JP2003252616A - シリカ系複合酸化物粒子およびその製造方法 - Google Patents
シリカ系複合酸化物粒子およびその製造方法Info
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Abstract
の添加剤として極めて有用な、光学的に透明性が高く高
屈折率であり、単分散性の極めて高い球状のシリカ系複
合酸化物粒子を提供する。 【解決手段】 シリコンのアルコキシドを水で部分加水
分解する際に、特定量の水で部分加水分解した後にシリ
コン以外の金属のアルコキシドと混合することによって
原料を調製し、触媒を含む含水有機溶媒中で前記原料を
加水分解・縮合させて、シリカ以外の金属酸化物の含有
率が30〜50モル%であって、粒子径の変動係数が3
0%以下の球状のシリカ系複合酸化物粒子を得る。
Description
外の金属酸化物よりなる単分散性の高い球状のシリカ系
複合酸化物粒子に関する。さらに詳しくは、従来製造す
ることが不可能であった、シリカ以外の金属酸化物の含
有率が30〜50モル%の範囲にある新規のシリカ系複
合酸化物粒子に関する。
シリケートのような金属アルコキシドを原料とし、触媒
を含む含水有機溶媒中で前記金属アルコキシドを加水分
解・縮合させることによって単分散性の高い球状のシリ
カ粒子を製造することができる。また、原料に前記のシ
リコンのアルコキシドとシリコン以外の金属のアルコキ
シドを併用することによって、シリカ−チタニア、シリ
カ−アルミナ、シリカ−ジルコニア等のいわゆるシリカ
系複合酸化物粒子を製造することもできる(以下では、
上記のような製法をゾルゲル法と呼ぶ)。
酸化物粒子は、シリカを主成分にして各種の金属酸化物
を複合化することによってシリカのみでは得られない様
々な特徴ある性能を発揮することが可能である。例え
ば、シリカとシリカ以外の金属酸化物の配合比率を変え
ることにより、光学的な透明性を維持しながら粒子の屈
折率を自由に調節できるという、他では見られない優れ
た特徴を有している。
合酸化物粒子は、樹脂と複合化する際のフィラーとして
極めて有用である。例えば、特許文献1には、重合可能
なビニルモノマーに配合することによって、耐摩耗性や
表面滑沢性を向上させ、且つ審美性(透明性)を高めた
歯科用複合レジンが記載されている。また、特許文献2
および特許文献3には、エポキシ樹脂と複合化すること
によって熱膨張係数を抑えた透明な複合樹脂が記載され
ている。
いては、シリカ系複合酸化物粒子を配合する樹脂成分の
屈折率が実質的に1.57以下であったため、シリカ以
外の金属酸化物の含有率は20モル%以下で十分であっ
た。さらに従来の方法では、シリカ以外の金属酸化物の
含有率を20モル%を超えて合成しようとした場合に
は、粒子同志が凝集したり、または、合成中に新たな小
粒子が発生したりなどして、単分散性の良好な球状のシ
リカ系複合酸化物粒子を得ることが難しくなるという問
題があった。
酸化物を得ようとする場合はシリカ以外の金属酸化物の
構成比率を30モル%以下、さらには20モル%以下に
おさえるのが好ましく、特に0.01〜15モル%の範
囲のシリカ以外の金属酸化物の構成比率を選択するとき
は粒子径が揃った真球に近いものとなることが記載され
ている。また、上記のような公知文献の実施例の中に実
際に記載されているシリカ系複合酸化物粒子中のシリカ
以外の金属酸化物の含有率は、最大でも24モル%であ
った。
の金属酸化物の含有率が30モル%以上である、単分散
性の高いシリカ系複合酸化物粒子とその製造方法を提供
するものである。
を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果、原料と
なるシリコンとシリコン以外の金属のアルコキシドより
なる複合アルコキシドを調製する際に、シリコンのアル
コキシドを部分加水分解させるときの条件を極めて狭い
範囲で最適化することによって、シリカ以外の金属酸化
物の含有率が30モル%以上であっても、単分散性の高
いシリカ系複合酸化物粒子を合成できることを見いだ
し、本発明を完成するに至った。
の含有率が30〜50モル%であって、粒子径の変動係
数が30%以下の球状のシリカ系複合酸化物粒子及びそ
の製造方法である。
酸化物粒子に配合するシリカ以外の金属酸化物の種類は
特に制限はない。シリカ成分と結合し、単分散性の高い
球状粒子を形成できる金属酸化物が好適に採用できる。
を樹脂と複合化し、透明性を必要とするような複合材用
途に使用するためには、金属酸化物自身も透明性が高い
ものが好適である。例えば具体的には、リチウム、ナト
リウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロ
ンチウム、バリウム、アルミニウム、チタニウム、ジル
コニウム、ゲルマニウム、ハフニウム、錫または鉛など
の金属の酸化物が好適である。なお、単分散性の高い球
状のシリカ系複合酸化物粒子を得ようとした場合には、
上記の金属の酸化物の中でも、周期律表第4族金属の酸
化物がさらに好適である。また、さらに単分散性を高め
た球状のシリカ系複合酸化物粒子を得ようとした場合に
は、周期律表第4族金属の酸化物の中でも、チタニアお
よび/またはジルコニアが最も好適である。
合化させても良いし、複数の金属の酸化物をシリカと複
合化させても良い。例えば、シリカ以外の金属酸化物と
して、チタニアとジルコニアの両方を使用して、シリカ
−チタニア−ジルコニアの3元系のシリカ系複合酸化物
粒子にしても良い。上記の他に、シリカ−チタニア−酸
化ナトリウム、シリカ−ジルコニア−酸化ナトリウム、
