JP2003225102A - スライドファスナー部品 - Google Patents

スライドファスナー部品

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JP2003225102A
JP2003225102A JP2002343205A JP2002343205A JP2003225102A JP 2003225102 A JP2003225102 A JP 2003225102A JP 2002343205 A JP2002343205 A JP 2002343205A JP 2002343205 A JP2002343205 A JP 2002343205A JP 2003225102 A JP2003225102 A JP 2003225102A
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Japan
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temperature
fastener component
weight
terephthalate resin
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Hideyuki Ariyasu
秀之 有安
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Asahi Kasei Corp
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Asahi Kasei Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 外観意匠性に優れ、かつ、剛性にも優れたス
ライドファスナー部品を提供する。さらに、分別、回収
が容易なスライドファスナーを構成するためのスライド
ファスナー部品を提供することも目的とする。 【解決手段】 ポリトリメチレンテレフタレート樹脂と
結晶核剤及び/又は無機フィラーの組成物からなるスラ
イドファスナー部品。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の所属する技術分野】本発明は、衣服、鞄、屋外
用テント等に好ましく用いることのできるスライドファ
スナーを構成するスライドファスナー部品に関する。さ
らに詳しくは、外観意匠性に優れるのみではなく、剛性
にも優れ、かつ、分別、回収が容易なスライドファスナ
ー部品に関するものであり、開閉部品であり移動させる
ためのつまみ部分を含むスライダー、勘合部品であるエ
レメント等、スライドファスナーを構成するためのスラ
イドファスナー部品に関する。
【0002】
【従来の技術】スライドファスナーは、一般に、開閉部
品であるスライダー、勘合部品であるエレメント、エレ
メントを支持固定するテープから構成され、スライダー
をスライドすることにより対向して設置されたエレメン
トが噛み合って閉まり、あるいは、外れて開く構造とな
っている。従来、例えば、スライダー、エレメント等
は、アルミニウム、真鍮等の金属、或いは、種々の熱可
塑性樹脂から製造されていた。
【0003】金属製のスライドファスナー部品は、剛性
には優れてはいるものの、該部品のように比較的小さな
部品を成形するには、煩雑な加工工程が必要であり、
又、意匠性の観点から様々な色合いのスライドファスナ
ーを作製するには表面に塗装を施す必要があり、生産性
の面での課題がある。一方、熱可塑性樹脂製のスライド
ファスナー部品では、剛性では金属に敵わないまでも、
例えば、射出成形等の一般的で簡便な加工法にて小型部
品の大量生産が可能であり、又、例えば、あらかじめ着
色しておいた樹脂材料を用いれば表面に塗装を施すこと
なく様々な色合いのスライドファスナー部品を作製する
ことができ、生産性の面で金属製の物より有利である。
熱可塑性樹脂からなるスライドファスナー部品として
は、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、及び、ポ
リプロピレン樹脂の例示がある(例えば、特許文献1参
照)。
【0004】ポリエステル系樹脂であるポリエチレンテ
レフタレート樹脂(以下、PETと略称することがあ
る)では、その結晶化速度は非常に小さく、スライドフ
ァスナー部品を射出成形により作製する場合、成形条件
を複雑に設定する必要があり煩雑である。又、ポリエス
テル系樹脂の他の代表であるポリブチレンテレフタレー
ト樹脂(以下、PBTと略称することがある。)では、
その結晶化速度は非常に大きく、かつ、高結晶性であ
り、成形時の結晶化に由来して、大きなソリが発生す
る。特に、スライダーのように剛性が必要とされる部品
においては、その特性を満足させるためにガラス繊維や
無機繊維等を配合した場合、このソリは著しく大きくな
る。満足する成形品を得るためには金型を複雑な構造に
したり、又、複雑な成形条件を設定する必要があり非常
に煩雑である。又、PBTは、ガラス繊維を多量に配合
すると表面にガラスが浮き上がり著しく外観を損なう問
題があり、スライドファスナー部品材料として高剛性を
実現させる上でも限界がある。
【0005】6,6−6に代表されるポリアミド系樹脂
では、例えば、スライダーのように剛性が必要とされる
部品、あるいは、エレメントにおいても剛性が必要とさ
れる場合では、ガラス繊維や無機繊維等にて強化された
材料が多く用いられるが、ポリアミド樹脂は乾燥時の剛
性は優れてはいるものの、吸水率が高いため、平衡吸水
時には剛性が低下してしまうという問題があり、例え
ば、屋外用テント等に使用されるスライドファスナーで
は、必ずしも満足できる性能を有してはいない。
【0006】又、表面外観の観点からも、例えば、ガラ
ス繊維を多量に配合すると表面にガラス繊維が浮き上が
り著しく外観を損なうという問題がある。加えて、前述
した屋外用テントはもとより、鞄等に使用されるスライ
ドファスナーでは耐候性も必要とされるが、ポリアミド
樹脂は、一般的に、黒色系の特殊な着色組成物以外は耐
