JP2012162438A - 球状シリカ−チタニア複合酸化物粒子及びその製造方法 - Google Patents

球状シリカ−チタニア複合酸化物粒子及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】光半導体用封止材の充填材に好適な球状シリカ−チタニア複合酸化物粒子を提供する。
【解決手段】平均粒子径が1〜15μmの範囲にあり、円形度が0.9以上であり、シリカに対してチタニアを4〜40モル%の割合で含有し、X線回折測定においてチタニア結晶による回折ピークが確認されない球状シリカ−チタニア複合酸化物粒子であり、アセチルアセトンを含有する珪素及びチタンのアルコキサイドの特定のゾル液に対して、スピノーダル分解を伴う相分離を進行させることによって得ることができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、新規な球状シリカ−チタニア複合酸化物粒子及びその製造方法に関する。詳しくは、高い円形度を有し、且つ、シリカのマトリックス中にチタニアが均一に分散した球状シリカ−チタニア複合酸化物粒子を提供するものである。
光学材料については、一般に、透明な樹脂に対して同じ屈折率を持つ複合酸化物微粒子を充填することで、透明な樹脂複合材料を得ることが期待できる。しかし、高分子樹脂の補強用充填材として広く使われているシリカの屈折率は、ほとんどの高分子よりも低いため、光半導体用封止材等の、半導体から発生する光を透過させるための透明性が求められる用途においては、その屈折率を高めるべくその値を調整したシリカ粒子の合成が望まれる。
また、かかる充填材として使用する場合、樹脂に充填した際の流動性等特性向上のためや、半導体素子を傷つけないため、粒子は球状であることが望ましい。
上記要求に対して、シリカにチタニアやジルコニアを加えた複合酸化物粒子は、そのチタニアやジルコニアの添加量を変えることにより、粒子の屈折率を変化できることが知られている。その中でシリカとチタニアの複合酸化物粒子、即ち、シリカ−チタニア複合酸化物粒子は、最も屈折率の高い化合物の一つであり、チタニア量の増加に対応して複合酸化物の屈折率を直線的に増加させることができる。
また、シリカ−チタニア複合酸化物粒子は、熱膨張係数がゼロ又は負の値を示すことや、チタニアの含有率を変えることにより屈折率の微調整が可能であることなどの優れた性質を持っている。
ところが、シリカ−チタニア複合酸化物粒子においては、成分のシリカとチタニアが粒子内で分相する結果、これを充填した樹脂複合材料が白濁するという問題を有する。
例えば、シリカとチタニアを火炎中で溶融して複合化する火炎溶融法や、珪素とチタンの塩化物を原料に火炎中にて加熱する火炎加水分解法により球状シリカーチタニア複合酸化物粒子を合成する方法によれば、得られるシリカ−チタニア複合酸化物粒子は、粒子内で分相して樹脂複合材料を白濁し易いという問題がある。
また、特許文献1には、シュト−バー法と呼ばれるゾル−ゲル法によっても球状シリカ−チタニア複合酸化物粒子が得る方法が開示されているが、この方法で得られた複合酸化物中のチタニアは、必須の処理である脱炭素処理の加熱により、非晶質であったチタニアがアナターゼ型あるいはルチル型に結晶化して分相し易いという性質を有する。
一方、非特許文献1には、相分離法によりシリカ−チタニア複合酸化物を合成する方法が開示されているが、これは多孔質のシリカ−チタニア複合酸化物の構造体を得ることを主眼とするものであり、シリカ−チタニア複合酸化物粒子を得るものではない。また、これを破砕して粉状としても、球状の粒子を得ることはできない。
特開平7−2520号公報
Bull. Inst. Chem. Res., Kyoto Univ., Vol.70, No.2, 144-151, 1992
