JP6642434B2 - ポリビニルアルコール系フィルム、およびそれを用いてなる偏光膜 - Google Patents

ポリビニルアルコール系フィルム、およびそれを用いてなる偏光膜 Download PDF

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Description

本発明は、ポリビニルアルコール系フィルムに関する。さらに詳しくは、表示欠点や色ムラが少なく幅広長尺薄型な偏光膜を製造するのに好適なポリビニルアルコール系フィルム、および該ポリビニルアルコール系フィルムを用いて得られる偏光膜に関する。
従来技術
近年、液晶表示装置の発展はめざましく、スマートフォン、タブレット、パーソナルコンピューター、液晶テレビ、プロジェクター、車載パネルなどに幅広く使用されている。かかる液晶表示装置には偏光膜が使用されており、偏光膜としては、主として、ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素又は二色性染料を吸着配向させたものが使用されている。近年、画面の高精細化、高輝度化、大型化、薄型化にともない、従来品より一段と表示欠点や色ムラが少なく、かつ幅広長尺薄型の偏光膜が必要とされている。
偏光膜の製造方法は、例えば、ポリビニルアルコール系フィルムを、水(温水を含む)で膨潤させた後、ヨウ素で染色し、ヨウ素分子を配列させるために延伸し、延伸した状態を保持するためにホウ酸などの架橋剤で架橋し、乾燥して製造されている。かかる製造は、巻き取り機やニップロールを用いて、フィルムを水平方向に搬送しながら行われる。偏光膜の表示欠点を低減するには、ポリビニルアルコール系フィルム自体の欠点を低減することはもとより、偏光膜製造時に発生する傷などの欠点も回避することが重要である。かかる傷は、偏光膜の表示欠点となるばかりではなく、比較的広い面積で発生した場合には、偏光膜に色ムラが生じる。なお本発明における偏光膜は、偏光フィルムや偏光子とも呼ばれる。
ポリビニルアルコール系フィルム製造時に発生する傷への対策としては、ステンレス製ロールに対する動摩擦係数が0.03以下であるポリビニルアルコール系フィルムが提案されている(特許文献1参照。)。また、偏光膜製造時に発生する色ムラへの対策としては、例えば、ポリビニルアルコール系フィルムと接するロールの静止摩擦係数を特定の範囲とすることにより、しわや延伸ムラを低減する偏光膜の製造方法が提案されている(特許文献2参照。)。
特開2006−188661号公報 特開2004−17321号公報
しかし、特許文献1の開示技術では、ポリビニルアルコール系フィルム自体の傷は低減されても、偏光膜製造時に発生する傷は回避できず、まだ不充分であった。特に、偏光膜製造時に、ポリビニルアルコール系フィルムがロールと接触すると微細なこすれ傷が多数生じるため、大面積の偏光膜を製造することが困難であった。
特許文献2の開示技術では、偏光膜の色ムラを低減できても、微細なこすれ傷までは回避できず、まだ不充分であった。かかるこすれ傷は、特に、幅広薄型長尺の偏光膜の製造において顕著であり、更なる改良が求められていた。
なお、上述したこすれ傷は、偏光膜の流れ方向(MD方向)に、長さ数mm程度のものが多く、通常、幅数ミクロン以上、深さサブミクロン以上のものが問題となる。
また、こすれ傷が発生した場合には、削りカスが生じる。かかる削りカスは、偏光膜の欠点を増加させるばかりか、偏光膜の製造ラインを汚染し、製造歩留りを大きく低下させる原因となっていた。
そこで、本発明ではこのような背景下において、表示欠点や色ムラのない偏光膜を得ることができるポリビニルアルコール系フィルム、かかるポリビニルアルコール系フィルムを用いた高品質な偏光膜を提供する。
しかるに、本発明者等はかかる事情に鑑み鋭意研究を重ねた結果、微小領域での押し込み試験で、特定のフィルム表面の硬さを有するポリビニルアルコール系フィルムを用いることにより、偏光膜を製造する際に傷が発生しにくくなり、表示欠点や色ムラのない高品質な偏光膜が得られることを見出した。
即ち、本発明の要旨は、ナノインデンテーション試験をISO14577:2002に準じて下記(1)〜(3)の条件下で行なった際のフィルム表面の硬さが、65〜90MPaであることを特徴とするポリビニルアルコール系フィルムである。
