JP5198690B2 - バチルス属に属する菌株、微生物製剤、及び植物の栽培方法 - Google Patents

バチルス属に属する菌株、微生物製剤、及び植物の栽培方法 Download PDF

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Description

本発明は、植物病害防除、線虫防除及び植物成長促進に有用な新規な微生物に関する。さらに詳しく言えば、文献に開示されている近縁のバチルス・アミロリクエファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)に属する微生物に比べて格段に優れた植物病害防除作用、線虫防除作用及び/または植物成長促進作用の効果を示す新規な微生物である、バチルス・エスピー(Bacillus sp.)AT−332菌株及びバチルス・エスピー(Bacillus sp.)AT−79菌株、並びにこれらの微生物の菌体及び培養物を用いた植物病害防除剤、線虫防除剤及び植物成長促進剤に関する。
植物病害及び線虫の防除方法の主たるものは化学農薬を用いる方法であり、現在まで化学農薬が作物の安定生産を可能にしてきた。しかし、近年化学農薬の連続使用による環境への影響や耐性菌の出現など、既存の化学農薬では十分な防除が難しく、細菌性病害などの難防除病害の問題が大きくなってきている。そこで、化学農薬以外の防除方法として、自然界から分離した微生物を用いた生物的防除技術が注目され、いくつかの微生物農薬が製品化されている。しかしながら、既存の微生物農薬は化学農薬に比べると効果が安定しなかったり、適用病害が少ないという欠点がある。このような状況から、新しい適用病害を有し、安定した防除効果を示す新規な微生物農薬が望まれている。
微生物を用いた植物病害防除剤としては、タラロマイセス・フラバス(Talaromyces flavus)剤、シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)剤、非病原性エルビニア・カロトボーラ(Erwinia carotovora)剤、トリコデルマ・アトロビリデ(Trichoderma atroviride)剤、バチルス・シンプレクス(Bacillus simplex)剤、バチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)剤などが微生物農薬として登録され、使用されている。
微生物を用いた線虫防除剤としては、パスツーリア・ペネトランス(Pasteuria penetrans)剤、モノクロスポリウム・フィマトパガム(Monacrosporium phymatophagum)剤が微生物農薬として登録され、使用されている。
特許第2955655号明細書(特許文献1)には、バチルス・アミロリクエファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)に属する細菌を用いた植物病害防除剤が開示されている。この植物病害防除剤の有効成分は微生物の生産物であり、細菌自体は農薬として使用されていない。また、その防除対象は糸状菌による病害であり、細菌による病害の防除は記載されていない。また、特開2009−247302号公報(特許文献2)には、糸状菌性病害と細菌性病害を同時に防除でき、生菌体自体が有効である微生物農薬が開示されているが、線虫の防除に関しては記載されていない。
特許第3471815号明細書(特許文献3,WO98/050422)には、広範囲の植物病害に利用でき、コーンルートワームに有効であるバチルス属細菌を用いた植物病害防除剤が開示されているが、線虫の防除に関しては記載されていない。また、特許第4071036号明細書(特許文献4,US2004/265292)には、植物病害防除と害虫防除に利用できるバチルス・エスピーD747株が開示されているが、線虫の防除に関する記載はない。
特許第3471811号明細書(特許文献5,WO96/032840)には、バチルス属細菌を用いた線虫防除剤が開示されている。この線虫防除剤の有効成分は抗線虫活性を有するバチルス・ファーマス(Bacillus firmus)株の細菌または胞子であるが、植物病害防除に関しては記載されていない。また、特許第4359653号明細書(特許文献6,WO1997/012980)にはバチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)の新規株が産生する抗線虫性毒素による線虫制御方法が開示されているが、植物病害防除に関しては記載されていない。
一方、農業において、化学肥料は作物の収量に影響を及ぼす重要な農業資材であるが、使用された化学肥料成分の30〜50%は作物に利用されずに環境へ拡散し、河川の富栄養化、地下水の水質汚染等の原因となる。また、化学肥料の生産には、多量の化石燃料が使用されており、化石燃料の高騰と相まって、化学肥料のコストも高まってきている。さらに、窒素肥料の分解物である窒素酸化物(NOX)は、炭酸ガスに比べて約300倍の温室効果があるとされ、地球温暖化に対する懸念が問題化しつつある。また、今後世界的な人口増加により食料不足が予想され、作物の生産性を高めるための資材の使用は不可欠であり、既存の化学肥料を代替する、より環境にやさしい資材の必要性が高まっている。
このような状況に照らして、土壌微生物を利用して農作物の収量を高めるための研究は、主にリゾビウム属細菌(根粒菌)、シュードモナス属細菌、バチルス属細菌に関して広範囲に行われて来ているが、その効果の低さから、実用化されているものは極少ない。
以上のように、植物病害全般に効果を示し、線虫防除にも利用でき、かつ、植物の成長促進効果を有するバチルス属細菌はこれまで知られていない。
特許第2955655号明細書 特開2009−247302号公報 特許第3471815号明細書 特許第4071036号明細書 特許第3471811号明細書 特許第4359653号明細書
本発明の目的は、複数種の植物病害の発病抑制作用、線虫防除作用、及び/または植物の成長促進作用の効果を有する新規な微生物を自然界から分離し提供することにある。
本発明の他の目的は、前記の微生物を有効菌として含有し、生物農薬(微生物製剤)として使用できる植物病害防除剤、線虫防除剤及び植物成長促進剤を提供することにある。
本発明者らは、前記課題に鑑み鋭意研究を重ねた結果、複数種の植物病害の発病抑制作用、線虫防除作用及び植物成長促進作用効果を有するバチルス属に属する新菌株を自然界から分離することに成功し、本発明を完成させるに至った。
本発明は、下記1〜4の菌株、5〜8の微生物製剤、及び9の植物の栽培方法に関するものである。
1.配列番号2または3の塩基配列で示される16S rDNAを有することを特徴とする菌株。
2.菌株自体及び/または菌株の培養物が植物病害防除作用、線虫防除作用及び/または植物成長促進作用の効果を示す前項1に記載の菌株。
3.配列番号2の塩基配列で示される16S rDNAを有する前項1または2に記載のバチルス・エスピー(Bacillus sp.)AT−332菌株。
4.配列番号3の塩基配列で示される16S rDNAを有する前項1または2に記載のバチルス・エスピー(Bacillus sp.)AT−79菌株。
5.前項1〜4のいずれかに記載の菌株及び/または菌株の培養物を有効成分として含有する微生物製剤。
6.植物病害防除剤である前項5に記載の微生物製剤。
7.線虫防除剤である前項5に記載の微生物製剤。
8.植物成長促進剤である前項5に記載の微生物製剤。
9.前項5〜8のいずれかに記載の微生物製剤で植物を処理する植物の栽培方法。
本発明のバチルス・エスピーAT−332菌株及びAT−79菌株は、その培養物(生菌体を含む)またはその培養分離生菌体を根、茎、葉、種子、果実などの植物体上、あるいはその栽培土壌中に存在させることによって、極めて広範囲に各種の植物病害の発生を抑止し、かつ線虫を防除することができ、さらに有用植物の成長を促進することができる。
バチルス・エスピー(Bacillus sp.)AT−332菌株及びAT−79菌株の16S rDNA塩基配列を用いた分子系統樹を示す。図中、枝の分岐付近の数字がブートストラップ値であり、左下の線はスケールバーを示す。 (a)〜(d)は基礎試験(実施例12、比較例12〜13)におけるAT−332菌株の植物成長促進効果を示す写真である。 ポット試験(実施例13)におけるAT−332及びAT−79菌株のハクサイの成長促進効果を示す。
