JP4989424B2 - 積層フイルムの製造方法及びその製造設備 - Google Patents

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Description

本発明は、積層フイルムの製造方法及びその製造設備に関する。
ポリマーフイルム(以下、フイルムと称する)は、優れた光透過性や柔軟性および軽量薄膜化が可能であるなどの特長から光学機能性フイルムとして多岐に利用されている。中でも、セルロースアシレートなどを用いたセルロースエステル系フイルムは、高い強靭性、低い光学的異方性、そして、低いレターデーションを有し、更に安価であることから、液晶表示装置(LCD)の構成部材である偏光板の保護フイルム、光学補償フイルム、反射防止フイルムや視野角拡大フイルムなどに広く用いられている。
これらの光学機能性フイルムの製造方法として、溶液製膜方法が用いられる。溶液製膜方法は、メルトキャスト法などの他の製造方法と比較して、光学的性質や物性が優れたフイルムを製造することができる。溶液製膜方法は、ポリマーを溶媒(主に有機溶媒)に溶解してドープを調製した後に、このドープをバンドやドラムなどの支持体に流延して、流延膜を形成し、流延膜を乾燥または冷却した後、この流延膜を剥ぎ取って乾燥してフイルムとするものである。
ところで、このフイルムを写真感光材料や光学材料の支持体などの光学機能性フイルムとして用いる場合には、前述の光学特性等が優れていることは当然必要であるが、これに加えて、フイルム全体の厚みが均一であることが要求される。光学的特性のムラを誘発するとされる厚さムラの抑制は、光学機能性フイルムの製造方法において重要な課題である。
例えば、流延直後の流延膜が厚みムラを有する場合、この流延膜を用いてそのまま製膜しても、最終的なフイルムに厚みムラが残ってしまう。流延膜における厚みムラは、乾燥工程などの後処理がフイルム全体に均一に行われることを阻害するため、結果として、形状や光学的特性のムラを誘発する。したがって、流延膜を形成する前、すなわち、流延ビードの時点で厚みムラを取り除くことが必要になるが、現時点では、流延中に流延ビードの表面を平滑化する手法は確立されていない。この厚さムラを抑制する光学機能性フイルムの製造方法として、上述した溶液製膜方法に代えて、光学機能性フイルムの主要部を形成する層(以下、基層と称する)と基層の片面或いは両面に露出する層(以下、表層と称する)とからなる積層フイルムを製造することができる積層流延法が用いられることが多い。
積層流延法では、特許文献1に記載されるように、フィードブロックを用いて、粘度の高い樹脂溶液と粘度の低い樹脂溶液とをそれぞれの流路から送液して高粘度樹脂溶液流及び低粘度樹脂溶液流とし、これらをフィードブロックの合流部で合流させて、基層と表層とを含む積層ドープを生成する。そして、流延ダイを介して、支持体上にこの積層ドープを流出し、積層流延膜を形成する。乾燥または冷却された積層流延膜は、支持体から剥がされ、乾燥工程など所定の後工程を経て、製品の積層フイルムとなる。そして、この積層流延法において、基層形成用ドープとして光学機能性フイルムの強度や光学的機能に適するドープを用い、表層形成用ドープとして平面性や滑り性を良くするためのドープを用いるため、光学機能性フイルム全体の強靭性や光学特性などを損なうことなく、表面の平面性や滑り性を向上させることができる。
特開2002−221620号公報
近年、LCDや有機ELディスプレイなどの薄型表示装置の需要の急速な伸長に伴い、積層流延法の製膜速度の向上が強く望まれている。積層流延法の高速化のためには、積層ドープの流出速度の向上が必要になる。ところが、ダイリップから吐出した積層ドープには、その幅方向における厚みムラが生じ、特に、流延ダイのリップにおける積層ドープの流出速度が100m/分(従来の流出速度:100m/分未満)の場合には、厚みムラの発生が顕著になることがわかった。
本発明者は、鋭意検討の結果、流出速度の向上に伴って生じた流出直後の積層ドープの厚みムラが、フィードブロックの合流部における基層と表層との界面の乱れに起因すること、そして、フィードブロックの入口や合流部における基層形成用ドープ及び表層形成用ドープの速度等を所定の条件にすることにより、この界面の乱れが抑えられることを見出した。
本発明は、上記課題に鑑み、高速の流出速度下における積層ドープ内の界面の乱れを抑制し、厚みムラが抑制された積層フイルムの製造方法とその製造設備を提供することを目的とする。
本発明は、フィードブロック内で第1ドープと第2ドープとを合流させて積層ドープを生成し、前記積層ドープを走行する支持体上に流出し、前記支持体上の前記積層ドープから積層流延膜を形成し、この積層流延膜を前記支持体から剥ぎ取り、乾燥する積層フイルムの製造方法において、前記第1ドープを前記フィードブロックに形成された第1入口から前記フィードブロック内に供給し、前記第2ドープを前記フィードブロックに形成された第2入口から前記フィードブロック内に供給し、前記第1入口と前記第2入口と接続する合流部にて、前記第1入口と前記合流部とを連通する第1流路を通過した前記第1ドープと、前記第2入口と前記合流部を連通し、前記第2ドープが流れる方向と直交する断面の面積が前記第2入口から前記合流部に向かうに従い小さくなるように形成された第2流路を通過した前記第2ドープとを合流させて、前記積層ドープを生成し、前記第2入口における前記第2ドープの流速をVi2とし、前記合流部における前記第2ドープの流速をVo2とするときに、Vo2/Vi2の値が3以上10以下の範囲内で略一定となるように前記第2ドープを前記第2入口から前記合流部へ送ることを特徴とする。
前記第2ドープの粘度が前記第1ドープの粘度よりも低く、前記合流部における前記第1ドープの流速をVo1とするときに、Vo2/Vo1の値が0.1以上1以下の範囲内で略一定となるように、前記第1ドープと前記第2ドープとを前記合流部へ送ることが好ましい。
前記第1ドープが流れる方向と直交する断面の面積が前記第1入口から前記合流部に向かって略同一になるように形成された前記第1流路を介して、前記第1ドープを前記合流部に送ることが好ましい。また、前記第2ドープを前記第2入口に供給する第2ドープ供給手段を用いて、前記第2入口における前記第2ドープの流速Vi2を調節し、前記合流部近傍の前記第2流路に設けられた調節手段を用いて、前記合流部における前記第2ドープの流速Vo2を調節することが好ましい。更に、前記第1ドープを前記第1入口に供給する第1ドープ供給手段を用いて、前記合流部における前記第1ドープの流速Vo1を調節し、前記合流部近傍の前記第2流路に設けられた調節手段を用いて、前記合流部における前記第2ドープの流速Vo2を調節することが好ましい。
また、本発明は、フィードブロック内で第1ドープと第2ドープとを合流させて積層ドープを生成し、前記積層ドープを流出する流出装置と、走行し、前記流出装置から流出する前記積層ドープからフイルム状の積層流延膜を形成する支持体と、前記積層流延膜を前記支持体から剥ぎ取って、乾燥し、積層フイルムとする乾燥手段とを有する積層フイルムの製造設備において、前記フィードブロックが、第1ドープが供給される第1入口と、第2ドープが供給される第2入口と、前記第1入口と前記第2入口と接続し、前記第2ドープと前記第1ドープとを合流させて前記積層ドープを生成する合流部と、前記第2入口と前記合流部とを連通し、前記第2ドープが流れる方向と直交する断面の面積が前記第2入口から前記合流部に向かうに従い小さくなるように形成された前記第2流路と、前記合流部近傍の前記第2流路に設けられ、前記合流部における前記第2ドープの流速Vo2を調節する調節手段と、を備え、前記第1ドープを前記第1入口に供給する第1ドープ供給手段と、前記第2ドープを流速Vi2で前記第2入口に供給する第2ドープ供給手段と、Vo2/Vi2の値が3以上10以下の範囲内で略一定となるように前記第2ドープ供給手段と前記調節手段とを独立して制御する制御手段と、を有することを特徴とする。
前記合流部における前記第1ドープの流速をVo1とするときに、前記制御手段が、Vo2/Vo1の値が0.1以上1以下の範囲内で略一定となるように、前記第1ドープ供給手段と前記第2ドープ供給手段と前記調節手段とのうち少なくとも1つを独立して制御することが好ましい。
前記第1入口と前記合流部とを連通し、前記第1ドープが流れる方向と直交する断面の面積が前記第1入口から前記合流部に向かって略同一になるように形成された第1流路を備えることが好ましい。また、前記調節手段が、前記合流部近傍の前記第2流路の前記断面の面積を調節するディストリビューションピンであることが好ましい。更に、前記流延装置は、前記フィードブロックと、前記フィードブロックにて生成した前記積層ドープを、前記支持体に流出する流延ダイと、を備えることが好ましい。
本発明の流出方法及び流出装置によれば、高速の流出速度下においても、積層ドープ中の界面の乱れを抑制することができるため、界面の不安定化に起因する積層ドープの厚さムラを抑制することが可能になる。また、本発明の積層フイルムの製造方法及びその製造設備は、上記流出方法及び流出装置を用いるため、厚さムラや、厚さムラに起因する光学特性のムラが抑えられた積層フイルムを短時間に大量に製造することができる。
以下に、本発明の実施態様について詳細に説明する。ただし、本発明はここに挙げる実施形態に限定されるものではない。
[原料]
セルロースアシレートは、セルロースの水酸基への置換度が下記式(I)〜(III)の全てを満足するセルロースアシレートを用いることが好ましい。以下、下記式を満たすセルロースアシレートをTACと称する。
(I) 2.5≦A+B≦3.0
(II) 0≦A≦3.0
(III) 0≦B≦2.9
但し、式中A及びBは、セルロースの水酸基の水素原子に対するアシル基の置換度を表わし、Aはセルロースの水酸基の水素原子に対するアセチル基の置換度、またBはセルロースの水酸基の水素原子に対する炭素原子数3〜22のアシル基の置換度である。なお、TACの90重量%以上が0.1mm〜4mmの粒子を用いることが好ましい。なお、本発明に用いられるポリマーはTACに限定されるものではない。ポリマーは溶媒に溶解でき、ドープとして使用できる、いかなる公知のものであってもよい。
セルロースを構成するβ−1,4結合しているグルコース単位は、2位,3位及び6位に遊離の水酸基を有している。セルロースアシレートは、これらの水酸基の一部または全部を炭素数2以上のアシル基によりエステル化した重合体(ポリマー)である。アシル置換度は、2位,3位及び6位それぞれについて、セルロースの水酸基がエステル化している割合(100%のエステル化は置換度1)を意味する。
全アシル置換度、即ち、DS2+DS3+DS6は2.00上〜3.00が好ましく、より好ましくは2.22〜2.90であり、特に好ましくは2.40〜2.88である。また、DS6/(DS2+DS3+DS6)は0.28以上が好ましく、より好ましくは0.30以上、特に好ましくは0.31〜0.34である。ここで、DS2はグルコース単位の2位の水酸基のアシル基による置換度(以下、「2位のアシル置換度」とも言う)であり、DS3は3位の水酸基のアシル基による置換度(以下、「3位のアシル置換度」とも言う)であり、DS6は6位の水酸基のアシル基による置換度(以下、「6位のアシル置換度」とも言う)である。
