JP2003211569A - 防汚性膜体及びその製造方法 - Google Patents

防汚性膜体及びその製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 自然汚れ、特に雨筋汚れを防止でき、各種屋
外用膜構造物に有用な防汚性膜体の提供。 【解決手段】 繊維布帛基布上に熱可塑性樹脂被覆層が
形成されているシート状基材の前記被覆層上に、直接又
は添加剤移行防止層を介して、外面複合塗膜層が形成さ
れており、この外面複合塗膜層において、それぞれ0.
04〜1.0cm2の面積を有する複数個の疎水性塗膜領
域単位と、複数個の親水性塗膜領域単位とが互に交差す
る二方向に互に隣接して交互に配置されている、防汚性
膜体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、防汚性膜体及びそ
の製造方法に関するものである。さらに詳しく説明する
ならば、本発明は、中大型テント、日除けテント、内照
式テント、テントハウス、テント倉庫、トラック幌など
の膜構造物に有用な防汚性膜体に関し、特に屋外環境で
自然発生する煤塵付着汚れ、及び煤塵付着汚れに起因す
る雨筋汚れなどの汚染現象を効果的に予防する自浄機能
を有し、かつ防汚性膜体と、その製造方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】中大型テント、日除けテント、内照式テ
ント、テントハウス、テント倉庫、トラック幌などに使
用される産業用シートは、繊維織物を基布として用い、
その表面を着色軟質ポリ塩化ビニル樹脂で被覆加工した
繊維複合膜材であり、この産業用シートを用いることに
よって5〜10年間屋外使用が可能である耐久性膜構造
物を得ることができる。しかし、これらのシートを構成
する軟質ポリ塩化ビニル樹脂被覆層はそれに配合された
可塑剤を多量に含むため、この可塑剤が時間の経過と共
にシートの表面にブリードし、この滲み出た可塑剤が大
気中を浮遊する油性の煤塵(主に燃焼排気ガスなどに由
来するカーボン煤と砂埃・土埃との混合物)を吸着する
ことによって、短期間内に膜構造物が汚れて色相が黒ず
む問題を生じ、さらに膜構造物の側壁面に筋状の汚れ、
所謂雨筋汚れを発生するという問題がある。この汚れの
原因となる可塑剤の表面移行は、配合組成要因、加工要
因、季節要因、環境要因などが複雑に作用して起こる現
象であって、特に夏季をピークに顕著となる傾向があ
る。このシート表面に滲み出た可塑剤は表面に留まるこ
とはなく、夜間、気温の低下と共に、滲み出た可塑剤の
一部が、再び軟質ポリ塩化ビニル樹脂被覆層内に拡散し
て戻るという、滲みの移行と戻りの移行との拡散循環を
常時繰り返しているのである。この時、油性の煤塵で汚
染された可塑剤が軟質ポリ塩化ビニル樹脂被覆層内に戻
る現象が、煤塵が軟質ポリ塩化ビニル樹脂被覆層内に吸
着されるのを助長して煤塵汚染や雨筋汚れを沈着するた
めに、通常の水洗い洗浄ではこれらの汚れを完全に除去
することが非常に困難である。
【0003】このため、従来、軟質ポリ塩化ビニル樹脂
製シートの表面には、可塑剤移行を防止するアクリル系
樹脂、ふっ素系樹脂などによる表面処理層、あるいはア
クリル系樹脂フィルム層、ふっ素系樹脂フィルム層など
を形成することによって、可塑剤に起因する煤塵汚れを
防ぐ方法が一般的に行われている。これらの方法による
と、シートに付着した煤塵汚れは可塑剤と混和して更に
油性度合いを高める現象が僅少であるため、付着した煤
塵汚れは常時降雨により洗い流され易い状態に置かれ、
膜構造物の美観を長期持続可能とするものである。しか
し、降雨の度に膜構造物の表面伝いに流れ落ちる煤塵汚
れを含んだ水滴が特に膜構造物側壁部表面を伝って重力
方向に垂れ落ち、この時、煤塵に含まれる砂埃・土埃な
どの微細無機物の擦過によって膜構造物の表面には微細
な浸食傷を形成し、さらに浸食傷の凹凸部に煤塵が物理
的に引っ掛かり、これが雨水の滴下流れの道筋に沿って
連続的な雨筋汚れを発生する。この煤塵付着の蓄積は膜
構造物表面の濡れ性を部分的に変質させ、このため、降
雨の度に雨水の滴流進路が繰り返し同じ道筋を辿る現象
を促し、徐々に黒ずみ度合いを増長しながらストライプ
状に煤塵が沈着した雨筋汚れに成長するのである。
【0004】雨筋汚れは、雨自体が含んでいる煤塵と、
膜構造物の表面に付着した煤塵、及び接合部などの縁部
に堆積した煤塵・砂塵の両者を原因として形成されるも
ので、汚れの成長過程は雨粒の大きさ(霧雨〜豪雨)、
降雨時間と気温など、さらには膜構造物表面の傾斜角な
どにも深く関係している。膜構造物表面の傾斜角が0〜
30°程度の緩やかな場合(湾曲部を含む)には、雨滴
が膜材表面を濡らす様に拡張することにより連続水膜を
形成し易くなり雨筋汚れの発生頻度は少ないが、この緩
やかな傾斜部分では膜材全面が汚れる傾向がある。しか
し、膜構造物の鉛直方向に形成されている側壁部分を伝
い落ちる雨水は、側壁表面に濡れ拡がるよりも重力支配
を受けて水滴状となり、これが滴下流れを形成する傾向
が強い。この時特に膜構造物表面が平坦であり、側壁が
鉛直である程、滴下流れはより直線状となり、かつこの
滴下流れが同じ道筋を長時間にわたり連続して通過する
間に煤塵汚れが道筋上に徐々に蓄積することによって雨
筋汚れを形成する。この現象は膜構造物天蓋部に雨樋を
設けても、雨樋表面から裏周りして滴る雨滴と直接側壁
面に降り注ぐ降雨の雨滴とがあるため、それを完全に防
ぐことは困難である。また、特に都市部の降雨は大気中
を浮遊する煤塵を多く巻き込み、さらに排気ガスから発
生する窒素酸化物などが溶け込んだ酸性雨であるため、
いっそう膜構造物表面の腐蝕を促進させ、更に汚染に拍
車を掛けているのが現状である。
【0005】一般に防汚機能を有する表面保護膜とし
て、フルオロオレフィンビニルエーテル共重合体樹脂、
フルオロオレフィンビニルエステル共重合体樹脂など
の、ふっ素系樹脂を含む塗料による表面処理、及び、ポ
リふっ化ビニリデン樹脂、ポリふっ化ビニル樹脂など
の、ふっ素系樹脂からなるフィルムによる表面被覆膜な
どが知られている。しかし、これらの表面処理、及び表
面被覆を施した膜材の表面は親水性に乏しく、緩傾斜膜
材表面上で撥水する水滴粒は乾いて水滴痕汚れを形成し
易く、また急傾斜面上では撥水現象と重力支配とが加算
されることにより、より水滴流れを起こし易い状態を形
成する。すなわち、ふっ素系樹脂被覆膜材においても、
これらの表面処理を施した膜構造物の表面が降雨で濡れ
た時に2〜6mm程度の水滴粒を発生する撥水現象を起こ
し、この雨粒が垂れ落ちることによって、軟質ポリ塩化
ビニル樹脂膜材と同様に、雨筋汚れが発生する。(軟質
ポリ塩化ビニル樹脂製シートなどに比較すると雨筋の成
長過程はかなり遅い。)このように、ふっ素系樹脂被覆
膜材の場合、水滴流れは、ふっ素樹脂層表面に撥かれな
がら側壁を伝って垂れ落ちると同時に、所々で撥水によ
る水滴粒を生成するため、雨筋汚れと水滴粒痕が混在し
た外観トラブルを招く傾向がある。この、ふっ素系樹脂
層表面に発生する雨筋汚れや水滴粒痕は、拭き取り除
去、水洗除去できる程度ではあるが、ふっ素系樹脂層表
面との親和性が高い性質のため、降雨によるシャワー効
果だけで自浄性を発揮するレベルには至らない。
【0006】そこで、ふっ素系樹脂被覆とは別の観点
で、屋外使用物の表面を親水性化して表面を均一に濡ら
すことにより雨筋の発生要因となる雨粒の発生を抑制す
る方法が試行されている。例えば、特開平7−1365
83号公報、及び特開平8−12922号公報などには
オルガノシリケートを塗膜表面に塗工した物品が煤塵汚
れの自浄効果が大きいことが示されている。この防汚機
構はオルガノシリケートの有する水酸基を架橋縮合によ
って塗膜表面に配向させることによって塗膜表面を親水
性化し、付着汚れと物品との間に浸透した雨水が汚れを
浮き上がらせ、降雨がこの汚れを洗い流すというもので
ある。しかし、オルガノシリケート塗膜は高密度架橋縮
合体であるため折り曲げに脆く、その塗工対象は建築物
(ビル・家屋など)外装や、建造物(タンク・プラント
設備など)外装など、何れも混凝土素材や金属素材など
の硬質素材に限定されるものであった。従って中大型テ
ント、日除けテント、内照式テント、テントハウス、テ
ント倉庫、トラック幌などのように、高い屈曲性を必要
とする軟質ポリ塩化ビニル樹脂製繊維複合膜材に対して
は特殊なプライマー塗装と、オルガノシリケート塗膜を
極力薄く形成する必要があり、また、この様にして得ら
れた、オルガノシリケート塗膜を表面層に設けた軟質ポ
リ塩化ビニル樹脂製繊維複合膜材では確かにテント用途
において雨筋汚れを防止する効果が得られるが、オルガ
ノシリケート塗膜層を表面に設けたことによって、従来
可能であった高周波融着法や熱融着法による膜材のラッ
プ縫製が不可能となり、このためラップ縫製部の界面に
介在するオルガノシリケート塗膜層の除去作業の手間を
余儀なくされていた。
【0007】また最近では物品の表面に光触媒物質を塗
布して、物品の表面に付着した排気ガス、排煙などによ
る煤塵汚れを、光触媒物質の酸化還元作用によって分
解、除去する防汚技術が数多く提案されている。例え
ば、特開平10−156999号公報には基材表面を光
触媒物質の光励起によって親水性化させる技術が示さ
れ、これらが自己洗浄効果を有することが記されてい
る。また、特開平11−76923号公報にはアルキル
シリケートと光触媒物質とを含有するコーティング剤が
示され、これらが雨筋汚れの防止性に優れることが記さ
れている。また、特開2001−88247号公報には
疎水性樹脂と光触媒物質とを混合して含むコーティング
剤とその部材が示され、これらの塗布部材には汚れが付
着し難い性質があることが記されている。
【0008】これらの光触媒物質を軟質ポリ塩化ビニル
樹脂製繊維複合膜材の表面に直接塗布した製品では、膜
材の被覆層である軟質ポリ塩化ビニル樹脂に対しても分
解作用の影響を及ぼすため、短期間のうちに光触媒物質
が基材樹脂の分解物と供に風化・脱落する問題がある。
また、光触媒物質の分解作用は、軟質ポリ塩化ビニル樹
脂の分解だけではなく、軟質ポリ塩化ビニル樹脂中に配
合される可塑剤や有機系着色剤などに対しても働くた
め、より基材の劣化を進行させるのである。そこで、膜
材と光触媒物質との中間に光触媒物質の分解作用に耐性
を有する保護層を設けることによって基材劣化を防ぎな
がら光触媒物質本来の汚れ防止効果を長期間持続させる
方法がWO96/29375号公報に示されている。し
かし、これらの光触媒物質を膜材表面全面に形成した軟
質ポリ塩化ビニル樹脂製繊維複合膜材では、テント用途
において確かに付着汚れを分解し、雨筋汚防止効果が得
られるが、光触媒物質塗膜層を表面に設けたことによっ
て、従来可能であった高周波融着法や熱融着法による膜
材のラップ縫製が不可能となり、このためラップ縫製部
の界面に介在する光触媒物質塗膜層の除去作業の手間を
余儀なくされていた。
【0009】従って、上記オルガノシリケート塗膜層や
光触媒物質含有塗膜層などを表面に設けた防汚性膜材に
おいて、これらを縫製する際にラップ縫製部の界面に介
在するオルガノシリケート塗膜層や光触媒物質塗膜層な
どの除去作業の手間を必要とせず、高周波融着法、また
は熱融着法などの常法によって容易に縫製可能な雨筋汚
れ防止性に優れた膜材が望まれていたのである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は特に屋外環境
で自然発生する煤塵付着汚れ、及び煤塵付着汚れに起因
する雨筋汚れなどの汚染現象を効果的に予防する自浄機
能を有し、かつ膜構造物の縫製が、高周波融着や熱融着
などの融着縫製法によって可能であり、特に中大型テン
ト、日除けテント、内照式テント、テントハウス、テン
ト倉庫、トラック幌などの膜構造物に好適な防汚性膜体
及びその製造方法を提供しようとするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の防汚性膜体は、
1層以上の繊維布帛からなる基布と、この基布の少なく
とも一面の全面上に形成され、かつ熱可塑性樹脂からな
る被覆層とを含むシート状基材と、このシート状基材の
前記熱可塑性被覆層上に形成された外面複合塗膜層とを
有し、前記外面複合塗膜層が、(1)疎水性高分子材料
を主成分として含み、外面に露出している複数個の疎水
性塗膜領域単位と、(2)親水性高分子材料を主成分と
して含み、外面に露出している複数個の親水性塗膜領域
単位とを有し、前記疎水性塗膜領域単位(1)と前記親
水性塗膜領域単位(2)とが、それぞれ0.04〜1.
0cm2 の面積を有し、かつ、これら2種の単位(1)及
び(2)が、互に交差する二方向に、互に隣接して交互
に配置されている、ことを特徴とするものである。本発
明の防汚性膜体の前記外面複合塗膜において、前記シー
ト状基材の前記熱可塑性樹脂被覆層の全面上に、疎水性
高分子材料を主成分として含む疎水性塗膜が形成され、
この疎水性塗膜上に前記複数個の親水性塗膜領域単位が
形成され、前記疎水性塗膜の、前記親水性塗膜領域単位
により被覆されていない部分が、前記複数個の外面露出
疎水性塗膜領域単位を形成していてもよい。本発明の防
汚性膜体の前記外面複合塗膜において、前記シート状基
材の前記熱可塑性樹脂被覆層の全面上に、親水性高分子
材料を主成分として含む親水性塗膜が形成され、この親
水性塗膜上に、前記複数個の疎水性塗膜領域単位が形成
され、前記親水性塗膜の、前記疎水性塗膜領域単位によ
り被覆されていない部分が前記複数個の外面露出親水性
塗膜領域単位を形成していてもよい。本発明の防汚性膜
体において、前記疎水性塗膜領域単位の水に対する静止
接触角θ1 と、前記親水性塗膜領域単位の水に対する静
止接触角θ2 との差(Δθ=θ1 −θ2 )が、40〜1
35度であることが好ましい。本発明の防汚性膜体にお
いて、前記外面複合塗膜層中の前記疎水性塗膜領域単位
と前記親水性塗膜領域単位との面積比が35:65〜6
5:35であることが好ましい。本発明の防汚性膜体に
おいて、前記疎水性塗膜領域単位を形成する疎水性高分
子材料が、ふっ素系樹脂、またはふっ素系樹脂とアクリ
ル系樹脂との混成体を含むことが好ましい。本発明の防
汚性膜体において、前記親水性塗膜領域単位を形成する
親水性高分子材料が、オルガノシリケート化合物、又は
その低縮合物の加水分解物を含むことが好ましい。本発
明の防汚性膜体において、前記親水性塗膜領域単位を形
成する親水性高分子材料が、光触媒物質を含むことが好
ましい。本発明の防汚性膜体において、前記親水性塗膜
領域単位を形成する親水性高分子材料が、オルガノシリ
ケート化合物又はその低縮合物と、光触媒物質とを含む
ことが好ましい。本発明の防汚性膜体において、前記親
水性塗膜領域単位を形成する親水性高分子材料が、ポリ
シロキサン、コロイダルシリカ、及びシリカから選ばれ
た少なくとも1種のけい素化合物をさらに含有すること
が好ましい。本発明の防汚性膜体において、前記光触媒
物質が、酸化チタン(TiO2 )、過酸化チタン(ペル
オキソチタン酸)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化錫(Sn
2)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3 )、酸
化タングステン(WO3 )、酸化ビスマス(Bi2
3 )、酸化鉄(Fe23 )、から選ばれた少なくとも
1種を含むことが好ましい。本発明の防汚性膜体におい
て、前記光触媒物質が、無機系多孔質微粒子に担持され
ていることが好ましい。本発明の防汚性膜体において、
前記被覆層用熱可塑性樹脂が、軟質ポリ塩化ビニル系樹
脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、スチレ
ン系共重合体樹脂、エチレン系共重合体樹脂[エチレン
−α−オレフィン共重合体樹脂、エチレン−酢酸ビニル
共重合体樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸(エステ
ル)共重合体樹脂]、プロピレン系樹脂から選ばれた少
なくとも1種以上を含むことが好ましい。本発明の防汚
性膜体において、前記シート状基材において、前記被覆
層は、単層構造体をなしていてもよく、又は複層構造体
をなしていてもよい。本発明の防汚性膜体において、前
記シート状基材の他の面(裏面)上に、アクリル系樹
脂、ふっ素系樹脂、ふっ素系樹脂とアクリル系樹脂との
混成体の何れか1種による裏面塗膜層が形成されている
ことが好ましい。本発明の防汚性膜体において、前記シ
ート状基材の被覆層が前記熱可塑性樹脂に混合された添
加剤を含み、この被覆層と、前記外面複合塗膜層との間
に、アクリル系樹脂、ふっ素系樹脂、又はふっ素系樹脂
とアクリル系樹脂との混成体による添加剤移行防止層が
形成されていることが好ましい。本発明の防汚性膜体に
おいて、前記添加剤移行防止層上に、前記複数個の親水
性塗膜領域単位が形成され、前記添加剤移行防止層の、
前記親水性塗膜領域単位により被覆されていない部分
が、前記複数値の外面露出疎水性塗膜領域単位を形成し
ていてもよい。本発明の防汚性膜体において、前記添加
剤移行防止層が、ポリシロキサン、コロイダルシリカ、
シリカから選ばれた少なくとも1種のけい素化合物をさ
らに含有することが好ましい。本発明の防汚性膜体にお
いて、前記シート状基材の熱可塑性樹脂が、高周波融
着、超音波、及び熱融着によって接合可能であることが
好ましい。本発明の防汚性膜体において、前記外面複合
塗膜層の疎水性塗膜領域単位、及び親水性塗膜領域単位
の形状が、それぞれ正方形、長方形、三角形、矢がすり
模様状、六角形と蝶形六角形との組み合わせ、八角形と
蝶形八角形との組み合わせ、及びこれらの歪形状から選
ばれることが好ましい。本発明の防汚性膜体の製造方法
は、1層以上の繊維布帛を含むシート状基布の少なくと
も一面の全面上に熱可塑性樹脂を含む被覆層が形成され
ているシート状基材を製造し、前記シート状基材の前記
熱可塑性樹脂被覆層上に、外面複合塗膜層を形成する工
程を含み、前記外面複合塗膜層形成工程において、疎水
性高分子材料を主成分として含む塗布液により、外面に
露出している複数個の疎水性塗膜領域単位を形成し、ま
た親水性高分子材料を主成分として含む塗布液により外
面に露出している複数個の親水性塗膜領域単位を形成
し、このとき、前記疎水性塗膜領域単位及び親水性塗膜
領域単位のそれぞれの面積を0.04〜1.0cm2
し、かつ、これら2種の単位が互に交差する二方向に、
互に隣接して交互に配置されるように形成する、ことを
特徴とすものである。本発明の防汚性膜体の製造方法に
おいて、前記外面複合塗膜層の疎水性塗膜領域単位及び
親水性塗膜領域単位の形成に際し、前記シート状基材の
前記熱可塑性樹脂被覆層の全面上に、疎水性高分子材料
を主成分として含む塗布液を塗布して、疎水性塗膜を形
成し、この疎水性塗膜上に、前記複数個の外面露出親水
性塗膜領域単位を形成し、前記疎水性塗膜の前記親水性
塗膜領域単位により被覆されていない部分をもって、前
記複数個の外面露出疎水性塗膜領域単位を形成してもよ
い。本発明の防汚性膜体の製造方法において、前記外面
複合塗膜層の疎水性塗膜領域単位及び親水性塗膜領域単
位の形成に際し、前記シート状基材の前記熱可塑性樹脂
被覆層の全面上に、親水性高分子材料を主成分として含
む塗布液を塗布して、親水性塗膜を形成し、この親水性
塗膜上に、前記複数個の外面露出疎水性塗膜領域単位を
形成し、前記親水性塗膜の前記疎水性塗膜領域単位によ
り被覆されていない部分をもって、前記複数個の外面露
出親水性塗膜領域単位を形成してもよい。本発明の防汚
性膜体の製造方法において、前記外面複合塗膜層の形成
工程において、前記シート状基材の前記熱可塑性樹脂被
覆層面上に、前記疎水性高分子材料を主成分として含む
塗布液と、前記親水性高分子材料を主成分として含む塗
布液とを、前記複数個の外面露出疎水性塗膜領域単位と
外面露出親水性塗膜領域単位とを形成するように、同時
に塗布してもよく、または任意の順序に塗布してもよ
い。本発明の防汚性膜体の製造方法において、前記シー
ト状基材の前記被覆層用熱可塑性樹脂が添加剤を含み、
この被覆層上に、アクリル系樹脂、ふっ素系樹脂、又は
ふっ素系樹脂とアクリル系樹脂との混成体を含む添加剤
移行防止層を形成する工程をさらに含み、この添加剤移
行防止層上に前記外面複合塗膜を形成してもよい。本発
明の防汚性膜体の製造方法において、前記外面複合塗膜
の形成に当り、前記添加剤移行防止層上に、前記複数個
の親水性塗膜領域単位を形成し、前記添加剤移行防止層
の、前記親水性塗膜領域単位により被覆されていない部
分をもって、疎水性塗膜領域単位としてもよい。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の防汚性膜体は、1層以上
の繊維布帛からなる基布と、この基布の少なくとも一面
の全面上に形成され、かつ熱可塑性樹脂からなる被覆層
とを含むシート状基材と、このシート状基材の前記熱可
塑性樹脂被覆層上に形成された外面複合塗膜層とを有す
るものであって、前記外面複合塗膜層は、(1)疎水性
高分子材料を主成分として含み、外面に露出している複
数個の疎水性塗膜領域単位と、(2)親水性高分子材料
を主成分として含み、外面に露出している複数個の親水
性塗膜領域単位とを有し、前記疎水性塗膜領域単位
(1)と前記親水性塗膜領域単位(2)とは、それぞれ
0.04〜1.0cm2 の面積を有し、かつ、これら2種
の単位(1)及び(2)が、互に交差する二方向に、互
に隣接して交互に配置されている。
【0013】本発明の防汚性膜体は、その前記外面複合
塗膜層において、前記シート状基材の前記熱可塑性樹脂
被覆層の全面上に、疎水性高分子材料を主成分として含
む疎水性塗膜が形成され、この疎水性塗膜上に前記複数
個の親水性塗膜領域単位が形成され、前記疎水性塗膜
の、前記親水性塗膜領域単位により被覆されていない部
分が、前記複数個の外面露出疎水性塗膜領域単位を形成
している態様を包含し、また、前記外面複合塗膜におい
て、前記シート状基材の前記熱可塑性樹脂被覆層の全面
上に、親水性高分子材料を主成分として含む親水性塗膜
が形成され、この親水性塗膜上に、前記複数個の疎水性
塗膜領域単位が形成され、前記親水性塗膜の、前記疎水
性塗膜領域単位により被覆されていない部分が前記複数
個の外面露出親水性塗膜領域単位を形成している態様も
包含する。本発明の防汚性膜体の製造方法は、1層以上
の繊維布帛を含むシート状基布の少なくとも一面の全面
上に熱可塑性樹脂を含む被覆層が形成されているシート
状基材を製造し、前記シート状基材の前記熱可塑性樹脂
被覆層上に、外面複合塗膜層を形成する工程を含み、前
記外面複合塗膜層形成工程において、疎水性高分子材料
を主成分として含む塗布液により、外面に露出している
複数個の疎水性塗膜領域単位を形成し、また親水性高分
子材料を主成分として含む塗布液により外面に露出して
いる複数個の親水性塗膜領域単位を形成し、このとき、
前記疎水性塗膜領域単位及び親水性塗膜領域単位のそれ
ぞれの面積を0.04〜1.0cm2 とし、かつ、これら
2種の単位が互に交差する二方向に、互に隣接して交互
に配置されるように形成する。前記外面複合塗膜層の疎
水性塗膜領域単位及び親水性塗膜領域単位の形成に際
し、前記シート状基材の前記熱可塑性樹脂被覆層の全面
上に、疎水性高分子材料を主成分として含む塗布液を塗
布して、疎水性塗膜を形成し、この疎水性塗膜上に、前
記複数個の外面露出親水性塗膜領域単位を形成し、前記
疎水性塗膜の前記親水性塗膜領域単位により被覆されて
いない部分をもって、前記複数個の外面露出疎水性塗膜
領域単位を形成してもよい。また、前記外面複合塗膜層
の疎水性塗膜領域単位及び親水性塗膜領域単位の形成に
際し、前記シート状基材の前記熱可塑性樹脂被覆層の全
面上に、親水性高分子材料を主成分として含む塗布液を
塗布して、親水性塗膜を形成し、この親水性塗膜上に、
前記複数個の外面露出疎水性塗膜領域単位を形成し、前
記親水性塗膜の前記疎水性塗膜領域単位により被覆され
ていない部分をもって、前記複数個の外面露出親水性塗
膜領域単位を形成してもよい。さらに前記外面複合塗膜
層の形成工程において、前記シート状基材の前記熱可塑
性樹脂被覆層面上に、前記疎水性高分子材料を主成分と
して含む塗布液と、前記親水性高分子材料を主成分とし
て含む塗布液とを、前記複数個の外面露出疎水性塗膜領
域単位と外面露出親水性塗膜領域単位とを形成するよう
に、同時に、または任意の順序に塗布してもよい。
【0014】本発明の膜体に使用されるシート状基材の
は、1層以上の繊維布帛からなる基布と、この基布の少
なくとも1面上に形成され、かつ熱可塑性樹脂からなる
被覆層とを含むものであるテント用膜体に用いる基材と
しては強度、伸び、引裂強度、防水性などの観点から、
熱可塑性樹脂組成物で表面被覆された繊維布帛をシート
状基材として用いることが好ましい。これに用いる繊維
布帛としては、織布、編布、不織布などの何れの形態で
も使用できるが、強度、伸び、引裂強度の観点から織
布、及び編布を用いることが好ましい。織布としては、
例えば、平織物(経糸と緯糸とも最少2本ずつ用いた最
小構成単位を有する)、綾織物(経糸と緯糸とも最少3
本ずつ用いた最小構成単位を有する:3枚斜文、4枚斜
文、5枚斜文、6枚斜文、8枚斜文など)、朱子織物
(経糸と緯糸とも最少5本ずつ用いた最小構成単位を有
する:2飛び、3飛び、4飛び、5飛びなどの正則朱