本発明者らは、各種植物病害に対する非常に広い抗菌スペクトラムを有し、かつ抗線虫活性を示し、かつ植物成長促進効果を有する安全性が高い優れた微生物農薬及び/または微生物肥料を新たに開発する目的で、各種植物、土壌等から微生物をスクリーニングした。その結果、茨城県内で採取した土壌より分離した菌株が各種植物病害菌に対して幅広い抗菌活性を示し、かつ線虫に対しても高い殺線虫活性を示し、かつ植物成長促進効果を有するという有用な知見を得た。
このようにして新たに分離した両菌株(AT−332菌株及びAT−79菌株)は、後記する細菌学的性質から明らかなように、運動性を有するグラム陽性桿菌で、好気条件下で生育し芽胞を形成した。また、カタラーゼ反応及びオキシダーゼ反応はともに陽性であった。さらに16S rDNAの5’末端側約1500bpの塩基配列に基づく同定の結果、バチルス・アミロリクエファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)に近縁なバチルス属の新規菌株と認められた。幅広い植物病害に効果を示し、かつ線虫に対しても高い防除効果を示し、かつ植物成長促進効果を有するという卓越した特徴を示すことから、このAT−332菌株及びAT−79菌株を新規菌株と同定し、バチルス・アミロリクエファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)に近縁なバチルスsp.AT−332及びAT−79菌株と命名した。
本発明に係る新規菌株AT−332菌株及びAT−79菌株は、受託機関、独立行政法人 製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センター(〒292−0818日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2−5−8)にバチルス・エスピー(Bacillus sp.)AT−332及びAT−79として寄託されている(原寄託日(受託日):2011年5月2日,受託番号:NITE BP−1095及びNITE BP−1094)。
バチルス・エスピー(Bacillus sp.)AT−332(NITE BP−1095)の細菌学的性質は、次の通りである。なお、細菌学的性質は以下の文献を参照して決定した。
プリースト(エフ.ジー),グッドフェロー(エム.),シュート(エル.エー),バークレー(アール.シー.ダブリュ):バチルス・アミロリクエファシエンス・エスピー・ノブ.,ノム.レヴ.インターナショナル・ジャーナル・オブ・システマティック・バクテリオロジー,1987,37,69−71(PRIEST(F.G.), GOODFELLOW(M.), SHUTE(L.A.) and BERKELEY(R.C.W.): Bacillus amyloliquefaciens sp. nov., nom. rev. Int. J. Syst. Bacteriol., 1987, 37, 69-71.)及び
バージーズ・マニュアル・オブ・システマティック・バクテリオロジー,第2版,第3巻(Bergey's Manual of Systematic Bacteriology, Second Edition volume 3.)。
(1)形態学的性質
形態:桿菌、
大きさ:幅0.8〜0.9μm、長さ1.5〜2.0μm、
運動性:+、
鞭毛の着生状態:周毛、
胞子の有無:+(準端立)。
(2)培養的性質
培地:ニュートリエント・アガー(nutrient agar)培地(30℃)、
形:円形、
隆起状態:扁平状、
周縁:全縁、
表面の形状:スムーズ、
粘稠度:粘稠性、
透明度:不透明、
色調:クリーム色、
光沢:無光沢、
色素産生:非産生。
(3)生理学的性質
グラム染色性:+、
硝酸塩の還元:−、
脱窒反応:−、
MRテスト:−、
VPテスト:+、
インドールの生成:−、
硫化水素の生成:−、
デンプンの加水分解:+、
クエン酸の利用:−(コーサー(Koser))、
+(クリステンセン(Christensen))、
無機窒素源の利用:−(硝酸塩)、
+(アンモニウム塩)、
ウレアーゼ:−、
オキシダーゼ:+、
カタラーゼ:+、
生育の範囲 pH5:+、
pH8:+、
pH9:+、
生育の温度 37℃:+、
45℃:+、
50℃:+、
55℃:−、
嫌気状態での生育:−、
OFテスト(酸化/発酵):−/−、
糖類からの酸産生/ガス産生:
L−アラビノース:+/−、
D−グルコース:+/−、
D−フラクトース:+/−、
マルトース:+/−、
ラクトース:−/−、
D−ソルビトース:+/−、
イノシトール:+/−、
D−キシロース:+/−、
D−マンノース:+/−、
D−ガラクトース:−/−、
サッカロース:+/−、
トレハロース:+/−、
D−マンニトール:+/−、
グリセリン:+/−、
β−ガラクトシダーゼ活性:−、
アルギニンジヒドロラーゼ活性:−、
リジンデカルボキシラーゼ活性:−、
トリプトファンデアミナーゼ活性:−、
ゼラチナーゼ活性:+。
バチルス・エスピー(Bacillus sp.)AT−79(NITE BP−1094)の細菌学的性質は、次の通りである。
(1)形態学的性質
形態:桿菌、
大きさ:幅0.8〜0.9μm、長さ1.5〜2.0μm、
運動性:+、
鞭毛の着生状態:周毛、
胞子の有無:+(準端立)。
(2)培養的性質
培地:ニュートリエント・アガー(nutrient agar)培地(30℃)、
形:円形、
隆起状態:扁平状、
周縁:全縁、
表面の形状:スムーズ、
粘稠度:粘稠性、
透明度:不透明、
色調:クリーム色、
光沢:無光沢、
色素産生:非産生。
(3)生理学的性質
グラム染色性:+、
硝酸塩の還元:−、
脱窒反応:−、
MRテスト:−、
VPテスト:+、
インドールの生成:−、
硫化水素の生成:−、
デンプンの加水分解:+、
クエン酸の利用:−(コーサー(Koser))、
+(クリステンセン(Christensen))、
無機窒素源の利用:−(硝酸塩)、
+(アンモニウム塩)、
ウレアーゼ:−、
オキシダーゼ:+、
カタラーゼ:+、
生育の範囲 pH5:+、
pH8:+、
pH9:+、
生育の温度 37℃:+、
45℃:+、
50℃:+、
55℃:−、
嫌気状態での生育:−、
OFテスト(酸化/発酵):−/−、
糖類からの酸産生/ガス産生:
L−アラビノース:+/−、
D−グルコース:+/−、
D−フラクトース:+/−、
マルトース:+/−、
ラクトース:−/−、
D−ソルビトース:+/−、
イノシトール:+/−、
D−キシロース:+/−、
D−マンノース:+/−、
D−ガラクトース:−/−、
サッカロース:+/−、
トレハロース:+/−、
D−マンニトール:+/−、
グリセリン:+/−、
β−ガラクトシダーゼ活性:−、
アルギニンジヒドロラーゼ活性:−、
リジンデカルボキシラーゼ活性:−、
トリプトファンデアミナーゼ活性:−、
ゼラチナーゼ活性:+。
本発明のバチルス・エスピーAT−332菌株の5’末端側16S rDNAの塩基配列は配列番号2で示され、バチルス・エスピーAT−79菌株の5’末端側16S rDNAの塩基配列は配列番号3で示される。
配列番号2と3とは、塩基番号444と1242の2箇所の塩基のみが異なる。444番の塩基が、配列番号2はグアニン(g)で、配列番号3はアデニン(a)であり、1242番の塩基が、配列番号2はアデニン(a)であり、配列番号3はグアニン(g)である。
従って、本発明に係る微生物は、上記配列番号2及び配列番号3の配列を含む配列番号1の塩基配列で示される(すなわち、番号444と1242の塩基がrで示される)5’末端側16S rDNAを有するものとし特徴づけることができる。
本発明において、16S rDNA塩基配列の解析は以下のように行った。
DNA抽出はインスタジーン・マトリックス(InstaGene Matrix)(バイオラッド(BIO RAD)社製,カルフォニア(CA),米国)により、PCRはプライムスターHS・DNAポリメラーゼ(PrimeSTAR HS DNA Polymerase)(タカラバイオ社製)により、サイクルシークエンスはビッグダイ・ターミネーター・ヴァージョン3.1サイクル・シークエンシング・キット(BigDye Terminator v3.1 Cycle Sequencing Kit)(アプライド・バイオシステム(Applied Biosystems)社製,カルフォニア(CA),米国)により、それぞれ実施した。使用プライマー(中川恭好他:遺伝子解析法 16S rRNA遺伝子の塩基配列決定法,日本放線菌学会編,放線菌の分類と同定,88-117pp.日本学会事務センター,2001)は、9F、339F,785F、1099F、536R、802R、1242R、及び1541Rである。シークエンスはエービーアイ・プリズム3100・ジェネティック・アナライザー・システム(ABI PRISM 3100 Genetic Analyzer System)(アプライド・バイオシステム(Applied Biosystems)社製,カルフォニア(CA),米国)により行った。