本発明のセルロースアシレートに用いられるアシル基は1種類だけでも良いし、あるいは2種類以上のアシル基が使用されていても良い。2種類以上のアシル基を用いるときは、その1つがアセチル基であることが好ましい。2位,3位及び6位の水酸基のアセチル基による置換度の総和をDSAとし、2位,3位及び6位の水酸基のアセチル基以外のアシル基による置換度の総和をDSBとすると、DSA+DSBの値は、より好ましくは2.2〜2.90であり、特に好ましくは2.40〜2.88である。また、DSBは0.30以上であることが好ましく、特に好ましくは0.7以上である。さらにDSBはその20%以上が6位水酸基の置換基であるが、より好ましくは25%以上が6位水酸基の置換基であり、特には33%以上が6位水酸基の置換基であることが好ましい。また更に、セルロースアシレートの6位の置換度が0.75以上であることが好ましく、さらに好ましくは0.80以上であり特に好ましくは0.85以上であるセルロースアシレートを用いることである。これらのセルロースアシレートにより溶解性の好ましい溶液(ドープ)が作製できる。特に非塩素系有機溶媒において、良好な溶液の作製が可能となる。更に粘度が低く濾過性の良い溶液の作製が可能となる。
セルロースアシレートは、リンター,パルプのどちらから得られたものでも良いが、リンターから得られたものが好ましい。
本発明のセルロースアシレートの炭素数2以上のアシル基としては、脂肪族基でもアリール基でも良く特に限定されない。それらは、例えばセルロースのアルキルカルボニルエステル、アルケニルカルボニルエステルあるいは芳香族カルボニルエステル、芳香族アルキルカルボニルエステルなどであり、それぞれさらに置換された基を有していても良い。これらの好ましい例としては、プロピオニル基、ブタノイル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基、オクタノイル基、デカノイル基、ドデカノイル基、トリデカノイル基、テトラデカノイル基、ヘキサデカノイル基、オクタデカノイル基、iso−ブタノイル基、t−ブタノイル基、シクロヘキサンカルボニル基、オレオイル基、ベンゾイル基、ナフチルカルボニル基、シンナモイル基などを挙げることができる。これらの中でも、プロピオニル基、ブタノイル基、ドデカノイル基、オクタデカノイル基、t−ブタノイル基、オレオイル基、ベンゾイル基、ナフチルカルボニル基、シンナモイル基などがより好ましく、特に好ましくはプロピオニル基、ブタノイル基である。
ドープを調製する溶媒としては、芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン,トルエンなど)、ハロゲン化炭化水素(例えば、ジクロロメタン,クロロベンゼンなど)、アルコール(例えば、メタノール,エタノール,n−プロパノール,n−ブタノール,ジエチレングリコールなど)、ケトン(例えば、アセトン,メチルエチルケトンなど)、エステル(例えば、酢酸メチル,酢酸エチル,酢酸プロピルなど)及びエーテル(例えば、テトラヒドロフラン,メチルセロソルブなど)などが挙げられる。なお、本発明において、ドープとはポリマーを溶媒に溶解または分散して得られるポリマー溶液または分散液を意味している。
炭素原子数1〜7のハロゲン化炭化水素が好ましく用いられ、ジクロロメタンが最も好ましく用いられる。TACの溶解性、流延膜の支持体からの剥ぎ取り性、フイルムの機械的強度など及びフイルムの光学特性などの物性の観点から、ジクロロメタンの他に炭素原子数1〜5のアルコールを一種ないし数種類混合することが好ましい。アルコールの含有量は、溶媒全体に対し2重量%〜25重量%が好ましく、5重量%〜20重量%がより好ましい。アルコールの具体例としては、メタノール,エタノール,n−プロパノール,イソプロパノール,n−ブタノールなどが挙げられるが、メタノール,エタノール,n−ブタノールあるいはこれらの混合物が好ましく用いられる。
最近、環境に対する影響を最小限に抑えるため、ジクロロメタンを用いない溶媒組成も提案されている。この目的に対しては、炭素原子数が4〜12のエーテル、炭素原子数が3〜12のケトン、炭素原子数が3〜12のエステルが好ましく、特に酢酸メチルが好ましく用いられる。また、これらを適宜混合して用いる。これらのエーテル、ケトン及びエステルは、環状構造を有していてもよい。エーテル、ケトン及びエステルの官能基(すなわち、−O−,−CO−及び−COO−)のいずれかを2つ以上有する化合物も、溶媒として用いることができる。溶媒は、アルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。2種類以上の官能基を有する溶媒の場合、その炭素原子数は、いずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内であれば良い。
セルロースアシレートの詳細については、特開2005−104148号の[0140]段落から[0195]段落に記載されている。これらの記載は本発明にも適用できる。また、溶媒及び可塑剤,劣化防止剤,紫外線吸収剤,光学異方性コントロール剤,レターデーション制御剤,染料,マット剤,剥離剤などの添加剤、同じく特開2005−104148号の[0196]段落から[0516]段落に詳細に記載されている。
[ドープ製造方法]
図1にドープ製造ライン10を示す。ドープ製造ライン10には、溶媒を貯留するための溶媒タンク11と、溶媒とTACなどとを混合するための溶解タンク13と、TACを供給するためのホッパ14、添加剤液を貯留するための添加剤タンク15とが備えられている。さらに、後述する膨潤液を加熱するための加熱装置26と、調製されたドープの温度を調整する温調機27と、濾過装置28とを備えている。さらに、調製されたドープを濃縮するフラッシュ装置31,濾過装置35なども備えられている。また、溶媒を回収するための回収装置32と、回収された溶媒を再生するための再生装置33とが備えられている。そして、ドープ製造ライン10には、ストックタンク30を介してフイルム製膜ライン40が接続されている。
初めに、溶媒タンク11と溶解タンク13とを接続する配管に設けられたバルブ12を開き、溶媒を溶媒タンク11から溶解タンク13に送る。次に、ホッパ14に入れられているTACを計量しながら溶解タンク13に送り込む。添加剤タンク15と溶解タンク13とを接続する配管に設けられたバルブ16の開閉操作を行って、必要量の添加剤溶液を添加剤タンク15から溶解タンク13に送り込む。なお、添加剤は溶液として送り込む方法以外にも、例えば添加剤が常温で液体の場合には、その液体の状態で溶解タンク13に送り込むことも可能である。また、添加剤が固体の場合には、ホッパを用いて溶解タンク13に送り込むことも可能である。添加剤を複数種類添加する場合には、添加剤タンク15中に複数種類の添加剤を溶解させた溶液を入れておくこともできる。または、多数の添加剤タンクを用いてそれぞれに添加剤が溶解している溶液を入れて、それぞれ独立した配管により溶解タンク13に送り込むこともできる。
前述した説明においては、溶解タンク13に入れる順番が、溶媒(混合溶媒の場合も含めた意味で用いる)、TAC、添加剤であったが、この順番に限定されるものではない。TACを計量しながら溶解タンク13に送り込んだ後に、好ましい量の溶媒を送液することもできる。また、添加剤は必ずしも溶解タンク13に予め入れる必要はなく、後の工程でTACと溶媒との混合物(以下、これらの混合物もドープと称する場合がある)に混合させることもできる。
溶解タンク13には、その外面を包み込むジャケット17と、モータ18により回転する第1攪拌機19とが備えられている。さらに、溶解タンク13には、モータ20により回転する第2攪拌翼21が取り付けられていることが好ましい。なお、第1攪拌翼19は、アンカー翼であることが好ましく、第2攪拌翼21は、ディゾルバータイプのものを用いることが好ましい。ジャケット17に伝熱媒体を流して溶解タンク13内を−10℃〜55℃の範囲に温度調整することが好ましい。第1攪拌翼19,第2攪拌翼21を適宜選択して回転させることでTACが溶媒中で膨潤した膨潤液22を得ることができる。
膨潤液22をポンプ25により加熱装置26に送液する。加熱装置26は、ジャケット付き配管を用いることが好ましく、更に膨潤液22を加圧できる構成であることが好ましい。膨潤液22を加熱または加圧加熱条件下でTACなどを溶媒に溶解させてドープを得る。なお、この場合に膨潤液22の温度は、0℃〜97℃であることが好ましい。加熱溶解法及び冷却溶解法を適宜選択して行うことでTACを溶媒に十分溶解させることが可能となる。温調機27によりドープの温度を略室温とした後に、濾過装置28により濾過を行いドープ中の不純物を取り除く。濾過装置28の濾過フィルタの平均孔径が100μm以下であることが好ましい。また、濾過流量は、50L/時以上であることが好ましい。濾過後のドープは、バルブ29を介してストックタンク30に入れられる。
前記ドープは、後述する原料ドープとして用いることが可能である。しかしながら、膨潤液22を調製した後にTACを溶解させる方法は、TACの濃度を上昇させるほど時間がかかりコストの点で問題が生じる場合がある。その場合には、目的とするTAC濃度より低濃度のドープを調製した後に目的とする濃度のドープを調製する濃縮工程を行うことが好ましい。濾過装置28で濾過されたドープを、バルブ29を介してフラッシュ装置31に送液する。フラッシュ装置31内でドープ中の溶媒の一部を蒸発させる。蒸発した溶媒は、凝縮器(図示しない)により液体とした後に回収装置32で回収する。その溶媒は再生装置33によりドープ調製用の溶媒として再生を行い再利用することがコストの点から有利である。
濃縮されたドープをフラッシュ装置31からポンプ34を用いて抜き出す。さらに、ドープ中の泡抜きを行うことが好ましい。泡抜きは、公知のいずれの方法により行っても良く、例えば超音波照射法が挙げられる。その後に濾過装置35に送液して異物の除去を行う。なお、この際にドープの温度が0℃〜200℃であることが好ましい。そして、ストックタンク30にドープを入れる。
これらの方法により、TAC濃度が5重量%〜40重量%のドープを製造することができる。なお、製造されたドープ(以下、原料ドープと称する)36は、ストックタンク30に貯蔵される。
上述したドープ製造ライン10での、素材、原料、添加剤の溶解方法、濾過方法、脱泡、添加方法については、特開2005−104148号の[0517]段落から[0616]段落が詳しい。これらの記載も本発明に適用できる。
[溶液製膜方法]
図2にフイルム製膜ライン40を示す。ストックタンク30には、モータ41で回転する攪拌翼42が取り付けられている。攪拌翼42を回転させることで原料ドープ36を攪拌して常に濃度等を均一にしている。ストックタンク30と後述するフィードブロックとの間には、中間層用ドープ流路43と裏面用ドープ流路44と表面層用ドープ流路45とが接続されている。原料ドープ36は、それぞれの流路43,44,45に設けられているポンプ46,47,48により送液される。ポンプ46,47,48は、図示しない制御部に接続する。この制御部により、ポンプ46,47,48は、所定の流量で各ドープを送り出す。
(ポンプ)
