JP2018001747A - ポリビニルアルコール系フィルムの製造方法、ポリビニルアルコール系フィルム、偏光フィルム - Google Patents

ポリビニルアルコール系フィルムの製造方法、ポリビニルアルコール系フィルム、偏光フィルム Download PDF

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Abstract

【課題】厚み変動が少なく、偏光特性に優れる偏光フィルムを得ることができるポリビニルアルコール系フィルムの製造方法、および製造方法を用いてなるポリビニルアルコール系フィルムの提供。【解決手段】ポリビニルアルコール系樹脂水溶液をキャスト型に流延し、流延されたポリビニルアルコール系樹脂水溶液を中心周波数10〜1000Hzの低周波で振動させながら乾燥するポリビニルアルコール系フィルムの製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、ポリビニルアルコール系フィルムの製造方法に関する。さらに詳しくは、厚み変動が少なく、偏光特性に優れる偏光フィルムを得ることができるポリビニルアルコール系フィルムの製造方法、及び該製造方法により得られるポリビニルアルコール系フィルム、並びに偏光フィルムに関するものである。
従来、ポリビニルアルコール系フィルムは、ポリビニルアルコール系樹脂を水などの溶媒に溶解して製膜原液を調製したのち、T型スリットダイからキャスト型に吐出及び流延し、キャスト型上で乾燥して製膜することにより製造される。このようにして得られるポリビニルアルコール系フィルムは、透明性や染色性に優れたフィルムとして多くの用途に利用されており、その有用な用途の一つに偏光フィルムがあげられる。かかる偏光フィルムは、液晶ディスプレイの基本構成要素として用いられており、近年では高品質で高信頼性の要求される機器へとその使用が拡大されている。
このような中、液晶テレビなどの画面の大型化にともない、従来品より一段と平坦性に優れ、かつ幅広長尺薄型の偏光フィルム、およびその原反となるポリビニルアルコール系フィルムが必要とされている。ポリビニルアルコール系フィルムが、厚み変動のために平坦でない場合には、偏光フィルムの厚み変動も大きくなり、偏光性能の面内均一性が不足したり、組み立てられた液晶セルに応力が生じたりして、液晶セル自体の変形や、耐久性の低下を引き起こす。このような問題への対策として、たとえば、TD方向(方向)の厚み変動が0.5μm/mm以下のポリビニルアルコール系フィルムを偏光フィルムの製造に用いることが提案されている(たとえば、特許文献1参照。)。また、厚み変動を抑えるために、ポリビニルアルコール系フィルムを、特定の位置関係にあるダイと金属ロールを用いて製膜する手法が提案されている(たとえば、特許文献2参照。)。
特開2002−31720号公報 特開2002−144355号公報
しかしながら、上記特許文献1においては、TD方向の厚み変動が、長さ1mm当たり0.5μm以下であるが、たかだか長さ1mmの中での変動値であり、特に全幅が2m以上であるような幅広フィルムの場合ではかかる変動値は大きく増大すると考えられる。更に全長2km以上であるような長尺フィルムの場合では、かかるTD方向の厚み変動は更に大きくなってしまう。
また、TD方向の厚み変動だけを低減しても、ポリビニルアルコール系フィルムロールからフィルムを巻き出して、偏光フィルムを製造する場合には、MD方向(長手方向:流れ方向)の厚み変動のため、染色、延伸、ホウ酸架橋といった各工程において均一な処理が困難となり、偏光フィルムの面内で偏光度が不均一になるという問題があった。
上記特許文献2の実施例においては、フィルムのTD方向の厚み変動が1.5μmであるが、フィルムの厚さが75μmと分厚く、偏光フィルムの薄型化に対応するのが困難であり、60μm以下に薄型化した場合には、充分な厚み精度を確保できないという問題点があった。なお、フィルムの厚さが30μmの場合、フィルムの厚み変動が1.5μmあると、厚み変動係数は0.8%程度である。
