JP2003053767A - 耐熱性薄肉成形品の射出成形方法 - Google Patents
耐熱性薄肉成形品の射出成形方法Info
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Abstract
成形品を射出成形するに際し、二酸化炭素を溶解させて
流動性を高めたポリエーテルサルフォンにより、成形品
に生じる黄ばみを抑制しつつ、未充填部のない金型再現
性のよい成形品を得る。 【解決手段】 0.2重量%以上の二酸化炭素を熔解さ
せた溶融ポリエーテルサルフォンを、金型温度が100
〜160℃で、二酸化炭素によるカウンタプレッシャを
加えた金型内に、成形温度340〜390℃、射出速度
30〜500mm/secで射出充填し、樹脂保圧を加
えて冷却する。
Description
フォンを用いた耐熱性薄肉成形品の射出成形方法に関す
る。
期耐熱性、長期耐熱性)に優れた性質を有することか
ら、耐熱性が要求される機械部品や電機部品の射出成形
や圧縮成形に用いられている。このポリエーテルサルフ
ォンは、耐熱性に優れている反面、成形温度が高く、3
50℃以上という、通常の熱可塑性樹脂を用いた成形に
比してかなり高い成形温度で成形が行われているが、そ
れでも成形に必要な流動性が得にくく、特に薄肉で流動
距離が長い成形品の成形に際しては、未充填部分を生じ
やすい問題がある。成形温度を高めれば、ある程度の対
応が可能ではあるが、成形温度を高くし過ぎると、ポリ
エーテルサルフォン自身や添加剤の熱分解を引き起こし
やすくなり、成形品強度の低下、劣化物による異物の発
生、金型汚れ、変色などの問題が発生しやすくなる。ま
た、金型の冷却時間が長くなり、成形効率が低下する問
題もあり、成形温度を高くすることによる対応には限界
がある。
の流動性を向上させる方法として、可塑剤として作用す
る二酸化炭素を溶解させる方法が知られている。例え
ば、特開2000−62862号公報には、非晶性熱可
塑性樹脂の射出成形において、予め金型キャビティに、
溶融樹脂のフローフロントで発泡が起きない圧力以上に
二酸化炭素でカウンタープレッシャを加えた後、二酸化
炭素を0.1重量部以上溶解させた溶融樹脂を金型キャ
ビティに射出充填する射出成形方法が開示されている。
ルサルフォンを用いて耐熱性薄肉成形品を射出成形する
に際し、溶融ポリエーテルサルフォンに二酸化炭素を溶
解させて流動性を高めることで、未充填部のない型再現
性に優れた成形品を得ることが考えられる。
二酸化炭素を溶解させて流動性を高めて射出成形を行う
と、得られる成形品が黄ばんだものとなりやすい問題が
ある。この原因は必ずしも明らかではないが、高い成形
温度下において、二酸化炭素とポリエーテルサルフォン
が部分的に反応して、酸化を発生させているものと推測
される。
れたもので、ポリエーテルサルフォンを用いて耐熱性薄
肉成形品を射出成形するに際し、二酸化炭素を溶解させ
て流動性を高めたポリエーテルサルフォンにより、成形
品に生じる黄ばみを抑制しつつ、未充填部のない金型再
現性のよい成形品を確実に得られるようにすることを目
的とする。
成するために、一定厚みの平面部を有し、この平面部の
厚みをTとし、ゲートから最も離れた該平面部の末端と
該ゲート間の距離をLとしたときの両者の比L/Tが7
0〜200の範囲にあり、しかもTが3mm以下のポリ
エーテルサルフォン製耐熱性薄肉成形品を成形するに際
し、0.2重量%以上の二酸化炭素を熔解させた溶融ポ
リエーテルサルフォンを、金型温度が100〜160℃
で、二酸化炭素によるカウンタプレッシャを加えた金型
内に、成形温度340〜390℃、射出速度30〜50
0mm/secで射出充填し、樹脂保圧を加えて冷却す
ることを耐熱薄肉成形品の射出成形方法を提供するもの
である。
ら完了までの間で多段に遅くすること、Tが2mm以下
であること、カウンタプレッシャが4〜12Mpaであ
ること、耐熱性薄肉成形品が機内食加熱トレーであるこ
とをその好ましい態様として含むものである。
フォン(以下「PES」という。)とは、以下の分子構
造を有する非晶性の熱可塑性樹脂をいい、これに各種添
加剤や充填材を加えた組成物を含むものである。
いて耐熱性薄肉成形品を成形するに適した射出成形方法
を提供するもので、特に一定厚みの平面部を有し、しか