ポンプ46〜48は、中間層用ドープ54,裏面層用ドープ59,表面層用ドープ64を所定の流量でフィードブロック70に送液する。このポンプ46〜48としては、ギアポンプを用いることが好ましい。このギアポンプとしては、公知のギアポンプであればいずれでもよい。
中間層用ドープ流路43には、配管を介してストックタンク50が接続する。ストックタンク50には、中間層用添加液51が貯留する。流路43とストックタンク50とを接続する配管には、ポンプ52が設けられる。ストックタンク50中の中間層用添加液51は、ポンプ52により中間層用ドープ流路43に送液され、中間層用ドープ流路43中の原料ドープ36に添加される。その後、原料ドープ36と中間層用添加液51とは、中間層用ドープ流路43に設けられる静止型混合器(スタティックミキサ)53により攪拌混合されて均一となる。以下、このドープを中間層用ドープ54と称する。中間層用添加液51には、例えば紫外線吸収剤,レターデーション制御剤や可塑剤などの添加剤が予め含まれた溶液(または分散液)が入れられている。
裏面用ドープ流路44には、配管を介してストックタンク55が接続する。ストックタンク55には、裏面層用添加液56が貯留する。流路44とストックタンク55とを接続する配管には、ポンプ57が設けられる。ストックタンク55中の裏面層用添加液56は、ポンプ57により裏面用ドープ流路44に送液され、裏面用ドープ流路44中の原料ドープ36に添加される。その後、原料ドープ36と裏面層用添加液56とは、裏面用ドープ流路44に設けられる静止型混合器58により攪拌混合されて均一となる。以下、このドープを裏面層用ドープ59と称する。裏面層用添加液56には、支持体である流延バンドからの剥離を容易とする剥離促進剤(例えば、クエン酸エステルなど)、フイルムをロール状に巻き取った際にフイルム面間での密着を抑制するマット剤(例えば、二酸化ケイ素など)や劣化防止剤などの添加剤が予め含有されている。なお、裏面層用添加液56には、可塑剤,紫外線吸収剤やレターデーション制御剤などの光学特性制御剤などの添加剤が含まれていても良い。
表面層用ドープ流路45には、配管を介してストックタンク60が接続される。ストックタンク60には、表面層用添加液61が貯留する。流路45とストックタンク60とを接続する配管には、ポンプ62が設けられる。ストックタンク60中の表面層用添加液61は、ポンプ62により表面層用ドープ流路45に送液され、表面層用ドープ流路45中の原料ドープ36に添加される。その後、原料ドープ36と表面層用添加液61とは、表面層用ドープ流路45に設けられる静止型混合器63により攪拌混合されて均一となる。以下、このドープを表面層用ドープ64と称する。表面層用添加液61には、フイルムをロール状に巻き取った際にフイルム面間での密着を抑制するマット剤(例えば、二酸化ケイ素など)や劣化防止剤などの添加剤が予め含有されている。なお、表面層用添加液61には、剥離促進剤,可塑剤,紫外線吸収剤やレターデーション制御剤などの光学特性制御剤などの添加剤が含まれていても良い。
(ドープの粘性)
本実施形態では、基層を形成するドープ(以下、基層形成用ドープと称する)として中間層用ドープ54を用い、表層を形成するドープ(以下、表層形成用ドープと称する)として、裏面層用ドープ59,表面層用ドープ64を用いる。基層形成用ドープとしては、製造する光学機能性フイルムの強度や光学的機能に適するドープを用い、表層形成用ドープとしては、光学機能性フイルムの平面性や滑り性を良くするためのドープを用いる。また、上記に加え、表層形成用ドープとして、基層形成用ドープよりも粘性が低いものを用いることが好ましい。これにより、後述する乾燥工程などにおいて、後述する積層流延膜や湿潤フイルムの表面におけるスジやムラの生成や、厚さムラなどを防ぐことができる。
流延ダイ71は、フィードブロック70の下流側と連結するように配される。流延ダイ71の下流には、回転ローラ73,74に掛け渡された流延バンド72が設けられている。中間層用ドープ54,裏面層用ドープ59,表面層用ドープ64は、ポンプ46〜48により、フィードブロック70にそれぞれ所望の流量で送液される。各ドープ54、59、64は、フィードブロック70内で合流し、後述する積層ドープとなって流延ダイ71へ送られる。なお、フィードブロック70、流延ダイ71及び積層ドープの詳細は後述する。
流延バンド72は、図示しない駆動装置により回転ローラ73,74が回転することに伴い無端で走行する。流延バンド72の移動速度は、10m/分以上200m/分以下であることが好ましい。また、流延バンド72の表面温度を所定の値にするために回転ローラ73,74に伝熱媒体循環装置75が取り付けられていることが好ましい。流延バンド72の表面温度は、−20℃〜40℃であることが好ましい。回転ローラ73,74内には伝熱媒体流路が形成されており、その中を所定の温度に保持されている伝熱媒体が通過することにより回転ローラ73,74の温度を所定の値に保持できる。
流延バンド72の幅は特に限定されるものではないが、ドープの流延幅の1.1倍〜3.0倍の範囲のものを用いることが好ましい。また、長さは10m〜200m、厚みは、0.3mm〜10mmであり、表面粗さは0.05μm以下となるように研磨したものを用いることが好ましい。材質は、ステンレス製であることが好ましく、十分な耐腐食性と強度とを有するようにSUS316製であることがより好ましい。また、流延バンド72の全体の厚みムラは0.5%以下のものを用いることが好ましい。
回転ローラ73,74が駆動する際に流延バンド72に生じるテンションが1.5×104 kg/mとなるように調整することが好ましい。また、流延バンド72と回転ローラ73,74との相対速度差は、0.01m/分以下となるように調整する。流延バンド72の速度変動を0.5%以下とし、流延バンド72が一回転する際に生じる幅方向の蛇行は1.5mm以下とすることが好ましい。この蛇行を制御するために流延バンド72の両端を検出する検出器(図示しない)を設け、その測定値に基づきフィードバック制御を行うことがより好ましい。さらに、流延ダイ71直下における流延バンド72表面の回転ローラ73の回転に伴う上下方向の位置変動が200μm以下となるように調整することが好ましい。
なお、回転ローラ73,74を直接支持体として用いることも可能である。この場合には、回転ムラが0.2mm以下となるように高精度で回転させることが好ましい。また、回転ローラ73,74の表面の平均粗さを0.01μm以下とすることが好ましい。そこで、クロムメッキ処理などを行い十分な硬度と耐久性を持たせる。なお、支持体(流延バンド72や回転ローラ73,74)の表面欠陥は最小限に抑制する必要がある。具体的には、30μm以上のピンホールは皆無であり、10μm以上30μm未満のピンホールは1個/m2 以下であり、10μm未満のピンホールは2個/m2 以下とすることが好ましい。
流延ダイ71、流延バンド72などは流延室76に収められている。流延室76内の温度を所定の値に保つため温調設備77が取り付けられている。流延室76の温度が−10℃〜57℃であることが好ましい。また、揮発している有機溶媒を凝縮回収するための凝縮器(コンデンサ)78が設けられている。凝縮液化した有機溶媒は、回収装置79により回収され再生させた後に、ドープ調製用溶媒として再利用される。
図3のように、流延ダイ71は、表面層用ドープ64,中間層用ドープ54や裏面層用ドープ59が層を成す積層ドープ80を流延バンド72に流出する。流延ダイ71から流延バンド72にかけて、積層ドープ80は、流延ビードを形成する。流延バンド72上に流出した積層ドープ80は積層流延膜81を形成する。積層ドープ80から積層流延膜81を形成することを共流延と称する。なお、このときのドープ54,59、64の温度は、−10℃以上57℃以下であることが好ましい。
図4のように、積層流延膜81は、表面層81aと中間層81bと裏面層81cとが重なるように構成される。裏面層81cは、裏面層用ドープ59からなり、積層流延膜81の裏面(流延バンド72の支持面72aに接する面)側に形成される層である。表面層81aは、表面層用ドープ64からなり、積層流延膜81の表面(裏面と反対側の面)側に形成される層である。これらの各層の厚さの割合は、積層ドープ80におけるものと略同一である。中間層81bは、中間層用ドープ54からなり、積層流延膜81を構成する層のうち表面層81aと裏面層81cとの間に形成される層である。ここで、積層流延膜81の中間層81bの厚みをDf、積層流延膜81の表面層81aの厚みDg1及び裏面層80cの厚みをDg2とするとき、Dg1/Dfが0.01以上0.5以下であることが好ましく、0.04以上0.3以下であることがより好ましい。Dg1/Dfが0.01未満である場合には、中間層用ドープ54が、表面層用ドープ64よりも高い粘度である場合、後述するダイリップにおける積層ドープ80のせん断応力が増大し、これにより中間層81bと表面層81aとの界面が不安定になり、結果として、厚みムラとして発現するため好ましくなく、Df1/Dfが0.5を超える場合には、表面層81aの厚さ分布を制御することが困難になるため好ましくない。同様の理由から、Dg2/Dfが0.01以上0.5以下であることが好ましく、0.04以上0.3以下であることがより好ましい。
また、図2のように、流延ビードの形成を安定化させるため減圧チャンバ82が流延ビード背面に取り付けられ、所望の圧力に調整されていることが好ましい。流延ビードの背面(流延バンド72の走行方向上流側)は、前面(流延バンド72の走行方向下流側)との圧力よりも−10Pa〜−2000Paの範囲で減圧することが好ましい。さらに、減圧チャンバ82の温度を所定の温度に保つため、ジャケット(図示しない)を取り付けることが好ましい。減圧チャンバ82の温度は特に限定されるものではないが、10℃〜50℃の範囲であることが好ましい。また、流延ビードの形状を所望のものにたもつため流延ダイ71のエッジ部に吸引装置(図示しない)を取り付けることが好ましい。エッジ吸引風量は、1L/分〜100L/分の範囲であることが好ましい。
積層流延膜81は、流延バンド72の走行に従い、この走行方向に案内される。このときに積層流延膜81中の溶媒を蒸発させるため送風機84a〜84cを設けることが好ましい。送風機84a〜84cの取り付け位置として、流延バンド72の上部上流側84a,下流側84b,流延バンド72の下部84cに設けられている形態を図示しているがこれに限定されるものではない。また、形成直後の積層流延膜81に乾燥風が吹き付けられることによる膜面の面状変動を抑制するために遮風装置85が設けられていることが好ましい。なお、図では支持体として流延バンド72を用いている例を示しているが、これに代えて流延ドラムを用いることも可能である。この場合において、流延ドラムの表面温度は、−20℃以上40℃以下であることが好ましい。
積層流延膜81が自己支持性を有するものとなった後に、固化或いはゲル化した積層流延膜81を剥取ローラ86で支持しながら湿潤フイルム87として流延バンド72から剥ぎ取る。その後に多数のローラが設けられている渡り部90を搬送させた後にテンタ100に送り込む。渡り部90では、送風機91から所望の温度の乾燥風を送風することで湿潤フイルム87の乾燥を進行させる。このとき乾燥風の温度が、20℃以上250℃以下であることが好ましい。なお、渡り部90では下流側のローラの回転速度を上流側のローラの回転速度より速くすることにより湿潤フイルム87にドローテンションを付与することも可能である。
