JPWO2016067400A1 - ファスナーエレメント及びファスナーエレメントの製造方法 - Google Patents

ファスナーエレメント及びファスナーエレメントの製造方法 Download PDF

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Abstract

耐摩耗性を確保しながら効果的にチェーン横引強度を向上させることのできるポリアセタール樹脂製のエレメントを提供する。平均繊維径5〜15μm、数平均繊維長が150〜500μmの強化繊維を5〜30質量%含有するポリアセタール樹脂組成物からなるファスナーエレメント。

Description

本発明はファスナーエレメント及びファスナーエレメントの製造方法に関する。また、本発明は当該ファスナーエレメントを備えたファスナーストリンガーに関する。また、本発明は当該ファスナーエレメントを備えたスライドファスナーに関する。
スライドファスナーは衣料品、鞄類、靴類及び雑貨品といった身近な日用品の他、貯水タンク、漁網及び宇宙服といった産業用品においても使用される物品の開閉具である。スライドファスナーは一般に、一対の長尺ファスナーテープ、各テープの一側縁に沿って取着されるファスナーの噛合部分である多数のエレメント、及び対向するエレメント同士を噛合又は分離することによりファスナーの開閉を制御するスライダーの三つの部分から主として構成される。
ファスナーテープへのエレメント取付方法の一つに、ファスナーテープの一側縁に形成された芯部に合成樹脂を射出成形する方法がある。エレメントを構成する材料の一種としてポリアセタール(ポリオキシメチレン)樹脂が知られている(例:特開2007−021023号公報)。ポリアセタール樹脂は、強度、弾性率、クリープ特性、耐衝撃性及び繰り返し疲労特性のバランスに優れたエンジニアリング樹脂であり、各種の機構部品をはじめ、OA機器等に広く使用されている樹脂である。
また、特開平5−125256号公報及びWO01/032775にはファスナー材料として、ポリアセタール樹脂が使用でき、強化剤又は無機充填剤としてガラス繊維を添加してもよいことが記載されている。WO01/032775には更に、無機充填剤はポリオキシメチレン樹脂100重量部に対して、0.5〜100重量部の範囲とすることが好ましく、より好ましくは2〜80重量部の範囲であること、0.5重量部未満では充填剤の補強効果が不十分であり、100重量部を超えると表面外観の悪化とともに成形加工性や耐衝撃性が低下するため好ましくないことが記載されている。
特開平5−125256号公報 WO01/032775 特開2007−021023号公報
従来、ポリアセタール樹脂を射出成形することで作製されたエレメントを備えるスライドファスナーは、コイルファスナーに比べてチェーン横引強度が弱いという欠点を有していた。このため、鞄など強度が必要な物品では、エレメントのサイズを大きくする必要があった。特に、ポリアセタール樹脂の射出成形により厚みの薄いエレメントを作製すると、チェーン横引強度測定時に、エレメントのテープ挟持部分が変形して開いてしまう“足開き”の状態になりやすい。このため、強度の改善されたポリアセタール樹脂製のエレメントが提供されることが望ましい。
この点、特開平5−125256号公報及びWO01/032775にはポリアセタール樹脂を材料とするファスナーにガラス繊維を配合し得ることが記載されているものの、ファスナーエレメントのように小さな部品にガラス繊維を配合してもガラス繊維を一定の方向に配向させるのが難しく、チェーン横引強度が期待したほど上昇しないという問題があった。また、エレメントに配合したガラス繊維によって、エレメントとの摩擦を受けたスライダーが摩耗してしまうという問題もあった。
本発明は上記事情を背景に創作されたものであり、耐摩耗性を確保しながら効果的にチェーン横引強度を向上させることのできるポリアセタール樹脂製のエレメントを提供することを課題の一つとする。また、本発明はポリアセタール樹脂製のエレメントを製造する方法を提供することも課題の一つとする。また、本発明は本発明に係るエレメントを備えたファスナーストリンガーを提供することを別の課題の一つとする。また、本発明は本発明に係るエレメントを備えたスライドファスナーを提供することを更に別の課題の一つとする。
本発明者は上記課題を解決するために鋭意研究を行ったところ、強化繊維の平均繊維径及び数平均繊維長を特定の範囲に制御して適切量配合した場合に、優れたチェーン横引強度及び耐摩耗性を達成できることを見出した。また、本発明者は強化繊維の繊維長の分布を制御することでチェーン横引強度及び耐摩耗性が更に向上することを見出した。本発明は上記知見を基礎として完成したものである。
本発明は一側面において、平均繊維径5〜15μm、数平均繊維長が150〜500μmの強化繊維を5〜30質量%含有するポリアセタール樹脂組成物からなるファスナーエレメントである。
