JP2004002667A - 車両用ホイールカバー - Google Patents
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Abstract
【課題】ヒケやガラス浮きがなく外観性に優れるのみでなく、耐候性、剛性、耐熱変形性、耐薬品性にも優れた車両用ホイールカバーを提供する。
【解決手段】ポリトリメチレンテレフタレート樹脂、結晶核剤及び/又は無機フィラーの組成物からなる車両用ホイールカバー。
【選択図】 図1
【解決手段】ポリトリメチレンテレフタレート樹脂、結晶核剤及び/又は無機フィラーの組成物からなる車両用ホイールカバー。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用ホイールカバーに関するものである。さらに詳しくは、表面外観に優れるのみではなく、機械特性、耐熱性、耐候性、耐薬品性等に優れた車両用ホイールカバーに関する。
【0002】
【従来の技術】
最近、自動車部品においては、燃費向上の観点から車体の軽量化が進められてきている。車両用ホイールカバーにおいては、従来、金属材料で製造されていたが、昨今樹脂製の車両用ホイールカバーが提案されている。
ポリアミド系樹脂としては、耐衝撃性と塗装性の改善を目的とする、ポリアミド・ポリオレフィン樹脂組成物からなる車両用ホールカバーの提案(例えば、特許文献1参照)、あるいは、耐低温衝撃性等に及び塗膜密着性の改善を目的とする、ポリアミドとビニル系共重合体と変性ポリオレフィン樹脂組成物を用いた車両用ホイールカバーの提案(例えば、特許文献2参照)がなされている。しかしながら、ポリアミド樹脂を成分とする車両用ホイールカバーは、ポリアミド樹脂由来の吸湿による寸法変化及び剛性低下は避けられず、その使用時要求特性に問題が生じていた。
【0003】
一方、ポリアミド樹脂とポリフェニレンエーテル樹脂とのアロイからなる車両用ホイールカバーの提案(例えば、特許文献3参照)がなされているが、この場合もやはり、ポリアミド樹脂由来の吸湿時の剛性低下は避けることができない。又、同アロイの場合、ガソリン等有機系の薬品性に劣り実用的でない。
又、ABS樹脂からなる車両用ホイールカバーの提案(例えば、特許文献3参照)もなされてはいるが、ABS樹脂の場合も、やはり、ガソリン等有機系の薬品性に劣り実用的でない。
【0004】
一方、ポリエチレンテレフタレート樹脂(以下、PETと略称することがある。)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(以下、PBTと略称することがある。)に代表されるポリエステル系樹脂は、耐熱性、耐薬品性(耐油性)、吸水特性(低吸水性)等に優れ、車両用ホイールカバー材料としての可能性が期待できる。
しかしながら、PETの結晶化速度は非常に小さく、核剤等を併用したとしても、成形条件を複雑に設定する必要があり煩雑である。
【0005】
又、PBTの結晶化速度は非常に大きく、かつ、高結晶性であり、成形時の結晶化に由来して、成形時の残留歪みあるいは外観不良を招きやすく、又、例えば、ガラス繊維等の無機フィラー等を配合した場合、大きな反り変形が発生しやすく、かつ、一般的な無機フィラーのひとつであるガラス繊維の場合、表面にガラスが浮き上がり著しく外観を損なう問題がある。加えて、車両用ホイールカバーとして必要な特性である耐候性が不足している。
ポリプロピレン樹脂ではPBTと同様にガラス繊維を多量に配合した場合、表面にガラス浮きが発生し好ましくない。
【0006】
【特許文献1】
特開平5−32885号公報
【特許文献2】
特開平7−9476号公報
【特許文献3】
特開平9−267603号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このような状況に鑑み、機械特性、耐熱性、耐薬品性(耐油性)、吸水特性(低吸水性)等に優れるのみではなく、外観性、耐候性にも優れた車両用ホイールカバーを提供することが本発明の目的のひとつである。
本発明のまた一つの課題は、ひけ現象の改善である。樹脂製の車両用ホイールカバーは構造設計上また成形流動性上、リブを設ける場合が多いが、これに伴いひけの現象が発生し車両用ホイールカバーの外観を損なう事が多く、この問題への対応も本発明の課題である。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、前記目的を達成すべく鋭意検討した結果、熱可塑性ポリエステル系樹脂であるポリトリメチレンテレフタレート樹脂及び結晶核剤及び/又は無機フィラーの組成物からなる車両用ホイールカバーは、機械特性、耐熱性、耐薬品性(耐油性)、吸水特性(低吸水性)等に優れる、かつ、外観性、耐候性にも優れていることを見出し本発明に至った。
【0009】
すなわち、本発明は、
[1](A)ポリトリメチレンテレフタレート樹脂、(B)結晶核剤及び/又は(C)無機フィラーを含み、かつ、以下(1)、(2)に示す結晶化挙動を有する組成物からなる、車両用ホイールカバー、
(1)前記組成物の10〜20mgを、示差走査熱量測定器を用いて、室温から100℃/分の昇温速度にて280℃まで加熱し、2分間保持した後、500℃/分の設定降温速度にて23℃まで急冷した場合における結晶化開始温度Tcが170℃以下。
(2)前記組成物の10〜20mgを、示差走査熱量測定器を用いて、室温から100℃/分の昇温速度にて280℃まで加熱し、2分間保持した後、500℃/分の設定降温速度にて温度T℃まで急冷し以後T℃にて保持した場合における結晶化ピーク時間が、Tの全温度領域で+20秒以下である(ここで、温度Tは60〜120℃の範囲)。
【0010】
[2](A)ポリトリメチレンテレフタレート樹脂100重量部に対して、さらに(D)着色剤0.01〜10.0重量部を含有してなる組成物からなる、前記[1]に記載の車両用ホイールカバー、
[3](A)ポリトリメチレンテレフタレート樹脂100重量部に対して、さらに(E)耐候剤0.01〜5.0重量部を含有してなる組成物からなる、前記[1]又は[2]に記載の車両用ホイールカバー、
[4](C)無機フィラーの量が、(A)ポリトリメチレンテレフタレート樹脂及び(C)無機フィラーの総重量に対して70重量%以下である、前記[1]から[3]のいずれかに記載の車両用ホイールカバー、
【0011】
[5](C)無機フィラーが、ガラス繊維、ガラスビーズ及びガラスフレークから選ばれる1種類以上のガラス材料である、前記[1]から[4]のいずれかに記載の車両用ホイールカバー、
[6](C)無機フィラーが、タルク、マイカ、ウォラストナイト、カオリン、炭酸カルシウム、炭素繊維及びチタン酸カリウムウィスカーの群から選ばれる1種類以上である、前記[1]から[4]のいずれかに記載の車両用ホイールカバー、
[7]車両用ホイールカバーが、リブ構造を有する、前記[1]から[6]のいずれかに記載の車両用ホイールカバー、
である。
【0012】
以下に本発明を詳細に記載する。
本発明における(A)ポリトリメチレンテレフタレート樹脂(以下、PTTと略称することがある。)とは、酸成分に主としてテレフタル酸を、グリコール成分に主としてトリメチレングリコールを用いたポリエステル樹脂である。
テレフタル酸以外の他の酸成分としては、テレフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸、例えばフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、ジフェニルメタンジカルボン酸、ジフェニルケトンジカルボン酸、ジフェニルスルフォンジカルボン酸等;コハク酸、アジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸;ε−オキシカプロン酸、ヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシエトキシ安息香酸等のオキシジカルボン酸が例示される。なお、テレフタル酸は、酸成分の80モル%以上であることが好ましい。
【0013】
トリメチレングリコールとしては、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,1−プロパンジオール、2,2−プロパンジオールあるいはこれらの混合物の中から選ばれるが、安定性の観点から1,3−プロパンジオールが特に好ましく、グリコール成分の80モル%以上であることが好ましい。
他のグリコール成分としてはエチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、オクタメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、キシリレングリコール、ジエチレングリコール、ポリオキシアルキレングリコール、ハイドロキノンなどが例示される。
【0014】
また、上述のポリエステルには、分岐成分、例えばトリカルバリル酸、トリメシン酸、トリメリット酸等の三官能または四官能のエステル形成能を持つ酸またはグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリットなどの三官能または四官能のエステル形成能を持つアルコールが共重合されていてもよく、その場合、分岐成分の量は全ジカルボン酸成分の1.0モル%以下、好ましくは、0.5モル%以下、さらに好ましくは、0.3モル%以下である。更に、PTTはこれら共重合成分を2種類以上組み合わせて使用しても構わない。
【0015】
本発明に用いられるPTTの製造方法は、特に限定されるものではないが例えば、特開昭51−140992号公報、特開平5−262862号公報、特開平8−311177号公報等に記載されている方法によって、テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体(例えばジメチルエステル、モノメチルエステル等の低級アルキルエステル)とトリメチレングリコールまたはそのエステル形成性誘導体とを、触媒の存在下、好適な温度・時間で加熱反応させ、更に得られるテレフタル酸のグリコールエステルを触媒の存在下、好適な温度・時間で所望の重合度まで重縮合反応させる方法が挙げられる。
【0016】
本発明のPTTは、その数平均分子量が5,000〜100,000であることが好ましく、分子量分布を示すMw/Mnが1.5〜4.5であることが好ましい。さらには、分子量100,000以上の分子が、1〜20%含有されることが好ましい。
数平均分子量および分子量分布は、例えば、浸透圧法や末端定量法、或いはGPC法(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定することができる。具体的には、測定装置として東ソー(株)製HLC−8120及びカラムとして昭和電工(株)HFIP804−803(30cmカラム2本)、キャリアとしてヘキサフルオロイソプロパノール(以後HFIPと呼ぶ)を用い、標準試料としてポリマーラボラトリー社製PMMAを用いて、温度40℃、流量0.5ml/分で実施することができる。
【0017】
本発明でいう結晶化開始温度Tcとは、示差走査熱量測定器を用いて、樹脂組成物のサンプル10〜20mgを室温から100℃/分の昇温速度にて280℃まで加熱し、2分間保持した後、500℃/分の設定降温速度にて23℃まで急冷した際に発現する、結晶性樹脂の結晶化に伴う吸熱ピークのトップが観測された時のサンプル温度をいう。この際、吸熱ピークが複数発現する場合は、最初に観測される吸熱ピークを観測対象のピークとする。
【0018】
結晶化開始温度Tcが170℃以下の場合、射出成形において金型内固化時の結晶化速度が適度であるため、例えば、ガラス繊維等を含有する場合、表面のガラス浮きがなく高外観の成形品が得られるため本発明の車両用ホイールカバーに好適である。
より好ましい結晶化開始温度Tcは165℃以下であり、さらに好ましくは160℃以下である。
【0019】
又、本発明でいう結晶化ピーク時間とは、示差走査熱量測定器を用いて、樹脂組成物のサンプル10〜20mgを室温から100℃/分の昇温速度にて280℃まで加熱し、2分間保持した後、500℃/分の設定降温速度にて温度T℃まで急冷し、以後T℃にて10分間保持した際、サンプル温度がT℃に達した時間(t1)と、降温開始から温度をT℃で保持し続ける間に発現する結晶性樹脂の結晶化に伴う吸熱ピークのトップが観測された時の時間(t2)との差(t2−t1)をいう。この際、吸熱ピークが複数発現する場合は、最後に観測される吸熱ピークを観測対象のピークとする。なお、温度Tとは、60〜120℃の範囲をいい、現実の射出成形を考えた場合、金型表面温度は厳密には均一でなく温度分布が存在するため、結晶化ピーク時間は、幅広い温度領域、即ち、温度Tの全領域において+20秒以下である必要がある。
【0020】