候性に劣るため、意匠性を考慮した場合、例えば、赤、
白、その他有彩色等の様々な色調を得るには成形品に塗
装等を施す必要があり煩雑である。一方、ポリプロピレ
ン樹脂においても、ガラス繊維の浮き上がりによる外観
不良、耐候性についての課題等はポリアミド樹脂と同様
である。
【0007】
【特許文献1】特開平10−243805号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】このような状況に鑑
み、外観意匠性に優れるのみではなく、剛性にも優れた
スライドファスナー部品を提供することが本発明の目的
のひとつであり、あわせて、廃棄の際の分別が容易なス
ライドファスナーを構成するためのスライドファスナー
部品を提供することも目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は、前記目的を
達成すべく鋭意検討した結果、熱可塑性ポリエステル系
樹脂であるポリトリメチレンテレフタレート樹脂及び結
晶核剤及び/又は無機フィラーの組成物からなるスライ
ドファスナー部品は、外観意匠性に優れ、かつ、剛性に
も優れること、あわせて、廃棄の際の分別が容易なスラ
イドファスナーを構成するためのスライドファスナー部
品に適することを見出し本発明に至った。
【0010】すなわち本発明は、以下の発明に関する。 [1](A)ポリトリメチレンテレフタレート樹脂、
(B)結晶核剤及び/又は(C)無機フィラーを含み、
かつ以下(1)及び(2)に示す結晶化挙動を有する組
成物からなる、スライドファスナー部品。 (1)前記組成物の10〜20mgを、示差走査熱量測
定器を用いて、室温から100℃/分の昇温速度にて2
80℃まで加熱し、2分間保持した後、500℃/分の
設定降温速度にて23℃まで急冷した場合における結晶
化開始温度Tcが170℃以下。 (2)前記組成物の10〜20mgを、示差走査熱量測
定器を用いて、室温から100℃/分の昇温速度にて2
80℃まで加熱し、2分間保持した後、500℃/分の
設定降温速度にて温度T℃まで急冷し以後T℃にて保持
した場合における結晶化ピーク時間が、Tの全温度領域
で+20秒以下である(ここで、温度Tは60〜120
℃の範囲)。
【0011】[2](A)ポリトリメチレンテレフタレ
ート樹脂100重量部に対して、さらに(D)着色剤
0.01〜10.0重量部を含有してなる組成物からな
る、前記[1]に記載のスライドファスナー部品。 [3](C)無機フィラーの量が、(A)ポリトリメチ
レンテレフタレート樹脂及び(C)無機フィラーの総重
量に対して70重量%以下である、前記[1]又は
[2]に記載のスライドファスナー部品。 [4](C)無機フィラーが、ガラス繊維、ガラスビー
ズ及びガラスフレークからなる群から選ばれる1種類以
上のガラス材料である、前記[1]から[3]のいずれ
かに記載のスライドファスナー部品。
【0012】[5](C)無機フィラーが、タルク、マ
イカ、ウォラストナイト、カオリン、炭酸カルシウム、
炭素繊維及びチタン酸カリウムウィスカーの群から選ば
れる1種類以上ある、前記[1]から[4]のいずれか
に記載のスライドファスナー部品。 [6]スライドファスナー部品が、射出成形により成形
されている、前記[1]から[5]のいずれかに記載の
スライドファスナー部品。 [7]スライドファスナー部品が、スライダーである、
前記[1]から[6]のいずれかに記載のスライドファ
スナー部品。 [8]スライドファスナー部品が、エレメントである、
前記[1]から[6]のいずれかに記載のスライドファ
スナー部品。
【0013】以下に本発明を詳細に記載する。本発明に
おける(A)ポリトリメチレンテレフタレート樹脂(以
下、PTTと略称することがある。)とは、酸成分に主
としてテレフタル酸を、グリコール成分に主としてトリ
メチレングリコールを用いたポリエステル樹脂である。
テレフタル酸以外の他の酸成分としては、テレフタル酸
以外の芳香族ジカルボン酸、例えばフタル酸、イソフタ
ル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジ
カルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェ
ノキシエタンジカルボン酸、ジフェニルメタンジカルボ
ン酸、ジフェニルケトンジカルボン酸、ジフェニルスル
フォンジカルボン酸等;コハク酸、アジピン酸、セバシ
ン酸等の脂肪族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボ
ン酸等の脂環族ジカルボン酸;ε−オキシカプロン酸、
ヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシエトキシ安息香酸等の
オキシジカルボン酸が例示される。なお、テレフタル酸
は、酸成分の80モル%以上であることが好ましい。
【0014】トリメチレングリコールとしては、1,3
−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,
1−プロパンジオール、2,2−プロパンジオールある
いはこれらの混合物の中から選ばれるが、安定性の観点
から1,3−プロパンジオールが特に好ましく、グリコ
ール成分の80モル%以上であることが好ましい。他の
グリコール成分としてはエチレングリコール、テトラメ
チレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサ
メチレングリコール、オクタメチレングリコール、ネオ
ペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、キ
シリレングリコール、ジエチレングリコール、ポリオキ
シアルキレングリコール、ハイドロキノンなどが例示さ
れる。
【0015】また、上述のポリエステルには、分岐成
分、例えばトリカルバリル酸、トリメシン酸、トリメリ
ット酸等の三官能または四官能のエステル形成能を持つ
酸またはグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタ
エリトリットなどの三官能または四官能のエステル形成
能を持つアルコールが共重合されていてもよく、その場
合、分岐成分の量は全ジカルボン酸成分の1.0モル%
以下、好ましくは、0.5モル%以下、さらに好ましく
は、0.3モル%以下である。更に、PTTはこれら共
重合成分を2種類以上組み合わせて使用しても構わな
い。
【0016】本発明に用いられるPTTの製造方法は、
特に限定されるものではないが例えば、特開昭51−1
40992号公報、特開平5−262862号公報、特
開平8−311177号公報等に記載されている方法に
よって、テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体
(例えばジメチルエステル、モノメチルエステル等の低
級アルキルエステル)とトリメチレングリコールまたは
そのエステル形成性誘導体とを、触媒の存在下、好適な
温度・時間で加熱反応させ、更に得られるテレフタル酸
のグリコールエステルを触媒の存在下、好適な温度・時
間で所望の重合度まで重縮合反応させる方法が挙げられ
る。
【0017】本発明のPTTは、その数平均分子量が
5,000〜100,000であることが好ましく、分
子量分布を示すMw/Mnが1.5〜4.5であること
が好ましい。さらには、分子量100,000以上の分
子が、1〜20%含有されることが好ましい。数平均分
子量および分子量分布は、例えば、浸透圧法や末端定量
法、或いはGPC法(ゲルパーミエーションクロマトグ
ラフィー)により測定することができる。具体的には、
測定装置として東ソー(株)製HLC−8120及びカ
ラムとして昭和電工(株)HFIP804−803(3
0cmカラム2本)、キャリアとしてヘキサフルオロイ
ソプロパノール(以後HFIPと呼ぶ)を用い、標準試
料としてポリマーラボラトリー社製PMMAを用いて、
温度40℃、流量0.5ml/分で実施することができ
る。
【0018】本発明でいう結晶化開始温度Tcとは、示
差走査熱量測定器を用いて、樹脂組成物のサンプル10
〜20mgを室温から100℃/分の昇温速度にて28
0℃まで加熱し、2分間保持した後、500℃/分の設
定降温速度にて23℃まで急冷した際に発現する、結晶
性樹脂の結晶化に伴う吸熱ピークのトップが観測された
時のサンプル温度をいう。この際、吸熱ピークが複数発
現する場合は、最初に観測される吸熱ピークを観測対象
のピークとする。
【0019】結晶化開始温度Tcが170℃以下の場
合、射出成形において金型内固化時の結晶化速度が適度
であるため、例えば、ガラス繊維等を含有する場合、表
面のガラス浮きがなく高外観の成形品が得られるため本
発明のスライドファスナー部品に好適である。より好ま
しい結晶化開始温度Tcは165℃以下であり、さらに
好ましくは160℃以下である。
【0020】又、本発明でいう結晶化ピーク時間とは、
示差走査熱量測定器を用いて、樹脂組成物のサンプル1
0〜20mgを室温から100℃/分の昇温速度にて2
80℃まで加熱し、2分間保持した後、500℃/分の
設定降温速度にて温度T℃まで急冷し、以後T℃にて1
0分間保持した際、サンプル温度がT℃に達した時間
(t1)と、降温開始から温度をT℃で保持し続ける間
に発現する結晶性樹脂の結晶化に伴う吸熱ピークのトッ
プが観測された時の時間(t2)との差(t2−t1)
をいう。この際、吸熱ピークが複数発現する場合は、最
後に観測される吸熱ピークを観測対象のピークとする。
なお、温度Tとは、60〜120℃の範囲をいい、現実
の射出成形を考えた場合、金型表面温度は厳密には均一
でなく温度分布が存在するため、結晶化ピーク時間は、
幅広い温度領域、即ち、温度Tの全領域において+20
秒以下である必要がある。
【0021】ここで、本発明においては、結晶化ピーク
時間が負の値となる場合が含まれる。以下、図1を用い
て説明する。図1は結晶化ピーク時間を得る際の示差走
査熱量測定器の温度プロファイルと得られるチャートの
模式図である。サンプルAの場合は、最後に観測される
吸熱ピークがサンプル温度をT℃にて保持している間に
発現しており、結晶化ピーク時間は正の値となる。一
方、サンプルBの場合は、サンプル温度がT℃に達する
までの間に吸熱ピークのトップが発現しており、t2<
t1となるため、結晶化ピーク時間は負の値となる。
【0022】本発明の温度T=60〜120℃という温
度範囲は、通常一般的な射出成形時の金型温度と同一で
あり、結晶化ピーク時間が+20秒以下であれば、結晶
化速度が適度となるため、金型内での冷却滞留時間を短
く抑えることができ経済的に得策である。好ましい結晶
化ピーク時間は+10秒以下、より好ましい結晶化ピー
ク時間は±0秒以下である。結晶性熱可塑性ポリエステ
ル樹脂は、機械的性質、物理的・化学的特性等に優れる
ため、スライドファスナー部品として種々の提案がなさ
れているが、代表的な熱可塑性ポリエステル樹脂である
PBTは結晶化開始温度Tcが高く、結晶化速度も非常
に大きいため、成形時の残留歪みあるいは外観不良を招
きやすい。また、PBTはあまりにも結晶化速度が大き
いため、添加剤等にて結晶化速度をコントロールするこ
とが容易でない。
【0023】一方、PETの結晶化速度はあまりにも小
さい為、成形条件を複雑に設定する必要があり、本発明
のスライドファスナー部品用材料としては不適である。
又、本発明のポリトリメチレンテレフタレート樹脂は、
その特性を損なわない範囲で、ポリトリメチレンテレフ
タレートと、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレ
ンテレフタレート等の他のポリエステル樹脂との混合物
であってもかまわない。
【0024】本発明で用いる(B)結晶核剤は結晶性熱
可塑性ポリエステル樹脂の結晶核剤として一般的に用い
られている公知の化合物が好ましい。例えば、タルク、
マイカ、窒化硼素、カオリン、シリカ、クレー、金属酸
化物、無機カルボン酸塩、無機スルホン酸塩、有機カル
ボン酸塩、有機スルホン酸塩、有機カルボン酸エステル
塩、炭酸塩、α−オレフィンとα,β−不飽和カルボン