本発明に係るファスナーエレメントの一実施形態においては、強化繊維は、数平均繊維長をLn、重量平均繊維長をLwとしたときに、Lw/Lnが1.0〜2.0である繊維長分布をもつ。
本発明に係るファスナーエレメントの別の一実施形態においては、強化繊維は、平均繊維径が6〜13μm、数平均繊維長が200〜350μm、Lw/Lnが1.1〜1.8であり、ポリアセタール樹脂組成物中に強化繊維が10〜20質量%含有する。
本発明に係るファスナーエレメントの更に別の一実施形態においては、厚みtが2.6mm以下であり、横方向長さlが4.5mm以下であり、縦方向長さmが3.2mm以下である。
本発明に係るファスナーエレメントの更に別の一実施形態においては、ファスナーエレメントが射出成形により作製される。
本発明は別の一側面において、強化繊維を含有するポリアセタール樹脂組成物からなるファスナーエレメントの製造方法であって、ポリアセタール樹脂組成物中の強化繊維の含有量を、第一のポリアセタール樹脂組成物中に強化繊維を含有させた状態で溶融混練する工程を経てマスターバッチを作製した後、強化繊維を含有しない第二のポリアセタール樹脂組成物をマスターバッチと混合することで調整することを含む方法である。
本発明は更に別の一側面において、本発明に係るファスナーエレメントを備えたファスナーストリンガーである。
本発明は更に別の一側面において、本発明に係るファスナーエレメントを備えたファスナーチェーンであって、エレメント間のピッチpを3.5mm以下とし、チェーン幅wを6.3mm以下とし、エレメントの厚みtを2.6mm以下としたファスナーチェーンである。
本発明は更に別の一側面において、本発明に係るファスナーエレメント又は本発明に係るファスナーチェーンを備えたスライドファスナーである。
本発明は更に別の一側面において、本発明に係るスライドファスナーを備えた物品である。
本発明によれば、ポリアセタール製のファスナーエレメントに対して強化繊維によるチェーン横引強度の顕著な向上効果を得ることができると共に耐摩耗性も確保できる。本発明は特にピッチや厚みの小さなエレメントに対して効果を発揮する。
本発明に係るエレメントを備えたファスナーストリンガーの部分正面図の一例である。 本発明に係るエレメントを備えたファスナーストリンガーの部分側面図の一例である。 本発明に係るエレメントを備えたファスナーチェーンの部分正面図の一例である。 本発明に係るエレメントを備えたスライドファスナーの正面図の一例である。 二軸混練押出機の装置構成例を示す。
本発明においては、所定の形状特性(平均繊維径及び数平均繊維長)をもつ強化繊維を適切な量だけ配合したポリアセタール樹脂組成物を用いてファスナーエレメントを作製する点を特徴としており、以下にその特徴について好適な実施形態を含めて詳細に説明する。
<1.強化繊維>
(材質)
本発明に使用する強化繊維としては、限定的ではないが、例えば、炭素繊維、アラミド繊維等の有機繊維のほか、ガラス繊維、セラミック繊維、金属繊維、鉱物繊維、スラッグ繊維、針状ワラストナイト、ウィスカー(例:チタン酸カルシウムウィスカー、炭酸カルシウムウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカー)等の無機繊維を用いることができる。一定以上の流動性を保持しつつ、強度を向上させることができる点で、ガラス繊維、アラミド繊維及び炭素繊維から選択される何れか一種以上を用いることが好ましく、ガラス繊維がより好ましい。これらは単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用しても良い。本発明で好適に使用可能なガラス繊維としては、Eガラス(Electrical glass)、Cガラス(Chemical glass)、Aガラス(Alkali glass)、Sガラス(High strength glass)及び耐アルカリガラス等のガラスを溶融紡糸してフィラメント状にしたものが挙げられる。本発明で用いられるガラスモノフィラメントは、補強効果の観点から、Eガラスを溶融紡糸してフィラメント状にしたものが好ましい。
(含有量)
エレメントを形成しているポリアセタール樹脂組成物中の強化繊維は、含有量が多い方が曲げ強度に優れ、少ない方が引張強度に優れるという傾向にある。具体的には、強化繊維の含有量が5質量%未満だと、曲げ強度の改良効果が得られず、チェーン横引強度でエレメントの足開きが発生し、容易にエレメントが抜けてしまう。そこで、ポリアセタール樹脂組成物中(すなわち、エレメント中)の強化繊維の含有量は5質量%以上とすることが必要であり、好ましくは10質量%以上であり、より好ましくは13質量%以上である。一方で、強化繊維の含有量が30質量%を超えると、エレメントの引張強度が低下し、エレメント破壊が発生しやすくなる。そこで、ポリアセタール樹脂組成物中の強化繊維の含有量は30質量%以下とすることが必要であり、好ましくは20質量%以下であり、より好ましくは17質量%以下である。
