JP4184055B2 - 熱可塑性樹脂製ボタン類 - Google Patents
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Description
【発明の所属する技術分野】
本発明は、スーツやワイシャツ、ジャンパー、スキージャケット、ウインドブレーカー、作業服等の衣料用、又、鞄、その他の身回り品に、実用のため、あるいは、装飾のために取り付けられるボタン、スナップボタン、ホック類に関する。さらに詳しくは、外観意匠性に優れるのみではなく、剛性、耐候性にも優れ、かつ、廃棄の際の分別回収が容易なボタン類に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、衣料用、あるいは、身回り品に取り付けられているボタン類は、金属、あるいは、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール等の熱可塑性樹脂が用いられていた。
金属製のボタン類としては、ホックが例示されている(例えば、特許文献1参照)。金属製のボタン類は、剛性には優れてはいるものの、製品形状によっては複雑な加工工程が必要であり、さらに、意匠性の観点からは様々な色合いのボタン類を作製するには表面に塗装等を施す必要があり生産性の面での課題がある。又、ボタン類が取り付けられている場所は、一般的に、布等の繊維製品上が多く、例えば、衣服等を廃棄焼却する際には、ボタン類を分別する必要があり煩雑となる。
【0003】
一方、熱可塑性樹脂製のボタン類では、剛性では金属に敵わないまでも、例えば、射出成形等の一般的で簡便な加工法にて製品の大量生産が可能であり、又、例えば、あらかじめ着色しておいた樹脂材料を用いれば表面に塗装を施すことなく様々な色合いの製品を作製することができ、生産性の面で金属製の物より有利である。
熱可塑性樹脂からなるボタン類としては、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール樹脂、及び、ポリプロピレン樹脂の例示がある(例えば、特許文献2、3参照)。
【0004】
ポリエステル系樹脂であるポリエチレンテレフタレート樹脂(以下、PETと略称することがある)では、その結晶化速度は非常に小さく、ボタン類を射出成形により作製する場合、成形条件を複雑に設定する必要があり煩雑である。又、ポリエステル系樹脂の他の代表であるポリブチレンテレフタレート樹脂(以下、PBTと略称することがある。)では、その結晶化速度は非常に大きく、かつ、高結晶性であり、成形時の結晶化に由来して、大きなソリが発生する。特に、高剛性が必要とされる部品においては、その特性を満足させるためにガラス繊維や無機繊維等を配合した場合、このソリは著しく大きくなる。満足する成形品を得るためには金型を複雑な構造にしたり、又、複雑な成形条件を設定する必要があり非常に煩雑である。又、PBTは、ガラス繊維を多量に配合すると表面にガラスが浮き上がり著しく外観を損なう問題があり、ボタン類の材料として高剛性を実現させる上でも限界がある。
【0005】
又、6、6−6に代表されるポリアミド樹脂においては、高剛性が必要とされる部品では、ガラス繊維や無機繊維等にて強化された材料が多く用いられるが、ポリアミド樹脂は乾燥時の剛性は優れてはいるものの、吸水率が高いため、平衡吸水時には剛性が低下してしまうという問題があり、必ずしも満足できる性能を有してはいない。又、表面外観の観点からも、例えば、ガラス繊維を多量に配合すると表面にガラス繊維が浮き上がり著しく外観を損なうという問題がある。加えて、ポリアミド樹脂は、一般的に、黒色系の特殊な着色組成物以外は耐候性に劣るため、意匠性を考慮した場合、例えば、赤、白、その他有彩色等の様々な色調を得るには成形品に塗装等を施す必要があり煩雑である。
【0006】
一方、ポリプロピレン樹脂においても、ガラス繊維の浮き上がりによる外観不良、耐候性についての課題等はポリアミド樹脂と同様である。
ポリアセタール樹脂(以下、POMと略称することがある)も、高結晶性であり、成形時の結晶化に由来して、金型への転写性が劣り、良質な表面外観を得るためには成形条件を複雑に設定する必要がある。又、ガラス繊維等を配合する場合には、著しく外観が劣るため、ボタン類用材料としては限界がある。
【0007】
【特許文献1】
特開平9−285314号公報
【特許文献2】
特開平11−32815号公報
【特許文献3】
特開2000−296006号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
このような状況に鑑み、外観意匠性に優れるのみではなく、剛性にも優れ、かつ、耐候性にも優れたボタン類を提供することが本発明の目的のひとつであり、あわせて、廃棄の際の分別、回収が容易なボタン類を提供することも目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、前記目的を達成すべく鋭意検討した結果、熱可塑性ポリエステル系樹脂であるポリトリメチレンテレフタレート樹脂及び結晶核剤及び/又は無機フィラーの組成物からなるボタン類は、外観意匠性に優れるのみでなく、剛性にも優れ、かつ、耐候性にも優れ、あわせて、廃棄の際の分別が容易なボタン類であることを見出し本発明に至った。
【0010】
すなわち本発明は、以下の発明に関する。