従って、シリカに対してチタニアを加えることにより屈折率を上げる方向にコントロール可能なシリカ−チタニア複合酸化物粒子であって、平均粒子径が樹脂への充填剤として好適な1〜15μmの範囲にあり、円形度が高く、且つ、シリカのマトリックス中にチタニアが、分相せずに均一に分散した、球状シリカ−チタニア複合酸化物粒子の開発が望まれている。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねてきた。その結果、珪素及びチタンのアルコキサイド、水溶性高分子、及び、酸を含有するpH2以下のゾル液に対して、スピノーダル分解を伴う相分離を進行せしめる際に、上記ゾル液中に、チタンに対して特定割合のアセチルアセトンを含有させることにより得られる球状シリカ−チタニア複合酸化物粒子は、前記前記目的を全て達成し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、平均粒子径が1〜15μmの範囲にあり、円形度が0.9以上であり、シリカに対してチタニアを4〜40モル%の割合で含有し、X線回折測定においてチタニア結晶による回折ピークが確認されないことを特徴とする球状シリカ−チタニア複合酸化物粒子である。
また、本発明は、珪素及びチタンのアルコキサイド、水溶性高分子、酸及びチタンに対して40〜200モル%の割合でアセチルアセトンを含有するpH2以下のゾル液に対して、スピノーダル分解を伴う相分離を進行せしめて、球状のシリカ−チタニア複合酸化物粒子の集合体よりなるゲル体を生成せしめ、次いで、該ゲル体を解砕し、乾燥することを特徴とする上記球状シリカ−チタニア複合酸化物粒子の製造方法も提供する。
本発明の球状シリカ−チタニア複合酸化物粒子は、前記特徴的方法によって製造されることにより、円形度が0.9以上であり、シリカに対してチタニアを4〜40モル%の割合で含有した状態においても、X線回折測定においてチタニア結晶による回折ピークが確認されない程度にチタニアがシリカのマトリクス中に高分散されていることを特徴とする。
従って、本発明の球状シリカ−チタニア複合酸化物粒子は、同等の屈折率を有する樹脂に充填して樹脂複合材料を構成した場合、極めて高い透明性を発揮することができるという特徴を有している。
また、本発明の球状シリカ−チタニア複合酸化物は、粒子径が1〜15μmと、比較的大きいため、溶媒や樹脂中における分散性が良く、しかも、電子顕微鏡の撮影像から求められる円形度が0.9以上であり、且つ、形状の均一性に優れるため、光散乱性能の再現性が良く、また、樹脂に高充填できる点でも優れている。
更に、本発明の球状シリカ−チタニア複合酸化物粒子は、シリカのマトリックス中へのチタニアの含有量を調整することによって、屈折率を任意に調整できるため、光半導体用封止材や歯科用コンポジットレジンなどの光を透過する必要のある樹脂への充填材として有用である。
実施例1で得られた球状シリカ−チタニア複合酸化物粒子の構造を示すSEM写真 実施例1で得られた球状シリカ−チタニア複合酸化物粒子の粒度分布を示すグラフ 実施例1で得られた球状シリカ−チタニア複合酸化物粉末の窒素吸着等温線チャート 実施例1で得られた球状シリカ−チタニア複合酸化物粉末のX線回折チャート 比較例1で得られた球状シリカ−チタニア複合酸化物粉末のX線回折チャート
本発明の球状シリカ−チタニア複合酸化物粒子は、平均粒子径が1〜15μmの範囲にある。平均粒子径が1μmを下回ると粒子が凝集し易く、複合樹脂に充填する場合にも操作性が良くないなどの不具合が生じる。平均粒子径が15μmを越えた場合には、複合樹脂にした場合に透明性が保てないなどの問題がある。なお、高い光透過性が求められる光半導体用の封止材の充填材として本発明の粒子を用いる場合には、平均粒子径が1〜10μmが好ましく、1〜6μmがより好ましい。また、表面滑沢性が求められる歯科用コンポジットレジンに用いる場合には、平均粒子径は1〜10μmが好ましく、1〜4μmがより好ましい。
本発明の球状シリカ−チタニア複合酸化物粒子は、電子顕微鏡の撮影像から求められる円形度が0.9以上であり、好ましくは0.92以上、さらに好ましくは0.95以上である。
なお、ここで円形度は、電子顕微鏡の撮影像を画像処理することによって求められる粒子の面積をS、粒子の周囲長をLとすると、以下の式によって算出される値である。
円形度=(4・π・S)/(L2)
