JP2019066747A - 偏光フィルムの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】低収縮性、かつ色目変化が起こらず偏光性能に優れる偏光フィルムを製造する方法の提供。【解決手段】平衡収縮率が2%以下の偏光フィルムを製造する方法であって、10〜90%RHの調湿条件下で、偏光フィルムに加熱処理を行なう工程を含むことを特徴とする偏光フィルムの製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、平衡収縮率が2%以下、すなわち収縮性の低い偏光フィルムを製造する方法に関する。
液晶ディスプレイの基本構成要素として用いられている偏光板には、一般には、ポリビニルアルコール(PVA)系フィルムにヨウ素や有機染料などの二色性の材料を染色・吸着させた偏光フィルムが用いられている。かかる偏光フィルムは、乾燥環境下に晒されたときに収縮すると、偏光板が変形したり、偏光度などの光学特性が低下するおそれがある。
かかる課題に鑑み、乾燥環境下に晒されたときでも収縮し難い偏光フィルムが種々開発されている。例えば特許文献1には、寸法変化率が2.7%以下であるPVA系偏光フィルムが開示されている。
特開2009−109860号公報
しかしながら、特許文献1の技術では、ドライ(湿度0%)で加熱処理を長時間行うと、偏光フィルムの色目が変化してしまい、UV吸収スペクトルの長波長側吸光度が著しく損なわれるという不都合が生じる。
本発明の目的は、上記課題を解決することであり、詳しくは、低収縮性、かつ色目変化が起こらず偏光性能に優れる偏光フィルムを製造する方法を提供することである。
しかるに本発明者は、かかる事情に鑑み鋭意研究を重ねた結果、特定の調湿条件下で加熱処理を施すことによって上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の要旨は、平衡収縮率が2%以下の偏光フィルムを製造する方法であって、10〜90%RHの調湿条件下で、偏光フィルムに加熱処理を行なう工程を含むことを特徴とする偏光フィルムの製造方法である。
本発明の偏光フィルムの製造方法において、加熱処理の温度が40℃以上であることが好ましく、また加熱処理の時間が30秒〜120分であることが好ましい。
本発明によれば、低収縮性、かつ色目変化が起こらず偏光性能に優れる偏光フィルムを製造することができる。
以下に記載する構成要件の説明は本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。
本発明の偏光フィルムの製造方法は、10〜90%RHの調湿条件下で、平衡収縮率が2%を超える偏光フィルムに加熱処理を行なう工程を少なくとも含む。
以下、当該加熱処理工程で加熱処理される偏光フィルムを製造する方法について説明する。
〔フィルム材料〕
本発明で使用される偏光フィルムは、典型的には、PVA系樹脂を含有するPVA系樹脂水溶液を用いて製膜されたPVA系フィルムに、延伸、染色などの各種の処理を施して得られたフィルムである。
本発明において、PVA系フィルムを構成するPVA系樹脂としては、通常、未変性のPVA系樹脂、例えば、酢酸ビニルを重合して得られるポリ酢酸ビニルをケン化して製造される樹脂が用いられる。必要に応じて、酢酸ビニルと、少量(通常、10モル%以下、好ましくは5モル%以下)の酢酸ビニルと共重合可能な成分との共重合体をケン化して得られる樹脂を用いることもできる。酢酸ビニルと共重合可能な成分としては、例えば、不飽和カルボン酸(例えば、塩、エステル、アミド、ニトリル等を含む)、炭素数2〜30のオレフィン類(例えば、エチレン、プロピレン、n−ブテン、イソブテン等)、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸塩等が挙げられる。また、ケン化後の水酸基を化学修飾して得られる変性PVA系樹脂を用いることもできる。これらから選ばれる1種を単独で、または2種以上を併せて用いることができる。