[1](A)ポリトリメチレンテレフタレート樹脂、(B)結晶核剤及び/又は(C)無機フィラーを含み、かつ以下(1)及び(2)に示す結晶化挙動を有する組成物からなることを特徴とするボタン類。
(1)前記組成物の10〜20mgを、示差走査熱量測定器を用いて、室温から100℃/分の昇温速度にて280℃まで加熱し、2分間保持した後、500℃/分の設定降温速度にて23℃まで急冷した場合における結晶化開始温度Tcが170℃以下。
(2)前記組成物の10〜20mgを、示差走査熱量測定器を用いて、室温から100℃/分の昇温速度にて280℃まで加熱し、2分間保持した後、500℃/分の設定降温速度にて温度T℃まで急冷し以後T℃にて保持した場合における結晶化ピーク時間が、Tの全温度領域で+20秒以下である(ここで、温度Tは60〜120℃の範囲)。
【0011】
[2](A)ポリトリメチレンテレフタレート樹脂100重量部に対して、さらに(D)着色剤0.01〜10.0重量部を含有してなる組成物からなる、前記[1]に記載のボタン類。
[3](C)無機フィラーの量が、(A)ポリトリメチレンテレフタレート樹脂及び(C)無機フィラーの総重量に対して70重量%以下である、前記[1]又は[2]に記載のボタン類。
【0012】
[4](C)無機フィラーが、ガラス繊維、ガラスビーズ及びガラスフレークからなる群から選ばれる1種類以上のガラス材料である、前記[1]から[3]のいずれかに記載のボタン類。
[5](C)無機フィラーが、タルク、マイカ、ウォラストナイト、カオリン、炭酸カルシウム、炭素繊維及びチタン酸カリウムウィスカーの群から選ばれる1種類以上ある、前記[1]から[3]のいずれかに記載のボタン類。
[6]ボタン類が、スナップボタンである、前記[1]から[5]のいずれかに記載のボタン類。
【0013】
以下に本発明を詳細に記載する。
本発明における(A)ポリトリメチレンテレフタレート樹脂(以下、PTTと略称することがある。)とは、酸成分に主としてテレフタル酸を、グリコール成分に主としてトリメチレングリコールを用いたポリエステル樹脂である。
テレフタル酸以外の他の酸成分としては、テレフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸、例えばフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、ジフェニルメタンジカルボン酸、ジフェニルケトンジカルボン酸、ジフェニルスルフォンジカルボン酸等;コハク酸、アジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸;ε−オキシカプロン酸、ヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシエトキシ安息香酸等のオキシジカルボン酸が例示される。なお、テレフタル酸は、酸成分の80モル%以上であることが好ましい。
【0014】
トリメチレングリコールとしては、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,1−プロパンジオール、2,2−プロパンジオールあるいはこれらの混合物の中から選ばれるが、安定性の観点から1,3−プロパンジオールが特に好ましく、グリコール成分の80モル%以上であることが好ましい。
他のグリコール成分としてはエチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、オクタメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、キシリレングリコール、ジエチレングリコール、ポリオキシアルキレングリコール、ハイドロキノンなどが例示される。
【0015】
また、上述のポリエステルには、分岐成分、例えばトリカルバリル酸、トリメシン酸、トリメリット酸等の三官能または四官能のエステル形成能を持つ酸またはグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリットなどの三官能または四官能のエステル形成能を持つアルコールが共重合されていてもよく、その場合、分岐成分の量は全ジカルボン酸成分の1.0モル%以下、好ましくは、0.5モル%以下、さらに好ましくは、0.3モル%以下である。更に、PTTはこれら共重合成分を2種類以上組み合わせて使用しても構わない。
【0016】
本発明に用いられるPTTの製造方法は、特に限定されるものではないが例えば、特開昭51−140992号公報、特開平5−262862号公報、特開平8−311177号公報等に記載されている方法によって、テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体(例えばジメチルエステル、モノメチルエステル等の低級アルキルエステル)とトリメチレングリコールまたはそのエステル形成性誘導体とを、触媒の存在下、好適な温度・時間で加熱反応させ、更に得られるテレフタル酸のグリコールエステルを触媒の存在下、好適な温度・時間で所望の重合度まで重縮合反応させる方法が挙げられる。
【0017】
本発明のPTTは、その数平均分子量が5,000〜100,000であることが好ましく、分子量分布を示すMw/Mnが1.5〜4.5であることが好ましい。さらには、分子量100,000以上の分子が、1〜20%含有されることが好ましい。