前記円形度が0.9以上を有する本発明の球状シリカ−チタニア複合酸化物粒子は、樹脂中に高充填し易く、また、コーティング剤に応用した場合に剤の粘度が高くなったり、コート膜にしたときの表面にザラツキ感が出たりすることない。また、光散乱体に使用した場合、光の散乱が等方的になり、さらに光散乱性能の再現性も高くなり好ましい。
しかも、前記光半導体などを封止する透明封止材の用途においては、半導体素子を傷つけ難いという特性をも併せ有する。
本発明の球状シリカ−チタニア複合酸化物粒子に含まれるチタニアの配合率は、好ましくは、4モル%以上40モル%以下さらに好ましくは4モル%以上30モル%以下の範囲にあることが望ましい。チタニアの配合率が小さい場合には、屈折率を効果的に向上させることができないため、本発明の球状シリカーチタニア複合酸化物粒子を得ることができない場合がある。一方、チタニアの配合率が高すぎる場合には、一般に球状粒子とすることが困難となるほかに、高温で加熱すると、チタニアの結晶が大きくなり過ぎるため透明性が損なわれ、透明性の高い光半導体封止材等の複合樹脂用充填材としては使用できなくなる傾向にある。
従って、本発明において、球状シリカ−チタニア複合酸化物粒子に含まれるチタニアの配合率は、前記範囲内で決定して、屈折率が調整される。
本発明の球状シリカ−チタニア複合酸化物粒子は同粉末のX線回折測定において、チタニア結晶による回折ピークが確認されないことを最大の特徴としている。
即ち、上記X線回折測定において、チタニア結晶による回折ピークが確認されないということは、球状シリカーチタニア複合酸化物粒子に含まれるチタニアの大きさが粉末X線回折の回折ピークが検出されないほど小さく、シリカ−チタニア複合酸化物として均一であることを意味する。
更に詳細に説明すれば、粉末X線回折(XRD回折)測定による回折ピークの有無、その強度が複合酸化物中のチタニア分散性の尺度として利用し得る。複合酸化物中のチタニアの量が多いほどアナターゼ結晶が析出し易くなり、回折ピークも強くなるが、同じチタニア量の場合には、アナターゼ結晶の回折ピークの強度が低いほど、チタニア分散性が高いと判断できる。例えば、本発明の球状シリカーチタニア複合酸化物粒子を、高光透過率が求められる光半導体用封止材等の充填材に用いる場合には、前記X線回折のピークが確認されないためには、結晶化したチタニアの粒子径は、粒子中のチタニアの含有量にもよるが、10nm以下、好ましくは5nm以下、より好ましくは2nm以下であることが好ましい。
尚、上記結晶化したチタニア結晶の大きさは、透過型電子顕微鏡で観察することができるし、粉末X線回折の回折ピークが存在する場合は、その半値幅から計算によって求めることもできる。
前記本発明の球状シリカ−チタニア複合酸化物粒子に対して、一般に、ゾル−ゲル法で製造されるシリカ−チタニアなどの球状複合酸化物粒子は、チタニアが比較的大きく凝集しており、その製造過程における脱炭処理のための加熱においてチタニアの低温型結晶であるアナターゼ結晶の析出が起こり、X線回折におけるアナターゼ結晶の回折ピークが検出される。
上記、球状シリカ−チタニア複合酸化物粒子は、以下に述べる製造方法により製造することができる。
即ち、珪素及びチタンのアルコキサイド、水溶性高分子、酸及びチタンに対して40〜200モル%の割合でアセチルアセトンを含有するpH2以下のゾル液に対して、スピノーダル分解を伴う相分離を進行せしめて、球状のシリカ−チタニア複合酸化物粒子の集合体よりなるゲル体を生成せしめ、次いで、該ゲル体を解砕し、乾燥することによって製造される。
本発明の製造方法において、珪素及びチタンを含有するゾル液の基本的な組成は、スピノーダル分解による相分離を起こし得るものであれば、公知のものが特に制限なく使用される。一般には、ケイ素源及びチタン源を、ポリマー(水溶性高分子)、酸、およびアセチルアセトンと共に極性溶液中に分散せしめたものが好適である。