酸塩とからなるイオン性共重合体等が好ましく使用され
る。中でも、下記一般式(1)で表される脂肪酸金属塩
は、より好ましく用いられる。 CH(CHCOO(M) (1) (式中、n≧0、M=Na、Ca、Li) 脂肪酸金属塩の中では、高級脂肪酸Na塩、高級脂肪酸
Ca塩、高級脂肪酸Li塩がさらに好ましい。これらの
結晶核剤はそれぞれ単独で用いても良いし、それらの混
合物を用いてもよい。
【0025】結晶核剤の添加量は、ポリトリメチレンテ
レフタレート樹脂組成物の結晶化開始温度Tcと結晶化
ピーク時間が本発明の範囲にあれば特に制限はなく、使
用する結晶核剤の種類、組み合わせ、性能等に応じて適
宜選択する。本発明でいう(C)無機フィラーとは、熱
可塑性ポリエステル樹脂に一般的に配合されるような公
知の無機フィラーをいう。この中で、例えば、タルク、
カオリン、マイカ、ガラス繊維等では、使用する種類等
により、(B)成分の結晶核剤として作用する性質を持
つものもある。本発明においては、(C)無機フィラー
として、ガラス繊維、ガラスビーズ及びガラスフレーク
からなる群から選ばれる1種以上のものを用いることが
好ましい。
【0026】ここで、ガラス繊維とは、通常ポリエステ
ル樹脂に用いられるものであれば特に制限はない。又、
組成物中のガラス繊維の数平均長さ(以下Lという)、
数平均繊維径(以下Dという)およびLとDの比(以下
L/Dともいう)については特に限定されないが、Lは
100μm以上、L/Dは20以上であることが好まし
い。ガラス繊維の配合量は、成形体の表面外観の観点か
ら、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂とガラス材料
の総重量に対し70重量%以下が好ましい。又、ガラス
ビーズやガラスフレーク等、他のガラス材料と併用する
場合は、ガラス材料の総重量が、樹脂とガラス材料の総
重量に対し70重量%以下が好ましい。又、前記ガラス
繊維は、特に表面処理を施したものが好ましく用いられ
る。表面処理としては公知のカップリング剤やフィルム
形成剤を用いて行う。好ましく用いられるカップリング
剤としては、シラン系カップリング剤、チタン系カップ
リング剤があげられる。
【0027】シラン系カップリング剤としては、トリエ
トキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシ−エトキ
シ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシ
シラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラ
ン、β−(1,1−エポキシシクロヘキシル)エチルト
リメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−ア
ミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロ
ピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプ
ロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルト
リメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシ
ラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−ア
ミノプロピル−トリス(2−メトキシ−エトキシ)シラ
ン、N−メチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラ
ン、N−ビニルベンジル−γ−アミノプロピルトリエト
キシシラン、トリアミノプロピルトリメトキシシラン、
3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−4,5
ジヒドロイミダゾールプロピルトリエトキシシラン、ヘ
キサメチルジシラザン、N,O−(ビストリメチルシリ
ル)アミド、N,N−ビス(トリメチルシリル)ウレア
等が挙げられる。この中でも、γ−アミノプロピルトリ
メトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミ
ノプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロ
ピルトリメトキシシラン、β−(1,1−エポキシシク
ロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のアミノシラ
ンおよびエポキシシランが好ましく用いられる。
【0028】チタン系カップリング剤は、イソプロピル
トリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリド
デシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルト
リス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、テ
トライソプロピルビス(ジオクチルホスフェイト)チタ
ネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイ
ト)チタネート、テトラ(1,1−ジアリルオキシメチ
ル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチ
タネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキ
シアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホス
フェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリオク
タノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソス
テアロイルチタネート、イソプロピルイソステアロイル
ジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチル
ホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフ
ェニルチタネート、イソプロピルトリ(N−アミドエチ
ル、アミノエチル)チタネート、ジクミルフェニルオキ
シアセテートチタネート、ジイソステアロイルエチレン
チタネート等が挙げられる。
【0029】フィルム形成剤としては、ウレタン系ポリ
マー、アクリル酸系ポリマー、無水マレイン酸とエチレ
ン、スチレン、α−メチルスチレン、ブタジエン、イソ
プレン、クロロプレン、2,3−ジクロロブタジエン、
1,3−ペンタジエン、シクロオクタジエンなどの不飽
和単量体とのコポリマー、エポキシ系ポリマー、ポリエ
ステル系ポリマー、酢酸ビニル系ポリマー、ポリエーテ
ル系ポリマーなどの重合体を挙げることが出来る。これ
らの中でも、エポキシ系ポリマー、ウレタン系ポリマ
ー、アクリル酸系ポリマー、ブタジエン無水マレイン酸
コポリマー、エチレン無水マレイン酸コポリマー、スチ
レン無水マレイン酸コポリマー、及び、これらの混合物
が好ましく用いられる。
【0030】又、好ましい無機フィラーとして、ガラス
材料以外にも、タルク、マイカ、ウォラストナイト、カ
オリン、炭酸カルシウム、炭素繊維及びチタン酸カリウ
ムウィスカー等を挙げることができる。その他の無機フ
ィラーとして、繊維状の無機フィラー、例えば、アスベ
スト繊維、シリカ繊維、シリカ・アルミナ繊維、ジルコ
ニア繊維、窒化硼素繊維、窒化ケイ素繊維、硼素繊維、
さらにステンレス、アルミニウム、チタン、銅、真鍮等
の金属繊維状物があげられる。
【0031】又、粉粒状である、シリカ、石英粉末、ケ
イ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、クレー、ケイ藻
土のごときケイ酸塩、酸化鉄、酸化チタン、酸化亜鉛、
アルミナのごとき金属の酸化物、炭酸マグネシウムのご
とき金属の炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムのご
とき金属の硫酸塩、その他、炭化ケイ素、窒化ケイ素、
各種金属粉末も用いることができる。無機フィラーの含
有量は、成形体の表面外観の観点から、ポリトリメチレ
ンテレフタレート樹脂と無機フィラーの総重量に対し7
0重量%以下とすることが好ましい。又、2種類以上の
無機フィラーを併用する場合も、無機フィラーの総重量
が、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂と無機フィラ
ーの総重量に対し70重量%以下となるようにすること
が好ましい。
【0032】2種類以上の無機フィラーの組み合わせと
しては、タルク、マイカ、ウォラストナイト、カオリ
ン、および炭酸カルシウム等からなる群から選ばれた少
なくとも1種とガラス繊維との組み合わせが好ましい。
又、本発明においては、(B)結晶核剤と(C)無機フ
ィラーの併用も好ましい。本発明においては、目的とす
るスライドファスナー部品に必要な性能に合わせて、そ
れを構成するポリトリメチレンテレフタレート樹脂組成
物に(D)着色剤を添加することが好ましい。
【0033】本発明で用いる(D)着色剤は、従来、熱
可塑性ポリエステル系樹脂に公知の顔料、染料等であ
り、好ましい顔料としては、有機顔料としては、モノア
ゾ及び縮合アゾ系、アンスラキノン系、イソインドリノ
ン系、複素環系、ペリノン系、キナクリドン系、ペリレ
ン系、チオインジゴ系、ジオキサジン系等があげられ
る。無機顔料としては、カーボンブラック、酸化チタ
ン、チタンイエロー、酸化鉄、群青、コバルトブルー、
焼成顔料、メタリック顔料等があげられる。
【0034】又、有機染料としては、アンスラキノン
系、複素環系、ペリン系の染料があげられる。ここで、
カーボンブラックとしては、チャネルブラック系、ファ
ーネスブラック系、ランプブラック系、サーマルブラッ
ク系、ケッチェンブラック系、ナフタレンブラック系等
が好ましく用いられる。これらのカーボンブラックは1
種で用いても良いし、又、2種以上を組み合わせて用い
ても良い。又、他の着色剤との併用も好ましい。
【0035】(D)着色剤として用いられるメタリック
顔料としては、アルミニウム、着色アルミニウム、ニッ
ケル、スズ、銅、金、銀、白金、酸化鉄、ステンレス、
チタン等の金属粒子、マイカ製パール顔料、カラーグラ
ファイト、カラーガラス繊維、カラーガラスフレーク等
をあげることができる。中でも、アルミニウム、ニッケ
ル、スズ、マイカ製パール顔料が好ましい。これらの顔
料は1種で用いても良いし、又、2種以上を組み合わせ
て用いても良い。前記メタリック顔料の平均粒子径は、
数平均粒子径にして1〜500μmであることが好まし
く、5〜300μmが更に好ましい。数平均粒子径が1
〜500μmであると、表面平滑性に優れ、かつ、メタ
リック色調が鮮やかに発現される。
【0036】(D)着色剤の配合量は、ポリトリメチレ
ンテレフタレート樹脂100重量部に対して0.01〜
10.0重量部であり、より好ましくは、ポリトリメチ
レンテレフタレート樹脂100重量部に対して0.05
〜5.0重量部である。配合量がポリトリメチレンテレ
フタレート樹脂100重量部に対して0.01〜10.
0重量部であれば、ポリトリメチレンテレフタレート樹
脂が本来有する機械特性を低下させることなく、鮮明な
色調を発現させることができる。
【0037】本発明のポリトリメチレンテレフタレート
樹脂組成物には、所望に応じて、酸化防止剤、熱安定
剤、離型剤、耐候剤、潤滑剤等、従来、熱可塑性ポリエ
ステル系樹脂に公知の添加剤を配合してもよい。又、本
発明の効果を損なわない範囲で、ポリトリメチレンテレ
フタレート樹脂組成物には、ポリカーボネート樹脂、ポ
リエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、ポ
リスチレン、ゴム強化ポリスチレン、アクリロニトリル
−スチレン共重合体、ABS樹脂等のスチレン系樹脂、
ポリアセタール、ポリアミド類、変性ポリフェニレンオ