数平均分子量および分子量分布は、例えば、浸透圧法や末端定量法、或いはGPC法(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定することができる。具体的には、測定装置として東ソー(株)製HLC−8120及びカラムとして昭和電工(株)HFIP804−803(30cmカラム2本)、キャリアとしてヘキサフルオロイソプロパノール(以後HFIPと呼ぶ)を用い、標準試料としてポリマーラボラトリー社製PMMAを用いて、温度40℃、流量0.5ml/分で実施することができる。
【0018】
本発明でいう結晶化開始温度Tcとは、示差走査熱量測定器を用いて、樹脂組成物のサンプル10〜20mgを室温から100℃/分の昇温速度にて280℃まで加熱し、2分間保持した後、500℃/分の設定降温速度にて23℃まで急冷した際に発現する、結晶性樹脂の結晶化に伴う吸熱ピークのトップが観測された時のサンプル温度をいう。この際、吸熱ピークが複数発現する場合は、最初に観測される吸熱ピークを観測対象のピークとする。
結晶化開始温度Tcが170℃以下の場合、射出成形において金型内固化時の結晶化速度が適度であるため、例えば、ガラス繊維等を含有する場合、表面のガラス浮きがなく高外観の成形品が得られるため本発明のボタン類に好適である。
より好ましい結晶化開始温度Tcは165℃以下であり、さらに好ましくは160℃以下である。
【0019】
又、本発明でいう結晶化ピーク時間とは、示差走査熱量測定器を用いて、樹脂組成物のサンプル10〜20mgを室温から100℃/分の昇温速度にて280℃まで加熱し、2分間保持した後、500℃/分の設定降温速度にて温度T℃まで急冷し、以後T℃にて10分間保持した際、サンプル温度がT℃に達した時間(t1)と、降温開始から温度をT℃で保持し続ける間に発現する結晶性樹脂の結晶化に伴う吸熱ピークのトップが観測された時の時間(t2)との差(t2−t1)をいう。この際、吸熱ピークが複数発現する場合は、最後に観測される吸熱ピークを観測対象のピークとする。なお、温度Tとは、60〜120℃の範囲をいい、現実の射出成形を考えた場合、金型表面温度は厳密には均一でなく温度分布が存在するため、結晶化ピーク時間は、幅広い温度領域、即ち、温度Tの全領域において+20秒以下である必要がある。
【0020】
ここで、本発明においては、結晶化ピーク時間が負の値となる場合が含まれる。以下、図1を用いて説明する。図1は結晶化ピーク時間を得る際の示差走査熱量測定器の温度プロファイルと、得られるチャートの模式図である。
サンプルAの場合は、最後に観測される吸熱ピークがサンプル温度をT℃にて保持している間に発現しており、結晶化ピーク時間は正の値となる。一方、サンプルBの場合は、サンプル温度がT℃に達するまでの間に吸熱ピークのトップが発現しており、t2<t1となるため、結晶化ピーク時間は負の値となる。
【0021】
本発明の温度T=60〜120℃という温度範囲は、通常一般的な射出成形時の金型温度と同一であり、結晶化ピーク時間が+20秒以下であれば、結晶化速度が適度となるため、金型内での冷却滞留時間を短く抑えることができ経済的に得策である。好ましい結晶化ピーク時間は+10秒以下、より好ましい結晶化ピーク時間は±0秒以下である。
結晶性熱可塑性ポリエステル樹脂は、機械的性質、物理的・化学的特性等に優れるため、ボタン類として種々の提案がなされているが、代表的な熱可塑性ポリエステル樹脂であるPBTは結晶化開始温度Tcが高く、結晶化速度も非常に大きいため、成形時の残留歪みあるいは外観不良を招きやすい。また、PBTはあまりにも結晶化速度が大きいため、添加剤等にて結晶化速度をコントロールすることが容易でない。
【0022】
一方、PETの結晶化速度はあまりにも小さい為、成形条件を複雑に設定する必要があり、本発明のボタン類用材料としては不適である。
又、本発明のポリトリメチレンテレフタレート樹脂は、その特性を損なわない範囲で、ポリトリメチレンテレフタレートと、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等の他のポリエステル樹脂との混合物であってもかまわない。
【0023】
本発明で用いる(B)結晶核剤は結晶性熱可塑性ポリエステル樹脂の結晶核剤として一般的に用いられている公知の化合物が好ましい。例えば、タルク、マイカ、窒化硼素、カオリン、シリカ、クレー、金属酸化物、無機カルボン酸塩、無機スルホン酸塩、有機カルボン酸塩、有機スルホン酸塩、有機カルボン酸エステル塩、炭酸塩、α−オレフィンとα,β−不飽和カルボン酸塩とからなるイオン性共重合体等が好ましく使用される。中でも、下記一般式(1)で表される脂肪酸金属塩は、より好ましく用いられる。
【0024】
CH3(CH2)nCOO(M) (1)
(式中、n≧0、M=Na、Ca、Li)
脂肪酸金属塩の中では、高級脂肪酸Na塩、高級脂肪酸Ca塩、高級脂肪酸Li塩がさらに好ましい。
これらの結晶核剤はそれぞれ単独で用いても良いし、それらの混合物を用いてもよい。
【0025】
結晶核剤の添加量は、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂組成物の結晶化開始温度Tcと結晶化ピーク時間が本発明の範囲にあれば特に制限はなく、使用する結晶核剤の種類、組み合わせ、性能等に応じて適宜選択する。
