JP6025241B2 - 発泡成形体の製造方法及び樹脂組成物 - Google Patents

発泡成形体の製造方法及び樹脂組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP6025241B2
JP6025241B2 JP2012050558A JP2012050558A JP6025241B2 JP 6025241 B2 JP6025241 B2 JP 6025241B2 JP 2012050558 A JP2012050558 A JP 2012050558A JP 2012050558 A JP2012050558 A JP 2012050558A JP 6025241 B2 JP6025241 B2 JP 6025241B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
mol
repeating unit
liquid crystal
resin composition
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2012050558A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2013185044A (ja
Inventor
祐一 坂
祐一 坂
光男 前田
光男 前田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Chemical Co Ltd filed Critical Sumitomo Chemical Co Ltd
Priority to JP2012050558A priority Critical patent/JP6025241B2/ja
Publication of JP2013185044A publication Critical patent/JP2013185044A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6025241B2 publication Critical patent/JP6025241B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Manufacture Of Porous Articles, And Recovery And Treatment Of Waste Products (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Description

本発明は、発泡成形体の製造方法、樹脂組成物、発泡体、断熱部材および流体保持部材に関するものである。
従来、プラスチックは金属と比較して軽量であることから、電気電子部品や自動車部品、雑貨など様々な用途分野において広範に採用されている。また、プラスチックの更なる軽量化の要望が高まる中、樹脂製品を低比重化する手法として化学発泡剤を用いる手法や、加熱等により樹脂を発泡させる手法が知られている。
近年では、軽量化に加え機械的特性や表面粗度の向上を目的として、発泡剤に超臨界流体を用いた発泡成形の手法が開示されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
特開平10−175249号公報 特開2002−168279号公報 特許第4191510号公報
しかしながら、化学発泡剤を用いた発泡成形は、加工温度が高い樹脂材料を含む樹脂組成物に適用すると、発泡剤の耐熱性不足に起因して、種々の課題が発生しやすい。例えば、発泡剤が過剰に分解することにより樹脂の分解や低分子量化が生じることにより、得られる成形体への着色、発泡セルの肥大化および発泡不良、外観不良、加工時の臭気の発生、樹脂分解物が付着することによる成形金型の汚染、樹脂の低粘度化によるハナタレなど、種々の問題が発生するおそれがある。
発泡剤として超臨界流体を用いた場合には、上述のような化学発泡剤を使用する場合の課題は生じにくいが、特許文献1〜3では、加工温度が100〜220℃と、低加工温度の樹脂材料への適用事例のみしか開示されておらず、加工温度が280℃以上の、高加工温度の樹脂組成物に関しては充分に言及されていない。
また、断熱性を有する樹脂材料についての検討は多くなされているが、断熱性に優れ、かつ耐熱性に優れた樹脂材料については検討されていなかった。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、断熱性に優れ、かつ加工温度の高い樹脂組成物を用いた発泡成形体の製造方法を提供することを目的とする。また、このような製造方法に好適に用いることができる樹脂組成物を提供すること、このような樹脂組成物を用いて得られる発泡体を提供すること、およびこのような発泡体を有する断熱部材および流体保持部材を提供することをあわせて目的とする。
上記の課題を解決するため、本発明は、下記式(1)で表される繰返し単位(以下、繰返し単位(1))と、下記式(2)で表される繰返し単位(以下、繰返し単位(2))と、下記式(3)で表される繰返し単位(以下、繰返し単位(3))のそれぞれで表される繰返し単位を含有し、2,6−ナフチレン基を含む繰返し単位の含有量が、全繰返し単位の合計量を100モル%として、40〜75モル%である液晶ポリエステルを含む樹脂組成物と、超臨界状態において前記液晶ポリエステルと非反応であり常温常圧下で気体である超臨界流体からなる発泡剤とを溶融混練した後、前記発泡剤の圧力および温度の少なくとも一方を前記発泡剤の臨界点を下回るまで下げることで発泡させながら成形する発泡成形体の製造方法を提供する。
Figure 0006025241
[式中、Arは2,6−ナフチレン基、1,4−フェニレン基または4,4’−ビフェニリレン基を表し、ArおよびArはそれぞれ独立に、2,6−ナフチレン基、1,4−フェニレン基、1,3−フェニレン基または4,4’−ビフェニリレン基である。Ar、ArまたはArで表される基中の水素原子は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキル基またはアリール基で置換されていてもよい。]
ここで、「超臨界流体」とは、物質の種類により定まる温度及び圧力(臨界点)以上の条件下における物質の状態である。超臨界流体は、気体状態と液体状態との中間の性質を示し、溶融した樹脂内への浸透力(溶解力)も液体状態に比べて強く、均一に溶融樹脂内に分散することができる。
本発明においては、前記樹脂組成物は、加熱溶融させた前記液晶ポリエステルに対して溶解しないで分散する発泡核材を、前記液晶ポリエステルと前記発泡核材との和100質量部に対して、0質量部より多く40質量部以下含むことが望ましい。
本発明においては、前記発泡核材がガラス繊維であることが望ましい。
本発明においては、前記気体が窒素であることが望ましい。
本発明においては、前記成形が射出成形であることが望ましい。
本発明においては、厚みが1.5mm以上10mm以下の部分を有する成形体を成形することが望ましい。
また、本発明の樹脂組成物は、発泡剤として常温常圧下で気体の物質の超臨界流体を用いた発泡成形に用いられ、下記式(1)、(2)および(3)のそれぞれで表される繰返し単位を含有し、2,6−ナフチレン基を含む繰返し単位の含有量が、全繰返し単位の合計量を100モル%として、40〜75モル%である液晶ポリエステルを含む。
Figure 0006025241