ここで、本発明においては、結晶化ピーク時間が負の値となる場合が含まれる。以下、図1を用いて説明する。図1は結晶化ピーク時間を得る際の示差走査熱量測定器の温度プロファイルと、得られるチャートの模式図である。
サンプルAの場合は、最後に観測される吸熱ピークがサンプル温度をT℃にて保持している間に発現しており、結晶化ピーク時間は正の値となる。一方、サンプルBの場合は、サンプル温度がT℃に達するまでの間に吸熱ピークのトップが発現しており、t2<t1となるため、結晶化ピーク時間は負の値となる。
【0021】
本発明の温度T=60〜120℃という温度範囲は、通常一般的な射出成形時の金型温度と同一であり、結晶化ピーク時間が+20秒以下であれば、結晶化速度が適度となるため、金型内での冷却滞留時間を短く抑えることができ経済的に得策である。好ましい結晶化ピーク時間は+10秒以下、より好ましい結晶化ピーク時間は±0秒以下である。
結晶性熱可塑性ポリエステル樹脂は、機械的性質、物理的・化学的特性等に優れるため、車両用ホイールカバー用材料として種々の提案がなされているが、代表的な熱可塑性ポリエステル樹脂であるPBTは結晶化開始温度Tcが高く、結晶化速度も非常に大きいため、成形時の残留歪みあるいは外観不良を招きやすい。また、PBTはあまりにも結晶化速度が大きいため、添加剤等にて結晶化速度をコントロールすることが容易でない。
【0022】
一方、PETの結晶化速度はあまりにも小さい為、例え、特定の結晶核剤を配合したとしても、成形条件を複雑に設定する必要があり、本発明の車両用ホイールカバー用材料としては不適である。
又、本発明のポリトリメチレンテレフタレート樹脂は、その特性を損なわない範囲で、ポリトリメチレンテレフタレートと、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等の他のポリエステル樹脂との混合物であってもかまわない。
【0023】
本発明で用いる(B)結晶核剤は結晶性熱可塑性ポリエステル樹脂の結晶核剤として一般的に用いられている公知の化合物が好ましい。例えば、タルク、マイカ、窒化硼素、カオリン、シリカ、クレー、金属酸化物、無機カルボン酸塩、無機スルホン酸塩、有機カルボン酸塩、有機スルホン酸塩、有機カルボン酸エステル塩、炭酸塩、α−オレフィンとα,β−不飽和カルボン酸塩とからなるイオン性共重合体等が好ましく使用される。中でも、下記一般式(1)で表される脂肪酸金属塩は、より好ましく用いられる。
CH3(CH2)nCOO(M) (1)
(式中、n≧0、M=Na、Ca、Li)
脂肪酸金属塩の中では、高級脂肪酸Na塩、高級脂肪酸Ca塩、高級脂肪酸Li塩がさらに好ましい。
これらの結晶核剤はそれぞれ単独で用いても良いし、それらの混合物を用いてもよい。
【0024】
結晶核剤の添加量は、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂組成物の結晶化開始温度Tcと結晶化ピーク時間が本発明の範囲にあれば特に制限はなく、使用する結晶核剤の種類、組み合わせ、性能等に応じて適宜選択する。
本発明でいう(C)無機フィラーとは、熱可塑性ポリエステル樹脂に一般的に配合されるような公知の無機フィラーをいう。この中で、例えば、タルク、カオリン、マイカ、ガラス繊維等では、使用する種類等により、(B)成分の結晶核剤として作用する性質を持つものもある。
本発明においては、(C)無機フィラーとして、ガラス繊維、ガラスビーズ及びガラスフレークからなる群から選ばれる1種以上のものを用いることが好ましい。
【0025】
ここで、ガラス繊維とは、通常ポリエステル樹脂に用いられるものであれば特に制限はない。又、組成物中のガラス繊維の数平均長さ(以下Lという)、数平均繊維径(以下Dという)およびLとDの比(以下L/Dともいう)については特に限定されないが、Lは100μm以上、L/Dは20以上であることが好ましい。ガラス繊維の配合量は、成形体の表面外観の観点から、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂とガラス材料の総重量に対し70重量%以下が好ましい。又、ガラスビーズやガラスフレーク等、他のガラス材料と併用する場合は、ガラス材料の総重量が、樹脂とガラス材料の総重量に対し70重量%以下が好ましい。
又、前記ガラス繊維は、特に表面処理を施したものが好ましく用いられる。表面処理としては公知のカップリング剤やフィルム形成剤を用いて行う。好ましく用いられるカップリング剤としては、シラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤があげられる。
【0026】
シラン系カップリング剤としては、トリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシ−エトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(1,1−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピル−トリス(2−メトキシ−エトキシ)シラン、N−メチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビニルベンジル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、トリアミノプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−4,5ジヒドロイミダゾールプロピルトリエトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、N,O−(ビストリメチルシリル)アミド、N,N−ビス(トリメチルシリル)ウレア等が挙げられる。
【0027】
この中でも、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(1,1−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のアミノシランおよびエポキシシランが好ましく用いられる。
チタン系カップリング剤は、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスフェイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(1,1−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、イソプロピルトリ(N−アミドエチル、アミノエチル)チタネート、ジクミルフェニルオキシアセテートチタネート、ジイソステアロイルエチレンチタネート等が挙げられる。
【0028】
フィルム形成剤としては、ウレタン系ポリマー、アクリル酸系ポリマー、無水マレイン酸とエチレン、スチレン、α−メチルスチレン、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、2,3−ジクロロブタジエン、1,3−ペンタジエン、シクロオクタジエンなどの不飽和単量体とのコポリマー、エポキシ系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、酢酸ビニル系ポリマー、ポリエーテル系ポリマーなどの重合体を挙げることが出来る。これらの中でも、エポキシ系ポリマー、ウレタン系ポリマー、アクリル酸系ポリマー、ブタジエン無水マレイン酸コポリマー、エチレン無水マレイン酸コポリマー、スチレン無水マレイン酸コポリマー、及び、これらの混合物が好ましく用いられる。
【0029】
又、好ましい無機フィラーとして、ガラス材料以外にも、タルク、マイカ、ウォラストナイト、カオリン、炭酸カルシウム、炭素繊維及びチタン酸カリウムウィスカー等を挙げることができる。
その他の無機フィラーとして、繊維状の無機フィラー、例えば、アスベスト繊維、シリカ繊維、シリカ・アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化硼素繊維、窒化ケイ素繊維、硼素繊維、さらにステンレス、アルミニウム、チタン、銅、真鍮等の金属繊維状物があげられる。
【0030】
又、粉粒状である、シリカ、石英粉末、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、クレー、ケイ藻土のごときケイ酸塩、酸化鉄、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナのごとき金属の酸化物、炭酸マグネシウムのごとき金属の炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムのごとき金属の硫酸塩、その他、炭化ケイ素、窒化ケイ素、各種金属粉末も用いることができる。
無機フィラーの含有量は、成形体の表面外観の観点から、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂と無機フィラーの総重量に対し70重量%以下とすることが好ましい。又、2種類以上の無機フィラーを併用する場合も、無機フィラーの総重量が、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂と無機フィラーの総重量に対し70重量%以下となるようにすることが好ましい。
【0031】
2種類以上の無機フィラーの組み合わせとしては、タルク、マイカ、ウォラストナイト、カオリン、および炭酸カルシウム等からなる群から選ばれた少なくとも1種とガラス繊維との組み合わせが好ましい。
又、本発明においては、(B)結晶核剤と(C)無機フィラーの併用も好ましい。
本発明においては、目的とする車両用ホイールカバーに必要な性能に合わせて、それを構成するポリトリメチレンテレフタレート樹脂組成物に(D)着色剤を添加することが好ましい。
【0032】
本発明で用いる(D)着色剤は、従来、熱可塑性ポリエステル系樹脂に公知の顔料、染料等であり、好ましい顔料としては、有機顔料としては、モノアゾ及び縮合アゾ系、アンスラキノン系、イソインドリノン系、複素環系、ペリノン系、キナクリドン系、ペリレン系、チオインジゴ系、ジオキサジン系等があげられる。
無機顔料としては、カーボンブラック、酸化チタン、チタンイエロー、酸化鉄、群青、コバルトブルー、焼成顔料、メタリック顔料等があげられる。
【0033】
又、有機染料としては、アンスラキノン系、複素環系、ペリン系の染料があげられる。
ここで、カーボンブラックとしては、チャネルブラック系、ファーネスブラック系、ランプブラック系、サーマルブラック系、ケッチェンブラック系、ナフタレンブラック系等が好ましく用いられる。これらのカーボンブラックは1種で用いても良いし、又、2種以上を組み合わせて用いても良い。又、他の着色剤との併用も好ましい。
【0034】
(D)着色剤として用いられるメタリック顔料としては、アルミニウム、着色アルミニウム、ニッケル、スズ、銅、金、銀、白金、酸化鉄、ステンレス、チタン等の金属粒子、マイカ製パール顔料、カラーグラファイト、カラーガラス繊維、カラーガラスフレーク等をあげることができる。中でも、アルミニウム、ニッケル、スズ、マイカ製パール顔料が好ましい。これらの顔料は1種で用いても良いし、又、2種以上を組み合わせて用いても良い。
前記メタリック顔料の平均粒子径は、数平均粒子径にして1〜500μmであることが好ましく、5〜300μmが更に好ましい。数平均粒子径が1〜500μmであると、表面平滑性に優れ、かつ、メタリック色調が鮮やかに発現される。
【0035】
(D)着色剤の配合量は、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂100重量部に対して0.01〜10.0重量部であり、より好ましくは、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂100重量部に対して0.05〜5.0重量部である。配合量がポリトリメチレンテレフタレート樹脂100重量部に対して0.01〜10.0重量部であれば、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂が本来有する機械特性を低下させることなく、鮮明な色調を発現させることができる。
【0036】
又、本発明においては、目的とする車両用ホイールカバーに必要な性能に合わせて、それを構成するポリトリメチレンテレフタレート樹脂組成物に(E)耐候剤を添加することが好ましい。
本発明で用いる(E)耐候剤は結晶性熱可塑性ポリエステル樹脂の耐候剤として一般的に用いられている、紫外線吸収剤、光安定剤等が好ましい。紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、蓚酸アニリド系化合物、トリアジン系化合物等があげられる。
【0037】