また、上記特許文献1の場合と同じように、TD方向の厚み変動だけを低減しても、ポリビニルアルコール系フィルムロールからフィルムを巻き出して、偏光フィルムを製造する場合には、MD方向の厚み変動のため、染色、延伸、ホウ酸架橋といった各工程において均一な処理が困難となり、偏光フィルムの面内で偏光度が不均一になるという問題があった。
また、ポリビニルアルコール系フィルムの厚み変動が大きく平坦でない場合は、ロールに巻き取ることが困難であり、保管および輸送中にフィルムが吸湿した際には、うねりが増大し、偏光フィルム製造前にフィルムの大部分を破棄せざるを得ないという問題点があった。
なお、フィルムの厚みが変動する原因は様々であり、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液がT型スリットダイから均一に吐出されない場合、キャスト型の振動や気流などにより水溶液とキャスト型とのタッチラインが安定しない場合、キャスト型上での水溶液の乾燥が均一でない場合、水溶液中の異物やキャスト型表面の汚れに起因する場合などが挙げられる。
また、フィルムの厚み変動は、局所的なものと周期的なものに大別される。この内、局所的なものや比較的大きな周期のものは目視や各種検査装置で検出が可能であるが、周期的なものの中で、小さな周期のものは検出が困難である(例えば、1mm以下のピッチ。)。ポリビニルアルコール系フィルムにかかる小さな周期の厚み変動があった場合、染色及び延伸後の偏光フィルムにおいて色ムラとなって顕在化し、最終的に液晶ディスプレイの品質が低下していた。
本発明ではこのような背景下において、厚み変動が少なく、偏光特性に優れる偏光フィルムを得ることができるポリビニルアルコール系フィルムの製造方法、および該製造方法を用いてなるポリビニルアルコール系フィルムを提供することを目的とするものである。
しかるに、本発明者等はかかる事情に鑑み鋭意研究を重ねた結果、ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液をキャスト型上で乾燥してフィルムを製膜する時に、特定の周波数で水溶液の液面を振動させることにより、厚み変動の少ないポリビニルアルコール系フィルムが得られることを見出し、本発明を完成した。一般的に、液面を振動させると厚み変動は増大すると考えられがちだが、厚み変動が周期的な場合は、逆に、適度な振動を与えることにより周期構造を破壊して、厚み変動を低減することができるものである。
即ち、本発明の要旨は、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液をキャスト型に流延し、流延されたポリビニルアルコール系樹脂水溶液を中心周波数10〜1,000Hzの低周波で振動させながら乾燥することを特徴とするポリビニルアルコール系フィルムの製造方法である。
また、本発明は、前記製造方法により得られるポリビニルアルコール系フィルム、更に、前記ポリビニルアルコール系フィルムからなる偏光フィルムも提供するものである。
本発明の製造方法により得られるポリビニルアルコール系フィルムは、厚み精度に優れているため、偏光特性に優れた偏光フィルムが得られるものであり、とりわけ薄型で長尺の偏光フィルムの原反として好ましく用いられ、偏光度が面内で均一な偏光フィルムを得ることができるものである。
図1は低周波発生装置を用いてポリビニルアルコール系樹脂水溶液を振動させる状態を示した説明図である。
本発明のポリビニルアルコール系フィルムの製造方法は、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液をキャスト型に流延し、流延されたポリビニルアルコール系樹脂水溶液を中心周波数10〜1,000Hzの低周波で振動させながら乾燥することを特徴とするものである。
低周波の中心周波数は、10〜1,000Hzであることが必要であり、好ましくは20〜500Hz、特に好ましくは30〜200Hzである。中心周波数が下限値未満でも上限値以上でも、厚み変動の改良効果が発揮されず、本発明の目的を達成することができない。なお、本発明においては、中心周波数の異なる複数の低周波を用いてもよい。
更に、低周波の音圧レベルは、水溶液液面の鉛直方向に、20〜110dBであることが好ましく、特に好ましくは80〜105dBである。低周波の音圧レベルが低すぎると、厚み変動の改良効果が発揮されにくい傾向がある。逆に、高すぎると厚み変動が増大すると共に、労働環境が悪化する傾向がある。