条件(1)測定環境:25℃50%RH
条件(2)圧子:Berkovich型(三角錐型、対頂角65°、ε=0.75、ダイヤモンド製)
条件(3)最大押し込み深さ:500nm
また、本発明は、上記ポリビニルアルコール系フィルムを用いて得られる偏光膜も要旨とする。
本発明のポリビニルアルコール系フィルムは、偏光膜製造時の傷を低減することができ、表示欠点や色ムラのない幅広長尺薄型の偏光膜を得ることができる。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明のポリビニルアルコール系フィルムは、ナノインデンテーション試験を下記(1)〜(3)の条件下で行なった際のフィルム表面の硬さが65〜90MPaであることを最大の特徴とするものである。
条件(1)測定環境:25℃50%RH
条件(2)圧子:Berkovich型(三角錐型、対頂角65°、ε=0.75、ダイヤモンド製)
条件(3)最大押し込み深さ:500nm
上記ナノインデンテーション試験において、条件(1)〜(3)として特定する以外の試験条件についてはISO14577:2002Metallic materials - Instrumented indentation test for hardness and materials parametersに準じて行なえばよく、測定原理の詳細は、Handbook of MicroNano/Nano Tribology(Bharat Bharat Bhushan編 CRC)に記載されている。
本発明で実施されるナノインデンテーション試験は、微小領域に微小荷重で微小な圧子を押し込み、荷重に対する変位量と、更に、荷重を徐々に取り除いた時の変位量を測定することにより、フィルム表面の硬さと、復元性の目安となるフィルム表面の弾性率を算出するものである。測定規格として、JIS Z 2255:2003超微小負荷硬さ試験方法(Method for ultra-low loading hardness test)も存在し、表面硬さに関しては同種のデータが得られる。
本発明のポリビニルアルコール系フィルムは、ロールとのこすれ傷を低減することが可能であるが、かかる傷の発生具合は、搬送や延伸に使用されるロールの表面粗さにも依存する。
かかるロールは、一般的に、表面粗さRzが1μm以下になるよう鏡面仕上げされているが、表面に存在する高さサブミクロン程度の突起部でさえフィルムを傷付ける。従って、微小な圧子を用いて、フィルム表層の特性を測定し、偏光膜製造に最適な硬さや弾性率を調整する必要がある。
フィルム表層の特性を測定する方法として、比較的広い領域に、比較的大きな荷重で、比較的大きな圧子を押し込むブリネル硬さ、ロックウェル硬さ、ビッカース硬さなどが一般的にあげられる。しかしながら、これら方法では、正確な評価が困難であり、本発明で実施されるナノインデンテーション試験が有効である。なお、ナノインデンテーション試験におけるフィルム表面の硬さの最大値は、通常、10000MPaである。
ポリビニルアルコール系フィルムのフィルム表面の硬さは、65〜90MPaであることが必要であり、好ましくは68〜85MPa、特に好ましくは70〜80MPaである。
かかるフィルム表面の硬さが下限値未満では、ロールとのこすれ傷が増加してしまい本発明の目的を達成することができない。逆に、フィルム表面の硬さが上限値を超えても、フィルムとロールとの密着性が低下し、こすれ傷が増加してしまい本発明の目的を達成することができない。
本発明の特筆すべき点は、一般的には、フィルム表面が硬いほど傷付きにくいと考えられがちだが、実際には、ロールとの密着性が確保される程度に柔らかくなければならない点である。フィルム表面が硬すぎると、フィルムはロール上を滑るだけで、ロールの回転に合わせたスムーズな搬送は行われないためこすれ傷が発生する。かかるこすれ傷は、偏光膜の表示欠点となるばかりか、比較的広範囲に発生すると、偏光膜や偏光板に色ムラが発生する傾向にある。
更に、本発明の特筆すべき効果として、傷の自己修復機能があげられる。