また、PVA系樹脂として、側鎖に1,2−ジオール構造を有するPVA系樹脂を用いることもできる。かかる側鎖に1,2−ジオール構造を有するPVA系樹脂は、例えば、(i)酢酸ビニルと3,4−ジアセトキシ−1−ブテンとの共重合体をケン化する方法、(ii)酢酸ビニルとビニルエチレンカーボネートとの共重合体をケン化および脱炭酸する方法、(iii)酢酸ビニルと2,2−ジアルキル−4−ビニル−1,3−ジオキソランとの共重合体をケン化および脱ケタール化する方法、(iv)酢酸ビニルとグリセリンモノアリルエーテルとの共重合体をケン化する方法、等により得られる。
PVA系樹脂の重量平均分子量は、10万〜30万であることが好ましく、特に好ましくは11万〜28万、更に好ましくは12万〜26万である。かかる重量平均分子量が小さすぎると偏光フィルムに充分な光学性能が得られにくい傾向があり、大きすぎるとPVAフィルムの延伸が困難となる傾向がある。
なお、上記ポリビニルアルコール系樹脂の重量平均分子量は、GPC−MALS法により測定される重量平均分子量である。
本発明で用いるPVA系樹脂の平均ケン化度は、通常98モル%以上であることが好ましく、特に好ましくは99モル%以上、更に好ましくは99.5モル%以上、殊に好ましくは99.8モル%以上である。平均ケン化度が小さすぎると偏光フィルムに充分な光学性能が得られない傾向がある。
なお、本発明における平均ケン化度は、JIS K 6726に準じて測定されるものである。
本発明に用いるPVA系樹脂として、変性種、変性量、重量平均分子量、平均ケン化度等の異なる2種以上のPVA系樹脂を併用してもよい。
上記のPVA系樹脂水溶液は、上記PVA系樹脂を水などの溶媒に溶解したものである。溶媒として、水の他に、例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO);N−メチルピロリドン;グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリメチロールプロパン等の多価アルコール;エチレンジアミン、ジエチレントリアミン等のアミン類;及びこれらの混合物を併用することもできる。
PVA系樹脂水溶液には、PVA系樹脂以外に、必要に応じて、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、トリメチロールプロパン等の一般的に使用される可塑剤や、ノニオン性、アニオン性、およびカチオン性の少なくとも一つの界面活性剤を含有させることができ、これらを含有することが製膜性の点から好ましい。これらから選ばれる1種を単独で、または2種以上を併せて用いることができる。
このようにして得られるPVA系樹脂水溶液の樹脂濃度は、15〜60重量%であることが好ましく、特に好ましくは17〜55重量%、更に好ましくは20〜50重量%である。かかる水溶液の樹脂濃度が低すぎると乾燥負荷が大きくなるため生産能力が低下する傾向があり、高すぎると粘度が高くなりすぎて均一な溶液ができにくくなる傾向がある。
得られたPVA系樹脂水溶液は、通常、脱泡処理される。脱泡方法としては、例えば、静置脱泡や多軸押出機による脱泡等の方法が挙げられる。多軸押出機としては、ベントを有した多軸押出機であればよく、通常はベントを有した二軸押出機が用いられる。
〔製膜工程〕
脱泡処理の後、PVA系樹脂水溶液は、一定量ずつT型スリットダイに導入され、回転するキャストドラム上に吐出および流延されて、連続キャスト法により製膜される。
本発明における連続キャスト法とは、例えば、PVA系樹脂の水溶液を、T型スリットダイから、回転するキャストドラム、エンドレスベルト、樹脂フィルム等のキャスト型に吐出および流延して製膜する手法である。
