JP2017105969A - ポリビニルアルコール系フィルム、およびそれを用いてなる偏光膜 - Google Patents
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本発明のポリビニルアルコール系フィルムは、重量平均分子量100,000〜200,000、平均ケン化度99モル%以上、かつ側鎖にアセトアセチル基を0.1〜1.2モル%含有するポリビニルアルコール系樹脂の水溶液をキャスト法により製膜して得られるものである。
(A)連続キャスト法により製膜する工程。
(B)製膜されたフィルムを乾燥する工程。
(C)乾燥されたフィルムを熱処理する工程。
工程(A)においては、まず、上記のポリビニルアルコール系樹脂を、水を用いて洗浄し、遠心分離機などを用いて脱水して、含水率50重量%以下のポリビニルアルコール系樹脂ウェットケーキとすることが好ましい。
かかる含水率が大きすぎると、所望する水溶液濃度にすることが難しくなる傾向がある。
かかるポリビニルアルコール系樹脂ウェットケーキを温水や熱水に溶解して、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液を調整する。
また、熱ロールは、例えば、表面をハードクロムメッキ処理又は鏡面処理した、直径0.2〜2mのロールであり、通常2〜30本、好ましくは10〜25本を用いて乾燥を行なうことが好ましい。
また、熱処理時間は、通常10〜1,000秒、好ましくは30〜500秒、特に好ましくは60〜300秒である。かかる熱処理時間が短かすぎると、ポリビニルアルコール系フィルムの耐水性が低下したり、偏光膜の低収縮性が低下する傾向があり、長すぎると偏光膜製造時の延伸性が低下する傾向がある。
また、ポリビニルアルコール系フィルムの長さは、4km以上であることが好ましく、大面積化の点から特に好ましくは4.5km以上、輸送重量の点から更に好ましくは4.5〜50kmである。
なお、偏光度は、一般的に2枚の偏光膜を、その配向方向が同一方向になるように重ね合わせた状態で、波長λにおいて測定した光線透過率(H11)と、2枚の偏光膜を、配向方向が互いに直交する方向になる様に重ね合わせた状態で、波長λにおいて測定した光線透過率(H1)より、下式にしたがって算出される。
〔(H11−H1)/(H11+H1)〕1/2
単体透過率は、分光光度計を用いて偏光フィルム単体の光線透過率を測定して得られる値である。
以下、本発明の偏光板の製造方法について説明する。
GPC−MALS法により、以下の条件で測定した。
i)GPC−MALS
装置:ゲル浸透クロマトグラフ多角度光散乱光度計
構成 ポンプ:Waters製515
検出器:示差屈折率計Waters製RI−2410型(感度:128×)
多角度光散乱検出器Wyatt Technology製DAWN EOS
カラム:東ソー(株)製TSK−gel−GMPWXL 2本、G2500PWXL 1本
溶媒:0.1M 硝酸ナトリウム水溶液
流速:0.7mL/分
温度:23℃
試料調整:試料5mgに溶媒5mLを加え、約90℃で2時間攪拌した(試料濃度約0.1%)。
目視で溶解していることを確認した後、0.45μmフィルターを用いて濾過を行った。
注入量:0.2ml
屈折率濃度変化(dn/dc):0.1593ml/g
得られたフィルムを流れ方向(MD方向)50mm×幅方向(TD方向)5000mmに切断し短冊サンプルを作成した。「KOBRA−WFD」(王子計測機器(株)製)を用いて、幅方向の両端部より50mm内側のところから100mmピッチで全幅にわたり面内位相差を測定して(合計50点)、平均値を求めた。
偏光膜の幅方向(TD方向)中央部と両端部から、流れ方向(MD方向)30mm、幅方向(TD方向)×2mmの試験片を3枚切り出し、動的粘弾性測定装置(アイティー計測制御製 itkDVA−225、チャック間距離20mm、静張力ゼロ)を用いて、80℃、0%RH、2時間加熱後の流れ方向(MD方向)のチャック間距離(mm)から、下記式に従って寸法収縮率(%)を算出した。
寸法収縮率(%)=100×(20(mm)−加熱後のチャック間距離(mm))/20(mm)
得られた偏光膜から、長さ4cm×幅4cmのサンプルを切り出し、自動偏光フィルム測定装置(日本分光(株)製:VAP7070)を用いて、偏光度(%)と単体透過率(%)を測定した。
(ポリビニルアルコール系樹脂の製造)
ポリビニルアルコール(重量平均分子量150,000、平均ケン化度99.7モル%)1,000部と酢酸300部を、ニーダーに仕込んで膨潤させ、回転数20rpmで攪拌しながら60℃に昇温後、ジケテン27部を30分かけて滴下し、更に60分間反応させた。反応終了後、メタノールで洗浄し、70℃で12時間乾燥して、側鎖にアセトアセチル基を0.54モル%含有するポリビニルアルコール系樹脂(重量平均分子量150,000、平均ケン化度99.7モル%)を得た。