もこの平面部の厚みをTとし、ゲートから最も離れた該
平面部の末端と該ゲート間の距離をLとしたときの両者
の比L/Tが70〜200の範囲にあり、しかもTが3
mm以下の耐熱性薄肉成形品を成形する場合に適したも
のである。L/Tが70〜200の範囲にあり、Tが3
mm以下の耐熱性薄肉成形品の場合、成形温度及び射出
速度の調整のみでは、溶融したPESを未充填部分を残
さずに十分充填することは困難であるが、本発明によれ
ば、成形品の黄ばみを抑制しつつ、未充填部のない型再
現性に優れた成形品を得ることができる。Tが3mm以
下でもL/Tが70未満の場合、特に二酸化炭素を溶解
させなくても未充填部分を残すことなく射出成形するこ
とが可能で、本発明を適用する意義が薄い。また、Tが
3mm以下でL/Tが200を超えると、二酸化炭素を
溶解させても、未充填部分を残さないようにするために
は、成形温度を高くしたり射出速度を早くしなければな
らなくなり、得られる成形品の黄ばみが抑制しにくくな
る。
m以下の場合に効果が顕著となることから、このような
耐熱性薄肉成形品の射出成形に適用することが好まし
い。L/Tが上記の範囲でTが2mm以下の場合、成形
温度及び射出速度の調整のみでは、溶融したPESを未
充填部分を残さずに十分充填することは、Tが3mm以
下で2mmを超える場合に比してきわめて困難である。
エルド発生防止のため、単一ゲートの金型を用いること
が好ましいが、平面部に溶融PESを流入させるゲート
を複数有する金型を用いることもできる。この場合のL
は、ゲートの数をn個、各ゲートについて、ゲートから
最も離れた平面部の末端と該ゲート間の距離をそれぞれ
L1〜Lnとしたときに、L=(L1+L2+…Ln)/n
によって求められる値をいう。
素を溶解させた溶融PESを用いる。
いる二酸化炭素は、溶融PESの流動性を高める可塑剤
として作用し、薄肉成形品の隅々にまで溶融PESの充
填を可能にさせる働きをなす。
融PESの流動性を顕著に向上させるために0.2重量
%以上であることが必要で、好ましくは0.3重量%以
上である。また、二酸化炭素の溶解量の上限は特に制限
はないが、むやみに二酸化炭素の溶解量を増大させても
さほど溶融PESの流動性は向上しないだけでなく、射
出時に溶融PESから二酸化炭素が放出されることによ
る発泡を抑制するためのカウンタプレッシャが高くなる
ことから、実用的な二酸化炭素の溶解量は5重量%以下
で、好ましくは4重量%以下である。
る二酸化炭素の量は、二酸化炭素を含む溶融PESを用
いて射出成形した直後における成形品の重量W1と、P
ESのガラス転移温度に設定した乾燥機中に24時間放
置し、成形品中の二酸化炭素を放散させた後の成形品の
重量W2とを求め、両者の差W1−W2から求める。
としては、次の2つの方法が好ましい。
二酸化炭素雰囲気に置き、二酸化炭素を吸収させてから
成形機に供給する方法である。この場合、二酸化炭素の
圧力や雰囲気温度、吸収させる時間により吸収量が決ま
る。この方法では、可塑化時にPESが加熱されるに従
ってPES中の二酸化炭素の一部が放出されるため、溶
融PES中の二酸化炭素量は予め吸収させた量よりも少
なくなる。このため、成形機のホッパなどのPESの供
給経路も二酸化炭素雰囲気にし、更には吸収時の圧力に
近い圧力まで加圧することが好ましい。
内でPESを可塑化するとき、又は射出シリンダ内の可
塑化したPESに二酸化炭素を溶解させる方法で、射出
成形機のポッパ付近を二酸化炭素雰囲気にしたり、射出
シリンダ内に二酸化炭素を注入する方法である。射出シ
リンダ内に二酸化炭素を注入し、可塑化したPESに二
酸化炭素を溶解させる場合、射出シリンダの中間部から
に酸化炭素を注入することが好ましく、特に2ステージ
からなるベントタイプスクリュを用い、スクリュ溝深さ
が深く、溶融樹脂圧力が低くなるベント部分を二酸化炭
素の注入部とすることが好ましい。また、二酸化炭素の
注入後、これを溶融PES中に均一に分散させて溶解さ
せるために、スクリュにダルメージや混練ピンなどのミ
キシング機構を付けたり、溶融樹脂流路にスタティック
ミキサを設けることが好ましい。射出成形機としては、
インラインスクリュ方式でもスクリュプリプラ方式でも
よいが、樹脂を可塑化する押出機部分のスクリュデザイ