子)などが使用できる。その他、拡大法、交換法、配列
法、配置法、添糸法、削糸法などによって得られるこれ
らの変化平織物、変化綾織物、変化朱子織物など、さら
に蜂巣織物、梨子地織物、破れ斜文織物、昼夜朱子織
物、もじり織物(紗織物、絽織物)、縫取織物、二重織
物などが挙げられるが、特に平織物が縦緯物性バランス
に優れ好ましい。編布としてはラッセル編物が引裂強度
に優れ好ましい。また、長繊維スパンボンド不織布など
も使用できる。
【0015】また、繊維布帛を構成する縦糸、及び緯糸
の糸条には合成繊維、天然繊維、半合成繊維、無機繊
維、またはこれらの2種以上から成る混用繊維が用いら
れ、これらの繊維種としては、具体的に、ポリプロピレ
ン繊維、ポリエチレン繊維、ポリビニルアルコール繊
維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、ポリアミド繊
維、アクリル繊維、ポリウレタン繊維などの合成繊維で
あり、これらの形態は、モノフィラメント糸条、マルチ
フィラメント糸条、短繊維紡績(スパン)糸条、スプリ
ットヤーン、テープヤーンなどの糸条である。また、ガ
ラス繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、炭素繊維などの
無機繊維による、マルチフィラメント糸条も好ましく使
用できる。本発明においては、これらの糸条のうち、汎
用性が高く、引張強力、引裂強力、耐熱クリープ特性な
どの物性バランスに優れているポリエステル繊維、ナイ
ロン繊維、ポリアミド繊維、ガラス繊維、及びこれらの
混合繊維や、混用繊維などから製織されたマルチフィラ
メント平織繊維織布または、スパン平織繊維布帛を用い
ることが好ましい。これらの織布の製織は、シャットル
織機、シャットルレス織機(レピア方式、グリッパ方
式、ウォータージェット方式、エアジェット方式)など
の従来公知の織機を用いて製織することができる。上記
の繊維布帛には公知の繊維処理加工、例えば、精練処
理、漂白処理、染色処理、柔軟化処理、撥水処理、防水
処理、防カビ処理、防炎処理、手焼き処理、カレンダー
処理、及びバインダー樹脂処理などの処理加工を施して
使用することが好ましい。
【0016】本発明に使用する繊維布帛としては、短繊
維紡績布(スパン)、またはマルチフィラメント糸条か
らなる織布であることが好ましく、短繊維紡績糸条の番
手としては591dtex(10番手)〜97dtex(60番
手)の範囲のもの、特に591dtex(10番手)、42
2dtex(14番手)、370dtex(16番手)、295
dtex(20番手)、246dtex(24番手)、197dt
ex(30番手)などの短繊維紡績糸条が好ましく使用で
きる。短繊維紡績糸条の太さが、97dtex(60番手)
よりも細いと、得られる膜体の引裂強力に劣り、また5
91dtex(10番手)よりも太いと、得られる膜体の破
断強力及び引裂強力は向上するが、糸径が太くなるにつ
れて織糸交差部の凹凸を増して膜体が過度に厚くなる。
これらの短繊維紡績糸条は、単糸及び、双糸、さらには
単糸3本以上の撚糸、またはこれらの2本合糸、あるい
は2本合撚糸などの糸条を用いることが好ましく、この
ような糸条を経糸及び緯糸として25mm(1インチ)間
に30〜160本打込んで得られる短繊維紡績布が本発
明用基布として好ましく、特に591〜295dtex(1
0〜20番手)の単糸、または591〜295dtex(1
0〜20番手)の双糸を用いて1インチ間に経糸50〜
70本、緯糸40〜60本の織密度で糸を打込んで得ら
れる短繊維紡績布がより好適である。また、糸条の撚り
には格別の限定はないが、例えば、単糸または2本以上
の単糸を引き揃えてS撚り(右)、もしくはZ撚り
(左)によって加撚された片撚糸、単糸または2本以上
の単糸を引き揃えて下撚りされた加撚糸を2本以上引き
揃えて上撚りを掛けた諸撚糸、その他強撚糸などを用い
ることが好ましい。これらの撚糸の撚り回数は片撚糸、
諸撚糸の普通撚糸で500〜2000回/m、強撚糸で
2000回以上/mであることが好ましい。また、糸の
番手と撚数との関係を表す比例定数の撚係数の範囲とし
て、撚係数1.3〜3.0程度の甘撚り、撚係数3.0
〜4.5程度の普通撚り、撚係数4.5〜5.5程度の
強撚糸が挙げられ、特に撚り係数3.0〜4.5の範囲
の普通撚り糸であることが好ましい。また、短繊維紡績
布の空隙率(目抜け率)は、0〜8%のものが好ましく
適している。空隙率が8%を越えると、経緯方向の繊維
糸条の含有量が少なくなりすぎて得られる膜体の寸法安
定性に劣るだけでなく、膜体の引裂き強度と突起物に対
する耐貫通性が低下するため実用的に問題となり好まし
くない。空隙率は繊維布帛の単位面積中に占める繊維糸
条の面積を百分率として求め、100から差し引いた値
として求めることができる。空隙率は経方向10cm×緯
方向10cmを単位面積として求めることができる。これ
らの短繊維紡績布の目付量は、100〜600g/m2
のものが適している。
【0017】本発明の防汚性膜体のシート状基材に使用
される繊維布帛としては、マルチフィラメント糸条から
なる織布も好ましい。マルチフィラメント糸条として
は、111〜2222dtex(100〜2000デニー
ル)の範囲のもの、特に138から1111dtex(12
5〜1000デニール)のマルチフィラメント糸条が好
ましい。マルチフィラメント糸条が111dtex(100
デニール)よりも小さいと、得られる膜体の引裂強力に
劣り、また2222dtex(2000デニール)よりも大
きいと、得られる膜体の破断強力及び引裂強力は向上す
るが、糸径が太くなり織交点の凹凸を増すことで、得ら
れる膜体表面に汚れが堆積し易くなるという問題が発生
する。これらマルチフィラメント糸条からなる織布の経
糸及び緯糸糸条の打込み密度に特に限定はないが、11
1〜2222dtex(100〜2000)デニールの糸条
を経糸及び緯糸として25.4mm(1インチ)間10〜
80本打込んで得られる織布が使用できる。例えば27
8dtex(250デニール)のマルチフィラメント糸条で
25.4mm(1インチ)間18〜44本、555〜11
11dtex(500〜1000デニール)のマルチフィラ
メント糸条で25.4mm(1インチ)間14〜38本、
1667dtex(1500デニール)のマルチフィラメン
ト糸条で25.4mm(1インチ)間10〜28本程度の
打込み組織で得られる目抜け平織織布、または非目抜け
平織織布が適している。これらのマルチフィラメント糸
条は無撚であっても、撚りが掛けられたものであっても
良い。これらの織布の目付量は、50〜400g/m2
のものが適している。また、マルチフィラメント織布の
空隙率(目抜け)は、0〜30%のものが好ましく適し
ている。空隙率が30%を越えると、経緯方向の繊維糸
条の含有量が少なくなりすぎて得られる膜体の寸法安定
性に劣るだけでなく、膜体の引裂強度と突起物に対する
耐貫通性が低下するため実用的に問題となり好ましくな
い。空隙率は繊維布帛の単位面積中に占める繊維糸条の
面積を百分率として求め、100から差し引いた値とし
て求めることができる。空隙率は経方向10cm×緯方向
10cmを単位面積として求めることができる。
【0018】本発明の防汚性膜体のシート状基材の基布
に用いられる短繊維紡績糸条、またはマルチフィラメン
ト糸条としては、その汎用性から考えて、特にポリエス
テル繊維糸条であることが好ましく、ポリエステル繊維
としては、具体的に、テレフタル酸とエチレングリコー
ルとの重縮合によって得られるポリエチレンテレフタレ
ート(PET)、テレフタル酸とブチレングリコールと
の重縮合によって得られるポリブチレンテレフタレート
(PBT)などが挙げられ、中でもポリエチレンテレフ
タレート樹脂から紡糸されるポリエステル繊維が繊維強
力及び、溶融紡糸性の観点で好ましく使用できる。
【0019】本発明の防汚性膜体のシート状基材に用い
られる繊維布帛のうち、空隙率(目抜け率)0〜8%の
短繊維紡績布、特に空隙率5%以下の短繊維紡績布及
び、空隙率(目抜け率)0〜30%のマルチフィラメン
ト織布が好ましい。特に空隙率5%以下のマルチフィラ
メント織布などは、後述の熱可塑性樹脂組成物被覆法の
1種として、軟質ポリ塩化ビニル樹脂ペーストゾル、有
機溶剤に可溶化した熱可塑性樹脂、または水中で乳化重
合された熱可塑性樹脂エマルジョン(ラテックス)、あ
るいは熱可塑性樹脂を水中に強制分散させ安定化したデ
ィスパージョン樹脂などを用いるデッピィング加工(繊
維布帛への両面加工)、及びコーティング加工(繊維布
帛への片面加工、または両面加工)に適している。また
一方、空隙率5〜30%のマルチフィラメント織布は、
後述の熱可塑性樹脂組成物から得られたフィルム状成型
物を、織布の片面または両面に、接着剤を用いて、ある
いは熱圧着だけによって積層して用いる加工方法に適し
ている。
【0020】上記1層以上の繊維布帛からなる基布は、
その少なくとも1面を熱可塑性樹脂組成物によって表面
被覆されており、本発明においては特に繊維布帛の両面
が熱可塑性樹脂組成物によって表面被覆されていること
が防水性と熱融着接合の観点で好ましい。熱可塑性樹脂
としては、汎用的には、軟質ポリ塩化ビニル系樹脂が最
も好ましく、また、特に環境問題に配慮して、焼却廃棄
時にハロゲン化水素ガスを排出させないハロゲン非含有
設計の産業資材シートが所望される場合においては、ポ
リウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、エチレン系共
重合体樹脂[エチレン−α−オレフィン共重合体樹脂、
エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン−(メ
タ)アクリル酸(エステル)共重合体樹脂]、プロピレ
ン系樹脂から選ばれた少なくとも1種以上の、単層構造
体、または多層構造体などが最も好適に使用できる。
【0021】上記ポリ塩化ビニル系樹脂としては、種別
的に塩化ビニル系共重合体樹脂を包含し、具体的に、ポ
リ塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−エチレン共重合体樹
脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル
−ビニルエーテル共重合体樹脂、塩化ビニル−塩化ビニ
リデン共重合体樹脂、塩化ビニル−マレイン酸エステル
共重合体樹脂、塩化ビニル−(メタ)アクリル酸共重合
体樹脂、塩化ビニル−(メタ)アクリル酸エステル共重
合体樹脂、塩化ビニル−ウレタン共重合体樹脂などであ
り、これらの樹脂は2種以上を併用することもできる。
本発明において、熱可塑性樹脂組成物による表面被覆層
の厚さに特に制限はないが、表面被覆層の固形分付着量
が、50〜500g/m2 、特に100〜350g/m
2 にコントロールされるのが好ましい。表面被覆層の塗
布量が50g/m2 よりも少ないと、被覆層の摩耗耐久
性が十分に得られないことがあり、また、それが500
g/m2 を超えると膜体の質量が超過となり、取り扱い
が困難となることがある。
【0022】上記ポリ塩化ビニル樹脂は、乳化重合によ
って得られた数平均分子量、P=700〜3800、好
ましくは1000〜2000のペーストポリ塩化ビニ
ル、または懸濁重合によって得られた数平均分子量、P
=700〜3800、好ましくは1000〜2000の
ストレートポリ塩化ビニルから選ばれることが好まし
く、また、上記塩化ビニル系共重合体樹脂(数平均分子
量、P=700〜3800)中に含まれる共重合成分は
2〜30重量%であることが好ましい。本発明におい
て、繊維布帛を被覆する熱可塑性樹脂としてポリ塩化ビ
ニル樹脂を用いる場合、その配合には格別の制限はな
く、公知の軟質配合を用いることができるが、特に軟質
配合に使用する可塑剤には平均分子量380〜560の
フタル酸エステル系可塑剤の他、防炎性の観点から塩素
化パラフィン系可塑剤を使用すること、可塑剤揮散防止
効果の観点から平均分子量が900〜6000、特に1
000〜3200のポリエステル系可塑剤を使用するこ
と、さらに可塑剤揮散防止効果の観点から平均分子量が
10000以上、特に20000以上のエチレン−酢酸
ビニル−一酸化炭素3元共重合体樹脂、エチレン−(メ
タ)アクリル酸エステル−一酸化炭素3元共重合体樹脂
などの高分子可塑剤を用いることが好ましい。
【0023】ポリエステル系可塑剤は、アジピン酸、ア
ゼライン酸、セバシン酸、フタル酸などのジカルボン酸
と、エチレングリコール、1,2−ブタンジオール、
1,6−ヘキサンジオールなどから任意に合成されたも
のが使用できる。これらの可塑剤の好ましい使用例とし
ては、1).ペースト塩化ビニル樹脂100質量部に対
し、可塑剤の合計量として40〜100質量部の配合で
あり、全可塑剤量の10〜50質量%にポリエステル系
可塑剤、または塩素化パラフィン系可塑剤を含むペース
ト組成物を用いたコーティング加工、またはデッピング
加工である。これらの組成物は必要に応じて有機溶剤で
希釈して液粘度を調整することができる。また、2).
ストレート塩化ビニル樹脂100質量部に対し、可塑剤
の合計量として50〜100質量部の配合であり、全可
塑剤量の30〜100質量%にポリエステル系可塑剤、
または塩素化パラフィン系可塑剤を含むコンパウンド組
成物で、カレンダー成型、T−ダイ押出成型など、公知
の成型法によってフィルム成型される。また、3).ス
トレート塩化ビニル樹脂100質量部に対し、可塑剤の
合計量として60〜140質量部の配合であり、全可塑
剤量の30〜100質量%に高分子可塑剤を含むコンパ
ウンド組成物で、カレンダー成型、T−ダイ押出成型な
ど、公知の成型法によってフィルム成型される。(註:
前記使用例2)と3)において、ストレート塩化ビニル
樹脂の代わりにペースト塩化ビニル樹脂を使用すること
もできる)。これらの軟質ポリ塩化ビニル樹脂組成物に
おいて、安定剤、及び顔料(着色剤)は公知のものから
適宜選定して使用すればよく、必要に応じて、滑剤、難
燃剤、発泡剤、帯電防止剤、界面活性剤、撥水剤、撥油
剤、架橋剤、硬化剤、フィラー、紫外線吸収剤、酸化防
止剤、防カビ剤、抗菌剤など公知の添加剤を使用でき
る。
【0024】上記エチレン系共重合体樹脂としては、エ
チレン−α−オレフィン共重合体樹脂、エチレン−酢酸
ビニル共重合体樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸
(エステル)共重合体樹脂などの共重合体樹脂であり、
これらは具体的に、チーグラー・ナッタ系触媒、あるい
はメタロセン系触媒の存在下、気相法、スラリー液相
法、または高圧法によってエチレンと炭素数3〜18の
α−オレフィンとを共重合して得られる、密度0.88
0〜0.920g/cm3 、MFR(メルトフローレー
ト:190℃、2.16kg荷重)が、0.3〜10g/
10min のエチレン−α−オレフィン共重合体樹脂が挙
げられる。前記α−オレフィンモノマーとしては、例え
ばプロピレン、ブテン−1、4−メチルペンテン−1、
ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1、ノネン−
1、デセン−1、テトラデセン−1、ヘキサデセン−
1、ヘプタデセン−1、オクタデセン−1などが用いら
れる。また、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂として
は、エチレンモノマーと酢酸ビニルモノマーとをラジカ
ル共重合して製造された、酢酸ビニル成分量を6〜35
質量%、好ましくは15〜30質量%含有するエチレン
系共重合体樹脂を用いることが好ましい。
【0025】また、エチレン−(メタ)アクリル酸(エ
ステル)共重合体樹脂としては、エチレンモノマーと
(メタ)アクリル酸モノマーとのラジカル共重合によっ
て製造された、(メタ)アクリル酸成分量を6〜35質
量%、好ましくは15〜30質量%含有するエチレン−
(メタ)アクリル酸共重合体樹脂、エチレンモノマーと
(メタ)アクリル酸エステルモノマーとのラジカル共重
合によって製造された、(メタ)アクリル酸エステル成
分を6〜35質量%、好ましくは15〜30質量%含有
するエチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体樹
脂など、及びこれらの2種類以上の混合物からなるエチ
レン系共重合体樹脂が挙げられる。(メタ)アクリル酸
エステルとは、具体的に(メタ)アクリル酸メチル、
(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチ
ル、(メタ)アクリル酸グリシジルなどである。これら
のエチレン系共重合体樹脂の密度は0.925〜0.9
60g/cm3 、MFR(メルトフローレート:190
℃、2.16kg荷重)が、0.3〜10g/10min で
あるものが特に好ましい。これらの樹脂は、カレンダー
成型、T−ダイ押出成型など、公知の成型法によってフ
ィルム成型することができる。
【0026】前記ポリプロピレン系樹脂は、プロピレン
モノマーの単独重合によって得られるホモポリマー、及
びプロピレンモノマーとエチレンモノマーとを共重合し
て得られるエチレン−プロピレン共重合体、及び、プロ
ピレンモノマーとα−オレフィンモノマーとを共重合し
て得られるプロピレン−α−オレフィン共重合体樹脂、
及び、予備重合で得られたエチレン−プロピレン共重合
体に連続してプロピレンモノマーを共重合させる多段階
重合によって得られるプロピレン・エチレン−プロピレ
ン系共重合エラストマー、及び予備重合で得られたエチ
レン−プロピレン−非共役ジエン共重合体に連続してプ
ロピレンモノマーを共重合させる多段階重合によって得
られるプロピレン−エチレン・プロピレン・非共役ジエ
ン系共重合エラストマーなどを包含する。プロピレン−
α−オレフィン共重合体樹脂の重合に使用するに好まし
いα−オレフィンとしては、炭素数4〜10のα−オレ
フィン、例えば、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン
−1、オクテン−1、ヘプテン−1,3−メチル−ブテ
ン−1,4−メチル−ペンテン−1,4−メチル−ヘキ
セン−1,4,4−ジメチル−ペンテン−1などが挙げ
られ、得られるプロピレン系共重合体は、ランダム共重
合体であっても、あるいはブロック共重合体の何れの共
重合体であってもよい。
【0027】このうちポリプロピレン系樹脂としては、
特にメタロセン系触媒の存在下で気相法、スラリー液相
法、または高圧法の何れかの方法によって重合されたシ
ンジオタクティック立体規則性を有するポリプロピレン
系樹脂、またはアイソタクティック立体規則性を有する
ポリプロピレン系樹脂であることが好ましい。また、プ
ロピレン−エチレン・プロピレン系共重合エラストマー
及び、プロピレン−エチレン・プロピレン・非共役ジエ
ン系エラストマーは、具体的に、例えば下記の様な連続
多段階重合法により製造されたものが使用できる。ま
ず、第1段階として、チタン化合物触媒及び、アルミニ
ウム化合物触媒、またはメタロセン系触媒の存在下にお
いて、プロピレンモノマー及び、必要に応じてプロピレ
ンモノマー以外のα−オレフィンモノマーを用いて重合
を行い、第1のプロピレン系ポリオレフィンを得る。こ
のポリオレフィンはプロピレン単独重合体、プロピレン
−エチレン共重合体、プロピレン−α−オレフィン共重
合体などであり得る。第2段階として、前記触媒を含有
したままで、次のオレフィンモノマー(例えば、エチレ
ン、プロピレン、非共役ジエンなど)とを共重合させる
ことによって得ることができ、この多段階重合によって
得られるプロピレン系共重合エラストマーは、通常のポ
リプロピレン樹脂とプロピレン−エチレン共重合体樹脂
とのポリマーブレンドによって得られるエラストマーと
は、分子構造において種類を異にするものである。これ
らのポリプロピレン系樹脂のMFR(メルトフローレー
ト:230℃、2.16kg荷重)は、0.5〜50g/
10min 、特に1〜20g/10min のものが好まし
い。これらの樹脂組成物は、カレンダー成型、T−ダイ
押出成型など、公知の成型法によってフィルム成型され
る。
【0028】上記エチレン系共重合体樹脂、及びポリプ
ロピレン系樹脂には、柔軟性、及び加工性を改良する目
的で、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレ
ン−共役ジエン系ゴムなどのソフト成分と上記ポリオレ
フィン系樹脂との架橋、加硫アロイ体であるオレフィン
系熱可塑性エラストマー(TPO)などをブレンド使用
することもできる。特に、テント膜体の柔軟化の目的
で、上記エチレン系共重合体樹脂、及びポリプロピレン
系樹脂に、スチレン系共重合体樹脂をブレンドすること
が好ましく、スチレン系共重合体樹脂としては、A−B
−A型スチレンブロック共重合樹脂(Aはスチレン重合
体ブロック、Bはブタジエン重合体ブロック、イソプレ
ン重合体ブロック、もしくはビニルイソプレン重合体ブ
ロックである。)、A−B型スチレンブロック共重合樹
脂(AとBは、上記と同義である。)、スチレンランダ
ム共重合樹脂及び、これらのスチレン系共重合樹脂の水
素添加樹脂(二重結合を水素置換したもの)などであ
る。これらの市販品としては、例えば、シェル.ケミカ
ル社のスチレン系ブロック共重合体樹脂(商標:クレイ
トンG)、旭化成工業(株)のスチレン系ブロック共重
合体樹脂(商標:タフテック)、(株)クラレのスチレ
ン系ブロック共重合体樹脂(商標:ハイブラー、商標:
セプトン)、日本合成ゴム(株)のスチレン系ランダム
共重合体樹脂((商標:ダイナロン)などが挙げられ
る。これらのスチレン系共重合体樹脂は、ポリオレフィ
ン系樹脂100質量部に対して、10〜50質量部をブ
レンドして使用することが好ましい。
【0029】前記ポリウレタン系樹脂としては、ジイソ
シアネート化合物とヒドロキシル基を分子構造内に2個
以上有するポリオール化合物の中から選ばれた1種以上
とイソシアネート基と反応する官能基を含有する化合物
との付加重合反応によって得られる熱可塑性ポリウレタ
ン樹脂を使用できる。ジイソシアネートとしては、芳香
族、脂肪族、脂環式(水素添加物を包含する)のジイソ
シアネート化合物が用いられ、これらは例えば、トリレ
ンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、
4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,
3′−ジメチルビフェニル−4,4−ジイソシアネー
ト、キシリレンジイソシアネート、テトラメチレンジイ
ソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデ
カメチレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシ
アネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、
イソホロンジイソシアネートなどが挙げられる。ヒドロ
キシル基を2個以上有するポリオール化合物としては、
分子量300〜10000、好ましくは、500〜50
00であり、ジイソシアネート化合物と反応する量を含
有するもの、例えば、ポリテトラメチレンエーテルグリ
コール、ジヒドロキシポリエチレンアジペート、ポリエ
チレングリコール、ポリプロピレングリコールなどが用
いられる。ポリウレタン系樹脂は、用いるポリオールの
種類に応じてポリエステル系ポリウレタン樹脂、ポリエ
ーテル系ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート系ポリウ
レタン樹脂、ポリカプロラクトン系ポリウレタン樹脂が
使用できる。
【0030】前記ポリエステル系樹脂としては、高融点
結晶性ポリエステルセグメント(A)と、脂肪族ポリエ
ーテル単位及び/又は脂肪族ポリエステル単位からなる
低融点重合体セグメント(B)とからなるブロック共重
合体樹脂が挙げられ、セグメント(A)はジカルボン酸
と、ジオールとの重合によって得られるポリエステルで
あり、ジカルボン酸成分としては、例えば、テレフタル
酸、イソフタル酸、フタル酸、ナルタレンジカルボン
酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸などの芳香族ジカ
ルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、シクロペンタ
ンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸、アジピン
酸、セバシン酸、アゼライン酸などの脂肪族ジカルボン
酸などが挙げられる。ジオール成分としては、炭素数1
〜12の脂肪族、または脂肪族ジオール、例えば、エチ
レングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタ
ンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキ
サンジオールなどが挙げられる。また、(B)セグメン
トを構成する脂肪族ポリエーテル単位としては、ポリエ
チレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリ
(テトラメチレンオキサイド)グリコール、及びこれら
の共重合体のグリコールなどが挙げられる。また、セグ
メント(B)を構成する脂肪族ポリエステル単位として
は、ポリε−カプロラクトン、ポリエナントラクトン、
ポリカプリロラクトン、ポリブチレンアジペート、ポリ
エチレンアジペートなどが挙げられる。上記これらの熱
可塑性樹脂被覆層の厚さは、被覆層(固形分付着量)
が、50〜500g/m2 、特に100〜350g/m
2 に形成されるのが好ましい。被覆層が50g/m2
りも少ないと、本発明のテント膜体の摩耗耐久性が不十
分になることがあり、また、500g/m2 を超えると
テント膜体の質量が超過となることがある。また、上記
熱可塑性樹脂には、必要に応じて、着色剤、滑剤、難燃
剤、発泡剤、帯電防止剤、界面活性剤、撥水剤、撥油
剤、架橋剤、硬化剤、フィラー、紫外線吸収剤、酸化防
止剤、防カビ剤、抗菌剤など公知の添加剤を使用でき
る。
【0031】また、熱可塑性樹脂を含む組成物による基
布の表面被覆は、上記ポリウレタン系樹脂、ポリエステ
ル系樹脂、エチレン系共重合体樹脂[エチレン−α−オ
レフィン共重合体樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体
樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸(エステル)共重
合体樹脂]、プロピレン系樹脂などの水性樹脂(エマル
ジョン、ディスパージョン)、または有機溶剤溶液を使
用することもできる。特にエチレン−酢酸ビニル共重合
体樹脂エマルジョンは、エチレンと酢酸ビニルとの乳化
重合によって得られる60〜90質量%の酢酸ビニル成
分を含有するもの、またエチレン−酢酸ビニル共重合体
樹脂ディスパージョンとしては、酢酸ビニル成分含有量
が10〜30質量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体樹
脂を水中に強制分散させたものである。特に水性樹脂の
場合、これらの水性樹脂は水酸基、カルボン酸基、4級
アンモニウム塩基などを導入した親水性の変性体であっ
てもよい。また、水性樹脂はコア−シェル型異相構造の
ハイブリッドエマルジョンなども使用でき、また必要に
応じて、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合樹脂、
酢酸ビニル−マレイン酸ジブチル共重合体樹脂、酢酸ビ
ニル−エチレン−バーサチック酸ビニル共重合体樹脂、
アクリル酸エステル−スチレン共重合樹脂、アイオノマ
ー樹脂などのエマルジョンも併用できる。これらの水性
樹脂の樹脂固形分含有量に限定はないが、樹脂固形分含
有率20〜70質量%、特に30〜50質量%であるこ
とが好ましい。
【0032】また、特に有機溶剤に溶解または分散させ
て使用できるエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、及び
エチレン−(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体樹
脂としては、酢酸ビニル成分、または(メタ)アクリル
酸(エステル)の含有率が18〜45質量%、MFR
(メルトフローレート:190℃、2.16kg荷重)が
1.0〜20g/10min の共重合体樹脂が好ましく使
用できる。これらの水性樹脂、または有機溶剤に上記熱
可塑性樹脂を固形分濃度で5〜40質量%で溶解した樹
脂溶液により繊維布帛の表面を被覆するには、グラビア
コート法、マイクログラビアコート法、コンマコート
法、ロールコート法、リバースロールコート法、バーコ
ート法、ナイフコート法、キスコート法、フローコート
法など公知のコーティング法、またはデッピング法など
によって基材の表面に樹脂溶液を均一に塗布し、これを
乾燥して樹脂被覆層を形成することができる。本発明に
おいて、熱可塑性樹脂組成物による表面被覆層の厚さに
特に制限はないが、上記コーティング方法のいずれか、
もしくは、組み合わせなどによって、表面被覆層(固形
分付着量)が、50〜500g/m2 、特に100〜3
50g/m2 に形成されることが好ましい。表面被覆層
が50g/m2 よりも少ないと、テント膜体の摩耗耐久
性が十分に得られないことがあり、また、500g/m
2 を超えるとコーティング処理の工程数が増えるだけで
なく、得られるテント膜体の質量が超過となり、取り扱
い性が困難となることがある。これらの熱可塑性樹脂組
成物には、着色剤、難燃剤、発泡剤、帯電防止剤、界面
活性剤、撥水剤、撥油剤、架橋剤、硬化剤、フィラー、
紫外線吸収剤、酸化防止剤、防カビ剤、抗菌剤など公知
の添加剤を使用できる。
【0033】また、本発明において、繊維布帛含有基布
を被覆する上記熱可塑性樹脂組成物には、ハロゲン非含
有化合物を配合することによって防炎性を付与すること
ができ、このようにすることは廃棄処理の観点上好まし
く、さらに、これらは消防法に定められる防炎試験に適
合することが好ましい。ハロゲン非含有化合物として
は、りん含有化合物、窒素含有化合物、無機系化合物の
いずれか1種以上であることが好ましく、熱可塑性樹脂
組成物100重量部に対し、ハロゲン非含有化合物を1
0〜100重量部、特に30〜80重量部配合すること
によって、所望の防炎性を付与することができる。具体
的なりん含有化合物としては、赤りん、(金属)りん酸
塩、(金属)有機りん酸塩、ポリりん酸アンモニウムな
どが挙げられる。また、窒素含有化合物としては、(イ
ソ)シアヌレート系化合物、(イソ)シアヌル酸系化合
物、グアニジン系化合物、尿素系化合物及びこれらの誘
導体化合物が用いられる。また無機系化合物としては、
金属酸化物、金属水酸化物、金属複合酸化物、金属複合
水酸化物などが用いられる。これらのハロゲン非含有化
合物は2種以上を併用することが好ましい。ハロゲン非
含有化合物の配合量が10質量部未満では、防炎性が不
十分になることがあり、また、それが100質量部を超
えると、加工性と樹脂被覆層の摩耗耐久性とが不十分に
なることがある。
【0034】本発明の防汚性膜体の、基布を表面被覆す
る熱可塑性樹脂組成物は、無色であってもよいが、顔料
着色されていることが美観的、景観的に好ましく、特に
白、パステル色などに着色されていることが、二次加工
でプリントを施す場合の配色が鮮明となり好ましい。顔
料着色に使用する顔料としては、公知の無機系顔料、及
び公知の有機系顔料から選ばれて任意に組み合わせるこ
とによってカラーバリエーションを充実させることがで
きる。無機系顔料としては例えば、金属酸化物、金属硫
化物、金属硫酸塩、金属炭酸塩、金属水酸化物、クロム
酸金属塩、カーボンブラック、スピネル型構造酸化物、
ルチル型構造酸化物、アルミニウム粉顔料、ブロンズ
粉、ニッケル粉、ステンレス粉、パール顔料などであ
る。本発明においては特に熱可塑性樹脂被覆層に隠蔽性
を与える目的で、無機系顔料の一部に酸化チタン(Ti
2 )を使用することが好ましい。酸化チタンとして
は、チタン鉱石を硫酸と反応させて硫酸チタニルとし、
これを加水分解して得た含水酸化チタンを焼成して得ら
れるルチル型酸化チタン、及びアナタース型酸化チタ
ン、またはチタン鉱石を還元剤と共に塩素を反応させ、
得られた四塩化チタンを酸素と反応させて得られるルチ
ル型酸化チタンなどである。
【0035】本発明に使用される酸化チタンとしては、
ルチル型酸化チタンを使用することが耐候性の観点で好
ましく、その粒子径としては0.05〜0.5μm、好
ましくは平均粒子径が0.2〜0.35μmの酸化チタ
ンが隠蔽性に優れ適している。また、有機系顔料として
は例えば、アゾ系顔料、(不溶性モノアゾ顔料、不溶性
ジスアゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、金属錯
塩アゾ顔料)、フタロシアニン顔料(フタロシアニンブ
ルー、フタロシアニングリーン)、染付けレーキ顔料
(酸性染料レーキ顔料、塩基性染料レーキ顔料)、縮合
多環系顔料(アントラキノン系顔料、チオインジゴ系顔
料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、キナクリドン系
顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、
キノフタロン系顔料、イソインドリン系顔料)、その他
ニトロソ顔料、アリザリンレーキ顔料、金属錯塩アゾメ
チン顔料、アニリン系顔料などである。
【0036】上記の無機系顔料、及び有機系顔料の添加
量に関しては、目的とする色相の調整に応じて、任意に
設定することができ特に制限はないが、一般に熱可塑性
樹脂100質量部に対し、0.1〜50質量部であるこ
とが好ましく、より好ましくは、1〜30質量部であ
る。着色剤の添加量が、0.1質量部以下では、熱可塑
性樹脂組成物の着色性に劣り十分な隠蔽性が得られない
ことがあり、また、それが50質量部を超えると、熱可
塑性樹脂組成物の成形性を悪化させるだけでなく、熱可
塑性樹脂組成物層の被膜強度と被膜摩耗強力を著しく低
下させることがある。これらの無機系顔料及び有機系顔
料は樹脂加工の方法に応じて、取り扱い性が工夫された
加工顔料を使用することが好ましい。これらの加工顔料
は、フラッシュドカラー、水性液状カラー、油性液状カ
ラー、ペーストカラー(ビニルトーナーカラー)、ドラ
イカラー、潤性カラー、マスターバッチ、カラードペレ
ットなどの形態があり、ペースト塩ビゾルの成型の場合
には、潤性カラーまたはペーストカラー(ビニルトーナ
ーカラー)の形態が適し、ストレート塩化ビコンパウン
ドの成型には、ドライカラーまたは、マスターバッチの
形態が適している。また、カレンダー成型、T−ダイ押
出し成型、インフレーション成型など、熱可塑性樹脂組
成物の溶融混練加工に対しては、ドライカラー、マスタ
ーバッチ、カラードペレットなどの形態が適している。
特にポリオレフィン系樹脂の成形加工などに対しては、
顔料を分散剤、ワックスと共にポリエチレン、ポリプロ
ピレンなどのポリオレフィン系樹脂中に高濃度で充填し
たカラードペレットの形態が適している。また、エマル
ジョンベースの水性樹脂の塗工には水性液状カラーの形
態が適し、また、熱可塑性樹脂を有機溶剤に可溶化させ
た樹脂溶液、または表面処理剤の塗工には、フラッシュ
ドカラー、ペーストカラー、ドライカラー、油性液状カ
ラーなどの形態が適している。
【0037】本発明の防汚性膜体において、上記の熱可
塑性樹脂被覆層を有するシート状基材の被覆層の表面上
に外面複合塗膜層が形成されている。この外面複合塗膜
層には、面積0.04〜1.0cm2 の疎水性塗膜領域単
位と、面積0.04〜1.0cm2 の親水性塗膜領域単位
とが、互に交差する二方向(例えば上下、左右両方向)
に交互に隣接して配置(以下、これを市松模様と記す)
されている。本発明の防汚性膜体の前記外面複合塗膜に
おいて、前記シート状基材の前記熱可塑性樹脂面の全面
上に、疎水性高分子材料を主成分として含む疎水性塗膜
が形成され、この疎水性塗膜上に前記複数個の親水性塗
膜領域単位が形成され、前記疎水性塗膜の、前記親水性
塗膜領域単位により被覆されていない部分が、前記複数
個の外面露出疎水性塗膜領域単位を形成していてもよ
い。また、前記外面複合塗膜において、前記シート状基
材の前記熱可塑性樹脂面の全面上に、親水性高分子材料
を主成分として含む親水性塗膜が形成され、この親水性
塗膜上に、前記複数個の疎水性塗膜領域単位が形成さ
れ、前記親水性塗膜の、前記疎水性塗膜領域単位により
被覆されていない部分が前記複数個の外面露出親水性塗
膜領域単位を形成していてもよい。
【0038】疎水性塗膜領域単位は、ふっ素系樹脂、ま
たはふっ素系樹脂とアクリル系樹脂との混成体を含む溶
液を塗布・乾燥(熱処理)して得られることが好まし
く、ふっ素系樹脂としては有機溶剤に可溶であるフルオ
ロオレフィン共重合体樹脂、またはフルオロオレフィン
共重合体樹脂の水分散体が好ましい。また、フルオロオ
レフィン共重合体樹脂は、硬化剤との併用で架橋部位を
生成可能である水酸基を分子構造内に含有するものが特
に好ましい。フルオロオレフィンモノマーとしては、例
えば、ふっ化ビニル(VF)、ビニリデンフルオライド
(VdF)、トリフルオロエチレン(TrEE)、テト
ラフルオロエチレン(TFE)、クロロトリフルオロエ
チレン(CTFE)及びヘキサフルオロプロピレン(H
FP)など、のように、ふっ素原子を構成単位中に1個
以上含有するエチレン、プロピレン、及びα−オレフィ
ンなどのオレフィン骨格のモノマーであれば特に限定は
ない。フルオロオレフィン共重合体樹脂は上記フルオロ
オレフィンモノマーから選ばれた2種以上を共重合して
得られるものであり、これらは具体的に、VdF−TF
E共重合体樹脂、VdF−CTFE共重合体樹脂、Vd
F−HFP共重合体樹脂、TFE−CTFE共重合体樹
脂、TFE−HFP共重合体樹脂、CTFE−HFP共
重合体樹脂、VdF−TFE−CTFE共重合体樹脂、
VdF−TFE−HFP共重合体樹脂、TFE−CTF
E−HFP共重合体樹脂、VdF−CTFE−HEP共
重合体樹脂、VdF−TFE−CTFE−HFP共重合
体樹脂などである。また、これらは2種以上を併用する
こともできる。中でもVdFを含有するVdF系共重合
体樹脂が有機溶剤への溶解性の観点で好ましく、VdF
含有量が50〜90モル%である共重合体樹脂が好まし
い。
【0039】上記ふっ素系樹脂のうちで、特に有機溶剤
に可溶なフルオロオレフィン共重合体樹脂としては、V
dF,TFE、又はCTFE成分を含有する共重合体樹
脂が好ましく、これらは、VdF−TFE共重合体樹
脂、VdF−CTFE共重合体樹脂、TFE−CTFE
共重合体樹脂、VdF−TFE−CTFE共重合体樹脂
などである。これらの共重合体樹脂には、VF,TrE
E,HFPなどのフルオロオレフィンモノマーをさらに
共重合して含むものであってもよい。ふっ素系樹脂を可
溶とする有機溶剤に特に限定はないが、例えば、アセト
ン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シ
クロヘキサノンなどのケトン類、酢酸エチル、酢酸n−
ブチル、酢酸メチルセロソルブなどのエステル類、ベン
ゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族化合物などが挙
げられ、その他、テトラヒドロフラン、ジメチルホルム
アミド、イソプロピルアルコールなども併用することが
できる。また、これらの有機溶剤は同時にアクリル系樹
脂も溶解可能であるものが好ましい。また有機溶剤に可
溶なフルオロオレフィン共重合体樹脂は、CF2 =CF
X(但し、Xは、−H,−F、又は−CF3 を表す。)
で示されるフルオロオレフィンと、特定のビニルモノマ
ーとの共重合体樹脂であることが好ましい。特定のビニ
ルモノマーとしては、i)CH2 =CR(CH3 )(但
し、Rは、炭素原子数1〜8のアルキル基を表す)で示
されるβ−メチル−β−アルキル置換−α−オレフィン
類、ii)CH2 =CHOR,CH2 =CHCH2 OR
(但し、Rは、炭素原子数1〜8のアルキル基又はヒド
ロキシアルキル基を表す。)で示されるアルキルビニル
エーテル類、またはアルキルアリルエーテル類、iii )
CH 2 =COOR,CH2 =OCOR,CHCOOR=
COOR,CHCOOR=OCOR(但し、Rは、炭素
原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜8のシク
ロアルキル基、炭素原子数1〜10のフルオロアルキル
基、又は炭素原子数1〜8のアルキル置換フェニル基を
表す。)で示されるビニル基含有エステルなどが挙げら
れる。このような有機溶剤に可溶性の、ふっ素系樹脂
(塗料)の市販品としては、商標:ルミフロン(旭硝子
(株))、商標:セフラルコート(セントラル硝子
(株))、商標:ザフロン(東亜合成(株))、商標:
ゼッフル(ダイキン工業(株))、商標:フルオネート
(大日本インキ工業(株))、商標:フローレン(日本
合成ゴム(株))、商標:カイナー(アトケム)などが
挙げられる。
【0040】これらのフルオロオレフィン共重合体樹脂
は、共重合ビニル成分中に有するヒドロキシル基、又は
カルボキシル基などの反応性基を、イソシアネート化合
物、アジリジン化合物、オキサゾリン化合物、カルボジ
イミド化合物、メラミン化合物など公知の硬化剤(架橋
剤)をフルオロオレフィン共重合体樹脂(固形分)に対
して、固形分量換算で1〜20質量%、好ましくは3〜
15質量%用いて反応させることによって得られ、それ
によって塗膜の耐摩耗性、耐酸性雨性、耐候性などを改
善することができる。中でも特にイソシアネート化合物
がヒドロキシル基との反応性に優れ好ましく、特に脂肪
族ポリイソシアネート化合物、及び脂環式ポリイソシア
ネート化合物が耐候性の観点で好ましい。芳香族ポリイ
ソシアネート化合物では、得られる塗膜が変色すること
がある。脂肪族ポリイソシアネート化合物としては、ヘ
キサメチレンジイソシアネート(HDI)、HDI付加
型イソシアヌレート・ポリイソシアネート、HDI付加
型トリメチルプロパン・ポリイソシアネート、HDI付
加型ビウレット・ポリイソシアネート、及びこれらのイ
ソシアネート基ブロック体など、また、脂環式ポリイソ
シアネート化合物としてはイソホロンジイソシアネート
(IPDI)、IPDI付加型イソシアヌレート・ポリ
イソシアネート、IPDI付加型トリメチルプロパン・
ポリイソシアネート、IPDI付加型ビウレット・ポリ
イソシアネート、及びこれらのイソシアネート基ブロッ
ク体などを用いることが好ましい。特にポリイソシアネ
ート類を部分的に親水性基に置換したものは、水分散体
とも併用することができる。
【0041】また、ふっ素系樹脂とアクリル系樹脂との
混成体とは、上記フルオロオレフィン共重合体樹脂とア
クリル系樹脂との混合物、及びフルオロオレフィン−ア
クリル共重合体樹脂を意味し、これらは有機溶剤に可溶
であるもの、または水分散体であることが好ましい。フ
ルオロオレフィン共重合体樹脂とのブレンドに用いられ
るアクリル系樹脂とは、例えば、アルキル基の炭素原子
数が1〜18のアクリル酸アルキルエステル類、これら
は例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アク
リル酸n−ブチル、アクリル酸i−ブチル、アクリル酸
t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル
酸n−ヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ラ
ウリルなどの重合体が挙げられる。また、アルキル基の
炭素原子数が1〜18のメタアクリル酸アルキルエステ
ル類、これらは例えば、メタアクリル酸メチル、メタア
クリル酸エチル、メタアクリル酸n−プロピル、メタア
クリル酸i−プロピル、メタアクリル酸n−ブチル、メ
タアクリル酸i−ブチル、メタアクリル酸t−ブチル、
メタアクリル酸2−エチルヘキシル、メタアクリル酸n
−ヘキシル、メタアクリル酸ステアリル、メタアクリル
酸ラウリルなどの重合体が挙げられ、アクリル系樹脂は
これら2種以上のモノマーからなる共重合体樹脂であっ
てもよい。
【0042】また、上記アクリル系樹脂には、アクリル
系モノマーと反応性を有する共重合モノマーをアクリル
系モノマーと置換して最大30質量%程度まで含んでい
ても良く、これらの共重合モノマーは例えば、マレイン
酸、無水イタコン酸、無水コハク酸などのエチレン性不
飽和カルボン酸類、アクリルアミド、メタアクリルアミ
ド、N−メチルアクリルアミド、N−メチロールアクリ
ルアミドなどのアミド化合物類、アクリル酸ヒドロキシ
エチル、メタアクリル酸ヒドロキシエチルなどの水酸基
含有(メタ)アクリル酸類、アクリル酸グリシジル、メ
タアクリル酸グリシジルなどのエポキシ基含有(メタ)
アクリル酸類、その他、エチレン、プロピレン、ブテン
−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテ
ン−1などのα−オレフィン類、エチルビニルエーテ
ル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシブチル
ビニルエーテルなどのビニルエーテル類、ポリオキシエ
チレンアリルエーテル、エチルアリルエーテル、ヒドロ
キシエチルアリルエーテルなどのアルケニル類、酢酸ビ
ニル、乳酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニルなど
のビニルエステル類、スチレン、α−メチルスチレンな
どの芳香族ビニル化合物類などが挙げられる。また、上
記アクリル系樹脂は、フルオロオレフィン共重合体樹脂
または、フルオロオレフィン−アクリル共重合体樹脂に
対してブレンドして用いることができる。アクリル系樹
脂のブレンド量(固形分量)は、フルオロオレフィン共
重合体樹脂に対して5〜75質量%であることが好まし
く、特に10〜65質量%が好ましく、また、フルオロ
オレフィン−アクリル共重合体樹脂に対しては5〜60
質量%であることが好ましく特に10〜50質量%が好
ましい。
【0043】一方、フルオロオレフィン−アクリル共重
合体樹脂とは、上記フルオロオレフィンモノマーとアク
リル系モノマーとの共重合体樹脂、及び上記フルオロオ
レフィンモノマーから選ばれた2種以上とアクリル系モ
ノマーとの共重合体樹脂を意味する。これらは有機溶剤
に可溶であるもの、または水分散体であることが好まし
い。アクリル系モノマーは、アルキル基の炭素原子数が
1〜18のアクリル酸アルキルエステル類、これらは例
えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル
酸n−ブチル、アクリル酸i−ブチル、アクリル酸t−
ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n
−ヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ラウリ
ルなどが挙げられる。またアクリル系モノマーは、アル
キル基の炭素原子数が1〜18のメタアクリル酸アルキ
ルエステル類、これらは例えば、メタアクリル酸メチ
ル、メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸n−プロピ
ル、メタアクリル酸i−プロピル、メタアクリル酸n−
ブチル、メタアクリル酸i−ブチル、メタアクリル酸t
−ブチル、メタアクリル酸2−エチルヘキシル、メタア
クリル酸n−ヘキシル、メタアクリル酸ステアリル、メ
タアクリル酸ラウリルなどが挙げられ、これらは2種以
上を併用することもできる。また、フルオロオレフィン
−アクリル共重合体樹脂には、上記アクリル系モノマー
と反応性を有する共重合モノマーをアクリル系モノマー
と置換して最大30質量%程度まで含んでいてもよく、
これらの共重合モノマーは例えば、マレイン酸、無水イ
タコン酸、無水コハク酸などのエチレン性不飽和カルボ
ン酸類、アクリルアミド、メタアクリルアミド、N−メ
チルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミドな
どのアミド化合物類、アクリル酸ヒドロキシエチル、メ
タアクリル酸ヒドロキシエチルなどの水酸基含有(メ
タ)アクリル酸類、アクリル酸グリシジル、メタアクリ
ル酸グリシジルなどのエポキシ基含有(メタ)アクリル
酸類、その他、エチレン、プロピレン、ブテン−1、4
−メチルペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1な
どのα−オレフィン類、エチルビニルエーテル、シクロ
ヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエー
テルなどのビニルエーテル類、ポリオキシエチレンアリ
ルエーテル、エチルアリルエーテル、ヒドロキシエチル
アリルエーテルなどのアルケニル類、酢酸ビニル、乳酸
ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニルなどのビニルエ
ステル類、スチレン、α−メチルスチレンなどの芳香族
ビニル化合物類などが挙げられる。得られたフルオロオ
レフィン−アクリル共重合体樹脂には、フルオロオレフ
ィン成分の合計量として35〜85モル%、特に40〜
70モル%を含有することが好ましい。
【0044】上記の有機溶剤可溶性ふっ素系樹脂、及び
ふっ素系樹脂とアクリル系樹脂との混成体は、塊状重
合、懸濁重合、乳化重合、溶液重合など公知の重合方法
によって製造されるが、特に有機溶剤を重合媒体とする
溶液重合により、塗料原料を直接的に得られることがあ
る。また、溶液重合において重合生成物が析出する場合
には、一旦、重合生成物を水中に沈殿させ、脱溶媒と不
純物除去とを施し、沈殿生成物を回収乾燥して、これを
有機溶剤中に溶解したものであってもよい。また、乳化
重合によって得られるエマルジョンを乾燥させて得た重
合生成物なども同様に使用できる。溶液重合溶媒に用い
る有機溶剤は、アルコール類、エステル類、飽和ハロゲ
ン化炭化水素類、芳香族炭化水素類などで特に限定はな
い。また、ふっ素系樹脂とのブレンドに用いるアクリル
系樹脂は、塊状重合、懸濁重合、乳化重合、溶液重合な
ど公知の重合方法によって得たものを使用できる。一