BLAST(ALTSCHUL,(S.F.)他: Gapped BLAST and PSI-BLAST: a new generation of protein database search programs.Nucleic Acid Res.1997.25,3389-3402)を用いた国際塩基配列データベース(GenBank/DDBJ/EMBL)に対する相同性検索の結果、AT−332菌株及びAT−79菌株の16S rDNA塩基配列はバチルス属由来の16S rDNAに対して高い相同性を示し、バチルス・アミロリクエファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)BCRC11601株の16S rDNAに対し、いずれも相同率99.9%と最も高い相同性を示した。一方、国際塩基配列データベース(GenBank/DDBJ/EMBL)に対する相同性検索の結果、AT−332菌株及びAT−79菌株はバチルス属由来の16S rDNA塩基配列に完全に一致する16S rDNA塩基配列は検索されなかった。
本発明において、分子系統解析は以下のように行った。
上記で得られた16S rDNAの塩基配列約1500bpを用い、推定される近縁菌群の基準株由来の16S rDNAを国際塩基配列データベース(GenBank/DDBJ/EMBL)より取得して、分子系統樹解析を実施した。
分子系統樹推定に用いた16S rDNAの由来菌株は以下の通りである。
・バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)IAM12118T(AB042061)
・バチルス・サブチリス・亜種スピジゼニイ(Bacillus subtilis subsp.spizizenii)NBRC101239T(AB325584)
・バチルス・モジャベンシス(Bacillus mojavensis)IFO15718 T(AB021191)
・バチルス・バリスモルティス(Bacillus vallismortis)DSM11031 T(AB021198)
・バチルス・アミロリクエファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)BCRC11601 T(EF433406)
・バチルス・アトロフェウス(Bacillus atrophaeus)JCM9070 T(AB021181)
・バチルス・アエロフィラス(Bacillus aerophilus)28K T(AJ831844)
・バチルス・ソノレンシス(Bacillus sonorensis)BCRC17416 T(EF433411)
・バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)DSM13 T(AE017333)
・バチルス・アルチツジニス(Bacillus altitudinis)41KF2b T(AJ831842)
・バチルス・セレウス(Bacillus cereus)ATCC14579 T(NC_004722)BSL2
株名の末尾のTはその種の基準株を示す。BSLはバイオセーフティレベル(レベル2以上を表記)であることを示す。括弧内はアクセッション番号を示す。
得られた分子系統樹を図1に示す。
枝の分岐付近の数字がブートストラップ値であり、左下の線はスケールバーを示す。
AT−332菌株及びAT−79菌株は、前述の通り硝酸塩を還元しない性質を有することから、バージーズ・マニュアル(Bergey's Manual)記載の菌学的性質はバチルス・アミノリクエファシエンスと完全には一致しなかった。また、16S rDNA解析結果からAT−332菌株及びAT−79菌株はバチルス・アミノリクエファシエンスの近縁と考えられるものの、バチルス・アミノリクエファシエンスとは断定できず、AT−332菌株及びAT−79菌株をバチルス属の新菌株とした。
本発明のバチルス・エスピーAT−332菌株及びAT−79菌株は、固形培地上での静置培養、液体培養等の公知の手段で増殖させることができ、利用できる培地の種類、培養条件等は本細菌が生存し増殖するものであれば、特に制限されない。例えば、肉エキス培地などの一般的な培地の他、グルコース、ペプトン、イーストエキスを含む培地などが挙げられる。また、液体培地以外に寒天入りの斜面培地及び平板培地等の固形培地を用いてもよい。
培地の炭素源としては、上記菌株が資化し得るあらゆるものが利用可能である。具体的にはグルコース、ガラクトース、ラクトース、スクロース、マルトース、麦芽エキス、廃糖蜜、水あめ、澱粉加水分解物などの糖の外に、AT−332菌株及びAT−79菌株が利用し得る各種の合成または天然炭素源を挙げられる。
培地の窒素源としても、同様に、ペプトン、肉エキス、酵母エキス、大豆粉、コーンスティープリカーなどの有機窒素含有物をはじめ、該菌株が利用し得る各種の合成または天然物を利用可能である。
また、微生物培養の常法に従って、食塩、リン酸塩などの無機塩類、カルシウム、マグネシウム、鉄などの金属の塩類、ビタミン、アミノ酸などの微量栄養源も必要に応じて添加することができる。
培養は、振とう培養、通気培養などの好気的条件下で行なうことができる。培養温度は20〜40℃、好ましくは25〜35℃、pHは5〜8、好ましくは6〜7、培養期間は1〜4日、好ましくは2〜3日である。
本発明のバチルス・エスピーAT−332菌株及びAT−79菌株の菌体を含む培養物は各種の植物病害を抑止し、また線虫を防除し、有用植物の成長を促進する性質を有する。
本発明のバチルス・エスピーAT−332菌株及びAT−79菌株の菌体を含む培養物、培養物と他成分の混合物等の処理物、培養物を遠心分離処理した菌体もしくはその洗浄菌体等の培養分離菌体、培養分離菌体と他成分の混合物等の処理物、及び液体や固体によるこれらの希釈物等を、根、茎、葉、種子、果実等の植物体上、あるいはその栽培土壌中に存在させることにより、各種の植物病害を抑止し、線虫を防除することができる。
本発明のバチルス・エスピーAT−332菌株及びAT−79菌株は、細菌が生存していれば、栄養細胞の状態であっても、芽胞の状態であっても、あるいは共存している状態であっても植物病害防除剤、線虫防除剤及び植物成長促進剤として利用可能である。また、培養したまま培地成分が混在していても、蒸留水などで洗浄して細菌細胞以外の成分を除去した状態でも利用できる。
本発明のバチルス・エスピーAT−332菌株及びAT−79菌株は施用形態により、卵菌類(Oomycetes)、子嚢菌類(Ascomycetes)、担子菌類(Basidiomycetes)及び不完全菌類(Deuteromycetes)に属する菌類及び細菌類に起因する植物の病害、及びナミクキセンチュウ(Ditylenchus dipsaci)、イモグサレセンチュウ(Ditylenchus destructor)、ネグサレセンチュウ(Pratylenchus sp.)、ネコブセンチュウ(Meloidogyne sp.)、シストセンチュウ(Heterodera sp.)及びシストセンチュウ(Globodera spp.)などの植物寄生性線虫を防除することができる。また同時に、穀物、野菜、果物、花、豆類の生育を促進することができる。
