JP2001225348A - 成形方法およびその成形品 - Google Patents

成形方法およびその成形品

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JP2001225348A
JP2001225348A JP2000036387A JP2000036387A JP2001225348A JP 2001225348 A JP2001225348 A JP 2001225348A JP 2000036387 A JP2000036387 A JP 2000036387A JP 2000036387 A JP2000036387 A JP 2000036387A JP 2001225348 A JP2001225348 A JP 2001225348A
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layer
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temperature
mold
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Toshimasa Hotaka
寿昌 帆高
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Teijin Ltd
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Teijin Chemicals Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 薄く、厚みの制御された層構造を有する界面
密着性の良好な成形品を得るための熱可塑性樹脂の成形
法、およびかかる成形品に関する。 【解決手段】 熱可塑性樹脂の多色成形またはインサー
ト成形により多層構造の成形品を得る成形方法におい
て、該成形品が、前工程で射出成形され金型キャビティ
内に設置された樹脂成形品からなる層(以下“第1層”
とする)、およびかかる第1層の表面と対向する金型キ
ャビティ表面との間の空間内に熱可塑性樹脂(以下“樹
脂B”とする)を充填することにより形成される層(以
下“第2層”とする)からなる多層構造を有し、更に
(1)樹脂Bを充填する際の射出速度を300mm/s
ec以上とし、かつ(2)樹脂Bの最も高いガラス転移
温度をTg(℃)としたとき、主金型温度をTg(℃)
より低い温度で保持するとともに、かかる樹脂Bがキャ
ビティ表面に接触している際の該表面の最高温度を[T
g+1](℃)〜[Tg+50](℃)とすることを特
徴とする成形方法、およびその成形品。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は多層構造を有する成
形品を得るための熱可塑性樹脂の成形法、およびかかる
多層構造成形品に関する。詳しくは従来主にフィルムや
シート等のインモールド成形法やインサート成形法等に
より製造されていた、携帯電話・携帯端末等のハウジン
グ、オーディオ機器・家庭用電気機器・映像機器のボデ
ィ、自動車のセンターベゼル、ドアトリム、センターキ
ャップ、ヘルメットの風防、建設機械・自動車・バス等
のグレージング製品等を得るための多層構造を有する製
品を得るための熱可塑性樹脂の成形法、およびかかる多
層構造製品に関する。更に詳しくは従来主にフィルムや
シート等のインモールド成形法やインサート成形法等に
より製造されていた、情報機器のハウジング、自動車の
インストルメントパネル、ボディー外板、建設機械・自
動車・バス等のグレージング製品等を得るための大型多
層構造を有する製品を得るための熱可塑性樹脂の成形
法、およびかかる大型多層構造製品に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、製品の高機能化や高意匠化、リサ
イクルや塗装レスによる省資源・環境対策等の製品の高
付加価値化を図るため、製品の各層ごとに異なる機能を
付与する製品設計が要望されいる。特に製品表面に特定
機能を持たせ、高付加価値化を図る要求が最も高い。こ
の場合かかる特定機能を有する表層は厚みにして0.0
5mm〜1mm程度で十分である一方、かかる厚みが大
きい場合には製品全体の機能を低下させたり、コスト的
な問題から商品性を失することが多い。したがってかか
る0.05mm〜1mm程度と薄く、厚みの制御された
層構造を有する製品を製造する場合には、従来フィルム
やシート等を金型内に予め装着して射出成形するインモ
ールド成形法やシートインサート成形法等の成形法が用
いられている。しかしながらこれら成形法はシート作
成、トリミング、また複雑なデザインの場合には更に前
述のフィルムやシート等を予め熱成形、真空成形、圧空
成形等により最終的な製品形状に予備成形する必要があ
るなど、一般に大掛かりな工程が必要であり多品種の生
産の場合には必ずしも適切でない場合があった。
【0003】一方、多色成形やインサート成形(射出成
形品をインサートする場合)においては、比較的形状の
自由度が高い一方で、従来の方法ではかかる薄い層部分
を有する場合には成形が困難であった。
【0004】また、薄肉成形品を得る方法としては、射
出速度を従来の標準以上に上げて成形を行う、いわゆる
超高速射出成形法が近年盛んに行われているが、かかる
方法を単に応用しても十分とはいえないことが多いのが
実情である。すなわち例えば2色成形において、超高速
射出成形で第1層を成形し、その後肉厚が比較的厚い第
2層を成形するとの方法を取った場合、第1にかかる場
合であっても樹脂の充填が困難な場合が多く、樹脂の色
相の悪化や、金型温度上昇による成形サイクルの増加等
が生じ易い。第2にかかる第1層の成形が可能な場合で
もかかる成形品に大きな反りが生ずることが多い。これ
は第1層の形成によりかかる表面側の熱がこもりやす
く、一方で金型キャビティ表面では樹脂が冷却されやす
いため、かかる熱履歴の差により収縮が大きく異なるた
めだと考えられる。更に成形品に大きな歪みが残ること
が多く、透明性を有する樹脂同士の場合には光学的歪み
の改良を求められる場合もある。また密着性の悪い熱可
塑性樹脂同士の場合には更に良好な密着性も求められ
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、薄肉
層を有する射出成形による多層成形品を可能とすると共
に、反り等の不良もなく、また低歪みであり、層間の密
着性にも優れる多層成形品を得るための熱可塑性樹脂の
成形方法、およびかかる良好な成形品を提供することに
ある。更に詳しくはフィルムやシート等を予め金型内に
装着するインモールド成形やシートインサート成形等に
比較して、複雑なデザインや少量多品種の製造に対応可
能であると共に、同様の特性を有する多層成形品を得る
ための熱可塑性樹脂の成形方法、およびかかる成形品を
提供することにある。
【0006】本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検
討を重ねた結果、多色成形またはインサート成形におい
て、前工程で成形され金型キャビティ内に設置された樹
脂成形品の表面とキャビティ表面またはコア表面により
主として構成される空間内に熱可塑性樹脂を充填する
際、特定の射出速度以上の高速で充填すると共に、かか
るキャビティ表面またはコア表面を局所的に高温とする
ことにより目的とする良好な製品が得られることを見出
し、本発明に到達した。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、熱可塑性樹脂
の多色成形またはインサート成形により多層構造の成形
品を得る成形方法において、該成形品が、前工程で射出
成形され金型キャビティ内に設置された樹脂成形品から
なる層(以下“第1層”とする)、およびかかる第1層
の表面と、対向する金型キャビティ表面との間の空間内
に熱可塑性樹脂(以下“樹脂B”とする)を充填するこ
とにより形成される層(以下“第2層”とする)からな
る多層構造を有し、更に(1)樹脂Bを充填する際の射
出速度を300mm/sec以上とし、かつ(2)樹脂
Bの最も高いガラス転移温度をTg(℃)としたとき、
主金型温度をTg(℃)より低い温度で保持するととも
に、かかる樹脂Bがキャビティ表面に接触している際の
該表面の最高温度を[Tg+1](℃)〜[Tg+5
0](℃)とすることを特徴とする成形方法、およびそ
の製品に関するものである。
【0008】本発明は、多色成形またはインサート成形
を基本とする。ここで多色成形とは、異材質成形とも呼
ばれる成形方法のことであり、色や材質の異なる複数の
成形材料をそれぞれ異なる射出装置から順次、複数の成
形材料が組み合わされた成形品を成形する方法である。
この多色成形を用いて複数の色を組み合わせることによ
り文字や図形を表示したり、表層あるいは裏層を所望の
色合いに成形することにより塗装レスを行うことができ
るほか、複数の材質を組み合わせることにより部分的に
各々の材質の特性を生かした成形品を得ることができ、
機能の異なる部品を一体で成形することが可能となると
同時に組立て工数の削減も可能となる。さらに、表層に
バージン材、裏層にリサイクル材を用いることで資源保
護や環境保全等の社会的ニーズにも対応することが可能
となる。
【0009】多色成形の中で最も一般的に使われている
成形としては、2色成形が挙げられる。すなわち2色成
形の場合には、金型キャビティ内に第1の熱可塑性樹脂
を射出成形により充填し樹脂成形品を形成することで第
1層を構成し、かかる前工程の第1層の表面と対向する
金型キャビティ表面との間の空間内に第2の熱可塑性樹
脂を充填することにより、第1層と第2層からなる層構
造を有する成形品を得ることができる。
【0010】ここで、金型キャビティとは、金型におい
て樹脂が充填するスプルー、ランナーを除く成形品の実
質的な部分に対応する金型内の空間をいい、金型キャビ
ティ表面とは、金型キャビティを構成する金型の表面を
いう。
【0011】多色成形機における射出装置の配置方式と
しては、例えば2つ以上の射出装置を水平に並列に配置
する方法や、一方の射出装置を垂直に立てて、他方を水
平に配置する方法、2つ以上の射出装置を水平でかつ直
交に配置する方法、2つ以上の射出装置を、金型を挟ん
で対向配置する方法等が挙げられるが、いずれの方法も
本発明において使用することができる。またいずれも各
々の射出装置において独立した成形条件の設定により成
形をすることが可能である。
【0012】多色成形における金型機構として通常使わ
れる方法としては、コアバック方式、コア回転方式、コ
ア移動方式等が挙げられるが、いずれの方法も本発明に
おいて使用することができる。
【0013】コアバック方式の場合は、第1層を形成す
る熱可塑性樹脂を射出成形後、型締状態にてコアの一部
を後退させ、コアが後退することにより形成された空間
に第2層を形成する樹脂Bを射出する方法であり、成形
品の取り数、大きさが通常の射出成形の場合と変わらな
い、あるいは金型の作製が容易という長所をもつ。
【0014】コア回転方式の場合は、第1層を形成する
熱可塑性樹脂を射出成形後、通常は型開きし、第2層を
形成する樹脂Bを射出する射出装置の方向に、該金型の
コア部分を回転させ、次いで再度型締めし、第1層の表
面と金型キャビティ表面により主として構成される空間
に樹脂Bを射出する方法である。尚、金型の構造や成形
品形状によっては型開きが不要の場合もある。
【0015】かかる方法は、第1層と第2層との間でキ
ャビティ形状を自由に変えることができ、さらに第1層
と第2層とでは異なる金型キャビティを使用するため、
複合同時動作のできる成形装置では各々キャビティに同
時に射出することも可能であることから成形サイクルを
短縮することができるという長所を持つ。
【0016】金型内の樹脂流路の構成としては、複数の
射出装置から樹脂を射出し、独立したホットランナーマ
ニホールドを通じてキャビティに充填する方法の他、コ
ールドランナーを通じてキャビティに充填する方法も使
用することができる。
【0017】ここでホットランナーによるゲートシステ
ムとしては、内部加熱方式、外部加熱方式等のいずれを
使用してもよく、更に外部加熱方式の場合、オープンゲ
ート方式、ホットエッジゲート方式、バルブゲート方式
等のいずれを使用してもよい。
【0018】本発明において好ましくは、2本以上の射
出装置を独立に有するとともに、2組以上のホットラン
ナーによるゲートシステムを独立に有するものである。
これにより射出装置、及びホットランナーによるゲート
システムをそれぞれ独立とし、それぞれにおいて射出装
置のシリンダー温度や射出速度、マニホールド温度やホ
