JP2003219863A - バシルスsp.D747菌株およびそれを用いた植物病害防除剤および害虫防除剤 - Google Patents
バシルスsp.D747菌株およびそれを用いた植物病害防除剤および害虫防除剤Info
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Abstract
薬として使用可能な菌株を得る。 【解決手段】 本発明は新菌株、バシルスsp.D74
7(FERM P−18128)に関するものであり、
また、本発明はバシルスsp.D747菌株を有効菌と
して含有する植物病害防除剤および害虫防除剤に関す
る。バシルスsp.D747は、その培養物(生菌体を
含む)又はその培養分離生菌体を根、茎、葉、種子など
の植物体上、あるいはその栽培土壌中に存在させること
によって、きわめて広範囲に各種の植物病害の発生を抑
止し、害虫を防除することができ、かつ、本発明のD7
47菌株を含んだ植物病害防除剤および害虫防除剤を散
布した植物は、各種植物病および害虫に対して高い防除
効果を有することとなる。
Description
47菌株およびその利用に関し、さらに詳しくは植物病
害の発病抑制効果および害虫防除効果を有するバシルス
sp.D747菌株を有効菌として含有する植物病害防
除剤又は/及び害虫防除剤に関するものである。
作や太陽熱を利用した耕種的あるいは物理的防除、化学
農薬を用いる化学的防除、病害抵抗性品種の利用による
防除、弱毒ウィルスや病原菌に対する拮抗微生物を用い
た生物的防除等が挙げられる。これらのうち、化学農
薬、特に有機合成殺菌剤の開発研究は近年に至るまで目
覚ましく発達し、効力が高く様々な作用を有する多数の
薬剤が次々と開発され、更には様々な施用法も開発され
た。これらを用いた化学的防除法は植物の病害防除並び
に防除作業の省力化等に大きく貢献し、広く普及してい
る。しかしながら、近年いわゆる薬剤耐性菌の出現によ
り、化学的防除法による防除効果が低下するという現象
が一部作物、病害で認められ、問題となってきている。
また作物の指定産地化が進むにつれて連作を余儀なくさ
れる結果、化学農薬では難防除とされる土壌伝染性病害
の発生も各地で深刻な問題となっている。さらに、化学
農薬を大量に何度も繰り返して用いる方法は、自然界に
存在しない化学物質を環境中に放出するため、動植物に
直接毒性を有する薬剤はもちろん、そうでない薬剤であ
っても、環境へ悪影響を引き起こすことが心配されてい
る。
性菌の出現によって防除効果が低下する可能性が高く、
その場合新たなる殺菌剤の開発が必要となってしまう。
また化学農薬では難防除とされる病害防除に対しては、
代替手段あるいは他の方法を併用する手段を講じなくて
はならない。さらに、環境に対してより安全性の高い防
除技術の確立も望まれている。
用に偏った防除方法を見直し、化学農薬からより環境へ
の安全性が高いと想定される微生物を利用した生物防除
(いわゆる生物農薬)方法が提案され、その一部は実用
化されている。
弱毒ウイルスの利用、病原菌の弱病原性あるいは非病原
性系統微生物の利用、拮抗微生物の利用等が試みられて
いる。その中でも拮抗微生物の利用に関する研究事例は
多数あり、また拮抗微生物のうちバシルス属菌を用いた
病害防除研究についても多数の報告はあるが、広い病害
防除スペクトラムを有するバシルス属菌は見いだされて
なかった。
種の植物病害の発病抑制又は/及び害虫防除の効果を有
する新規な菌株を分離することにある。本発明の更なる
課題は、上記菌株を有効菌として含有し、生物農薬とし
て有効に使用できる植物病害防除剤又は/及び害虫防除
剤を提供することにある。
ら分離したバシルス属に属する一新菌株が、植物体の成
長には悪影響をおよぼすことなく、数種の植物病害の発
病抑制効果及び害虫防除効果を有することを見出し、本
発明を完成するに至った。
及び害虫防除剤である。 (1) バシルス(Bacillus)sp.D747菌株。 (2) バシルス(Bacillus)sp.D747菌株を有
効菌として含有する植物病害防除剤。 (3) バシルス(Bacillus)sp.D747菌株を有
効菌として含有する害虫防除剤。
747菌株は静岡県小笠郡菊川町の空気中から単離され
た菌株である。これらの菌株は後記する細菌学的性質を
もとに、Bergey’s Manual of Systematic Bacteriolog
y volume 1(1984)を参考に同定したところ、バシルス
属に属する新菌株であり、最初バシルス・セレウスに属
するのではないかと思われ、平成12年11月28日に
Bacillus cereus D747として工業技術院生命工学工業技
術研究所に寄託した。しかしながら、後日バシルス・セ
レウスに属することに疑問をもち、詳細に検討し、バシ
ルス属に属するまでの確信に至るのみであったので、平
成14年4月1日にBacillus sp. D747への記載事項変
更届を提出した。従って、本発明のD747菌株は現
在、独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託セ