本発明の低周波は、出力音圧レベル50〜120dBのスピーカーにより発生されることが好ましく、特に好ましくは80〜115dBである。かかる出力音圧レベルが低すぎると、厚み変動の改良効果が発揮されにくい傾向がある。逆に、高すぎると厚み変動が増大すると共に、労働環境が悪化する傾向がある。
以下、本発明のポリビニルアルコール系フィルムの製造方法について説明する。
本発明のポリビニルアルコール系フィルムは、ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液をキャスト型に流延して乾燥することにより得られる。
本発明のポリビニルアルコール系樹脂としては、通常、未変性のポリビニルアルコール系樹脂、即ち、酢酸ビニルを重合して得られるポリ酢酸ビニルをケン化して製造される樹脂が用いられる。必要に応じて、酢酸ビニルと、少量(通常、10モル%以下、好ましくは5モル%以下)の酢酸ビニルと共重合可能な成分との共重合体をケン化して得られる樹脂を用いることもできる。酢酸ビニルと共重合可能な成分としては、例えば、不飽和カルボン酸(例えば、塩、エステル、アミド、ニトリル等を含む)、炭素数2〜30のオレフィン類(例えば、エチレン、プロピレン、n−ブテン、イソブテン等)、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸塩等が挙げられる。また、ケン化後の水酸基を化学修飾して得られる変性ポリビニルアルコール系樹脂を用いることもできる。
また、ポリビニルアルコール系樹脂として、側鎖に1,2−ジオール構造を有するポリビニルアルコール系樹脂を用いることもできる。かかる側鎖に1,2−ジオール構造を有するポリビニルアルコール系樹脂は、例えば、(i)酢酸ビニルと3,4−ジアセトキシ−1−ブテンとの共重合体をケン化する方法、(ii)酢酸ビニルとビニルエチレンカーボネートとの共重合体をケン化及び脱炭酸する方法、(iii)酢酸ビニルと2,2−ジアルキル−4−ビニル−1,3−ジオキソランとの共重合体をケン化及び脱ケタール化する方法、(iv)酢酸ビニルとグリセリンモノアリルエーテルとの共重合体をケン化する方法、等により得られる。
ポリビニルアルコール系樹脂の重量平均分子量は、10万〜30万であることが好ましく、特に好ましくは11万〜28万、更に好ましくは12万〜26万である。かかる重量平均分子量が小さすぎるとポリビニルアルコール系樹脂を光学フィルムとする場合に充分な光学性能が得られにくい傾向があり、大きすぎるとポリビニルアルコール系フィルムを偏光フィルム製造時の延伸が困難となる傾向がある。なお、上記ポリビニルアルコール系樹脂の重量平均分子量は、GPC−MALS法により測定される重量平均分子量である。
本発明で用いるポリビニルアルコール系樹脂の平均ケン化度は、通常98モル%以上であることが好ましく、特に好ましくは99モル%以上、更に好ましくは99.5モル%以上、殊に好ましくは99.8モル%以上である。かかる平均ケン化度が小さすぎるとポリビニルアルコール系フィルムを偏光フィルムとする場合に充分な光学性能が得られない傾向がある。
ここで、本発明における平均ケン化度は、JIS K 6726に準じて測定されるものである。
本発明に用いるポリビニルアルコール系樹脂として、変性種、変性量、重量平均分子量、平均ケン化度などの異なる2種以上のものを併用してもよい。
上記ポリビニルアルコール系樹脂を温水や熱水に溶解して、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液を調製する。かかるポリビニルアルコール系樹脂水溶液には、ポリビニルアルコール系樹脂以外に、必要に応じて、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、トリメチロールプロパンなどの一般的に使用される可塑剤や、ノニオン性、アニオン性、及び/またはカチオン性の界面活性剤を含有させることが、ポリビニルアルコール系フィルムの製膜性の点で好ましい。