ットノズル温度等の条件の選択が可能となることで、可
塑化温度が大きく異なる樹脂の層構造や複雑な成形品形
状の場合にも幅広い条件により対応が可能となる。すな
わちそれぞれの装置について目的とする成形品に最適の
樹脂温度(シリンダー温度、マニホールド温度、ホット
ノズル温度等)、射出速度およびそのパターン、射出開
始のタイミング、射出容量等を決定する。
【0019】本発明のインサート成形は、前工程におい
て射出成形により得られたものであり押出成形等により
得られたシートのインサート成形とは区別され得る。但
し射出成形により得られたものであれば、いかなる形状
でもよい。尚、本発明における前工程で射出成形され金
型キャビティ内に設置される樹脂成形品は、単一工程の
射出成形品以外に多色成形、インサート成形、サンドイ
ッチ成形等の複合成形法により得られたものであっても
よい。
【0020】本発明は、多色成形またはインサート成形
において第1層の表面と対向する金型キャビティ表面と
の間の空間内に樹脂Bを充填する際の射出速度を300
mm/sec以上とすることを1つの条件(以下A条件
と称することがある)とするものである。尚、本発明に
おいて“金型キャビティ表面”、“キャビティ表面”の
語は、金型キャビティを構成する面のいずれをもさし、
固定側金型のキャビティ表面のみをさすものではない。
【0021】かかる条件を満足する成形を行うことによ
り、樹脂Bの溶融粘度を低下させると共に、成形品全体
にわたって充填時の樹脂の冷却が極めて少なくすること
によりショートショット現象を起こすことなく第2層の
厚みをより薄くすることが可能となるとともに保圧過程
において成形品全体に圧力を均一に伝えることが可能と
なり、成形品中の歪みが低減される。また圧力が均一に
伝わることで界面の密着性も良好となる。更に大型成形
品においても充填時に成形品の全体にわたり、成形品の
面内方向および厚み方向ともにほぼ均一な熱の履歴を有
する状態が確保される。これにより、これらの分布やム
ラに起因する圧力伝達の不均一による歪みを低減するこ
とが可能となり、また界面の密着ムラなども解消するこ
とが可能となる。
【0022】尚、かかる場合に第1層を形成する前工程
で成形された成形品が固定側の金型キャビティ表面に設
置された態様では、樹脂Bは第1層の成形品表面と移動
側金型キャビティ表面の間の空間内に充填され、逆に第
1層を形成する成形品が移動側金型キャビティ表面に設
置された態様では金型キャビティ表面と第1層の間の空
間内に樹脂Bが充填されることになる。
【0023】本発明のA条件においては、300mm/
sec以上の射出速度を有することを条件とし、好まし
くは350mm/sec以上、特に好ましくは400m
m/sec以上である。速度の上限としては800mm
/sec程度を目安とする。300〜800mm/se
cの範囲では、本発明の目的を達成すると共に、高速化
により成形品に発生するヤケも少ない良好な成形品を得
ることが可能となる。更に好ましくは、金型内に充填さ
れた表層の熱可塑性樹脂のキャビティ表面におけるゲー
ト部付近と流動末端部付近との金型表面の温度差を10
℃以下となる射出速度とする場合である。かかるゲート
部付近および流動末端部付近の温度については、それぞ
れの位置に熱電対型温度計を配することによりかかる値
を測定することが可能である。尚ここでいう射出速度と
は、金型キャビティ内への充填開始から終了までの平均
速度をいい、必ずしも一定速度である必要はなく、多段
階の射出速度による成形も可能である。
【0024】300mm/sec以上の射出速度を達成
するためには、アキュームレーターの容量を増大した
り、モーターの馬力を増大したりする等の方法により射
出馬力を増加させることが基本となるが、極めて高速度
および短時間におけるスクリュー速度および位置の制御
や応答を達成するため射出シリンダの構造や油圧制御シ
ステム、モーター制御システム等を適正化することも必
要となる。かかる方式としては現在公知の各種方法を取
ることができる。
【0025】また動力源としては油圧ポンプによる方式
であっても電動モーター(リニア型モーターを含む)に
よる方式であってもよいが、大型の成形品に対しては油
圧ポンプによる方式がより好ましい。更に射出装置は、
一般的な可塑化スクリュの前進によるインライン方式、
可塑化スクリュと充填用のプランジャーが別となったい
わゆるプリプラ方式のいずれも使用可能である。
【0026】一方、金型の面においても、金型内のガス
抜きが円滑に進むよう十分なガス抜きの溝を形成したも
のや、また多孔質の焼結金属や、ベント孔を通して真空
ポンプ等による減圧を行うものが好ましく使用できる。
【0027】また、ここでゲート部付近とは、ゲート位
置から3cm以内を目安とした金型表面部分をいい、同
様に流動末端部付近とは成形品の流動末端に相当する位
置から3cm以内を目安とした金型キャビティ表面部分
をいい、それぞれかかる位置に各種温度センサーを配す
ることでその値を確認することができる。
【0028】尚、本発明において第1層を形成する樹脂
成形品を得る際の射出速度については各種の条件を取る
ことが可能である。
【0029】本発明は、更に多色成形において、上記の
A条件と共に、樹脂Bの最も高いガラス転位温度をTg
(℃)としたとき、主金型温度をTg(℃)より低い温
度で保持するとともに、かかる樹脂Bが金型のキャビテ
ィ表面に接触している際の最高温度を[Tg+1]
(℃)〜[Tg+50](℃)とする(以下B条件と称
することがある)ことを特徴とするものである。尚ここ
でいうガラス転移温度とはJIS K7121に規定さ
れる方法にて測定されたものであり、DSCなどのチャ
ートにおいて明確に認識できるガラス転移温度をいう。
更に最も高いガラス転移温度とは、樹脂Bが2種以上の
樹脂からなる場合など、2種以上のガラス転移温度を示
す場合には、そのうちの最も高い温度をさし、一方樹脂
が単一種でガラス転移温度が1つの場合にはその温度を
さす。
【0030】かかる成形を行うことにより、充填された
樹脂Bは、第1層を形成する成形品によって主金型から
断熱されると共に、金型キャビティ表面またはコア表面
も後述する各種の方法により高温の状態を保つことが可
能となるため、第2層が薄肉の場合であっても樹脂の固
化層の形成は遅延し、樹脂の流動抵抗を低下させて薄肉
成形性が改良される。更に、このように第2層は金型キ
ャビティまたはコア表面側および第1層の界面側のいず
れにおいてもほぼ等しい熱履歴を受けることができるた
め、第2層において場所による収縮率の差異は少なくな
り、これにより収縮差に起因する反りの発生が抑制され
ることとなる。また第1層と第2層との界面温度は樹脂
の熱が畜熱することで十分な高温となり、これによりか
かる界面の密着性も改良される。
【0031】主金型温度はTg(℃)未満とすることに
より、金型のキャビティ表面を高温としても、保圧終了
後に速やかに冷却させることが可能となる。主金型温度
がTg以上の場合には、冷却時間が長くなるために生産
効率が低下する。かかる主金型温度の上限は、より好ま
しくは[Tg−20](℃)、更に好ましくは[Tg−
30](℃)、特に好ましくは[Tg−40](℃)で
ある。一方主金型温度の下限としては、より好ましくは
[Tg−100](℃)、更に好ましくは[Tg−8
0](℃)、特に好ましくは[Tg−70](℃)であ
ることが挙げられる。これらの範囲においては、樹脂B
が金型キャビティ表面に接している場合の温度を十分に
[Tg+1](℃)以上の温度にすることが可能となる
と共に、全体の金型温度が安定しやすいため、連続して
成形をした場合により安定した製品を得ることが可能と
なる。
【0032】尚、かかる主金型温度は、第1層の成形品
が有する耐熱性を超えて設定することは好ましくないた
め、かかる第1層のうち金型キャビティ表面と接する面
の樹脂における最も高いガラス転移温度より低い温度と
することが好ましい。更に好ましくはかかるガラス転移
温度より10℃以上低い場合である。尚、ここで最も高
いガラス転移温度とは上記した如く、樹脂が2種以上の
ガラス転移温度を有する場合には、その最も高い温度を
さし、ガラス転移温度が1つの場合にはその温度をさ
す。
【0033】ここで主金型とは、金型の構成全体をさ
し、主金型温度とは金型全体の温度を測定する際の目安
となる温度をいい、必ずしも金型のキャビティ表面部分
以外の温度が正確に均一な一定の温度である必要はな
い。例えば主金型の温度としては、金型を温度調節する
ために金型内を循環させる水または有機化合物等の加熱
媒体または冷媒体の温度を目安とすることができる。更
に該主金型の温度を確認するためには、金型キャビティ
表面部分から5〜10cm程度離れた該キャビティを有
する金型ブロックまたは該ブロックに隣接する金型ブロ
ックの中央部分等の温度を熱電対その他の温度センサー
により測定し確認する方法を挙げることができる。また
その他主金型の温度調節方法には加熱ヒーター等による
方法、空冷方法等が挙げられるが、この場合も金型全体
の温度の目安として適当な部位の温度、例えば加熱ヒー
ターの場合にはヒーター部より5〜10cm程度離れた
キャビティを有する金型ブロックまたは該ブロックに隣
接する金型ブロックの中央部分等で測定される温度とす
ることができる。
【0034】より好ましくは[Tg+10]〜[Tg+
50](℃)、更に好ましくは[Tg+15]〜[Tg
+40](℃)である。[Tg+1](℃)未満では、
熱可塑性樹脂が充填する際の金型からの冷却による固化
層の形成を抑制できないため樹脂の流動抵抗が低下せ
ず、第1層と第2層との界面密着性を改善することが困
難であり、[Tg+50](℃)を超える条件とした場
合には、溶融した樹脂が金型内で冷却するために必要な
冷却時間が長くなるため、生産効率が低下し好ましくな
い。更には成形サイクルが長くなることで、射出成形等
の場合には滞留時間の増大に伴う樹脂劣化や、金型表面
を高温にするために必要以上にエネルギーを使用し効率
的でないとの問題もある。
【0035】また樹脂Bが金型キャビティ表面に接触し
ている際のキャビティ表面の最高温度が[Tg+1]
(℃)〜[Tg+50](℃)の範囲にある時間として
は、少なくとも0.1秒以上、好ましくは0.5秒以上
であり、更に上限としては保圧時間内であることが好ま
しい。かかる時間内であれば密着性を良好にできるとと
もに無用に成形サイクルを長くすることがない。
【0036】かかる金型キャビティ表面の温度は、かか
る表面に近い場所において熱電対型温度計等で測定した
ものであり、データロガー等に入力して測定することが
可能である。かかる表面に近い場所とは、かかる表面か
ら温度計までの材料の熱伝導率をα(W/m・K)と
し、また表面から温度計までの距離をY(m)としたと
き、Y≦(5×10-5)×αの条件を満足するものであ
る。したがって通常熱伝導率の良好な金属層では1mm
以内の距離が目安となり、一方熱伝導率の低い樹脂層等
では50μm以内の距離が目安となる。
【0037】一方、本願発明の条件を満足する断熱層を
設計するためには、実温度を上記の如く常に検証する必
要はなく、熱可塑性樹脂、主金型、成形時の断熱層の温
度、比熱、熱伝導率、密度、結晶化潜熱等から計算する
ことによりかかる表面の温度を算出し利用することがで
きる。例えば、ADINAおよびADINAT(マサチ
ューセッツ工科大学で開発されたソフトウエアの名称)
等を用いて、非線形有限要素法による非定常熱伝導解析
により計算できる。
【0038】金型のキャビティ表面の温度を主金型の温
度より高温とし、上記の最高温度を達成する方法として
は、例えば、従来から提案されている該表面部分に直接
ハロゲンランプ等の輻射熱を照射する方法、高周波誘導
加熱を起こさせる方法、薄膜電気抵抗体により加熱・冷
却する方法、超音波を利用する方法等金型表面部分を外
部の熱源により加熱する方法の他、金型キャビティ表面
に熱伝導率の低い断熱層を形成することにより、溶融さ
れた熱可塑性樹脂の有する熱を利用し表面部分の温度を
高温化する方法等を用いることができる。これらは単独
で用いても、複数を組み合わせて用いてもよい。例え
ば、前者の外部の熱源により加熱する方法と後者の断熱
層を用いる方法は、外部熱源の効率化にもつながる。
【0039】上記の中でも断熱層を利用する方法は、充
填時よりも充填後において高温の状態に至るため、各種
の歪みが緩和されやすく、また第1層として形成された
層の断熱効果とのバランスがとれ、成形品表面と界面の
熱履歴をより均一にすることが可能であることから本発
明において好ましい方法としてあげることができる。
【0040】すなわち、本発明によれば、熱可塑性樹脂
の多色成形またはインサート成形により多層構造の成形
