JP2010058386A - 光学フィルムの製造方法及び光学フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】タッチロールからの熱可塑性樹脂フィルムの剥離性を向上させ、横段ムラのない光学フィルムの製造方法及び該製造方法で製造した光学フィルムを提供することである。
【解決手段】熱可塑性樹脂を含む溶融物を流延ダイから回転支持体の表面にフィルム状に押し出す流延工程と、流延工程で押し出されたフィルム状の溶融物を、回転支持体と挟圧回転体とで挟圧する挟圧工程とを備えた光学フィルムの製造方法において、回転支持体の表面に回転支持体とフィルム状の溶融物との粘着力を上げるための粘着補助剤を塗布した後に、フィルム状の溶融物を挟圧する。
【選択図】図1

Description

本発明は、セルロース樹脂などの熱可塑性樹脂を含む光学フィルムを溶融流延成膜法で製造するための光学フィルムの製造方法及び該製造方法で製造した光学フィルムに関する。
液晶表示装置は、従来のCRT表示装置に比べて、省スペース、省エネルギーであることからモニターとして広く使用されている。さらにTV用としても普及が進んできている。このような液晶表示装置には、偏光板用の保護フィルムや位相差フィルムなどの種々の光学フィルムが使用されている。
偏光板用の保護フィルムは、延伸ポリビニルアルコールなどからなる偏光フィルムに貼り付けて偏光フィルムを保護するためのフィルムであり、セルロース樹脂などの熱可塑性樹脂を含むフィルムが用いられている。また、位相差フィルムは、視野角の拡大やコントラストの向上などの目的で用いられるものであり、セルロース樹脂などの熱可塑性樹脂を含むフィルムを延伸するなどしてリタデーションが付与されたものである。光学補償フィルム呼ばれることもある。
このような光学フィルムの製造方法には、大別して、溶融流延成膜法と溶液流延成膜法とがある。前者は、ポリマーを加熱溶融して支持体上に流延し、冷却固化し、さらに必要に応じて延伸等を行ってフィルムにする方法であり、後者は、ポリマーを溶媒に溶かして、その溶液を支持体上に流延し、溶媒を蒸発し、さらに必要に応じて延伸等を行ってフィルムにする方法である。
従来、膜厚の均一化が容易なこと等の理由により溶液流延成膜法による製造が主流であった。しかし、溶液流延成膜法は、溶剤を大量に使用するため環境負荷が大きいこと、溶剤の回収のため巨大な生産設備が必要となること等の問題があることから、これらの問題の無い溶融流延成膜法による光学フィルムの製造が注目されるようになった。
一方、これらの光学フィルムでは、光学的な性能、特にリタデーションが均一であることが要求される。特に、モニターやTVの大型化や軽量化が進み、リタデーションの均一性がますます厳しく要求されると共に、光学フィルムの広幅化、薄膜化、表面平滑性も強く要求されるようになってきた。
溶融流延成膜法による光学フィルムの製造は、セルロース樹脂などの熱可塑性樹脂を含む溶融物を流延ダイから回転支持体(以降、キャストロールとも呼ぶ。)の表面にフィルム状に押し出し、押し出されたフィルム状の溶融物(以降、フィルムとも呼ぶ。)を回転支持体と挟圧回転体(以降、タッチロールとも呼ぶ。)とによって挟圧することによってフィルムを得るのが一般的である。タッチロールの表面は、表面平滑性を得るために、鏡面加工が施されている。
この挟圧を行う際、フィルムにかかる圧力が樹脂の配向状態に影響を与え、得られるフィルムのリタデーションが変化するため、リタデーションの均一性が高い光学フィルム、即ち残留位相差の小さい光学フィルムを得るためには、十分に均一な圧力で挟圧を行うことが重要になる。
しかし、光学フィルムの広幅化に伴い、流延ダイの幅も広くなることで、押し出されたフィルム状の溶融物をキャストロールとタッチロールとによって均一な圧力で挟圧することが困難となっている。
このような問題点に対処する方法として、タッチロールに外周に金属円筒を有する弾性ロール(以降、弾性金属ロールとも呼ぶ。)を用いて、挟圧するときの圧力を均一にする方法や、また、特許文献1においては、流延ダイからキャストロールに流下される溶融物の温度を従来より高く設定することで、キャストロールとタッチロールとの挟圧力が多少不均一であっても、残留位相差を少なくする方法が提案されている。
特開2005−172940号公報
しかしながら、キャストロール上に押し出された熱可塑性樹脂を含む溶融物に、表面が鏡面加工されたタッチロールを接触加圧すると、タッチロールからのフィルムの剥離不良が発生しやすく、フィルム幅方向に筋状のムラ(横段ムラ)が生じることがあった。さらに、タッチロールに弾性金属ロールを用いたり、特許文献1のように溶融物の温度を高く設定すると、よりタッチロールへの付着力が大きくなり、剥離不良を起こし、横段ムラが発生するという問題があった。
従って、本発明の目的は、タッチロールからの熱可塑性樹脂フィルムの剥離性を向上させ、横段ムラの発生しない光学フィルムの製造方法及び該製造方法で製造した光学フィルムを提供することである。
上記の課題を解決するために、本発明は以下の特徴を有するものである。
1.
熱可塑性樹脂を含む溶融物を流延ダイから回転支持体の表面にフィルム状に押し出す流延工程と、
前記流延工程で押し出されたフィルム状の溶融物を、前記回転支持体と挟圧回転体とで挟圧する挟圧工程とを備えた光学フィルムの製造方法において、
前記回転支持体の表面に前記回転支持体と前記フィルム状の溶融物との粘着力を上げるための粘着補助剤を塗布した後に、
前記フィルム状の溶融物を前記回転支持体と前記挟圧回転体とで挟圧することを特徴とする光学フィルムの製造方法。
2.
前記溶融物が、可塑剤を含有し、前記粘着補助剤が、前記可塑剤であることを特徴とする1に記載の光学フィルムの製造方法。
3.
前記回転支持体の表面に塗布する前記可塑剤の厚みが、0.5〜20μmであることを特徴とする2に記載の光学フィルムの製造方法。
4.
前記挟圧回転体が、外周に金属円筒を有する弾性ロールであることを特徴とすることを特徴とする1乃至3の何れか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
5.