前記ケイ素源としては、メトキシシラン、エトキシシラン等のケイ素アルコキサイドが使用される。かかるアルコキサイドの代表的なものを例示すると、例えば、一般式Si(OR)またはSiR’(OR)4−nで示されるシリコンのアルコキサイド、またはシリコンのアルコキサイドを部分的に加水分解して得られる低縮合物が工業的に入手し易く、その1種または2種以上の混合物が好ましく用いられる。なお、上記シリコンのアルコキサイドの一般式において、RおよびR’はアルキル基で、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基などの低級アルキル基が好適である。nは1〜3の整数である。
また、チタニアの原料となるチタン源としてはチタンアルコキサイドが特に制限なく用いられる。チタンのアルコキサイドの代表的なものを例示すると、例えば、一般式M(OR)(但し、Rはアルキル基)で表示されるチタンのアルコキサイドまたは上記一般式中の一つ又は二つのアルコキサイド基(OR)がカルボキシル基あるいはβ−ジカルボニル基で置換された化合物が好ましい。本発明において一般に好適に使用される上記化合物を更に具体的に例示すると、Ti(O−isoC、Ti(O−nC等の化合物などが挙げられる。
上記水溶性高分子は、水を溶媒としたとき適当な濃度の溶液を形成することができる有機高分子であって、シリカ源およびチタニア源を含有する溶液中において均一に溶解することができるものが使用される。例えば、高分子金属塩であるポリスチレンスルホン酸のナトリウム塩またはカリウム塩、高分子酸であって解離してポリアニオンとなるポリアクリル酸、高分子塩基であってポリカチオンを生ずるポリアクリルアミンまたはポリエチレンイミン、中性高分子であって主鎖にエーテル結合を持つポリエチレンオキサイドまたはポリエチレングリコール、側鎖にヒドロキシル基を有するポリビニルアルコール、もしくはカルボニル基を有するポリビニルピロリドン等が挙げられる。
これらのうち、ポリアクリル酸およびポリエチレングリコールが、取扱いが容易であり好ましい。ポリアクリル酸は分子量10000〜300000、好ましくは20000〜50000のものが好適である。また、ポリエチレングリコールは分子量5000〜1000000、好ましくは10000〜100000のものが好適である。
本発明の製造方法において、酸としては、金属アルコキサイドの加水分解重合反応の触媒として働き、ゲル化を促進する作用を有するものが特に制限無く使用される。代表的なものを例示すれば、硫酸、塩酸、硝酸等の鉱酸または有機酸が挙げられる。
また、本発明の製造方法において、ゾル液調製の際に極性溶媒を使用することができる。極性溶媒としては、水またはアルコール類が好適に使用される。そして、ゾル液の調製は、前記水溶性高分子を水の如き極性溶媒に溶解させ、これに酸を添加し、酸性溶液とした後、この溶液を、予め、アルコール類、ケイ素源、チタン源、およびアセチルアセトンを加え調整した溶液に、撹拌しながら添加する方法を採用することが好ましい。
本発明において、ゾル液中のシリカおよびチタニアの総含有率は2〜20重量%とするのが好ましく、特に5〜11質量%とするのが好ましい。また、アルキル硫酸塩の濃度は、0.5〜5質量%とするのが好ましく、特に1〜2質量%とするのが好ましい。また、水溶性高分子の濃度は、1〜10質量%とするのが好ましく、特に4〜7質量%とするのが好ましい。
また、酸の濃度は、ゾル液のpHが2以下となるように行うことが、後述のスピノーダル分解を伴う相分離を進行させて球状のシリカ粒子の集合体よりなるゲル体を生成させるために好ましい。一般に、上記酸の使用量は、ゾル液1リットルあたり、0.001〜5モル、好ましくは0.01〜4モルの範囲で使用される。
本発明の球状シリカ−チタニア複合酸化物粒子の製造において、前記ゾル液がアセチルアセトンを、チタニア源のチタンに対して、40〜200モル%、好ましくは、80〜150モル%の割合で含有することが重要である。
一般にアセチルアセトンは負電荷を有する配位子として振舞い、正電荷を有するチタニアに配位し、チタニア析出時の凝集構造体を細かく分散する効果をもたらす。従って、ゾル液において、チタンに対するアセチルアセトンの含有率が40モル%より少ない場合、複合酸化物中のチタニアが凝集し、チタニアの低温型結晶であるアナターゼ結晶の析出が起こる。そのためXRD回折測定においてアナターゼ結晶の回折ピークが観測される。複合酸化物中のチタニアの量が多いほどアナターゼ結晶が析出しやすくなり、同回折ピークも強くなる。一方、ゾル液調整時、チタンに対するアセチルアセトンの含有率が200モル%を超えると、チタニアの凝集防止効果は上限近くとなり、また、ゾル液を構成する諸原料濃度に影響を及ぼす。