(平均繊維径)
エレメント中の強化繊維の平均繊維径もエレメントの強度やスライドファスナーの耐摩耗性に有意に影響を与える。エレメント中の強化繊維の平均繊維径が5μm未満だと十分な補強効果が得られず、容易にエレメント破壊が発生する。また、強化繊維の平均繊維径は大きい方がエレメントの耐摩耗性が向上する。そこで、エレメント中の強化繊維の平均繊維径は5μm以上とすることが必要であり、好ましくは6μm以上であり、より好ましくは8μm以上である。一方で、強化繊維の平均繊維径が15μmを超えると、今度はスライダーの摩耗を生じやすくなり、耐摩耗性が悪化するとともに補強効果が低下する。そこで、エレメント中の強化繊維の平均繊維径は15μm以下とすることが必要であり、好ましくは13μm以下であり、より好ましくは11μm以下である。
本発明において、エレメント中の強化繊維の平均繊維径は以下の方法で測定可能である。無機繊維の場合はエレメントを600℃に保持した電気炉で2時間焼成することで、又は有機繊維の場合はエレメントを500℃に保持した電気炉で5時間焼成することで樹脂成分を除去した後、走査型電子顕微鏡(SEM)による観察で、任意に選択した100本の強化繊維のそれぞれの長さ中央部の繊維径(直径)を倍率1000倍で測定したときの算術平均として与えられる。焼成せずに、樹脂中の強化繊維の繊維径をマイクロフォーカスX線透視/CT装置を使って同様に測定してもよい。
(数平均繊維長)
エレメント中の強化繊維の数平均繊維長もエレメントの強度やスライドファスナーの耐摩耗性に有意に影響を与える。強化繊維の数平均繊維長が150μm未満だと、十分な補強効果が得られず、容易にエレメント破壊が発生する。また、強化繊維の数平均繊維長は大きい方がエレメント列の耐摩耗性が向上する。そこで、エレメント中の強化繊維の数平均繊維長は150μm以上とすることが必要であり、好ましくは200μm以上であり、より好ましくは250μm以上である。一方で、強化繊維の数平均繊維長が500μmを超えると、今度はスライダーの摩耗を生じやすくなり、耐摩耗性が悪化すると共に補強効果も低下する。そこで、エレメント中の強化繊維の数平均繊維長は500μm以下とすることが必要であり、好ましくは350μm以下であり、より好ましくは300μm以下である。
本発明において、エレメント中の強化繊維の数平均繊維長(Ln)は以下の方法で測定可能である。無機繊維の場合はエレメントを600℃に保持した電気炉で2時間焼成することで、又は有機繊維の場合はエレメントを500℃に保持した電気炉で5時間焼成することで樹脂成分を除去した後、走査型電子顕微鏡(SEM)による観察で、任意に選択した100本の強化繊維のそれぞれの繊維長を倍率50倍で測定したときの観察結果から、下記の式より算出する。焼成せずに、樹脂中の強化繊維の繊維長をマイクロフォーカスX線透視/CT装置を使って測定してもよい。
Ln=Σ(Li×Ni)/ΣNi
Li:強化繊維の繊維長
Ni:繊維長Liの強化繊維の本数
(Lw/Ln)
強化繊維の数平均繊維長をLn、重量平均繊維長をLwとすると、Lw/Lnは強化繊維の繊維長のばらつき度合いを表す。Lw/Lnは定義上、1.0以上となる。Lw/Lnが1であるというのは、同一材質の強化繊維を使用した場合、エレメント中に含まれるすべての強化繊維が同一の繊維長であることを意味する。Lw/Lnは大きい方がエレメントの補強効果が大きく、横引強度の向上効果が高くなるため、Lw/Lnは1.1以上であるのが好ましく、1.2以上であるのがより好ましく、1.3以上であるのが更により好ましい。一方で、Lw/Lnが大きくなりすぎると、逆に補強効果が小さくなり、また、スライダーの摩耗を生じやすくなる。そこで、Lw/Lnは2.0以下が好ましく、1.8以下がより好ましく、1.5以下が更により好ましい。
本発明において、強化繊維の重量平均繊維長(Lw)は以下の方法で測定可能である。無機繊維の場合は、エレメントを600℃に保持した電気炉で2時間焼成することで又は有機繊維の場合はエレメントを500℃に保持した電気炉で5時間焼成することで樹脂成分を除去した後、走査型電子顕微鏡(SEM)による観察で、任意に選択した100本の強化繊維のそれぞれの繊維長を倍率50倍で測定したときの観察結果から、下記の式より算出する。焼成せずに、樹脂中の強化繊維の繊維長をマイクロフォーカスX線透視/CT装置を使って測定してもよい。
Lw=Σ(Wi×Li)/ΣWi
=Σ(πRi2×Li×ρ×Ni×Li)/Σ(πRi2×Li×ρ×Ni)
=Σ(Ri2×Li2×Ni)/Σ(Ri2×Li×Ni)
Li:強化繊維の繊維長
Ni:繊維長Liの強化繊維の本数
Wi:強化繊維の重量
Ri:強化繊維の長さ中央部の繊維径
ρ:強化繊維の密度