ンターにおいて、Bacillus sp. D747(FERM P−
18128)として寄託されている。
D747株の細菌学的性質は以下に示す通りである。な
お、菌学的性質の試験は前記Bergey’s Manual of Syst
ematic Bacteriologyに基づいて行った。 (A)形態学的性質 形態: 桿菌 大きさ: 幅1.0〜1.2μm、長さ3〜5μm 運動性: + 鞭毛の着生状態: 周鞭毛 内生胞子: + 胞子の位置: 中央 胞子の膨張: −
成し、表面はしわ状
るD747菌株の培養方法においては、培地の種類およ
び培養条件等、適宜任意なものを選択できる。例えば肉
エキス培地など一般的な培地の他、グルコース、ペプト
ン、イーストエキスを含む培地などが挙げられる。また
液体培地以外に寒天入りの斜面培地および平板培地等の
固体培地を用いてもよい。培養によってD747菌株を
増殖させて、所望の菌体量を得ることができる。
うるあらゆるものが利用可能である。具体的にはグルコ
ース、ガラクトース、ラクトース、スクロース、マルト
ース、麦芽エキス、澱粉加水分解物などの糖の外に、D
747菌株が利用し得る各種の合成または天然炭素源を
あげることができる。
肉エキス、酵母エキスなどの有機窒素含有物をはじめ、
該菌株が利用し得る各種の合成又は天然物も利用可能で
ある。
塩などの無機塩類、カルシウム、マグネシウム、鉄など
の金属の塩類、ビタミン、アミノ酸などの微量栄養源も
必要に応じて添加することができる。
条件下で行なうことができる。培養温度は20〜30
℃、好ましくは25〜30℃、pHは5〜8、好ましく
は6〜7、培養期間は1〜4曰、好ましくは2〜3日が
適当である。
その培養物(菌体を含む)またはその処理物(培養物と
他成分との混合物など)、又は培養分離菌体(培養物を
遠心分離処理した菌体もしくはその洗浄菌体など)また
はその処理物(培養分離菌体と他成分の混合物など)更
に又は、これらの処理物(これらの液体や固体による希
釈物など)を、根、茎、葉、種子などの植物体上、ある
いはその栽培土壌中に存在させることで、各種の植物病
害を抑止し、また害虫を防除する性質を有する。
藻菌類(Oomycetes)、子嚢菌類(Ascomycetes)、担子
菌類(Basidiomycetes)、及び不完全菌類(Deuteromyc
etes)に属する菌類、および細菌類に起因する植物の病
害を防除することができる。
の原因菌として、具体的には、シュウドペロノスポラ
(Pseudoperonospora)属菌、例えばキュウリべと病菌
(Pseudoperonospora cubensis)、ベンチュリア(Vent
uria)属菌、例えばリンゴ黒星病菌(Venturia inaequa
lis)、エリシフェ(Erysiphe)属菌、例えばコムギう
どんこ病菌(Erysiphe graminis)、ピリキュラリア(P
yricularia)属菌、例えばイネいもち病菌(Pyriculari
a oryzae)、ボトリチス(Botrytis)属菌、例えばキュ
ウリ灰色かび病菌(Botrytis cinerea)、リゾクトニア
(Rhizoctonia)属菌、例えばイネ紋枯病菌(Rhizocton
ia solani)、パクシニア(Puccinia)属菌、例えばコ
ムギ赤さび病菌(Puccinia recondita)、セプトリア
(Septoria)属菌、例えばコムギふ枯病菌(Septoria n
odorum)、スクレロティニア(Sclerotinia)属菌、例
えばキュウリ菌核病菌(Sclerotinia sclerotiorum)、
ピシウム(Pythium)属菌、例えばキュウリ苗立枯病菌
(Pythium debaryanum Hesse)、また細菌として、バー
クホルデリア(Burkholderia)、例えばイネ苗立枯細菌
病(Burkholderia plantarii)などをあげることができ
るが、本発明はこれらの例により限定されるものではな
い。
虫、鱗翅目害虫、鞘翅目害虫、双翅目害虫、直翅目害
虫、シロアリ目害虫、アザミウマ目害虫、ハダニ類など
の害虫を防除することができる。
として、具体的には、半翅目害虫、例えばホソヘリカメ
ムシ(Riptortus clavatus)等のカ
メムシ類(異翅類;HETEROPTERA)、ツマグ
ロヨコバイ(Nephotettix cinctic
eps)等のヨコバイ類、トビイロウンカ(Nilap
arvata lugens)等のウンカ類、Psyl
la sp.等のキジラミ類、シルバーリーフコナジラ
ミ(Bemisia tabaci)等のコナジラミ
類、モモアカアブラムシ(Myzus persica
e)等のアブラムシ類、クワコナカイガラムシ(Pse
udococcus comstocki)等のカイガ
ラムシ類、鱗翅目害虫、例えばチャハマキ(Homon
a Magnanima)等のハマキガ類、ブドウホソ
ハマキ(Eupoecillia ambiguell
a)等のホソハマキガ類、Bambalina sp.