尚、スピノーダル分解におけるアセチルアセトンの前記効果がかかる分解反応を阻害することなく発揮されることは、本発明者らによって見出されたものである。また、かかる作用によって、チタンに対するアセチルアセトンの含有率が40モル%より少ない場合においても、前記アセチルアセトンを使用しない場合に比べてアナターゼ結晶の析出を抑制することが可能であり、かかる効果は、チタンに対するアセチルアセトンの含有率が10モル%以上であれば、発揮可能である。
本発明の製造方法において、アセチルアセトンをゾル液に含有せしめる態様は、特に制限されないが、具体的には、ケイ素およびチタン源のアルコキサイド類のアルコール溶液の調整時アセチルアセトンをほぼ同時に添加することによって、アルコキサイド類の加水分解が始まる前にゾル液に存在せしめることが好ましい。
前記のようにして調整されたゾル液において起こるスピノーダル分解を伴う相分離は、均一なゾル液の状態から、徐々にシリケートの重合反応が進行するに伴い、シリカ−チタニアの骨格が形成され、更に相分離を進行させることにより、最終的には、シリカ−チタニア粒子の凝集体よりなるゲル体が生成する。
本発明の製造方法において、前記スピノーダル分解を伴う相分離を進行せしめるための容器は、その壁面が表面エネルギーの低い材質によって構成されることが、不定形の粒子含有量の少ない球状粒子を得るために望ましい。
即ち、本発明者らは、前記スピノーダル分解を伴う相分離を進行せしめる際に、反応容器の壁面の表面エネルギーの違いによって、解砕後の不定形粒子の割合が変化し、かかる表面エネルギーが小さいほど、得られる粒子凝集体よりなるゲル体を解砕した場合に、これが球状粒子となり易いことを見出した。
従って、前記容器の壁面の表面エネルギーは、50mN/m以下、特に、40mN/m以下の材質であることが好ましい。前記表面エネルギーを有する材質を具体的に例示すれば、ポリエチレン(固体の表面エネルギー:37.1mN/m)、ポリプロピレン(固体の表面エネルギー:30.7mN/m)等が挙げられる。
本発明の製造方法において、ゲル体の生成は、ゾル液を、0〜90℃で、好ましくは20〜70℃で、前記相分離が十分進行する時間、例えば、10分〜1週間、さらに好ましくは1時間〜24時間放置することにより行う。
本発明の製造方法において、上記球状シリカ−チタニア複合酸化物粒子の凝集体よりなる湿潤状態のゲル体は、水分が好ましくは30質量%以下、更に好ましくは20質量%以下とした後、解砕する。
即ち、球状シリカ−チタニア複合酸化物粒子の凝集体よりなるゲル体の水分が30質量%以上の状態で解砕を行った場合、同粒子の強度が弱いため、個々の粒子の球形の形状が破壊され、不定形粒子が多く生成し、球状粒子を得ることは困難となる傾向がある。
また、上記ゲル体の水分を低減し過ぎた場合は、解砕に多大のエネルギーを必要とするため、また、乾燥工程で多大なエネルギーと時間を要するため、かかるゲル体の水分を、3質量%以上、好ましくは、5質量%以上として解砕することが好ましい。
本発明において、前記球状のシリカ−チタニア複合酸化物粒子の集合体よりなるゲル体の水分量を30質量%以下とする方法は特に制限されないが、公知の乾燥手段、例えば、加熱乾燥、送風乾燥等による方法が好適である。
また、本発明において、前述の方法により水分量を調整された球状シリカ−チタニア複合酸化物粒子の凝集体を解砕する方法については、特に限定されない。例えば、乳鉢、ボールミル、ビーズミル等が好ましい。そのうち、工業的には、ボールミルが最も好適である。かかるボールミルで使用されるボール径については特に限定されないが、5〜50φが好適に用いられる。また、解砕の程度は、凝集体を構成する球状粒子のレベルまで解砕し得るエネルギーが適宜選択される。
本発明において、ゲル体を解砕後に行う乾燥は、前記ゲル体の水分量の調整において採用される乾燥手段が制限なく採用される。