ベンゾトリアゾール系化合物としては、例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−5’−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジフェニル)−5−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−s−ブチル−5’−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)−フェノール、及び、2−(3’,5’−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール等があげられる。
【0038】
ベンゾフェノン系化合物としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−t−ブトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ステアロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−フェノキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(2’−ヒドロキシ−3’−アクリルオキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(2’−ヒドロキシ−3’−メタクリルオキシプロポキシル)ベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンが挙げられる。
【0039】
また、2,2’−ジヒドロキシ−4−ブトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−ラウロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4’−トリヒドロ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4’−クロロベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメチルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−メチル−4’−ヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4’−t−ブチルベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4’−メチルベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4,4’,2’−トリメトキシベンゾフェノン、及び、2−ヒドロキシ−4−N−オクトキシベンゾフェノンがあげられる。
【0040】
蓚酸アニリド系化合物としては、例えば、2−エトキシ−2’−エチルオキザリックアシッドビスアニリド、2−エトキシ−5−t−ブチル−2’−エチルオキザリックアシッドビスアニリド、及び、2−エトキシ−3’−ドデシルオキザリックアシッドビスアニリドがあげられる。
【0041】
トリアジン系化合物としては、例えば、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシ−フェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシ−フェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシ−フェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2−ヒドロキシ−4−プロピルオキシ−フェニル)−6−(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシ−フェニル)−4,6−ビス(4−メチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシ−フェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2’−ヒドロキシ−4’−イソプロピルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2’−ヒドロキシ−4’−n−ヘキシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、及び、2,4,6−トリス(2’−ヒドロキシ−4’−エトキシカルボニルメトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン等があげられる。この中、2−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシ−フェニル)−1,3,5−トリアジンが好ましく用いられる。
【0042】
光安定剤としては、ヒンダードアミン系化合物があげられる。例えば、4−アセトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ステアロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(フェニルアセトキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ステアリルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンジルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−フェノキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(エチルカルバモイルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(シクロヘキシルカルバモイルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(フェニルカルバモイルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンがあげられる。
【0043】
また、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−カーボネイト、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−オキサレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−マロネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−アジペート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−セバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−テレフタレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−カーボネイト、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−オキサレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−マロネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−アジペート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−テレフタレート、1,2−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシ)−エタンがあげられる。
【0044】
さらにまた、α,α’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシ)−p−キシレン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−トリレン−2,4−ジカルバメータ、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ヘキサメチレン−1,6−ジカルバメート、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ベンゼン−1,3,5−トリカルボキシレート、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ベンゼン−1,3,4−トリカルボキシレート、1−{2−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチル}−4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、コハク酸ジメチル・1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−1,2,3,4−ブタンカルボキシレート、及び、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル−1,2,3,4−ブタンカルボキシレートがあげられる。これらの耐候剤はそれぞれ単独で用いてもよいし、又、2種以上を組み合わせて用いることも好ましい。
【0045】
耐候剤の添加量は、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂100重量部に対して、0.01〜5.0重量部が好ましい。更に好ましくは、0.03〜3.0重量部であり、最も好ましくは、0.05〜2.0重量部である。添加量が0.01重量部未満であると、もはや耐候剤を添加する効果が認められなくなり、添加量が5.0重量部を超えるとポリトリメチレンテレフタレート樹脂組成物が本来備えている、優れた機械的特性が損なわれるため好ましくない。
【0046】
本発明のポリトリメチレンテレフタレート樹脂組成物には、所望に応じて、酸化防止剤、熱安定剤、離型剤、潤滑剤等、従来、熱可塑性ポリエステル系樹脂に公知の添加剤を配合してもよい。
又、本発明の効果を損なわない範囲で、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂組成物には、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、ポリスチレン、ゴム強化ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ABS樹脂等のスチレン系樹脂、ポリアセタール、ポリアミド類、変性ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンサルファイド、ポリメチルメタクリレート等の熱可塑性樹脂の1種又は2種以上を配合してもかまわない。
【0047】
本発明の車両用ホイールカバーは、車両用ホイールカバーであれば特に制約されるものではない。フルカバー、センターカバーといった大きさ等特に制限はない。また、風穴の位置等のデザインについても任意に設定できる。
本発明で言うリブ(rib)とは、成形品において、その肉厚を厚くしないで剛性や強度を持たせ、また広い平面部の反り変形を防ぐために用いる補強部分をいう。このリブは、キャビティ内の成形材料の流れを容易にし、肉厚を増す場合よりも成形サイクルの短縮を可能にし、また成形材料の使用量が少ない等の利点をもたらすものである。
【0048】
一般に、裏面(非意匠面)側に突出したリブを有する成形品では、冷却に伴う結晶性熱可塑性樹脂の収縮によって、この裏面側のリブに対応する成形品表面(意匠面)にヒケと呼ばれる窪みを生ずる場合がある。これを防止するに、しばしば、例えば、リブの幅を成形品の厚みに比べて狭く設計し、成形品本体側の樹脂が流動状態を維持している間にリブを冷却することにより、リブの収縮によるヒケを成形品本体側の意匠面に発生させないようにする方法が採用されるが、この時、幅狭なリブのため補強効果が充分に得られない場合がある。本発明のポリトリメチレンテレフタレート樹脂組成物では、リブ部(薄肉部)では、低温部(60〜120℃)の結晶化ピーク時間が短いため速やかに固化するのに対し、成形品本体側(厚肉部)では、Tcが小さく適度な結晶化速度を有するため固化が適度に遅くなり、上述したように、過度にリブを幅狭にする必要がない。
【0049】
本発明の車両用ホイールカバーは、その表面に塗装を施して使用してもよい。この場合、塗装方法、塗料等は公知の技術、材料等が使用できる。
本発明の車両用ホイールカバーに塗装を施さず着色して使用する場合、例えば、耐傷付き性を改善するため、部品表面にクリアー等のコーティングを施すことも好ましい。