強化繊維は、表面を集束剤で被覆されたもので構成されていることが一般的である。集束剤で強化繊維を被覆することにより、樹脂との接着性が増し、強度の向上効果が高まるという利点が得られる。集束剤としては、限定的ではないが、ウレタン系、ポリエステル系、アクリル系、エポキシ系、他各種カップリング剤等が挙げられる。より好ましくはウレタン系、アクリル系、シラン系カップリング剤である。
カップリング剤として、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、クロム系カップリング剤、ジルコニウム系カップリング剤、ボラン系カップリング剤等が挙げられ、好ましくはシラン系カップリング剤またはチタネート系カップリング剤であり、より好ましくはシラン系カップリング剤である。
前記のシラン系カップリング剤としては、例えば、トリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等が挙げられ、好ましくはγ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノシラン類である。
<2.ポリアセタール樹脂>
ポリアセタール樹脂はオキシメチレン基(−CH2O−)を主たる構成単位とする高分子化合物である。本発明で使用可能なポリアセタール樹脂としては、限定的ではないが、ポリアセタールホモポリマーやポリアセタールコポリマーが挙げられる。ポリアセタールホモポリマーとしては、限定的ではないが、ホルムアルデヒド単量体又はホルムアルデヒドの環状オリゴマーを単独重合して得られるポリアセタールホモポリマーが代表例として挙げられる。また、ポリアセタールコポリマーとしては、限定的ではないが、ホルムアルデヒド単量体又はホルムアルデヒドの環状オリゴマーと、環状エーテル及び/又は環状ホルマールとを共重合させて得られるポリアセタールコポリマーが代表例として挙げられる。ホルムアルデヒドの環状オリゴマーとしては、ホルムアルデヒドの3量体(トリオキサン)や4量体(テトラオキサン)等が挙げられる。環状エーテル及び環状ホルマールとしては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、エピクロルヒドリン、1,3−ジオキソランや1,4−ブタンジオールホルマールなどのグリコールやジグリコールの環状ホルマール等が挙げられる。
さらに、ポリアセタールコポリマーとしては、単官能グリシジルエーテルを共重合させて得られる分岐を有するポリアセタールコポリマーや、多官能グリシジルエーテルを共重合させて得られる架橋構造を有するポリアセタールコポリマーも用いることができる。
さらに、ポリアセタールホモポリマーとしては、両末端又は片末端に水酸基などの官能基を有する化合物、例えばポリアルキレングリコールの存在下、ホルムアルデヒド単量体又はホルムアルデヒドの環状オリゴマーを重合して得られるブロック成分を有するポリアセタールホモポリマーも用いることができる。また、ポリアセタールコポリマーとしては、同じく両末端又は片末端に水酸基などの官能基を有する化合物、例えば水素添加ポリブタジエングリコールの存在下、ホルムアルデヒド単量体又はホルムアルデヒドの環状オリゴマーと、環状エーテル及び/又は環状ホルマールとを共重合させて得られるブロック成分を有するポリアセタールコポリマーも用いることができる。
以上のように、本発明においては、ポリアセタールホモポリマーやポリアセタールコポリマーのいずれを用いてもよく、特に限定するものではない。これらのポリアセタール樹脂は、1種単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
<3.その他の添加剤>
本発明に係るポリアセタール樹脂組成物においては、ポリアセタール樹脂と強化繊維の合計含有量は典型的には90質量%以上であり、より典型的には95質量%以上である。この合計含有量は98質量%以上とすることもでき、更には100質量%とすることもできる。一方で、ポリアセタール樹脂組成物中には染料、顔料、耐熱安定剤、耐候剤、耐加水分解剤など常用の添加剤を例えば合計で10質量%以下、典型的には5質量%以下、より典型的には2質量%以下となるように添加してもよい。
<4.エレメント>
本発明に係るポリアセタール樹脂組成物は、前述した各構成成分を単軸押出混練機、2軸押出混練機及びニーダーなどの装置を用いて溶融混練することで製造可能である。溶融混練後は、慣用の成形手段、例えば射出成形によってエレメントを作製することができる。ファスナーテープの一側縁にエレメント列を射出成形して、射出成形と同時にファスナーテープにエレメント列を固定する方法が一般的である。