キャストドラム等のキャスト型の表面温度は、40〜99℃であることが好ましく、特に好ましくは60〜95℃である。キャスト型で製膜されたフィルムの乾燥は、フィルムの表面と裏面とを複数本の熱ロールの外周部に交互に接触させながら搬送させることにより行なわれる。熱ロールによる乾燥後、フィルムに熱処理を行ってもよい。熱処理については、60〜150℃で行われることが好ましく、特には80〜130℃が好ましい。フィルムをロールに巻き取る前に、フィルムの両端部をスリットで切り落としてもよい。
〔偏光膜製造用PVA系フィルム〕
かくして得られた偏光膜製造用PVA系フィルムは、典型的にはロールに巻き取られる。かかるPVA系フィルムの厚みは、複屈折の点から5〜60μmであり、特に好ましくは、偏光膜の薄型化の点で5〜45μm、更に好ましくは5〜30μm、殊に好ましくは破断回避の点で10〜20μmである。かかるPVA系フィルムの厚みは、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液中の樹脂濃度、キャスト型への吐出量(吐出速度)、延伸倍率等により調整される。
かかるPVA系フィルムの幅は2m以上であり、大面積化の点から特に好ましくは3m以上、破断回避の点から更に好ましくは4〜6mである。
かかるPVA系フィルムの長さは2km以上であり、大面積化の点で特に好ましくは3km以上、輸送重量の点で、更に好ましくは3〜50kmである。
〔偏光フィルムの製造方法〕
上記PVA系フィルムは、通常、ロールから巻き出して水平方向に移送され、膨潤、染色、ホウ酸架橋、延伸、洗浄、乾燥等の各工程を経て、偏光フィルムが製造される。
偏光フィルムの製造方法としては、上記のPVA系フィルムを、例えば、膨潤させた後、(a)延伸してヨウ素染色液に浸漬し染色する、(b)延伸と染色を同時に行う、または(c)ヨウ素染色液により染色して延伸を行う、の(a)〜(c)のいずれかの処理を行い、更に、ホウ酸架橋により耐久化処理する方法が挙げられる。また、水洗工程や膨潤工程中に延伸したり、染色した後、ホウ素化合物の溶液中で延伸する方法等もあり、適宜選択して用いることができる。特には、少なくとも染色工程および/またはホウ酸架橋の工程中で延伸を行うことが光学性能の向上の点で好ましく、更には、ホウ酸架橋の工程中で延伸を行うことが好ましい。また必要に応じていずれかの工程を二回またはそれ以上行ってもよい。
膨潤工程は、染色工程の前に施される。膨潤工程により、PVA系フィルム表面の汚れを洗浄することができるほかに、PVA系フィルムを膨潤させることで染色ムラ等を防止する効果もある。膨潤工程において、処理液としては、通常、水が用いられる。当該処理液は、主成分が水であれば、ヨウ化化合物、界面活性剤等の添加物、アルコール等が少量入っていてもよい。膨潤浴の温度は、通常10〜45℃程度であり、膨潤浴への浸漬時間は、通常0.1〜10分間程度である。
染色工程は、フィルムにヨウ素または二色性染料を含有する液体を接触させることによって行なわれる。通常は、ヨウ素−ヨウ化カリウムの水溶液が用いられ、ヨウ素の濃度は0.1〜2g/L、ヨウ化カリウムの濃度は1〜100g/Lが適当である。染色時間は30〜500秒間程度が実用的である。処理浴の温度は5〜50℃が好ましい。水溶液には、水溶媒以外に水と相溶性のある有機溶媒を少量含有させてもよい。
ホウ酸架橋工程は、ホウ酸やホウ砂等のホウ素化合物を使用して行われる。ホウ素化合物は水溶液または水−有機溶媒混合液の形で濃度10〜100g/L程度で用いられ、液中にはヨウ化カリウムを共存させるのが、偏光性能の安定化の点で好ましい。処理時の温度は30〜70℃程度、処理時間は0.1〜20分間程度が好ましく、また必要に応じて、処理中に延伸操作を行なってもよい。処理方法としては浸漬法が望ましいが、塗布法、噴霧法も実施可能である。
延伸工程は、フィルムを一軸方向に3〜10倍、好ましくは3.5〜6倍延伸することが好ましい。この際、延伸方向に対して直角方向にも若干の延伸(幅方向の収縮を防止する程度、またはそれ以上の延伸)を行なっても差し支えない。延伸時の温度は、40〜170℃が好ましい。さらに、延伸倍率は最終的に前記範囲に設定されればよく、延伸操作は1回のみならず、製造工程において複数回実施してもよい。