2乃至4の何れか1項に記載の光学フィルムの製造方法により製造した光学フィルムであって、前記光学フィルムの表面の前記可塑剤の含有率が、前記光学フィルムの内部の前記可塑剤の含有率の1.01〜1.20倍であることを特徴とする光学フィルム。
本発明によれば、回転支持体の表面に粘着補助剤を塗布した後に、フィルム状の溶融物を回転支持体と挟圧回転体とで挟圧するので、回転支持体とフィルム状の溶融物との粘着性が、挟圧回転体とフィルム状溶融物との粘着性より大きくなり、挟圧回転体からのフィルム状溶融物の剥離性が向上する。よって、挟圧回転体とフィルムとの剥離時に、横段ムラの発生しない光学フィルムの製造方法及び該製造方法で製造した光学フィルムを提供できる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明の光学フィルムの製造方法においては、熱可塑性樹脂を含む溶融物を流延ダイから回転支持体(キャストロール)の表面にフィルム状に押し出す流延工程と、流延工程で押し出されたフィルム状の溶融物を、回転支持体と挟圧回転体(タッチロール)とで挟圧する挟圧工程とを備えた光学フィルムの製造方法において、回転支持体の表面に回転支持体とフィルム状の溶融物との粘着力を上げるための粘着補助剤を塗布した後に、フィルム状の溶融物を挟圧回転体とで挟圧することを特徴とする光学フィルムの製造方法である。
図1に本発明の光学フィルムの製造方法を用いた一実施形態の製造装置の流延工程と挟圧工程の概略図を示す。流延工程としては、流延ダイ4から熱可塑性樹脂を含む溶融物Yをキャストロール5上のP1の位置に押しだす。この際キャストロール5の表面には、P1の位置より上流側で粘着補助剤塗布装置100により粘着補助剤104が塗布されている。流延ダイ4からキャストロール5上に押し出された溶融物Yは、挟圧工程としてP2の位置でタッチロール6により挟圧される。挟圧された溶融物はフィルム状となってキャストロール5上を搬送され、P3の位置で剥離され、次の工程に移る。
粘着補助剤塗布装置100は、所定の温度に加温された貯留槽105内の液状の粘着補助剤104を汲み上げローラ102で汲み上げ、規制ブレード103により一定の量に規制し、規制後の汲み上げローラ102上の粘着補助剤104は塗布ローラ101に転移し、キャストロール5上に塗布される構成となっている。
このように挟圧工程の前に、キャストロール5の表面に粘着補助剤を塗布し、その後挟圧工程でキャストロール5とタッチロール6とによりフィルムを挟圧することで、フィルムとキャストロール5との粘着力が、フィルムとタッチロール6との粘着力よりも大きくなり、タッチロール6とフィルムが剥離する際の剥離不良の発生を抑制することができる。特に、フィルム表面の平滑性を上げるためにタッチロール6の表面を鏡面加工した場合や、タッチロールに弾性金属ロールを用いた場合、また、挟圧工程における押圧ムラを無くし、残留位相差を低減するためにフィルム温度を高温にして挟圧する場合などには、タッチロールとフィルムとの剥離不良が発生しやすいが、本発明により、効果的に剥離不良を無くすことができる。
本発明に係る粘着補助剤としては、キャストロール5とフィルムとの粘着性を上げる材料であれば、特に限定するものでは無いが、製品として必要な光学フィルム特性に悪影響を与えないものであれば好ましく、より好ましくは、光学フィルムに用いられる可塑剤を用いることが好ましい。可塑剤の種類としては、特に限定しないが、熱可塑性樹脂の溶融物に可塑剤が含まれる場合は、その可塑剤と同じ可塑剤を用いることがより好ましい。このような可塑剤を用いることにより、キャストロール5に塗布した可塑剤が、光学フィルムの表面に付着したとしても、光学フィルム特性に悪影響を与えることが無く、かつ効果的にタッチロール6とフィルムとの剥離不良を無くすことができる。
好ましく用いられる可塑剤としては、リン酸エステル系では、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート等、フタル酸エステル系では、ジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート等、グリコール酸エステル系では、トリアセチン、トリブチリン、ブチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート等を使用するのが好ましい。上記の可塑剤は、必要に応じて、2種類以上を併用しても良い。
キャストロール5に塗布する可塑剤の厚みとしては、液層として、0.5〜20μmであることが好ましい。可塑剤の厚みが、0.5μm未満になると部分的に剥離不良を生じる可能性がある。また、20μmを越えると、可塑剤が光学フィルム上で凝集物となり、異物故障の原因となる可能性がある。
また、キャストロール5の表面に塗布する粘着補助剤として、液状で塗布している例を示したが、可塑剤のように常温で粉体のものは、粉体としてキャストロール5上に散布し、散布後、所定温度に設定されたキャストロール5上で所定の膜厚の液状になるようにしても良い。
また、本発明の光学フィルムの製造方法により製造した光学フィルムは、光学フィルム表面の可塑剤の含有率が、光学フィルム内部の可塑剤の含有率の1.01〜1.20倍であることが好ましい。ここで光学フィルム内部とは光学フィルム表面から内部方向に5μm以上入った部分である。光学フィルム表面の可塑剤の含有率は、回転支持体に可塑剤を塗布する塗布量で調整することができる。含有率が1.01倍未満の場合は、可塑剤が表面に吸収されていないことから、本発明の効果が十分に発揮できていないので好ましくない。含有率が1.20倍を超える場合は、光学フィルムの厚み方向の物性の均一性が損なわれるため、好ましくない。
フィルム表面と内部の可塑剤の量の比較は、XPS(X線光電子スペクトロスコピー)表面分析装置を用いて行うことができる。
このように本発明の光学フィルムの製造方法を用いることにより、タッチロールとフィルムとの剥離不良がなくなり、フィルム表面に横段ムラ(フィルム幅方向の筋状のムラで表面に凹凸が発生し視認できるムラである。)の無い光学フィルムを得ることができる。
特に、タッチロールの表面を鏡面にした場合や、タッチロールに弾性金属ロールを用いた場合や、流延ダイから押し出される溶融物の温度を上げた場合などには、タッチロールとフィルムとの粘着性が高くなるが、本発明の製造方法により、タッチロールとフィルムとの剥離不良を改善し、フィルム表面の横段ムラのない光学フィルムを得ることができる。
以下、本発明による光学フィルムの製造方法について、詳しく説明する。
本発明における光学フィルムの製造方法において、熱可塑性樹脂フィルムの製膜方法としては、溶融樹脂を流延して製膜する溶融流延製膜法を用いて製膜する。
本発明による光学フィルムの主材料は、製造が容易であること、偏光膜との接着性がよいこと、光学的に透明であることなどが好ましい要件として挙げられる。
上記の性質を有する熱可塑性樹脂フィルムであれば、特に限定はないが、例えば、セルロースジアセテートフィルム、セルローストリアセテートフィルム、セルロースアセテートブチレートフィルム、セルロースアセテートプロピオネートフィルム等のセルロースエステル系フィルム、ポリエステル系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、ポリアリレート系フィルム、ポリスルホン(ポリエーテルスルホンも含む)系フィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファン、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレンビニルアルコールフィルム、シンジオタクティックポリスチレン系フィルム、ポリカーボネートフィルム、シクロオレフィン系ポリマーフィルム、ゼオネックス(商品名、日本ゼオン社製)、ゼオノア(商品名、日本ゼオン社製)、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、ポリエーテルケトンイミドフィルム、ポリアミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ナイロンフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルム、アクリルフィルムまたはガラス板等を挙げることができる。中でも、セルロースエステル系フィルム、シクロオレフィンポリマーフィルム、ポリカーボネート系フィルム、ポリスルホン(ポリエーテルスルホンを含む)系フィルムが好ましく、本発明においては、特に、セルロースエステル系樹脂フィルム、または環状オレフィン系付加重合体を80%以上含有する樹脂フィルムであるのが、製造上、コスト面、透明性、接着性等の観点から好ましく用いられる。