強化繊維は溶融混練時に破断して短くなるため、最終的にエレメントに成形されたときに強化繊維が前述した形状特性を有するようにスクリュー回転数、スクリュー構成及び混練温度などを制御することが必要となる。特に、強化繊維の繊維長分布を狭くする(Lw/Lnを小さくする)方法としては、強化繊維を高濃度に配合したポリアセタール樹脂組成物のマスターバッチを作製しておき、これに強化繊維の配合されていない着色又は無着色のポリアセタール樹脂及び必要に応じて添加剤を配合する方法がある。マスターバッチを作製しないと強化繊維の繊維長のばらつきが大きくなりやすい。マスターバッチ中の強化繊維濃度としては、例えば40〜80質量%とすることができ、典型的には45〜65質量%とすることができる。マスターバッチはポリアセタール樹脂中に強化繊維を所定濃度添加して溶融混練することで作製可能であり、これを冷却して固化した状態としてもよい。マスターバッチを利用することにより、強化繊維の繊維長の分布の制御性が向上することに加えて、強化繊維濃度の調整や着色ペレットの製造を容易にすることができるという利点も得られる。つまり、マスターバッチと強化繊維の入っていない着色又は無着色ポリアセタール樹脂を所要の種類配合することで、容易に数百色の強化繊維配合着色樹脂を製作できるため、生産性に優れる。
理論によって本発明が限定されることを意図するものではないが、マスターバッチを利用することによる繊維長の均一化のメカニズムについて説明する。マスターバッチは、樹脂に対して強化繊維を高濃度で配合して分散するため、スクリューによるせん断力に加えて、強化繊維同士のせん断力も強く作用し、強い混練効果が得られる。また、強化繊維同士のせん断力は、強化繊維長の短い繊維よりも長い繊維を破断する効果が大きいため、繊維長のばらつきを小さくすることができる。
本発明に使用できる二軸混練押出機の装置構成例について説明する。二軸混練押出機は一般に溶融ゾーンと混練ゾーンを有するスクリュー構成を備えた装置であり、モータ駆動のスクリュー軸がフライト・スクリュとニーディング・ディスクと呼ばれる混練エレメントを組み合わせて構成されている。
溶融ゾーン及び混練ゾーンともにニーディング・ディスクを含むことが好ましい。ニーディング・ディスクを含むことで、ポリアセタール樹脂の溶融化や、強化繊維の微分散が可能となる。ニーディング・ディスクは互いのディスクが交互に交わることで高い混練能力を有する。ニーディング・ディスクには順送り型、送りなし型、逆送り型があり、順送り型ニーディング・ディスクは典型的には、羽根が2枚〜10枚で、且つ羽根と羽根の捻れ角度が10〜60度、長さはスクリュー長径の0.3〜2.0の範囲である。送りなし型ニーディング・ディスクは典型的には、羽根が2枚〜10枚で、且つ羽根の捻れ角度が70〜110度、長さはスクリュー長径の0.3〜2.0の範囲である。逆送り型ニーディング・ディスクは典型的には、羽根が2枚〜10枚で、且つ羽根と羽根のねじれ角度が10〜60度、長さはスクリュー長径の0.3〜2.0の範囲である。
押出機のシリンダーは複数のブロックで構成することができ、各ブロックにおいてスクリュー構成を変更することができる。ニーディング・ディスクの数、種類(順送り、送りなし、逆送り)、ニーディング・ディスクで構成されるシリンダーブロックの数、位置は目的に応じて適宜決めることができる。また、フライト・スクリュで構成されるシリンダーブロックの数、種類(順送り、逆送り)、位置も目的に応じて適宜決めることができる。また、各ブロックの役割に応じてホッパー、ベント、サイドフィーダー等の機能を付加することもできる。
押出機は脱気ベントを有することが好ましい。熱履歴等により発生したホルムアルデヒドをベントから脱気させることにより、ポリアセタール樹脂のホルムアルデヒド放出量を低減させることが可能となる。脱気ベントの位置は、ニーディング・ディスクによる溶融ゾーンと混練ゾーンの混練後に位置する事が好ましく、−0.06〜−0.1MPaで減圧脱気する事が好ましい。また、バレルの長さによっては溶融ゾーンと混練ゾーンの間にも脱気ベント及び/又はオープンベントを設ける事ができる。溶融ゾーンと混練ゾーンの間に位置するベントは、強化繊維をサイドフィードする際に生じるエアーの咬み込みを脱気する為、又は溶融状態を確認する為にオープンベントとすることができる。
図5を参照すると、ポリアセタール樹脂を押出機のホッパー(HP)口からシリンダー内に供給し、溶融ゾーン(C1〜C9)で溶融する。溶融ゾーンの最終ブロック(C9)ではオープンベントが設置されている。次いで、強化繊維をサイドフィード(SF)口から供給し、混練ゾーン(C10〜C14)にて混練し、更にベント(V)口から脱気し、押出機とダイスの間に着脱自在に連結されたアダプター(A)を介し、ダイス(D)より連続的に押出すことができる。本発明において、ホッパー(HP)口とはスクリュー根元のフィード口であり、サイドフィード(SF)口とはホッパー口とダイの間に位置するフィード口である。強化繊維は、強化繊維の繊維長をある程度確保する、また製造機の摩耗を低減するなどの点からサイドフィード(SF)より供給することが好ましい。