このようにして得られるポリビニルアルコール系樹脂水溶液の樹脂濃度は、15〜60重量%であることが好ましく、特に好ましくは17〜55重量%、更に好ましくは20〜50重量%である。かかる樹脂濃度が低すぎると乾燥負荷が大きくなるため生産能力が低下する傾向があり、高すぎると粘度が高くなりすぎて均一な溶解ができにくくなる傾向がある。
得られたポリビニルアルコール系樹脂水溶液は、脱泡処理ののち、一定量ずつT型スリットダイに導入され、回転するキャストドラム上に吐出及び流延される。
T型スリットダイ出口のポリビニルアルコール系樹脂水溶液の温度は、80〜100℃であることが好ましく、特に好ましくは85〜98℃である。かかるポリビニルアルコール系樹脂水溶液の温度が低すぎると流動不良となる傾向があり、高すぎると発泡する傾向がある。
また、かかるポリビニルアルコール系樹脂水溶液の粘度は、吐出時に50〜200Pa・sであることが好ましく、特に好ましくは70〜150Pa・sである。かかる水溶液の粘度が、低すぎると流動不良となる傾向があり、高すぎると流延が困難となる傾向がある。
T型スリットダイからキャストドラムに吐出される水溶液の吐出速度は、0.1〜5m/分であることが好ましく、特に好ましくは0.2〜4m/分、更に好ましくは0.3〜3m/分である。かかる吐出速度が遅すぎると生産性が低下する傾向があり、速すぎると流延が困難となる傾向がある。
かかるキャストドラムの直径は、好ましくは2〜5m、特に好ましくは2.4〜4.5m、更に好ましくは2.8〜4mである。かかる直径が小さすぎると乾燥長が不足し速度が出にくい傾向があり、大きすぎると輸送性が低下する傾向がある。
かかるキャストドラムの幅は、好ましくは4m以上であり、特に好ましくは5m以上、更に好ましくは5〜6mである。キャストドラムの幅が小さすぎると生産性が低下する傾向がある。
かかるキャストドラムの回転速度は、3〜50m/分であることが好ましく、特に好ましくは4〜40m/分、更に好ましくは5〜35m/分である。かかる回転速度が遅すぎると生産性が低下する傾向があり、速すぎると乾燥が不充分となる傾向がある。
かかるキャストドラムの表面温度は、40〜99℃であることが好ましく、特に好ましくは60〜97℃である。かかる表面温度が低すぎると乾燥不良となる傾向があり、高すぎると発泡してしまう傾向がある。
キャストドラム上で製膜されたフィルムは、更に、フィルムの表面と裏面とを複数の金属加熱ロール(以下、熱ロールと呼ぶ。)に交互に接触させて乾燥されることが好ましい。熱ロールの表面温度は、通常40〜150℃、好ましくは50〜140℃である。かかる表面温度が低すぎると乾燥不良となる傾向があり、高すぎると乾燥しすぎることとなり、うねりなどの外観不良を招く傾向がある。
また、熱ロールは、例えば、表面をハードクロムメッキ処理又は鏡面処理した、直径0.2〜2mのロールであり、通常2〜30本、好ましくは10〜25本を用いて乾燥を行うことが好ましい。
本発明においては、熱ロールによる乾燥後、フィルムに熱処理を行ってもよい。熱処理温度は、60〜150℃が好ましく、特には70〜140℃が好ましい。熱処理温度が低すぎると、ポリビニルアルコール系フィルムの耐水性が不足する等して、位相差ふれの原因となる傾向があり、高すぎると偏光フィルム製造時の延伸性が低下する傾向がある。かかる熱処理方法としては、例えば、フローティングドライヤーを用いる手法や赤外線ランプを用いる手法が挙げられる。
得られたフィルムは、フィルムの両端をスリットして、ロールに巻き取られて製品(ポリビニルアルコール系フィルム)となる。
なお、ここまでポリビニルアルコール系樹脂水溶液を調製し、この水溶液を回転するキャストドラム(ドラム型ロール)に流延及び乾燥してポリビニルアルコール系フィルムを製造する方法を説明してきたが、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液を金属ベルトや樹脂フィルム上に流延及び乾燥することも可能である。
かくして本発明のポリビニルアルコール系フィルムが得られる。
本発明のポリビニルアルコール系フィルムは、偏光フィルムの薄型化の点から、厚さが5〜60μmであることが好ましく、特に好ましくは5〜50μm、更に好ましくは5〜30μmであり、破断回避の点から殊に好ましくは20〜30μmである。
