JPH06172554A - 偏光膜およびその製造法 - Google Patents

偏光膜およびその製造法

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JPH06172554A
JPH06172554A JP4326728A JP32672892A JPH06172554A JP H06172554 A JPH06172554 A JP H06172554A JP 4326728 A JP4326728 A JP 4326728A JP 32672892 A JP32672892 A JP 32672892A JP H06172554 A JPH06172554 A JP H06172554A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 偏光性能および寸法安定性に優れた偏光膜を
開発すること。 【構成】 有機チタン化合物および/または有機ジルコ
ニウム化合物を含有するとともに、二色性比が40以上
であり、かつ温度40℃,相対湿度90%の雰囲気下に
10日間放置して自由収縮させた後の縦方向の寸法
(B)と自由収縮させる前の縦方向の寸法(A)との比
(B)/(A)が0.65以上であるポリビニルアルコー
ル系偏光膜である。またこの偏光膜は、ポリビニルアル
コール系フィルムに3倍以上の一軸延伸を施すととも
に、染色処理,一軸延伸処理および固定処理のいずれか
の処理において有機チタン化合物および/または有機ジ
ルコニウム化合物を添加使用することにより製造され
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は偏光膜およびその製造法
に関し、詳しくは偏光性能および寸法安定性に優れた偏
光膜ならびにその効率のよい製造法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】光の透
過および遮断機能を有する偏光板は、光のスイッチング
機能を有する液晶とともに、液晶ディスプレイ(LC
D)の基本的な構成要素である。このLCDの適用分野
も、初期の頃の電卓や時計等の小型機器から、ラップト
ップ型パーソナルコンピューター,ワードプロセッサ
ー,液晶カラープロジェクター,車載用ナビゲーション
システム,液晶テレビ,屋内外の計測機器等の広範囲に
拡がり、使用条件も低温から高温、低湿度から高湿度に
わたる幅広い条件で使用されることから、偏光性能が高
く、しかも寸法安定性の優れた偏光板が求められてい
る。偏光板は、一般にポリビニルアルコール系フィルム
(ポリビニルアルコール系重合体からなるフィルムを意
味し、以下、PVAフィルムと略記することがある。)
を一軸延伸し、染色して作成した偏光膜とその両外面を
三酢酸セルロース膜(TAC)などの支持板を貼り合わ
せた構成をしている。このような偏光膜は、一軸延伸が
施されているために寸法安定性が悪く、TACを貼合し
た偏光板においても、寸法安定性の悪さはある程度軽減
されるものの充分ではない。
【0003】この偏光板の寸法安定性の悪さは、偏光板
をLCDガラス基盤に粘着剤で貼り着けて使用する際
に、時間の経過とともに偏光板がガラス基盤より剥がれ
たり、貼り着け位置がずれたりして、LCDの表示性能
を著しく損なう問題を有している。従って、偏光板の寸
法安定性を向上させるために、偏光膜の寸法安定性の改
善が求められている。従来の偏光膜は、PVAフィルム
をヨウ素あるいは二色性染料を使用して、一軸延伸させ
て染色するか、染色した後一軸延伸してから、ホウ素化
合物で固定処理を行うことによって製造されており、一
軸延伸倍率としては高偏光性を得るためには4倍以上の
延伸が施されている。延伸倍率を上げるほど得られる偏
光膜の偏光性能は向上するが、逆に偏光膜の寸法安定性
は低下し、偏光性能と寸法安定性の両性能を満足する優
れた偏光膜は得られていないのが現状である。このよう
な状況下で、PVAフィルムを原料とし、偏光性能およ
び寸法安定性に優れた偏光膜の開発が求められている。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は、PVAフィ
ルムを原料とする偏光膜について、高偏光性を維持しつ
つ寸法安定性を改善する方法について、次の順序で鋭意
検討した。まず、現状を把握するために、従来から一般
的に使用されている重合度1750付近のポリビニルア
ルコール系重合体(PVA)を原料とする未延伸PVA
フィルムを用いて、従来の製造法で偏光膜を作成し、得
られた偏光膜について偏光性能と寸法安定性を調べた。
その結果、従来の偏光膜製造条件でも特に延伸倍率を高
めた場合には、二色性比40以上の高偏光性をもつ偏光
膜が得られるが、この偏光膜はいずれも寸法保持率は0.