2,000lのタンクに、上記ポリビニルアルコール系樹脂350kg、水1,000kg、可塑剤としてグリセリン42kg(ポリビニルアルコール系樹脂に対して12重量%)、界面活性剤としてポリオキシエチレンラウリルアミン42gを入れ、撹拌しながら105℃まで昇温して、均一に溶解した樹脂濃度25%のポリビニルアルコール系樹脂水溶液を得た。次に該ポリビニルアルコール系樹脂水溶液を、2軸押出機に供給して脱泡した後、95℃の水溶液をT型スリットダイより回転するキャストドラム(直径:3m、幅:5.3m)に流延して製膜した。得られたフィルムの表面と裏面を18本の熱ロール(直径:250mm、幅:5.3m、表面温度:80℃)に交互に接触させながら乾燥を行った。最後に、フローティングドライヤー(長さ:6m、ニップ間張力:20N/m)を用いて、120℃で180秒間の熱処理を行った。得られたポリビニルアルコール系フィルム(幅5m、厚さ50μm)の面内位相差は30nmであった。
得られたポリビニルアルコール系フィルムを、水温25℃の水槽に浸漬して膨潤させながら1.7倍に延伸した。次にヨウ素1.0g/L、ヨウ化カリウム40g/Lよりなる28℃の水溶液に浸漬し、染色した。その後、ホウ酸40g/L、ヨウ化カリウム30g/Lよりなる55℃の水溶液中で6倍に一軸延伸し、次いでヨウ化カリウム水溶液で洗浄し、最後に60℃で120秒間乾燥することにより偏光膜を得た。得られた偏光膜の寸法収縮率、偏光度、および単体透過率を測定した。測定結果を表1に示す。
得られた偏光膜の両面にポリビニルアルコール系水溶液を接着剤として用いて、膜厚80μmのトリアセチルセルロースフィルムを貼合し、50℃で乾燥して偏光板を得た。さらに、ガラス板に、得られた偏光板をアクリル系粘着層を介して光の吸収軸が45°になるように貼合したのち、該ガラス板の反対面に、先に貼合した偏光板に対してクロスニコルに配置するように偏光板を貼合し、白抜け評価用サンプルを作成した。このサンプルを80℃の環境下に500時間放置し、光の漏れ、所謂白抜けを目視観察したところ、光の漏れは観察されなかった。
実施例1において、熱処理時間を60秒とした以外は実施例1と同様に行ないポリビニルアルコール系フィルムを得た。更に、かかるポリビニルアルコール系フィルムを用いて、実施例1と同様にして偏光膜を得た。得られた偏光膜の測定結果を表1に示す。
実施例1において、重量平均分子量130,000のポリビニルアルコールを用いた以外は実施例1と同様に行ないポリビニルアルコール系フィルムを得た。更に、かかるポリビニルアルコール系フィルムを用いて、実施例1と同様にして偏光膜を得た。得られた偏光膜の測定結果を表1に示す。
実施例1において、側鎖にアセトアセチル基を含有しないポリビニルアルコール(重量平均分子量150,000、平均ケン化度99.7モル%)を用いた以外は実施例1と同様に行ないポリビニルアルコール系フィルムを得た。更に、かかるポリビニルアルコール系フィルムを用いて、実施例1と同様にして偏光膜を得た。得られた偏光膜の測定結果を表1に示す。
実施例1において、ジケテン63部を用いて側鎖にアセトアセチル基を1.26モル%含有するポリビニルアルコール系樹脂(重量平均分子量150000、平均ケン化度99.7モル%)を用いた以外は実施例1と同様に行ないポリビニルアルコール系フィルムを得た。更に、かかるポリビニルアルコール系フィルムを用いて、実施例1と同様にして偏光膜を得た。得られた偏光膜の測定結果を表1に示す。
一方、アセトアセチル基を含有しないポリビニルアルコール系樹脂を用いて製造されるポリビニルアルコール系フィルムから得られる比較例1の偏光膜、およびアセトアセチル基の含有量が請求項1の規定よりも多いポリビニルアルコール系樹脂を用いて製造されるポリビニルアルコール系フィルムから得られる比較例2の偏光膜は、寸法収縮が大きくなりすぎてしまうことがわかる。
Claims (6)
- ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液をキャスト法により製膜して得られるポリビニルアルコール系フィルムであって、ポリビニルアルコール系樹脂が、重量平均分子量100,000〜200,000、平均ケン化度99モル%以上、かつ側鎖にアセトアセチル基を0.1〜1.2モル%含有することを特徴とするポリビニルアルコール系フィルム。
- ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液が、ポリビニルアルコール系樹脂に対して、グリセリンを10〜15重量%含有することを特徴とする請求項1記載のポリビニルアルコール系フィルム。
- 120℃以上で熱処理されて得られることを特徴とする請求項1または2記載のポリビニルアルコール系フィルム。
- 面内位相差が50nm以下であることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載のポリビニルアルコール系フィルム。
- フィルム厚が60μm以下であることを特徴とする請求項1〜4いずれか記載のポリビニルアルコール系フィルム。
- 請求項1〜5いずれか記載のポリビニルアルコール系フィルムを用いて得られることを特徴とする偏光膜。
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