品を得る成形方法において、該成形品が、前工程で射出
成形され金型キャビティ内に設置された樹脂成形品から
なる層(以下“第1層”とする)、およびかかる第1層
の表面と対向する金型キャビティ表面との間の空間内に
熱可塑性樹脂(以下“樹脂B”とする)を充填すること
により形成される層(以下“第2層”とする)からなる
多層構造を有し、更に(1)樹脂Bを充填する際の射出
速度を300mm/sec以上とし、かつ(2)樹脂B
の最も高いガラス転移温度をTg(℃)としたとき、主
金型温度をTg(℃)より低い温度で保持するととも
に、かかる樹脂Bがキャビティ表面等に接触している際
の該表面の最高温度を、かかるキャビティ表面等に熱伝
導率0.05〜1W/m・Kの断熱層を形成することに
より[Tg+1](℃)〜[Tg+50](℃)とする
ことを特徴とする成形方法が提供される。尚、断熱層を
形成する面は当然に樹脂Bが直接接触する側の面であ
る。
【0041】かかる断熱層の熱伝導率としては、0.0
5〜1W/m・Kが好ましく、より好ましくは、0.1
〜0.8W/m・K、より好ましくは0.1〜0.7W
/m・Kである。0.05W/m・K〜1W/m・Kの
範囲であれば、成形サイクルを必要以上に長くすること
なく、良好な界面の密着性を得ることが可能となる。
【0042】かかる条件を満足する断熱材料の具体例と
しては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹
脂、ウレタンアクリレート樹脂、ジアリルカーボネート
樹脂、ホスファゼンアクリレート樹脂等の熱硬化性また
は光硬化性の各種樹脂の他、各種ポリイミド、ポリスル
ホン、ポリエーテルスルホン、ポリベンズイミダゾー
ル、ポリアリルスルホン、ポリフェニレンエーテル等の
耐熱性ポリマーを挙げることができる。各種ポリイミド
の具体例としては、ベスペル(デュポン社製、商品
名)、PI2080(アップジョン社製、商品名)、ト
ーロン(テイジンアモコエンジニアリングプラスチック
ス(株)製、商品名)、ウルテム(日本ジーイープラス
チックス(株)製)、AURUM(三井化学(株)
製)、ユーピレックス−VT(宇部興産(株)製、商品
名)等を挙げることができる。尚、上記樹脂またはポリ
マーに各種の繊維状、板状、粒状の充填材を配合するこ
とも可能である。更にこれらは、複数の断熱材料を多層
化したものも使用することができる。
【0043】かかる断熱材料より断熱層を形成する方法
としては、液状のモノマー、オリゴマーもしくはプレポ
リマー、またはそれらの各種溶媒に溶解した溶液を金型
の相当する部分に塗布、乾燥を繰り返すことにより断熱
層を形成していく方法、比較的厚い断熱層を一度に硬化
する方法等が挙げることができる。また半硬化またはプ
レポリマー状態のフィルムやシートを得たのち付形し、
その後完全に反応を進行させることにより断熱層を形成
する方法をとることもできる。更に、一定の塊状物を形
成したのち切削により必要な断熱層を形成することも可
能である。
【0044】断熱材料が熱可塑性ポリマーの場合には、
溶液塗布の方法、フィルムやシートを得たのち付形する
方法、塊状物から切削する方法の他、直接押出成形、圧
縮成形、射出成形等の各種熱成形法により付形し断熱層
を形成することも可能である。
【0045】更にかかる断熱層は、それ自体でもまたそ
の上に金属層を設けて使用することも可能であるが、金
属層を設けて使用することがより好ましい。かかる金属
層を設ける方法としては、メッキ、蒸着、スパッタリン
グによる方法の他、これらの組み合わせ、すなわち蒸
着、スパッタリング後に電解メッキをする方法等が挙げ
られる。更に導電性ポリマーを塗付したのち電気メッキ
する方法も挙げられる。その他の方法としては、金属層
をかかる断熱層に接着剤を介して接着する方法等を挙げ
ることができる。またかかる金属層の厚みとしては5〜
1000μmの範囲であることが好ましい。
【0046】前者の外部の熱源により加熱する方法にお
いては、ハロゲンランプの照射時間等、外部熱源の供給
時間や熱源の出力を制御することにより金型のキャビテ
ィ表面の温度を目的の温度に制御することが可能であ
り、また後者の断熱層を用いる方法では断熱層の厚みを
制御することにより金型のキャビティ表面の温度を目的
の温度に制御することが可能である。
【0047】本発明では、前記の特定の成形方法を使用
することにより、多層構造製品を射出成形により効率的
に製造することが可能となる。特にゲート部から流動末
端部までの距離が20cm以上となるような大型の多層
構造成形品に好適なものである。
【0048】さらに、本発明によれば、上記の成形方法
により、薄肉層を有する射出成形による多層成形品を可
能とすると共に、反り等の不良もなく、また歪みや層間
の密着性にも優れる多層成形品を得ることが可能となる
が、より具体的には第2層において、厚みがD(m
m)、ゲート部から流動末端部までの距離がL(mm)
としたとき、実質的にL/D≧100である部分が存在
する反り等の不良もなく、歪みや層間の密着性にも優れ
る多層成形品を達成する成形方法が提供される。より好
ましくはL/D≧130である多層成形品を達成する成
形方法が提供される。
【0049】ここで実質的に存在するとは、樹脂がかか
るゲート部から流動末端部までの流路を進み得る場合を
いい、成形品形状、ゲートの配置等の金型構造により個
々に判断し得るものである。均一厚みの板状または曲面
形状の成形品であれば、かかる厚みとゲート部から流動
末端部までの最大の距離から算出することができる。ま
た厚みDが流路において変動する場合はかかる数平均値
により判断でき、かかる数平均値は例えば流路のL方向
の断面積をLで除することにより算出することができ
る。
【0050】また樹脂の流動挙動は、当然上記Dの値が
小さいほど困難となる(すなわち成形可能なL/Dの値
は低下する)が、本発明によれば、より具体的にはDが
1.5mm以下、より好ましくは1.3mm以下および
Lが200mm以上である層を有する多層成形品を、反
り等の不良もなく、また歪みや層間の密着性にも優れた
状態で得ることを可能とする成形方法が提供される。す
なわち、本発明においては、ゲート部から流動末端部ま
での距離が200mm以上となるような大型の多層構造
成形品においてもかかる薄肉の表層を形成することが可
能である。
【0051】本発明の成形方法において使用可能な熱可
塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプ
ロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリルスチレ
ン樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、AES樹脂、ASA樹
脂、SMA樹脂、ポリアルキルメタクリレート樹脂等に
代表される汎用プラスチックス、ポリフェニルエーテル
樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポ
リアルキレンテレフタレート樹脂、ポリアミド樹脂、環
状ポリオレフィン樹脂、ポリアリレート樹脂(非晶性ポ
リアリレート、液晶性ポリアリレート)等に代表される
エンジニアリングプラスチックス、ポリエーテルエーテ
ルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド等に
代表される各種熱可塑性ポリイミド、ポリサルフォン、
ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド
等のいわゆるスーパーエンジニアリングプラスチックス
と呼ばれるものも用いることができる。更にスチレン系
熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラスト
マー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリエステ
ル系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エ
ラストマー等の熱可塑性エラストマーも用いることがで
きる。これらの熱可塑性樹脂はいずれも第1層、第2
層、およびその他の部分に使用することが可能である。
【0052】ここでその他の部分とは、例えば、第1層
を形成する樹脂成形品としてポリカーボネート樹脂の板
状成形品を成形後、多色成形法を利用してその周囲にポ
リエステル系エラストマー等の熱可塑性エラストマーを
成形し、更にその後に本発明の成形方法を利用して、ポ
リカーボネート樹脂層の上にポリメチルメタクリレート
樹脂層を形成した場合に、かかる層構造に関係しない熱
可塑性エラストマー部分に相当するものをいう。
【0053】尚、上記の熱可塑性樹脂を混合して用いる
ことは、組成物の使用目的に応じて適宜選択することが
できる。
【0054】本発明では特に非晶性の熱可塑性樹脂を第
2層とするものに対して有用である。非晶性の熱可塑性
樹脂としては、ポリスチレン樹脂、ポリアクリルスチレ
ン樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、AES樹脂、ASA樹
脂、SMA樹脂、ポリアルキルメタクリレート樹脂、ポ
リフェニルエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、非晶
性ポリアルキレンテレフタレート樹脂、非晶性ポリアミ
ド樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、非晶性ポリアリレー
ト樹脂、ポリエーテルサルフォン、更にスチレン系熱可
塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマ
ー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリエステル
系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラ
ストマー等の熱可塑性エラストマーを挙げることができ
る。
【0055】これらの中でも透明性に優れるポリメチル
メタクリレート等のポリアルキルメタクリレート樹脂、
ポリカーボネート樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、非晶
性ポリアリレート樹脂等を好ましく挙げることができ、
更に機械的強度、耐熱性等にも優れるポリカーボネート
樹脂を本発明の熱可塑性樹脂として好ましく挙げること
ができる。
【0056】すなわち、本発明によれば成形品の少なく
とも一部に透明性を有するような、より低歪みであるこ
とが要求される多層構造の成形品の場合にも良好な成形
品を得ることができる成形方法が提供され、更に好まし
い態様としてその多層のうち少なくとも1層がポリカー
ボネート樹脂である、特にその粘度平均分子量が10,
000〜40,000である多層構造成形品を得ること
ができる成形方法が提供される。
【0057】本発明におけるポリカーボネート樹脂と
は、通常二価フェノールとカーボネート前駆体とを界面
重縮合法、溶融エステル交換法で反応させて得られたも
のの他、カーボネートプレポリマーを固相エステル交換
法により重合させたもの、または環状カーボネート化合
物の開環重合法により重合させて得られるものである。
【0058】ここで使用される二価フェノールの代表的
な例としては、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,
4’−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)メタン、ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−
ジメチル)フェニル}メタン、1,1−ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)−1−フェニルエタン、2,2−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノール
A)、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)
フェニル}プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ
−3,5−ジメチル)フェニル}プロパン、2,2−ビ
ス{(3−イソプロピル−4−ヒドロキシ)フェニル}
プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−フェ