本発明でいう(C)無機フィラーとは、熱可塑性ポリエステル樹脂に一般的に配合されるような公知の無機フィラーをいう。この中で、例えば、タルク、カオリン、マイカ、ガラス繊維等では、使用する種類等により、(B)成分の結晶核剤として作用する性質を持つものもある。
本発明においては、(C)無機フィラーとして、ガラス繊維、ガラスビーズ及びガラスフレークからなる群から選ばれる1種以上のものを用いることが好ましい。
【0026】
ここで、ガラス繊維とは、通常ポリエステル樹脂に用いられるものであれば特に制限はない。又、組成物中のガラス繊維の数平均長さ(以下Lという)、数平均繊維径(以下Dという)およびLとDの比(以下L/Dともいう)については特に限定されないが、Lは100μm以上、L/Dは20以上であることが好ましい。ガラス繊維の配合量は、成形体の表面外観の観点から、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂とガラス材料の総重量に対し70重量%以下が好ましい。又、ガラスビーズやガラスフレーク等、他のガラス材料と併用する場合は、ガラス材料の総重量が、樹脂とガラス材料の総重量に対し70重量%以下が好ましい。
又、前記ガラス繊維は、特に表面処理を施したものが好ましく用いられる。表面処理としては公知のカップリング剤やフィルム形成剤を用いて行う。好ましく用いられるカップリング剤としては、シラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤があげられる。
【0027】
シラン系カップリング剤としては、トリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシ−エトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(1,1−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピル−トリス(2−メトキシ−エトキシ)シラン、N−メチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビニルベンジル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、トリアミノプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−4,5ジヒドロイミダゾールプロピルトリエトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、N,O−(ビストリメチルシリル)アミド、N,N−ビス(トリメチルシリル)ウレア等が挙げられる。
【0028】
この中でも、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(1,1−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のアミノシランおよびエポキシシランが好ましく用いられる。
チタン系カップリング剤は、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスフェイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(1,1−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、イソプロピルトリ(N−アミドエチル、アミノエチル)チタネート、ジクミルフェニルオキシアセテートチタネート、ジイソステアロイルエチレンチタネート等が挙げられる。
【0029】
フィルム形成剤としては、ウレタン系ポリマー、アクリル酸系ポリマー、無水マレイン酸とエチレン、スチレン、α−メチルスチレン、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、2,3−ジクロロブタジエン、1,3−ペンタジエン、シクロオクタジエンなどの不飽和単量体とのコポリマー、エポキシ系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、酢酸ビニル系ポリマー、ポリエーテル系ポリマーなどの重合体を挙げることが出来る。これらの中でも、エポキシ系ポリマー、ウレタン系ポリマー、アクリル酸系ポリマー、ブタジエン無水マレイン酸コポリマー、エチレン無水マレイン酸コポリマー、スチレン無水マレイン酸コポリマー、及び、これらの混合物が好ましく用いられる。
【0030】
又、好ましい無機フィラーとして、ガラス材料以外にも、タルク、マイカ、ウォラストナイト、カオリン、炭酸カルシウム、炭素繊維、及び、チタン酸カリウムウィスカー等を挙げることができる。
その他の無機フィラーとして、繊維状の無機フィラー、例えば、アスベスト繊維、シリカ繊維、シリカ・アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化硼素繊維、窒化ケイ素繊維、硼素繊維、さらにステンレス、アルミニウム、チタン、銅、真鍮等の金属繊維状物があげられる。
【0031】
又、粉粒状である、シリカ、石英粉末、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、クレー、ケイ藻土のごときケイ酸塩、酸化鉄、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナのごとき金属の酸化物、炭酸マグネシウムのごとき金属の炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムのごとき金属の硫酸塩、その他、炭化ケイ素、窒化ケイ素、各種金属粉末も用いることができる。