[式中、Ar は2,6−ナフチレン基、1,4−フェニレン基または4,4’−ビフェニリレン基を表し、Ar およびAr はそれぞれ独立に、2,6−ナフチレン基、1,4−フェニレン基、1,3−フェニレン基または4,4’−ビフェニリレン基である。Ar 、Ar またはAr で表される基中の水素原子は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキル基またはアリール基で置換されていてもよい。]
本発明においては、加熱溶融させた前記液晶ポリエステルに対して溶解しないで分散する発泡核材を、液晶ポリエステルと前記発泡核材との和100質量部に対して、0質量部より多く40質量部以下含むことが望ましい。
本発明においては、前記発泡核材がガラス繊維であることが望ましい。
本発明によれば、液晶ポリエステルの繰り返し構造を所定の構造および範囲に制御し、発泡剤として超臨界流体を用いることで、容易に加工温度の高い樹脂組成物を用いた発泡成形体の製造方法を提供することができる。また、このような製造方法に好適に用いることができる樹脂組成物を提供することができる。さらに、このような樹脂組成物を用いることで、良好な発泡体を提供することが可能となる。そして、このような発泡体を有することで、耐熱性が高く軽量化された燃料タンクなどの流体保持部材、および断熱部材を提供することができる。
本実施形態の発泡成形体の製造に用いられる射出成形機の模式図である。
本発明の実施形態に係る発泡成形体の製造方法は、式(1)、(2)および(3)のそれぞれで表される繰返し単位を含有し、2,6−ナフチレン基を含む繰返し単位の含有量が、全繰返し単位の合計量を100モル%として、40〜75モル%である液晶ポリエステルを含む樹脂組成物と、超臨界状態において前記液晶ポリエステルと非反応であり常温常圧下で気体である超臨界流体からなる発泡剤と、を溶融混練した後、前記発泡剤の圧力および温度の少なくとも一方を前記発泡剤の臨界点を下回るまで下げることで発泡させながら成形するものである。
Figure 0006025241
[式中、Arは2,6−ナフチレン基、1,4−フェニレン基または4,4’−ビフェニリレン基を表し、ArおよびArはそれぞれ独立に、2,6−ナフチレン基、1,4−フェニレン基、1,3−フェニレン基または4,4’−ビフェニリレン基である。Ar、ArまたはArで表される基中の水素原子は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキル基またはアリール基で置換されていてもよい。]
本発明の実施形態に係る樹脂組成物は、上述の製造方法に好適に用いられるものであり、式(1)、(2)および(3)のそれぞれで表される繰返し単位を含有し、2,6−ナフチレン基を含む繰返し単位の含有量が、全繰返し単位の合計量を100モル%として、40〜75モル%である液晶ポリエステルを含むものである。
本発明の実施形態に係る発泡体は、上述の樹脂組成物と、超臨界状態において前記樹脂組成物に含まれる液晶ポリエステルと非反応であり常温常圧下で気体である超臨界流体からなる発泡剤とを溶融混練し、発泡させることで得られる。
本発明の実施形態に係る断熱部材および流体保持部材は、上述の発泡体を有する。
本明細書において断熱部材とは、温度差を有する2つの物質を物理的に分割する隔壁として用いられる部材であり、例えば一方の物質が80℃以上の高温である場合に使用される部材である。
また、本明細書において流体保持部材とは、内部に液体や気体などの流体を通じたり保持したりするための部材である。例えば、内部に流体が通じるパイプ、燃料タンクや電池部品、オイル周辺部品などの自動車部品などを挙げることができる。以下、順に説明する。
(液晶ポリエステル)
本発明で使用される液晶ポリエステルは、溶融状態で液晶性を示す液晶ポリエステルであり、450℃以下の温度で溶融するものであることが好ましい。なお、液晶ポリエステルは、液晶ポリエステルアミドであってもよいし、液晶ポリエステルエーテルであってもよいし、液晶ポリエステルカーボネートであってもよいし、液晶ポリエステルイミドであってもよい。液晶ポリエステルは、原料モノマーとして芳香族化合物のみを用いてなる全芳香族液晶ポリエステルであることが好ましい。
本発明で使用される液晶ポリエステルの典型的な例としては、芳香族ヒドロキシカルボン酸と芳香族ジカルボン酸と芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシアミン及び芳香族ジアミンからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物とを重合(重縮合)させてなるもの、複数種の芳香族ヒドロキシカルボン酸を重合させてなるもの、芳香族ジカルボン酸と芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシアミン及び芳香族ジアミンからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物とを重合させてなるもの、及びポリエチレンテレフタレート等のポリエステルと芳香族ヒドロキシカルボン酸とを重合させてなるものが挙げられる。ここで、芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシアミン及び芳香族ジアミンは、それぞれ独立に、その一部又は全部に代えて、重合可能な誘導体が用いられてもよい。
芳香族ヒドロキシカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸のようなカルボキシル基を有する化合物の重合可能な誘導体の例としては、カルボキシル基をアルコキシカルボニル基又はアリールオキシカルボニル基に変換してなるもの(エステル)、カルボキシル基をハロホルミル基に変換してなるもの(酸ハロゲン化物)、及びカルボキシル基をアシルオキシカルボニル基に変換してなるもの(酸無水物)が挙げられる。芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジオール及び芳香族ヒドロキシアミンのようなヒドロキシル基を有する化合物の重合可能な誘導体の例としては、ヒドロキシル基をアシル化してアシルオキシル基に変換してなるもの(アシル化物)が挙げられる。芳香族ヒドロキシアミン及び芳香族ジアミンのようなアミノ基を有する化合物の重合可能な誘導体の例としては、アミノ基をアシル化してアシルアミノ基に変換してなるもの(アシル化物)が挙げられる。
本発明で使用される液晶ポリエステルは、溶融時に光学異方性を示すポリエステルであり、下記式(1)で表される繰返し単位(以下、繰返し単位(1)という。)と、下記式(2)で表される繰返し単位(以下、繰返し単位(2)という。)と、下記式(3)で表される繰返し単位(以下、繰返し単位(3)という。)とを有するものである。
Figure 0006025241
[式中、Arは2,6−ナフチレン基、1,4−フェニレン基または4,4’−ビフェニリレン基を表し、ArおよびArはそれぞれ独立に、2,6−ナフチレン基、1,4−フェニレン基、1,3−フェニレン基または4,4’−ビフェニリレン基である。Ar、ArまたはArで表される基中の水素原子は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキル基またはアリール基で置換されていてもよい。]
