JP2001088165A - 薄く、厚みの制御された層構造を有する成形品を得る成形方法、およびその成形品 - Google Patents

薄く、厚みの制御された層構造を有する成形品を得る成形方法、およびその成形品

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JP2001088165A
JP2001088165A JP26693799A JP26693799A JP2001088165A JP 2001088165 A JP2001088165 A JP 2001088165A JP 26693799 A JP26693799 A JP 26693799A JP 26693799 A JP26693799 A JP 26693799A JP 2001088165 A JP2001088165 A JP 2001088165A
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resin
mold
temperature
molding
thermoplastic resin
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JP26693799A
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English (en)
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Toshimasa Hotaka
寿昌 帆高
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Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Chemicals Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 多層構造を有する成形品を得るための熱可塑
性樹脂の成形法、およびかかる多層構造成形品に関す
る。 【解決手段】 熱可塑性樹脂のサンドイッチ成形により
多層構造の成形品を得る成形方法において、(1)コア
層を形成する熱可塑性樹脂を金型キャビティ内に充填す
る際の射出速度を300mm/sec以上とし、かつ
(2)該スキン層の熱可塑性樹脂のガラス転移温度をT
gとしたとき、主金型温度をTgより低い温度で保持す
るとともに、かかる熱可塑性樹脂が金型のキャビティ表
面およびコア表面に接触している際のキャビティ表面お
よびコア表面の最高温度を[Tg+1](℃)〜[Tg
+50](℃)とすることを特徴とする薄く、厚みの制
御された層構造を有する成形品を得る成形方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は多層構造を有する成
形品を得るための熱可塑性樹脂の成形法、およびかかる
多層構造成形品に関する。詳しくは従来主にフィルムや
シート等のインモールド成形法やインサート成形法等に
より製造されていた、携帯電話・携帯端末等のハウジン
グ、オーディオ機器・家庭用電気機器・映像機器のボデ
ィ、自動車のセンターベゼル、ドアトリム、センターキ
ャップ、ヘルメットの風防、建設機械・自動車・バス等
のグレージング製品等を得るための多層構造を有する製
品を得るための熱可塑性樹脂の成形法、およびかかる多
層構造製品に関する。更に詳しくは従来主にフィルムや
シート等のインモールド成形法やインサート成形法等に
より製造されていた、情報機器のハウジング、自動車の
インストルメントパネル、ボディー外板、建設機械・自
動車・バス等のグレージング製品等を得るための大型多
層構造を有する製品を得るための熱可塑性樹脂の成形
法、およびかかる大型多層構造製品に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、多層構造を有する製品は、主にサ
ンドイッチ成形法、多色成形法、インモールド成形法、
インサート成形法等により製造されていた。
【0003】近年、製品の高機能化や高意匠化、リサイ
クルや塗装レスによる省資源・環境対策等の製品の高付
加価値化を図るため、製品の各層ごとに異なる機能を付
与する製品設計が要望されている。特に製品表面に特定
機能を持たせ、高付加価値化を図る要求が最も高い。こ
の場合かかる特定機能を有する表層は厚みにして0.0
5mm〜1mm程度で十分である一方、かかる厚みが大
きい場合には製品全体の機能を低下させたり、コスト的
な問題から商品性を失することが多い。したがってかか
る0.05mm〜1mm程度と薄く、厚みの制御された
層構造を有する製品を製造する場合には、従来フィルム
やシート等を金型内に予め装着して射出成形するインモ
ールド成形法やインサート成形法等の成形法が用いられ
ている。しかしながらこれら成形法はシート作成、コー
ティング、トリミング等の多数の工程を必要とし生産性
に劣るため一度の成形で薄く、厚みの制御された層構造
を有する製品を成形する方法が求められていた。
【0004】更に、最近では製品デザインの複雑化が求
められており、多層構造で複雑なデザインを有する製品
を得るためには、前述のフィルムやシート等を予め熱成
形、真空成形、圧空成形等により最終的な製品形状に予
備成形して金型内に装着して射出成形する必要があるほ
か、あまりにも複雑な製品デザインを有する製品におい
ては、フィルムやシート等を最終的な製品形状に予備成
形することができず、多層構造を有する製品を製造する
ことが極めて困難であった。
【0005】一方、サンドイッチ成形においては、二種
類以上の熱可塑性樹脂からなる多層構造を有する成形体
を一度の成形で得る成形方法であるものの、従来の方法
ではかかるスキン層を薄くするためスキン層の樹脂量を
低割合とすると、コア層の熱可塑性樹脂の充填により、
かかるコア層の熱可塑性樹脂がスキン層を突き破ってし
まい(いわゆるブレーク現象を生じ)、多層構造が達成
できなかった。すなわち十分に薄いスキン層からなる多
層構造の達成が求められているものの、それが達成され
ていないのが現状である。
【0006】すなわち、一度の成形で薄く、厚みの制御
された層構造を有する成形品の製造が望まれているもの
の、かかる製造法はこれまでなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、薄
く、厚みの制御された層構造を有する成形品を得るため
の熱可塑性樹脂の成形法、およびかかる成形品を提供す
ることにある。更に詳しくはフィルムやシート等を予め
金型内に装着するインモールド成形やインサート成形等
のように複数の成形工程を組み合わせて成形を行うこと
なく、薄く、厚みの制御された層構造を有する成形品を
一度の成形で得るための熱可塑性樹脂の成形法、および
かかる成形品を提供することにある。
【0008】本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検
討を重ねた結果、サンドイッチ成形を行う際に、特定の
射出速度以上の高速でコア層を形成する熱可塑性樹脂を
充填すると共に、金型表面部分を高温とすることにより
目的とする良好な製品が得られることを見出し、本発明
に到達した。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、熱可塑性樹脂
のサンドイッチ成形により多層構造の成形品を得る成形
方法において、(1)コア層を形成する熱可塑性樹脂を
金型キャビティ内に充填する際の射出速度を300mm
/sec以上とし、かつ(2)スキン層の熱可塑性樹脂
のガラス転移温度をTgとしたとき、主金型温度をTg
より低い温度で保持するとともに、かかる熱可塑性樹脂
が金型のキャビティ表面およびコア表面に接触している
際のキャビティ表面およびコア表面の最高温度を[Tg
+1](℃)〜[Tg+50](℃)とすることを特徴
とする薄く、厚みの制御された層構造を有する成形品を
得る成形方法、およびその製品に関するものである。
【0010】本発明は、サンドイッチ成形をすることに
より、多層構造を有する製品を得ることを基本とするも
のである。ここでサンドイッチ成形とは金型内に第1樹
脂と第2樹脂を射出してスキン層(第1樹脂)およびコ
ア層(第2樹脂)からなる層構造を構成させる成形法を
いう。かかる第1樹脂と第2樹脂との射出方法として
は、第1樹脂と第2樹脂の逐次射出、同時射出、あるい
は逐次射出と同時射出の組み合わせを適宜使用すること
ができる。特に第1樹脂と第2樹脂との射出がほぼ同時
に行われる方法が好ましい。
【0011】本発明のサンドイッチ成形においては、射
出シリンダーをそれぞれの樹脂に対して独立として2本
以上の複数シリンダーを使用する方法の他、1本の射出
シリンダーによる方法を使用することもできる。
【0012】1本の射出シリンダーによる場合は、可動
マンドレルで前室と後室に分けて第1樹脂と第2樹脂を
分離して蓄積し、射出により第1樹脂が金型内に充填さ
れた後、可動マンドレル先端部の孔より第2樹脂が充填
される可動マンドレル法が挙げられる。また補助装置よ
りスキン層を形成する第1樹脂を押出し、ホットランナ
内の切り替えバルブ等により射出装置内への蓄積を可能
とし蓄積した後、コア層を形成する第2樹脂を射出装置
で可塑化、第1樹脂と第2樹脂を射出装置内に蓄積した