テンタ100には、所定の乾燥条件に保持された温度ゾーンが設けられる。テンタ100に送られる湿潤フイルム87は、その両縁がクリップ等で把持されながら温度ゾーンに搬送される。この温度ゾーンへの搬送或いは通過において、湿潤フイルム87に含まれる溶媒が蒸発し、湿潤フイルム87が乾燥する。また、テンタ100内に異なる乾燥条件の温度ゾーンを設けることにより、乾燥条件を調整することが好ましい。また、テンタ100内の乾燥において、両端を担持するクリップ等を用いて湿潤フイルム87を幅方向に延伸及び緩和させることができる。延伸及び緩和を行うことで、得られるフイルムの光学特性を所望のものにすることができる。また、渡り部90またはテンタ100で湿潤フイルム87の流延方向と幅方向との少なくとも1方向を0.5%〜300%延伸することが好ましい。
テンタ100で所定の残留溶媒量まで乾燥された湿潤フイルム87は、フイルム101として送り出される。フイルム101の両端を耳切装置102によりその両縁が切断される。切断されたフイルムは、図示しないカッターブロワーによりクラッシャー103に送られる。クラッシャー103によりフイルムの縁部は、粉砕されてチップとなる。このチップをドープ調製用に再利用することがコストの点から有利である。なお、このフイルムの両縁を切断する工程は、省略することもできるが、前記流延工程から前記フイルムを巻き取る工程までのいずれかで行うことが好ましい。
次にフイルム101は、多数のローラ104が備えられている乾燥室105に送られる。乾燥室105内の温度は、特に限定されるものではないが、50℃〜180℃の範囲であることが好ましい。乾燥室105でフイルム101は、ローラ104に巻き掛けられながら搬送され溶媒は揮発して乾燥される。また、乾燥室105には、吸着回収装置106が取り付けられている。揮発溶媒は、吸着回収装置106により吸着回収される。溶媒成分が除去された空気は乾燥室105内に乾燥風として再度送風される。なお、乾燥室105は、乾燥温度を変えるために複数の区画に分割されていることがより好ましい。また、耳切装置102と乾燥室105との間に予備乾燥室(図示しない)を設け、フイルム101の予備乾燥を行うことは、乾燥室105中におけるフイルム101の温度の急変を抑制し、温度の急変に伴うフイルム101の形状変化を回避できるため点でより好ましい。
フイルム101は、冷却室107に搬送され、略室温まで冷却される。なお、乾燥室105と冷却室107との間に調湿室(図示しない)を設けても良い。調湿室でフイルム101の所望の湿度及び温度に調整された空気を吹き付ける。これにより、フイルム101のカールの発生や巻き取る際の巻き取り不良の発生を抑制できる。
フイルム101が搬送されている間の帯電圧が所定の範囲(例えば、−3kV〜+3kV)となるように強制除電装置(除電バー)108を設けている。図では、冷却室107の下流側に設けられている例を図示しているがその位置に限定されるものではない。さらに、ナーリング付与ローラ109を設けて、フイルム101の両縁にエンボス加工でナーリングを付与することが好ましい。なお、ナーリングされた箇所の凹凸が、1μm〜200μmであることが好ましい。
最後に、フイルム101を巻取室110内の巻取ローラ111で巻き取る。この際に、プレスローラ112で所望のテンションを付与しつつ巻き取ることが好ましい。なお、テンションは巻取開始時から終了時まで徐々に変化させることがより好ましい。巻き取られるフイルム101は、長手方向(流延方向)に少なくとも100m以上とすることが好ましい。また、幅方向が600mm以上であることが好ましく、1400mm以上1800mm以下であることがより好ましい。また、1800mmより大きい場合にも効果がある。フイルムの厚みは、15μm以上100μm以下の薄いフイルムを製造する際にも適用できる。
次に、フィードブロック70及び流延ダイ71の詳細について説明する。
(フィードブロック)
フィードブロック70の内部には、図5及び図6のように、3本の流路131、132、133が設けられている。フィードブロック70の上面及び側面には、流路131、132、133の入口となる入口131a、132a、133aが形成され、下面には、流路131の出口となる出口131bが形成されている。入口131a、132a、133aは、それぞれ、流路43〜45と接続している。流路131は、入口131aから出口131bまで、フィードブロック70を貫通するように鉛直下向きに延びるように形成される。中間層用ドープ54が流れる方向に直交する断面における流路131の断面積は、入口131aから出口131bまで、略同一となる。流路131の途中には合流部135が設けられる。流路132は、入口132aから合流部135まで延びるように形成される。流路133は、入口133aから合流部135まで延びるように形成される。各ドープ59、64が流れる方向に直交する断面における流路132、133の断面積は、入口132a、133aから合流部135に向かうに従い次第に小さくなる。合流部135の近傍の流路132上にはディストリビューションピン138が設けられ、合流部135の近傍の流路133上には、ディストリビューションピン139が設けられる。
流路131〜133内を通過する各ドープ54、59、64の流速は、シミュレーションにより算出することができる。このシミュレーションでは、各流路131〜133の形状(断面積や流路の長さ)、流路131〜133内の内壁の表面状態、ポンプ46〜48の流量やディストリビューションピン138、139の形状やその向きに応じて求められる。制御部は、このシミュレーション結果に基づいて、ポンプ46〜48の流量やディストリビューションピン138、139の向きを、独立して調節し、流路131〜133内を通過する各ドープ54、59、64の流速を所望の範囲内で略一定になるように調節することができる。なお、シミュレーションによる各ドープの流速の算出に代えて、流路131〜133に適宜流速計を取り付け、この流速計の計測値等に基づいて各ドープの流速を調節しても良い。
また、フィードブロック70の流路131〜133に、図示しない温調機や温度計を設けても良い。温度計は、各流路131〜133を流れる各ドープの温度を計測する。温調機は、各流路131〜133を流れる各ドープの温度を所定の範囲に保持する。このドープの温度調整は、温度計による計測値に基づいて行われる。温調機としては、ヒータや所望の温度に保持された伝熱媒体を収納可能なジャケットなど、公知のものを用いることができる。この温調機により、各ドープは、25℃以上60℃以下であることが好ましい。特に、ドープの主溶媒がジクロロメタンである場合には25℃以上38℃以下の範囲であることが好ましく、酢酸メチルである場合には、25℃以上55℃以下の範囲であることが好ましい。
また、フィードブロック70の流路131〜133に、図示しない粘度計を設けても良い。粘度計は、各流路131〜133を流れる各ドープの粘度を計測する。粘度計は公知のいずれのものを用いることができる。ドープ54の粘度を200Pa・s以下とし、ドープ59,64の粘度を60Pa・s以下とすることが好ましい。各ドープ54、59、64の粘度の下限値は、特に限定されるものではないが、流延ビードを形成する際の形状の安定化のため40Pa・s以上とすることが好ましい。なお、本発明において、各ドープの流速、温度や粘度とは、原則として形成直後の積層ドープを構成する各ドープの流速、温度や粘度を意味するが、これに限らず積層ドープ80を構成する各層の界面が存在するときの各ドープの流速、温度や粘度を含む。
(ディストリビューションピン)
ディストリビューションピン138とディストリビューションピン139は、同一部材であるため、これらの共通部分についてはディストリビューションピン138を例に挙げて説明し、ディストリビューションピン139については、ディストリビューションピン138と異なる部分のみを説明し、共通部分の説明は省略する。
図6ないし図8のように、円柱状のディストリビューションピン138は、積層流延膜81の幅方向に横たわるように、合流部135の近傍の流路132上に配される。ディストリビューションピン138は、駆動部140と接続する。また、この駆動部140は図示しない制御部と接続する。制御部の制御の下、駆動部140は、ディストリビューションピン138の軸A1を中心に、方向SA1及び方向SA2に回転自在にする。ディストリビューションピン138の周面には、切欠き溝138aが形成されている。流路132を通過した裏面層用ドープ59は、切欠き溝138aを介して、合流部135へ流れる。切欠き溝138aの幅は、方向SA2に向かうにつれて幅WA1から幅WA2へと徐々に変化するように形成される。切欠き溝138aの幅とは、ディストリビューションピン138の軸A1方向における切欠き溝138aの長さである。図6に示すように、流路132中を流れる裏面層用ドープ59は、この切欠き溝138aによって幅及び深さを規制されながら、合流部135へ流れてゆく。こうして、ディストリビューションピン138を、軸A1を中心に、方向SA1及び方向SA2に回転することにより、合流部135近傍における流路132の断面積を調節することができる。
一方、円柱状のディストリビューションピン139は、積層流延膜81の幅方向に横たわるように合流部135の近傍の流路133上に配される。ディストリビューションピン139の周面には、切欠き溝138aと同様の切欠き溝が形成されている。流路133中を流れる表面層用ドープ64は、この切欠き溝によって幅及び深さを規制されながら、合流部135へ流れてゆく。こうして、ディストリビューションピン139を、軸を中心に回転することにより、合流部135近傍における流路133の断面積を調節することができる。
溝深さD1は、0mmより大きく5mm以下であることが好ましく、より好ましくは0mmより大きく4mm以下であることが好ましい。溝深さD1が5mmを超えると、最外層の膜厚分布が確保することが困難となるため好ましくない。
(流延ダイ)
図5及び図9のように、流延ダイ71の内部には、流路151が設けられる。流延ダイ71の上面には、フィードブロック70の出口131bと接続する入口151aが形成される。下面にはダイリップ152が設けられる。ダイリップ152には、出口151bが形成されている。流路151は、入口151aから出口151bまで、流延ダイ71を貫通するように鉛直下向きに延びるように形成される。この流路151は、流路151の途中から、出口151bに向かうにしたがって次第に幅が広くなっている。また、流路151の途中の領域で、その厚さが薄くなるように傾斜面151cが形成されている。ダイリップ152近傍には、図示しない流速計が設けられる。この流速計により、出口151bにおける積層ドープ80の流出速度X1を計測する。
フィードブロック70から送られた積層ドープ80は、この流路151を流れる途中で拡幅され、出口151bから流出速度X1で吐出され、流延バンド72上に積層流延膜81を形成する(図3)。積層ドープ80の流出速度X1は、特に限定されないが、例えば、流出速度X1が100m/分以上の高速域では、低速域に比べて、積層ドープ80の厚みムラの生成が顕著になるため、高速域において本発明を用いることにより、積層ドープ80の厚みムラを防止する効果がより発揮される。なお、流出速度X1が100m/分未満であっても、積層ドープ80の厚みムラは生成されるため、低速域において本願発明を用いることにより、積層ドープ80の厚みムラの生成を防止することができる。