キシド、ポリフェニレンサルファイド、ポリメチルメタ
クリレート等の熱可塑性樹脂の1種又は2種以上を配合
してもかまわない。
【0038】本発明のスライドファスナー部品を成形す
る場合、従来公知の成形法が用いられるが、射出成形法
がより好ましく用いられる。本発明の(A)ポリトリメ
チレンテレフタレート樹脂及び(B)結晶核剤及び/又
は(C)無機フィラーの組成物の結晶化挙動は、射出成
形の際の金型内での固化挙動に適している。本発明スラ
イドファスナー部品としては、スライダー、エレメント
が好ましいが、その他に上止具、下止具、開離嵌挿具等
の樹脂部品が挙げられる。
【0039】又、テープ補強用シート等の部品について
も、本発明の(A)ポリトリメチレンテレフタレート樹
脂、(B)結晶核剤及び/又は(C)無機フィラーの組
成物からなるシート状成形品から構成することも可能で
ある。本発明の使用目的として、スライドファスナー製
品を作製する場合、その全ての樹脂部品に本発明の部品
を用いれば、その廃棄の際には樹脂の分別が不要とな
る。又、さらに、テープ、縫糸、芯紐等、スライドファ
スナー製品を構成する繊維部品にポリトリメチレンテレ
フタレート繊維を用いればさらに分別、回収が容易とな
る。
【0040】
【発明の実施の形態】次に、実施例により本発明を詳細
に説明するが、本発明はこれらの例により何ら限定され
るものではない。まず、実施例におけるポリトリメチレ
ンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹
脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリアミド樹
脂、ポリプロピレン樹脂、ガラス繊維、タルク、核剤及
び測定項目と測定条件を述べる。
【0041】(1)ポリエステル樹脂 a−1:極限粘度[η]が1.02であり、かつ、数平
均分子量が9800、Mw/Mn=2.5、100,0
00以上の分子量が占める割合が5.8%であるポリト
リメチレンテレフタレート樹脂 なお、極限粘度[η]は以下の定義式によって求められ
る値である。 [η]=lim1/C×(η−1) [C→0] 式中のηは、ポリエステル樹脂を純度98%以上のo
−クロロフェノールに溶解させた希釈溶液の35℃にお
ける粘度を、同一温度における上記溶媒の粘度で除した
値であり、相対粘度として定義されているものである。
また、Cは上記希釈溶液100ml中の溶質の重量
(g)である。 a−2:極限粘度1.05のポリブチレンテレフタレー
ト樹脂 a−3:極限粘度0.70のポリエチレンテレフタレー
ト樹脂
【0042】(2)ポリアミド樹脂 b−1:UBEナイロン1013B(宇部興産(株)
製) (3)ポリプロピレン樹脂 c−1:230℃、2.16kgfの荷重下でのメルト
フローレートが11.0であるポリプロピレンホモポリ
マー (4)ガラス繊維 GF−1:繊維径10μm、長さ3mmのチョップドス
トランドをアミノシランカップリング剤とエポキシ系収
束剤の混合物で表面処理したもの
【0043】(5)タルク MF−1:ミクロエースL−1(日本タルク(株)製) (6)核剤 NAV−1:モンタン酸ナトリウム(リコモントNaV
101;クラリアント(株)製) (7)結晶化開始温度 パーキンエルマー社製示差走査熱量計DSC7型を用
い、サンプル約12mgを室温から100℃/分の昇温
速度にて280℃まで加熱し、同温度で2分間保持した
後、500℃/分の設定降温速度にて23℃まで急冷
し、最初に発現する結晶化に伴う吸熱ピークのトップが
観測された時のサンプル温度を求めた。
【0044】(8)結晶化ピーク時間 パーキンエルマー社製示差走査熱量計DSC7型を用
い、サンプル約12mgを室温から100℃/分の昇温
速度にて280℃まで加熱し、同温度で2分間保持した
後、500℃/分の設定降温速度にて目標温度(T)6
0℃まで急冷し、以後60℃にて10分間保持した。降
温開始から60℃で保持する間に発現する結晶化に伴う
吸熱ピークのトップまでの時間(秒)を求めた。この
時、吸熱ピークが複数発現する場合、最も遅い時間に発
現する吸熱ピークの時間を結晶化ピーク時間とした。ま
た、サンプル温度が60℃に達した時間を±0秒として
表示した。さらに、サンプルを替え、目標温度(T)を
それぞれ70、80、90、100、110、120℃
とし、上記と同様に測定を行い、それぞれの結晶化ピー
ク時間を求め、目標温度(T)の60〜120℃の範囲
での結晶化ピーク時間を評価した。
【0045】(9)曲げ弾性率:JIS K 7171
準拠 試験機:(株)オリエンテック製テンシロンUTC−3
0T型 試験片:110mm×10mm×4mmt 試験温度:23℃ 試験速度:2mm/min 絶乾調整:試験片をシリカゲル共存のデシケーター中に
23℃×24時間放置して調整する 吸水調整:試験片を23℃、50%RHの条件下で60
日間放置して調整する
【0046】(10)成形体表面外観−1 射出成形にて100ショットの成形を行い、以下の基準
に基準に基づき目視判定を実施した。 ○ : 100ショット全てにヒケ、フローマークの発生
がない。 × : ヒケ、フローマークの発生した成形体がある。 (11)成形体表面外観−2 以下の基準に基準に基づき目視判定を実施した。 ○ : ガラスの浮き上がりがない。 × : ガラスの浮き上がりがある。
【0047】(12)耐候性 キセノン耐候性試験機(スガ試験機社製)を用い、IS
O4892の条件にて、1000時間の耐候性試験を行
った。試験後の試料を以下の基準に基づき判定した。 (A)色差;色差計(スガ試験機製ハンディーカラーテ
スターHC−T)を用いて、ΔE値(JISZ−873
0)を求めた。値が小さいほど色の変化が少ないことを
示している。 (B)クラックの程度;試験片の光照射面を100倍の
顕微鏡で観察し、その程度を次の判定基準に従って評価
した。 判定基準: 0:クラックはない。 1:クラックが、僅かにある。 2:クラックが、長くはっきりしている。 3:クラックが、長く、一視野に20本以上ある。 4:クラックが全面にわたり発生している。
【0048】
【実施例1】ポリトリメチレンテレフタレート樹脂(a