本発明のバチルス・エスピーAT−332菌株及びAT−79菌株が防除することができる病害の原因菌として、具体的には、イネのいもち病菌(Pyricularia oryzae)、ごま葉枯病菌(Cochliobolus miyabeanus)、紋枯病菌(Rhizoctonia solani)、馬鹿苗病菌(Gibberella fujikuroi)、ムギ類のうどんこ病菌(Erysiphe graminis f.sp. hordei, Erysiphe graminis f.sp. tritici)、さび病菌(Puccinia striiformis, Puccinia graminis, Puccinia recondita f.sp. tritici, Puccinia hordei)、赤かび病菌(Gibberella zeae)、網斑病菌(Pyrenophorateres)、雪腐病菌(Typhula incarnata, Typhula ishikariensis, Sclerotiniaborealis, Micronectriella nivalis)、裸黒穂病菌(Ustilago nuda)、なまぐさ黒穂病菌(Tilletia caries, Tilletia toetida)、眼紋病菌(Tapesia yallundea)、雲形病菌(Phynchosporium secalis f.sp. hordei)、葉枯病菌(Septoria tritici)、ふ枯病菌(Lentosphaeria nodorum)、カンキツの黒点病菌(Diaporthe citri)、そうか病菌(Elsinoe fawcettii)、褐色腐敗病菌(Phytophthora citrophthora)、緑かび病菌(Penicillium digitatum)、青かび病菌(Penicillium italicum)、リンゴのモニリア病菌(Monilinia mali)、腐らん病菌(Valsa ceratosperma)、うどんこ病菌(Podosphaera leucotricha)、斑点落葉病菌(Alternaria alternataapple pathotype)、黒星病菌(Venturia inaequalis)、赤星病菌(Gymnosporangium yamadae)、輪紋病菌(Botriophaeria berengeriana f.sp. piricola)、すす点病菌(Zygophiala jamaicensis)、すす斑病菌(Gloeodes pomigena)、黒点病菌(Mycosphaerella pomi)、炭そ病菌(Glomerella cingulata)、褐斑病菌(Diplocarponmali)、ナシの黒星病菌(Venturia nashicola)、黒斑病菌(Alternaria alternatajapanese pear pathotype)、輪紋病菌(Physalospora piricola)、赤星病菌(Gymnosporangium asiaticum)、モモの灰星病菌(Monilinia fructicola)、黒星病菌(Cladosporium carpophilum)、フォモプシス腐敗病菌(Phomopsis sp.)、ブドウの褐斑病菌(Pseudocercospora vitis)、輪紋病菌(Marssonina viticola)、黒とう病菌(Elsinoe ampelina)、晩腐病菌(Glomerella cingulata)、うどんこ病菌(Uncinula necator)、さび病菌(Phakopsora ampelopsidis)、枝膨病菌(Phomopsis sp.)、カキのうどんこ病菌(Phyllactinia kakicola)、炭そ病菌(Colletotrichum gloeosporioides)、角斑落葉病菌(Cercospora kaki)、丸星落葉病菌(Mycosphaerella nawae)、ウメの黒星病菌(Cladosporium carpophilum)、オウトウの灰星病菌(Monilinia fructicola)、ウリ類のうどんこ病菌(Sphaerotheca fuliginea)、つる枯病菌(Didymella bryoniae)、炭そ病菌(Colletotorichum legenarium)、トマト輪紋病菌(Alternaria solani)、葉かび病菌(Cladosporium fulvum)、ナスの褐紋病菌(Phomopsis vexans)、うどんこ病菌(Erysiphe cichoracearum)、アブラナ科野菜の黒斑病菌(Alternaria japonica, Alternaria bracicae, Alternaria brassicicola)、白斑病菌(Cercosporella brassicae)、ネギのさび病菌(Pucciniaallii)、ショウガの根茎腐敗病菌(Pyrhium ultimum, Pythium zigiberis)、イチゴのうどんこ病菌(Sphaerotheca humuli)、炭そ病菌(Glomerella cingulata)、ダイズの紫斑病菌(Cercospora kikuchii)、黒とう病菌(Elsinoe glycines)、黒点病菌(Diaporthe phaseolorum var. sojae)、アズキの褐斑病菌(Cercospora canescens)、さび病菌(Uromyces phaseoli var. azukicola)、インゲンの炭そ病菌(Colletotrichum lindemuthianum)、ラッカセイの黒渋病菌(Cercosporidium personatum)、褐斑病菌(Cercospora arachidicola)、そうか病菌(Shaceloma arachidis)、エンドウのうどんこ病菌(Erysiphe pisi)、ジャガイモの夏疫病菌(Alternaria solani)、チャの網もち病菌 (Exobasidium reticulatum)、白星病菌(Elsinoe leucospila)、輪斑病菌(Pestalotiopsis theae, Pestalotiopsis longiseta)、タバコの赤星病菌(Alternaria longipes)、うどんこ病菌(Erysiphe cichoracearum)、炭そ病菌(Colletotrichum gloeosporioides)、テンサイの褐斑病菌(Cercospora beticola)、シバのカーブラリア葉枯病菌(Curvularia geniculata)、疑似葉枯病菌(Ceratobasidium spp.)、バラの黒星病菌(Diplocarpon rosae)、うどんこ病菌(Shaerotheca pannosa)、キクの褐斑病菌(Septoria obesa)、白さび病菌(Puccinia horiana)、種々の作物の灰色かび病菌(Botrytis cinerea)、菌核病菌(Sclerotinia sclerotiorum)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明における植物病害防除剤には、収穫後の保存中における農作物、特に果実等の腐敗を防止するためのポストハーベスト病害防除剤も含まれる。本発明のポストハーベスト病害防止剤が適用される農作物の種類は何ら限定されないが、例としては、イチゴ、ブドウ、イチジク、カンキツ類、桃、メロン、西瓜、リンゴ、ナシ、バナナ、パイナップル等の果物、キュウリ、トマト、ハクサイ、キャベツ、ネギ、玉ネギ、ニンジン、大根、生姜、ピーマン、ナス、カボチャ、もやし等の野菜が挙げられる。ポストハーベスト病害を引き起こすカビの種類は何ら制限されないが、例としては、Botrytis cinereaColletotrichum gloeosporioidesAlternaria alternata等が挙げられる。
本発明のバチルスsp.AT−332菌株及びAT−79菌株が防除することができる線虫として、特に植物寄生性線虫、例えば、ネコブセンチュウ類のMeloidogyne haplaMeloidogyne incognitaMeloidogyne javanica、及び他のMeloidogyne種;シスト形成センチュウ類のGlobodera rostochiensis及び他のGlobodera種;Heterodera avenaeHeterodera glycinesHeterodera schachtiiHeterodera trifolii、及び他のHeterodera種;種子えい瘤センチュウ類のAnguina種;クキ及びハセンチュウ類のAphelenchoides種;刺毛センチュウ類のBelonolaimus longicaudatus及び他のBelonolaimus種;マツセンチュウ類のBursaphelenchus xylophilus及び他のBursaphelenchus種;ワセンチュウ類のCriconema種、Criconemella種、Criconemoides種、Mesocriconema種;クキ及びリンケイセンチュウ類のDitylenchus destructorDitylenchus dipsaci、及び他のDitylenchus種;突錐センチュウ類(awl nematodes)類のDolichodorus種;ラセンセンチュウ類のHeliocotylenchus