後、ホットランナ内の切り替えバルブ等により金型内へ
の充填を可能とし充填するモノサンドイッチ法を挙げる
ことができ、いずれの方法も本発明において使用するこ
とができる。
【0013】また複数シリンダーによる場合、第1樹脂
と第2樹脂は合流ノズルを用いて層構造とする方法の
他、金型内のゲート部等で合流させる方法を使用するこ
ともできる。
【0014】合流ノズルを使用する場合、平行型ノズ
ル、V型ノズルのいずれも使用可能であり、またそのノ
ズルの内部構造としては同心円状2重管型を使用するこ
とが好ましい。更にノズル内の樹脂層数としては、2チ
ャンネルタイプを基本とするが、更に多層化を可能とす
る3チャンネルタイプ以上のものも使用可能である。
【0015】金型内のゲート部等で合流させる場合、そ
の構成としては、複数のシリンダーから射出された樹脂
が独立したホットランナーマニホールドを通じて、同心
円状2重管型のゲートシステムにて多層化する方法の
他、コールドランナーを通じてゲート部で多層化する方
法も使用することができる。
【0016】ここでホットランナーによるゲートシステ
ムとしては、内部加熱方式、外部加熱方式等のいずれを
使用してもよく、更に外部加熱方式の場合、オープンゲ
ート方式、バルブゲート方式等のいずれを使用してもよ
い。
【0017】本発明において好ましくは、2本のシリン
ダーを独立に有し同心円状2重管型のノズル構造を有す
るものである。シリンダーをそれぞれ独立とし、それぞ
れにおいてシリンダー温度や射出速度等の条件の選択が
可能となることで、可塑化温度が大きく異なる樹脂の層
構造や複雑な成形品形状の場合にも幅広い条件により対
応が可能となる。すなわちそれぞれの装置について目的
とする成形品に最適の樹脂温度(シリンダー温度)、射
出速度およびそのパターン、射出開始のタイミング、射
出容量等を決定する。
【0018】本発明は、サンドイッチ成形においてコア
層を形成する熱可塑性樹脂(第2樹脂)を充填する際の
射出速度を300mm/sec以上とすることを1つの
条件(以下A条件と称することがある)とするものであ
る。かかる条件を満足する成形を行うことにより、第2
樹脂の溶融粘度を低下させると共に、成形品全体にわた
って充填時の樹脂の冷却が極めて少なくなることによ
り、スキン層の第1樹脂を流れ方向に強く引き伸ばしな
がら充填することが可能となり、結果としてブレーク現
象を起こすことなくスキン層の厚みをより薄くすること
が可能となる。更に大型成形品においても充填時に成形
品の全体にほぼ均一な熱の履歴を有する状態が確保さ
れ、これらの分布やムラに起因するスキン層の厚みムラ
を解消することが可能となる。
【0019】本発明のA条件においては、300mm/
sec以上の射出速度を有することを条件とし、好まし
くは350mm/sec以上、特に好ましくは400m
m/sec以上である。速度の上限としては800mm
/sec程度を目安とする。300〜800mm/se
cの範囲では、本発明の目的を達成すると共に、高速化
により成形品に発生するヤケも少ない良好な大型成形品
を得ることが可能となる。更に好ましくは、金型内に充
填されたスキン層の熱可塑性樹脂のゲート部付近と流動
末端部付近との金型表面の温度差を、キャビティ表面お
よびコア表面ともに10℃以下となる射出速度とする場
合である。かかるゲート部付近および流動末端部付近の
温度については、それぞれの位置に熱電対型温度計を配
することによりかかる値を測定することが可能である。
尚ここでいう射出速度とは、金型キャビティ内への充填
開始から終了までの平均速度をいい、必ずしも一定速度
である必要はなく、多段階の射出速度による成形も可能
である。
【0020】また、ここでゲート部付近とは、ゲート位
置から3cm以内を目安とした金型表面部分をいい、同
様に流動末端部付近とは成形品の流動末端に相当する位
置から3cm以内を目安とした金型表面部分をいい、そ
れぞれかかる位置に各種温度センサーを配することでそ
の値を確認することができる。
【0021】尚、本発明においてスキン層を形成する熱
可塑性樹脂(第1樹脂)の射出速度については、サンド
イッチ成形体の形成を可能とする各種の条件を取ること
が可能である。例えば合流ノズルを使用する場合のよう
に溶融状態で樹脂が合流する場合には、第1樹脂を、コ
ア層を形成する熱可塑性樹脂(第2樹脂)とほぼ同時ま
たはやや先行して射出し、第2樹脂を本発明の規定する
射出速度で射出する間、第1樹脂を連続的に充填し、第
2樹脂と第1樹脂の充填をほぼ同時に終了するか、また
は第1樹脂の充填がやや遅れて終了する条件での成形が
好ましい。かかる充填が可能となるように第1樹脂の射
出速度等を決定すればよい。
【0022】一方、合流ノズルやホットランナー内で合
流する場合と異なり、第1樹脂と第2樹脂の層状の合流
が、樹脂の固化を生ずる部分で行われる場合、例えば金
型キャビティ内で層状の合流が生ずる逐次射出成形法の
場合や、コールドランナーを通じてゲート部で多層化す
る方法の場合には、第1樹脂の充填においても300m
m/sec以上の射出速度で充填することが好ましい。
より好ましくは、350mm/sec以上である。かか
る条件とすることで、スキン層である第1樹脂は固化が
より抑制され、コア層である第2樹脂の流動により引き
づりこまれ易くなり、これにより薄肉のスキン層を安定
して形成することが可能となる。
【0023】本発明は、更にサンドイッチ成形におい
て、上記のA条件と共に、スキン層の熱可塑性樹脂のガ
ラス転位温度をTg(℃)としたとき、主金型温度をT
g(℃)より低い温度で保持するとともに、かかるスキ
ン層の熱可塑性樹脂が金型のキャビティ表面およびコア
表面に接触している際の最高温度を[Tg+1](℃)
〜[Tg+50](℃)とする(以下B条件と称するこ
とがある)ことを特徴とするものである。尚ここでいう
ガラス転移温度とはJIS K7121に規定される方
法にて測定されたものである。
【0024】主金型温度をTg(℃)未満とすることに
より、金型のキャビティ表面およびコア表面を高温とし
ても、速やかに冷却させることが可能となる。主金型温
度がTg以上の場合には、冷却時間が長くなるために生
産効率が低下する。
【0025】ここで主金型とは、金型の構成全体をさ
し、主金型温度とは金型全体の温度を測定する際の目安
となる温度をいい、必ずしも金型のキャビティ表面、お
よびコア表面部分以外の温度が正確に均一な一定の温度
である必要はない。例えば主金型の温度としては、金型
を温度調節するために金型内を循環させる水または有機
化合物等の加熱媒体または冷媒体の温度を目安とするこ
とができる。更に該主金型の温度を確認するためには、
金型キャビティ表面部分から5〜10cm程度離れた該
キャビティを有する金型ブロックまたは該ブロックに隣
接する金型ブロックの中央部分等の温度を熱電対その他
の温度センサーにより測定し確認する方法を挙げること
ができる。またその他主金型の温度調節方法には加熱ヒ
ーター等による方法、空冷方法等が挙げられるが、この
場合も金型全体の温度の目安として適当な部位の温度、
例えば加熱ヒーターの場合にはヒーター部より5〜10
cm程度離れたキャビティを有する金型ブロックまたは
該ブロックに隣接する金型ブロックの中央部分等で測定
される温度とすることができる。
【0026】一方、金型のキャビティ表面およびコア表
面の温度を、[Tg+1](℃)〜[Tg+50]
(℃)とすることにより、熱可塑性樹脂が充填する際の
金型からの冷却を遅延させ、スキン層の形成を抑制し、
スキン層の厚みを薄く制御することが可能となる。
【0027】より好ましくは[Tg+10]〜[Tg+
50](℃)、更に好ましくは[Tg+15]〜[Tg
+40](℃)である。[Tg+1](℃)未満では、
熱可塑性樹脂が充填する際の金型からの冷却によるスキ
ン層の形成を抑制できず、スキン層の厚さを制御するこ
とが困難であり、[Tg+50](℃)を超える条件と
した場合には、溶融した樹脂が金型内で冷却するために
必要な冷却時間が長くなるため、生産効率が低下し好ま
しくない。更には成形サイクルが長くなることで、射出
成形等の場合には滞留時間の増大に伴う樹脂劣化や、金
型表面を高温にするために必要以上にエネルギーを使用
し効率的でないとの問題もある。
【0028】金型のキャビティ表面およびコア表面の温
度を主金型の温度より高温にする方法としては、例え
ば、従来から提案されている該表面部分に直接ハロゲン
ランプ等の輻射熱を照射する方法、高周波誘電加熱を起
こさせる方法、薄膜電気抵抗体により加熱・冷却する方
法、超音波を利用する方法等金型表面部分を外部の熱源
により加熱する方法の他、キャビティ表面およびコア表
面に熱伝導率の低い断熱層を形成することにより、溶融
された熱可塑性樹脂の有する熱を利用し表面部分の温度
を高温化する方法等を用いることができる。これらは単
独で用いても、複数を組み合わせて用いてもよい。特に
前者の外部の熱源により加熱する方法と後者の断熱層を
用いる方法は、外部熱源の効率化にもつながるため組合
わせることが好ましい。前者の外部の熱源により加熱す
る方法においては、ハロゲンランプの照射時間等、外部
熱源の供給時間や熱源の出力を制御することにより金型
のキャビティ表面およびコア表面の温度を目的の温度に
制御することが可能であり、また後者の断熱層を用いる
方法では断熱層の厚みを制御することにより金型のキャ
ビティ表面およびコア表面の温度を目的の温度に制御す