本発明の車両用ホイールカバーを成形する場合、従来公知の射出成形法が好ましく用いられる。
【0050】
【発明の実施の形態】
次に、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの例により何ら限定されるものではない。
まず、実施例におけるポリトリメチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリアミド樹脂、ガラス繊維、タルク、核剤、耐候剤、及び、測定項目と測定条件を述べる。
【0051】
(1)ポリエステル樹脂
a−1:極限粘度[η]が1.02であり、かつ、数平均分子量が9800、Mw/Mn=2.5、100,000以上の分子量が占める割合が5.8%であるポリトリメチレンテレフタレート樹脂
なお、極限粘度[η]は以下の定義式によって求められる値である。
[η]=lim1/C×(ηr−1)[C→0]
式中のηrは、ポリエステル樹脂を純度98%以上のo−クロロフェノールに溶解させた希釈溶液の35℃における粘度を、同一温度における上記溶媒の粘度で除した値であり、相対粘度として定義されているものである。また、Cは上記希釈溶液100ml中の溶質の重量(g)である。
a−2:極限粘度1.05のポリブチレンテレフタレート樹脂
a−3:極限粘度0.70のポリエチレンテレフタレート樹脂
【0052】
(2)ポリアミド樹脂
b−1:UBEナイロン1013B(宇部興産(株)製)
(3)ガラス繊維
GF−1:繊維径10μm、長さ3mmのチョップドストランドをアミノシランカップリング剤とエポキシ系収束剤の混合物で表面処理したもの
(4)タルク
MF−1:ミクロエースL−1(日本タルク(株)製)
(5)核剤
NAV−1:モンタン酸ナトリウム(リコモントNaV101;クラリアント(株)製)
【0053】
(6)耐候剤
UV−1:チヌビン1577FF(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製)
(7)結晶化開始温度
パーキンエルマー社製示差走査熱量計DSC7型を用い、サンプル約12mgを室温から100℃/分の昇温速度にて280℃まで加熱し、同温度で2分間保持した後、500℃/分の設定降温速度にて23℃まで急冷し、最初に発現する結晶化に伴う吸熱ピークのトップが観測された時のサンプル温度を求めた。
【0054】
(8)結晶化ピーク時間
パーキンエルマー社製示差走査熱量計DSC7型を用い、サンプル約12mgを室温から100℃/分の昇温速度にて280℃まで加熱し、同温度で2分間保持した後、500℃/分の設定降温速度にて目標温度(T)60℃まで急冷し、以後60℃にて10分間保持した。降温開始から60℃で保持する間に発現する結晶化に伴う吸熱ピークのトップまでの時間(秒)を求めた。この時、吸熱ピークが複数発現する場合、最も遅い時間に発現する吸熱ピークの時間を結晶化ピーク時間とした。また、サンプル温度が60℃に達した時間を±0秒として表示した。さらに、サンプルを替え、目標温度(T)をそれぞれ70、80、90、100、110、120℃とし、上記と同様に測定を行い、それぞれの結晶化ピーク時間を求め、目標温度(T)の60〜120℃の範囲での結晶化ピーク時間を評価した。
【0055】
(9)曲げ弾性率:JIS K 7171 準拠
試験機:(株)オリエンテック製テンシロンUTC−30T型
試験片:110mm×10mm×4mmt
試験温度:23℃
試験速度:2mm/min
絶乾調整:試験片をシリカゲル共存のデシケーター中に23℃×24時間放置して調整する
吸水調整:試験片を23℃、50%RHの条件下で60日間放置して調整する
【0056】
(10)成形体表面外観−1
射出成形にて100ショットの成形を行い、以下の基準に基準に基づき目視判定を実施した。
○:100ショット全てにヒケ、フローマークの発生がない。
×:ヒケ、フローマークの発生した成形体がある。
(11)成形体表面外観−2
以下の基準に基準に基づき目視判定を実施した。
○:ガラスの浮き上がりがない。
×:ガラスの浮き上がりがある。
【0057】
(12)耐候性
キセノン耐候性試験機(スガ試験機社製)を用い、ISO4892の条件にて、1000時間の耐候性試験を行った。試験後の試料を以下の基準に基づき判定した。
(A)色差;色差計(スガ試験機製ハンディーカラーテスターHC−T)を用いて、ΔE値(JISZ−8730)を求めた。値が小さいほど色の変化が少ないことを示している。
(B)クラックの程度;試験片の光照射面を100倍の顕微鏡で観察し、その程度を次の判定基準に従って評価した。
判定基準:
0:クラックはない。
1:クラックが、僅かにある。
2:クラックが、長くはっきりしている。
3:クラックが、長く、一視野に20本以上ある。
4:クラックが全面にわたり発生している。
【0058】
【実施例1】
ポリトリメチレンテレフタレート樹脂(a−1)と結晶核剤(NAV−1)とを表1に示す比率で混合し、さらに、着色剤として平均粒系60μmのアルミ粉末0.5重量部(ポリトリメチレンテレフタレート樹脂を100重量部とする)を添加し、2軸押出機(東芝機械(株)製:TEM35、2軸同方向スクリュー回転型、L/D=47.6(D=37mmφ))を用いて溶融混練を行った。この時、スクリュー回転数は300rpm、シリンダー温度は260℃、押出しレート60kg/Hrであった。先端ノズルからストランド状にポリマーを排出し、水冷、カッティングを行いペレットを得た。該ペレットを120℃の窒素雰囲気下で5時間乾燥した。このペレットを用い、結晶化開始温度、及び、結晶化ピーク時間を測定した。評価結果を表1に示す。
【0059】
該ペレットを用い、曲げ弾性率評価用試験片を射出成形し、絶乾時、吸水時の曲げ弾性率を評価した。成形は、樹脂温度260℃、金型温度95℃で行った。評価結果を表3に示す。
又、該ペレットを用い、図2に示されるような形状の車両用ホイールカバーを射出成形し、成形体表面外観−1を評価した。この時、樹脂温度260℃、金型温度95℃であった。評価結果を表3に示す。
さらに、該車両用ホイールカバーの表側(意匠面)の一部(図2の2で示す部分)を切り出し、耐候性試験に供し色差及びクラックの程度を評価した。評価結果を表3に示す。
【0060】
【実施例2】
ポリトリメチレンテレフタレート樹脂(a−1)とガラス繊維(GF−1)とを表1に示す重量比で混合し、さらに、着色剤として平均粒系60μmのアルミ粉末0.5重量部(ポリトリメチレンテレフタレート樹脂+ガラス繊維重量を100重量部とする)を添加した以外は実施例1と同様の操作を行い、ペレットを得た。
該ペレットを用い、実施例1と同様に、結晶化開始温度、結晶化ピーク時間、及び、絶乾時、吸水時の曲げ弾性率を評価した。評価結果を表1、表3に示す。
又、該ペレットを用い、実施例1と同様に、図2に示されるような形状の車両用ホイールカバーを射出成形し、成形体表面外観−1、成形体表面外観−2及び耐候性を評価した。評価結果を表3に示す。
【0061】
【実施例3】
ポリトリメチレンテレフタレート樹脂(a−1)と、ガラス繊維(GF−1)、及び、タルク(MF−1)とを表1に示す重量比で混合し、さらに、耐候剤(UV−1)を表1に示す組成で、又、着色剤として平均粒系60μmのアルミ粉末0.5重量部(ポリトリメチレンテレフタレート樹脂+ガラス繊維+タルク重量を100重量部とする)とを添加した以外は実施例1と同様の操作を行い、ペレットを得た。
該ペレットを用い、実施例1と同様に、結晶化開始温度、結晶化ピーク時間、及び、絶乾時、吸水時の曲げ弾性率を評価した。評価結果を表1、表3に示す。
又、該ペレットを用い、実施例1と同様に、図2に示されるような形状の車両用ホイールカバーを射出成形し、成形体表面外観−1、成形体表面外観−2及び耐候性を評価した。評価結果を表3に示す。
【0062】
【比較例1】
ペレット化したポリトリメチレンテレフタレート樹脂(a−1)を120℃の窒素雰囲気下で5時間乾燥し、結晶化開始温度、及び、結晶化ピーク時間を測定した。評価結果を表2に示す。
該ペレットを用い、実施例1と同様に、射出成形にて、曲げ弾性率測定用の試験片を作製したが、ヒケが大きく、曲げ弾性率の測定が不可であった。
【0063】
【比較例2】
ポリブチレンテレフタレート樹脂(a−2)と着色剤として平均粒系60μmのアルミ粉末0.5重量部(ポリブチレンテレフタレート樹脂を100重量部とする)とを混合し、実施例1と同様の操作を行いペレットを得た。
該ペレットを用い、実施例1と同様に、結晶化開始温度、結晶化ピーク時間、及び、絶乾時、吸水時の曲げ弾性率を評価した。評価結果を表2、表3に示す。
又、該ペレットを用い、実施例1と同様に、図2に示されるような形状の車両用ホイールカバーを射出成形し、成形体表面外観−1及び耐候性を評価した。評価結果を表3に示す。本比較例では、リブ部裏側にヒケが認められた。
【0064】
【比較例3】
ポリエチレンテレフタレート樹脂(a−3)と着色剤として平均粒系60μmのアルミ粉末0.5重量部(ポリエチレンテレフタレート樹脂を100重量部とする)とを混合し、2軸押出機(東芝機械(株)製:TEM35、2軸同方向スクリュー回転型、L/D=47.6(D=37mmφ))を用いて溶融混練を行った。この時、スクリュー回転数は300rpm、シリンダー温度は290℃、押出しレート60kg/Hrであった。先端ノズルからストランド状にポリマーを排出し、水冷、カッティングを行いペレットを得た。該ペレットを120℃の窒素雰囲気下で5時間乾燥した。
該ペレットを用い、樹脂温度285℃、金型温度95℃の条件下、射出成形にて曲げ弾性率測定用の試験片を作製したが、結晶化せず、満足できる成形片が得られなかった。
【0065】
【比較例4】
実施例2で用いたポリトリメチレンテレフタレート樹脂(a−1)の代わりにポリブチレンテレフタレート樹脂(a−2)を用いた以外は、表2に示す重量比にて、実施例1と同様の操作を行いペレットを得た。
該ペレットを用い、実施例1と同様に、結晶化開始温度、結晶化ピーク時間、及び、絶乾時、吸水時の曲げ弾性率を評価した。評価結果を表2、表3に示す。
又、該ペレットを用い、実施例1と同様に、図2に示されるような形状の車両用ホイールカバーを射出成形し、成形体表面外観−1、成形体表面外観−2及び耐候性を評価した。評価結果を表3に示す。本比較例では、表面にガラス浮きがが認められた。
【0066】
【比較例5】
実施例2で用いたポリトリメチレンテレフタレート樹脂(a−1)の代わりにポリアミド樹脂(b−1)を用いた以外は、表2に示す重量比にて、実施例1と同様の操作を行いペレットを得た。
該ペレットを用い、実施例1と同様に、絶乾時、吸水時の曲げ弾性率を評価した。評価結果を表3に示す。
又、該ペレットを用い、実施例1と同様に、図2に示されるような形状の車両用ホイールカバーを射出成形し、成形体表面外観−1、成形体表面外観−2及び耐候性を評価した。評価結果を表3に示す。本比較例では、表面にガラス浮きがが認められた。
【0067】
【表1】
【0068】
【表2】
【0069】
【表3】
【0070】
【発明の効果】
実施例及び比較例からも明らかなように、本発明のポリトリメチレンテレフタレート樹脂と結晶核剤及び/又は無機フィラーの組成物からなる車両用ホイールカバーは、吸水特性、特に吸水時の剛性保持率に優れ、又、ヒケやガラス浮きがなく表面外観にも優れ、かつ、耐候性にも優れているため非常に有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】結晶化ピーク時間の模式図である。
【図2】本発明の車両用ホイールカバーの一例を示す斜視図(表側)である。
【図3】本発明の車両用ホイールカバーの一例を示す斜視図(裏側)である。
【符号の説明】
1:中空部
2:耐候性評価用試験片切り出し部
3:リブ
4:取り付け用爪部
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用ホイールカバーに関するものである。さらに詳しくは、表面外観に優れるのみではなく、機械特性、耐熱性、耐候性、耐薬品性等に優れた車両用ホイールカバーに関する。
【0002】
【従来の技術】
最近、自動車部品においては、燃費向上の観点から車体の軽量化が進められてきている。車両用ホイールカバーにおいては、従来、金属材料で製造されていたが、昨今樹脂製の車両用ホイールカバーが提案されている。
ポリアミド系樹脂としては、耐衝撃性と塗装性の改善を目的とする、ポリアミド・ポリオレフィン樹脂組成物からなる車両用ホールカバーの提案(例えば、特許文献1参照)、あるいは、耐低温衝撃性等に及び塗膜密着性の改善を目的とする、ポリアミドとビニル系共重合体と変性ポリオレフィン樹脂組成物を用いた車両用ホイールカバーの提案(例えば、特許文献2参照)がなされている。しかしながら、ポリアミド樹脂を成分とする車両用ホイールカバーは、ポリアミド樹脂由来の吸湿による寸法変化及び剛性低下は避けられず、その使用時要求特性に問題が生じていた。