−1)と結晶核剤(NAV−1)とを表1に示す比率で
混合し、さらに、着色剤として平均粒径16μmのカー
ボンブラックを1.0重量部(ポリトリメチレンテレフ
タレート樹脂を100重量部とする)を添加し、2軸押
出機(東芝機械(株)製:TEM35、2軸同方向スク
リュー回転型、L/D=47.6(D=37mmφ))
を用いて溶融混練を行った。この時、スクリュー回転数
は300rpm、シリンダー温度は260℃、押出しレ
ート60kg/Hrであった。先端ノズルからストラン
ド状にポリマーを排出し、水冷、カッティングを行いペ
レットを得た。該ペレットを120℃の窒素雰囲気下で
5時間乾燥した。このペレットを用い、結晶化開始温
度、及び、結晶化ピーク時間を測定した。評価結果を表
1に示す。
【0049】該ペレットを用い、曲げ弾性率評価用試験
片を射出成形し、絶乾時、吸水時の曲げ弾性率を評価し
た。成形は、樹脂温度260℃、金型温度95℃で行っ
た。評価結果を表2に示す。又、該ペレットを用い、図
2の1で示すスライドファスナー部品であるエレメン
ト、及び、図2の4で示す下止具を射出成形し、成形体
表面外観−1を評価した。この時、樹脂温度260℃、
金型温度95℃であった。評価結果を表2に示す。さら
に、エレメント及び下止具を耐候性試験に供し、色差及
びクラックの程度を評価した。評価結果を表2に示す。
【0050】
【実施例2】ポリトリメチレンテレフタレート樹脂(a
−1)とタルク(MF−1)とを表1に示す重量比で混
合し、さらに、着色剤として平均粒径16μmのカーボ
ンブラックを1.0重量部(ポリトリメチレンテレフタ
レート樹脂+タルク重量を100重量部とする)を添加
した以外は実施例1と同様の操作を行い、ペレットを得
た。該ペレットを用い、実施例1と同様に、結晶化開始
温度、結晶化ピーク時間、及び、絶乾時、吸水時の曲げ
弾性率を評価した。評価結果を表1、表2に示す。又、
該ペレットを用い、実施例1と同様に、図2の1で示す
スライドファスナー部品であるエレメント、及び、図2
の4で示す下止具を射出成形し、実施例1と同様に、成
形体表面外観−1、及び、耐候性を評価した。評価結果
を表2に示す。
【0051】
【比較例1】ペレット化したポリトリメチレンテレフタ
レート樹脂(a−1)を120℃の窒素雰囲気下で5時
間乾燥し、結晶化開始温度、及び、結晶化ピーク時間を
測定した。評価結果を表1に示す。該ペレットを用い、
実施例1と同様に、射出成形にて、曲げ弾性率測定用の
試験片を作製したが、ヒケが大きく、曲げ弾性率の測定
が不可であった。
【0052】
【比較例2】ポリブチレンテレフタレート樹脂(a−
2)と着色剤として平均粒径16μmのカーボンブラッ
クを1.0重量部(ポリブチレンテレフタレート樹脂を
100重量部とする)とを混合し、実施例1と同様の操
作を行いペレットを得た。該ペレットを用い、実施例1
と同様に、結晶化開始温度、結晶化ピーク時間、及び、
絶乾時、吸水時の曲げ弾性率を評価した。評価結果を表
1、表2に示す。又、該ペレットを用い、実施例1と同
様に、図2の1で示すスライドファスナー部品であるエ
レメント、及び、図2の4で示す下止具を射出成形し、
実施例1と同様に、成形体表面外観−1、及び、耐候性
を評価した。評価結果を表2に示す。本比較例では、下
止具部にヒケが認められた。
【0053】
【比較例3】ポリエチレンテレフタレート樹脂(a−
3)と着色剤として平均粒径16μmのカーボンブラッ
クを1.0重量部(ポリエチレンテレフタレート樹脂を
100重量部とする)とを混合し、2軸押出機(東芝機
械(株)製:TEM35、2軸同方向スクリュー回転
型、L/D=47.6(D=37mmφ))を用いて溶
融混練を行った。この時、スクリュー回転数は300r
pm、シリンダー温度は290℃、押出しレート60k
g/Hrであった。先端ノズルからストランド状にポリ
マーを排出し、水冷、カッティングを行いペレットを得
た。該ペレットを120℃の窒素雰囲気下で5時間乾燥
した。該ペレットを用い、樹脂温度285℃、金型温度
95℃の条件下、射出成形にて曲げ弾性率測定用の試験
片を作製したが、結晶化せず、満足できる成形片が得ら
れなかった。結果を表2に示す。
【0054】
【実施例3】ポリトリメチレンテレフタレート樹脂(a
−1)とガラス繊維(GF−1)とを表3に示す重量比
で混合し、さらに、着色剤として平均粒系60μmのア
ルミ粉末0.5重量部(ポリトリメチレンテレフタレー
ト樹脂+ガラス繊維重量を100重量部とする)を添加
した以外は実施例1と同様の操作を行い、ペレットを得
た。該ペレットを用い、実施例1と同様に、結晶化開始
温度、結晶化ピーク時間、及び、絶乾時、吸水時の曲げ
弾性率を評価した。評価結果を表3、表4に示す。又、
該ペレットを用い、図2の2で示すスライドファスナー
部品であるスライダーを射出成形し、成形体表面外観−
1及び成形体表面外観−2を評価した。この時、樹脂温
度260℃、金型温度95℃であった。評価結果を表4
に示す。さらに、スライダーを耐候性試験に供し、色差
及びクラックの程度を評価した。評価結果を表4に示
す。
【0055】
【実施例4】実施例3に対して、表3に示すようにポリ
トリメチレンテレフタレート樹脂(a−1)とガラス繊
維(GF−1)との重量比を変えた以外は、実施例1と
同様の操作を行いペレットを得た。該ペレットを用い、
実施例1と同様に、結晶化開始温度、結晶化ピーク時
間、及び、絶乾時、吸水時の曲げ弾性率を評価した。評
価結果を表3、表4に示す。又、該ペレットを用い、実
施例3と同様に、図2の2で示すスライドファスナー部
品であるスライダーを射出成形し、成形体表面外観−1
及び成形体表面外観−2を評価した。評価結果を表4に
示す。さらに、スライダーを耐候性試験に供し、色差及
びクラックの程度を評価した。評価結果を表4に示す。
【0056】
【比較例4】実施例3で用いたポリトリメチレンテレフ
タレート樹脂(a−1)の代わりにポリブチレンテレフ
タレート樹脂(a−2)を用いた以外は、表3に示す重
量比にて、実施例3と同様の操作を行いペレットを得
た。該ペレットを用い、実施例1と同様に、結晶化開始
