JP6801250B2 - ポリビニルアルコール系フィルムの製造方法 - Google Patents
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Description
本発明における連続キャスト法とは、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液を、T型スリットダイから、回転するキャストドラム、エンドレスベルト、樹脂フィルムなどのキャスト型に吐出及び流涎し、得られたフィルムをキャスト型から剥離した後、連続的に複数本の金属加熱ロールで乾燥して、ロールに巻き取る製造法である。
キャスト型から剥離したフィルムは、連続的に配列されている複数本の金属加熱ロールの外周部に順次接触しながら搬送されて乾燥される。このとき、フィルムの一方面(表面)と他方面(裏面)とが交互に金属加熱ロールに接触しながら搬送されて乾燥されることが好ましい。
含水率9〜11重量%のフィルム3を乾燥させる金属加熱ロール1が複数本ある場合には、該複数本の全ての金属加熱ロール1にフィルム押さえ用ローラー2を設置してもよいが、該複数本の金属加熱ロール1のうち少なくとも一本の金属加熱ロール1にフィルム押さえ用ローラー2が設置されていればよい。
なお、含水率9〜11重量%のフィルム3を乾燥させる金属加熱ロール1を除く他の金属加熱ロール1にフィルム押さえ用ローラー2を設置してもよい。
本発明のポリビニルアルコール系フィルムは、ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液を、T型スリットダイから、回転するキャストドラム、エンドレスベルト、樹脂フィルムなどのキャスト型に吐出及び流涎し、得られたフィルムをキャスト型から剥離した後、本発明の手法による乾燥を経て、最終的にロールに巻き取って製品となる。
かかる重量平均分子量が小さすぎるとポリビニルアルコール系樹脂を光学フィルムとする場合に充分な光学性能が得られにくい傾向があり、大きすぎるとポリビニルアルコール系樹脂フィルムを偏光膜とする場合に延伸が困難となる傾向がある。
なお、本発明におけるポリビニルアルコール系樹脂の重量平均分子量は、GPC−MALS法により測定される重量平均分子量である。
かかる樹脂濃度が低すぎると乾燥負荷が大きくなるため生産能力に劣る傾向があり、高すぎると粘度が高くなりすぎて均一な溶解ができ難くなる傾向がある。
(A)キャスト法によりフィルムを製膜する工程。
(B)製膜されたフィルムを加熱して乾燥する工程。
(C)乾燥されたフィルムの両端部をスリットした後、ロールに巻き取る工程。
工程(A)において、まず、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液は、通常、脱泡処理される。脱泡方法としては、静置脱泡やベントを有する多軸押出機による脱泡などの方法が挙げられる。ベントを有する多軸押出機としては、通常は、ベントを有した2軸押出機が用いられる。
かかるポリビニルアルコール系樹脂水溶液の温度が低すぎると流動不良となる傾向があり、高すぎると発泡する傾向がある。
かかる水溶液の粘度が低すぎると流動不良となる傾向があり、高すぎると流涎が困難となる傾向がある。
かかる吐出速度が遅すぎると生産性に劣る傾向があり、速すぎると流涎が困難となる傾向がある。
かかる直径が小さすぎると乾燥長が不足し速度が出にくい傾向があり、大きすぎると輸送性に劣る傾向がある。
かかる回転速度が遅すぎると生産性に劣る傾向があり、速すぎると乾燥が不十分となる傾向がある。
かかる表面温度が低すぎると乾燥不良となる傾向があり、高すぎると発泡してしまう傾向がある。
なお、本発明の製造方法によるポリビニルアルコール系フィルムであって、幅方向の両端部がスリット(切断)されていないポリビニルアルコール系フィルムを、以下では「ポリビニルアルコール系フィルム(スリット無し)」ともいう。
|Rc(nm)−Re(nm)|≦20nm ・・・(1)
特に好ましくは下記数式(2)、更に好ましくは下記数式(3)を満足することである。
|Rc(nm)−Re(nm)|≦10nm ・・・(2)
|Rc(nm)−Re(nm)|≦5nm ・・・(3)
(1)フィルムの含水率(%)
フィルムから10cm×10cmの試験片を切り出し、初期の重量(A)と、83℃の真空乾燥機で20分間乾燥後の重量(B)から、下記数式(4)により含水率を算出した。
含水率(%)=100×(A−B)/A ・・・(4)
得られたポリビニルアルコール系フィルム(スリット無し)の幅方向端部から、フィルムの長さ方向1m×幅方向1mの試験片を切り出し、23℃50%RHの恒温恒湿室で、平坦な定盤上に1時間静置した後、隙間ゲージを用いて、4辺の浮き量を測定し、最大値を端部のうき量(mm)とした。
乾燥後(スリット前)のポリビニルアルコール系フィルム(スリット無し)を、長さ方向に100m巻き取りながら、両端部の幅方向へのうねり幅(cm)を目視で観察した。
