JP2003200444A - 多層膜の製造方法及び装置 - Google Patents
多層膜の製造方法及び装置Info
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Abstract
抑制する。 【解決手段】 流延ダイ12によりドープ31を流延
し、流延膜13を形成する。流延ダイ12にはコートハ
ンガー形のマニホールド33が設けられている。マニホ
ールド33には、ドープ31が送液される傾斜面33a
が形成されている。傾斜面33aは、流延ダイ10の中
心線36を基準に5〜20mmの範囲Wで、ドープ入り
口に向かって凸な曲率半径Rが500mm以上のなだら
かな面37に形成されている。このなだらかな面37に
よって、ドープ31が流路32からマニホールド33に
送液される際の衝撃が抑制される。多層流延膜13の膜
厚が均一になり、光学特性に優れたフイルムが得られ
る。
Description
及び装置に関し、その製造方法及び装置から製造された
フイルムは、偏光板保護フイルム、光学補償フイルムな
どの光学用途に適する。
年、液晶ディスプレイの偏光板の保護膜、位相差板等の
光学補償フイルム、プラスチック基板、写真用支持体、
あるいは動画用セルや光学フィルタ、さらにはOHPフ
イルムなどの光学材料として需要が増大している。
が向上したこと、および軽量で携帯性に優れていること
から、パーソナルコンピュータやワードプロセッサ、携
帯用端末、テレビジョン、さらにはデジタルスチルカメ
ラやムービーカメラなどに広く使用されているが、この
液晶ディスプレイには画像表示のために偏光板が必須と
なっている。そして、液晶ディスプレイの品質の向上に
合わせて、偏光板の品質向上が要求され、それと共に偏
光板の保護膜である透明プラスチックフイルムも、より
高品質であることが要望されている。
ついては、解像力やコントラストの表示品位から高透明
性、低光学異方性、平面性、易表面処理性、高耐久性
(寸度安定性、耐湿熱性、耐水性)、フイルム内および
表面に異物がないこと、表面に傷がなく、かつ傷が付き
にくいこと(耐傷性)、適度のフイルム剛性を有するこ
と(取扱い性)、そして適度の透水性など種々の特性を
備えていることが必要であるとされている。
セルロースエステル、ノルボルネン樹脂、アクリル樹
脂、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂などが
挙げられるが、生産性や材料価格等の点からセルロース
エステルが主に使用されている。特にセルローストリア
セテートのフイルムは、極めて高い透明性を有しかつ、
光学異方性が小さく、かつレターデーションが低いこと
から光学用途に特に有利に用いられている。
は、溶液製膜法、溶融製膜法および圧延法など各種の製
膜技術が利用可能であるが、良好な平面性および低光学
異方性を得るためには、溶液製膜法が特に適している。
溶液製膜法は、原料フレークを溶剤に溶解し、これに必
要に応じて可塑剤、紫外線吸収剤、劣化防止剤、滑り
剤、剥離促進剤等の各種の添加剤を加えた高分子溶液
(以下、ドープと称する)とし、このドープを水平式の
エンドレスの金属ベルトまたは回転するドラムなどの支
持体の上に、ドープ供給手段(以下、流延ダイと称す
る)により流延した後、支持体上である程度まで乾燥
し、これにより剛性が付与された自己支持性フイルムを
支持体から剥離し、次いで各種の搬送手段により乾燥部
を通過させて溶剤を除去することからなる方法である。
前述の諸特性が優れていることは当然必要であるが、さ
らにフイルム全体の厚みの均一性が高いことが必要とな
る。すなわち、フイルム全体の厚みに「むら」がある場
合には、そのむらの部分で光学的特性に「むら」が発生
するため、光学的フイルムとしては問題となることが多
い。
延膜の幅方向の流量を均一化し、製膜されるフイルムの
膜厚分布の「むら」を減少させるため、マニホールドを
ドープの入り口方向に対して凸にしたコートハンガー形
が、現在多く用いられている。
たコートハンガー形のマニホールドによっても、フイル
ムの生産性向上と共に、ダイ内のドープの流量がアップ
し、ダイ中央に位置する入り口流路から流入したドープ
が、マニホールドからダイ吐出口に向かう流れ方向にお
いて、流路を狭める傾斜面にぶつかる衝撃が無視できな
くなり、その部分のみ膜厚みが薄くなる現象が生じてい
た。そこで、その部分はリップクリアランスで調整して