フィードブロック70及び流延ダイ71の材質は析出硬化型のステンレス鋼を用いることが好ましい。その熱膨張率が2×10-5 (℃-1 )以下の素材を用いることが好ましい。また、電解質水溶液での強制腐食試験でSUS316と略同等の耐腐食性を有するものを用いることもできる。さらに、その素材はジクロロメタン、メタノール、水の混合液に3ヵ月浸漬しても気液界面にピッティング(孔開き)が生じない耐腐食性を有するものを用いる。さらに、鋳造後1ヶ月以上経過したものを研削加工して流延ダイ71を作製することが好ましい。これにより流延ダイ71内を流れるドープの面状が一定に保たれる。流延ダイ71及びフィードブロック70の接液面の仕上げ精度は表面粗さで1μm以下、真直度はいずれの方向にも1μm/m以下のものを用いることが好ましい。スリットのクリアランスの平均値が、自動調整により0.5mm〜3.5mmの範囲で調整可能なものを用いる。流延ダイ71のリップ先端の接液部の角部分について、Rはスリット全巾に亘り50μm以下のものを用いる。また、流延ダイ71内でのドープ54,59,64は、剪断速度は1(1/秒)〜5000(1/秒)となるように調整されているものを用いることが好ましい。
製膜中は、所定の温度に保持されるように温調機(例えば、ヒータ,ジャケットなど)を取り付けることが好ましい。また、流延ダイ71にはコートハンガー型のものを用いることが好ましい。さらに、厚み調整ボルト(ヒートボルト)を所定の間隔で設けてヒートボルトによる自動厚み調整機構を取り付けることがより好ましい。ヒートボルトは予め設定されるプログラムによりポンプ(高精度ギアポンプが好ましい)46〜48の送液量に応じてプロファイルを設定し製膜を行うことが好ましい。また、フイルム製膜ライン40中に図示しない厚み計(例えば、赤外線厚み計)のプロファイルに基づく調整プログラムによってフィードバック制御を行っても良い。流延エッジ部を除いて任意の2点の厚み差は1μm以内に調整し、幅方向厚みの最小値で最も大きな差が3μm以下となるように調整することが好ましい。また、厚み精度は±1.5μm以下に調整されているものを用いることが好ましい。
リップ先端に硬化膜が形成されていることがより好ましい。硬化膜の形成方法は、特に限定されるものではないが、セラミックスコーティング、ハードクロムメッキ、窒化処理方法などが挙げられる。硬化膜としてセラミックスを用いる場合には、研削でき気孔率が低く脆くなく耐腐食性が良く、かつ流延ダイ71と密着性が良く、ドープと密着性がないものが好ましい。具体的には、タングステン・カーバイド(WC),Al23 ,TiN,Cr23 などが挙げられるが特に好ましくはWCを用いることである。WCコーティングは、溶射法で行うことができる。
流延ダイ71のスリット端に流出するドープが、局所的に乾燥固化することを防止するために溶媒供給装置(図示しない)をスリット端に取り付けることが好ましい。ドープを可溶化する溶媒(例えば、ジクロロメタン86.5重量部,メタノール13重量部,n−ブタノール0.5重量部の混合溶媒)を流延ビード端部とスリットとの気液界面に供給することが好ましい。なお、この液を供給するポンプの脈動率は5%以下のものを用いることが好ましい。
次に、各ドープ54,59,64から積層流延膜81が形成されるまでの詳細について説明する。図2及び図6のように、ポンプ46により、中間層用ドープ54は、流路44から流路131の入口131aに所定の流速W1で送られた後、流路131から合流部135へ流速W2で送られる。一方、ポンプ47により、裏面層用ドープ59は、流路45から流路132の入口132aに所定の流速U1で送られた後、ディストリビューションピン138を介して、流路132から合流部135へ流速U2で送られる。更に、ポンプ48により、表面層用ドープ64は、流路46から流路133の入口133aに所定の流速V1で送られた後、ディストリビューションピン139を介して、流路132から合流部135へ流速V2で送られる。こうして、合流部135では、各ドープ54、59、64が、方向THに層をなす積層ドープ80が生成する。
中間層用ドープ54の流速W1は、0m/分より大きく40m/分以下であることが好ましく、8m/分以上30m/分以下であることがより好ましく、10m/分以上20m/分以下であることが最も好ましい。中間層用ドープ54の流速が40m/分を超える場合には、流路内の中間層用ドープ54に発生するせん断応力が大きくなりすぎるため好ましくない。
裏面層用ドープ59の流速U1は、0m/分より大きく15m/分以下であることが好ましく、3m/分以上10m/分以下であることがより好ましく、5m/分以上8m/分以下であることが最も好ましい。裏面層用ドープ59の流速U1が15m/分を超える場合には、流路内の裏面層用ドープ59に発生するせん断応力が大きくなりすぎるため好ましくない。
表面層用ドープ64の流速V1は、0m/分より大きく15m/分以下であることが好ましく、3m/分以上10m/分以下であることがより好ましく、5m/分以上8m/分以下であることが最も好ましい。表面層用ドープ64の流速V1が15m/分を超える場合には、流路内の表面層用ドープ64に発生するせん断応力が大きくなりすぎるため好ましくない。
流路132中を流れる裏面層用ドープ59は、ディストリビューションピン138の切欠き溝138aによって幅及び深さを規制されながら、合流部135へ流れてゆく。また、流路133中を流れる表面層用ドープ64は、ディストリビューションピン139の切欠き溝によって幅及び深さを規制されながら、合流部135へ流れてゆく。また、図示しない制御部の制御の下、駆動部140は、流路131〜133の断面積、それらの長さ、温度計や粘度計からの計測値等に応じて、ポンプ46〜48の流速、ディストリビューションピン138、139の向きを調節するため、各ドープの流速を所定の範囲に調節することができる。
次に、本発明における各ドープの流速の条件について説明する。U2/U1が3.0以上10以下であることが好ましく、U2/U1が3.5以上8.5であることがより好ましく、3.5以上5.5以下であることが最も好ましい。U2/U1が3.0未満である場合には、裏面層81cの厚み分布の制御が困難となり、U2/U1が10を超えると、積層ドープ80中のドープ59とドープ54との界面が不安定になり、積層ドープ80の厚みムラの生成が顕著になる。同様に、V2/V1が3.0以上10以下であることが好ましく、V2/V1が3.5以上8.5であることがより好ましく、3.5以上5.5以下であることが最も好ましい。V2/V1が3.0未満である場合には、表面層81aの厚み分布の制御が困難となり、V2/V1が10を超えると、積層ドープ80中のドープ64とドープ54との界面が不安定になり、積層ドープ80の厚みムラの生成が顕著になる。いずれの場合も、積層ドープ80中のドープ64とドープ54との界面が不安定になり、積層流延膜81において幅方向への厚みムラが生じるため好ましくない。
更に、上記に加えて、U2/W2が0.1以上1以下であることが好ましく、U2/W2が0.3以上0.8であることがより好ましく、0.5以上0.8以下であることが最も好ましい。U2/W2が0.1未満もしくは、U2/W2が1を超える場合、積層ドープ80中のドープ59とドープ54との界面が不安定になり、積層流延膜81において幅方向への厚みムラが生じるため好ましくない。なお、V2/W2も、U2/W2と同様である。
本発明により、積層ドープ80の界面が安定化するプロセスは、次のように考えられる。裏面層用ドープ59や表面層用ドープ64は、各流路44、45を介して、合流部135へ送られる。各入口132a、133aから合流部135に向かうに従い次第に断面積が小さくなる各流路132、133を通過する際、裏面層用ドープ59や表面層用ドープ64は、圧縮されまたは伸長され、この圧縮や伸長により、裏面層用ドープ59や表面層用ドープ64には大きな応力が発生する。このような裏面層用ドープ59や表面層用ドープ64が合流部135に送られると、裏面層用ドープ59や表面層用ドープ64には、この応力に起因した弾性力が生じ、この弾性力が、裏面層用ドープ59や表面層用ドープ64と中間層用ドープ54との間における界面を不安定にする。
本発明では、各入口131a〜133a及び合流部135における、裏面層用ドープ59や表面層用ドープ64の流速比を所定の範囲内で略一定に調節することで、流路132,133における裏面層用ドープ59や表面層用ドープ64の圧縮、伸長が抑制されるため、結果として、積層ドープ80の界面の乱れを抑制することができる。
また、合流部135において粘度が異なるドープが合流すると、粘度の差に起因したせん断応力の差が生じ、このせん断応力の差が、界面の不安定化を誘発する。本発明では、U2/U1、V2/V1や、U2/W2、V2/W2が、上記条件を満たすように合流するため、合流部135における各ドープ54、59、64の界面におけるせん断応力差を低減させることができる。したがって、本発明によれば、流路132、133における各ドープ59、64の流速比、及び合流部135における各ドープ54、59、64の流速比を所定条件にするため、積層ドープ80の界面を安定化することができる。
したがって、前述した流速の条件等を満たすようにディストリビューションピン138、139の向きやポンプ46〜48の流量等を調節することにより、高速の流出速度下における積層ドープ80の界面の乱れを抑制することができる。したがって、本発明により、界面の乱れに起因する積層ドープ80の厚みムラを抑制し、均一な厚さ及び光学特性を有するフイルム101を製造することができる。
なお、本明細書において、上記各ドープ54、59、64の流速は、流れの方向は考慮せずに、その大きさ、すなわち速さのみを考慮すればよい。また、流速U2、V2、W2は、合流部135における各ドープ54、59、64の流速としてもよいし、積層ドープ80における各ドープ54、59、64の流速としてもよい。
上記実施形態では、積層流延膜81の表層として、その両面に形成される表面層81a及び裏面層81cを記載したが、これに限らず、表面層81aまたは裏面層81cとのうちいずれか一方を表層としてもよいし、表面層81aまたは裏面層81cに別の層を加えたものを表層としてもよい。また、上記実施形態では、基層が1つであったが、これに限らず複数の基層を有するフイルムの製造方法にも適用できる。この場合には、一の基層に隣接する表層を形成するドープの流速等が前述した条件を満たすことにより本発明の効果を発現することができる。加えて、一の基層に隣接する表層を形成するドープの流速と当該基層を形成するドープの流速とが、前述した条件を満たすことにより本発明の効果を発現することができる。
流延ダイ、減圧チャンバ、支持体などの構造、共流延、剥離法、延伸、各工程の乾燥条件、ハンドリング方法、カール、平面性矯正後の巻取方法から、溶媒回収方法、フイルム回収方法まで、特開2005−104148号の[0617]段落から[0889]段落に詳しく記述されている。これらの記載も本発明に適用できる。