シリカ−アルミナ−チタニアなどの3元系のシリカ系複
合酸化物粒子が挙げられる。さらにまた、Nd、Ce、
Er、Tb、Tmなどの希土類元素の酸化物などを少量
添加して光学的な活性を増加させれば、微小球レーザー
などへの応用も可能である。
カ以外の金属酸化物の含有率が30〜50モル%の範囲
である。なお、ここで言う金属酸化物の含有率とは、シ
リカを構成するシリコンのモル数をSi、金属酸化物を
構成する金属元素のモル数をMとすると、M/(Si+
M)×100で表わされる。なお、前述したような3元
系のシリカ系複合酸化物粒子の場合は、Mはシリカ以外
の金属酸化物の総モル数である。
の場合は、従来公知の方法でも単分散性の高い球状のシ
リカ系複合酸化物粒子を製造することが可能である。本
発明においては、製造方法を改良することによって、従
来製造することができなかった、金属酸化物の含有率が
30〜50モル%の範囲の単分散性の高い球状のシリカ
系複合酸化物粒子を製造することが可能となった。な
お、金属酸化物の含有率が50モル%を超えると、単分
散性が低下したり、凝集したりするため、製造が困難と
なる傾向にある。
径の変動係数が30%以下、好ましくは20%以下、さ
らに好ましくは10%以下の単分散性の優れた球状のシ
リカ系複合酸化物粒子である。粒子の形状が球状である
ことによって、例えば樹脂等に充填する際に、複合樹脂
の粘度を下げたり、樹脂中の粒子の充填率を上げること
などが可能である。また、粒子径の変動係数が30%以
下であることによって、透明性を損なうことなしに樹脂
などに高充填できるという効果がある。
型や透過型の電子顕微鏡等を用いることによって粒子形
状を確認することができる。また、該粒子の平均粒子径
や単分散性(粒子径の変動係数)は、前記電子顕微鏡像
を解析したり、精度の高い粒度分布計などで計測するこ
とができる。好適には、上記の電子顕微鏡像を市販の画
像解析装置を用いて解析することによって、平均粒子
径、粒子径の変動係数、円形度などを求めることができ
る。
平均粒子径は、0.05〜数十μmの範囲、好ましくは
0.05から数μmの範囲、さらに好ましくは0.05
〜1μmの範囲が好適である。平均粒子径が1μmを超
えて大きいものを製造しようとすると時間がかかり、さ
らに単分散性を維持するのが難しくなる場合がある。ま
た、粒子形状の指標である円形度は、0.6以上、好ま
しくは0.7以上、さらに好ましくは0.8以上が好適
である。
カとシリカ以外の金属酸化物の構成成分が、一般には化
学的に結合して存在するもので、これらの構成成分を物
理的に分離することはできない。両成分が化学的に結合
していることは、赤外スペクトルや屈折率(粒子の光学
的な透明性)を測定することで確認できる。
積は、特に限定されない。一般に、本粒子は500〜1
300℃の範囲の温度で焼成して使用されるが、高温で
焼成すると比表面積は小さくなり、低温で乾燥したもの
は比表面積が高くなる傾向にある。なお、1300℃を
超えた温度で焼成すると、粒子同志が焼結する場合があ
り、単分散性を損なってしまうことが懸念される。
が非晶質であるが、非晶質と一部結晶質との混合物にな
る場合もある。前述した焼成温度が低い場合は非晶質に
なり易く、より高温で焼成するとシリカ以外の金属酸化
物の一部が結晶質となる場合がある。一般的にこれらの
性質はX線回折等の手段で解析できる。なお、一般的
に、本粒子の光学的に透明な性質を利用しようとする場
合は、非晶質もしくは極一部のみが結晶質に転移した程
度が好ましく、そのためには前述した焼成温度を110
0℃以下、好ましくは1050℃以下、さらに好ましく
は1000℃以下とすることが好ましい。
粒子の密度や屈折率については、シリカ以外の金属酸化
物の種類や含有率、さらには粒子の焼成温度等によって
変わるため、一概には表示することができない。最も一
般的には、密度は1.5〜5g/cm3の範囲、屈折率
は1.4〜3の範囲である。なお例えば、透明性が高く
単分散性にも優れているシリカ−チタニア複合酸化物粒
子に関しては、チタニアの含有率が30〜50モル%の
範囲のものを1000℃で焼成した場合には、密度が
2.6〜3.0g/cm3の範囲、屈折率は1.65〜
1.85の範囲であった。
カ系複合酸化物粒子は、単分散性が高い球状の高屈折粒
子として、反射防止層や透明樹脂への添加剤などとして
極めて有用である。本発明のような単分散性の高い粒子
は、その粒子径を目的とする可視光の波長(約0.4〜
0.8μm)と一致させることによって、従来知られて
いなかったような光学的な特徴を発揮できる可能性があ
り、例えばチタニアを構成成分の一つとした粒子は、光
触媒としても有用であり、また高屈折粒子はホトニック
結晶などへの応用も期待できる。
の製造方法について説明するが、本発明のシリカ系複合
酸化物粒子を製造する方法は、以下の製造方法に限定さ
れる訳ではない。
料とし、触媒を含む含水有機溶媒中で前記金属アルコキ
シドを加水分解・縮合させることによって単分散性の高
い球状の粒子を製造することができる。
しては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソ
プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロ
ピレングリコールなどのアルコール類、アセトン、メチ
ルエチルケトンなどのケトン類、ジオキサン、テトラヒ
ドロフランなどのエーテル類、酢酸エチルなどのエステ
ル類、その他水と相溶性のある有機溶媒が単独または複
数混合して用いられる。これらの中でもメタノール、エ
タノール、イソプロパノールのような低級アルコール類