5〜0.65未満で寸法安定性の悪いものである。ここで
二色性比は、偏光膜の偏光性能を評価する指標である
が、この二色性比は、得られた偏光膜について、日本電
子機械工業会規格(EIAJ)LD−201−1983
に準拠し、分光光度計を用いて、C光源,二度視野にて
測定、計算して得た透過率Ts(%)と偏光度P(%)
から式(I)で求められる。 二色性比=log(Ts/100−Ts×P/10000)/log(Ts/100 +Ts×P/10000)・・(I) また、寸法保持率は、偏光膜の寸法安定性を評価する指
標であるが、この寸法保持率は、偏光膜の一軸延伸方向
を縦方向として縦4cm×横4cmのサンプルを採取
し、一端をクリップで挟んで無荷重で、温度40℃,相
対湿度(RH)90%の恒温恒湿槽に10日間吊り下
げ、放置後取り出した際の、自由収縮させた後の縦方向
の寸法(B)と自由収縮させる前の縦方向の寸法(A)
との比から(II)式で求められる。 寸法保持率=(B)/(A) ・・・(II) 更に本発明者は、原料PVAフィルム,一軸延伸条件,
染色条件および固定処理条件について、種々の検討を加
え、延伸倍率を3倍以上とするとともに、寸法安定化剤
として特定の物質を使用することで、高二色性比の偏光
膜においても寸法安定性が著しく向上させ得ることを見
出した。また、さらに原料PVAフィルムとして特定の
重量膨潤度および特定の重合度を有するものを使用する
と、一層性能の向上した偏光膜が得られることを見出し
た。本発明はこのような知見に基いて完成したものであ
る。
【0005】すなわち本発明は、有機チタン化合物およ
び有機ジルコニウム化合物から選ばれた少なくとも一種
の化合物を含有するとともに、二色性比が40以上であ
り、かつ温度40℃,相対湿度(RH)90%の雰囲気
下に10日間放置して自由収縮させた後の縦方向の寸法
(B)と自由収縮させる前の縦方向の寸法(A)との比
(B)/(A)が0.65以上であることを特徴とするポ
リビニルアルコール系偏光膜を提供するものである。ま
た本発明は、ポリビニルアルコール系フィルムを染色処
理,一軸延伸処理および固定処理して偏光膜を製造する
に際し、3倍以上の一軸延伸を施すとともに、染色処
理,一軸延伸処理および固定処理のうちの少なくとも一
つの処理において有機チタン化合物および有機ジルコニ
ウム化合物から選ばれた少なくとも一種の化合物を使用
することによって、上記ポリビニルアルコール系偏光膜
をも提供するものである。
【0006】本発明の偏光膜は、ポリビニルアルコール
系重合体(PVA)を素材とするものである。このPV
Aとしては、一般に酢酸ビニルを重合して得たポリ酢酸
ビニルをけん化して製造される所謂通常のPVAが充当
される。このPVAの重合度は、特に制限はないが、通
常は500以上、好ましくは2400以上、さらに好ま
しくは4000以上が高偏光性能の偏光膜を得るのに適
している。一方、けん化度は、状況に応じて適宜選定す
ればよいが、通常は90モル%以上、好ましくは95モ
ル%以上、さらに好ましくは98モル%以上が、寸法安
定性のより優れた偏光膜が得られるので有利である。ま
たこれら通常のPVAのほかに、不飽和カルボン酸また
はその誘導体、不飽和スルホン酸またはその誘導体、炭
素数2〜30のα−オレフィン等で約15モル%未満共
重合された変性ポリビニルアルコールやポリビニルホル
マール,ポリビニルアセトアセタール,ポリビニルブチ
ラール等のポリビニルアセタール、さらにはエチレン単
位含量が20モル%以上のエチレン−ビニルアルコール
共重合体等も用いることができる。
【0007】本発明の偏光膜は、上記PVAを素材とし
たPVAフィルムが原料フィルムとして用いられる。こ
のPVAからPVAフィルムを製造するには、例えば原
料のPVAを水,有機溶剤あるいは水と有機溶媒の混合
液に溶解し、得られた得たPVA溶液を乾燥ドラム上あ
るいは乾燥ベルト上に流延キャスト法あるいはダイキャ
スト法で成形し、乾燥すればよい。ここでPVA溶液に
は、必要に応じて、可塑剤,界面活性剤,ヨウ素,ヨウ
素化合物あるいは二色性染料等を加えることができる。