等のミノガ類、コクガ(Nemapogon gran
ellus)等のホソガ類、ミカンハモグリガ(Phy
llocnistis citrella)等のコハモ
グリガ類、コナガ(Plutella xyloste
lla)等のスガ類、二カメイガ(Chilo sup
pressalis)等のメイガ類、タバコバッドワー
ム(Heliothis virescens)等のヤ
ガ類、鞘翅目害虫、例えばドウガネブイブイ(Anom
ala cuprea)等のコガネムシ類、ニジュウヤ
ホシテントウ(Epilachna vigintio
ctopunctata)等のテントウムシ類、イネミ
ズゾウムシ(Lissorhoptrus oryzo
philus)等のゾウムシ類、双翅目害虫、例えばア
カイエカ(Culex pipiens)、シナハマダ
ラカ(Anopheles slnensis)、コダ
タアカイエカ(Culex tritaeniorhy
nchus)、直翅目害虫、例えばチャバネゴキブリ
(Blatella germanica)、シロアリ
目害虫、例えばヤマトシロアリ(Reticulite
rmes speratus)、アザミウマ目害虫、例
えばチャノキイロアザミウマ(Scirtothrip
s dorsalis)、ハダニ類、例えばナミハダニ
(Tetranychus urticae)、また、
その他有害動物、不快動物、衛生害虫、寄生虫、例えば
スクミリンゴガイ(Pomacea canalicul
ata)、ナメクジ(Incilaria sp.)等
の腹足綱類(Gastropoda)、ダンゴムシ(A
rmadillidium sp.)等の脚目類などをあ
げることができるが、本発明はこれらの例により限定さ
れるものではない。
明の植物病害防除剤および害虫防除剤は、上記のように
植物病害や害虫を防除できるD747菌株を有効菌とし
て含有するものである。本発明の植物病害防除剤および
害虫防除剤においては、D747菌株を単体で使用する
こともできるが、D747菌株として単体で、またはD
747菌株とともに、D747菌株の変異体も使用する
ことができる。変異体は、上記D747菌株の細菌学的
特性を有し、植物病害防除作用および害虫防除作用を有
するものであり、自然突然変異株、紫外線や化学変異剤
を用いての突然変異株、また細胞融合株および遺伝子組
み替え株も利用が可能である。本発明では植物病害防除
剤および害虫防除剤に含有されるD747菌株には、D
747菌株の変異体が含まれる。
虫の予防、忌避のみならず、除去、死滅をも含む意味で
用いるものとする。したがって、病原菌に既に感染した
植物であっても本発明の植物病害防除剤を適用すること
によって、植物から病原菌を除去することができ、病原
菌による発病や病気の悪化を防止することができる。ま
た、害虫についても、忌避および殺虫効果により防除す
ることができる。
除剤においてD747菌株が生菌として適用される場
合、105〜1010個/mlの濃度で、植物体に添加さ
れることが好ましい。
合、その適用時期および適用量は上記生菌の場合に準じ
て適宜決定されてよい。
害虫防除剤においてD747菌株は、菌体または培養物
を単独で用いるほか、不活性な液体または固体の担体で
希釈し、必要に応じて界面活性剤、その他の補助剤を加
えた薬剤として用いてもよい。具体的な製剤例として
は、粒剤、粉剤、水和剤、懸濁製剤、乳剤等の剤型等が
あげられる。好ましい担体の例としては、タルク、ベン
トナイト、クレー、カオリン、珪藻士、ホワイトカーボ
ン、バーミキュライト、消石灰、珪砂、硫安、尿素、多
孔質な固体担体、水、イソプロピルアルコール、キシレ
ン、シクロヘキサノン、メチルナフタレン、アルキレン
グリコールなどの液体担体等があげられる。界面活性剤
および分散剤としては、例えばジナフチルメタンスルホ
ン酸塩、アルコール硫酸エステル塩、アルキルアリール
スルホン酸塩、リグニンスルホン酸塩、ポリオキシエチ
レングリコールエーテル、ポリオキシエチレンアルキル
アリールエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノ
アルキレート等があげられる。補助剤としては、カルボ
キシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、プロ