本発明の光学フィルムを構成する材料は、これらの樹脂、必要により安定化剤、可塑剤、紫外線吸収剤、滑り剤としてのマット剤、リタデーション制御剤が含まれる。これらの材料は、目的とする光学フィルムの要求特性により適宜選択される。
本発明の光学フィルムの材料としてセルロース樹脂を用いる場合、そのセルロース樹脂は、セルロースエステルの構造を有し、脂肪酸アシル基、置換もしくは無置換の芳香族アシル基の中から少なくともいずれかの構造を含む、セルロースの単独または混合酸エステル(以下、単に「セルロース樹脂」という)であり、非晶性のものである。「非晶性」とは、不規則な分子配置で結晶とはならずに固体となっている物質を意味しており、原料時の結晶状態を表わしたものである。
以下、本発明の使用に有用なセルロース樹脂について例示するが、これらに限定されるものではない。
セルロース樹脂が芳香族アシル基を含む場合、芳香族環がベンゼン環であるとき、ベンゼン環の置換基の例としてハロゲン原子、シアノ、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アシル基、カルボンアミド基、スルホンアミド基、ウレイド基、アラルキル基、ニトロ、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、アシルオキシ基、アルケニル基、アルキニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキルオキシスルホニル基、アリールオキシスルホニル基、アルキルスルホニルオキシ基及びアリールオキシスルホニル基、−S−R、−NH−CO−OR、−PH−R、−P(−R)、−PH−O−R、−P(−R)(−O−R)、−P(−O−R)、−PH(=O)−R−P(=O)(−R)、−PH(=O)−O−R、−P(=O)(−R)(−O−R)、−P(=O)(−O−R)、−O−PH(=O)−R、−O−P(=O)(−R)−O−PH(=O)−O−R、−O−P(=O)(−R)(−O−R)、−O−P(=O)(−O−R)2、−NH−PH(=O)−R、−NH−P(=O)(−R)(−O−R)、−NH−P(=O)(−O−R)、−SiH−R、−SiH(−R)、−Si(−R)、−O−SiH−R、−O−SiH(−R)及び−O−Si(−R)が含まれる。上記Rは脂肪族基、芳香族基またはヘテロ環基である。
置換基の数は、1個〜5個、好ましくは1個〜4個、より好ましくは1個〜3個、さらにより好ましくは1個または2個である。さらに、芳香族環に置換する置換基の数が2個以上の時、互いに同じでも異なっていてもよいが、また、互いに連結して縮合多環化合物(例えばナフタレン、インデン、インダン、フェナントレン、キノリン、イソキノリン、クロメン、クロマン、フタラジン、アクリジン、インドール、インドリンなど)を形成してもよい。
置換基としては、ハロゲン原子、シアノ、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アシル基、カルボンアミド基、スルホンアミド基及びウレイド基が好ましく、ハロゲン原子、シアノ、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基及びカルボンアミド基がより好ましく、ハロゲン原子、シアノ、アルキル基、アルコキシ基及びアリールオキシ基がさらに好ましく、ハロゲン原子、アルキル基及びアルコキシ基が最も好ましい。
上記ハロゲン原子には、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が含まれる。上記アルキル基は、環状構造あるいは分岐を有していてもよい。アルキル基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることがより好ましく、1〜6であることがさらに好ましく、1〜4であることが最も好ましい。
上記アルキル基の例には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル、ヘキシル、シクロヘキシル、オクチル及び2−エチルヘキシルが含まれる。
上記アルコキシ基は、環状構造あるいは分岐を有していてもよい。アルコキシ基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることがより好ましく、1〜6であることがさらに好ましく、1〜4であることが最も好ましい。アルコキシ基は、さらに別のアルコキシ基で置換されていてもよい。アルコキシ基の例には、メトキシ、エトキシ、2−メトキシエトキシ、2−メトキシ−2−エトキシエトキシ、ブチルオキシ、ヘキシルオキシ及びオクチルオキシが含まれる。
上記アリール基の炭素原子数は、6〜20であることが好ましく、6〜12であることがさらに好ましい。アリール基の例には、フェニル及びナフチルが含まれる。上記アリールオキシ基の炭素原子数は、6〜20であることが好ましく、6〜12であることがさらに好ましい。
上記アリールオキシ基の例には、フェノキシ及びナフトキシが含まれる。上記アシル基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることがさらに好ましい。
上記アシル基の例には、ホルミル、アセチル及びベンゾイルが含まれる。上記カルボンアミド基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることがさらに好ましい。
上記カルボンアミド基の例には、アセトアミド及びベンズアミドが含まれる。上記スルホンアミド基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることがさらに好ましい。
上記スルホンアミド基の例には、メタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド及びp−トルエンスルホンアミドが含まれる。上記ウレイド基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることがさらに好ましい。
上記ウレイド基の例には、(無置換)ウレイドが含まれる。
上記アラルキル基の炭素原子数は、7〜20であることが好ましく、7〜12であることがさらに好ましい。アラルキル基の例には、ベンジル、フェネチル及びナフチルメチルが含まれる。
上記アルコキシカルボニル基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、2〜12であることがさらに好ましい。アルコキシカルボニル基の例には、メトキシカルボニルが含まれる。
上記アリールオキシカルボニル基の炭素原子数は、7〜20であることが好ましく、7〜12であることがさらに好ましい。アリールオキシカルボニル基の例には、フェノキシカルボニルが含まれる。
上記アラルキルオキシカルボニル基の炭素原子数は、8〜20であることが好ましく、8〜12であることがさらに好ましい。アラルキルオキシカルボニル基の例には、ベンジルオキシカルボニルが含まれる。
上記カルバモイル基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることがさらに好ましい。カルバモイル基の例には、(無置換)カルバモイル及びN−メチルカルバモイルが含まれる。
上記スルファモイル基の炭素原子数は、20以下であることが好ましく、12以下であることがさらに好ましい。スルファモイル基の例には、(無置換)スルファモイル及びN−メチルスルファモイルが含まれる。上記アシルオキシ基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、2〜12であることがさらに好ましい。
上記アシルオキシ基の例には、アセトキシ及びベンゾイルオキシが含まれる。