方、ふっ素系樹脂の水分散体、及びふっ素系樹脂とアク
リル系樹脂との混成体の水分散体などは乳化重合によっ
て効率良く得ることができ、これらは水性溶媒中での重
合時に、界面活性剤、重合開始剤、連鎖移動剤、キレー
ト化剤、pH調整剤などを使用して重合され、水中に安定
化されたエマルジョンである。特に、ふっ素系樹脂とア
クリル系樹脂との混成体の水分散体がブレンドによって
構成される場合、ふっ素系樹脂とアクリル系樹脂とは、
ともにエマルジョンであることが好ましい。ブレンドに
用いるアクリル系樹脂エマルジョンは、水性溶媒中での
重合時に、界面活性剤、重合開始剤、連鎖移動剤、キレ
ート化剤、pH調整剤などを使用して重合され、水中に安
定化されたエマルジョンである。
【0045】疎水性塗膜領域単位の塗布の方法として
は、特別の制限はないが、上記ふっ素系樹脂、または、
ふっ素系樹脂とアクリル系樹脂との混成体を含有する塗
工剤をシート状基材の被覆層表面上(または被覆層上に
形成された添加剤移行防止層上)に均一塗布、及び市松
模様状に塗布できる様なコーティング方式が望ましく、
例えば、グラビアコート法、マイクログラビアコート
法、コンマコート法、ロールコート法、リバースロール
コート法、バーコート法、スクリーンコート法、フロー
コート法、スプレーコートなどが挙げられるが、特に市
松模様の形成にはグラビアコート法が好適である。上記
コーティング剤による疎水性塗膜領域単位の厚さは上記
コーティング方法のいずれか、もしくは、組み合わせに
よって0.1〜30μmの厚さに形成させることが好ま
しい。疎水性塗膜領域単位の厚さが0.1μmよりも少
ないと、得られる膜体の防汚性と防汚持続性が不十分と
なり、また、それが30μmを超えるものは市松模様状
の連続塗膜の形成が困難となる。
【0046】一方、親水性塗膜領域単位は、オルガノシ
リケート化合物、またはその低縮合物の加水分解物(シ
ラノール基含有シラン化合物)によって形成されること
が好ましい。オルガノシリケート化合物は、化学式:R
O[−Si−(OR)2 −O−]n Rで表される4官能
加水分解性シラン化合物であり、式中、Rは炭素原子数
1〜10の1価の炭化水素基、nは1以上の整数で、4
官能加水分解性シラン化合物の縮合分子数を表す多量化
度である。Rにより表される炭化水素基としては、アル
キル基、またはアリール基であり、アルキル基として
は、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i
−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチ
ル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、ネオペンチル
基、n−ヘキシル基、i−ヘキシル基、n−オクチル基
などで、これらは直鎖状、分岐状の何れであってもよ
い。これら4個の加水分解性基は各々異なるものであっ
てもよいが、通常は同一の加水分解性基であることが好
ましい。中でも特に炭素原子数1〜3の低級アルキル基
が加水分解反応の観点で好ましい。また、アリール基と
しては、例えば、フェニル基、トルイル基、キシリル
基、ナフチル基などが挙げられるが、汎用性の観点では
フェニル基が好ましい。これらのオルガノシリケートの
具体例としては、n=1の化合物として、テトラメトキ
シシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシ
ラン、テトラブトキシシラン、テトラフェノキシシラ
ン、ジメトキシジエトキシシランなどがあり、また多量
化度n=2以上の化合物は、4官能加水分解性シラン化
合物が加水分解して生成するシラノール基同士の反応で
2分子以上が縮合して生成する多量体であり、nの表す
多量化度は多量体1分子中に含有するけい素原子数を意
味するものである。また、n=2以上の多量体において
は、4官能加水分解性シラン化合物を2種以上併用する
こともできる。本発明に用いるオルガノシリケートはn
=1以上の整数であるが、特にn=1〜10の整数が好
ましい。n=11を越えると液粘度が高くなるだけでな
くゲル化を起こし、また有機溶剤に対する溶解度も低い
ものとなることがある。本発明に用いる多量体は、多量
化度nが異なる多量体の混合物であってもよい。本発明
においては、多量化度2〜10のテトラメトキシシラ
ン、またはテトラエトキシシランを加水分解して得られ
るシラノール基含有シラン化合物を親水性塗膜領域単位
形成用塗料に用いることが耐汚染防止効果に優れ特に好
ましい。
【0047】これらのオルガノシリケートの加水分解反
応は、酸触媒下でオルガノシリケート中のSi量をSi
2 (シリカ)量に換算した100質量部に対して水を
3〜70質量部、特に5〜50質量部の範囲内で添加し
て行うことが好ましい。SiO2 (シリカ)量への換算
は、4官能加水分解性シラン化合物、及びそれらの多量
体1分子に対して、その1分子から生成するシリカの割
合を示すもので、SiO2 (質量%)=多量化度×(S
iO2 の分子量)×100/その化合物の分子量)で算
出される値である。本発明に用いる4官能加水分解性シ
ラン化合物の多量体は、SiO2 (質量%)=35以上
であるものが好ましい。上記オルガノシリケートの加水
分解反応において、水の添加量が3質量部よりも少ない
と、液塗工が困難であると同時に、得られる塗膜が乾燥
硬化不良を生じて耐汚染性が悪いものとなる。また、水
の添加量が70質量部よりも多くなると、加水分解反応
は十分に進行するが、加水分解反応に付随して生成した
シラノール基同士による再縮合が進行して液がゲル化す
ることがある。このゲル化は液のポットライフを短くす
るだけでなく、塗膜の耐汚染性にも大きく影響するもの
である。また、加水分解反応は、水以外の溶媒としてメ
タノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどの
アルコール溶媒下で行うこともできる。加水分解に用い
る酸触媒としては、例えば、塩酸、硝酸、硫酸などの無
機酸、酢酸、パラトルエンスルホン酸などの有機酸から
選ばれて使用できる。得られたオルガノシリケートの加
水分解生成物(シラノール基含有シラン化合物)は、化
学式:RO[−Si−(OR) 2 −O−]n Rにおける
Rの一部、もしくは全部が水素原子で置換されたもので
あることを前提とするが、一部に多量体を残したもので
あっても使用に差し支えない。上記オルガノシリケート
の加水分解生成物には、必要に応じて希釈目的の水(脱
イオン水)、有機溶剤、充填材、着色剤、レオロジー調
整剤、レベリング剤、その他公知の塗料用添加剤などを
配合することができる。有機溶剤としては、トルエン、
キシレン、n−ヘキサン、石油エーテルなどの炭化水素
系溶剤、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコ
ールなどのアルコール系溶剤、アセトン、メチルエチル
ケトンなどのケトン系溶剤、エチレングリコール、ジエ
チレングリコールなどのグリコール系溶剤、エチレング
リコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノ
エチルエーテルなどのグリコールエーテル系溶剤などか
ら選ばれた1種以上を使用することができる。特に水と
の併用により、アルコール系溶剤をシラノール基含有シ
ラン化合物と同量以上用いることにより液の安定性(ポ
ットライフ)を向上させることができる。この希釈塗工
液中(特に、水/アルコール)に含有する、オルガノシ
リケートの加水分解生成物の濃度は0.01〜30質量
%であることが好ましく、特に0.1〜5質量%の範囲
であることが好ましい。この濃度が0.01質量%未満
であると、得られる塗膜の耐汚染防止性が十分に得られ
ないことがあり、また、濃度が30質量%を越えて大き
くなると、得られる塗膜が厚くなり過ぎて塗膜が脆くな
ることがある。
【0048】また、親水性塗膜領域単位用充填材として
はコロイダルシリカ及び、シリカなどのけい素化合物を
用いることが好ましく、コロイダルシリカとしてはけい
酸ナトリウム溶液を陽イオン交換することによって得ら
れる水分散媒のシリカゾル、有機系溶剤を分散媒とする
BET平均粒子径10〜20nmのシリカゾルが用いられ
る。また、シリカ(SiO2 )としては、乾式法により
合成された無水シリカ、湿式法により合成された含水シ
リカなどの合成シリカである。合成シリカは、特に表面
にシラノール基(Si−OH基)数を多く有する湿式シ
リカが好ましい。合成シリカの平均凝集粒径としては、
平均凝集粒径(コールカウンター法)が1〜20μm、
特に2〜10μmである。
【0049】また、本発明において、オルガノシリケー
ト化合物、またはその低縮合物の加水分解物(シラノー
ル基含有シラン化合物)を主体とする親水性塗膜領域単
位には、耐折り曲げ性、耐水性などの塗膜耐久性を改良
する目的で、シランカップリング剤(アルコキシシラン
化合物)を添加することができる。塗膜耐久性を改良す
るには、アルコキシシラン化合物をゾル−ゲル法により
加水分解し、親水性塗膜領域単位内で重縮合させて使用
される。シランカップリング剤の配合量は、オルガノシ
リケート化合物、またはその低縮合物の加水分解物のS
i量をSiO2(シリカ)量に換算した100質量部に
対し、1〜50質量部、特に5〜25質量部であること
が好ましい。シランカップリング剤の配合量が1質量部
未満だと、塗膜耐久性の効果に乏しく、また50質量部
を越えると、得られる塗膜の耐汚染性を悪くすることが
ある。具体的にアルコキシシランとしては、一般式:Y
nSiX4-n (n=1〜3)で表されるけい素化合物の
1種または2種以上の加水分解縮合物、共加水分解化合
物などが適している。前記一般式においてYは例えば、
アルキル基、フルオロアルキル基、ビニル基、メルカプ
ト基、アミノ基またはエポキシ基であることができ、X
は例えば、ハロゲン、メトキシル基、エトキシル基、ま
たはアセチル基であることができる。具体的には、アル
キル基置換トリクロルシラン、アルキル基置換トリブロ
ムシラン、アルキル基置換トリメトキシシラン、アルキ
ル基置換トリエトキシシラン、アルキル基置換トリイソ
プロポキシシラン、アルキル基置換トリ−t−ブトキシ
シランなどが挙げられ、アルキル基としては、それぞれ
メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ヘキシル
基、n−デシル基、n−オクタデシル基、フェニル基な
どである。また、具体的には、上記アルキル置換シラン
化合物のアルキル基をトリフルオロプロピル基に変えた
もの、上記アルキル置換シラン化合物のアルキル基をビ
ニル基に変えたもの、上記アルキル置換シラン化合物の
アルキル基をγ−メタアクリロキシプロピル基に変えた
もの、上記アルキル置換シラン化合物のアルキル基をγ
−アミノプロピル基に変えたもの、上記アルキル置換シ
ラン化合物のアルキル基をγ−メルカプトプロピル基に
変えたものなどが挙げられる。
【0050】親水性塗膜領域単位の塗布の方法として
は、特別の限定はないが、上記オルガノシリケート化合
物、またはその低縮合物の加水分解物(シラノール基含
有シラン化合物)を含有する塗工剤をシート状基材の被
覆層上、又はその上に形成された添加剤移行防止層上に
均一塗布、及び市松模様状に塗布できる様なコーティン
グ方式が望ましく、例えば、グラビアコート法、マイク
ログラビアコート法、コンマコート法、ロールコート
法、リバースロールコート法、バーコート法、スクリー
ンコート法、フローコート法、スプレーコート法などが
挙げられるが、特にグラビアコート法が市松模様の形成
に好適である。上記コーティング剤による親水性塗膜領
域単位の厚さは上記コーティング方法のいずれか、もし
くは、組み合わせによって0.1〜30μm形成させる
ことが好ましい。親水性塗膜領域単位の厚さが0.1μ
mよりも少ないと、得られる膜体の防汚性と防汚持続性
が不十分となることがあり、また、それが30μmを超
えると、市松模様状の連続塗膜の形成が困難となる。ま
た、以下に述べる光触媒物質を含む親水性塗膜領域単位
の塗布の方法もこれに同様である。
【0051】また、本発明において、オルガノシリケー
ト化合物、またはその低縮合物の加水分解物(シラノー
ル基含有シラン化合物)を主成分として含む親水性塗膜
領域単位には、耐汚染防止効果をさらに向上させる目的
で、光触媒物質を含むことが好ましい。光触媒物質とし
ては、TiO2 ,ZnO,SrTiO3 ,CdS,Ga
P,InP,GaAs,BaTiO3 ,K2 NbO3
Fe23 ,Ta2 5 ,WO3 ,SnO2 ,Bi2
3 ,NiO,Cu2 O,SiC,SiO2 ,MoS2
InPb,RuO2 ,CeO2 などを例示することがで
き、またこれらの光触媒物質にPt,Rh,RuO2
Nb,Cu,Sn,NiOなどの金属及び金属酸化物を
相乗化剤として添加した公知の組み合わせが全て使用で
きる。これらの光触媒物質のうち、酸化チタン(TiO
2 )、過酸化チタン(ペルオキソチタン酸)、酸化亜鉛
(ZnO)、酸化錫(SnO2 )、チタン酸ストロンチ
ウム(SrTiO3 )、酸化タングステン(WO3 )、
酸化ビスマス(Bi23)、酸化鉄(Fe23 )及
び、これら光触媒物質を担持する無機系多孔質微粒子か
ら選ばれた金属酸化物を使用することが好ましい。光触
媒物質を担持する無機系多孔質微粒子としては、シリ
カ、(合成)ゼオライト、チタンゼオライト、りん酸ジ
ルコニウム、りん酸カルシウム、りん酸亜鉛カルシウ
ム、ハイドロタルサイト、ヒドロキシアパタイト、シリ
カアルミナ、けい酸カルシウム、けい酸アルミン酸マグ
ネシウム、ケイソウ土などを用いることができる。これ
らの無機系多孔質微粒子の平均一次粒子径は、0.01
〜10μmであることが好ましく、特に0.05〜5μ
mであるものが好ましい。光触媒物質を無機系多孔質微
粒子に担持させるには、光触媒物質を含有する金属アル
コラートによるゾル−ゲル薄膜製造工程を応用した表面
処理が好ましい。
【0052】本発明の親水性塗膜領域単位に用いる光触
媒物質としては、これらの中でバンドギャップエネルギ
ーが高く、化学的に安定で、しかも汎用性の金属酸化物
である酸化チタンを使用することが好ましい。光触媒物
質としての酸化チタンにおいては、硫酸チタニル、塩化
チタン、チタンアルコキシドなどのチタン化合物を熱加
水分解して得られる酸化チタンゾル、及び酸化チタンゾ
ルのアルカリ中和物として得られる酸化チタンなど、ま
た水酸化チタン及び、チタン酸化物の超微粒子を過酸化
水素などの過酸化物でペルオキソ化して水中に分散した
アナターゼ型ペルオキソチタン酸分散液であることが好
ましい。酸化チタンはアナターゼ型とルチル型の何れも
使用できるが、アナターゼ型の酸化チタンが光触媒活性
の大きさの観点で好ましい。具体的には、平均結晶子径
5〜20nmの塩酸解膠型のアナターゼ型チタニアゾル、
硝酸解膠型のアナターゼ型チタニアゾルなどが好ましく
使用できる。光触媒物質の粒径は小さい方が光触媒活性
能に優れるため、平均粒子径50nm以下、より好ましく
は20nm以下の光触媒物質が適している。また、酸化チ
タンとしては含水酸化チタン、水和酸化チタン、メタチ
タン酸、オルトチタン酸、水酸化チタンなども含まれ
る。親水性塗膜領域単位中の光触媒の含有量は、多くな
るほど親水性となり、同時に光触媒活性能が高くなる
が、下地基材層との接着性の観点から親水性塗膜領域単
位を構成するオルガノシリケートの加水分解物の縮合硬
化物に対して、50質量%以下、特に1〜50質量%が
適している。光触媒物質の含有量が1質量%未満だと光
触媒効果が十分に発揮されず、また光触媒物質の含有量
が50質量%を越えると光触媒効果は高くなるが、親水
性塗膜領域単位の表面摩耗強さを悪くすることで、屋外
耐久性を十分に得ることができない。また、光触媒物質
を含有する親水性塗膜領域単位には、光触媒物質とオル
ガノシリケートの加水分解物の縮合硬化物との密着性を
改善するために、シランカップリング剤(アルコキシシ
ラン化合物)を併用添加することが好ましく、この改善
はアルコキシシラン化合物をゾルゲル法により加水分解
させたものを親水性塗膜領域単位内部で重縮合させるこ
とによって可能である。これらのアルコキシシラン化合
物としては、前述のシランカップリング剤として例示し
たものが使用できる。シランカップリング剤の使用量は
親水性塗膜に対して0.01〜10質量%であることが
好ましく、特に0.1〜5質量%の範囲で使用すること
が好ましい。
【0053】また本発明において、ふっ素系樹脂、また
はふっ素系樹脂とアクリル系樹脂との混成体を主体とす
る疎水性塗膜領域単位にも、耐汚染防止効果をさらに向
上させる目的で、上記光触媒物質を含ませることができ
る。
【0054】また、これらの光触媒物質には、光触媒物
質に対し、50〜200質量%、特に60〜150質量
%の金属酸化物ゲル及び/又は金属水酸化物ゲルを併用
することが好ましい。この金属酸化物ゲル及び/又は金
属水酸化物ゲルは、光触媒物質を固着すると同時に、こ
れらの有する多孔質性によって光触媒物質の分散面積を
大きくし、これにより光触媒活性能が効率化される。こ
の金属酸化物ゲル及び/又は金属水酸化物ゲルの乾燥物
の比表面積は100m2 /g以上の多孔質性を有するこ
とが光触媒活性能の効率化の観点で好ましい。金属酸化
物ゲル及び/又は金属水酸化物ゲルとしては、けい素、
アルミニウム、チタニウム、ジルコニウム、マグネシウ
ム、ニオビウム、タンタラム、タングステン、錫の金属
から選ばれた1種または2種以上の金属の酸化物ゲル、
もしくは水酸化物ゲルであることが好ましく、具体的に
はシリカゾル、アルミナゾル、ジルコニアゾル、酸化ニ
オブゾルなどが例示できる。また、これらの混合ゲルと
して、共沈法で得られる複合酸化物ゲルなども使用でき
る。これらの金属酸化物ゲル及び/又は金属水酸化物ゲ
ルと光触媒物質との混合には、これらのゲルとなる前の
ゾルの状態で混合するか、もしくはゾルを調整する前の
原料の段階で混合するのが好ましい。金属酸化物ゲル及
び/又は金属水酸化物ゲルを調整する方法には、金属塩
を加水分解する方法、中和分解する方法、イオン交換す
る方法などがあるが、ゲルの中に光触媒物質が均一に分
散可能であれば何れの方法でも構わない。本発明に用い
る金属酸化物ゾルとしては、特にジルコニウム及び、ア
ルミニウムなどの酸化物ゾルが耐久性の観点で好まし
い。
【0055】また本発明に用いられる光触媒物質は、親
水性塗膜領域単位中に含有させる以外、親水性塗膜領域
単位の表面に塗布したものであってもよい。表面塗布の
場合、光触媒塗布層には、光触媒物質を10〜70質量
%と、金属酸化物ゲル及び/又は金属水酸化物ゲルを2
5〜90質量%、またけい素化合物を1〜20質量%含
有させることが好ましい。また本発明において光触媒物
質は、疎水性塗膜領域単位中に含有させることの他に、
疎水性塗膜領域単位の表面に塗布されてもよい。表面塗
布の場合、光触媒塗布層には、光触媒物質を10〜70
質量%と、金属酸化物ゲル及び/又は金属水酸化物ゲル
を25〜90質量%、またけい素化合物を1〜20質量
%含有させることが好ましい。
【0056】光触媒物質の塗布の方法としては、特別に
限定される物ではないが、上記光触媒物質を含有する塗
工剤を親水性塗膜領域単位の表面上に均一塗布、及び市
松模様状に塗布できる様なコーティング方式が望まし
く、例えば、グラビアコート法、マイクログラビアコー
ト法、コンマコート法、ロールコート法、リバースロー
ルコート法、バーコート法、スクリーンコート法、フロ
ーコート法、スプレーコート法などが挙げられるが、市
松模様の形成には特にグラビアコート法が好適である。
上記コーティング剤による光触媒塗布層の厚さは上記コ
ーティング方法のいずれか、もしくは、組み合わせによ
って0.1〜30μmの厚さに形成させることが好まし
い。光触媒塗布層の厚さが0.1μmよりも少ないと、
得られる膜体の防汚性と防汚持続性が不十分となること
があり、また、それが30μmを超えるものは屈曲や折
り曲げに対して脆いものとなることがある。また必要に
応じて、光触媒塗布層は親水性塗膜領域単位と疎水性塗
膜領域単位の両方上に形成することもできる。
【0057】本発明の防汚性膜体において、シート状基
材の被覆層の表面に設けられる外面複合塗膜層は、例え
ば、ふっ素系樹脂、または、ふっ素系樹脂とアクリル系
樹脂との混成体の塗布による、面積0.04〜1.0cm
2 の疎水性塗膜領域単位と、例えばオルガノシリケート
化合物、またはその低縮合物の加水分解物の塗布によ
る、面積0.04〜1.0cm2 の親水性塗膜領域単位と
が互に交差する二方向(上下左右)に交互隣接した市松
状に連続して形成される。この疎水性塗膜領域単位と親
水性塗膜領域単位との分布率は、面積比で35:65〜
65:35であることが好ましく、特に50:50であ
ることが好ましい。疎水性塗膜領域単位または親水性塗
膜領域単位の占める面積比が35よりも少なくなると、
得られる表面塗膜の雨筋汚れ防止効果が不十分となるこ
とがある。また、親水性塗膜領域単位の占める面積比が
65よりも多くなると、得られる膜体のラップ接合、す
なわち融着縫製(高周波、超音波、熱)が困難となるこ
とがある。また、疎水性塗膜領域単位と親水性塗膜領域
単位の1個当たりの面積は、それぞれ0.04〜1.0
cm2 、特に0.1〜0.5cm2 、理想的には雨粒(水滴
の撥水粒)の大きさである。1個当たりの面積が0.0
4cm2 よりも小さいと、本発明の表面塗膜を構成する市
松状連続塗膜の形成が困難となる。また、1個当たりの
面積が1.0cm 2 よりも大きいと、雨粒の大きさよりも
広面積となることで、得られる膜体の雨筋汚れ防止効果
が不十分となる。一方、親水性塗膜領域単位の水との静
止接触角θは、0〜40°好ましくは0〜30°であ
る。静止接触角θが40°を越えると親水性塗膜領域単
位の濡れ性が不十分となり、雨筋汚れ防止効果が得られ
ない。また、疎水性塗膜領域単位の水との静止接触角θ
は80〜135°、好ましくは95〜135°の範囲で
ある。静止接触角θが80°よりも小さいと疎水性塗膜
領域単位の撥水性が不十分となり、十分な雨筋汚れ防止
効果が得られない。また、疎水性塗膜領域単位と親水性
塗膜領域単位との静止接触角差(θ1 −θ2 )は40〜
135°、特に80〜135°であることが好ましい。
【0058】疎水性塗膜領域単位と親水性塗膜領域単位
との表面塗膜の形成は、1).疎水性塗膜領域単位を形
成する塗布液の部分塗工と、親水性塗膜領域単位を形成
する塗布液の部分塗工とに工程を分割して行う方法、
2).疎水性塗膜領域単位を形成する塗布液による全面
塗工を施し、その上から、親水性塗膜領域単位を形成す
る塗布液を部分塗工する方法、3).親水性塗膜領域単
位を形成する塗布液による全面塗工を施し、その上か
ら、疎水性塗膜領域単位を形成する塗布液を部分塗工す
る方法などの、何れの方法によっても可能で、上記1)
〜3)の方法は、本発明の主対象とする防汚性膜体以外
の物品、及び建築物、建造物、車両などの外面塗装にも
応用可能なものである。これらの疎水性塗膜領域単位、
及び親水性塗膜領域単位の形状は、正方形、長方形、三
角形、矢がすり模様、六角形と蝶形六角形との組み合わ
せ、八角形と蝶形八角形との組み合わせ、及びこれらの
変形体(部分的、または全体的に形状を歪ませたもの)
から選ばれた1種以上であり、これらの形状からなる疎
水性塗膜領域単位、及び親水性塗膜領域単位を交互に隣
接して組み合わせた市松状連続塗膜に形成されているこ
とが好ましい。また、これらの市松状交互隣接による連
続塗膜は、複数タイプを部分併用することもできる。疎
水性塗膜単位、及び親水性塗膜単位の交互隣接による市
松状連続塗膜の形成は、グラビアコートによる塗工方法
が最も適し、場合によっては、それぞれの市松模様のス
クリーン版を用いるスクリーンコート法、または、それ
ぞれの市松模様のマスキング版を用いるスプレーコート
法なども適用可能である。市松状連続塗膜の形成は、疎
水性塗膜単位の形状が彫刻されたグラビアロールと、親
水性塗膜単位の形状が彫刻されたグラビアロールの最低
2本のロールがあれば可能である。またグラビアロール
のスクリーン(メッシュ)線数、彫刻様式(ピラミッ
ド、ハニカム、斜線など)、彫刻深度などには特に限定
はないが、スクリーン線数40〜200/2.54cm、
彫刻深度10μm〜1000μmが適している。
【0059】本発明の防汚性膜体の外面複合被膜層にお
ける疎水性塗膜領域単位と、親水性塗膜領域単位との配
置を図1〜8により例示する。図1に示された外面複合
塗膜層1において、正方形の親水性塗膜領域単位2と疎
水性塗膜領域単位3とが、縦横両方向に、互に隣接して
交互に配置され、市松模様を形成している。各領域単位
2及び3は、矩形であってもよく、台形であってもよ
い。図2の外面複合塗膜層1において、三角形の親水性
塗膜領域単位2と、疎水性塗膜領域単位3とが、縦横両
方向に、互に隣接して交互に配列されている。図3の外
面複合塗膜層1において、六角形の上2辺が内側に凹ん
だ図形すなわち矢がすり模様の親水性塗膜領域単位2
と、疎水性塗膜領域単位3とが、縦横両方向に、互に隣
接して交互に配列されている。
【0060】図4の外面複合塗膜層1において、図3の
矢絣模様の上下2辺が連続した曲線に変化している図形
の親水性塗膜領域単位2と、疎水性塗膜領域単位3と
が、縦横両方向に、互に隣接して交互に配列されてい
る。図5の外面複合塗膜層1において、六角形及び六角
