g,及び水酸化カ
ルシウム37.6gを加え、80〜95℃に加熱して水
を揮発させて除去した。さらに、この混合物に二酸化炭
素を導入して炭酸カルシウムを生成させた。そして、こ
の混合物を赤外分光分析機で分析し、882〜886c
-1のピークから炭酸カルシウムの安定化(カルサイト
化)が確認されたところで、二酸化炭素の導入を終了し
た。
【0178】次に、以下のようにして、基油中でN−オ
クタデシルテレフタルアミド酸金属塩を合成した。上記
の操作によって得られた混合物を60℃に冷却し、N−
オクタデシルテレフタルアミド酸のメチルエステル9
2.0gとポリα−オレフィン油250gとを加え、1
30℃に加熱して溶解した。その後、100℃以下に冷
却し、50%水酸化ナトリウム水溶液20.0gを加え
た。そして、十分撹拌しながら徐々に加熱し、けん化を
行った。けん化終了後、150℃においてさらにポリα
−オレフィン油138gを加え、200℃まで加熱し
た。
【0179】その後、アミン系酸化防止剤10g及びス
ルフォネート系防錆剤10gを加え、ミル処理及び脱泡
処理を行いグリース組成物を得た。生成した増ちょう剤
であるカルシウムスルフォネートコンプレックスとN−
オクタデシルテレフタルアミド酸ナトリウムとの質量比
は、50:50であった。 〔実施例D8〕まず、以下のようにして、基油中でカル
シウムスルフォネートコンプレックスを合成した。
【0180】40℃における動粘度が73.2mm2
sのペンタエリスリトールテトラエステル392.5g
に、塩基価400mgKOH/gの高塩基性カルシウム
スルフォネート51.9gを添加し、50℃にて十分に
撹拌した。そこに、ホウ酸1.0g,酢酸4.1g,ベ
ヘン酸2.1g,ステアリン酸2.1g,水0.5g,
及び水酸化カルシウム36.3gを加え、80〜95℃
に加熱して水を揮発させて除去した。さらに、この混合
物に二酸化炭素を導入して炭酸カルシウムを生成させ
た。そして、この混合物を赤外分光分析機で分析し、8
82〜886cm -1のピークから炭酸カルシウムの安定
化(カルサイト化)が確認されたところで、二酸化炭素
の導入を終了した。
【0181】次に、以下のようにして、基油中でN−オ
クタデシルテレフタルアミド酸金属塩を合成した。上記
の操作によって得られた混合物を60℃に冷却し、N−
オクタデシルテレフタルアミド酸のメチルエステル8
8.9gとペンタエリスリトールテトラエステル250
gとを加え、130℃に加熱して溶解した。その後、1
00℃以下に冷却し、50%水酸化ナトリウム水溶液1
9.2gを加えた。そして、十分撹拌しながら徐々に加
熱し、けん化を行った。けん化終了後、150℃におい
てさらにペンタエリスリトールテトラエステル141.