ることが可能である。
【0029】本発明の製品を得る成形方法としては、本
発明の成形方法と射出圧縮成形、インモールド成形、イ
ンサート成形、多色成形、ガスアシスト成形等を組み合
わせて使用することも可能である。
【0030】本発明でA成分として使用する熱可塑性樹
脂としては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレ
ン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリルスチレン樹
脂、ABS樹脂、AS樹脂、AES樹脂、ASA樹脂、
SMA樹脂、ポリアルキルメタクリレート樹脂などに代
表される汎用プラスチックス、ポリフェニレンエーテル
樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポ
リアルキレンテレフタレート樹脂、ポリアミド樹脂、環
状ポリオレフィン樹脂、ポリアリレート樹脂(非晶性ポ
リアリレート、液晶性ポリアリレート)等に代表される
エンジニアリングプラスチックス、ポリエーテルエーテ
ルケトン、ポリエーテルイミド、ポリサルフォン、ポリ
エーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイドなど
のいわゆるスーパーエンジニアリングプラスチックスと
呼ばれるものも用いることができる。更にスチレン系熱
可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマ
ー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリエステル
系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラ
ストマーなどの熱可塑性エラストマーも用いることがで
きる。これらの熱可塑性樹脂はいずれもスキン層、コア
層として使用することが可能である。これらの熱可塑性
樹脂を混合して用いることは、組成物の使用目的に応じ
て適宜選択することができる。
【0031】本発明では特に非晶性の熱可塑性樹脂をス
キン層とするものがより制御された層構造を取り得る点
で好ましい。非晶性の熱可塑性樹脂としては、ポリスチ
レン樹脂、ポリアクリルスチレン樹脂、ABS樹脂、A
S樹脂、AES樹脂、ASA樹脂、SMA樹脂、ポリア
ルキルメタクリレート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹
脂、ポリカーボネート樹脂、非晶性ポリアルキレンテレ
フタレート樹脂、非晶性ポリアミド樹脂、環状ポリオレ
フィン樹脂、非晶性ポリアリレート樹脂、ポリエーテル
サルフォン、更にスチレン系熱可塑性エラストマー、オ
レフィン系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑
性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマ
ー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマーなどの熱可塑
性エラストマーを挙げることができる。
【0032】これらの中でも透明性に優れるポリメチル
メタクリレート等のポリアルキルメタクリレート樹脂、
ポリカーボネート樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、非晶
性ポリアリレート樹脂等を好ましく挙げることができ、
更に機械的強度、耐熱性等にも優れコア層としても有用
なポリカーボネート樹脂を本発明の熱可塑性樹脂として
好ましく挙げることができる。
【0033】本発明におけるポリカーボネート樹脂と
は、通常二価フェノールとカーボネート前駆体とを界面
重縮合法、溶融エステル交換法で反応させて得られたも
のの他、カーボネートプレポリマーを固相エステル交換
法により重合させたもの、または環状カーボネート化合
物の開環重合法により重合させて得られるものである。
【0034】ここで使用される二価フェノールの代表的
な例としては、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,
4’−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)メタン、ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−
ジメチル)フェニル}メタン、1,1−ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)−1−フェニルエタン、2,2−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノール
A)、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)
フェニル}プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ
−3,5−ジメチル)フェニル}プロパン、2,2−ビ
ス{(3−イソプロピル−4−ヒドロキシ)フェニル}
プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−フェ
ニル)フェニル}プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)−3−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)−3,3−ジメチルブタン、2,4
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタ
ン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタ
ン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メ
チルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)−4−イソプロピルシクロヘキサン、1,1−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメ
チルシクロヘキサン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)フルオレン、9,9−ビス{(4−ヒドロキシ
−3−メチル)フェニル}フルオレン、α,α’−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)−o−ジイソプロピルベン
ゼン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m
−ジイソプロピルベンゼン、α,α’−ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、1,
3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−5,7−ジメチ
ルアダマンタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルス
ルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシ
ド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、
4,4’−ジヒドロキシジフェニルケトン、4,4’−
ジヒドロキシジフェニルエーテルおよび4,4’−ジヒ
ドロキシジフェニルエステル等があげられ、これらは単
独または2種以上を混合して使用できる。
【0035】なかでもビスフェノールA、2,2−ビス
{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパ
ン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチル
ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−
3,3−ジメチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシク
ロヘキサンおよびα,α’−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)−m−ジイソプロピルベンゼンからなる群より選
ばれた少なくとも1種のビスフェノールより得られる単
独重合体または共重合体が好ましく、特に、ビスフェノ
ールAの単独重合体および1,1−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン
とビスフェノールA、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ
−3−メチル)フェニル}プロパンまたはα,α’−ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベ
ンゼンとの共重合体が好ましく使用される。
【0036】カーボネート前駆体としてはカルボニルハ
ライド、カーボネートエステルまたはハロホルメート等