無機フィラーの含有量は、成形体の表面外観の観点から、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂と無機フィラーの総重量に対し70重量%以下とすることが好ましい。又、2種類以上の無機フィラーを併用する場合も、無機フィラーの総重量が、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂と無機フィラーの総重量に対し70重量%以下となるようにすることが好ましい。
【0032】
2種類以上の無機フィラーの組み合わせとしては、タルク、マイカ、ウォラストナイト、カオリン、および炭酸カルシウム等からなる群から選ばれた少なくとも1種とガラス繊維との組み合わせが好ましい。
又、本発明においては、(B)結晶核剤と(C)無機フィラーの併用も好ましい。
本発明においては、目的とするボタン類に必要な性能に合わせて、それを構成するポリトリメチレンテレフタレート樹脂組成物に(D)着色剤を添加することが好ましい。
【0033】
本発明で用いる(D)着色剤は、従来、熱可塑性ポリエステル系樹脂に公知の顔料、染料等であり、好ましい顔料としては、有機顔料としては、モノアゾ及び縮合アゾ系、アンスラキノン系、イソインドリノン系、複素環系、ペリノン系、キナクリドン系、ペリレン系、チオインジゴ系、ジオキサジン系等があげられる。
無機顔料としては、カーボンブラック、酸化チタン、チタンイエロー、酸化鉄、群青、コバルトブルー、焼成顔料、メタリック顔料等があげられる。
【0034】
又、有機染料としては、アンスラキノン系、複素環系、ペリン系の染料があげられる。
ここで、カーボンブラックとしては、チャネルブラック系、ファーネスブラック系、ランプブラック系、サーマルブラック系、ケッチェンブラック系、ナフタレンブラック系等が好ましく用いられる。これらのカーボンブラックは1種で用いても良いし、又、2種以上を組み合わせて用いても良い。又、他の着色剤との併用も好ましい。
【0035】
(D)着色剤として用いられるメタリック顔料としては、アルミニウム、着色アルミニウム、ニッケル、スズ、銅、金、銀、白金、酸化鉄、ステンレス、チタン等の金属粒子、マイカ製パール顔料、カラーグラファイト、カラーガラス繊維、カラーガラスフレーク等をあげることができる。中でも、アルミニウム、ニッケル、スズ、マイカ製パール顔料が好ましい。これらの顔料は1種で用いても良いし、又、2種以上を組み合わせて用いても良い。
前記メタリック顔料の平均粒子径は、数平均粒子径にして1〜500μmであることが好ましく、5〜300μmが更に好ましい。数平均粒子径が1〜500μmであると、表面平滑性に優れ、かつ、メタリック色調が鮮やかに発現される。
【0036】
(D)着色剤の配合量は、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂100重量部に対して0.01〜10.0重量部であり、より好ましくは、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂100重量部に対して0.05〜5.0重量部である。配合量がポリトリメチレンテレフタレート樹脂100重量部に対して0.01〜10.0重量部であれば、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂が本来有する機械特性を低下させることなく、鮮明な色調を発現させることができる。
【0037】
本発明のポリトリメチレンテレフタレート樹脂組成物には、所望に応じて、酸化防止剤、熱安定剤、離型剤、耐候剤、潤滑剤等、従来、熱可塑性ポリエステル系樹脂に公知の添加剤を配合してもよい。
又、本発明の効果を損なわない範囲で、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂組成物には、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、ポリスチレン、ゴム強化ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ABS樹脂等のスチレン系樹脂、ポリアセタール、ポリアミド類、変性ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンサルファイド、ポリメチルメタクリレート等の熱可塑性樹脂の1種又は2種以上を配合してもかまわない。
【0038】
本発明でいうボタン類としては、衣料用、あるいは、鞄、その他の身回り品に、実用のため、あるいは、装飾のために取り付けられるボタン、スナップボタン、ホック類等が挙げられる。この中で、スナップボタンが好ましい例としてあげられる。例えば、スナップボタンの場合、雌雄の各スナップ、スナップを布等へ取り付けるための座板、弾性板等を、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂及び結晶核剤及び/又は無機フィラーの組成物、あるいは、前記組成物に必要に応じて着色剤等を配合した組成物から作製し、スナップボタンを組み立てた場合も本発明の好適な一例である。又、スナップボタンの一部分、例えば、前述の座板部分だけを、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂及び結晶核剤及び/又は無機フィラーの組成物以外の樹脂組成物、あるいは、金属等から作製し、その他の部分をポリトリメチレンテレフタレート樹脂及び結晶核剤及び/又は無機フィラーの組成物から作製して組み合わせることによって構成されたスナップボタンも本発明の好適な例である。
