JP6759690B2 - ポリビニルアルコール系フィルム、ポリビニルアルコール系フィルムの製造方法、及び偏光膜 - Google Patents
ポリビニルアルコール系フィルム、ポリビニルアルコール系フィルムの製造方法、及び偏光膜 Download PDFInfo
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Description
また、TD方向の厚み変動だけを低減しても、ポリビニルアルコール系フィルムロールからフィルムを巻き出して、偏光膜を製造する場合には、MD方向の厚み変動のため、染色、延伸、ホウ酸処理といった各工程に供するにあたり均一な処理が困難となり、偏光膜の面内で偏光度が不均一になるという問題がある。
条件(1)サンプリング周波数3 /mm
条件(2)サンプルサイズ:59392点
条件(3)フレーム点数:8192点
条件(4)窓関数:ハニング窓(hanning Window)
条件(5)オーバーラップ:75%
<高速フーリエ変換の条件>
条件(1)サンプリング周波数3 /mm
条件(2)サンプルサイズ:59392点
条件(3)フレーム点数:8192点
条件(4)窓関数:ハニング窓(hanning Window)
条件(5)オーバーラップ:75%
かかる厚みPOA値0.02-0.5が上限値より大きいと、偏光膜に偏光ムラが発生しやすく、本発明の目的を達成することができない。なお、厚みPOA値0.02-0.5の下限値は、通常0.1μmである。
MD方向に存在する空間周波数(A)0.02〜0.5/mmの厚み変動成分は、周期構造では2〜50mmにあたり、偏光膜製造工程において数十mm〜数十cmの長さに延伸される。かかる長さは、情報端末、パソコン、テレビの画面サイズに匹敵するものであり、偏光膜にかかる周期の厚み変動成分が有ると、偏光ムラが際立ち、画像の品質を損ねる傾向にある。
かかる厚みPOA値<0.02が高すぎると、大型の偏光膜に偏光ムラが発生しやすい傾向がある。厚みPOA値<0.02の下限値は、通常0.1μmである。
なお、低空間周波数の厚みPOA値<0.02は、より高空間周波数の厚みPOA値0.02-0.5よりも、画像の品質への影響は少ない傾向にある。
本発明のポリビニルアルコール系フィルムは、一般的に、ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液を、T型スリットダイから回転するキャストドラムに吐出及び流涎して製膜し、連続的に乾燥して得られる。
上述した厚みの周期構造が発生する原因としては、吐出水溶液量の脈動、T型スリットダイの搖動、T型スリットダイのリップ形状などに起因する吐出ムラ、環境の気流、静電気、キャストドラムの回転ムラ、キャストドラムの搖動などに起因するタッチラインの揺れ、キャストドラムの表面温度のバラツキ、環境の気流などに起因する乾燥ムラ等が挙げられるが、これらの中ではタッチラインの揺れが、比較的高い空間周波数を発生させる。従って、タッチラインの安定化が厚みPOA値0.02-0.5を抑制する点で重要である。かかるタッチラインの安定化には、後述する通り、エアナイフ、静電ピニングなどの手法が挙げられるが、これらの中でもエアナイフを使用する方法が好ましい。エアナイフとしては、市販の設備を使用できる。
本発明のポリビニルアルコール系フィルムは、ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液を、T型スリットダイから回転するキャストドラム上に吐出及び流涎して製膜し、連続的に乾燥して製造される。
ここで、本発明における平均ケン化度は、JIS K 6726に準じて測定されるものである。
(A)キャスト法によりフィルムを製膜する工程、
(B)製膜されたフィルムを加熱して乾燥する工程、
(C)乾燥されたフィルムをスリットした後、ロールに巻き取る工程
工程(A)においては、まず、前述したポリビニルアルコール系樹脂を、水などの溶剤を用いて洗浄し、遠心分離機などを用いて脱水して、含水率50重量%以下のポリビニルアルコール系樹脂ウェットケーキとすることが好ましい。含水率が大きすぎると、所望する水溶液濃度にすることが難しくなる傾向がある。
かかるポリビニルアルコール系樹脂ウェットケーキを温水や熱水に溶解して、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液を調製する。
かかるポリビニルアルコール系樹脂水溶液の温度が低すぎると流動不良となる傾向があり、高すぎると発泡する傾向がある。