前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子が挙げられる。前記アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−オクチル基およびn−デシル基が挙げられ、その炭素数は、通常1〜10である。前記アリール基の例としては、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、1−ナフチル基および2−ナフチル基が挙げられ、その炭素数は、通常6〜20である。前記水素原子がこれらの基で置換されている場合、その数は、Ar、ArまたはArで表される前記基ごとに、それぞれ独立に、通常2個以下であり、好ましくは1個以下である。
繰返し単位(1)は、所定の芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する繰返し単位である。繰返し単位(1)としては、Arが2、6−ナフチレン基であるもの、すなわち6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸に由来する繰返し単位が好ましい。
繰返し単位(2)は、所定の芳香族ジカルボン酸に由来する繰返し単位である。繰返し単位(2)としては、Arが2,6−ナフチレン基であるもの、すなわち2,6−ナフタレンジカルボン酸に由来する繰返し単位、およびArが1,4−フェニレン基であるもの、すなわちテレフタル酸に由来する繰返し単位が好ましい。
繰返し単位(3)は、所定の芳香族ジオールに由来する繰返し単位である。繰返し単位(3)としては、Arが1,4−フェニレン基であるもの、すなわちヒドロキノンに由来する繰返し単位、およびArが4,4’−ビフェニリレン基であるもの、すなわち4,4’−ジヒドロキシビフェニルに由来する繰返し単位が好ましい。
本実施形態で用いる液晶ポリエステルは、式(1)、(2)および(3)のそれぞれで表される繰返し単位を含有し、2,6−ナフチレン基を含む繰返し単位の含有量が、全繰返し単位の合計量を100モル%として、40〜75モル%である液晶ポリエステルである。2,6−ナフチレン基を含む繰返し単位の含有量が75モル%を超えると、液晶性が失われるため、溶融樹脂の流動性が低下し、発泡成形体を製造する際の加工性が不足したりする。また、該含有量が40モル%を下回ると、耐加水分解性が低下したり、溶融混錬時に粘度が上昇しないため、窒素が超臨界状態を保持するために必要な樹脂圧力に達せず、発泡成形自体が成立しない、といった問題が生じたりする。
本発明で使用される液晶ポリエステルは、2,6−ナフチレン基を含む繰返し単位の含有量、すなわち、Arが2,6−ナフチレン基である繰返し単位(1)、Arが2,6−ナフチレン基である繰返し単位(2)、およびArが2,6−ナフチレン基である繰返し単位(3)の合計含有量は、全繰返し単位の合計量(液晶ポリエステルを構成する各繰返し単位の質量を各繰返し単位の式量で割ることにより、各繰返し単位の物質量相当量(モル)を求め、それらを合計した値)に対して、40〜75モル%である。かかる所定の繰返し単位組成を有する液晶ポリエステルを用いることにより、耐水性に優れる樹脂組成物を得ることができる。この2,6−ナフチレン基の含有量は、好ましくは50モル%以上75モル%以下、より好ましくは60モル%以上75モル%以下、特に好ましくは70モル%以上75モル%以下である。
また、本発明で使用される液晶ポリエステルは、繰返し単位(1)の含有量は、全繰返し単位の合計量に対して、好ましくは30〜80モル%、より好ましくは40〜70モル%、さらに好ましくは45〜65モル%であり、繰返し単位(2)の含有量は、全繰返し単位の合計量に対して、好ましくは10〜35モル%、より好ましくは15〜30モル%、さらに好ましくは17.5〜27.5モル%であり、繰返し単位(3)の含有量は、全繰返し単位の合計量に対して、好ましくは10〜35モル%、より好ましくは15〜30モル%、さらに好ましくは17.5〜27.5モル%である。このような所定の繰返し単位組成を有する液晶ポリエステルは、耐熱性と成形性とのバランスに優れている。なお、繰返し単位(2)の含有量と繰返し単位(3)の含有量とは、実質的に等しいことが好ましい。また、液晶ポリエステルは、必要に応じて、繰返し単位(1)〜(3)以外の繰返し単位を有していてもよいが、その含有量は、全繰返し単位の合計量に対して、通常10モル%以下、好ましくは5モル%以下である。
耐水性が高い液晶ポリエステルの典型的な例は、全繰返し単位の合計量に対して、Arが2、6−ナフチレン基である繰返し単位(1)、すなわち6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸に由来する繰返し単位を、好ましくは40〜74.8モル%、より好ましくは40〜64.5モル%、さらに好ましくは50〜58モル%有し、Arが2,6−ナフチレン基である繰返し単位(2)、すなわち2,6−ナフタレンジカルボン酸に由来する繰返し単位を、好ましくは12.5〜30モル%、より好ましくは17.5〜30モル%、さらに好ましくは20〜25モル%有し、Arが1,4−フェニレン基である繰返し単位(2)、すなわちテレフタル酸に由来する繰返し単位を、好ましくは0.2〜15モル%、より好ましくは0.5〜12モル%、さらに好ましくは2〜10モル%有し、Ar3が1,4−フェニレン基である繰返し単位(3)、すなわちヒドロキノンに由来する繰返し単位を、好ましくは12.5〜30モル%、より好ましくは17.5〜30モル%、さらに好ましくは20〜25モル%有し、かつ、Arが2,6−ナフチレン基である繰返し単位(2)の含有量が、Arが2,6−ナフチレン基である繰返し単位(2)およびAr2が1,4−フェニレン基である繰返し単位(2)の合計含有量に対して、好ましくは0.5モル倍以上、より好ましくは0.6モル倍以上のものである。
本発明で使用される液晶ポリエステルは、繰返し単位(1)を与えるモノマー、すなわち所定の芳香族ヒドロキシカルボン酸と、繰返し単位(2)を与えるモノマー、すなわち所定の芳香族ジカルボン酸と、繰返し単位(3)を与えるモノマー、すなわち所定の芳香族ジオールとを、2,6−ナフチレン基を有するモノマーの合計量、すなわち6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸および2,6−ナフタレンジオールの合計量が、全モノマーの合計量に対して、40〜75モル%になるようにして、重合(重縮合)させることにより、製造することができる。その際、芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸および芳香族ジオールは、それぞれ独立に、その一部または全部に代えて、その重合可能な誘導体を用いてもよい。芳香族ヒドロキシカルボン酸および芳香族ジカルボン酸のようなカルボキシル基を有する化合物の重合可能な誘導体の例としては、カルボキシル基をアルコキシカルボニル基またはアリールオキシカルボニル基に変換してなるもの、カルボキシル基をハロホルミル基に変換してなるもの、カルボキシル基をアシルオキシカルボニル基に変換してなるものが挙げられる。芳香族ヒドロキシカルボン酸および芳香族ジオールのようなヒドロキシル基を有する化合物の重合可能な誘導体の例としては、ヒドロキシル基をアシル化してアシルオキシル基に変換してなるものが挙げられる。