いたが、フイルムの生産性向上により、その方法でも調
整が困難になりつつある。
せる多層膜の製造方法及び装置を提供することを目的と
する。
法は、マニホールドを有するダイを用いて液を流延し、
2層以上の多層膜を製造する方法において、前記ダイの
吐出口に向かう前記液の流れ方向に、前記液の流路が狭
まる傾斜面を前記マニホールドに備え、この傾斜面を、
前記ダイの液の拡幅方向の中心を基準に5〜20mmの
範囲で、前記ダイの液の入り口方向に凸な曲率半径が5
00mm以上のなだらかな面としているまた、前記ダイ
の液の入り口部から前記ダイの液の吐出口までの圧力損
失が、4〜12kg/cm2 の範囲であることが好まし
い。
200μmの偏光板保護フイルム、または光学補償フイ
ルムも含まれる。
ドを有するダイを用いて液を流延し、2層以上の多層膜
を製造する装置において、前記ダイの吐出口に向かう前
記液の流れ方向に、前記液の流路を狭める傾斜面を前記
マニホールドに備え、この傾斜面を、前記ダイの液の拡
幅方向の中心を基準に5〜20mmの範囲で、前記ダイ
の液の入り口方向に凸な曲率半径が500mm以上のな
だらかな面から構成されている。
れるフイルムの原料となる高分子化合物の例としては、
セルロースの低級脂肪酸エステル(例えば、セルロース
トリアセテートなど)、ポリオレフィン類(例えば、ノ
ルボルネン系ポリマーなど)、ポリアミド類(例えば、
芳香族ポリアミドなど)、ポリスルホン類、ポリエーテ
ル類(例えば、ポリエーテルスルホン類やポリエーテル
ケトン類を含む)、ポリスチレン類、ポリカーボネート
類、ポリアクリル酸類、ポリアクリルアミド類、ポリメ
タクリル酸類(例えば、ポリメチルメタクリレートな
ど)、ポリメタクリルアミド類、ポリビニルアルコール
類、ポリウレア類、ポリエステル類、ポリウレタン類、
ポリイミド類、ポリビニルアセテート類、ポリビニルア
セタール類(例えば、ポリビニルホルマール、ポリビニ
ルブチラールなど)、およびタンパク質(例えば、ゼラ
チンなど)を挙げることができるが、これらに限定され
る訳ではない。これらのうちで、光学用途フイルムの原
料として好ましいのはセルロースの低級脂肪酸エステル
であり、特に好ましいのはセルローストリアセテートで
ある。
は、前述した高分子化合物を適当な溶媒に溶解すること
により調製することができる。溶媒は、無機および有機
溶媒のいずれをも用いることができるが、有機溶媒を用
いることが好ましい。有機溶媒の例としては、ハロゲン
化炭化水素類(例えば、ジクロロメタンなど)、アルコ
ール類(例えば、メタノール、エタノール、ブタノール
など)、エステル類(例えば、蟻酸メチル、酢酸メチル
など)、エーテル類(例えば、ジオキサン、ジオキソラ
ン、ジエチルエーテルなど)、ケトン類(例えば、アセ
トン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなど)を
挙げることができるが、これらに限定される訳ではな
い。
のいずれの方法も利用できる。例えば、高分子化合物を
溶媒に混合溶解する方法を利用してもよいし、あるいは
冷却溶解法を利用して、高分子化合物を溶媒で膨潤させ
た後、この膨潤混合物を−10℃以下に冷却し、次いで
0℃以上に加温して溶解する方法を利用してもよい。溶
液の粘度は通常は、3〜300Pa・s(35℃での測
定値)の範囲にある。多層膜の製造においては、中間層
のドープの粘度が、表面および裏面層のドープの粘度よ
り高く形成することが好ましい。また、ドープには、ト
リフェニルホスフェート、ビフェニルジフェニルホスフ
ェート、ジエチルフタレート、ポリエステルポリウレタ
ンエラストマー等の公知の各種の可塑剤、あるいは必要
に応じてさらに、紫外線吸収剤、劣化防止剤、滑り剤、
剥離促進剤など公知の各種の添加剤を、ドープ調製にお
けるいずれかの段階で添加してもよい。
る多層膜製造装置を用いてフイルムを製造する概略斜視
図である。図1に示した流延ダイ10には、フィードブ
ロック型樹脂溶液合流装置(以下、フィードブロックと
称する)11が上流側に取り付けられている。その流延
ダイ10のダイリップの下側を連続的に移動しながら、
流延ダイ10の先端のダイリップから吐出される多層流
延膜13を支持する流延ベルト14とから構成されてい
る。なお、流延ベルトは、多層フイルムの製造工程で多
層流延膜の支持体として機能するものであれば、冷却ド
ラムなどの回転ドラムその他公知のいずれをも用いるこ
とができる。