は金属アルコキシドや水との相溶性も高く、また粘度も
低いために、極めて好適に使用される。触媒を含む含水
有機溶液中の上記有機溶媒の割合は、およそ3〜95
%、好ましくは60〜90%の範囲が好適である。
めの触媒としては、N(CH3)3などのアミン、アン
モニア、LiOH、NaOH、KOH、N(CH3)4
OHなどの塩基が好適に使用できる。特に、アンモニア
やアミンの場合は、製造したシリカ系複合酸化物粒子を
焼成すれば粒子中に塩基が残留しないために、加水分解
用の触媒として極めて好適である。触媒の添加量は、用
いる触媒の種類や含水有機溶媒中の水と有機溶媒の種類
や配合比率によって異なるために一概には言えないが、
pHが10以上、好ましくは11以上になるように添加
するのが好ましい。触媒として最も好適なアンモニアの
場合は、NH3としての重量分率で2〜10%、好まし
くは3〜7%の範囲が好適である。
用いるアルコキシドの種類によって異なるため一概には
言えないが、3〜95%、好ましくは、5〜40%、さ
らに好ましくは5〜20%の範囲が好適である。
含む含水有機溶媒中で加水分解を受けて金属酸化物にな
るものであれば公知の化合物が何ら制限なく採用され
る。シリコンのアルコキシドの代表的なものを例示する
と、例えば、一般式Si(OR)4またはSiR′
n(OR)4−nで示されるシリコンのアルコキシド、
またはシリコンのアルコキシドを部分的に加水分解して
得られる低縮合物が工業的に入手し易く、その一種また
は2種以上の混合物が好ましく用いられる。なお、上記
シリコンのアルコキシドの一般式において、Rおよび
R′はアルキル基で、例えばメチル基、エチル基、イソ
プロピル基、ブチル基などの低級アルキル基が好適であ
る。nは1〜3の整数である。
としては、周期律表第1族、第2族、第3族、第4族、第1
3族および第14族の金属のアルコキシドが特に制限され
ず使用される。例えば、一般式M1(OR)、M2(OR)2、M3(O
R)3、M4(OR)4、M13(OR)3、M14(OR)4(但し、Rはアルキル
基、特に好ましくは、炭素数4以下のもの)で表示され
る金属アルコキシドが好ましい。ここで、M1は第1族の
金属、M2は第2族の金属、M3は第3族の金属、M4は第4族
の金属、M13は第13族の金属、M14は第14族の金属で、具
体的には、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシ
ウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、スカン
ジウム、イットリウム、チタニウム、ホウ素、ジルコニ
ウム、ハフニウム、アルミニウム、ゲルマニウム、錫ま
たは鉛が好適に使用される。本発明において一般に好適
に使用される上記化合物を更に具体的に例示すると、Na
OCH3、NaOC2H5、NaOC3H7等の有機ナトリウム化合物およ
び上記Naに代わって、Li、K等で代替した第1族化合物、
Mg(OCH3)2、Mg(OC2H5)2、Mg(OC3H7)2、Mg(OC4H9)2、Mg
(OC5H11)2等の有機マグネシウム化合物および上記Mgに
代わって、Ca、Sr、Ba等で代替した第2族化合物、Ti(Oi
soC3H7)4、Ti(OnC4H9)4等の化合物および上記Tiに代わ
ってZr、Hf、Ge、Sn、Pb等で代替した第4族または第14
族化合物、Al(OC2H5)3、Al(OC3H7)3、Al(OC4H9)3等の化
合物および上記Alに代わってB等で代替した第13族化合
物などが挙げられる。また、アルコキシド以外に上記金
属の酢酸塩、アセト酢酸塩等のカルボン酸塩、CaCl2、C
a(HOC6H4COO)2・H2O等の化合物も使用できる。
酸化物粒子を得ようとした場合には、上記の化合物の中
でも周期律表第4族の金属のアルコキシドが好適であ
り、さらにそれらの中でもチタニウムおよび/またはジ
ルコニウムのアルコキシドが最も好適に採用できる。
るためには金属アルコキシドとして、上述したシリコン
のアルコキシドと、シリコン以外の金属のアルコキシド
を1種または2種以上混合して用いるが、両者は予め混
合したものを原料として用いることが重要である。さら
に両者を混合する前に予めシリコンのアルコキシドの一
部又は全部を部分的に加水分解させる(以下では、部分
加水分解ともいう)ことが重要であり、さらにまた、部
分加水分解させるときに使用する水の量が非常に重要で
ある。
を水で部分加水分解した後にシリコン以外の金属のアル
コキシドと混合して原料を調製することによって、シリ
カ以外の金属酸化物の含有率が30モル%以上であって
も、粒子径の変動係数が30%以下で且つ球状のシリカ
系複合酸化物粒子を効率良く得ることができる。
部分加水分解に使用する水の量である。本発明の製造方
法においては、シリコンのアルコキシドを水で部分加水
分解する際にシリコンのアルコキシドを、下記式(1)
で示される、シリコン以外の金属アルコキシドに対する
水の当量Yを満足する量の水で部分加水分解することが
極めて重要である。
化物の含有率(モル%)。但し、30≦X≦50。
対する水の当量。
る際に、水の量が上記範囲よりも少ない場合や多い場合
には、触媒を含む含水有機溶媒中で前記原料を加水分解
・縮合させてシリカ系複合酸化物粒子を得る際に、反応
を制御することが難しくなり、微小粒子が発生したり、
融着粒子が多く生成したり、極端な場合は粒子合成中に
粒子同志が凝集してしまう場合がある。部分加水分解の
際の水の量は、シリコン以外の金属のアルコキシドに対
する水の当量Yが、−0.06X+3.7<Y<−0.