multicinctus及び他のHelicotylenchus種;鞘及び鞘様センチュウ類(sheath and sheathoid nematodes)のHemicycliophora種及びHemicriconemoides種;Hirshmanniella種;ヤリセンチュウ類のHoploaimus種;ニセネコブセンチュウ類のNacobbus種;ハリセンチュウ類のLongidorus elongatus及び他のLongidorus種;ネグサレセンチュウ類のPratylenchus neglectusPratylenchus penetransPratylenchus curvitatusPratylenchus goodeyi、及び他のPratylenchus種;ネモグリセンチュウ類のRadopholus similis及び他のRadopholus種;ニセフクロセンチュウ類のRotylenchus robustus及び他のRotylenchus種;Scutellonema種;ユミハリセンチュウ類(stubby root nematodes)のTrichodorus primitivus及び他のTrichodorus種、Paratrichodorus種;イシュクセンチュウ類のTylenchorhynchus claytoniTylenchorhynchus dubius、及び他のTylenchorhynchus種;ミカンセンチュウ類のTylenchulus種;オオハリセンチュウ類のXiphinema種等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明のバチルス・エスピーAT−332菌株及びAT−79菌株は、Meloidogyne種、Globodera種、Heterodera種、Pratylenchus種、Radopholus種、Rotylenchus種、及びTylenchulus種の防除にとりわけ有用であり、特にMeloidogyne種、Pratylenchus種、Globodera種、及びHeterodera種の駆除に好ましく使用される。
本発明のバチルスsp.AT−332菌株及びAT−79菌株が成長促進することができる作物としては、穀物、例えばイネ、コムギ、トウモロコシ、野菜類、例えばニンジン、キュウリ、ダイコン、カボチャ、レタス、ナス、トマト、キャベツ、ジャガイモ、ハクサイ、シュンギク、コマツナ、ピーマン、ネギ、タマネギ、ショウガ、ニンニク、イチゴ、キノコ類、例えばシイタケ、果樹類、例えばカキ、ナシ、ミカン、ブドウ、リンゴ、モモ、花卉類、例えばキク、チューリップ、バラ、豆類、例えばダイズ、ゴマ、ラッカセイなどが挙げられる。
本発明の植物病害防除剤、線虫防除剤及び植物成長促進剤は、上記のように植物病害や線虫を防除でき、植物成長促進効果を有するバチルス・エスピーAT−332菌株及びAT−79菌株を有効菌として含有するものである。
本発明の植物病害防除剤、線虫防除剤及び植物成長促進剤において、AT−332菌株またはAT−79菌株を単体で使用することもできるが、両菌株を併用することもできる。また、それぞれの変異体をも使用することができる。変異体とは、上記AT−332菌株及びAT−79菌株の細菌学的特性を有し、植物病害防除作用、線虫防除作用及び植物成長促進作用を有するものであり、自然突然変異株、紫外線や化学変異剤による突然変異株、また細胞融合株及び遺伝子組み替え株等が利用可能である。
本発明の植物病害防除剤、線虫防除剤及び植物成長促進剤において、AT−332菌株及びAT−79菌株の生菌を使用する場合、105〜1010個/mlの濃度で植物体に添加されることが好ましい。
また、AT−332菌株及び/またはAT−79菌株の培養物を使用する場合、その適用量は上記生菌の場合に準じて適宜決定することができる。
本発明の微生物製剤(植物病害防除剤、線虫防除剤及び植物成長促進剤)は、AT−332菌株及びAT−79菌株の菌体及び/または培養物を単独で用いる他、不活性な液体または固体の担体で希釈し、必要に応じて界面活性剤、分散剤、その他の補助剤を加えた薬剤として用いてもよい。具体的な製剤例としては、粒剤、粉剤、水和剤、懸濁製剤、乳剤等の剤型等が挙げられる。
担体としては、例えば、タルク、ベントナイト、カオリン、クレー、珪藻士、ホワイトカーボン、バーミキュライト、消石灰、硫安、珪砂、尿素、多孔質な固体担体、水、イソプロピルアルコール、メチルナフタレン、キシレン、シクロヘキサノン、アルキレングリコールなどの液体担体等が挙げられる。界面活性剤及び分散剤としては、例えばジナフチルメタンスルホン酸塩、アルコール硫酸エステル塩、リグニンスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩、ポリオキシエチレングリコールエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノアルキレート、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル等があげられる。補助剤としては、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、アラビアゴム、キサンタンガム等、保護剤としてはスキムミルク、pH緩衝剤等が挙げられる。この場合、AT−332菌株の生菌体の量及び/またはその培養物の量、さらには適用時期及び適用量は上記生菌の場合に準じて適宜決定することができる。
本発明の微生物製剤(植物病害防除剤、線虫防除剤及び植物成長促進剤)は、必要に応じて本発明の有効成分以外の有効成分、例えば殺虫剤、他の殺菌剤、除草剤、植物生長調節剤、肥料等を含むことができる。また、本発明の植物病害防除剤及び線虫防除剤は、AT−332菌株及び/またはAT−79菌株とともに、他の種類の菌株を含有してもよい。
殺菌剤成分としては、例えば、ビテルタノール、ブロムコナゾール、シプロコナゾール、ジフェノコナゾール、ジニコナゾール、エニルコナゾール、エポキシコナゾール、フルキンコナゾール、フェンブコナゾール、フルシラゾール、フルトリアホール、ヘキサコナゾール、イミベンコナゾール、イプコナゾール、メトコナゾール、ミクロブタニル、ペンコナゾール、プロピコナゾール、プロチオコナゾール、シメコナゾール、トリアジメホン、トリアジメノール、テブコナゾール、テトラコナゾール、トリチコナゾール、プロクロラズ、ペフラゾエート、イマザリル、トリフルミゾール、シアゾファミド、ベノミル、カルベンダジム、チアベンダゾール、フベリダゾール、エタボキサム、エトリジアゾール、オキスポコナゾールフマル酸、ヒメキサゾール、アゾキシストロビン、ジモキシストロビン、エネストロブリン、フルオキサストロビン、クレソキシムメチル、メトミノストロビン、オリザストロビン、ピコキシストロビン、ピラクロストロビン、トリフロキシストロビン、カルボキシン、ベナラキシル、ボスカリド、ビキサフェン、フェンヘキサミド、フルトラニル、フラメトピル、メプロニル、メタラキシル、メフェノキサム、オフラセ、オキサジキシル、オキシカルボキシン、ペンチオピラド、チフルザミド、チアジニル、ジメトモルフ、フルモルフ、フルメトベル、フルオピコリド、カルプロパミド、ジクロシメット、マンジプロパミド、フルアジナム、ピリフェノックス、ブピリメート、シプロジニル、フェナリモル、フェリムゾン、メパニピリム、ヌアリモール、ピリメタニル、トリホリン、フェンピクロニル、フルジオキソニル、アルジモルフ、ドデモルフ、フェンプロピモルフ、トリデモルフ、フェンプロピジン、イプロジオン、プロシミドン、ビンクロゾリン、ファモキサドン、フェナミドン、オクチリノン、プロベナゾール、アニラジン、ジクロメジン、ピロキロン、プロキナジド、トリシクラゾール、カプタホル、キャブタン、ダゾメット、ホルペット、フェノキサニル、キノキシフェン、アミスルブロム、マンゼブ、マンネブ、メタム、メチラム、ファーバム、プロピネブ、チウラム、ジネブ、ジラム、ジエトフェンカルブ、イプロバリカルブ、ベンチアバリカルブイソプロピル、プロパモカルブ塩酸塩、チオファネートメチル、ピリベンカルブ、ボルドー液、塩基性塩化銅、塩基性硫酸銅、水酸化第二銅、8−ヒドロキシキノリン銅、ドジン、イミノクタジンアルベシル酸塩、イミノクタジン酢酸塩、グアザチン、カスガマイシン、ストレプトマイシン、ポリオキシン、オキシテトラサイクリン、バリダマイシンA、ビナパクリル、ジノカップ、ジノブトン、ジチアノン、イソプロチオラン、エジフェンホス、イプロベンホス、ホセチル、ホセチルアルミニウム、ピラゾホス、トルクロホスメチル、クロロタロニル、ジクロフルアニド、フルスルファミド、ヘキサクロロベンゼン、フサライド、ペンシクロン、キントゼン、シフルフェナミド、シモキサニル、ジメチリモール、エチリモール、フララキシル、メトラフェノン、スピロキサミン、アンバム、硫黄、石灰硫黄合剤、エクロメゾール、炭酸水素カリウム、炭酸水素カルシウム、チアジアジン、チクロフタラム、トリアジン、ノニルフェノールスルホン酸銅、ヒドロキシイソキサゾール、フルオルイミド、ポリカ一バメート、メタスルホカルブ、EDDP、IBP、トルフェンピラド、フルオピラム、イソチアニル、及びイソピラザムが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