【0003】
一方、ポリアミド樹脂とポリフェニレンエーテル樹脂とのアロイからなる車両用ホイールカバーの提案(例えば、特許文献3参照)がなされているが、この場合もやはり、ポリアミド樹脂由来の吸湿時の剛性低下は避けることができない。又、同アロイの場合、ガソリン等有機系の薬品性に劣り実用的でない。
又、ABS樹脂からなる車両用ホイールカバーの提案(例えば、特許文献3参照)もなされてはいるが、ABS樹脂の場合も、やはり、ガソリン等有機系の薬品性に劣り実用的でない。
【0004】
一方、ポリエチレンテレフタレート樹脂(以下、PETと略称することがある。)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(以下、PBTと略称することがある。)に代表されるポリエステル系樹脂は、耐熱性、耐薬品性(耐油性)、吸水特性(低吸水性)等に優れ、車両用ホイールカバー材料としての可能性が期待できる。
しかしながら、PETの結晶化速度は非常に小さく、核剤等を併用したとしても、成形条件を複雑に設定する必要があり煩雑である。
【0005】
又、PBTの結晶化速度は非常に大きく、かつ、高結晶性であり、成形時の結晶化に由来して、成形時の残留歪みあるいは外観不良を招きやすく、又、例えば、ガラス繊維等の無機フィラー等を配合した場合、大きな反り変形が発生しやすく、かつ、一般的な無機フィラーのひとつであるガラス繊維の場合、表面にガラスが浮き上がり著しく外観を損なう問題がある。加えて、車両用ホイールカバーとして必要な特性である耐候性が不足している。
ポリプロピレン樹脂ではPBTと同様にガラス繊維を多量に配合した場合、表面にガラス浮きが発生し好ましくない。
【0006】
【特許文献1】
特開平5−32885号公報
【特許文献2】
特開平7−9476号公報
【特許文献3】
特開平9−267603号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このような状況に鑑み、機械特性、耐熱性、耐薬品性(耐油性)、吸水特性(低吸水性)等に優れるのみではなく、外観性、耐候性にも優れた車両用ホイールカバーを提供することが本発明の目的のひとつである。
本発明のまた一つの課題は、ひけ現象の改善である。樹脂製の車両用ホイールカバーは構造設計上また成形流動性上、リブを設ける場合が多いが、これに伴いひけの現象が発生し車両用ホイールカバーの外観を損なう事が多く、この問題への対応も本発明の課題である。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、前記目的を達成すべく鋭意検討した結果、熱可塑性ポリエステル系樹脂であるポリトリメチレンテレフタレート樹脂及び結晶核剤及び/又は無機フィラーの組成物からなる車両用ホイールカバーは、機械特性、耐熱性、耐薬品性(耐油性)、吸水特性(低吸水性)等に優れる、かつ、外観性、耐候性にも優れていることを見出し本発明に至った。
【0009】
すなわち、本発明は、
[1](A)ポリトリメチレンテレフタレート樹脂、(B)結晶核剤及び/又は(C)無機フィラーを含み、かつ、以下(1)、(2)に示す結晶化挙動を有する組成物からなる、車両用ホイールカバー、
(1)前記組成物の10〜20mgを、示差走査熱量測定器を用いて、室温から100℃/分の昇温速度にて280℃まで加熱し、2分間保持した後、500℃/分の設定降温速度にて23℃まで急冷した場合における結晶化開始温度Tcが170℃以下。
(2)前記組成物の10〜20mgを、示差走査熱量測定器を用いて、室温から100℃/分の昇温速度にて280℃まで加熱し、2分間保持した後、500℃/分の設定降温速度にて温度T℃まで急冷し以後T℃にて保持した場合における結晶化ピーク時間が、Tの全温度領域で+20秒以下である(ここで、温度Tは60〜120℃の範囲)。
【0010】
[2](A)ポリトリメチレンテレフタレート樹脂100重量部に対して、さらに(D)着色剤0.01〜10.0重量部を含有してなる組成物からなる、前記[1]に記載の車両用ホイールカバー、
[3](A)ポリトリメチレンテレフタレート樹脂100重量部に対して、さらに(E)耐候剤0.01〜5.0重量部を含有してなる組成物からなる、前記[1]又は[2]に記載の車両用ホイールカバー、
[4](C)無機フィラーの量が、(A)ポリトリメチレンテレフタレート樹脂及び(C)無機フィラーの総重量に対して70重量%以下である、前記[1]から[3]のいずれかに記載の車両用ホイールカバー、
【0011】
[5](C)無機フィラーが、ガラス繊維、ガラスビーズ及びガラスフレークから選ばれる1種類以上のガラス材料である、前記[1]から[4]のいずれかに記載の車両用ホイールカバー、
[6](C)無機フィラーが、タルク、マイカ、ウォラストナイト、カオリン、炭酸カルシウム、炭素繊維及びチタン酸カリウムウィスカーの群から選ばれる1種類以上である、前記[1]から[4]のいずれかに記載の車両用ホイールカバー、
[7]車両用ホイールカバーが、リブ構造を有する、前記[1]から[6]のいずれかに記載の車両用ホイールカバー、
である。
【0012】
以下に本発明を詳細に記載する。
本発明における(A)ポリトリメチレンテレフタレート樹脂(以下、PTTと略称することがある。)とは、酸成分に主としてテレフタル酸を、グリコール成分に主としてトリメチレングリコールを用いたポリエステル樹脂である。
テレフタル酸以外の他の酸成分としては、テレフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸、例えばフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、ジフェニルメタンジカルボン酸、ジフェニルケトンジカルボン酸、ジフェニルスルフォンジカルボン酸等;コハク酸、アジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸;ε−オキシカプロン酸、ヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシエトキシ安息香酸等のオキシジカルボン酸が例示される。なお、テレフタル酸は、酸成分の80モル%以上であることが好ましい。
【0013】
トリメチレングリコールとしては、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,1−プロパンジオール、2,2−プロパンジオールあるいはこれらの混合物の中から選ばれるが、安定性の観点から1,3−プロパンジオールが特に好ましく、グリコール成分の80モル%以上であることが好ましい。
他のグリコール成分としてはエチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、オクタメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、キシリレングリコール、ジエチレングリコール、ポリオキシアルキレングリコール、ハイドロキノンなどが例示される。
【0014】
また、上述のポリエステルには、分岐成分、例えばトリカルバリル酸、トリメシン酸、トリメリット酸等の三官能または四官能のエステル形成能を持つ酸またはグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリットなどの三官能または四官能のエステル形成能を持つアルコールが共重合されていてもよく、その場合、分岐成分の量は全ジカルボン酸成分の1.0モル%以下、好ましくは、0.5モル%以下、さらに好ましくは、0.3モル%以下である。更に、PTTはこれら共重合成分を2種類以上組み合わせて使用しても構わない。
【0015】
本発明に用いられるPTTの製造方法は、特に限定されるものではないが例えば、特開昭51−140992号公報、特開平5−262862号公報、特開平8−311177号公報等に記載されている方法によって、テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体(例えばジメチルエステル、モノメチルエステル等の低級アルキルエステル)とトリメチレングリコールまたはそのエステル形成性誘導体とを、触媒の存在下、好適な温度・時間で加熱反応させ、更に得られるテレフタル酸のグリコールエステルを触媒の存在下、好適な温度・時間で所望の重合度まで重縮合反応させる方法が挙げられる。
【0016】
本発明のPTTは、その数平均分子量が5,000〜100,000であることが好ましく、分子量分布を示すMw/Mnが1.5〜4.5であることが好ましい。さらには、分子量100,000以上の分子が、1〜20%含有されることが好ましい。
数平均分子量および分子量分布は、例えば、浸透圧法や末端定量法、或いはGPC法(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定することができる。具体的には、測定装置として東ソー(株)製HLC−8120及びカラムとして昭和電工(株)HFIP804−803(30cmカラム2本)、キャリアとしてヘキサフルオロイソプロパノール(以後HFIPと呼ぶ)を用い、標準試料としてポリマーラボラトリー社製PMMAを用いて、温度40℃、流量0.5ml/分で実施することができる。
【0017】
本発明でいう結晶化開始温度Tcとは、示差走査熱量測定器を用いて、樹脂組成物のサンプル10〜20mgを室温から100℃/分の昇温速度にて280℃まで加熱し、2分間保持した後、500℃/分の設定降温速度にて23℃まで急冷した際に発現する、結晶性樹脂の結晶化に伴う吸熱ピークのトップが観測された時のサンプル温度をいう。この際、吸熱ピークが複数発現する場合は、最初に観測される吸熱ピークを観測対象のピークとする。
【0018】
結晶化開始温度Tcが170℃以下の場合、射出成形において金型内固化時の結晶化速度が適度であるため、例えば、ガラス繊維等を含有する場合、表面のガラス浮きがなく高外観の成形品が得られるため本発明の車両用ホイールカバーに好適である。
より好ましい結晶化開始温度Tcは165℃以下であり、さらに好ましくは160℃以下である。
【0019】
又、本発明でいう結晶化ピーク時間とは、示差走査熱量測定器を用いて、樹脂組成物のサンプル10〜20mgを室温から100℃/分の昇温速度にて280℃まで加熱し、2分間保持した後、500℃/分の設定降温速度にて温度T℃まで急冷し、以後T℃にて10分間保持した際、サンプル温度がT℃に達した時間(t1)と、降温開始から温度をT℃で保持し続ける間に発現する結晶性樹脂の結晶化に伴う吸熱ピークのトップが観測された時の時間(t2)との差(t2−t1)をいう。この際、吸熱ピークが複数発現する場合は、最後に観測される吸熱ピークを観測対象のピークとする。なお、温度Tとは、60〜120℃の範囲をいい、現実の射出成形を考えた場合、金型表面温度は厳密には均一でなく温度分布が存在するため、結晶化ピーク時間は、幅広い温度領域、即ち、温度Tの全領域において+20秒以下である必要がある。
【0020】
ここで、本発明においては、結晶化ピーク時間が負の値となる場合が含まれる。以下、図1を用いて説明する。図1は結晶化ピーク時間を得る際の示差走査熱量測定器の温度プロファイルと、得られるチャートの模式図である。
サンプルAの場合は、最後に観測される吸熱ピークがサンプル温度をT℃にて保持している間に発現しており、結晶化ピーク時間は正の値となる。一方、サンプルBの場合は、サンプル温度がT℃に達するまでの間に吸熱ピークのトップが発現しており、t2<t1となるため、結晶化ピーク時間は負の値となる。
【0021】
本発明の温度T=60〜120℃という温度範囲は、通常一般的な射出成形時の金型温度と同一であり、結晶化ピーク時間が+20秒以下であれば、結晶化速度が適度となるため、金型内での冷却滞留時間を短く抑えることができ経済的に得策である。好ましい結晶化ピーク時間は+10秒以下、より好ましい結晶化ピーク時間は±0秒以下である。
結晶性熱可塑性ポリエステル樹脂は、機械的性質、物理的・化学的特性等に優れるため、車両用ホイールカバー用材料として種々の提案がなされているが、代表的な熱可塑性ポリエステル樹脂であるPBTは結晶化開始温度Tcが高く、結晶化速度も非常に大きいため、成形時の残留歪みあるいは外観不良を招きやすい。また、PBTはあまりにも結晶化速度が大きいため、添加剤等にて結晶化速度をコントロールすることが容易でない。
【0022】
一方、PETの結晶化速度はあまりにも小さい為、例え、特定の結晶核剤を配合したとしても、成形条件を複雑に設定する必要があり、本発明の車両用ホイールカバー用材料としては不適である。
又、本発明のポリトリメチレンテレフタレート樹脂は、その特性を損なわない範囲で、ポリトリメチレンテレフタレートと、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等の他のポリエステル樹脂との混合物であってもかまわない。