06X+4.3の範囲であることが好ましい。
ルコキシドの一部を加水分解することによって分子内に
シラノール基(SiOH)を生成させ、次に該シラノー
ル基とシリコン以外の金属のアルコキシドとを反応さ
せ、シリコンとシリコン以外の金属の複合アルコキシド
を生成させることにあると本発明者等は考えている。し
たがって、シリコン以外の金属のアルコキシド、シリコ
ンのアルコキシド及び水の3者のモル比を精密に管理す
る必要があるものと考えられる。
る際には、該アルコキシドと水の両方に対して相溶性の
あるアルコール等の有機溶媒を併用することが好まし
い。アルコール等の有機溶媒を使用しない場合は、シリ
コンのアルコキシドと水が相分離する傾向があり、部分
加水分解が進行しない、または非常に反応が遅くなる場
合がある。また、部分加水分解を迅速に進めるために、
前記の水には、触媒を添加することも好ましい。触媒と
しては酸が好適で、具体的には、塩酸、硫酸、硝酸、シ
ュウ酸などが挙げられるが、特に制限はない。酸の濃度
としては、水のpHが1〜4の範囲のものを使用するの
が良い。
たように、シリコンのアルコキシドを水で部分加水分解
した後にシリコン以外の金属のアルコキシドと混合する
ことによって原料を調製し、前記の触媒を含む含水有機
溶媒(以下、反応液ともいう)中で前記原料を加水分解
・縮合させてシリカ系複合酸化物粒子を得る。
い。液中滴下とは、上記原料を反応液中に滴下する際、
滴下口先端が反応液中に浸されていることを言う。滴下
口先端の位置は、液中にあれば特に限定されないが、攪
拌羽根の近傍などの充分に攪拌が行われる位置が望まし
い。液中滴下をせずに、例えば、反応液の上部から液上
滴下した場合には粒子が凝集しやすいため好ましくな
い。
ルカリ性水溶液を、触媒を含む含水有機溶媒中に同時滴
下しても良い。該アルカリ性水溶液としては、10〜3
0重量%のアンモニア水などが好適である。なお、上記
原料中のシリコンとシリコン以外の金属の総モル数に対
して、該アルカリ性水溶液中の水のモル数が1〜6倍モ
ル、好ましくは2〜5倍モルとなるような供給比でアル
カリ性水溶液を滴下することが好ましい。アルカリ性水
溶液の滴下は、特に液中滴下する必要はないが、攪拌羽
根近傍で液中滴下した方が、反応液中での攪拌が充分に
行われるので好ましい。上記のようにアルカリ性水溶液
を同時滴下することによって、固形分濃度を高くして粒
子を合成できるので、収率の高い合成が可能となる。
度も重要な因子である。滴下速度は、できる限り遅くし
た方が、単分散性は高くなる傾向にある。しかしなが
ら、滴下速度が遅い場合には、合成が終了するまでに長
時間を要するため、実用的ではない。そのため、合成初
期は滴下速度を遅くし、後半になってから滴下速度を速
めるのも本発明を実施する上で好ましい態様である。
性水溶液は、それぞれ滴下を開始してから終了するまで
連続的に滴下することが好ましい。なお、ここで言う連
続的とは、好ましくは10分以上、さらに好ましくは3
分以上の間隔を空けないことを言う。滴下速度は、必ず
しも一定である必要はないが、滴下速度を変える場合に
は連続的に変えた方が望ましい。特開平4−77309
には、数回に分けて水を添加することが記されている
が、このような方法では、急激な水の添加によって反応
液中の雰囲気が乱され、粒子同志の凝集や、新たな核粒
子の発生などが起こるため、好ましい方法ではない。
〜50℃の範囲であれば良く、用いるアルコキシドの種
類によって適宜選択される。
記以外の反応条件等は公知のものが何ら制限なく採用さ
れる。
外の金属酸化物の含有率が30〜50モル%であって、
粒子径の変動係数が30%以下の球状のシリカ系複合酸
化物粒子である。
コロイド状の粒子分散液として得られる。用途によって
は、そのまま使用しても良いし、反応液の溶媒を水もし
くはアルコールなどの有機溶媒に溶媒置換した後に使用
しても良い。
過、蒸留、スプレードライなどの手法で固液分離し、粉
末の形で取り出しても良い。取り出した粉末は乾燥させ
ることができる。乾燥温度は50〜300℃の範囲が好
適で、乾燥時間は数時間から数日の間が好適である。乾
燥した粉末はさらに高い温度で焼成することができる。
焼成温度は300〜1300℃の範囲が好適で、焼成時
間は1〜24時間の範囲が好適である。乾燥または焼成
後の粒子は、ボールミルやジェットミルなどを使用して
粒子ひとつひとつに解砕することができる。また、樹脂
等に分散して使用する場合には、高シェアの分散機を使
用することによって、樹脂への分散と同時に粒子の解砕
を行うことができる。
であった、シリカ以外の金属酸化物の含有率が30〜5
0モル%の範囲の単分散性の極めて高い球状のシリカ系
複合酸化物粒子を得ることができる。特に、シリカ以外
の金属酸化物としてチタニアやジルコニアを配合したシ
リカ系複合酸化物粒子は、単分散性が高く球状の粒子を
得易いという特徴がある。上記のような光学的な透明性