殺虫剤成分としては、例えば、アセタミプリド、ピメトロジン、フェニトロチオン、アセフェート、カルバリル、メソミル、カルタップ、シハロトリン、エトフェンプロックス、テフルベンズロン、フルベンジアミド、フルフェノクスロン、テブフェノジド、フェンピロキシメート、ピリダベン、イミダクロプリド、ブプロフェジン、BPMC、MIPC、マラチオン、メチダチオン、フェンチオン、ダイアジノン、オキシデプロホス、バミドチオン、エチオフェンカルブ、ピリミカーブ、ペルメトリン、シペルメトリン、ビフェントリン、ハルフェンプロックス、シラフルオフェン、ニテンピラム、クロルフルアズロン、メトキシフェノジド、テブフェンピラド、ピリミジフェン、ケルセン、プロパルギット、ヘキシチアゾクス、クロフェンテジン、スピノサド、ミルベメクチン、BT(バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis))、インドキサカルブ、メタフルミゾン、クロルフェナピル、フィプロニル、エトキサゾール、アセキノシル、ピリミホスメチル、アクリナトリン、キノメチオネート、クロルピリホス、アバメクチン、エマメクチン安息香酸塩、酸化フェンブタスズ、テルブホス、エトプロホス、カズサホス、フェナミフォス、フェンスルフォチオン、DSP、ジクロフェンチオン、ホスチアゼート、オキサミル、イサミドホス、ホスチエタン、イサゾホス、チオナジン、ベンフラカルブ、スピロジクロフェン、エチオフェンカルブ、アジンホスメチル、ジスルホトン、メチオカルブ、オキシジメトン・メチル、パラチオン、シフルトリン、ベータ・シフルトリン、テブピリムホス、スピロメシフェン、エンドスルファン、アミトラズ、トラロメトリン、アセトプロール、エチプロール、エチオン、トリクロルホン、メタミドホス、ジクロルボス、メビンホス、モノクロトホス、ジメトエート、フォルメタネート、ホルモチオン、メカルバム、チオメトン、ジスルホトン、ナレッド、メチルパラチオン、シアノホス、ジアミダホス、アルベンダゾール、オキシベンダゾール、フェンベンダゾール、オクスフェンダゾール、プロパホス、スルプロホス、プロチオホス、プロフェノホス、イソフェンホス、テメホス、フェントエート、ジメチルビンホス、クロルフェビンホス、テトラクロルビンホス、ホキシム、インキサチオン、ピラクロホス、クロルピリホス、ピリダフェンチオン、ホサロン、ホスメット、ジオキサベンゾホス、キナルホス、ピレトリン、アレスリン、プラレトリン、レスメトリン、ペルメトリン、テフルトリン、フェンプロパトリン、アルファシペルメトリン、ラムダ・シハルトリン、デルタメトリン、フェンバレレート、エスフェンバレレート、フルシトリネート、フルバリネート、シクロプロトリン、チオジカルブ、アルジカルブ、アラニカルブ、メトルカルブ、キシリカルブ、プロポキスル、フェノキシカルブ、フェノチオカルブ、ビフェナゼート、カルボフラン、カルボスルファン、硫黄、ピリフルキナゾン、フラチオカルブ、ジアフェンチウロン、ジフルベンズロン、ヘキサフルムロン、ノバルロン、ルフェヌロン、クロルフルアズロン、水酸化トリシクロヘキシルスズ、オレイン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム、メトプレン、ハイドロプレン、ビナパクリル、アミトラズ、クロルベンジレート、フェニソブロモレート、テトラジホン、ベンスルタップ、ベンゾメート、クロマフェノジド、ハロフェノジド、エンドスルファン、ジオフェノラン、トルフェンピラド、トリアザメート、硫酸ニコチン、チアクロプリド、チアメトキサム、クロチアニジン、ジノテフラン、フルアジナム、ピリプロキシフェン、フルアクリピリム、ヒドラメチルノン、シロマジン、TPIC、チオシクラム、フェナザキン、ポリナクチン複合体、アザディラクチン、ロテノン、ヒドロキシプロピルデンプン、メスルフェンホス、ホスホカルブ、イソアミドホス、アルドキシカルブ、メタム・ナトリウム、酒石酸モランテル、ダゾメット、塩酸レバミゾール、トリクラミド、トルフェンピラド、ピリダリル、クロラントラニリプロール、シエノピラフェン、及びシフルメトフェンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明の植物病害防除剤、線虫防除剤及び植物成長促進剤は、そのまま直接施用するか、あるいは水などで希釈して施用することができる。植物病害防除剤、線虫防除剤及び植物成長促進剤の施用方法は、特に限定されず、例えば、直接植物や害虫に散布する方法、土壌に散布する方法、植物や土壌に添加する水や肥料に添加する方法、種子にコーティングする方法などが挙げられる。その他、製剤の施用量は、対象病害、対象害虫、対象作物、施用方法、発生傾向、被害の程度、環境条件、使用する剤型などによって変動するので、適宜調整することが好ましい。
以上のように、本発明のバチルス・エスピーAT−332菌株及びAT−79菌株は、広い病害及び線虫防除スペクトラムを有し、複数種の植物病害や線虫を防除することができ、かつ有用植物の成長を促進することができる。これらの菌株を含有する本発明の植物病害防除剤、線虫防除剤及び植物成長促進剤は、環境に対して安全性が高く、複数種の病害や線虫に対して防除効果を有するので、他の併用手段を用いなくても広く病害や線虫を防止することができ、かつ有用植物の生育を促進できる生物農薬及び/または生物肥料として使用できる。
本発明を、以下の製造例、製剤例、実施例及び比較例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
[AT−332菌株及びAT−79菌株の培養]
AT−332菌株及びAT−79菌株を植物根を含む土壌より分離した。
詳細に述べると、2009年8月に日本国茨城県守谷市の土壌を採取し、熱処理(80℃、10分間)することにより得られた乾燥土壌1gを滅菌水で懸濁した。その懸濁液を102〜104倍に希釈し、普通ブイヨン培地(栄研化学(株))で分離培養(28℃、3日間)を行ない、形成したコロニーを分離した。分離したコロニーを、ポテト−デキストロース寒天培地上で、各種植物病原菌に対して効果のある菌株を見出した。さらに、ポテト−デキストロース液体培地で振とう培養し、サツマイモネコブセンチュウ2期幼虫に対する活性を示す菌株としてバチルス・エスピー(Bacillus sp.)AT−332菌株及びAT−79菌株を分離した。
各菌株の同定方法、各種解析の方法とその結果、及び細菌学的性質は、[発明を実施するための形態]に記載の通りである。
製造例1:AT−332菌株の培養及び調製
前培養として、本発明細菌(AT−332菌株)の保存菌の一白金耳をフラスコ当たり60mlの普通ブイヨン培地(栄研化学(株))を含むバッフル付き500ml三角フラスコに植菌後、回転振とう機で回転数180rpm、28℃、1日間培養した。
上記前培養により得られた培養物60mlを2000mlのLB培地(ペプトン20g,酵母エキス10g,塩化ナトリウム20g,残り 水)を含む5000mlジャーファーメンターに植菌後、本培養として、回転数500rpm、1L/hで35℃、3日間培養した。
上記本培養により、約1800gの培養物を得た。その菌体濃度は約8.0×109CFU/mlであった。
得られた培養物約1800gを−80℃で凍結後、減圧下で凍結乾燥して粉砕することにより、約140gの乾燥粉末を得た。その菌体濃度は約1.0×1011CFU/gであった。
製造例2:AT−79菌株の培養及び調製
前培養として、本発明細菌(AT−79菌株)の保存菌の一白金耳をフラスコ当たり60mlの普通ブイヨン培地(栄研化学(株))を含むバッフル付き500ml三角フラスコに植菌後、回転振とう機で回転数180rpm、28℃、1日間培養した。