ドープ15、16、17を、それぞれのミキシングタン
ク内に仕込み、撹拌翼で撹拌して、均一なドープに調製
する。その際に、それぞれのドープに添加剤を混合する
ことも可能である。それぞれのドープは、それぞれのポ
ンプにより一定の流量で、それぞれのろ過装置に送られ
て不純物が除去された後に、フィードブロック11に送
られる。フィードブロック11に送液された表面層用ド
ープ15、中間層用ドープ16、裏面層用ドープ17
は、フィードブロック11内で合流して平行流の合流ド
ープとなり、流延ダイ10に導入され、その合流ドープ
は、流延ベルト14の幅方向に拡げられたうえで、ダイ
リップから流延ベルト14の表面に吐出され、多層流延
膜13を形成する。流延ベルト14は、ローラ18,1
9に掛け渡され、図示しない駆動装置により駆動回転し
ている。流延ベルト14上で、徐々に多層流延膜13の
溶媒が揮発して、自己支持性を有するフイルム20にな
る。フイルム20は、剥ぎ取りローラ21により流延ベ
ルト14から剥ぎ取られ、乾燥装置に送られ、乾燥した
後に巻き取り機により巻き取られる。なお、多層流延膜
13を乾燥する手段としては公知のいずれのものを用い
ることができる。
す。また、図3には、図2の III−III 線の断面図を示
す。フィードブロック11の流路30を通った合流ドー
プ31は、流延ダイ10に送られて流路32を通りマニ
ホールド33で拡幅され、スリット34を通り吐出口3
5から、多層流延膜13として流延される。なお、マニ
ホールド33の両側にはマニホールド栓(図示しない)
が取り付けられ、合流ドープ31が流延ダイ10の側面
から流出することを抑制している。
マニホールド33は、吐出口35に向かう前記合流ドー
プ31の流れ方向に、前記合流ドープの流路を狭める傾
斜面33aを備えている。そして、流延ダイ10の幅方
向の中央36を基準に左右に振り分けで5〜20mmの
範囲で(図2におけるW)、この傾斜面33aの一部を
合流ドープ入り口方向に凸な、なだらかな湾曲面37と
している。この湾曲面37は、図4に示すように、その
曲率半径Rが500mm以上であり、周囲の傾斜面33
aに対して円滑に接続されており、段差がないようにさ
れている。湾曲面37の曲率半径Rは、500mm以上
であることが好ましい。また、マニホールド33の拡幅
幅Wdは、特に限定されないが1000〜4000mm
であることが、湾曲面37が、合流ドープ10との衝撃
を抑制するために好ましい。
流延ダイ10の合流ドープ10の入り口側から見て、ほ
ぼ三角形状に形成されているが、湾曲面37の形状は、
これに限定されることなく、その平面形状は適宜変更し
てよい。
口から吐出口35までにおいて、合流ドープ31の圧力
損失を4〜12kg/cm2 の範囲にすることが、流延
ダイ10から多層流延膜13の膜厚を均一にするために
好ましい。圧力損失が4kg/cm2 未満であると、流
路32内を通った合流ドープ31が充分にマニホールド
33内で拡幅されずに流延されてしまうため、均一な多
層流延膜13が得られない。また、圧力損失が12kg
/cm2 を超えると、マニホールド33内で合流ドープ
31に不均一な流れが生じ、多層流延膜13の各層の厚
みに分布差が生じやすくなる。
れるフイルム20の厚さは、フイルムの原料や用途など
によっても異なるが、30〜200μmであることが好
ましい。得られたフイルムは、偏光板保護膜である偏光
板保護フイルムとして用いることができる。この偏光板
保護フイルムをポリビニルアルコールなどから形成され
た偏光膜の両面に貼付することで偏光板を形成すること
ができる。さらに、このフイルム上に光学補償シートを
貼付した光学補償フイルム、防眩層をフイルム上に積層
させた反射防止膜などの光機能性膜として用いることも
できる。これら製品からは、液晶表示装置の一部を構成
することもできる。
ドブロックを取り付けた多層流延法によりフイルムを製
膜したが、本発明は、フィードブロックを用いない単層
流延における流延ダイにも適用可能である。
3を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。
用いてフイルムを製造し、その膜厚分布を測定した。膜
厚分布は、乾燥後のフイルムを赤外線膜厚計で測定し、
その厚みの100mm範囲の分布幅を求め、分布幅が
0.5μm未満であれば平面性が極めて良好(◎)、
0.5〜1.0μm未満であれば若干平面性に問題があ