が使用され、具体的にはホスゲン、ジフェニルカーボネ
ートまたは二価フェノールのジハロホルメート等が挙げ
られる。
【0037】上記二価フェノールとカーボネート前駆体
を界面重縮合法または溶融エステル交換法によって反応
させてポリカーボネート樹脂を製造するに当っては、必
要に応じて触媒、末端停止剤、二価フェノールの酸化防
止剤等を使用してもよい。またポリカーボネート樹脂は
三官能以上の多官能性芳香族化合物を共重合した分岐ポ
リカーボネート樹脂であっても、芳香族または脂肪族の
二官能性カルボン酸を共重合したポリエステルカーボネ
ート樹脂であってもよく、また、得られたポリカーボネ
ート樹脂の2種以上を混合した混合物であってもよい。
【0038】三官能以上の多官能性芳香族化合物として
は、フロログルシン、フロログルシド、または4,6−
ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキジフェニ
ル)ヘプテン−2、2,4,6−トリメチル−2,4,
6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,
3,5−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、
1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタ
ン、1,1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒド
ロキシフェニル)エタン、2,6−ビス(2−ヒドロキ
シ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、4
−{4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エ
チル]ベンゼン}−α,α−ジメチルベンジルフェノー
ル等のトリスフェノール、テトラ(4−ヒドロキシフェ
ニル)メタン、ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)
ケトン、1,4−ビス(4,4−ジヒドロキシトリフェ
ニルメチル)ベンゼン、またはトリメリット酸、ピロメ
リット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸およびこれ
らの酸クロライド等が挙げられ、中でも1,1,1−ト
リス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−
トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)
エタンが好ましく、特に1,1,1−トリス(4−ヒド
ロキシフェニル)エタンが好ましい。
【0039】界面重縮合法による反応は、通常二価フェ
ノールとホスゲンとの反応であり、酸結合剤および有機
溶媒の存在下に反応させる。酸結合剤としては、例えば
水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水
酸化物またはピリジン等のアミン化合物が用いられる。
有機溶媒としては、例えば塩化メチレン、クロロベンゼ
ン等のハロゲン化炭化水素が用いられる。また、反応促
進のために例えばトリエチルアミン、テトラ−n−ブチ
ルアンモニウムブロマイド、テトラ−n−ブチルホスホ
ニウムブロマイド等の第三級アミン、第四級アンモニウ
ム化合物、第四級ホスホニウム化合物等の触媒を用いる
こともできる。その際、反応温度は通常0〜40℃、反
応時間は10分〜5時間程度、反応中のpHは9以上に
保つのが好ましい。
【0040】また、かかる重合反応において、通常末端
停止剤が使用される。かかる末端停止剤として単官能フ
ェノール類を使用することができる。単官能フェノール
類は末端停止剤として分子量調節のために一般的に使用
され、また得られたポリカーボネート樹脂は、末端が単
官能フェノール類に基づく基によって封鎖されているの
で、そうでないものと比べて熱安定性に優れている。か
かる単官能フェノール類としては、一般にはフェノール
または低級アルキル置換フェノールであって、下記一般
式(1)で表される単官能フェノール類を示すことがで
きる。
【0041】
【化1】
【0042】(式中、Aは水素原子または炭素数1〜9
の直鎖または分岐のアルキル基あるいはフェニル基置換
アルキル基であり、rは1〜5、好ましくは1〜3の整
数である。) 上記単官能フェノール類の具体例としては、例えばフェ
ノール、p−tert−ブチルフェノール、p−クミル
フェノールおよびイソオクチルフェノールが挙げられ
る。
【0043】また、他の単官能フェノール類としては、
長鎖のアルキル基あるいは脂肪族ポリエステル基を置換
基として有するフェノール類または安息香酸クロライド
類、もしくは長鎖のアルキルカルボン酸クロライド類も
示すことができる。これらのなかでは、下記一般式
(2)および(3)で表される長鎖のアルキル基を置換
基として有するフェノール類が好ましく使用される。
【0044】
【化2】
【0045】
【化3】
【0046】(式中、Xは−R−O−、−R−CO−O
−または−R−O−CO−である、ここでRは単結合ま
たは炭素数1〜10、好ましくは1〜5の二価の脂肪族
炭化水素基を示し、nは10〜50の整数を示す。) かかる一般式(2)の置換フェノール類としてはnが1
0〜30、特に10〜26のものが好ましく、その具体
例としては例えばデシルフェノール、ドデシルフェノー
ル、テトラデシルフェノール、ヘキサデシルフェノー
ル、オクタデシルフェノール、エイコシルフェノール、
ドコシルフェノールおよびトリアコンチルフェノール等
を挙げることができる。
【0047】また、一般式(3)の置換フェノール類と
してはXが−R−CO−O−であり、Rが単結合である
化合物が適当であり、nが10〜30、特に10〜26
のものが好適であって、その具体例としては例えばヒド
ロキシ安息香酸デシル、ヒドロキシ安息香酸ドデシル、
ヒドロキシ安息香酸テトラデシル、ヒドロキシ安息香酸
ヘキサデシル、ヒドロキシ安息香酸エイコシル、ヒドロ
キシ安息香酸ドコシルおよびヒドロキシ安息香酸トリア
コンチルが挙げられる。
【0048】末端停止剤は、得られたポリカーボネート
樹脂の全末端に対して少くとも5モル%、好ましくは少
くとも10モル%末端に導入されることが望ましい。よ
り好ましくは全末端に対して末端停止剤が80モル%以
上導入されること、すなわち二価フェノールに由来する
末端の水酸基(OH基)が20モル%以下であることが
より好ましく、特に好ましくは全末端に対して末端停止
剤が90モル%以上導入されること、すなわちOH基が
10モル%以下の場合である。また、末端停止剤は単独
でまたは2種以上混合して使用してもよい。
【0049】溶融エステル交換法による反応は、通常二
価フェノールとカーボネートエステルとのエステル交換
反応であり、不活性ガスの存在下に二価フェノールとカ
ーボネートエステルとを加熱しながら混合して、生成す
るアルコールまたはフェノールを留出させる方法により
行われる。反応温度は生成するアルコールまたはフェノ
ールの沸点等により異なるが、通常120〜350℃の
範囲である。反応後期には系を10〜0.1Torr程
度に減圧して生成するアルコールまたはフェノールの留
出を容易にさせる。反応時間は通常1〜4時間程度であ
る。
【0050】カーボネートエステルとしては、置換され
ていてもよい炭素数6〜10のアリール基、アラルキル
基あるいは炭素数1〜4のアルキル基などのエステルが
挙げられる。具体的にはジフェニルカーボネート、ジト
リルカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネー
ト、m―クレジルカーボネート、ジナフチルカーボネー
ト、ビス(ジフェニル)カーボネート、ジメチルカーボ
ネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート
などが挙げられ、なかでもジフェニルカーボネートが好
ましい。
【0051】また、重合速度を速めるために重合触媒を
用いることができ、かかる重合触媒としては、例えば水
酸化ナトリウム、水酸化カリウム、二価フェノールのナ
トリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属化合物、水酸
化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム等
のアルカリ土類金属化合物、テトラメチルアンモニウム
ヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシ
ド、トリメチルアミン、トリエチルアミン等の含窒素塩
基性化合物、アルカリ金属やアルカリ土類金属のアルコ
キシド類、アルカリ金属やアルカリ土類金属の有機酸塩
類、亜鉛化合物類、ホウ素化合物類、アルミニウム化合
物類、珪素化合物類、ゲルマニウム化合物類、有機スズ
化合物類、鉛化合物類、オスミウム化合物類、アンチモ
ン化合物類マンガン化合物類、チタン化合物類、ジルコ
ニウム化合物類などの通常エステル化反応、エステル交
換反応に使用される触媒を用いることができる。触媒は
単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用