[性能・測定法]
(カール度・厚み)
巻き取られたセルロースアシレートフイルムの性能及びそれらの測定法は、特開2005−104148号の[0112]段落から[0139]段落に記載されている。これらも本発明にも適用できる。
[表面処理]
前記セルロースアシレートフイルムの少なくとも一方の面が表面処理されていることが好ましい。前記表面処理が真空グロー放電処理、大気圧プラズマ放電処理、紫外線照射処理、コロナ放電処理、火炎処理、酸処理またはアルカリ処理の少なくとも一種であることが好ましい。
[機能層]
(帯電防止・硬化層・反射防止・易接着・防眩)
前記セルロースアシレートフイルムの少なくとも一方の面が下塗りされていても良い。
さらに前記セルロースアシレートフイルムをベースフイルムとして、他の機能性層を付与した機能性材料として用いることが好ましい。前記機能性層が帯電防止層、硬化樹脂層、反射防止層、易接着層、防眩層及び光学補償層から選択される少なくとも1層を設けることが好ましい。
前記機能性層が、少なくとも一種の界面活性剤を0.1mg/m〜1000mg/m含有することが好ましい。また、前記機能性層が、少なくとも一種の滑り剤を0.1mg/m 〜1000mg/m含有することが好ましい。さらに、前記機能性層が、少なくとも一種のマット剤を0.1mg/m〜1000mg/m含有することが好ましい。さらには、前記機能性層が、少なくとも一種の帯電防止剤を1mg/m〜1000mg/m含有することが好ましい。セルロースアシレートフイルムに、種々様々な機能、特性を実現するための表面処理機能性層の付与方法は、上記以外にも、特開2005−104148号の[0890]段落から[1087]段落に詳細な条件、方法も含めて記載されている。これらも本発明に適用できる。
(用途)
前記セルロースアシレートフイルムは、特に偏光板保護フイルムとして有用である。セルロースアシレートフイルムを偏光子に貼り合わせた偏光板を、液晶層に通常は2枚貼って液晶表示装置を作製する。ただし、液晶層と偏光板との配置は限定されるものではなく、公知の各種配置とすることができる。特開2005−104148号には、液晶表示装置として、TN型,STN型,VA型,OCB型,反射型、その他の例が詳しく記載されている。この方法は、本発明にも適用できる。また、同出願には光学的異方性層を付与した、セルロースアシレートフイルムや、反射防止、防眩機能を付与したセルロースアシレートフイルムについての記載もある。更には適度な光学性能を付与し二軸性セルロースアシレートフイルムとして光学補償フイルムとしての用途も記載されている。これは、偏光板保護フイルムと兼用して使用することもできる。これらの記載は、本発明にも適用できる。特開2005−104148号の[1088]段落から[1265]段落に詳細が記載されている。
また、本発明の製造方法により光学特性に優れるセルローストリアセテートフイルム(TACフイルム)を得ることができる。前記TACフイルムは、偏光板保護フイルムや写真感光材料のベースフイルムとして用いることができる。さらにテレビ用途などの液晶表示装置の視野角依存性を改良するための光学補償フイルムとしても使用可能である。特に偏光板の保護膜を兼ねる用途に効果的である。そのため、従来のTNモードだけでなくIPSモード、OCBモード、VAモードなどにも用いられる。また、前記偏光板保護膜用フイルムを用いて偏光板を構成しても良い。
次に、本発明の実施例を説明する。以下の各実施例では、詳細を実施例1で説明し、実施例2〜5については、実施例1と異なる条件のみを説明する。なお、実施例1〜3は本発明の実施様態の例であり、実施例4〜5は実施例1〜3に対する比較実験である。
以下に実施例1を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。使用した重量部を下記に示す。
[組成]
セルローストリアセテート(置換度2.84、粘度平均重合度306、含水率0.2重量%、ジクロロメタン溶液中6重量%の粘度 315mPa・s、平均粒子径1.5mmであって標準偏差0.5mmである粉体) 100重量部
ジクロロメタン(第1溶媒) 320重量部
メタノール(第2溶媒) 83重量部
1−ブタノール(第3溶媒) 3重量部
可塑剤A(トリフェニルフォスフェート) 7.6重量部
可塑剤B(ジフェニルフォスフェート) 3.8重量部
[綿化合物]
なお、ここで使用したセルローストリアセテートは、残存酢酸量が0.1重量%以下であり、Ca含有量が58ppm、Mg含有量が42ppm、Fe含有量が0.5ppmであり、遊離酢酸40ppm、さらに硫酸イオンが15ppm含むものであった。また6位アセチル基の置換度は0.91であり全アセチル中の32.5%であった。また、アセトン抽出分は8重量%、重量平均分子量/数平均分子量比は2.5であった。また、イエローインデックスは1.7であり、ヘイズは0.08、透明度は93.5%であり、Tg(ガラス転移温度;DSCにより測定)は160℃、結晶化発熱量は6.4J/gであった。このセルローストリアセテートは、綿から採取したセルロースを原料としてセルローストリアセテートを合成した。
(1−1)ドープ仕込み
図1に示すドープ製造ライン10を用いた。第1、第2攪拌翼19,21を有する4000Lのステンレス製溶解タンク13に、前記複数の溶媒を混合して混合溶媒として攪拌・分散しつつ、セルローストリアセテート粉体(フレーク)をホッパ14から徐々に添加し、全体が2000kgとなるように調製した。なお、溶媒は、すべてその含水率が0.5重量%以下のものを使用した。溶解タンク13内を攪拌剪断速度が最初は5m/秒(剪断応力5×10kgf/m/秒)の周速で攪拌するディゾルバータイプの第2攪拌翼21および、中心軸に第1攪拌翼19を有して周速1m/秒(剪断応力1×10kgf/m/秒)で攪拌する条件下で30分間分散した。分散の開始温度は25℃であり、最終到達温度は48℃となった。分散終了後、高速攪拌は停止し、第1攪拌翼19の周速を0.5m/秒としてさらに100分間攪拌し、セルローストリアセテートフレークを膨潤させて膨潤液22を得た。膨潤終了までは窒素ガスでタンク内を0.12MPaになるように加圧した。この際のタンク内の酸素濃度は2vol%未満であり防爆上で問題のない状態を保った。またドープ中の水分量は0.3重量%であった。
(1−2)溶解・濾過
膨潤液22を溶解タンク13からポンプ25で加熱装置26に送液した。加熱装置26で50℃まで加熱し、更に2MPaの加圧下で90℃まで加熱し、完全溶解させた。加熱時間は15分であった。温調機27で36℃まで温度を下げ、公称孔径8μmの濾材を有する濾過装置28を通過させて固形分濃度が19重量%のドープ(以下、濃縮前ドープと称する)を得た。この際、濾過1次圧は1.5MPa、2次圧は1.2MPaとした。なお、高温にさらされるフィルタ、ハウジング及び配管はハステロイ(登録商標)合金製で耐食性の優れたものを利用し保温加熱用の熱媒を流通させるジャケットを有するものを使用した。
(1−3)濃縮・濾過・脱泡・添加剤
濃縮前ドープを80℃で常圧に調整されているフラッシュ装置31内でフラッシュさせて、蒸発した溶媒を凝縮器で液化して回収装置32で回収分離した。フラッシュ後のドープの固形分濃度は、21.8重量%となった。なお、回収された溶媒は、再生装置33で再利用のために調整された。フラッシュ装置31のフラッシュタンクには中心軸にアンカー翼を有しており、周速0.5m/秒で攪拌して脱泡を行った。フラッシュタンク内のドープの温度は25℃であり、タンク内の平均滞留時間は50分であった。このドープを採取して25℃で測定した剪断粘度は剪断速度10(秒−1)で450Pa・sであった。
つぎに、このドープに弱い超音波照射することで泡抜きを実施した。その後、ポンプ34を用いて1.5MPaに加圧した状態で、濾過装置35に送液した。濾過装置35では、最初公称孔径10μmの焼結繊維金属フィルタを通過させ、ついで同じく10μmの焼結繊維フィルタを通過させた。それぞれの1次圧は1.5MPa,1.2MPaであり、2次圧は1.0MPa,0.8MPaであった。濾過後のドープの温度を36℃に調整して2000Lのステンレス製ストックタンク30内に貯蔵した。以下、このドープを原料ドープ36と称する。ストックタンク30は中心軸に攪拌翼42を有して周速0.3m/秒で常時攪拌された。なお、濃縮前ドープから原料ドープ36を調製する際に、各装置のドープ接液部には、腐食などの問題は全く生じなかった。また、ジクロロメタンが86.5重量部、メタノールアセトンが13重量部、1−ブタノール0.5重量部の混合溶媒Aを作製した。
(1−4)吐出・直前添加・流延・ビード減圧
図2に示すフイルム製膜ライン40を用いてフイルム製膜を行った。ストックタンク30内の原料ドープ36を1次増圧用のギアポンプ46,47,48で高精度ギアポンプの1次側圧力が0.8MPaになるようにインバーターモーターによりフィードバック制御を行い送液した。高精度ギアポンプ46〜48は容積効率99.2%、吐出量の変動率0.5%以下の性能であった。また、吐出圧力は1.5MPaであった。
流延ダイ71は、幅が1.8mであり共流延用に調整したフィードブロック70を装備し、主流のほかに両面にそれぞれ積層して3層構造のフイルムを成形できるようにした装置を用いた。なお、ドープの送液流路は、中間層用ドープ流路43、裏面層用ドープ流路44,表面層用ドープ流路45の3流路を用いた。
UV剤a(2(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール),UV剤b(2(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミルフェニル)5−クロルベンゾトリアゾール)とレターデーション制御剤(N,N’−di−
M−トリル−N’’−p−メトキシフェニル−1、3、5−トリアジン−2、4、6−トリアミン)と混合溶媒37と原料ドープ36とを混合させた中間層用添加液51をストックタンク50に入れた。中間層用添加液51をポンプ52により中間層用ドープ流路43中の原料ドープ36に送液した。そして、静止型混合器53を介して混合させて、中間層用ドープ54とした。
マット剤である二酸化ケイ素(粒径15nm モース硬度 約7)を0.05重量部と剥離促進剤であるクエン酸エステル混合物(クエン酸,クエン酸モノエチルエステル,クエン酸ジエチルエステル,クエン酸トリエチルエステル)を0.006重量部と原料ドープ36と混合溶媒Aとを溶解または分散させて裏面層用添加液56とした。裏面層用添加液56をストックタンク55に入れ、ポンプ57を用いて所望の流量で裏面層用ドープ流路44中に流れている原料ドープ36に送液した。そして、静止型混合器58で混合させて、裏面層用ドープ59を作製した。添加量は、全固形分濃度が20.5重量%、フイルム形態でマット剤濃度が0.05重量%、フイルム形態で剥離促進剤濃度が0.03重量%となるように行った。
二酸化ケイ素0.05重量部を混合溶媒37に分散させて表面層用添加液61を調製しストックタンク60に入れた。表面層用添加液61をポンプ62により表面層用ドープ流路45中の原料ドープ36に送液した。そして、静止型混合器63を介して混合させて、表面層用ドープ64を作製した。添加量は、全固形分濃度が20.5重量%、フイルム形態でマット剤濃度が0.1重量%となるように行った。