ニル)フェニル}プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)−3−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)−3,3−ジメチルブタン、2,4
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタ
ン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタ
ン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メ
チルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)−4−イソプロピルシクロヘキサン、1,1−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメ
チルシクロヘキサン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)フルオレン、9,9−ビス{(4−ヒドロキシ
−3−メチル)フェニル}フルオレン、α,α’−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)−o−ジイソプロピルベン
ゼン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m
−ジイソプロピルベンゼン、α,α’−ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、1,
3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−5,7−ジメチ
ルアダマンタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルス
ルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシ
ド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、
4,4’−ジヒドロキシジフェニルケトン、4,4’−
ジヒドロキシジフェニルエーテルおよび4,4’−ジヒ
ドロキシジフェニルエステル等があげられ、これらは単
独または2種以上を混合して使用できる。
【0059】なかでもビスフェノールA、2,2−ビス
{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパ
ン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチル
ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−
3,3−ジメチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシク
ロヘキサンおよびα,α’−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)−m−ジイソプロピルベンゼンからなる群より選
ばれた少なくとも1種のビスフェノールより得られる単
独重合体または共重合体が好ましく、特に、ビスフェノ
ールAの単独重合体および1,1−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン
とビスフェノールA、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ
−3−メチル)フェニル}プロパンまたはα,α’−ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベ
ンゼンとの共重合体が好ましく使用される。
【0060】カーボネート前駆体としてはカルボニルハ
ライド、カーボネートエステルまたはハロホルメート等
が使用され、具体的にはホスゲン、ジフェニルカーボネ
ートまたは二価フェノールのジハロホルメート等が挙げ
られる。
【0061】上記二価フェノールとカーボネート前駆体
を界面重縮合法または溶融エステル交換法によって反応
させてポリカーボネート樹脂を製造するに当っては、必
要に応じて触媒、末端停止剤、二価フェノールの酸化防
止剤等を使用してもよい。またポリカーボネート樹脂は
三官能以上の多官能性芳香族化合物を共重合した分岐ポ
リカーボネート樹脂であっても、芳香族または脂肪族の
二官能性カルボン酸を共重合したポリエステルカーボネ
ート樹脂であってもよく、また、得られたポリカーボネ
ート樹脂の2種以上を混合した混合物であってもよい。
【0062】三官能以上の多官能性芳香族化合物として
は、フロログルシン、フロログルシド、または4,6−
ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキジフェニ
ル)ヘプテン−2、2,4,6−トリメチル−2,4,
6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,
3,5−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、
1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタ
ン、1,1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒド
ロキシフェニル)エタン、2,6−ビス(2−ヒドロキ
シ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、4
−{4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エ
チル]ベンゼン}−α,α−ジメチルベンジルフェノー
ル等のトリスフェノール、テトラ(4−ヒドロキシフェ
ニル)メタン、ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)
ケトン、1,4−ビス(4,4−ジヒドロキシトリフェ
ニルメチル)ベンゼン、またはトリメリット酸、ピロメ
リット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸およびこれ
らの酸クロライド等が挙げられ、中でも1,1,1−ト
リス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−
トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)
エタンが好ましく、特に1,1,1−トリス(4−ヒド
ロキシフェニル)エタンが好ましい。
【0063】界面重縮合法による反応は、通常二価フェ
ノールとホスゲンとの反応であり、酸結合剤および有機
溶媒の存在下に反応させる。酸結合剤としては、例えば
水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水
酸化物またはピリジン等のアミン化合物が用いられる。
有機溶媒としては、例えば塩化メチレン、クロロベンゼ
ン等のハロゲン化炭化水素が用いられる。また、反応促
進のために例えばトリエチルアミン、テトラ−n−ブチ
ルアンモニウムブロマイド、テトラ−n−ブチルホスホ
ニウムブロマイド等の第三級アミン、第四級アンモニウ
ム化合物、第四級ホスホニウム化合物等の触媒を用いる
こともできる。その際、反応温度は通常0〜40℃、反
応時間は10分〜5時間程度、反応中のpHは9以上に
保つのが好ましい。
【0064】また、かかる重合反応において、通常末端
停止剤が使用される。かかる末端停止剤として単官能フ
ェノール類を使用することができる。単官能フェノール
類は末端停止剤として分子量調節のために一般的に使用
され、また得られたポリカーボネート樹脂は、末端が単
官能フェノール類に基づく基によって封鎖されているの
で、そうでないものと比べて熱安定性に優れている。か
かる単官能フェノール類としては、一般にはフェノール
または低級アルキル置換フェノールであって、下記一般
式(1)で表される単官能フェノール類を示すことがで
きる。
【0065】
【化1】
【0066】(式中、Aは水素原子または炭素数1〜9
の直鎖または分岐のアルキル基あるいはフェニル基置換
アルキル基であり、rは1〜5、好ましくは1〜3の整
数である。)
【0067】上記単官能フェノール類の具体例として
は、例えばフェノール、p−tert−ブチルフェノー
ル、p−クミルフェノールおよびイソオクチルフェノー
ルが挙げられる。
【0068】また、他の単官能フェノール類としては、
長鎖のアルキル基あるいは脂肪族ポリエステル基を置換
基として有するフェノール類または安息香酸クロライド
類、もしくは長鎖のアルキルカルボン酸クロライド類も
示すことができる。これらのなかでは、下記一般式
(2)および(3)で表される長鎖のアルキル基を置換
基として有するフェノール類が好ましく使用される。
【0069】
【化2】
【0070】
【化3】
【0071】(式中、Xは−R−O−、−R−CO−O
−または−R−O−CO−である、ここでRは単結合ま
たは炭素数1〜10、好ましくは1〜5の二価の脂肪族
炭化水素基を示し、nは10〜50の整数を示す。)
【0072】かかる一般式(2)の置換フェノール類と
してはnが10〜30、特に10〜26のものが好まし
く、その具体例としては例えばデシルフェノール、ドデ
シルフェノール、テトラデシルフェノール、ヘキサデシ
ルフェノール、オクタデシルフェノール、エイコシルフ
ェノール、ドコシルフェノールおよびトリアコンチルフ
ェノール等を挙げることができる。
【0073】また、一般式(3)の置換フェノール類と
してはXが−R−CO−O−であり、Rが単結合である
化合物が適当であり、nが10〜30、特に10〜26
のものが好適であって、その具体例としては例えばヒド
ロキシ安息香酸デシル、ヒドロキシ安息香酸ドデシル、
ヒドロキシ安息香酸テトラデシル、ヒドロキシ安息香酸
ヘキサデシル、ヒドロキシ安息香酸エイコシル、ヒドロ
キシ安息香酸ドコシルおよびヒドロキシ安息香酸トリア
コンチルが挙げられる。
【0074】末端停止剤は、得られたポリカーボネート
樹脂の全末端に対して少くとも5モル%、好ましくは少
くとも10モル%末端に導入されることが望ましい。よ
り好ましくは全末端に対して末端停止剤が80モル%以
上導入されること、すなわち二価フェノールに由来する
末端の水酸基(OH基)が20モル%以下であることが
より好ましく、特に好ましくは全末端に対して末端停止
剤が90モル%以上導入されること、すなわちOH基が
10モル%以下の場合である。また、末端停止剤は単独
でまたは2種以上混合して使用してもよい。
【0075】溶融エステル交換法による反応は、通常二
価フェノールとカーボネートエステルとのエステル交換
反応であり、不活性ガスの存在下に二価フェノールとカ
ーボネートエステルとを加熱しながら混合して、生成す
るアルコールまたはフェノールを留出させる方法により
行われる。反応温度は生成するアルコールまたはフェノ
ールの沸点等により異なるが、通常120〜350℃の
範囲である。反応後期には系を1.33×103〜1
3.3Pa程度に減圧して生成するアルコールまたはフ
ェノールの留出を容易にさせる。反応時間は通常1〜4
時間程度である。
【0076】カーボネートエステルとしては、置換され
ていてもよい炭素数6〜10のアリール基、アラルキル
基あるいは炭素数1〜4のアルキル基等のエステルが挙
げられる。具体的にはジフェニルカーボネート、ビス
(クロロフェニル)カーボネート、ジナフチルカーボネ
ート、ビス(ジフェニル)カーボネート、ジメチルカー
ボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネー
ト等が挙げられ、なかでもジフェニルカーボネートが好
ましい。
【0077】また、重合速度を速めるために重合触媒を
用いることができ、かかる重合触媒としては、例えば水
酸化ナトリウム、水酸化カリウム、二価フェノールのナ
トリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属化合物、水酸
化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム等
のアルカリ土類金属化合物、テトラメチルアンモニウム
ヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシ
ド、トリメチルアミン、トリエチルアミン等の含窒素塩
基性化合物、アルカリ金属やアルカリ土類金属のアルコ
キシド類、アルカリ金属やアルカリ土類金属の有機酸塩