かかる水溶液の粘度が低すぎると流動不良となる傾向があり、高すぎると流涎が困難となる傾向がある。
かかる吐出速度が遅すぎると生産性が低下する傾向があり、速すぎると流涎が困難となる傾向がある。
エアナイフの位置は、タッチラインに風圧を集中する点で、キャストドラム表面からエアナイフ吐出口までの距離H(図1参照)が、1〜10mmであることが好ましく、特に好ましくはタッチラインへの風の逆流抑制の点で1〜7mmであり、更に好ましくは1〜5mmである。
エアナイフからの空気の吐出方向と、タッチラインにおけるキャストドラムの接線とのなす角度θは、タッチラインへの風の逆流抑制の点で60〜120°であることが好ましく、特に好ましくはタッチラインに風圧を集中する点で70〜110°、更に好ましくはエアナイフの設置のしやすさから80〜110°である(図1参照)。
エアナイフのリップ開度は、タッチラインへの風圧を集中する点で、30〜100μmが好ましく、特に好ましくは幅方向の風圧分布の均一さの点から30〜50μmである。
かかる直径が小さすぎると乾燥長が不足し速度が出にくい傾向があり、大きすぎると輸送性が低下する傾向がある。
また、熱ロールは、例えば、表面をハードクロムメッキ処理又は鏡面処理した、直径0.2〜2mのロールであり、通常2〜30本、好ましくは10〜25本を用いて乾燥を行うことが好ましい。
なお、偏光度は、一般的に2枚の偏光膜を、その配向方向が同一方向になるように重ね合わせた状態で、波長λにおいて測定した光線透過率(H11)と、2枚の偏光膜を、配向方向が互いに直交する方向になる様に重ね合わせた状態で、波長λにおいて測定した光線透過率(H1)より、下式にしたがって算出される。
〔(H11−H1)/(H11+H1)〕1/2
単体透過率は、分光光度計を用いて偏光膜単体の光線透過率を測定して得られる値である。
以下、本発明の偏光板の製造方法について説明する。
限り以下の実施例に限定されるものではない。
尚、例中「部」、「%」とあるのは、重量基準を意味する。
各物性について、次のようにして行った。
(1)空間周波数(A)(/mm)、厚みPOA値0.02-0.5(μm)、厚みPOA値<0.02(μm)、厚み最大振幅0.02-0.5(μm)
先ず、得られたポリビニルアルコール系フィルムをMD方向に搬送しながら、キーエンス社製「分光干渉型膜厚計SI―T80」を用いて、サンプリング周波数3/mmで幅方向中央部の1ライン分(測定長20m)の厚みデータを採取し、高速フーリエ変換用の厚み変動量(μm)とした。
次いで、前記MD方向の厚み変動量(μm)を、下記条件(1)〜(5)に基づいて高速フーリエ変換し、横軸を空間周波数(A)(/mm)、縦軸を厚み振幅(μm)でスペクトルを作成した。この時、上記厚み変動量(μm)の平均値がゼロになるようにベースラインを調整した。
条件(1)サンプリング周波数 :3/mm、
条件(2)サンプルサイズ:59392点
条件(3)フレーム点数:8192点
条件(4)窓関数:ハニング窓(hanning Window)
条件(5)オーバーラップ:75%
最後に、作成されたスペクトルより、厚みPOA値0.02-0.5(μm)と厚みPOA値<0.02(μm)を計算し、厚み最大振幅0.02-0.5(μm)を読み取った。
なお、POA値とは任意の空間周波数範囲に含まれる振幅の積和のことで下記式より計算される。
MD方向の測定は、キーエンス社製「分光干渉型膜厚計SI−T80」を用いて0.3mm刻みで、幅方向(TD方向)の中央部と両端部(両端から20cm内側)の3ラインをそれぞれ6万点測定した。
TD方向の測定は山文電気社製「連続膜厚計TOF−5R01」を用いて、流れ方向(MD方向)の先端部、中央部、終端部の3ラインをそれぞれ4千点測定した。
得られた合計19万2千点の測定値から、下記式に基づきフィルムの厚み変動係数(%)を計算した。
得られた偏光膜から長さ30cm×幅30cmの試験片を採取し、クロスニコル状態の2枚の偏光板(単体透過率43.5%、偏光度99.9%)の間に45°の角度で挟んだのちに、表面照度14000lxのライトボックスを用いて、透過モードで光学的な色ムラを目視観察し、以下の基準で評価した。
(評価基準)
○・・・色ムラなし
×・・・色ムラあり
(ポリビニルアルコール系フィルムの製造)
ポリビニルアルコール系樹脂1,500kg、水3,750kg、可塑剤としてグリセリン180kg、および界面活性剤としてドデシルスルホン酸ナトリウム0.25kgを入れ、撹拌しながら150℃まで昇温して加圧溶解を行い、樹脂濃度25%のポリビニルアルコール系樹脂水溶液を得た。