また、本発明で使用される液晶ポリエステルは、構成する繰返し単位に対応する原料モノマーを溶融重合させ、得られた重合物(プレポリマー)を固相重合させることにより、製造することが好ましい。これにより、耐熱性や耐水性、強度が高い液晶ポリエステルを操作性良く製造することができる。溶融重合は触媒の存在下に行ってもよく、触媒の例としては、酢酸マグネシウム、酢酸第一錫、テトラブチルチタネート、酢酸鉛、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、三酸化アンチモンなどの金属化合物や、N,N−ジメチルアミノピリジン、N−メチルイミダゾールなどの含窒素複素環式化合物が挙げられ、含窒素複素環式化合物が好ましく用いられる。
本発明で使用される液晶ポリエステルは、その流動開始温度が、好ましくは280℃以上、より好ましくは290℃以上、さらに好ましくは295℃以上であり、また、通常380℃以下、好ましくは350℃以下である。流動開始温度が高いほど、耐熱性や耐水性が向上し易いが、あまり高いと、溶融させるために高温を要し、成形時に熱劣化しやすくなったり、溶融時の粘度が高くなり、流動性が低下したりする。
なお、この流動開始温度は、フロー温度または流動温度とも呼ばれ、内径1mm、長さ10mmのノズルを持つ毛細管レオメータを用い、9.8MPa(100kgf/cm)の荷重下において、昇温速度4℃/分で液晶ポリエステルの加熱溶融体をノズルから押し出すときに、溶融粘度が4800Pa・s(48000ポアズ)を示す温度であり、液晶ポリエステルの分子量の目安となるものである(例えば、小出直之編「液晶ポリマー−合成・成形・応用−」第95〜105頁、(株)シーエムシー出版、1987年6月5日発行を参照)。
液晶ポリエステルの2,6−ナフチレン基を含む繰返し単位の含有量は、例えば、重縮合を行う際のモノマーの仕込み比を変更することにより制御することができる。
(発泡核材)
本実施形態の樹脂組成物には、加熱溶融させた前記液晶ポリエステルに対して溶解しないで分散する発泡核材を、液晶ポリエステルと前記発泡核材との和100質量部に対して、0質量部より多く40質量部以下含むことができる。
ここで、本明細書において発泡核材とは、加熱溶融させた液晶ポリエステル内において、溶融混練させた上述の超臨界流体が気体となる基点(核)となる配合材であり、加熱溶融させた液晶ポリエステルに対して溶解しないで分散する性質を有している。
樹脂組成物が発泡核材を含むことにより、溶融樹脂内の無数の箇所で超臨界流体の気化が促され、発泡セルが良好に分散した発泡体とすることができる。
また、成形時には、樹脂組成物が発泡核材を含むことにより、強度および剛性(弾性率)の向上も期待できる。
樹脂組成物に含まれる発泡核材としては、繊維状充填材であってもよいし、板状充填材であってもよいし、繊維状及び板状以外で、球状その他の粒状充填材であってもよい。また、充填材は、無機充填材であってもよいし、有機充填材であってもよい。
繊維状無機充填材の例としては、ガラス繊維;パン系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維等の炭素繊維;シリカ繊維、アルミナ繊維、シリカアルミナ繊維等のセラミック繊維;及びステンレス繊維等の金属繊維が挙げられる。また、チタン酸カリウムウイスカー、チタン酸バリウムウイスカー、ウォラストナイトウイスカー、ホウ酸アルミニウムウイスカー、窒化ケイ素ウイスカー、炭化ケイ素ウイスカー等のウイスカーも挙げられる。
繊維状有機充填材の例としては、ポリエステル繊維及びアラミド繊維が挙げられる。
板状無機充填材の例としては、タルク、マイカ、グラファイト、ウォラストナイト、ガラスフレーク、硫酸バリウム及び炭酸カルシウムが挙げられる。マイカは、白雲母であってもよいし、金雲母であってもよいし、フッ素金雲母であってもよいし、四ケイ素雲母であってもよい。
粒状無機充填材の例としては、シリカ、アルミナ、酸化チタン、ガラスビーズ、ガラスバルーン、窒化ホウ素、炭化ケイ素及び炭酸カルシウムが挙げられる。
発泡核材としては、成形体の強化材としても機能し、さらに安価に入手可能であるという点から、ガラス繊維を用いることが好ましい。
発泡核材として本実施形態の樹脂組成物に適用可能なガラス繊維としては、溶融状態のガラスを、目的の繊維径となるようなダイスを通じて繊維状に加工処理した後、適切な長さにカットしたもの(チョップドストランド)を挙げることができる。また、これに限らず、本発明の目的を阻害しない範囲内で、種々の繊維径および繊維長のガラス繊維を用いることができる。
ガラス繊維の繊維長は、取り扱いが容易であることから1mm以上10mm以下であることが好ましく、1mm以上8mm以下であることがさらに好ましい。また、ガラス繊維の単繊維径は、5μm以上25μm以下であることが好ましい。
このようなガラス繊維は、紡糸する際に、液晶ポリエステルとの接着性を改善するとともに、ガラス繊維の取り扱いを容易にするための集束剤を使用することとしてもよい。このような集束剤としては、例えば、シランカップリング剤、チタン系カップリング剤、エポキシ樹脂に代表される熱硬化性樹脂等の表面処理剤を使用することが出来る。
液晶ポリエステルとガラス繊維との配合割合は、液晶ポリエステルとガラス繊維との合計100質量部に対し、ガラス繊維が0質量部より多く40質量部以下、好ましくは0質量部より多く30質量部以下である。液晶ポリエステルに対してガラス繊維が多いと、成形加工が困難となる。
(その他の成分)
さらに、本実施形態の樹脂組成物は、上述の液晶ポリエステル、発泡核材の他に、添加剤、液晶ポリエステル以外の樹脂等、他の成分を1種以上含んでもよい。
また、フッ素樹脂や金属石鹸類などの離型剤、酸化チタンなど顔料、染料などの着色剤、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、界面活性剤などを成分として加えてもよい。これらの添加剤の含有量は、液晶ポリエステル100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上5質量部以下である。
液晶ポリエステル以外の樹脂の例としては、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルイミド、芳香族ポリスルホン等の液晶ポリエステル以外の熱可塑性樹脂;及びフェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、シアネート樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられる。液晶ポリエステル以外の樹脂の含有量は、液晶ポリエステル100質量部に対して、0質量部以上20質量部以下であることが好ましい。
本実施形態の樹脂組成物は、後述の発泡体の製造時における取り扱いを容易にするため、押出機を用いて溶融混練し、ペレット化しておくことが好ましい。また、樹脂組成物が発泡核材を含む場合、予め溶融混練することにより、発泡核材を樹脂組成物内に均一に分散させることができる。
押出機としては、シリンダーと、シリンダー内に配置された1本以上のスクリューと、シリンダーに設けられた1箇所以上の供給口とを有するものが、好ましく用いられ、さらにシリンダーに設けられた1箇所以上のベント部を有するものが、より好ましく用いられる。
(発泡体)
本実施形態の発泡体は、上述の樹脂組成物を超臨界流体と溶融混練して発泡させることで得られる。本実施形態においては、得られた発泡体をその後成形加工(二次加工)することとしてもよく、発泡と同時に成形して発泡成形体を得ることとしてもよい。生産性よく成形体を得ることができるため、発泡と同時に成形して発泡成形体を得る方が好ましい。
なお、本発明における断熱部材および流体保持部材は、上記発泡体を有している。発泡と同時に成形して断熱部材や流体保持部材を得る場合には、これら断熱部材や流体保持部材は、上述の発泡成形体に該当する。