上記自己修復機能とは、ポリビニルアルコール系樹脂の高分子鎖が、へこんだ部位に移動して平坦化する機能である。へこみが深い場合には完全に修復されることは難しいが、例えば、深さサブミクロン程度の浅い傷であれば修復される。ポリビニルアルコール系フィルムの表面の硬さが、上記下限値未満では深い傷が生じやすいため自己修復に至らないが、下限値以上であり、かつ下限値に近い柔らかさを有する場合、有効な自己修復機能が発現する傾向にある。
かかるポリビニルアルコール系フィルムの表面の硬さを制御する手法としては、ポリビニルアルコール系樹脂の化学構造や組成、ポリビニルアルコール系フィルムの添加剤や製造条件を適宜調節する手法などがあげられる。これらの中では、ポリビニルアルコール系フィルムの製造条件を適宜調節する手法が好ましく、特に好ましくは、乾燥と熱処理条件を適宜調節する手法が好ましい。
本発明のポリビニルアルコール系フィルムは、上述した条件(1)〜(3)でナノインデンテーション試験を行った際のフィルム表面の弾性率が、1.0〜1.4GPaであることが好ましく、特に好ましくは1.05〜1.35GPaであり、更に好ましくは1.1〜1.3GPaである。
フィルム表面の弾性率が低すぎると、偏光膜製造工程において深いこすれ傷が入りやすく、自己修復も発現しにくい傾向があり、高すぎると偏光膜製造工程において、浅いこすれ傷が多数入りやすい傾向がある。
ここで、一般的には、フィルム表面の弾性率が高いほど傷付きにくいと考えられがちだが、実際には、ロール表面の突起により生じたへこみが平坦化するためには、ある程度低い弾性率であることが好ましい。すなわち、ある程度のクッション機能を備えたフィルム表面が必要である。
本発明のポリビニルアルコール系フィルムは、ポリビニルアルコール系樹脂を原料として製造される。
本発明で用いられるポリビニルアルコール系樹脂としては、通常、未変性のポリビニルアルコール系樹脂、即ち、酢酸ビニルを重合して得られるポリ酢酸ビニルをケン化して製造される樹脂が用いられる。必要に応じて、酢酸ビニルと、少量(通常、10モル%以下、好ましくは5モル%以下)の酢酸ビニルと共重合可能な成分との共重合体をケン化して得られる樹脂を用いることもできる。酢酸ビニルと共重合可能な成分としては、例えば、不飽和カルボン酸(例えば、塩、エステル、アミド、ニトリル等を含む)、炭素数2〜30のオレフィン類(例えば、エチレン、プロピレン、n−ブテン、イソブテン等)、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸塩等があげられる。また、ケン化後の水酸基を化学修飾して得られる変性ポリビニルアルコール系樹脂を用いることもできる。
また、ポリビニルアルコール系樹脂として、側鎖に1,2−ジオール構造を有するポリビニルアルコール系樹脂を用いることもできる。かかる側鎖に1,2−ジオール構造を有するポリビニルアルコール系樹脂は、例えば、(i)酢酸ビニルと3,4−ジアセトキシ−1−ブテンとの共重合体をケン化する方法、(ii)酢酸ビニルとビニルエチレンカーボネートとの共重合体をケン化及び脱炭酸する方法、(iii)酢酸ビニルと2,2−ジアルキル−4−ビニル−1,3−ジオキソランとの共重合体をケン化及び脱ケタール化する方法、(iv)酢酸ビニルとグリセリンモノアリルエーテルとの共重合体をケン化する方法、等により得られる。
ポリビニルアルコール系樹脂の重量平均分子量は、10万〜30万であることが好ましく、特に好ましくは11万〜28万、更に好ましくは12万〜26万である。かかる重量平均分子量が小さすぎるとポリビニルアルコール系樹脂を光学フィルムとする場合に充分な光学性能が得られにくい傾向があり、大きすぎるとポリビニルアルコール系フィルムを偏光膜製造時の延伸が困難となる傾向がある。なお、上記ポリビニルアルコール系樹脂の重量平均分子量は、GPC−MALS法により測定される重量平均分子量である。
本発明で用いるポリビニルアルコール系樹脂の平均ケン化度は、通常98モル%以上であることが好ましく、特に好ましくは99モル%以上、更に好ましくは99.5モル%以上、殊に好ましくは99.8モル%以上である。かかる平均ケン化度が小さすぎるとポリビニルアルコール系フィルムを偏光膜とする場合に充分な光学性能が得られない傾向がある。