本発明のポリビニルアルコール系フィルムは、大面積化の点から、幅が2m以上であることが好ましく、特に好ましくは4m以上、破断回避の点から更に好ましくは4〜6mである。
本発明のポリビニルアルコール系フィルムは、生産性の点から、長さが2km以上であることが好ましく、特に好ましくは4km以上、破断回避の点から更に好ましくは4〜50kmである。
本発明のポリビニルアルコール系フィルムは、偏光フィルムの偏光性能の点から、厚みの変動係数が1%以下であることが好ましく、特に好ましくは0.8%以下、更に好ましくは0.7%以下である。厚みの変動係数の下限値は通常0.01%である。
なお、ポリビルアルコール系フィルムの厚みが薄い場合は、偏光フィルム製造において流れ方向に偏光度が不均一になりやすく、ポリビルアルコール系フィルムの流れ方向(MD方向)の厚み変動係数が重要となる。
上記変動係数とは、ポリビニルアルコール系フィルムの厚さを測定し、得られた値から下記式より計算されるものである。
変動係数(C.V.)=100×標準偏差(S.D.)/x
ここで、標準偏差(S.D.)=√{Σ(xi−x)2/(n-1)}
x :平均値
xi :i番目の値
n :サンプル数
本発明のポリビニルアルコール系フィルムの製造方法により得られるポリビニルアルコール系フィルムは、厚み精度に優れ、光学用のポリビニルアルコール系フィルムとして好適に用いられ、更には偏光フィルム用の原反として特に好ましく用いられる。
以下、本発明のポリビニルアルコール系フィルムを用いて得られる偏光フィルムの製造方法について説明する。
本発明の偏光フィルムは、上記ポリビニルアルコール系フィルムを、ロールから巻き出して水平方向に移送し、膨潤、染色、ホウ酸架橋、延伸、洗浄、乾燥などの工程を経て製造される。
膨潤工程は、染色工程の前に施される。膨潤工程により、ポリビニルアルコール系フィルム表面の汚れを洗浄することができるほかに、ポリビニルアルコール系フィルムを膨潤させることで染色ムラなどを防止する効果もある。膨潤工程において、処理液としては、通常、水が用いられる。当該処理液は、主成分が水であれば、ヨウ化化合物、界面活性剤等の添加物、アルコール等が少量入っていてもよい。膨潤浴の温度は、通常10〜45℃程度であり、膨潤浴への浸漬時間は、通常0.1〜10分間程度である。
染色工程は、フィルムにヨウ素または二色性染料を含有する液体を接触させることによって行なわれる。通常は、ヨウ素−ヨウ化カリウムの水溶液が用いられ、ヨウ素の濃度は0.1〜2g/L、ヨウ化カリウムの濃度は1〜100g/Lが適当である。染色時間は30〜500秒程度が実用的である。処理浴の温度は5〜50℃が好ましい。水溶液には、水溶媒以外に水と相溶性のある有機溶媒を少量含有させてもよい。
ホウ酸架橋工程は、ホウ酸やホウ砂などのホウ素化合物を使用して行われる。ホウ素化合物は水溶液または水−有機溶媒混合液の形で濃度10〜100g/L程度で用いられ、液中にはヨウ化カリウムを共存させるのが、偏光性能の安定化の点で好ましい。処理時の温度は30〜70℃程度、処理時間は0.1〜20分程度が好ましく、また必要に応じて処理中に延伸操作を行なってもよい。
延伸工程は、一軸方向に3〜10倍、好ましくは3.5〜6倍延伸することが好ましい。この際、延伸方向の直角方向にも若干の延伸(幅方向の収縮を防止する程度、またはそれ以上の延伸)を行なっても差し支えない。延伸時の温度は、30〜170℃が好ましい。さらに、延伸倍率は最終的に前記範囲に設定されればよく、延伸操作は一段階のみならず、製造工程の任意の範囲の段階に実施すればよい。
洗浄工程は、例えば、水やヨウ化カリウム等のヨウ化物水溶液にポリビニルアルコール系フィルムを浸漬することにより行われ、フィルムの表面に発生する析出物を除去することができる。ヨウ化カリウム水溶液を用いる場合のヨウ化カリウム濃度は1〜80g/L程度でよい。洗浄処理時の温度は、通常、5〜50℃、好ましくは10〜45℃である。処理時間は、通常1〜300秒間、好ましくは10〜240秒間である。なお、水洗浄とヨウ化カリウム水溶液による洗浄は、適宜組み合わせて行ってもよい。
乾燥工程は、大気中で40〜80℃で1〜10分間行えばよい。
かくして得られる偏光膜の偏光度は、好ましくは99.8%以上、より好ましくは99.9%以上である。偏光度が低すぎると液晶ディスプレイにおけるコントラストを確保することができなくなる傾向がある。