(超臨界流体)
本実施形態で用いられる発泡剤は、超臨界状態において上述の液晶ポリエステルと非反応であり常温常圧下で気体である超臨界流体からなる。
ここで「超臨界流体」とは、特定の温度及び圧力(臨界点)以上の条件下において物質が示す、気体、液体および固体のいずれでもない物質の状態を示す用語である。特定の温度及び圧力である臨界点は、物質の種類によって定まる。超臨界流体は、気体状態と液体状態との中間の性質を示し、溶融した樹脂内への浸透力(溶解力)も液体状態に比べて強く、均一に溶融樹脂内に分散することができる。
本実施形態においては、超臨界流体としては、例えば、二酸化炭素、窒素、ヘリウム等の不活性ガスや、空気、酸素、水素等を流体として用いることができるが、二酸化炭素、窒素がより好ましい。さらに、窒素は、臨界点が温度:−147℃、圧力:3.4MPaであるため、常温(25℃)は臨界温度以上である。従って、圧力を制御するのみで超臨界流体を調製することが可能であるため取り扱いが容易であり、特に好ましい。
(製造方法)
上述の樹脂組成物を発泡させると同時に成形して発泡成形体を得る場合、発泡成形体の製造方法としては、溶融成形法が用いられる。溶融成形法としては、射出成形法、Tダイ法やインフレーション法等の押出成形法、ブロー成形法、真空成形法及びプレス成形が挙げられる。中でも押出成形法および射出成形法が好ましく、射出成形法がより好ましい。以下、射出成形により発泡成形体を製造する方法について説明する。
図1は本実施形態の発泡成形体を製造するために用いられる射出成形機の模式図である。
この射出成形機1は、上述の樹脂組成物と超臨界流体を用いて所定形状の発泡成型体を製造する機械であり、本体11と、金型12と、超臨界流体を本体11内に導入するための超臨界流体の導入装置21と、を有している。
導入装置21は、上述した超臨界流体の原料ガスが充填されているガスボンベ211と、ガスボンベ211からの原料ガスを臨界圧力まで昇圧する昇圧機212と、臨界圧力まで昇圧された原料ガス(超臨界流体)のシリンダー111内への導入量を制御する制御バルブ213とを備える。昇圧機212において原料ガスを断熱圧縮することにより原料ガスは加熱されるが、到達温度が臨界温度に満たない場合には、必要に応じて、ガスボンベ211からの原料ガスを臨界温度まで昇温する昇温機を用いる。
次に、この射出成形機1を用いた発泡体の製造方法について説明する。
まず、上述の樹脂組成物をホッパー113からシリンダー111内に投入し、シリンダー111内で加熱混練することで樹脂組成物を溶融させる。一方、ガスボンベ211を開き、原料ガスを昇圧機212で臨界点以上に昇圧、昇温する。得られる超臨界流体は、制御バルブ213を開くことにより、シリンダー111内に導入され、溶融された樹脂組成物に含浸する。
次に、スクリュー112によりシリンダー111内の超臨界流体を含む溶融樹脂を移動させ、金型12に注入する。この際、溶融樹脂の金型12内へ注入が終了するまでは、溶融樹脂に含まれる超臨界流体の超臨界状態を維持するため、金型12を型締し、またカウンタープレッシャーをかけておいてもよい。
シリンダー111内の超臨界流体を含む溶融樹脂は、スクリュー112によりシリンダー111内から、加熱ヒーター等で所望温度に調温された金型12内に注入・保持される工程で、温度が低下する。さらに、臨界圧力以上であった圧力が常圧に近づき、超臨界状態の原料ガスが気体状態に変遷する。溶融樹脂中に分散している超臨界状態の原料ガスが、超臨界状態から気体に変化して体積が膨張し、発泡成形体が得られる。そして、金型12内の樹脂を冷却し固化させた後、所定の冷却時間が経過後に金型12から成形品を取り出す。以上の操作により、射出成形による発泡成形体を得ることができる。
本実施形態に係る発泡成形体の製造方法では、厚みが1.5mm以上10mm以下となるような薄肉の発泡成形体も好適に製造することが可能である。
本実施形態の発泡成形体である製品・部品の例としては、光ピックアップボビン、トランスボビン等のボビン;リレーケース、リレーベース、リレースプルー、リレーアーマチャー等のリレー部品;RIMM、DDR、CPUソケット、S/O、DIMM、Board to Boardコネクター、FPCコネクター、カードコネクター等のコネクター;ランプリフレクター、LEDリフレクター等のリフレクター;ランプホルダー、ヒーターホルダー等のホルダー;スピーカー振動板等の振動板;コピー機用分離爪、プリンター用分離爪等の分離爪;カメラモジュール部品;スイッチ部品;モーター部品;センサー部品;ハードディスクドライブ部品;オーブンウェア等の食器;車両部品;航空機部品;及び半導体素子用封止部材、コイル用封止部材等の封止部材が挙げられる。
また、本実施形態に係る発泡成形体は、耐熱性および断熱性に優れることから、内部に高温の液体を通じたり保持したりするための流体保持部材として好適に使用することができる。このような流体保持部材としては、タンクや電池部品、オイル周辺部品などの自動車部品を挙げることができる。
また、本実施形態に係る発泡成形体は、耐熱性および断熱性に優れることから、断熱部材としても好適に使用することができる。このような断熱部材としては、例えばエンジンカバーのように、80℃以上の高温となる部材から他の部材へ熱の伝播を抑制する(断熱する)機能を有した部材を挙げることができる。
以上のような製造方法によれば、用いる液晶ポリエステルの2,6−ナフチレン基を含む繰返し単位の含有量を所定の範囲に制御し、発泡剤として超臨界流体を用いることで、容易に加工温度の高い樹脂組成物を用いた発泡成形体の製造方法を提供することができる。
また、以上のような樹脂組成物は、このような製造方法に好適に用いることができる。
さらに、このような樹脂組成物を用いることで、良好な発泡体を提供することが可能となり、このような発泡体を有することで、耐熱性が高く軽量化された流体保持部材および断熱部材を提供することができる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(発泡成形体の比重の測定)
得られた発泡成形体の寸法および質量を測定することで、比重を算出した。
(発泡成形体の曲げ強度および曲げ弾性率の測定)
得られた発泡成形体から、幅13mm、長さ125mm、厚み3mmの試験片を切り出し、当該試験片について、(株)エー・アンド・デイ製万能試験機「テンシロンRTG−1250」を用い、スパン間距離50mm、試験速度1mm/minの測定条件にて3点曲げ試験を実施することで測定した。
(発泡成形体の熱伝導率の測定)
得られた発泡成形体から、幅60mm、長さ60mm、厚み3mmの試験片を切り出し、当該試験片について、京都電子工業(株)製迅速熱伝導率計「QTM−500」を用い、加熱電流I=2.00Aの測定条件にて測定した。
<製造例1(液晶ポリエステルAの製造)>
攪拌装置、トルクメータ、窒素ガス導入管、温度計および還流冷却器を備えた反応器に、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸1,034.99g(5.5モル)、2,6−ナフタレンジカルボン酸378.33g(1.75モル)、テレフタル酸83.07g(0.5モル)、ヒドロキノン272.52g(2.475モル:2,6−ナフタレンジカルボン酸およびテレフタル酸の合計量に対して0.225モル過剰)、無水酢酸1,226.87g(12モル)および触媒として1−メチルイミダゾール0.17gを入れた。反応器内のガスを窒素ガスで置換した後、窒素ガス気流下、攪拌しながら、室温から145℃まで15分かけて昇温し、145℃で1時間還流させた。次いで、副生酢酸および未反応の無水酢酸を留去しながら、145℃から310℃まで3時間30分かけて昇温し、310℃で3時間保持した後、固形状の反応混合物(プレポリマー)を取り出し、室温まで冷却した。
