JP2004277451A - 強化ポリトリメチレンテレフタレート樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】機械特性、成形品外観、離型性、成形品のヒケ、ソリ、および成形加工性に優れた、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂組成物およびその成形品を提供することを目的とする。
【解決手段】(A)ポリトリメチレンテレフタレート100重量部に対して、(B)無機充填剤5〜200重量部、特定の(C)脂肪酸金属塩0.005〜0.5重量部および(D)高級脂肪酸エステルワックス、高級脂肪酸部分ケン化エステルワックスおよび特定の脂肪酸金属塩から選ばれる少なくとも一種0.005〜0.5重量部を配合してなることを特徴とする強化ポリトリメチレンテレフタレート樹脂組成物。
【選択図】 選択図なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気・電子部品、自動車部品、その他有用な工業部品に好適に用いられる強化ポリトリメチレンテレフタレート樹脂組成物に関する。
本発明は、優れた機械特性、成形品外観に加え、離型性および成形品のヒケ、ソリが極めて良好で、成形加工性に著しく優れた強化ポリトリメチレンテレフタレート樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
強化ポリエステル樹脂組成物は機械特性、耐薬品性、耐候性、電気的特性等に優れるため、自動車部品、電気・電子部品などの広い分野でその使用が期待されている。中でも、強化ポリトリメチレンテレフタレート樹脂は特に優れた外観および耐候性を有するため、自動車外装部品および屋外工業部品用材料として期待されている。自動車用途においては、近年燃費向上の為の軽量化、低コスト化、部品のモジュール化、一体化の観点から、従来金属が使用されている自動車構造部品を熱可塑性樹脂に代替する動きが顕著である。特に外装用途においては、外観に対する要求が極めて厳しく、とりわけ成形品の低ヒケ性が要求される。しかしながら、ポリトリメチレンテレフタレートは100℃以下の結晶化速度が遅く、不均一なため、成形品がヒケ易く、また離型性が悪いという問題がある。成形品のヒケおよび離型性を改善するためには、金型温度を100℃以上の高温にして成型することにより可能となるが、成形コストが高くなり実用的ではない上、改善効果も小さい。
【0003】
ポリエチレンテレフタレートに代表される熱可塑性ポリエステルには結晶化速度を増大させる目的で、カルボン酸アルカリ金属塩あるいはカルボン酸アルカリ土類金属塩を結晶核剤として使用していることが以前より知られている。
従来のポリエステル樹脂組成物として、結晶化速度を速め、成形サイクルを短くするため、飽和ポリエステルに少量のカルボン酸Li塩および/またはカルボン酸Na塩を配合することが開示されている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、ポリエステルおよびカルボン酸金属塩に関して、一般的な規定しかしておらず、強化ポリトリメチレンテレフタレート樹脂組成物に対して、脂肪酸金属塩(Na、Li)と高級脂肪酸エステルワックス、高級脂肪酸部分ケン化エステルワックスおよび脂肪酸Ca塩の少なくとも一種との組み合わせについては言及していない。
【0004】
【特許文献1】
米国特許3761450号明細書
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
機械特性、成形品外観に優れ、離型性および成形品のヒケ、ソリが極めて良好で、成形加工性に著しく優れた、市場要求を十分に満足する強化ポリトリメチレンテレフタレート樹脂組成物および該組成物からなる成形品材料を提供することが本発明の課題である。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は,前記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果,(A)ポリトリメチレンテレフタレート樹脂、(B)無機充填剤、上記一般式(1)で表される(C)脂肪酸金属塩および(D)高級脂肪酸エステルワックス、高級脂肪酸部分ケン化エステルワックスおよび上記一般式(2)で表される脂肪酸金属塩の少なくとも一種を特定量併用させることにより、目的の改良効果が発現されることを見出し本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち本発明は以下に示すとおりである。