【0023】
本発明で用いる(B)結晶核剤は結晶性熱可塑性ポリエステル樹脂の結晶核剤として一般的に用いられている公知の化合物が好ましい。例えば、タルク、マイカ、窒化硼素、カオリン、シリカ、クレー、金属酸化物、無機カルボン酸塩、無機スルホン酸塩、有機カルボン酸塩、有機スルホン酸塩、有機カルボン酸エステル塩、炭酸塩、α−オレフィンとα,β−不飽和カルボン酸塩とからなるイオン性共重合体等が好ましく使用される。中でも、下記一般式(1)で表される脂肪酸金属塩は、より好ましく用いられる。
CH3(CH2)nCOO(M) (1)
(式中、n≧0、M=Na、Ca、Li)
脂肪酸金属塩の中では、高級脂肪酸Na塩、高級脂肪酸Ca塩、高級脂肪酸Li塩がさらに好ましい。
これらの結晶核剤はそれぞれ単独で用いても良いし、それらの混合物を用いてもよい。
【0024】
結晶核剤の添加量は、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂組成物の結晶化開始温度Tcと結晶化ピーク時間が本発明の範囲にあれば特に制限はなく、使用する結晶核剤の種類、組み合わせ、性能等に応じて適宜選択する。
本発明でいう(C)無機フィラーとは、熱可塑性ポリエステル樹脂に一般的に配合されるような公知の無機フィラーをいう。この中で、例えば、タルク、カオリン、マイカ、ガラス繊維等では、使用する種類等により、(B)成分の結晶核剤として作用する性質を持つものもある。
本発明においては、(C)無機フィラーとして、ガラス繊維、ガラスビーズ及びガラスフレークからなる群から選ばれる1種以上のものを用いることが好ましい。
【0025】
ここで、ガラス繊維とは、通常ポリエステル樹脂に用いられるものであれば特に制限はない。又、組成物中のガラス繊維の数平均長さ(以下Lという)、数平均繊維径(以下Dという)およびLとDの比(以下L/Dともいう)については特に限定されないが、Lは100μm以上、L/Dは20以上であることが好ましい。ガラス繊維の配合量は、成形体の表面外観の観点から、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂とガラス材料の総重量に対し70重量%以下が好ましい。又、ガラスビーズやガラスフレーク等、他のガラス材料と併用する場合は、ガラス材料の総重量が、樹脂とガラス材料の総重量に対し70重量%以下が好ましい。
又、前記ガラス繊維は、特に表面処理を施したものが好ましく用いられる。表面処理としては公知のカップリング剤やフィルム形成剤を用いて行う。好ましく用いられるカップリング剤としては、シラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤があげられる。
【0026】
シラン系カップリング剤としては、トリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシ−エトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(1,1−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピル−トリス(2−メトキシ−エトキシ)シラン、N−メチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビニルベンジル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、トリアミノプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−4,5ジヒドロイミダゾールプロピルトリエトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、N,O−(ビストリメチルシリル)アミド、N,N−ビス(トリメチルシリル)ウレア等が挙げられる。
【0027】
この中でも、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(1,1−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のアミノシランおよびエポキシシランが好ましく用いられる。
チタン系カップリング剤は、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスフェイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(1,1−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、イソプロピルトリ(N−アミドエチル、アミノエチル)チタネート、ジクミルフェニルオキシアセテートチタネート、ジイソステアロイルエチレンチタネート等が挙げられる。
【0028】
フィルム形成剤としては、ウレタン系ポリマー、アクリル酸系ポリマー、無水マレイン酸とエチレン、スチレン、α−メチルスチレン、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、2,3−ジクロロブタジエン、1,3−ペンタジエン、シクロオクタジエンなどの不飽和単量体とのコポリマー、エポキシ系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、酢酸ビニル系ポリマー、ポリエーテル系ポリマーなどの重合体を挙げることが出来る。これらの中でも、エポキシ系ポリマー、ウレタン系ポリマー、アクリル酸系ポリマー、ブタジエン無水マレイン酸コポリマー、エチレン無水マレイン酸コポリマー、スチレン無水マレイン酸コポリマー、及び、これらの混合物が好ましく用いられる。
【0029】
又、好ましい無機フィラーとして、ガラス材料以外にも、タルク、マイカ、ウォラストナイト、カオリン、炭酸カルシウム、炭素繊維及びチタン酸カリウムウィスカー等を挙げることができる。
その他の無機フィラーとして、繊維状の無機フィラー、例えば、アスベスト繊維、シリカ繊維、シリカ・アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化硼素繊維、窒化ケイ素繊維、硼素繊維、さらにステンレス、アルミニウム、チタン、銅、真鍮等の金属繊維状物があげられる。
【0030】
又、粉粒状である、シリカ、石英粉末、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、クレー、ケイ藻土のごときケイ酸塩、酸化鉄、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナのごとき金属の酸化物、炭酸マグネシウムのごとき金属の炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムのごとき金属の硫酸塩、その他、炭化ケイ素、窒化ケイ素、各種金属粉末も用いることができる。
無機フィラーの含有量は、成形体の表面外観の観点から、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂と無機フィラーの総重量に対し70重量%以下とすることが好ましい。又、2種類以上の無機フィラーを併用する場合も、無機フィラーの総重量が、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂と無機フィラーの総重量に対し70重量%以下となるようにすることが好ましい。
【0031】
2種類以上の無機フィラーの組み合わせとしては、タルク、マイカ、ウォラストナイト、カオリン、および炭酸カルシウム等からなる群から選ばれた少なくとも1種とガラス繊維との組み合わせが好ましい。
又、本発明においては、(B)結晶核剤と(C)無機フィラーの併用も好ましい。
本発明においては、目的とする車両用ホイールカバーに必要な性能に合わせて、それを構成するポリトリメチレンテレフタレート樹脂組成物に(D)着色剤を添加することが好ましい。
【0032】
本発明で用いる(D)着色剤は、従来、熱可塑性ポリエステル系樹脂に公知の顔料、染料等であり、好ましい顔料としては、有機顔料としては、モノアゾ及び縮合アゾ系、アンスラキノン系、イソインドリノン系、複素環系、ペリノン系、キナクリドン系、ペリレン系、チオインジゴ系、ジオキサジン系等があげられる。
無機顔料としては、カーボンブラック、酸化チタン、チタンイエロー、酸化鉄、群青、コバルトブルー、焼成顔料、メタリック顔料等があげられる。
【0033】
又、有機染料としては、アンスラキノン系、複素環系、ペリン系の染料があげられる。
ここで、カーボンブラックとしては、チャネルブラック系、ファーネスブラック系、ランプブラック系、サーマルブラック系、ケッチェンブラック系、ナフタレンブラック系等が好ましく用いられる。これらのカーボンブラックは1種で用いても良いし、又、2種以上を組み合わせて用いても良い。又、他の着色剤との併用も好ましい。
【0034】
(D)着色剤として用いられるメタリック顔料としては、アルミニウム、着色アルミニウム、ニッケル、スズ、銅、金、銀、白金、酸化鉄、ステンレス、チタン等の金属粒子、マイカ製パール顔料、カラーグラファイト、カラーガラス繊維、カラーガラスフレーク等をあげることができる。中でも、アルミニウム、ニッケル、スズ、マイカ製パール顔料が好ましい。これらの顔料は1種で用いても良いし、又、2種以上を組み合わせて用いても良い。
前記メタリック顔料の平均粒子径は、数平均粒子径にして1〜500μmであることが好ましく、5〜300μmが更に好ましい。数平均粒子径が1〜500μmであると、表面平滑性に優れ、かつ、メタリック色調が鮮やかに発現される。
【0035】
(D)着色剤の配合量は、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂100重量部に対して0.01〜10.0重量部であり、より好ましくは、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂100重量部に対して0.05〜5.0重量部である。配合量がポリトリメチレンテレフタレート樹脂100重量部に対して0.01〜10.0重量部であれば、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂が本来有する機械特性を低下させることなく、鮮明な色調を発現させることができる。
【0036】
又、本発明においては、目的とする車両用ホイールカバーに必要な性能に合わせて、それを構成するポリトリメチレンテレフタレート樹脂組成物に(E)耐候剤を添加することが好ましい。
本発明で用いる(E)耐候剤は結晶性熱可塑性ポリエステル樹脂の耐候剤として一般的に用いられている、紫外線吸収剤、光安定剤等が好ましい。紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、蓚酸アニリド系化合物、トリアジン系化合物等があげられる。
【0037】
ベンゾトリアゾール系化合物としては、例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−5’−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジフェニル)−5−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−s−ブチル−5’−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)−フェノール、及び、2−(3’,5’−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール等があげられる。
【0038】
ベンゾフェノン系化合物としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−t−ブトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ステアロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−フェノキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(2’−ヒドロキシ−3’−アクリルオキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(2’−ヒドロキシ−3’−メタクリルオキシプロポキシル)ベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンが挙げられる。
【0039】