ピレングリコール、アラビアゴム、キサンタンガム等、
保護剤としてはスキムミルク、pH緩衝剤等があげられ
る。この場合、D747菌株の生菌体の量および/また
はその培養物の量、さらには適用時期および適用量は上
記生菌の場合に準じて適宜決定することができる。
虫防除剤は、有効成分として必要に応じて殺虫剤、他の
殺菌剤、除草剤、植物生長調節剤、肥料などのその他の
成分を含むことができる。また本発明の植物病害防除剤
および害虫防除剤は、D747菌株とともに、他の種類
の菌株を含有してもよい。
は、そのまま直接施用するか、あるいは水などで希釈し
て施用することができる。植物病害防除剤および害虫防
除剤の施用方法は、特に限定されず、例えば、直接植物
や害虫に散布する方法、土壌に散布する方法、植物や土
壌に添加する水や肥料に添加する方法などがあげられ
る。その他、製剤の施用量は、対象病害、対象害虫、対
象作物、施用方法、発生傾向、被害の程度、環境条件、
使用する剤型などによって変動するので、適宜調整され
ることが好ましい。
acillus sp.)D747菌株は、広い病害および害虫
防除スペクトラムを有し、複数種の植物病害や害虫を防
除することができる。本発明のD747菌株を含有する
本発明の植物病害防除剤および害虫防除剤は、植物病害
や害虫を防除できるので、生物農薬として使用できる。
したがって、本発明の植物病害および害虫防除剤は環境
に対して安全性が高く、また複数種の病害や害虫に対し
て防除効果を有するので、他の併用手段を用いなくても
広く病害や害虫を防止することができる。
体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定され
るものではない。
岡県小笠郡菊川町の空気中から分離した。詳細に述べる
と、静岡県小笠郡菊川町加茂の空気中に漂う微生物を分
離するため、ポテト−デキストロース寒天培地が入った
平板培地を蓋を取って10分間放置し、空気に接触させ
た。これを27℃で3日間培養し、形成したコロニーを
分離した。分離したコロニーを、ポテト−デキストロー
ス液体培地で振とう培養を行い、植物病害菌に対して効
果のある菌株を見出してD747菌株を分離した。分離
したD747菌株をグルコース1%、可溶性澱粉2%、
ポリペプトン0.5%、乾燥酵母1%、脱脂大豆1%、
KH2PO4 0.2%、NaCl 0.2%、炭酸カル
シウム0.3%を含む、pH6.0の培地で27℃、1
20rpm、3日間振盪培養した後、遠心集菌(10,
000×g、15分間)し、滅菌水中に懸濁し、培地成
分を洗浄した。この操作を2回行い、再び滅菌水中に約
10 9/mlの濃度で懸濁した。
5cmの素焼鉢各々に、イネ種子(品種:愛知旭)を1
0粒ずつ播種し、温室内で育成した。第4葉が展開した
イネに、上記のようにして得られたD747菌株の懸濁
液を1ポット当たり10ml散布し、風乾した後、イネ
いもち病菌(Pyricularia oryzae)の胞子懸濁液を噴霧
接種し、湿室内で管理した。接種5日後に第4葉の病斑
数を調査し、これを発病度として以下の表1の基準によ
り評価した。試験結果を表2に示す。
mの素焼鉢各々に、イネ種子(品種:金南風)を10粒
づつ播種し、温室内で育成した。2〜3葉期のイネに、
上記のようにして得られたD747菌株の懸濁液を1ポ
ット当たり10ml散布し、風乾した後、イネ紋枯病菌
(Thanatephor uscucumeris)を接種し、湿室内で管理
した。接種5日後に病斑高を調査し、これを発病度とし
て上記表1の基準により評価した。試験結果を表2に示
す。
cmのプラスチックポット各々に、コムギ種子(品種:
農林61号)を10粒づつ播種し、温室内で育成した。
第2葉が展開したコムギに、上記のようにして得られた
D747菌株の懸濁液を1ポット当たり10ml散布し
た。風乾後、コムギふ枯病菌(Septoria nodorum)の柄
胞子を接種し、温室内で管理した。接種10日後にポッ
ト全体の第1葉の発病面積を調査し、これを発病度とし
て上記表1の基準により評価した。試験結果を表2に示
す。
6.0cmのプラスチックポット各々に、コムギ種子
(品種:農林61号)を10粒づつ播種し、温室内で育
成した。1.5〜2葉期のコムギに、上記のようにして