1.(A)ポリトリメチレンテレフタレート100重量部に対して、(B)無機充填剤5〜200重量部、下記一般式(1)で表される(C)脂肪酸金属塩0.005〜0.5重量部および(D)高級脂肪酸エステルワックス、高級脂肪酸部分ケン化エステルワックスおよび下記一般式(2)で表される脂肪酸金属塩から選ばれる少なくとも一種0.005〜0.5重量部を配合してなることを特徴とする強化ポリトリメチレンテレフタレート樹脂組成物。
【0008】
【化2】
Figure 2004277451
【0009】
2.ポリトリメチレンテレフタレート樹脂組成物の樹脂成分の極限粘度[η]が、0.60〜1.50であることを特徴とする上記1に記載の強化ポリトリメチレンテレフタレート樹脂組成物。
3.(B)成分が、ガラス繊維であることを特徴とする上記1または2に記載の強化ポリトリメチレンテレフタレート樹脂組成物。
4.(B)成分が、ガラス繊維とガラス繊維以外の無機充填剤の併用であることを特徴とする上記1または2に記載の強化ポリトリメチレンテレフタレート樹脂組成物。
【0010】
5.(C)成分が、モンタン酸Naおよび/またはモンタン酸Liであることを特徴とする上記1〜4のいずれかに記載の強化ポリトリメチレンテレフタレート樹脂組成物。
6.(D)成分が、モンタン酸エステルワックス、モンタン酸部分ケン化エステルワックスおよびモンタン酸Caから選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする上記1〜5のいずれかに記載の強化ポリトリメチレンテレフタレート樹脂組成物。
7.(D)成分の融点が、90℃以上であることを特徴とする上記1〜6のいずれかに記載の強化ポリトリメチレンテレフタレート樹脂組成物。
8.上記1〜7のいずれかに記載の強化ポリトリメチレンテレフタレート樹脂組成物からなる樹脂成形品。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に関して具体的に説明する。
まず、本発明組成物の(A)成分としてのポリトリメチレンテレフタレートについて記述する。
本発明におけるポリトリメチレンテレフタレート(以下、PTTと略称することがある。)とは、酸成分としてテレフタル酸を用い、グリコール成分としてトリメチレングリコールを用いたポリエステルポリマーを示している。本発明においてトリメチレングリコールとしては、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,1−プロパンジオール、2,2−プロパンジオール、あるいはこれらの混合物の中から選ばれるが、安定性の観点から1,3−プロパンジオールが特に好ましい。
【0012】
このほかに、本発明の目的を損なわない範囲で、酸成分として、テレフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸、例えばフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、ジフェニルメタンジカルボン酸、ジフェニルケトンジカルボン酸、ジフェニルスルフォンジカルボン酸等;コハク酸、アジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸;ε−オキシカプロン酸、ヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシエトキシ安息香酸等のオキシジカルボン酸を用い、グリコール成分として、エチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、オクタメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、キシリレングリコール、ジエチレングリコール、ポリオキシアルキレングリコール、ハイドロキノンなどを一部用いて共重合することができる。
【0013】
共重合する場合の共重合の量は、本発明の目的を損なわない範囲であれば特に制限はないが、通常酸成分の20モル%以下、あるいはグリコール成分の20モル%以下であることが好ましい。
また、上述のポリエステル成分に分岐成分、例えばトリカルバリル酸、トリメシン酸、トリメリット酸等の、三官能または四官能のエステル形成能を持つ酸またはグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリットなどの三官能または四官能のエステル形成能を持つアルコールを共重合してもよく、その場合にそれらは全ジカルボン酸成分の1.0モル%以下、好ましくは、0.5モル%以下、さらに好ましくは、0.3モル%以下である。更に、PTTはこれら共重合成分を2種類以上組み合わせて使用しても構わない。