上記アルケニル基の炭素原子数は、2〜20であることが好ましく、2〜12であることがさらに好ましい。アルケニル基の例には、ビニル、アリル及びイソプロペニルが含まれる。
上記アルキニル基の炭素原子数は、2〜20であることが好ましく、2〜12であることがさらに好ましい。アルキニル基の例には、チエニルが含まれる。
上記アルキルスルホニル基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることがさらに好ましい。
上記アリールスルホニル基の炭素原子数は、6〜20であることが好ましく、6〜12であることがさらに好ましい。
上記アルキルオキシスルホニル基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることがさらに好ましい。
上記アリールオキシスルホニル基の炭素原子数は、6〜20であることが好ましく、6〜12であることがさらに好ましい。
上記アルキルスルホニルオキシ基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることがさらに好ましい。
上記アリールオキシスルホニル基の炭素原子数は、6〜20であることが好ましく、6〜12であることがさらに好ましい。
本発明で使用するセルロース樹脂において、セルロースの水酸基部分の水素原子が脂肪族アシル基との脂肪酸エステルであるとき、脂肪族アシル基は炭素原子数が2〜20で具体的にはアセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、ピバロイル、ヘキサノイル、オクタノイル、ラウロイル、ステアロイル等が挙げられる。
本発明において前記脂肪族アシル基とはさらに置換基を有するものも包含する意味であり、置換基としては上述の芳香族アシル基において、芳香族環がベンゼン環であるとき、ベンゼン環の置換基として例示したものが挙げられる。
光学フィルムとして位相差フィルムを製造する場合は、セルロース樹脂としてセルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレート、及びセルロースフタレートから選ばれる少なくとも1種を使用することが好ましい。
これらの中で特に好ましいセルロース樹脂は、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネートやセルロースアセテートブチレートが挙げられる。
混合脂肪酸エステルであるセルロースアセテートプロピオネートやセルロースアセテートブチレートは、炭素原子数2〜4のアシル基を置換基として有し、アセチル基の置換度をXとし、プロピオニル基またはブチリル基の置換度をYとした時、下記式(I)及び(II)を同時に満たすものが好ましい。置換度とは、アシル基に置換された水酸基の数をグルコース単位で示した数値と定義する。
式(I) 2.6≦X+Y≦3.0
式(II) 0≦X≦2.5
特にセルロースアセテートプロピオネートが好ましく用いられ、中でも1.9≦X≦2.5であり、0.1≦Y≦0.9であることが好ましい。上記アシル基で置換されていない部分は通常水酸基として存在している。これらは公知の方法で合成することができる。
本発明で用いられるセルロース樹脂の原料セルロースは、木材パルプでも綿花リンターでもよく、木材パルプは針葉樹でも広葉樹でもよいが、針葉樹の方がより好ましい。製膜の際の剥離性の点からは綿花リンターが好ましく用いられる。これらから作られたセルロース樹脂は適宜混合して、あるいは単独で使用することができる。
本発明で用いられるセルロース樹脂はフィルムにしたときの輝点異物が少ないものであることが好ましい。輝点異物とは、2枚の偏光板を直交に配置し(クロスニコル)、この間にセルロースエステルフィルムを配置して、一方の光源側の偏光板の透過軸に偏光板保護フィルムの遅相軸が平行に位置するとき他方の偏光板の外側の面に垂直な位置で観察したとき光が漏れてくる原因となる異物を意味する。このとき評価に用いる偏光板は輝点異物がない保護フィルムで構成されたものであることが望ましく、偏光子の保護にガラス板を使用したものが好ましく用いられる。輝点異物はセルロース樹脂に含まれる水酸基のエステル化部分が未反応であることがその原因の1つと考えられ、輝点異物の少ないセルロース樹脂を用いることと、加熱溶融したセルロース樹脂を濾過することによって異物を除去し、輝点異物を低減することができる。また、フィルム膜厚が薄くなるほど単位面積当たりの輝点異物数は少なくなり、フィルムに含まれるセルロース樹脂の含有量が少なくなるほど輝点異物は少なくなる傾向がある。
輝点の個数としては、面積250mm当たり、偏光クロスニコル状態で認識される大きさが5〜50μmの輝点が、300個以下、50μm以上の輝点が0個であることが好ましい。さらに好ましくは、5〜50μmの輝点が200個以下である。
輝点が多いと、液晶ディスプレイの画像に重大な悪影響を及ぼす。位相差フィルムを偏光板保護フィルムとして機能させた場合、この輝点の存在は複屈折の乱れの要因であり、画像に及ぼす悪影響は大きなものとなる。
輝点異物を溶融濾過によって除去する場合、輝点異物の除去工程を含め、連続して溶融流延の製膜工程を実施できる。
熱溶融による輝点異物の濾過工程を含む溶融流延製膜法は、後述の可塑剤とセルロース樹脂を組成物とした場合、可塑剤が添加しない系と比較して、熱溶融温度を低下させる観点から、そして輝点異物の除去効率の向上と熱分解の回避の観点から好ましい方法である。また、後述する他の添加剤として紫外線吸収剤、やマット材も適宜混合したものを同様に濾過することもできる。
濾材としては、ガラス繊維、セルロース繊維、濾紙、四フッ化エチレン樹脂などのフッ素樹脂等の従来公知のものが好ましく用いられるが、特にセラミックス、金属等が好ましく用いられる。絶対濾過精度としては50μm以下、好ましくは30μm以下、より好ましくは10μm以下、さらに好ましくは5μm以下のものが用いられる。これらは適宜組み合わせて使用することもできる。濾材はサーフェースタイプでもデプスタイプでも用いることができるが、デプスタイプの方が比較的目詰まりしにくく好ましい。
別の実施態様では、加熱してフィルム構成材料を溶融する前に、該構成材料の少なくともセルロース樹脂においては、該材料の合成後期の過程や沈殿物を得る過程の少なくともいずれかにおいて、一度、溶液状態として同様に濾過工程を経由して輝点異物を除去することもできる。このとき、好ましくはセルロース樹脂に安定化剤が存在することが好ましく、また後述する可塑剤、あるいはその他の添加剤として紫外線吸収剤、マット剤等と共に溶媒に溶解させた後、溶媒を除去し乾燥することによってセルロース樹脂を主体としたフィルム構成材料の固形分を得るようにしてもよい。
また、上記溶液状態とするために該構成材料の溶媒への溶解の過程で−20℃以下に冷却した工程を介することもできる。セルロース樹脂への安定化剤、可塑剤、その他添加剤のいずれか一種以上の添加を行うときは、用いるセルロース樹脂の合成(調製)工程過程において、特に限定はないが該樹脂の合成(調製)工程後期までに少なくとも一度溶液状態で輝点異物や不溶物を濾別するために濾過を行い、その後他の添加剤の添加を行い、溶媒の除去または酸析によって固形分を分離して乾燥してもよく、ペレット化するときに粉体混合したフィルム構成材料を得てもよい。
フィルム構成材料のセルロース樹脂以外の構成材料を該樹脂と均一に混合することは、加熱時の溶融性において均一な溶融性を与えることに寄与できる。
セルロース樹脂以外の高分子材料やオリゴマーを、適宜選択してセルロース樹脂と混合してもよい。このような高分子材料やオリゴマーはセルロース樹脂と相溶性に優れるものが好ましく、フィルムにしたときの全可視域(400nm〜800nm)に渡り透過率が80%以上、好ましくは90%以上、さらに好ましくは92%以上が得られるようにする。セルロース樹脂以外の高分子材料やオリゴマーの少なくとも1種以上を混合する目的は、加熱溶融時の粘度制御やフィルム加工後のフィルム物性を向上するために行う意味を含んでいる。この高分子材料やオリゴマーは、その他添加剤としての概念として捉えてもよい。
可塑剤としては、特に限定しないが、前記したキャストロールの表面に塗布する可塑剤を使用するのが好ましい。
上記の可塑剤は、必要に応じて、2種類以上を併用しても良い。この場合、リン酸エステル系の可塑剤の使用比率を50%以下とすることが、結果として、セルロースエステル系樹脂フィルムの加水分解を引き起こしにくく、耐久性に優れるため、好ましい。