ここで、本発明における平均ケン化度は、JIS K 6726に準じて測定されるものである。
本発明に用いるポリビニルアルコール系樹脂として、変性種、変性量、重量平均分子量、平均ケン化度などの異なる2種以上のものを併用してもよい。
本発明のポリビニルアルコール系フィルムは、上記のポリビニルアルコール系樹脂を用いてポリビニルアルコール系樹脂水溶液を調製し、かかるポリビニルアルコール系樹脂水溶液を回転するキャスト型に吐出及び流延して、キャスト法により製膜、乾燥することで連続的に製造することができ、例えば、以下の工程により製造することができる。
(A)キャスト法により製膜する工程。
(B)製膜されたフィルムを加熱して乾燥、必要に応じて熱処理する工程。
(C)乾燥されたフィルムの両端部をスリットした後、ロールに巻き取る工程。
ここで、上記キャスト型としては、例えばキャストドラム(ドラム型ロール)やエンドレスベルト等があげられるが、幅広化や長尺化、膜厚の均一性に優れる点からキャストドラムで行うことが好ましい。
以下、キャスト型がキャストドラムの場合を例にとって説明する。
まず、前記工程(A)について説明する。
工程(A)においては、まず、前述したポリビニルアルコール系樹脂を、水を用いて洗浄し、遠心分離機などを用いて脱水して、含水率50重量%以下のポリビニルアルコール系樹脂ウェットケーキとすることが好ましい。含水率が大きすぎると、所望する水溶液濃度にすることが難しくなる傾向がある。
かかるポリビニルアルコール系樹脂ウェットケーキを温水や熱水に溶解して、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液を調製する。
ポリビニルアルコール系樹脂水溶液の調製方法は、とくに限定されず、たとえば、加熱された多軸押出機を用いて調製してもよく、また、上下循環流発生型撹拌翼を備えた溶解缶に、前述したポリビニルアルコール系樹脂ウェットケーキを投入し、缶中に水蒸気を吹き込んで、溶解及び所望濃度の水溶液を調製することもできる。
ポリビニルアルコール系樹脂水溶液には、ポリビニルアルコール系樹脂以外に、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、トリメチロールプロパンなどの一般的に使用される可塑剤や、ノニオン性、アニオン性、およびカチオン性の少なくとも一つからなる界面活性剤を含有させることが、ポリビニルアルコール系フィルムの製膜性の点で好ましい。上記グリセリン等の可塑剤や界面活性剤の含有量は、ポリビニルアルコール系樹脂に対して1〜20重量%であることが好ましく、より好ましくは5〜15重量%である。
このようにして得られるポリビニルアルコール系樹脂水溶液の樹脂濃度は、15〜60重量%であることが好ましく、特に好ましくは17〜55重量%、更に好ましくは20〜50重量%である。かかる水溶液の樹脂濃度が低すぎると乾燥負荷が大きくなるため生産能力が低下する傾向があり、高すぎると粘度が高くなりすぎて均一な溶解ができにくくなる傾向がある。
次に、得られたポリビニルアルコール系樹脂水溶液は、脱泡処理される。脱泡方法としては、静置脱泡やベントを有した多軸押出機による脱泡等の方法があげられる。ベントを有した多軸押出機としては、通常はベントを有した2軸押出機が用いられる。
脱泡処理ののち、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液は、一定量ずつT型スリットダイに導入され、回転するキャストドラム上に吐出及び流延されて、キャスト法により製膜される。
T型スリットダイ出口のポリビニルアルコール系樹脂水溶液の温度は、80〜100℃であることが好ましく、特に好ましくは85〜98℃である。
かかるポリビニルアルコール系樹脂水溶液の温度が低すぎると流動不良となる傾向があり、高すぎると発泡する傾向がある。
かかるポリビニルアルコール系樹脂水溶液の粘度は、吐出時に50〜200Pa・sであることが好ましく、特に好ましくは70〜150Pa・sである。
かかる水溶液の粘度が、低すぎると流動不良となる傾向があり、高すぎると流延が困難となる傾向がある。