類、亜鉛化合物類、ホウ素化合物類、アルミニウム化合
物類、珪素化合物類、ゲルマニウム化合物類、有機スズ
化合物類、鉛化合物類、オスミウム化合物類、アンチモ
ン化合物類マンガン化合物類、チタン化合物類、ジルコ
ニウム化合物類等の通常エステル化反応、エステル交換
反応に使用される触媒を用いることができる。触媒は単
独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用し
てもよい。これらの重合触媒の使用量は、原料の二価フ
ェノール1モルに対し、好ましくは1×10-8〜1×1
-3当量、より好ましくは1×10-7〜5×10-4当量
の範囲で選ばれる。
【0078】また、かかる重合反応において、フェノー
ル性の末端基を減少するために、重縮反応の後期あるい
は終了後に、例えばビス(クロロフェニル)カーボネー
ト、ビス(ブロモフェニル)カーボネート、ビス(ニト
ロフェニル)カーボネート、ビス(フェニルフェニル)
カーボネート、クロロフェニルフェニルカーボネート、
ブロモフェニルフェニルカーボネート、ニトロフェニル
フェニルカーボネート、フェニルフェニルカーボネー
ト、メトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネート
およびエトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネー
ト等の化合物を加えることが好ましい。なかでも2−ク
ロロフェニルフェニルカーボネート、2−メトキシカル
ボニルフェニルフェニルカーボネートおよび2−エトキ
シカルボニルフェニルフェニルカーボネートが好まし
く、特に2−メトキシカルボニルフェニルフェニルカー
ボネートが好ましく使用される。
【0079】更に溶融エステル交換法においては、失活
剤を用いて重合後残存する触媒の活性を中和しておくこ
とが望ましい。かかる失活剤としては、ベンゼンスルホ
ン酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸メ
チル、ベンゼンスルホン酸エチル、ベンゼンスルホン酸
ブチル、ベンゼンスルホン酸オクチル、ベンゼンスルホ
ン酸フェニル、p−トルエンスルホン酸メチル、p−ト
ルエンスルホン酸エチル、p−トルエンスルホン酸ブチ
ル、p−トルエンスルホン酸オクチル、p−トルエンス
ルホン酸フェニルなどのスルホン酸エステル;さらに、
トリフルオロメタンスルホン酸、ナフタレンスルホン
酸、スルホン化ポリスチレン、アクリル酸メチル−スル
ホン化スチレン共重合体、ドデシルベンゼンスルホン酸
−2−フェニル−2−プロピル、ドデシルベンゼンスル
ホン酸−2−フェニル−2−ブチル、オクチルスルホン
酸テトラブチルホスホニウム塩、デシルスルホン酸テト
ラブチルホスホニウム塩、ベンゼンスルホン酸テトラブ
チルホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テト
ラエチルホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸
テトラブチルホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホ
ン酸テトラヘキシルホスホニウム塩、ドデシルベンゼン
スルホン酸テトラオクチルホスホニウム塩、デシルアン
モニウムブチルサルフェート、デシルアンモニウムデシ
ルサルフェート、ドデシルアンモニウムメチルサルフェ
ート、ドデシルアンモニウムエチルサルフェート、ドデ
シルメチルアンモニウムメチルサルフェート、ドデシル
ジメチルアンモニウムテトラデシルサルフェート、テト
ラデシルジメチルアンモニウムメチルサルフェート、テ
トラメチルアンモニウムヘキシルサルフェート、デシル
トリメチルアンモニウムヘキサデシルサルフェート、テ
トラブチルアンモニウムドデシルベンジルサルフェー
ト、テトラエチルアンモニウムドデシルベンジルサルフ
ェート、テトラメチルアンモニウムドデシルベンジルサ
ルフェートなどの化合物を挙げることができるが、これ
らに限定されず、またこれらの化合物は2種以上併用す
ることもできる。
【0080】中でもホスホニウム塩もしくはアンモニウ
ム塩型のものが好ましい。かかる触媒の量としては、残
存する触媒1モルに対して0.5〜50モルの割合で用
いるのが好ましく、また重合後のポリカーボネート樹脂
に対し、0.01〜500ppmの割合、より好ましく
は0.01〜300ppm、特に好ましくは0.01〜
100ppmの割合で使用する。
【0081】ポリカーボネート樹脂の分子量は特定され
ないが、分子量が10,000未満であると高温特性等
が低下し、40,000を超えると成形加工性が低下す
るようになるので、粘度平均分子量で表して10,00
0〜40,000のものが好ましく、14,000〜3
0,000のものが特に好ましい。また、ポリカーボネ
ート樹脂の2種以上を混合しても差し支えない。本発明
でいう粘度平均分子量は塩化メチレン100mlにポリ
カーボネート樹脂0.7gを20℃で溶解した溶液から
求めた比粘度(ηSP)を次式に挿入して求める。 ηSP/c=[η]+0.45×[η]2c(但し[η]
は極限粘度) [η]=1.23×10-40.83 c=0.7
【0082】本発明の熱可塑性樹脂には離型剤を配合す
ることができ、こうすることは離型時の歪みを抑制でき
る点で好ましい結果を与える。離型剤としては飽和脂肪
酸エステルが一般的であり、例えばステアリン酸モノグ
リセライド等のモノグリセライド類、デカグリセリンデ
カステアレートおよびデカグリセリンテトラステアレー
ト等のポリグリセリン脂肪酸エステル類、ステアリン酸
ステアレート等の低級脂肪酸エステル類、セバシン酸ベ
ヘネート等の高級脂肪酸エステル類、ペンタエリスリト
ールテトラステアレート等のエリスリトールエステル類
が使用される。離型剤は熱可塑性樹脂100重量部当り
0.01〜1重量部用いられる。
【0083】また、本発明の熱可塑性樹脂には必要に応
じてリン系熱安定剤を加えることができる。リン系熱安
定剤としては、ホスファイト化合物およびホスフェート
化合物が好ましく使用される。ホスファイト化合物とし
ては、例えばトリフェニルホスファイト、トリスノニル
フェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert
−ブチルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファ
イト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホ
スファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオ
クチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノ
フェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファ
イト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチ
ルジフェニルホスファイト、ビス(2,6−ジ−ter
t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトー
ルジホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ
−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、
ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスフ
ァイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニ
ル)ペンタエリスリトールジホスファイト等のホスファ
イト化合物が挙げられる。これらのうち、トリス(2,
4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ジ
ステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス
(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリ
スリトールジホスファイトが好ましい。
【0084】一方、熱安定剤として使用されるホスフェ
ート化合物としては、例えばトリブチルホスフェート、
トリメチルホスフェート、トリクレジルホスフェート、
トリフェニルホスフェート、トリクロルフェニルホスフ
ェート、トリエチルホスフェート、ジフェニルクレジル
ホスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェ
ート、トリブトキシエチルホスフェート、ジブチルホス
フェート、ジオクチルホスフェート、ジイソプロピルホ
スフェート等が挙げられ、なかでもトリフェニルホスフ
ェート、トリメチルホスフェートが好ましい。
【0085】更にその他のリン系熱安定剤としては、テ
トラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−
4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス
(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’
−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−
ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニ
レンジホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブ
チルフェニル)−4−ビフェニレンホスホナイト等のホ
スホナイト化合物も好ましく使用することができる。
【0086】前記リン系熱安定剤は、単独で使用しても
よく、また2種以上を組合せて使用してもよい。リン系
熱安定剤は、本発明の熱可塑性樹脂100重量部に対
し、0.0001〜0.5重量部、好ましくは0.001
〜0.05重量部の範囲で使用するのが適当である。
【0087】本発明の熱可塑性樹脂には、酸化防止の目
的で通常知られた酸化防止剤を添加することができる。
その例としてはフェノール系酸化防止剤を示すことがで
き、具体的には例えばトリエチレングリコール−ビス
(3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒド
ロキシフェニル)プロピオネート)、1,6−ヘキサン
ジオール−ビス(3−(3,5−ジ−tert−ブチル
−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、ペンタ
エリスリトール−テトラキス(3−(3,5−ジ−te
rt−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネー
ト)、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブ
チル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,
3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ
−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼ
ン、N,N−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−ter
t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマイド)、
3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベン
ジルホスホネート−ジエチルエステル、トリス(3,5
−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イ
ソシアヌレート、3,9−ビス{1,1−ジメチル−2
−[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5
−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル}−
2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウン
デカン等が挙げられる。これら酸化防止剤の好ましい添
加量の範囲は、熱可塑性樹脂100重量部に対し、0.