得られたポリビニルアルコール系フィルムから、幅方向全福×長さ方向50mmの試験片を10枚切り出し、「KOBRA−WR」(王子計測機器(株)製、測定波長590nm)を用いて、幅方向中央部の面内位相差Rcと、周辺部(端部より10cmの位置とする)の面内位相差Re(nm)を測定し、|Rc(nm)−Re(nm)|の最大値を面内位相差のふれとした。
(ポリビニルアルコール系フィルムの製造)
重量平均分子量142000、ケン化度99.8モル%のポリビニルアルコール系樹脂1000部、水2000部、可塑剤としてグリセリン100部を入れ、撹拌しながら150℃まで昇温して、樹脂濃度25%に濃度調整を行い、均一に溶解したポリビニルアルコール系樹脂水溶液を得た。次いで、該ポリビニルアルコール系樹脂水溶液を、ベントを有する二軸押出機に供給して脱泡した後、T型スリットダイから、回転するキャストドラムに吐出(吐出速度1.7m/分)及び流延して、幅5500mmで製膜した。次いで、キャストドラムから含水率20%のフィルムを剥離し、フィルムの表面と裏面とを合計10本の金属加熱ロールの外周部に交互に接触させながら搬送して乾燥を行った。
ローラー:直径100mm、幅30mm(フィルムとの接触幅30mm)
第6金属加熱ロール:直径320mm、幅6000mm、温度70℃
残りの9本の金属加熱ロール:直径320mm、幅6000mm、温度40〜120℃
実施例1において、第6金属加熱ロールの外周部の両端部の上方に、フィルム押さえ用ステンレス製ローラーを3個ずつ(計6個)設置する以外は同様に行い、ポリビニルアルコール系フィルムを得た。得られたポリビニルアルコール系フィルムについて、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表1に示す。
実施例1において、第5、第6、第7の各金属加熱ロールの外周部の両端部の上方に、フィルム押さえ用ステンレス製ローラーを3個ずつ(計18個)設置する以外は同様に行い、ポリビニルアルコール系フィルムを得た。得られたポリビニルアルコール系フィルムについて、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表1に示す。
実施例1において、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液のキャストドラムへの吐出速度を1.3m/分に変えて、フィルムの厚さを表1に示すとおり30μmに変更し、ローラーと金属加熱ロールの間隔を0.025mmに調節した以外は同様に行い、ポリビニルアルコール系フィルムを得た。得られたポリビニルアルコール系フィルムについて、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表1に示す。
実施例1において、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液のキャストドラムへの吐出速度を0.8m/分に変えて、フィルムの厚さを表1に示すとおり20μmに変更し、ローラーと金属加熱ロールの間隔を0.018mmに調節した以外は同様に行い、ポリビニルアルコール系フィルムを得た。得られたポリビニルアルコール系フィルムについて、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表1に示す。
実施例1において、フィルム押さえ用ローラーを使用しないこと以外は同様に行い、ポリビニルアルコール系フィルムを得た。得られたポリビニルアルコール系フィルムについて、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表1に示す。
2 フィルム押さえ用ローラー
3 フィルム
Claims (4)
- ポリビニルアルコール系樹脂水溶液を連続キャスト法により製膜して得られたフィルムを、複数本の金属加熱ロールの外周部に順次接触させながら搬送して乾燥させるポリビニルアルコール系フィルムの製造方法であって、外周部の両端部にフィルム押さえ用ローラーがそれぞれ設置されている金属加熱ロールを少なくとも1本含む複数本の金属加熱ロールを用いて、金属加熱ロールの外周部に接触しながら搬送されるフィルムの幅方向両端部を前記フィルム押さえ用ローラーで押さえながら搬送して乾燥させ、前記フィルム押さえ用ローラーが含水率9〜11重量%のフィルムを乾燥させる金属加熱ロールに設置されていることを特徴とするポリビニルアルコール系フィルムの製造方法。
- 前記フィルム押さえ用ローラーは、ローラー径が金属加熱ロール径よりも小さく、前記金属加熱ロールの端部に複数個設置されていることを特徴とする請求項1記載のポリビニルアルコール系フィルムの製造方法。
- 前記フィルム押さえ用ローラーとフィルムの接触幅が、10〜100mmであることを特徴とする請求項1または2記載のポリビニルアルコール系フィルムの製造方法。
- 乾燥前のフィルムの幅が5m以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリビニルアルコール系フィルムの製造方法。
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