【0014】
本発明に用いられる(A)ポリトリメチレンテレフタレートの製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば、特開昭51−140992号公報、特開平5−262862号公報、特開平8−311177号公報等に記載されている方法によって、テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体(例えばジメチルエステル、モノメチルエステル等の低級アルキルエステル)とトリメチレングリコールまたはそのエステル形成性誘導体とを、触媒の存在下、好適な温度・時間で加熱反応させ、更に得られるテレフタル酸のグリコールエステルを触媒の存在下、好適な温度・時間で所望の重合度まで重縮合反応させる方法が挙げられる。重合方法は、特に限定されず、溶融重合、界面重合、溶液重合、塊状重合、固相重合、および、これらを組み合わせた方法を利用することができる。
【0015】
本発明に用いるポリマーには必要に応じて、各種の添加剤、例えば、熱安定剤、消泡剤、整色剤、難燃剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、結晶核剤、蛍光増白剤、艶消し剤などを共重合、または混合してもよい。
本発明に用いられる(A)ポリトリメチレンテレフタレートは、その極限粘度[η]が機械特性の面から0.60〜1.50dl/gであり、0.75〜1.30dl/gであることがより好ましく、0.80〜1.10dl/gであることが最も好ましい。
極限粘度[η]については、オストワルド粘度計を用い、35℃、o−クロロフェノール中に(A)ポリトリメチレンテレフタレートが1.00g/dlになるように溶解させ、比粘度ηspを測定し、下記式により求めることができる。
[η]=0.713×ηsp/C+0.1086
C=1.00g/dl
【0016】
本発明に用いられる(B)無機充填剤は目的に応じて繊維状、粉粒状、板状の無機充填剤が用いられる。
繊維状無機充填剤としては、ガラス繊維、アスベスト繊維、カーボン繊維、シリカ繊維、シリカ・アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化硼素繊維、窒化硅素繊維、硼素繊維、チタン酸カリウムウィスカー、ウォラストナイト、さらにステンレス、アルミニウム、チタン、銅、真鍮等の金属の繊維状物などの無機質繊維状物質があげられる。特に代表的な繊維状無機充填剤はガラス繊維およびカーボン繊維である。なおポリアミド、フッ素樹脂、アクリル樹脂などの高融点有機質繊維状物質も使用することができる。
【0017】
一方、粉粒状無機充填剤としてはカーボンブラック、シリカ、石英粉末、ガラスビーズ、ガラス粉、硅酸カルシウム、硅酸アルミニウム、カオリン、クレー、硅藻土、のごとき硅酸塩、酸化鉄、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナのごとき金属の酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムのごとき金属の炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムのごとき金属の硫酸塩、その他、炭化硅素、窒化硅素、窒化硼素、各種金属粉末が挙げられる。
【0018】
又、板状無機充填剤としてはタルク、マイカ、ガラスフレーク、各種の金属箔等が挙げられる。
本発明の無機充填剤は、なかんずく,ガラス繊維、ウォラストナイト,タルク,マイカ,カオリン,炭酸カルシウム,炭素繊維(CF),及びチタン酸カリウムウィスカーの群から選ばれた少なくとも一つの無機充填剤が好ましい。中でも、機械的特性の補強効果という観点から、ガラス繊維が最も好ましく用いられる。
これらの無機充填剤は一種又は二種以上併用することができる。繊維状無機充填剤、特にガラス繊維と粒状及び/又は板状無機充填剤の併用は特に機械的強度と寸法精度、電気的性質等を兼備する上で好ましい組み合わせである。中でも、特にガラス繊維との組み合わせとしてウォラストナイト、タルク、マイカ、カオリン、炭酸カルシウム、及びチタン酸カリウムウィスカーが好ましく用いられる。
【0019】
また、本発明に用いられる繊維状無機充填剤の平均繊維長(以下、Lともいう)、平均繊維径(以下、Dともいう)、アスペクト比(以下、L/Dともいう)については特に限定されないが、平均繊維長(L)が50μm以上、平均繊維径(D)が5μm以上、アスペクト比(L/D)が10以上であることが高い特性を発現するという観点から最も好ましい。また炭素繊維は、平均繊維長(L)が100〜750μm、数平均繊維径(D)が、3〜30μm、アスペクト比(L/D)が10〜100であるものが好ましく用いられる。さらに、ウォラストナイトは、平均繊維径は、3〜30μm、平均繊維長が10〜500μm、前記アスペクト比(L/D)が3〜100のものが好ましく用いられる。その他のタルク、マイカ、カオリン、炭酸カルシウム、チタン酸カリウムは平均粒径が0.1〜100μmのものが最も好ましく用いられる。