なお、偏光度は、一般的に、2枚の偏光フィルムを、その配向方向が同一方向になるように重ね合わせた状態で、波長λにおいて測定した光線透過率(H11)と、2枚の偏光フィルムを、配向方向が互いに直交する方向になる様に重ね合わせた状態で、波長λにおいて測定した光線透過率(H1)より、下式にしたがって算出される。
〔(H11−H1)/(H11+H1)〕1/2
さらに、本発明の偏光フィルムの単体透過率は、好ましくは42%以上、特に好ましくは43%以上である。かかる単体透過率が低すぎると液晶ディスプレイの高輝度化を達成できなくなる傾向がある。
単体透過率は、分光光度計を用いて偏光フィルム単体の光線透過率を測定して得られる
値である。
このようにして得られる偏光フィルムは、その片面または両面に光学的に等方性の高分子フィルムまたはシートを保護フィルムとして積層接着して、偏光板として用いることもできる。保護フィルムとしては、たとえば、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンコポリマー、ポリスチレン、ポリエーテルスルホン、ポリアリーレンエステル、ポリ−4−メチルペンテン、ポリフェニレンオキサイドなどのフィルムまたはシートがあげられる。
また、偏光フィルムには、薄膜化を目的として、上記保護フィルムの代わりに、その方面または両面にウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ウレア樹脂などの硬化性樹脂を塗布し、硬化して偏光板とすることもできる。
本発明のポリビニルアルコール系フィルムからなる偏光フィルや偏光板は、偏光性能に優れており、携帯情報端末機、パソコン、テレビ、プロジェクター、サイネージ、電子卓上計算機、電子時計、ワープロ、電子ペーパー、ゲーム機、ビデオ、カメラ、フォトアルバム、温度計、オーディオ、自動車や機械類の計器類などの液晶表示装置、サングラス、防眩メガネ、立体メガネ、ウェアラブルディスプレイ、表示素子(CRT、LCD、有機EL、電子ペーパーなど)用反射防止膜、光通信機器、医療機器、建築材料、玩具などに好ましく用いられる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
尚、例中「部」、「%」とあるのは、重量基準を意味する。
各物性について、次のようにして行った。
(1)厚み変動係数
まず、得られたポリビニルアルコール系フィルムのMD方向とTD方向の厚みを測定した。
・MD方向の測定はキーエンス社製「分光干渉型膜厚計SI-T80」を用いて0.3mm刻みで、幅方向(TD方向)の中央部と両端部(両端から20cm内側)の3か所をそれぞれ6万点測定した。
・TD方向の測定は山文電気社製「連続膜厚計TOF-5R01」を用いて、流れ方向(MD方向)の先端部、中央部、終端部の3箇所をそれぞれ4000点測定した。
次いで、上記厚みの測定値を用いて、下記式より厚み変動係数を算出した。
変動係数(C.V.)=100×S.D./x
「標準偏差(S.D.)=√(Σ(xi−x)2/(n-1))
x :平均値
xi :i番目の値
n :サンプル数」
(2)偏光度(%)、単体透過率(%)
得られた偏光フィルムの幅方向の中央部から、延伸方向200mm×幅方向40mmの短冊サンプルを切り出し、大塚電子(株)製:RETS−1100Aを用いて延伸方向に10mmピッチで10点の測定を行い、平均値を偏光度(%)と単体透過率(%)とした。また、偏光度の最大値と最小値から偏光度のふれR(%)を求めた。
<実施例1>
(ポリビニルアルコール系フィルムの製造)
重量平均分子量142,000、ケン化度99.8モル%のポリビニルアルコール系樹脂1,000kg、水2,000kg、可塑剤としてグリセリン100kgを入れ、撹拌しながら150℃まで昇温して、樹脂濃度25%に濃度調整を行い均一に溶解したポリビニルアルコール系樹脂水溶液を得た。次に該ポリビニルアルコール系樹脂水溶液を、2軸押出機に供給して脱泡した後、水溶液温度を95℃にし、T型スリットダイ吐出口よりキャストドラム(表面温度95℃)に、吐出速度1.3m/分で吐出及び流延した。次いで、流延されたポリビニルアルコール系樹脂水溶液を、低周波で振動させながら乾燥した。かかる振動に用いた装置と振動条件は下記の通りである(図1参照)。