T型スリットダイからキャストドラムに吐出されるポリビニルアルコール系樹脂水溶液の吐出速度は、0.2〜5m/分であることが好ましく、特に好ましくは0.4〜4m/分、更に好ましくは0.6〜3m/分である。
かかる吐出速度が遅すぎると生産性が低下する傾向があり、速すぎると流延が困難となる傾向がある。
かかるキャストドラムの直径は、好ましくは2〜5m、特に好ましくは2.4〜4.5m、更に好ましくは2.8〜4mである。
かかる直径が小さすぎると乾燥長が不足し速度が出にくい傾向があり、大きすぎると輸送性が低下する傾向がある。
かかるキャストドラムの幅は、好ましくは4m以上であり、特に好ましくは4.5m以上、更に好ましくは5m以上、殊に好ましくは5〜6mである。
キャストドラムの幅が小さすぎると生産性が低下する傾向がある。
かかるキャストドラムの回転速度は、3〜50m/分であることが好ましく、特に好ましくは4〜40m/分、更に好ましくは5〜35m/分である。
かかる回転速度が遅すぎると生産性が低下する傾向があり、速すぎるとキャストドラムからの剥離性が低下する傾向がある。
かかるキャストドラムの表面温度は、40〜99℃であることが好ましく、特に好ましくは60〜95℃である。
かかる表面温度が低すぎるとキャストドラムからの剥離性が低下する傾向があり、高すぎると発泡してしまう傾向がある。
次いで、前記工程(B)について説明する。工程(B)は、製膜されたフィルムを加熱して乾燥する工程である。
キャストドラムで製膜されたフィルムの乾燥は、膜の表面と裏面とを複数の金属加熱ロールに交互に接触させることにより行なわれる。金属加熱ロールの表面温度は、通常40〜150℃、好ましくは50〜130℃、特に好ましくは60〜110℃である。かかる表面温度が低すぎると乾燥不良となる傾向が有り、高すぎると乾燥しすぎることとなり、うねりなどの外観不良を招く傾向がある。また、金属加熱ロールは、例えば、表面をハードクロムメッキ処理又は鏡面処理した、直径0.2〜2mのロールであり、通常2〜30本、好ましくは10〜25本を用いて乾燥を行うことが好ましい。
本発明においては、金属加熱ロールによる乾燥後、フィルムに熱処理を行うことが好ましい。熱処理温度は、60〜150℃が好ましく、特に好ましくは70〜140℃である。熱処理温度が低すぎると、ポリビニルアルコール系フィルムの耐水性が不足したり、位相差ふれの原因となる傾向があり、高すぎると偏光膜製造時の延伸性が低下する傾向がある。かかる熱処理方法としては、例えば、フローティングドライヤーにて行う方法や赤外線ランプを用いてフィルムの両面に近赤外線を照射する手法等があげられる。
乾燥、必要に応じて熱処理が行われたフィルムは、前記工程(C)を経て製品(本発明のポリビニルアルコール系フィルム)となる。工程(C)は、フィルムの両端をスリットして、ロールに巻き取る工程である。
なお、ここまでポリビニルアルコール系樹脂水溶液を調製し、この水溶液を回転するキャストドラム(ドラム型ロール)に流延して、キャスト法により製膜、乾燥し、ポリビニルアルコール系フィルムを製造する方法を説明してきたが、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液を樹脂フィルム上、または金属ベルト上に流延し、製膜、乾燥することも可能である。
かかるポリビニルアルコール系フィルムの厚さは、偏光膜の薄型化の点から、5〜60μmであることが好ましく、更なる薄型化の点から、特に好ましくは5〜45μmであり、破断回避、本発明の特性(フィルム表面の硬さ)と薄型化との関係の点から、更に好ましくは10〜45μmである。
また、ポリビニルアルコール系フィルムの幅は、4m以上であることが好ましく、大面積化の点からより好ましくは4.5m以上、破断回避の点から特に好ましくは4.5〜6mである。
また、ポリビニルアルコール系フィルムの長さは、4km以上であることが好ましく、大面積化の点からより好ましくは4.5km以上、輸送重量の点から特に好ましくは4.5〜50kmである。
本発明のポリビニルアルコール系フィルムは適度な硬度を有するものであり、光学用のポリビニルアルコール系フィルムとして好適に用いられ、更には偏光膜用の原反として特に好ましく用いられる。
以下、本発明のポリビニルアルコール系フィルムを用いて得られる偏光膜の製造方法について説明する。