【0020】
添加量としては、(A)ポリトリメチレンテレフタレート100重量部に対して、5〜200重量%が必要であり、7〜175重量部が好ましく、10〜150重量部がより好ましい。機械的強度への改良効果を考慮すると5重量部以上が好ましく、成形体表面の光沢を考慮すると200重量部以下が好ましい。
これらの無機充填剤は、特に表面処理を施したものが好ましく用いられる。表面処理としては公知のカップリング剤やフィルム形成剤を用いて行う。好ましく用いられるカップリング剤としては、シラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤があげられる。これ等の化合物はあらかじめ表面処理又は収束処理を施して用いるか、又は材料調製の際同時に添加してもよい。
【0021】
シラン系カップリング剤としては、トリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシ−エトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(1,1−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−α−(アミノエチル)−α−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−α−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0022】
また、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピル−トリス(2−メトキシ−エトキシ)シラン、N−メチル−α−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビニルベンジル−α−アミノプロピルトリエトキシシラン、トリアミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
さらに、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−4,5ジヒドロイミダゾールプロピルトリエトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、N,O−(ビストリメチルシリル)アミド、N,N−ビス(トリメチルシリル)ウレア等が挙げられる。
【0023】
この中でも、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−α−(アミノエチル)−α−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(1,1−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のアミノシランおよびエポキシシランが好ましく用いられる。
チタン系カップリング剤は、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスフェイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(1,1−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート等が挙げられる。
【0024】
また、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート等が挙げられる。
さらに、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、イソプロピルトリ(N−アミドエチル、アミノエチル)チタネート、ジクミルフェニルオキシアセテートチタネート、ジイソステアロイルエチレンチタネート等が挙げられる。
【0025】