リン酸エステル系の可塑剤比率は、少ない方がさらに好ましく、フタル酸エステル系やグリコール酸エステル系の可塑剤だけを使用することが、特に好ましい。
さらに、吸水率ならびに水分率を特定の範囲内にするために好ましい可塑剤の添加量としては、セルロースエステル系樹脂に対する質量%で、3〜30質量%であり、より好ましくは10〜25質量%、さらに好ましくは15〜25質量%である。ここで、可塑剤の添加量が30質量%を超えると、セルロースエステル系樹脂フィルムの機械強度・寸法安定性が劣化するので、好ましくない。
酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系の化合物が適当であり、その具体例としては、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2,2−チオ−ジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン及びトリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイト等を挙げることができる。とくに2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕及びトリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕が好ましい。また例えば、N,N′−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル〕ヒドラジン等のヒドラジン系の金属不活性剤やトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト等のリン系加工安定剤を併用してもよい。これらの化合物の添加量は、その効果を得るために、セルロースエステル系樹脂に対し、質量割合で1ppm〜1.0%が好ましく、10〜1000ppmがとくに好ましい。
セルロースエステル系樹脂フィルムには、紫外線吸収剤を添加することが好ましい。ここで、紫外線吸収剤としては、液晶の劣化防止の点より波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、かつ良好な液晶表示性の点より波長400nm以上の可視光の吸収が可及的に少ないものが、好ましく用いられる。
特に、波長370nmでの紫外線の透過率が10%以下であることが好ましく、より好ましくは該透過率が5%以下、更により好ましくは2%以下である。
用いる紫外線吸収剤としては、例えばオキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物などが挙げられるが、これらに限定されない。
これら紫外線吸収剤の1種以上を用いていることが好ましく、異なる2種以上の紫外線吸収剤を含有してもよい。
好ましく用いられる紫外線吸収剤は、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤やベンゾフェノン系紫外線吸収剤等である。不要な着色がより少ないベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤をセルロースエステル系樹脂フィルムに添加するという態様が特に好ましい。
紫外線吸収剤の添加方法は、アルコールやメチレンクロライド、ジオキソランなどの有機溶媒に紫外線吸収剤を溶解してからドープに添加するか、または直接ドープ組成中に添加してもよい。無機粉体のように有機溶剤に溶解しないものは、有機溶剤とセルロースエステル系樹脂中にデゾルバーやサンドミルを使用し、分散してからドープに添加する。
紫外線吸収剤の使用量は、セルロースエステル系樹脂に対する質量%で、0.1〜2.5質量%、好ましくは、0.5〜2.0質量%、より好ましくは0.8〜2.0質量%である。紫外線吸収剤の使用量が2.5質量%を超えると、セルロースエステル系樹脂フィルムの透明性が悪くなる傾向があり、好ましくない。
また、セルロースエステル系樹脂フィルムには、フィルム同士の張り付きを防止したり、滑り性を付与したりして、ハンドリングしやすくするために、マット剤として微粒子を添加してもよい。
微粒子の種類としては、無機化合物でも有機化合物でもよい。無機化合物の微粒子の例としては、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化錫等の微粒子が挙げられる。この中では、ケイ素原子を含有する化合物であることが好ましく、特に二酸化ケイ素微粒子が好ましい。二酸化ケイ素微粒子としては、例えばアエロジル株式会社製のAEROSIL−200、200V、300、R972、R972V、R974、R976、R976S、R202、R812,R805、OX50、TT600、RY50、RX50、NY50、NAX50、NA50H、NA50Y、NX90、RY200S、RY200、RX200、R8200、RA200H、RA200HS、NA200Y、R816、R104、RY300、RX300、R106などが挙げられる。これらのうち、分散性や粒径を制御する点では、AEROSIL−200V、R972Vが好ましい。
フィルム中での微粒子の平均粒径は、滑り性付与と透明性確保の観点から50nm〜2μmが良い。好ましくは、100nm〜1000nm、さらに好ましくは、100nm〜500nmである。フィルム中での平均粒径は、断面写真を撮影して観察することで確認できる。
微粒子の場合は、1次粒径、溶媒に分散した後の粒径、フィルムに添加された後の粒径が変化する場合が多く、重要なのは、最終的にフィルム中で微粒子がセルロースエステル系樹脂と複合し凝集して形成される粒径をコントロールすることである。
微粒子の添加量は、セルロースエステル系樹脂フィルム中に対して、0.02〜0.5質量%、好ましくは、0.04〜0.3質量%である。
図2は、本発明の光学フィルムの製造方法を溶融流延製膜法を用いて実施する装置の第一の実施形態の概略フローシートである。
フィルム(溶融物)が最初にキャストロール5の表面に接触した点(P1)と、フィルムがタッチロール(挟圧回転体)6の表面に接触した点(P2)が異なっている実施形態を示しているが、場合によっては、フィルムが最初にキャストロール5の表面に接触した点(P1)と、フィルムがタッチロール(挟圧回転体)6の表面に接触した点(P2)が同一の場合もある。また、フィルムが先にタッチロール6に接触した後にP2に至る場合もある。
本実施形態においては、セルロース樹脂等の樹脂を含むフィルム材料を混合して樹脂混合物を得た後、押出し機1を用いて、流延ダイ4からキャストロール5上に溶融押し出しする。キャストロール5の表面には、可塑剤が粘着補助剤塗布装置100により粘着補助剤104が所定量塗布されている。押し出されたフィルム状の溶融物は、キャストロール5に外接するとともに、タッチロール6によりキャストロール5表面に所定の圧力で押圧される。さらに、冷却ロール7、8のロールに順に外接して冷却固化し、剥離ロール9によって剥離される。剥離されたフィルム17は、縦延伸装置10と横延伸装置20によりフィルムの縦(搬送方向)及び横(幅手方向)に延伸した後、巻取り装置60により巻き取られる。
流延ダイ4から押し出されたフィルム(樹脂混合物)は冷却機能を有する少なくとも2つの回転体(回転支持体と挟圧回転体)で冷却、面矯正される。回転支持体、及び挟圧回転体はロールに限定されるものではなく、ドラムやベルトなどでもよい。
キャストロール5の温度は、樹脂混合物のガラス転移温度(Tg)以下、添加剤の融点以上に設定するのが、好ましい。
ここで、タッチロール6は、フィルムに対してキャストロール5の反対側よりキャストロール5の方向にフィルムを挟圧する目的の回転体である。
タッチロール6の表面は金属であることが好ましく、厚みは1mmから10mmである。好ましくは2mm〜6mmである。挟圧回転体の表面は、クロムメッキなどの処理が施されており、表面粗さは、最大高さRyで0.1μm以下とすることが好ましく、更に0.05μm以下とすることが好ましい。ロール表面が平滑であるほど、得られるフィルムの表面も平滑にできる。
挟圧工程において、タッチロール6が、外周に金属円筒を有する弾性ロール(弾性金属ロール)よりなるものであることが好ましい。