本発明の偏光膜は、上記ポリビニルアルコール系フィルムを、ロールから巻き出して水平方向に移送し、膨潤、染色、ホウ酸架橋、延伸、洗浄、乾燥などの工程を経て製造される。
膨潤工程は、染色工程の前に施される。膨潤工程により、ポリビニルアルコール系フィルム表面の汚れを洗浄することができるほかに、ポリビニルアルコール系フィルムを膨潤させることで染色ムラなどを防止する効果もある。膨潤工程において、処理液としては、通常、水が用いられる。当該処理液は、主成分が水であれば、ヨウ化化合物、界面活性剤等の添加物、アルコール等が少量入っていてもよい。膨潤浴の温度は、通常10〜45℃程度であり、膨潤浴への浸漬時間は、通常0.1〜10分間程度である。また、必要に応じて処理中に延伸操作を行なってもよい。
染色工程は、フィルムにヨウ素または二色性染料を含有する液体を接触させることによって行なわれる。通常は、ヨウ素−ヨウ化カリウムの水溶液が用いられ、ヨウ素の濃度は0.1〜2g/L、ヨウ化カリウムの濃度は1〜100g/Lが適当である。染色時間は30〜500秒程度が実用的である。処理浴の温度は5〜50℃が好ましい。水溶液には、水溶媒以外に水と相溶性のある有機溶媒を少量含有させてもよい。また、必要に応じて処理中に延伸操作を行なってもよい。
ホウ酸架橋工程は、ホウ酸やホウ砂などのホウ素化合物を使用して行われる。ホウ素化合物は水溶液または水−有機溶媒混合液の形で濃度10〜100g/L程度で用いられ、液中にはヨウ化カリウムを共存させるのが、偏光性能の安定化の点で好ましい。処理時の温度は30〜70℃程度、処理時間は0.1〜20分程度が好ましく、また必要に応じて処理中に延伸操作を行なってもよい。
延伸工程は、一軸方向に3〜10倍、好ましくは3.5〜6倍延伸することが好ましい。この際、延伸方向の直角方向にも若干の延伸(幅方向の収縮を防止する程度、またはそれ以上の延伸)を行なっても差し支えない。延伸時の温度は、30〜170℃が好ましい。さらに、延伸倍率は最終的に前記範囲に設定されればよく、延伸操作は一段階のみならず、製造工程の任意の範囲の段階に実施すればよい。
洗浄工程は、例えば、水やヨウ化カリウム等のヨウ化物水溶液にポリビニルアルコール系フィルムを浸漬することにより行われ、フィルムの表面に発生する析出物を除去することができる。ヨウ化カリウム水溶液を用いる場合のヨウ化カリウム濃度は1〜80g/L程度でよい。洗浄処理時の温度は、通常、5〜50℃、好ましくは10〜45℃である。処理時間は、通常、1〜300秒間、好ましくは10〜240秒間である。なお、水洗浄とヨウ化カリウム水溶液による洗浄は、適宜組み合わせて行ってもよい。
乾燥工程は、大気中で40〜80℃で1〜10分間行えばよい。
また、偏光膜の偏光度は、好ましくは99.5%以上、より好ましくは99.8%以上である。偏光度が低すぎると液晶ディスプレイにおけるコントラストを確保することができなくなる傾向がある。
なお、偏光度は、一般的に2枚の偏光膜を、その配向方向が同一方向になるように重ね合わせた状態で、波長λにおいて測定した光線透過率(H11)と、2枚の偏光膜を、配向方向が互いに直交する方向になる様に重ね合わせた状態で、波長λにおいて測定した光線透過率(H)より、下式にしたがって算出される。
〔(H11−H)/(H11+H)〕1/2
さらに、本発明の偏光膜の単体透過率は、好ましくは42%以上である。かかる単体透過率が低すぎると液晶ディスプレイの高輝度化を達成できなくなる傾向がある。
単体透過率は、分光光度計を用いて偏光膜単体の光線透過率を測定して得られる値である。
かくして、本発明の偏光膜が得られるが、本発明の偏光膜は、表示欠点や色ムラのない偏光板を製造するのに好適である。
以下、本発明の偏光板の製造方法について説明する。
本発明の偏光膜は、その片面または両面に、接着剤を介して、光学的に等方性な樹脂フィルムを保護フィルムとして貼合されて偏光板となる。保護フィルムとしては、たとえば、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンコポリマー、ポリスチレン、ポリエーテルスルホン、ポリアリーレンエステル、ポリ−4−メチルペンテン、ポリフェニレンオキサイドなどのフィルムまたはシートがあげられる。