の高い高屈折率の粒子は、反射防止層や透明な高屈折率
樹脂やフィルムの添加剤として極めて有用である。
するが、本発明はこれらの実施例によって何ら制限され
るものではない。 (粒子の物性測定法)平均粒子径と粒子径の変動係数
は、走査型電子顕微鏡の撮影像を用いて200個以上の
粒子を画像解析装置を用いて解析することにより求め
た。また、画像データより、粒子の円形度も求めた。
異なる屈折率の溶媒(例えば、トルエン、1−ブロモナ
フタレン、1−クロロナフタレン、ジヨードメタン、イ
オウ入りジヨードメタンなど)を適当に配合することに
より任意の屈折率の混合溶媒を作り、その中に粒子を分
散させて25℃において最も透明な粒子分散溶液の屈折
率を粒子の屈折率とした。溶媒の屈折率はアッベの屈折
率計を用いて25℃で測定した。
(マイクロメリテックス社製のアキュピック1330)
を用いて測定した。
同定した。 実施例1 撹拌羽根付きの内容積4リットルのガラス製反応器にイ
ソプロパノールおよびアンモニア水(25重量%)をそ
れぞれ480gおよび120g仕込み、反応液の温度を
40℃に保持しつつ100rpmで撹拌した。
ラメトキシシラン(Si(OMe) 4、コルコート
(株)、商品名:メチルシリケート39)408gを仕
込み、撹拌しながら、メタノール254gと0.035
重量%塩酸水溶液(pH2.1)47.6gを加え、約
10分間撹拌してテトラメトキシシランの部分加水分解
を行った。このとき、該溶液はテトラメトキシシランの
加水分解による発熱を観測した。また、GC/MSを用
いて分析したところ、テトラメトキシシランの一つのメ
トキシ基が加水分解し、Si(OMe)3(OH)が生
成していることが確認できた。
(Ti(O−iPr)4、日本曹達(株)、商品名:A
−1)375gをイソプロパノール400gで希釈した
液を加え、無色透明な均一溶液(SiとTiの複合アル
コキシド)を得た。
加水分解に用いた水の量は、チタンテトライソプロポキ
シドに対して2.0当量であった。また、仕込み組成よ
り、テトラメトキシシランとチタンテトライソプロポキ
シドの合計のモル数に対するチタンテトライソプロポキ
シドの配合比率は、33モル%であった。
ル%の場合、式(1)より求められる部分加水分解に必
要な水の、シリカ以外の金属アルコキシドに対する当量
は、1.52を超え2.52未満である。
80gを0.3g/minの速度で、アルカリ性水溶液
としてアンモニア水(25重量%)320gを0.1g
/minの速度で反応液中に同時滴下してシリカ系複合
酸化物粒子を合成した。滴下開始後、原料とアルカリ性
水溶液の滴下速度を徐々に増加させ、5時間かけて全量
を滴下した。
を取り出した。溶液の重量は約2400gであった。ろ
過、乾燥後に回収した粒子は261gであった。したが
って、粒子を製造した際のスラリー濃度は約11%であ
った。
た結果、粒子形状は明らかに球状であった。画像解析の
結果、平均粒子径は0.25μm、粒子径の変動係数は
8.7%、粒子の円形度は0.88であった。
焼成した。焼成した粒子を走査型電子顕微鏡で観察した
結果、平均粒子径は7%ほど小さくなったが、他の数値
は上記とほぼ同様であった。また、密度は2.67g/
cm3、屈折率は1.70であった。X線回折の結果、
乾燥した粒子は非晶質であった。また、1000℃で焼
成した粒子は、25.2°付近にアナターゼ型チタニア
由来のピークを検出した。よって焼成粒子は、シリカマ
トリックス中にチタニアの微結晶が分散した球状の粒子
であることが分かった。 実施例2 部分加水分解に使用する0.035重量%塩酸水溶液の
量を、チタンテトライソプロポキシドに対して1.7当
量とした以外は実施例1と同様にしてチタニア含有率が
33モル%のシリカ系複合酸化物粒子を合成した。
た結果、粒子形状は明らかに球状であった。画像解析の
結果、平均粒子径は0.25μm、粒子径の変動係数は
8.6%、粒子の円形度は0.88であった。
焼成した。焼成した粒子を走査型電子顕微鏡で観察した
結果、平均粒子径は7%ほど小さくなったが、他の数値
は上記とほぼ同様であった。また、密度は2.67g/
cm3、屈折率は1.70であった。X線回折の結果、
乾燥した粒子は非晶質であった。また、1000℃で焼
成した粒子は、25.2°付近にアナターゼ型チタニア
由来のピークを検出した。よって焼成粒子は、シリカマ
トリックス中にチタニアの微結晶が分散した球状の粒子
であることが分かった。 実施例3 部分加水分解に使用する0.035重量%塩酸水溶液の
量を、チタンテトライソプロポキシドに対して2.3当
量とした以外は実施例1と同様にしてチタニア含有率が
33モル%のシリカ系複合酸化物粒子を合成した。
た結果、粒子形状は明らかに球状であった。画像解析の
結果、平均粒子径は0.25μm、粒子径の変動係数は
8.7%、粒子の円形度は0.85であった。