また、乾燥後に有機物を除去するために焼成することが好ましい。かかる焼成温度は、500〜1100℃が好ましい。
以上の本発明の方法によって得られる球状シリカ−チタニア複合酸化物粒子は、500℃付近の比較的低温にて焼成した場合、個々の粒子がナノメートル領域の細孔径を有するメソ細孔およびミクロ細孔の両方を併せ持つ球状シリカ−チタニア複合酸化物粒子となる。また、800℃を超える比較的高温にて焼成した場合、ミクロ細孔のみを持つ球状シリカ−チタニア複合酸化物粒子となり、用途に応じ適宜作り分けることができる。さらに、球状粒子の粒径は均一で、球状のシリカ−チタニア複合酸化物として、最適な構造となっている。
以下、実施例を示して本発明をさらに具体的に説明する。
(平均粒子径の測定)
球状シリカ−チタニア粒子の平均粒子径は、レーザー回折散乱法粒度分布計(コールター社製LS−230)により測定した。測定用の分散液の調製は「粒子計測技術」(粉体工学会編、1994年日刊工業社出版、23頁)に準じた。重量積算分布の50%となる粒子径を平均粒子径とした。
(窒素吸着法による細孔容積測定)
液体窒素温度における窒素の吸着量を絶対平衡吸着圧力0.35MPa以下
で、BET法により比表面積計算を行った。高速比表面積/細孔分布測定装置(QuantaChrome Autosorp 1MP)を用い、予め120℃で24時間乾燥し、秤量後200℃で2時間減圧処理した後の測定試料について、吸着等温線から比表面積と細孔径分布を算出した。
(SEM写真)
SEM観察は日本電子JSM−7600Fにより行なった。
(X線回折測定)
X線回折測定は島津製作所 XRD7000にて出力40kV、30mAで行なった。
実施例1
容器AにTEOS10mlを取り、よく撹拌しながら、チタンイソプロポキサイド(TIPT)を3.05mlとアセチルアセトンを0.94ml(チタンに対して100モル%)加えた。これに2-プロパノールを10ml加え、よく混和させた。別の容器Bに水を20g量り取り、そこにポリエチレングリコール(分子量20000)を0.5g加え、よく撹拌して溶解させ、60%硝酸を0.56ml加えた。容器Aに容器Bの混合物をよく撹拌しながら加え、ゾル液のpHを2以下にした。これは、チタニアとしての仕込量が20モル%となる組成である。このように調整した溶液を30℃で1日かけてゲル化させ、その後50℃で1日熟成し、次いで50℃で乾燥、さらに900℃で焼成した。該球状シリカ粉末は、円形度0.95の球状構造で存在していることを電子顕微鏡(図1)で確認し、レーザー回折散乱法により平均粒子径が4.4μmであることを確認した(図2)。また、窒素吸着法による吸着等温線(図3)から、窒素の吸着はほとんど見られず、計算される細孔容積が0.006cc/gであり、ほとんど細孔が存在しないことを確認した。また、X線回折データから(図4)、アナターゼ結晶あるいはルチル結晶の回折ピークが観測されず、チタニアの分散性が高いことがわかる。
比較例1
アセチルアセトンの添加量が0.3ml(チタンに対して30モル%)である以外は実施例1と同じである。X線回折データから(図5)、アナターゼ結晶の回折ピークが観測されていることがわかり、チタニアの分散性が低いことがわかる。

Claims (2)

  1. 平均粒子径が1〜15μmの範囲にあり、円形度が0.9以上であり、シリカに対してチタニアを4〜40モル%の割合で含有し、X線回折測定においてチタニア結晶による回折ピークが確認されないことを特徴とする球状シリカ−チタニア複合酸化物粒子。
  2. 珪素及びチタンのアルコキサイド、水溶性高分子、酸及びチタンに対して40〜200モル%の割合でアセチルアセトンを含有するpH2以下のゾル液に対して、スピノーダル分解を伴う相分離を進行せしめて、球状のシリカ−チタニア複合酸化物粒子の集合体よりなるゲル体を生成せしめ、次いで、該ゲル体を解砕し、乾燥することを特徴とする球状シリカ−チタニア複合酸化物粒子の製造方法。
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