原料フィルムの厚みは、通常は5〜150μmが使用可
能であり、好ましくは30〜100μmである。
【0008】本発明の偏光膜に用いるPVAフィルム
は、その重量膨潤度については特に制限はないが、通常
は重量膨潤度の高いものが好ましく、190%以上がよ
り好ましく、200%以上が特に好ましい。なお、この
重量膨潤度の上限は特になく、状況に応じて適宜定めれ
ばよいが、通常は270%以下の範囲である。このよう
な高重量膨潤度のPVAフィルムを用いることにより、
本発明の偏光膜に、二色性比40以上の高偏光性能を付
与することが容易になるとともに、有機チタン化合物お
よび有機ジルコニウム化合物による寸法安定化効果を一
層高めることができる。 ここで重量膨潤度Wは、試料
フィルム3gを約3mm幅に裁断し、40℃の温水に1
5分間浸漬後、300rpmで5分間遠心脱水した後の
試料重量(W1)と、それを105℃で16時間乾燥し
た後の試料重量(W2)とから、次の(III)式で求めら
れる。 W(%)=(W1)/(W2)×100 ・・(III) このような高い重量膨潤度のPVAフィルムを得るに
は、フィルム製造時の乾燥温度を低く保つことが望まし
い。好適な乾燥温度は、通常は60〜90℃である。ベ
ルト熱風乾燥法あるいはドラム乾燥と熱風乾燥の併用法
など熱風乾燥を行う場合、一般に熱風乾燥温度は130
℃以上の高温を使用することが多いので、乾燥温度を上
げすぎないように注意すべきである。熱処理を施す場合
も130℃以下が好ましい。
【0009】また、本発明の偏光膜には、有機チタン化
合物や有機ジルコニウム化合物が、一種単独であるいは
二種以上混合して含有されている。この有機チタン化合
物および有機ジルコニウム化合物は、偏光膜の寸法安定
化に寄与するものであり、その含有量は特に制限はない
が、偏光膜に優れた寸法安定性を与えるために好適な範
囲は、金属(チタンおよび/またはジルコニウム)元素
重量で0.05〜5重量%、特に0.2〜3重量%である。
なお、この有機チタン化合物や有機ジルコニウム化合物
には、必要に応じて、固定化処理剤のホウ酸化合物を混
合して使用することも可能である。本発明の偏光膜にお
いて、有機チタン化合物および有機ジルコニウム化合物
が、偏光膜の寸法安定化を発現する理由は、必ずしも明
らかではないが、これらの金属有機化合物の金属イオン
がPVA分子と強固なイオン結合を生じてPVA分子間
に架橋効果を発現するためと推察される。
【0010】上記の有機チタン化合物としては、各種の
ものが使用可能であるが、例えば各種のチタンアルコキ
シド,チタンキレート,チタンキレートアンモニウム塩
およびチタンアシレートなどが挙げられ、なかでもチタ
ンラクテートあるいはチタンラクテートアンモニウム塩
が好適であり、チタンラクテートアンモニウム塩が特に
好ましい。また、有機ジルコニウム化合物についても、
様々なものが使用可能であるが、例えば各種のジルコニ
ルアルコキシド,ジルコニルキレート,ジルコニルキレ
ートアンモニウム塩およびジルコニルアシレートなどが
挙げられ、なかでも炭酸ジルコニウムあるいは炭酸ジル
コニウムアンモニウム塩が好適であり、炭酸ジルコニウ
ムアンモニウム塩が特に好ましい。
【0011】本発明の偏光膜は、前述の式(I)で求め
られる二色性比が40以上であり、好ましくは50以上
である。また、本発明の偏光膜は、このような高い偏光
性能を有するとともに、前述の式(II)で求められる寸
法保持率が、0.65以上、好ましくは0.7以上である。
なお、本発明の偏光膜は、通常偏光膜の両外面に三酸化
セルロースフィルムなどの支持フィルムを貼合して使用
される。
【0012】このような高い偏光性能と寸法安定性を有
する本発明の偏光膜を製造するには、各種の方法が考え
られるが、前述した本発明の製造法によれば、効率良く
しかも高性能の偏光膜が得られる。まず、原料PVAフ
ィルムから偏光膜を製造するには、湿式延伸法あるいは
乾燥延伸法など既知の方法が使用でき、染色,一軸延伸
および固定処理、更に必要に応じて乾燥処理を経て偏光
膜が製造される。染色は延伸の前,延伸中,延伸後のい