貼合方法は、公知の手法で行われるが、例えば、液状の接着剤組成物を、偏光膜、保護フィルム、あるいはその両方に均一に塗布した後、両者を貼り合わせて圧着し、加熱や活性エネルギー線を照射することで行われる。
また、偏光膜には、薄膜化を目的として、上記保護フィルムの代わりに、その片面または両面にウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ウレア樹脂などの硬化性樹脂を塗布し、硬化して偏光板とすることもできる。
本発明により得られる偏光膜や偏光板は、表示欠点や色ムラがなく、携帯情報端末機、パソコン、テレビ、プロジェクター、サイネージ、電子卓上計算機、電子時計、ワープロ、電子ペーパー、ゲーム機、ビデオ、カメラ、フォトアルバム、温度計、オーディオ、自動車や機械類の計器類などの液晶表示装置、サングラス、防眩メガネ、立体メガネ、ウェアラブルディスプレイ、表示素子(CRT、LCD、有機EL、電子ペーパーなど)用反射防止層、光通信機器、医療機器、建築材料、玩具などに好ましく用いられる。
以下、実施例をあげて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
尚、例中「部」、「%」とあるのは、重量基準を意味する。
各物性について、次のようにして測定を行った。
<測定条件>
(1)フィルム表面の硬さ(MPa)、フィルム表面の弾性率(GPa)
得られたポリビニルアルコール系フィルムから1cm×1cmの試験片を切り出し、試験前に25℃50%RHで1日間状態調整を行った後、試験機としてHysitron社製ナノインデンター「Triboindenter」、圧子としてBerkovich型と呼ばれる三角錘型の圧子(対頂角65°、ε=0.75、ダイヤモンド製)を用いて、25℃50%RHの環境下で試験した。試験はフィルム両面に関して行い、平均値を取った。なお、試験前に、標準試料である溶融石英(硬さ9,250MPa、弾性率69.6GPa)を用いて、押し込み時の圧子の試料への投影面積Aを算出するための補正係数を求めた。
ナノインデンテーション試験は、まず、圧子を試験片の表面に垂直に当て、押し込み速度100nm/秒で徐々に荷重を印加した。次いで、最大押し込み深さ500nmに達した時点で押し込みを止め、同時に、引き抜き速度100nm/秒で徐々に荷重を0まで戻した。
かかる試験で得られた最大荷重P(N)と圧子の投影面積A(mm)から、次式(A)に従って、フィルム表面の硬さ(MPa)を算出した。
(式A) フィルム表面の硬さ=P/A
また、除荷変位曲線から、最大荷重時の接線の傾きS(N/mm)を求め、かかる傾きS(N/mm)と圧子の投影面積A(mm)から、次式(B)に従って、フィルム表面の弾性率(GPa)を算出した。
(式B) フィルム表面の弾性率=0.001×(S×π1/2)/(2×A1/2) (πは円周率)
(2)こすれ傷
得られた偏光膜から1cm×1cmの試験片を10枚切り出し、キーエンス社製レーザーフォーカス顕微鏡VK−9700(対物レンズ:50倍)を用いて、幅10μm以上の傷の有無を観察し、以下の基準で評価した。
(評価基準)
○・・・すべての試験片に傷がなかった。
△・・・いずれかの試験片に傷があった。
×・・・すべての試験片に傷があった。
(3)表示欠点(個)
得られた偏光膜から、長さ30cm×幅13cmの試験片を切り出し、15000lxの環境下で目視検査し、100μm以上の表示欠点数(個)を測定した。
(4)色ムラ
得られた偏光膜から、長さ30cm×幅13cmの試験片を切り出し、クロスニコル状態の2枚の偏光板(単体透過率43.5%、偏光度99.9%)の間に45°の角度で挟んだのちに、表面照度14,000lxのライトボックスを用いて、透過モードで光学的な色ムラを観察し、以下の基準で評価した。
○・・・色ムラなし。
△・・・かすかに色ムラあり。
×・・・色ムラあり。
<実施例1>
(ポリビニルアルコール系フィルムの製造)