0001〜5重量部、好ましくは0.001〜0.5重
量部である。
【0088】耐候性の向上および有害な紫外線をカット
する目的で、本発明の熱可塑性樹脂に更に紫外線吸収剤
や光安定剤を配合することができる。かかる紫外線吸収
剤としては、例えば2,2’−ジヒドロキシ−4−メト
キシベンゾフェノンに代表されるベンゾフェノン系紫外
線吸収剤、および例えば2−(3−tert−ブチル−
5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベ
ンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−tert−ブチ
ル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリ
アゾール、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,
3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾト
リアゾール−2−イル)フェノール]、2−[2−ヒド
ロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フ
ェニル]−2H−ベンゾトリアゾールおよび2−(3,
5−ジ−tert−アミル−2−ヒドロキシフェニル)
ベンゾトリアゾールに代表されるベンゾトリアゾール系
紫外線吸収剤が例示される。更にビス(2,2,6,6
−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス
(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジ
ル)セバケート等のヒンダードアミン系の光安定剤も使
用することが可能である。これらは単独で用いても、二
種以上併用してもよい。これら紫外線吸収剤、光安定剤
の好ましい添加量の範囲は、熱可塑性樹脂100重量部
に対し、0.0001〜10重量部、好ましくは0.0
01〜5重量部である。
【0089】また、本発明の透明性を有する熱可塑性樹
脂には紫外線吸収剤等に基づく黄色味を打ち消すために
ブルーイング剤を配合することができる。特にポリカー
ボネート樹脂に対して有用である。具体的なブルーイン
グ剤としては、例えば一般名Solvent Viol
et13[CA.No(カラーインデックスNo)60
725;商標名 バイエル社製「マクロレックスバイオ
レットB」、三菱化学(株)製「ダイアレジンブルー
G」、住友化学工業(株)製「スミプラストバイオレッ
トB」]、一般名Solvent Violet31
[CA.No68210;商標名 三菱化学(株)製
「ダイアレジンバイオレットD」]、一般名Solve
nt Violet33[CA.No60725;商標
名 三菱化学(株)製「ダイアレジンブルーJ」]、一
般名Solvent Blue94[CA.No615
00;商標名 三菱化学(株)製「ダイアレジンブルー
N」]、一般名Solvent Violet36[C
A.No68210;商標名 バイエル社製「マクロレ
ックスバイオレット3R」]、一般名Solvent
Blue97[商標名 バイエル社製「マクロレックス
ブルーRR」]および一般名Solvent Blue
45[CA.No61110;商標名 サンド社製「テ
トラゾールブルーRLS」]、チバ・スペシャリティ・
ケミカルズ社のマクロレックスバイオレットやトリアゾ
ールブルーRLS等があげら、特に、マクロレックスバ
イオレットやトリアゾールブルーRLSが好ましい。
【0090】本発明の熱可塑性樹脂には、更に慣用の他
の添加剤、例えば補強剤(タルク、マイカ、クレー、ワ
ラストナイト、炭酸カルシウム、ガラス繊維、ガラスビ
ーズ、ガラスバルーン、ミルドファイバー、ガラスフレ
ーク、炭素繊維、炭素フレーク、カーボンビーズ、カー
ボンミルドファイバー、金属フレーク、金属繊維、金属
コートガラス繊維、金属コート炭素繊維、金属コートガ
ラスフレーク、シリカ、セラミック粒子、セラミック繊
維、アラミド粒子、アラミド繊維、ポリアリレート繊
維、グラファイト、導電性カーボンブラック、各種ウイ
スカー等)、難燃剤(ハロゲン系、リン酸エステル系、
金属塩系、赤リン、シリコン系、フッ素系、金属水和物
系等)、耐熱剤、着色剤(カーボンブラック、酸化チタ
ン等の顔料、染料)、光拡散剤(アクリル架橋粒子、シ
リコン架橋粒子、極薄ガラスフレーク、炭酸カルシウム
粒子等)、蛍光増白剤、蓄光顔料、蛍光染料、帯電防止
剤、流動改質剤、結晶核剤、無機および有機の抗菌剤、
光触媒系防汚剤(微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛
等)、グラフトゴムに代表される衝撃改質剤、赤外線吸
収剤、フォトクロミック剤を配合することができる。
【0091】更に本発明の熱可塑性樹脂は、製品または
部品として形成済みの樹脂、いわゆるリサイクル材を使
用することも可能である。リサイクル材は第1層として
使用することが好ましい。かかるリサイクル材には着色
のための塗装、耐摩耗性、帯電防止性、熱線吸収等の各
種機能性コーティング、蒸着、スパッタリング、メッキ
等による金属膜等の積層膜が形成されている場合も多い
が、これらは積層膜をつけたままでの使用も、積層膜の
一部または全部を除去しての使用もいずれも可能であ
る。
【0092】例えばポリカーボネート樹脂を基板とする
光情報記録媒体をリサイクル材として使用する場合、こ
れらは粉砕処理等をしてそのまま使用すること、および
かかる粉砕処理したものと、他の熱可塑性樹脂材料およ
び/または他の熱可塑性樹脂材料のリサイクル材と混合
することにより使用することができる。
【0093】一方該光情報記録媒体から情報記録層、反
射層や保護コート層を樹脂基板から選択的に除去し、樹
脂自体を回収して使用することも可能であり、かかる除
去方法として以下に示すいくつかの提案された方法を使
用することができる。
【0094】(i)特開平4−305414号公報(欧
州特許第476,475号、米国特許第5,151,4
52号)、特開平5−200379号公報(欧州特許第
537,567号、米国特許第5,214,072号)
および特開平6−223416号公報(欧州特許第60
1,719号、米国特許第5,306,349号):こ
れらの方法は被覆された樹脂板を、例えば酸またはアル
カリの水溶液で化学的に処理する方法である。
【0095】(ii)特開平5−345321号公報:
この方法は、被覆された樹脂板を長時間熱水中に浸漬す
る方法である。
【0096】(iii)特開平5−210873号公報
および米国特許第5,203,067号:これらの方法
は、被覆された樹脂板の被覆層表面を機械的に刃物や研
磨材を用いて切削、研磨して除去する方法である。
【0097】(iv)特開平10−52823号公報お
よび特開平10−58450号公報:かかる方法は圧延
した記録媒体を加熱水と接触させることにより塗膜を剥
離、除去することにより、基板樹脂を回収する方法であ
る。かかる方法は特に低コストであり、品質、回収率に
おいても良好な方法である。
【0098】その他、光情報記録媒体の表面をブラスト
処理する方法、光情報記録媒体に超音波を照射させる方
法(特開平11−34057号)等を挙げることができ
る。
【0099】第2層としては表面硬度性、ガスバリヤー
性、耐薬品性、耐候性、導電性および意匠性等に優れる
熱可塑性樹脂またはそれらの樹脂組成物が好ましい。例
えば、表面硬度性が要求されるものでは、具体的にはJ
IS K5400で測定された鉛筆硬度がH以上である
熱可塑性樹脂を使用することが好ましい。かかる熱可塑
性樹脂としては、ポリメチルメタクリレート等が挙げら
れる。
【0100】本発明の製品を得る成形方法としては、本
発明の成形方法と射出圧縮成形、サンドイッチ成形、ガ
スアシスト成形等を組み合わせて使用することも可能で
ある。
【0101】例えば本発明の成形方法と射出圧縮成形を
組み合わせた場合、第1層の樹脂成形品が成形され、樹
脂Bを射出する前に可動側コアを後退させ、次いでかか
る第1層の表面と金型キャビティ表面との間のより広が
った空間内に樹脂Bを充填したのち、可動側コアを圧縮
することにより、充填時の低圧化を可能とするととも
に、金型内に充填された熱可塑性樹脂のゲート部付近と
流動末端部付近との金型内圧力差を均一化することが可
能となり、保持圧力により成形品全体に十分に均一な圧
力を伝えることができることから界面の密着性をさらに
改良することが可能となる。尚、第1層の樹脂成形品を
得る際に射出圧縮成形することも当然可能である。
【0102】ここで射出圧縮成形法としては、例えばプ