また、2,2’−ジヒドロキシ−4−ブトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−ラウロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4’−トリヒドロ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4’−クロロベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメチルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−メチル−4’−ヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4’−t−ブチルベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4’−メチルベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4,4’,2’−トリメトキシベンゾフェノン、及び、2−ヒドロキシ−4−N−オクトキシベンゾフェノンがあげられる。
【0040】
蓚酸アニリド系化合物としては、例えば、2−エトキシ−2’−エチルオキザリックアシッドビスアニリド、2−エトキシ−5−t−ブチル−2’−エチルオキザリックアシッドビスアニリド、及び、2−エトキシ−3’−ドデシルオキザリックアシッドビスアニリドがあげられる。
【0041】
トリアジン系化合物としては、例えば、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシ−フェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシ−フェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシ−フェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2−ヒドロキシ−4−プロピルオキシ−フェニル)−6−(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシ−フェニル)−4,6−ビス(4−メチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシ−フェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2’−ヒドロキシ−4’−イソプロピルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2’−ヒドロキシ−4’−n−ヘキシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、及び、2,4,6−トリス(2’−ヒドロキシ−4’−エトキシカルボニルメトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン等があげられる。この中、2−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシ−フェニル)−1,3,5−トリアジンが好ましく用いられる。
【0042】
光安定剤としては、ヒンダードアミン系化合物があげられる。例えば、4−アセトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ステアロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(フェニルアセトキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ステアリルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンジルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−フェノキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(エチルカルバモイルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(シクロヘキシルカルバモイルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(フェニルカルバモイルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンがあげられる。
【0043】
また、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−カーボネイト、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−オキサレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−マロネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−アジペート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−セバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−テレフタレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−カーボネイト、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−オキサレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−マロネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−アジペート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−テレフタレート、1,2−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシ)−エタンがあげられる。
【0044】
さらにまた、α,α’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシ)−p−キシレン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−トリレン−2,4−ジカルバメータ、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ヘキサメチレン−1,6−ジカルバメート、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ベンゼン−1,3,5−トリカルボキシレート、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ベンゼン−1,3,4−トリカルボキシレート、1−{2−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチル}−4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、コハク酸ジメチル・1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−1,2,3,4−ブタンカルボキシレート、及び、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル−1,2,3,4−ブタンカルボキシレートがあげられる。これらの耐候剤はそれぞれ単独で用いてもよいし、又、2種以上を組み合わせて用いることも好ましい。
【0045】
耐候剤の添加量は、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂100重量部に対して、0.01〜5.0重量部が好ましい。更に好ましくは、0.03〜3.0重量部であり、最も好ましくは、0.05〜2.0重量部である。添加量が0.01重量部未満であると、もはや耐候剤を添加する効果が認められなくなり、添加量が5.0重量部を超えるとポリトリメチレンテレフタレート樹脂組成物が本来備えている、優れた機械的特性が損なわれるため好ましくない。
【0046】
本発明のポリトリメチレンテレフタレート樹脂組成物には、所望に応じて、酸化防止剤、熱安定剤、離型剤、潤滑剤等、従来、熱可塑性ポリエステル系樹脂に公知の添加剤を配合してもよい。
又、本発明の効果を損なわない範囲で、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂組成物には、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、ポリスチレン、ゴム強化ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ABS樹脂等のスチレン系樹脂、ポリアセタール、ポリアミド類、変性ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンサルファイド、ポリメチルメタクリレート等の熱可塑性樹脂の1種又は2種以上を配合してもかまわない。
【0047】
本発明の車両用ホイールカバーは、車両用ホイールカバーであれば特に制約されるものではない。フルカバー、センターカバーといった大きさ等特に制限はない。また、風穴の位置等のデザインについても任意に設定できる。
本発明で言うリブ(rib)とは、成形品において、その肉厚を厚くしないで剛性や強度を持たせ、また広い平面部の反り変形を防ぐために用いる補強部分をいう。このリブは、キャビティ内の成形材料の流れを容易にし、肉厚を増す場合よりも成形サイクルの短縮を可能にし、また成形材料の使用量が少ない等の利点をもたらすものである。
【0048】
一般に、裏面(非意匠面)側に突出したリブを有する成形品では、冷却に伴う結晶性熱可塑性樹脂の収縮によって、この裏面側のリブに対応する成形品表面(意匠面)にヒケと呼ばれる窪みを生ずる場合がある。これを防止するに、しばしば、例えば、リブの幅を成形品の厚みに比べて狭く設計し、成形品本体側の樹脂が流動状態を維持している間にリブを冷却することにより、リブの収縮によるヒケを成形品本体側の意匠面に発生させないようにする方法が採用されるが、この時、幅狭なリブのため補強効果が充分に得られない場合がある。本発明のポリトリメチレンテレフタレート樹脂組成物では、リブ部(薄肉部)では、低温部(60〜120℃)の結晶化ピーク時間が短いため速やかに固化するのに対し、成形品本体側(厚肉部)では、Tcが小さく適度な結晶化速度を有するため固化が適度に遅くなり、上述したように、過度にリブを幅狭にする必要がない。
【0049】
本発明の車両用ホイールカバーは、その表面に塗装を施して使用してもよい。この場合、塗装方法、塗料等は公知の技術、材料等が使用できる。
本発明の車両用ホイールカバーに塗装を施さず着色して使用する場合、例えば、耐傷付き性を改善するため、部品表面にクリアー等のコーティングを施すことも好ましい。
本発明の車両用ホイールカバーを成形する場合、従来公知の射出成形法が好ましく用いられる。
【0050】
【発明の実施の形態】
次に、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの例により何ら限定されるものではない。
まず、実施例におけるポリトリメチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリアミド樹脂、ガラス繊維、タルク、核剤、耐候剤、及び、測定項目と測定条件を述べる。
【0051】
(1)ポリエステル樹脂
a−1:極限粘度[η]が1.02であり、かつ、数平均分子量が9800、Mw/Mn=2.5、100,000以上の分子量が占める割合が5.8%であるポリトリメチレンテレフタレート樹脂
なお、極限粘度[η]は以下の定義式によって求められる値である。
[η]=lim1/C×(ηr−1)[C→0]
式中のηrは、ポリエステル樹脂を純度98%以上のo−クロロフェノールに溶解させた希釈溶液の35℃における粘度を、同一温度における上記溶媒の粘度で除した値であり、相対粘度として定義されているものである。また、Cは上記希釈溶液100ml中の溶質の重量(g)である。
a−2:極限粘度1.05のポリブチレンテレフタレート樹脂
a−3:極限粘度0.70のポリエチレンテレフタレート樹脂
【0052】
(2)ポリアミド樹脂
b−1:UBEナイロン1013B(宇部興産(株)製)
(3)ガラス繊維
GF−1:繊維径10μm、長さ3mmのチョップドストランドをアミノシランカップリング剤とエポキシ系収束剤の混合物で表面処理したもの
(4)タルク
MF−1:ミクロエースL−1(日本タルク(株)製)
(5)核剤