してもよい。これらの重合触媒の使用量は、原料の二価
フェノール1モルに対し、好ましくは1×10-8〜1×
10-3当量、より好ましくは1×10-7〜5×10-4
量の範囲で選ばれる。
【0052】また、かかる重合反応において、フェノー
ル性の末端基を減少するために、重縮反応の後期あるい
は終了後に、例えばビス(クロロフェニル)カーボネー
ト、ビス(ブロモフェニル)カーボネート、ビス(ニト
ロフェニル)カーボネート、ビス(フェニルフェニル)
カーボネート、クロロフェニルフェニルカーボネート、
ブロモフェニルフェニルカーボネート、ニトロフェニル
フェニルカーボネート、フェニルフェニルカーボネー
ト、メトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネート
およびエトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネー
ト等の化合物を加えることが好ましい。なかでも2−ク
ロロフェニルフェニルカーボネート、2−メトキシカル
ボニルフェニルフェニルカーボネートおよび2−エトキ
シカルボニルフェニルフェニルカーボネートが好まし
く、特に2−メトキシカルボニルフェニルフェニルカー
ボネートが好ましく使用される。
【0053】ポリカーボネート樹脂の分子量は特定され
ないが、分子量が10,000未満であると高温特性等
が低下し、40,000を超えると成形加工性が低下す
るようになるので、粘度平均分子量で表して10,00
0〜40,000のものが好ましく、14,000〜3
0,000のものが特に好ましい。また、ポリカーボネ
ート樹脂の2種以上を混合しても差し支えない。本発明
でいう粘度平均分子量は塩化メチレン100mlにポリ
カーボネート樹脂0.7gを20℃で溶解した溶液から
求めた比粘度(ηSP)を次式に挿入して求める。 ηSP/c=[η]+0.45×[η]2c(但し[η]
は極限粘度) [η]=1.23×10-40.83 c=0.7
【0054】本発明の熱可塑性樹脂には離型剤を配合す
ることができ、こうすることは離型時の歪みを抑制でき
る点で好ましい結果を与える。離型剤としては飽和脂肪
酸エステルが一般的であり、例えばステアリン酸モノグ
リセライド等のモノグリセライド類、ステアリン酸ステ
アレート等の低級脂肪酸エステル類、セバシン酸ベヘネ
ート等の高級脂肪酸エステル類、ペンタエリスリトール
テトラステアレート等のエリスリトールエステル類が使
用される。離型剤は熱可塑性樹脂100重量部当り0.
01〜1重量部用いられる。
【0055】また、本発明の熱可塑性樹脂には必要に応
じてリン系熱安定剤を加えることができる。リン系熱安
定剤としては、ホスファイト化合物およびホスフェート
化合物が好ましく使用される。ホスファイト化合物とし
ては、例えばトリフェニルホスファイト、トリスノニル
フェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert
−ブチルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファ
イト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホ
スファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオ
クチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノ
フェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファ
イト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチ
ルジフェニルホスファイト、ビス(2,6−ジ−ter
t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトー
ルジホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ
−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、
ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスフ
ァイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニ
ル)ペンタエリスリトールジホスファイト等のホスファ
イト化合物が挙げられる。これらのうち、トリスノニル
フェニルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリト
ールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブ
チルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトが
好ましい。
【0056】一方、熱安定剤として使用されるホスフェ
ート化合物としては、例えばトリブチルホスフェート、
トリメチルホスフェート、トリクレジルホスフェート、
トリフェニルホスフェート、トリクロルフェニルホスフ
ェート、トリエチルホスフェート、ジフェニルクレジル
ホスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェ
ート、トリブトキシエチルホスフェート、ジブチルホス
フェート、ジオクチルホスフェート、ジイソプロピルホ
スフェート等が挙げられ、なかでもトリフェニルホスフ
ェート、トリメチルホスフェートが好ましい。
【0057】更にその他のリン系熱安定剤としては、テ
トラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−
4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス
(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’
−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−
ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニ
レンジホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブ
チルフェニル)−4−ビフェニレンジホスホナイト等の
ホスホナイト化合物も好ましく使用することができる。
【0058】前記リン系熱安定剤は、単独で使用しても
よく、また2種以上を組合せて使用してもよい。リン系
熱安定剤は、本発明の熱可塑性樹脂100重量部に対
し、0.0001〜0.5重量部、好ましくは0.001
〜0.05重量部の範囲で使用するのが適当である。
【0059】本発明の熱可塑性樹脂には、酸化防止の目
的で通常知られた酸化防止剤を添加することができる。
その例としてはフェノール系酸化防止剤を示すことがで
き、具体的には例えばトリエチレングリコール−ビス
(3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒド
ロキシフェニル)プロピオネート)、1,6−ヘキサン
ジオール−ビス(3−(3,5−ジ−tert−ブチル
−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、ペンタ
エリスリトール−テトラキス(3−(3,5−ジ−te
rt−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネー
ト)、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブ
チル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,
3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ
−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼ
ン、N,N−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−ter
t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマイド)、
3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベン
ジルホスホネート−ジエチルエステル、トリス(3,5
−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イ
ソシアヌレート、3,9−ビス{1,1−ジメチル−2
−[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5
−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル}−
2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウン
デカン等が挙げられる。これら酸化防止剤の好ましい添
加量の範囲は、熱可塑性樹脂100重量部に対し、0.