溶融混錬の加工温度は180〜240℃であることが好ましく、品質や作業環境の保持のためには不活性ガスによる置換をすることも好ましい。
図1及び図2に、本発明に係るスライドファスナー用のエレメント3の列が射出成形により、ファスナーテープ2の一側縁に設けられた芯部21に挟持固定されてなるファスナーストリンガー1の部分的な模式図を示す。図1に示すように、エレメント3のピッチpは、隣り合うエレメント3の中心線の間の長さを表す。エレメント3の横方向長さlは、エレメントの配列方向に垂直な方向で且つファスナーテープの面に平行な方向(本発明においては、当該方向を「横方向」という。)の最大距離を表す。換言すれば、対向するエレメントと噛み合う頭部の先端3aからこれと反対側に位置してテープへ固定される脚部の先端3bまでの距離を表す。エレメント3の縦方向長さmは、エレメントの配列方向に平行な方向(本発明においては、当該方向を「縦方向」という。)の最大距離を表す。エレメント3の厚みtは、図2に示すように、ファスナーテープの表裏方向に平行な方向の最大距離を表す。また、図3には、一対のファスナーストリンガーのエレメント同士を噛合させてファスナーチェーンを構成したときの部分的な正面図を示す。チェーン幅wは、対向するエレメント同士を噛合させたとき、横方向のエレメントの脚部の先端3b同士の最大距離を表す。
本発明に係るスライドファスナー用のエレメント3について大きさは特に制限されないが、本発明においては、強化繊維が一定の方向に配向されにくくなり、強化繊維による補強効果が出にくいような小さなエレメントにおいても補強効果を発揮することができる。そのような小さなエレメントの大きさを横方向長さl、縦方向長さm及び厚みtで表現すると、横方向長さlは一般に4.5mm以下であり、より小さいエレメントでは4.1mm以下であり、更により小さいエレメントでは3.6mm以下であり、例えば3.2〜4.5mmであり、縦方向長さmは一般に3.2mm以下であり、より小さいエレメントでは2.7mm以下であり、更により小さいエレメントでは2.2mm以下であり、例えば1.9〜3.2mmであり、厚みtは一般に2.6mm以下であり、より小さいエレメントでは2.4mm以下であり、更により小さいエレメントでは2.2mm以下であり、例えば1.5〜2.6mmである。
また、エレメント3の大きさをピッチpで表現すると、ピッチpは一般に3.5mm以下であり、より小さいエレメントでは3.0mm以下であり、更により小さいエレメントでは2.5mm以下であり、例えば2.2〜3.5mmである。また、エレメント3の大きさをチェーン幅wで表現すると、チェーン幅wは一般に6.3mm以下であり、より小さいエレメントでは5.9mm以下であり、更により小さいエレメントでは5.5mm以下であり、例えば4.5〜6.3mmである。
図4は、本発明に係るエレメントを備えたスライドファスナーの模式図であり、一側縁側に芯部21が形成された一対のファスナーテープ2とファスナーテープ2の芯部21に所定の間隔をおいて取着されたエレメント3の列と、エレメント3の列の上端及び下端でファスナーテープ2の芯部21に固定された上止具4及び下止具5と、対向する一対のエレメント3の列の間に配され、エレメント3の噛合及び開離を行うための上下方向に摺動自在なスライダー6を備える。
一本のファスナーテープ2の一側縁に沿ってエレメント3の列が取着したものはファスナーストリンガーと称され、一対のファスナーストリンガーのエレメント3の列同士を噛合させたものはファスナーチェーンと称される。なお、下止具5は、蝶棒、箱棒、箱体からなる開離嵌挿具とし、スライダーの開離操作にて一対のスライドファスナーチェーンを分離できるようにすることもできる。
ファスナーテープ2に使用される絶縁性の材質は限定的ではないが天然樹脂又は合成樹脂とすることができる。一般にはこれらの繊維を織成又は編成することによりファスナーテープが構成される。ファスナーテープ2の材質としては典型的にはポリエステル、ポリアミド、ポリプロピレン、アクリル等を使用することができる。これらの中でも、横引強度が優れている点でポリエステルテープが好ましい。
本発明に係るスライドファスナーは各種の物品に取着することができ、特に開閉具として機能する。スライドファスナーが取着される物品としては、特に制限はないが、例えば衣料品、鞄類、靴類及び雑貨品といった日用品の他、貯水タンク、漁網及び宇宙服といった産業用品が挙げられる。
以下、本発明の実施例を示すが、これらは本発明及びその利点をより良く理解するために提供するものであり、本発明が限定されることを意図しない。
(GFマスターバッチG−1〜16及びG−17の製作)