温度、結晶化ピーク時間、及び、絶乾時、吸水時の曲げ
弾性率を評価した。評価結果を表3、表4に示す。又、
該ペレットを用い、実施例3と同様に、図2の2で示す
スライドファスナー部品であるスライダーを射出成形
し、成形体表面外観−1及び成形体表面外観−2を評価
した。評価結果を表4に示す。本比較例では、表面にガ
ラス浮きが認められた。さらに、スライダーを耐候性試
験に供し、色差及びクラックの程度を評価した。評価結
果を表4に示す。
【0057】
【比較例5】実施例3で用いたポリトリメチレンテレフ
タレート樹脂(a−1)の代わりにポリアミド樹脂(b
−1)を用いた以外は、表3に示す重量比にて、実施例
3と同様の操作を行いペレットを得た。該ペレットを用
い、実施例1と同様に、絶乾時、吸水時の曲げ弾性率を
評価した。評価結果を表4に示す。又、該ペレットを用
い、実施例3と同様に、図2の2で示すスライドファス
ナー部品であるスライダーを射出成形し、成形体表面外
観−1及び成形体表面外観−2を評価した。評価結果を
表4に示す。本比較例では、表面にガラス浮きが認めら
れた。さらに、スライダーを耐候性試験に供し、色差及
びクラックの程度を評価した。評価結果を表4に示す。
【0058】
【比較例6】実施例3で用いたポリトリメチレンテレフ
タレート樹脂(a−1)の代わりにポリプロピレン樹脂
(c−1)を用いた以外は、表3に示す重量比にて、実
施例3と同様の操作を行いペレットを得た。該ペレット
を用い、実施例1と同様に、絶乾時、吸水時の曲げ弾性
率を評価した。評価結果を表4に示す。又、該ペレット
を用い、実施例3と同様に、図2の2で示すスライドフ
ァスナー部品であるスライダーを射出成形し、成形体表
面外観−1及び成形体表面外観−2を評価した。評価結
果を表4に示す。本比較例では、表面にガラス浮きが認
められた。さらに、スライダーを耐候性試験に供し、色
差及びクラックの程度を評価した。評価結果を表4に示
す。
【0059】
【表1】
【0060】
【表2】
【0061】
【表3】
【0062】
【表4】
【0063】
【発明の効果】本発明の、ポリトリメチレンテレフタレ
ート樹脂と結晶核剤及び/又は無機フィラーの組成物か
らなるスライドファスナー部品は、表面外観性に優れ、
かつ、スライダー等剛性を必要とされる部品にも適して
おり、又、多彩な色調において耐候性に優れ、吸水率が
小さく環境による剛性の低下がないため、屋外テント用
等のスライドファスナー部品としても好適である。加え
て、テープ、縫糸、芯紐等、スライドファスナーを構成
する繊維部品にポリトリメチレンテレフタレート繊維を
用いれば、さらに分別、回収が容易となり、リサイクル
の観点からも環境対応に優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】結晶化ピーク時間の模式図である。
【図2】スライドファスナーの正面図
【符号の説明】
1:エレメント 2:スライダー 3:上止具 4:下止具 5:テープ

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)ポリトリメチレンテレフタレート
    樹脂、(B)結晶核剤及び/又は(C)無機フィラーを
    含み、かつ以下(1)及び(2)に示す結晶化挙動を有
    する組成物からなることを特徴とするスライドファスナ
    ー部品。 (1)前記組成物の10〜20mgを、示差走査熱量測
    定器を用いて、室温から100℃/分の昇温速度にて2
    80℃まで加熱し、2分間保持した後、500℃/分の
    設定降温速度にて23℃まで急冷した場合における結晶
    化開始温度Tcが170℃以下。 (2)前記組成物の10〜20mgを、示差走査熱量測
    定器を用いて、室温から100℃/分の昇温速度にて2
    80℃まで加熱し、2分間保持した後、500℃/分の
    設定降温速度にて温度T℃まで急冷し以後T℃にて保持
    した場合における結晶化ピーク時間が、Tの全温度領域
    で+20秒以下である(ここで、温度Tは60〜120
    ℃の範囲)。
  2. 【請求項2】 (A)ポリトリメチレンテレフタレート
    樹脂100重量部に対して、さらに(D)着色剤0.0
    1〜10.0重量部を含有してなる組成物からなること
    を特徴とする請求項1に記載のスライドファスナー部
    品。
  3. 【請求項3】 (C)無機フィラーの量が、(A)ポリ
    トリメチレンテレフタレート樹脂及び(C)無機フィラ
    ーの総重量に対して70重量%以下であることを特徴と
    する請求項1又は2に記載のスライドファスナー部品。
  4. 【請求項4】 (C)無機フィラーが、ガラス繊維、ガ
    ラスビーズ及びガラスフレークからなる群から選ばれる
    1種類以上のガラス材料であることを特徴とする請求項
    1から3のいずれかに記載のスライドファスナー部品。
  5. 【請求項5】 (C)無機フィラーが、タルク、マイ
    カ、ウォラストナイト、カオリン、炭酸カルシウム、炭
    素繊維及びチタン酸カリウムウィスカーの群から選ばれ
    る1種類以上あることを特徴とする請求項1から3のい
    ずれかに記載のスライドファスナー部品。
  6. 【請求項6】 スライドファスナー部品が、射出成形に
    より成形されていることを特徴とする請求項1から5の
    いずれかに記載のスライドファスナー部品。
  7. 【請求項7】 スライドファスナー部品が、スライダー
    であることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記
    載のスライドファスナー部品。
  8. 【請求項8】 スライドファスナー部品が、エレメント
    であることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記
    載のスライドファスナー部品。
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