洗浄工程は、例えば、水やヨウ化カリウム等のヨウ化物水溶液にポリビニルアルコール系フィルムを浸漬することにより行われ、フィルムの表面に発生する析出物を除去することができる。ヨウ化カリウム水溶液を用いる場合のヨウ化カリウム濃度は1〜80g/L程度でよい。洗浄処理時の温度は、通常、5〜50℃、好ましくは10〜45℃である。処理時間は、通常、1〜300秒間、好ましくは10〜240秒間である。なお、水洗浄とヨウ化カリウム水溶液による洗浄は、適宜組み合わせて行ってもよい。
乾燥工程は、例えば、フィルムを大気中で40〜80℃で1〜10分間乾燥することが行われる。
かくして得られた偏光フィルムの偏光度は、好ましくは99.5%以上、特に好ましくは99.8%以上である。偏光度が低すぎると液晶ディスプレイにおけるコントラストが低下する傾向がある。なお、一般的に偏光度は、二枚の偏光フィルムを、その配向方向が同一方向になるように重ね合わせた状態で、波長λにおいて測定した光線透過率(H11)と、二枚の偏光フィルムを、配向方向が互いに直交する方向になるように重ね合わせた状態で、波長λにおいて測定した光線透過率(H1)より、下記式にしたがって算出される。
偏光度=〔(H11−H1)/(H11+H1)〕1/2
また偏光フィルムの単体透過率は、好ましくは42%以上、特に好ましくは43%以上である。かかる単体透過率が低すぎると液晶ディスプレイの高輝度化を達成できなくなる傾向がある。
単体透過率は、分光光度計を用いて偏光膜単体の光線透過率を測定して得られる値である。
また偏光フィルムの色調は液晶表示装置の色再現性の点で重要であり、その指標とされる波長700nmにおけるクロスニコル時の吸光度は3.0以上であることが好ましく、特に好ましくは3.5以上である。波長700nmにおけるクロスニコル時の吸光度が低すぎると、色調が赤くなり、液晶ディスプレイにおける色再現性が不十分となる傾向がある。
かくしてPVA系フィルムが少なくとも膨潤、染色、ホウ酸架橋、延伸、洗浄、乾燥の各工程に付されることにより偏光フィルムが得られる。本発明は、かくして得られた偏光フィルムに対して所定の調湿条件下で加熱処理を行なう工程を含むことを特徴とする。
本発明における平衡収縮率は、次のようにして求められる。まず動的粘弾性測定装置(TA Instruments DMA Q800 )を使用して、偏光フィルムの定応力クリープを測定する。具体的には、偏光フィルムをMD方向に5mm幅で切り出し、チャック間距離15mmでセットする。35℃から80℃まで20℃/分で昇温し、80℃にて2時間保持して、0.0010Nの定応力クリープを測定する。その測定結果を二重緩和回帰式でフィッティングし、長時間緩和成分と短時間緩和成分からなる下記の式(1)の回帰式を適用して、各成分の係数、定数から平衡収縮率を求める。
Figure 2019066747
上記式(1)中、τ1は短時間緩和成分の緩和時間、Cは短時間緩和成分より派生する定数項であり、τ2は長時間緩和成分の緩和時間、Cは長時間緩和成分より派生する定数項である。したがって、f01+C1は短時間緩和成分平衡収縮率を示し、f02+Cは長時間緩和成分平衡収縮率を示し、平衡収縮率はこれらの合計(f01+C+f02+C)となる。
なお、短時間緩和成分と長時間緩和成分の存在は、偏光フィルム中に短距離の構造と長距離の構造が共存していることを示しており、短距離はマトリックス、長距離は偏光子を結節点とする配向したネットワークと考えられる。
加熱処理における湿度は、10〜90%RH、好ましくは30〜85%RH、特に好ましくは40〜80%RH、更に好ましくは50〜75%RHに調湿される。加熱処理における湿度が低すぎると、平衡収縮率が2%以下の偏光フィルムが得られた場合でも、偏光フィルムの色調に劣る傾向がある。
なお、偏光フィルムは、通常、偏光板を作製するまでの間、乾燥状態(典型的には湿度0%RH)で保持される。