焼成した。焼成した粒子を走査型電子顕微鏡で観察した
結果、平均粒子径は7%ほど小さくなったが、他の数値
は上記とほぼ同様であった。また、密度は2.65g/
cm3、屈折率は1.70であった。X線回折の結果、
乾燥した粒子は非晶質であった。また、1000℃で焼
成した粒子は、25.2°付近にアナターゼ型チタニア
由来のピークを検出した。よって焼成粒子は、シリカマ
トリックス中にチタニアの微結晶が分散した球状の粒子
であることが分かった。 実施例4 撹拌羽根付きの内容積4リットルのガラス製反応器にイ
ソプロパノールおよびアンモニア水(25重量%)をそ
れぞれ540gおよび60g仕込み、反応液の温度を4
0℃に保持しつつ100rpmで撹拌した。
ラメトキシシラン(Si(OMe) 4、コルコート
(株)、商品名:メチルシリケート39)365gを仕
込み、撹拌しながら、メタノール307gと0.035
重量%塩酸水溶液(pH2.1)43.2gを加え、約
10分間撹拌してテトラメトキシシランの部分加水分解
を行った。このとき、該溶液はテトラメトキシシランの
加水分解による発熱を観測した。
(Ti(O−iPr)4、日本曹達(株)、商品名:A
−1)455gをイソプロパノール480gで希釈した
液を加え、無色透明な均一溶液(SiとTiの複合アル
コキシド)を得た。
加水分解に用いた水の量は、チタンテトライソプロポキ
シドに対して1.5当量であった。また、仕込み組成よ
り、テトラメトキシシランとチタンテトライソプロポキ
シドの合計のモル数に対するチタンテトライソプロポキ
シドの配合比率は、40モル%であった。
ル%の場合、式(1)より求められる部分加水分解に必
要な水の、シリカ以外の金属アルコキシドに対する当量
は、1.10を超え2.10未満である。
52gを0.3g/minの速度で、アルカリ性水溶液
としてアンモニア水(25重量%)380gを0.1g
/minの速度で反応液中に同時滴下してシリカ系複合
酸化物粒子を合成した。滴下開始後、原料とアルカリ性
水溶液の滴下速度を徐々に増加させ、6時間かけて全量
を滴下した。
を取り出した。溶液の重量は約2600gであった。ろ
過、乾燥後に回収した粒子は265gであった。したが
って、粒子を製造した際のスラリー濃度は約10%であ
った。
た結果、粒子形状は明らかに球状であった。画像解析の
結果、平均粒子径は0.45μm、粒子径の変動係数は
14.7%、粒子の円形度は0.85であった。
焼成した。焼成した粒子を走査型電子顕微鏡で観察した
結果、平均粒子径は7%ほど小さくなったが、他の数値
は上記とほぼ同様であった。また、密度は2.78g/
cm3、屈折率は1.75であった。X線回折の結果、
乾燥した粒子は非晶質であった。また、1000℃で焼
成した粒子は、25.2°付近にアナターゼ型チタニア
由来のピークを検出した。よって焼成粒子は、シリカマ
トリックス中にチタニアの微結晶が分散した球状の粒子
であることが分かった。 実施例5 部分加水分解に使用する0.035重量%塩酸水溶液の
量を、チタンテトライソプロポキシドに対して1.3当
量とした以外は実施例4と同様にしてチタニア含有率が
40モル%のシリカ系複合酸化物粒子を合成した。
た結果、粒子形状は明らかに球状であった。画像解析の
結果、平均粒子径は0.45μm、粒子径の変動係数は
8.0%、粒子の円形度は0.87であった。
焼成した。焼成した粒子を走査型電子顕微鏡で観察した
結果、平均粒子径は7%ほど小さくなったが、他の数値
は上記とほぼ同様であった。また、密度は2.76g/
cm3、屈折率は1.75であった。X線回折の結果、
乾燥した粒子は非晶質であった。また、1000℃で焼
成した粒子は、25.2°付近にアナターゼ型チタニア
由来のピークを検出した。よって焼成粒子は、シリカマ
トリックス中にチタニアの微結晶が分散した球状の粒子
であることが分かった。 実施例6 部分加水分解に使用する0.035重量%塩酸水溶液の
量を、チタンテトライソプロポキシドに対して2.0当
量とした以外は実施例4と同様にしてチタニア含有率が
40モル%のシリカ系複合酸化物粒子を合成した。
た結果、粒子形状は明らかに球状であった。画像解析の
結果、平均粒子径は0.40μm、粒子径の変動係数は
13.8%、粒子の円形度は0.89であった。
焼成した。焼成した粒子を走査型電子顕微鏡で観察した
結果、平均粒子径は7%ほど小さくなったが、他の数値
は上記とほぼ同様であった。また、密度は2.75g/
cm3、屈折率は1.75であった。X線回折の結果、
乾燥した粒子は非晶質であった。また、1000℃で焼
成した粒子は、25.2°付近にアナターゼ型チタニア
由来のピークを検出した。よって焼成粒子は、シリカマ
トリックス中にチタニアの微結晶が分散した球状の粒子
であることが分かった。 実施例7 撹拌羽根付きの内容積4リットルのガラス製反応器にイ
ソプロパノール、メタノールおよびアンモニア水(25
