JP2009078440A - 流延ダイ、溶液製膜設備及び溶液製膜方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】流延ダイ52は、積層ドープ61が通過するスロット106を有する。スロット106は、第1スロット部111、第2スロット部112及び第1幅縮小スロット部116を有する。第2スロット部112は、方向SDの流路幅が、第1スロット部111の方向SDの流路幅よりも狭く、第1幅縮小スロット部116は、方向SDの流路幅が、第1スロット部111側から第2スロット部112側に向かうに従い次第に狭くなるように形成される。スロット106の方向SDの流路幅は、内壁面100a、101aによって決定される。また、1対の内壁面100a、101aは、対称面SFに対して、面対称に形成される。ここで、対称面SFとは、方向B1に直交する断面において、内壁面100aと内壁面101aとの間に位置し、方向LDと略平行な直線として現れる平面である。
【選択図】図5
Description
図1に、本実施形態で用いるフイルム製造ライン10の概略図を示す。フイルム製造ライン10は、流延室12とピンテンタ13とクリップテンタ14と乾燥室15と冷却室16と巻取室17とを有する。
本実施形態では、中間層を形成するドープ、いわゆる主ドープとして中間層用ドープ39aを用い、裏面層を形成するドープ及び表面層を形成するドープ、いわゆる副ドープとして、裏面層用ドープ39b及び表面層用ドープ39cをそれぞれ用いる。中間層用ドープ39aとしては、製造する光学機能性フイルムの強度や光学的機能に適するドープを用い、ドープ39b、39cとしては、光学機能性フイルムの平面性や滑り性を良くするためのドープを用いる。また、上記に加え、ドープ39b、39cとして、中間層用ドープ39aよりも粘性が低いものを用いることが好ましい。これにより、後述する流延膜や湿潤フイルムの表面におけるスジやムラの生成や、厚さムラなどを防ぐことができる。
なお、中間層用ドープ39aに含まれるポリマー濃度は、15重量%以上30重量%以下であることが好ましく、20重量%以上25重量%以下であることがより好ましい。表層形成用ドープに含まれるポリマー濃度は、10重量%以上25重量%以下であることが好ましく、15重量%以上25重量%以下であることがより好ましく、19重量%以上22重量%以下であることが特に好ましい。
図1及び図2のように、流延ドラム54は、制御部60の制御の下、図示を省略した駆動装置により軸54aを中心に、方向Z1へ回転する。流延ドラム54の回転により、周面54bは方向Z1へ所定の速度ZVで走行する。温調装置56は、制御部60の制御の下、所望の温度に調節された伝熱媒体を、流延ドラム54内に設けられる流路中を循環させる。この伝熱媒体の循環により、流延ドラム54の周面54bの温度を所望の温度TSに保つことができる。
図3のように、フィードブロック51は、流路30a〜30cと接続する第1〜第3流入口91a〜91cと、流延ダイ52と接続する流出口92と、第1流入口91a及び流出口92を接続する主流路93とを備える。副流路94bは、第2流入口91bと主流路93とを連通し、副流路94cは、第3流入口91cと主流路93とを連通する。副流路94b、94cとの連通部よりも下流側の主流路93に合流部95が設けられる。合流部95では、各ドープ39a〜39cが方向SDにおいて層をなす積層ドープ61がつくられる。主流路93との連通部の直前の副流路94b、94cには、円柱状に形成されたディストリビューションピン96b、96cが、横たわるように設けられる。なお、方向SDとは、流出口105の近傍における流延ドラム54(図2参照)の周面54b(図2参照)の走行方向を指す。
図5及び図6のように、流延ダイ52は、リップ板100、101と側板102、103とから構成され、フィードブロック51の流出口92と連通する流入口104と、積層ドープ61を流出する流出口105と、流入口104と流出口105とを連通するスロット106と、を備える。流出口105は、流延ダイ52の先端に設けられる。
以下、本発明においてドープ24を調製する際に使用する原料について説明する。
(I) 2.5≦A+B≦3.0
(II) 0≦A≦3.0
(III) 0≦B≦2.9