形の上下各2辺がともに内側に凹んだ図形、すなわち蝶
形六角形の親水性塗膜領域単位2及び疎水性塗膜領域単
位3が、縦横両方向に、互に隣接して交互に配列されて
いる。図6の外面複合塗膜層1において、八角形及び八
角形の上下各3辺が内側に凹んだ八角形の親水性塗膜領
域単位2及び疎水性塗膜領域単位3が、縦横両方向に、
互に隣接して交互に配列されている。
【0061】図1〜6の外面複合塗膜層1において、親
水性塗膜領域単位2と、疎水性塗膜領域単位3との面積
比(2)/(3)はいずれも1:1である。図7の外面
複合塗膜層1において、三角形状の親水性塗膜領域単位
2の2辺が内側に凹の曲線をなしていて、疎水性塗膜領
域単位3の2辺が外側に凸の曲線をなしている。この曲
線の凹凸方向及び形状を変更することにより両領域単位
の面積比(2)/(3)を、35:65〜65:35の
範囲内に設定することができる。また図8の外面複合塗
膜層1において、図3の矢絣形六角形状が親水性塗膜領
域単位2においては、その上下各2辺を、内側に凹の曲
線とし、疎水性塗膜領域単位3においては、その上下各
2辺を外側に凸の曲線形状に変化している。この変形図
形の凹凸方向及び曲線形状を変化させることによって、
両領域単位の面積比を35:65〜65:35の範囲内
に設定することができる。
【0062】本発明の防汚性膜体は、その表面に、雨粒
(水滴の撥水粒)サイズ程度の面積の疎水性塗膜領域単
位と親水性塗膜領域単位とを市松状に交互隣接して有す
ることによって、この表面を濡らす雨水は、疎水性塗膜
領域単位を通過する時には撥水粒化し、次に親水性塗膜
領域単位を通過する時には濡れ性によって表面張力を失
う挙動を繰り返しながら重力方向に滴り落ちる特殊な効
果をもたらすのである。この雨水が膜体表面を通過する
際に発生する「撥水と濡れ」の相反する繰り返し現象を
雨粒サイズのレベルで発現させることによって、雨筋汚
れの発生を効果的に防止することを可能とするのであ
る。この雨粒(水滴の撥水粒)サイズ程度の面積の疎水
性塗膜領域単位と親水性塗膜領域単位とを市松状に交互
隣接する連続塗膜は、本発明において主目的とする防汚
性膜体以外の用途、例えば、物品(タイル、看板)、建
築物(屋根、外壁)、建造物(プラント設備、モニュメ
ント)、車両(バス、電車)などの外面塗装に対しても
応用可能な技術である。
【0063】本発明の防汚性膜体において、シート基材
の裏面に、アクリル系樹脂、ふっ素系樹脂、ふっ素系樹
脂とアクリル系樹脂との混成体の何れか1種による裏面
塗膜層を形成することが膜体の熱融着接合の観点におい
て好ましい。この裏面塗膜層を有することによって、熱
可塑性樹脂シートの表面に形成された、疎水性塗膜領域
単位と親水性塗膜領域単位とを市松状に交互隣接する連
続塗膜のうち、特に疎水性塗膜領域単位を構成する、ふ
っ素系樹脂、ふっ素系樹脂とアクリル系樹脂との混成体
成分の何れか1種と、裏面塗膜層に含まれるアクリル系
樹脂、ふっ素系樹脂、ふっ素系樹脂とアクリル系樹脂と
の混成体などの何れか1種とが互いに融着(高周波、超
音波、熱)可能となる。また、この裏面塗膜層は、膜体
の巻き取り保管時に、シート状基材の被覆層に含まれる
疎水性(油性)成分の膜材表面への転写を防止する効果
も兼ね備えるものである。疎水性(油性)成分が膜材表
面の親水性塗膜領域単位部分に転写されると、膜体の耐
汚染防止効果が不十分となることがある。疎水性(油
性)成分とは、具体的に、可塑剤、オイル、ワックスな
どを意味する。
【0064】裏面塗膜層に用いるアクリル系樹脂として
は、アルキル基の炭素原子数が1〜18のアクリル酸ア
ルキルエステル類、これらは例えば、アクリル酸メチ
ル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリ
ル酸i−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2
−エチルヘキシル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル
酸ステアリル、アクリル酸ラウリルなどの1種以上の重
合体が挙げられる。また、アルキル基の炭素原子数が1
〜18のメタアクリル酸アルキルエステル類は、例え
ば、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メ
タアクリル酸n−プロピル、メタアクリル酸i−プロピ
ル、メタアクリル酸n−ブチル、メタアクリル酸i−ブ
チル、メタアクリル酸t−ブチル、メタアクリル酸2−
エチルヘキシル、メタアクリル酸n−ヘキシル、メタア
クリル酸ステアリル、メタアクリル酸ラウリルなどの1
種以上の重合体を包含する、上記モノマーを2種以上併
用して得られる共重合体樹脂なども使用することができ
る。またアクリル樹脂は、アクリルモノマーと共重合可
能である他のモノマーとを共重合して得られる共重合体
樹脂などであってもよく、これらの他のモノマーとし
て、例えば、マレイン酸、無水イタコン酸、無水コハク
酸などのエチレン性不飽和カルボン酸類、アクリルアミ
ド、メタアクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、
N−メチロールアクリルアミドなどのアミド化合物類、
アクリル酸ヒドロキシエチル、メタアクリル酸ヒドロキ
シエチルなどの水酸基含有(メタ)アクリル酸類、アク
リル酸グリシジル、メタアクリル酸グリシジルなどのエ
ポキシ基含有(メタ)アクリル酸類、その他、エチレ
ン、プロピレン、ブテン−1、4−メチルペンテン−
1、ヘキセン−1、ヘプテン−1などのα−オレフィン
類、エチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエー
テル、ヒドロキシブチルビニルエーテルなどのビニルエ
ーテル類、ポリオキシエチレンアリルエーテル、エチル
アリルエーテル、ヒドロキシエチルアリルエーテルなど
のアルケニル類、酢酸ビニル、乳酸ビニル、酪酸ビニ
ル、ピバリン酸ビニルなどのビニルエステル類、スチレ
ン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル化合物類な
どが挙げられる。ふっ素系樹脂、ふっ素系樹脂とアクリ
ル系樹脂との混成体としては、本発明の疎水性塗膜領域
単位と親水性塗膜領域単位とを市松状に交互隣接する連
続塗膜の疎水性塗膜領域単位を形成するのに用いる樹脂
と同一のものが使用できる。これらは疎水性塗膜領域単
位の形成に関する項目で説明したものである。
【0065】本発明の防汚性膜体において、外面複合塗
膜層とシート状基材の被覆層との間に、アクリル系樹
脂、ふっ素系樹脂、ふっ素系樹脂とアクリル系樹脂との
混成体の何れか1種を含む添加物移行防止層を必要に応
じて1層、または2層以上形成することが好ましい。こ
の添加物移行防止層には、ポリシロキサン、コロイダル
シリカ、シリカから選ばれた1種以上のけい素化合物を
含有することが好ましい。添加物移行防止層を設けるこ
とにより、さらにシート状基材の被覆層に含まれる疎水
性(油性)成分のブルーム、ブリードなどの表面移行を
防止し、かつ疎水性塗膜領域単位と親水性塗膜領域単位
とが市松状に交互隣接している外面複合塗膜層のうち、
特に親水性塗膜領域単位を構成する、オルガノシリケー
ト化合物、及びその低縮合物の加水分解物と、シート基
材の被覆層との密着性を向上する効果が得られ、膜体の
耐汚染防止性を持続させることができる。疎水性(油
性)成分が膜材表面の親水性塗膜領域単位部分に移行す
ると、膜体の耐汚染防止効果が不十分となることがあ
る。疎水性(油性)成分としては具体的に、可塑剤、オ
イル、ワックスなどである。添加剤移行防止層用アクリ
ル系樹脂としては、上述の裏面塗膜層で説明した樹脂と
同一のもの、ふっ素系樹脂、ふっ素系樹脂とアクリル系
樹脂との混成体としては、疎水性塗膜領域単位を形成す
るのに用いる樹脂と同一のものが使用できる。これらは
疎水性塗膜領域単位の形成に関する項目で説明したもの
である。また、ポリシロキサンとしては、前述のシラン
カップリング剤(アルコキシシラン化合物)、及びこれ
らの加水分解物が挙げられる。コロイダルシリカとして
はけい酸ナトリウム溶液を陽イオン交換することによっ
て得られる水分散媒のシリカゾル、有機系溶剤を分散媒
とするBET平均粒子径10〜20nmのシリカゾルが挙
げられ、シリカ(SiO2 )としては、乾式法により合
成された無水シリカ、湿式法により合成された含水シリ
カなどの合成シリカが挙げられる。合成シリカは、特に
表面にシラノール基(Si−OH基)数を多く有する湿
式シリカが好ましい。合成シリカの平均凝集粒径として
は、平均凝集粒径(コールカウンター法)が1〜20μ
m、特に2〜10μmである。これらのけい素化合物
は、添加物移行防止層に対して1〜50質量%、特に3
〜30質量%含有することが好ましい。けい素化合物の
含有量が1質量%未満であると、得られる外面複合塗膜
層の、特に親水性塗膜領域単位を構成する、オルガノシ
リケート化合物、及びその低縮合物の加水分解物と、熱
可塑性樹脂シート基材との密着性が不十分となることが
ある。また、けい素化合物の含有量が50質量%を超え
ると、添加物移行防止層が脆くなり外面複合塗膜層の耐
久性が不十分となることがある。本発明の防汚性膜体の
製造方法において、前記シート状基材の前記被覆層用熱
可塑性樹脂が添加剤を含むとき、この被覆層上に、アク
リル系樹脂、ふっ素系樹脂、又はふっ素系樹脂とアクリ
ル系樹脂との混成体を含む添加剤移行防止層を形成する
工程をさらに含み、この添加剤移行防止層上に前記外面
複合塗膜を形成することが好ましい。前記外面複合塗膜
の形成に当り、前記添加剤移行防止層上に、前記複数個
の親水性塗膜領域単位を形成し、前記添加剤移行防止層
の、前記親水性塗膜領域単位により被覆されていない部
分をもって、疎水性塗膜領域単位としてもよい。
【0066】上記裏面塗膜層、及び添加物移行防止層に
用いる塗工剤は、アクリル系樹脂、ふっ素系樹脂、ふっ
素系樹脂とアクリル系樹脂との混成体の何れか1種を有
機溶剤中に溶解して含む形態、または、これらの水分散
体(エマルジョン)形態にある。これらの塗工剤中に含
有する樹脂固形分には特に限定はなく、有機溶剤、また
は水などで任意の樹脂濃度、溶液粘度に調整することが
できる。有機溶剤には、特に制限はないが、例えば、イ
ソプロパノール、n−ブタノールなどのアルコール系溶
剤、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶剤、
ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素系溶剤、シク
ロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの脂環式炭化水
素系溶剤、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなど
のケトン系溶剤、N,N−ジメチルアセトアミド、N−
メチル−2−ピロリドンなどのアミド系溶剤、及び酢酸
エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶剤、その他テト
ラヒドロフランなどの1種以上から選ばれて適宜使用す
ることができる。また、上記裏面塗膜層、及び添加物移
行防止層の形成は、例えば、グラビアコート法、マイク
ログラビアコート法、コンマコート法、ロールコート
法、リバースロールコート法、バーコート法、キスコー
ト法、フローコート法、スプレーコート法などが挙げら
れ、裏面塗膜層、及び添加物移行防止層の厚さは1〜8
0μmであることが好ましく、特に5〜50μmがより
好ましく、10〜30μmであることがさらに好まし
い。
【0067】図9−(A)〜(C)の各々には、本発明
の防汚性膜体の積層構造の3種の実施態様が例示されて
おりそれぞれの外面複合塗膜層1は親水性塗膜領域単位
2及び疎水性塗膜領域単位3が、交互に配列されてお
り、図9−(A)の態様においては外面複合塗膜層1の
下に熱可塑性樹脂被覆層、基布(繊維布帛)及び熱可塑
性樹脂被覆層が順次に積層されてシート状基材4が形成
されている。この図9−(A)の積層構造に対し、図9
−(B)の態様においては、図示されているようにシー
ト状基材4の裏面側に裏面塗膜層が追加されており、図
9−(C)の態様においては、図示されているように、
シート状基材4の表面上に添加物移行防止層が形成さ
れ、シート状基材4の裏面側に裏面塗膜層が追加されて
いる。図10−(A)に示された本発明の防汚性膜体の
積層構造の実施態様において、シート状基材4の表面上
に疎水性塗膜3aが塗布されており、その上に、親水性
塗膜領域単位2が所定の配置をもって形成され、疎水性
塗膜3aの、親水性塗膜領域単位2により被覆されてい
ない領域面が、疎水性塗膜領域単位3を形成し、上記疎
水性塗膜3aと親水性塗膜領域単位2とにより外面複合
塗膜層1を形成している。図10−(B)及び(C)に
おいては、図10−(A)と同様の積層構造を有してい
るが、図10−(B)においてはシート状基材4の裏面
側に裏面塗膜層が形成されており、また図10−(C)
においては、シート状基材4の裏面側に裏面塗膜層が形
成されており、シート状基材4の表面側に添加物移行防
止層が形成されている。図11−(A)に示された本発
明の防汚性膜体の積層構造の実施態様において、シート
状基材4の表面上に親水性塗膜2aが塗布されており、
その上に、疎水性塗膜領域単位3が所定の配置をもって
形成され、親水性塗膜2aの、疎水性塗膜領域単位3に
より被覆されていない領域面が、親水性塗膜領域単位2
を形成し、この親水性塗膜2aと疎水性塗膜領域単位3
によって外面複合塗膜層1を形成している。図11−
(B)及び(C)においては、図11−(A)と同様の
積層構造を有しているが、図11−(B)においてはシ
ート状基材4の裏面側に裏面塗膜層が形成されており、
また図11−(C)においては、シート状基材4の裏面
側に裏面塗膜層が形成されており、かつシート状基材4
の表面側に添加物移行防止層が形成されている。図12
−(A)及び(B)には、それぞれ図11−(A)及び
(B)と同様の積層構造を有する防汚性膜体が示されて
いる。但し、図12−(A)及び(B)において、シー
ト状基材4の表面上に形成された疎水性塗膜3bは、添
加物移行防止層の機能を有するものである。
【0068】本発明の防汚性膜体を、互に接合(ラップ
接合)するには、高周波融着、超音波融着、熱融着など
の接着方法を用いることができる。高周波融着は、高周
波ウエルダー機を用いて2ヶ所の電極(一方の電極は、
ウエルドバーである)間に膜体を重ね置き、ウエルドバ
ーで加圧しながら電極に高周波(1〜200MHz )で発
振する電位差を印加することで膜体の熱可塑性樹脂層を
分子摩擦熱で溶融させて接着するものである。高周波ウ
エルダー融着機としては、例えば、山本ビニター(株)
のYC−7000FT,YF−7000など、精電舎電
子工業(株)のKM−5000TA,KA−7000T
Eなど、クインライト電子精工(株)のLW−4000
W,LW−4060Sなどが使用できる。また、超音波
融着法は、超音波振動子から発生する超音波エネルギー
(16〜30KHz )の振幅を増幅させ、膜材の境界面に
発生する摩擦熱を利用して融着するものであって、その
超音波発熱は、被着物の境界面だけで発生するために、
製品の変形や、外観変化に影響を与えずに融着加工でき
るというメリットがある。超音波融着機としては、例え
ば、超音波工業(株)のUSWP−1200Z21S,
USWP−2410Z15Sなど、精電舎電子工業
(株)のSONOPET455B/P35A,SONO
PET450B/RL210などが使用できる。熱融着
法は、ヒーターの電気制御によって20〜700℃に無
段階設定された熱風を、ノズルを通じて膜体間に吹き込
み膜体の表面を瞬時に溶融させて、直後に膜体同士を圧
着して接着する方法である。この熱融着法は、連続融着
が可能であるため、大型シート、大型膜体などの縫製に
適している。熱風融着機としては、例えば、ライスター
社の熱風融着機として、バリアント型、ユニバーサル型
などの自走式タイプ、クインライト電子精工(株)のL
HA−Z2,LHA−Z3W,LHA−100ACなど
の被着体送りタイプが使用できる。また、ヒーター内蔵
加熱された金型(こて)を用いて、熱可塑性樹脂の溶融
温度以上で膜体を圧着し接着する熱板融着法などによっ
ても接合が可能である。熱板融着機としては、例えば、
PFAFF社のPfaff8351,Pfaff836
3,Pfaff8362などの自走式ハンディタイプ、
クインライト電子精工(株)のLHP−W603,LH
P−1W1.43などの被着体送りタイプなどを用いる
ことができる。
【0069】
【実施例】本発明を実施例によりさらに具体的に説明す
る。但し、本発明の範囲はこれら実施例により限定され
るものではない。下記実施例及び比較例において、テン
ト膜体の防汚性、高周波融着性などの評価は下記の試験
方法により判定した。
【0070】(I)屋外展張試験による雨筋汚れ防止性
の評価 幅20cm×長さ2mのテント膜体を、光触媒含有層形成
面を表側にして、陽当たりの良い南向きに設置した曝露
台の傾斜30°方向と垂直方向にそれぞれ1mずつ連続
して展張(テントハウスの部分模倣)し、屋外曝露試験
を12ヶ月間行った。展張3ヶ月後、6ヶ月後、12ヶ
月後に膜体の外観を目視観察し、雨筋汚れの発生を調べ
た。また雨筋汚れの汚れ度合いを色差ΔE(JIS−Z
−8729)で数値化し、下記の判定基準により防汚性
の評価を行った。 ※屋外展張は、埼玉県草加市内において6月より開始し
た。 ΔE=0〜2.9 : ◎=汚れがなく良好。初期の状態を維持している。 ΔE=3〜4.9 : ○=多少汚れているが、雨筋の発生がない。 ΔE=5〜7.9 : ×=雨筋が発生し、美観的に問題がある。 ΔE=8〜 : ××=雨筋が酷く、美観的にかなり問題がある。
【0071】(II)高周波ウエルダー融着性の評価 2枚のテント膜体の側端部を4cm幅に重ね合わせ、4cm
×30cmのウエルドバー(押面凹凸歯形:凸部賦型9本
/25.4mm、凸部と凹部との高低差1.0mm)を装着
した高周波ウエルダー融着機(山本ビニター(株)製Y
F−7000型:出力7KW)を用いてテント膜体の高周
波融着接合を行った。 <高周波融着性> ○:融着が容易である。 ※融着条件:融着5秒、冷却5秒、陽極電流0.8A、
ウエルドバー温度40〜50℃ △:融着条件を強く、かつ長くすることで融着可能であ
る。 ※融着条件:融着10秒、冷却5秒、陽極電流1.0
A、ウエルドバー温度40〜60℃ ×:融着条件を強く、かつ長く設定しても融着しない。 ※融着条件:融着10秒、冷却5秒、陽極電流1.3
A、ウエルドバー温度40〜60℃
【0072】(III )耐熱クリープ性の評価 (II)の高周波融着接合体から接合部幅4cmを含む3cm
幅×30cm長の試験片を採取し、これを耐熱クリープ試
験片として、クリープ試験機(東洋精機製作所(株)
製:100LDR型)を使用して60℃×25kgf 荷重
×24時間の耐熱クリープ性試験を評価した。 ○:24時間経過後、接合部の破壊はなかった。 ×:24時間以内に接合部が破壊した。
【0073】実施例1 −(i)基布(繊維布帛)(A)の塩化ビニル樹脂組成
物による被覆処理− 繊維布帛(A):5号ポリエステル繊維平織スパン織物
(ポリエステル短繊維紡績糸条:糸密度経糸20番手・
双糸51本/2.54cm×緯糸20番手・双糸48本/
2.54cm:質量250g/m2)を基布として用い、こ
れを、下記ペースト塩化ビニル樹脂組成物:PVC
(1)を溶剤で希釈したオルガノゾル浴中にディップ
(浸漬)し、基布(繊維布帛)(A)を浴中から引き上
げると同時にマングルロールでニップ(圧搾)して、基
布(繊維布帛)(A)に対し145g/m2 のPVC
(1)を基布(繊維布帛)(A)両面全面に均等に含浸
付着させた。次に、これを140℃の熱風炉中で1分
間、半ゲル化乾燥させた後、175℃の熱風炉中で1分
間の熱処理を行い、樹脂をゲル化させ、その直後に18
0℃の鏡面ロール(押圧0.2Mpa)を通過させ、樹脂被
覆基材表面に熱プレスを施し、PVC(1)によって表
面被覆された、厚さ0.42mm、質量440g/m2
下地基材を得た。 <塩化ビニル樹脂組成物:PVC(1)> ペースト塩化ビニル樹脂(P=1600) 100質量部 DOP(可塑剤) 40質量部 アジピン酸ポリエステル 30質量部 エポキシ化大豆油(ESBO) 4質量部 炭酸カルシウム 10質量部 Ba−Zn系安定剤 2質量部 ルチル型酸化チタン 5質量部 有機系防カビ剤(TBZ) 0.2質量部 紫外線吸収剤 0.3質量部 酸化防止剤 0.2質量部 溶剤(トルエン) 20質量部 〔註〕 塩化ビニル樹脂:商標:ZEST−P21(新第一塩ビ
(株)) DOP:商標:サンソサイザーDOP(新日本理化
(株)) アジピン酸ポリエステル:商標:アデカサイザーPN−
446(旭電化工業(株)) エポキシ化大豆油:商標:アデカサイザーO−130P
(旭電化工業(株)) 炭酸カルシウム:商標:ライトンBS(備北粉化工業
(株)) Ba−Zn系安定剤:商標:KV−400B(共同薬品
(株)) ルチル型酸化チタン:商標:酸化チタンCR−95:
(石原産業(株)) 有機系防カビ剤:商標:サンアイゾール100(イミダ
ゾール系:三愛石油(株)) 紫外線吸収剤:商標:バイオソーブ510(ベンゾトリ
アゾール系:共同薬品(株)) 酸化防止剤:商標:イルガノックスE201(ビタミン
E系:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株))
【0074】−(ii)塩化ビニル樹脂組成物被覆による
外層の形成− この樹脂被覆下地基材の片面に、下記ストレート塩化ビ
ニル樹脂組成物:PVC(2)のコンパウンドを165
℃の熱条件でロール混練し、これをカレンダー圧延成型
して得られた厚さ0.14mmのPVC(2)フィルム
を、160℃に設定した熱ロールと赤外線ヒーターとを
備えたラミネーターを用いて、熱圧着法で積層し、厚さ
0.56mm、質量620g/m2 のPVC(2)/PV
C(1)被覆シート状基材を得た。 <塩化ビニル樹脂組成物:PVC(2)> ストレート塩化ビニル樹脂(P=1050) 100質量部 DOP(可塑剤) 40質量部 アジピン酸ポリエステル 30質量部 エポキシ化大豆油(ESBO) 4質量部 Ba−Zn系安定剤 2質量部 ルチル型酸化チタン 5質量部 有機系防カビ剤(TBZ) 0.2質量部 紫外線吸収剤 0.3質量部 酸化防止剤 0.2質量部 〔註〕 塩化ビニル樹脂:商標:ZEST1000S(新第一塩
ビ(株)) DOP:商標:サンソサイザーDOP(新日本理化
(株)) アジピン酸ポリエステル:商標:アデカサイザーPN−
446(旭電化工業(株)) エポキシ化大豆油:商標:アデカサイザーO−130P
(旭電化工業(株)) Ba−Zn系安定剤:商標:KV−400B(共同薬品
(株)) ルチル型酸化チタン:商標:酸化チタンCR−95:
(石原産業(株)) 有機系防カビ剤:商標:サンアイゾール100(イミダ
ゾール系:三愛石油(株)) 紫外線吸収剤:商標:バイオソーブ510(共同薬品
(株)) 酸化防止剤:商標:イルガノックスE201(ビタミン
E系:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株))
【0075】−(iii)添加剤移行防止層の形成− 次に、PVC(2)/PVC(1)被覆基材の(ii)の
PVC(2)外層全面に、下記けい素化合物含有アクリ
ル系樹脂の塗工液を80メッシュのグラビアロールを有
するコーターでwet18g/m2 塗布し、100℃の
熱風炉中で1分間乾燥させて、固形分付着量5g/m2
の添加剤移行防止層を形成した。 <アクリル系樹脂表面処理剤> 商標:ソニーボンドSC−474:ソニーケミカル(株):アクリル系共重合 樹脂(固形分30質量%:溶剤キシレン、メチルセロソルブ、MEK) 100質量部 商標:ニップシールE−170:日本シリカ工業(株):けい素化合物 5質量部 商標:ULS−933LP:ベンゾトリアゾール系高分子紫外線吸収剤(固形 分50質量%):一方社油脂工業(株) 2質量部 希釈剤:MEK(メチルエチルケトン) 20質量部
【0076】−(iv)裏面塗膜層(可塑剤転写防止層)
の形成− 次に、PVC(2)/PVC(1)被覆基材の(iii)の
PVC(1)裏面全面に、下記アクリル系樹脂の塗工液
を80メッシュのグラビアロールを有するコーターでw
et20g/m2 塗布し、100℃の熱風炉中で1分間
乾燥させて、固形分付着量6g/m2 の裏面塗膜層を形
成した。 <アクリル系樹脂表面処理剤> 商標:ソニーボンドSC−474:ソニーケミカル
(株):アクリル系共重合樹脂(固形分30質量%:溶
剤キシレン、メチルセロソルブ、MEK)100質量部
【0077】−(v)親水性塗膜領域単位の形成− 次に、PVC(2)/PVC(1)被覆基材の(iii)の
添加剤移行防止層面に、親水性塗膜領域単位を形成する
ための下記オルガノシリケートの加水分解物からなる塗
工剤を、120メッシュの市松彫刻(一辺5mmの正方形
からなる市松連続模様で、下記vi市松連続模様と補対
称:図1)を施したグラビアロールを有するコーターで
wet7g/m2 塗布し、100℃の熱風炉中で1分間
乾燥させた。親水性塗膜領域単位1個の面積は約0.2