5gを加え、200℃まで加熱した。
【0182】その後、アミン系酸化防止剤10g及びス
ルフォネート系防錆剤10gを加え、ミル処理及び脱泡
処理を行いグリース組成物を得た。生成した増ちょう剤
であるカルシウムスルフォネートコンプレックスとN−
オクタデシルテレフタルアミド酸ナトリウムとの質量比
は、50:50であった。 〔実施例D9〕まず、以下のようにして、基油中でカル
シウムスルフォネートコンプレックスを合成した。
【0183】40℃における動粘度が97.1mm2
sのジアルキルジフェニルエーテル385.7gに、塩
基価400mgKOH/gの高塩基性カルシウムスルフ
ォネート55.4gを添加し、50℃にて十分に撹拌し
た。そこに、ホウ酸1.1g,酢酸4.5g,ベヘン酸
2.2g,ステアリン酸2.2g,水0.5g,及び水
酸化カルシウム35gを加え、80〜95℃に加熱して
水を揮発させて除去した。さらに、この混合物に二酸化
炭素を導入して炭酸カルシウムを生成させた。そして、
この混合物を赤外分光分析機で分析し、882〜886
cm-1のピークから炭酸カルシウムの安定化(カルサイ
ト化)が確認されたところで、二酸化炭素の導入を終了
した。
【0184】次に、以下のようにして、基油中でN−オ
クタデシルテレフタルアミド酸金属塩を合成した。上記
の操作によって得られた混合物を60℃に冷却し、N−
オクタデシルテレフタルアミド酸のメチルエステル23
gとジアルキルジフェニルエーテル300gとを加え、
130℃に加熱して溶解した。その後、100℃以下に
冷却し、30%水酸化バリウム水溶液16.7gを加え
た。そして、十分撹拌しながら徐々に加熱し、けん化を
行った。けん化終了後、150℃においてさらにジアル
キルジフェニルエーテル155.3gを加え、200℃
まで加熱した。
【0185】その後、アミン系酸化防止剤10g及びス
ルフォネート系防錆剤10gを加え、ミル処理及び脱泡
処理を行いグリース組成物を得た。生成した増ちょう剤
であるカルシウムスルフォネートコンプレックスとN−
オクタデシルテレフタルアミド酸バリウムとの質量比
は、75:25であった。 〔実施例D10〕まず、以下のようにして、基油中でカ
ルシウムスルフォネートコンプレックスを合成した。
【0186】40℃における動粘度が67.5mm2
sのポリα−オレフィン油382.7gに、塩基価40
0mgKOH/gの高塩基性カルシウムスルフォネート
57.1gを添加し、50℃にて十分に撹拌した。そこ
に、ホウ酸1.2g,酢酸4.6g,ベヘン酸2.2
g,ステアリン酸2.2g,水0.5g,及び水酸化カ
ルシウム40gを加え、80〜95℃に加熱して水を揮
発させて除去した。さらに、この混合物に二酸化炭素を
導入して炭酸カルシウムを生成させた。そして、この混
合物を赤外分光分析機で分析し、882〜886cm-1
のピークから炭酸カルシウムの安定化(カルサイト化)
が確認されたところで二酸化炭素の導入を終了した。
【0187】次に、以下のようにして、基油中でN−オ
クタデシルテレフタルアミド酸金属塩を合成した。上記
の操作によって得られた混合物を60℃に冷却し、N−
オクタデシルテレフタルアミド酸のメチルエステル3
2.2gと40℃における動粘度が73.2mm2 /s
のペンタエリスリトールテトラエステル250gとを加
え、130℃に加熱して溶解した。その後、100℃以
下に冷却し、50%水酸化ナトリウム水溶液7.0gを
加えた。そして、十分撹拌しながら徐々に加熱し、けん
化を行った。けん化終了後、150℃においてさらにペ
ンタエリスリトールテトラエステル204.3gを加
え、200℃まで加熱した。
【0188】その後、アミン系酸化防止剤10g及びス
ルフォネート系防錆剤10gを加え、ミル処理及び脱泡
処理を行いグリース組成物を得た。生成した増ちょう剤
であるカルシウムスルフォネートコンプレックスとN−
オクタデシルテレフタルアミド酸ナトリウムとの質量比
は、75:25であった。 〔実施例D11〕まず、以下のようにして、基油中でカ
ルシウムスルフォネートコンプレックスを合成した。