加熱処理の温度は、40℃以上が好ましく、特に好ましくは40〜100℃、更に好ましくは50〜90℃、殊に好ましくは60〜85℃である。加熱処理の温度が低すぎると、効果発現に要する時間が長くなる傾向がある。
加熱処理の時間は、30秒〜120分が好ましく、特に好ましくは40秒〜60分、更に好ましくは50秒〜10分、殊に好ましくは55秒〜5分である。加熱処理の時間が長すぎると直交透過光のUVスペクトルが短波長シフトし光学特性が最適範囲から移動する傾向があり、加熱処理の時間が短すぎると光学特性はむしろ良くなる傾向とはなるが、収縮率低減効果が不十分となる傾向がある。
上記の加熱処理の工程を経て得られた偏光フィルムの平衡収縮率は2%以下となるので、低収縮性であり、乾燥環境下に晒されたときでも収縮し難く、偏光板が変形し難い。また、かかる偏光フィルムは、偏光度のみならず、色目変化も起き難く光学特性が低下し難いという効果も得られる。
〔偏光板の製造方法〕
本発明の偏光フィルムの片面または両面に、接着剤を介して、光学的に等方性な樹脂フィルムを保護フィルムとして貼合することにより、偏光板が作製される。保護フィルムとしては、例えば、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンコポリマー、ポリスチレン、ポリエーテルスルホン、ポリアリーレンエステル、ポリ−4−メチルペンテン、ポリフェニレンオキサイド等のフィルムまたはシートが挙げられる。
貼合方法は、公知の手法で行なうことができ、例えば、液状の接着剤組成物を、偏光フィルム、保護フィルム、あるいはその両方に、均一に塗布した後、両者を貼り合わせて圧着し、加熱しまたは活性エネルギー線を照射することで行われる。
なお、偏光フィルムの片面または両面に、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ウレア樹脂等の硬化性樹脂を塗布し、硬化して硬化層を形成して偏光板とすることもできる。このようにすると、上記硬化層が上記保護フィルムの代わりとなり、薄膜化を図ることができる。
また、かかる偏光フィルム(またはその少なくとも片面に保護フィルムあるいは硬化性樹脂を積層したもの)は、その一方の表面に必要に応じて、透明な感圧性接着剤層が公知の方法で形成され、実用に供される場合もある。このような感圧性接着剤層を構成する感圧性接着剤としては、例えば、アクリル酸エステル(例えばアクリル酸ブチル、アクリル酸エチル、アクリル酸メチル、アクリル酸2−エチルヘキシル等)と、α−モノオレフィンカルボン酸(例えばアクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、メタクリル酸、クロトン酸等)との共重合物(アクリルニトリル、酢酸ビニル、スチロールの如きビニル単量体を添加したものも含む。)を主体とするものが、偏光フィルムの偏光特性を阻害し難いので特に好ましい。ただし、これらに限定されることなく、透明性を有する感圧性接着剤であれば使用可能であり、例えばポリビニルエーテル系、ゴム系等の感圧性接着剤を用いることもできる。
更に、かかる偏光フィルム(または偏光板)の片面に各種機能層を設けることも可能である。かかかる機能層としては、例えば、アンチグレア層、ハードコート層、アンチリフレクション層、ハーフリフレクション層、反射層、蓄光層、拡散層、エレクトロルミネッセンス層、視野角拡大層、輝度向上層等が挙げられる。また、これらの層から選ばれた2種以上の組み合わせをすることも可能であり、例えば、アンチグレア層とアンチリフレクション層、蓄光層と反射層、蓄光層とハーフリフレクション層、蓄光層と光拡散層、蓄光層とエレクトロルミネッセンス層、ハーフリフレクション層とエレクトロルミネッセンス層等の組み合わせが挙げられる。但し、機能層はこれらに限定されることはない。
以下、実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
なお、例中「部」とあるのは、重量基準を意味する。