プレポリマーを粉砕機で粒径約0.1〜1mmに粉砕した。粉砕物を窒素雰囲気下、室温から250℃まで1時間かけて昇温し、250℃から320℃まで10時間かけて昇温し、320℃で5時間保持することにより、固相重合を行った。固相重合物を冷却して、粉末状の液晶ポリエステルAを得た。
液晶ポリエステルAは、全繰り返し単位の合計量を100モル%として、Arが2,6−ナフチレン基である繰返し単位(1)を55モル%、Arが2,6−ナフチレン基である繰返し単位(2)を17.5モル%、Arが1,4−フェニレン基である繰返し単位(2)を5モル%、およびArが1,4−フェニレン基である繰返し単位(3)を22.5%有していた。
<製造例2(液晶ポリエステルBの製造)>
製造例1と同様の反応器に、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸1,034.99g(5.5モル)、2,6−ナフタレンジカルボン酸378.33g(1.75モル)、テレフタル酸83.07g(0.5モル)、ヒドロキノン272.52g(2.475モル:2,6−ナフタレンジカルボン酸およびテレフタル酸の合計量に対して0.225モル過剰)、無水酢酸1,226.87g(12モル)および触媒として1−メチルイミダゾール0.17gを入れた。反応器内のガスを窒素ガスで置換した後、窒素ガス気流下、攪拌しながら、室温から145℃まで15分かけて昇温し、145℃で1時間還流させた。次いで、副生酢酸および未反応の無水酢酸を留去しながら、145℃から310℃まで3時間30分かけて昇温し、310℃で3時間保持した後、固形状の反応混合物(プレポリマー)を取り出し、室温まで冷却した。
プレポリマーを粉砕機で粒径約0.1〜1mmに粉砕した。粉砕物を窒素雰囲気下、室温から250℃まで1時間かけて昇温し、250℃から310℃まで10時間かけて昇温し、310℃で5時間保持することにより、固相重合を行った。固相重合物を冷却して、粉末状の液晶ポリエステルBを得た。
液晶ポリエステルBは、全繰り返し単位の合計量を100モル%として、Arが2,6−ナフチレン基である繰返し単位(1)を55モル%、Arが2,6−ナフチレン基である繰返し単位(2)を17.5モル%、Arが1,4−フェニレン基である繰返し単位(2)を5モル%、およびArが1,4−フェニレン基である繰返し単位(3)を22.5%有していた。
<製造例3(液晶ポリエステルCの製造)>
p−ヒドロキシ安息香酸911g(6.6モル)、テレフタル酸274g(1.65モル)、イソフタル酸91g(0.55モル)、4,4’−ジヒドロキシビフェニル409g(2.2モル)、無水酢酸1,235g(12.1モル)および触媒として1−メチルイミダゾール0.17gを入れた。反応器内のガスを窒素ガスで置換した後、窒素ガス気流下、攪拌しながら、室温から150℃まで15分かけて昇温し、150℃で1時間還流させた。次いで、1−メチルイミダゾール1.7gを更に添加した後、副生酢酸および未反応の無水酢酸を留去しながら、150℃から320℃まで2時間50分かけて昇温し、トルクの上昇が認められた時点で、固形状の反応混合物(プレポリマー)を取り出し、室温まで冷却した。
プレポリマーを粉砕機で粒径約0.1〜1mmに粉砕した。粉砕物を窒素雰囲気下、室温から250℃まで1時間かけて昇温し、250℃から285℃まで5時間かけて昇温し、285℃で3時間保持することにより、固相重合を行った。固相重合物を冷却して、粉末状の液晶ポリエステルCを得た。
液晶ポリエステルCは、全繰り返し単位の合計量を100モル%として、Arが1,4−フェニレン基である繰返し単位(1)を60モル%、Arが1,4−フェニレン基である繰返し単位(2)を15モル%、Arが1,3−フェニレン基である繰返し単位(2)を5モル%、およびArが4,4’−ビフェニリレン基である繰返し単位(3)を20%有していた。
<実施例1>
液晶ポリエステルAの粉末100質量部を、(株)池貝製の2軸押出機「PCM−30」を用いて溶融混錬することにより、発泡成形用樹脂組成物からなるペレットを作製した。このときの溶融混錬条件としては、この2軸押出機のシリンダー設定温度を340℃とし、スクリュー回転速度を150rpmとした。ここでいうシリンダー設定温度とは、シリンダーの最下流部からシリンダー長の約2/3の部分までに設けられた加熱機器の設定温度の平均値を意味する。
上述の方法にて作成したペレットを、日本製鋼所(株)製の全電動成形機「J450AD」、およびTREXEL.Inc製の超臨界流体製造ユニット「SCF SYSTEM」を用いて、設定温度360℃のシリンダー内で樹脂を加熱・計量する際に超臨界状態の窒素を導入し、設定温度120℃の金型に射出することで、超臨界状態の窒素は金型中で気体となり、平板(250mm×360mm×3mmt)形状の発泡成形体を作成できる。
<実施例2>
液晶ポリエステルBの粉末70質量部と、オーウェンス・コーニング・ジャパン(株)製のガラス繊維「CS03JAPx−1」30質量部とを混合し、100質量部としたことを除き、実施例1と同様にして発泡成形体を作製した。
<比較例1>
超臨界状態の窒素を導入せず、通常の射出成形により成形体を作成したことを除き、実施例1と同様にして成形体を作製した。
<比較例2>
超臨界状態の窒素を導入せず、通常の射出成形により成形体を作成したことを除き、実施例2と同様にして成形体を作製した。
<比較例3>
液晶ポリエステルCの粉末を用い、二軸押出機のシリンダー設定温度を340℃、成形機のシリンダー温度を360℃としたことを除き、実施例1と同様にして成形体の作製を試みたが、成形機で溶融混錬する際の樹脂圧力が3MPa程度までしか上昇せず、窒素が超臨界状態を保持するために必要な樹脂圧力に達しなかったため、超臨界状態を維持することができず、設計通りの成形体が得られなかった。
実施例1、2および比較例1〜3について、成形条件、比重、曲げ強度、曲げ弾性率及び熱伝導率を表1に示す。
Figure 0006025241
本願発明により、ポリカーボネートやポリエチレンテレフタレート等の通常のエンプラに比べて、高耐熱性で、高加工温度の樹脂組成物を得ることができた。2,6−ナフチレン基を含有するという構造上の特徴が、高加工温度でも発泡成形を可能としていると考えられる。
実施例と比較例とを比べれば明らかなように、本発明で規定した溶融粘度を有する液晶ポリエステルを用いた場合、超臨界流体を用いて、良好に発泡成形が可能であり、発泡成形体が得られることが判明した。実施例1、2における発泡成形体では、比較例の成形体よりも比重が低くなっており、発泡による軽量化が実現できている。また、熱伝導率が低減しており、耐熱性を有している。
また、実施例2によれば、発泡核材としてガラス繊維を30質量部添加した場合も、発泡成形が可能であり、発泡成形体が得られることが判明した。さらに、実施例1と実施例2との比較から、発泡核材としてガラス繊維を添加することにより、実施例2の成形体は実施例1の成形体よりも強度および剛性に優れる成形体となることが分かった。
これらの結果から、本発明の有用性が確かめられた。
1…射出成形機、11…本体、12…金型、21…導入装置、211…ガスボンベ、2
12…昇圧機、213…制御バルブ