【0039】
本発明ではポリトリメチレンテレフタレート樹脂を成形する場合、従来公知の射出成形法が好ましく用いられる。
本発明の使用目的として、例えば、ボタン類を布等の繊維製品に取り付ける場合、布本体やミシン糸等をPET等ポリエステル系繊維から構成すれば分別、回収等が容易になる。さらに、布、ミシン糸等にポリトリメチレンテレフタレート繊維を用いれば、分別、回収等がよりいっそう容易となり好ましい。
【0040】
【発明の実施の形態】
次に、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの例により何ら限定されるものではない。
まず、実施例におけるポリトリメチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリアミド樹脂、ガラス繊維、タルク、核剤及び測定項目と測定条件を述べる。
【0041】
(1)ポリエステル樹脂
a−1:極限粘度[η]が1.02であり、かつ、数平均分子量が9800、Mw/Mn=2.5、100,000以上の分子量が占める割合が5.8%であるポリトリメチレンテレフタレート樹脂
なお、極限粘度[η]は以下の定義式によって求められる値である。
[η]=lim1/C×(ηr−1) [C→0]
式中のηrは、ポリエステル樹脂を純度98%以上のo−クロロフェノールに溶解させた希釈溶液の35℃における粘度を、同一温度における上記溶媒の粘度で除した値であり、相対粘度として定義されているものである。また、Cは上記希釈溶液100ml中の溶質の重量(g)である。
a−2:極限粘度1.05のポリブチレンテレフタレート樹脂
a−3:極限粘度0.70のポリエチレンテレフタレート樹脂
【0042】
(2)ポリアミド樹脂
b−1:UBEナイロン1013B(宇部興産(株)製)
(3)ガラス繊維
GF−1:繊維径10μm、長さ3mmのチョップドストランドをアミノシランカップリング剤とエポキシ系収束剤の混合物で表面処理したもの
(4)タルク
MF−1:ミクロエースL−1(日本タルク(株)製)
【0043】
(5)核剤
NAV−1:モンタン酸ナトリウム(リコモントNaV101;クラリアント(株)製)
(6)結晶化開始温度
パーキンエルマー社製示差走査熱量計DSC7型を用い、サンプル約12mgを室温から100℃/分の昇温速度にて280℃まで加熱し、同温度で2分間保持した後、500℃/分の設定降温速度にて23℃まで急冷し、最初に発現する結晶化に伴う吸熱ピークのトップが観測された時のサンプル温度を求めた。
【0044】
(7)結晶化ピーク時間
パーキンエルマー社製示差走査熱量計DSC7型を用い、サンプル約12mgを室温から100℃/分の昇温速度にて280℃まで加熱し、同温度で2分間保持した後、500℃/分の設定降温速度にて目標温度(T)60℃まで急冷し、以後60℃にて10分間保持した。降温開始から60℃で保持する間に発現する結晶化に伴う吸熱ピークのトップまでの時間(秒)を求めた。この時、吸熱ピークが複数発現する場合、最も遅い時間に発現する吸熱ピークの時間を結晶化ピーク時間とした。また、サンプル温度が60℃に達した時間を±0秒として表示した。さらに、サンプルを替え、目標温度(T)をそれぞれ70、80、90、100、110、120℃とし、上記と同様に測定を行い、それぞれの結晶化ピーク時間を求め、目標温度(T)の60〜120℃の範囲での結晶化ピーク時間を評価した。
【0045】
(8)曲げ弾性率:JIS K 7171 準拠
試験機:(株)オリエンテック製テンシロンUTC−30T型
試験片:110mm×10mm×4mmt
試験温度:23℃
試験速度:2mm/min
絶乾調整:試験片をシリカゲル共存のデシケーター中に23℃×24時間放置して調整する
吸水調整:試験片を23℃、50%RHの条件下で60日間放置して調整する
【0046】
(9)成形体表面外観−1
射出成形にて100ショットの成形を行い、以下の基準に基準に基づき目視判定を実施した。
○ : 100ショット全てにヒケ、フローマークの発生がない。
× : ヒケ、フローマークの発生した成形体がある。
(10)成形体表面外観−2
以下の基準に基準に基づき目視判定を実施した。
○ : ガラスの浮き上がりがない。
× : ガラスの浮き上がりがある。
【0047】
(11)耐候性
キセノン耐候性試験機(スガ試験機社製)を用い、ISO4892の条件にて、1000時間の耐候性試験を行った。試験後の試料を以下の基準に基づき判定した。
(A)色差;色差計(スガ試験機製ハンディーカラーテスターHC−T)を用いて、ΔE値(JISZ−8730)を求めた。値が小さいほど色の変化が少ないことを示している。
(B)クラックの程度;試験片の光照射面を100倍の顕微鏡で観察し、その程度を次の判定基準に従って評価した。
判定基準:
0:クラックはない。
1:クラックが、僅かにある。
2:クラックが、長くはっきりしている。