重量平均分子量142,000、ケン化度99.8モル%のポリビニルアルコール系樹脂1,000kg、水2500kg、可塑剤としてグリセリン100kgを入れ、撹拌しながら140℃まで昇温して、樹脂濃度25%に濃度調整を行い、均一に溶解したポリビニルアルコール系樹脂水溶液を得た。次に該ポリビニルアルコール系樹脂水溶液を、ベントを有する2軸押出機に供給して脱泡した後、水溶液温度を90℃にし、T型スリットダイ吐出口より、回転するキャストドラムに吐出及び流延して製膜した。キャストドラムからフィルムを剥離し、フィルムの表面と裏面とを複数の金属加熱ロール(最高温度86℃)に交互に接触させながら、フィルムの含水率が10%以下になるまで乾燥を行った。更に、フローティングドライヤーを用いて、フィルム両面から133℃の熱風を吹き付けて、フィルムの含水率が2%になるまで乾燥を行い、両端部をスリットしてロールに巻き取り、幅4.8m、厚さ45μm、長さ5kmのポリビニルアルコール系フィルムを得た。得られたポリビニルアルコール系フィルムの特性を表1に示す。
(偏光膜の製造)
得られたポリビニルアルコール系フィルムを、搬送ロールを用いて水平方向に搬送し、まず、水温25℃の水槽に浸漬して膨潤させながら、流れ方向へ1.7倍に延伸した。次に、ヨウ素0.5g/L、ヨウ化カリウム30g/Lよりなる28℃の水溶液中に浸漬して染色しながら、流れ方向へ1.6倍に延伸し、ついでホウ酸40g/L、ヨウ化カリウム30g/Lの組成の水溶液(55℃)に浸漬してホウ酸架橋しながら、流れ方向へ2.1倍に一軸延伸した。最後に、ヨウ化カリウム水溶液で洗浄を行い、その後60℃で2分間乾燥して総延伸倍率5.7倍の偏光膜を得た。得られた偏光膜の特性を表1に示す。
<実施例2、3、比較例1、2>
表1に示される条件で製造する以外は、実施例1と同様にして、ポリビニルアルコール系フィルム、及び偏光膜を得た。得られたポリビニルアルコール系フィルムと偏光膜の特性は表1に示される通りである。
Figure 0006642434
実施例1〜3のポリビニルアルコール系フィルムは、ナノインデンテーション試験におけるフィルム表面の硬さが本発明の特定の範囲内であるため、傷が少ない偏光膜が得られているのに対し、比較例1、2のポリビニルアルコール系フィルムを用いた偏光膜は、ポリビニルアルコール系フィルム表面の硬さが本発明の特定の範囲外であり、その結果、傷が多いものであることがわかる。
そして、各々のポリビニルアルコール系フィルムから得られる偏光膜の表示欠点や色ムラの各評価は、実施例1〜3の方が比較例1、2よりも良好なことがわかる。
上記実施例においては、本発明における具体的な形態について示したが、上記実施例は単なる例示にすぎず、限定的に解釈されるものではない。当業者に明らかな様々な変形は、本発明の範囲内であることが企図されている。
本発明により得られる偏光膜や偏光板は、表示欠点や色ムラがなく偏光性能の面内均一性にも優れており、携帯情報端末機、パソコン、テレビ、プロジェクター、サイネージ、電子卓上計算機、電子時計、ワープロ、電子ペーパー、ゲーム機、ビデオ、カメラ、フォトアルバム、温度計、オーディオ、自動車や機械類の計器類などの液晶表示装置、サングラス、防眩メガネ、立体メガネ、ウェアラブルディスプレイ、表示素子(CRT、LCD、有機EL、電子ペーパーなど)用反射防止層、光通信機器、医療機器、建築材料、玩具などに好ましく用いられる。

Claims (4)

  1. ナノインデンテーション試験をISO14577:2002に準じて下記(1)〜(3)の条件下で行なった際のフィルム表面の硬さが、65〜90MPaであることを特徴とするポリビニルアルコール系フィルム。
    条件(1)測定環境:25℃50%RH
    条件(2)圧子:Berkovich型(三角錐型、対頂角65°、ε=0.75、ダイヤモンド製)
    条件(3)最大押し込み深さ:500nm
  2. ナノインデンテーション試験を上記(1)〜(3)の条件下で行なった際のフィルム表面の弾性率が、1.0〜1.4GPaであることを特徴とする請求項1記載のポリビニルアルコール系フィルム。
  3. 厚さが5〜45μmであることを特徴とする請求項1または2記載のポリビニルアルコール系フィルム。
  4. 請求項3記載のポリビニルアルコール系フィルムを用いて得られることを特徴とする偏光膜。
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