Claims (9)

  1. 下式(1)、(2)および(3)のそれぞれで表される繰返し単位を含有し、2,6−ナフチレン基を含む繰返し単位の含有量が、全繰返し単位の合計量を100モル%として、40〜75モル%である液晶ポリエステルを含む樹脂組成物と、超臨界状態において前記液晶ポリエステルと非反応であり常温常圧下で気体である超臨界流体からなる発泡剤と、を溶融混練した後、前記発泡剤の圧力および温度の少なくとも一方を前記発泡剤の臨界点を下回るまで下げることで発泡させながら成形する発泡成形体の製造方法。
    Figure 0006025241
    [式中、Arは2,6−ナフチレン基、1,4−フェニレン基または4,4’−ビフェニリレン基を表し、ArおよびArはそれぞれ独立に、2,6−ナフチレン基、1,4−フェニレン基、1,3−フェニレン基または4,4’−ビフェニリレン基である。Ar、ArまたはArで表される基中の水素原子は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキル基またはアリール基で置換されていてもよい。]
  2. 前記樹脂組成物は、加熱溶融させた前記液晶ポリエステルに対して溶解しないで分散する発泡核材を、前記液晶ポリエステルと前記発泡核材との和100質量部に対して、0質量部より多く40質量部以下含む請求項1に記載の発泡成形体の製造方法。
  3. 前記発泡核材がガラス繊維である請求項2に記載の発泡成形体の製造方法。
  4. 前記気体が窒素である請求項1から3のいずれか1項に記載の発泡成形体の製造方法。
  5. 前記成形が射出成形である請求項1から4のいずれか1項に記載の発泡成形体の製造方法。
  6. 厚みが1.5mm以上10mm以下の部分を有する成形体を成形する請求項1から5のいずれか1項に記載の発泡成形体の製造方法。
  7. 発泡剤として常温常圧下で気体である超臨界流体を用いた発泡成形に用いられ、下記式(1)、(2)および(3)のそれぞれで表される繰返し単位を含有し、2,6−ナフチレン基を含む繰返し単位の含有量が、全繰返し単位の合計量を100モル%として、40〜75モル%である液晶ポリエステルを含む樹脂組成物。
    Figure 0006025241
    [式中、Ar は2,6−ナフチレン基、1,4−フェニレン基または4,4’−ビフェニリレン基を表し、Ar およびAr はそれぞれ独立に、2,6−ナフチレン基、1,4−フェニレン基、1,3−フェニレン基または4,4’−ビフェニリレン基である。Ar 、Ar またはAr で表される基中の水素原子は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキル基またはアリール基で置換されていてもよい。]
  8. 加熱溶融させた前記液晶ポリエステルに対して溶解しないで分散する発泡核材を、液晶ポリエステルと前記発泡核材との和100質量部に対して、0質量部より多く40質量部以下含む請求項7に記載の樹脂組成物。
  9. 前記発泡核材がガラス繊維である請求項8に記載の樹脂組成物。
JP2012050558A 2012-03-07 2012-03-07 発泡成形体の製造方法及び樹脂組成物 Active JP6025241B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012050558A JP6025241B2 (ja) 2012-03-07 2012-03-07 発泡成形体の製造方法及び樹脂組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012050558A JP6025241B2 (ja) 2012-03-07 2012-03-07 発泡成形体の製造方法及び樹脂組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013185044A JP2013185044A (ja) 2013-09-19
JP6025241B2 true JP6025241B2 (ja) 2016-11-16