ンや二酸化炭素の注入位置の変更が容易であることか
ら、スクリュプリプラ方式の射出成形機が好ましい。
は、金型内への流入時に二酸化炭素が放出されて発泡す
ることを抑制するために、予め二酸化炭素でカウンタプ
レッシャが加えられた金型内に射出される。カウンタプ
レッシャのために金型内に供給された二酸化炭素は、射
出されて金型内に流入する溶融PESの表面に溶解し、
その流動を補助する働きもなす。また、二酸化炭素は、
PESに溶解しやすいことから、金型内でPESの表面
と金型面との間に閉じ込められて残留してしまうことも
防止しやすい。
は、二酸化炭素を溶解させた溶融PESを金型内に射出
するときの発泡を抑制できる圧力に設定されるもので、
二酸化炭素の溶解量によっても相違するが、通常4〜1
2Mpa程度が好ましい。
シャを加えやすくするために、金型キャビティに通じる
隙間、例えばパーティング面、エジェクタピン周りなど
をシールしたシール金型を用いることが好ましい。
〜390℃、好ましくは360〜380℃、射出速度3
0〜500mm/sec、好ましくは30〜200mm
/secで行われる。成形温度が低すぎると、金型内に
未充填箇所が残りやすく、成形温度が高すぎると、成形
品が黄ばんだり褐変を生じやすくなる。また、射出速度
が遅すぎると、金型内に未充填箇所が残りやすく、射出
速度が速すぎると、成形品が黄ばんだり褐変を生じやす
くなる。
制御することが好ましい。具体的には、射出開始から完
了までの間に、射出速度を多段に遅くすることが好まし
い。射出速度が速いと金型内への溶融PESの充填がし
やすくなる反面、黄ばみを生じやすくなる。特に射出の
後半は、金型内での溶融PESの流動性が低下すること
から、この後半で高速の射出を行うと、金型内での剪断
発熱が大きくなって、成形品の黄ばみの原因につながる
ものと考えられる。上記のように多段に射出速度を遅く
すると、比較的流動抵抗の小さい射出前半では、速い射
出により金型内への溶融PESの充填を促進することが
でき、流動抵抗が大きくなる射出後半では、射出速度を
遅くすることで剪断発熱を押さえて黄ばみを抑制するこ
とができる。
160℃、好ましくは120〜140℃である。金型温
度が低すぎると、型再現性に優れた耐熱性薄肉成形品が
得にくく、金型温度が高すぎると、成形サイクルが長く
なって成形効率が低下しやすくなる。
えた状態で冷却を行う。この樹脂保圧とは、射出完了後
に、射出シリンダから金型への溶融樹脂の押出圧力を保
持することで金型内に圧力を加えることをいう。この樹
脂保圧を行うことで、未充填部への溶融PESの押し込
みを促進できると共に、冷却に伴うヒケの発生を抑制す
ることができる。樹脂保圧は、3〜20MPaの圧力
で、3〜30秒行うことが好ましい。
に取り出し温度までの冷却時間をおいた後、金型を開放
することで成形品を取り出すことができる。
しては、機内食加熱トレーが好ましい。この機内食加熱
トレーは、航空機内での食事を盛り付けるトレーで、暖
かい食べ物の盛り付け部に発熱体を収納できるようにし
たトレーである。この機内食加熱トレーは、大型機には
何百枚も積み込まれるものであることから、その成形に
本発明を適用し、薄いものとすることにより、重量を大
幅に減らすことができ、航空機への負担を軽減すること
ができる。
更に説明する。
用機材、成形条件、成形対象、評価項目などについて説
明する。
n・E・1010」)を用いた。
成形機のスクリュシリンダはL/D=23のベントタイ
プとし、ベント部分を二酸化炭素で加圧できるように
し、供給する二酸化炭素の圧力を減圧弁で一定に保つこ
とで、溶融PESに溶解する二酸化炭素量を制御した。
可塑化から射出開始までの間、スクリュ背圧として、溶
融PESが発泡してスクリュが後退しない最低限の圧力
を設定した。
給して、溶融PESに二酸化炭素を溶解させた。
ESのガラス転移温度(225℃)に設定した乾燥機中
に24時間放置し、成形品中の二酸化炭素を放散させた
後の成形品の重量W2を求め、両者の差W1−W2から求
めた。
形品A)と、厚さ2mm、幅60mm、長さ120mm
の平板(成形品B)の2種類とした。
所が観察されないものを○、未充填箇所が観察されたも
のを×とした。
観察し、ヤケや色ムラが観察されないものを○、ヤケや