NAV−1:モンタン酸ナトリウム(リコモントNaV101;クラリアント(株)製)
【0053】
(6)耐候剤
UV−1:チヌビン1577FF(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製)
(7)結晶化開始温度
パーキンエルマー社製示差走査熱量計DSC7型を用い、サンプル約12mgを室温から100℃/分の昇温速度にて280℃まで加熱し、同温度で2分間保持した後、500℃/分の設定降温速度にて23℃まで急冷し、最初に発現する結晶化に伴う吸熱ピークのトップが観測された時のサンプル温度を求めた。
【0054】
(8)結晶化ピーク時間
パーキンエルマー社製示差走査熱量計DSC7型を用い、サンプル約12mgを室温から100℃/分の昇温速度にて280℃まで加熱し、同温度で2分間保持した後、500℃/分の設定降温速度にて目標温度(T)60℃まで急冷し、以後60℃にて10分間保持した。降温開始から60℃で保持する間に発現する結晶化に伴う吸熱ピークのトップまでの時間(秒)を求めた。この時、吸熱ピークが複数発現する場合、最も遅い時間に発現する吸熱ピークの時間を結晶化ピーク時間とした。また、サンプル温度が60℃に達した時間を±0秒として表示した。さらに、サンプルを替え、目標温度(T)をそれぞれ70、80、90、100、110、120℃とし、上記と同様に測定を行い、それぞれの結晶化ピーク時間を求め、目標温度(T)の60〜120℃の範囲での結晶化ピーク時間を評価した。
【0055】
(9)曲げ弾性率:JIS K 7171 準拠
試験機:(株)オリエンテック製テンシロンUTC−30T型
試験片:110mm×10mm×4mmt
試験温度:23℃
試験速度:2mm/min
絶乾調整:試験片をシリカゲル共存のデシケーター中に23℃×24時間放置して調整する
吸水調整:試験片を23℃、50%RHの条件下で60日間放置して調整する
【0056】
(10)成形体表面外観−1
射出成形にて100ショットの成形を行い、以下の基準に基準に基づき目視判定を実施した。
○:100ショット全てにヒケ、フローマークの発生がない。
×:ヒケ、フローマークの発生した成形体がある。
(11)成形体表面外観−2
以下の基準に基準に基づき目視判定を実施した。
○:ガラスの浮き上がりがない。
×:ガラスの浮き上がりがある。
【0057】
(12)耐候性
キセノン耐候性試験機(スガ試験機社製)を用い、ISO4892の条件にて、1000時間の耐候性試験を行った。試験後の試料を以下の基準に基づき判定した。
(A)色差;色差計(スガ試験機製ハンディーカラーテスターHC−T)を用いて、ΔE値(JISZ−8730)を求めた。値が小さいほど色の変化が少ないことを示している。
(B)クラックの程度;試験片の光照射面を100倍の顕微鏡で観察し、その程度を次の判定基準に従って評価した。
判定基準:
0:クラックはない。
1:クラックが、僅かにある。
2:クラックが、長くはっきりしている。
3:クラックが、長く、一視野に20本以上ある。
4:クラックが全面にわたり発生している。
【0058】
【実施例1】
ポリトリメチレンテレフタレート樹脂(a−1)と結晶核剤(NAV−1)とを表1に示す比率で混合し、さらに、着色剤として平均粒系60μmのアルミ粉末0.5重量部(ポリトリメチレンテレフタレート樹脂を100重量部とする)を添加し、2軸押出機(東芝機械(株)製:TEM35、2軸同方向スクリュー回転型、L/D=47.6(D=37mmφ))を用いて溶融混練を行った。この時、スクリュー回転数は300rpm、シリンダー温度は260℃、押出しレート60kg/Hrであった。先端ノズルからストランド状にポリマーを排出し、水冷、カッティングを行いペレットを得た。該ペレットを120℃の窒素雰囲気下で5時間乾燥した。このペレットを用い、結晶化開始温度、及び、結晶化ピーク時間を測定した。評価結果を表1に示す。
【0059】
該ペレットを用い、曲げ弾性率評価用試験片を射出成形し、絶乾時、吸水時の曲げ弾性率を評価した。成形は、樹脂温度260℃、金型温度95℃で行った。評価結果を表3に示す。
又、該ペレットを用い、図2に示されるような形状の車両用ホイールカバーを射出成形し、成形体表面外観−1を評価した。この時、樹脂温度260℃、金型温度95℃であった。評価結果を表3に示す。
さらに、該車両用ホイールカバーの表側(意匠面)の一部(図2の2で示す部分)を切り出し、耐候性試験に供し色差及びクラックの程度を評価した。評価結果を表3に示す。
【0060】
【実施例2】
ポリトリメチレンテレフタレート樹脂(a−1)とガラス繊維(GF−1)とを表1に示す重量比で混合し、さらに、着色剤として平均粒系60μmのアルミ粉末0.5重量部(ポリトリメチレンテレフタレート樹脂+ガラス繊維重量を100重量部とする)を添加した以外は実施例1と同様の操作を行い、ペレットを得た。
該ペレットを用い、実施例1と同様に、結晶化開始温度、結晶化ピーク時間、及び、絶乾時、吸水時の曲げ弾性率を評価した。評価結果を表1、表3に示す。
又、該ペレットを用い、実施例1と同様に、図2に示されるような形状の車両用ホイールカバーを射出成形し、成形体表面外観−1、成形体表面外観−2及び耐候性を評価した。評価結果を表3に示す。
【0061】
【実施例3】
ポリトリメチレンテレフタレート樹脂(a−1)と、ガラス繊維(GF−1)、及び、タルク(MF−1)とを表1に示す重量比で混合し、さらに、耐候剤(UV−1)を表1に示す組成で、又、着色剤として平均粒系60μmのアルミ粉末0.5重量部(ポリトリメチレンテレフタレート樹脂+ガラス繊維+タルク重量を100重量部とする)とを添加した以外は実施例1と同様の操作を行い、ペレットを得た。
該ペレットを用い、実施例1と同様に、結晶化開始温度、結晶化ピーク時間、及び、絶乾時、吸水時の曲げ弾性率を評価した。評価結果を表1、表3に示す。
又、該ペレットを用い、実施例1と同様に、図2に示されるような形状の車両用ホイールカバーを射出成形し、成形体表面外観−1、成形体表面外観−2及び耐候性を評価した。評価結果を表3に示す。
【0062】
【比較例1】
ペレット化したポリトリメチレンテレフタレート樹脂(a−1)を120℃の窒素雰囲気下で5時間乾燥し、結晶化開始温度、及び、結晶化ピーク時間を測定した。評価結果を表2に示す。
該ペレットを用い、実施例1と同様に、射出成形にて、曲げ弾性率測定用の試験片を作製したが、ヒケが大きく、曲げ弾性率の測定が不可であった。
【0063】
【比較例2】
ポリブチレンテレフタレート樹脂(a−2)と着色剤として平均粒系60μmのアルミ粉末0.5重量部(ポリブチレンテレフタレート樹脂を100重量部とする)とを混合し、実施例1と同様の操作を行いペレットを得た。
該ペレットを用い、実施例1と同様に、結晶化開始温度、結晶化ピーク時間、及び、絶乾時、吸水時の曲げ弾性率を評価した。評価結果を表2、表3に示す。
又、該ペレットを用い、実施例1と同様に、図2に示されるような形状の車両用ホイールカバーを射出成形し、成形体表面外観−1及び耐候性を評価した。評価結果を表3に示す。本比較例では、リブ部裏側にヒケが認められた。
【0064】
【比較例3】
ポリエチレンテレフタレート樹脂(a−3)と着色剤として平均粒系60μmのアルミ粉末0.5重量部(ポリエチレンテレフタレート樹脂を100重量部とする)とを混合し、2軸押出機(東芝機械(株)製:TEM35、2軸同方向スクリュー回転型、L/D=47.6(D=37mmφ))を用いて溶融混練を行った。この時、スクリュー回転数は300rpm、シリンダー温度は290℃、押出しレート60kg/Hrであった。先端ノズルからストランド状にポリマーを排出し、水冷、カッティングを行いペレットを得た。該ペレットを120℃の窒素雰囲気下で5時間乾燥した。
該ペレットを用い、樹脂温度285℃、金型温度95℃の条件下、射出成形にて曲げ弾性率測定用の試験片を作製したが、結晶化せず、満足できる成形片が得られなかった。
【0065】
【比較例4】
実施例2で用いたポリトリメチレンテレフタレート樹脂(a−1)の代わりにポリブチレンテレフタレート樹脂(a−2)を用いた以外は、表2に示す重量比にて、実施例1と同様の操作を行いペレットを得た。
該ペレットを用い、実施例1と同様に、結晶化開始温度、結晶化ピーク時間、及び、絶乾時、吸水時の曲げ弾性率を評価した。評価結果を表2、表3に示す。
又、該ペレットを用い、実施例1と同様に、図2に示されるような形状の車両用ホイールカバーを射出成形し、成形体表面外観−1、成形体表面外観−2及び耐候性を評価した。評価結果を表3に示す。本比較例では、表面にガラス浮きがが認められた。
【0066】
【比較例5】
実施例2で用いたポリトリメチレンテレフタレート樹脂(a−1)の代わりにポリアミド樹脂(b−1)を用いた以外は、表2に示す重量比にて、実施例1と同様の操作を行いペレットを得た。
該ペレットを用い、実施例1と同様に、絶乾時、吸水時の曲げ弾性率を評価した。評価結果を表3に示す。
又、該ペレットを用い、実施例1と同様に、図2に示されるような形状の車両用ホイールカバーを射出成形し、成形体表面外観−1、成形体表面外観−2及び耐候性を評価した。評価結果を表3に示す。本比較例では、表面にガラス浮きがが認められた。
【0067】
【表1】
【0068】
【表2】
【0069】
【表3】
【0070】
【発明の効果】
実施例及び比較例からも明らかなように、本発明のポリトリメチレンテレフタレート樹脂と結晶核剤及び/又は無機フィラーの組成物からなる車両用ホイールカバーは、吸水特性、特に吸水時の剛性保持率に優れ、又、ヒケやガラス浮きがなく表面外観にも優れ、かつ、耐候性にも優れているため非常に有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】結晶化ピーク時間の模式図である。
【図2】本発明の車両用ホイールカバーの一例を示す斜視図(表側)である。
【図3】本発明の車両用ホイールカバーの一例を示す斜視図(裏側)である。
【符号の説明】
1:中空部
2:耐候性評価用試験片切り出し部
3:リブ
4:取り付け用爪部
Claims (7)
- (A)ポリトリメチレンテレフタレート樹脂、(B)結晶核剤及び/又は(C)無機フィラーを含み、かつ以下(1)及び(2)に示す結晶化挙動を有する組成物からなることを特徴とする車両用ホイールカバー。
(1)前記組成物の10〜20mgを、示差走査熱量測定器を用いて、室温から100℃/分の昇温速度にて280℃まで加熱し、2分間保持した後、500℃/分の設定降温速度にて23℃まで急冷した場合における結晶化開始温度Tcが170℃以下。
(2)前記組成物の10〜20mgを、示差走査熱量測定器を用いて、室温から100℃/分の昇温速度にて280℃まで加熱し、2分間保持した後、500℃/分の設定降温速度にて温度T℃まで急冷し以後T℃にて保持した場合における結晶化ピーク時間が、Tの全温度領域で+20秒以下である(ここで、温度Tは60〜120℃の範囲)。 - (A)ポリトリメチレンテレフタレート樹脂100重量部に対して、さらに(D)着色剤0.01〜10.0重量部を含有してなる組成物からなることを特徴とする請求項1に記載の車両用ホイールカバー。
- (A)ポリトリメチレンテレフタレート樹脂100重量部に対して、さらに(E)耐候剤0.01〜5.0重量部を含有してなる組成物からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用ホイールカバー。
- (C)無機フィラーの量が、(A)ポリトリメチレンテレフタレート樹脂及び(C)無機フィラーの総重量に対して70重量%以下であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の車両用ホイールカバー。
- (C)無機フィラーが、ガラス繊維、ガラスビーズ及びガラスフレークから選ばれる1種類以上のガラス材料であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の車両用ホイールカバー。
- (C)無機フィラーが、タルク、マイカ、ウォラストナイト、カオリン、炭酸カルシウム、炭素繊維及びチタン酸カリウムウィスカーの群から選ばれる1種類以上あることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の車両用ホイールカバー。
- 車両用ホイールカバーが、リブ構造を有することを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の車両用ホイールカバー。
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- 2003-01-10 JP JP2003004417A patent/JP2004002667A/ja not_active Withdrawn
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