重量%)をそれぞれ200g、700gおよび100g
仕込み、反応液の温度を40℃に保持しつつ100rp
mで撹拌した。
ラメトキシシラン(Si(OMe) 4、コルコート
(株)、商品名:メチルシリケート39)329gを仕
込み、撹拌しながら、メタノール354gと0.035
重量%塩酸水溶液(pH2.1)39.8gを加え、約
10分間撹拌してテトラメトキシシランの部分加水分解
を行った。このとき、該溶液はテトラメトキシシランの
加水分解による発熱を観測した。
(Ti(O−iPr)4、日本曹達(株)、商品名:A
−1)523gをイソプロパノール553gで希釈した
液を加え、無色透明な均一溶液(SiとTiの複合アル
コキシド)を得た。
加水分解に用いた水の量は、チタンテトライソプロポキ
シドに対して1.2当量であった。また、仕込み組成よ
り、テトラメトキシシランとチタンテトライソプロポキ
シドの合計のモル数に対するチタンテトライソプロポキ
シドの配合比率は、46モル%であった。
ル%の場合、式(1)より求められる部分加水分解に必
要な水の、シリカ以外の金属アルコキシドに対する当量
は、0.74を超え1.74未満である。
00gを0.3g/minの速度で、アルカリ性水溶液
としてアンモニア水(25重量%)420gを0.1g
/minの速度で反応液中に同時滴下してシリカ系複合
酸化物粒子を合成した。滴下開始後、原料とアルカリ性
水溶液の滴下速度を徐々に増加させ、8時間かけて全量
を滴下した。
を取り出した。溶液の重量は約3200gであった。ろ
過、乾燥後に回収した粒子は255gであった。したが
って、粒子を製造した際のスラリー濃度は約8%であっ
た。
た結果、粒子形状は明らかに球状であった。画像解析の
結果、平均粒子径は0.11μm、粒子径の変動係数は
18.3%、粒子の円形度は0.79であった。
焼成した。焼成した粒子を走査型電子顕微鏡で観察した
結果、平均粒子径は10%ほど小さくなったが、他の数
値は上記とほぼ同様であった。また、密度は2.88g
/cm3、屈折率は1.80であった。X線回折の結
果、乾燥した粒子は非晶質であった。また、1000℃
で焼成した粒子は、25.2°付近にアナターゼ型チタ
ニア由来のピークを検出した。よって焼成粒子は、シリ
カマトリックス中にチタニアの微結晶が分散した球状の
粒子であることが分かった。 実施例8 部分加水分解に使用する0.035重量%塩酸水溶液の
量を、チタンテトライソプロポキシドに対して1.0当
量とした以外は実施例7と同様にしてチタニア含有率が
46モル%のシリカ系複合酸化物粒子を合成した。
た結果、粒子形状は明らかに球状であった。画像解析の
結果、平均粒子径は0.13μm、粒子径の変動係数は
18.5%、粒子の円形度は0.77であった。
焼成した。焼成した粒子を走査型電子顕微鏡で観察した
結果、平均粒子径は7%ほど小さくなったが、他の数値
は上記とほぼ同様であった。また、密度は2.88g/
cm3、屈折率は1.80であった。X線回折の結果、
乾燥した粒子は非晶質であった。また、1000℃で焼
成した粒子は、25.2°付近にアナターゼ型チタニア
由来のピークを検出した。よって焼成粒子は、シリカマ
トリックス中にチタニアの微結晶が分散した球状の粒子
であることが分かった。 実施例9 部分加水分解に使用する0.035重量%塩酸水溶液の
量を、チタンテトライソプロポキシドに対して1.7当
量とした以外は実施例7と同様にしてチタニア含有率が
46モル%のシリカ系複合酸化物粒子を合成した。
た結果、粒子形状は明らかに球状であった。画像解析の
結果、平均粒子径は0.11μm、粒子径の変動係数は
18.8%、粒子の円形度は0.75であった。
焼成した。焼成した粒子を走査型電子顕微鏡で観察した
結果、平均粒子径は7%ほど小さくなったが、他の数値
は上記とほぼ同様であった。また、密度は2.89g/
cm3、屈折率は1.80であった。X線回折の結果、
乾燥した粒子は非晶質であった。また、1000℃で焼
成した粒子は、25.2°付近にアナターゼ型チタニア
由来のピークを検出した。よって焼成粒子は、シリカマ
トリックス中にチタニアの微結晶が分散した球状の粒子
であることが分かった。 比較例1 部分加水分解に使用する0.035重量%塩酸水溶液の
量を、チタンテトライソプロポキシドに対して1.0当
量、1.4当量、2.6当量、3.0当量とした以外は
実施例1と同様にしてチタニア含有率が33モル%のシ
リカ系複合酸化物粒子を合成した。
的には粒子全体が凝集したために単分散性の高い球状の
シリカ系複合酸化物粒子は合成できなかった。 比較例2 部分加水分解に使用する0.035重量%塩酸水溶液の
量を、チタンテトライソプロポキシドに対して0.5当
量、1.0当量、2.5当量、3.0当量とした以外は
実施例4と同様にしてチタニア含有率が40モル%のシ
リカ系複合酸化物粒子を合成した。
的には粒子全体が凝集したために単分散性の高い球状の