ずれも可能である。この染色に用いる染料としては、ヨ
ウ素−ヨウ化カリウムあるいは二色性染料などが使用で
きる。一軸延伸は温水中でまたは吸水後のフィルムを用
いて空気中で行うことができる。この延伸温度は、特に
限定されないが、フィルムを温水中で延伸する場合は3
0〜80℃が、また乾熱延伸する場合50〜150℃が
良好である。また固定処理における処理浴には、通常、
ホウ酸およびホウ素化合物が添加される。この固定処理
浴には浴中にヨウ素化合物を混合してもよい。
【0013】本発明の製造法においては、上記一軸延伸
の延伸倍率を3倍以上、好ましくは3.5倍以上とする。
この延伸倍率の上限は特に定めないが5.0倍以下が偏光
膜の寸法安定性の点から良好である。ここで、延伸倍率
が3倍未満では、得られる偏光膜の二色性比を40以上
にすることが困難となり、目的とする高偏光性の偏光膜
を得ることができない。
【0014】本発明の製造法では、染色処理浴,一軸延
伸処理浴および固定処理浴の少なくとも一つの処理浴
に、前述した有機チタン化合物および/または有機ジル
コニウム化合物を寸法安定化剤として添加使用すること
が必要である。この寸法安定化剤の使用によって、はじ
めて高偏光性を有し、かつ寸法安定性に優れた偏光膜の
作成が実現できる。この有機チタン化合物および/また
は有機ジルコニウム化合物からなる寸法安定化剤の添加
位置は、上述のように染色処理浴,一軸延伸処理浴およ
び固定処理浴のいずれに添加しても効果を発現できる
が、なかでも一軸延伸処理浴あるいは固定処理浴に添加
すること、あるいは一軸延伸処理浴と固定処理浴の両処
理浴に添加することが好ましい。また、処理浴中の上記
寸法安定化剤の添加濃度は、金属(チタンおよび/また
はジルコニウム)元素重量で0.1〜20重量%、特に0.
5〜10重量%が好適である。このような濃度で処理浴
中に添加することにより、偏光膜中の有機チタン化合物
や有機ジルコニウム化合物の含有量を、寸法安定性の向
上に効果的な0.05〜5重量%、特に0.2〜3重量%
(金属元素重量換算)に調節することができる。
【0015】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説
明するが、本発明はこれらの例によって何ら制限される
ものではない。 実施例1 押出機,ダイ,ベルトの表裏両面を熱風乾燥炉で覆って
なる乾燥装置および熱風炉式の熱処理装置からなる製膜
機を用いて、重合度1750,けん化度99.9モル%の
PVA41重量部,水54重量部およびグリセリン5重
量部からなるペレットを押出機に仕込み、ダイよりベル
ト表面にキャストし、熱風温度70℃で乾燥して、熱風
温度120℃で熱処理して膜厚75μmの重量膨潤度2
10%のPVAフィルムを作成した。次に、このフィル
ムを染色,一軸延伸,固定処理,乾燥の順に処理して偏
光膜を作成した。このときの一軸延伸の延伸倍率(=処
理浴出口速度/処理浴入口速度)は4.5倍、染色処理浴
水中のヨウ素濃度は0.5g/リットル、ヨウ化カリウム
の濃度は50g/リットル、延伸処理浴水中のホウ酸濃
度は4重量%であり、また固定処理浴水中への添加物組
成はチタンラクテートアンモニウム塩4重量%およびヨ
ウ化カリウム4重量%とした。なお、染色処理浴,延伸
処理浴および固定処理浴の水温は、いずれも35℃で実
施した。また、偏光膜の乾燥は50℃の熱風で行った。
得られた偏光膜は、厚み28μm,透過率44.2%,偏
光度99.8%,二色性比56.6であった。また蛍光X線
分析法によるチタンの含有率は0.6重量%であった。こ
の偏光膜を40℃,90%RHで10日間放置したとき
の寸法保持率は0.80であった。
【0016】実施例2 実施例1と同じ製膜機を用いて、重合度4400,けん
化度99.7モル%のPVA35重量部,水61重量部お
よびグリセリン4重量部からなるペレットを押出機に仕
込み、ダイよりベルト表面にキャストし、熱風温度80
℃で乾燥し、熱風温度120℃で熱処理して、膜厚73
μm,重量膨潤度215%のPVAフィルムを作成し