振動装置:サウンドハウス社製CLASSIC PRO CSP12(タイプ:2WAYフルレンジ)
サイズ:42W×62H×38Dcm
ウーハーユニット:12"
最大出力音圧レベル (SPL/m):112dB
中心周波数:20Hz
水溶液液面の音圧レベル(鉛直方向):100dB
次いで、得られたフィルムをキャストドラムから剥離し、熱ロールを用いて更に乾燥した後、幅方向両端部をスリットで切り落とし、ポリビニルアルコール系フィルム(厚さ30μm、幅4m、長さ4km)を得た。得られたポリビニルアルコール系フィルムの評価結果を表1に示す。
次に、上記で得られたポリビニルアルコール系フィルムを用いて、以下の要領で偏光フィルムを得て、以下の評価を行った。評価結果を表2に示す。
(偏光フィルムの製造)
得られたポリビニルアルコール系フィルムを、水温25℃の水槽に浸漬しつつ、1.7倍に延伸した。次にヨウ素0.5g/L、ヨウ化カリウム30g/Lよりなる28℃の水溶液中に浸漬しつつ1.6倍に延伸し、ついでホウ酸40g/L、ヨウ化カリウム30g/Lの組成の水溶液(55℃)に浸漬するとともに、同時に2.1倍に一軸延伸しつつホウ酸処理を行なった。その後、ヨウ化カリウム水溶液で洗浄行い、乾燥して総延伸倍率5.8倍の偏光フィルムを得た。得られた偏光フィルムの偏光特性を表2に示す。
<実施例2、3、比較例1、2>
実施例1において、振動条件を表1に示す通りに変更した以外は同様に行い、ポリビニルアルコール系フィルムを得、更に、実施例1と同様に偏光フィルムを得た。
得られたポリビニルアルコール系フィルム、及び、偏光フィルムについて、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表1および表2に示す。
Figure 2018001747
Figure 2018001747
実施例1〜3のポリビニルアルコール系フィルムは、薄型幅広長尺であるにもかかわらず、MD方向の厚み変動係数が小さく、得られる偏光フィルムの偏光度は面内で均一であるのに対し、比較例1および2のポリビニルアルコール系フィルムは、厚みの変動係数が大きく、得られる偏光フィルムの偏光度が面内で不均一である。
本発明により得られる偏光フィルムや偏光板は、厚み変動係数に優れ、偏光性能の面内均一性にも優れており、携帯情報端末機、パソコン、テレビ、プロジェクター、サイネージ、電子卓上計算機、電子時計、ワープロ、電子ペーパー、ゲーム機、ビデオ、カメラ、フォトアルバム、温度計、オーディオ、自動車や機械類の計器類などの液晶表示装置、サングラス、防眩メガネ、立体メガネ、ウェアラブルディスプレイ、表示素子(CRT、LCD、有機EL、電子ペーパーなど)用反射防止膜、光通信機器、医療機器、建築材料、玩具などに好ましく用いられる。

Claims (7)

  1. ポリビニルアルコール系樹脂水溶液をキャスト型に流延し、流延されたポリビニルアルコール系樹脂水溶液を中心周波数10〜1,000Hzの低周波で振動させながら乾燥することを特徴とするポリビニルアルコール系フィルムの製造方法。
  2. 低周波の音圧レベルが、水溶液液面の鉛直方向に、20〜110dBであることを特徴とする請求項1記載のポリビニルアルコール系フィルムの製造方法。
  3. 低周波が、出力音圧レベル50〜120dBのスピーカーにより発生されることを特徴とする請求項1または2記載のポリビニルアルコール系フィルムの製造方法。
  4. 請求項1〜3いずれか記載のポリビニルアルコール系フィルムの製造方法で製造されることを特徴とするポリビニルアルコール系フィルム。
  5. 厚さ5〜60μm、幅4m以上、長さ4km以上であることを特徴とする請求項4記載のポリビニルアルコール系フィルム。
  6. フィルムの厚み変動係数が、1%以下であることを特徴とする請求項4または5記載のポリビニルアルコール系フィルム。
  7. 請求項4〜6いずれか記載のポリビニルアルコール系フィルムからなることを特徴とする偏光フィルム。
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