Eガラス製のガラスモノフィラメントに集束剤が付着した市販の繊維長3mmのガラス繊維を用意した。用意したガラス繊維はマスターバッチの番号に応じて表1に記載の種々の平均繊維径を有している。次いで、ポリアセタール樹脂50質量部に対しガラス繊維(GF)が50質量部の比率になるよう、スクリューの直径45mmの二軸混練押出機にて溶融混練温度:200℃、スクリュー回転数150rpmの条件で溶融混練したのちストランドにて押し出し、ペレタイザーにてペレット化し、表1に記載の種々の平均繊維径及び数平均繊維長のガラス繊維を含有するGFマスターバッチG−1〜7(濃度50%品)を製作した。マスターバッチ中のガラス繊維の平均繊維径及び数平均繊維長は後述するSEM観察により行った。なお、ガラス繊維の繊維径は当初からエレメントが完成するまで変化しない。
前記G−1を製作する際に使用した二軸混練押出機のスクリュー回転数やスクリュー構成を調整して、数平均繊維長の異なるGFマスターバッチG−8〜13を製作した。スクリュー回転数が大きくなると繊維長は小さくなる傾向にあり、混練温度が高くなるとLw/Lnは小さくなる傾向にある。スクリュー構成の調整は具体的には、ガラス繊維をサイドフィード後のニーディング・ディスクの順送り、逆送りの種類を変更することで行った。順送り型のニーディング・ディスクを多用すると混練度合が弱くなり、ガラス繊維の繊維長は長くなって、Lw/Lnが大きくなる傾向にある一方、逆送り型のニーディング・ディスクを多用すると混練度合が強くなり、ガラス繊維の繊維長は短くなって、Lw/Lnが小さくなる傾向にある。
前記G−1を製作する際に使用した二軸混練押し出し機のスクリュー回転数や混練温度を変更して、繊維長分布の異なるGFマスターバッチG−14〜16を製作した。混練温度が高くなると、Lw/Lnが大きくなる傾向にある。
また、G−1と同じガラス繊維を15質量部と、青色に着色されたポリアセタール樹脂を20質量部と、無着色ポリアセタール樹脂65質量部とをスクリューの直径45mmの二軸混練押し出し機にて溶融混練温度:200℃、スクリュー回転数200rpmの条件下にて溶融混練したのちストランドにて押し出し、ペレタイザーにてペレット化し、これをG−17とした(濃度15%品)。G−17はそれ自体がエレメントを構成するポリアセタール樹脂組成物であり、マスターバッチではない。
Figure 2016067400
(ファスナーチェーンサンプル1〜24の製作)
前記GFマスターバッチと青色に着色されたポリアセタール樹脂(着色POM)、無着色ポリアセタール樹脂(無着色POM)を表2に記載の割合で配合してV−1〜24の樹脂組成物とした後、チェーン射出装置を用いて、図1のような形状のエレメント列をファスナーテープの一側縁に設けられた芯部に射出成形してファスナーストリンガーを製作し、一対のファスナーストリンガーを噛み合わせてファスナーチェーンサンプル1〜24を製作した。このときのチェーン厚(t)は1.9mm、チェーン幅(w)は5.7mm、エレメントピッチ(p)は2.4mmであった。
Figure 2016067400
製作したファスナーチェーンに対して下記の評価を行った。結果を表3に示す。
(平均繊維径)
ファスナーチェーンから切り取ったエレメント10個をアルミナるつぼに入れ、600℃に保持した電気炉で2時間焼成した後の残渣を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した。任意に選択した100本のガラス繊維のそれぞれの長さ中央部の繊維径を倍率1000倍で測定し、それらの算術平均を平均繊維径とした。
(数平均繊維長と重量平均繊維長)
GFマスターバッチ又はファスナーチェーンから切り取ったエレメントを前述と同様の方法で焼成・SEM像観察した。倍率50倍のSEM像を用いて、任意に選択した100本のガラス繊維のそれぞれの長さ中央部の繊維径及び繊維長を測定した。数平均繊維長Ln、重量平均繊維長Lwは先述した式より算出した。
(チェーン横引強度)
JIS S3015:2007に準じて測定した。
(ファスナー往復開閉試験)
JIS S3015:2007に準じてファスナー1000回の往復開閉試験を行った。スライダーはナイロン樹脂製(GFが70質量%含有)のスライダーを使用した。試験後のファスナーからスライダーを外し、エレメントの表面とスライダー内部の摩耗状態を光学顕微鏡で観察し、下記のようにレベル分けを行った。
◎:摩耗痕が見られない。
○:摩耗痕がかすかに見える。
△:摩耗痕、摩耗スジが1〜3本見られる。
×:摩耗痕、摩耗スジが4〜10本見られる。
××:摩耗痕、摩耗スジが11本以上見られる。
Figure 2016067400
(考察)
サンプル−1は、ガラス繊維を配合しなかったため、チェーン横引強度が低く、摩耗試験によるチェーンの摩耗も大きかった。