すなわち、タッチロール6の圧力が不均一になると、フィルムに配向ムラが発生し、これがクロスニコル下では明暗のムラになってしまう。均一な圧力でフィルムを面矯正するためには、上記のような外周に金属円筒を有する弾性のタッチロールが好ましい。
タッチロール6の表面の金属の材質は、平滑で、適度な弾性があり、耐久性があることが求められる。炭素鋼、ステンレス、チタン、電鋳法で製造されたニッケルなどが好ましく用いることができる。さらにその表面の硬度をあげたり、樹脂との剥離性を改良するため、ハードクロムメッキや、ニッケルメッキ、非晶質クロムメッキなどや、セラミック溶射等の表面処理を施すことが好ましい。表面加工した表面はさらに研磨し、上述した表面粗さとすることが好ましい。
タッチロール6は、金属製外筒と内筒との2重構造になっており、その間に冷却流体を流せるように空間を有する二重筒の構成である。
内筒は、炭素鋼、ステンレス、アルミニウム、チタンなどの軽量で剛性のある金属製内筒であることが好ましい。内筒に剛性をもたせることで、ロールの回転ぶれを抑えることができる。内筒の肉厚は、外筒の2〜10倍とすることで十分な剛性が得られる。内筒にはさらにシリコーン、フッ素ゴムなどの樹脂製弾性材料が被覆されていてもよい。
冷却流体を流す空間の構造は、ロール表面の温度を均一に制御できるものであればよく、例えば幅手方向に行きと戻りが交互に流れるようにしたり、スパイラル状に流れるようにすることでロール表面の温度分布の小さい温度制御ができる。冷却流体は、特に制限はなく、使用する温度域に合わせて、水やオイルを使用できる。
挟圧回転体であるタッチロール6は、中央部の外径が両端部の外径よりも大きい太鼓型に設定される。タッチロールは、その両端部を加圧手段でフィルムに押圧するのが一般的であるが、この場合、タッチロールが撓むため、端部にいくほど強く押圧されてしまう現象がある。ロールを太鼓型にすることで高度に均一な押圧が可能となる。
挟圧回転体であるタッチロール6の直径は、200mmから500mmの範囲であることが好ましい。タッチロール6の有効幅は、挟圧するフィルム幅よりも広い必要がある。タッチロール6の中央部の半径と端部の半径との差(以下、クラウニング量と呼ぶ)により、フィルムの中央部に発生するスジなどのむらを防止することができる。クラウニング量は、50〜300μmの範囲が好ましい。
キャストロール5とタッチロール6とは、フィルムを挟圧するように、フィルムの平面に対して反対側の位置に設置する。キャストロール5とタッチロール6とは、フィルムと面で接触しても、線で接触してもかまわない。
本実施形態による光学フィルムの製造方法において、溶融押し出しの条件は、他のポリエステルなどの熱可塑性樹脂に用いられる条件と同様にして行うことができる。材料は予め乾燥させておくことが好ましい。真空または減圧乾燥機や除湿熱風乾燥機などで水分を1000ppm以下、好ましくは200ppm以下に乾燥させることが望ましい。
例えば熱風や真空または減圧下で乾燥したセルロースエステル系樹脂を押出し機1を用いて、押し出し温度200〜300℃程度で溶融し、リーフディスクタイプのフィルター2などで濾過し、異物を除去する。
供給ホッパー(図示略)から押出し機1へ導入する際は、真空下または減圧下や不活性ガス雰囲気下にして、酸化分解等を防止することが好ましい。
可塑剤などの添加剤を予め混合しない場合は、押出し機の途中で練り込んでもよい。均一に添加するために、スタチックミキサー3などの混合装置を用いることが好ましい。
セルロース樹脂等の樹脂と、その他必要により添加される安定化剤等の添加剤は、溶融する前に混合しておくことが好ましい。混合は、混合機等により行ってもよく、また、前記したようにセルロース樹脂等の樹脂調製過程において混合してもよい。混合機を使用する場合は、V型混合機、円錐スクリュー型混合機、水平円筒型混合機等、一般的な混合機を用いることができる。
上記のようにフィルム構成材料を混合した後に、その混合物を押出し機1を用いて直接溶融して製膜するようにしてもよいが、一旦、フィルム構成材料をペレット化した後、該ペレットを押出し機1で溶融して製膜するようにしてもよい。また、フィルム構成材料が、融点の異なる複数の材料を含む場合には、融点の低い材料のみが溶融する温度で一旦、いわゆるおこし状の半溶融物を作製し、半溶融物を押出し機1に投入して製膜することも可能である。フィルム構成材料に熱分解しやすい材料が含まれる場合には、溶融回数を減らす目的で、ペレットを作製せずに直接製膜する方法や、上記のようなおこし状の半溶融物を作ってから製膜する方法が好ましい。
押出し機1は、市場で入手可能な種々の押出し機を使用可能であるが、溶融混練押出し機が好ましく、単軸押出し機でも2軸押出し機でも良い。フィルム構成材料からペレットを作製せずに、直接製膜を行う場合、適当な混練度が必要であるため2軸押出し機を用いることが好ましいが、単軸押出し機でも、スクリューの形状をマドック型、ユニメルト型、ダルメージ等の混練型のスクリューに変更することにより、適度の混練が得られるので、使用可能である。フィルム構成材料として、一旦、ペレットやおこし状の半溶融物を使用する場合は、単軸押出し機でも2軸押出し機でも使用可能である。
押出し機1内および押し出した後の冷却工程は、窒素ガス等の不活性ガスで置換するか、あるいは減圧することにより、酸素の濃度を下げることが好ましい。
押出し機1内のフィルム構成材料の溶融温度は、フィルム構成材料の粘度や吐出量、製造するシートの厚み等によって好ましい条件が異なるが、一般的には、フィルム(樹脂混合物)のガラス転移温度Tgに対して、Tg以上、Tg+100℃以下、好ましくはTg+10℃以上、Tg+90℃以下である。押出し時の溶融粘度は、10〜100000ポイズ、好ましくは100〜10000ポイズである。また、押出し機1内でのフィルム構成材料の滞留時間は短い方が好ましく、5分以内、好ましくは3分以内、より好ましくは2分以内である。滞留時間は、押出し機1の種類、押し出す条件にも左右されるが、材料の供給量やL/D、スクリュー回転数、スクリューの溝の深さ等を調整することにより短縮することが可能である。
押出し機1のスクリューの形状や回転数等は、フィルム構成材料の粘度や吐出量等により適宜選択される。本実施形態において押出し機1でのせん断速度は、1/秒〜10000/秒、好ましくは5/秒〜1000/秒、より好ましくは10/秒〜100/秒である。押出し機1としては、一般的にプラスチック成形機として市販されている押出し機を使用することができる。
押出し機1から押し出されたフィルム構成材料は、流延ダイ4に送られ、流延ダイ4からフィルム状に押し出される。
押出し機1から吐出される溶融物は、流延ダイ4に供給される。流延ダイ4はシートやフィルムを製造するために用いられるものであれば特に限定はされない。流延ダイ4の材質としては、ハードクロム、炭化クロム、窒化クロム、炭化チタン、炭窒化チタン、窒化チタン、超鋼、セラミック(タングステンカーバイド、酸化アルミ、酸化クロム)などを溶射もしくはメッキし、表面加工としてバフ、#1000番手以降の砥石を用いるラッピング、#1000番手以上のダイヤモンド砥石を用いる平面切削(切削方向は樹脂の流れ方向に垂直な方向)、電解研磨、電解複合研磨などの加工を施したものなどがあげられる。
流延ダイ4のリップ部の好ましい材質は、流延ダイ4と同様である。またリップ部の表面精度は0.5S以下が好ましく、0.2S以下がより好ましい。
本実施形態においては、溶融させた樹脂混合物を押し出し機にとりつけた流延ダイ4からフィルム状樹脂に押し出し、押し出されたフィルム状樹脂を少なくとも2つの回転体に密着させて成形して引き取る工程を有する。
図2に示すように、フィルムが最初にキャストロール5表面に接触してからタッチロール6表面に接触するまでの温度低下は20℃以内が望ましい。フィルムが最初にキャストロール5表面に接触してからタッチロール6表面に接触するまでの温度低下が大きすぎると、不均一な収縮により膜厚のむらが大きくなってしまう。またフィルムがタッチロール6に接触した時点の温度が低すぎると、フィルムの粘度の高さのため、タッチロール6より挟圧してもフィルムの平面性や膜厚ムラの矯正が十分できなくなる。