次に該ポリビニルアルコール系樹脂水溶液を、2軸押出機に供給して脱泡した後、水溶液温度を95℃にし、T型スリットダイ吐出口よりキャストドラムに、吐出速度2.5m/分で流延して製膜した。
かかる水溶液の吐出に際しては、水溶液のタッチライン上部にエアナイフを設置し(距離H5mm、角度90°)、エアナイフ吐出口からタッチラインに向けて風速10kPaでエアを吐出した。
得られたポリビニルアルコール系フィルムを、水温25℃の水槽に浸漬しながら1.7倍に一軸延伸した。次に、ヨウ素0.5g/L、ヨウ化カリウム30g/Lよりなる28℃の水溶液中に浸漬しながら1.6倍に一軸延伸した。「次に、ホウ酸40g/L、ヨウ化カリウム30g/Lよりなる55℃の水溶液に浸漬しながら2.1倍に一軸延伸した。最後に、ヨウ化カリウム水溶液で洗浄を行い、乾燥して総延伸倍率5.8倍の偏光膜を得た。得られた偏光膜についての偏光ムラの評価結果を表1に示す。
実施例1において、フィルム製膜の条件を表1に示す通りに変更した以外は同様に行い、ポリビニルアルコール系フィルムを得、更に、実施例1と同様に偏光膜を得た。
得られたポリビニルアルコール系フィルム、及び、偏光膜について、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表1に示す。
実施例1において、エアナイフを用いなかった以外は実施例1と同様にして、ポリビニルアルコール系フィルムを得、更に、実施例1と同様に偏光膜を得た。
得られたポリビニルアルコール系フィルム、及び、偏光膜について、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表1に示す。
Claims (9)
- 幅4m以上、長さ2km以上であるポリビニルアルコール系フィルムであって、
流れ方向(MD方向)の厚み変動量(μm)を高速フーリエ変換した場合に、空間周波数(A)0.02〜0.5/mmの範囲に含まれる厚みのパーシャルオーバーオール値(厚みPOA値0.02-0.5)が、0.8μm以下であることを特徴とするポリビニルアルコール系フィルム。 - 流れ方向(MD方向)の厚み変動量(μm)を高速フーリエ変換した場合に、空間周波数(A)0.02/mm未満(ただし0より大きい)の厚みのパーシャルオーバーオール値(厚みPOA値<0.02)が0.9μm以下であることを特徴とする請求項1記載のポリビニルアルコール系フィルム。
- 流れ方向(MD方向)の厚み変動量(μm)を高速フーリエ変換した場合に、空間周波数(A)0.02〜0.5/mmの範囲に含まれる厚みの最大振幅(厚み最大振幅0.02-0.5)が、0.5μm以下であることを特徴とする請求項1または2記載のポリビニルアルコール系フィルム。
- 厚さが5〜60μmであることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載のポリビニルアルコール系フィルム。
- ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液を、T型スリットダイから回転するキャストドラム上に吐出及び流涎して製膜し、連続的に乾燥して得られるポリビニルアルコール系フィルムの製造方法であり、MD方向の厚み変動量(μm)を高速フーリエ変換した場合に、空間周波数(A)0.02〜0.5/mmの範囲に含まれる厚みのパーシャルオーバーオール値(厚みPOA値0.02-0.5)が、0.8μm以下であることを特徴とするポリビニルアルコール系フィルムの製造方法。
- ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液がキャストドラムと接するタッチラインを、エアナイフにより安定化することを特徴とする請求項5記載のポリビニルアルコール系フィルムの製造方法。
- キャストドラム表面からエアナイフ吐出口までの距離Hが、1〜10mmであり、エアナイフの風圧が、5〜25kPaであることを特徴とする請求項6記載のポリビニルアルコール系フィルムの製造方法。
- エアナイフからの空気の吐出方向と、タッチラインにおけるキャストドラムの接線とのなす角度が、60〜120°であることを特徴とする請求項6または7記載のポリビニルアルコール系フィルムの製造方法。
- 請求項1〜4いずれか記載のポリビニルアルコール系フィルムからなる偏光膜。
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