フィルム形成剤としては、ウレタン系ポリマー、アクリル酸系ポリマー、無水マレイン酸とエチレン、スチレン、α−メチルスチレン、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、2,3−ジクロロブタジエン、1,3−ペンタジエン、シクロオクタジエンなどの不飽和単量体とのコポリマー、エポキシ系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、酢酸ビニル系ポリマー、ポリエーテル系ポリマーなどの重合体を挙げることが出来る。これらの中でも、エポキシ系ポリマー、ウレタン系ポリマー、アクリル酸系ポリマー、ブタジエン無水マレイン酸コポリマー、エチレン無水マレイン酸コポリマー、スチレン無水マレイン酸コポリマーおよびこれらの混合物が好ましく用いられる。
本発明に用いられる(C)脂肪酸金属塩は下記一般式(1)で表される化合物であり、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂の結晶化速度を上昇させ、該成形品のヒケを低減させる効果がある。
【0026】
【化3】
Figure 2004277451
【0027】
中でも、モンタン酸Na塩、モンタン酸Li塩がポリマーの熱滞留による分子量低下を抑制する意味で、より好ましい。該脂肪酸金属塩はそれぞれ単独で用いても良いし、それらの混合物を用いてもよい。
(C)成分の添加量は、(A)ポリトリメチレンテレフタレート樹脂100重量部に対して、好ましくは0.005〜0.5重量部、さらに好ましくは0.01〜0.3重量部、最も好ましくは0.05〜0.2重量部である。該樹脂組成物の結晶化速度が十分に進まず、成形体のヒケが低減されない問題を考慮すると0.005重量部以上が好ましい。一方、成形品表面に、銀状を発生させたり、(A)成分の分子量低下を招き、成形品の機械的物性を低下させる傾向を考慮すると、0.5重量部以内であることが好ましい。
【0028】
本発明に用いられる(D)高級脂肪酸エステルワックス、高級脂肪酸部分ケン化エステルワックスおよび下記一般式(2)で表される脂肪酸金属塩から選ばれる少なくとも一種は、成形品のヒケを低減させ、かつ成形時の離型力を著しく低減させる効果がある。
【0029】
【化4】
Figure 2004277451
【0030】
中でも、モンタン酸エステルワックス、モンタン酸部分ケン化エステルワックスおよびモンタン酸Caから選ばれる少なくとも一種は、熱滞留時の分子量低下を低減させる意味で、より好ましく用いられる。
また、乾燥時における樹脂ペレットのブロッキングを抑制するという観点から、(D)成分の融点は90℃以上であることが望ましい。
(D)成分の添加量は、(A)ポリトリメチレンテレフタレート樹脂100重量部に対して、好ましくは0.005〜0.5重量部、さらに好ましくは0.01〜0.3重量部、最も好ましくは0.02〜0.2重量部である。成形体のヒケおよび成形時の離型力の低減効果を考慮すると0.005重量部以上が好ましく、成形品表面に、銀状を発生させたり、(A)成分の分子量低下を招くことによる成形品の機械的物性の低下を考慮すると0.5重量部以下が好ましい。
【0031】
本発明では、上記の成分の他に、本発明の特徴および効果を損なわない範囲で必要に応じて他の附加的成分、例えば、酸化防止剤、熱安定剤、難燃剤、可塑剤、難燃助剤、耐候(光)性改良剤、スリップ剤、各種着色剤、離型剤等を添加してもかまわない。
さらに、本発明の組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、本発明の組成物にポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリスチレン系樹脂(ゴム強化ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂など)の熱可塑性樹脂の1種又は2種以上を混合してもよい。
【0032】
本発明の強化ポリトリメチレンテレフタレート樹脂組成物の製造方法は特に限定されないが、(A)、(B)、(C)および(D)成分、さらに上記した添加剤等を単軸または多軸の押出機、ニーダー、ミキシングロール、バンバリーミキサー等の公知の溶融混練機を用いて、200〜350℃の温度で溶融混練する方法を挙げることができる。特に、押出機を用いて溶融混練することが簡便で望ましい。
【0033】
本発明の強化ポリトリメチレンテレフタレート樹脂組成物から成る樹脂成形品とは、射出成形、押し出し成形、圧縮成形、ブロー成形などの公知の成形方法によって成形されるものをいう。
本発明の強化ポリトリメチレンテレフタレート樹脂組成物および該樹脂組成物からなる成形品は、その極限粘度[η]が、機械特性の面から0.60以上であることが好ましく、0.75以上がより好ましく、0.80以上が最も好ましい。
【0034】