るがほぼ良好(○)、1.0〜2.0μmであれば若干
膜厚分布に幅が生じたが製品によっては使用可能
(△)、2.0μmより大きいものはフイルムの膜厚の
分布幅が大きすぎ製品に使用不可能(×)の4段階評価
で行なった。結果については、後に表1にまとめて示
す。
ーストリアセテート(酢化度60.9%)100重量部
を用い、混合溶媒(メチレンクロライド300重量部と
メタノール65重量部)に仕込み、さらに添加剤とし
て、可塑剤であるトリフェニルホスフェート7.8重量
部とビフェニルジフェニルホスフェート3.9重量部お
よび紫外線吸収剤1.0重量部を加え溶解して、中間層
用ドープを調製した。このドープの物性は34℃での粘
度が50Pa・sであり、固形分重量が23.6%であ
った。
にはセルローストリアセテート(木材パルプ製、酢化度
60.9%)87重量部を用い、混合溶媒(メチレンク
ロライド300重量部とメタノール65重量部)に仕込
み、さらに添加剤として可塑剤であるトリフェニルホス
フェート6.8重量部とビフェニルジフェニルホスフェ
ート3.4重量部および紫外線吸収剤1.0重量部を加
え溶解して、中間層用ドープを調製した。このドープの
物性は34℃での粘度が36Pa・sであり、固形分重
量が21.1%であった。
面層用ドープ、裏面層用ドープを用いて、図1に示す多
層の溶液製膜を行った。流延ダイ10のマニホールド3
3には、図2に示したWd、Rについて、それぞれ20
00mm、500mmのものを用いた。また、表面層用
ドープ15、中間層用ドープ16、裏面層用ドープ17
は、乾燥後のフイルム膜厚が表面層及び裏面層が3μ
m、中間層が54μmとなるように送液し、製膜速度を
70m/minでフイルムを製造した。各ドープ15、
16、17を送液した際に、図2及び図3に示した流延
ダイ10の流路32の入り口から吐出口35までの圧力
損失は8kg/cm2 であった。また、得られたフイル
ムの膜厚分布を測定したところ、分布の幅は、0.4μ
mであり、平面性が極めて良好なフイルム(◎)が得ら
れた。
製膜速度、圧力損失、マニホールド幅Wd、)及び膜厚
分布の評価結果については、表1にまとめて示す。ま
た、比較例1ないし3の各実験条件(R寸法、製膜速
度、圧力損失、マニホールド幅Wd、)及び膜厚分布の
評価結果についても、表1にまとめて示す。なお、表1
に示した実験条件以外は、実施例1と同じ方法により各
実験を行なった。
法によれば、マニホールドを有するダイを用いて液を流
延し、2層以上の多層膜を製造する方法において、前記
ダイの吐出口に向かう前記液の流れ方向に、前記液の流
路が狭まる傾斜面を前記マニホールドに備え、この傾斜
面を、前記ダイの液の拡幅方向の中心を基準に5〜20
mmの範囲で、前記ダイの液の入り口方向に凸な曲率半
径が500mm以上のなだらかな面としたから、前記液
が前記マニホールドに送液された際の衝撃が抑制され、
平面性に優れたフイルムを製造することができる。
ムを製造する方法を説明するための概略図である。
部を説明するための概略図である。
Claims (4)
- 【請求項1】 マニホールドを有するダイを用いて液を
流延し、2層以上の多層膜を製造する方法において、 前記ダイの吐出口に向かう前記液の流れ方向に、前記液
の流路が狭まる傾斜面を前記マニホールドに備え、 この傾斜面を、前記ダイの液の拡幅方向の中心を基準に
5〜20mmの範囲で、 前記ダイの液の入り口方向に凸な曲率半径が500mm
以上のなだらかな面とすることを特徴とする多層膜の製
造方法。 - 【請求項2】 前記ダイの液の入り口部から前記ダイの
液の吐出口までの圧力損失が、4〜12kg/cm2 の
範囲であることを特徴とする請求項1記載の多層膜の製
造方法。 - 【請求項3】 前記多層膜は、膜厚が30〜200μm
の偏光板保護フイルム、または光学補償フイルムである
ことを特徴とする請求項1または2記載の多層膜の製造
方法。 - 【請求項4】 マニホールドを有するダイを用いて液を
流延し、2層以上の多層膜を製造する装置において、 前記ダイの吐出口に向かう前記液の流れ方向に、前記液
の流路を狭める傾斜面を前記マニホールドに備え、 この傾斜面を、前記ダイの液の拡幅方向の中心を基準に
5〜20mmの範囲で、前記ダイの液の入り口方向に凸
な曲率半径が500mm以上のなだらかな面としたこと
を特徴とする多層膜の製造装置。
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