シリカ系複合酸化物粒子は合成できなかった。 比較例3 部分加水分解に使用する0.035重量%塩酸水溶液の
量を、チタンテトライソプロポキシドに対して0.5当
量、0.7当量、1.9当量、2.5当量とした以外は
実施例7と同様にしてチタニア含有率が46モル%のシ
リカ系複合酸化物粒子を合成した。
的には粒子全体が凝集したために単分散性の高い球状の
シリカ系複合酸化物粒子は合成できなかった。
まとめて図1に示す。単分散性の高い球状のシリカ系複
合酸化物粒子が合成できたポイントを で、微粒子が大
量に発生したり、合成途中で凝集したりして、単分散性
の高い球状のシリカ系複合酸化物粒子が合成できなかっ
たポイントを で表記した。
のアルコキシドを部分加水分解する際の水の量が式
(1)を満足しない場合、単分散性の高い球状のシリカ
系複合酸化物粒子が得られないことが分かる。 実施例10 撹拌羽根付きの内容積4リットルのガラス製反応器にイ
ソプロパノールおよびアンモニア水(25重量%)をそ
れぞれ480gおよび120g仕込み、反応液の温度を
40℃に保持しつつ100rpmで撹拌した。
ラメトキシシラン(Si(OMe) 4、コルコート
(株)、商品名:メチルシリケート39)408gを仕
込み、撹拌しながら、メタノール254gと0.035
重量%塩酸水溶液(pH2.1)47.6gを加え、約
10分間撹拌してテトラメトキシシランの部分加水分解
を行った。このとき、該溶液はテトラメトキシシランの
加水分解による発熱を観測した。
(Zr(O−Bu)4、日本曹達(株)、商品名:TB
Zr、純度86.2重量%)588gをイソプロパノー
ル400gで希釈した液を加え、無色透明な均一溶液
(SiとZrの複合アルコキシド)を得た。
加水分解に用いた水の量は、ジルコニウムテトラブトキ
シドに対して2.0当量であった。また、仕込み組成よ
り、テトラメトキシシランとジルコニウムテトラブトキ
シドの合計のモル数に対するジルコニウムテトラブトキ
シドの配合比率は、33モル%であった。
ル%の場合、式(1)より求められる部分加水分解に必
要な水の、シリカ以外の金属アルコキシドに対する当量
は、1.52を超え2.52未満である。
90gを0.3g/minの速度で、アルカリ性水溶液
としてアンモニア水(25重量%)300gを0.1g
/minの速度で反応液中に同時滴下してシリカ系複合
酸化物粒子を合成した。滴下開始後、原料とアルカリ性
水溶液の滴下速度を徐々に増加させ、8時間かけて全量
を滴下した。
を取り出した。溶液の重量は約2550gであった。ろ
過、乾燥後に回収した粒子は318gであった。したが
って、粒子を製造した際のスラリー濃度は約12%であ
った。
た結果、粒子形状は明らかに球状であった。画像解析の
結果、平均粒子径は0.33μm、粒子径の変動係数は
23.3%、粒子の円形度は0.75であった。
焼成した。焼成した粒子を走査型電子顕微鏡で観察した
結果、平均粒子径は8%ほど小さくなったが、他の数値
は上記とほぼ同様であった。また、密度は3.36g/
cm3、屈折率は1.64であった。X線回折の結果、
乾燥した粒子は非晶質であった。また、1000℃で焼
成した粒子は、30.1°付近に立方晶ジルコニア由来
のピークを検出した。よって焼成粒子は、シリカマトリ
ックス中にジルコニアの微結晶が分散した球状の粒子で
あることが分かった。
と部分加水分解に用いる水の量(シリコン以外の金属ア
ルコキシドに対する水の当量)との関係を示す図
Claims (4)
- 【請求項1】 シリカ以外の金属酸化物の含有率が30
〜50モル%であって、粒子径の変動係数が30%以下
の球状のシリカ系複合酸化物粒子。 - 【請求項2】 シリカ以外の金属酸化物が周期律表第4
族金属の酸化物であることを特徴とする請求項1記載の
シリカ系複合酸化物粒子。 - 【請求項3】 シリカ以外の金属酸化物がチタニアおよ
び/またはジルコニアであることを特徴とする請求項1
記載のシリカ系複合酸化物粒子。 - 【請求項4】 シリコンのアルコキシドを水で部分加水
分解した後にシリコン以外の金属のアルコキシドと混合
することによって原料を調製し、触媒を含む含水有機溶
媒中で前記原料を加水分解・縮合させてシリカ系複合酸
化物粒子を得るシリカ系複合酸化物粒子の製造方法にお
いて、シリコンのアルコキシドを部分加水分解する際の
水の量が、下記式(1)で示される、シリコン以外の金
属のアルコキシドに対する水の当量Yを満足することを
特徴とする請求項1記載のシリカ系複合酸化物粒子の製
造方法。 −0.06X+3.5<Y<−0.06X+4.5 (1) X:シリカ系複合酸化物中におけるシリカ以外の金属酸
化物の含有率(モル%)。但し、30≦X≦50。 Y:シリコン以外の金属アルコキシドに対する水の当
量。
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