0001〜5重量部、好ましくは0.001〜0.5重
量部である。
【0060】耐候性の向上および有害な紫外線をカット
する目的で、本発明の熱可塑性樹脂に更に紫外線吸収剤
や光安定剤を配合することができる。かかる紫外線吸収
剤としては、例えば2,2’−ジヒドロキシ−4−メト
キシベンゾフェノンに代表されるベンゾフェノン系紫外
線吸収剤、および例えば2−(3−tert−ブチル−
5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベ
ンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−tert−ブチ
ル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリ
アゾール、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,
3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾト
リアゾール−2−イル)フェノール]、2−[2−ヒド
ロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フ
ェニル]−2H−ベンゾトリアゾールおよび2−(3,
5−ジ−tert−アミル−2−ヒドロキシフェニル)
ベンゾトリアゾールに代表されるベンゾトリアゾール系
紫外線吸収剤が例示される。更にビス(2,2,6,6
−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス
(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジ
ル)セバケート等のヒンダードアミン系の光安定剤も使
用することが可能である。これらは単独で用いても、二
種以上併用してもよい。これら紫外線吸収剤、光安定剤
の好ましい添加量の範囲は、熱可塑性樹脂100重量部
に対し、0.0001〜10重量部、好ましくは0.0
01〜5重量部である。
【0061】また、本発明の透明性を有する熱可塑性樹
脂には紫外線吸収剤などに基づく黄色味を打ち消すため
にブルーイング剤を配合することができる。ブルーイン
グ剤としてはポリカーボネート樹脂に使用されるもので
あれば、特に支障なく使用することができる。一般的に
はアンスラキノン系染料が入手容易であり好ましく、特
にポリカーボネート樹脂に対して有用である。
【0062】本発明の熱可塑性樹脂には、更に慣用の他
の添加剤、例えば補強剤(タルク、マイカ、クレー、ワ
ラストナイト、炭酸カルシウム、ガラス繊維、ガラスビ
ーズ、ガラスバルーン、ミルドファイバー、ガラスフレ
ーク、炭素繊維、炭素フレーク、カーボンビーズ、カー
ボンミルドファイバー、金属フレーク、金属繊維、金属
コートガラス繊維、金属コート炭素繊維、金属コートガ
ラスフレーク、シリカ、セラミック粒子、セラミック繊
維、アラミド粒子、アラミド繊維、ポリアリレート繊
維、グラファイト、導電性カーボンブラック、各種ウイ
スカーなど)、難燃剤(ハロゲン系、リン酸エステル
系、金属塩系、赤リン、シリコン系、フッ素系、金属水
和物系など)、耐熱剤、着色剤(カーボンブラック、酸
化チタンなどの顔料、染料)、光拡散剤(アクリル架橋
粒子、シリコン架橋粒子、極薄ガラスフレーク、炭酸カ
ルシウム粒子など)、蛍光増白剤、蓄光顔料、蛍光染
料、帯電防止剤、流動改質剤、結晶核剤、無機および有
機の抗菌剤、光触媒系防汚剤(微粒子酸化チタン、微粒
子酸化亜鉛など)、グラフトゴムに代表される衝撃改質
剤、赤外線吸収剤、フォトクロミック剤を配合すること
ができる。
【0063】更に本発明の熱可塑性樹脂は、製品または
部品として形成済みの樹脂、いわゆるリサイクル材を使
用することも可能である。特にリサイクル材をコア層と
して使用することが好ましい。かかるリサイクル材には
着色のための塗装、耐摩耗性、帯電防止性、熱線吸収等
の各種機能性コーティング、蒸着、スパッタリング、メ
ッキ等による金属膜等の積層膜が形成されている場合も
多いが、これらは積層膜をつけたままでの使用も、積層
膜を除去しての使用もいずれも可能である。
【0064】例えばポリカーボネート樹脂を基板とする
光情報記録媒体をリサイクル材として使用する場合、こ
れらは粉砕処理等をしてそのまま使用すること、および
かかる粉砕処理したものと、他の熱可塑性樹脂材料およ
び/または他の熱可塑性樹脂材料のリサイクル材と混合
することにより使用することができる。
【0065】一方該光情報記録媒体から情報記録層、反
射層や保護コート層を樹脂基板から選択的に除去し、樹
脂自体を回収して使用することも可能であり、かかる除
去方法として以下に示すいくつかの提案された方法を使
用することができる。
【0066】(i)特開平4−305414号公報(欧
州特許第476,475号、米国特許第5,151,4
52号)、特開平5−200379号公報(欧州特許第
537,567号、米国特許第5,214,072号)
および特開平6−223416号公報(欧州特許第60
1,719号、米国特許第5,306,349号):こ
れらの方法は被覆された樹脂板を、例えば酸またはアル
カリの水溶液で化学的に処理する方法である。
【0067】(ii)特開平5−345321号公報:
この方法は、被覆された樹脂板を長時間熱水中に浸漬す
る方法である。
【0068】(iii)特開平5−210873号公報
および米国特許第5,203,067号:これらの方法
は、被覆された樹脂板の被覆層表面を機械的に刃物や研
磨材を用いて切削、研磨して除去する方法である。
【0069】(iv)特開平10−52823号公報お
よび特開平10−58450号公報:かかる方法は圧延
した記録媒体を加熱水と接触させることにより塗膜を剥
離、除去することにより、基板樹脂を回収する方法であ
る。かかる方法は特に低コストであり、品質、回収率に
おいても良好な方法である。
【0070】その他、光情報記録媒体の表面にブラスト
材を照射させる方法、光情報記録媒体に超音波を照射さ
せる方法(特開平11−34057号)等を挙げること
ができる。
【0071】上記のリサイクル材がコア層として好まし
い一方、スキン層としては表面硬度に優れる熱可塑性樹
脂が好ましい。より具体的にはJIS K5400で測
定された鉛筆硬度がH以上である熱可塑性樹脂を使用す
ることが好ましい。かかる熱可塑性樹脂としては、ポリ
メチルメタクリレート等が挙げられる。
【0072】本発明では、前記の特定の成形方法を使用
することにより、多層構造製品を射出成形により効率的
に製造することが可能となる。特にゲート部から流動末
端部までの距離が20cm以上となるような大型の多層
構造成形品に好適なものである。
【0073】さらに、本発明は従来のサンドイッチ成形
法では十分に得られなかった薄く、厚みの制御された層
構造を有する成形品が得られるものであり、スキン層の
平均厚みが、成形品の平均厚みに対し0.01〜0.3
0の割合を達成し得る成形法である。尚、各種樹脂にお
いて安定した下限としては0.05、より安定した下限
としては0.10の値が挙げられ、ゲート部から流動末
端部までの距離が20cm以上となるような大型の多層
構造成形品においてもかかる薄肉のスキン層を形成する
ことが可能である。
【0074】
【発明の実施の形態】以下に実施例を挙げて本発明を更
に説明する。実施例において用いる熱可塑性樹脂、各金
型は次の通りである。
【0075】 PC−1:ビスフェノールAとホスゲ
ンから常法によって作られた粘度平均分子量18,50
0のポリカーボネート樹脂100重量部に、Sands
tabP−EPQ(サンドズ(Sandoz)社製)
0.03重量部、およびグリセリンモノステアレート
0.2重量部を配合し、280℃で溶融押出してなるペ
レット状ポリカーボネート樹脂組成物。かかるポリカー