ラテン(金型を取り付ける板)の開閉を利用した型締め
圧縮成形法や成形機プラテンの圧縮シリンダー、ボール
ネジ等を利用したコア圧縮成形法等のいずれも利用可能
である。
【0103】前記の型締め圧縮成形法とは、固定側、お
よび可動側のそれぞれの金型パーティング面を所定の間
隔だけ開いた状態にし、樹脂を射出し、その後型締め力
によりパーティング面を接触させて圧縮する方法をさ
す。また、前記コア圧縮成形法とは、射出前の型締めで
は金型のそれぞれのパーティング面を接触させ、所定の
型締め力をかけて樹脂を射出しその後圧縮する手段をさ
す。射出後圧縮する工程では、成形機、金型等に設置さ
れた圧縮機構により可動側コアをキャビティの容積が縮
小される方向に前進させて圧縮させる。ここでいう圧縮
機構としては、圧縮シリンダーやボールネジ等を挙げる
ことができる。本発明では、コア圧縮成形法が多色成形
の金型構造をより有効に活用でき、またより均一な圧縮
が可能となることからより好ましい方法として挙げるこ
とができる。
【0104】また、本発明の成形方法とサンドイッチ成
形を組み合わせた場合、例えば第1層と第2層からなる
成形品においては、第1層、または第2層、あるいは第
1層および第2層ともにスキン層・コア層構造を有する
サンドイッチ構造体とすることで、さらに各層ごとに機
能を付与することが可能となる。
【0105】ここでサンドイッチ成形とは金型内に第1
樹脂と第2樹脂を射出してスキン層(X樹脂)およびコ
ア層(Y樹脂)からなる層構造を構成させる成形法をい
う。かかるX樹脂とY樹脂との射出方法としては、X樹
脂とY樹脂の逐次射出、同時射出、あるいは逐次射出と
同時射出の組み合わせを適宜使用することができる。特
に同時射出の方法が好ましい。
【0106】サンドイッチ成形においては、射出装置を
それぞれの樹脂に対して独立として2本以上の複数シリ
ンダーを使用する方法の他、1本の射出装置による方法
を使用することもできる。したがって本発明において
は、例えば以下の方法をとることができる。
【0107】2本の射出シリンダーを有する射出成形機
においては、第1層をサンドイッチ成形した後、一方の
シリンダーノズルを閉じ、次に1つの樹脂のみを第2層
として充填することができる。またサンドイッチ成形を
1本の射出シリンダーで行える場合には、かかるシリン
ダーを2本以上備えて本発明の成形方法を実施すること
もできる。
【0108】1本の射出装置による場合は、可動マンド
レルで前室と後室に分けてX樹脂とY樹脂を分離して蓄
積し、射出によりX樹脂が金型内に充填された後、可動
マンドレル先端部の孔よりY樹脂が充填される可動マン
ドレル法が挙げられる。また補助装置よりスキン層を形
成するX樹脂を押出し、ホットランナ内の切り替えバル
ブ等により射出装置内への蓄積を可能とし蓄積した後、
コア層を形成するY樹脂を射出装置で可塑化、X樹脂と
Y樹脂を射出装置内に蓄積した後、ホットランナ内の切
り替えバルブ等により金型内への充填を可能とし充填す
るモノサンドイッチ法を挙げることができ、いずれの方
法も本発明において使用することができる。
【0109】また複数シリンダーによる場合、X樹脂と
Y樹脂は合流ノズルを用いて層構造とする方法の他、金
型内のゲート部等で合流させる方法を使用することもで
きる。
【0110】合流ノズルを使用する場合、平行型ノズ
ル、V型ノズルのいずれも使用可能であり、またそのノ
ズルの内部構造としては同心円状2重管型を使用するこ
とが好ましい。更にノズル内の樹脂層数としては、2チ
ャンネルタイプを基本とするが、更に多層化を可能とす
る3チャンネルタイプ以上のものも使用可能である。
【0111】金型内のゲート部等で合流させる場合、そ
の構成としては、複数のシリンダーから射出された樹脂
が独立したホットランナーマニホールドを通じて、同心
円状2重管型のゲートシステムにて多層化する方法の
他、コールドランナーを通じてゲート部で多層化する方
法も使用することができる。
【0112】ここでホットランナーによるゲートシステ
ムとしては、内部加熱方式、外部加熱方式等のいずれを
使用してもよく、更に外部加熱方式の場合、オープンゲ
ート方式、バルブゲート方式等のいずれを使用してもよ
い。
【0113】さらに本発明の成形方法とガスアシスト成
形を組み合わせた場合、第1層、または第2層、あるい
は第1層および第2層ともに中空構造体とすることで、
各層を軽量化することができるとともに、金型内に充填
された熱可塑性樹脂のゲート部付近と流動末端部付近と
の金型内圧力差をガス圧力により均一化することが可能
となり、ガス圧力により成形品全体に十分に均一な圧力
を伝えることができることから界面の密着性をさらに改
良することが可能となる。
【0114】
【発明の実施の形態】以下に実施例を挙げて本発明を更
に説明する。実施例において用いる熱可塑性樹脂、各金
型は次の通りである。
【0115】 PC:ビスフェノールAとホスゲンか
ら常法によって作られた粘度平均分子量18,500の
ポリカーボネート樹脂100重量部に、Sandsta
b P−EPQ(サンドズ(Sandoz)社製)0.
03重量部、およびグリセリンモノステアレート0.2
重量部を配合し、280℃で溶融押出してなるペレット
状ポリカーボネート樹脂組成物。かかるポリカーボネー
ト樹脂組成物のガラス転移温度は146℃であった。
【0116】 PMMA:ポリメチルメタクリレート
樹脂(旭化成工業(株)製 デルペット80N。かかる
樹脂のガラス転移温度は115℃であった。)
【0117】 RecPC:以下の工程により得られ
たリサイクルポリカーボネート樹脂組成物。粘度平均分
子量15,100、吸水率0.20重量%で二価フェノ
ール成分がビスフェノールAのポリカーボネート樹脂基
板(1.2mm)/アルミ蒸着層(0.1μm)/UV
コート層(5〜10μm)/レーベル印刷層(20μ
m)の構成からなる樹脂基板A(直径12cm)を相対
するロール間隙が0.4mmで、表面温度を130℃に
設定した大竹機械工業製2本ロール機にて圧延した。こ
のときの圧延条件はロール回転数=高速側16rpm、
低速側14rpm、ロール径=12インチ、ロール幅=
24インチとした。次に熱水処理として95℃の加熱水
に45分間浸漬し、膨潤させながら攪拌した。この時の
樹脂基板の割合は、樹脂基板と加熱水との合計に対して
3重量%とし、被覆成分を除去させた。次に水洗を施
し、被覆成分を除去した透明なポリカーボネート樹脂基
板を回収した。得られたポリカーボネート樹脂基板を粉
砕し、溶融押出してペレットを得た。尚、かかる樹脂組
成物のガラス転移温度は142℃であった。
【0118】 PO:環状ポリオレフィン樹脂(日本
ゼオン(株)製「ゼオネックス E48R」。かかる樹
脂のガラス転移温度は141℃であった。)
【0119】 主金型:鋼材(S55C、熱伝導率2
0W/m・K)
【0120】また、評価は下記の方法によった。 (1)層間密着強度の測定 図1および図2に示す板状成形品から、長さ100m
m、幅10mmの板状体を切り出し、図に示すように第
1層および第2層の中間に挟み込まれたテフロンフィル
ムの部分から、第2層を垂直方向に20mm/分で剥離
した際の定常状態での荷重を界面密着強度として測定し
た。測定にはオリエンテック(株)製UCT−1Tを使
用した。尚、剥離によらずサンプルの破断が生じたもの
は記録しなかった(表1中“−”で表記)。
【0121】(2)ガラス転位温度の測定 JIS K7121に準拠しDSCにより20℃/mi
nの昇温速度で樹脂のガラス転位温度(Tg)を測定し
た。
【0122】(3)キャビティ表面の最高温度、および
温度履歴の測定 キャビティ表面の温度はかかる金型コア表面部分に接触
した熱電対を用いて記録計に記録し、最高温度(℃)、
およびガラス転移温度以上の時間(秒)を測定した。
【0123】(4)歪みの観察 2枚の偏光板の間に成形品を挟み込み、その成形品の歪
みについて観察した。歪みが大きく残るものは「×」、
そうでないものは「○」と評価した。
【0124】(5)成形品の反り量の測定 板状のジグを使用して、板状成形品の流動末端側を10
mm幅で定盤に成形品が破断しない程度に密着させて固
定し、ゲート側端辺の高さをノギスで測定することによ
り成形品の反り量を求めた。
【0125】[実施例1]前述のポリカーボネート樹脂
(PC)を120℃で5時間、及びアクリル樹脂(PM
MA)を各々95℃で5時間、それぞれ熱風乾燥機で乾
燥した後、600mm/secの射出速度を達成可能な
シリンダ内径50mmφの超高速射出装置をV型配置で
2機備えた超高速射出2色成形機(日精樹脂工業(株)
製FN−8000−36ATN)を使用して図1および
2に示す、本体部分の長さが250mm、幅が200m
mのおよび第1層の厚みが3mm、第2層の厚みが1.