ドープを調製する溶媒としては、芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン,トルエンなど)、ハロゲン化炭化水素(例えば、ジクロロメタン,クロロベンゼンなど)、アルコール(例えば、メタノール,エタノール,n−プロパノール,n−ブタノール,ジエチレングリコールなど)、ケトン(例えば、アセトン,メチルエチルケトンなど)、エステル(例えば、酢酸メチル,酢酸エチル,酢酸プロピルなど)およびエーテル(例えば、テトラヒドロフラン,メチルセロソルブなど)などが挙げられる。なお、本発明においてドープとは、ポリマーを溶媒に溶解または分散させることで得られるポリマー溶液または分散液を意味している。
ドープ24の調製に用いた化合物の処方を下記に示す。
セルローストリアセテート(置換度2.8) 89.3重量%
可塑剤A(トリフェニルフォスフェート) 7.1重量%
可塑剤B(ビフェニルジフェニルフォスフェート) 3.6重量%
の組成比からなる固形分(溶質)を
ジクロロメタン 80重量%
メタノール 13.5重量%
n−ブタノール 6.5重量%
からなる混合溶媒に適宜添加し、攪拌溶解してドープ24を調製した。なお、ドープ24のTAC濃度は略23重量%になるように調整した。ドープ24を濾紙(東洋濾紙(株)製,#63LB)にて濾過後さらに焼結金属フィルタ(日本精線(株)製06N,公称孔径10μm)で濾過し、さらにメッシュフイルタで濾過した後にストックタンク20に入れた。
なお、ここで使用したセルローストリアセテートは、残存酢酸量が0.1重量%以下であり、Ca含有率が58ppm、Mg含有率が42ppm、Fe含有率が0.5ppmであり、遊離酢酸40ppm、さらに硫酸イオンを15ppm含むものであった。また6位水酸基の水素に対するアセチル基の置換度は0.91であった。また、全アセチル基中の32.5%が6位の水酸基の水素が置換されたアセチル基であった。また、このTACをアセトンで抽出したアセトン抽出分は8重量%であり、その重量平均分子量/数平均分子量比は2.5であった。また、得られたTACのイエローインデックスは1.7であり、ヘイズは0.08、透明度は93.5%であった。このTACは、綿から採取したセルロースを原料として合成されたものである。以下の説明において、これを綿原料TACと称する。
θ1〜θ3は、それぞれ、35°、35°、35°であった。
リップ板101に代えて、方向B1との角度θ2が0°である内壁面を備えるリップ板を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、フイルムを製造した。
リップ板101に代えて、方向B1との角度θ1〜θ3が、それぞれ、0°、0°、0°である内壁面を備えるリップ板を用いたこと以外は、実施例2と同様にして、フイルムを製造した。
各実施例及び比較例における製造条件及び評価結果を、表1に纏めて示す。なお、表1中の評価結果は、裏面層と表面層との膜厚差の評価結果であり、評価方法は次のとおりである。
ΔTHが1.3%未満・・裏面層と表面層との膜厚が略等しい(◎)。
ΔTHが1.3%以上2%未満・・裏面層と表面層との膜厚に若干の差が生じている(○)。
ΔTHが2%以上・・裏面層と表面層との膜厚に、大きな差が生じている(×)。
12 流延室
13 ピンテンタ
14 クリップテンタ
15 乾燥室
16 冷却室
17 巻取室
20 ストックタンク
22 フイルム
24 ドープ
51 フィードブロック
52、152 流延ダイ
53 流延膜
54 流延ドラム
54a 軸
54b 周面
55 剥取ローラ
61 積層ドープ
93 主流路
94b、94c 副流路
106 スリット
111〜113 第1〜第3スロット部
116〜117 第1〜第2接続スロット部
111a〜113a、116a、117a 内壁面
171〜172 湾曲接続面
154 第4スロット部
Claims (14)
- ポリマーと溶媒とを含むドープが供給される供給口と、前記ドープが流延ビードとして流延される流出口と、前記供給口と前記流出口とを連通するスロットとを有し、前記ドープの流出方向に直交する断面における前記スロットの形状が、第1方向に長い1対の第1内壁面と前記第1方向に直交する第2方向に短い1対の第2内壁面とによりスリット状に形成されている流延ダイにおいて、
前記スロットは、