ボネート樹脂組成物のガラス転移温度は146℃であっ
た。
【0076】 PC−2:PC−1で使用されたポリ
カーボネート樹脂、安定剤および離型剤に加えて、更に
ポリカーボネート樹脂100重量部あたり1重量部のカ
ーボンブラック(三菱化学(株)製C#900)を配合
してPC−1と同様にして得たペレット状ポリカーボネ
ート樹脂組成物。かかるポリカーボネート樹脂組成物の
ガラス転移温度は146℃であった。
【0077】 PMMA:ポリメチルメタクリレート
樹脂(旭化成工業(株)製 デルペット80N。かかる
樹脂のガラス転移温度は115℃であった。) RecPC:以下の工程により得られたリサイクル
ポリカーボネート樹脂組成物。粘度平均分子量15,1
00、吸水率0.20重量%で二価フェノール成分がビ
スフェノールAのポリカーボネート樹脂基板(1.2m
m)/アルミ蒸着層(0.1μm)/UVコート層(5
〜10μm)/レーベル印刷層(20μm)の構成から
なる樹脂基板A(直径12cm)を相対するロール間隙
が0.4mmで、表面温度を130℃に設定した大竹機
械工業製2本ロール機にて圧延した。このときの圧延条
件はロール回転数=高速側16rpm、低速側14rp
m、ロール径=12インチ、ロール幅=24インチとし
た。次に熱水処理として95℃の加熱水に45分間浸漬
し、膨潤させながら攪拌した。この時の樹脂基板の割合
は、樹脂基板と加熱水との合計に対して3重量%とし、
被覆成分を除去させた。次に水洗を施し、被覆成分を除
去した透明なポリカーボネート樹脂基板を回収した。得
られたポリカーボネート樹脂基板を粉砕し、かかる粉砕
物100重量部に対し、カーボンブラック(三菱化学
(株)製C#900)1重量部を配合し、溶融押出して
ペレットを得た。尚、かかる樹脂組成物のガラス転移温
度は142℃であった。
【0078】 主金型:鋼材(S55C)熱伝導率2
0W/m・K
【0079】また、評価は下記の方法によった。 (1)スキン層厚み、及びコア層厚みの測定 スキン層には前述した透明熱可塑性樹脂を用い、コア層
には前述したカーボンブラックを添加した熱可塑性樹脂
を用いてサンドイッチ成形を行い、得られた成形品を流
れ方向に向かって中心線(両端部からそれぞれ10cm
の中心線)で切断した。かかる断面部における流動末端
部から3cmおよびゲート部から3cmの部分のスキン
層、およびコア層の厚みを10倍の拡大写真から測定し
た。
【0080】(2)ガラス転位温度の測定 JIS K7121に準拠し樹脂のガラス転位温度(T
g)を測定した。
【0081】(3)キャビティ表面、およびコア表面の
最高温度、および温度履歴の測定 キャビティ表面、およびコア表面の温度はかかる金型キ
ャビティ表面、およびコア表面部分に接触した熱電対を
用いて記録計に記録し、最高温度、および温度履歴を測
定した。
【0082】(4)成形サイクル 図1記載の成形品を成形する際、熱可塑性樹脂を射出
後、金型から成形品を取り出せる温度(当該熱可塑性樹
脂のTg以下)まで冷却された後、成形品を取り出すま
でに要した時間を測定した。今回対象とする成形品にお
いては、成形サイクルは300秒以下が生産効率を低下
させず実用的で好ましい。
【0083】[実施例1]前述のスキン層用ポリカーボ
ネート樹脂(PC)、及びコア層用ポリカーボネート樹
脂(PC)を各々120℃で5時間乾燥した後、600
mm/secの射出速度を達成可能なシリンダ内径50
mmφの超高速射出装置を2基備え、および同心円状2
重管型のV型合流ノズルを備えた超高速射出サンドイッ
チ成形機を使用してサンドイッチ成形を行った。成形条
件は、スキン層用の射出装置1のシリンダー温度が29
0℃、およびコア層用の射出装置2のシリンダー温度が
290℃であり、射出装置1は背圧200kgf/cm
2、射出装置2は背圧100kgf/cm2で計量を行
い、射出速度一定の条件で射出装置2の射出速度を35
0mm/sec、射出装置1の射出速度を34.6mm
/secとし、両装置の樹脂を同時に射出を開始し、ほ
ぼ同時に充填を完了する成形条件(同時射出の条件)に
より図1に記載の成形品を成形した。かかる成形品は長
さ250mm×幅200mm×厚み4mmの板状成形品
であり、フィルムゲート(ゲート部の厚み3mm)を有
するものである。金型のキャビティ表面およびコア表面
に各々ハロゲンランプ(25kW)を照射することによ
り充填前のキャビティ表面温度を180℃としたのち充
填を行った。尚、主金型の温度は金型温調機の温度は9
0℃とし図2に示す主金型の胴体部分の熱電対型温度計
がほぼ同じ温度になっていることを確認して実施した。
また熱電対により測定された金型キャビティ表面部の温
度のうち、ゲート部から3cm離れた図1に示す測定点
6の最高温度は183℃、流動末端部から3cm離れた
図1に示す測定点7の最高温度は178℃であった。一
方コア表面部の温度のうち、ゲート部から3cm離れた
図1に示す測定点6’の最高温度は183℃、流動末端
部から3cm離れた図1に示す測定点7’の最高温度は
178℃であった。また成形サイクルは96秒であっ
た。冷却完了後に成形品を取り出し、得られた成形品の
スキン層厚み、及びコア層厚みについて評価した。評価
結果を表1に示す。
【0084】[実施例2]以下の条件以外は実施例1と
同じ条件でサンドイッチ成形を行った。射出装置1およ
び2ともに背圧200kgf/cm2で計量を行ったの
ち、射出装置1の射出速度を600mm/secの一定
値として充填を完了し、次いで射出装置2の射出速度も
600mm/secの一定値で充填する逐次射出の方法
で充填を行った。射出装置1のストロークは17.8m
m、射出装置2のストロークは127.2mmとした。
金型キャビティ表面部の最高温度(測定点6および7)
および金型コア表面部の最高温度(測定点6’および
7’)、更に得られた成形品のスキン層厚み、及びコア
層厚みについて評価した。また成形サイクルは95秒で
あった。評価結果を表1に示す。
【0085】[実施例3]以下の条件以外は実施例1と
同じ条件でサンドイッチ成形を行った。スキン層用の樹
脂をポリメチルメタクリレート樹脂とし、かかる樹脂を
95℃で5時間乾燥した後、射出装置1のシリンダー温
度を275℃とし、射出装置1の背圧を200kgf/
cm2として計量し、射出装置2の射出速度を350m
m/sec、射出装置1の射出速度を34.6mm/s
ecとして、同時射出の条件で成形を行った。金型のキ
ャビティ表面およびコア表面に各々ハロゲンランプ(2
5kW)を照射することにより充填前のキャビティ表面
温度を150℃としたのち充填を行った。尚、主金型の
温度は金型温調機の温度は70℃とし図2に示す主金型
の胴体部分の熱電対型温度計がほぼ同じ温度になってい
ることを確認して実施した。金型キャビティ表面部の最
高温度(測定点6および7)および金型コア表面部の最
高温度(測定点6’および7’)、更に得られた成形品
のスキン層厚み、及びコア層厚みについて評価した。評
価結果を表1に示す。成形サイクルは96秒であった。
【0086】[実施例4]以下の条件以外は実施例1と
同じ条件でサンドイッチ成形を行った。コア層用の樹脂
をリサイクルポリカーボネート樹脂とし、かかる樹脂を
120℃で5時間乾燥したのち、実施例1と同じ条件で
成形を行った。金型キャビティ表面部の最高温度(測定
点6および7)および金型コア表面部の最高温度(測定
点6’および7’)、更に得られた成形品のスキン層厚
み、及びコア層厚みについて評価した。評価結果を表1
に示す。成形サイクルは96秒であった。
【0087】[比較例1]射出速度の条件を以下の条件
に変更した以外は実施例1と同じ条件で成形を行った。
即ち射出速度一定の条件で射出装置2の射出速度を50
mm/sec、射出装置1の射出速度を同時射出の条件
を満足するよう4.9mm/secとして成形を行っ
た。金型キャビティ表面部の最高温度(測定点6および