サンプル−2からサンプル−8は、平均繊維径、数平均繊維長及びLw/Lnは適切な値としながら、ガラス繊維の含有量を変化させた。サンプル−2はガラス繊維の含有量が少なすぎたことでチェーン横引強度の向上が不十分であった。また、エレメントの摩耗も大きかった。サンプル−3からサンプル−7は、実施例であり、ガラス繊維の配合量、平均繊維径、数平均繊維長及びLw/Lnが適切であったことからチェーン横引強度が高く、耐摩耗性にも優れていた。特にガラス繊維の含有量が15質量%のサンプル−5は、チェーン横引強度が最も高いだけでなく、特に優れた耐摩耗性を示した。サンプル−8は、ガラス繊維を配合したが、含有量が多すぎたことで逆にチェーン横引強度の向上が不十分であった。また、摩耗試験によってスライダーが摩耗してしまった。
サンプル−9からサンプル−14は、ガラス繊維の含有量、数平均繊維長及びLw/Lnは適切な値としながら、平均繊維径を変化させた。サンプル−9は平均繊維径が短すぎたことで、チェーン横引強度の向上が不十分であった。サンプル−10からサンプル−13は実施例であり、ガラス繊維の配合量、平均繊維径、数平均繊維長及びLw/Lnが適切であったことからチェーン横引強度が高く、耐摩耗性にも優れていた。特に繊維径が6〜13μmの範囲にあるサンプル−11及びサンプル−12は良い結果を示した。サンプル−14は、平均繊維径が長すぎたことで、摩耗試験によってスライダーが摩耗してしまった。
サンプル−15からサンプル−20は、ガラス繊維の含有量、平均繊維径及びLw/Lnは適切な値としながら、数平均繊維長を変化させた。サンプル−15は、数平均繊維長が短すぎたことでチェーン横引強度の向上が不十分であった。サンプル−16からサンプル−19は、実施例であり、ガラス繊維の配合量、平均繊維径、数平均繊維長及びLw/Lnが適切であったことからチェーン横引強度が高く、耐摩耗性にも優れていた。特に繊維長が200〜350μmの範囲にあるサンプル−17及びサンプル−18は良い結果を示した。サンプル−20は、数平均繊維長が長すぎたことで、摩耗試験によってスライダーが摩耗してしまった。
サンプル−21からサンプル−23は、ガラス繊維の含有量、数平均繊維長、及び平均繊維径は適切な値であり、すべて実施例であるが、Lw/Lnを変化させることで、その影響を検証した。これらの中では、Lw/Lnが1.1〜1.8の範囲にあるサンプル−21が最も優れた結果を示した。Lw/Lnが2を超えたサンプル−23は、ガラス繊維長の分布が広がり、長い繊維の割合が大きくなったことで、スライダーが摩耗しやすくなった。
サンプル−24は、ガラス繊維とポリアセタール樹脂をマスターバッチを経由せずに溶融混練して製作した樹脂組成物を使用した。数平均繊維長が長くなりすぎ、また、Lw/Lnが大きくなりすぎたことで、摩耗試験によってスライダーが摩耗した。
1 ファスナーストリンガー
2 ファスナーテープ
21 芯部
3 エレメント
4 上止具
5 下止具
6 スライダー
7 ファスナーチェーン
M 押出機モータ
C1〜14 シリンダーブロック
A アダプター
D ダイス
HP ホッパー
SF サイドフィーダー
OV オープンベント
V 脱気ベント

Claims (10)

  1. 平均繊維径5〜15μm、数平均繊維長が150〜500μmの強化繊維を5〜30質量%含有するポリアセタール樹脂組成物からなるファスナーエレメント。
  2. 強化繊維は、数平均繊維長をLn、重量平均繊維長をLwとしたときに、Lw/Lnが1.0〜2.0である繊維長分布をもつ請求項1に記載のファスナーエレメント。
  3. 強化繊維は、平均繊維径が6〜13μm、数平均繊維長が200〜350μm、Lw/Lnが1.1〜1.8であり、ポリアセタール樹脂組成物中に強化繊維が10〜20質量%含有する請求項2に記載のファスナーエレメント。
  4. 厚みtが2.6mm以下であり、横方向長さlが4.5mm以下であり、縦方向長さmが3.2mm以下である請求項1〜3の何れか一項に記載のファスナーエレメント。
  5. 射出成形により作製された請求項1〜4の何れか一項に記載のファスナーエレメント。
  6. 強化繊維を含有するポリアセタール樹脂組成物からなるファスナーエレメントの製造方法であって、ポリアセタール樹脂組成物中の強化繊維の含有量を、第一のポリアセタール樹脂組成物中に強化繊維を含有させた状態で溶融混練する工程を経てマスターバッチを作製した後、強化繊維を含有しない第二のポリアセタール樹脂組成物をマスターバッチと混合することで調整することを含む方法。
  7. 請求項1〜5の何れか一項に記載のファスナーエレメントを備えたファスナーストリンガー。
  8. 請求項1〜5の何れか一項に記載のファスナーエレメントを備えたファスナーチェーンであって、エレメント間のピッチpを3.5mm以下とし、チェーン幅wを6.3mm以下とし、エレメントの厚みtを2.6mm以下としたファスナーチェーン。
  9. 請求項1〜5の何れか一項に記載のファスナーエレメント又は請求項8に記載のファスナーチェーンを備えたスライドファスナー。
  10. 請求項9に記載のスライドファスナーを備えた物品。
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