前記流出口の上流側に設けられる第1スロット部と、
前記第1スロット部の上流側に設けられ、前記1対の第1内壁面間の流路幅が前記第1スロット部のものよりも広い第2スロット部と、
前記第1スロット部と前記第2スロット部との間に設けられ、前記1対の第1内壁面間の流路幅が前記第1スロット部から前記第2スロット部に向かうに従い次第に広くなる第1接続スロット部とを有し、
前記各スロット部は、前記流出口の前記第2方向における中心を通り前記1対の第1内壁面に平行な中心面を対称面として、前記1対の第1内壁面が面対称に形成されることを特徴とする流延ダイ。 - 前記第2スロット部の上流側に設けられ、前記1対の第1内壁面間の流路幅が前記第2スロット部のものよりも広い第3スロット部と、
前記第2スロット部と前記第3スロット部との間に設けられ、前記1対の第1内壁面間の流路幅が前記第2スロット部から前記第3スロット部に向かうに従い次第に広くなる第2接続スロット部とを有し、
前記第3スロット部及び前記第2接続スロット部の前記1対の第1内壁面が前記中心面を対称面として、面対称に形成されていることを特徴とする請求項1記載の流延ダイ。 - 前記第2スロット部の上流側に設けられ、前記1対の第1内壁面間の流路幅が前記第2スロット部のものよりも広い第1ポケット部を備え、
前記第1ポケット部は、前記第2スロット部との間で下流側から順に、
前記1対の第1内壁面間の流路幅が上流側に向かうに従い次第に広くなる縮流内壁面と、
前記1対の第1内壁面間の流路幅が変わらないポケット本体内壁面と、
前記1対の第1内壁面間の流路幅が上流側に向かうに従い次第に狭くなる拡流内壁面と、
を有すること特徴とする請求項1または2記載の流延ダイ。 - 前記1対の第1内壁面に沿って副ドープを、前記副ドープ間に主ドープを積層状に供給する積層ドープ供給部を有することを特徴とする請求項1ないし3のうちいずれか1項記載の流延ダイ。
- 前記第1接続スロット部の前記第1内壁面と前記第1スロット部の前記第1内壁面との接合部、または、前記第1接続スロット部の前記第1内壁面と前記第2スロット部の前記第1内壁面との接合部を断面略円弧状に面取りした第1湾曲接続面を備えることを特徴とする請求項1ないし4のうちいずれか1項記載の流延ダイ。
- 前記第2接続スロット部の前記第1内壁面と前記第2スロット部の前記第1内壁面との接合部、または、前記第2接続スロット部の前記第1内壁面と前記第3スロット部の前記第1内壁面との接合部を断面略円弧状に面取りした第2湾曲接続面を備えることを特徴とする請求項2ないし5のうちいずれか1項記載の流延ダイ。
- 前記第1湾曲接続面、または前記第2湾曲接続面の曲率半径が、1mm以上20mm以下であることを特徴とする請求項5または6記載の流延ダイ。
- 前記第1接続スロット部の前記1対の第1内壁面に形成され、前記第1スロット部及び前記第2スロット部の前記1対の第1内壁面よりも動摩擦係数が小さい低摩擦層を備えることを特徴とする請求項1ないし7のうちいずれか1項記載の流延ダイ。
- 前記第2接続スロット部の前記1対の第1内壁面に形成され、前記第2スロット部及び前記第3スロット部の前記1対の第1内壁面よりも動摩擦係数が小さい低摩擦層を備えることを特徴とする請求項2ないし8のうちいずれか1項記載の流延ダイ。
- 請求項1ないし9のうちいずれか1項記載の流延ダイと、
前記流延ダイに前記ドープを供給するドープ供給装置と、
前記流延ビードを支持して流延膜を形成する支持体と、
前記支持体上で自己支持性を有するに至った前記流延膜を、前記支持体から剥ぎ取り乾燥する乾燥装置とを備えることを特徴とする溶液製膜設備。 - 前記支持体の走行速度が40m/分以上であることを特徴とする請求項10記載の溶液製膜設備。
- 前記支持体が、軸を中心に回転するドラムであることを特徴とする請求項10または11記載の溶液製膜設備。
- 請求項1ないし9のうちいずれか1項記載の流延ダイを用いて、前記ドープを支持体上に流出し、
前記支持体上の前記ドープから前記流延膜を形成し、
前記支持体から剥ぎ取った前記流延膜を乾燥することを特徴とする溶液製膜方法。 - 前記ドープは、セルロースアシレートを含むことを特徴とする請求項13記載の溶液製膜方法。
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