極限粘度[η]については、オストワルド粘度計を用い、35℃、o−クロロフェノール中にポリトリメチレンテレフタレート樹脂組成物あるいは該樹脂組成物からなる成形品を溶質(PTT樹脂成分)/溶液=1.00g/dlになるように溶解させ、不溶分(無機質強化材等)が沈殿した後、その上澄み液を用いて比粘度ηspを測定し、下記式により求めることができる。
[η]=0.713×ηsp/C+0.1086
C=1.00g/dl
【0035】
本発明の強化ポリトリメチレンテレフタレート樹脂組成物は優れた機械特性、成形品外観に加え、従来の樹脂成形体と比較して、離型性および成形品のヒケ、ソリが極めて良好で、成形加工性に著しく優れため、射出成形、押出成形など公知の方法によって、例えば、自動車部品材料、電気電子材料、産業資材、工業材料、家庭用品などの成形材料として好適に使用することができる。
【0036】
【実施例】
以下実施例で本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定するものではない。なお、実施例および比較例に記載した諸特性は以下の方法により評価した。
(A)離型性(成形条件)
試料は射出成形機を用いて成形した。装置は日精樹脂(株)製FN1000、金型はコップ状成形品(図1に記した金型)を用い、金型温度95℃に設定し、射出10sec、冷却20sec、射出圧力15%、射出速度17%の射出成形条件で、成形品を得た。なお、シリンダー温度は250℃とした。
離型力:
図1に示す離型力測定装置を取り付けた金型を用いて上記成形条件で成形を行い、31ショット目から35ショットまでの離型力を測定して平均値を求めた。
【0037】
(B)ヒケ特性(成形条件)
試料は射出成形機を用いて成形した。装置は日精樹脂(株)製FN3000、金型は130mm×130mm×10mmの厚肉平板成形品を用い、シリンダー温度250℃、金型温度95℃に設定し、冷却15sec、射出時間を10sec、20sec、30secの射出成形条件で、成形品を得た。
ヒケ特性:
上記成形条件にて得られた成形品を、50%RH、23℃の条件で24時間放置した後、該成形品(厚肉平板)を定盤の上に置き、図2にように成形品の端部と中心部の高さを測定し、ヒケ量を測定した。
【0038】
(C)ソリ特性(成形条件)
試料は射出成形機を用いて成形した。装置は東芝(株)製IS150E、金型は130mm×130mm×2mmの平板成形品を用い、シリンダー温度250℃、金型温度95℃に設定し、射出10sec、冷却20sec、射出速度40%、充填時間が2秒になるように調整した射出圧力の射出成形条件で成形品を得た。
ソリ特性:
上記成形条件にて得られた成形品を、50%RH、23℃の条件で24時間放置した後、該成形品(平板)を定盤の上に置き、平板の隣り合う2箇所の角を固定し、向かい合う辺の最大浮き上がり高さ(ソリ)をハイトゲージを用いて測定した。(図3)
【0039】
(D)機械特性(成形条件)
試料は、射出成形機を用いて成形した。装置は日精樹脂(株)製PS40E、金型温度95℃に設定し、射出20秒、冷却15秒の射出成形条件で、成形品を得た。なお、シリンダー温度は250℃とした。
(1)引張強度(MPa)
ISO−527に準じて行った。
(2)曲げ強度(MPa)、曲げ弾性率(GPa)
ISO−178に準じて行った。
(3)成形品外観
堀場製ハンディー光沢計IG320を用いて、JIS−K7150に準じてGs60℃を測定した。測定試料には、ヒケ特性評価用の平板を用いた。数値が70以上の場合には○、70未満の場合には×とした。
【0040】
(E)ブロッキング特性
樹脂ペレットをビーカー内に入れ、120℃で5時間熱風乾燥機にて乾燥後、ビーカーを取り出し、ビーカーを裏返しにして、樹脂ペレットを落下させた。ビーカーの縁に樹脂ペレットが残らないものを○とした。ビーカーの縁に多量の樹脂ペレットが付着したものを×とした。
【0041】
(F)PTTの極限粘度[η]
PTTの極限粘度[η]については、オストワルド粘度計を用い、35℃、o−クロロフェノール中に(A)ポリトリメチレンテレフタレートが1.00g/dlになるように溶解させ、比粘度ηspを測定し、下記式により求めた。
[η]=0.713×ηsp/C+0.1086
C=1.00g/dl
なお、極限粘度[η]は上記の定義式に基づいて求められたものである。
(G)強化PTT樹脂組成物および成形品の極限粘度[η]
強化PTT樹脂組成物の極限粘度[η]については、上記(F)の記載に従い測定した。
【0042】
実施例及び比較例で用いた材料を以下に記す。
(A1)PTT:ポリトリメチレンテレフタレート樹脂。
極限粘度[η]=0.72、0.81、0.89、1.00のポリトリメチレンテレフタレート
(B1)ガラス繊維
旭ファイバーガラス社製 FT171
(B2)ウォラストナイト
巴工業(株)社製 NYGLOS8