キャストロール5、タッチロール6に好ましい材質は、炭素鋼、ステンレス鋼などが挙げられる。また、表面精度は高くすることが好ましく、表面粗さは、最大高さRyで0.1μm以下とすることが好ましく、更に0.05μm以下とすることが好ましい。
タッチロール6は、押圧手段により、フィルムをキャストロール5に押し付けることが好ましい。このときのタッチロール6がフィルムを押し付ける線圧は、油圧ピストン等によって調整でき、好ましくは0.1〜100N/mm、より好ましくは1〜50N/mmである。
またキャストロール5、もしくはタッチロール6はフィルムとの接着の均一性を高めるためにロールの両端の直径を細くしたり、フレキシブルなロール面を持たせることもできる。
流延ダイ4の開口部(リップ)からキャストロール5までの部分を70kPa以下に減圧させると、上記のダイラインの矯正効果がより大きく発現する。好ましくは減圧は50kPa以上70kPa以下である。流延ダイ4のリップからキャストロール5までの部分の圧力を70kPa以下に保つ方法としては、特に制限はないが、流延ダイ4からロール周辺を耐圧部材で覆い、減圧するなどの方法がある。このとき、吸引装置は、装置自体が昇華物の付着場所にならないようヒーターで加熱するなどの処置を施すことが好ましい。吸引圧が小さすぎると昇華物を効果的に吸引できないため、適当な吸引圧とする必要がある。
流延ダイ4から溶融状態のフィルム状のセルロースエステル系樹脂を、キャストロール5、冷却ロール7、及び冷却ロール8に順次密着させて搬送しながら冷却固化させ、セルロースエステル系樹脂フィルム17を得る。
図2に示す本発明の実施形態では、冷却ロール8から剥離ロール9によって剥離した冷却固化されたフィルム17は、縦延伸装置10に導入されて、搬送方向(MD方向)にロール延伸される。
ついで、縦延伸後のフィルムは、横延伸装置(テンター)20に導き、そこでフィルム17を横方向(幅手方向)に延伸する。この横延伸により、フィルム中の分子が配向される。
横延伸後、フィルム17の端部をスリッター19により製品となる幅にスリットして裁ち落とした後、エンボスリング53及びバックロール52よりなるナール加工装置によりナール加工(エンボッシング加工)をフィルム両端部に施し、巻取り装置60によって巻き取ることにより、光学フィルム(元巻き)F中の貼り付きや、すり傷の発生を防止する。
ナール加工の方法は、凸凹のパターンを側面に有する金属リングを加熱や加圧により加工することができる。なお、フィルム両端部のクリップの把持部分は通常、変形しており、フィルム製品として使用できないので、切除されて、原料として再利用される。
使用する巻取り機は、一般的に使用されているものでよく、定テンション法、定トルク法、テーパーテンション法、内部応力一定のプログラムテンションコントロール法などの巻き取り方法で巻き取ることができる。
なお、横延伸後のナール加工を施す工程、及びフィルム端部の厚膜部を切除するスリッター加工工程を巻き取り工程の前に行っても良い。
以上のように本実施形態で製造した光学フィルムを位相差フィルムとして用い、この位相差フィルムを偏光板保護フィルムとする場合、該保護フィルムの厚さは、10〜500μmが好ましい。特に、下限は20μm以上、好ましくは35μm以上である。上限は150μm以下、好ましくは120μm以下である。特に好ましい範囲は35〜90μmである。位相差フィルムが厚いと、偏光板加工後の偏光板が厚くなり過ぎ、ノート型パソコンやモバイル型電子機器に用いる液晶表示においては、特に薄型軽量の目的に適さない。一方、位相差フィルムが薄いと、位相差フィルムとしてのリタデーションの発現が困難となり、加えてフィルムの透湿性が高くなり、偏光子を湿度から保護する能力が低下してしまうために好ましくない。
本発明が対象とする光学フィルムは、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ等の各種ディスプレイ、特に、液晶ディスプレイに用いられる機能フィルムのことであり、偏光板保護フィルム、位相差フィルム、反射防止フィルム、輝度向上フィルム、視野角拡大等の光学補償フィルム等、特に位相差フィルムを含むものである。
(液晶表示装置)
本発明の光学フィルムによって構成される位相差フィルムを含む偏光板は、通常の偏光板と比較して高い表示品質を発現させることができ、特にマルチドメイン型の液晶表示装置、より好ましくは複屈折モードによるマルチドメイン型の液晶表示装置への使用に適している。
マルチドメイン化は、画像表示の対称性の向上にも適しており、種々の方式が報告されている「置田、山内:液晶,6(3),303(2002)」。該液晶表示セルは、「山田、山原:液晶,7(2),184(2003)」にも示されており、これらに限定される訳ではない。
本発明の光学フィルムを用いた偏光板は、垂直配向モードに代表されるMVA(Multi−domain Vertical Alignment)モード、特に4分割されたMVAモード、電極配置によってマルチドメイン化された公知のPVA(Patterned Vertical Alignment)モード、電極配置とカイラル能を融合したCPA(Continuous Pinpensated Alignment)モードに効果的に用いることができる。また、OCB(Optical Compensated Bend)モードへの適合においても光学的に二軸性を有するフィルムの提案が開示されており「T.Miyashita,T.Uchida:J.SID,3(1),29(1995)」、本発明の光学フィルムを用いた偏光板によって表示品質効果を発現することができる。
本発明の光学フィルムを用いた偏光板によって表示品質効果を発現できれば、液晶モード、偏光板の配置は限定されるものではない。
表示セルの表示品質は、人の観察において左右対称であることが好ましい。従って、表示セルが液晶表示セルである場合、実質的に観察側の対称性を優先してドメインをマルチ化することができる。ドメインの分割は、公知の方法を採用することができ、2分割法、より好ましくは4分割法によって、公知の液晶モードの性質を考慮して決定できる。
液晶表示装置は、カラー化及び動画表示用の装置としても応用されつつあり、本発明の光学フィルムにより表示品質が改良され、コントラストの改善や偏光板の耐性が向上したことにより、疲れにくく忠実な動画像表示が可能となる。
液晶表示装置は、本発明の光学フィルムによって構成される位相差フィルムを含む偏光板を、液晶セルに対して、一枚配置するか、あるいは液晶セルの両側に二枚配置する。このとき偏光板に含まれる位相差フィルム側が液晶表示装置の液晶セルに面するように用いることで、表示品質の向上に寄与できる。
偏光板において、偏光子からみて位相差フィルムとは反対側の面には、セルロース誘導体の偏光板保護フィルムが用いられ、汎用のTACフィルムなどを用いることができる。液晶セルから遠い側に位置する偏光板保護フィルムは、表示装置の品質を向上する上で、他の機能性層を配置することも可能である。
本発明による光学フィルムは、例えば反射防止、防眩、耐擦傷、ゴミ付着防止、輝度向上などの機能を府よしてもよい。偏光板表面に貼付してもよいが、これらに限定されるものではない。
位相差フィルム製造に際し、延伸の前及び/又は後で帯電防止層、ハードコート層、易滑性層、接着層、防眩層、バリアー層等の機能性層を塗設してもよい。この際、コロナ放電処理、プラズマ処理、薬液処理等の各種表面処理を必要に応じて施すことができる。
本発明の光学フィルムを位相差フィルムとして偏光板の保護フィルムに用いる場合、偏光板の作製方法は特に限定されず、一般的な方法で作製することができる。得られた位相差フィルムをアルカリ処理し、ポリビニルアルコールフィルムを沃素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光子の両面に完全ケン化ポリビニルアルコール水溶液を用いて、偏光子の両面に偏光板保護フィルムを貼り合わせる方法があり、少なくとも片面に本発明の偏光板保護フィルムである位相差フィルムが偏光子に直接貼合する。
上記アルカリ処理の代わりに、特開平6−94915号公報、特開平6−118232号公報に記載されているような易接着加工を施して偏光板加工を行ってもよい。