【0189】40℃における動粘度が73.2mm2
sのペンタエリスリトールテトラエステル376.7g
に、塩基価400mgKOH/gの高塩基性カルシウム
スルフォネート60.3gを添加し、50℃にて十分に
撹拌した。そこに、ホウ酸1.2g,酢酸4.8g,ベ
ヘン酸2.4g,ステアリン酸2.4g,水0.5g,
及び水酸化カルシウム42.2gを加え、80〜95℃
に加熱して水を揮発させて除去した。さらに、この混合
物に二酸化炭素を導入して炭酸カルシウムを生成させ
た。そして、この混合物を赤外分光分析機で分析し、8
82〜886cm -1のピークから炭酸カルシウムの安定
化(カルサイト化)が確認されたところで二酸化炭素の
導入を終了した。
【0190】次に、以下のようにして、基油中でN−オ
クタデシルテレフタルアミド酸金属塩を合成した。上記
の操作によって得られた混合物を60℃に冷却し、N−
オクタデシルテレフタルアミド酸のメチルエステル34
gと40℃における動粘度が97.1mm 2 /sのジア
ルキルジフェニルエーテル250gとを加え、130℃
に加熱して溶解した。その後、100℃以下に冷却し、
50%水酸化ナトリウム水溶液7.4gを加えた。そし
て、十分撹拌しながら徐々に加熱し、けん化を行った。
けん化終了後、150℃においてさらにジアルキルジフ
ェニルエーテル202.3gを加え、200℃まで加熱
した。
【0191】その後、アミン系酸化防止剤10g及びス
ルフォネート系防錆剤10gを加え、ミル処理及び脱泡
処理を行いグリース組成物を得た。生成した増ちょう剤
であるカルシウムスルフォネートコンプレックスとN−
オクタデシルテレフタルアミド酸ナトリウムとの質量比
は、75:25であった。 〔実施例D12〕まず、以下のようにして、基油中でカ
ルシウムスルフォネートコンプレックスを合成した。
【0192】40℃における動粘度が67.5mm2
sのポリα−オレフィン油422.8gに、塩基価40
0mgKOH/gの高塩基性カルシウムスルフォネート
36.4gを添加し、50℃にて十分に撹拌した。そこ
に、ホウ酸0.7g,酢酸2.9g,ベヘン酸1.4
g,ステアリン酸1.4g,水0.5g,及び水酸化カ
ルシウム24.9gを加え、80〜95℃に加熱して水
を揮発させて除去した。さらに、この混合物に二酸化炭
素を導入して炭酸カルシウムを生成させた。そして、こ
の混合物を赤外分光分析機で分析し、882〜886c
-1のピークから炭酸カルシウムの安定化(カルサイト
化)が確認されたところで二酸化炭素の導入を終了し
た。
【0193】次に、以下のようにして、基油中でN−オ
クタデシルテレフタルアミド酸金属塩を合成した。上記
の操作によって得られた混合物を60℃に冷却し、N−
オクタデシルテレフタルアミド酸のメチルエステル18
1.2gと40℃における動粘度が97.1mm2 /s
のジアルキルジフェニルエーテル250gとを加え、1
30℃に加熱して溶解した。その後、100℃以下に冷
却し、50%水酸化ナトリウム水溶液39.4gを加え
た。そして、十分撹拌しながら徐々に加熱し、けん化を
行った。けん化終了後、150℃においてさらにジアル
キルジフェニルエーテル39.1gを加え、200℃ま
で加熱した。
【0194】その後、アミン系酸化防止剤10g及びス
ルフォネート系防錆剤10gを加え、ミル処理及び脱泡
処理を行いグリース組成物を得た。生成した増ちょう剤
であるカルシウムスルフォネートコンプレックスとN−
オクタデシルテレフタルアミド酸ナトリウムとの質量比
は、25:75であった。 〔比較例D1〕40℃における動粘度が97.7mm2
/sの鉱油500gに、N−オクタデシルテレフタルア
ミド酸のメチルエステル83.0gを添加し、130℃
に加熱して溶解した。その後、100℃以下に冷却し、
50%水酸化ナトリウム水溶液18.0gを加えた。そ
して、十分撹拌しながら徐々に加熱し、けん化を行っ
た。けん化終了後、150℃においてさらに鉱油388
gを加え、200℃まで加熱した。その後、アミン系酸
化防止剤10g及びスルフォネート系防錆剤10gを加