3:クラックが、長く、一視野に20本以上ある。
4:クラックが全面にわたり発生している。
【0048】
【実施例1】
ポリトリメチレンテレフタレート樹脂(a−1)と結晶核剤(NAV−1)とを表1に示す比率で混合し、さらに、着色剤として平均粒系60μmのアルミ粉末0.5重量部(ポリトリメチレンテレフタレート樹脂を100重量部とする)を添加し、2軸押出機(東芝機械(株)製:TEM35、2軸同方向スクリュー回転型、L/D=47.6(D=37mmφ))を用いて溶融混練を行った。この時、スクリュー回転数は300rpm、シリンダー温度は260℃、押出しレート60kg/Hrであった。先端ノズルからストランド状にポリマーを排出し、水冷、カッティングを行いペレットを得た。該ペレットを120℃の窒素雰囲気下で5時間乾燥した。このペレットを用い、結晶化開始温度、及び、結晶化ピーク時間を測定した。評価結果を表1に示す。
【0049】
該ペレットを用い、曲げ弾性率評価用試験片を射出成形し、絶乾時、吸水時の曲げ弾性率を評価した。成形は、樹脂温度260℃、金型温度95℃で行った。評価結果を表2に示す。
又、該ペレットを用い、図2で示すワイシャツ等の衣料用ボタンを射出成形し、成形体表面外観−1を評価した。この時、樹脂温度260℃、金型温度95℃であった。評価結果を表2に示す。
さらに、該衣料用ボタンを耐候性試験に供し色差及びクラックの程度を評価した。評価結果を表2に示す。
【0050】
【実施例2】
ポリトリメチレンテレフタレート樹脂(a−1)とタルク(MF−1)とを表1に示す重量比で混合し、さらに、着色剤として平均粒系60μmのアルミ粉末0.5重量部(ポリトリメチレンテレフタレート樹脂+タルク重量を100重量部とする)を添加した以外は実施例1と同様の操作を行い、ペレットを得た。
該ペレットを用い、実施例1と同様に、結晶化開始温度、結晶化ピーク時間、及び、絶乾時、吸水時の曲げ弾性率を評価した。評価結果を表1、表2に示す。
又、該ペレットを用い、実施例1と同様に、図2で示すワイシャツ等の衣料用ボタンを射出成形し、実施例1と同様に、成形体表面外観−1、及び、耐候性を評価した。評価結果を表2に示す。
【0051】
【比較例1】
ペレット化したポリトリメチレンテレフタレート樹脂(a−1)を120℃の窒素雰囲気下で5時間乾燥し、結晶化開始温度、及び、結晶化ピーク時間を測定した。評価結果を表1に示す。
該ペレットを用い、実施例1と同様に、射出成形にて、曲げ弾性率測定用の試験片を作製したが、ヒケが大きく、曲げ弾性率の測定が不可であった。
【0052】
【比較例2】
ポリブチレンテレフタレート樹脂(a−2)と着色剤として平均粒系60μmのアルミ粉末0.5重量部(ポリブチレンテレフタレート樹脂を100重量部とする)とを混合し、実施例1と同様の操作を行いペレットを得た。
該ペレットを用い、実施例1と同様に、結晶化開始温度、結晶化ピーク時間、及び、絶乾時、吸水時の曲げ弾性率を評価した。評価結果を表1、表2に示す。
又、該ペレットを用い、実施例1と同様に、図2で示すワイシャツ等の衣料用ボタンを射出成形し、実施例1と同様に、成形体表面外観−1、及び、耐候性を評価した。評価結果を表2に示す。本比較例では、ボタン中央部にヒケが認められた。
【0053】
【比較例3】
ポリエチレンテレフタレート樹脂(a−3)と着色剤として平均粒系60μmのアルミ粉末0.5重量部(ポリエチレンテレフタレート樹脂を100重量部とする)とを混合し、2軸押出機(東芝機械(株)製:TEM35、2軸同方向スクリュー回転型、L/D=47.6(D=37mmφ))を用いて溶融混練を行った。この時、スクリュー回転数は300rpm、シリンダー温度は290℃、押出しレート60kg/Hrであった。先端ノズルからストランド状にポリマーを排出し、水冷、カッティングを行いペレットを得た。該ペレットを120℃の窒素雰囲気下で5時間乾燥した。
該ペレットを用い、樹脂温度285℃、金型温度95℃の条件下、射出成形にて曲げ弾性率測定用の試験片を作製したが、結晶化せず、満足できる成形片が得られなかった。
【0054】
【実施例3】
ポリトリメチレンテレフタレート樹脂(a−1)とガラス繊維(GF−1)とを表3に示す重量比で混合し、さらに、着色剤として平均粒系60μmのアルミ粉末0.5重量部(ポリトリメチレンテレフタレート樹脂+ガラス繊維重量を100重量部とする)を添加した以外は実施例1と同様の操作を行い、ペレットを得た。
該ペレットを用い、実施例1と同様に、結晶化開始温度、結晶化ピーク時間、及び、絶乾時、吸水時の曲げ弾性率を評価した。評価結果を表3、表4に示す。
又、該ペレットを用い、図3、図4で示す雌雄のスナップ及び座板を射出成形し、成形体表面外観−1及び成形体表面外観−2を評価した。この時、樹脂温度260℃、金型温度95℃であった。評価結果を表4に示す。
さらに、該雌形スナップ用座板(図3の2)の意匠面を耐候性試験に供し、色差及びクラックの程度を評価した。評価結果を表4に示す。
【0055】
【実施例4】
ポリトリメチレンテレフタレート樹脂(a−1)と結晶核剤(NAV−1)及びガラス繊維(GF−1)とを表3に示す重量比で混合し、さらに、着色剤として平均粒系60μmのアルミ粉末0.5重量部(ポリトリメチレンテレフタレート樹脂+ガラス繊維重量を100重量部とする)を添加した以外は実施例1と同様の操作を行い、ペレットを得た。
該ペレットを用い、実施例1と同様に、結晶化開始温度、結晶化ピーク時間、及び、絶乾時、吸水時の曲げ弾性率を評価した。評価結果を表3、表4に示す。