偏光板は偏光子及びその両面を保護する保護フィルムで構成されており、さらに該偏光板の一方の面にプロテクトフィルムを、反対面にセパレートフィルムを貼合して構成することができる。プロテクトフィルム及びセパレートフィルムは偏光板出荷時、製品検査時等において偏光板を保護する目的で用いられる。この場合、プロテクトフィルムは、偏光板の表面を保護する目的で貼合され、偏光板を液晶板へ貼合する面の反対面側に用いられる。また、セパレートフィルムは液晶板へ貼合する接着層をカバーする目的で用いられ、偏光板を液晶セルへ貼合する面側に用いられる。
光学フィルムの製造方法としての実施例、比較例を以下に示す。
(実施例1〜6)
(樹脂混合物)
セルロースアセテートプロピオネート 89質量%
(アセチル基置換度1.4、プロピオニル基置換度1.35、
数平均分子量60000)
トリメチロールプロパントリベンゾエート 9質量%
(可塑剤、融点85℃)
酸化防止剤(IRGANOX XP 420/FD) 0.25質量%
(チバ・ジャパン社製)
紫外線吸収剤 1.6質量%
(TINUVIN 928、チバ・ジャパン社製、融点115℃)
マット剤(シリカ微粒子) 0.15質量%
(シーホスターKEP−30:日本触媒株式会社製、平均粒径0.3μm)
なお、セルロースアセテートプロピオネートのアセチル基、プロピオニル基等のアシル基の置換度の測定は、ASTM−D817−96に規定の方法に準じて測定した。
上記材料をV型混合機で30分混合した後、ストランドダイを取り付けた2軸押出し機を用いて窒素雰囲気下で230℃で溶融させ、長さ4mm、直径3mmの円筒形のペレットを作成した。得られたペレットのガラス転位点(Tg)は、135℃であった。
(光学フィルムの製造)
上記ペレットを100℃で5時間乾燥させ、含水率100ppmとし、図2に示すTダイ4を取り付けた単軸押出し機1に該ペレットを供給して製膜を行った。溶融物には、樹脂以外の添加剤が11質量%含まれていた。
単軸押出し機1は、スクリュー径90mm、L/D=30、押出し量が140kg/hとなるようにスクリューの回転数を調整した。材料供給口付近より窒素ガスを封入して、押出し機1内を窒素雰囲気に保った。押出し機1およびTダイ4は、温度を240℃に設定した。Tダイ4はコートハンガータイプで、幅が1500mm、内壁にハードクロムメッキを施しており、面粗度0.1Sの鏡面に仕上げられている。Tダイ4のリップ間隙は2mmに設定した。
図2に示すように、Tダイ4から出たフィルム状溶融物を、表面温度を120℃に温度調整されたロール幅1600mmのクロムメッキ鏡面のキャストロール5上に落下させ、同時に120℃に温度調整されたロール幅1600mmのタッチロール(挟圧回転体)6によりフィルムを押圧した。
キャストロールの表面には、溶融物Yがキャストロール5に接するPの位置より上流側で、図1に示すように粘着補助剤塗布装置100により予め可塑剤が塗布されている。粘着補助剤塗布装置100は、120℃に加温されており、可塑剤は、液状で塗布されている。可塑剤としては、溶融物に混合されているものと同じトリメチロールプロパントリベンゾエートを用いた。キャストロール5への塗布厚みを表1のようにして、実施例1〜6の製造条件とした。また、タッチロール(挟圧回転体)6は、5N/mmの線圧でフィルムを押圧した。
キャストロール5には、ステンレス鋼を用いて、表面粗さは、最大高さRyで0.1μm以下とした。
また、タッチロール6は、金属外筒、内筒、空隙部を備えている二重筒構造のものを用いた。金属外筒の材質は、ステンレスで、表面粗さは、最大高さRyで0.05μm以下とし、肉厚は、3mmとした。内筒は、アルミニウムで肉厚は、30mmとした。金属外筒と内筒との空隙部は5mmとした。この空隙部47にオイルを流し、金属外筒の表面の温度を120℃にした。
キャストロール5とタッチロール(挟圧回転体)6に押圧されたフィルムは、引き続いて冷却ロール7、及び冷却ロール8のロールに順に外接させて冷却固化し、剥離ロール9によって剥離する。フィルムの搬送速度は、10m/minとした。
その後、縦延伸装置10において、縦延伸を行った。
この縦延伸装置10における延伸工程において、挟圧後の未延伸フィルム17を長手方向に、2.0倍に延伸した。
縦延伸後、横延伸装置20としてテンター装置を用い横延伸した、横延伸時の延伸倍率は、2.0倍とした。
延伸後のフィルムを幅1300になるようにスリッターでスリットした後、巻き取り装置60で巻き取り、幅1300mm、膜厚100μm、長さ1000mの実施例1〜6の光学フィルムを製造した。
(光学フィルムの評価)
つぎに、実施例1〜6の光学フィルムについて、光学フィルムの表面を目視観察により、フィルム幅方向の筋状のムラ(横段ムラ)の有無を観察した。横段ムラの無いものを◎、1本以上3本未満のものを○、3本以上あるものを×とした。横段ムラが目視により3本以上観察されると、残留位相差が問題となり、製品としては用いることができない。また、光学フィルムの表面に付着している直径10μm以上の異物の個数をフィルム100m当たりの平均個数として光学顕微鏡を用いて観察した。異物個数が0個を◎、1個以上10個未満を○、10個以上を×とした。また、回転支持体と接触したフィルム表面S1とこの表面から内部方向に30μm入ったところS2の可塑剤の量をXPS(X線光電子スペクトロスコピー)表面分析装置を用いて行い、可塑剤の分布としてS1の量/S2の量を算出した。
(比較例1)
実施例1の光学フィルムの製造方法において、キャストロールの表面に可塑剤を塗布しなかった他は、実施例1と同様に作製し、評価した。
評価結果を表1に示す。
Figure 2010058386
表1の結果から、回転支持体の表面に粘着補助剤である可塑剤を塗布することにより、横段ムラのない平面性の高い光学フィルムを作製できることが分かる。また、実施例1〜6の結果から、回転支持体の表面に塗布する前記可塑剤の厚みが、0.5〜20μmの範囲にあると横段ムラ及び異物付着個数ともにより良好な結果となっている。また、本発明により得られた光学フィルムの可塑剤の分布が、光学フィルムの表面の可塑剤の含有率が、内部の可塑剤の含有率の1.01〜1.20倍であることが好ましいことが分かる。
本発明の光学フィルムの製造方法を用いた流延工程と挟圧工程の概略図である。 本発明の光学フィルムの製造方法の実施形態を示す概略図である。
符号の説明
1 押出し機
2 フィルター
3 スタチックミキサー
4 流延ダイ
5 キャストロール、回転支持体
6 タッチロール、挟圧回転体
7、8 冷却ロール
P1 フィルムが最初にキャストロール表面に接触した点
P2 フィルムがタッチロール表面に接触した点
P3 フィルムが
9 剥離ロール
10 縦延伸装置
17 フィルム
19 スリッター
20 横延伸装置
52 バックロール
53 エンボスリング
60 巻取り装置
100 粘着補助剤塗布装置
101 塗布ローラ
102 汲み上げローラ
103 規制ブレード
104 粘着補助剤
105 貯留槽
Y 溶融物
F 光学フィルム(元巻き)

Claims (5)

  1. 熱可塑性樹脂を含む溶融物を流延ダイから回転支持体の表面にフィルム状に押し出す流延工程と、
    前記流延工程で押し出されたフィルム状の溶融物を、前記回転支持体と挟圧回転体とで挟圧する挟圧工程とを備えた光学フィルムの製造方法において、
    前記回転支持体の表面に前記回転支持体と前記フィルム状の溶融物との粘着力を上げるための粘着補助剤を塗布した後に、
    前記フィルム状の溶融物を前記回転支持体と前記挟圧回転体とで挟圧することを特徴とする光学フィルムの製造方法。
  2. 前記溶融物が、可塑剤を含有し、前記粘着補助剤が、前記可塑剤であることを特徴とする請求項1に記載の光学フィルムの製造方法。
  3. 前記回転支持体の表面に塗布する前記可塑剤の厚みが、0.5〜20μmであることを特徴とする請求項2に記載の光学フィルムの製造方法。
  4. 前記挟圧回転体が、外周に金属円筒を有する弾性ロールであることを特徴とすることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
  5. 請求項2乃至4の何れか1項に記載の光学フィルムの製造方法により製造した光学フィルムであって、前記光学フィルムの表面の前記可塑剤の含有率が、前記光学フィルムの内部の前記可塑剤の含有率の1.01〜1.20倍であることを特徴とする光学フィルム。
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