た。次に、このフィルムを一軸延伸倍率を4.0倍とした
以外は、実施例1と同条件で染色,一軸延伸,固定処
理,乾燥を行い偏光膜を作成した。得られた偏光膜は、
厚み30μm,透過率43.6%,偏光度99.99%,二
色性比73.3であった。また、この偏光膜を40℃,9
0%RHで10日間放置したときの寸法保持率は0.76
であった。
【0017】実施例3 実施例1のフィルム製膜時に、熱処理温度を150℃に
変更した以外は、実施例1と同条件でPVAフィルムを
作成した。得られたフィルムの膜厚みは、75μm,重
量膨潤度は180%であった。このフィルムを実施例1
と同条件で染色,一軸延伸,固定処理,乾燥を行い偏光
膜を作成した。得られた偏光膜は厚み29μm,透過率
44.5%,偏光度99.0%,二色性比44.6であった。
また、この偏光膜を40℃,90%RHで10日間放置
したときの寸法保持率は0.68であった。
【0018】比較例1 実施例1で得られたPVAフィルムを用いて、固定処理
浴の添加物組成をホウ酸4重量%に変更した以外は、実
施例1と同条件で偏光膜を作成した。得られた偏光膜
は、厚み28μm,透過率44.0%,偏光度98.6%,
二色性比37.7であった。またこの偏光膜を40℃,9
0%RHで10日間放置したときの寸法保持率は0.58
であった。
【0019】比較例2 実施例2で得られたPVAフィルムを用いて、固定処理
浴の添加物組成をホウ酸4重量%に変更した以外は、実
施例2と同条件で偏光膜を作成した。得られた偏光膜
は、厚み30μm,透過率43.5%,偏光度99.6%,
二色性比45.0であった。またこの偏光膜を40℃,9
0%RHで10日間放置したときの寸法保持率は0.55
であった。
【0020】実施例4 実施例1で得たPVAフィルムを使用して、延伸処理浴
の添加物組成を炭酸ジルコニルアンモニウム塩2重量
%,ホウ酸2重量%に変更し、固定処理浴の添加物組成
を炭酸ジルコニルアンモニウム塩4重量%,ヨウ化カリ
ウム44重量%に変更した以外は実施例1と同条件で偏
光膜を作成した。得られた偏光膜は、厚み28μm,透
過率43.0%,偏光度99.7%,二色性比54.1であっ
た。また、この偏光膜を40℃,90%RHで10日間
放置したときの寸法保持率は0.78であった。
【0021】
【発明の効果】以上のように、本発明の偏光膜は、偏光
特性に優れると同時に寸法安定性も極めて優れており、
例えばLCDナビゲーションシステムあるいはLCDカ
ーテレビなどの温度,湿度変化の大きい車載LCD用の
偏光板として、従来の偏光板では達成できなかった高偏
光性と寸法安定特性の両性能を併せて可能とするもので
ある。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機チタン化合物および有機ジルコニウ
    ム化合物から選ばれた少なくとも一種の化合物を含有す
    るとともに、二色性比が40以上であり、かつ温度40
    ℃,相対湿度90%の雰囲気下に10日間放置して自由
    収縮させた後の縦方向の寸法(B)と自由収縮させる前
    の縦方向の寸法(A)との比(B)/(A)が0.65以
    上であることを特徴とするポリビニルアルコール系偏光
    膜。
  2. 【請求項2】 ポリビニルアルコールの重合度が240
    0以上である請求項1記載の偏光膜。
  3. 【請求項3】 ポリビニルアルコール系フィルムを染色
    処理,一軸延伸処理および固定処理して偏光膜を製造す
    るに際し、3倍以上の一軸延伸を施すとともに、染色処
    理,一軸延伸処理および固定処理のうちの少なくとも一
    つの処理において有機チタン化合物および有機ジルコニ
    ウム化合物から選ばれた少なくとも一種の化合物を使用
    することを特徴とする請求項1の偏光膜の製造法。
  4. 【請求項4】 ポリビニルアルコール系フィルムが、重
    量膨潤度190%以上のものである請求項3記載の製造
    法。
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