色ムラが観察されたものを×とした。
但し、YIは測定資料の黄色度、X,Y,Zは資料のX
YZ表色系における三刺激値である。
Z)}/Y
い、金型に二酸化炭素で10MPaのカウンタープレッ
シャを加えて成形品Aの射出成形を行った。
5℃、金型温度は120℃とした。
で行い、後半を3.5mm/secの速度とした。
す。
した以外、実施例1と同様にして成形品Aの成形を行っ
た。
て成形品Aの成形を行った。
cから3.5mm/secに変化させた他は実施例1と
同様にして成形品Aの成形を行った。
い、金型に二酸化炭素で10MPaのカウンタープレッ
シャを加えて成形品Bの射出成形を行った。
0℃、金型温度は110℃とした。
m/secの一定速度とした。
す。
にして成形品Bの成形を行った。
て成形品Bの成形を行った。
0℃とした他は実施例4と同様にして成形品Bの成形を
行った。
あり、ポリエーテルサルフォンを用いて耐熱性薄肉成形
品を射出成形するに際し、二酸化炭素を溶解させて流動
性を高めたポリエーテルサルフォンにより、成形品に生
じる黄ばみを抑制しつつ、未充填部のない金型再現性の
よい成形品を得ることができるものである。
3)
の流動性を向上させる方法として、可塑剤として作用す
る二酸化炭素を溶解させる方法が知られている。例え
ば、特開2001−62862号公報には、非晶性熱可
塑性樹脂の射出成形において、予め金型キャビティに、
溶融樹脂のフローフロントで発泡が起きない圧力以上に
二酸化炭素でカウンタープレッシャを加えた後、二酸化
炭素を0.1重量部以上溶解させた溶融樹脂を金型キャ
ビティに射出充填する射出成形方法が開示されている。
Claims (5)
- 【請求項1】 一定厚みの平面部を有し、この平面部の
厚みをTとし、ゲートから最も離れた該平面部の末端と
該ゲート間の距離をLとしたときの両者の比L/Tが7
0〜200の範囲にあり、しかもTが3mm以下のポリ
エーテルサルフォン製耐熱性薄肉成形品を成形するに際
し、 0.2重量%以上の二酸化炭素を熔解させた溶融ポリエ
ーテルサルフォンを、金型温度が100〜160℃で、
二酸化炭素によるカウンタプレッシャを加えた金型内
に、成形温度340〜390℃、射出速度30〜500
mm/secで射出充填し、樹脂保圧を加えて冷却する
ことを特徴とする耐熱性薄肉成形品の射出成形方法。 - 【請求項2】 射出速度を、射出開始から完了までの間
で多段に遅くすることを特徴とする請求項1に記載の耐
熱性薄肉成形品の射出成形方法。 - 【請求項3】 Tが2mm以下であることを特徴とする
請求項1又は2に記載の耐熱性薄肉成形品の射出成形方
法。 - 【請求項4】 カウンタプレッシャが4〜12Mpaで
あることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の
耐熱性薄肉成形品の射出成形方法。 - 【請求項5】 耐熱性薄肉成形品が、機内食加熱トレー
であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載
の耐熱性薄肉成形品の成形方法。、
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2001247544A JP4773645B2 (ja) | 2001-08-17 | 2001-08-17 | 耐熱性薄肉成形品の射出成形方法 |
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Publication Number | Publication Date |
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JP2003053767A true JP2003053767A (ja) | 2003-02-26 |
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- 2001-08-17 JP JP2001247544A patent/JP4773645B2/ja not_active Expired - Fee Related
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