5cm2 、全面塗布換算付着量1g/m2 、静止接触角θ
2 は26°であった。※静止接触角θは協和界面化学
(株)の接触角測定器:CA−X150を使用し、マイ
クロシリンジから滴下した水滴の30秒後の静止接触角
を測定した。(以下の実施例、比較例においても同様) <親水性塗膜領域単位を形成するオルガノシリケート加水分解物塗工剤> 商標:エチルシリケート40:コルコート(株):SiO2 換算40質量%、 多量化度6(平均)のテトラエトキシシラン多量体 100質量部 加水分解触媒:2%塩酸 5質量部 希釈剤:エタノール/脱イオン水(質量比1:1) 800質量部 ※エチルシリケート40に2%塩酸を添加し、60℃で60分間加水分解を進 行させ、シラノール基を有するシラン化合物溶液を調製し、後から希釈剤を添加 した。
【0078】−(vi)疎水性塗膜領域単位の形成− 次に、上記(v)の市松状親水性塗膜領域単位を形成し
たPVC(2)/PVC(1)被覆基材の中間層面に、
疎水性塗膜領域単位を形成する下記ふっ素系樹脂の塗工
剤を、120メッシュの市松彫刻(一辺5mmの正方形か
らなる市松連続模様で、vの市松連続模様と補対称:図
1)を施したグラビアロールを有するコーターでwet
7g/m2 塗布し、100℃の熱風炉中で1分間乾燥さ
せた。疎水性塗膜領域単位1個の面積は約0.25cm
2 、全面塗布換算付着量2.5g/m2 、静止接触角θ
1 は105°であった。※静止接触角θは協和界面化学
(株)の接触角測定器:CA−X150を使用し、マイ
クロシリンジから滴下した水滴の30秒後の静止接触角
を測定した。(以下の実施例、比較例においても同様) <疎水性塗膜領域単位を形成するふっ素系樹脂塗工剤> 商標:ルミフロンLF200C:旭硝子(株):水酸基含有フルオロオレフィ ンビニルエーテル共重合体(固形分60質量%:溶剤=キシレン) 100質量部 商標:ソニーボンドSC−474:ソニーケミカル(株):アクリル系共重合 樹脂(固形分30質量%:溶剤キシレン、メチルセロソルブ、MEK) 30質量部 商標:タケネートD−170N:武田薬品工業(株):ヘキサメチレンジイソ シアネートのイソシアヌレート体(固形分100質量%) 10質量部 硬化触媒:ジブチル錫ジラウレート(ルミフロンLF200Cに対し、約10 ppm) 希釈剤:トルエン/酢酸ブチル(質量比1:1) 100質量部
【0079】上記(i)〜(vi)の工程により、親水性
塗膜領域単位と親水性塗膜領域単位とが面積比1:1で
市松状に連続する外面塗膜層が形成された、厚さ0.5
8mm、質量632g/m2 の軟質ポリ塩化ビニル樹脂被
覆繊維複合防汚性膜体を得た。 〔註〕このポリ塩化ビニル樹脂被覆繊維複合膜体はJI
S L−1091に規定の防炎試験に適合する防炎性膜
体であった。
【0080】実施例2 実施例1と同様の工程(i)及び(ii)を行った。 −(iii)添加剤移行防止層の形成− 実施例1の(i),(ii)と同一工程で得たPVC
(2)/PVC(1)被覆基材のPVC(1)外層全面
に、添加剤移行防止層を形成する下記けい素化合物含有
アクリル系樹脂の塗工液を80メッシュのグラビアロー
ルを有するコーターでwet18g/m2 塗布し、10
0℃の熱風炉中で1分間乾燥させた。(固形分付着量5
g/m2)また、裏面塗膜層を実施例1−(iv)と同一の
処理により形成した。 <アクリル系樹脂表面処理剤> 商標:ソニーボンドSC−474:ソニーケミカル(株):アクリル系共重合 樹脂(固形分30質量%:溶剤キシレン、メチルセロソルブ、MEK) 100質量部 商標:スノーテックスXBA−ST:日産化学工業(株):コロイダルシリカ (固形分30質量%) 18質量部 商標:ULS−933LP:ベンゾトリアゾール系高分子紫外線吸収剤(固形 分50質量%):一方社油脂工業(株) 2質量部 希釈剤:MEK(メチルエチルケトン) 20質量部
【0081】−(v)親水性塗膜領域単位の形成− 次に、PVC(2)/PVC(1)被覆基材(iii)の添
加剤移行防止層面に、親水性塗膜領域単位を形成するた
めに下記オルガノシリケートの加水分解物からなる塗工
剤を、120メッシュのグラビアロールを有するコータ
ーで中間層全面にwet14g/m2 塗布し、100℃
の熱風炉中で1分間乾燥させた。その付着量は1g/m
2 であり、その静止接触角θ2 は18°であった。 <親水性塗膜単位を形成するオルガノシリケート加水分解物塗工剤:光触媒物質 含有> 商標:エチルシリケート40:コルコート(株):SiO2 換算40質量%、 多量化度6(平均)のテトラエトキシシラン多量体 100質量部 加水分解触媒:2%塩酸 5質量部 光触媒物質分散溶液(組成は下記の通り) 444質量部 希釈剤:脱イオン水−エタノール(質量比1:1)溶液 400質量部 エチルシリケート40に2%塩酸を添加し、60℃で6
0分間加水分解を進行させ、シラノール基を有するシラ
ン化合物溶液を調製し、後から光触媒物質分散溶液と希
釈剤を添加した。このエチルシリケート加水分解物塗工
剤の固形分に含有される光触媒物質量は33質量%であ
った。 <光触媒物質分散溶液> 光触媒物質:酸化チタンゾル(硝酸酸性:結晶粒子径10nm) 10質量部 金属酸化物ゾル:シリカゾル(商標:カタロイドSI−30:触媒化成(株) 10質量部 シランカップリング剤(商標:SZ6300:東レ・ダウコーニングシリコー ン(株):ビニルトリメトキシシラン 2質量部 希釈剤:脱イオン水−エタノール(質量比1:1)溶液 200質量部 この光触媒物質分散溶液の固形分に含有される光触媒物
質量は45質量%であった。
【0082】−(vi)疎水性塗膜領域単位の形成− 次に、上記親水性塗膜単位を全面に形成したPVC
(2)/PVC(1)被覆基材(v)の添加剤移行防止
層面に、実施例1−(vi)と同一の疎水性塗膜領域単位
を形成するふっ素系樹脂塗工剤を、120メッシュの市
松彫刻(一辺5mmの正方形からなる市松連続模様:図
1)を施したグラビアロールを有するコーターでwet
7g/m2 塗布して、100℃の熱風炉中で1分間乾燥
し、親水性塗膜領域単位と疎水性塗膜領域単位とを同時
に形成した。疎水性塗膜領域単位の全面塗布換算付着量
2.5g/m2 、静止接触角θ1 は105°、疎水性塗
膜領域単位と親水性塗膜領域単位1個の面積は各々約
0.25cm2 であった。
【0083】実施例1と同一のPVC(2)/PVC
(1)被覆基材に対して施した(iii)〜(vi)の工程に
より、親水性塗膜領域単位と親水性塗膜領域単位とが面
積比1:1で市松状に連続する表面塗膜が形成された、
厚さ0.58mm、質量633g/m2 の軟質ポリ塩化ビ
ニル樹脂被覆繊維複合防汚性膜体を得た。このポリ塩化
ビニル樹脂被覆繊維複合防汚性膜体はJIS L−10
91に規定の防炎試験に適合する防炎性膜体であった。
【0084】実施例3 −(i)基布(繊維布帛)(A)のポリウレタン樹脂に
よる被覆処理− 実施例1と同一の繊維布帛からなる基布(A):5号ポ
リエステル繊維平織スパン布帛を、下記ポリウレタン樹
脂エマルジョン組成物:PU(1)浴中にディップ(浸
漬)し、樹脂含浸した基布(繊維布帛)(A)の引き上
げと同時にマングルロールでニップ(圧搾)し、基布
(繊維布帛)(A)に対して、70g/m 2 のPU
(1)を基布(繊維布帛)(A)両面全面に均等に含浸
付着させ、次いで100℃の熱風炉で2分間乾燥し、直
後180℃の熱ロール(押圧0.2Mpa)を通過させ、樹
脂被覆基布に熱プレスを施した。次に、この樹脂被覆基
布を再びPU(1)浴中にディップし、さらに樹脂を付
着させた後、今度はドクターナイフで樹脂コーティング
を行った。この基布を100℃の熱風炉で2分間乾燥
し、直後180℃の熱ロール(押圧0.2Mpa)を通過さ
せ、樹脂被覆基布に熱プレスを施して、PU(1)によ
り表面被覆された、厚さ0.40mm、質量386g/m
2 の下地基材を得た。 <ポリウレタン樹脂配合組成:PU(1)> 商標:パーミュセンRU−40−350:アビシア(株)ポリカーボネート系 ウレタン樹脂エマルジョン:(固形分40質量%) 100質量部 商標:MC−640:メラミン・シアヌレート系難燃剤:日産化学(株) 20質量部 商標:エクソリットAP422:クラリアント・ジャパン(株):ポリリン酸 アンモニウム(NH4PO3)n系難燃剤 15質量部 商標:カルボジライトV−02:日清紡(株):カルボジイミド化合物硬化剤 (固形分40質量%) 3質量部 商標:リュウダイ−W69ホワイト:大日本インキ化学工業(株):水性顔料 (白:酸化チタン:固形分50質量%) 6質量部 商標:サンアイゾールTBZ FL25:2−(4−チアゾリル)−ベンズイ ミダゾールの25質量%濃度水分散液:三愛石油(株) 1質量部 商標:ULS−383MG:一方社油脂工業(株):紫外線吸収剤ベンゾフェ ノン系高分子エマルジョン(固形分30質量%) 4重量部 商標:イルガノックスE201:ビタミンE系:チバ・スペシャルティ・ケミ カルズ(株):酸化防止剤 0.2重量部
【0085】−(ii)ポリウレタン樹脂組成物被覆によ
る外層の形成− 前記樹脂下地被覆基材の片面に、下記ポリウレタン樹脂
組成物:PU(2)のコンパウンドを165℃の熱条件
でロール混練し、これをカレンダー圧延成型して得られ
た厚さ0.14mmのPU(2)フィルムを、160℃に
設定した熱ロールと赤外線ヒーターとを備えたラミネー
ターを用いて熱圧着法で積層し、厚さ0.54mm、質量
546g/m2 のPU(2)/PU(1)被覆基材を得
た。 <ポリウレタン樹脂配合組成:PU(2)> 商標:モルセンPE192−100:エーテル系無黄変ポリウレタン:硬度7 5A:旭硝子(株) 100質量部 商標:MC−640:メラミン・シアヌレート系難燃剤:日産化学(株) 20質量部 商標:エクソリットAP422:クラリアント・ジャパン(株):ポリリン酸 アンモニウム(NH4PO3)n系難燃剤 20質量部 商標:酸化チタンCR−95:ルチル型酸化チタン着色剤(石原産業(株)) 5質量部 商標:サンアイゾール100(イミダゾール系防カビ剤:三愛石油(株) 0.2質量部 商標:イルガノックスE201:ビタミンE系:チバ・スペシャルティ・ケミ カルズ(株):酸化防止剤 0.2質量部 商標:LicowaxE:モンタン酸エステルワックス:クラリアントジャパ ン(株) 0.2質量部
【0086】−(iii)添加剤移行防止層の形成− 前記PU(2)/PU(1)被覆基材のPU(2)外層
全面上に、実施例1−(iii)と同一のけい素化合物含有
アクリル系樹脂の塗工液を、80メッシュのグラビアロ
ールを有するコーターを用いてwet18g/m2 に塗
布し、100℃の熱風炉中で1分間乾燥して添加剤移行
防止層を形成した。(固形分付着量5g/m2) −(iv)裏面塗膜層の形成− 前記PU(2)/PU(1)被覆基材(iii)のPU
(1)被覆裏面全面に、実施例1−(iv)と同一のアク
リル系樹脂の塗工液を80メッシュのグラビアロールを
有するコーターを用いてwet20g/m2 塗布し、1
00℃の熱風炉中で1分間乾燥して裏面塗膜層を形成し
た。(固形分付着量6g/m2)
【0087】−(v)親水性塗膜領域単位の形成− 次に、PU(2)/PU(1)被覆基材(iii)の添加剤
移行防止層面上に、実施例1−(v)と同一のオルガノ
シリケートの加水分解物からなる塗工剤を、120メッ
シュのグラビアロールを有するコーターでwet14g
/m2 塗布し、100℃の熱風炉中で1分間乾燥させて
親水性塗膜を前記添加物移行防止層全面に形成した。そ
の付着量は1g/m2 であり、静止接触角θ2 は26°
であった。 −(vi)疎水性塗膜領域単位の形成− 次に、PU(2)/PU(1)被覆基材(iii)の添加剤
移行防止層面上に、実施例1−(vi)と同一の、ふっ素
系樹脂からなる塗工剤を、120メッシュの市松彫刻
(一辺5mmの正方形からなる市松連続模様:図1)を施
したグラビアロールを有するコーターでwet7g/m
2 塗布し、100℃の熱風炉中で1分間乾燥させて疎水
性塗膜領域単位と前記親水性塗膜の非被覆部分からなる
親水性塗膜領域単位とを同時に形成した。疎水性塗膜領
域単位の全面塗布換算付着量は2.5g/m2 であり、
静止接触角θ1 は105°であった。また疎水性塗膜領
域単位と親水性塗膜領域単位の各々の面積は約0.25
0cm2 であった。
【0088】PU(2)/PU(1)被覆基材に対して
施した(iii)〜(vi)の工程により、親水性塗膜領域単
位と親水性塗膜領域単位とが面積比1:1で市松状に連
続する外面複合塗膜層が形成された、厚さ0.55mm、
質量469g/m2 のポリウレタン樹脂被覆繊維複合防
汚性膜体を得た。このポリウレタン系樹脂被覆繊維複合
膜体はJIS L−1091に規定の防炎試験に適合す
るハロゲン非含有防炎性膜体であった。
【0089】実施例4 −(i)繊維布帛からなる基布(A)のポリエステル系
樹脂による被覆処理− 実施例1と同一の繊維布帛(A):5号ポリエステル繊
維平織スパン布帛を基布として、これを下記ポリエステ
ル樹脂エマルジョン組成物:PEE(1)浴中にディッ
プ(浸漬)し、樹脂含浸した基布(繊維布帛)(A)の
引き上げと同時にマングルロールでニップ(圧搾)し、
基布(繊維布帛)(A)に対して、70g/m2 のPE
E(1)を基布(繊維布帛)(A)両面全面に均等に含
浸付着させ、次いで100℃の熱風炉で2分間乾燥し、
直後180℃の熱ロール(押圧0.2Mpa)を通過させ、
樹脂被覆基材に熱プレスを施した。次に、この樹脂被覆
基布を再びPEE(1)浴中にディップし、さらに樹脂
を付着させた後、今度はドクターナイフで樹脂コーティ
ングを行った。この基材を100℃の熱風炉で2分間乾
燥し、直後180℃の熱ロール(押圧0.2Mpa)を通過
させ、樹脂被覆基材に熱プレスを施して、PEE(1)
により表面被覆された、厚さ0.40mm、質量366g
/m2 の下地被覆基材を得た。 <ポリエステル樹脂配合組成:PEE(1)> 商標:バイロン53SS:東洋紡(株):飽和ポリエステル系共重合樹脂(固 形分30質量%) 100質量部 商標:MC−640:メラミン・シアヌレート系難燃剤:日産化学(株) 10質量部 商標:エクソリットAP422:クラリアント・ジャパン(株):ポリリン酸 アンモニウム(NH4PO3)n系難燃剤 10質量部 商標:カルボジライトV−02:日清紡(株):カルボジイミド化合物硬化剤 (固形分40質量%) 1.5質量部 商標:リュウダイ−W69ホワイト:大日本インキ化学工業(株):水性顔料 (白:酸化チタン:固形分50質量%) 3質量部 商標:サンアイゾールTBZ FL25:2−(4−チアゾリル)−ベンズイ ミダゾールの25質量%濃度水分散液:三愛石油(株) 0.5質量部 商標:ULS−383MG:一方社油脂工業(株):紫外線吸収剤ベンゾフェ ノン系高分子エマルジョン(固形分30質量%) 2重量部 商標:イルガノックスE201:ビタミンE系:チバ・スペシャルティ・ケミ カルズ(株):酸化防止剤 0.1重量部
【0090】−(ii)ポリエステル系エラストマー組成
物被覆による外層の形成− 前記樹脂下地被覆基材の片面に、下記ポリエステル系エ
ラストマー:PEE(2)のコンパウンドをシリンダー
温度200〜230℃の熱条件でスクリュー混練し、こ
れをT−ダイ押出成型して得られた厚さ0.14mmのP
EE(2)フィルムを直接PEE(1)基材に熱圧着し
て積層し、厚さ0.54mm、質量546g/m2 のPE
E(2)/PEE(1)被覆基材を得た。 <ポリエステル系エラストマー配合組成:PEE(2)> 商標:ハイトレル3548W:ポリエーテル・エステル系共重合体樹脂:硬度 85A:東レ・デュポン(株) 100質量部 商標:MC−640:メラミン・シアヌレート系難燃剤:日産化学(株) 15質量部 商標:エクソリットAP422:クラリアント・ジャパン(株):ポリリン酸 アンモニウム(NH4PO3)n系難燃剤 20質量部 商標:イルガノックスE201:ビタミンE系:チバ・スペシャルティ・ケミ カルズ(株):酸化防止剤 0.2質量部 商標:LicowaxE:モンタン酸エステルワックス:クラリアントジャパ ン(株) 0.2質量部 商標:酸化チタンCR−95:ルチル型酸化チタン着色剤:石原産業(株) 5質量部 商標:サンアイゾール100(TBZ):防カビ剤:三愛石油(株) 0.2質量部
【0091】−(iii)添加剤移行防止層の形成− 次に、PEE(2)/PEE(1)被覆基材のPEE
(2)外層全面に、実施例2−(iii)と同一のけい素化
合物含有アクリル系樹脂の塗工液を80メッシュのグラ
ビアロールを有するコーターを用いてwet18g/m
2 塗布し、100℃の熱風炉中で1分間乾燥して添加剤
移行防止層を形成した。(固形分付着量5g/m2) −(iv)裏面塗膜層の形成− 次に、PEE(2)/PEE(1)被覆基材(iii)のP
EE(1)被覆裏面全面に、実施例1−(iv)と同一の
アクリル系樹脂の塗工液を80メッシュのグラビアロー
ルを有するコーターを用いてwet20g/m2 塗布
し、100℃の熱風炉中で1分間乾燥して裏面塗膜層を
形成した。(固形分付着量6g/m2)
【0092】−(v)親水性塗膜領域単位の形成− 次に、PEE(2)/PEE(1)被覆基材(iii)の添
加剤移行防止層面上に、実施例2−(v)と同一のオル
ガノシリケートの加水分解物からなる塗工剤を、120
メッシュのグラビアロールを有するコーターでwet1
4g/m2 塗布し、100℃の熱風炉中で1分間乾燥さ
せて親水性塗膜を前記添加剤移行防止層全面に形成し
た。その付着量1g/m2 であり、静止接触角θ2 は1
8°であった。 −(vi)疎水性塗膜領域単位の形成− 次に、PEE(2)/PEE(1)被覆基材(iii)の添
加剤移行防止層面に、実施例1−(vi)と同一のふっ素
系樹脂からなる塗工剤を、120メッシュの市松彫刻
(一辺6mmの正三形からなる市松連続模様:図2)を施
したグラビアロールを有するコーターでwet7g/m
2 塗布し、100℃の熱風炉中で1分間乾燥させて疎水
性塗膜領域単位と親水性塗膜領域単位とを同時に形成し
た。疎水性塗膜領域単位の全面塗布換算付着量は2.5
g/m2 であり、静止接触角θ1 は105°であった。
また疎水性塗膜領域単位と親水性塗膜領域単位の各々の
面積は約0.156cm2 であった。
【0093】PEE(2)/PEE(1)被覆基材に対
して施した(iii)〜(vi)の工程により、親水性塗膜領
域単位と前記親水性被膜の非被覆部分からなる親水性塗
膜領域単位とが面積比1:1で市松状に連続する外面複
合塗膜層が形成された、厚さ0.55mm、質量560g
/m2 のポリエステル系樹脂被覆繊維複合膜体を得た。
このポリエステル系エラストマー被覆繊維複合防汚性膜
体はJIS L−1091に規定の防炎試験に適合する
ハロゲン非含有防炎性膜体であった。
【0094】実施例5 −(i)繊維布帛からなる基布(B)の塩化ビニル樹脂
による被覆− 基布(B):ポリエステル繊維平織織物(555dtexポ
リエステルマルチフィラメント糸状:糸密度経糸23本
/2.54cm×緯糸23本/2.54cm:質量100g
/m2)を基布(B)として用い、下記塩化ビニル樹脂配
合組成物:PVC(3)を、165℃の熱条件でロール
混練し、カレンダー圧延成型により、厚さ0.20mmの
フィルムを得た。次に160℃に設定した熱ロールと赤
外線ヒーターとを備えたラミネーターを用いて、基布
(繊維布帛)(B)の両面にPVC(3)フィルムを熱
圧着法で積層し、厚さ0.50mm、質量644g/m2
のPVC(3)/PVC(3)被覆基材を得た。 <塩化ビニル樹脂配合組成:PVC(3)> ストレート塩化ビニル樹脂(P=1050) 100質量部 高分子可塑剤 70質量部 アジピン酸ポリエステル 30質量部 エポキシ化大豆油(ESBO) 4質量部 炭酸カルシウム 10質量部 Ba−Zn系安定剤 2質量部 ルチル型酸化チタン 5質量部 有機系防カビ剤(OBPA) 0.2質量部 紫外線吸収剤 0.3質量部 酸化防止剤 0.2質量部 〔註〕 塩化ビニル樹脂:商標:ZEST1000S(新第一塩
ビ(株)) 高分子可塑剤:商標:エルバロイ742:エチレン−酢
酸ビニル−一酸化炭素三元共重合体:MW25000
(三井デュポン・ポリケミカル(株)) アジピン酸ポリエステル:商標:アデカサイザーPN−
446(旭電化工業(株)) エポキシ化大豆油:商標:アデカサイザーO−130P
(旭電化工業(株)) 炭酸カルシウム:商標:ライトンBS(備北粉化工業
(株)) Ba−Zn系安定剤:商標:KV−400B(共同薬品
(株)) ルチル型酸化チタン:商標:酸化チタンCR−95:
(石原産業(株)) 有機系防カビ剤:商標:サンアイゾール100(イミダ
ゾール系:三愛石油(株)) 紫外線吸収剤:商標:バイオソーブ510(ベンゾトリ
アゾール系:共同薬品(株)) 酸化防止剤:商標:イルガノックスE201(ビタミン
E系:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株))
【0095】−(ii)添加剤移行防止層の形成− 前記PVC(3)/PVC(3)被覆基材の片面全面
に、実施例2−(iii)と同一の、けい素化合物含有アク
リル系樹脂の塗工液を80メッシュのグラビアロールを
有するコーターを用いてwet18g/m2 塗布し、1
00℃の熱風炉中で1分間乾燥し添加剤移行防止層を形
成した。(固形分付着量5g/m2) −(iii)裏面塗膜層(可塑剤転写防止層)の形成− PVC(3)/PVC(3)被覆基材(ii)の裏面(非
中間層形成面)全面に、実施例1−(iv)と同一のアク
リル系樹脂の塗工液を80メッシュのグラビアロールを
有するコーターを用いてwet20g/m2 塗布し、1
00℃の熱風炉中で1分間乾燥して裏面塗膜層を形成し
た。(固形分付着量6g/m2)
【0096】−(iv)親水性塗膜の形成− 次に、PVC(3)/PVC(3)被覆基材(iii)の添
加剤移行防止層面に、親水性塗膜領域単位を形成する下
記オルガノシリケートの加水分解物からなる塗工剤を、
120メッシュのグラビアロールを有するコーターで添
加剤移行防止層全面にwet14g/m2 塗布し、10
0℃の熱風炉中で1分間乾燥させた。その付着量1g/
2 であり、その静止接触角θ2 は13°であった。 <親水性塗膜単位を形成するオルガノシリケート加水分解物塗工剤:光触媒物質 含有> 商標:メチルシリケートMS51:コルコート(株):SiO2 換算51質量 %、多量化度5(平均)のテトラメトキシシラン多量体 100質量部 商標:SH6040:γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(シラン カップリング剤):東レ・ダウコーニング・シリコーン(株) 1質量部 加水分解触媒:2%塩酸 5質量部 光触媒物質分散溶液(下記) 888質量部 メチルシリケートMS51に2%塩酸を添加し、60℃
で60分間攪拌して加水分解を進行させ、シラノール基
を有するシラン化合物溶液を調製し、後からシランカッ
プリング剤を添加して60分間攪拌し、これに光触媒物
質分散溶液を添加し、さらに攪拌した。このメチルシリ
ケート加水分解物塗工剤の固形分に含有される光触媒物
質量は44質量%であった。 <光触媒物質分散溶液> 光触媒物質:酸化チタンゾル(硝酸酸性:結晶粒子径10nm) 10質量部 金属酸化物ゾル:シリカゾル(商標:カタロイドSI−30:触媒化成(株) 10質量部 シランカップリング剤(商標:SZ6300:東レ・ダウコーニングシリコー ン(株)):ビニルトリメトキシシラン 2質量部 希釈剤:水−エタノール(質量比1:1)溶液 200質量部 この光触媒物質分散溶液の固形分に含有される光触媒物
質量は45質量%であった。
【0097】−(v)疎水性塗膜領域単位の形成− 次に、上記親水性塗膜を全面に形成したPVC(3)/
PVC(3)被覆基材(iv)の添加剤移行防止層面に、
下記疎水性塗膜領域単位を形成するふっ素系樹脂塗工剤
を120メッシュの市松彫刻(一辺5mmの正方形からな
る市松連続模様:図1)を施したグラビアロールを有す
るコーターでwet7g/m2 塗布して、100℃の熱
風炉中で1分間乾燥し、疎水性塗膜領域単位と親水性塗
膜の疎水性塗膜領域単位により被覆されていない部分か
らなる親水性塗膜領域単位とを同時に形成した。疎水性
塗膜領域単位の全面塗布換算付着量は2.5g/m2
静止接触角θ1 は105°であり、疎水性塗膜領域単位
と親水性塗膜領域単位1個の面積は各々約0.25cm2
であった。 <疎水性塗膜領域単位を形成するふっ素系樹脂塗工剤> 商標:ゼッフルGK−500:ダイキン工業(株):水酸基含有フルオロオレ フィンビニルエステル共重合体(固形分60質量%:溶剤=酢酸ブチル ) 100質量部 商標:ソニーボンドSC−474:ソニーケミカル(株):アクリル系共重合 樹脂(固形分30質量%:溶剤キシレン、メチルセロソルブ、MEK) 30質量部 商標:タケネートD−170N:武田薬品工業(株):ヘキサメチレンジイソ シアネートのイソシアヌレート体(固形分100質量%) 10質量部 硬化触媒:ジブチル錫ジラウレート(ルミフロンLF200Cに対し、約10 ppm) 希釈剤:トルエン/酢酸ブチル(質量比1:1) 100質量部
【0098】PVC(3)/PVC(3)被覆基材に対
して施した前記(ii)〜(v)の工程により、親水性塗
膜領域単位と親水性塗膜領域単位とが面積比1:1で市
松状に連続する外面複合塗膜層が形成された、厚さ0.