Family

ID=49386782

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012050558A Active JP6025241B2 (ja) 2012-03-07 2012-03-07 発泡成形体の製造方法及び樹脂組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6025241B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US11753515B2 (en) 2018-03-29 2023-09-12 Sumitomo Chemical Company, Limited Method for producing molded foam articles, and molded foam articles

Families Citing this family (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6294690B2 (ja) * 2014-02-07 2018-03-14 住友化学株式会社 液晶ポリエステル組成物
TWI701274B (zh) * 2015-06-26 2020-08-11 日商住友化學股份有限公司 樹脂組成物及成形體
JP6920604B2 (ja) * 2016-10-31 2021-08-18 キョーラク株式会社 発泡成形体、及びその製造方法
WO2018079699A1 (ja) 2016-10-31 2018-05-03 キョーラク株式会社 発泡成形用樹脂、発泡成形体及びその製造方法
CN109983061B (zh) * 2016-11-18 2022-05-31 住友化学株式会社 发泡成形用液晶聚合物组合物、发泡成形体的制造方法、以及发泡成形体
CN109937231B (zh) * 2016-11-18 2022-06-17 住友化学株式会社 发泡成型用树脂组合物、发泡成型体的制造方法及发泡成型体
US20190309136A1 (en) 2016-11-18 2019-10-10 Sumitomo Chemical Company, Limited Foam-molded body and method for producing foam-molded body
JP7266217B2 (ja) * 2020-06-30 2023-04-28 東洋ライト株式会社 樹脂複合体の製造方法
CN113072734B (zh) * 2021-03-17 2023-01-17 武汉纺织大学 一种热致液晶聚合物微孔泡沫材料及其制备方法

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2533328B2 (ja) * 1987-07-09 1996-09-11 住友化学工業株式会社 芳香族ポリエステル
JPH10158493A (ja) * 1996-11-28 1998-06-16 Sumitomo Chem Co Ltd 発泡成形体および発泡成形体の製造方法
JP2003138054A (ja) * 2001-11-05 2003-05-14 Toray Ind Inc 液晶ポリエステル樹脂発泡成形品
JP4306268B2 (ja) * 2003-02-12 2009-07-29 住友化学株式会社 芳香族液晶ポリエステルおよびそのフィルム
JP4269675B2 (ja) * 2002-12-18 2009-05-27 住友化学株式会社 芳香族液晶ポリエステルおよびそのフィルム
JP2011040654A (ja) * 2009-08-17 2011-02-24 Sumitomo Chemical Co Ltd 太陽電池用バックシートおよび太陽電池モジュール
JP2011141535A (ja) * 2009-12-10 2011-07-21 Sumitomo Chemical Co Ltd ラベル

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US11753515B2 (en) 2018-03-29 2023-09-12 Sumitomo Chemical Company, Limited Method for producing molded foam articles, and molded foam articles

Also Published As

Publication number Publication date
JP2013185044A (ja) 2013-09-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6025241B2 (ja) 発泡成形体の製造方法及び樹脂組成物
JP6500140B2 (ja) 液晶ポリエステル組成物
JP5633338B2 (ja) 液晶ポリエステル組成物
JP6439027B1 (ja) 液晶ポリエステル樹脂組成物および成形体
JP6473796B1 (ja) 液晶ポリエステル樹脂組成物および成形体
JP6671869B2 (ja) 液晶ポリエステル樹脂組成物、コネクターおよび液晶ポリエステル樹脂組成物の製造方法
JP5914935B2 (ja) 液晶ポリエステル組成物、液晶ポリエステル組成物の製造方法及び成形体
JP5935288B2 (ja) 液晶ポリエステル組成物
JP5556223B2 (ja) 液晶高分子組成物、その製造方法及び成形体
JP2013507480A (ja) 耐熱性が向上した全芳香族液晶ポリエステル樹脂コンパウンド及びその製造方法
WO2019098228A1 (ja) 液晶ポリエステル組成物および樹脂成形体
JP7256759B2 (ja) 樹脂組成物
WO2013114787A1 (ja) 樹脂組成物の製造方法
WO2013114763A1 (ja) 樹脂組成物の製造方法
JP6861497B2 (ja) 液晶ポリエステル樹脂組成物
JP6052671B2 (ja) 樹脂組成物および成形体
TW201244911A (en) Method for manufacturing liquid crystal polyester molded article
WO2013069782A1 (ja) 熱可塑性樹脂組成物の製造方法及び成形体
TW201843020A (zh) 液晶聚酯組成物的製造方法及液晶聚酯組成物
JP2012136625A (ja) 液晶ポリエステル成形材料及びその成形体
JP5407988B2 (ja) 液晶性樹脂組成物及びその成形体
WO2022153945A1 (ja) 液晶ポリエステル組成物、液晶ポリエステル組成物の製造方法及び射出成形体の製造方法
JP2023130737A (ja) 液晶ポリエステル樹脂組成物、成形体及び成形体の製造方法
TW202116860A (zh) 液晶聚酯組成物及成形體
JP2012193271A (ja) 樹脂組成物および成形体

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150218

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20151120

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20151201

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160126

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160705

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160816

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20160913

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20161007

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6025241

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350