え、ミル処理及び脱泡処理を行いグリース組成物を得
た。
【0195】〔比較例D2〕40℃における動粘度が6
7.5mm2 /sのポリα−オレフィン油500gに、
N−オクタデシルテレフタルアミド酸のメチルエステル
83.9gを添加し、130℃に加熱して溶解した。そ
の後、100℃以下に冷却し、50%水酸化ナトリウム
水溶液18.2gを加えた。そして、十分撹拌しながら
徐々に加熱し、けん化を行った。けん化終了後、150
℃においてさらにポリα−オレフィン油387gを加
え、200℃まで加熱した。その後、アミン系酸化防止
剤10g及びスルフォネート系防錆剤10gを加え、ミ
ル処理及び脱泡処理を行いグリース組成物を得た。
【0196】〔比較例D3〕40℃における動粘度が9
7.5mm2 /sのジアルキルジフェニルエーテル68
1gに、塩基価300mgKOH/gの高塩基性カルシ
ウムスルフォネート159gを添加し、50℃にて十分
に撹拌した。そこに、ホウ酸3.2g,酢酸12.7
g,ベヘン酸6.4g,ステアリン酸6.4g,水1
g,及び水酸化カルシウム111.3gを加え、80〜
95℃に加熱して水を揮発させて除去した。
【0197】この混合物に二酸化炭素を導入して炭酸カ
ルシウムを生成させ、混合物を赤外分光分析機で分析
し、882〜886cm-1のピークから炭酸カルシウム
の安定化(カルサイト化)が確認されたところで、二酸
化炭素の導入を終了した。その後、アミン系酸化防止剤
10g及びスルフォネート系防錆剤10gを加え、ミル
処理及び脱泡処理を行いグリース組成物を得た。
【0198】〔比較例D4〕40℃における動粘度が7
3.2mm2 /sのペンタエリスリトールテトラエステ
ル678gに、塩基価400mgKOH/gの高塩基性
カルシウムスルフォネート160.6gを添加し、50
℃にて十分に撹拌した。そこに、ホウ酸3.2g,酢酸
12.8g,ベヘン酸6.5g,ステアリン酸6.5
g,水1g,及び水酸化カルシウム112.4gを加
え、80〜95℃に加熱して水を揮発させて除去した。
【0199】この混合物に二酸化炭素を導入して炭酸カ
ルシウムを生成させ、混合物を赤外分光分析機で分析
し、882〜886cm-1のピークから炭酸カルシウム
の安定化(カルサイト化)が確認されたところで、二酸
化炭素の導入を終了した。その後、アミン系酸化防止剤
10g及びスルフォネート系防錆剤10gを加え、ミル
処理及び脱泡処理を行いグリース組成物を得た。
【0200】〔比較例D5及びD6〕2種の市販品のグ
リース組成物を用意した。すなわち、比較例D5のグリ
ース組成物は、増ちょう剤がN−オクタデシルテレフタ
ルアミド酸ナトリウムで、基油がペンタエリスリトール
テトラエステルである。また、比較例D6のグリース組
成物は、増ちょう剤がカルシウムスルフォネートコンプ
レックスで、基油が鉱油である。
【0201】これら18種のグリース組成物(実施例D
1〜D12及び比較例D1〜D6)の構成を、表7〜9
にまとめて示す。なお、表7〜9に記載された基油及び
増ちょう剤の含有量は、基油と増ちょう剤の合計量を1
00とした場合の値であって、添加剤については考慮さ
れていない。また、増ちょう剤の種類及び基油の種類の
欄に記載された数値は、増ちょう剤全体及び基油全体に
おける各成分の量比(質量%)を示している。
【0202】
【表7】
【0203】
【表8】
【0204】
【表9】
【0205】これら18種のグリース組成物について、
混和ちょう度,耐荷重性,防錆性,耐水性,及び潤滑寿
命を評価した。耐水性試験には、ASTM D1831
に規定されたロール安定度試験機を用いた。すなわち、
グリース組成物50gと水15gとをロールとともにシ
リンダに装入し、このシリンダを回転数165rpm、
温度80℃で24時間回転させて、ロールによりグリー
ス組成物にせん断を加えた。そして、せん断を加える前
後のちょう度の変化率(ちょう度変化率=([せん断後
のちょう度]−[せん断前のちょう度])/[せん断前
のちょう度]×100)で耐水性を評価した。