又、該ペレットを用い、図3、図4で示す雌雄の座板を射出成形し、成形体表面外観−1及び成形体表面外観−2を評価した。この時、樹脂温度260℃、金型温度95℃であった。評価結果を表4に示す。
さらに、該雌形スナップ用座板(図3の2)の意匠面を耐候性試験に供し、色差及びクラックの程度を評価した。評価結果を表4に示す。
【0056】
【比較例4】
実施例3で用いたポリトリメチレンテレフタレート樹脂(a−1)の代わりにポリブチレンテレフタレート樹脂(a−2)を用いた以外は、表3に示す重量比にて、実施例3と同様の操作を行いペレットを得た。
該ペレットを用い、実施例1と同様に、結晶化開始温度、結晶化ピーク時間、及び、絶乾時、吸水時の曲げ弾性率を評価した。評価結果を表3、表4に示す。
又、該ペレットを用い、実施例3と同様に、図3、図4で示す雌雄のスナップ及び座板を射出成形し、成形体表面外観−1及び成形体表面外観−2を評価した。
評価結果を表4に示す。本比較例では、表面にガラス浮きが認められた。
さらに、該雌形スナップ用座板(図3の2)の意匠面を耐候性試験に供し、色差及びクラックの程度を評価した。評価結果を表4に示す。
【0057】
【比較例5】
実施例3で用いたポリトリメチレンテレフタレート樹脂(a−1)の代わりにポリアミド樹脂(b−1)を用いた以外は、表3に示す重量比にて、実施例3と同様の操作を行いペレットを得た。
該ペレットを用い、実施例1と同様に、絶乾時、吸水時の曲げ弾性率を評価した。評価結果を表4に示す。
又、該ペレットを用い、実施例3と同様に、図3、図4で示す雌雄のスナップ及び座板を射出成形し、成形体表面外観−1及び成形体表面外観−2を評価した。評価結果を表4に示す。本比較例では、表面にガラス浮きが認められた。
さらに、該雌形スナップ用座板(図3の2)の意匠面を耐候性試験に供し、色差及びクラックの程度を評価した。評価結果を表4に示す。
【0058】
【表1】
【0059】
【表2】
【0060】
【表3】
【0061】
【表4】
【0062】
【発明の効果】
実施例及び比較例からも明らかなように、本発明の、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂と結晶核剤及び/又は無機フィラーの組成物からなるボタン類は、表面外観性、剛性に優れ、かつ、多彩な色調において耐候性に優れ、吸水率が小さく環境による剛性の低下がないため、衣料用、あるいは、身回り品に取り付けられているボタン、スナップボタン、ホック等に好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】結晶化ピーク時間の模式図である。
【図2】衣料用ボタン斜視図
【図3】雌形スナップボタンの組み付け前の分解斜視図
【図4】雄形スナップボタンの組み付け前の分解斜視図
【符号の説明】
1:衣料用ボタン
2:雌形スナップ用座板
3:座板脚部
4:雌形スナップ本体
5:凹状突部
6:底部
7:挿通孔
8:鍔部
9:雄形スナップ用座板
10:座板脚部
11:雄形スナップ本体
12:鍔部
13:底部
14:凹状突部
15:挿通孔
Claims (6)
- (A)ポリトリメチレンテレフタレート樹脂、(B)結晶核剤及び/又は(C)無機フィラーを含み、かつ以下(1)及び(2)に示す結晶化挙動を有する組成物からなることを特徴とするボタン類。
(1)前記組成物の10〜20mgを、示差走査熱量測定器を用いて、室温から100℃/分の昇温速度にて280℃まで加熱し、2分間保持した後、500℃/分の設定降温速度にて23℃まで急冷した場合における結晶化開始温度Tcが170℃以下。
(2)前記組成物の10〜20mgを、示差走査熱量測定器を用いて、室温から100℃/分の昇温速度にて280℃まで加熱し、2分間保持した後、500℃/分の設定降温速度にて温度T℃まで急冷し以後T℃にて保持した場合における結晶化ピーク時間が、Tの全温度領域で+20秒以下である(ここで、温度Tは60〜120℃の範囲)。 - (A)ポリトリメチレンテレフタレート樹脂100重量部に対して、さらに(D)着色剤0.01〜10.0重量部を含有してなる組成物からなることを特徴とする請求項1に記載のボタン類。
- (C)無機フィラーの量が、(A)ポリトリメチレンテレフタレート樹脂及び(C)無機フィラーの総重量に対して70重量%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のボタン類。
- (C)無機フィラーが、ガラス繊維、ガラスビーズ及びガラスフレークからなる群から選ばれる1種類以上のガラス材料であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のボタン類。
- (C)無機フィラーが、タルク、マイカ、ウォラストナイト、カオリン、炭酸カルシウム、炭素繊維及びチタン酸カリウムウィスカーの群から選ばれる1種類以上あることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のボタン類。
- ボタン類が、スナップボタンであることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のボタン類。
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