そして、目的とするTACフイルムの膜厚(表面層,中間層,裏面層)がそれぞれ4μm,73μm,3μmであり、製品厚みが80μmとなるように、流延幅を1700mmとして各ドープ(中間層用ドープ,裏面層用ドープ,表面層用ドープ)の流量を調整して流延を行った。各ドープの温度を36℃に調整するため、流延ダイ71にジャケット(図示しない)を設けてジャケット内に供給する伝熱媒体の入口温度を36℃とした。
流延ダイ71、フィードブロック70、配管は製膜時にはすべて36℃に保温した。流延ダイ71はコートハンガータイプのものを用い、厚み調整ボルト(ヒートボルト)が20mmピッチに設けられており、ヒートボルトによる自動厚み調整機構を具備しているものを使用した。ヒートボルトは予め設定したプログラムにより高精度ギアポンプの送液量に応じたプロファイルを設定することもでき、フイルム製膜ライン40内に設置した赤外線厚み計(図示しない)のプロファイルに基づいた調整プログラムによってフィードバック制御も可能な性能を有するものである。流延エッジ部20mmを除いたフイルムで50mm離れた任意の2点の厚み差は1μm以内であり、幅方向厚みの最小値で最も大きな差が3μm/m以下となるように調整した。また、各層の平均厚み精度は表面層及び裏面層が±2%以下、中間層が±1%以下に制御され、全体厚みは±1.5%以下となるように調整した。
各ドープ54、59、64は、流路43〜45から流路131〜133へ送られた。中間層用ドープ54は、入口131aから合流部135へ送られた。裏面層用ドープ59は、ディストリビューションピン138を介して、流路132から合流部135へ送られた。表面層用ドープ64は、ディストリビューションピン139を介して、流路133から合流部135へ送られた。本実施形態では、V2/V1が3.75、U2/U1が3.75、V2/W2が0.3、U2/W2が0.3となるように、駆動部140は、ポンプ46〜48の流速や、ディストリビューションピン138、139の向きを調節した。
流延ダイ71の1次側には減圧するための減圧チャンバ82を設置した。減圧チャンバ82の減圧度は流延ビードの前後で1Pa〜5000Paの圧力差が生じるようになっていて、流延スピードに応じて調整が可能なものである。その際に、ビードの長さが4mm±20mmとなるように圧力差を設定した。また、減圧チャンバ82の温度は、流延部周囲のガスの凝縮温度よりも高く設定できる機構を具備したものであった。ビード前後、後部にラビリンスパッキン(図示しない)を設けた。また、両端には開口部を設けた。さらに、そこから、流延ビードの両縁の乱れを調整するためにエッジ吸引装置(図示しない)が取り付けられているものを用いた。
流延ダイ71の材質は析出硬化型のステンレス鋼であり、熱膨張率が2×10-5(℃−1)以下の素材であり、電解質水溶液での強制腐食試験でSUS316製と略同等の耐腐食性を有する素材を使用した。また、ジクロロメタン,メタノール,水の混合液に3ヶ月浸漬しても気液界面にピッティング(孔開き)が生じない耐腐食性を有する素材を使用した。流延ダイ71及びフィードブロック70の接液面の仕上げ精度は表面粗さで1μm以下、真直度はいずれの方向にも1μm/m以下であり、スリットのクリアランスは1.5mmに調整した。ダイリップ先端の接液部の角部分について、Rはスリット全巾に亘り50μm以下になるように加工した。ダイ内部での剪断速度は1(1/秒)〜5000(1/秒)の範囲であった。また、流延ダイ71のリップ先端には、溶射法によりWCコーティングをおこない硬化膜を設けた。
さらに流延ダイ71のスリット端には流出するドープが、局所的に乾燥固化することを防止するために、ドープを可溶化する前記混合溶媒を流延ビード端部とスリット気液界面に片側で0.5ml/分で供給した。この液を供給するポンプの脈動率は5%以下のものを用いた。また、減圧チャンバ82によりビード背面の圧力を150Pa低くした。減圧チャンバ82の温度を一定にするために、ジャケット(図示しない)を取り付けた。そのジャケット内に35℃に調整された伝熱媒体を供給した。エッジ吸引風量は、1L/分〜100L/分の範囲で調整可能なものを用い、本実施例では30L/分〜40L/分の範囲で適宜調整した。
支持体として幅2.1mで長さが70mのステンレス製のエンドレスバンドを流延バンド72として利用した。流延バンド72の厚みは1.5mmであり、表面粗さは0.05μm以下になるように研磨した。材質はSUS316製であり、十分な耐腐食性と強度を有するものとした。流延バンド72の全体の厚みムラは0.5%以下であった。流延バンド72は、2個の回転ローラ73,74により駆動させた。その際の流延バンド72のテンションは1.5×10kg/mに調整し、流延バンド72と回転ローラ73,74との相対速度差が0.01m/分以下になるように調整した。また、流延バンド72の速度変動は0.5%以下であった。また1回転の幅方向の蛇行は1.5mm以下に制限するように流延バンド72の両端位置を検出して制御した。また、流延ダイ71直下におけるダイリップ先端と流延バンド72との上下方向の位置変動は200μm以下とした。流延バンド72は、風圧変動抑制手段(図示しない)を有した流延室76内に設置されている。この流延バンド72上に流延ダイ71から3層のドープ(表面層,中間層,裏面層)からなる積層ドープ80を流出した。ダイリップ152に設けられた流速計により、積層ドープ80の流出速度X1は、100m/分であった。
回転ローラ73,74は、流延バンド72の温度調整を行えるように、内部に伝熱媒体を送液できるものを用いた。流延ダイ71側の回転ローラ73には5℃の伝熱媒体を流し、他方の回転ローラ74には40℃の伝熱媒体を流した。流延直前の流延バンド72中央部の表面温度は15℃であり、その両端の温度差は6℃以下であった。なお、流延バンド72は、表面欠陥がないものが好ましく、30μm以上のピンホールは皆無であり、10μm〜30μmのピンホールは1個/m以下、10μm未満のピンホールは2個/m以下であるものを用いた。また、流延バンド72の移動速度は、10m/分以上200m/分以下の範囲に調節した。
流延室76の温度は、温調設備77を用いて35℃に保った。流延バンド72上に流延されたドープから形成された積層流延膜81は、最初に平行流の乾燥風により乾燥した。乾燥する際の乾燥風からの積層流延膜81への総括伝熱係数は24kcal/m2 ・時・℃であった。乾燥風の温度は流延バンド72上部の上流側を135℃とし、下流側を140℃とした。また、流延バンド72下部は、65℃となるように送風機84a〜84cから送風した。それぞれの乾燥風の飽和温度は、いずれも−8℃付近であった。流延バンド72上の乾燥雰囲気における酸素濃度は5vol%に保持した。なお、酸素濃度を5vol%に保持するため空気を窒素ガスで置換した。また、流延室76内の溶媒を凝縮回収するために、凝縮器(コンデンサ)78を設け、その出口温度は、−10℃に設定した。
流延後5秒間は遮風装置85により乾燥風が、直接積層ドープ80及び積層流延膜81に当たらないようにして流延ダイ71直近の静圧変動を±1Pa以下に抑制した。積層流延膜81中の溶媒比率が乾量基準で150重量%になった時点で流延バンド72から剥取ローラ86で支持しながら湿潤フイルム87として剥ぎ取った。このときの剥取テンションは10kgf/mであり、剥取不良を抑制するために流延バンド72の速度に対して剥取速度(剥取ローラドロー)は、100.1%〜110%の範囲で適切に調整した。湿潤フイルム87の表面温度は15℃であった。流延バンド72上での乾燥速度は、平均60重量%(乾量基準溶媒)/分であった。乾燥して発生した溶媒ガスは、−10℃の凝縮器78で凝縮液化して回収装置79で回収した。回収された溶媒は調整がなされた後に、ドープ調製用溶媒として再利用した。その際に、溶媒に含まれる水分量を0.5%以下に調整した。溶媒が除去された乾燥風は再度加熱して乾燥風として再利用した。湿潤フイルム87を渡り部90のローラを介して搬送し、テンタ100に送った。このときに送風機91から40℃の乾燥風を湿潤フイルム87に送風した。なお、渡り部90のローラで搬送している際に、湿潤フイルム87に約100Nのテンションを付与した。
テンタ100に送られた湿潤フイルム87は、クリップでその両端を固定されながらテンタ100の乾燥ゾーン内を搬送され、乾燥風により乾燥した。クリップには、20℃の伝熱媒体を供給して冷却した。テンタの駆動はチェーンで行い、そのスプロケットの速度変動は0.5%以下であった。また、テンタ100内を3ゾーンに分け、それぞれのゾーンの乾燥風温度を上流側から90℃,100℃,110℃とした。乾燥風のガス組成は−10℃の飽和ガス濃度とした。テンタ100内での平均乾燥速度は120重量%(乾量基準溶媒)/分であった。テンタ100の出口ではフイルム内の残留溶媒の量が、7重量%となるように乾燥ゾーンの条件を調整した。また、テンタ100内では搬送しつつ幅方向に延伸も行った。テンタ100に搬送された際の湿潤フイルム87の幅を100%としたときの拡幅量を103%とした。剥取ローラ86からテンタ100入口に至る延伸率(テンタ駆動ドロー)は、102%とした。テンタ100内の延伸率はテンタ噛み込み部から10mm以上はなれた部分における実質延伸率の差異が10%以下であり、かつ20mm離れた任意の2点の延伸率の差異は5%以下であった。ベース端のうちテンタで固定している長さの比率は90%とした。テンタ100内で蒸発した溶媒は、−10℃の温度で凝縮させ液化して回収した。凝縮回収用に凝縮器(図示しない)を設け、その出口温度は−8℃に設定した。溶媒に含まれる水分量を0.5重量%以下に調整して再使用した。そして、テンタ100から積層フイルムとして送り出した。
そして、テンタ100の出口から30秒以内に両端の耳切を耳切装置102で行った。NT型カッターにより両側50mmの耳をカットし、カットした耳はカッターブロワー(図示しない)によりクラッシャー103に風送して平均80mm程度のチップに粉砕した。このチップは、再度ドープ調製用原料としてTACフレークと共にドープ製造の際に原料として利用した。テンタ100の乾燥雰囲気における酸素濃度は5vol%に保持した。なお、酸素濃度を5vol%に保持するため空気を窒素ガスで置換した。後述する乾燥室105で高温乾燥させる前に、100℃の乾燥風が供給されている予備乾燥室(図示しない)で積層フイルムを予備加熱した。
積層フイルムを乾燥室105で高温乾燥した。乾燥室105を4区画に分割して、上流側から120℃,130℃,130℃,130℃の乾燥風を送風機(図示しない)から給気した。積層フイルムのローラ104による搬送テンションは100N/巾として、最終的に残留溶媒量が、0.3重量%になるまでの約10分間乾燥した。前記ローラ104のラップ角度は、90度および180度とした。前記ローラ104の材質はアルミ製もしくは炭素鋼製であり、表面にはハードクロム鍍金を施した。ローラ104の表面形状はフラットなものとブラストによりマット化加工したものとを用いた。ローラ104の回転による振れは全て50μm以下であった。また、テンション100N/巾でのローラ撓みは0.5mm以下となるように選定した。