【0206】なお、混和ちょう度,耐荷重性,防錆性,
及び潤滑寿命の評価方法は、「A.第二増ちょう剤成分
としてポリウレアを用いたグリース組成物について」の
項で前述したものとまったく同様であるので、説明は省
略する。評価結果を表7〜9に併せて示す。実施例D1
〜D12のグリース組成物は、増ちょう剤としてカルシ
ウムスルフォネートコンプレックス及びN−オクタデシ
ルテレフタルアミド酸金属塩を含有しているので、高温
での耐焼付き性,高温での潤滑寿命,及び耐水性が全て
優れていた。
【0207】それに対して、比較例D1〜D6は、増ち
ょう剤としてカルシウムスルフォネートコンプレックス
及びN−オクタデシルテレフタルアミド酸金属塩のいず
れか一方のみしか含有していないため、高温での耐焼付
き性,高温での潤滑寿命,及び耐水性のいずれかが不十
分であった。また、実施例D1〜D12のグリース組成
物を備えた転がり軸受は、錆が全く生じておらず防錆性
が優れていた。これに対して、比較例D1,D2,及び
D5のグリース組成物を備えた転がり軸受、すなわち、
増ちょう剤としてカルシウムスルフォネートコンプレッ
クスを含有していないグリース組成物を備えた転がり軸
受は、防錆性が不十分であった。
【0208】なお、本実施形態は本発明の一例を示した
ものであって、本発明は本実施形態に限定されるもので
はない。例えば、本実施形態においては、転動装置の例
として深みぞ玉軸受をあげて説明したが、本発明は、他
の種類の様々な転がり軸受に対して適用することができ
る。例えば、アンギュラ玉軸受,自動調心玉軸受,円筒
ころ軸受,円すいころ軸受,針状ころ軸受,自動調心こ
ろ軸受等のラジアル形の転がり軸受や、スラスト玉軸
受,スラストころ軸受等のスラスト形の転がり軸受であ
る。
【0209】また、本発明は、転がり軸受に限らず、他
の種類の様々な転動装置に対して適用することができ
る。例えば、ボールねじ,リニアガイド装置,直動ベア
リング等である。
【0210】
【発明の効果】以上のように、本発明に係る請求項1〜
9のグリース組成物は、耐熱性,耐荷重性,及び耐水性
に優れており、高温下においても長寿命である。また、
本発明に係る請求項10〜12のグリース組成物は、耐
熱性,耐荷重性,耐水性,及び寿命に優れていることに
加えて、優れた生分解性を有している。よって、自然環
境に放出されたとしても、自然環境に悪影響を及ぼしに
くい。さらに、本発明に係る請求項13の転動装置は、
長寿命であり、また、自然環境に悪影響を及ぼしにく
い。
【図面の簡単な説明】
【図1】グリース組成物の潤滑寿命を評価する軸受寿命
試験機の構成を示す断面図である。
【図2】本発明に係る転動装置の一実施形態である転が
り軸受の構成を示す部分縦断面図である。
【図3】増ちょう剤におけるカルシウムスルフォネート
コンプレックスの比率と、グリース組成物の潤滑寿命及
び滴点と、の相関を示すグラフである。
【図4】グリース組成物全体における増ちょう剤の含有
量と、混和ちょう度及び水洗耐水度と、の相関を示すグ
ラフである。
【図5】基油におけるネオペンチル型ポリオールエステ
ル油の比率とグリース組成物の生分解度との相関を示す
グラフである。
【符号の説明】
1 内輪 2 外輪 3 玉 G グリース組成物
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C10M 117/04 C10M 117/04 117/08 117/08 F16C 33/66 F16C 33/66 Z // C10N 10:02 C10N 10:02 10:04 10:04 10:06 10:06 20:00 20:00 Z 30:00 30:00 C Z 30:06 30:06 30:08 30:08 40:02 40:02 40:04 40:04 50:10 50:10 (72)発明者 外尾 道太 神奈川県藤沢市鵠沼神明一丁目5番50号 日本精工株式会社内 Fターム(参考) 3J101 AA03 AA32 AA42 AA62 CA40 EA63 FA32 GA01 GA34 GA51 4H104 AA13B BB17B BB19B BB34A BE11B BE13B BG06B EA01Z EA21Z FA01 FA02 FA03 LA03 LA04 LA13 LA20 PA01 PA02 QA18