7)および金型コア表面部の最高温度(測定点6’およ
び7’)を表1に示す。得られた成形品はコア樹脂がス
キン樹脂を突き破って成形品表面に出てくる、いわゆる
ブレーク現象を生じ、十分なサンドイッチ成形品が得ら
れなかった。
【0088】[比較例2]射出速度の条件を以下の条件
に変更した以外は実施例2と同じ条件で成形を行った。
即ち射出速度一定の条件で射出装置1の射出速度を60
0mm/secで充填した後、射出装置2の射出速度を
50mm/secとして逐次射出の方法で充填を行っ
た。金型キャビティ表面部の最高温度(測定点6および
7)および金型コア表面部の最高温度(測定点6’およ
び7’)を表1に示す。この場合もブレーク現象を生じ
十分なサンドイッチ成形品が得られなかった。
【0089】[比較例3]射出速度の条件を以下の条件
に変更した以外は実施例1と同じ条件で成形を行った。
即ち射出速度一定の条件で射出装置1および2をともに
射出速度50mm/secとして充填を行った。この場
合はブレーク現象は生じなかった。金型キャビティ表面
部の最高温度(測定点6および7)および金型コア表面
部の最高温度(測定点6’および7’)、更に得られた
成形品のスキン層厚み、及びコア層厚みについて評価し
た。評価結果を表1に示す。
【0090】[比較例4]金型表面の温度を高温とせ
ず、主金型と同様の温度とする以外は実施例1と同じ条
件で成形を行った。即ち金型キャビティ表面温度、コア
表面温度をともに主金型の温度と同じ90℃として成形
を行った。金型キャビティ表面部の最高温度(測定点6
および7)および金型コア表面部の最高温度(測定点
6’および7’)を表1に示す。この場合もブレーク現
象を生じ十分なサンドイッチ成形品が得られなかった。
【0091】[比較例5]金型表面の温度を高温とせ
ず、主金型と同様の温度とする以外は実施例1と同じ条
件で成形を行った。即ち主金型の温度を150℃とし、
金型キャビティ表面温度、コア表面温度をともに主金型
の温度と同じ温度として成形を行った。金型キャビティ
表面部の最高温度(測定点6および7)および金型コア
表面部の最高温度(測定点6’および7’)を表1に示
す。尚、かかる場合は成形品が十分に冷却されず成形品
を得ることができなかった。
【0092】
【表1】
【0093】表1から明らかなように、例えば実施例1
と比較例1および2との比較から、射出速度を一定速度
以上に高く設定することにより、スキン層の厚みを薄く
したサンドイッチ成形が可能となることがわかる。同様
に実施例1と比較例4との比較から、金型キャビティ表
面の温度を一定温度以上に高く設定することにより、ス
キン層の厚みを薄く制御したサンドイッチ成形品を得る
ことができることがわかる。
【0094】
【発明の効果】本発明を用いると、スキン層厚みが制御
された製品を得ることが可能であり、特にフィルムやシ
ート等を予め金型内に装着するインモールド成形やイン
サート成形等のように複数の成形工程を組み合わせて成
形を行うことなく、一度の成形で層厚みが制御された製
品を得ることが可能であることからその奏する工業的効
果は極めて大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】板状成形体の概要を模式的に表す図である。
【図2】金型構造を側面から見た概要図である。
【符号の説明】 1 板状成形品本体 2 板状成形品ゲート部分 3 板状成形品スプルー部分(10mmφ、長さ20
cm) 4 板状成形品の幅(200mm) 5 板状成形品の長さ(250mm) 6(6’) ゲート部に対応する温度センサー(図1で
は取り付け位置相当部を示す。尚6はキャビティ側、
6’はコア側を示す) 7(7’) ゲート部に対応する温度センサー(図1で
は取り付け位置相当部を示す。尚7はキャビティ側、
7’はコア側を示す) 8 ゲート部厚み(3mm) 9 板状成形品厚み(4mm) 10 金型キャビティ側 11 金型コア側 12 金型キャビティ側表面 13 金型コア側表面 14 主金型の温度センサー埋め込み部位
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B29K 101:12 B29K 101:12 B29L 9:00 B29L 9:00 Fターム(参考) 4F100 AK01A AK01B AK25 AK45A AK45B BA02 EH362 GB32 GB41 GB76 JA05A JA07A JB16A JB16B YY00A 4F202 AA28 AB06 AB14 AG03 AH17 AH33 AH46 AR06 AR08 CA11 CB22 CK06 4F206 AA28 AB06 AB14 AG03 AH17 AH33 AH46 AR064 AR086 JA07 JB22 JL02 JM13 JN12 JN15 JN25 JQ69 JQ81

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性樹脂のサンドイッチ成形により
    多層構造の成形品を得る成形方法において、(1)コア
    層を形成する熱可塑性樹脂を金型キャビティ内に充填す
    る際の射出速度を300mm/sec以上とし、かつ
    (2)スキン層の熱可塑性樹脂のガラス転移温度をTg
    としたとき、主金型温度をTgより低い温度で保持する
    とともに、かかる熱可塑性樹脂が金型のキャビティ表面
    およびコア表面に接触している際のキャビティ表面およ
    びコア表面の最高温度を[Tg+1](℃)〜[Tg+
    50](℃)とすることを特徴とする薄く、厚みの制御
    された層構造を有する成形品を得る成形方法。
  2. 【請求項2】 金型内に充填された熱可塑性樹脂のゲー
    ト部付近と流動末端部付近との金型表面の温度差が、キ
    ャビティ表面およびコア表面ともに10℃以下となる射
    出速度とする請求項1に記載の薄く、厚みの制御された
    層構造を有する成形品を得る成形方法。
  3. 【請求項3】 少なくとも1層の熱可塑性樹脂が、粘度
    平均分子量10,000〜40,000のポリカーボネ
    ート樹脂である請求項1または2のいずれか1項に記載
    の薄く、厚みの制御された層構造を有する成形品を得る
    成形方法。
  4. 【請求項4】 ゲート部から流動末端部までの距離が2
    0cm以上である請求項1〜3のいずれか1項に記載の
    成形法で得られた成形品。
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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003053767A (ja) * 2001-08-17 2003-02-26 Asahi Techno Plus Kk 耐熱性薄肉成形品の射出成形方法
JP2003103085A (ja) * 2001-09-28 2003-04-08 Brother Ind Ltd ミシンフレーム成形用樹脂組成物
JP2008195076A (ja) * 2008-03-17 2008-08-28 Matsushita Electric Works Ltd 電磁波シールド用カバー部材の製造方法及び電磁波シールド用カバー部材
WO2019078076A1 (ja) * 2017-10-16 2019-04-25 トリニティ工業株式会社 加飾部品及びその製造方法
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WO2024089807A1 (ja) * 2022-10-26 2024-05-02 株式会社ジェイテクト 複合材の成形金型及び製造方法

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