(C1)モンタン酸Na
クラリアント社製 LicomontNaV 101
(C2)モンタン酸Li
クラリアント社製 LicomontLiV 103
(D1)モンタン酸Ca
クラリアント社製 LicomontCaV 102、融点=120℃
(D2)モンタン酸部分ケン化エステルワックス
クラリアント社製 LicowaxOP、融点=101℃
(D3)モンタン酸エステルワックス
クラリアント社製 LicowaxE、融点=82℃
日本油脂(株)製 PEG400
【0043】
【実施例1〜11および比較例1〜4】
表1に示す配合割合で、ブレンダーを用いて予備混合後、2軸押出機(東芝機械(株)製:TEM58)を用いて溶融混練し、サイドフィーダーから(B1)FT−171および(B2)NYGLOS8を表1に示した配合比で添加した。スクリュー回転数300rpm、シリンダー温度250℃(先端ノズル付近のポリマー温度は、280℃であった)、押出速度150Kg/hr(滞留時間1分)、減圧度は0.04MPaで押出を行った。先端ノズルからストランド状にポリマーを排出し、水冷・カッティングを行いペレット(強化PTT樹脂組成物)とした。該ペレットを120℃で5時間、除湿型乾燥機で乾燥した後、上記に示す射出成形方法で成形品を作成し、この成形品を上記測定方法に従って、解析および諸特性の測定をした。
【0044】
【表1】
Figure 2004277451
【0045】
【発明の効果】
本発明の強化ポリトリメチレンテレフタレート樹脂組成物は、機械特性、成形品外観に優れ、離型性および成形品のヒケ、ソリが極めて良好で、成形加工性に著しく優れた成形材料で、その成形体は自動車部品、電気・電子部品および工業用部品などの用途に広く用いることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例において、離型性の測定に用いた金型の図である。
【図2】本発明の実施例における、ヒケ特性評価の模式図である。
【図3】本発明の実施例における、ソリ特性評価の模式図である。
【符号の説明】
1 スプルランナー
2 カップ状成形品
3 エジェクターピン
4 エジェクタープレート
5 圧力センサー
6 エジェクターロッド
7 離型力記録計

Claims (8)

  1. (A)ポリトリメチレンテレフタレート100重量部に対して、(B)無機充填剤5〜200重量部、下記一般式(1)で表される(C)脂肪酸金属塩0.005〜0.5重量部および(D)高級脂肪酸エステルワックス、高級脂肪酸部分ケン化エステルワックスおよび下記一般式(2)で表される脂肪酸金属塩から選ばれる少なくとも一種0.005〜0.5重量部を配合してなることを特徴とする強化ポリトリメチレンテレフタレート樹脂組成物。
    Figure 2004277451
  2. ポリトリメチレンテレフタレート樹脂組成物の樹脂成分の極限粘度[η]が、0.60〜1.50であることを特徴とする請求項1に記載の強化ポリトリメチレンテレフタレート樹脂組成物。
  3. (B)成分が、ガラス繊維であることを特徴とする請求項1または2に記載の強化ポリトリメチレンテレフタレート樹脂組成物。
  4. (B)成分が、ガラス繊維とガラス繊維以外の無機充填剤の併用であることを特徴とする請求項1または2に記載の強化ポリトリメチレンテレフタレート樹脂組成物。
  5. (C)成分が、モンタン酸Naおよび/またはモンタン酸Liであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の強化ポリトリメチレンテレフタレート樹脂組成物。
  6. (D)成分が、モンタン酸エステルワックス、モンタン酸部分ケン化エステルワックスおよびモンタン酸Caから選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の強化ポリトリメチレンテレフタレート樹脂組成物。
  7. (D)成分の融点が、90℃以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の強化ポリトリメチレンテレフタレート樹脂組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の強化ポリトリメチレンテレフタレート樹脂組成物からなる樹脂成形品。
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WO2009153878A1 (ja) * 2008-06-19 2009-12-23 旭化成ケミカルズ株式会社 熱可塑性組成物

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