51mm、質量656g/m2の軟質ポリ塩化ビニル樹脂
被覆繊維複合防汚性膜体を得た。この塩化ビニル樹脂被
覆繊維複合膜体はJIS L−1091に規定の防炎試
験に適合する防炎性膜体であった。
【0099】実施例6 −(i)基布(繊維布帛)(B)のオレフィン系エラス
トマーによる被覆− 実施例5と同一の繊維布帛からなる基布(B):ポリエ
ステル繊維平織織物を用いた。別に、下記オレフィン系
エラストマー配合組成物:TPO(1)を165℃の熱
条件でロール混練し、カレンダー圧延成型により、厚さ
0.20mmのTPO(1)フィルムを得た。160℃に
設定した熱ロールと赤外線ヒーターとを備えたラミネー
タ−を用いて、基布(繊維布帛)(B)の両面に前記T
PO(1)フィルムを熱圧着法で積層し、厚さ0.50
mm、質量505g/m2 のTPO(1)/TPO(1)
被覆基材を得た。 <ポリオレフィン系エラストマー配合組成:TPO(1)> 商標:TPO/E−2640:MFR2.5g/10min /230℃:シンジ オタクティックポリプロピレン:出光石油化学(株) 55質量部 商標:ハイブラー7125(HVS−3):スチレン−水素添加ビニルイソプ レン−スチレン共重合樹脂:スチレン含有量20質量%:(株)クラレ 20質量部 商標:エバテートK2010:エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂:酢酸ビニ ル含有量25質量%:住友化学工業(株) 25質量部 商標:MC−640:メラミン・シアヌレート系難燃剤:日産化学(株) 25質量部 商標:エクソリットAP422:クラリアント・ジャパン(株):ポリリン酸 アンモニウム(NH4PO3)n系難燃剤 25質量部 商標:酸化チタンCR−95:ルチル型酸化チタン着色剤(石原産業(株)) 5質量部 商標:サンアイゾール100(イミダゾール系防カビ剤:三愛石油(株)) 0.2質量部 商標:イルガノックスE201:ビタミンE系:チバ・スペシャルティ・ケミ カルズ(株):酸化防止剤 0.2質量部 商標:LTP−2:りん酸エステル滑剤:川研ファインケミカル(株) 0.2質量部
【0100】−(ii)中間層の形成− 次に、TPO(1)/TPO(1)被覆基材の片面全面
に、実施例1−(iii)と同一のけい素化合物含有アクリ
ル系樹脂の塗工液を、80メッシュのグラビアロールを
有するコーターを用いてwet18g/m2 塗布し、1
00℃の熱風炉中で1分間乾燥して添加剤移行防止層を
形成した。(固形分付着量5g/m2) −(iii)裏面塗膜層の形成− 次に、TPO(1)/TPO(1)被覆基材(ii)の裏
面(非中間層形成面)全面に、実施例1−(iv)と同一
のアクリル系樹脂の塗工液を80メッシュのグラビアロ
ールを有するコーターを用いてwet20g/m2 塗布
し、100℃の熱風炉中で1分間乾燥して裏面塗膜層を
形成した。(固形分付着量6g/m2)
【0101】−(iv)親水性塗膜の形成− 次に、TPO(1)/TPO(1)被覆基材(iii)上の
添加剤移行防止層面に、親水性塗膜領域単位を形成する
ための下記オルガノシリケートの加水分解物からなる塗
工剤を、120メッシュのグラビアロールを有するコー
ターで中間層全面にwet14g/m2 塗布し、100
℃の熱風炉中で1分間乾燥させた。その付着量1g/m
2 であり、その静止接触角θ2 は22°であった。 <親水性塗膜領域単位を形成するオルガノシリケート加水分解物塗工剤:光触媒 物質含有> 商標:メチルシリケートMS51:コルコート(株):SiO2 換算51質量 %、多量化度5(平均)のテトラメトキシシラン多量体 100質量部 商標:SH6040:γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(シラン カップリング剤):東レ・ダウコーニング・シリコーン(株) 1質量部 加水分解触媒:2%塩酸 5質量部 希釈剤:水−エタノール(質量比1:1)溶液 500質量部 メチルシリケートMS51に2%塩酸を添加し、60℃
で60分間攪拌して加水分解を進行させ、シラノール基
を有するシラン化合物溶液を調製し、後からシランカッ
プリング剤と希釈剤を添加して60分間攪拌した。
【0102】−(v)疎水性塗膜領域単位の形成− 次に、TPO(1)/TPO(1)被覆基材(ii)上の
添加剤移行防止層面に、実施例5−(v)と同一のふっ
素系樹脂からなる塗工剤を、120メッシュの市松彫刻
(一辺6mmの正三形からなる市松連続模様:図2)を施
したグラビアロールを有するコーターでwet7g/m
2 塗布し、100℃の熱風炉中で1分間乾燥させて疎水
性塗膜領域単位と前記親水性塗膜の非被覆部分からなる
親水性塗膜領域単位とを同時に形成した。疎水性塗膜領
域単位の全面塗布換算付着量は2.5g/m2 、静止接
触角θ1 は105°であり、疎水性塗膜領域単位と親水
性塗膜単位1個の面積は各々約0.156cm2 であっ
た。
【0103】TPO(1)/TPO(1)被覆基材に対
して施した前記(ii)〜(v)の工程により、親水性塗
膜領域単位と親水性塗膜領域単位とが面積比1:1で市
松状に連続する外面複合塗膜層が形成された、厚さ0.
51mm、質量518g/m2のポリオレフィン系エラス
トマー被覆繊維複合防汚性膜体を得た。このポリオレフ
ィン系エラストマー被覆繊維複合膜体はJIS L−1
091に規定の防炎試験に適合するハロゲン非含有防炎
性膜体であった。
【0104】実施例7 −(i)基布(繊維布帛)(B)のポリウレタン樹脂に
よる被覆− 実施例5と同一の繊維布帛:ポリエステル繊維平織織物
からなる基布(B)を用いた。別に、実施例3と同一の
ポリウレタン系樹脂配合組成物:PU(2)を165℃
の熱条件でロール混練し、これをカレンダー圧延成型し
て得られた厚さ0.20mmのPU(2)フィルムを作製
した。前記基布(B)の両面上に、前記PU(2)フィ
ルムを160℃に設定した熱ロールと赤外線ヒーターと
を備えたラミネータ−を用いて熱圧着法で積層し、厚さ
0.50mm、質量560g/m2のPU(2)/PU
(2)基材を得た。
【0105】−(ii)添加剤移行防止層の形成− 次に、PU(2)/PU(2)被覆基材の片面全面に、
実施例1−(iii)と同一のけい素化合物含有アクリル系
樹脂の塗工液を80メッシュのグラビアロールを有する
コーターを用いてwet18g/m2 塗布し、100℃
の熱風炉中で1分間乾燥して添加剤移行防止層を形成し
た。(固形分付着量5g/m2) −(iii)裏面塗膜層の形成− 次に、PU(2)/PU(2)被覆基材(ii)の裏面
(非中間層形成面)全面に、実施例1−(iv)と同一の
アクリル系樹脂の塗工液を80メッシュのグラビアロー
ルを有するコーターを用いてwet20g/m2 塗布
し、100℃の熱風炉中で1分間乾燥して裏面塗膜層を
形成した。(固形分付着量6g/m2)
【0106】−(iv)親水性塗膜の形成− 次に、PU(2)/PU(2)被覆基材(iii)上の添加
剤移行防止層面に、親水性塗膜領域単位を形成するため
の実施例5−(iv)と同一のオルガノシリケートの加水
分解物からなる塗工剤を、120メッシュのグラビアロ
ールを有するコーターで添加剤移行防止層全面にwet
14g/m2 塗布し、100℃の熱風炉中で1分間乾燥
させた。その付着量は1g/m2 であり、その静止接触
角θ2 は13°であった。 −(v)疎水性塗膜領域単位の形成− 次に、PU(2)/PU(2)被覆基材(ii)の添加剤
移行防止層面に、実施例5−(v)と同一のふっ素系樹
脂からなる塗工剤を、120メッシュの市松彫刻(一辺
6mmの正三形からなる市松連続模様:図2)を施したグ
ラビアロールを有するコーターでwet7g/m2 塗布
し、100℃の熱風炉中で1分間乾燥させて疎水性塗膜
領域単位と親水性塗膜の非被覆部分からなる親水性塗膜
領域単位とを同時に形成した。疎水性塗膜領域単位の全
面塗布換算付着量は2.5g/m 2 、静止接触角θ1
105°であり、疎水性塗膜領域単位と親水性塗膜領域
単位1個の面積は各々約0.156cm2 であった。
【0107】PU(2)/PU(2)被覆基材に対して
施した前記(ii)〜(v)の工程により、親水性塗膜領
域単位と親水性塗膜領域単位とが面積比1:1で市松状
に連続する外面複合塗膜層が形成された、厚さ0.51
mm、質量573g/m2 のポリウレタン系樹脂被覆繊維
複合防汚性膜体を得た。このポリウレタン系樹脂被覆繊
維複合膜体はJIS L−1091に規定の防炎試験に
適合するハロゲン非含有防炎性防汚性膜体であった。
【0108】実施例8 −(i)基布(繊維布帛)(B)のポリエステル系樹脂
による被覆− 実施例5と同一の繊維布帛:ポリエステル繊維平織織物
からなる基布(B)を用いた。別に、実施例4と同一の
ポリエステル系エラストマー配合組成物:PEE(2)
を200〜230℃のシリンダー条件でスクリュー混練
し、これをT−ダイ押出成型して得られた厚さ0.20
mmのPEE(2)フィルムを作製し、このフィルムを前
記基布(B)の両面に熱圧着して積層し、厚さ0.50
mm、質量650g/m2 のPEE(2)/PEE(2)
基材を得た。
【0109】−(ii)添加剤移行防止層の形成− 次に、PEE(2)/PEE(2)被覆基材の片面全面
に、実施例2−(iii)と同一のけい素化合物含有アクリ
ル系樹脂の塗工液を、80メッシュのグラビアロールを
有するコーターを用いてwet18g/m2 塗布し、1
00℃の熱風炉中で1分間乾燥して添加剤移行防止層を
形成した。(固形分付着量5g/m2) −(iii)裏面塗膜層の形成− 次に、PEE(2)/PEE(2)被覆基材(ii)の裏
面(非中間層形成面)全面に、実施例1−(iv)と同一
のアクリル系樹脂の塗工液を80メッシュのグラビアロ
ールを有するコーターを用いてwet20g/m2 塗布
し、100℃の熱風炉中で1分間乾燥して裏面塗膜層を
形成した。(固形分付着量6g/m2)
【0110】−(iv)親水性塗膜領域単位の形成− 次に、PEE(2)/PEE(2)被覆基材(iii)上の
添加剤移行防止層面に、親水性塗膜領域単位を形成する
ための実施例6−(iv)と同一のオルガノシリケートの
加水分解物からなる塗工剤を、120メッシュの市松彫
刻(一辺5mmの正方形からなる市松連続模様で、vの市
松連続模様と補対称:図1)を施したグラビアロールを
有するコーターでwet7g/m2 塗布し、100℃の
熱風炉中で1分間乾燥させた。形成された親水性塗膜領
域単位1個の面積は約0.25cm 2 であり、全面塗布換
算付着量は1g/m2 であり、その静止接触角θ2 は2
4°であった。 −(v)疎水性塗膜領域単位の形成− 次に、PEE(2)/PEE(2)被覆基材(ii)の添
加剤移行防止層の非被覆部分上に、実施例5−(v)と
同一のふっ素系樹脂からなる塗工剤を、120メッシュ
の市松彫刻(一辺5mmの正方形からなる市松連続模様
で、ivの市松連続模様と補対称:図1)を施したグラビ
アロールを有するコーターでwet7g/m2 塗布し、
100℃の熱風炉中で1分間乾燥させた。得られた疎水
性塗膜領域単位1個の面積は約0.25cm2 であり、全
面塗布換算付着量は2.5g/m2であり、その静止接
触角θ1 は105°であった。
【0111】PEE(2)/PEE(2)被覆基材に対
して施した前記(ii)〜(v)の工程により、親水性塗
膜領域単位と親水性塗膜領域単位とが面積比1:1で市
松状に連続する外面複合塗膜層が形成された、厚さ0.
51mm、質量663g/m2のポリエステル系エラスト
マー被覆繊維複合防汚性膜体を得た。このポリエステル
系エラストマー被覆繊維複合防汚性膜体は、JIS L
−1091に規定の防炎試験に適合するハロゲン非含有
防炎性膜体であった。
【0112】
【表1】
【0113】実施例9 −(v)親水性(光触媒)塗膜単位の形成− 実施例1の(i)〜(iv)と同一工程で得たPVC
(2)/PVC(1)被覆基材のPVC(2)面に形成
した添加剤移行防止層全面に、a)下塗剤として、下記
けい素化合物含有樹脂層塗工液を120メッシュのグラ
ビアロールを有するコーターでwet14g/m2 塗布
し、100℃の熱風炉中で1分間乾燥させた(付着量1
g/m2)。次に親水性塗膜領域単位形成用下記光触媒物
質含有塗工剤を120メッシュの市松彫刻(一辺5mmの
正方形からなる市松連続模様で、工程(vi)の市松連続
模様と補対称:図1)を施したグラビアロールを有する
コーターを用いwet14g/m2 塗布し、100℃の
熱風炉中で1分間乾燥させた。この親水性塗膜領域単位
1個の面積は約0.25cm2 であり、全面塗布換算付着
量は1g/m2 であり、その静止接触角θ2 は10°で
あった。 <下塗剤:けい素化合物含有樹脂層塗工液> シリコン含有量3mol %のアクリル−シリコン樹脂を8質量%濃度で含有する エタノール−酢酸エチル(1:1質量比)溶液 100質量部 商標:コルコートMS−51、コルコート(株)、SiO2 換算51質量%、 多重化度5のテトラメトキシシラン多量体の20質量%エタノール溶液 8質量部 商標:SZ6300:東レ・ダウコーニングシリコーン(株)、シランカップ リング剤(ビニルトリメトキシシラン) 1質量部 <光触媒物質含有塗工剤> 光触媒物質:酸化チタンゾル(硝酸酸性:結晶粒子径10nm) 10質量部 金属酸化物ゾル:シリカゾル(商標:カタロイドSI−30:触媒化成(株) 10質量部 シランカップリング剤(商標:SZ6300:東レ・ダウコーニングシリコー ン(株)):ビニルトリメトキシシラン 2質量部 希釈剤:脱イオン水−エタノール(質量比1:1)溶液 200質量部 ※この光触媒物質含有塗工液の固形分に含有される光触媒物質量は45質量% である。
【0114】−(vi)疎水性塗膜領域単位の形成− 次に、上記親水性塗膜領域単位を形成したPVC(2)
/PVC(1)被覆基材(v)の添加剤移行防止層面
に、実施例1−(vi)と同一の疎水性塗膜領域単位形成
用ふっ素系樹脂塗工剤を120メッシュの市松彫刻(一
辺5mmの正方形からなる市松連続模様:図1)を施した
グラビアロールを有するコーターでwet7g/m2
布して100℃の熱風炉中で1分間乾燥し、工程(v)
の親水性塗膜領域単位と疎水性塗膜領域単位の連続外面
複合塗膜層を形成した。疎水性塗膜領域単位の全面塗布
換算付着量は2.5g/m2 であり、その静止接触角θ
1 は105°であり、疎水性塗膜領域単位1個の面積は
約0.25cm2 であった。
【0115】実施例1と同一のPVC(2)/PVC
(1)被覆基材に対して施した(iii)〜(vi)の工程に
より、親水性塗膜領域単位と親水性(光触媒物質)塗膜
領域単位とが面積比1:1で市松状に連続する外面複合
塗膜層が形成された、厚さ0.58mm、質量634g/
2 の軟質ポリ塩化ビニル樹脂被覆繊維複合防汚性膜体
を得た。このポリ塩化ビニル樹脂被覆繊維複合防汚性膜
体はJIS L−1091に規定の防炎試験に適合する
防炎性膜体であった。
【0116】実施例10 −(v)親水性(光触媒)塗膜単位の形成− 実施例1の(i)〜(iv)と同一工程で得たPVC
(2)/PVC(1)被覆基材のPVC(2)面に形成
した添加剤移行防止層面に、a)下塗剤として、実施例
9−(v)と同一のけい素化合物含有樹脂層塗工液を、
120メッシュのグラビアロールを有するコーターでw
et14g/m2 で全面塗布し、100℃の熱風炉中で
1分間乾燥させた(付着量1g/m2)。次に親水性塗膜
領域単位を形成するための実施例9−(v)と同一の光
触媒物質含有塗工剤を120メッシュのグラビアロール
を有するコーターを用い下塗剤層の全面にwet14g
/m2で塗布し、100℃の熱風炉中で1分間乾燥させ
た。この親水性塗膜領域単位1個の面積は約0.25cm
2 であり、全面塗布換算付着量は1g/m2 であり、そ
の静止接触角θ2 は11°であった。
【0117】−(vi)疎水性塗膜領域単位の形成− 次に、上記親水性塗膜領域単位を形成したPVC(2)
/PVC(1)被覆基材(v)の添加剤移行防止層面
に、実施例1−(vi)と同一の疎水性塗膜領域単位を形
成するためのふっ素系樹脂塗工剤を、120メッシュの
市松彫刻(一辺5mmの正方形からなる市松連続模様:図
1)を施したグラビアロールを有するコーターでwet
7g/m2 塗布して100℃の熱風炉中で1分間乾燥
し、(v)の親水性塗膜領域単位と疎水性塗膜領域単位
の連続外面複合塗膜層を形成した。疎水性塗膜領域単位
の全面塗布換算付着量は2.5g/m2 であり、その静
止接触角θ1 は105°であり、疎水性塗膜領域単位と
親水性塗膜領域単位1個の面積は各々約0.25cm2
あった。
【0118】実施例1と同一のPVC(2)/PVC
(1)被覆基材に対して施した(iii)〜(vi)の工程に
より、親水性塗膜領域単位と親水性(光触媒物質)塗膜
領域単位とが面積比1:1で市松状に連続する外面複合
塗膜層が形成された、厚さ0.58mm、質量634g/
2 の軟質ポリ塩化ビニル樹脂被覆繊維複合防汚性膜体
を得た。このポリ塩化ビニル樹脂被覆繊維複合膜体はJ
IS L−1091に規定の防炎試験に適合する防炎性
膜体であった。
【0119】実施例11 実施例3の親水性塗膜領域単位と疎水性塗膜領域単位の
形成工程順序を入れ替えて外面複合塗膜層を形成した。 −疎水性塗膜領域単位の形成− 実施例3(i)〜(iv)で得たPU(2)/PU(1)
被覆基材(iv)の添加剤移行防止層面に、実施例1−
(vi)と同一のふっ素系樹脂からなる塗工剤を、120
メッシュのグラビアロールを有するコーターでwet7
g/m2 全面塗布し、100℃の熱風炉中で1分間乾燥
させて疎水性塗膜を形成した。(付着量2.5g/m
2 、静止接触角θ1 105°)
【0120】−親水性塗膜領域単位の形成− 次に、上記疎水性塗膜上に、実施例1−(v)と同一の
オルガノシリケートの加水分解物からなる塗工剤を、1
20メッシュの市松彫刻(一辺5mmの正方形からなる市
松連続模様:図1)を施したグラビアロールを有するコ
ーターでwet14g/m2 塗布し、100℃の熱風炉
中で1分間乾燥させて親水性塗膜領域単位を形成した。
(付着量1g/m2 、静止接触角θ2 26°) これにより、親水性塗膜領域単位と疎水性塗膜の非被覆
部分からなる疎水性塗膜領域単位とが面積比1:1で市
松状に連続する外面複合塗膜層が形成された、厚さ0.
55mm、質量469g/m2 のポリウレタン樹脂被覆繊
維複合防汚性膜体を得た。このポリウレタン系樹脂被覆
繊維複合膜体はJIS L−1091に規定の防炎試験
に適合するハロゲン非含有防炎性膜体であった。
【0121】実施例12 実施例4の親水性塗膜領域単位と疎水性塗膜領域単位の
形成工程の順序を入れ替えて外面複合塗膜層を形成し
た。 −疎水性塗膜の形成− 実施例4(i)〜(iv)で得たPEE(2)/PE
(1)被覆基材(iv)の添加剤移行防止層面に、実施例
1−(vi)と同一のふっ素系樹脂からなる塗工剤を、1
20メッシュのグラビアロールを有するコーターでwe
t7g/m2 全面塗布し、100℃の熱風炉中で1分間
乾燥させて疎水性塗膜を形成した。(付着量2.5g/
2 、静止接触角θ1 105°)
【0122】−親水性塗膜領域単位の形成− 次に、上記疎水性塗膜上に、実施例2−(v)と同一の
オルガノシリケートの加水分解物からなる塗工剤を、1
20メッシュの市松彫刻(一辺6mmの正三形からなる連
続模様:図2)を施したグラビアロールを有するコータ
ーでwet14g/m2 塗布し、100℃の熱風炉中で
1分間乾燥させて親水性塗膜領域単位を形成した。(付
着量1g/m2 、静止接触角θ2 18°) これにより、親水性塗膜領域単位と疎水性塗膜の非被覆
部分からなる疎水性塗膜領域単位とが面積比1:1で市
松状に連続する外面複合塗膜層が形成された、厚さ0.