上記前培養により得られた培養物60mlを2000mlのLB培地(トリプトン20g,酵母エキス10g,塩化ナトリウム20g,残り 水)を含む5000mlジャーファーメンターに植菌後、本培養として、回転数500rpm、1L/hで35℃、3日間培養した。
上記本培養により、約1700gの培養物を得た。その菌体濃度は約9.0×109CFU/mlであった。
得られた培養物約1700gを−80℃で凍結後、減圧下で凍結乾燥して粉砕することにより、約130gの乾燥粉末を得た。その菌体濃度は約1.1×1011CFU/gであった。
次に製剤例を示す。なお、「部」は質量部を表す。
製剤例1:水和剤
製造例1によって得られた乾燥粉末60部、珪藻土25部、ホワイトカーボン5部、リグニンスルホン酸ソーダ8部、及びアルキルナフタレンスルホン酸ソーダ2部を混合粉砕して水和剤を得た。
製剤例2:粒剤
製造例1によって得られた乾燥粉末5部、ベンナイト25部、タルク66部、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ2部、及びリグニンスルホン酸ソーダ2部を混合、粉砕し、水約20部を加えて、混練機で練った後、造粒機を通して造粒し、次いで乾燥整粒して粒剤を得た。
製剤例3:水和剤
製造例2によって得られた乾燥粉末60部、珪藻土25部、ホワイトカーボン5部、リグニンスルホン酸ソーダ8部、及びアルキルナフタレンスルホン酸ソーダ2部を混合粉砕して水和剤を得た。
製剤例4:粒剤
製造例2によって得られた乾燥粉末5部、ベンナイト25部、タルク66部、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ2部、及びリグニンスルホン酸ソーダ2部を混合、粉砕し、水約20部を加えて、混練機で練った後、造粒機を通して造粒し、次いで乾燥整粒して粒剤を得た。
次に、本発明の植物病害防除剤、線虫防除剤及び植物成長促進剤の効果を試験した実施例及び比較例を示す。
実施例1及び比較例1:イネいもち病に対する効果試験
温室内にて直径6cmのプラスチックポットに3葉期まで生育させたイネ(品種:コシヒカリ,15本植え)に製剤例1及び製剤例3の水和剤の250倍希釈液をスプレーガンにて十分量散布した。比較剤としてインプレッション水和剤((株)エス・ディー・エス バイオテック)を250倍希釈したものを同様に供試した。翌日、イネいもち病菌(Pyricularia oryzae)胞子懸濁液を噴霧接種した。ポットを22℃湿室下に24時間保持した後、温室内に7日間放置し、接種葉の病斑数を調査し、防除価を求めた。防除価(%)は無処理区の病斑数を基準にして算出した。結果は表1に示すように、本発明に関わる微生物製剤で処理することによりイネいもち病の発病率が無処理区に比べて著しく減少し、極めて高い防除効果が得られた。
Figure 0005198690
実施例2及び比較例2:キュウリ炭疽病に対する効果試験
温室内にて直径6cmのプラスチックポットにて育成した3葉期のキュウリ(品種:ときわ光3号P型)の第1葉と第2葉に、製剤例1及び製剤例3の水和剤の250倍希釈液をスプレーガンにて十分量散布した。比較剤としてインプレッション水和剤((株)エス・ディー・エス バイオテック)を250倍希釈したものを同様に供試した。翌日、キュウリ炭疽病菌(Colletorichum lagenarium)胞子懸濁液を噴霧接種した。ポットを22℃湿室下に24時間保持した後、温室内に7日間放置し、第1葉と第2葉の発病面積率を肉眼調査し、防除価を求めた。防除価(%)は無処理区の発病面積率を基準にして算出した。結果は表2に示すように、本発明に関わる微生物製剤で処理することによりキュウリ炭疽病の発病率が無処理区に比べて著しく減少し、極めて高い防除効果が得られた。
Figure 0005198690
実施例3及び比較例3:トマト疫病に対する効果試験
温室内にて直径6cmのプラスチックポットにて育成した5葉期のトマト(品種:シュガーランプ)に、製剤例1及び製剤例3の水和剤の250倍希釈液をスプレーガンにて十分量散布した。比較剤としてインプレッション水和剤((株)エス・ディー・エス バイオテック)を250倍希釈したものを同様に供試した。翌日トマト疫病菌(Phytophthora infestans)遊走子のう懸濁液を噴霧接種した。ポットを22℃湿室下に16時間保持した後、温室内に3日間放置し、第三、四及び五本葉の発病面積率を肉眼調査し、防除価を求めた。防除価(%)は無処理区の発病面積率を基準にして算出した。結果は表3に示すように、本発明に関わる微生物製剤で処理することによりトマト疫病の発病率が無処理区に比べて著しく減少し、極めて高い防除効果が得られた。
Figure 0005198690
実施例4及び比較例4:キュウリべと病に対する効果試験
温室内にて直径6cmのプラスチックポットにて育成した3葉期のキュウリ(品種:光3号P型)に、製剤例1及び製剤例3の水和剤の250倍希釈液をスプレーガンにて十分量散布した。比較剤としてインプレッション水和剤((株)エス・ディー・エス バイオテック)を250倍希釈したものを同様に供試した。翌日キュウリべと病(Pseudoperonospora cubensis)遊走子懸濁液を噴霧接種した。ポットを22℃湿室下に18時間保持した後、温室内に3日間放置し、第一及び二本葉の発病面積率を肉眼調査し、防除価を求めた。防除価(%)は無処理区の発病面積率を基準にして算出した。結果は表4に示すように、本発明に関わる微生物製剤で処理することによりキュウリべと病の発病率が無処理区に比べて著しく減少し、極めて高い防除効果が得られた。
Figure 0005198690
実施例5及び比較例5:リンゴ斑点落葉病に対する効果試験
リンゴ(王林)の葉を採取し、葉裏に製剤例1及び製剤例3の水和剤の250倍希釈液をスプレーガンにて十分量散布した。比較剤としてインプレッション水和剤((株)エス・ディー・エス バイオテック)を250倍希釈したものを同様に供試した。散布後、葉を風乾し、リンゴ斑点落葉病菌(Altenaria Alternaria mali)の胞子懸濁液を噴霧接種した。20℃、多湿下で4日間置いた後、発病面積率を肉眼調査し、防除価を求めた。防除価(%)は無処理区の発病面積率を基準にして算出した。結果は表5に示すように、本発明に関わる微生物製剤で処理することによりリンゴ斑点落葉病の発病率が無処理区に比べて著しく減少し、極めて高い防除効果が得られた。
Figure 0005198690
実施例6及び比較例6:キュウリうどんこ病に対する効果試験(圃場試験)
自社保有温室内でキュウリを用いて試験(試験区:4m2/区、10株/区、3連制)を行なった。発病は自然発生とした。製剤例1及び製剤例3の水和剤を、500倍希釈、1000倍希釈、2000倍希釈で7日間隔4回散布し、葉への発病面積率により防除価を算出した。比較剤としてインプレッション水和剤((株)エス・ディー・エス バイオテック)500倍及び1000倍、ボトキラー水和剤(出光興産(株))1000倍、ボトピカ水和剤(出光興産(株))2000倍、エコショット顆粒水和剤(クミアイ化学工業(株))1000倍、モレスタン水和剤(アグロ カネショウ(株))3000倍希釈液を用いた。なお、無処理区の発病度は47.4%であった。防除価(%)は無処理区の発病度率を基準にして算出した。結果は表6に示すように、本発明に関わる微生物製剤で処理することによりキュウリうどんこ病の発病率が無処理区に比べて著しく減少し、極めて高い防除効果が得られた。また、比較剤として用いた既存の市販のバチルス・ズブチリス剤(インプレッション水和剤(特許文献3),ボトキラー水和剤,ボトピカ水和剤,エコショット顆粒水和剤(特許文献4))に比べて著しく高い効果が圃場でも確認された。また、500倍希釈では化学剤のモレスタン水和剤と同等レベルの非常に高い防除効果を示した。
Figure 0005198690
実施例7及び比較例7:ナス灰色かび病に対する効果試験(圃場試験)