以下の実施例および比較例における偏光フィルムの単体透過率および偏光度については、得られた偏光フィルムの幅方向の中央部から、長さ4cm×幅4cmの試験片を切り出し、自動偏光フィルム測定装置(日本分光社製:VAP7070)を用いて、偏光度(%)と単体透過率(%)を測定した。
また、偏光フィルムの平衡収縮率は前述の方法に従って測定した。
更に、色目変化については以下の方法により測定した。
(測定方法)
得られた偏光フィルムの幅方向の中央部から、長さ4cm×幅4cmの試験片を切り出し、自動偏光フィルム測定装置(日本分光社製:VAP7070)を用いて、700nmにおける直交透過率を測定し、下記式より波長700nmにおける吸光度を算出した。
吸光度(700nm)=−log(700nmにおける直交透過率(%)/100)
(偏光フィルムの製造)
厚さ60μmのPVA系フィルムを水温30℃の水槽に浸漬しつつ1.7倍に延伸した。次に、ヨウ素0.8g/L、ヨウ化カリウム30g/Lを含有する28℃の水溶液中に浸漬しつつ1.6倍に延伸し、ついでホウ酸40g/L、ヨウ化カリウム30g/Lの組成の水溶液(55℃)に浸漬するとともに、同時に2.2倍に一軸延伸しつつホウ酸処理を行なった。その後、ヨウ化カリウム水溶液で洗浄を行い、80℃で1分間乾燥して総延伸倍率6.0倍の偏光フィルムを得た。
得られた偏光フィルムの光学特性は、単体透過率が43.5%、偏光度が99.99%、波長700nmの吸光度が3.5であった。
また偏光フィルムのDMAクリープを行い、その結果から平衡収縮率を算出したところ、2.51%であった。
〔実施例1〕
得られた偏光フィルムを用いて、74%RH調湿条件下、80℃加熱処理を1分間行なった。
処理後の偏光フィルムの光学特性、平衡収縮率を表1に示す。
〔比較例1〕
得られた偏光フィルムを用いて、80℃の加熱処理を1分間行った。なお、湿度は0%RHである。
処理後の偏光フィルムの光学特性、平衡収縮率を表1に示す。
〔比較例2〕
得られた偏光フィルムを用いて、80℃の加熱処理を120分間行った。なお、湿度は0%RHである。
処理後の偏光フィルムの光学特性、平衡収縮率を表1に示す。
Figure 2019066747
実施例1〜3の偏光フィルムは、加熱調湿処理することで、平衡収縮率が2%以下であり、かつ直交時の700nmの吸光度が3.0以上であることから、収縮性が小さく、色調の優れた偏光フィルムが得られたことがわかる。
これに対して、比較例1の偏光フィルムは、平衡収縮率が2%以上であることから、収縮性に劣ることがわかる。比較例2の偏光フィルムは高温加熱処理(調湿なし)することで、平衡収縮率は2%以下と小さくなり収縮性には優れている。しかし、直交時の波長700nmの吸光度が3.0未満となりクロスニコル時に赤くなったことから色調に劣った偏光フィルムとなっていることがわかる。
本発明の製造方法により得られた偏光フィルムは、偏光性能に優れており、例えば、携帯情報端末機、パソコン、テレビ、プロジェクター、サイネージ、電子卓上計算機、電子時計、ワープロ、電子ペーパー、ゲーム機、ビデオ、カメラ、フォトアルバム、温度計、オーディオ、自動車や機械類の計器類等の液晶表示装置、サングラス、防眩メガネ、立体メガネ、ウェアラブルディスプレイ、表示素子(CRT、LCD、有機EL、電子ペーパー等)用反射防止層、光通信機器、医療機器、建築材料、玩具等に好ましく用いられる。

Claims (3)

  1. 平衡収縮率が2%以下の偏光フィルムを製造する方法であって、
    10〜90%RHの調湿条件下で、偏光フィルムに加熱処理を行なう工程を含むことを特徴とする偏光フィルムの製造方法。
  2. 加熱処理の温度が40℃以上であることを特徴とする請求項1に記載の偏光フィルムの製造方法。
  3. 加熱処理の時間が30秒〜120分であることを特徴とする請求項1または2に記載の偏光フィルムの製造方法。
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