得られたD747菌株の懸濁液を1ポット当たり10m
l散布した。風乾後、コムギうどんこ病菌(Erysiphe g
raminis)分生胞子を接種し、温室内のベンチ上に調査
まで置いて、温室内で管理した。接種10日後にポット
全体の第1葉の発病面積を調査し、これを発病度として
上記表1の基準により評価した。試験結果を表2に示
す。
6.0cmのプラスチックポット各々に、キュウリ種子
(品種:相模半白)を4粒ずつ播種し、温室内で育成し
た。子葉が展開したキュウリ幼苗に、上記のようにして
得られたD747菌株の懸濁液を1ポット当たり10m
l散布した。風乾後、キュウリ灰色かび病菌(Botrytis
cinerea)の胞子懸濁液を浸したぺーパーディスクをキ
ュウリ子葉表面に置床接種し、20℃湿室で管理した。
接種3日後に子葉の発病面積を調査し、これを発病度と
して上記表1の基準により評価した。試験結果を表2に
示す。
0cmのプラスチックポット各々に、キュウリ種子(品
種:相模半白)を4粒ずつ播種し、温室内で育成した。
子葉が展開したキュウリ幼苗に、上記のようにして得ら
れたD747菌株の懸濁液を1ポット当たり10ml散
布した。風乾後、キュウリベと病菌(Pseudoperonospor
a cubensis)の遊走子嚢懸濁液を噴霧接種し、22℃湿
室で24時間放置後、温室内で管理した。接種8日後に
子葉の発病面積を調査し、これを発病度として上記表1
の基準により評価した。試験結果を表2に示す。
にして得られたD747菌株の懸濁液30mlを容量6
0mlのプラスチックカップに入れ、長さ3cmのイネ
葉片を3枚浮かべた。これにイネミズゾウムシ(Lis
sorhoptrus oryzophilus)成虫
を10頭放った後、蓋をして25℃の恒温室に放置し
た。3日後に生存虫数を数えた。試験は3回行い、下記
の式(1)により死虫率を求め、最終的な死虫率を3回
の平均値をとることにより決定した。試験結果を表3に
示す。
47菌株を含んだ植物病害防除剤および害虫防除剤を散
布した植物は、各種植物病および害虫に対して高い防除
効果を有していた。
47(FERM P−18128)を見出したところに
特色を有する。バシルス sp.D747は、その培養
物(生菌体を含む)又はその培養分離生菌体を根、茎、
葉、種子などの植物体上、あるいはその栽培土壌中に存
在させることによって、きわめて広範囲に各種の植物病
害の発生を抑止し、害虫を防除することができ、かつ、
本発明のD747菌株を含んだ植物病害防除剤および害
虫防除剤を散布した植物は、各種植物病および害虫に対
して高い防除効果を有することとなる。
4)
747菌株は静岡県小笠郡菊川町の空気中から単離され
た菌株である。これらの菌株は後記する細菌学的性質を
もとに、Bergey’s Manual of Systematic Bacteriolog
y volume 1(1984)を参考に同定したところ、バシルス
属に属する新菌株であり、最初バシルス・セレウスに属
するのではないかと思われ、平成12年11月28日に
Bacillus cereus D747として工業技術院生命工学工業技
術研究所に寄託した。しかしながら、後日バシルス・セ
レウスに属することに疑問をもち、詳細に検討し、バシ
ルス属に属するまでの確信に至るのみであったので、平
成14年4月1日にBacillus sp. D747への記載事項変
更届を提出した。本発明のD747菌株は現在、独立行
政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センターにお
いて、Bacillus sp. D747(FERM BP−823
4)として寄託されている。(旧受託番号:FERM
所 特許生物寄託センター
所 特許生物寄託センター
Claims (3)
- 【請求項1】 バシルスsp.D747菌株。
- 【請求項2】 バシルスsp.D747菌株を有効菌と
して含有することを特徴とする植物病害防除剤。 - 【請求項3】 バシルスsp.D747菌株を有効菌と
して含有することを特徴とする害虫防除剤。
Priority Applications (13)
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