自社保有温室内でナスを用いて試験(試験区:5.6m2/区、7株/区、3連制)を行なった。発病は自然発生とした。製剤例1及び製剤例3の水和剤を、500倍希釈、1000倍希釈で7日間隔4回散布し、果実への発病果率により防除価を算出した。比較剤としてインプレッション水和剤((株)エス・ディー・エス バイオテック)500倍、ボトキラー水和剤(出光興産(株))1000倍、ボトピカ水和剤(出光興産(株))2000倍、エコショット顆粒水和剤(クミアイ化学工業(株))1000倍、セイビアーフロアブル20(シンジェンタジャパン(株))1500倍希釈液を用いた。なお、無処理区の発病果率は15%であった。防除価(%)は無処理区の発病果率に基づき算出した。結果は表7に示すように、本発明に関わる微生物製剤で処理することによりナス灰色かび病の発病率が無処理区に比べて著しく減少し、極めて高い防除効果が得られた。また、比較剤として用いた既存の市販のバチルス・ズブチリス剤(インプレッション水和剤、ボトキラー水和剤、ボトピカ水和剤、エコショット顆粒水和剤)に比べて著しく高い効果が圃場でも確認された。また、500倍希釈では化学剤のセイビアーフロアブル20と同等レベルの非常に高い防除効果を示した。
Figure 0005198690
実施例8及び比較例8:イネ苗立枯細菌病防除効果試験
PD液体培地で27℃、52時間振とう培養して得られたイネ苗立枯細菌病菌(Burkholderia plantarii)懸濁液(1×108CFU/ml)にイネ種籾(品種:コシヒカリ)を減圧条件下で1時間浸漬接種し、イネ苗立枯細菌病感染籾を作成した。製剤例1及び製剤例3の水和剤の100倍希釈液に、上記のイネ苗立枯細菌病感染籾を24時間浸漬した後、浸漬処理液を捨て、32℃の湿室内に1日保って催芽させた。比較剤としてインプレッション水和剤((株)エス・ディー・エス バイオテック)を100倍希釈したものを同様に供試した。育苗培土を充填させた径6cmのプラスチックカップに催芽種子を播種し、播種3日後、30℃の育苗庫内に保ち、さらに25℃の湿室内で15日間管理した後に、全苗について発病の有無を調査し、発病苗率を求めた。防除価(%)は無処理区の発病苗率に基づいて算出した。1カップ当たりの播種量は乾籾3g(90〜110粒)。結果は表8に示すように、本発明に関わる微生物製剤で処理することによりイネ苗立枯細菌病の発病率が無処理区に比べて著しく減少し、極めて高い防除効果が得られた。
Figure 0005198690
実施例9及び比較例9:キュウリ苗立枯病に対する効果試験
苗立枯病菌のフスマ培養物3gを滅菌土壌500mlに混和したのちプラスチックポットに詰め、製剤例2及び製剤例4の粒剤を1g土壌混和処理した。比較剤としてインプレッション水和剤((株)エス・ディー・エス バイオテック)84mgを同様に供試した。キュウリ(相模半白)を播種して、23℃、1週間栽培した後、発芽率を調査した。防除効力(防除価%)は無処理区の発芽率に基づき算出した。結果は表9に示すように、本発明に関わる微生物製剤で処理することによりキュウリ苗立枯病の発病率が無処理区に比べて著しく減少し、極めて高い防除効果が得られた。
Figure 0005198690
実施例10及び比較例10:サツマイモネコブセンチュウ2期幼虫に対する活性
ナス(十両)の根より採集した卵嚢より24時間以内に孵化したサツマイモネコブセンチュウ2期幼虫に対する殺線虫活性を試験した。24穴のマイクロプレートに製剤例1及び製剤例3の100倍希釈液(tween20 5000倍希釈溶液)、及び当量のネコブセンチュウ2期幼虫懸濁液(約50頭)を添加した。比較剤としてインプレッション水和剤((株)エス・ディー・エス バイオテック)を100倍希釈したものを同様に供試した。プレートを密封して、28℃、相対湿度約50%のインキュベーター内に配置した。72時間後に、実体顕微鏡下での観察により死亡率を調べた。その際、不動の線虫は死亡したものとみなした。殺線虫率は以下の式により算出した。結果は表10に示すように、本発明に関わる微生物製剤で処理することによりサツマイモネコブセンチュウ2期幼虫に対する極めて高い殺線虫活性が得られた。
Figure 0005198690
Figure 0005198690
実施例11及び比較例11:サツマイモネコブセンチュウに対する防除効果試験
1/10000aワグネルポットに40kg/10aの割合でサツマイモネコブセンチュウ汚染土壌に製剤例2及び製剤例4の粒剤を均一に混合し、ミニトマト(品種:シュガーランプ)を定植した。比較剤としてインプレッション水和剤((株)エス・ディー・エス バイオテック)を3.3kg/10aの割合で同様に供試した。定植1ヵ月後に根の被害度(ネコブ程度)を以下の基準により類別評価し、下記の式の通りネコブ指数を求め、防除価を算出した。結果は表11に示すように、本発明に関わる微生物製剤で処理することによりサツマイモネコブセンチュウによる根部の被害は無処理区に比べて著しく減少し、極めて高い防除効果が得られた。
被害度 0:こぶが全く認められない、
1:こぶが一見しただけでは目立たないが少数認めうる、
2:こぶが少数散見される、
3:こぶが中程度認められる、
4:こぶが根圏:の全体にわたって多く認められる。
Figure 0005198690
Figure 0005198690
実施例12及び比較例12〜13:AT−332の植物成長促進効果(基礎試験)
シロイヌナズナを対象に基礎シャーレ試験を行いAT−332の植物成長促進効果を測定した。シロイヌナズナ種子を1%次亜塩素酸ナトリウム液に20分浸後、70%エタノールで2分間浸漬し、種子表面の殺菌を行った。その後、滅菌蒸留水で洗浄し、実験に使用した。2分割された滅菌シャーレに0.8%の寒天を含むMurashige and Skoog salt 培地(pH5.7)を注ぎ込み、冷却後、実験に使用した。
AT−332(実施例12)、バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)GB03(比較例12)、バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)MBI600(比較例13)を上記シャーレの分割された片方に置かれた滅菌ペーパーディスクに接種し、分割された残りの部分にシロイヌナズナ発芽種子を接種した。菌とシロイヌナズナを接種したプレートは、22℃(照光12時間/遮光12時間)で10日間保温し、植物の生育状況を観察した。結果を菌を接種しなかった対照(図2(a))の結果と共に図2(a)〜(d)の写真に示す。AT−332(実施例12;(b))は、米国で実際に販売・使用されているバチルス・サブチリス(Bacillus subtilis )GB03(比較例12;(c))、バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis )MBI600(比較例13;(d))に比べても顕著な植物成長促進効果が認められた。
実施例13:AT−332及びAT−79菌株の植物成長促進効果(ポット試験)
ハクサイ幼苗を対象にしてポット試験を行いAT−332及びAT−79菌株の植物成長促進効果を測定した。まず、AT−332及びAT−79菌株を液体LB培地で24時間培養後、菌体を遠心集菌した。回収した菌体を滅菌した0.85%塩化ナトリウム水溶液で1×109 CFU/mlになるように懸濁し、予め滅菌しておいた培養土に、1kgあたり40ml混和したものを処理土壌とした。一方、予め滅菌しておいた培養土に、滅菌した0.85%塩化ナトリウム水溶液のみを1kgあたり40ml混和したものを無処理土壌とした。処理土壌及び無処理土壌を100gずつ、プラスチッック製のポット(口径70mm×高さ68mm)に入れ、これにハクサイ(品種:野崎白菜二号)の種子を播種した。その後、22℃に設定した温室内に置き、30日後に生育したハクサイの生重量を測定した。結果を図3に示す。AT−332及びAT−79菌株の作物に対する明らかな成長促進効果が認められた。

Claims (8)

  1. 配列番号2の塩基配列で示される16S rDNAを有するバチルス・エスピー(Bacillus sp.)AT−332菌株(NITE BP−1095株)
  2. 配列番号3の塩基配列で示される16S rDNAを有するバチルス・エスピー(Bacillus sp.)AT−79菌株(NITE BP−1094株)
  3. 菌株自体及び/または菌株の培養物が植物病害防除作用、線虫防除作用及び/または植物成長促進作用の効果を示す請求項1または2に記載の菌株。
  4. 請求項1〜のいずれかに記載の菌株及び/または菌株の培養物を有効成分として含有する微生物製剤。
  5. 植物病害防除剤である請求項に記載の微生物製剤。
  6. 線虫防除剤である請求項に記載の微生物製剤。
  7. 植物成長促進剤である請求項に記載の微生物製剤。
  8. 請求項4〜7のいずれかに記載の微生物製剤で植物を処理する植物の栽培方法。
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