3mmである成形品(以後、かかる部分を板状成形品本
体と称する)を、2色成形により成形した。第1層をP
C、第2層をPMMAとした。
【0126】かかる成形においてはコア可動式のコアバ
ック方式の成形により成形した。また、成形時に射出圧
縮の動作等をせず、通常の成形方法により成形をおこな
った。すなわち、第1層充填時は図3および4に示すよ
うにコア部を完全に前進させ、また保圧冷却中において
も前進保持とした。第1層を成形後は、図5に示すよう
にコアを第2層の厚み分、すなわち1.3mmだけ後退
させ、その位置を保持した状態で図6に示すように第2
層の樹脂を高速で充填し、さらにその位置を保持した状
態で保圧、冷却を行い、図7に示すように取り出しを行
った。
【0127】更に図3に示すように、かかるコア表面の
板状成形品本体に対応する部分に断熱層を設け、本発明
の条件を満足するようにした。かかる断熱層は、テイジ
ンアモコエンジニアリングプラスチックス(株)製、ト
ーロン4203Lのポストキュア済みの板状成形品を1
mm厚に切削および鏡面研磨し、かかる一方の面に厚さ
100μmのニッケル薄膜を、シアノアクリレート系接
着剤を使用して金属層を形成し、均一な面とした。尚、
接着層の厚みは5μm以下である。かかる金属層をコア
表面側となるようコア部分に設置した。
【0128】成形条件は、第2層用の射出装置2のシリ
ンダー温度が300℃、および第1層用の射出装置1の
シリンダー温度が290℃であり、射出速度一定の条件
で射出装置1の射出速度を50mm/sec、射出装置
2の射出速度を300mm/secにより図1に記載の
成形品を成形した。
【0129】かかる第2層の成形においては、真空ポン
プ(日本真空技術(株)製ULVAC PMB006C
MメカニカルブースターおよびEC803ロータリーポ
ンプを組合わせたもの)を使用し、10秒間排気を行っ
た後成形した。尚、排気は金型キャビティ周囲に設けら
れたガス抜き用のクリアランスを通して行った。
【0130】また主金型の温度を、金型温調機の温度を
70℃とし、主金型の胴体部分の熱電対型温度計がほぼ
同じ温度になっていることを確認して実施した。また板
状成形品本体ゲート側の端より20mmおよび、流動末
端である端部から25mmの部分に直径1mmφの熱電
対型温度計をその先端が表面のニッケル層に接するよう
に設置し、金型表面部分の温度を0.2秒ごとに測定し
た。また金型はホットランナー(モールドマスターズ社
製外部加熱方式)方式のものを使用した。かかるホット
ランナーのゲート径は3.5mmφであった。
【0131】[実施例2〜5、比較例1〜7]表1に示
す材料、および条件とした以外は、すべて実施例1と同
様に成形を行い、板状成形品を得た。尚、RecPCに
ついてはPCと同様の条件で乾燥を行い。また断熱層の
ないものについては、コア表面部にかかる層のないもの
に入れ替え、また熱電対は表面から0.3mmの部分に
接触するように設置した。尚、比較例1については末端
まで充填した十分な成形品を得ることができなかった。
【0132】[比較例8]実施例1と逆の手順により成
形を行った。すなわち、主金型と同じ鋼材により作成さ
れた第1層に相当する入れ子をインサートした状態で第
2層の成形を行い、かかる第2層を成形後、上記の入れ
子をはずして第1層の樹脂を充填する方法で成形を行っ
た。成形条件としては実施例1と同様に第2層用の射出
装置2のシリンダー温度が300℃、および第1層用の
射出装置1のシリンダー温度が290℃であり、射出速
度一定の条件で射出装置2の射出速度を300mm/s
ec、射出装置1の射出速度を50mm/secとし
た。また金型温調機の温度を70℃として主金型の温度
を70℃とした。
【0133】
【表1】
【0134】表1から明らかなように、例えば実施例1
および2と比較例1、2および3との比較から、第2層
を充填する際の射出速度が300mm/sec以上と高
速であり、かつ第2層がコア表面と接触している際の最
高温度が[Tg+1]℃より高い温度である場合には、
光学特性や反りの良好なものが得られることがわかる。
また比較例8からわかるように、単に高速の充填方法を
採用したのみでは良好な多層成形品は得られていない。
【0135】
【発明の効果】本発明を用いると、薄肉層を有する射出
成形による多層成形品を可能とすると共に、反り等の不
良もなく、また歪みや層間の密着性にも優れる多層成形
品を得ることが可能となる。かかる成形法は特に、デザ
インの自由度が要求される各種電子・電気機器、自動車
等の運送機器、工作機械などにおいて有用であり、その
奏する工業的効果は極めて大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例において使用した板状成形品の概要を模
式的に表す正面図である。
【図2】実施例において使用した板状成形品の概要を模
式的に表す側面図である。
【図3】成形金型の模式図を示す側面図であり、樹脂充
填前の状態を示し、この時、ホットランナーのバルブ
は、第1層用および第2層用ともに閉じている。
【図4】成形金型の模式図を示す側面図であり、第1層
の樹脂を充填した状態を示し、この時ホットランナーの
バルブは第1層用については保圧工程直前まで開いた後
閉じ、第2層用については閉じたままである。
【図5】第1層を一定時間冷却後、コアバックの動作を
し、第1層の表面と金型コア表面により主として構成さ
れる、第2層の樹脂(樹脂B)が充填される空間が形成
された状態を示し、この時ホットランナーのバルブは1
層用および2層用ともに閉じている。
【図6】前記工程で形成された空間内に第2層の樹脂
(樹脂B)が充填された状態を示し、この時ホットラン
ナーのバルブは第2層用については保圧工程直前まで開
いた後閉じ、第1層用については閉じたままである。
【図7】第2層も冷却された後、金型を開き、一方コア
部分を前進させることにより成形品を取り出した状態を
示すものである。この時ホットランナーのバルブは、第
1層用および第2層用ともに閉じている。
【符号の説明】
1 板状成形品本体 2 板状成形品第1層 3 板状成形品第2層 4 板状成形品第1層のゲート部(直径3.5mm
φ) 5 板状成形品第2層のゲート部(直径3.5mm
φ) 6 ゲート部に対応する熱電対型温度計の相当位置 7 流動末端部に対応する熱電対型温度計の相当位置 8 板状成形品本体の長さ(250mm) 9 板状成形品本体の幅(200mm) 10 板状成形品第1層用疑似ランナー部分の長さ(3
0mm) 11 板状成形品第2層用疑似ランナー部分の長さ(1
8mm) 12 板状成形品第2層用疑似ゲート部分の長さ(28
mm) 13 ゲート部に対応する熱電対型温度計の板状成形品
本体ゲート側端部からの長さ(20mm) 14 流動末端部に対応する熱電対型温度計の板状成形
品本体流動末端側端部からの長さ(25mm) 15 界面密着強度測定のためにインサートされたテフ
ロンフィルム(端部より約50mm) 16 界面密着強度測定のために切り出しされた板状体
(左端より50mmの位置) 17 切り出しされた板状体におけるテフロンフィルム
の長さ(50mm) 18 切り出しされた板状体の長さ(100mm) 19 板状成形体における第1層と第2層の合計の厚み
(4.3mm) 20 板状成形体における第2層の厚み(1.3mm) 21 板状成形体第2層の疑似ランナー部厚み(2m
m) 22 板状成形体第2層の疑似ゲート部厚み(1mm) 23 板状成形体第1層の疑似ランナー部最小厚み(1
mm) 24 板状成形体第1層の疑似ゲート部厚み(2mm) 25 インサートされたテフロンフィルム 26 固定側(キャビティ側)金型 27 射出装置1(第1層用) 28 第1層用熱可塑性樹脂 29 第1層用ホットランナー内流路 30 第1層用ホットランナー先端バルブ 31 射出装置2(第2層用、V型配置) 32 第2層用熱可塑性樹脂(樹脂B) 33 第2層用ホットランナー内流路(クランク経路だ
が簡略化のため省略) 34 第2層用ホットランナー先端バルブ 35 可動側金型 36 可動コア 37 ゲート側熱電対型温度計 38 流動末端側熱電対型温度計 39 断熱層 40 第1層キャビティ空間 41 第1層用熱可塑性樹脂の充填動作 42 第1層 43 コアバック動作 44 第1層の表面と金型コア表面から主として構成さ
れる、第2層を形成する樹脂(樹脂B)が充填される空
間 45 第2層用熱可塑性樹脂の充填動作 46 第2層 47 金型開動作 48 コア前進動作

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性樹脂の多色成形またはインサー
    ト成形により多層構造の成形品を得る成形方法におい
    て、該成形品が、前工程で射出成形され金型キャビティ
    内に設置された樹脂成形品からなる層(以下“第1層”
    とする)、およびかかる第1層の表面と対向する金型キ
    ャビティ表面との間の空間内に熱可塑性樹脂(以下“樹
    脂B”とする)を充填することにより形成される層(以
    下“第2層”とする)からなる多層構造を有し、更に
    (1)樹脂Bを充填する際の射出速度を300mm/s
    ec以上とし、かつ(2)樹脂Bの最も高いガラス転移
    温度をTg(℃)としたとき、主金型温度をTg(℃)
    より低い温度で保持するとともに、かかる樹脂Bがキャ
    ビティ表面に接触している際の該表面の最高温度を[T
    g+1](℃)〜[Tg+50](℃)とすることを特
    徴とする成形方法。
  2. 【請求項2】 上記(2)樹脂Bの最も高いガラス転移
    温度をTg(℃)としたとき、主金型温度をTg(℃)
    より低い温度で保持するとともに、かかる樹脂Bが金型
    キャビティ表面に接触している際の該表面の最高温度を
    [Tg+1](℃)〜[Tg+50](℃)とする方法
    が、金型キャビティ表面に熱伝導率0.05〜1W/m
    ・Kの断熱層を形成するものである請求項1に記載の成
    形方法。
  3. 【請求項3】 更に主金型温度を、第1層の金型キャビ
    ティ表面と接する樹脂における最も高いガラス転移温度
    より低い温度とする請求項1または2のいずれかに記載
    の成形方法。
  4. 【請求項4】 第2層において、厚みがD(mm)、ゲ
    ート部から流動末端部までの距離がL(mm)としたと
    き、実質的にL/D≧100である部分が存在する請求
    項1〜3のいずれか1項に記載の成形方法。
  5. 【請求項5】 Dが1.5mm以下、およびLが200
    mm以上である請求項1〜3のいずれか1項に記載の成
    形方法。
  6. 【請求項6】 成形品が少なくともその一部に光透過性
    を有するものであり、かつ多層のうち少なくとも1層の
    熱可塑性樹脂が、粘度平均分子量10,000〜40,
    000のポリカーボネート樹脂である請求項1〜5のい
    ずれか1項に記載の成形方法。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれか1項に記載の成
    形方法から得られた成形品。
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