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基油と増ちょう剤とを含有するグリース
    組成物において、前記増ちょう剤をカルシウムスルフォ
    ネートコンプレックスと第二増ちょう剤成分とで構成し
    たことを特徴とするグリース組成物。
  2. 【請求項2】 前記カルシウムスルフォネートコンプレ
    ックスは、カルシウムスルフォネート及び炭酸カルシウ
    ムを必須成分とし、これらにカルシウムジベヘネート,
    カルシウムジステアレート,カルシウムジヒドロキシス
    テアレート,ホウ酸カルシウム,及び酢酸カルシウムの
    うち2種以上を配合したものであることを特徴とする請
    求項1に記載のグリース組成物。
  3. 【請求項3】 前記第二増ちょう剤成分をポリウレアと
    したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のグ
    リース組成物。
  4. 【請求項4】 前記第二増ちょう剤成分を金属石けんと
    したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のグ
    リース組成物。
  5. 【請求項5】 前記第二増ちょう剤成分を金属複合石け
    んとしたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載
    のグリース組成物。
  6. 【請求項6】 前記第二増ちょう剤成分をN−置換テレ
    フタルアミド酸金属塩としたことを特徴とする請求項1
    又は請求項2に記載のグリース組成物。
  7. 【請求項7】 前記増ちょう剤を、カルシウムスルフォ
    ネートコンプレックス5〜95質量%と、前記第二増ち
    ょう剤成分95〜5質量%と、で構成したことを特徴と
    する請求項1〜6のいずれかに記載のグリース組成物。
  8. 【請求項8】 前記増ちょう剤の含有量を組成物全体の
    3〜40質量%としたことを特徴とする請求項1〜7の
    いずれかに記載のグリース組成物。
  9. 【請求項9】 前記増ちょう剤の含有量を組成物全体の
    8〜25質量%とし、混和ちょう度を230〜290と
    したことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の
    グリース組成物。
  10. 【請求項10】 前記基油はネオペンチル型ポリオール
    エステル油を含有しており、その含有量は基油全体の8
    0質量%以上であることを特徴とする請求項1〜7のい
    ずれかに記載のグリース組成物。
  11. 【請求項11】 前記基油80〜97質量部と、前記増
    ちょう剤3〜20質量部と、を含有することを特徴とす
    る請求項10に記載のグリース組成物。
  12. 【請求項12】 欧州規格諮問委員会規格のL−33−
    T−82に規定された生分解度が80%以上であること
    を特徴とする請求項10又は請求項11のいずれかに記
    載のグリース組成物。
  13. 【請求項13】 外面に軌道面を有する内方部材と、該
    内方部材の軌道面に対向する軌道面を有し前記内方部材
    の外方に配置された外方部材と、前記両軌道面間に転動
    自在に配設された複数の転動体と、を備える転動装置に
    おいて、前記内方部材と前記外方部材との間に形成され
    前記転動体が配設された空隙部内に、請求項1〜12の
    いずれかに記載のグリース組成物を充填したことを特徴
    とする転動装置。
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