55mm、質量560g/m2 のポリエステル系エラスト
マー被覆繊維複合防汚性膜体を得た。※このポリエステ
ル系エラストマー被覆繊維複合防汚性膜体はJIS L
−1091に規定の防炎試験に適合するハロゲン非含有
防炎性膜体であった。
【0123】実施例13 −(i)化粧鋼板− i)サンドブラスト処理、ii)無機ジンクプライマー処
理、iii)エポキシ樹脂下塗り(酸化チタン着色塗膜12
0μm)、iv)ポリウレタン樹脂中塗り(酸化チタン着
色塗膜30μm)、v)ポリウレタン樹脂上塗り(酸化
チタン着色塗膜30μm)が順次施された平滑な化粧鋼
板(1mm厚×50cm幅×120cm長)を2枚使用した。
(1枚は比較用として使用) −(ii)化粧鋼板の下処理− 1枚の化粧鋼板の上塗り面に、実施例1−(iii)と同一
のけい素化合物含有アクリル系樹脂の塗工液をスプレー
コートして常温で1日間乾燥させた。(固形分付着量8
g/m2)
【0124】−(iii)親水性塗膜の形成− 次に、(ii)の塗工面に、実施例1−(v)と同一のオ
ルガノシリケートの加水分解物からなる塗工剤を全面に
スプレーコートして常温で3日間乾燥させた。(固形分
付着量1.5g/m2 :静止接触角θ2 26°) −(iv)疎水性塗膜領域単位の形成− 次に、(iii)の塗工面に、実施例1−(vi)と同一のふ
っ素系樹脂からなる塗工剤を、1辺5mmの正方形の穴開
きを市松状に形成したマスキング板を用いて、市松模様
にスプレーコートして常温で3日間乾燥させた。(固形
分付着量3g/m2 :静止接触角θ2 105°)これに
より、化粧鋼板の表面には、5mm角の疎水性塗膜領域単
位と、親水性塗膜の非被覆部分からなる5mm角の親水性
塗膜領域単位がそれぞれ上下左右方向に互に隣接する連
続塗膜が形成された。この連続塗膜における親水性塗膜
領域単位と疎水性塗膜領域単位の面積比は50:50で
あった。試験結果を表2に示す。
【0125】実施例14 −(i)マーキングフィルム− i)着色半硬質塩化ビニル樹脂フィルム層/粘着剤層/
離型紙の3層構造からなる市販のマーキングフィルム
(1m×30m)を用いた。(商標:スコッチカル:
赤:3M(株)) −(ii)マーキングフィルムの下処理− マーキングフィルムの上塗り面に、実施例2−(iii)と
同一のけい素化合物含有アクリル系樹脂の塗工液を、8
0メッシュのグラビアロールを有するコーターでwet
18g/m2 塗布し、80℃の熱風炉中で1分間乾燥さ
せた。(固形分付着量5g/m2)
【0126】−(iii)親水性塗膜の形成− 次に、(ii)の塗工面に、実施例2−(v)と同一のオ
ルガノシリケートの加水分解物からなる塗工剤を120
メッシュのグラビアロールを有するコーターで全面にw
et18g/m2 塗布し、80℃の熱風炉中で1分間乾
燥させて親水性塗膜(固形分付着量1g/m2 、静止接
触角θ2 18°)を形成した。
【0127】−(iv)疎水性塗膜領域単位の形成− 次に、(iii)の塗工面に、実施例1−(vi)と同一のふ
っ素系樹脂からなる塗工剤を、120メッシュの市松彫
刻(一辺5mmの正方形からなる市松連続模様)を施した
グラビアロールを有するコーターでwet7g/m2
布して、80℃の熱風炉中で1分間乾燥し、疎水性塗膜
領域単位と親水性塗膜の非被覆部分からなる親水性塗膜
領域単位とを同時に形成した。疎水性塗膜領域単位の全
面塗布換算付着量2.5g/m2 、静止接触角θ1 は1
05°、疎水性塗膜単位と親水性塗膜単位1個の面積は
各々約0.25cm2 であった。これによりマーキングフ
ィルムの表面には、5mm角の親水性塗膜領域単位と5mm
角の疎水性塗膜領域単位がそれぞれ上下左右方向に隣接
する連続外面複合塗膜層が形成された。この連続外面複
合塗膜層における親水性塗膜領域単位と疎水性塗膜領域
単位の面積比は50:50であった。試験結果を表2に
示す。
【0128】
【表2】
【0129】実施例1〜12の効果 実施例1〜12において、熱可塑性樹脂被覆繊維複合膜
体の表面部分に、面積0.04〜1.0cm2 の疎水性塗
膜領域単位と、面積0.04〜1.0cm2 の親水性塗膜
領域単位とが上下左右方向に交互隣接した連続外面複合
塗膜層が形成された。実施例1〜12の膜体を屋外展張
(試験I)して雨筋汚れの発生状況を12ヶ月間観察し
た。その結果、全ての膜体表面において雨筋汚れは発生
していなかった。また同時に煤塵付着汚れも極めて少な
い状態であり、膜体の外観は展張初期の美観状態を良好
に保持していたことから、これらの膜体は全て防汚性機
能に優れているものと判断できる。本発明の防汚性膜体
は、従来のテント膜体に発生する汚れの精緻な観察の結
果、膜体表面に、雨粒(水滴の撥水粒)サイズ程度の面
積の疎水性塗膜領域単位と親水性塗膜領域単位とを市松
状に交互隣接して設けることによって雨筋汚れの問題が
解決されたのである。すなわち雨水が疎水性塗膜領域単
位を通過する時には撥水粒化し、次に親水性塗膜領域単
位を通過する時には濡れ(親水性)により水滴粒が表面
張力を失う現象を雨粒サイズの観点で雨の流滴に応用し
たもので、この時、疎水性塗膜領域単位と親水性塗膜領
域単位との静止接触角差(水との接触角)を40〜13
5°の範囲とすることにより達成された。而して雨水が
膜体表面を通過する際に「撥水と濡れ」の相反する繰り
返し現象を雨粒サイズレベルで発現させることによっ
て、雨筋汚れの発生を効果的に防止することを可能とし
たのである。また、特に親水性塗膜領域単位中に光触媒
物質を含有する実施例2,4,5,7,12、及び親水
性塗膜領域単位が光触媒物質で形成された実施例9,1
0では、更に親水性が高められると同時に、光触媒物質
の分解作用によって煤塵汚れと雨筋汚れに対する抑制効
果が実施例中最高レベルの膜体となった。
【0130】また、本発明の防汚性膜体のもうひとつの
特長として、実施例1〜12の膜体は全て熱融着による
縫製(ラップ接合)を可能とし、特にテント膜体の縫製
に汎用的である高周波融着(試験II)に対しても有効で
あった。従来の光触媒物質塗工膜体やオルガノシリケー
ト塗工膜体では、その防汚効果自体には優れるが、膜体
表面に無機質塗膜を形成することによって膜体界面が不
融化し、このため熱融着縫製が不能であるという問題を
生じていた。このため、これらの膜体では縫製部の重ね
合わせ部に存在する無機質塗膜を削り取って除去する面
倒な作業を余儀なくされていたのである。これら従来の
防汚性膜体に対して本発明の防汚性膜体は、面積0.0
4〜1.0cm2 の疎水性塗膜領域単位と、面積0.04
〜1.0cm2 の親水性塗膜領域単位とが上下左右に交互
隣接した市松状連続塗膜からなる特別な表面処理を有す
ることによって熱融着性を改善可能としたのである。こ
れは特に疎水性塗膜領域単位部分を構成する、ふっ素系
樹脂と、ふっ素系樹脂とアクリル系樹脂との混成体の存
在が、熱融着性の改善に大きく関与しているのである。
また、実施例1〜8の膜体では、膜体裏面にアクリル系
樹脂、ふっ素系樹脂と、ふっ素系樹脂とアクリル系樹脂
との混成体などから選ばれた1種以上からなる裏面塗膜
層を設けることによって、ラップ接合において膜体表面
の疎水性塗膜領域単位部分との良好な熱融着性を改善
し、その結果、膜体接合部に良好な接着性と耐熱クリー
プ性とを得ることを可能とした。この熱融着性は、疎水
性塗膜領域単位と親水性塗膜領域単位との面積比が3
5:65〜65:35であり、特に50:50近傍にお
いて、雨筋汚れ防止効果と熱融着性とが最もバランス良
く両立可能であった。
【0131】また、実施例3,4,6,7,8,11,
12の非塩ビ系樹脂被覆膜体において、特に窒素含有化
合物(メラミン・シアヌレート化合物)と、りん系化合
物(ポリリン酸アンモニウム化合物)を配合したことに
よって、テント膜材用途に必要な防炎性(JIS L−
1091:A−2法区分3)を付与することを可能とし
た。また、実施例1〜12の膜体を構成する熱可塑性樹
脂層中には、特に防カビ剤とビタミンE化合物を含有す
ることによって、酸化劣化とカビの発生とを効果的に抑
制することができ、これらの効果により膜体の耐久性を
高めると同時に、美麗外観の保持にも非常に効果的であ
った。従って本発明の膜体は上記(I)〜(III)の試験
結果より、テント膜体に必要不可欠な縫製性を有すると
同時に、テント膜体に求められている高度の汚れ防止効
果を同時に得ることが明らかである。従って、この雨粒
(水滴の撥水粒)サイズ程度の面積の疎水性塗膜領域単
位と親水性塗膜領域単位とを市松状に交互隣接する連続
塗膜の技術は、本発明において主目的とするテント膜体
以外の用途、例えば、物品(タイル、看板)、建築物
(屋根、外壁)、建造物(プラント設備、モニュメン
ト)、車両(バス、電車)などの外面塗装に対しても応
用可能な極めて有用な技術である。
【0132】実施例13,14の効果 本発明の表面塗膜層を設けた化粧鋼板(実施例13)
と、本発明の表面塗膜層を有していない化粧鋼板1枚を
用いて家型を作製し、これを1年間屋外曝露した。家型
は化粧鋼板の長さ方向30cmの部分を幅方向と平行にし
て135°に折り曲げたものを2枚(うち1枚は未処
理)つき合わせて固定し、屋根部30cmの傾斜が45
°、壁部90cmが90°となるようにし、表面塗膜面を
外側に向けたものである。また、本発明の表面塗膜層を
設けたマーキングフィルム(実施例14)を大型トラッ
クのアルミボディ側面に1m×2.5mサイズで貼り付
け、その上に本発明の表面塗膜層を有していない白のマ
ーキングフィルムから切り抜いた「HIRAOKA」の
ゴシック文字(アルファベット1文字25cm×25cm)
を貼り付けて1年間実装した。これら実施例13,14
の応用例の3ヶ月後、6ヶ月後、12ヶ月後の観察結果
は、何れも雨筋汚れの発生は認められず、良好な防汚性
を示していた。これに対して、後に比較例5,6におい
て示すように、本発明の表面塗膜層を有していない化粧
鋼板(比較例5)と白のマーキングフィルム(比較例
6)から切り抜いた「HIRAOKA」のゴシック文字
においては、3ヶ月後の観察時点で既に雨筋汚れを発生
していた。
【0133】比較例1 実施例1の膜体から親水性塗膜領域単位を省き、表面塗
膜層を疎水性塗膜のみで形成した。これ以外は実施例1
と同一とした。この膜体は、ふっ素系樹脂塗料被覆によ
る従来の防汚性膜体であり、初期的に良好な防汚性を示
すものであったが、6〜12ヶ月経過後には膜体表面に
雨筋汚れを発生した。試験結果を表3に示す。
【0134】比較例2 実施例2の膜体から疎水性塗膜領域単位を省き、表面塗
膜層を親水性塗膜のみで形成した。これ以外は実施例2
と同一とした。この膜体はオルガノシリケート塗料被覆
による従来の防汚性膜体であり、長期的に良好な防汚性
を示すものであったが、テント膜体などに不可欠な熱融
着縫製が全く不能であるため、縫製部の表面塗膜を削り
取るなど除去作業の必要があった。試験結果を表3に示
す。
【0135】比較例3 実施例5の膜体において、親水性塗膜領域単位と疎水性
塗膜領域単位の面積をそれぞれ4cm2 の正方形とした。
これ以外は実施例5と同一とした。これにより、疎水性
塗膜領域単位では比較例1で観察された傾向がそのまま
観られ、また、親水性塗膜領域単位においては比較例2
で観察された傾向がそのまま観られた。すなわち疎水性
塗膜領域単位に集中して雨筋汚れが発生し、親水性塗膜
領域単位では比較的防汚性を保持していた。しかし比較
例3の膜体では、熱融着縫製時、熱融着縫製が全く不能
である4cm2 の大きい単位が市松状に配列することによ
って縫製部が不安定なものとなり、また、接合部分の耐
熱クリープ性にも劣るものであり、従って実用性に欠け
るものであった。試験結果を表3に示す。
【0136】比較例4 実施例7の膜体において、親水性塗膜領域単位と疎水性
塗膜領域単位の形状をそれぞれ5mm幅のタテ帯とし、親
水性塗膜領域単位と疎水性塗膜領域単位とを交互に配置
した。これ以外は実施例7と同一とした。比較例4も膜
体は熱融着縫製が可能で、耐熱クリープ性も十分なもの
であったが、親水性塗膜領域単位と疎水性塗膜領域単位
の形状をそれぞれ5mm幅のタテ帯状としたことによっ
て、雨粒の流滴が特に親水性塗膜単位のタテ帯側に集中
することによって、返って汚れ度合いを増し、その結
果、5mm幅のタテ帯がそのまま雨筋汚れとなった。試験
結果を表3に示す。
【0137】比較例5 実施例9の防汚性化粧鋼板において、その外面複合塗膜
層を形成しなかったもの。試験結果を表3に示す。
【0138】比較例6 実施例10の防汚性マーキングフィルムにおいて、その
外面複合塗膜層を形成しなかったもの。試験結果を表3
に示す。
【0139】
【表3】
【0140】
【発明の効果】上記、実施例、及び比較例から明らかな
様に、本発明で得られる防汚性膜体は、熱可塑性樹脂被
覆シート状基材の表面に、特定の疎水性塗膜領域単位
と、特定の親水性塗膜領域単位とが上下左右方向に交互
隣接した連続複合塗膜層からなる特別な表面処理層を設
けることによって、長期に渡り膜体表面の雨筋汚れの発
生を防ぐことができ、極めて美観持続性の高い膜体であ
る。また、同時に縫製時の熱融着性も有することで、と
りわけカラフルさと美的外観が要求されるテント膜体、
テントハウス、日除けテントなどに好適に用いることが
できる。また、基布を被覆する熱可塑性樹脂には、軟質
ポリ塩化ビニル樹脂のみならず、他の熱可塑性樹脂にお
いても適用が可能であるため、その利用範囲が広いもの
である。さらに本発明の塗膜形成技術は、これらテント
膜体のみならず、物品、建築物、建造物、車両などの外
面塗装に対しても応用可能な極めて有用な技術である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の防汚性膜体の外面複合塗膜層における
親水性塗膜領域単位と疎水性塗膜領域単位との配置の一
例を示す説明図。
【図2】本発明の防汚性膜体の外面複合塗膜層における
親水性塗膜領域単位と疎水性塗膜領域単位との配置の他
の一例を示す説明図。
【図3】本発明の防汚性膜体の外面複合塗膜層における
親水性塗膜領域単位と疎水性塗膜領域単位との配置のさ
らに他の一例を示す説明図。
【図4】本発明の防汚性膜体の外面複合塗膜層における
親水性塗膜領域単位と疎水性塗膜領域単位との配置のさ
らに他の一例を示す説明図。
【図5】本発明の防汚性膜体の外面複合塗膜層における
親水性塗膜領域単位と疎水性塗膜領域単位との配置のさ
らに他の一例を示す説明図。
【図6】本発明の防汚性膜体の外面複合塗膜層における
親水性塗膜領域単位と疎水性塗膜領域単位との配置のさ
らに他の一例を示す説明図。
【図7】本発明の防汚性膜体の外面複合塗膜層における
親水性塗膜領域単位と疎水性塗膜領域単位との配置のさ
らに他の一例を示す説明図。
【図8】本発明の防汚性膜体の外面複合塗膜層における
親水性塗膜領域単位と疎水性塗膜領域単位との配置のさ
らに他の一例を示す説明図。
【図9】図9−(A)〜(C)の各々は、本発明の防汚
性膜体の積層構造の一例を示す断面説明図。
【図10】図10−(A)〜(C)の各々は、本発明の
防汚性膜体の積層構造の他の例を示す断面説明図。
【図11】図11−(A)〜(C)の各々は、本発明の
防汚性膜体の積層構造の別の例を示す断面説明図。
【図12】図12−(A)及び(B)の各々は、本発明
の防汚性膜体の積層構造の更に他の例を示す断面説明
図。
【符号の説明】
1…外面複合塗膜層 2…親水性塗膜領域単位 2a…親水性塗膜 3…疎水性塗膜領域単位 3a…疎水性塗膜 3b…添加物移行防止性を有する疎水性塗膜 4…シート状基材
フロントページの続き Fターム(参考) 2E141 AA00 AA02 AA09 EE02 EE03 EE04 EE05 4F100 AA17C AA20C AA21C AA23C AA25C AA28C AA34C AK01B AK01C AK07B AK12B AK15B AK17C AK25C AK41B AK51B AK52C AK62B AK68B AK71B AL05C BA03 BA04 BA05 BA07 BA10A BA10C CA30C CC00C DG11A DG11D GB07 GB32 JB04C JB05C JB06C JB16B JL06 YY00C

Claims (26)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1層以上の繊維布帛からなる基布と、こ
    の基布の少なくとも一面の全面上に形成され、かつ熱可
    塑性樹脂からなる被覆層とを含むシート状基材と、この
    シート状基材の前記熱可塑性樹脂被覆層上に形成された
    外面複合塗膜層とを有し、 前記外面複合塗膜層が、(1)疎水性高分子材料を主成
    分として含み、外面に露出している複数個の疎水性塗膜
    領域単位と、(2)親水性高分子材料を主成分として含
    み、外面に露出している複数個の親水性塗膜領域単位と
    を有し、 前記疎水性塗膜領域単位(1)と前記親水性塗膜領域単
    位(2)とが、それぞれ0.04〜1.0cm2 の面積を
    有し、かつ、これら2種の単位(1)及び(2)が、互
    に交差する二方向に、互に隣接して交互に配置されてい
    る、ことを特徴とする、防汚性膜体。
  2. 【請求項2】 前記外面複合塗膜において、前記シート
    状基材の前記熱可塑性樹脂被覆層の全面上に、疎水性高
    分子材料を主成分として含む疎水性塗膜が形成され、こ
    の疎水性塗膜上に前記複数個の親水性塗膜領域単位が形
    成され、前記疎水性塗膜の、前記親水性塗膜領域単位に
    より被覆されていない部分が、前記複数個の外面露出疎
    水性塗膜領域単位を形成している、請求項1に記載の防
    汚性膜体。
  3. 【請求項3】 前記外面複合塗膜において、前記シート
    状基材の前記熱可塑性樹脂被覆層の全面上に、親水性高
    分子材料を主成分として含む親水性塗膜が形成され、こ
    の親水性塗膜上に、前記複数個の疎水性塗膜領域単位が
    形成され、前記親水性塗膜の、前記疎水性塗膜領域単位
    により被覆されていない部分が前記複数個の外面露出親
    水性塗膜領域単位を形成している、請求項1に記載の防
    汚性膜体。
  4. 【請求項4】 前記疎水性塗膜領域単位の水に対する静
    止接触角θ1 と、前記親水性塗膜領域単位の水に対する
    静止接触角θ2 との差(Δθ=θ1 −θ2 )が、40〜
    135度である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の
    防汚性膜体。
  5. 【請求項5】 前記外面複合塗膜層に占める前記疎水性
    塗膜領域単位と前記親水性塗膜領域単位との面積比が3
    5:65〜65:35である、請求項1〜4のいずれか
    1項に記載の防汚性膜体。
  6. 【請求項6】 前記疎水性塗膜領域単位を形成する疎水
    性高分子材料が、ふっ素系樹脂、またはふっ素系樹脂と
    アクリル系樹脂との混成体を含む、請求項1〜5のいず
    れか1項に記載の防汚性膜体。
  7. 【請求項7】 前記親水性塗膜領域単位を形成する親水
    性高分子材料が、オルガノシリケート化合物、又はその
    低縮合物の加水分解物を含む、請求項1〜6のいずれか
    1項に記載の防汚性膜体。
  8. 【請求項8】 前記親水性塗膜領域単位を形成する親水
    性高分子材料が、光触媒物質を含む、請求項1〜6のい
    ずれか1項に記載の防汚性膜体。
  9. 【請求項9】 前記親水性塗膜領域単位を形成する親水
    性高分子材料が、オルガノシリケート化合物又はその低
    縮合物と、光触媒物質とを含む、請求項1〜6のいずれ
    か1項に記載の防汚性膜体。
  10. 【請求項10】 前記親水性塗膜領域単位を形成する親
    水性高分子材料が、ポリシロキサン、コロイダルシリ
    カ、及びシリカから選ばれた少なくとも1種のけい素化
    合物をさらに含有する、請求項7〜9のいずれか1項に
    記載の防汚性膜体。
  11. 【請求項11】 前記光触媒物質が、酸化チタン(Ti
    2 )、過酸化チタン(ペルオキソチタン酸)、酸化亜
    鉛(ZnO)、酸化錫(SnO2 )、チタン酸ストロン
    チウム(SrTiO3 )、酸化タングステン(WO
    3 )、酸化ビスマス(Bi23 )、酸化鉄(Fe2
    3 )、から選ばれた少なくとも1種を含む、請求項8〜
    10のいずれか1項に記載の防汚性膜体。
  12. 【請求項12】 前記光触媒物質が、無機系多孔質微粒
    子に担持されている、請求項8〜11のいずれか1項に
    記載の防汚性膜体。
  13. 【請求項13】 前記被覆層用熱可塑性樹脂が、軟質ポ
    リ塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステ
    ル系樹脂、スチレン系共重合体樹脂、エチレン系共重合
    体樹脂[エチレン−α−オレフィン共重合体樹脂、エチ
    レン−酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン−(メタ)ア
    クリル酸(エステル)共重合体樹脂]、プロピレン系樹
    脂から選ばれた少なくとも1種以上を含む、請求項1〜
    12のいずれか1項に記載の防汚性膜体。
  14. 【請求項14】 前記シート状基材において、前記被覆
    層が、単層構造体、又は複層構造体をなしている、請求
    項1〜13のいずれか1項に記載の防汚性膜体。
  15. 【請求項15】 前記シート状基材の他の面(裏面)上
    に、アクリル系樹脂、ふっ素系樹脂、ふっ素系樹脂とア
    クリル系樹脂との混成体の何れか1種による裏面塗膜層
    が形成されている、請求項1〜14のいずれか1項に記
    載の防汚性膜体。
  16. 【請求項16】 前記シート状基材の被覆層が前記熱可
    塑性樹脂に混合された添加剤を含み、この被覆層と、前
    記外面複合塗膜層との間に、アクリル系樹脂、ふっ素系
    樹脂、又はふっ素系樹脂とアクリル系樹脂との混成体に
    よる添加剤移行防止層が形成されている、請求項1〜1
    5のいずれか1項に記載の防汚性膜体。
  17. 【請求項17】 前記添加剤移行防止層上に、前記複数
    個の親水性塗膜領域単位が形成され、前記添加剤移行防
    止層の、前記親水性塗膜領域単位により被覆されていな
    い部分が、前記複数値の外面露出疎水性塗膜領域単位を
    形成する、請求項16に記載の防汚性膜体。
  18. 【請求項18】 前記添加剤移行防止層が、ポリシロキ
    サン、コロイダルシリカ、シリカから選ばれた少なくと
    も1種のけい素化合物をさらに含有する、請求項1〜1
    7のいずれか1項に記載の防汚性膜体。
  19. 【請求項19】 前記シート状基材の熱可塑性樹脂が、
    高周波融着、超音波、及び熱融着によって接合可能であ
    る、請求項1〜18のいずれか1項に記載の防汚性膜
    体。
  20. 【請求項20】 前記外面複合塗膜層の疎水性塗膜領域
    単位、及び親水性塗膜領域単位の形状が、それぞれ正方
    形、長方形、三角形、矢がすり模様状、六角形と蝶形六
    角形との組み合わせ、八角形と蝶形八角形との組み合わ
    せ、及びこれらの歪形状から選ばれる、請求項1〜19
    のいずれか1項に記載の防汚性膜体。
  21. 【請求項21】 1層以上の繊維布帛を含むシート状基
    布の少なくとも一面の全面上に熱可塑性樹脂を含む被覆
    層が形成されているシート状基材を製造し、 前記シート状基材の前記熱可塑性樹脂被覆層上に、外面
    複合塗膜層を形成する工程を含み、 前記外面複合塗膜層形成工程において、疎水性高分子材
    料を主成分として含む塗布液により、外面に露出してい
    る複数個の疎水性塗膜領域単位を形成し、また親水性高
    分子材料を主成分として含む塗布液により外面に露出し
    ている複数個の親水性塗膜領域単位を形成し、このと
    き、前記疎水性塗膜領域単位及び親水性塗膜領域単位の
    それぞれの面積を0.04〜1.0cm2 とし、かつ、こ
    れら2種の単位が互に交差する二方向に、互に隣接して
    交互に配置されるように形成する、ことを特徴とする防
    汚性膜体の製造方法。
  22. 【請求項22】 前記外面複合塗膜層の疎水性塗膜領域
    単位及び親水性塗膜領域単位の形成に際し、前記シート
    状基材の前記熱可塑性樹脂被覆層の全面上に、疎水性高
    分子材料を主成分として含む塗布液を塗布して、疎水性
    塗膜を形成し、この疎水性塗膜上に、前記複数個の外面
    露出親水性塗膜領域単位を形成し、前記疎水性塗膜の前
    記親水性塗膜領域単位により被覆されていない部分をも
    って、前記複数個の外面露出疎水性塗膜領域単位を形成
    する、請求項21に記載の防汚性膜体の製造方法。
  23. 【請求項23】 前記外面複合塗膜層の疎水性塗膜領域
    単位及び親水性塗膜領域単位の形成に際し、前記シート
    状基材の前記熱可塑性樹脂被覆層の全面上に、親水性高
    分子材料を主成分として含む塗布液を塗布して、親水性
    塗膜を形成し、この親水性塗膜上に、前記複数個の外面
    露出疎水性塗膜領域単位を形成し、前記親水性塗膜の前
    記疎水性塗膜領域単位により被覆されていない部分をも
    って、前記複数個の外面露出親水性塗膜領域単位を形成
    する、請求項21に記載の防汚性膜体の製造方法。
  24. 【請求項24】 前記外面複合塗膜層の形成工程におい
    て、前記シート状基材の前記熱可塑性樹脂被覆層面上
    に、前記疎水性高分子材料を主成分として含む塗布液
    と、前記親水性高分子材料を主成分として含む塗布液と
    を、前記複数個の外面露出疎水性塗膜領域単位と外面露
    出親水性塗膜領域単位とを形成するように、同時に、ま
    たは任意の順序に塗布する、請求項21に記載の防汚性
    膜体の製造方法。
  25. 【請求項25】 前記シート状基材の前記被覆層用熱可
    塑性樹脂が添加剤を含み、この被覆層上に、アクリル系
    樹脂、ふっ素系樹脂、又はふっ素系樹脂とアクリル系樹
    脂との混成体を含む添加剤移行防止層を形成する工程を
    さらに含み、この添加剤移行防止層上に前記外面複合塗
    膜を形成する、請求項21〜24のいずれか1項に記載
    の防汚性膜体の製造方法。
  26. 【請求項26】 前記外面複合塗膜層の形成に当り、前
    記添加剤移行防止層上に、前記複数個の親水性塗膜領域
    単位を形成し、前記添加剤移行防止層の、前記親水性塗
    膜領域単位により被覆されていない部分をもって、疎水
    性塗膜領域単位とする、請求項25に記載の防汚性膜体
    の製造方法。
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