乾燥風に含まれる溶媒ガスは、吸着回収装置106を用いて吸着回収除去した。吸着剤は活性炭であり、脱着は乾燥窒素を用いて行った。回収した溶媒は、水分量0.3重量%以下に調整してドープ調製用溶媒として再利用した。乾燥風には溶媒ガスの他、可塑剤,UV吸収剤,その他の高沸点物が含まれるので冷却除去する冷却器およびプレアドソーバーでこれらを除去して再生循環使用した。そして、最終的に屋外排出ガス中のVOC(揮発性有機化合物)は10ppm以下となるよう、吸脱着条件を設定した。また、全蒸発溶媒のうち凝縮法で回収する溶媒量は90重量%であり、残りの大部分は吸着回収により回収した。
乾燥された積層フイルムを第1調湿室(図示しない)に搬送した。乾燥室105と第1調湿室との間の渡り部には、110℃の乾燥風を給気した。第1調湿室には、温度50℃、露点が20℃の空気を給気した。さらに、積層フイルムのカールの発生を抑制する第2調湿室(図示しない)に積層フイルムを搬送した。第2調湿室では、積層フイルムに直接90℃,湿度70%の空気をあてた。
調湿後の積層フイルムは、冷却室107で30℃以下に冷却して両端耳切りを行った。搬送中のフイルム帯電圧は、常時−3kV〜+3kVの範囲となるように強制除電装置(除電バー)108を設置した。さらに積層フイルムの両端にナーリング付与ローラ109でナーリングを行った。ナーリングは片側からエンボス加工を行うことで付与し、ナーリングする幅は10mmであり、最大高さは平均厚みよりも平均12μm高くなるように押し圧を設定した。
そして、積層フイルムを巻取室110に搬送した。巻取室110は、室内温度28℃,湿度70%に保持した。さらに、フイルム帯電圧が−1.5kV〜+1.5kVになるようにイオン風除電装置(図示しない)も設置した。このようにして得られたフイルム101の厚さは、80μmであった。巻取ローラ111の径は169mmのものを用いた。巻き始めテンションは360N/巾であり、巻き終わりが250N/巾になるようなテンションパターンとした。巻き取り全長は3940mであった。巻き取りの際の周期を400mとし、オシレート幅を±5mmとした。また、巻取ローラ111にプレスローラ112を押し圧50N/巾に設定した。巻き取り時のフイルムの温度は25℃、含水量は1.4重量%、残留溶媒量は0.3重量%であった。全工程を通しても平均乾燥速度は20重量%(乾量基準溶媒)/分であった。また巻き緩み、シワもなく、10Gでの衝撃テストにおいても巻きずれが生じなかった。また、ロール外観も良好であった。
積層フイルムのフイルムロールを25℃、55%RHの貯蔵ラックに1ヶ月保管して、さらに上記と同様に検査した結果、いずれも有意な変化は認められなかった。さらにロール内においても接着も認められなかった。また、積層フイルムを製膜した後に、流延バンド72上にはドープから形成された積層流延膜81の剥げ残りは全く見られなかった。
本実施形態では、V2/V1を5.6、U2/U1を5.6、V2/W2を0.5、U2/W2を0.5にしたこと以外は、実施例1と同様にして積層フイルムを製造した。
本実施形態では、V2/V1を8.5、U2/U1を8.5、V2/W2を0.8、U2/W2を0.8にしたこと以外は、実施例1と同様にして積層フイルムを製造した。
本実施形態では、V2/V1を15、U2/U1を15、V2/W2を1.3、U2/W2を1.3にしたこと以外は、実施例1と同様にして積層フイルムを製造した。
本実施形態では、V2/V1を18.75、U2/U1を18.75、V2/W2を1.7、U2/W2を1.7にしたこと以外は、実施例1と同様にして積層フイルムを製造した。
実施例で得られた積層フイルムの評価方法及びそれらの結果について下記に示す。
(1)厚みムラ測定
各実施例にて得られた積層フイルムについて、厚みムラ測定を行った。この厚みムラ測定の手順は、次のとおりである。第1に、各実施例で製造された積層フイルムから、略6cm四方のサンプルフィルムを切り出した。第2に、サンプルフィルムの屈折率差を厚み差に換算できる装置を用いてサンプルフィルムの屈折率差を測定した。この装置として、FX−03 FRINGE ANALYZER(FUJINON(株)社製)を用いた。第3に、サンプルフィルムの全域にわたりこの屈折率差を測定し、この平均値を各実施例における厚みムラとした。このようにして得られた厚みムラが、積層フイルムの厚みに対して1.8%未満である場合には、この判定結果を○とし、積層フイルムの厚みに対して1.8%以上である場合には、この判定結果を×とした。なお、積層フイルムの厚みは、マイクロメータを用いて、積層フイルムの6箇所の厚みを計測し、この平均値を積層フイルムの厚みとした。
Figure 0004989424
各実施例における評価結果について表1に示す。なお、表1中に付される番号1〜6はそれぞれ、積層ドープ80の流出速度、U2/U1の値、V2/V1の値、U2/W2の値、V2/W2の値と厚みムラ測定における判定結果である。
実施例1〜5からも、一定の条件を満たすように各ドープの流速を調節することにより、高速の流出速度下においても積層ドープ中の界面の乱れを抑制することができる。したがって、本発明によれば、界面の乱れに起因する厚みムラを抑え、厚さの均一なフイルムを短時間に大量に製造することができる。
ドープ製造ラインの概要を示す説明図である。 積層流延法で用いられるフイルム製膜ラインの概要を示す説明図である。 フィードブロック及びその周辺部を拡大した斜視図である。 流延バンド上に形成される積層流延膜の断面図である。 図3中におけるV−V線断面図である。 フィードブロックの断面図である。 ディストリビューションピンの斜視図である。 ディストリビューションピンの断面図である。 図3及び図5中におけるIX−IX線断面図である。
符号の説明
40 フイルム製膜ライン
43〜45 流路
46〜48 ポンプ
54 中間層用ドープ
59 裏面層用ドープ
64 表面層用ドープ
70 フィードブロック
71 流延ダイ
72 流延バンド
80 積層ドープ
81 積層流延膜
81a 表面層
81b 中間層
81c 裏面層
101 フイルム
131〜133 流路
135 合流部
138、139 ディストリビューションピン
138 切欠き溝
140 駆動部
U1、U2、V1、V2、W1、W2 流速

Claims (10)

  1. フィードブロック内で第1ドープと第2ドープとを合流させて積層ドープを生成し、前記積層ドープを走行する支持体上に流出し、前記支持体上の前記積層ドープから積層流延膜を形成し、この積層流延膜を前記支持体から剥ぎ取り、乾燥する積層フイルムの製造方法において、
    前記第1ドープを前記フィードブロックに形成された第1入口から前記フィードブロック内に供給し、
    前記第2ドープを前記フィードブロックに形成された第2入口から前記フィードブロック内に供給し、
    前記第1入口と前記第2入口と接続する合流部にて、前記第1入口と前記合流部とを連通する第1流路を通過した前記第1ドープと、前記第2入口と前記合流部を連通し、前記第2ドープが流れる方向と直交する断面の面積が前記第2入口から前記合流部に向かうに従い小さくなるように形成された第2流路を通過した前記第2ドープとを合流させて、前記積層ドープを生成し、
    前記第2入口における前記第2ドープの流速をVi2とし、前記合流部における前記第2ドープの流速をVo2とするときに、Vo2/Vi2の値が3以上10以下の範囲内で略一定となるように前記第2ドープを前記第2入口から前記合流部へ送ることを特徴とする積層フイルムの製造方法。
  2. 前記第2ドープの粘度が前記第1ドープの粘度よりも低く、
    前記合流部における前記第1ドープの流速をVo1とするときに、Vo2/Vo1の値が0.1以上1以下の範囲内で略一定となるように、前記第1ドープと前記第2ドープとを前記合流部へ送ることを特徴とする請求項1記載の積層フイルムの製造方法。
  3. 前記第1ドープが流れる方向と直交する断面の面積が前記第1入口から前記合流部に向かって略同一になるように形成された前記第1流路を介して、前記第1ドープを前記合流部に送ることを特徴とする請求項1または2記載の積層フイルムの製造方法。
  4. 前記第2ドープを前記第2入口に供給する第2ドープ供給手段を用いて、前記第2入口における前記第2ドープの流速Vi2を調節し、
    前記合流部近傍の前記第2流路に設けられた調節手段を用いて、前記合流部における前記第2ドープの流速Vo2を調節することを特徴とする請求項1ないし3のうちいずれか1項記載の積層フイルムの製造方法。
  5. 前記第1ドープを前記第1入口に供給する第1ドープ供給手段を用いて、前記合流部における前記第1ドープの流速Vo1を調節し、
    前記合流部近傍の前記第2流路に設けられた調節手段を用いて、前記合流部における前記第2ドープの流速Vo2を調節することを特徴とする請求項2ないし4のうちいずれか1項記載の積層フイルムの製造方法。
  6. フィードブロック内で第1ドープと第2ドープとを合流させて積層ドープを生成し、前記積層ドープを流出する流出装置と、走行し、前記流出装置から流出する前記積層ドープからフイルム状の積層流延膜を形成する支持体と、前記積層流延膜を前記支持体から剥ぎ取って、乾燥し、積層フイルムとする乾燥手段とを有する積層フイルムの製造設備において、
    前記フィードブロックが、第1ドープが供給される第1入口と、第2ドープが供給される第2入口と、前記第1入口と前記第2入口と接続し、前記第2ドープと前記第1ドープとを合流させて前記積層ドープを生成する合流部と、前記第2入口と前記合流部とを連通し、前記第2ドープが流れる方向と直交する断面の面積が前記第2入口から前記合流部に向かうに従い小さくなるように形成された前記第2流路と、前記合流部近傍の前記第2流路に設けられ、前記合流部における前記第2ドープの流速Vo2を調節する調節手段と、を備え、
    前記第1ドープを前記第1入口に供給する第1ドープ供給手段と、
    前記第2ドープを流速Vi2で前記第2入口に供給する第2ドープ供給手段と、
    Vo2/Vi2の値が3以上10以下の範囲内で略一定となるように前記第2ドープ供給手段と前記調節手段とを独立して制御する制御手段と、
    を有することを特徴とする積層フイルムの製造設備。
  7. 前記合流部における前記第1ドープの流速をVo1とするときに、
    前記制御手段が、Vo2/Vo1の値が0.1以上1以下の範囲内で略一定となるように、前記第1ドープ供給手段と前記第2ドープ供給手段と前記調節手段とのうち少なくとも1つを独立して制御することを特徴とする請求項6記載の積層フイルムの製造設備。
  8. 前記第1入口と前記合流部とを連通し、前記第1ドープが流れる方向と直交する断面の面積が前記第1入口から前記合流部に向かって略同一になるように形成された第1流路を備えることを特徴とする請求項6または7記載の積層フイルムの製造設備。
  9. 前記調節手段が、前記合流部近傍の前記第2流路の前記断面の面積を調節するディストリビューションピンであることを特徴とする請求項6ないし8のうちいずれか1項記載の積層フイルムの製造設備。
  10. 前記流延装置は、前記フィードブロックと、前記フィードブロックにて生成した前記積層ドープを、前記支持体に流出する流延ダイと、を備えることを特徴とする請求項6ないし9のうちいずれか1項記載の積層フイルムの製造設備。
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